Contract
建設業者の皆様へ
~知っておきたい請負契約とコンプライアンス~
太田市 契約検査課
制定日 | 平成24年10月22日 |
改訂日 | 令和 5年 1月16日 |
施行日 | 令和 5年 1月16日 |
版 数 | 第7版 |
本書は、太田市発注工事を受注するうえで、建設業者の皆様に知っておいていただきたいことを簡単にまとめたものですので、十分にご理解いただき、適正な施工にぜひご活用ください。
目 次
1 関係法令の遵守について
2 建設業者の責務等について
3 建設工事の請負契約について
3-⑴ 建設工事の請負契約の原則
3-⑵ 建設工事の請負契約の内容
3-⑶ 標識の掲示
3-⑷ 施工体制台帳・施工体系図の作成
3-⑸ 建設工事の見積り等
3-⑹ 不当に低い請負代金の禁止
3-⑺ 不当な使用資材等の購入強制の禁止
3-⑻ 著しく短い工期の禁止
3-⑼ 下請業者の意見の聴取
3-⑽ 工事完成検査の時期
3-⑾ 下請契約の代金支払
3-⑿ 一括下請負の禁止
3-⒀ 下請契約の範囲
3-⒁ 市内下請業者と地場産品の活用について
4 公共事業からの暴力団等の排除について
5 技術者の配置について
6 雇用労働条件について
⑴ 雇用・労働条件
⑵ 福祉
⑶ 福利厚生施設
⑷ 雇用管理
⑸ 労働安全
7 建設業退職金共済制度について
1 関係法令の遵守について
建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものです。(建設業法第1条)
また、建設業者は、建設業法及び建設業に関連する法律を遵守し、適正な施工に努めなければなりません。
⑴ 建設業法
⑵ 建築基準法
⑶ 労働基準法
⑷ 労働安全衛生法
⑸ 独占禁止法
⑹ 刑法
⑺ 道路交通法ほか
法令に違反すると、「各法律が定めている罰則」、「建設業法に基づく監督処分として、営業停止等の行政処分」及び「各発注機関の入札参加資格停止措置」などを受け、経営を圧迫することとなります。また、違反した建設業者が今まで築き上げてきた社会的信用を失うだけではなく、建設業全体のイメージも大きく傷つけることになります。
例えば、独占禁止法に違反すると、公正取引委員会により審決という形で業務改善命令が出され、多額の課徴金が科せられます。
また、刑法で禁じられている贈賄や談合を行った場合は、懲役や禁錮刑など、より一層重い罰則が科せられることになります。
関係法令を守ることは、建設業者として最低限のルールです。
2 建設業者の責務等について
建設業界における離職者の増加、若年入職者の減少等による将来の工事の担い手不足等が懸念されることから、建設業法第25条の27において、建設業者の責務として、建設工事の担い手の育成及び確保その他の施工技術の確保に努めなければならない旨を規定しています。
このことから、建設工事の担い手を将来にわたって確保するためには、個々の建設業者の積極的な取り組みが必要不可欠であり、公共工事の品質確保の促進に関する法律第8条により次のことが求められています。
⑴ 技能労働者、技術者等(以下「技能労働者等」という。)に対する講習・研修の実施等の人材育成
⑵ 技能労働者等の賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善
⑶ 下請契約において適正な額の請負金額及び適正な工期等を定める契約を締結すること等、元請下請取引の一層の適正化
3 建設工事の請負契約について
⑴ 建設工事の請負契約の原則
建設業法第18条により、建設工事の請負契約の当事者である注文者と受注者は、対等な立場で、合意したことに基づき、公正な請負契約を締結し、契約に定められ た条項を誠実に履行しなければなりません。
請負契約は民法上、口頭契約でも効力を生じますが、建設工事について、注文者と口頭で契約を結ぶと、当事者間のちょっとした認識の違いから、工事の内容や工期、請負金額やその支払い方法などトラブルの原因となり、後になってから紛争が生じ、その解決に訴訟となる例が数多く生じています。
このため、契約の内容を確認のうえ書面に記載し、その明確化を図る必要があります。建設業法第19条では、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、一定の事項を書面に記載し、署名又は記名押印して相互に交付しなければならないと定めています。下請契約は、発注者と元請負人が交わす請負契約と同様に建設業法に基づく請負契約であり、契約を締結する際は建設業法に従って契約をする必要があります。
◆ 口頭契約により注文者、受注者それぞれに生じる恐れのある様々な問題
・下請契約の注文者(元請業者)に発生するトラブル
① 不当な支払を要求される
② 工事が工期内に出来上がらない
③ 工事に不良な部分があっても、補修してもらえない
・下請契約の受注者(下請業者)に発生するトラブル
