滋賀大学経済学部研究年報 Vol.28 2021 ─ 55 ─
滋賀大学経済学部研究年報 Vol.28 2021 ─ 55 ─
高齢者サポート契約の内容
x x xxx
Ⅰ はじめに
1 公的介護保険外サービス
厚生労働省は,2025(令和7)年を目途に,地域包括ケアシステムの構築を進めようとしている1)。この地域包括ケアシステムは,高齢者の尊厳を保持し自立生活を支援することを目的に,可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように提供される地域の包括的な支援・サービスの体制を指す。
この体制の中で,「介護保険等の社会保険制度や公的サービスに加え,ボランティアや住民主体の活動等である『互助』,市場サービス購入等である『自助』を充実していく必要がある」2)とされる。公的介護保険外サービスは
100% 自費で賄うものであるが,公的な制度・サービスが厳格な利用基準に基づいて運用・提供されるのに対し,保険外サービスによれば,各人のニーズに即した支援が柔軟に,きめ細かく実現されるものと期待される。
「身元保証等高齢者サポート事業」は,この公的介護保険外サービスの1つに位置づけられた5)(以下,この事業を「サポート事業」,サポート事業を行う事業者と高齢者等の利用者との間のサービス提供契約を「サポート契約」,提供されるサービスを「サポートサービス」と総称する。)。サポート事業の内容はおおむね,「身元保証サービス」,「日常生活支援サービス」,「死後事務サービス」の5つ4)に区分されるが,事業者によっては,それらとは別に,遺言書作成やxx後見・財産管理のサポートサービスが追加されること,サービス区分が変更されることもある。
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1 )厚生労働省 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/xxxxxxx_xxxxx/xxxxx_xxxxxxxxx/xxxxxx- houkatsu/(本稿中の URL の確認時は2021/08/29である。)
2 )厚生労働省・農林水産省・経済産業省『地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集─保険外サービス活用ガイドブック』(平成28年5月)1頁。xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/00-Xxxxxxxxxxxxx- 12500000-Roukenkyoku/guidebook-zentai.pdf
5 )(株)日本総合研究所「地域包括ケアシステムの構築に向けた公的介護保険外サービスの質の向上を図るための支援のあり方に関する調査研究事業」(平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業,座長:xxxxx/上智大学総合人間科学部社会福祉学科,研究員:xxxx・xxx/(株)日本総合研究所)xxxxx://xxx.xxx. xx.xx/xxxx.xxx?xxx00000
xxxxx「xxxする社会保障・社会福祉と身元保証制度からみる消費者保護の在り方についての覚書」上智大学社会福祉研究45号(2020年)5 ~ 40頁。
4 )消費者委員会「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての調査報告」(平成29年1月)(以下,
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2016(平成28)年の初め,公益財団法人の形態により多くの会員を集めていたサポート事業者が破綻した。2017(平成29)年1月,内閣府消費者委員会は「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての調査報告」5)を公表し,その後,複数の調査研究が行われ,実態把握が図られた6)。サポート契約の締結を検討する利用者(本人,消費者)の参考に資するよう,ポイント集7)もまとめられた。
2 「身元保証人等がいないこと」
前述した5つの調査研究の成果公表の時期に,厚生労働省は2つの通知を発出した。一方は「入院に際し,身元保証人等がいないことのみを理由に,医師が患者の入院を拒否することは,医師法第19条第1項に抵触する。」8)とするもの,もう一方は「介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく,各施設の基準省令においても,正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできないこととされており,入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは,サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない。」9)とするものであった。
「身元保証人等がいないこと」を理由とした入院・入所の希望者に対する不利益な扱いは許されないことが明確にされた。しかし,「身元
保証人」を求めない対応は,後述Ⅱ3のガイドラインに収録された支援シートによるものを除いては,いまだ限定的である。
「身元保証人」のいない人としては高齢の単身者が思い浮かぶだろうが,存命の親族が誰一人いない人ばかりでなく,離れて暮らす子や疎遠な甥姪には頼らず,自力で対応したいと考える人も少なくないであろう。また,高齢者施設への入所以外(入院や他の施設への入所)については,当然ながら高齢者だけが直面する問題でもない。サポート事業は,公的支援その他の制度とともに,個人の生活を支える役割の一端を担う可能性がある10)。
3 サポート契約の広がり
サポート事業については,先の調査研究以降も新しい事業者が続々とサービスを開始しており,さらにはサポート事業の新規開業をサポートする事業者までも現れている。xx後見人を受任する弁護士・司法書士等の法律専門家向けの緊急時駆けつけプランを提供する事業者もある。
「身元保証サービス」はサポート事業のメニューの筆頭に挙げられることが多かったが,厚生労働省の通知をふまえれば,現在では,契約の相手方である消費者(高齢者等)に入院・
───────────────────────────────── 5 )消費者委員会『調査報告』・前掲注(4)。
6 )前掲注(5)による A を含め5つの調査研究の報告書が公表された。
A:『地域包括ケアシステムの構築に向けた公的介護保険外サービスの質の向上を図るための支援のあり方に関する調査研究事業報告書』(2018年) xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxx/xxxxxx/xxxxxxx/xxx/000000_xxxxxxxxxxx. pdf
B:『医療現場におけるxx後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究報告書』(2018年)xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx
C:『介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業報告書』(2018年) xxxxx://xxx.xxxxxx-xx.xx.xx/ case/research/pdf/mhlw_kaigo2018_04.pdf
7 )「『身元保証』や『お亡くなりになられた後』を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ」https:// xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx
8 )厚生労働省医政局医事課長「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」(平成50年4月27日)医xx発0427第2号
9 )厚生労働省老健局高齢者支援課・振興課「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」(平成50年8月50日)老高発0850第1号,老振発0850第2号
10)xxx「超高齢社会における身元保証の現状と課題」JRI レビュー Vol.5 No.77(2020年)2 ~ 50頁(5頁)は,民間事業者による既存サービスの健全化として,i)当該事業の管理監督省庁の設定,ⅱ)事業免許制の導入,ⅲ)事業に関するガイドラインの作成と遵守の徹底の5点を提唱する。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 55 ─
入所の際に不可欠だと信じさせること自体が
「重要事項について事実と異なる」ものであり,あるいは,「加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下している」者に対し,「現在の生活の維持に」対する「過大な不安をあお」るものともなりうる〔消費者契約法4条1項1号, 4条5項5号〕11)。この点について,サポート事業者のウェブサイトを閲覧する限りでは,特に注意喚起するものは見当たらないが,入院・入所時の「身元保証」の位置づけが変化する中では,今後,サポート契約への影響は避けられないはずである。
4 本稿の構成
本稿では,2017(平成29)年の消費者委員会の建議において言及された4つの考慮事項12)のうち,「契約内容(解約時のルール等)の適正化,費用体系の明確化(モデル契約書の策定等)」に焦点を当てる。
「身元保証等高齢者サポート事業」において,これまでに提供されてきた事業者の「身元保証サービス」の特徴的な部分を確認し(Ⅲ),各事業者が提供しているサポート契約に「身元保証サービス」の他,どのような内容のサービスが含まれるか,料金(費用,報酬)はどのタイミングで支払われるかを少し具体的に見ていくことにする(Ⅳ)。それを受けて,近時,裁判に現れた2つの事案をふまえ,サポート事業一般の問題として対応されるべき事項の抽出を試みる(Ⅴ)。
これらの課題に先立ち,この「身元保証」「身元保証人」を現在,どのように受け止めるべき
か,その法的意義を今一度,確認する(Ⅱ)。
Ⅱ 「身元保証」の法的意義
サポート契約中の「身元保証サービス」に関連して,医療機関への入院,介護保険施設(福祉施設)等への入所の際に求められうる「身元保証」の法的意義については以前にも検討したが15),その後,状況に変化が生じている。
本節(Ⅱ)においては,法的効力の曖昧な「身 元保証」から債務保証が切り離されるとともに,
