Contract
(xxxx年十二月十六日交付 条約第十七号)
核兵器の不拡散に関する条約第三 条1及び4の規定の実施に関する日本国
政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書
日本国政府及び国際原子力機関(以下「機関」という。)は、1977年12月2日に効力を生じた核兵器の不拡散に関する条約第3条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と機関との間の協定(以下「保障措置協定」という。)を締結しており、
機関の保障措置制度の実効性を強化し及びその効率を改善することにより核不拡散を更に促進することが国際社会の希望であることを認識し、
機関は、保障措置の実施に当たり、日本国の経済的及び技術的発展又は平和的な原子力活動の分野における国際協力を妨げないようにする必要性、健康、安全性、防護その他の安全の確保に関する有効な規定及び個人の権利を尊重する必要性並びに機関が知るに至った商業上、技術上及び産業上の秘密その他の秘密情報を保護するためすべての措置をとる必要性を考慮に入れなくてはならないことを想起し、
この議定書に規定する活動の頻度及び程度を、機関の保障措置の実効性を強化し及びその効率を改善するために必要な最小限にとどめるものとして、
よって、ここに、日本国政府及び機関は、次のとおり協定した。
この議定書と保障措置協定との関係第1条
保障措置協定の規定は、この議定書の規定に関連し及び両立する限度において、この議定書について準用する。保障措置協定の規定とこの議定書の規定とが抵触する場合には、この議定書の規定を適用する。
情報の提供第2条
a.日本国政府は、次の情報を含む報告を機関に行う。
(i) 核物質を伴わない核燃料サイクル関連の研究開発活動であって、場所のいかんを問わず行われ、かつ、日本国政府により資金が供与され、特に認められ若しくは管理され又は日本国政府のために行われるものの概要及び当該研究開発活動が行われる場所を示す情報
(ii) 施設及び施設外の場所における保障措置関連の操業活動に関する情報であって、実効性の強化又は効率の改善において有用であることが期待されるものとして 機関が特定し、かつ、日本国政府が同意する情報
(iii) 各サイトの個々の建物の概要(建物の使用方法についての記述及び、建物の概要が当該記述のみからでは明らかとならない場合には、当該建物内にある物についての記述を含む。)。この概要には、当該サイトの地図を含む。
(iv) 附属書Ⅰに掲げる活動が行われる各場所における操業の規模に関する記述
(v) ウランの鉱山及び製錬プラント並びにトリウムの製錬プラントについて、これらの場所、操業状況及び推定年間生産能力を示す情報並びに日本国全体について、これらの鉱山及び製錬プラントの現在の年間総生産量を示す情報。日本国
政府は、機関が要請するときは、個々の鉱山又は製錬プラントごとの現在の年間生産量を示す情報を提供する。これらの情報の提供に当たっては、核物質の詳細な計量は要しない。
(vi) 原料物質(燃料加工又は同位体の濃縮に適する組成及び純度を有する原料物質を除く。)に関する次の情報。ただし、非原子力活動に使用するための原料物質がその最終用途として当該活動に使用される形状である場合又はそのような形状となった場合には、当該原料物質に関する情報を提供する必要はないことが了解される。
(a) 10メートル・トンを超える量のウラン又は20メートル・トンを超える量のトリウムが存在する日本国内の各場所について、これらの原料物質の量、化学的組成及び現在の又は予定される使用状況(原子力活動のための使用であるか非原子力活動のための使用であるかを問わない。)に関する情報。ただし、他の場所に1メートル・トンを超える量のこれらの原料物質が存在する場合には、日本国全体のそれらの総量がウランについては
10メートル・トン又はトリウムについては20メートル・トンを超えるときに限って、当該総量に関する情報を提供するものとする。これらの情報の提供に当たっては、核物質の詳細な計量は要しない。
(b) 原料物質が次の量を超えて、かつ、明らかに非原子力目的で日本国から輸出される場合、当該原料物質の量、化学的組成及び仕向地
(1) ウランについては、10メートル・トン(日本国から一の国に対しウランを2回以上にわたって輸出する場合に、個々の輸出量が10メートル・トン未満の量であっても、年間の輸出総量が10メートル・トンを超える場合を含む。)
(2) トリウムについては、20メートル・トン(日本国から一の国に対しトリウムを2回以上にわたって輸出する場合に、個々の輸出量が20メートル・トン未満の量であっても、年間の輸出総量が20メートル
・トンを超える場合を含む。)
(c) 原料物質が次の量を超えて、かつ、明らかに非原子力目的で日本国に輸入される場合、当該原料物質の量、化学的組成、現在の所在箇所及び現在の又は予定される使用状況
(1) ウランについては、10メートル・トン(日本国にウランを2回以上にわたって輸入する場合に、個々の輸入量が10メートル・トン未満の量であっても、年間の輸入総量が10メートル・トンを超える場合を含む。)
(2) トリウムについては、20メートル・トン(日本国にトリウムを2回以上にわたって輸入する場合に、個々の輸入量が20メートル・トン未満の量であっても、年間の輸入総量が20メートル・トンを超える場合を含む。)
(vii) (a)保障措置協定第37条に従って保障措置の適用が免除された核物質の量、使用状況及び所在箇所に関する情報
(b)保障措置協定第36条(b)に従って保障措置の適用が免除された核物質のうち、その最終用途として非原子力活動に使用される形状に達しておらず、かつ、保障措置協定第37条に定める量を超える量のものについて、個々の所在箇所ごとの当該核物質の量(推定される量によることもできる。)及び使用状況に関する情報。この情報の提供に当たっては、核物質の詳細な計量は要しない。
(viii)保障措置協定第11条に従って保障措置の適用が終了したプルトニウム、高濃縮ウラン若しくはウラン233を含む中レベル放射性廃棄物若しくは高レベル放射性廃棄物の所在箇所又はこれらの廃棄物に対して新たに行う処理に関する情報。この(viii)の適用上、「新たに行う処理」には、廃棄物を重ねて容器に収納又は元素の分離を伴わずに更に調整する処理であって、貯蔵又は処分のために行われるものを含まない。
(ix) 設備及び核物質ではない資材であって、附属書Ⅱに特定の設備及び資材として掲げるものに関する次の情報
(a) 日本国から輸出される設備又は資材の特定、量、受領国において予定される使用場所及び輸出の日又はその予定日
(b) 機関が特に要請するときは、設備又は資材の日本国への輸出に関し他の国が機関に提供した情報についての日本国政府による輸入国としての確認
(x) 核燃料サイクルの開発に関連する今後10年間の全般的な計画(核燃料サイクル関連の研究開発活動の計画を含む。)であって、日本国の適当な当局によって承認されたもの
b.日本国政府は、次の情報を機関に提供するためにあらゆる合理的な努力を払う。
(i) 核物質を伴わない核燃料サイクル関連の研究開発活動であって、場所のいかんを問わず日本国内で行われ、かつ、濃縮、核燃料の再処理又はプルトニウム、高濃縮ウラン若しくはウラン233を含む中レベル放射性廃棄物若しくは高レベル放射性廃棄物の処理に特に関連するもの(日本国政府により資金が供与され、特に認められ若しくは管理され又は日本国政府のために行われるものを除く。)の概要及び当該研究開発活動が行われる場所を示す情報。この(i)の適用上、中レベル放射性廃棄物又は高レベル放射性廃棄物の「処理」には、廃棄物を重ねて容器に収納し又は元素の分離を伴わずに調整する処理であって、貯蔵又は処分のために行われるものを含まない。
(ii) サイトの活動に機能的に関連し得る場所として機関が特定するサイト外の場所における活動の概要及び当該活動を行う個人又は団体を特定する事項。この情報の提供は、機関から特に要請があることを条件として、かつ、機関と協議の上、適時に行う。
c.日本国政府は、機関が要請するときは、保障措置の目的に関連する範囲内で、この条に従って提供する情報について更に詳細な又は明確な説明を行う。
第3条
a 日本国政府は、前条aの(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)(a)、(vii)及び(x)並びに前条b(i)の情報を、この議定書の効力発生から180日以内に機関に提供する。
b 日本国政府は、毎年、直前の暦年についてaに規定する情報を更新し、5月15日までに機関に提供する。日本国政府は、前回までに提供した情報に変更がない場合にはその旨を明示する。
c 日本国政府は、毎年、直前の暦年について前条aの(vi)(b)及び(ⅵ)(c)に規定する情報を5月15日までに機関に提供する。
d 日本国政府は、各四半期について前条a(ix)(a)に規定する情報を、当該各四半期の終了から60日以内に機関に提供する。
e 日本国政府は、前条a(viii)に規定する「新たに行う処理」についての情報を当該
「新たに行う処理」の実施の180日前までに機関に提供する。また、毎年、直前の暦年について前条 a(viii)に規定する所在箇所に生じた変更に関する情報を5月15 日までに機関に提供する。
f 日本国政府及び機関は、前条a(ii)に規定する情報を提供する時期及び頻度に関し合意する。
g. 日本国政府は、前条a(ix)(b)の規定に基づく情報を、機関からの要請があった時から60日以内に機関に提供する。
補完的なアクセス第4条
次の規定は、次条に基づく補完的なアクセスの実施に関して適用する。
a.機関は、第2条に規定する情報の検認を機械的又は系統的に行おうとしてはならない。ただし、機関は、次のアクセスを実施することができるものとする。
(i) 次条aの(ⅰ)又は(ⅱ)に規定する場所へのアクセスであって、申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことを確認するために選択的に行われるもの
(ii) 次条b又はcに規定する場所へのアクセスであって、第2条に従って提供される情報の正確性及び完全性に関する疑義を解消し又は当該情報の整合性に関する問題を解決するために行われるもの
(iii) 次条a(ⅲ)に規定する場所へのアクセスであって、施設又は核物質がかつて通常使用されていた施設外の場所についてとられた廃止措置の状況に関して日本国政府が行った申告に関し、機関が保障措置の目的で確認を行うために必要な限度において行うもの
b.(i) 機関は、(ii)に規定する場合を除くほか、アクセスの実施に先立ち少なくとも
24時間前までに日本国政府に対し事前の通告を行う。
(ii) 機関は、サイト内の場所について、当該サイト内で行う設計情報の検認のための訪問、特定査察又は通常査察との関連においてアクセスを必要とする場合には、日本国政府に対し特に要請を行うことを条件として、遅くとも2時間前までの事前の通告によって当該アクセスを実施することができる。ただし、例外的な状況においては、2時間以内の事前の通告によることもできる。
c.事前の通告は、書面によるものとし、アクセスを求める理由及びそのアクセスにおいて行われる活動を特定する。
d.機関は、情報に関する疑義又は情報の整合性に関する問題が生じた場合には、当該疑義又は問題について説明し及び解決を促進するための機会を日本国政府に与える。そのような機会は、アクセスを求める目的の達成がアクセスの遅延により阻害されるお
それがあると機関が認める場合を除くほか、アクセスの要請に先立って与えられるものとする。機関は、いかなる場合であっても、そのような機会が現に日本国政府に与えられるまでの間、関連する疑義又は問題に関しいかなる結論も導き出してはならない。
e.アクセスは、日本国政府が同意する場合を除くほか、通常の労働時間内においてのみ実施する。
f.日本国政府は、機関の査察員の職務の遂行を遅滞させず、かつ、妨げないことを条件として、機関の査察員によるアクセスの実施の間を通じて日本国政府の代表を同行させる権利を有する。
第5条
日本国政府は、機関に対し次の場所へのアクセスを認める。
a.(i) サイト内の場所
(ii) 第2条aの(v)から(viii)までに従って日本国政府が申告した場所
(iii) 廃止措置のとられた施設又は廃止措置のとられた施設外の場所であって核物質がかつて通常使用されていた場所
b.第2条 a の(i)、(iv)若しくは(ix)(b)又は第2条bに従って日本国政府が申告した場
所(a(i)に規定する場所を除く。)。ただし、日本国政府は、そのアクセスを実際に確保することが不可能な場合には、他の方法により遅滞なく機関の要求を満たすためにあらゆる合理的な努力を払う。
c.特定の場所における環境試料の採取を行うために機関が指定する場所(a 及びbに規
定する場所を除く。)。ただし、日本国政府は、そのアクセスを実際に確保することが不可能な場合には、近接する場所において又は他の方法により遅滞なく機関の要求を満たすためにあらゆる合理的な努力を払う。