① 正当な請負代金を請求できなくなる
② 請負代金が長期の手形になる
③ 支払条件が不適切なものとなるなど経営を圧迫され、大きな支障が生じる
○ 無許可業者との請負契約は違法
建設業許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)を除いて、建設工事は建設業法第3条に基づき建設業許可を受けなくてはなりません。
発注者から直接工事を請け負う元請業者はもちろんのこと、下請業者でも工事を受注して施工する場合は、法人個人を問わず建設業許可を受けることが必要になります。
また、建設業許可を受けていない業者と下請契約を締結した業者も建設業法違反となりますので、下請契約を締結する場合は、契約相手が建設業許可を有するかを確認する必要があります。
⑵ 建設工事の請負契約の内容
建設工事請負契約を締結するにあたっては、契約当事者間のトラブルを防ぐため、当事者間で条文について協議しながら、契約書を作成することが原則ですが、契約 書作成に多大な労力と時間を要するという難点があるため、中央建設業審議会から 提供されている建設工事の標準請負契約約款などを契約書に添付して、契約を締結 することが一般的な契約方法です。
建設工事請負契約の標準的な約款には次のものがあります。
・ 公共工事標準請負契約約款
・ 民間建設工事標準請負契約約款(甲)(乙)
・ 建設工事標準下請契約約款
太田市発注の建設工事の契約については、次の文書をご覧ください。内容を十分に理解し、契約書を作成してください。
「契約書等作成上の注意事項」
※文書の内容は、太田市ホームページをご覧ください。
◆ 契約書に記載するべき事項
契約の締結に際して契約内容を書面に記載し相互に交付すべきことを求めてい るのは、請負契約の明確性及び正確性を担保し、紛争の発生を防止するためです。
そのためには、下請契約の締結にあたって、契約書に建設工事標準下請契約約款などを添付しない場合であっても、建設業法第19条第1項で規定する次の事項を記載した請負契約書で下請契約を締結してください。
① 工事内容
② 請負代金の額
③ 工事着工の時期及び工事完成の時期
④ 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
⑤ 請負代金の前金払又は出来高払いの時期及び方法
⑥ 設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の中止の場合の工期の変更、請負代金の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
⑦ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑧ 価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑨ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑩ 注文者からの資材提供又は機械貸与の内容及び方法に関する定め
⑪ 工事の完成検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑫ 工事の完成後における請負代金の支払時期及び方法
⑬ 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑭ 履行の遅滞、その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金、その他の損害金
⑮ 契約に関する紛争の解決方法
⑶ 標識の掲示
建設業法第40条では、建設業の営業又は建設工事の施工が建設業法による許可を受けた適法な業者によってなされていることを対外的に明らかにするため、元請業者に対し、その店舗及び建設工事現場ごとに、一定の標識を掲げることを義務づけています。
⑷ 施工体制台帳・施工体系図の作成
建設業法第24条の8、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条により、公共工事を施工するために下請契約を締結した元請業者は、施工体制台帳及び施工体系図の作成等が義務付けられています。これらの作成等を通じ施工体制の的確な把握を行うことにより、建設工事の適正な施工に努める必要があります。なお、施工体制台帳は、工事現場ごとに備え置くとともに写しを発注者に提出する必要があり、施工体系図は、工事現場の工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所に掲示する必要があります。
なお、働き方改革の促進等を目的として、令和2年10月1日から施工体制台帳には作業員名簿の添付が義務付けられました。
⑸ 建設工事の見積り等
