Contract
【法人番号 4021005002918】
報道発表資料
平成 28 年 9 月 8 日独立行政法人国民生活センター
レンタルオーナー契約によるトラブルにご注意
-元本保証、高配当と言われても、業者が破綻すれば、レンタル料も受け取れず、「元本」もほとんど戻りません-
全国の消費生活センター等には、業者から電話や訪問などで「元本保証で高利回り」などとあたかも“投資”や“出資”、“預金”かのように勧誘され、商品の売買契約と賃貸借(レンタル)契約等を同時にしたという消費者の相談が寄せられています。相談事例では、契約後、業者が突然破綻したため、約束どおりのレンタル料などの支払いがなくなり、支払ったお金(元本)も戻らなくなってしまったなどというトラブルが多くみられます。
こうした相談における契約内容をみると、消費者は、業者から商品を購入し、購入した商品を業者に一定期間レンタルするなどの契約(以下、レンタルオーナー契約)を結んでいます。購入した商品は消費者には引き渡されないまま、業者は、消費者が購入した商品を第三者に転貸するレンタル事業などで得られた収益の一部をレンタル料などの名目で消費者に支払うことになっています。また、中にはレンタル期間が経過した後に、購入した商品を業者が消費者から購入代金と同額で買い取る契約になっているものもあります(図)。
しかし、実際には、消費者はレンタル事業の実体や自身が購入した商品の存在などを確認することが困難であることが多く、事業の実体がなければ、いずれ業者が破綻し、約束どおりのレンタル料などは受け取れず、支払ったお金(元本)も戻らなくなってしまうリスクがあります。
レンタルオーナー契約でトラブルになっているケースでは、こうしたリスクを十分に理解しないまま契約をした高齢者も目立っていることから、同種の相談事例やアドバイスをまとめ、消費者へ情報提供します。
図 レンタルオーナー契約の仕組み
※ 購入した商品は消費者には引き渡されない。
1.相談事例
【事例 1】「元本保証」と言われて契約をしたが、業者が破産した
ある日、「元本保証で高利回りの投資をしないか」と業者から電話があり、来訪して詳細を説明したいと言うので来てもらった。業者によると「パチスロ機を購入してもらうが、その購入者は同時に当社とレンタル契約を結んでもらう。貸主となるあなたには、購入代金を 24回に分割した分と、配当として年利回り 4%のレンタル料の月割分を毎月振り込む」と説明された。これはいい話だと思い1口 40 万円でパチスロ機を購入する契約とそのパチスロ機を貸し出す契約をし、代金を支払った。すると翌月、説明どおりの額が振り込まれたので、投資額を増やすために、さらにパチスロ機の購入とレンタル契約を業者と結び、追加で代金を支払った。
しかし、業者から配当の振り込みが遅れるとの連絡があった後、さらに破産したとの書面 が届いた。今後どうしたらよいか。
(2016 年 3 月受付 契約当事者:50 歳代 男性 大阪府)
【事例 2】「半年後には支払った分全額が戻る」と言われて次々に契約をしたが業者と連絡がとれなくなった
A社から突然電話があり、「xxx発電所を建設しているB社のパンフレットを送った。投 資をしないか」と誘われた。「xxxのパネル代1枚 11 万円を 1 口として負担すると 1 年で 1 万 2 千円の売電利益がある。B社の評判はとてもよく政府も後押ししている」など言われたが、その電話では断った。その後、B社から電話があり、「通常満期は 20 年だが 1 年でいい。さらに年中途での申し込みとなるため満期は半年後となり、半年後には支払った分全額が戻る」と説明を受けた。1 口でもと誘われ承諾した。その後も勧誘が続き、結局 20 口計 220万円をB社に支払った。
その後、満期が来たが、B社から「台風が襲い大打撃を受けた、竜巻被害を受け直接の被害はなかったが保管していたパネルが全滅した」などの連絡があり、返金されない。B社と電話もつながりにくくなり、最近では電話に誰も出ない。早く返金して欲しい。
