Contract
ルクセンブルク
1 総説
(1) 現行ルクセンブルク民法典における典型契約規定の概要
現行ルクセンブルク民法典の第 3 編(「所有権を取得する様々な方法」)は、次のような章立てで構成されており、個別の契約類型に関する規定もこの中に含まれている。
第 1 章 相続
第 2 章 生存者間の贈与及び遺言
第 3 章 契約又は合意による債務一般第 4 章 合意なしに形成される約務 第 5 章 夫婦財産契約及び夫婦財産制第 6 章 売買
第 7 章 交換
第 8 章 賃貸借契約第 9 章 組合
第 10 章 貸借
第 11 章 寄託及び係争物寄託第 12 章 射倖契約
第 13 章 委任第 14 章 保証第 15 章 和解
第 16 章 民事拘留第 17 章 質
第 18 章 先取特権及び抵当権
第 19 章 強制徴収及び債権者間の順位第 20 章 時効
以上の章立てのうち、第 5~15 章に規定されている諸契約(夫婦財産契約、売買、交換、賃貸借、組合、貸借、寄託、射倖契約、委任、保証、和解)は、ルクセンブルク民法典上、典型契約としての位置付けが明確に与えられていると理解できる。それに対し、わが国では典型契約として観念されている贈与は、ルクセンブルク民法典上、遺言等とともに、他の契約類型とは別に、相続に近い箇所で規定されている(第 2 章1)。
1 ルクセンブルク民法典第 3 編第 2 章(生存者間の贈与及び遺言)の目次は以下のとおりで
(2) ルクセンブルク民法典における典型契約規定の沿革
もっとも、ルクセンブルク民法典が当初から現在のような規定の内容・構造を有していたわけではない。典型契約に関する規定の沿革は、次のようにまとめられる。
第一に、現行ルクセンブルク民法典の第 3 編の章立ては、原始規定を維持している。(フランスとは異なり、)ルクセンブルクでは、原始規定にあった典型契約が削除されたことはなく2、反対に、全く新たな典型契約が法改正により追加されたこともない3。
第二に、ルクセンブルク民法典制定後の法改正により、既存の契約の下位類型として新たに規定された契約は存在する。売買の特別類型として挿入された「建築予定不動産の売買」(第 6 章第 3-1 節)がそれである。
第三に、原始規定からほとんどの契約類型が維持されているものの、条文内容の改正は比較的頻繁に行われている。
(3) 日本の民法典との比較
ルクセンブルク民法典に規定されている典型契約は、贈与(donation)、夫婦財産契約 (contrat de mariage)、売買(vente)、交換(échange)、賃貸借(louage)、組合(société)、貸借 (prêt)、寄託(dépôt)、射倖契約(contrats aléatoires)、委任(mandat)、保証(cautionnement)、和解(transaction)の 12 種であるということができる。ただし、前述の「建築予定不動産の売買」のように、それぞれの契約につき、下位類型が定められていることもあることにも注意する必要がある。
日本の民法典では、第 3 編第 2 章第 2~14 節において、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解の 13 種の典型契約が規定されているが、ルクセンブルク民法典と比較すると、次のように整理できる。
ある。
第 1 節 一般規定
第 2 節 生存者間の贈与又は遺言により処分又は受領する能力第 3 節 処分可能な財産の割合及び減殺
第 4 節 生存者間の贈与第 5 節 遺言による処分
第 6 節 贈与者又は遺言者の孫又は兄弟姉妹の子のために許される処分第 7 節 父、母、又はその他の尊属によって行われる、卑属間での分割
第 8 節 夫婦財産契約によって夫婦及び婚姻から生まれる子に対して行われる贈与第 9 節 夫婦財産契約による、又は婚姻中の、夫婦間の処分
2 フランス民法典では担保法改正により担保法の箇所に移設された「保証」も、ルクセンブルク民法典では依然として典型契約として位置付けられている(第 14 章)。
