Contract
契約と損害賠償請求③
4 契約の解除
⑴法定解除
ア 債務不履行による解除 イ 各種契約特有の解除原因による解除
①売買契約における売主の瑕疵担保責任と買主の解除権までが前号でした。
◇ ◇
②賃貸借契約における解除権賃借権を無断譲渡したり無断 転貸すると、賃貸人に解除権が
発生します。
③請負契約での注文者による解除権
平成23年1月4・11日 2335 号(第三種郵便物認可)
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約の目的を達することができないときには、注文者に解除権が発生します。
また、請負人が仕事を完成し
ない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除することができます。
第 10回
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なお、「請負人の担保責任」というものがあります。すなわち、仕事の目的物に瑕疵があるときに、注文者には冒頭で述べた解除権が発生するということの他に、請負人に対し瑕疵修補及び損害賠償請求ができます。ただし、瑕疵が重要でないのに修補に過分の費用がかかるときは損害賠償請求のみしかできません。
ウ 事情変更の原則
契約締結後の社会的経済的事情の重大な変動に際して、xxxxの原則から契約の消滅や契約内容の変更を認める原則です。これにより、「契約内容改定権」(例えば賃料増額請求権)と契約解除権(内容改定を拒絶されたり、内容改定が不可能な場合など)が発生します。
⑵約定解除
契約当事者があらかじめ解除権留保を合意し、この特約によって解除権が生じる場合を言います。
ア 当事者の明示的合意によるもの
例えば、相手方に資力信用不安が発生した場合には即時解除できるという内容の即時解除条項がこれに当たります。
イ 法律によって解除権が留保されたもの
売買契約に於ける手付解除がこれに当たります。いわゆる
「手付流れ」「手付倍返し」といわれるものです。買主は交付した手付を放棄して、売主は受け取った手付の倍額を償還して、契約の解除ができます。
注意しなければならないのは、手付解除ができるのは、相手方が契約の履行に着手する前のみということです。買主が約束の履行期後しばしば売主に履行を求め、残代金の準備もしていれば、現実の提供が無くても、履行に着手していたと言えるので解除はできないとする裁判例があります。
その他、不動産売買において買戻特約が付されている場合も、これに該当します。
⑶合意解除
当事者の合意により、契約を解消して契約がなかったのと同一の状態を作出する新たな契約のことを言います。
これは示談的要素を持ちます。契約を遡及的に(遡って)消滅させますので、すでに給付された物は不当利得債務となり相手方に返還しなければなりません。ただし、契約を前提にして関与した第三者の権利を害することはできません。
⑷告知(解約)
継続的債権関係(賃貸借、雇用等)において、当事者の一方的意思表示によって、契約の効力を将来に向かって消滅させるものです。「解除」に遡及効があるのと異なります。
ただ、現実の実務では必ずしも使い分けられておらず、「将来に向かって解除」とか表現する場合もあります。
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なお、下段告知にもありますように今年から企③法務セミナーを開催します。初回は「残③代請求への対応について」お話しますので、ご参加ください。