第6条
機関は、前条の適用上、次の活動を行うことができる。
a.前条aの(i)又は(iii)の規定に従って実施するアクセスについては、観察、環境試料の採取、放射線の検出及び測定用の装置の利用、補助取決めに定める封印の実施その他の同定装置及び開封表示装置の利用並びに技術的に可能であることが証明されている他の客観的な措置であって機関の理事会(以下「理事会」という。)が同意し、かつ、日本国政府と機関との間の協議が行われるものの適用
b 前条a(ii)の規定に従って実施するアクセスについては、観察、核物質の員数勘定、非破壊測定及び採取、放射線の検出及び測定用の装置の利用、核物質の量、原産地及び処理に関する記録の検討、環境試料の採取並びに技術的に可能であることが証明されている他の客観的な措置であって理事会が同意し、かつ、日本国政府と機関との間の協議が行われるものの適用
c 前条bの規定に従って実施するアクセスについては、観察、環境試料の採取、放射線の検出及び測定用の装置の利用、保障措置に関連する生産及び積送の記録の検討並びに技術的に可能であることが証明されている他の客観的な措置であって理事会が同意し、かつ、日本国政府と機関との間の協議が行われるものの適用
d 前条cの規定に従って実施するアクセスについては、環境試料の採取並びに、前条 cに従って機関が指定する場所における当該採取によっても情報に関する疑義の解消 又は情報の整合性に関する問題の解決が得られない場合には、当該場所における観察、放射線の検出及び測定用の装置の利用並びに他の客観的な措置であって日本国政府及 び機関が合意するものの適用
第7条
a 日本国政府及び機関は、日本国政府が要請する場合には、核不拡散上機微な情報の普及を防止し、安全上若しくは防護上の要件を満たし又は財産的価値を有する情報若し
くは商業上機微な情報を保護するため、この議定書の下で実施する管理されたアクセスについての取決めを作成する。この取決めは、機関が、関連の場所において申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことについての確証を得る上で必要な活動(第2条に規定する情報の正確性及び完全性に関する疑義を解消し又は情報の整合性に関する問題を解決する上で必要な活動を含む。)を行うことを妨げるものであってはならない。
b 日本国政府は、第2条に規定する情報を提供する時に、管理されたアクセスによる可能性のあるサイト内その他の場所を機関に通報することができる。
c.日本国政府は、必要な補助取決めの効力発生までの間においても、a管理されたアクセスを援用することができる。
の規定に沿って、
第8条
この議定書はいかなる規定も、日本国政府が第5条及び次条に規定する場所以外の場所に対するアクセスの実施又は特定の場所における検認活動の実施を機関に要請することを妨げるものではない。機関は、そのような要請に応じて行動するために、遅滞なく、あらゆる合理的な努力を払う。
第9条
日本国政府は、広域的な環境試料の採取のために機関が指定する場所へのアクセスを認める。ただし、日本国政府は、このアクセスを実際に確保することが不可能な場合には、他の場所において機関の要求を満たすためにあらゆる合理的な努力を払う。機関は、広域的な環境試料の採取の実施及び必要な手続上の措置を理事会が承認し、かつ、日本国政府及び機関が協議を行うまでの間においては、このアクセスを求めることができない。
第10条
機関は、次のことについて日本国政府に通報する。
a この議定書に基づいて行った活動(情報に関する疑義又は情報の整合性に関する問題として機関が日本国政府の注意を喚起したものに係る活動を含む。)この通報は、当該活動の実施から60日以内に行う。
b 情報に関する疑義又は情報の整合性に関する問題として機関が日本国政府の注意を喚起したものに係る活動の結果。この通報は、できる限り速やかに、ただし、いかなる場合にも機関による当該結果の確定から30日以内に行う。
c.この議定書に基づいて行った活動から導き出した結論。この通報は、毎年行う。
機関の査察員の指名第11条
a (i) 機関の事務局長(以下「事務局長」という。)は、理事会が機関のいずれかの職員を保障措置の査察員として承認した場合には、当該承認について日本国政府に通告を行う。当該通告に係る職員は、その者を日本国に派遣する査察員とすることについて拒否する旨を日本国政府が当該通告の受領から3ヶ月以内に事務局長に通報しない限り、日本国に派遣する査察員として指名されたものとみなす。
(ii) 事務局長は、日本国政府からの要請に応じて又は自己の発意により行った日本国に派遣する査察員の指名の撤回を直ちに日本国政府に通報する。
b aに規定する通告は、日本国政府に対する機関の通告の書留郵便による送付の日の後
7日で日本国政府により受領されたものとみなす。
査 証 第12条
日本国政府は、機関からの要請において特定される査察員に対し、査証を必要とする場合には、当該査察員が職務を遂行する目的で日本国の領域内に入国し及び滞在することができるように、適当な数次の出入国査証又は通過査証を要請の受領から1ヶ月以内に与える。査証は、少なくとも 1 年間は有効なものとし、日本国に派遣される査察員である期間を通じて有効となるよう必要に応じて更新される。
補助取決め
13条
a 日本国政府及び機関は、いずれか一方がこの議定書に定める措置の具体的な適用に関し補助取決めにおいて規定する必要がある旨を提起した場合には、この議定書の効力発生から90日以内にその補助取決めについて合意する。また、この議定書の効力発生の後に補助取決めの必要性が提起された場合には、当該必要性が提起された日から
90日以内に合意する。
b 機関は、必要な補助取決めの効力が生じていない間であっても、この議定書に定める措置を適用する権利を有する。
通信システム第14条
a.日本国政府は、日本国内の機関の査察員と機関の本部又は地域事務所との間で機関が公の目的のために行う自由な通信を認め、かつ、これを保護する。この自由な通信には、封じ込め、監視又は測定用の機関の装置を通じて得られる情報の送信(それらの装置から自動的に行われる送信を含む。)を含む。機関は、日本国政府と協議の上、国際的かつ一般的に利用されている直接通信の制度であって日本国内において一般に利用されていないもの(衛星通信その他の形態の電気通信を含む。)を使用する権利を有する。日本国政府又は機関が要請する場合には、この a に規定する封じ込め、監視又は測定用の機関の装置を通じて得られる情報の送信(それらの装置から自動的に行われる送信を含む。)の実施に関する詳細を補助取決めに規定する。
b.aに規定する通信及び情報の送信に当たっては、財産的価値を有する情報、商業上機微な情報又は日本国政府が特に機微であるとみなす設計情報を保護する必要性に十分な考慮を払う。
秘密情報の保護第15条
a 機関は、自己の知るに至った商業上、技術上及び産業上の秘密その他の秘密情報(この議定書の実施を通じて知るに至った秘密情報を含む。)を開示から効果的に保護することを確保するために厳重な制度を維持する。
b aに規定する制度には、特に、次の事項に関する規定の作成を含む。
(i) 秘密情報の取扱いに関する一般原則及び関連の措置
(ii) 秘密情報の保護に関連する職員の雇用の条件
(iii) 秘密の扱いに関する違反又は当該違反の疑いがある場合の手続
c 理事会は、aに規定する制度を承認し及び定期的に検討する。
附属書 第16条
a 附属書は、この議定書の不可分の一部を成す。付属書のみについて行う改正に係る場 合を除き、この議定書の適用上、「この議定書」とは、この議定書及び付属書をいう。
b 附属書Ⅰに掲げる活動の一覧表並びに附属書Ⅱに掲げる設備及び資材の一覧表は、理事会が設置する専門家作業部会(機関のすべての加盟国が参加することができるものとする。)による助言に基づいて理事会が改正することができる。その改正は、理事会による採択の後4ヶ月で効力を生ずる。
効力発生第17条
a.この議定書は、機関が、日本国政府から、効力発生のための日本国の法律上及び憲法上の要件を満たした旨の書面による通告を受領する日に効力を生ずる。
b.事務局長は、この議定書の効力発生を機関のすべての加盟国に速やかに通報する。
定 義 第18条
この議定書の適用上、
a 「核燃料サイクル関連の研究開発活動」とは、次の工程又はシステムの開発に特に関連する活動をいう。ただし、理論的又は基礎科学的研究関連の活動を含まず、また、放射性同位元素の工業利用に関する研究開発並びに医学上、水文学上及び農業上の応用、健康及び環境に対する影響並びに保守の改善に関する研究開発関連の活動も含まない。
核物質の転換
核物質の濃縮
核燃料加工原子炉
臨界実験施設 核燃料の再処理
プルトニウム、高濃縮ウラン又はウラン233を含む中レベル放射性廃棄物又は高レベル放射性廃棄物の処理(廃棄物を重ねて容器に収納し又は元素の分離を伴わずに調整する処理であって、貯蔵又は処分のために行われるものを含まない。)
b.「サイト」とは、施設(閉鎖された施設を含む。)に関する設計情報及び施設外の場所(閉鎖された施設外の場所のうち核物質がかつて通常使用されていた場所であり、かつ、ホットセルを有するか又は転換、濃縮、燃料加工若しくは再処理がかつて行われていた場所を含む。)に関する情報において、日本国政府がその境界を定めた区域をいう。また、「サイト」には、そのような施設又は場所と共に配置され、かつ、当該施設又は場所のために不可欠な機能を果たしているすべての構築物(核物質を含まない照射された物質を処理するためのホットセル、
廃棄物の取扱い、貯蔵及び処分のための構築物並びに第2条 a(iv)に従って日本
国政府が申告した活動に関連する建物を含む。)を含むものとする。
c.「廃止措置のとられた施設」又は「廃止措置のとられた施設外の場所」とは、施設又は施設外の場所の利用において不可欠な構造及び設備が既に撤去され又は使用し得ない状態となっているため、現に核物質の貯蔵のために使用されておらず、かつ、核物質の取扱い、処理又は利用のために使用することのできない構築物又は場所をいう。
d.「閉鎖された施設」又は「閉鎖された施設外の場所」とは、既に操業が停止され、かつ、核物質が撤去されているが、廃止措置がとられていない構築物又は場所をいう。
e.「高濃縮ウラン」とは、同位元素ウラン235を20パーセント以上含有しているウランをいう。
f.「特定の場所における環境試料の採取」とは、機関が指定する場所又はその近傍における空気、水、植物、土壌、付着物等の環境試料の採取であって、当該場所において申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことについて機関による結論を導き出す目的で行われるものをいう。
g.「広域的な環境試料の採取」とは、機関の指定する複数の場所における空気、水、植
物、土壌、付着物等の環境試料の採取であって、広域にわたって申告されていない核物質が存在せず又はそのような原子力活動が行われていないことについて機関による結論を導き出す目的で行われるものをいう。
h.「核物質」とは、国際原子力機関憲章第20条に定義する原料物質及び特殊核分裂性物質をいう。ただし、この原料物質には、鉱石及び鉱石の残さいは含まない。理事会が、この議定書の効力発生の後、同条の規定に基づき、原料物質又は特殊核分裂性物質とされる物質を追加する決定を行う場合には、その決定は、日本国政府が同意した後においてのみ、この議定書の適用上効力を有する。
i.「施設」とは、次のものをいう。
(i) 原子炉、臨界実験施設、転換プラント、加工プラント、再処理プラント、同位体分離プラント又は独立の貯蔵施設
(ii) 1実効キログラムを超える量の核物質が通常使用される場所
j.「施設外の場所」とは、1実効キログラム以下の量の核物質が通常使用される構築物又は場所であって施設に当たらないものをいう。
1998年12月4日にウィーンで、ひとしくxxである日本語及び英語により本書2通を作成した。ただし、解釈に相違がある場合には英語の本文による。
日本国政府のために
xx xx
国際原子力機関のために
xxxx・xxxxxx
附属書Ⅰ
第 2 条 a.(iv)の活動の一覧表
(i) 遠心分離機の回転胴の製造又はガス遠心分離機の組立て
「遠心分離機の回転胴」とは、附属書Ⅱ5.1.1(b)に規定する薄壁の円筒をいう。
「ガス遠心分離機」とは、附属書Ⅱ5.1の注釈に規定する遠心分離機をいう。
(ii) 拡散隔膜の製造
「拡散隔膜」とは、附属書Ⅱ5.3.1(a)に規定する薄い多孔質のフィルターをいう。
(iii) レーザーを利用したシステムの製造又は組立て
「レーザーを利用したシステム」とは、附属書Ⅱ5.7に規定する品目を含むシステムをいう。
(iv) 電磁式同位体分離装置の製造又は組立て
「電磁式同位体分離装置」とは、附属書Ⅱ5.9.1.(a)に規定するイオン源を含む附属書Ⅱ5.9.1に規定する品目をいう。
(v) コラム又は抽出設備の製造又は組立て
「コラム又は抽出設備」とは、附属書Ⅱの5.6.1、5.6.2、5.6.3、5.6.
