■JICA 横浜ホームページ(研修委託契約ガイドライン、契約書雛形、様式)
研修委託契約の概要
【日系社会研修員受入事業向け】
2022 年4月版
独立行政法人国際協力機構 横浜センター 市民参加協力課
目次
はじめに 1
2.待遇等 8
3.医療保険等 8
1.研修委託契約の概要 10
2.研修委託業務の内容 14
3.業務における留意点 15
はじめに
本概要は、日系社会研修員受入事業の提案をご検討中の機関の関係者の皆様に、日系社会研修員受入事業における研修委託契約について、その概要をご理解いただくことを目的に作成しました。
なお、委託契約に関する見積・契約管理・精算等の詳細は、「研修委託契約における見積書作成マニュアル」「研修委託契約における契約管理ガイドライン」「研修委託契約における経費精算報告書作成マニュアル」もご参照ください。また、遠隔研修については、「遠隔研修に係る研修委託契約ガイドライン」をご参照ください。
■JICA 横浜ホームページ(研修委託契約ガイドライン、契約書雛形、様式)
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第1章 日系社会研修員受入事業の概要
1.日系社会研修とは
(1) 日系社会支援事業の概観
全世界の日系人は 360 万人(うち中南米 213 万人)と推定されています。日系人は、多くの場合居住国において日系社会を形成しており、日本語教育や日本文化の次世代への継承に積極的に取り組んでいます。JICA が各都道府県の協力も得ながら移住事業を行ってきた中南米の場合、移住地等の日系社会は地域開発の拠点となって技術移転等を通じ居住国の経済発展に大きく貢献するとともに、日本との「架け橋」や「パートナー」として重要な役割を果たしてきました。
JICA は、日系社会と日本の連携に主導的な役割を果たす方(日系人に限定されない)を対象とする技術協力を通じた日系社会のさらなる発展と移住先国の国造りに貢献するため、日系社会支援事業に取り組んでいます。
(2) 日系社会研修の概要
日系社会研修は、中南米地域の日系社会と日本の連携に主導的な役割を果たす方(日系人に限定されない)への技術協力を通じ、日系社会の発展と移住先国の国造りに貢献し、また日系社会研修員の受入れを通じ日本の地域が主体となる中南米日系社会への支援を実現するとともにxxな市民参加を促進することを目的とした市民参加協力事業です。
本事業は日本の地方自治体(各都道府県及び市区町村)及び大学、公益法人、 NGO 等の団体並びに民間企業からの、それぞれが持つノウハウ・経験を活かした中南米の日系社会と日本の連携に主導的な役割を果たす方(日系人に限定されない)を対象とする技術研修の提案を受けて、JICA が提案団体と共同で実施する事業です。提案団体と JICA 国内機関が業務委託契約を締結して事業を実施し、年間 140 名程度を受入れています。
(3) 事業対象国/対象者
アルゼンチン、ウルグアイ、キューバ、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、 ボリビア、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ぺルー、メキシコの計 12 カ国
の年令が 21 歳以上、国籍が事業対象国あるいは日本国の方。
(4) 日系社会研修の区分
∙ 集団研修:6 名以上の研修員を 1 つのコースで受け入れるもので、期間は 3 ヵ月以内。
∙ 個別研修(長期):特定のテーマについて 1~3 名の研修員を 1 つのコースで受け入れるもので、期間は 3 ヵ月以上、10 ヶ月以内。
∙ 個別研修(短期):特定のテーマについて 1~3 名の研修員を 1 つのコースで受け入れるもので、期間は 3 ヵ月以内。
(5) 主な研修分野
保健医療、社会保障、教育、農業開発/農村開発、民間セクター開発等。
特に、日本企業の海外展開が進み中南米地域との経済関係が深まる中、民間連携分野の研修が求められています。また、日系社会の高齢化・世代交代を受け、高齢者福祉分野及び人材育成分野、日系アイデンティティ向上を目指した日本文化継承xxxも重視されています。
(6) 受入時期
原則 5 月から年7回に分けて受入。1