「身元保証書」に代わるものとして用いられ始めた「支援シート」が病院・施設に受け入れられつつある状況を見ていく。
1 雇用時の身元保証
法律用語としての身元保証は,従来は,一般に,雇用の際に使用者のために設定される身元保証を指した。xx(江戸)時代以前より存在した人請,奉公人請状に由来するものである14)。
明治時代中期以降,身元保証は,それ以前とは異なり,社会の治安維持を目的として為政者によって強制されるものではなくなり,私法上の純粋な損害填補の手段へと変容した。それでも時に苛酷な負担の原因となったために,1955
(昭和8)年の「身元保証ニ関スル法律」(身元保証法)により,身元保証人の責任に対し,期間,金額の双方から限度が設けられた。なお,被用者の行為により使用者が被った損害を賠償することを約するものは,「引受,保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ」,身元保証契約と呼ばれる〔身
───────────────────────────────── 11)名古屋地xxx判令和5・1・28裁判所ウェブサイト(後述Ⅴ2)
12)消費者委員会「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議(平成29年1月51日)」4頁には「①契約内容(解約時のルール等)の適正化,費用体系の明確化(モデル契約書の策定等)②預託金の保全措置,
15)拙稿「入院・入所時の身元保証」滋賀大学経済学部研究年報26巻(2019年)59 ~ 65頁。
14)xxxx『身元保証の研究』有斐閣(1965年,復刊版2000年)。明治初期(10年頃まで)には,すでに身元保証と呼ばれていた(72頁)。
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元保証法1条〕。法律上は,身元保証と身元引受は区別されていない。
身元保証書の文言は比較的近年のものまで古めかしく15),そこに記される身元保証人の責任範囲も従来,限定的ではなかった16)。また,その様式自体に,被用者と身元保証人は使用者に服し,被用者は身元保証人に服するといったかつての社会的関係に基づく表現が残されている。
2 入院・入所時の「身元保証」
入院・入所時の「身元保証」は,それが求められるようになった経緯は明らかではなく17),法令上の定めもないが,広く利用されている18)。
近時の入院申込書等にも,雇用時の身元保証と同様に,「本人の身元については,身元保証人において一切引き受けを致します。」「私は,患者の身上に関することをすべて引き受けます。
(緊急連絡先)」「いかなる場合も,貴院にご迷惑をおかけしない事を申込者,身元保証人,連
帯保証人と連署の上,誓約いたします。」といった抽象的担保文言が見られた。また,しばしば,身元保証人は本人の院内の諸規則の遵守についても責任を負うものとされた19)。
2020(令和2)年4月施行の民法改正を受け,最近の入院申込書兼誓約書の様式には極度額
(限度額)が記載され,あるいはそれを各自記入する欄が設けられるようになっている20)。
福祉施設への入所についても,入所契約書や重要事項説明書に連帯保証の極度額(責任限度額)の記載欄が見られる21)。ただし,他方で,「保証」の語を避け,「連帯して責任を負」うとし,あるいは人物の呼称を「連帯債務者」と変える例もある。従来どおり「当ホームの利用契約から生ずる,利用者のすべての債務の連帯保証」等とするものも残っている。このような極度額の定めのない曖昧な記載のものは個人根保証契約としての効力を生じない〔民465条の2〕。
入院・入所時の「身元保証」(身元引受)は,雇用の場合と同じ文言で呼ばれるが,身元保証法の定めるような,本人の行為による損害の填
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15)拙稿「現代の身元保証(4)─2012年度実態調査」彦根論叢402号(2014年)27頁収録の(資料5)は,2012年の調査時にご提供いただいた書式の一例であるが,身元保証人(2名分の署名押印欄がある)の文言は「私等は,右誓約人の身上に関する一切の責任を負い,万一貴社に損害を与えたときは,身元保証人として右本人と連帯して賠償の責を負い,貴社に迷惑をおかけ致しません。」というものであった。古い奉公人請状に見られる「如何様六ケ敷xxx出来致候共我等引請急度埓明貴殿江少茂難儀相懸申間敷」ことを約束する文言を引き継いでいる。
16)身元保証法による規制に加え,2020(令和2)年4月からは,個人根保証に関する民法465条の2の制限も加わっている。
17)「措置から契約へ」と呼ばれる2000(平成12)年の介護保険法の施行が関係した可能性はある。xxxx「契約書サンプリング調査の結果」『福祉契約と利用者の権利擁護』日本加除出版(2006年)79,81 ~ 82頁,xxxxx「モデル契約書と事業者─介護保険指定事業者に対する訪問聞き取り調査の結果から」同91 ~ 92頁によれば,xxxによるモデル契約書にはない身元引受人,身元保証人,代理人の規定が事業者の実際に用いる介護施設契約書には設けられており,その位置づけや理解は事業者によりまちまちであるという。
xxxxx「介護契約と利用当事者─利用契約書から見る契約当事者」『福祉契約と利用者の権利擁護』日本加除出版(2006年)115頁の(注15)によれば,「なお,身元保証人の規定について,xxxでは,身寄りのない高齢者の権利が侵害される可能性もあるとして,同規定を設けなかった」とされる。
18)前掲注(6)調査研究 B,C の報告書参照。
19)拙稿・前掲注(15)55頁。厚生労働省のサイトにも「入院申込書(兼誓約書)」のひな型がある(2014年5月初版)。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/00-Xxxxxxxxxxxxx-00000000-Xxxxxxxxx/0000000000.xxx
20)ウェブ検索による。極度額として,それぞれ10万円,50万円,50万円,70万円,100万円と印刷するものや入院料その他の諸費用 6か月分の概算として金額を記入欄が設けられているものが見られた。連帯保証の極度額を 10万円や100万円としつつ,退院時に精算される入院保証金10万円を患者本人が入院時に預け入れれば連帯保証人を不要だと定めるものもある。
21)xxx有料老人ホーム重要事項説明書一覧 xxxxx://xxx.xxxxxxxxxxxx.xxxxx.xxxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxx/ yuuryou/jyuuyoujikou/index.html
極度額を明示する場合,入院よりもやや高めに設定されており,150万円とするものも見られた。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 57 ─
補のみを指すものではない。とりわけ本人引取りの責任を強調するものが多く見られる22)。
「身元保証人」(身元引受人)の要件はさまざまで,「家族または後見人」とするもの,「三親等内の親族,後見人,保佐人,補助人に限る」もの,「原則三親等以内の親族,または任意後見人」とするもの,「原則として日本国内に居住し,かつ,入居者より年齢が若い方」とするもの等がある。「事業者の承諾する債務保証事業者の提供する保証を利用する場合,その他事業者が個別に認めた場合」には身元保証人を不要とするものもある。
「身元保証」に期待する効果・役割は病院・施設により異なっており,内容が漠然としているもの,法的強制になじまないものも少なくなかった25)。家族・親戚や後見人が「身元保証人」になる場合には,その効果は「身元保証」という契約の効果によるのではなく,その者がもともと有する役割を確認するにとどまるものと考えられる24)。
現代日本社会では,国民皆保険制度の下で医
療や福祉のサービスが提供・享受されており,人々の尊厳の保持と自立生活の実現・継続が目指されている25)。厚生労働省の通知もあり,何が何でも「身元保証人」が不可欠だというわけではなくなりつつあるが,ひとまず求められる状況に変わりはなく,その役割を整理する必要があった。
3 「身元保証人」の役割の整理
「身元保証人」という支援者のいない入院患者・入所者にどう対応するかは,病院・施設の現場にとって切実な問題である。各地で「身元保証」機能の整理,工夫を凝らした取り組みが行われてきている26)。「『身元保証等』がない」場合の対応について,先駆的に取り組む地域に設けられた協議会によるガイドライン(A)27)では「身寄りのない独居の方」と「家族支援が受けられない方」が,前掲注(6)の調査研究 Bの研究班によるガイドライン(B)28)では「身寄りがない人」「家族や親類へ連絡がつかない状況にある人」「家族の支援が得られない人」
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22)xxxxの雇用の身元保証では,金銭の支払約束以外に加え,奉公人(被用者)の出所素性の確実なこと,逃亡者ではないこと等が担保され,病気等で奉公人が解雇された場合にその身柄を請人等(身元保証人,署名者)が引き取ることも約束された。しかし,そもそも,その時代には人請(身元保証)が奉公契約(労働契約)と渾然一体化しており,奉公人本人の自由は制限されていた点に留意する必要がある。
25)「身元保証」のうち保証契約(債務の保証・連帯保証)と解される部分には法的効力があるので,個人の根保証に関する民法465条の2以下の規定に則って,極度額を明記する対応がなされる。
24)介護保険法における契約当事者は事業者と利用者である〔介護保険法41条5項〕ものの,介護老人保健施設の人員,施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年5月51日厚生省令第40号)等では,利用者だけでなく,そ の家族に対する説明等が定められており,家族の関与が明確に想定されている。xx・前掲注(17)99,115頁。 25)三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)『地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた制度やサービスについての調査研究報告書』(平成50年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業)平成51(2019)