3 フランス民法典では新たに設けられた不動産開発契約、信託等も、ルクセンブルク民法典では規定されていない。なお、信託に関しては、特別法により規定されているようである
(xxxxxxx・xxx(xxxx訳)「信託に関する 2007 年 2 月 19 日の法律(フラン
ス)」立教法務研究 2 号 69 頁以下(2009 年)参照)。
第一に、日本の民法典が規定する典型契約は、いずれもルクセンブルク民法典においても規定されていると一応はいえる。もっとも、いくつかの点に注意が必要である。
①規定の位置付けが異なる場合がある。すなわち、贈与は、日本では他の契約類型と並べて規定されているが、ルクセンブルクでは他の契約類型とは独立に規定されている。
②日本の民法典で規定されている典型契約のうちいくつかのものは、ルクセンブルク民法典では、より大きな内容を有する契約の下位類型として位置付けられている。すなわち、日本の「消費貸借」「使用貸借」はルクセンブルクでは「貸借」の下位類型として4、日本の
「賃貸借」「雇用」「請負」はルクセンブルクでは「賃貸借」の下位類型として5、日本の「終身定期金」はルクセンブルクでは「射倖契約」の下位類型として6、日本の「寄託」はルクセンブルクでは「寄託」の下位類型として(日本の「寄託」はルクセンブルクの「寄託」の下位類型と一致するにすぎない)7、それぞれ規定されている。
③各契約の概念内容を細かく見るならば、日本とルクセンブルクでは一致しないことがある。とりわけ、日本の「請負」「委任」とルクセンブルクの対応契約類型の異同が重要である。
第二に、ルクセンブルク民法典には、日本の民法典には設けられていない典型契約が見られる。射倖契約(の一部)がそれである(なお、保証は、日本の民法典では債権総則に
(446 条以下)、夫婦財産契約は、日本の民法典では親族編に(755 条以下)、それぞれ規定されている)。下位類型にまで目を向ければ、こうした例はさらに増える(建築予定不動産の売買のほか、必要的寄託・係争物寄託がある)。
(4) フランス民法典との比較
ルクセンブルク民法典とフランス民法典との関係についてみておこう。ルクセンブルクは、フランス革命期にフランスの支配を受けたために、1804 年のフランス民法典がそのままルクセンブルクにも適用された。その後、1815 年のウィーン会議の結果、ルクセンブル
4 ルクセンブルク民法典は、「貸借(prêt)」の種類として、「使用貸借(prêt à usage ou commodat)」及び「消費貸借(prêt de consommation)又は単なる貸借(prêt simple)」を規定しており(後者のうち利息付きのものは「利息付貸借(prêt à l’intérêt)」として別に規定されている)、前者が日本の民法典における「使用貸借」に、後者が「消費貸借」にそれぞれ該当する。
5 ルクセンブルク民法典は、「賃貸借(louage)」の種類として、「物の賃貸借(louage des choses)」「仕事及び勤労の賃貸借(louage d’ouvrage et d’industrie)」等を規定しており、前者が日本の民法典における「賃貸借」に該当し、後者に日本でいう「雇用」「請負」が含まれていると見ることができる。
6 ルクセンブルク民法典は、「射倖契約」として、「終身定期金」のみならず「競技及び賭事」についても規定している。
7 ルクセンブルク民法典は、「任意的寄託(dépôt volontaire)」(日本の民法典における「寄
託」に該当する)のみならず、「必要的寄託(dépôt nécessaire)」も含めて、「寄託」として規定する。また、「係争物寄託(séquestre)」なるものも、「寄託」と同じ章で規定されている。
ク大公国となり自治を回復し、1839 年にはベルギーに領土を割譲したが、その間、民法典が廃止されることはなかった。したがって、ルクセンブルク民法典の原始規定はフランス民法典の原始規定と同一であるが、その後、両国で独自の改正がなされている、という状況にある。