※全ての研修員が来日後JICA 横浜にて移住の歴史等に係る3 日間のオリエンテーション2を受講し、その後各研修実施先へ移動。
(7) 使用言語
原則日本語。ただし、研修実施機関が対応可能な場合は英語も可。集団研修
(6 人以上)でかつ 30 日以内の研修に限り、JICA の経費によりポルトガル語又はスペイン語の通訳又は研修監理員の配置も可。
※個別研修で研修監理員の配置が必要な場合は JICA 国内機関にご相談ください。
1 新型コロナウイルス感染拡大の影響により来日しての研修が困難になったことに伴い、2020年度から遠隔研修を導入。遠隔研修に係る研修委託契約については、「遠隔研修に係る研修委託 契約ガイドライン」参照。
2 2022 年度 JICA 横浜でのオリエンテーションについて、上半期来日コースは実施せず、下半期来日コースより実施の予定。
日系社会研修コースの運営・実施は、研修分野での専門的な知見・経験とリソース又はネットワークを有する外部機関に国内機関が委託して行います。実施体制は下図のとおりで、JICA が、受託者・研修監理員(配置されるコースのみ)とそれぞれ契約を締結し、3者が密接に連携しながら研修コースを運営・実施します。
(1) 研修監理員
研修監理員は日系社会研修に同行し、通訳・引率等の研修監理業務を実施します。JICAは研修監理員との委任契約により集団コース、又は定期的なモニタリング時、住民票登録手続き時などの個別コースに研修監理員を配置します。
なお、研修員の人数が多い場合には、引率等の負荷を考慮し複数の研修監理員を配置する場合があります。
研修監理員の主な業務内容は以下のとおりです。
【研修監理員業務項目】
1. JICA 担当者との確認・連絡・調整
2. メッセージシート・研修日程・旅行日程表(登録言語)の翻訳・作成
3. 研修受託機関等との連絡調整・段取り確認とそれに基づく研修詳細計画書の更新
4. 講義・実習・見学・研修旅行時の引率・同行、通訳
5. 研修員の理解促進(※講師の説明に対する研修員の理解度を把握し、理解が不十分な場合は、講師に補足説明を求める等により研修員の理解を促進する業務)
6. 研修員への各種伝達及び研修関係者間の連絡・報告・調整
7. プログラム・オリエンテーションへの参加・通訳
8. 研修員に対する諸経費(交通費・拝観料・入場料等)の支給代行
9. 教材受領・配布、機材設置(パソコン等)
10. 宿舎変更に係る JICA への連絡
11. 銀行カード・授受簿の回収代行
12. 滞在費調整に係る支払い、返納代行
13. 評価会出席・通訳(評価会要旨作成を含む)
14. 開講・閉講式への参加・通訳
15. 研修員事故・傷病・トラブル(各種ハラスメント含む)時における初動対応及び報告
(*)
16. テキストの翻訳・校閲(*)
17. 各種レポート(ジョブレポート/中間報告書・最終報告書/アクションプラン等)の回収・翻訳(*)
18. 研修用映像教材等の台本翻訳・校閲
19. 研修用映像教材等のナレーション収録・録音(外国語)
20. 各種打合せへの参加(*)
21. 質問票の配布・回収・集計・翻訳・要約(*)
22. 研修員等の送迎(*)
23. 各種イベントへの研修員の参加に係る調整・引率・通訳(*)
24. 健康診断引率・通訳(各種検査同行含む)(*)
25. 在留カードの交付に伴う住居地届出等に係る引率・通訳(*)
26. 各種手続き(査証申請・在留期間の更新)に係る引率・通訳(*)
27. 定期券購入に係る引率・通訳(*)
28. 病院同行・通訳(*)
29. ブリーフィング、ジェネラル・オリエンテーション実施場所への引率、通訳、登録言語によるブリーフィング説明代行(*)
30. アクションプランに係るワークショップにおける通訳・ モデレーター(*)
31. その他スポット通訳を要する業務(*)
(*)本業務は研修コースにおいて必ず発生するとは限らない業務です。
なお、留意点は次のとおりです。
⮚ 研修監理員の主な業務内容は上記のとおりですが、教材のコピー、講義に必要な資機材の購入等については、研修監理員の業務に含まれません。
⮚ 研修監理員の通訳業務は、研修実施言語⇔日本語の翻訳、逐語通訳です(同時通訳(ウィスパリング含む)、日本語を介さない通訳(外国語から外国語への通訳)
