1.基本情報 (1)案件名 農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援 (2 年次) (2)事業地 カンボジア王国 (3)贈与契約締結日及び事業期間 ・贈与契約締結日:2019年11月29日・事業期間:2019年11月29日~2020年11月28日 (4)供与限度額及び実績(返還額) ・供与限度額: 米貨 439,261 ドル・総支出:423,458.76 ドル(返還額:15,802.24 ドル,利息 145.65ドル含む。) (5)団体名・連絡先,事業担当者名 (ア) 団体名:...
(様式4)
日本NGO連携無償資金協力 完了報告書
1.基本情報 | |
(1)案件名 | 農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援 (2 年次) |
(2)事業地 | カンボジア王国 |
(3)贈与契約締結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2019年11月29日 ・事業期間:2019年11月29日~2020年11月28日 |
(4)供与限度額 及び実績(返還額) | ・供与限度額: 米貨 439,261 ドル ・総支出:423,458.76 ドル(返還額:15,802.24 ドル,利息 145.65 ドル含む。) |
(5)団体名・連絡先,事業担当者名 | (ア) 団体名: 認定 NPO 法人 IVY 【法人番号: 4-3900-0500-1075】事業担当者変更なし。 |
(6)事業変更の有無 | 事業変更承認の有無:有 (ア) 報告日:2020年5月27日 内容:モデル農園対象地域の変更 (イ) 報告日:2020年6月19日 内容:新型コロナウイルス感染拡大に伴う海外渡航を含む活動の中止 事業変更報告の有無:有 (ウ) 報告日:2020年2月25日 内容:乾燥場、倉庫の独立した配置構成 (エ) 報告日:2020年5月7日 内容:プロジェクトコーディネーターの交代、ICS マネジャーの採用 (オ) 報告日:2020年10月7日 内容:プロジェクトコーディネーター、ICS コーディネーターの交代 (カ) 報告日:2020年10月29日 内容:駐在員の帰国時の COVID-19 対策措置による経費の発生と本部事業統括のカンボジア渡航中止 |
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2.事業の概要と成果 | |
(1)プロジェクト目標の達成度 | プロジェクト目標 プレアビヒア州の 6 農協において新たに有機カシューナッツの栽培が奨励され、1、2 年次合わせて 11 農協がカシューナッツの共同出荷を継続、またはその準備を整える。 達成度 1 年次対象 4 農協の 306 名の有機認証が更新され、契約を結んだバイヤーに 80 トンが出荷された。また 2 年次対象 6 農協において有機カ シューナッツの栽培が奨励され、6 農協の計 165 名の生産者の耕地でのカシューナッツ畑とそこから集荷された乾燥殻付きカシューナッツに欧州と米国の有機認定がおりた。この際 1 年次対象農協も再度監査を受け、220 名が更新された。また計 10 農協に JAS 有機の認証もおり、次のシーズンに向けて日本への輸出への可能性を開くことができた。 |
(2)事業内容 | 2 年次: 1 年次有機認証取得、2 年次更新対象 4 農協:クーレン郡Tbaeng Pi 農協 ロヴィアン郡Rohas 農協、Rung Roeng 農協、Kasekor 農協 新規認証対象 6 農協: チョンクサー郡Choam Ksant 農協、 Toek Kraham 農協、 Romdoh Srae 農協、Kantuot 農協 チェイセン郡Putrea 農協、Chrach 農協 1. カシューナッツ有機栽培の技術指導を行う。 1.1. 有機栽培の技術研修を行う(モデル農家訪問含む)。 1.1.1. 混植、混作等の技術研修をモデル農家で行う。 新規認証対象 6 農協の 346 名の農家が参加した。 1.1.2. 剪定と果樹管理、肥料やり、堆肥づくり技術研修を行う。新規認証対象 6 農協の 380 名の農家が参加した。 1.1.3. 技術研修効果の調査を行う。 36 名を対象に技術研修効果の調査を行った。 