5、5.6.6、5.6.7及び5.6.8に規定する品目をいう。
(vi) 空気動力学を用いた分離用ノズル又は渦巻管の製造
「空気動力学を用いた分離用ノズル又は渦巻管」とは、附属書Ⅱの5.5.1及び5.5.2に規定する分離用ノズル又は渦巻管をいう。
(vii) ウラン・プラズマ発生システムの製造又は組立て
「ウラン・プラズマ発生システム」とは、附属書Ⅱ5.8.3に規定するウラン
・プラズマ発生システムをいう。
(viii)ジルコニウム管の製造
「ジルコニウム管」とは、附属書Ⅱ1.6に規定する管をいう。
(ix) 重水又は重水素の生産又は精製
「重水又は重水素」とは、重水素、重水(酸化重水素)及び重水素原子と水素原子との比が1:5000を超える他の重水素化合物をいう。
(x) 原子炉級黒鉛の生産
「原子炉級黒鉛」とは、ホウ素当量 100 万分の 5 の純度を超える純度及び
1.50グラム毎立方センチメートルを超える密度を有する黒鉛をいう。
(xi) 照射済燃料用フラスコの製造
「照射済燃料用フラスコ」とは、照射済燃料の輸送又は貯蔵用の容器であって、化学的影響、熱及び放射線を遮へいし、かつ、取扱い、輸送及び貯蔵の間に生 ずる崩壊熱を拡散させるものをいう。
(xii) 原子炉制御棒の製造
「原子炉制御棒」とは、附属書Ⅱ1.4に規定する棒をいう。
(xiii) 臨界上安全なタンク及び槽の製造
「臨界上安全なタンク及び槽」とは、附属書Ⅱの3.2及び3.4に規定する品目をいう。
(xiv) 照射済燃料要素切断機の製造
「照射済燃料要素切断機」とは、附属書Ⅱ3.1に規定する設備をいう。
(xv) ホットセルの建設
「ホットセル」とは、密度が3.2グラム毎立方センチメートル以上で厚さが
0.5メートル以上のコンクリートに相当する遮へい構造を有する一の又は連接する隔室であって、少なくとも6立方メートルの容積を有し、かつ、遠隔操作装置を装備したものをいう。
附属書Ⅱ
設備及び核物質ではない資材であって、
第2条a.(ix)の規定に従ってその輸出入についての報告を行う必要がある特定の設備及び資材の一覧表
1 原子炉及びその設備
1.1 組立ての完了した原子炉
制御された自己維持的核分裂反応を維持する運転能力を有する原子炉 (ゼロ出力炉を除く。ゼロ出力炉とは、設計上の最大プルトニウム生成量が年間100グラムを超えない炉をいう。)
注 x
「原子炉」には、基本的に、原子炉容器の内装物、原子炉容器に直接設置する付属品、炉心内における出力の水準を制御する設備及び、通常の作動に際して、炉心の一次冷却材を収容し、これと直接接触し又はこれを制御する部品を含む。
「原子炉」とは、年間100グラムを著しく超える量のプルトニウムを生成する ように改造することが合理的に可能であるような原子炉を除外するものではない。高い出力水準での持続的運転のために設計した原子炉は、そのプルトニウム生成 量のいかんを問わず、「ゼロ出力炉」とはされない。
1.2 原子炉圧力容器
1.1 に規定する原子炉の炉心を収納するために特に設計し又は製作し、かつ、一次冷却材の運転圧力に耐えることのできる金属容器の完成品又は主要な工作部 品
注 x
xx炉圧力容器の上ぶたは、1.2に規定する主要な工作部品とする。
炉心その他の内装物のための支持柱及び支持板、制御棒案内管、熱遮へい体、調節板、炉心格子板、拡散板等の原子炉内装物は、通常、原子炉供給者によって供給される。一定の場合には、圧力容器自体が、その構造上内装物を支持するように工作されることがある。原子炉内装物は、原子炉の運転の安全性及び信頼性を確保する上で極めて重要であり、したがって、原子炉供給者が保証を与え及び責任を引き受ける上でも極めて重要であるので、これらの品目が原子炉自体に係る基本取決めとは別の取決めによって供給されることは、通常の慣行ではない。固有の機能を有し、特に設計し及び製作し、かつ、重要な、大型の及び高価な原子炉内装物の別途の供給を関心の対象としないとするものではないが、そのような別途の供給が実際に行われる可能性は、前記の事情に照らし、小さいと認められる。
1.3 原子炉燃料交換機
1.1 に規定する原子炉について、その運転時における燃料の挿入若しくは取出しのために又はその停止時であって、燃料の目視若しくは燃料への接近が通常不可能な場合等における複雑な燃料交換作業に必要な高度の位置決め若しくは芯出しのために特に設計し又は製作した操作用設備
1.4 原子炉制御棒
1.1 に規定する原子炉における反応度の制御のために特に設計し又は製作した棒
注 x
「原子炉制御棒」には、中性子を吸収する要素を含むほか、その支持体又は懸架体が別途供給される場合には、当該支持体又は懸架体を含む。
1.5 原子炉圧力管
1.1 に規定する原子炉の内部に燃料要素及び一次冷却材を5.1メガパスカル(740ポンド毎平方インチ)を超える運転圧力下において収容するために特に設計し又は製作した管
1.6 ジルコニウム管
ジルコニウム金属若しくはジルコニウム合金の管又はこれらの集合体であって、
1.1 に規定する原子炉の内部において使用するために得に設計し又は製作し、かつ、ハフニウムとジルコニウムとの重量比が1対500未満のもの。ただし、 いずれかの12箇月の期間における供給量が500キログラムを超える場合に限 る。
1.7 一次冷却材ポンプ
1.1 に規定する原子炉における一次冷却材の循環のために特に設計し又は製作したポンプ
注 x
「特に設計し又は製作したポンプ」には、一次冷却材の漏出を防止するための精巧な又は多重の密封システム、密閉強制ポンプ及び慣性質量システムを利用するポンプを含むことがある。この定義には、NC-1又はこれと同等の基準により認証されたポンプを含む。
2 核物質ではない原子炉用資材
2.1 重水素及び重水
1.1 に規定する原子炉において使用する重水素、重水(酸化重水素)及び重水素原子と水素原子との比が1対5,000を超える他の重水素化合物。ただ
し、いずれかの12箇月の期間において、一の仕向国に対し重水素原子の量につき200キログラムを超えるような供給を行う場合に限る。
2.2 原子炉級黒鉛
ほう素当量100万分の5の純度を超える純度及び1.50グラム毎立方センチメートルを超える密度を有する黒鉛であって、1.1 に規定する原子炉において使用するもの。ただし、いずれかの12箇月の期間において、1の仕向国に
対し3×104に限る。
キログラム(30メートル・トン)を超える量の供給を行う場合
注 x
xx炉級黒鉛の輸出が原子炉における使用のため行われるものであるかどうかについては、報告を行うに当たって日本国政府が判断する。
3 照射済燃料要素の再処理プラント及び照射済燃料要素の再処理のために特に設計し又は製作した設備
注 釈
照射済核燃料の再処理は、高放射性の核分裂生成物及び超ウラン元素からプルトニウム及びウランを分離する。この分離は、技術的に異なる各種の処理方法により達成可能であるが、ピューレックス法によることが、長期にわたって最も一般的である。ピューレックス法には、照射済核燃料を硝酸に溶解し、その後に有機希釈剤と燐酸トリブチルとの混合物を用いた溶媒抽出によりウラン、プルトニウム及び核分裂生成物を相互に分離することを含む。
ピューレックス法を利用する再処理施設は、相互に同様の処理機能(照射済燃料要素の切断、燃料の溶解、溶媒抽出及び処理溶液の貯蔵を含む。)を有し、また、硝酸ウランの熱脱硝、硝酸プルトニウムの酸化物又は金属への転換及び核分裂生成物を含む廃液を長期の貯蔵又は処分に適した形状にするための処理の機能
を有することもある。ただし、これらの機能を果たす設備の具体的な種類及び配列は、種々の理由(再処理される照射済核燃料の種類及び量、回収された物質についての今後の取扱い並びに安全性及び保守に係る各施設の設計上の方針を含む。)により、施設間で相互に異なることがある。
「照射済燃料要素の再処理プラント」には、通常の作動に際して、照射済燃料並びに核物質及び核分裂生成物の処理における主要な流れと直接接触し、かつ、これらを直接制御する設備及び部品を含む。
再処理工程(プルトニウムの転換及び金属プルトニウムの生産のための完結的システムを含む。)の存在は、幾何学的配置等臨界上の安全確保措置、遮へい等放射線被ばく防止措置及び封じ込め等防毒措置の適用の有無によって判明することがある。
「照射済燃料要素の再処理のために特に設計し又は製作した設備」に該当するとみなされる設備には、次の設備を含む。
3.1 照射済燃料要素切断機
注 釈
この設備は、照射済核物質を露出させて溶解するために燃料の被覆を破るものである。レーザ等先端技術を用いる設備もあるが、特に設計した金属切断機が最も一般的である。
3に規定する再処理プラントにおいて使用するために、かつ、照射済みの核燃料集合体、核燃料束又は核燃料棒の切断又はせん断を目的として特に設計し又は製作した遠隔操作設備
3.2 溶解タンク
注 釈
溶解タンクは、通常、切断された使用済燃料を収容するものである。照射済核物質は、この臨界上安全なタンクにおいて硝酸により溶解し、また、残存する被覆廃材は、再処理工程から排除されることとなる。
小直径、環状又は平板状のタンク等3に規定する再処理プラントにおいて使用するために、かつ、照射済核燃料の溶解を目的として特に設計し又は製作した臨界上安全なタンクであって、高温高腐食性溶液に対する耐性を有し、かつ、遠隔制御による充てん及び保守が可能であるもの
3.3 溶媒抽出装置及び溶媒抽出設備
注 釈
溶媒抽出装置は、溶解タンクからの照射済燃料溶液並びにウラン、プルトニウム及び核分裂生成物を分離する有機溶液の双方を収容する。溶媒抽出設備は、通常、保守なしで長期間運転可能であること又は容易に交換可能であること、運転及び制御が単純であること、処理条件の変化に柔軟に対応可能であること等運転上厳格な条件を満たすように設計する。
充てん塔、パルスコラム、ミキサセトラ、遠心接触機等照射済燃料の再処理プラントにおいて使用するために特に設計し又は製作した溶媒抽出装置。溶媒抽出装置は、硝酸の腐食効果に対する耐性を有する必要があり、かつ、通常、低炭素ステンレス鋼、チタン、ジルコニウムその他の高品質の材料を用いて極めて高い基準(特別な溶接法及び検査並びに品質保証及び品質管理の適用を求めるような基準を含む。)により製作する。
3.4 化学的保管・貯蔵槽
注 釈
溶媒抽出の過程から、3の主要な処理溶液の流れが生ずる。保管・貯蔵槽は、これらの流れのすべてを更に処理する上でそれぞれ次のとおり使用される。
(a) 純粋な硝酸ウラン溶液は、蒸発により濃縮され、ウラン酸化物に転換される脱硝工程に移送される。このウラン酸化物は、核燃料サイクルにおいて再利用される。
(b) 高放射性の核分裂生成物溶液は、通常、蒸発により濃縮され、濃縮液として貯蔵される。この濃縮液は、蒸発により減容され、貯蔵又は処分に適した形状に転換されることがある。
(c) 純粋な硝酸プルトニウム溶液は、濃縮され、次の工程に移送されるまでの間貯蔵される。特に、プルトニウム溶液用の保管・貯蔵槽は、溶液の濃度及び形状の変化から臨界上の問題が生ずることを避けるように設計する。
照射済燃料の再処理プラントにおいて使用するために特に設計し又は製作した保管・貯蔵槽。保管・貯蔵槽は、硝酸の腐食効果に対する耐性を有する必要があり、かつ、通常、低炭素ステンレス鋼、チタン、ジルコニウムその他の高品質の材料を用いて製作する。保管・貯蔵槽は、遠隔制御による操作及び保守が可能であるように設計することがあり、また、臨界を制御するため次の特性を有することがある。
(1) 最低2パ-セントのほう素当量を有する外壁又は内部構造
(2) 円筒形の槽については、内径が最大175ミリメートル(7インチ)
(3) 平板状又は環状の槽については、隔壁間の幅が最大75ミリメートル(3インチ)
3.5 硝酸プルトニウムのプルトニウム酸化物への転換システム
注 x
x部分の再処理施設においては、最終工程として硝酸プルトニウム溶液の二酸化プルトニウムへの転換が行われる。この工程における主要な機能としては、処理される溶液の貯蔵及び調整、沈殿及び固体と液体との分離、か焼、プルトニウム酸化物の取扱い、換気、廃棄物の管理並びに工程の制御がある。
硝酸プルトニウムをプルトニウム酸化物に転換するために、かつ、臨界上の安全、放射線の影響の防止及び最大限の防毒について特段の対応が確保されるように特に設計し又は製作した完結的システム
3.6 プルトニウム酸化物からの金属プルトニウム生産システム
注 釈
再処理施設と関連し得るこの工程には、高腐食性のふっ化水素を通常用いて二酸化プルトニウムをふっ化し、ふっ化プルトニウムを生成することを含む。ふっ化プルトニウムは、その後高純度の金属カルシウムを用いて還元され、金属プルトニウムとふっ化カルシウムのくずとになる。この工程における主要な機能としては、貴金属を加工し又は貴金属により内張りした設備等を用いるふっ化、セラミック製るつぼ等を用いる金属への還元、くずの回収、金属プルトニウムの取扱い、換気、廃棄物の管理及び工程の制御がある。
金属プルトニウムを生産するために、かつ、臨界上の安全、放射線の影響の防止及び最大限の防毒について特段の対応が確保されるように特に設計し又は製作した完結的システム
4 燃料要素の加工プラント