現行ルクセンブルク民法典における典型契約規定を、現行フランス民法典における典型契約規定と比較すると、次の諸点を指摘できる。
第一に、ルクセンブルク民法典は、フランス民法典における典型契約規定とかなりの程度において共通している。すなわち、売買、交換、賃貸借、組合、寄託、射倖契約、委任、和解といった、フランス民法典の原始規定から存在し現行フランス民法典でも維持されている諸契約は、現行ルクセンブルク民法典でも維持されている。
第二に、フランス民法典において成立後に追加された新たな典型契約は、ルクセンブルク民法典には存在しないものが多い。具体的には、不動産開発契約、不分割権利の行使に関する合意、信託、仲裁契約である。ただし、建築予定不動産の売買は、ルクセンブルク民法典にも導入されている(第 3 編第 6 章第 3-1 節)。
第三に、フランス民法典において成立後に内容が改正された契約の中には、ルクセンブルクにおいても内容の改正がなされたものがある。具体的には、ヨーロッパ・レベルでの要請により改正された、ホテル業者の寄託である。
(5) 検討方針
ルクセンブルク民法典における典型契約に関しては、管見の及ぶ限り、日本においてアクセス可能な文献は存在しない。また、フランス民法典における典型契約と同様の事項に関しては、そもそも詳論する意義に乏しいことが予想される。そこで、以下では、フランスとは異なる法状況が妥当しており、かつわが国の民法典における典型契約規定との関係で特徴的なものに絞って、検討することにする8。具体的には、建築予定不動産の売買(2)、ホテル業者の寄託(3)である。なお、報告書の趣旨にしたがい、役務提供型の契約に関しては一応独立の項を設ける(4)。
2 建築予定不動産の売買(vente d’un immeuble à construire)
(1) 背景・沿革
1976 年 12 月 28 日の法律により、ルクセンブルク民法典第 3 編第 6 章第 3-1 節に、売買契約の下位類型として、「建築予定不動産の売買」が規定された。その背景・沿革についての文献に接することができなかったため確言はできないが、フランスにおける法状況とルクセンブルクにおける法状況にはほとんど差異が存在しないであろうこと、フランスにお
8 念のため、条文訳においては、日本の民法典には見られない契約類型(建築予定不動産の売買及びホテル業者の寄託のほか、必要的寄託、係争物寄託及び射倖契約(競技及び賭事))も付しておいたが、内容の詳細はフランスに関する報告書をご参照いただきたい。
ける改正とそれほど時期的な隔たりがないこと等から、フランス民法典における建築予定 不動産の売買に関する規律の導入と同一の背景・沿革によるものではないかと推測される。もっとも、ルクセンブルク民法典における規定は、フランス民法典における規定と同一 ではない。最も重要な違いが、フランスにおいては(民法典ではなく)建築・住居法典におかれている規定、すなわち居住目的不動産等に関する強行的な規定が、ルクセンブルクにおいては民法典におかれている点である。その理由は定かではない(ルクセンブルクにおいては、居住目的不動産に関する法規制が、建築・住居法典という独立の法典の編纂ではなく個別立法により行われている(そのうえで、建築予定不動産の売買に関しては民法
xへの規定の導入も行われた)ということかもしれない)。
(2) 規定の内容
ルクセンブルク民法典における建築予定不動産の売買に関する規定は、1601-1 条ないし
1601-14 条、及び、1642-1 条・1646-1 条の 16 か条に及ぶ。
① 建築予定不動産の売買一般に関する規定
まず、1601-1~3 条は、フランス民法典 1601-1~1601-3 条と同一文言である。大まかに言えば、①建築予定不動産の売買は、「売主が、契約に定める期間内に不動産を建築する義務を負う売買」と定義されること(1601-1 条 1 項)、②建築予定不動産の売買には、期限付き売買及び完成の未到来状態における売買の二種類があること(同条 2 項)、③期限付き売買においては、建築物の所有権の移転は公署証書による完成の確認によって生じ(取得者は引渡時に代金支払義務を負う)、売買の日にその効力が遡ること(1601-2 条)、④完成の未到来状態における売買においては、建築物の所有権の移転は施工に応じて生じ、取得者は工事の進捗に応じて代金支払義務を負うこと(1601-3 条)が規定されている。