元請業者は、建設業法第20条第3項により、契約の重要かつ具体的な内容を下請業者に提示し、下請業者が見積りを行うために次のとおり適正な見積期間を設けなければなりません。
また、下請業者は、その見積段階で、工事の種別毎に材料費・労務費その他の経費の内訳を書面で明らかにしなければなりません。
○ 適正な見積期間 (建設業法施行令第6条)
ア 工事1件の金額が500万円に満たない工事 ⇒ 1日以上
イ 工事1件の金額が500万円以上5,000万円に満たない工事 ⇒ 10日以上ウ 工事1件の金額が5,000万円以上の工事 ⇒ 15日以上
※ やむを得ない事情があるときは、イ、ウの期間については、5日以内に限り
短縮することができます。
⑹ 不当に低い請負代金の禁止
建設業法第19条の3により、請負業者の保護と建設工事の的確な施工のため、不当に低い請負代金での契約は禁止されています。
下請契約の請負代金は、施工範囲、工事の難易度、施工条件等を反映した合理的なものでなければなりません。
⑺ 不当な使用資材等の購入強制の禁止
建設業法第19条の4により、元請業者が下請契約の締結後、資材若しくは機械器具又はその購入先を強制的に指定し下請業者に購入させることは禁止されています。
元請業者が自分の取引上の地位を不当に利用して、下請契約の締結後に弱い立場にある下請業者に使用資材などの購入を強制し、下請業者の利益を害することを禁止したもので、優越的地位の乱用の一形態です。
⑻ 著しく短い工期の禁止
建設業法第19条の5により、通常必要と認められる期間に比して著しく短い工期による請負契約の締結は禁止されています。
建設業就業者の長時間労働の是正のためには、適正な工期を設定する必要があり、長時間労働を前提とした短い工期での工事は、事故の発生や手抜き工事にもつなが るおそれがあるため禁止するものです。
⑼ 下請業者の意見の聴取
建設業法第24条の2により、元請業者は、工程や作業方法等を定めるときは、あらかじめ下請業者の意見を聴取しなければなりません。
⑽ 工事完成検査の時期
建設業法第24条の4により、下請契約の注文者(元請業者)は、下請業者から工事完成の通知を受けたときは、その通知を受けた日から20日以内(且つ出来る限り短い期間内)にその工事完成の検査を完了しなければなりません。
また、その工事完成確認後に下請業者から申出を受けたときは、原則として、直ちに当該建設工事の目的物の引渡しを受ける義務があります。
⑾ 下請契約の代金支払
建設業法第24条の3により、下請契約の注文者(元請業者)は、下請け業者から当該建設工事の目的物の引渡しを受けた場合、受注者に対する請負代金の支払方法等について次のことを守らなければなりません。
元請業者は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、支払の対象となった建設工事を施工した下請業者に対して、元請業者が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請業者が施工した出来形部分に相応する下請代金を、元請業者が支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければなりません。
また、下請代金の支払は、できる限り現金によるものとし、少なくとも労務費相当分(社会保険料の本人負担分を含む)は現金払とするような支払条件を設定する必要があります。
○ 元請業者が特定建設業者である場合
元請業者は、下請業者から目的物引渡しの申し出があった日から50日以内、かつ出来る限り短い期間内において、下請代金を支払わなければなりません。50日を経過した場合は、法定遅延利息の支払義務が発生しますので注意してください。なお、手形払いについては、下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割
引を受けることが困難と認められる手形は交付できません。
◆ 政府は、令和3年3月に「下請代金の支払手段について(令和3年3月31日 20210322中庁第2号・公取企第25号)」を発出し、下請代金の支払の更なる適正化を要請しています。その概要は次のとおりです。
1 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
2 手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。
3 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。
4 前記1~3については、おおむね3年以内を目途として、可能な限り速やかに実施すること。
⑿ 一括下請負の禁止
建設業法第22条では、次の理由から一括下請負を禁止しています。ア 建設工事の施工上の責任の所在が不明確になること。