「燃料要素の加工プラント」には、次の設備を含む。
(a) 通常の作動に際して、加工工程にある核物質と直接接触し若しくは直接処理し又は加工工程を制御する設備
(b) 被覆管内に核物質を密封する設備
5 ウラン同位元素の分離プラント及びウラン同位元素の分離のために特に設計し又は製作した設備であって分析機器以外のもの
「ウラン同位元素の分離のために特に設計し又は製作した設備であって分析機器以外のもの」に該当するとみなされる設備には、次の設備を含む。
5.1 ガス遠心分離機及び特に設計し又は製作したその部分品
注 釈
ガス遠心分離機は、通常、直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの薄壁の円筒であって、真空内におかれ、かつ、約300メートル毎秒以上の周速で垂直軸を中心に回転するものから成る。高速度の回転を可能とするため、回転部分品の材料は、密度比で高い強度を有する必要があり、また、回転部分品及びその部品は、回転の揺れを最小にするために極めて小さい公差により製造する必要がある。ウラン濃縮用ガス遠心分離機は、他の遠心分離機と異なり、回転する円盤状の調節板並びに六ふっ化ウランガスの供給及び抽出のための固定された、かつ、最低3の独立した流路(そのうち2の流路が回転部分の軸から周に通じる抜出管に接続する。)を構成する配管を回転部分の内部に有することを特徴とする。また、ウラン濃縮用ガス遠心分離機内の真空部分には、回転せず、かつ、特に設計されるが、特殊ではない材料を用いて容易に製造可能な多くの重要な部品がある。遠心分離施設は、これらの部品を大量
に必要とするため、その供給量から、これらの部品の最終用途について重要な示唆が得られることがある。
5.1.1 回転部分品
(a) 回転部分の完成品
注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1又は2以上の材料を用いて製造した 薄壁の円筒又はそのような円筒を相互に接続したもの。円筒を相互に接続する場 合には、5.1.1 (c)に規定する伸縮継手又はリングによる。回転部分は、その最終的な形態において、5.1.1 の(d)及び(e)に規定する内部の 調節板及び端栓を取り付けることとなる。一部のみを組み立てた回転部分を完成 品として引き渡すこともある。
(b) 回転胴
外壁の厚さが12ミリメートル(0.5インチ)以下で直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの特に設計し又は製作した薄壁の円筒であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1又は2以上の材料を用いて製造したもの
(c) リング又は伸縮継手
回転胴を部分的に支持し又は複数の回転胴を接続するために特に設計し又は製作した部品。伸縮継手とは、外壁の厚さが3ミリメートル(0.12インチ)以下で直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの短い伸縮可能な円筒であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1の材料を用いて製造したものである。
(d) 調節板
分離用の空間から抜出用の空間を隔離するため及び、一定の場合には、回転胴内の分離用の空間における六ふっ化ウランガスの循環を促進するために遠心分離機の回転胴の内側に取付けるように特に設計し又は製作した直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの円盤状の部品であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する一の材料を用いて製造したもの
(e) xxx栓及び下部端栓
回転胴の両端に取り付け六ふっ化ウランを回転胴内に封入するため並びに、一定の場合には、xxx栓については上部軸受の一部を支え、保持し又は構成し、また、下部端栓については電動機及び下部軸受の回転要素を構成するように特に設計し又は製作した直径が75ミリメートル(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)までの円盤状の部品であって、注釈に掲げる密度比で高い強度を有する1の材料を用いて製造したもの
注 釈
遠心分離機の回転部分品には、次の材料を用いるものとする。
(a) 2.05×109ニュートン毎平方メートル(30万ポンド毎平方インチ)以上の最大引張強さを有するマルエージング鋼
(b) 0.46×109 ニュートン毎平方メートル(6万7千ポンド毎平方イン
チ)以上の最大引張強さを有するアルミニウム合金
(c) 複合的な構造における使用に適した繊維材であって、12.3×106 メ
ートル以上の比モジュラス及び0.3×106メートル以上の比最大引張強さを有するもの。比モジュラス(比弾性率)とは、ニュートン毎平方メートルで表わすヤング率をニュートン毎立方メートルで表す比重量で除したものをいう。比最大引張強さとは、ニュートン毎平方メートルによる最大引張強さをニュートン毎立方メートルによる比重量で除したものをいう。
5.1.2 固定部分品
(a) 磁気軸受
遠心分離機の容器内に懸架する環状磁石及び振動減衰媒体が構成する特に設計し又は製作した軸受部分品。容器は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料を用いて製造する(5.2.4の次に掲げる注釈参照)。この環状磁石は、5.1.1 (e)に規定するxxx栓に取り付ける磁極片又は第2の磁石と対となる。この環状磁石は、外径と内径との比が1.6:1以下であることがあり、また、0.15ヘンリー毎メートル(12万CGS単位)以上の初期透磁率、98.5パーセン
ト以上の残留磁気又は80キロジュール毎立方メートル(107 ガウスエルステ
ッド)を超えるエネルギーの発生能力を有することがある。この環状磁石は、磁石の通常の特性を有することに加え、幾何学上の軸からの磁軸の偏差が0.1ミリメートル(0.004インチ)未満の極めて小さい公差内にあり又は特に均質であることを必要条件とする。
(b) 軸受・振動減衰装置
旋回軸と受皿との組立品であって、振動減衰装置に取り付けるよう特に設計し又は製作した軸受。旋回軸は、通常、焼入鋼の軸であり、一方の端は半球形であり及び他方の端はいずれかの方法で5.1.1(e)に規定する下部端栓に取り付けられる。また、旋回軸は、流体軸受用のものであることもある。受皿は、円柱状であり、一方の表面には半球形のくぼみを有する。これらの部品は、しばしば、振動減衰装置とは別個に供給される。
(c) 分子ポンプ
機械加工又は押出成形によるら旋状の溝及び機械加工による孔を内側に有する特に設計し又は製作したシリンダー。典型的な寸法は、内径が75ミリメートル
(3インチ)から400ミリメートル(16インチ)まで、壁の厚さが十ミリメ
ートル(0.4インチ)以上及び長さが内径以上である。溝は、典型的には断面が長方形であり、及び深さが2ミリメートル(0.08インチ)以上である。
(d) 電動機固定子
真空において600ヘルツから2,000ヘルツまでの周波数及び50ボルトアンペアから1,000ボルトアンペアまでの電力の電気により同期運転するための高速かつ多相交流のヒステリシス電動機又は磁気抵抗電動機の環状固定子として特に設計し又は製作した設備。固定子は、多重の巻線と厚さ2.0ミリメートル(0.08インチ)以下の薄い層からなるエネルギー損失の低い鉄心とから構成される。
(e) 遠心分離機の容器
ガス遠心分離機の回転部分品を収納するために特に設計し又は製作した容器。 この容器は、厚さが30ミリメートル(1.2インチ)までの厳重な円筒形の壁、軸受を取り付けるために精密に機械加工された両端部及び内装物取付用の1又は
2以上のフランジから構成される。機械加工された両端部は、相互に平行であり、また、円筒の中心軸に対して0.05度以下の偏差で直角である。容器は、また、複数の回転胴を収納するためにハニカム構造(連接多房構造)であることがある。容器は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護され る。
(f) 抜出管
内径が12ミリメートル(0.5インチ)までの管であって、回転胴内で周回するガスの流れに管の開口部を対抗させること(例えば、回転の放射方向から接線方向に曲がるように管を配置することによって可能となる。)から生ずるピトー管作用により六ふっ化ウランガスを抽出するために、かつ、ガス抽出システムの中心に接続することができるよう特に設計し又は製作したもの。この管は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。
5.2 ガス遠心分離濃縮プラントのために特に設計し又は製作した補助システム、設備及び部分品
注 釈
ガス遠心分離濃縮プラントのための補助システム、設備及び部分品とは、遠心分離機を稼働させ又はプラントを制御する上で必要な設備と共に、遠心分離機に六ふっ化ウランを供給し、濃縮度を徐々に高めるカスケ-ド(段階的工程)を形成するため個々の遠心分離機を接続し並びに遠心分離機から六ふっ化ウランの
「製品」及び「廃棄材」を抽出する上で必要なシステムをいう。
六ふっ化ウランは、通常、加熱したオートクレーブにより固体から蒸発してガス状となり、通気管を経由して遠心分離機に分配される。遠心分離機から抽出した六ふっ化ウランの「製品」及び「廃棄材」のガスも、通気管を経由してコールドトラップに移送され、輸送又は貯蔵に適した容器に移されるに先立ち、約203ケルビン(零下70セルシウス度)での冷却により凝縮される。一の濃縮プラントは、カスケードに数千の遠心分離機を配列するため、数千の溶接部と多くの箇所における配置上の同一性とを有し、かつ、全長が数キロメートルを超える配管を伴う。設備、部分品及び配管は、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.2.1 供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
特に設計し又は製作した処理システム(次の品目を含む。)
最大百キロパスカル(15ポンド毎平方インチ)の圧力及び毎時1キログラム以上の割合により六ふっ化ウランを遠心分離カスケードに供給するためのオートクレーブ又は供給装置
最大3キロパスカル(0.5ポンド毎平方インチ)の圧力によりカスケードから六ふっ化ウランを取り出すためのコールドトラップその他の昇華器。昇華器は、203ケルビン(零下70セルシウス度)まで冷却し、また、343ケルビン(70セルシウス度)まで加熱することができる。
六ふっ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置 関連するプラント、設備及び配管は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する
材料によりすべての部分が製造され又は内張りされ(5.2.4の次に掲げる注釈参照)、かつ、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.2.2 通気配管システム
カスケードの遠心分離機において六ふっ化ウランを取り扱うために特に設計し又は製作した通気配管システム。通常の配管は、一の遠心分離機について3の通気管が接続し、このため、多くの箇所において形状の同一性を有する。この配管は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料を用いて製造し(5.2.4の次に掲げる注釈参照)、かつ、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.2.3 六ふっ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六ふっ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
1 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
2 ニクロム若しくはモネルにより製造し苦しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
3 電子衝突によりイオン化させるイオン源を有すること。
4 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
5.2.4 周波数変換器
5.1.2(d) に規定する電動機固定子に電気を供給するために特に設計し苦しくは製作した周波数変換器(コンバーター又はインバーターと称することもある。)であって次の特性のすべてを有するもの又はその部品、構成品及び部分組立品
1 出力が多相であって、その周波数が600ヘルツから2,000ヘルツまでであること。
2 出力周波数の制御の偏差が0.1パーセント未満の高い安定度を有すること。
3 2パーセント未満の低いひずみ率であること。