次に、1642-1 条及び 1646-1 条は、建築予定不動産の売買における瑕疵担保責任について規定する。内容は、フランス民法典における規定とほぼ同じである。
② 保護部門に関する規定
1601-4~14 条は、フランス民法典にはなく、ルクセンブルク民法典独自の規定であり、居住目的又は営業目的かつ居住目的の不動産(フランス法において「保護部門(secteur privé)」と呼ばれるもの。ルクセンブルクでそのような呼ばれ方がされているかは定かではないが、以下では「保護部門」という言葉を用いる)が対象となる場合に関して、強行規定が設けられている(1601-4 条 1 項・2 項参照)。その概要は以下のようにまとめられる。
ⅰ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買は、期限付き売買又は完成の未到来状態における売買の形式で行われなければならず、これに違反する場合は無効である(1601-4条 3 項)。
ⅱ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買が有効に成立するためには、そのため
に必要な行政上の許可の取得(1601-5 条 1 項)と、一定の事項に関する約定及びそれらを証する公署証書(同条 2 項以下)によって締結されなければ無効である(同条 8 項)。特に、約定された期日における不動産の完全な完成又は完成されずに契約が解除された場合の既払い金の返還に関し、売主が担保を提供しなければならないとされている点に、立法の一つの重点がおかれている。
ⅲ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買において、どのような場合に建築物が完成したといえるか(1601-6 条)、またその確認の方法(1601-7 条)について規定が設けられている。この点は、瑕疵担保に関係してくる。
ⅳ)保護部門を対象とする期限付き売買に関して、騰記をすべき旨が規定されている
(1601-8 条)。
ⅴ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買における代金支払いに関する規律がおかれている。すなわち、完成の未到来状態における売買に関しては、代金支払いが可能となる時期及びその額についての規定がおかれている(1601-9 条)。また、期限付き売買に関しては、代金支払いの方法等が規定されている(1601-10 条)。
ⅵ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買における付随的な約定に関して、違約罰の制限等(1601-11 条)や買戻条項の禁止(1601-12 条)が定められている。
ⅶ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買に先立って締結されうる予備的契約に関し(1601-13 条 1 項)、書面の交付を要求するとともに(同条 2 項)、取得予定者により交付される担保寄託金に関する規律等(同条 3 項・4 項)が設けられている。
ⅷ)保護部門を対象とする建築予定不動産の売買においては、上述のⅴ~ⅶに違反する条項、及び、1642-1 条・1646-1 条と異なる旨を定める条項は、書かれなかったものとみなされる(1601-14 条)。
3 ホテル業者の寄託(dépôt hôtelier)
(1) 背景・沿革
ルクセンブルク民法典においては、寄託の下位類型として「必要的寄託」が定められており(第 3 編第 11 章第 2 節第 5 款)、さらにその一種として「ホテル業者の寄託」が規定されている。必要的寄託が通常の寄託とどのような差異があるかについては、フランスとほぼ同様の考察が成り立つ。それに対し、ホテル業者の寄託に関しては、原始規定においてすでに必要的寄託の一種として規定されていた点及びその背景はフランスと同様であるが、現在における具体的規律の内容はフランスと異なる。