1.2. 混植・混作のための苗木支援 1.2.1. 1 年次に建設した苗床で混植用の苗木を育成する。(xxx、ロンガン、ニームそれぞれ 1350 本前後) 混植用の苗木を計 4,346 本育成した。 1.2.2. 4050 本の苗木を新規購入し、上記の苗木と合わせて圃場拡大農家に配布する。 4050 本の苗木を新規購入し、上記の苗木と合わせて 284 名 の圃場拡大農家に配布した。 1.3. 外部講師による有機栽培モデル農家育成指導、及び 1 年次対象郡のモデル農家視察 1.3.1. モデル農家候補者を選び、コンポントム州の先進農家によ る集中技術研修を行う。 |
13 名のモデル農家及び候補者が、集中技術研修に参加し た。 1.3.2. 6 農協の農協ごとに選ばれたモデル農家の圃場にモデル農園を設立する。 4 つの郡の 6 農家の圃場にモデル農園を設立し、試験栽培 を行った。 1.3.3. アグロフォレストリーに基づく農園デザインの研修を行う。農園デザインの研修を行いモデル農家 10 名が参加した。 1.3.4. 耕地拡大農家が 1 年次対象農協のモデル農家を訪問し、農園を視察する。 136 名の耕地拡大農家が 1 年次対象農協のモデル農家を 訪問し、農園を視察した。 1.4. 生産者対象収穫後取り扱い研修 収穫後取り扱い研修を実施し 200 名の登録農家が参加した。 1.5. 小型xxxを供与し、農協リーダーと貸し出しの規則を決める。 (6 農協対象、計 12 機) 6 農協ごとにリーダーに集まってもらい、貸し出しの規則を決め、 各 2 台の供与を行った。 2. 生産行程管理を構築し、有機認定の取得を支援する。 2.1. 新規登録希望農家に有機基準の研修を行う。登録希望者の内 366 名が研修に参加した。 2.2. 農協リーダーを招集し、登録者の中から農場査定員 15 名を選出、及び生産行程管理担当者 2 名を一般公募する。 農場査定員 15 名が選出された。生産行程管理担当者を公募し、 1 名を採用。農協のコスト削減のために合計 2 名で 4 郡を担当す ることになった。 2.3. 農場査定員、及び生産行程管理担当者に対して記録管理の研修を行う。 2.3.1. 農場査定員に生産行程管理の研修を行う。 15 名の査定員に 3 日間の研修を実施した。 2.3.2. 生産行程管理担当者に対して記録管理の研修を行う。 生産行程管理担当者 2 名(農協が 2 名を雇用できなかった ため 4 名から減員)に実施済 2.3.3. 生産行程管理担当者にパソコンを供与し、パソコン講座(30日)を受講してもらう。 新しく採用した生産行程管理担当者1名が受講した。 2.4. 生産行程管理ソフトウェアによる記録管理を生産工程管理担当者に指導し、有機認定登録者リストと管理記録を作成する。 2.4.1. 生産者グループの生産行程管理ソフトウェアを使用し、登録者の管理記録を作成する。 データ収集アプリを使用し、農場査定の記録をスマートフォ ンで入力できるシステムを構築し、一部の農協で査定への利用が開始された。 2.4.2. 登録者の圃場情報を収集し、認定登録者リストと管理記録を作成する。 |
2 年次更新対象農協、新規認証対象それぞれ必要情報を準備し、有機認定機関に提示した。 2.4.3. 生産行程管理担当者に生産行程管理ソフトウェアへの管理記録情報の入力を指導する。 2 年次更新対象農協の農場査定員へデータ集計アプリへの 入力を指導した。 2.5. 生産行程管理ガイドラインを校正し、第二稿を作成する。生産行程管理ガイドラインを更新し、第二稿を作成した。 2.6. 生産行程管理者が行う有機認定の必要書類の作成、査定、及び監査機関からの改善要請対応をサポートする。 2.6.1. 生産行程管理の文書管理を指導する。 各農協にバインダーを支給し、必要な書類が一つにまとめ て保管されるよう指導した。 2.6.2. 国際認定監査の訪問のロジ関係を支援し、監査に同行する。 認証申請の窓口となり、計 8 日間の監査のロジの調整を行 った。認証監査は 4 月と 11 月に行われた。 2.7. 有機認定専門家から管理体制の評価を受ける。(計 20 日) 2.7.1. 監査前に更新した生産行程管理ガイドラインを、1 年次及び 2 年次対象農協リーダーと共有する。 1、2 年次対象農協の農協リーダー28 名が参加し、生産行程 管理のふりかえりワークショップを開催した。