(2015 年 10 月受付 契約当事者:80 歳代 女性 長崎県)
※消費生活センターで契約書面を確認したところ、パネルの売買契約とそのパネルを貸し付け、B社がパネル管理を受託する契約を交わしていたことがわかった。
【事例 3】「元本分は必ず戻る」「ずっとxxのように入る」と勧誘され契約をしたが業者と連絡がとれなくなった
訪問してきた業者から「コンテナを購入してレンタルすればもうかる」と熱心に勧められた。その際、「元本分は必ず戻る仕組みとなっている」「投資には何でもお金がかかる。購入した家を貸し出して家賃が入るのと同じ仕組み。ずっとxxのように入るのでもうかる」と言われ、最初に約 300 万円、その後、約 200 万円を契約した。
毎月 2 万円ほどコンテナ利用料の振り込みがあり、さらに勧められたので、約 100 万円を追加で契約し、合計で約 600 万円を業者に支払った。しかし、その後、毎月あったコンテナ 利用料の振り込みがなくなり、業者に電話してもつながらない。
毎月のコンテナ利用料が入らなくなった頃、別業者がやってきて「その業者は倒産した。お金を取り返してあげる。しかしそれには約 200 万円かかる」と言われた。どうしたらよいか。
(2014 年 7 月受付 契約当事者:80 歳代 女性 兵庫県)
【事例 4】「レンタルオーナーになる投資をしないか」と言われ、契約をしたが、業者が破産した
数年前に知人から「クレジットカードの決済端末機のレンタルオーナーになる投資をしな いか。もうかるよ」と勧誘を受け、1口 100 万円で 2 口の契約をし、合計 200 万円を支払ったが、契約後の配当は 3 回しかなかった。その後、業者の代理人から業者が破産の申し立てを行ったとの通知書が届いた。どうしたらよいか。
(2015 年 11 月受付 契約当事者:70 歳代 女性 佐賀県)
2.相談事例にみる問題点
(1)消費者にはレンタル事業の実体を確認することが困難である
電話や訪問などで「配当として年利回り 4%のレンタル料の月割分を毎月振り込む」「パネル代を負担すると年 1 万 2 千円の売電利益がある」「商品を購入してレンタルすればもうかる」など、購入した商品によるレンタル事業などによって高い利益が得られるかのようなセールストークがみられます。しかし、消費者にとって、業者が高い利益をうたうほどの収益性のある事業を実際に行っているのかなど、レンタル事業の実体や自身が購入した商品の存在などを確認することは困難であるケースがほとんどです(全事例)。
(2)事業の実体がなければ、いずれ業者が破綻し、支払ったお金(元本)も戻らないリスクがある
相談事例では、業者に勧誘されて契約した後、当初は約束どおりのレンタル料などを受
け取っていたものの、業者が突然破綻して、それ以降の業者からの支払いがなくなったり、元本が戻らなくなったりするトラブルが目立っています。具体的には、契約後に業者に連絡をとろうとしたものの電話がつながらないなど、業者への連絡が不能となるケース(事例 2、事例 3)や、業者が破産したという通知が送られてきたというケース(事例1、事例 4)があります。
レンタルオーナー契約では、レンタル期間が経過した後に、購入した商品を業者が消費者から購入代金と同額で買い取る契約になっているものもあります。しかし、レンタル事業等の実体がなければ、いずれ業者が破綻し、約束どおりのレンタル料などは受け取れず、支払ったお金(元本)も戻らなくなってしまうというリスクがあります。
レンタルオーナー契約でトラブルになっているケースでは、こうしたリスクを十分に理解しないまま契約をした高齢者も目立っています。
(3)「元本保証」「高配当」「xx」などとあたかも投資や出資、預金の契約であるかのような勧誘をしている
「元本保証で高利回り」「半年後には支払った分が全額戻る」「xxのように入るのでも
うかる」など、あたかも投資や出資、預金の契約であるかのように勧誘をしているケースが多くみられます(全事例)。
1 特定商取引法第 6 条第 1 項、消費者契約法第 4 条第 1 項等