は含まれません)。研修実施上同時通訳等が必要な場合には、JICA 国内機関にご相談ください。
⮚ 研修監理員の業務は、講義での通訳等、高い集中力が求められるため、1日の研修プログラムが過度に長時間に及ぶことは想定していません。止むを得ず、長時間のプログラムを実施される場合は、複数名の研修監理員を配置することを検討しますので事前に JICA 国内機関にご相談ください。
⮚ 受託者が独自に行うアンケートの集計、翻訳業務は、研修監理員業務に含まれません。
研修監理員に対して、当初の予定にない配置日の業務や早朝・深夜に及ぶ業務を直接依頼することはできません。同様に突発的な翻訳・校閲作業を研修監理員に対して直接依頼することもできません。研修監理員は JICA との委任契約に基づいて業務を行っているため、そのような場合はJICA にて配置の追加を検討しますので、事前に JICA 国内機関にご相談ください。
研修監理員の通訳業務は研修実施言語⇔日本語の翻訳・逐次通訳です。
研修監理員へ研修用映像教材の作成業務を依頼する際、研修管理員への文字おこしの作業は依頼出来ません。
第2章 研修員の地位、待遇など
1.日本での法的地位
(1) 在留資格
日系社会研修員には、日本国籍を持ち、日本旅券にて渡航する研修員もいます。日本旅 券にて渡航する研修員は日本人と同じ扱いのため、特に査証を取得する必要はありません。他方、自国の旅券で渡航する研修員には、出入国管理及び難民認定法(昭和 26 年政令第
319 号)の規定に基づき、「研修」という在留資格(査証)が与えられます。当該の研修員は出発前に、我が国の在外公館で有効な旅券に査証(ビザ)を取得します。日本入国時に、在留資格と滞在期間が設定され、旅券に入国許可の証印が捺印されます。
なお、ここでいう「研修」とは「本邦の公私の機関に受け入れられて行う、技術・技能・又は知識の習得をする活動」と規定され、この法律により、研修員は収入を伴う事業を運営する活動、又は報酬を受ける活動を禁止されています。従って、研修員は謝金、謝礼、賞金等一切の報酬を現金もしくは相当するもので受け取ることはできません。
(2) 在留管理制度
在留管理制度(2012 年 7 月 9 日施行)により、自国の旅券で渡航する研修員のうち、本
邦に 3 か月を超えて滞在する中長期滞在者には入国時に在留カードが交付されます。交付された在留カードは常時携帯しなければなりません(不所持の場合、罪に問われることがあります。なお、3 か月以下の滞在の場合には、出入国管理法及び難民認定法第 23 条に従い、旅券の常時携帯義務があります)。同制度に従い、在留カードが交付された研修員は、住居地を定めてから 14 日以内に、在留カードを持参の上、住居地の市区町村の窓口でその住居地を届け出る必要があります。届出手続などは以下の表のとおりです。
【在留届出手続き等】
住居地届出 | |
条件 | 在留カードを交付され、日本に 3 月を超えて滞在する外国人の義務 |
届出先 | 市区町村役所 |
提出期限 | 住居地の決定又は変更から 14 日以内 |
申請者 | 本人 |
必要書類 | パスポート、在留カード |
申請料 | なし |
住所変更 | (転出)⇒在留カードとパスポートを持参して転出地の市区町村役所に申請し、転出証明書を受領 (転入)⇒在留カード、パスポートと転出証明書を持参して転入地の 市区町村役所に申請 |
JICA が研修員に支給する手当は、渡航費、交通費、宿泊費、生活費、空港使用料、研修旅費、通勤手当、支度料及び資料送付料等です。
JICA では、下記内容にて、研修員に対する海外旅行保険に加入しています。その概要は以下のとおりです。
(1) 補償内容
本保険による補償内容は、下表のとおりです。治療・救援費用保険金には、重体に陥ったときの移送費、死亡時の親族の来日に要する経費などが含まれています。必要なときには JICA 国内機関にご照会ください。
担保種目 | 保険金額 | |
傷害死亡・後遺障害 | 500 万円 | |
疾病死亡 | 500 万円 | |
治療・救援費用保険金 | 3,000 万円(上限) | |
傷害治療費用 | ||
疾病治療費用 | ||
救援者費用等 | ||
携行品損害 | 10 万円(上限) | |