更新したガイドラインを 100 部印刷し、農協リーダーに配布した。 2.7.2. 出荷後専門家指導のもと内部管理手引きを確定し、1 年次及び 2 年次の農場査定員と共有する。 1 年次及び 2 年次対象農協の農場査定員 22 名が参加し、 生産行程管理のふりかえりを行い、内部管理手引きを確認した。 2.7.3. 専門家監修のもと収穫後取り扱い管理手引きを確定し、1 年次及び 2 年次対象農協リーダーと共有する。 収穫後取り扱い管理のワークショップに農協リーダー57 名 が参加し、収穫後取り扱い管理方法を確認した。 有機認証専門家から、違反の疑いのあるケースの見つけ 方、また見つかったケースへの指導方法、監査報告への対応や内部管理手引きの更新に関する指導を受けた。 2.8. 生産工程管理担当者、農協リーダーを対象に収穫後の工程管理、及び記録管理の指導を行う。 行程・記録管理の研修を行い新規認証対象農協リーダー25 名が 参加した。記録様式の変更があったため、1 年次認証対象農協においても農協リーダー対象に記録管理の指導、及びモニタリングを行った。 2.9. ゾーンごとに集荷用倉庫各1棟、合計 2 棟を建設し、農協による集荷時の品質管理をモニタリングする。 倉庫を Romdoh Srae 農協、Chrae 農協に、乾燥場を Choam Ksant 農協、Reaksmey 農協に建設した。 |
2.9.1. 同じゾーン内の農協間で、倉庫建設をする農協の選択への同意を取る。(農協リーダー48 名、1 回) 3.2.1「農協リーダーを召集し、郡ごとに出荷ゾーンを形成し、 運営委員を選出する」と同時に実施した。 2.9.2. 倉庫供与の同意書を農協と交わす署名式を開催する。 倉庫、乾燥場それぞれを授与した 4 農協で署名式を開催し た。 3. 契約栽培の契約締結、及び共同出荷を支援する。 3.1. 事業、及び契約栽培を説明する説明会を行う。 3.1.1. 各農協にて説明会を行い、関心がある農家の登録を呼びかける。 新規認証対象 6 農協において実施。計 449 名の参加があ った。1 年次対象の農協から経験談を説明してもらった。 3.1.2. 農協リーダーと相談し、生産者グループを形成する。実施済 3.1.3. 登録生産者の圃場の情報に関する調査を行う。実施済 3.2. ゾーンごとの組織体制、出荷体制を構築し、共同出荷の運営管理能力を強化する。 3.2.1. 農協リーダーを召集し、郡ごとに出荷ゾーンを形成し、運営委員を選出する。 実施済 3.2.2. 各農協の会計 1 名にパソコン教室でパソコンの基本動作を学んでもらう。 実施済 3.2.3. 上記会計担当者及び農協リーダー1 名にパソコンを使った事業の財務管理を指導する。 新規認証対象 6 農協、認証更新対象 4 農協それぞれで実 施した。 3.2.4. 農協リーダーにカシューナッツ共同出荷の収支計画作成をコーチングする。 新規認証対象 6 農協、認証更新対象 4 農協それぞれで実 施した。 3.2.5. 農協リーダーに選別、乾燥、品質管理を指導。 2.8 と同日に開催し、新規認証対象 6 農協 25 名が参加し た。 3.3. 契約内容の原案を作成し、交渉を支援する。 3.3.1. ゾーンの運営委員がタイの農協及びその生産者を訪問し、農協が運営しているカシューナッツ加工工場を視察する。 (COVID-19 の影響により中止) 3.3.2. ゾーンの運営委員を招集し、バイヤーの選択、提案する条件について話し合う。 実施済。 3.3.3. ゾーン運営委員とバイヤー候補の間の契約条件に関する話し合いを取り持つ。 実施済。 3.3.4. 農協代表を招き契約署名式を行う。実施済。 3.3.5. カシューナッツのサンプルテストを行う。 |