年5月(12 ~ 15頁)xxxxx://xxx.xxxx.xx/xx/0000/xxxxxxxx/xxxxxxxx_00/xxxxxxxx_00_0_0.xxx
26)xx市地域包括ケアシステム推進体制 xxxxx://xxx.xxxx.xxxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxx/xxxxxxx/xxxxxxxxxx.xxxx前掲注(6)・報告書 A 29 ~ 44頁。熱海市在宅医療・介護連携協議会『熱海市「身元保証等」のない方の入院・入所ガイドライン』(令和2年7月)xxxxx://xxx.xxxx.xxxxx.xx.xx/_xxx/xxxxxxxx/xxxxxxx_xxxxxxx/_xxxx_/000/000/000/ mimoto.pdf (特非)つながる鹿児島「『身寄り』のない生活困窮者及び若者に対する支援事例に関する調査研究事業」(令和元年度生活困窮者就労準備支援費等補助金社会福祉推進事業)xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/ 12200000/000651622.pdf
27)xx市地域包括ケアシステム推進協議会『「身元保証等」がない方の入院・入所にかかるガイドライン』(平成 26年9月作成,平成29年2月改訂)xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/00000000/000000000.xxx 「保証人に頼らない地域づくり─xx市地域包括ケアシステム協議会」月刊ケアマネジメント2017年5月号24 ~ 25頁。
28)平成50年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)「医療現場におけるxx後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」班(研究代表:xxxxx)『身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン』(2019年5月)https:// xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx
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がガイドラインの適用対象とされている。
これらのガイドラインは,一定の人々を対象 に限定した特別対応を定めるものであったが,標準的な「身元保証」にも影響を及ぼしうる。ガイドライン(A)と(B)それぞれの支援シー トが示す「身元保証人」に求められる役割・支援内容をまとめなおすと,おおむね,緊急の連絡先(緊急時対応),入院・施設利用中に必要な物品の準備,入院費・利用費等の支払い,入退院・受診支援,退院・退所時の本人と物品と返還金の引取り(死亡時には遺体遺品の引取り・
火葬・葬儀)等の5つとなる29)。
民法改正により連帯保証人について個人による根保証の極度額を明記する書面が新たに必要となったが,「身元保証人」(身元引受人という用語が選ばれることも多い)の役割についても,従来よりも具体的に記載されるようになっている。
事業者により用語法は異なるが,ある施設では,身元引受人,連帯保証人,返還金受取人を原則として5親等以内の親族または任意後見人から,定めることを求める。生活維持のための協議を行い,退院・退所時に各種引取りを行うのが身元引受人,入居者の金銭債務について極度額(入居者1人当たり150万円,法人の場合は設定不要)まで支払責任を負うのが連帯保証人,入居者が死亡した場合に入居契約に伴う返還金
を受け取るのが返還金受取人である50)。
加えて,入院費・利用費等の支払いに関しても変化が生じている。従来,本人(患者・入所者)と同一世帯ではない独立生計者(時に複数名)が連帯保証人となり,本人の一切の債務について責任を負うよう求められていたが,支払方法の多様化が進み,さらには連帯保証人が必須ではなくなりつつある。受付での現金支払い以外に口座振込や口座振替(自動引落し)が利用され,クレジットカード番号を登録した場合や預り金契約を締結し本人が病院等に対して金銭を預託した場合には,連帯保証人を不要とする対応が行われる。
タオルやパジャマ等の入院・入所中の物品準備については,有償サービスの選択化が進んでいる。本人が手配してくれる人を自ら確保しなくても,病院・施設で注文を取りまとめてもらい,受取りができる。
以上の結果,「身元保証人」に残される役割は,緊急時対応(駆けつけ)と状況に応じた各種の引取りだということになるが,これらは元々,本人の親族の法定の権利義務に由来するものである51)。
個人根保証に関する民法改正やガイドラインの作成により,「身元保証」の内容が明確化されてきた。「身元保証」の委託・受託は通常,本人と「身元保証人」の間で行われ52),サポー
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29)医療同意については,家族・親族や「身元保証人」による代行にはなじまないと考えられるようになっている。xxxx「単身高齢社会を生き抜くためのサイバー空間利用─自分の代理人「subME」」JRI レビュー 2019 Vol.4, No.65,92 ~ 109頁,xxx「急がれる医療同意に関する法制度の構築─身元保証人によらずとも患者の意思を反映できる制度に」2019年11月5日付日本総研リサーチフォーカス No.2019-028,1 ~ 21頁。
50)有料老人ホーム重要事項説明書の例:xxxxx://xxx.xxxxxxxxxxxx.xxxxx.xxxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxxx/ jyuuyoujikou/jusetu9.files/415.pdf
51)法律上,生存中の扶養義務者,死亡後の相続人の定めはあり,死亡届の戸籍法上の届出義務者,届出資格者も決まっているが,それぞれ優先順位は定められていない。
扶養義務〔民877条〕については,現代では金銭扶養が主となるが,引取扶養や身上監護扶養も認められうる(ただし履行強制にはなじまない)(xxxxx・xxx『新版註釈民法(25)親族(5)』有斐閣(1994年)505 ~ 506頁〔xxx〕)。金銭扶養に限っても,当事者間の協議や家庭裁判所での手続がなければ,扶養義務者の扶養の程度・方法は決まらない〔民879条〕。
相続人は一切の権利義務を承継し〔民896条〕,祭祀主宰者は祭祀財産を承継するが〔民897条〕,相続放棄〔民 915条〕や遺言〔民902条,1042条〕等により後々まで変更がありうる。
死亡の届出は,戸籍法87条,88条により,親族,同居者,家主,xx,家屋管理人,土地管理人,後見人,保佐人,補助人,任意後見人,任意後見受任者が行うことができる。任意後見受任者は,令和元年5月51日の戸籍法改正(2019(令和元)年6月20日施行)により新たに届出資格者に付け加えられた〔戸籍88条〕。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 59 ─
ト契約もここに位置づけられるが,「身元保証」の内容の明確さはサポート契約の内容の適正化,費用体系の明確化にも重要な意味を有する。
Ⅲ 事業者の「身元保証サービス」
病院・施設の求める「身元保証」は,従来,本人の一切を引き受けると宣言するものであったが,それを本人の家族・親族ではない者が行うことがある。その一形態がサポート事業者による「身元保証サービス」である。
従来,「身元保証」は抽象的担保文言(Ⅱ2)により行われてきたが,サポート事業者が一定の行為義務を負う場合,それはサポート事業を利用する本人と締結するサポート契約に由来する。そして,それを前提にして,病院・施設が,当該本人の意思・意向,すなわち,本人と契約した事業者によるその契約上の義務の履行を尊重し受け入れるかという問題になる55)。
厚生労働省の通知や入院・入所時の「身元保証」の明確化の影響は現時点ではサポート事業者にまでは十分に及んでいない。加えて,「身元保証サービス」の内容は,実際のところ,事業者により異なる54)。
1 債務保証,支払い
今日,「身元保証」と称するだけで当然に本人の負担する債務すべてを保証することになるとはいえないものの,「身元保証サービス」に病院・施設に対する債務保証が含まれる場合,
「身元保証人」が連帯して債務を支払うとする場合はある。
保証としては本人をよく知る個人が無償で行う例が想起されるが,融資,各種ローン,貸与型奨学金,住居賃貸借等の債務保証については,主債務者が保証人に対して予め保証料を支払う有償の法人保証(機関保証)が一般化した。一定の金銭債務の保証を含む「身元保証」についても同様の移行が進む可能性もある55)。
とはいえ,サポート事業者の提供する「身元保証サービス」においては,そもそも一時的にせよ事業者が自らの財産から支払い,事後的に本人に求償するという標準的な債務保証のしくみはあまり採られていない。それどころか,サポート事業者が病院・施設から支払いを求められる可能性のある金額を考慮して利用者本人よりまとまった金額の前払いを受けている例が少なくない56)。前述したように,病院・施設が
個人保証人について債務保証の極度額を定める
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52)多くは本人による無償,有償の委任(準委任を含む)によることになろうが,家族・親族による事務管理〔民
697条,698条〕の場合もありうる。
55)「身元保証人」について,どの程度の身元確認が行われているかは明らかではない。施設側や地域包括支援センターがサポート事業者に連絡する場合もある。後述する裁判例(京都地判令和2・6・26)のように,サポート契約の締結は法人と行っているのに「身元保証人」の署名押印は法人の従業員が個人として行う場合もある。
54)約40のサポート事業者(NPO 法人,一般社団法人,株式会社)のウェブサイト等を参照した。
55)民法の債権法改正(2020年4月1日施行)以降,「身元保証」も含め,一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約を個人が締結する場合には極度額を定めなくてならない〔民465条の2〕が,保証人が法人である場合には民法465条の2の制約はない。
xxxx「身元保証問題への対応─実務現場での工夫」実践xx後見77号(2018年)64 ~ 72頁(72頁)は改正民法の施行後,病院や施設が保証人を法人に限る可能性を懸念する。
医療費用債務保証や取引信用保険の導入も一部には始まっているようである。xxx「超高齢社会を支える債務保証システムとは─求められる個人保証からの脱却」2020年6月18日付日本総研リサーチフォーカス No.2020- 008,1 ~ 17頁参照。