イ 不合理な利潤が取られ、この結果、実際に工事を施工する業者の経営が圧迫され、受注者や現場で働く労働者の労働条件が不利なものとなりがちであること。
ウ 自らは何も工事を行わないで、手数料を搾取する商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招くこと。
◆ 公共発注機関では、建設業を営む数多くの業者の中から、施工技術、資力、信用などを慎重に考慮して、請負業者を選定しています。
請け負った建設工事を一括して他の建設業者に請け負わせ、当該工事に関与しないことは、公共発注機関の信頼を裏切ることとなり、建設業全体の信用を失墜させることとなります。
○ 実質的関与
元請業者がその下請工事の施工に実質的に関与していないときは、一括下請負となります。
※「実質的に関与」とは「元請業者が自ら総合的に企画、調整及び指導を行うことをいい、工事現場に技術者を置いているだけではこれに該当せず、また、現場に元請業者との間に直接的かつ恒常的な雇用関係を有する適格な技術者が置かれない場合には、「実質的に関与」していることにはなりませんので注意してください。
具体的には、元請業者の技術者が次のことについて主体的な役割を果たしていることが必要となります。
ア 下請工事について
①施工計画の作成 ②工程管理 ③出来形・品質管理
④完成検査 ⑤安全管理 ⑥下請業者への技術指導・監督イ 元請業者として
⑦ 発注者との協議 ⑧ 住民への説明
⑨ 官公庁等への届出等 ⑩ 近隣工事との調整
一括下請負は、下請工事の注文者(元請業者)だけではなく、施工を行った下請業者も監督処分の対象となります。
○ 建設業法第22条で規定する「一括下請負の禁止」に該当するケース
工事の主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる場合。
【例1】 建築物の電気配線の改修工事で、電気工事のすべてをA社に下請けさせ、工事の施工に伴う内装工事などの付帯工事のみを元請業者自ら施工
(または他の業者に下請負させる)する場合
【例2】 住宅などの新築工事で、建具以外のすべての工事をB社に下請けさせ、建具工事のみを元請業者自ら施工(または他の業者に下請負させる)する場合
工事の一部であっても、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を一括して他の業者に請け負わせる場合
【例1】 戸建住宅10戸の新築工事を請け負い、そのうちの1戸の工事を1者に下請負させる場合
【例2】 道路改修を2km請け負い、そのうちの500m分について施工技術上分割しなければならない特段の理由がないにもかかわらず、その工事を
1者に下請負させる場合
⒀ 下請契約の範囲
建設業法で規定する「下請契約」とは、建設工事の全部又は一部の完成を目的として締結される請負契約をいいます。なお、下請契約の範囲は、概ね次のとおりです。
ア 手間請負も含みます。なお、手間請負とは、元請業者が材料支給及び機器貸与を行い、作業の完成のみを契約内容とするような請負のことです。
イ オペレーター付きのリース契約や他の建設会社から作業員の労務提供を受けることは、労働者派遣法違反となる恐れがありますので、建設工事の完成を目的とした行為と考え、適正な下請契約を締結して下さい。
※ 労働者派遣保護法第4条では、建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)については、労働者派遣事業を行ってはならないとされています。
ウ 次に示すものは、下請契約に該当しません。ただし、施工体制把握のため、仕様書等により記載することを求められている場合は、施工体系図に記載してください。
① ダンプトラックによる土砂の運搬や生コンの輸送
※ ただし、残土置き場における敷均しやコンクリート圧送、打設を含む場合は、建設工事の完成を目的とした行為と考えられるため下請契約が必要となります。
② 警備会社との契約による交通整理員の派遣
③ 建設機械のリース契約
※ ただし、オペレーター付きでリース契約をした場合は、建設工事の完成を目的とした行為と考えられるため下請契約が必要となります。
④ 資材メーカーと取り交わした資材の製造又は搬入を内容とする契約
※ ただし、トラッククレーンによる現場への設置までを内容とする契約の場合は、建設工事の完成を目的とした行為と考えられるため下請契約が必要となります。
◆ 下請負に関する提出書類について
太田市が発注する建設工事を受注する際に、落札候補者には「下請負に関する誓約書」を、また受注者(落札者)には「下請負に関する届出書」及び「下請負に関する理由書」を提出していただきます。
本書の内容を十分に理解し、下請契約を書面により締結したうえで、届出書を作成してください。