賠償責任 | 1 億円(上限) |
(2) メディカルカードについて
研修員が本邦滞在中、傷病により医療機関で診療を受けた場合、その費用は上述の保険で賄われ、原則として本人は負担する必要がありません(適用除外については(3)参照)。来日時のブリーフィングにおいて、研修員全員に JICA が発行する「メディカルカード」 を手渡し、医療機関を受診する場合、このメディカルカードを提示して受診するように研修員に対して説明しています。メディカルカードは、保険会社に診療費を直接請求するように医療機関に依頼する文書であり、医療機関がメディカルカードの使用を受け付けた場合は、研修員は窓口で診療費を支払う必要はありません(メディカルカードには診療費の
請求方法や請求先詳細が記載されています)。
なお、受診する医療機関によっては、メディカルカードを受け付けない場合があります。その場合は、研修員が診療費を立て替え、後に領収書を添えて保険会社に請求することに
なります。
(3) 適用除外
メディカルカードでは、次のような内容の診療については補償の対象とならず、費用は本人負担となります。
a) 故意又は重大な過失によるケガ、病気 b) 来日前からの傷病の診療(既往症)
c) 妊娠又は分娩にかかる医療処置及びこれに起因する疾病の診療 d) 緊急な診療を要しない歯科疾病の療養
e) 美容を目的とした整形及び歯の矯正 f) 眼鏡の購入
上記のとおり、来日前に発症が確認されていた既往症や、本邦到着前に急に発症した場合については補償の対象外となります。ただし、治療の必要性・緊急性に応じ、JICA 国内機関にご報告、ご相談の上、研修員にはメディカルカードで治療を受けてもらい、保険会社から別途JICA に請求がなされる形で、必要な治療を受けることができます。原則として、その後、JICA は研修員に対して治療費の支払いを求めることになります。
(4) その他の補償
前述の海外旅行保険では、医療費、死亡時の保障の他に、研修員が誤って他人に損害(ケガをさせたり、物を壊したり)を与えた場合の損害賠償が補償されます。ただし、研修実 xxに発生した損害(例えば、実習用機器の破損等)は補償の対象外となります。万が一、そのような損害が発生した場合は、JICA 国内機関にご相談ください。
第 3 章 研修委託契約とは
1.研修委託契約の概要
日系社会研修は研修実施を希望する団体を JICA が公募して、これを採択し、研修員を選考して各コースの提案団体/研修実施機関(以下、受託者という。原則として提案団体が受託者となりますが、提案団体が自治体及び関連団体の場合は別の機関が研修を実施することができます。)に委託をして実施するものです。
この際、所管の JICA 国内機関と受託者との間で「研修委託契約」を締結します。研修委託契約の概要は以下のとおりです。
(1) 契約金額の積算方式
研修委託契約金額の積算方法は、研修実施経積上方式、研修実施基準単価方式、大学研修料方式の 3 種類があります。いずれの方式により契約するかは JICA 国内機関と受託者との間で協議の上、決定します。
◆ 研修実施経費積上方式(以下「積上方式」という)
JICA が定める基準に基づいて、講義等の謝金、研修旅、資材 、業務人件等を概算で積算して契約金額とする契約方式で、研修実施後に経精算報告が必要となります。原則、集団コースのみが対象となります。
◆ 研修実施基準単価方式(以下「基準単価方式」という)
研修員の人数に関わらず、研修1件ごとの「日額単価」に技術研修期間(日数)を乗じて契約金額とする方式で、この場合、研修実施経 の積算及び研修実施後の精算手続きを大幅に簡略化することができます。
◆ 大学研修料方式
国立大学法人法(平成 15 年法律第 112 号)第 2 条に定める国立大学法人又は大
学共同利用機関法人、地方独立行政法人法(平成 15 年法律第 118 号)第 68 条第
1 項に定める公立大学法人又は地方公共団体が設置している大学、私立学校法(昭
和 24 年法律第 270 号)第 3 条に定める学校法人もしくは研究機関(以下「学校法人等」という。)が受託者の場合にご利用いただく方式で、当該学校法人等が指定する研修料を支払うことができます。②「基準単価方式」同様、研修実施後の精算手続きは大幅に簡略化できます。また、研修旅行に係る経 についても②「基準単価方式」と同じです。