56)受け取った金銭の管理方法は事業者ごとに異なる。預託金の一部として必要になるまで保管される場合もあるが,入院・入所時の介助等の費用を別に請求しない事業者では,保証債務の弁済がなくても前払金が身元保証サービスに関連する経費として用いられる場合もある。また,稀には,前払金とは別に実際の弁済額については求償を行うと定める事業者もある。その一方で,「いまだかつて1件も,身元引受保証人として金銭債務など肩代わりなどしたことがない」との記述もある(xxxx『私,ひとりで死ねますか─支える契約家族』日本法令(2018年) 176頁)。
─ 60 ─ 滋賀大学経済学部研究年報 Vol.28 2021
ようになっている。法人による根保証には民法上,極度額の定めは不要であり,かつ,極度額は保証人として責任を負う可能性のある額の上限であって,必ず支払われる額ではない。しかし,これまでの例により,その金額がそのままサポート契約の料金設定にはね返る可能性はある。
2 身元保証書への署名押印
サポート契約の中の「身元保証サービス」は,高齢者等のサービス利用者に,病院・施設が求める「身元保証」のすべてにサポート事業者が対応することへの期待を抱かせる。しかし,「身元保証サービス」の内容は事業者ごと,利用者ごとに各人各様である。
「身元保証サービス」の最小限は,本人(入院患者,入所者)のための身元保証書等に署名押印をすることである57)。親族でも旧知の間柄でもない者による有償の身元保証は目新しいものではないが58),形式を整えることのみが目的とされる場合59),署名押印があっても,その書面は受け取る側にとってはほとんど無益であろう。
病院・施設の求める「身元保証」の機能が金銭支払いに止まらないことは知られている。前述(Ⅱ3)のガイドラインにもまとめられているように,病院・施設は,「身元保証人」に対し,
①緊急の連絡先,②入院費・施設利用料の支払い代行,③本人が生存中の退院・退所の際の居室等の明渡しや退院・退所支援に関すること,
④入院計画書やケアプランの同意,⑤入院中に必要な物品を準備する等の事実行為,⑥医療行為(手術や検査・予防接種等)の同意,⑦遺体・
遺品の引取り・葬儀といった役割を期待してきた40)。
体裁を整える手助けのみを目的にする事業者はいうまでもなく,他のサポート事業者においても,「身元保証サービス」のみで上記要望に完全に対応できる例は少ない。
サービスが複数の区分にわたって提供される場合,①緊急の連絡先,⑤入院中に必要な物品を準備する等の事実行為は「日常生活支援サービス」,⑦遺体・遺品の引取り・葬儀は「死後事務サービス」に含められることが多いようである41)。
サポート事業者と利用者との間の契約によって,「身元保証」において求められる役割を1つ 1つ事前に埋めていく必要があり,実際,そのように行っている事業者もある。
3 「家族」の役割
サポート事業者が自らのサービスを「家族代行」「契約家族」と称する例も多数ある。利用者の人生を家族・親族に代わって丸ごと支えるという気概が感じられるが,いうまでもなく「家族」は比喩だと理解されなくてはならない。
親族の範囲〔民725条〕や扶養の権利義務〔民 877条〕,相続権〔民887条,889条,890条〕,近親者固有の慰謝料請求権〔民711条〕等は法定されており,家族に対する法律上の特別な処遇42)も各人の意思により変更できるものではない。
丸ごとの支援を実現するために,厳格に,財産管理契約,任意後見契約や「死後事務サービス」中の各種契約等,必要な契約を締結する事業者も多い。
───────────────────────────────── 57)前掲注(6)・報告書 A 84頁。
58)xx・前掲注(14)51 ~ 55頁等。
59)身元保証人紹介業が現代でも見られる。賃貸物件入居,就職,入学等に並んで,入院もラインナップに挙げられる。ウェブサイト掲載の手順によれば,本人確認書類等の送付はあっても,本人が身元保証人となる人物に対面することすらないようである。
40)前掲注(27),注(28)。拙稿・前掲注(15)47頁の図表4も参照。
41)消費者委員会『調査報告』前掲注(4)等。
42)親族間の犯罪に関する特例〔刑244条〕,財産の管理における親権者の注意義務〔民827条〕等。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 61 ─
また,「家族」と称しても現実の家族・親族ではないので,プライバシー情報へのアクセス
(病状説明への同席等),金銭や物の管理,退院時の本人の引取り等,事業者がたとえ契約内容の履行として誠実にこれらを行うとしても,周囲,特に相続人やxx後見人等との間にはトラブルを生じるリスクがある。
Ⅳ サポート契約の内容
サポート契約に含まれるサービスの1つが「身元保証サービス」であった。この「身元保証サービス」だけでは,入院・入所時の「身元保証」としては足りない場合があることは確認した。ウェブサイトを参照し45),現在提供されて
いるサポート契約の内容把握を試みる。
1 サービスと料金体系
サポート契約は,提供されるサービスもそれらに対する料金や支払方法もさまざまな組み合わせからなる44)。
ざっと見たところ,現時点では,「身元保証サービス」を前面に出すサポート事業者が多いが,「死後事務サービス」を中心にするところもある。サポート事業としては,これら2つに利用者の個々の要望に対応する「生活支援サービス」を組み合わせた総合支援型が典型例であるといえるが,預託金を扱わないもの,相談や紹介を中心とするもの,「死後事務サービス」のみを行うもの等も出現している。
A 相談
サポート契約の基本サービスのうち,消費者
(利用者)の金銭負担の面から見て最も敷居が低いと思われるのは,入会金1万円を支払うと一般社団法人 Aとそのグループ会社(株式会社)が運営する会の会員証が発行され,病院,介護,葬儀,墓,法律等の相談を受けられると
いうものであった。ただし,入会しないまま,入会後に利用できるサービスの内容や料金を把握するのは難しい。
定款と事業報告書の記載を見る限り,入会金 1万円と年会費1万円の支払いにより,利用希望者自身が事業者の総会の構成員(NPO 法人 Bの正会員)になるというしくみを採っているところもある。年会費の支払いが途絶えると退会となる。こちらも入会前の段階ではサービス内容と料金は不明である。運営状況を知るには,個別に問い合わせる必要がある。
こうした比較的新しい事業者には,初期費用が安く手軽に見えるものもあるが,その初期費用でカバーされるものが相談や紹介にとどまる場合も少なくない。
B 総合支援型・預託金方式
先駆的な事業者が構築してきたしくみにおいては,概ね,正式入会時にまとまった金額の支払いが必要となる。このような総合支援型のサポート事業においては,いわゆるエンディング,葬儀や墓,埋葬等までの方針を各自がよく吟味したうえでの入会が想定されている。
2001(平成15)年に設立された NPO法人 Cは,著名な事業者の1つである。「 入会金等」 484,000円,「弁護士法人手数料等」77,000円,「予備費」151,000円を必須とし(〔図表1〕ではこの 5費目を「(a)会員」の「前払」(契約時に支払う)の欄に合算した。),身元保証支援,生活支援,葬送支援を含む基本プランを「預託金190万円」で提供する(「前払」と「預託充当」(預託金から支出時に充当する)の合計が預託金と呼ばれる。)。別途,年会費(11,000円 / 年)と財産または預託金を管理する弁護士法人の金銭手数料
(15,200円 / 月または1,100円 / 月)と出張手数料が必要とされる。
合葬墓の運営に続いて1995(平成5)年よりサポートサービスの提供を始め,2001(平成15)
───────────────────────────────── 45)前掲注(54)。
44)前掲注(6)・報告書 A 48 ~ 49頁。
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年に特定非営利活動法人の認証を受けた NPO法人 Dは,申込金5万円,初年度年会費(1,000円 / 月×月数),分担金(法人の維持費)15万円と預託金70万円以上(死後事務50万円以上,生前事務20万円以上),xx証書に関する費用約 12万円を標準とする。これら合計約102万円以上を契約締結時に支払い,契約締結後に別途,年会費12,000円と各人の要望に即したサポート費用(介助等1万円 /1人1日等,交通費別)を支払う〔図表2〕。必要に応じて,身元引受保証等事務手数料,連帯保証の担保金,任意後見人報酬を支払えば,それぞれのサービスが提供される。葬儀等に要する費用についてはxx証書遺言による負担付き遺贈等も用いられる。
2009(平成21)年に事業を開始した一般社団法人 Eでは,200万円を終身のサービスを提供するための預託金として受け取り,利用者自身が選任した弁護士の監督の下,身元保証,生活支援,金銭預託・金銭管理,葬送支援を行う〔図表3〕。ウェブサイトにはサービスごとの費用の目安は表示されていない。預託金不足による追加は想定されている。
C 総合窓口型・預託金なし
前払いと月払いや年払いを組み合わせるものも見られる。
2017(平成29)年に設立された NPO法人 Fは入会金157,500円に加え,身元保証,金銭管理のサービスのそれぞれに前払いと月払いを併用する。また,会費と事務(管理)手数料が別立てになっている。預託金は不要である。基本サポートプランとして入会時費用269,500円,月々 25,500円と書かれているが,別途,生活支援費
(2,200円 / 時~ 11,000円 / 時,交通費実費)がかかる。葬送支援費495,000円を加えるとフルサポートプランと呼ばれるが,葬儀と納骨に要する実費は別に計上され,フルサポートプランの金額には含まれていない〔図表4〕。
D 専業型・遺産精算方式
遺品整理・死後事務を中心業務とする行政書士等による事業者(一般社団法人 G)のプランでは入会金,年会費,預託金が不要である。契約時にxx証書遺言作成費用55,000円と死後事務委任契約書作成費用44,000円を支払い(公証人役場,xx証書遺言の証人2人への支払いを含めた場合には合計金額が190,500円となる。),死後,遺産で清算が行われる〔図表5〕。
身元保証サービスは短期のみ取り扱われており,日帰りから7日以内の入院が1回8,800円, 14日以内が16,500円とされる。なお,短期身元保証とはいえ,体裁を整えることが目的ではなく,標準的な死後事務も含まれる。
E 社協のサービス