各農協から集めたサンプルの実を割って、産出高率を計 算、乾燥の方法等様々なサンプルテストを行った。 3.4. 共同出荷が契約に沿って実施されているかモニタリングする。出荷時のモニタリング、及び値段の確認や支払い状況の確認を 行った。 3.5. 出荷後ゾーンの運営委員間でふりかえりを行う。 ふりかえりのワークショップを行い農協リーダー20 名が参加し た。 3.6. 農協リーダーがバイヤーの等級検査に立ち会う。 加工工場におけるバイヤーの等級検査は農協の立ち合いなしに 実施されたため、加工工場に依頼し、品質基準について工場の担当者から農協リーダーが直接指導を受けた。 4. 農協の共同事業のマネージメントを強化する。(事業後半実施予定) 4.1. 契約栽培の基本原則を学ぶ研修を行う。 新規認証対象 6 農協のリーダー35 名が研修に参加した。 4.2. 農協運営の基本原則を学ぶ研修を行う。 4.2.1. 農協運営の基本原則の座学研修を行う。 新規認証対象 6 農協のリーダー30 名が研修に参加した。 4.2.2. 隣州のカシューナッツ加工業を営む農協を視察し、農協ビジネスの先進事例を学ぶ。 8 名の農協リーダーが参加し、ドイツの支援で有機カシュー 共同販売を行う農協と情報交換を行い、またコンポントム州の加工工場を視察した。 4.3. ゾーンの代表者が東南アジア有機農産物物産展にカシューナッツを出展する。( COVID-19 の影響により中止) | |
(3)達成された成果 | 2 年次 1. 契約栽培農家のカシューナッツの有機栽培技術が向上する。 【指標】研修に参加した農家がこれまで行っていなかった技法(接木、剪定、根覆い、水源保全、苗木育成、煙防除、混植、混栽、カバークロップ等)を一つ以上取り入れる。 【成果】研修に参加した農家を調査した結果、そのうち 97%がなんらかの技法を新しく取り入れる、もしくは一度は実施していた。特にボルドー液(殺菌剤)は農家にとって全く新しい技法だった。。 【指標】苗木を受け取った 150 名前後の全ての農家がxxx型・複雑系のカシューナッツ農園づくりを開始する。 【成果】混植・混作用苗木を 284 名の農家に配布し、xxx型・複雑系の農園づくりが開始された。また慣行農地との間のバッファーゾーンから収穫されたカシューナッツは有機とはされないため、苗木をバッファーゾーンに植林することを奨励した。 【指標】前年次のモデル農家全員が、新たに導入した栽培技術を、継続していることが当団体によって確認される。 【成果】モデル農家において液肥の散布が収量増加につながるなどの |
効果が確認され、自然農薬散布、水源保全、剪定等の技術も根付いている様子が確認された。また、1 名のモデル農家は研修で学んだ接木苗の育成に興味を持ち、自ら接木苗を育成し、自家用もしくは販売用に供している。また圃場においては、取木を行うなど多くの技術を実践している。 2. 有機基準に沿ったカシューナッツ栽培の生産行程管理のシステム、及び品質管理システムがより強化され、新規 6 農協のメンバーの約 2割の 360 名前後が有機認証のための準備が整い、内 4 割の 140 名前後の生産者の有機認証が農協を通して取得される。 【指標】生産行程管理担当者 2 名と農場査定員 15 名が生産行程管理の記録、及び内部査定の記録をマニュアルに沿ってつける。 【成果】書類準備の点では改善の余地が多大にあったが、離職率の高い生産行程管理担当者から農協リーダーに一部業務を移行する、農場査定の記録をスマートフォンで入力できるシステムを構築し紙の査定報告が届くのを待つことなく即日査定内容を確認するなど、様々な試行を通して改善がみられるようになってきた。 【指標】認証団体の査定報告による改善要請項目が前年次より減り、是正処置が全てなされたと確認され、申請した全ての農協の認定が、申請登録者を外すことなくおりる。 【成果】4 月の 4 農協を対象とした認証監査では 4 農協全てに EU、米国向け有機認証がおりた。ただし査定における改善要請項目は前年次より増えて 14 項目が不適合とされ、結果 8 名の農家を除名、もしくは登録の一時停止とした。11 月に農協が申請者となって新規に申請した認証監査では、新規 6 農協を含む 10 農協全てに EU、米国向け、及び JASの有機認証がおりた。改善項目は 4 つと減少し、登録者数は 385 名となった。 【指標】集荷用倉庫及び加工施設における有機基準に沿った選定、保管、加工、取り扱いといった品質管理マニュアルに認証監査や有機認定専門家からの指摘があった部分について改善点が加筆され、マニュアルに沿った業務の実施が確認される。 【成果】認証監査では大きな違反はなく、ほぼマニュアルに沿って行われた。保管時の作業手順について認証監査の際に指摘があり、有機認定専門家の助言ともとにxxxxxが更新された。 3. 契約栽培の同意が取り付けられ、出荷が契約通りに行われる。 【指標】一般市場の慣行農業の作物の価格(仲買人の買取価格)と比較して 15%以上高いプレミアム価格で買い取ることが契約に盛り込まれる。 【成果】契約に 2 段階の等級が設定され、15%と 10%のプレミアム価格が盛り込まれた。また出荷されたカシューナッツの 8 割が 15%の等級だった。 【指標】契約に農家側の意志が反映され、両者が責任を持って契約内容を執行する。 【成果】農協側は契約内容をよく理解しており、契約の重要さを理解した 上で仕様に従い出荷を行った。一方バイヤー側は正式な説明がないま |