現行ルクセンブルク民法典 1952 条ないし 1954-3 条は、ホテル業者の責任に関する 1962
年 12 月 17 日の EC 協定を受けて、1979 年 3 月 7 日の法律により全面改正ないし導入され
たものである(フランス民法典における 1973 年 12 月 24 日の法律による改正、ベルギー民
法典における 1972 年 7 月 4 日の法律による改正と対応する)。
(2) 規定の内容
以下のような内容の規定が置かれている(ベルギー民法典の規定とほぼ同じである)。
①ホテル業者の責任の一般的規律:ホテル業者は、ホテルに宿泊し部屋を取る者がホテルに持ち込む物件のあらゆる破損、破壊又は盗難について責任を負う(1952 条 1 項)。無償受寄者の注意義務の程度に関する規定(1927 条)は適用されない(1954-2 条 1 項)。「ホテルに持ち込む物件」には、一定のホテル外の物件も含まれる(同条 2 項)。責任の限度額
は、1 日分の宿泊賃料の 100 倍である(同条 3 項)。
②ホテル業者の責任が無制限となる場合:物件がホテル業者等の手に委ねられた場合やホテル業者が受領を義務付けられている物件の受領を拒んだ場合等、ホテル業者の責任が
(1 日分の宿泊賃料の 100 倍に限定されず)無制限となる場合が定められている(1953 条
1 項)。ホテル業者が受領を義務付けられる場合の具体的内容に関してさらに規定が設けら
れているほか(同条 2 項)、ホテル業者が寄託された物件について旅客に対して求めること
ができる措置が規定されている(同条 3 項)。
③ホテル業者の責任が免除される場合:旅客自身や不可抗力に起因する破損、破壊又は盗難については、ホテル業者の責任が免除される(1954 条)。
④旅客の権利行使の方法:ホテル業者等のフォートの場合を除き、破損、破壊又は盗難を発見した後に不当な遅滞なく旅客が申告しなければ、旅客の権利は消滅する(1954-1 条)。
⑤事前の責任減免合意の効力:無効である(1954-2 条)。
⑥適用除外:①②④の規律は、乗物や動物等には適用されない(1954-3 条)。
4 役務提供型の契約について
ルクセンブルク民法典における役務提供型の契約類型の内容及び相互関係等に関しては、それに関する文献に接することができなかったが、フランス法(及びベルギー法)と同じ 考え方が妥当するものと推測されるので、該当箇所を参照いただきたい。
(xxxx)
ルクセンブルク民法典(1804 年 3 月 7-8 日)条文訳
<目次> 太字:<条文訳>で訳出した箇所第 1 編 人
第 2 編 物及び所有権の諸態様
第 3 編 所有権を取得する様々な方法―一般規定第 1 章 相続
第 2 章 生存者間の贈与及び遺言
第 3 章 契約又は合意による債務一般第 4 章 合意なしに形成される約務 第 5 章 夫婦財産契約及び夫婦財産制第 6 章 売買
第 1 節 売買の性質及び形式
第 2 節 買い受け、又は売却することができる者第 3 節 売却することができる物
第 3-1 節 建築予定不動産の売買第 4 節 売主の義務
第 1 款 一般規定第 2 款 引渡し 第 3 款 担保責任
§1 追奪の場合における担保責任 §2 売却物の欠陥についての担保責任第 5 節 買主の債務
第 6 節 売買の無効及び解除第 1 款 買戻権
第 2 款 過剰損害を原因とする売買の取消し第 7 節 換価処分
第 8 節 債権及びその他の無体の権利の移転第 7 章 交換
第 8 章 賃貸借契約 第 1 節 一般規定 第 2 節 物の賃貸借
第 1 款 家屋及び農事財産の賃貸借に共通の規則第 2 款 家屋賃貸借の特則
第 3 款 定額小作契約の特則
第 3 節 仕事及び勤労の賃貸借
第 1 款 家事使用人及び製作者の賃貸借第 2 款 陸上及びxxの輸送人
第 3 款 見積請負及び請負第 4 節 家畜賃貸借