社会福祉協議会(社会福祉法人)の取り組みも見られる45)。ただし,利用者要件が設けられており,希望すれば誰でも利用できるというわけではない。
図表1 総合支援型(身元保証重視)(NPO 法人 C)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 71.2 | 1.1 | ─ | ─ | ||
(b)身元保証 | 19.8 | |||||
(c)生活支援 | 11 | 22 | 別 | |||
(d)財産管理 | 1.52* | |||||
(e)死後事務 | 66 | ─ | ─ | ─ |
* 財産管理の場合。
図表2 総合支援型(死後事務重視)(NPO 法人 D)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 20.6* | 1.2 | ─ | ─ | ||
(b)身元保証* | ||||||
(c)生活支援 | 20 | 別 | ||||
(d)財産管理 | ||||||
(e)死後事務 | 12 | 50 | ─ | ─ | ─ | 別 |
* 初年度会費が6か月分の場合。身元保証はオプション。
─────────────────────────────────
45)本文で取り上げたもの以外にも,xx市社会福祉協議会「ず~っとあんき支援事業(入退院時支援,死後事務委任)」,京都市社会福祉協議会「京都市単身高齢者万一あんしんサービス事業」,高知市社会福祉協議会「これから安心サポート事業」,武蔵野市福祉公社権利擁護センター(公益財団法人)「つながりサポート」等がある。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 65 ─
図表3 総合支援型(包括)(一般社団法人 E)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 200 | ─ | ─ | |||
(b)身元保証 | ||||||
(c)生活支援 | ||||||
(d)財産管理 | ||||||
(e)死後事務 | ─ | ─ | ─ |
図表4 総合窓口型(NPO 法人 F)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 14.85 | 0.55 | ─ | ─ | ||
(b)身元保証 | 11 | 1.1 | ||||
(c)生活支援 | 別 | |||||
(d)財産管理 | 1.1 | 1.1 | ||||
(e)死後事務 | 49.5 | ─ | ─ | ─ | 実費 |
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | ─ | ─ | ||||
(b)身元保証* | 0.88 | |||||
(c)生活支援 | ||||||
(d)財産管理 | ||||||
(e)死後事務 | 9.9 | ─ | ─ | ─ | 実費 |
図表5 専業型・遺産精算方式(一般社団法人 G)
図表6 社協・入院入所対応(xx区社協)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 0.24 | ─ | ─ | |||
(b)入院入所 | 52 | 0.1/回 | ||||
(c)生活支援 | 0.1/時 | |||||
(d)財産管理* | 0.1 | |||||
(e)死後事務 |
* 書類預かり
図表7 社協・死後事務対応(名古屋市社協)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 1.65 | 1.1 | ─ | ─ | ||
(b)入退院 | 50 | 別 | ||||
(e)死後事務 | ||||||
見積 |
※ 図表1 ~ 7の単位は万円で,40万円を超える区分を灰色にした。
* 身元保証は短期のみ。
図表8 サービス事業者が提供するサービスの例
※「支援シート」は本稿Ⅱで参照したガイドラインに収録されたものを指す。●の内容を含む。
※ 灰色部分は各事業者の「身元保証サービス」がカバーすると思われる部分を示す。
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xx区社会福祉協議会は2005(平成17)年から「高齢者あんしん生活支援事業」を開始している。①xx区在住,契約内容を理解できる65歳以上の一人暮らしの高齢者,②支援可能な親族がいない,③資産(居住用不動産を除き,未相続財産を含む)が5,000万円以下,④住民税非課税または課税総所得金額が160万円以下,⑤不動産収入,負債がないという要件に合致する対象者向けに,預託金52万円,年会費2,400円でサービスを行っている46)〔図表6〕。預金引出しなどの生活支援サービスは1時間1,000円で提供される。
名古屋市社会福祉協議会は2021(令和5)年2月に「なごやかエンディングサポート事業」を始めた47)〔図表7〕。利用要件は,①市内に居住する70歳以上の高齢者(同居者がいる場合は全員が70歳以上であること),②明確な契約能力を有すること,③原則,直系卑属(子や孫など)がいないこと,④生活保護を受給していないこと,⑤預託金(葬儀・死亡後の債務の支払い等:50万円以上,残存家財処分:業者見積額等)を納められること,⑥原則,xx証書遺言により遺言執行者を定めていること,⑦本事業の円滑な実施に支障がないと本会の会長が認めた者であることである。入会金16,500円と年間利用料11,000円を支払う。見守り・安否確認サービスが付いており,月1回の電話,6か月に1回の訪問による見守り及び安否確認が行われる。希望者には入退院時支援サービスも提供される。これは,他の事業者の「身元保証サービス」に相当するものとして機能するが,債務保証は含まない。(1)入院時の貴重品等の預かり,(2)入退院時等の付添い(,5)入院に必要な荷物準備,
(4)入院時の緊急連絡先指定及び緊急対応を依頼でき,必要な実費は,平日昼間は1回5,500円,夜間および休日は1回5,500円である。
2 支払方式
以上見てきたように,サポート事業における支払いの時期と形態は多岐に分かれる。また,複数の方式が併用されるのも特色といえる。 A 方式の種類
支払方式の種類は,まず4つに分けられる。
(ア)契約締結時に支払う前払い(先払い)方式,
(イ)契約締結時に一定額を預託金とし,サービス利用時に差し引く預託金充当方式,(ウ)個々にサービスを依頼し,その際に払う都度払い方式(支払いは月ごとにまとめられる場合もある。),(エ)本人の死亡後にサービス費用を清算する後払い精算方式がある。
預託金充当方式と後払い精算方式はさらに分けられる。預託金充当方式は,(イ)a 信託銀行等第三者に預託する場合と(イ)b 事業者自らが預金管理専用口座を設けて預かる場合,(イ)c連携法人等が預金管理専用口座を設けて預かる場合があり,後払い精算方式には,(エ)a 相続人に請求するものと,(エ)b 遺言に基づき遺言執行者である事業者が本人の預貯金口座から料金を回収するもの等がある。
この他,(オ)月払い,(カ)年払いで一定金額を支払う方式がある。
B 方式ごとの特色
支払方式ごとに,特色,注意点がある。利用者の立場から整理してみる。
(ウ)預託金充当方式が選ばれている場合,利用者としては初期費用としてまとまった金銭を準備する必要がある。また,信託銀行等に支払う管理費が必要となる。預託金の管理者を加えるか否か(三者方式の利用の有無)を選ぶよう利用者に選択させる事業者もある。安全性を軽視して預託金を事業者の元に置けば,事業者の破綻で預託金が失われて損失を被る可能性がある。
─────────────────────────────────
46)(社福)xx区社会福祉協議会 権利擁護センターあだち xxxxx://xxxxxxxxxxxx.xx/xxxxxxx/xxxxx/
47)(社福)名古屋市社会福祉協議会 法人後見センターなごやかぽーと xxxxx://xxx.xxxxxx-xxxxxx.xx/xxxxxxxx/ sien/nagoyakaport/
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 65 ─
(エ)後払い精算方式を採用すると,未収リスクを負うのは事業者側である。預託金管理のコスト負担が不要で,利用者としては契約締結時に支払う金額を抑えることができる。後払い精算方式が「死後事務サービス」の報酬請求等に用いられる場合には,請求の相手方が利用者本人の相続人等になる場合がある。そこで,相手方が非協力的な場合にも対応できるよう,財産状況の開示や公証人役場での手続(任意後見契約や死因贈与契約,遺贈等),多くの準備が求められる。
(ウ)都度払い方式はしばしば「日常生活支援サービス」に対して用いられる。契約締結の際には金額の大きさは目立たないが,後で保険外サービスの他の事業者が行っている同種サービスに比べ,割高であることに気が付くかもしれない。とはいえ,適正額は誰がどのような支援を行うか次第でもあり,その判断は容易ではない。加えて,契約締結時に利用頻度と利用料総額を見積もることも難しい。また,利用するには要望が必要であるので,料金はかからないものの,適時の利用自体が困難になる可能性があり,契約締結時に利用者の終身の安心を約束するものとは限らない。
(ア)前払いは通常,一旦支払うと事後的な返金を求めることが困難であったが,消費者団体訴訟による不当条項の使用差止請求等により状況が変わりつつある48)。サポート事業では,入会金の他,登録申請金,基本サービス利用料,事務手数料,サポート計画料,予備費等さまざまな名目が用いられている。
契約締結時の一括払いである(ア)前払いの金額を少なくし,(オ)月払い,(カ)年払いが併用される場合もある。
3 事業・サービスの比較
どのサービスがいくらであれば適正かは,自由に設定される公的保険外サービスであるので,一律には決まらない。しかし,入院・入所時の
「身元保証」機能の明確化を受けて,サービス事業者が利用者のために行う債務内容が明確になれば,利用者各自の要望に合わせた49)より適切な契約の締結が可能になる。
事業および事業者(事業の運営法人)の健全性を比較するためには,さまざまな情報を取得することが重要である。法人形態だけを頼りにはできないが,一般社団法人については,法律上の要請がないので,特定非営利活動法人
(NPO)とは異なり,定款や事業報告書を手軽に確認できる事業者が少ない。
加えて,各事業者が用いているサポート契約の約款や契約書のひな型がウェブサイト上に掲載されることもない。最終的には行政等との連携を図り,届出制等が採用される必要もあろうが,現時点では,事業の健全な発展を目指す事業者には,契約書ひな型等の公開を進めることを期待したい50)。
Ⅴ 裁判事例の検討