*1:技術研修経 実施基準(平成 16 年 4 月 1 日細則(国内)第 7 号) xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxxx/xxx/xxxxx/xxxxx000000000.xxx 経
の 目構成、各方式における単価、また、見積書作成における留意事項などについては、「研修委託契約における見積書作成マニュアル」をご参照ください。
(2) 研修委託契約書の構成
∙ 契約書
∙ 契約約款
∙ 附属書Ⅰ「業務実施要領」
∙ 附属書Ⅰ別紙
・研修実施計画書
・研修日程表
∙ 附属書Ⅱ「経費内訳書」
・経費内訳書別紙
・業務従事者配置計画表(※積上方式のみ)
・資材・教材リスト(※積上方式のみ、JICA 指定の見積書様式を用いる場合は、資材・教材リストが見積書に含まれるため不要)
研修委託契約は、当該研修コースを所管する JICA 国内機関長と受託者の代表者との間で締結されます。研修委託契約書の構成は、以下のとおりです。
いずれの方式においても事業予算上の上限額があるため、研修の詳細内容を伺ったうえで、査定により減額をお願いすることがありますので、予めご了承願います。
(3) 契約の履行期間
履行期間とは、契約を交わした両者が合意のうえで、契約に基づいて約束事を実行する期間、履行開始日から終了日までの期間を言います。研修委託契約では、技術研修期間(※)に事前準備及び事後整理期間として、それぞれ1か月以内の期間を加えた期間を目安とします。また、1か月以内に業務を遂行することができない(経 支払い処理の都合等)と判断される場合は、1か月を超える期間を設定することができます。ただし、年度末については履行期限を3月下旬までとする必要があります(複数年度契約を除く)。いずれの場合も、事前に JICA 国内機関と協議の上、履行期間の設定をしてください。
なお、履行期間開始前及び精算報告書の提出日以降に受託者が支出した場合は、経費と して認められませんので、履行期間は支払時期を十分考慮して設定してください。
※ 「技術研修期間」とは、受入期間(研修員の来日日から離日日まで)から到着後のブ リーフィングなどの期間及び閉講式以降の滞在期間を除いた期間です。
なお、評価会と閉講式は同日に開催される場合が多く、その場合は閉講式も技術研修 期間に含まれます。
(4) 個人情報等ついて
受託に際して、JICA より入手した秘密情報及び個人情報については、研修委託契約約款第 26 条及び第 27 条に基づき、委託業務終了時に、当該媒体を返却し、又はこれに含まれる情報を復元できないよう消去もしくは当該媒体を破壊した上で廃棄したことを情報廃棄報告書にて報告していただきます(業務完了報告書と共に提出する業務提出物になります。業務完了報告書、業務提出物については「研修委託契約における経 精算報告書作成マニュアル」参照)。ただし、契約履行期期間終了後、研修員からの質問・相談に対応するために必要な個人情報を引き続き保持する申し出をしていただくことは可能です。
XXXX 個人情報保護に関する実施細則:
(参照:xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxxx/xxx/xxxxx/xxxxx000000000.xxx )
研修員は来日すると、通常、研修員の身分や待遇等に係るブリーフィング、日本の政治・経済等に係る講義や日程・目的等に係るオリエンテーションを受講します。これに加え、2日間の日本語研修が実施されます。これらのブログラムが終わった後、各研修テーマについての研修が開始されます。ブリーフィング、オリエンテーション、日本語研修以降を「技術研修」と呼び、技術研修の開始から終了(通常評価会の日)までを「技術研修期間」と呼びます。技術研修を JICA 国内機関が受託者に委託して実施する場合、JICA 国内機関と受託者との間で契約(以下「研修委託契約」という)を締結します。
研修委託契約書に基づいて、本邦研修で受託者に行っていただく業務内容は次のとおりです。
なお、業務内容は研修コースにより異なる場合がありますので、各国内機関と契約時に
確認してください。
1. 研修日程調整及び日程案の作成