第 1 款 一般規定第 2 款 単純家畜第 3 款 折半家畜
第 4 款 所有者によってその定額小作人又は「分益小作人」に貸与される家畜
§1 定額小作人に貸与される家畜 §2 「分益小作人」に貸与される家畜第 5 款 不適切に家畜と呼ばれる契約
第 9 章 組合
第 1 節 一般規定
第 2 節 さまざまな種類の組合第 1 款 一般的な組合
第 2 款 特殊な組合
第 3 節 組合員間での、又は第三者に対する、組合員の約務第 1 款 組合員間での組合員の約務
第 2 款 第三者に対する組合員の約務第 4 節 組合が終了するさまざまな仕方商事会社に関する規定
第 10 章 貸借
第 1 節 使用貸借
第 1 款 使用貸借の性質第 2 款 借主の約務
第 3 款 使用貸借を行う貸主の約務第 2 節 消費貸借又は単なる貸借
第 1 款 消費貸借の性質第 2 款 貸主の義務
第 3 款 借主の約務第 3 節 利息付貸借
第 11 章 寄託及び係争物寄託
第 1 節 寄託一般及びそのさまざまな種類第 2 節 狭義の寄託
第 1 款 寄託契約の性質及び本質第 2 款 任意寄託
第 3 款 受寄者の義務
第 4 款 寄託を行った者の義務第 5 款 必要的寄託
第 3 節 係争物寄託
第 1 款 係争物寄託のさまざまな種類第 2 款 合意による係争物寄託
第 3 款 係争物寄託又は裁判上の寄託第 12 章 射倖契約
第 1 節 競技及び賭事 第 2 節 終身定期金契約
第 1 款 契約の有効性
第 2 款 契約当事者間での契約の効果第 13 章 委任
第 1 節 委任の性質及び形式第 2 節 受任者の義務
第 3 節 委任者の義務
第 4 節 委任が終了するさまざまな仕方第 14 章 保証
第 15 章 和解
第 16 章 アストラント第 17 章 質
第 18 章 先取特権及び抵当権
第 19 章 強制徴収及び債権者間の順位第 20 章 時効
第 3 編 所有権を取得する様々な方法――一般規定第6 章 売買
第 3-1 節 建築予定不動産の売買(1976 年 12 月 28 日の法律)
第 1601-1 条① 建築予定不動産の売買は、売主が、契約に定める期間内に不動産を建築する義務を負う売買である。
② この売買は、期限付き(完成時一括移転方式)又は完成の未到来状態(完成xxx移転方式)で、締結することができる。
第 1601-2 条 期限付き売買は、売主がその完成時に不動産を引き渡すことを約し、買主がその引渡しを受け、かつ、引渡しの日にその代金を支払うことを約する契約である。所有権の移転は、公署証書による不動産の完成の確認によって、法律上当然に行われる。この移転は、売買の日に遡ってその効果を生じる。
第 1601-3 条① 完成の未到来状態における売買は、売主が土地についての自己の権利及び既存の建築物の所有権を取得者に直ちに移転する契約である。将来の工作物は、その施工に応じて取得者の所有物となる。取得者は、工事の進捗に応じてその代金を支払う義務を負う。
② 売主は、工事の受領まで、仕事の注文者としての権限を保持する。
第 1601-4 条(1985 年 8 月 8 日の法律)① ある者が、仕事の注文者となる権限を留保して、建築物の完成前になされる資金の支払い又は寄託を用いて、居住用の不動産、営業用かつ居住用の不動産、又は共同所有権の持分により構成されるそのような不動産の一部を、建築し、又は建築させることを約するあらゆる契約は、建築予定不動産の売買とみなされ、以下の数条に強行的に服する。
② 居住建物が営業用建物の従物を形成する場合、混合用途の不動産は、法律の強行的な適用を受けない。
③ 本条の意味における建築予定不動産の売買は、期限付き売買又は完成の未到来状態における売買の形式を備えなければならない。これに違反した場合は、無効である。
第 1601-5 条① 第 1601-4 条が規定する売買の場合、第 1601-2 条及び第 1601-3 条が規定する契約は、計画されている建築物のために必要な行政上の許可が取得された時点からのみ、締結されうる。