サポート事業は,さまざまな背景を持つ事業者が独居高齢者や夫婦のみ世帯の高齢者が直面する課題をとらえてサービスを開始してきたものである51)。そのため,サポート契約の内容は,基本的には契約自由の原則に基づき,各事業者の工夫で自由に形成される〔民521条〕。同じ課題に対応するためのサービスであるので,各事業者のサービス内容は類似したものとなる傾向
─────────────────────────────────
48)消費者庁「消費者団体訴訟制度」xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxx_xxxxxx/xxxxxxxxxx_ litigation_system/
49)前掲注(7)ポイント集5 ~ 7頁。
50)消費者が事前に契約条項を認識できるように事業者に約款の事前開示に努める義務(努力義務)を課す特則の立法化について,xxxx「新時代の消費者契約法を学ぶ 第17回不当条項規制(10条)(5)」国民生活2019年2月号58 ~ 41頁参照。
51)前掲注(6)・報告書 A 60 ~ 62頁。
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はあるが,Ⅳで見たように完全に同じというわけでもない。また,自由に形成されるサービス契約であるものの,当然ながら,民法の一般条項(公序良俗〔民90条〕,xxx〔民1条2項〕)や消費者契約法の適用は免れない。
2つのサポート事業者,一般社団法人京都高齢者支援協会(京都市)と特定非営利活動法人えんご会(愛知県安城市)が当事者となる訴訟が現れた。サポート契約の内容の適正化と料金体系の明確化が求められるが,事業実態と法的観点との齟齬がどこに生じるのか,この2つの事業者を巡る事例を元に整理を試みる。
1 京都高齢者支援協会の事例
原告 X(89歳女性)は2015(平成27)年12月1日頃,(公財)日本ライフ協会の「みまもり家族」の会員契約を締結し,日本ライフ協会京都事務所の Aが身元保証人となって平成28年4月26日に介護老人保健施設(老健)に入所した。
日本ライフ協会は平成28年1月15日に預託金流用問題により内閣府から勧告を受け,(Xが老健に入所した翌日の)同年4月27日に破産手続開始決定を受けた。約2,000名の会員がサービスを受ける権利と預託金を失った52)。(一社)京都高齢者支援協会(以下,Y)は,日本ライフ協会京都事務所に勤務していた者が中心になって同年5月20日に設立された55)。
Xは同年6月29日に Yの「かたつむりトラスト」の入会契約を締結し,Yに所属する Aが身元引受人となって同年10月6日に特別養護老人ホーム(特養)に入所した。
Yに対する不当利得返還請求が提起され,裁判所(京都地判令和2・6・26)54)は,平成28年6月29日の入会契約締結当時,Xが意思無能力で
あったとして契約無効を認め,Yに入会金72万円全額とこれに対する遅延損害金の支払いを命じた。なお,どの時点からかは不明であるが, Xのためにxx後見人が選任されている。
A サポート契約締結時の認知機能
日本ライフ協会の Aが Xと接点を持つきっかけはXに関する地域包括支援センターへの苦情の申立てであった。支援を要するXが施設に入所するために求められる「頼れる身寄り」がいないとして Aが呼ばれている。
本件訴訟で認められたのはYとの契約の時点でのXの意思無能力であるが,裁判所は,サポート契約(入会契約)の締結には高度な認知機能を必要とすると判断している。「財産行為に要する意思能力について概ね7歳程度のものとされているのは,あくまで単純で日常的な財産行為についての目安を示しているに過ぎないというべきであり,前記のような内容の本件契約(筆者注:サポート契約)に要する意思能力については妥当しないと解すべきである」55)という。xx後見の申立てから開始までには通常5 ~ 4か月ほどかかるといわれているが56),本人のサポート契約締結の能力に疑念がある場合には,
契約締結はxx後見人の選任を待って行うべきだということになろう。施設には「身元保証人」がいない状態での入所対応が求められる。
B 前払金と預託金の差異
預託金流用によって破綻した日本ライフ協会
〔図表9〕と異なり,Yは預託金制度を採らず,日本ライフ協会の契約締結時支払い(前払い)分に相当する金額を「入会金」と呼び,「身元保証支援」「日常生活支援」「金銭管理支援」「死後支援」全体をカバーさせる〔図表10〕。
契約締結時に支払われる金額は日本ライフ協
─────────────────────────────────
52)日本ライフ協会では,入会金とは別に会費が必要であり,月額5,000円を終身支払い続けるか,月会費6年分相当の56万円を終身一括払いとして契約締結時に支払うかを選択するしくみであった。
55)京都高齢者支援協会の職員数は2016(平成28)年12月末日現在,4名であったとされる。xxxx://xxxxxxxxxxx-x. com/faq/
54)京都地判令和2・6・26実践xx後見91号(2021年)4 ~ 11頁。
55)京都地判令和2・6・26:前掲注(54)9頁。 56)法務省 xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/XXXXX/x00.xxxx
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 67 ─
図表9 総合支援型・前払預託金併用
(旧・公益財団法人日本ライフ協会)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 56 | ─ | ─ | |||
(b)身元保証 | 56.2 | |||||
(c)生活支援 | 別 | |||||
(d)財産管理 | 1.2* | |||||
(e)死後事務 | 56.2 | ─ | ─ | ─ |
* 預託金管理費を指し,6か月ごとに6,174円である。
図表10 総合支援型・前払方式
(一般社団法人京都高齢者支援協会,旧約款)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 72 | 1 | ─ | ─ | ||
(b)身元保証 | 0.54/時 | |||||
(c)生活支援 | ||||||
(d)財産管理 | ||||||
(e)死後事務 | ─ | ─ | ─ |
会時代の入会金と終身一括払いの会費(月会費 5,000円6年分相当)の合計額よりも56万円余り少なく設定された。もっとも,Yは入会金とは別に月会費1万円を徴収する。個別対応の1時間 5,500円(緊急時,夜間休日は4,500円)も別料金
(都度払い,月1回の引落し)であり,単純に値下げされたわけではない。
Yに支払われる契約締結時(前払い方式,預託金充当方式)の支払総額は,他の事業者に比べ,突出して高いわけではないが(図表1~ 4),支払額が同程度でも,その金額がその時点で法人
の収益に計上されるか,「預託金」として別に管理されるかにより,利用者の資金の安全性状況は全く異なるものとなる。また,単純な前払いに将来のサービスに備える部分を含ませることは,サービスの履行チェックという観点で,契約一般の先履行義務と同様のリスクがある。 C サービスと料金との対応
本判決(京都地判令和2・6・26)は意思無能力による契約無効を認めたので,中途解約は直接の争点ではなかったが,入会金の返還範囲を巡って興味深い主張が展開されている。
X側57)は,入会金は「本件契約において何
の対価であるか具体的内容が一切明示されておらず,対価性のない金銭を消費者から徴収するものであるから,xxxに反し消費者の利益を一方的に害するものである」,「入会金を徴収する目的が,仮に安定的な経営を図ることにあるとしても,それは,各会員から,その受けた対価(…会費及び支援費)を徴収することによって図られるべきものであり,受けたサービスの質及び量に関わらず,入会者から不透明な金員を徴収することにより賄われるべきものではない」と主張する58)59)。入会金の不返還にとどまらず,入会金の徴収そのものも不当だとの立場である。
Yは死後支援業務相当部分の入会金返還義務を肯定しつつ,入会金のうち身元保証業務,日常生活支援,金銭管理支援に対応する部分について,それら業務の基本料金が含まれているため返還しないと主張した。Yの主張によれば,
─────────────────────────────────
57)適格消費者団体「NPO 法人京都消費者契約ネットワーク」の考え方でもある。xxxx「身元保証業者の入会金徴収条項の無効を主張していた訴訟─ NPO 法人京都消費者契約ネットワーク(KCCN)の活動報告」消費者法ニュース125号(2020年)119 ~ 120頁。
旧約款では入会金は72万円で入会金不返還条項があったが,2019(令和元)年12月26日に和解が成立し,「入会金名目での金銭徴収をやめ,徴収する金銭の対価が何か明示するとともに,解約の場合の返金ルールについても見直しをした」とされる。新約款では入会金が50万円になったようである。なお,2021年8月29日現在,(一社)京都高齢者支援協会のウェブサイトのメニューには「費用について(工事中)」と表示されている。
58)京都地判令和2・6・26:前掲注(54)5頁。
59)前掲注(57)の団体が Y に対し,入会金徴収条項および入会金不返還条項の使用の差止請求訴訟を提起したが,これは本件訴訟を契機にしたものだとされる。xxxx「身元保証サービス業者との身元保証契約の現状と課題─意思無能力により入会契約を無効とした京都地方裁判所令和2年6月26日判決の意義」実践xx後見91号(2021年)81 ~ 88頁。
─ 68 ─ 滋賀大学経済学部研究年報 Vol.28 2021
「原告の終身にわたり,本件契約に基づくサービス提供義務を負うものであり,入会金はこれらのサービス提供を受けるべき地位の対価としての意義を有している」60)ことになり,現に, Aは日本ライフ協会の破綻前後を通して Xを支援し続けていた61)。いったん Yの支援により会員 Xが施設に入所すれば,Xに対する「身元保証支援」は履行されたとみるのが Y側の認識だったといえよう62)。Yにとっての入会金は,その後の展開に応じた返金が想定されない,いわゆる着手金のような位置づけになろうか。
これらに対して,裁判所は,「原告が介護施設等に入所するに当たり,被告による身元保証が絶対に必要であったかは必ずしも明らかではない」,「Yの身元引受人としての業務はあくまでも事実上のものということになる」とし,「入会金以外に,…月額1万円もの会費以外にタイムチャージによる報酬等まで請求できることになっていることに鑑みれば,それ以上に,入会金に,身元引受業務の基本料金が含まれているとは考えがたい」65)などという。日常生活支援や金銭管理支援についても入会金の中にそれらの基本料金が含まれていたとは認めない。なお,死後支援業務の基本料金に相当する入会金部分については,Yが返還義務を肯定しているので,裁判所による言及は特にない。