※様式は、太田市ホームページからダウンロードできます。
⒁ 市内下請業者と地場産品の活用について
太田市では、地域経済状況に鑑み『安全安心なまちづくり』を目指して、市民生活に密着した社会資本整備を積極的に進め、工事等の発注に際しては‘市内業者’に優先発注すること、また、総合評価落札方式の評価項目として市内下請業者の活用状況及び地場産品の活用を採用することで、地域経済の活性化に努めています。
本市発注工事を受注された業者各位におかれましては、次の事項にご配慮いただき、本市地域経済の活性化にご理解、ご協力をお願いいたします。
ア 市内下請業者の活用について
受注工事等の一部について、下請業者を活用する場合には、市内業者を優先的に活用するようお願いします。
イ 資材調達に係る地場産品の活用について
建設工事の資材調達につきましては、可能な限り地場産品を活用していただき、市内業者から調達していただきますようお願いします。
4 公共事業からの暴力団等の排除について
太田市発注の建設工事等については、これまでも暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者の排除に取り組んできましたが、平成24年7月1日「太田市暴力団排除条例」が施行され、群馬県、群馬県警察本部及び関係機関等との連携のもと、暴力団等を排除するための取り組みが強化されました。
また、条例の施行に合わせ「太田市の事務事業からの暴力団排除に関する要綱」が施行されました。
※ 条例・要綱の全文は、太田市ホームページをご覧ください。
⑴ 暴力団等を排除するための取り組みは次のとおりです。
ア 暴力団等は、太田市が実施する入札などの事務事業に参加できません。暴力団等は、太田市の事務事業に関する契約の相手方から排除されます。
イ 契約締結後において、暴力団等であることが分かった場合、契約が解除されます。
ウ 暴力団等から不当な要求行為を受けたとき、太田市に報告・警察に通報するなど必要な協力を行うことが義務となります。
エ 下請契約等の相手方が不当要求行為を受けたことを知ったときについても同様に報告・通報の義務があります。
⑵ 「暴力団排除に関する誓約書」の提出について
太田市に入札参加資格申請(建設工事、建設コンサル及び物品役務)する場合は、共通添付書類において誓約書の提出が必須です。
未提出業者は、太田市の入札参加資格を取得できませんので、必ず提出してください。
※小規模契約希望者登録制度への登録業者も誓約書の提出が必須です。
※事業担当課で発注する少額の案件に参加する場合も誓約書の提出が必須です。
※様式は、太田市ホームページからダウンロードできます。
○建設業・公共工事からの暴力団排除を徹底するために建設業法の一部を改正
建設業法等の一部を改正する法律により、平成27年4月1日から建設業許可に係る暴力団排除条項が整備され、「暴力団員」、「暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者」及び「暴力団員等がその事業活動を支配する者」であることが建設業の許可に係る欠格要件及び取消事由になるとともに、受注者が暴力団と判明した場合には、公共発注者から許可行政庁への通報が義務付けされました。
5 技術者の配置について
建設業者は、請け負った建設工事を施工する場合、工程管理、品質管理、安全管理がスムーズに行われるよう必要な資格や技術のある主任技術者又は監理技術者を適正に配置しなければなりません。また、監理技術者が特例監理技術者である場合には、監理技術者補佐の配置が求められます。
特に、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工 作物に関する建設工事で、請負代金の額が 4,000 万円(建築一式工事は 8,000 万円)以上の工事を施工しようとする場合は、必ず工事現場毎に専任の監理技術者又は主任技術者を配置しなければなりません。また、監理技術者が特例監理技術者である場合には、監理技術者補佐を当該工事現場ごとに専任で置かなければなりません。また、工事現場に専任の監理技術者を置く場合は、1級の技術検定合格者等一定
の国家資格者(建設大臣認定者を含む)で、監理技術者資格者証の交付を受け、過去5年以内に監理技術者講習を受講したことを示す「監理技術者講習修了証」(登録機関が発行)を有する者でなければなりません。監理技術者補佐を置く場合には、主任技術者の資格を有する者のうち 1 級の技術検定の第一次検定に合格した者(1級技士補)又は、1 級施工管理技士等の国家資格者、学歴や実務経験により監理技術者の資格を有するものであることが必要です。なお、監理技術者補佐として認められる業種は、主任技術者の資格を有する業種に限られます。
⑴ 主任技術者を置く工事
建設業者は、許可区分が特定、一般を問わず、また、請負代金の額にかかわらず、全て主任技術者を置かなければなりません。