4 変換の効率が80パーセントを超えること。
注 x
5.1及び5.2に掲げる品目は、工程中の六ふっ化ウランガスと直接接触し、遠心分離機を直接制御し又は遠心分離機間の及びカスケード間のガスの流れを直 接制御する。
六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル又はニッケルを60パーセント以上含有する合金を含む。
5.3 ガス拡散濃縮のために特に設計し又は製作した部分品
注 釈
ガス拡散法によるウランの同位元素の分離における主要な技術的組立品は、特殊な多孔質のガス拡散隔膜、圧縮処理により加熱されたガスを冷却するための熱交換機、密閉弁、制御弁及び配管である。ガス拡散技術が六ふっ化ウランを使用する限り、設備、配管及び計測器のガスとのすべての接触面は、六ふっ化ウラン
と接触しても安定している材料を用いて製造する必要がある。ガス拡散施設は、これらの組立品を多数必要とするため、その供給量から、これらの組立品の最終用途について重要な示唆が得られることがある。
5.3.1 ガス拡散隔膜
(a) 孔径が百オングストロームから1,000オングストロームまでであって膜の厚さが5ミリメートル(0.2インチ)以下の、また、管状の場合には、直径が25ミリメートル(1インチ)以下の特に設計し又は製作した薄い多孔質のフィルタ-であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する金属、重合体又はセラミック材を用いて製造したもの
(b) (a)のフィルタ-を製造するために特に生産した化合物又は粉末。この化合物及び粉末には、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金、酸化アルミニウム又は六ふっ化ウランに対し耐食性を有する完全にふっ化された炭化水素重合体の化合物又は粉末であって、純度が99.9パーセント以上であり、粒径が10ミクロン未満であり、粒径の均一度が高く、かつ、ガス拡散隔膜を製造するために特に生産したものを含む。
5.3.2 拡散筒
口径が50ミリメートル(2インチ)を超える一の流入口及び二の流出口を有し、直径が300ミリメートル(12インチ)を超え、かつ、長さが900ミリメートル(35インチ)を超える密封溶接した円筒形の容器又は同等の大きさの直方体の容器であって、ガス拡散隔膜を収納するために特に設計し又は製作し、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は内張りされ及び水平方向又は鉛直方向に取り付けるように設計したもの
5.3.3 圧縮機及び送風機
六ふっ化ウランの吸引容量が1立方メートル毎分以上の送風機を含む軸流型、
遠心型又は容積型の圧縮機であって、その吐出圧力が最高数100キロパスカル又は100ポンド毎平方インチとなるように特に設計し又は製作し、かつ、自己又は他の適当な出力の電動機によって六ふっ化ウランの中において長期間作動可能であるよう設計したもの並びにそのような圧縮機及び送風機の部分組立品。これらの圧縮機及び送風機は、2対1から6対1までの圧力比を有し、かつ、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は内張りされる。
5.3.4 回転軸の密封装置
圧縮機又は送風機の回転子と駆動電動機との接続軸を密封し、六ふっ化ウランが充てんされた圧縮機又は送風機の内部への空気の混入に対する信頼性の高い密封を確保するために、かつ、密封材の供給及び排出のための接続部を有するように特に設計し又は製作した密封装置。この密封装置は、通常、緩衝ガスの混入率が1,000立方センチメートル毎分(60立方インチ毎分)未満となるよう設計する。
5.3.5 六ふっ化ウラン冷却用熱交換器
特に設計し又は製作した熱交換器であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する金属(ステンレス鋼を除く。)により製造され又は六ふっ化ウランに対し耐食性を有する金属(銅を含むがステンレス鋼を除く。)の一により若しくは二以上の組合せにより内張りされ、かつ、100キロパスカル(15ポンド毎平方インチ)の差圧下での漏えい圧力の変化率が1時間について10パスカル(
0.0015ポンド毎平方インチ)未満であるもの
5.4 ガス拡散濃縮のために特に設計し又は製作した補助システム、設備及び部分品
注 釈
ガス拡散濃縮プラントのための補助システム、設備及び部分品とは、ガス拡散用装置に六ふっ化ウランを供給し、濃縮度を徐々に高めるカスケ-ド(段階的工程)を形成するため個々の装置を接続し並びに拡散カスケードから六ふっ化ウラ
ンの「製品」及び「廃棄材」を抽出する上で必要なシステムをいう。拡散カスケードは、大きな慣性を有するため、稼働の中断(特に停止)から重大な結果が生じる。したがって、すべての技術的システムを通じた完全かつ恒常的な密封の維持、事故の自動的な防止及びガスの流れの正確な自動制御がガス拡散プラントにおいて重要である。このため、プラントは、特殊な計測、調節及び制御用システムを大量に装備することが必要となる。
六ふっ化ウランは、通常、オートクレーブにより蒸発してガス状となり、シリンダーから通気管を経由してガス拡散用装置に分配される。ガス拡散用装置から抽出した六ふっ化ウランの「製品」及び「廃棄材」のガスは、通気管を経由してコールドトラップ又は圧縮装置に移送され、輸送又は貯蔵に適した容器に移されるに先立ち、液化される。一のガス拡散濃縮プラントは、カスケードに多数のガス拡散用装置を配列するため、数千の溶接部と多くの箇所における配置上の同一性とを有し、かつ、全長が数キロメートルを超える配管を伴う。設備、部分品及び配管は、極めて高い真空基準及び清浄基準により製作する。
5.4.1 供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
300キロパスカル(45ポンド毎平方インチ)以下の圧力下において作動可能な特に設計し又は製作した処理システム(次の品目を含む。)
六ふっ化ウランをガス拡散カスケードに供給するためのオートクレーブ又は供給システム
六ふっ化ウランをガス拡散カスケードから取り出すためのコールドトラップその他の昇華器
カスケードから取り出した六ふっ化ウランを圧縮し及び冷却して液化六ふっ化ウランにする液化装置
六ふっ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置
5.4.2 通気配管システム
ガス拡散カスケードにおいて六ふっ化ウランを取り扱うために特に設計し又は製作した通気配管システム。通常の配管は、一のガス拡散用装置について二の通気管が接続する。
5.4.3 真空システム
(a) 特に設計し又は製作した大型の真空分岐管その他の真空通気管及び吸引容量が5立方メートル毎分(175立方フィート毎分)以上の真空ポンプ
(b) 六ふっ化ウランを含む気体の中において使用するために特に設計した真空ポンプであって、アルミニウム、ニッケル又はニッケルを60パーセント以上含有する合金により製造され又は内張りされたもの。このポンプは、回転型又は容積型の場合があり、また、過ふっ化炭化水素の密封材及び部材並びに特殊な作動流体を有することがある。
5.4.4 特殊な遮断弁及び制御弁
直径が40ミリメートルから1,500ミリメートルまで(1.5インチから5
9インチまで)の手動又は自動の遮断用ベローズ弁及び制御用ベローズ弁であって、ガス拡散濃縮プラントの主要システム及び補助システムに設置するために特に設計し又は製作し、かつ、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料を用いて製造したもの
5.4.5 六ふっ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六ふっ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
1 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
2 ニクロム若しくはモネルにより製造し苦しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
3 電子衝突によりイオン化させるイオン源を有すること。
4 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
注 x
5.3及び5.4に掲げる品目は、工程中の六ふっ化ウランガスと直接接触し又はカスケード内のガスの流れを直接制御する。工程中のガスとのすべての接触面は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は内張りされる。ガス拡散関連品目に関する5.3及び5.4の適用上、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム酸化物、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金及び六ふっ化ウランに対し耐食性を有する完全にふっ化された炭化水素重合体を含む。
5.5 空気動力学濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注 釈
空気動力学濃縮工程においては、六ふっ化ウランガスと軽いガス(水素又はヘリウム)との混合物が圧縮され、分離要素を通過し、その際に曲面壁の幾何学的形状に沿って強い遠心力が生ずることにより、同位元素の分離が達成される。分離用ノズルによる処理及び渦巻管による処理の二の処理方法の開発は、既に成功している。これらの処理における分離段階の主要な部分品には、特殊な分離要素
(ノズル又は渦巻管)を収納する円筒形容器、ガス圧縮機及び圧縮熱を取り除くための熱交換機を含む。空気動力学濃縮プラントは、このような分離段階を多数必要とするため、それらの部分品の供給量から、これらの部分品の最終用途について重要な示唆が得られることがある。空気動力学濃縮工程は、六ふっ化ウランを使用するため、設備、配管及び器具のガスとのすべての接触面は、六ふっ化ウランと接触しても安定している材料を用いて製造する必要がある。
注 釈
この5.5に掲げる品目は、工程中の六ふっ化ウランガスと直接接触し又はカスケ-ド内のガスの流れを直接制御する。工程中のガスとのすべての接触面は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。空気動力学濃縮関連品目に関するこの5.5の適用上、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料には、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金及び六ふっ化ウランに対し耐食性を有する完全にふっ化された炭化水素重合体を含む。
5.5.1 分離用ノズル
特に設計し又は製作した分離用ノズル及びその集合体。分離用ノズルは、1ミリメートル未満(通常、0.05ミリメートルから0.1ミリメートルまで)の曲率半径の二の曲面壁に挟まれたスリット状の流路から成り、六ふっ化ウランに対し耐食性を有し、かつ、ノズルを通過するガスを二の流れに分離するための鋭角の分流壁を内部に有する。
5.5.2 渦巻管
特に設計し又は製作した渦巻管及びその集合体。この渦巻管は、直径が0.5センチメートルから4センチメートルまでの及び長さと直径との比が20対1以下の円筒形又は円すい形であって、一又は二以上の供給口を接線方向に有し、かつ、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。渦巻管は、一方又は双方の端にノズル状の附属物を有することがある。
注 釈
渦巻管に対するガスの供給は、管の一端から、翼板に沿って又は管の周辺の多数の地点から接線方向に行われる。
5.5.3 圧縮機及び送風機
六ふっ化ウランガスとキャリヤーガス(水素又はヘリウム)との混合物の吸引容量が2立方メートル毎分以上である特に設計し又は製作した軸流型、遠心型又は容積型の圧縮機又は送風機であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
注 釈
これらの圧縮機及び送風機は、通常、1.2対1から6対1までの圧力比を有する。
5.5.4 回転軸の密封装置
圧縮機又は送風機の回転子と駆動電動機との接続軸を密封し、六ふっ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物が充てんされた圧縮機又は送風機の内部からの工程中のガスの流出又はその内部への空気又はガス状密封材の混入に対する信頼性の高い密封を確保するために、かつ、密封材の供給及び排出のための接続部を有するように特に設計し又は製作した回転軸の密封装置
5.5.5 ガス冷却用熱交換機
特に設計し又は製作した熱交換機であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