ま支払いが5 カ月遅れになるなどし、当団体からも頻繁に支払いを求めたが、迅速な契約執行とはならなかった。 4. 農協リーダーが農協の理念、目標、戦略をしっかりと持ち、有機農産物市場について学び、企業にとって農協が対等なビジネスパートナーになる。 【指標】基本原則の研修において、48 名の農協リーダーが農協の組織的特徴や基本原則を理解していることが、事業計画案の評価によって確認される。(研修実施時に確認) 【成果】研修において、研修講師から参加者が皆農協の 7 つの概念についてよく理解し、コミュニティー開発に対するコミットメントや参加者のコミュニティーに対する思いが共用されたと報告された。 【指標】農協リーダーが契約栽培のしくみについて理解を深め、次回の契約交渉に向けて建設的な提案を計画していることが事業のふりかえりにおいて確認される。(ふりかえり時に確認) 【成果】農協リーダーにはバイヤーとの関係について不満があっても冷静に判断しようとする姿勢が見られ、また自己資金を投入してでも農協自身が有機認証事業者になることを決断するなど、契約栽培を長期的なビジネスの視点を持って建設的な行動を起こし、計画するようになっていることがふりかえりや研修時に確認された。 | |
(4)持続発展性 | (1) 現在は前事業の有機米の販売先でもあった現地のバイヤーが 3 年連続して契約農業を継続する意思を示しており、長期的に関係を継続できる見込みが高い。他に 2 社と来シーズンについての契約について話を進めており、また 2022 年からの購入に興味を示している業者が 2 社あり、共同販売は継続されていくと見られる。 (2) 有機農産物の市場は健康志向の高まりで先進国やアジアで市場が成長している。また日本の農林水産省が推進するフードバリューチェーンの支援により、有機カシューナッツの日本国内の市場調査の報告も受けており、今後日本へ輸出される可能性が高い。 (3) 有機農業は農業生産に由来する環境への負荷を低減することから、最近の気候変動に対する問題意識の高まりもあり、世界的にますます注目を浴びており、今後も継続的な需要が見込まれる。 (4) 2018 年にプレアビヒア州に巨大カシューナッツ加工工場が建設され、ここから加工、輸出が開始された。近年カンボジア国内におけるカシューナッツの加工施設の必要性が高まり、日系企業の支援する近代的な加工施設も昨年末に隣州に開設され、海外への輸出を視野に入れたカシューナッツ共同販売の拡大が予想される。 (5) 契約栽培の覚書には、証人として州農業局の局長に署名をしてもらった。事業終了後も、問題が起こった場合の相談先として期待できる。 (6) 生産工程管理をプレアビヒア州農協連合(PMUAC)と引き続き協力して行っていくことで、事業が終了しても生産行程が引き継がれていく体制が整い始めた。 (7) 人道支援目的のために無料で使用できるデータ集計アプリによる農 場査定を一部開始し、生産行程管理のコストを抑え、効率化を進める |
可能性が開かれた。 (8) 倉庫、及び乾燥場建設は費用の 3 割を農協が自己負担し、農協がオーナーシップを持って管理している。 (9) 財務運営指導により、農協リーダーが収支計画、報告の作成、出入 金、集荷・出荷の管理を、当団体のスタッフの手を借りながらではあるが、エクセルを使って行うようになった。運営の透明性が増しただけでなく、必要な情報を読み取り、綿密な計画、分析をすることで事業運営スキルがついてきており、またトレーサビリティへの理解も深まってき ている。 |
3.その他 | |
(1)固定資産譲渡先 | 建設された 2 棟の倉庫と 2 か所の乾燥場は、開所式にて合意書をもって農協に譲渡された。 |
(2)特記事項 |
完了報告書記載日:2020年2月22日
団体代表者名: 代表理事 枝松 直樹 (印)