※営業所の専任技術者は、専任の主任技術者、監理技術者及び監理技術者補佐にはなれません。
⑵ 監理技術者を置く工事
建設業者が発注者から直接請け負った工事の施工で、下請契約の総額が4,500万円(建築一式工事は、7,000万円)以上となる場合は、特定建設業の許可を受けていなければならず、監理技術者又は監理技術者補佐を置かなければなりません。
⑶ 現場代理人の常駐
工事を施工する際に代表者の代理として工事現場の運営、取り締まりを行う者であり、工事現場に「常駐」する必要があります。
※ 現場代理人に求められる「常駐」とは、現場施工の稼働中は、特段の支障がない限り工事現場に常時継続的に滞在し、発注者との協議に支障を来さないようにすることをいいます。
太田市における技術者配置につきましては、次の文書の内容を十分に理解し、建設業法等を遵守のうえ、適正な技術者配置及び施工監理をお願いいたします。
「現場代理人の常駐義務の緩和措置の試行について」
「現場代理人・主任技術者・監理技術者等の配置運用について」
※文書の内容は、太田市ホームページをご覧ください。
6 雇用労働条件について
建設業者は、建設労働者の雇用労働条件の改善のため、安定した雇用関係の確立や建設労働者の収入の安定等を目指し、少なくとも次の事項を実現するよう努めなければなりません。
なお、平成31年4月1日より「働き方改革関連法」が順次施行されていますので、注意が必要です。
⑴ 雇用・労働条件
ア 雇い入れにあたっては、適正な労働条件を明示し、雇用に関する文書を交付すること
イ 適正な就業規則を作成すること。さらに、一つの事業場に常時10人以上の労働者を使用する場合は、必ず就業規則を作成し労働基準監督署に届け出ること
ウ 賃金は毎月1回以上、一定日に通貨で全額を労働者に支払うことエ 建設労働者名簿と賃金台帳を作成し備え置くこと
オ 労働時間の短縮や休日の確保などについて、次の事項などに十分配慮した労働時間の管理を行うこと
○ 建設業については、令和6年4月1日より時間外労働の上限規制が適用されます。これにより災害時の復旧・復興を目的とした事業を除き、時間外労働の上限は、原則として月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなります。
○ 使用者は、労働者が雇入れの日から6か月間継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。また、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、使用者の時季指定により5日を与える必要があります。(年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要となります)
⑵ 福祉
ア 健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入すること(令和2年10月より改正建設業法が施行され、建設業許可要件となっている)。健康保険、または厚生年金保険の適用を受けない労働者についても国民健康保険、または国民年金に加入するよう指導すること。
イ 任意の労災補償制度に加入するよう努めること。
ウ 建設業退職金共済制度に加入するなど、退職金制度を確立すること。また、厚生年金基金の加入にも努めること。
エ すべての建設労働者に対し健康診断を行うこと。常時使用する労働者に対して
は、雇入れ時と定期に健康診断を必ず行うこと。
◆ 社会保険未加入の問題点
・建設労働者の処遇
下請企業を中心に、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、法定福利費を適正に負担しない企業(すなわち社会保険等未加入企業)が存在することから、建設労働者の公的保障が確保されず、若年入職者減少の一因となっています。
・不公平な競争環境
関係法令を遵守し、適正に法定福利費を負担する企業(社会保険等加入企業)ほど競争上不利になるという状況が生じています。
○ 保険加入について
建設業の持続的な発展に必要な人材の確保と事業者間における公平で健全な競争環境の構築を図るため、行政、元請企業及び下請企業など関係者が一体となった社会保険等加入徹底に向けた取り組みが実施されております。
なお、社会保険等とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険のこととします。
ア 元請業者について
太田市が発注する130万円超の建設工事や50万円超の建設関連業務委託においては、入札参加資格要件として「社会保険等加入業者であること」を求め、社会保険等未加入業者は入札に参加できません。また、元請業者の責務として、下請業者に対して社会保険等未加入に係る指導を行うことを求めます。