5.5.6 分離要素の容器
渦巻管又は分離用ノズルを収納するために特に設計し又は製作した分離要素の容器であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
注 釈
この容器は、直径が300ミリメートルを超え、かつ、長さが900ミリメートルを超える円筒形の容器又は同等の大きさの直方体の容器であることがあり、及び水平方向又は鉛直方向に取り付けるように設計することがある。
5.5.7 供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
特に設計し又は製作した濃縮プラントのための処理システム又は設備であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
(次の品目を含む。)
(a) 六ふっ化ウランを濃縮工程に供給するためのオートクレーブ、オーブン又は供給システム
(b) 六ふっ化ウランを、その後の加熱及び移送に先立ち、濃縮工程から取り出すためのコールド・トラップその他の昇華器
(c) 六ふっ化ウランを濃縮工程から取り出し、圧縮して液化又は固化するための液化又は固化装置
(d) 六ふっ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置
5.5.8 通気配管システム
空気動力学カスケードにおいて六ふっ化ウランを取り扱うために特に設計し又は製作した通気配管システムであって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの。通常の配管は、単独の又は接続した分離
段階ごとに二の通気管が接続する。
5.5.9 真空システム及び真空ポンプ
(a) 吸引容量が5立方メートル毎分以上である特に設計し又は製作した真空システムであって、真空分岐管その他の真空通気管及び真空ポンプから成り、六ふっ化ウランを含む気体の中において使用するために設計されたもの
(b) 六ふっ化ウランを含む気体の中において使用するために特に設計し又は製作した真空ポンプであって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの。このポンプは、過ふっ化炭化水素の密封材及び特殊な作動流体を有することがある。
5.5.10 特殊な遮断弁及び制御弁
直径が40ミリメートルから1,500ミリメートルまでの手動又は自動の遮断用ベローズ弁及び制御用ベローズ弁であって、空気動力学濃縮プラントの主要システム及び補助システムに設置するために特に設計し又は製作し、かつ、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
5.5.11 六ふっ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六ふっ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
1 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
2 ニクロム若しくはモネルにより製造し若しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
3 電子衝突によりイオン化させるイオン源を有すること。
4 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
5.5.12 六ふっ化ウラン・キャリヤーガス分離システム
キャリヤーガス(水素又はヘリウム)から六ふっ化ウランを分離するために特に設計し又は製作した処理システム
注 釈
このシステムは、キャリヤーガス中の六ふっ化ウランの含有量を1含有100万分率以下に減少させるように設計し、及び次の設備を含むことがある。
(a) 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温熱交換機及び低温分離機
(b) 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温冷凍装置
(c) キャリヤーガスから六ふっ化ウランを分離するための分離用ノズル又は渦巻管装置
(d) 零下20セルシウス度以下の温度とすることができる六ふっ化ウラン用コ-ルドトラップ
5.6 化学交換又はイオン交換濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び構成部分品
注 釈
ウランの同位元素間の微小な質量差は、同位元素を分離する上で利用可能な小さな変化を化学反応の平衡に引き起こす。液液化学交換及び固液イオン交換の二
の処理方法の開発は、既に成功している。
液液化学交換処理においては、相互に混合することのない水相及び有機相の向流的な接触から、数千の段階からなる分離の効果が生ずる。水相及び有機相は、それぞれ塩化ウランを含む塩酸溶液及び塩化ウランを含む抽出溶媒の入った有機溶媒から成る。分離カスケ-ドにおいて使用する接触装置は、ふるい状の板を有するパルスコラム等液液交換コラム又は液体遠心接触機であることがある。各処理過程の両端において化学変換(酸化及び還元)を行い、各端において環流を発生させることが必要となる。工程の流れが特定の金属イオンにより汚染されることを防止することが設計上重要である。したがって、プラスチック(過ふっ化炭化水素重合体を利用したものを含む。)により製造され若しくは内張りされ又はガラスにより内張りされたコラム及び配管が使用される。
固液イオン交換処理においては、非常に早く反応する特殊なイオン交換樹脂又は吸着剤がウランを吸着し又は脱離することにより濃縮が行われる。ウランの塩酸溶液その他の化学物質は、吸着剤の層が充てんされた円筒形の濃縮コラムを通過する。連続的工程においては、還流システムは、吸着剤からウランを脱離して液体の流れの中に戻し、その「製品」及び「廃棄材」を捕集するために必要となる。このことは、還元及び酸化のための適当な化学物質であって、外部にある別個の経路を通じて再生されるもの又は同位元素の分離コラム内において部分的に再生されることのあるものを利用することによって可能となる。この工程には、高温の濃塩酸溶液が存在するため、特殊な耐食性の材料により設備を製造し又は保護する必要がある。
5.6.1 液液化学交換処理用の液液交換コラム
機械式注入を行う向流型の液液交換コラム(ふるい状の板を有するパルスコラ ム、往復回転板を有するコラム及び回転式ミキサ-を内部に有するコラム)であ って、化学交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作したもの。このコラム及びその内装物は、濃塩酸溶液に対する耐食性を要するため、過ふっ 化炭化水素重合体等適当なプラスチック材又はガラスにより製造され又は保護さ
れる。コラムにおける物質滞留時間は、30秒以下となるように設計される。
5.6.2 液液化学交換処理用の液液遠心接触機
化学交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作した液液遠心接触機。この接触機は、回転を利用して有機相及び水相を分散し、並びに遠心力を利用してこれらの相を分離する。接触機は、濃塩酸溶液に対する耐食性を要するため、過ふっ化炭化水素重合体等適当なプラスチック材により製造され若しくは内張りされ又はガラスにより内張りされる。遠心接触機における物質滞留時間は、30秒以下となるように設計される。
5.6.3 液液化学交換処理用のウラン還元システム及び設備
(a) 化学交換処理を利用するウラン濃縮のために、ある原子価のウランを他の原子価のウランに還元するように特に設計し又は製作した電気化学還元用のxx。処理溶液と接触するxxの材料は、濃塩酸溶液に対する耐食性を有する必要がある。
注 釈
xxの陰極区画は、ウランがxxの原子価のウランに再び酸化することのないように設計する必要がある。xxは、ウランを陰極区画内に保持するために、特殊な陽イオン交換材料を用いて製作される不浸透性隔膜を有することがある。陰極は、黒鉛等適当な固体の電導体から成る。
(b) カスケ-ドの「製品」取出側の端において有機相の流れから四価のウランを取り出し、酸の濃度を調節し及び電気化学還元用のxxに処理溶液を供給するために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
このシステムは、四価のウランを有機相の流れから取り出して水溶液に移し入れるための溶媒抽出設備、溶液の水素イオン濃度を調節し及び制御するための蒸
発設備その他の設備並びに電気化学還元用のxxに処理溶液を供給するためのポンプその他の移送装置から成る。水相の流れが特定の金属イオンにより汚染されることを防止することが設計上重要である。したがって、このシステムは、工程中の液体の流れとの接触部分については、ガラス、過ふっ化炭化水素重合体、硫酸ポリフェニル、ポリエーテルスルホン、樹脂を含浸する黒鉛等適当な材料により製造され又は保護された設備から成る。
5.6.4 液液化学交換処理用の供給溶液生産システム
化学交換処理を利用するウラン同位元素の分離プラントに供給される高純度の塩化ウラン溶液を生産するように特に設計し又は製作したシステム
注 釈
このシステムは、精製のための溶解、溶媒抽出又はイオン交換の設備及び六価又は四価のウランを三価のウランに還元するための電解槽から成る。このシステムは、クロム、鉄、バナジウム、モリブデン、その他二価以上の原子価を有する陽イオンの金属等金属不純物の含有100万分率がわずかであるような塩化ウラン溶液を生産する。このシステムにおいて高純度の三価のウランを処理する部分は、ガラス、過ふっ化炭化水素重合体、硫酸ポリフェニル並びにポリエーテルスルホンにより内張りし及び樹脂を含浸した黒鉛を含む材料を用いて製造する。
5.6.5 液液化学交換処理用のウラン酸化システム
化学交換処理を利用する濃縮工程においてウラン同位元素の分離カスケードに還流するために三価のウランを四価のウランに酸化するように特に設計し又は製作したシステム
注 釈
このシステムには、次の設備を含むことがある。
(a) 同位元素の分離設備から流出した水溶液と塩素及び酸素とを接触させ、その
結果生じた四価ウランの「製品」を抽出し、当該「製品」をカスケードの
「製品」取出側の端から還流する四価のウランを含まない有機相に移し入れるための設備
(b) 水及び濃塩酸を適当な箇所において工程に再供給することができるように塩酸から水を分離する設備
5.6.6 固液イオン交換処理用の高速反応イオン交換樹脂及び吸着剤
イオン交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作した高速反応イオン交換樹脂又は吸着剤(大型網目状の多孔質樹脂、薄膜構造の多孔質の樹脂又は吸着剤で内部支持構造は不活性であるが、表面の被覆に限って活性化学交換基が存在するもの及び他の複合構造の樹脂又は吸着剤で粒子状、繊維状等適当な形状のものを含む。)。これらのイオン交換樹脂及び吸着剤は、粒子の直径が
0.2ミリメートル以下であり、かつ、交換コラム内で分解されないように濃塩酸溶液に対する化学的な耐食性及び物理的な強度を有する必要がある。これらの樹脂及び吸着剤は、非常に速いウラン同位元素の交換速度(10秒未満の半交換時間)を達成するように特に設計しており、100セルシウス度から200セルシウス度までの温度において作用することができる。
5.6.7 固液イオン交換処理用のイオン交換コラム
層状に充てんされたイオン交換樹脂及び吸着剤を収納し及び保持するための直径が1,000ミリメートルを超える円筒形のコラムであって、イオン交換処理を利用するウラン濃縮のために特に設計し又は製作したもの。このコラムは、チタン、過ふっ化炭化水素プラスチック等濃塩酸溶液に対する耐食性を有する材料により製造され又は保護され、かつ、100セルシウス度から200セルシウス度までの温度及び0.7メガパスカル(絶対値で102ポンド毎平方インチ)を超える圧力の下においても作動することができる。
5.6.8 固液イオン交換処理用のイオン交換還流システム
(a) イオン交換処理を利用するウラン濃縮カスケードにおいて使用する化学還元剤を再生するために特に設計し又は製作した化学又は電気化学還元システム
(b) イオン交換処理を利用するウラン濃縮カスケードにおいて使用する化学酸化剤を再生するために特に設計し又は製作した化学又は電気化学酸化システム
注 釈
イオン交換処理を利用する濃縮においては、例えば、還元陽イオンとして三価のチタンを使用することがあり、この場合には還元システムは四価のチタンを還元して三価のチタンを再生する。
また、イオン交換処理を利用する濃縮においては、例えば、酸化剤として三価の鉄を使用することがあり、この場合には酸化システムは二価の鉄を酸化して三価の鉄を再生する。
5.7
レーザーを利用した濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注 釈