2. 講師・見学先・実習先の選定
3. 講義依頼、講師派遣等依頼及び教材作成依頼文書の作成・発信
4. 教材の複製や翻訳についての適法利用の確認
5. 講師・見学先への連絡・確認
6. JICA、省庁、他関係先等との調整・確認
7. 講義室・会場等の手配
8. 使用資機材の手配(講義当日の諸準備含む)
9. テキストの選定と準備(翻訳・印刷業務含む)
10. 講師への参考資料(テキスト等)の送付
11. 講師からの原稿等の取付け、配付等の調整、教材利用許諾範囲の確認及び JICA への報告
12. 講師・見学先への手配結果の報告
13. 研修監理員または通訳との連絡調整
14. プログラム・オリエンテーションの実施
15. 研修員の技術レベルの把握
16. 研修員作成の技術レポート等の評価
17. 研修員からの技術的質問への回答
18. 研修旅行計画書の作成・発信
19. 研修旅行同行依頼文書の作成・発信
20. 評価会、技術討論会(各種レポート発表会含む)の準備、出席
21. 閉講式実施補佐
22. 講義・見学謝金支払い、明細書送付を含む諸経支払い手続き
23. 業務完了報告書作成、経 精算報告書作成
24. 関係機関への礼状の準備・発信、資材資料返却
受託者の業務は前述のとおりですが、研修受託の検討にあたり、計画策定・実施段階において、特にご留意いただきたい点は以下のとおりです。これ以外にも、個々の研修コース内容に応じ、JICA 国内機関担当者より留意点を付加させていただく場合がありますので、ご了承願います。
(1) 研修の計画に関すること(研修の計画に関する基本的なお願い)
日系社会研修事業は、わが国の地方自治体(各都道府県及び市区町村)、大学、公益法人、NGO、企業等の団体による日系社会研修員の受入にかかる提案を受け、JICA が、これらの団体に日系社会研修員受入の実施を委託して行う国民参加型事業です。したがって、提案の時点で、案件の目標や目標達成のために必要な単元の構成などの基本的な枠組みを提案していただきます。そうした枠組みの範囲内で講義、視察、実習、演習などの具体的な研修項目を検討の上、講師や視察先等と調整いただき、日程を含む詳細な日程などの計画を受託者にて作成いただきます。その際には先ず、案件目標の達成状況を確認するための指標や、案件目標を達成するステップとしての単元目標を設定し、その上で必要な研修項目を検討してください。
なお、事前に JICA を通じて講義・訪問等の依頼を行う必要のある機関や研修依頼の 窓口部署が定められている機関(特に省庁関連)もあることから、日程策定にあたって
は、JICA に確認した上で、先方への打診等必要な手続きに移ることとしてください。
(2) 研修の実施に関すること
1) 研修目的や成果の達成状況及び課題の確認の重要性
計画した研修を実施する段階では、研修員の理解度を把握し、目標達成に向け導いていただくことが大変重要となります。このためには、研修開始当初に目標を確認することや、中間段階の節目で達成状況を確認することをできるだけ行ってください。
また、研修員と講師・視察先は、互いの状況について予備知識を持ち合わせていないことが少なくありません。こうした場合には、両者の間に入り、研修員に対しては各講義・視察の狙いや単元目標との関連を説明するなどし、講師や視察先に対しては研修員側のニーズや疑問点を伝えるようにすることで、研修の効果は大きく高まります。
2) 研修監理員との業務内容の調整・確認
研修監理員を配置した場合は、研修員の引率や通訳、現場における補助業務等を行います。このため、研修員を引率する場所や集合時間、講義や実習の際に必要な業務等につき、常に研修監理員との間で調整・確認する必要があります。担当する研修監理員が決まり次第、JICA 国内機関より、研修監理員の氏名及び連絡先をお知らせしますので、受託者や協力機関から必要に応じて研修監理員にご連絡ください。また、研修監理員が講義や視察で通訳を行う場合は、内容に即した的確な通訳を行うことができるよう、事前に資料(翻訳前原稿を含む)の提供をお願いします。
(3) 講師(実習指導者を含む)の確保に関すること