裁判所の見解に沿えば,判決のとおり,入会金相当額は本人の生存中に契約関係が無効なり
解約なりで解消された以上,全額返還すべきだということになる。
ただ,近時は,Yのような包括的な料金徴収方式ではなく,個々のサービス別に契約締結時に支払う契約金と月々の支払いと出張料と実費交通費を明記して契約する事業者が現れている
〔図表4〕。その呼称が何であろうと,契約締結時点の支払額について対応関係が明確にされており,それが十分に理解された上で契約が締結されたのであれば,支払われたサービスごとの契約金を返還対象に含めることは難しくなるようにも思われる。
D サポート契約の永続性と中途解約
特定継続的役務提供契約については,消費者には中途解約の権利がある〔特定商取引法49条〕。サポート契約も一定期間の関係継続が想定される契約であるが対象役務ではなく,また特殊事情もある。サポート契約は,多くの場合,契約期間が終身であり,24時間565日いつでも緊急時の呼出しに対応するというサービスを含む。
「死後事務支援」も含め,「一生涯にわたる安心」を提供するつもりの Yの立場からは,「入会金」にサポート契約に含まれるさまざまなサービスの費用・報酬を合算し,利用者の要望に柔軟に対応できる体制を整えることは合理的である。しかし,委任契約の中途解約〔民651条〕は妨げられるべきではなく,サポート契約を終身契約として尊重せよとする条項64)は民法90
───────────────────────────────── 60)京都地判令和2・6・26:前掲注(54)5頁。
61)判決文によれば,このほか,Y は X のマンションの居室の連帯保証人になっているほか,賃貸借契約の解約手続,施設の退所手続も行っている。
62)(一社)京都高齢者支援協会の「よくある質問」の「4. 入会後に契約の撤回や解約をすることはできますか?」という問いに対し,次の回答がある。「身元保証中を除き,自由にできます。入会日を含めて50日以内でしたら,契約の撤回ができます。この場合,すでに行った分の支援費や立替金を精算した上で,すべての費用をお返しいたします。50日を経過してしまった場合,撤回はできなくなりますが,解約ができます。この場合,入会金と会費はお返しできませんが,お預りした概算金がある場合については,支援費や立替金を精算した上で,全額お返しいたします(お預りがない場合は,未払いの支援費や立替金をお支払いいただいてから解約の手続きを進めることになります)。繰り返しになりますが,かたつむりトラストが身元保証をしている間は撤回や解約ができませんので,ご注意ください。」xxxx://xxxxxxxxxxx-x.xxx/xxx/
65)京都地判令和2・6・26:前掲注(54)10頁。
64)判決文によれば,契約書5条2項には「X にxx後見人等が選任されたときは,これらの者は,X の意思を尊重し,xx後見人等に就任後も,X が死亡した後,Y による支援が完了するまで本件契約を継続するものとする」と定められている(原告を X,被告をY に変更した)。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 69 ─
条により無効だと解すべきであろう。
Yに対する本件訴訟(京都地判令和2・6・ 26)の判決文の冒頭を見ると,原告 Xに対し「法定代理人xx後見人」による保護が開始されたことがわかる。本件訴訟はそもそも,サポート契約の締結時に利用者本人の意思能力が認められなかった事案に関するものであり解約の成否は争点ではなかったが,xx後見の開始により将来に向け,サポートサービスの利用が不要だと判断される場合はありうる。
サポート事業の運営においては,本人の意思能力等を考慮して慎重な契約締結を行うにとどまらず,サポート契約開始後にxx後見人等によりサポート契約の中途解約がありうることも当然に織り込んだ制度設計を行う必要がある。
2 えんご会の事例
利用者の事業者に対する寄付(贈与,財産の無償譲渡)が問題視されることがある。そのため,寄付の受入れは断固行わない事業者がある。その一方で,希望があれば受け入れる事業者,積極的に受け入れる事業者もある。その方針はさまざまである65)。
名古屋地xxx判令和5・1・28 66)の事案は,
「家族代行支援サービス」を謳う特定非営利活動法人えんご会(以下,E)が死亡した元利用者 Bの預金債権約621万円と遅延損害金の支払いを金融機関 Y1に対して,預金債権の名義変更手続を Bの相続人 Y2らに対して求めたというものである。事業者 Eは,前の身元保証人の高齢による辞退により身元保証人がいなくなった施設入居中の Bと平成29年1月25日にサポート契約67)を,同年2月22日に不動産を除く全財産についての死因贈与契約を締結した。Eは自らを執行者と定める,その死因贈与契約を根拠に支払い等を求めたが,Y1らはこの死因贈与契
約が公序良俗に反し無効である〔民90条,2020年改正前〕と主張した。
A サポート契約とともに締結された死因贈与契約の無効
裁判所は,公序良俗違反を認め,本件死因贈与契約を無効であるとした。裁判所の考慮事項は11点にも上る。要約すると,①養護老人ホームからの紹介時に Eがある程度財産がある利用者にサポート契約と死因贈与契約を一体的に締結させていたこと,②養護老人ホームが新たな身元保証人を求めえないことを知りながら,利用者 Bにサポート契約と死因贈与契約を締結させたこと,③養護老人ホームの運営主体とサポート事業者 Eとの緊密な関係(入所者の半数以上が Eとサポート契約を締結し,そのうちの 5名が死因贈与契約を締結している。Eの代表者の配偶者が市職員であり,施設の指定管理者を指導する立場であった。)が基礎となって2つの契約が締結されていること,④サポート契約の内容の不明確さ,⑤病院に対して事業者 Eが身元保証人になることの法的意味の不明,⑥ Eの死後事務の契約額の不明確さ,⑦xx証書によらない死因贈与契約における利用者 Bに対する説明や Bの意思確認の不足,⑧2つの契約ともに高齢者の不安に乗じた契約の締結であったこと(消費者契約法4条5項5号への抵触),⑨対価性を欠く暴利行為であること(死後事務処理の費用は50万円ほどであるのに Eはサポート契約で90万円を受け取っている上,死因贈与契約で預金約620万円を受け取る。他の利用者との死因贈与契約で約4,500万円を取得しようとしたこともある。),⑩多額の寄付金を獲得する Eの事業運営姿勢(寄付金による収益が常時年間 1,000万円を超え,Eの収益の1割を超える。平成50年度は寄付金が5,000万円を超える。),⑪事業者 Eが死因贈与契約の執行者であることに
───────────────────────────────── 65)前掲注(6)・報告書 A 47頁。
66)前掲注(11)。控訴。
67)判決文は「身元保証契約」というが,通常の保証契約になぞらえれば「身元保証委託契約」,事案中の用語では「身元保証支援契約」というべきものとなる。
─ 70 ─ 滋賀大学経済学部研究年報 Vol.28 2021
よる死後事務の履行確認の不能となる。 11点の中にはサポート契約(Eの名称では「家
族代行支援サービス」契約)に関する言及も多いが,請求との関係で,無効判断の対象となっているのは死因贈与契約のみである。
サポート事業一般との関係では,サポート契約の料金に含まれない無償譲渡(贈与契約,死因贈与契約,遺贈)が許容される場合はありうるかが検討課題となる。他の事業者でも寄付を受け入れているところは少なくない。法律行為
(契約,遺言)の方式をxx証書によるものとすればよいか,対価性のあるサポート契約の料金の支払方法としてのみ許容されるか,譲渡財産の価値の大きさが問題か,不動産を除く全財産の無償譲渡などという他者に悪影響の及ぶ無償譲渡の内容が問題であるのかといった点である。
B 優位性による圧力と真意の確保
この事案は,そもそも,サポート契約の締結が「身元保証」を求める施設の紹介によるものであり,かつ,高齢者の不安に乗じたかたちで契約締結をさせた〔消費者契約法4条5項5号〕とも評価しうるものであった。
サポート契約の成立とその有効性を考える際には,利用者が自らよく吟味したうえでサポートサービスの利用を申し込む平常時と,必要に迫られた周囲(特に病院・施設)がお膳立てするかたちで契約締結を求められる緊急時は状況が異なると解すべきであろう68)。後者の場合,形式的には高齢者本人がサポートを受けるのであるが,実質的には入所施設等をサポートする事業者を高齢者がサポートするという事態になりかねない。
サポート契約の締結や無償譲渡を行う法律行為にあたっては,第三者の立会い等,本人に意
思能力があり,その真意に基づいて契約しているかを確認する方法が採られることが望ましい。費用はかかるが,xx証書がしばしば用いられるのはそのためである。xx証書によることにすれば十分であるか,コストも考慮して他の方法で実現することはできないかの検討が必要となろう。
本件事案では,サポート契約の締結に入所施設の施設長が立ち会ったようだが,サポート契約は施設の便宜を図る契約でもあるので,契約の立会いを行う第三者としては適任ではない。 C 利益相反的構造
利用者 Bの契約締結時に事業者 Eに支払われた90万円の内訳は,「登録料20万円,予備費5万円,身元保証料(管理費)15万円,万一の支援費用10万円,葬儀支援費用50万円,納骨支援費用10万円」であった〔図表11〕(「万一の支援」は緊急時駆けつけを指すので「(b)身元保証」に含めた。)。
このうち,登録料20万円と身元保証料(管理費)15万円に対して,裁判所は「いかなる契約に対するものなのか不明というほかない」と断じるが,(訴訟当事者の主張に含まれてもいないので,)この部分について,サポート契約の無効が判断されているわけではない。
Eの家族代行支援サービス「めだかぞくの会」のすべてのプランに「身元保証支援」が含
図表11 総合支援型(特定非営利活動法人えんご会)
前払 | 預託充当 | 年払 | 月払 | 都度 | 後払精算 | |
(a)会員 | 20 | 5 | ─ | 死因贈与 | ||
(b)身元保証 | 25 | |||||
(c)生活支援 | ||||||
(d)財産管理 | ||||||
(e)死後事務 | 40 | ─ | ─ | ─ |
─────────────────────────────────