レーザーを利用した濃縮処理の現在のシステムは、ウラン原子の蒸気を媒体と する処理及びウラン化合物の蒸気を媒体とする処理のいずれかに分類される。こ れらの二の処理についての一般的な用語は、「第一の処理」については、レーザ ーを利用した原子蒸気の同位体分離(AVLIS又はSILVA)であり、また、
「第二の処理」については、レーザーを利用した分子の同位体分離(MLIS又はMOLIS)及びレーザーを利用した同位元素の選択的活牲化による化学反応
(CRISLA)である。レーザーを利用した濃縮プラントのためのシステム、設備及び部分品には、(a)選択的光電離を行うため金属ウランの蒸気を供給する装置又は光解離を行い若しくは化学的に活性化するためウラン化合物の蒸気を供給する装置、(b)「第一の処理」については、濃縮された金属ウランを「製品」として及び劣化した金属ウランを「廃棄材」として捕集する装置、また、「第二
の処理」については、解離され又は活性化された化合物を「製品」として及び影響を受けなかった物質を「廃棄材」として捕集する装置、(c)ウラン235の核種を選択的に励起するレーザー処理システム並びに(d)供給される物質の生産設備及び「製品」の転換設備を含む。ウランの原子及び化合物が分光学的に複雑であるため、利用可能な種々のレーザー技術を組み合わせることが必要となる場合もある。
注 釈
この5.7に掲げる品目の多くは、金属ウランの蒸気若しくは液体又は六ふっ 化ウラン若しくは六ふっ化ウランと他のガスとの混合物から成る工程中のガスと 直接接触する。ウラン又は六ふっ化ウランとのすべての接触面は、それぞれウラ ン又は六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。レーザーを利用した濃縮関連品目に関するこの5.7の適用上、金属ウラン又は ウラン合金の蒸気又は液体に対し耐食性を有する材料には、酸化イットリウムに より被覆された黒鉛及びタンタルを含み、また、六ふっ化ウランに対し耐食性を 有する材料には、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケ ル、ニッケルを60パーセント以上含有する合金及び六ふっ化ウランに対し耐食 性を有する完全にふっ化された炭化水素重合体を含む。
5.7.1 AVLIS用のウラン蒸発システム
目標物に対して2.5キロワット毎センチメートルを超える高出力を帯状に又は走査するように与える電子ビーム銃を収納する特に設計し又は製作したウラン蒸発システム
5.7.2 AVLIS用の液状金属ウラン取扱システム
溶融したウラン又はウラン合金用に特に設計し又は製作した液体金属取扱システムであって、るつぼ及びその冷却設備から成るもの
注 釈
このシステムにおいて溶融したウラン又はウラン合金と接触するるつぼその他 の部分は、適当な耐食性及び耐熱性を有する材料により製造され又は保護される。適当な材料には、タンタル、酸化イットリウムその他の希土類元素の酸化物によ り被覆された黒鉛及びそれらの混合物を含む。
5.7.3 AVLIS用の金属ウランの「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品
液状又は固体状の金属ウラン用に特に設計し又は製作した「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品
注 釈
この組立品の部分品は、金属ウランの蒸気又は液体に対する耐熱性及び耐食性を有する材料(酸化イットリウムにより被覆された黒鉛、タンタル等)により製造され又は保護され、また、管、弁、附属品、溝、供給系、熱交換機及び磁気分離法、xx分離法その他の分離法において使用する捕集板を含むことがある。
5.7.4 AVLIS用の分離室の容器
金属ウランの蒸発装置、電子ビーム銃並びに「製品」及び「廃棄材」捕集装置を収納するために特に設計し又は製作した円筒形又は直方体の容器
注 釈
この容器は、電気の供給、水の供給、レーザー・ビームの照射及び真空ポンプの接続のために必要な並びに機器の特性上及び監視上必要な多くの開口部を有する。また、この容器は、内装部品の更新のため開閉可能な部分を有する。
5.7.5 MLIS用の超音速膨張ノズル
六ふっ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物を150ケルビン以下に冷却するために特に設計し又は製作した超音速膨張ノズルであって、六ふっ化ウラン
に対し耐食性を有するもの
5.7.6 MLIS用の五フッ化ウランの「製品」捕集装置
特に設計し又は製作した固体状の五ふっ化ウラン「製品」捕集装置。これは、フィルター型、衝突型若しくはサイクロン型捕集装置又はそれらの組合せから成り、五ふっ化ウラン及び六ふっ化ウランに対し耐食性を有する。
5.7.7 MLIS用の六ふっ化ウランガス及びキャリヤーガスの圧縮機
六ふっ化ウランの中において長期間作動可能であるよう特に設計し又は製作した六ふっ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物の圧縮機。工程中のガスと接触するこの圧縮機の部分品は、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護される。
5.7.8 MLIS用の回転軸の密封装置
圧縮機の回転子と駆動電動機との接続軸を密封し、六ふっ化ウランガスとキャリヤーガスとの混合物が充てんされた圧縮機の内部からの工程中のガスの流出又はその内部への空気又はガス状密封材の混入に対する信頼性の高い密封を確保するために、かつ、密封材の供給及び排出のための接続部を有するように特に設計し又は製作した回転軸の密封装置
5.7.9 MLIS用のふっ化システム
固体状の五ふっ化ウランをふっ化して六ふっ化ウランガスにするために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
このシステムは、捕集した粉末状の五ふっ化ウランをふっ化して六ふっ化ウランにするよう設計する。このようにして生じた六ふっ化ウランは、「製品」の容
器内に捕集され又はMLIS用設備における追加的な濃縮のために移送される。一のふっ化方法は、「製品」捕集装置に対応し直接「製品」を回収するような同位体分離システム内においてふっ化反応を得るものである。他のふっ化方法は、粉末状の五ふっ化ウランを「製品」捕集装置から取り出し、流動床又はら旋式反応器、燃焼塔等適当なふっ化反応容器に移し入れるものである。双方のふっ化方法において、ふっ素その他の適当なふっ化剤の貯蔵及び移送設備並びに六ふっ化ウランの捕集及び移送設備が利用される。
5.7.10 MLIS用の六ふっ化ウラン質量分析計及びイオン源
供給される六ふっ化ウランガス又はその「製品」若しくは「廃棄材」をガスの流れの中から試料として採取することが可能な特に設計し又は製作した磁気又は四重極質量分析計であって、次の特性のすべてを有するもの
1 原子質量単位が320を超える場合にその2未満の単位差について分解能を有すること。
2 ニクロム若しくはモネルにより製造し若しくは内張りし又はニッケルによりめっきしたイオン源を有すること。
3 電子衝突によりイオン化させるイオン源を有すること。
4 同位元素の分析に適した捕集システムを有すること。
5.7.11 MLIS用の供給システム並びに「製品」及び「廃棄材」回収システム
特に設計し又は製作した濃縮プラントのための処理システム又は設備であって、六ふっ化ウランに対し耐食性を有する材料により製造され又は保護されたもの
(次の品目を含む。)
(a) 六ふっ化ウランを濃縮工程に供給するためのオートクレーブ、オーブン又は
供給システム
(b) 六ふっ化ウランを、その後の加熱及び移送に先立ち、濃縮工程から取り出すためのコールドトラップその他の昇華器
(c) 六ふっ化ウランを濃縮工程から取り出し、圧縮して液化又は固化するための液化又は固化装置
(d) 六ふっ化ウランの「製品」及び「廃棄材」を容器に移し入れるための装置
5.7.12 MLIS用の六ふっ化ウラン・キャリヤーガス分離システム
キャリヤーガスから六ふっ化ウランを分離するために特に設計し又は製作した処理システム。キャリヤーガスは、窒素、アルゴンその他のガスであることがある。
注 釈
このシステムには、次の設備を含むことがある。
(a) 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温熱交換機及び低温分離機
(b) 零下120セルシウス度以下の温度とすることができる低温冷凍装置
(c) 零下20セルシウス度以下の温度とすることができる六ふっ化ウラン用コールドトラッブ。
5.7.13 AVLIS,MLIS及びCRISLA用のレーザー・システム
ウランの同位元素の分離のために特に設計し又は製作したレーザー又はレーザー・システム
注 x
AVLIS用レーザー・システムは、通常、銅蒸気レーザー及び色素レーザーの二のレーザーから成る。MLIS用レーザー・システムは、通常、二酸化炭素レーザー又はエキシマー・レーザー及び光路の両端に可動鏡を有する多重光路光学室から成る。双方のレーザー・システム又はそれぞれのレーザーは、長期間作動するためにスペクトル周波数安定器を必要とする。
5.8
プラズマ分離濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注 釈
ブラズマ分離工程においては、プラズマ状のウラン・イオンは、ウラン235イオンの共鳴振動数に同調した電場を通過することにより、エネルギーを選択的に吸収し、ら旋状に拡大していく周回軌道を描く。直径が大きな周回軌道に入ったイオンは、ウラン235を濃縮した「製品」を生産するため捕集される。ウラン蒸気の電離から生ずるブラズマは、超伝導磁石を用いて強い磁場を発生させた真空の分離室に封じ込められる。この工程における主要な技術システムには、ウラン・ブラズマ発生システム、超伝導磁石を有する分離室並びに「製品」及び
「廃棄材」を捕集するための金属回収システムを含む。
5.8.1 マイクロ波出力源及び空中送波線
イオンの発生又は加速のために特に設計し又は製作したマイクロ波出力源及び空中送波線であって、周波数が30ギガヘルツを超え及びイオン発生用の平均出力が50キロワットを超えるもの
5.8.2 イオン励起コイル
周波数が100キロヘルツを超えるように特に設計し又は製作した高周波イオン励起コイルであって、平均電力が40キロワットを超える電力を取り扱うこと
ができるもの
5.8.3 ウラン・プラズマ発生システム
ウラン・プラズマ発生用に特に設計し又は製作したシステム。このシステムは、目標物に対して2.5キロワット毎センチメートルを超える高出力を帯状に又は 走査するように与える電子ビーム銃を収納することがある。
5.8.4 液状金属ウラン取扱システム
溶融したウラン又はウラン合金用に特に設計し又は製作した液体金属取扱システムであって、るつぼ及びその冷却設備から成るもの
注 釈
このシステムにおいて溶融したウラン又はウラン合金と接触するるつぼその他 の部分は、適当な耐食性及び耐熱性を有する材料により製造され又は保護される。適当な材料には、タンタル、酸化イットリウムその他の希土類元素の酸化物によ り被覆された黒鉛及びそれらの混合物を含む。
5.8.5 金属ウランの「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品
固体状の金属ウラン用に特に設計し又は製作した「製品」及び「廃棄材」捕集装置の組立品。この捕集装置の組立品は、金属ウランの蒸気に対する耐熱性及び耐食性を有する材料(酸化イットリウムにより被覆された黒鉛、タンタル等)により製造され又は保護される。
5.8.6 分離室の容器
プラズマ分離濃縮プラントのために特に設計し又は製作した円筒形の容器であって、ウラン・プラズマ発生装置、高周波コイル並びに「製品」及び「廃棄材」捕集装置を収納するためのもの
注 釈
この容器は、電気の供給及び拡散ポンプの接続のために必要な並びに機器の特性上及び監視上必要な多くの開口部を有する。また、この容器は、内装部品の更新のため開閉可能な部分を有し、かつ、ステンレス鋼等適当な非磁性材料を用いて製造される。
5.9 電磁濃縮プラントのために特に設計し又は製作したシステム、設備及び部分品
注 釈
電磁式分離工程においては、四塩化ウランのような塩の電離から生ずる金属ウランのイオンは加速されて磁場を通過し、異なる同位元素のイオンがそれぞれ異なる経路を進むこととなる。電磁式同位体分離装置の主要な部分品には、イオン
・ビームの分岐及び同位体分離のための磁場、加速システムを有するイオン源並びに分離されたイオンの捕集システムを含む。この工程の補助システムには、磁極への電力供給システム、イオン源用高圧電力供給システム、真空システム並びに「製品」の回収、部品の洗浄及び部品の再利用のための種々の化学的処理システムを含む。
5.9.1 電磁式同位体分離装置
ウランの同位元素の分離のために特に設計し又は製作した電磁式同位体分離装置並びにその設備及び部分品(次の品目を含む。)
(a) イオン源