受託者は必要に応じ協力機関と協議の上、当該研修に適した講師を選定し、講義を依頼願います。上述3(1)のとおり、講義依頼にあたっては、事前に JICA を通じて調整が必要となる場合もありますので、必ず依頼前に JICA とこの点を確認するようお願いします。
(4) 講義(実習指導を含む)の実施に関すること 1) 講義場所(実習室)の確保
JICA 国内機関内のセミナールームを利用して講義・実習することが可能です。各セミ
ナールームでは、パソコン、プロジェクター等(各国内機関により準備・設置可能な機材が異なります)の準備・設置も可能です。
ただし、JICA のセミナールーム利用にあたっては、USB メモリの使用制限等のルールもありますので、セミナールームや機材の使用を希望される場合は、事前に JICA 国内機関にご相談ください。
2) 教材の準備、翻訳・印刷
教材の準備にあたっては、受託者にて、教材の選定・要不要、妥当性についての確認を行い、講義・実習に最低限必要な分量に絞り込むようお願いします(テキストの分量目安は、「研修委託契約における見積書作成マニュアル」の原稿謝金の項目も参照願います)。
(5) 研修教材の著作権処理に関すること
1) 講師等への研修依頼と利用許諾内容の確認
講師等が作成した研修教材について、その利用許諾内容を確認していただきます(当該講義のみでの利用、研修員帰国後の所属機関内等での利用、必要に応じて JICA 他事業での利用など)。
2) 講師等による教材作成時のコピーや翻訳についての適法利用確認
研修教材作成時の注意事項について、講師への説明をお願いします。例えば、教材の中で、引用の範囲を超えて第三者が著作権を有する著作物を転載、あるいはその現物を使用する際には、講師等が第三者に対して、利用目的と利用条件(範囲)に基づいて利用許諾を得る必要があることを、原稿依頼時に説明していただきます。
3) 教材ごとの著作権処理に係るJICA への報告
ご確認いただいた教材ごとの利用条件を一覧にまとめ、業務提出物として研修教材一式と共に JICA に提出していただきます。講師等から取付けた利用許諾書(原本)及び第三者著作物の利用がある場合は、その原著作者からの利用許諾書原本は受託者にて保管していただきます。(保管年限は契約約款に定める。)原本の JICA への提出は不要です。
なお、著作xxの観点からすると、使用する全ての教材に対して確認処理を行うことが望ましいですが、運用上は JICA 負担により翻訳した教材及び原稿謝金を支払う教材を確認対象とします。また、一度取付けた許諾書は、継続して採択された場合、同一講義内容である限り 3 年間までは再取り付け不要です。
著作権処理に関する詳細、各種様式については、「研修事業における著作権ガイドライン」を参照願います。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxxxxxx.xxxx
(6) 関連施設視察(研修旅行を含む)の実施に関すること 1) 視察用教材の事前確認・準備
講義と同様、見学用教材(説明事項のレジュメ等)についても、視察先とも調整の上、
事前にご確認(教材の選定、要不要、参考資料の妥当性についての確認を含む。)・ご準
備いただくようお願いします。
2) 視察先への同行
当日の視察先との連絡調整や、研修効果を適切に把握するために、受託者も同行するようお願いします。
(7) 評価会及び閉講式
通常、技術研修期間の最終日に、評価会を行います。また、評価会と同日に閉講式を行うことが一般的です。評価会及び閉講式は JICA 主催で実施しますが、受託者も出席し、また、準備や実施にあたっての補佐も行っていただきます。
(8) 遠隔研修
遠隔研修においても、研修委託契約や同契約における見積・契約管理・精算等は、原則
「研修員受入事業及び研修委託契約の概要」「研修委託契約における見積書作成マニュアル」「研修委託契約における契約管理ガイドライン」「研修委託契約における経 精算報告書作成マニュアル」に沿った対応となりますが、運用の目安について「遠隔研修に係る研修委託契約ガイドライン」にて説明していますのでご確認ください。
■遠隔研修における研修委託契約ガイドライン: xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxxxx/xxxxxxx/xx_xxxxx/xxxxxxxxx.xxxx