しかし、実際の契約内容をみると、商品の売買契約と賃貸借(レンタル)契約など 2を同時にするレンタルオーナー契約になっており、消費者が商品を業者から購入したうえで、実際の引き渡しがないまま、購入したその商品を消費者から業者に一定期間レンタルし、業者がその商品を第三者に転貸するなどして得た利益の一部をレンタル料などの名目で消費者に支払うことになっています。
このような業者のセールストークにより、消費者が実際の契約内容を十分に理解しないまま、元本保証の投資商品や預金などのつもりでレンタルオーナー契約をしているケースが目立ちます 3。
(4)二次被害に遭うおそれもある
トラブルにあっている消費者に対し、「お金を取り返してあげる」などと、被害回復を持ちかける別業者からの勧誘があったとの相談(事例 3)も寄せられており、二次被害に遭うおそれもあります。
3.消費者へのアドバイス
(1)「元本保証」「高配当」などの勧誘はうのみにしないようにしましょう
元本保証、高配当をうたった勧誘は魅力的な話に聞こえますが、レンタルオーナー契約のように実際には高額な商品の購入契約になっていることがあります。契約する商品は様々ですが、業者からのこうした勧誘を決してうのみにしないでください。
(2)事業の実体が確認できない場合や破綻リスクが理解できない場合は契約しないようにしましょう
消費者にとって、レンタル事業の実体を確認することは困難です。業者によるレンタル
事業などの実体がなければ、約束どおりのレンタル料などが支払われないおそれもあり、たとえ当初は支払いがあったとしても、業者が破綻した場合などには、それ以降の支払いは受け取れず、商品の購入代金などもほとんど戻りません。業者のレンタル事業などの実体が確認できない場合や、業者が破綻した場合のリスクが十分に理解できなければ、契約をしないでください。
(3)二次被害に注意しましょう
過去にレンタルオーナー契約に関するトラブルにあったことのある消費者に対し「損を取り戻してあげる」などと言って、高額な着手金や手数料を要求する詐欺的な手口に関する相談も寄せられています。見知らぬ業者などから、被害回復のために金銭を要求されたり、新たな投資を勧められたりしたとしても、きっぱりと断ってください。
2賃貸借契約のほか業務委託契約になっているケースがある。
3預託法( 特定商品等の預託等取引契約に関する法律)では、当事者の一方が相手方に対して、3 か月以上の期間、特定商品を預かること若しくは施設利用権を管理すること及び財産上の利益の供与を約し又は 3 か月以上の期間の経過後一定の価格での特定商品若しくは施設利用権の買い取りを約束し、相手方がこれに応じ当該特定商品を預け若しくは当該施設利用権を管理させることを約する契約について規制している。
なお、他者から金銭などの出資・拠出を集め、当該金銭を用いて何らかの事業・投資を行い、その事業から生じる収益等を出資者に分配するような仕組みについては、金融商品取引法で集団投資スキーム( ファンド)として規制されている。
(4)すぐに消費生活センターに相談しましょう
トラブルにあった場合には、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談してください*
(電話勧誘販売や訪問販売であれば、クーリング・オフなどを主張できる場合もあります)。
*消費者ホットライン「188(いやや!)」番
お住まいの地域の市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の
3 桁の電話番号です。
4.情報提供先
消費者庁消費者政策課(法人番号 5000012010024)
内閣府消費者委員会事務局(法人番号 2000012010019)
警察庁生活安全局生活経済対策管理官(法人番号 8000012130001)
金融庁総務企画局政策課金融サービス利用者相談室(法人番号 6000012010023)
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