特に設計し又は製作した単一過程又は複合過程のウラン・イオン源であって、蒸気源、イオン化装置及びビーム加速器から成り、黒鉛、ステンレス鋼、銅等適当な材料を用いて製造され、かつ、総計が50ミリアンペア以上のイオン・ビームを放出することができるもの
(b) イオン捕集装置
濃縮ウラン及び劣化ウランのイオン・ビームを捕集するために特に設計し又は製作した二以上のスリット及び捕集口を有する捕集板であって、黒鉛、ステンレス鋼等適当な材料を用いて製造されたもの
(c) 真空容器
特に設計し又は製作した電磁式ウラン分離装置用真空容器であって、ステンレス鋼等適当な非磁性材料を用いて製造され、かつ、0.1パスカル以下の圧力の下において使用するように設計したもの
注 釈
この容器は、イオン源、捕集板及び水冷却される内張りを収納するために特に設計され、拡散ポンプ接続部を有し、かつ、これらの内装部品の取り外し及び再取付けのために開閉可能な部分を有する。
(d) 磁極部分品
特に設計し又は製作した磁極部分品であって、直径が2メートルを超え、かつ、
1の電磁式同位体分離装置内に一定の磁場を維持し及び隣接する複数の分離装置に磁場を提供するためのもの
5.9.2 高圧電力供給設備
イオン源用に特に設計し又は製作した高圧電力供給設備であって、2万ボルト以上の出力電圧、1アンペア以上の出力電流及び0.01パーセント未満の電圧変動率の電力を8時間を超えて継続的に供給することができるもの
5.9.3 磁極への電力供給設備
特に設計し又は製作した高出力かつ直流の電力を磁極に供給する設備であって、
500アンペア以上の電流、100ボルト以上の出力電圧及び0.01パーセント未満の電流又は電圧変動率の電力を8時間を超えて継続的に供給することができるもの
6 重水、重水素及び重水素化合物の生産プラント並びに重水、重水素及び重水素化合物の生産のために特に設計し又は製作した設備
注 釈
重水は種々の処理方法により生産することができるが、水・硫化水素交換処理
(GS処理)及びアンモニア・水素交換処理が商業上実施可能である旨実証されている。
GS処理は、上部を冷却し及び下部を加熱する一連の交換塔内において、水と硫化水素との間に水素及び重水素の交換が生ずることによって行われる。硫化水素ガスの流れが交換塔内の下部から上部に向け生ずる間、水の流れが下部に向け生ずる。この硫化水素ガスと水との混合を促進するために、一連の多孔板が利用される。重水素は、低温においては水に、高温においては硫化水素に移行する。重水素を濃縮したガス又は水は、加熱部分と冷却部分とが接する箇所において第一段階の交換塔から取り出され、同様の処理がその後の段階の交換塔においても繰り返される。GS処理の最終工程における生産物(重水素の濃度が30パーセントとなった水)は、原子炉級重水(酸化重水素の濃度が99.75パーセントである水)を生産するために蒸留装置に移送される。
アンモニア・水素交換処理は、触媒を用いて合成ガスと液体アンモニアとを接 触させることにより、合成ガスから重水素を抽出することによって行われる。合 成ガスは、交換塔及びアンモニア転換器に供給される。液体アンモニアの流れが 交換塔内の上部から下部に向け生ずる間、合成ガスの流れが下部から上部に向け 生ずる。重水素は、アンモニア内で合成ガス中の水素から取り出され、濃縮され る。ガスが交換塔上部のアンモニア転換器に流入する間、アンモニアは交換塔下 部のアンモニア分解器に流入する。その後の段階において濃縮が繰り返された後、最終的な蒸留によって原子炉級重水が生産される。合成ガスの原料は、アンモニ ア工場から供給することができ、また、アンモニア工場をアンモニア・水素交換 処理を利用した重水生産プラントと共に建設することもある。アンモニア・水素 交換処理においては、重水素の原料として通常の水を利用する場合もある。
GS処理又はアンモニア・水素交換処理を利用した重水生産プラントのための主 要な設備(特に、GS処理を利用した小規模の工場のための主要な設備)の多く は、化学工業及び石油工業の種々の部門において必要な設備と共通する。もっと も、大半の設備は、既製品として購入することができない。GS処理及びアンモ ニア・水素交換処理は、可燃性、腐食性及び毒性を有する大量の流体を高圧下に おいて取り扱う必要がある。このため、これらの処理を利用するプラント及び設 備の設計基準及び運転基準を設定するに際しては、高い安全性及び信頼性を伴う 長期間の作動を確保するため、材料の選択及びその仕様に関して慎重な考慮を払 う必要がある。主として経済的条件と必要性との相関関係によって操業の規模が 決定されるため、大半の設備は、顧客の求めに応じて特に製造されることとなる。
最後に、GS処理及びアンモニア・水素交換処理の双方において、重水生産用に特に設計し又は製作した設備ではない個々の設備であっても、当該個々の設備を特に設計し又は製作した重水生産用システムとして組み合わせることが可能であることに留意する必要がある。そのようなシステムの例として、アンモニア・水素交換処理において使用する触媒生産システム及び双方の処理において重水を最終的に濃縮して原子炉級重水とするために使用される水蒸留システムがある。
GS処理又はアンモニア・水素交換処理のいずれかを利用した重水の生産のために特に設計し又は製作した設備には、次の設備を含む。
6.1 水・硫化水素交換塔
水・硫化水素交換処理(GS処理)を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作した交換塔であって、アメリカ材料試験協会(ASTM)のA516に該当するような規格の細粒炭素鋼を用いて製造され、直径が6メートル(20フィート)から9メートル(30フィート)までであり、2メガパスカル(300ポンド毎平方インチ)以上の圧力の下において作動可能であり、かつ、寸法上の腐食許容限度が6ミリメートル以上であるもの
6.2 送風機及び圧縮機
単段の、圧力水頭が0.2メガパスカル(30ポンド毎平方インチ)の、かつ、硫化水素を70パーセント以上含む硫化水素ガスの循環用の遠心型送風機又は圧 縮機であって、水・硫化水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し 又は製作したもの。この送風機又は圧縮機は、56立方メートル毎秒(12万標 準立方フィート毎分)の処理容量及び1.8メガパスカル(260ポンド毎平方 インチ)の吸引圧力を有し、かつ、湿性の硫化水素の密封用に設計された構造を 有する。
6.3 アンモニア・水素交換塔
高さが35メートル(114.3フィート)以上であり、直径が1.5メートル
(4.9フィート)から2.5メートル(8.2フィート)までであり、15メガパスカル(2,225ポンド毎平方インチ)を超える圧力の下においても作動可能な及びアンモニア・水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作したアンモニア・水素交換塔。この交換塔は、また、内装物を挿入し又は取り出すために少なくとも一箇所において、交換塔と同一の口径の軸方向に開放されるフランジ付きの開口部を有する。
6.4 交換塔の内装物及び多段接触器用ポンプ
アンモニア・水素交換処理を利用した重水生産用の交換塔のために特に設計し又は製作した内装物及び多段接触器用ポンプ。交換塔の内装物には、気体と液体との接触を促進するために特に設計した多段接触器を含む。多段接触器用ポンプには、多段接触器内において液体アンモニアを循環させるために特に設計した浸せき式ポンプを含む。
6.5 アンモニア分解器
3メガパスカル(450ポンド毎平方インチ)以上の圧力の下においても作動
可能なアンモニア・水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作したアンモニア分解器
6.6 赤外線吸収分析器
重水素の濃度が90パーセント以上である場合においてプラントの稼働中に水素と重水素との比の分析をすることができる赤外線吸収分析器
6.7 触媒バーナー
アンモニア・水素交換処理を利用した重水の生産のために特に設計し又は製作した触媒バーナーであって濃縮重水素ガスを重水に転換するためのもの
7 ウラン転換プラント及びウランの転換のために特に設計し又は製作した設備
注 釈
ウラン転換プラント及びウラン転換システムにおいては、ある化学種のウランから他の化学種のウランヘの一又は二以上の転換(ウラン鉱石の精鉱から三酸化ウランヘの転換、三酸化ウランから二酸化ウランヘの転換、ウラン酸化物から四ふっ化ウラン又は六ふっ化ウランヘの転換、四ふっ化ウランから六ふっ化ウランヘの転換、六ふっ化ウランから四ふっ化ウランヘの転換、四ふっ化ウランから金属ウランヘの転換及びウランふっ化物から二酸化ウランヘの転換を含む。)を行うことがある。ウラン転換プラントのための主要な設備の多くは、化学処理工業の種々の部門において必要な設備と共通する。そのような設備には、加熱炉、回転炉、流動床式反応器、燃焼塔、液体遠心分離機、蒸留コラム及び液液抽出コラムを含む。もっとも、大半の設備は、既製品として購入することができず、顧客の求める条件及び仕様に従って製造される。一定の場合には、一部の化学物質
(ふっ化水素、ふっ素、三ふっ化塩素及びウランふっ化物)の腐食性に対処するため、特別の設計及び製作上の考慮が必要となる。最後に、ウラン転換用に特に設計し又は製作した設備ではない個々の設備であっても、当該個々の設備を特に
設計し又は製作したウラン転換用システムとして組み合わせることが可能であることに留意する必要がある。
7.1 ウラン鉱石の精鉱から三酸化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
ウラン鉱石の精鉱から三酸化ウランヘの転換は、最初に、鉱石を硝酸により溶解し、精製された硝酸ウラニルを燐酸トリブチル等の溶媒を利用して抽出することにより行われる。次に、硝酸ウラニルは、濃縮及び脱硝により又はアンモニアガスを利用した中和から生ずる二ウラン酸アンモニウムをろ過し、乾燥し及びか焼することによって、三酸化ウランに転換される。
7.2 三酸化ウランから六ふっ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
三酸化ウランから六ふっ化ウランヘの転換は、ふっ化により直接行うことができる。この処理は、ふっ素ガス又は三ふっ化塩素の供給源を必要とする。
7.3 三酸化ウランから二酸化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
三酸化ウランから二酸化ウランヘの転換は、三酸化ウランを分解アンモニアガス又は水素により還元することにより行うことができる。
7.4 二酸化ウランから四ふっ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
二酸化ウランから四ふっ化ウランヘの転換は、300セルシウス度から500セルシウス度までにおいて二酸化ウランをふっ化水素ガスと反応させることにより行うことができる。
7.5 四ふっ化ウランから六ふっ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
四ふっ化ウランから六ふっ化ウランヘの転換は、反応塔内におけるふっ素との発熱反応により行う。反応塔から流出する高温のガスの流れが零下10セルシウス度に冷却したコールドトラップを通過することにより、六ふっ化ウランが凝縮される。この処理は、ふっ素ガスの供給源を必要とする。
7.6 四ふっ化ウランから金属ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 釈
四ふっ化ウランから金属ウランヘの転換は、大量の転換を行う場合にはマグネシウムにより又は小量の転換を行う場合にはカルシウムにより還元することにより行う。このような反応は、ウランの融点(1,130セルシウス度)を超える温度において起こる。
7.7
六ふっ化ウランから二酸化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 x
xふっ化ウランから二酸化ウランヘの転換は、三の処理のうちのいずれかにより行うことができる。第一の処理は、六ふっ化ウランを、水素及び水蒸気を利用して還元し及び加水分解して二酸化ウランとする。第二の処理は、六ふっ化ウランを、水溶液により加水分解し、アンモニアを加えて二ウラン酸アンモニウムを沈殿させ、更に二ウラン酸塩を、820セルシウス度において水素により還元す
ることにより二酸化ウランとする。第三の処理は、ガス状の六ふっ化ウラン、二酸化炭素及びアンモニアを水中において化合させて、炭酸ウラニルアンモニウムを沈殿させる。炭酸ウラニルアンモニウムは、500セルシウス度から600セルシウス度までにおいて水蒸気及び水素と化合して二酸化ウランとなる。
六ふっ化ウランから二酸化ウランヘの転換は、多くの場合、燃料加工プラントの最初の工程として行われる。
7.8
六ふっ化ウランから四ふっ化ウランヘの転換のために特に設計し又は製作したシステム
注 x
xふっ化ウランから四ふっ化ウランヘの転換は、水素により還元することにより行う。
内閣総理大臣 xxxx外務大臣 xxxx
通商産業大臣 xxxx