② 前項の契約は、公署証書によって締結されなければならず、不動産物権の騰記に関する法律第 8 条および第 9 条により必要とされる項目のほか、[次のものを]定めなければならない。
a) 土地及び建築物の所有者の身元
b) 行政上の許可の交付の日付及びその許可が服する条件
c) 売却される不動産又は不動産の一部の明細目録及び合意された完成の程度
d) 代金及びその支払いの態様
e) 引渡しの期限
f) (1985 年 8 月 8 日の法律)契約が第 1601-3 条に規定された形式をとる場合、契約により規定された期日における不動産の完全な完成の担保、又は、完成されずに契約が解除された場合の、大公規則(rèlglement grand-ducal)により定められるべき条件及び態様でなされる支払いの返還の担保。この担保は、国家、市町村、公的施設及びこれらの団体が支配的持分を有している会社により直接に行われる建築には、必要とされない。
③ この担保は、単独の所有者が取得する、複数のアパルトマンから成る家屋の建築においても、必要とされない。
④ 完成の担保が約定された場合、その担保は、建築が事実上又は法律上行い得ないことが証明された場合には、返還の担保に変わる。
⑤ さらに、①の契約は、代金を改訂しうるか否か、及び、改訂しうる場合には、その改訂の態様を定めなければならない。
⑥ さらに、①の契約は、添付書類として、又は、公証人に提出された文書を参照して、[以下のことが]含まれていなければならない。
a) 不動産の正面の設計図、各階の設計図、並びに、各部屋及び各空間の有効寸法及び面積表示を伴う断面設計図を含む、建築図面
b) 不動産の強度及び技術的特質、並びに、用いられるべき材料、なされるべき作業及び設置すべき設備の諸要素を示した説明書
c) 共同所有にかかる建築の場合、共同所有の規則。この文書は、前もって取得者に知らされなければならず、契約締結の際に写しが交付されなければならない。
⑦ これらの形式の履践は、証書への記入によって確認される。
⑧ 本条の規定が遵守されない場合には、契約の無効がもたらされる。この無効は、取得者により仕事の完成前にのみ、援用されうる。ただし、行政上の許可の欠如による無効は、行政が許可の欠如を主張しうるかぎり、援用されうる。
⑨(1985 年 8 月 8 日の法律) 完成前の担保のあらゆる放棄は、書かれなかったものとみなされる。
第 1601-6 条① 期限付き又は完成の未到来状態において売却される不動産は、仕事が行われ、その用途にしたがって契約の目的たる不動産を使用するのに不可欠な設備要素が備え付けられた場合には、第 1601-2 条及び第 1601-9 条の意味において、完成したものとみなされる。この完成の解釈に当たっては、契約の予見との適合性の欠如は、それが実質的な性質のものではない場合には、考慮されない。工作物又は上記の諸要素を不動産の使用の
ために不適切なものとするわけではない欠陥も、同様に考慮されない。
② 完成の確認は、それ自体では、契約の予見への適合性の認識や、第 1642-1 条により取得者が得る権利の放棄をもたらさない。
第 1601-7 条① 期限付きで売却される不動産の完成は、あるいは両当事者により、あるいは資格ある者により、確認される。
② 両当事者による確認は、期限付き売買契約書のxxの受寄者である公証人の証書の対象となる。この合意は、不動産の引渡しの効力を有する。
③ 確認は、売買契約書がその旨を予定していた場合又は両当事者の合意がない場合に、資格ある者によってなされる。
④ この者は、あるいは両当事者により、あるいは全ての当事者の請求により、率先的に配慮した当事者でなくとも他の当事者は正式に召還されて、xxxxxxにより指定される。このオルドナンスに対する、不動産が所在する郡の裁判所の長による上訴は、認められない。
⑤ 完成の確認は、このようにして指定された資格ある者により、売買契約書のxxの受寄者である公証人への届出の対象となる。
⑥ 完成の確認は、このようにしてなされる届出により完全なものとなる。