イ 下請業者について
請負金額が4,000万円(建築一式の場合には、8,000万円)以上の建設工事案件については、原則として社会保険等未加入業者との下請負いを認めないものとします。但し、社会保険等加入適用除外業者(※)や、特殊性を有する工種で当該業者の施工が不可欠であると認められる場合を除くこととします。
ウ 提出書類について
太田市が発注する建設工事を受注する際に、落札候補者には「下請負に関する誓約書」を、また受注者(落札者)には「下請負に関する届出書」及び「下請負に関する理由書」を提出していただきます。
※ 社会保険等加入適用除外事業者とは、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法に規定する適用除外事由であり、「常時5人未満の従業員」等の規定があります。
⑶ 福利厚生施設
ア 労働者のための宿舎は、良好な環境のもとに、労働基準法の規定を守ること。イ 現場福利施設(食堂、休息室、更衣室、洗面所、浴室、シャワー室等)を整備
すること。
⑷ 雇用管理
ア 労働者の能力向上のため、技術、技能の研修・教育の訓練を行うこと。イ 雇用管理責任者を任命し、その者の知識の習得と向上を図ること。 ウ 建設労働者の募集は適正に行うこと。
エ 不法に外国人を就労させないこと。
⑸ 労働安全
ア 現場では、下請業者を含めて、作業方法や安全対策の打ち合わせを行う等、日々の労働安全管理体制の確立に努めなければなりません。
次の場合には、必ず安全衛生教育を実施してください。
① 新たに建設労働者を雇用したとき
② 作業の内容を変更したとき
③ 危険または有害な作業を行うとき
④ 新たに職長等建設労働者を直接指揮監督する職務に就いた者がいるとき
イ 労働安全衛生法第14条により、労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について、その作業の区分に応じて作業主任者の選任が義務付けられています。事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければなりません。
ウ 下請工事の現場で災害が発生したときは、直接の契約の相手方である建設業者、二次以下の下請工事にあっては、発注者から直接工事を請け負った建設業者に報 告しなければなりません。
建設工事における安全管理については、労働災害防止の観点から労働安全衛生法など関係法令が制定されています。
建設業者の皆様は、これらの法令を遵守することはもちろん、人命の尊重と建設業の健全な発展という見地から、安全管理の認識を深め、法令で定められている以上の十分な安全対策の実施や快適な職場環境の形成に努め、労働災害事故の未然防止に全力を尽くすことが必要です。
労働災害事故の発生は、建設業法の監督処分や県や市町村など各発注機関の入札参加資格停止措置の対象にもなり、経営にも大きな影響を及ぼします。
7 建設業退職金共済制度について
建設業退職金共済制度は、建設現場で働く人たちの退職金制度です。
現場で作業する人たちが、全国どこの現場で、いつ働いても、日数分の掛金が全部通算され、建設業の仕事をしなくなったとき退職金が支払われるしくみとなっています。
建設業の事業主が共済組合と退職金共済契約を結んで、建設現場で働く作業員を被共済者として共済手帳を交付し、働いた日数は全部通算できるようになっています。
例えば、作業員が次々と現場を移動し、事業主が変わっても、その先々で共済証紙を貼ってもらい、働いた日数は全部通算されるようになっています。
なお、令和3年度からCCUS(建設キャリアアップシステム)を活用した電子申請方式が実施されており、令和5年度から完全移行となる予定です。
◆ 太田市における提出書類
請負金額1,000万円以上の工事を落札した業者の方に、次の書類を提出していただくことになっています。
⑴ 「建設業退職金共済証紙購入状況報告書」
⑵ 「建設業退職金共済証紙を購入しない理由書」
※建設業退職金共済証紙を購入しない場合に提出してください。
「建設業退職金共済証紙を購入しない理由書」の購入しない理由の①に該当する場合は、次の書類を提出してください
・「共済証紙の購入を要しない下請業者確認書」
※様式は、太田市ホームページからダウンロードできます。
□制度の案内
建設業退職金共済事業支部に用意してある申込書に必要事項を書き込み、提出するだけで会費や手数料は一切不要です。また、掛金は、税法上損金または必要経費として扱われます。
詳しくは、建設業退職金共済事業群馬県支部に問い合わせをするか、同制度を紹介しているホームページをご覧ください。
【問い合わせ】
建設業退職金共済事業群馬県支部
〒371-0846 前橋市元総社町2-5-3 群馬建設会館内 TEL:027(252)1666 FAX:027(252)1993