68)契約者が高齢者であることの配慮に関連して,xxxx「福祉サービス契約における利用者の権利保障制度の現状と課題」季刊・社会保障研究45巻1号(2009年)25 ~ 55頁(26頁),xxxx「民法(債権関係)改正の議論にみる終身定期金契約」土地総合研究2016年夏号99 ~ 105頁(102頁),法制審議会民法(債権関係)部会第59回会議議事録(PDF 版)27 ~ 40頁,特に55 ~ 54頁[xx委員発言],「脆弱な消費者」の自己決定支援について,xxxx「市場における消費者脆弱性の制御・解消についての一考察」社会保障研究5巻2号(2020年)209 ~ 224頁参照。
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 71 ─
まれている69)。Bが契約したプランの前払い分は,(公財)日本ライフ協会〔図表9〕や(一社)京都高齢者支援協会〔図表10〕のものよりも多いが,当時は月払い会費や都度払いの定めもなく,総合支援型の5法人(図表1 ~ 3)の支払総額と比べれば多くもない。
ただし,Eは,総合支援型5法人が備えている金銭管理と業務実施の監視・監査のしくみを事実上機能させないでいた(三者契約の管理料等を別途とし,利用者の選択制にする。)。
確かに,家族・親族が他の家族・親族を支援する場合には,(xx後見人として選任されたのではない以上)金銭の支払状況もさまざまな支援の仕方も誰のチェックも受けない。しかし,それは両者が真に家族・親族であり,互いに扶養義務を負ったり相続人になったり,法律上,すでに関係性が認められていることによる。Eのようなサポート事業者が「家族」代行を謳って,家族・親族の代わりを果たすことを目指しても自ずと限界がある。
前払い方式は,サポート事業者が利用者に対するサービスの提供に対する履行チェックが構造的に弱く,利益相反の観点で問題を孕んでいることは意識されなくてはならないであろう。
Ⅵ おわりに
本稿では,入院・入所時の「身元保証」の位置づけが変化しつつあることをふまえつつ(Ⅱ),
「身元保証等高齢者サポート事業」の契約の実状と検討課題(Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ)について見てきた。
「身元保証」機能の整理が進められた結果,緊急時対応(駆けつけ)と各種の引取りが病院・
施設の努力・工夫によっても解消できない役割として残された(Ⅱ3)。サポート事業全体としては,今後,これらとその後の対応,すなわち,緊急時対応と亡くなった人を悼み見送る部分が重要になっていくものと考えるが,現時点では事業者ごとにサポート契約の中心的な給付内容が異なっている。そのため,いわゆるサポート契約として括られているもののすべてに対して,同一類型の契約として法的規制を考えることは困難である70)。
サポート契約が,法的能力の観点で本人に不足する点がなく,意思表示にも瑕疵がない状態で締結されることを前提に,本人が従来は家族・親族が担っていた役割をサポート事業者等,家族・親族以外の者に委ねるという意思を持った場合,それをどこまで本人の自由に委ねることができるかも問題である。一人で暮らす人にも法的には親族が存在することがある。Ⅴ2の事案のような,疎遠な親族が本人と他者との死因贈与契約によって負の遺産のみの相続を引き受ける結果となる場合等,調整が必要になる。そもそも家族・親族に頼れないという状況から始まった問題であることをふまえると,基本的には,本人の最期に向けた意思を尊重するという方向で考えていかざるを得ないのではなかろうか71)。
サポート契約は,契約当事者である本人による契約履行のチェックが徐々に果たされなくなるのが特色であり,それを補うしくみが不可欠である。監査機関を設ける,第三者を立てる等,現時点でも工夫する事業者が少なくないが,サポート事業の特質上,契約書ひな型や約款,事業報告書等の情報公開を進め,事業の健全性を
───────────────────────────────── 69)(特非)えんご会 xxxx://xxx.xxx-xxxx.xxx/xxx/xxxxxxxxxx(R02.04.01).pdf
2019(令和元)年7月1日に改訂されており,登録料20万円,予備費5万円,身元保証支援15万円,万が一支援15万円,葬儀支援55万円,納骨支援10万円の他,月に2,000円の会費が集められるようになった。
70)サポート契約について,前掲注(57)の入会金徴収条項の無効をめぐる訴訟のように,消費者団体により争われることがある。不当条項規制について,xxx「取引の『定型化』と民法・消費者法の役割-「定型取引」概念導入後の契約内容規制」NBL1199号(2021年)52 ~ 41頁参照。
71)家族・親族以外に頼ってもよいのだという理解・認識が広まれば,サポート事業の利用に限らず,さまざまな縁による支援が復活してくる可能性もある。
─ 72 ─ 滋賀大学経済学部研究年報 Vol.28 2021
示すことも必要となろう。
本人の緊急時に,家族・親族であれば,自治体等の行政機関を介して探索される可能性があるが,サポート事業は一契約であるにとどまり,いつでもどこからでもサポート事業者に連絡があるわけではない。新たな取組みを始めている地域もあり,参考となる72)。
【付記】
本研究は令和5年度滋賀大学経済経営研究所研究助成による成果の一部である。
─────────────────────────────────
72)神奈川県xxx市「わたしの終活登録」 xxxxx://xxx.xxxx.xxxxxxxx.xxxxxxxx.xx/0000/xxxxxxxxxxxx/ syuukatutouroku.html
高齢者サポート契約の内容(xxxxx) ─ 75 ─
A Study of Contracts for Projects that Support Elderly Households on Behalf of their Families
Xxxxxx Noto
This paper examines contracts with organisations that support elderly households on behalf of family members or relatives. Hospitals and welfare institutions require residents to designate a relative as a guarantor for support, but close relationships with relatives have steadily been lost. This situation has led to an increasing number of people who feel insecure. Elderly support providers guarantee the debts of users or manage their property, take care of hospitalisation procedures, prepare necessary items, respond to urgent calls, and upon the user’s death, vacate their room, transport the body, cremate and bury it. However, not all of these duties are always performed, and in fact, some businesses only perform a portion of
them, or focus on referrals and consultations.
There are multiple ways to pay the contract fee, including payment when signing the contract, deposit at that time and apply when needed, payment per year, payment per month, payment each time the service is used, and settlement by the estate after death. It is not always easy for an elderly person burdened with a sense of crisis to estimate how much they will need to pay when contracting.
There are also structural irregularities that can be committed by the providers who draw up the contract. At the time of applying for the service, the elderly may lack the requisite capacity to conclude a support contract. In such cases, the contract can be declared invalid after the appointment of a guardian.
A large sum of the user’s property may be transferred free of charge to the provider after the user’s death as a gift on death or a bequest. It is a matter of judgement whether this is an appropriate transfer of property in accordance with the true intentions of the user, or whether it is a fraudulent transfer using pressure, contrary to public order and morals, and invalid.
Support contracts are a type of contract the importance of which is likely to grow in the future. It is necessary to optimize and supervise the contract contents and broaden the understanding of the contract contents to people using this service.