⑦ 完成の確認は、率先的に配慮した当事者により、受取証の要求を伴う書留便により、他の当事者に通知される。通知は、この受領の日における不動産の引渡しの効力を有する。
第 1601-8 条① 期限付き売買を確認する証書は、その物が所在する管轄における抵当権保存事務所に、法律上の期間内に騰記される。
② 不動産の完成を確認する証書も同様である。この騰記の記載は、売買契約書の騰記の横に、義務的になされる。
第 1601-9 条① 完成の未到来状態における売買の場合、売主は、契約の署名前においても、債権が請求可能となる日の前においても、いかなる支払い、寄託、手形の振出し又は引受けも要求することができない。
② 売主は、仕事の開始前に、計画されている建築に関するいかなる前払いも求めることができない。売主は、土地及び既存の設備要素の価値に対応する代金の支払いのみを求めることができる。全代金における土地部分の割合は、10%を超えてはならない。ただし、売主が、原価又は実現価値が上回ることを証明する場合は、この限りでない。
③ 仕事の開始後は、建築に付随する支払いは、支払った金額が常に実現した仕事の量に対応するように、仕事の進捗に応じてのみ、請求可能となる。
④ いずれの場合においても、建築についての支払いは、[以下のものを]超えてはならない。
基礎が完成した建築物の全代金の 15%。ただし、車庫及びその他の主たる不動産から切り離された付属建築物に関する基礎は除く。
基礎と屋根組みの間になされるべき舗石の数に応じた割当分。ただし、上部の舗石の完成による全代金の 50%を上限とする。
不動産の完成の際の 95%
⑤ 未払い金は、建物が取得者に引渡されるときに、支払うことができる。しかし、契約の予見との適合性に関して異議がある場合には、供託されうる。
第 1601-10 条① 期限付き売買は、担保の寄託が、仕事の進捗に応じて、第 1601-9 条に規定されたパーセンテージを超えることなく、取得者の名で銀行機関に開かれた特別口座になされることのみを約定しうる。このようにして寄託された資金は、代金の支払いを除き、買主が負う金額を限度として、譲渡不可能、差押え不可能、かつ処分不可能である。
② 担保の寄託の対象となる資金は、買主が不在であり競合しないときでも、不動産の完成が確認されたことを証する、売買契約書のxxの受寄者たる公証人の単なる証明書作成に基づき、受寄機関により売主に対して有効に支払われる。
③ 公証人は、抵当に関する情報を、受寄機関及び取得者に知らせなければならない。
④ 不動産について登記が存在する場合、又は、その他の支払いの障害が存在する場合、公証人は、受寄機関に対し、状況決済に必要な資金の額を指示する。この資金は、公証人により与えられる指示に従って、当該決済のために受寄機関が保持する。
第 1601-11 条① 契約では、解除の場合の違約として、解除が帰せしめられる当事者に対して、代金の 10%を超える補償を支払わせることを規定してはならない。
② しかし、当事者は、実際に被った損害の賠償を求める権能を保持する。第 1601-12 条 合意は、いかなる買戻条項も含んではならない。
第 1601-13 条① 第 1601-2 条及び第 1601-3 条が規定する売買に先立ち、開設された特別
口座に対して被留保者の名でなされる担保の寄託と引換えに、売主が買主のために不動産又は不動産の一部を留保することを約する予備的契約が締結されうる。
② この契約は、書面によりなされ、その写しが資金のあらゆる寄託の前に被留保者に対して交付されなければならない。この契約は、不動産の強度、建築の品質、及び仕事の履行期限、並びに、留保された建物の強度、状況、及び代金に関する本質的事項を含むものでなければならない。
③ 被留保者の名で特別口座に担保として寄託される資金は、売買契約の締結までは、処分不可能、譲渡不可能、かつ差押え不可能である。担保の寄託額は、予定代金の 2%を超えてはならない。
④ この資金は、終局的契約が予備的契約に規定された期間内に売主の事情により締結されない場合、又は、提示された契約が予備的契約の予定との関係で異常な相違を示している場合、特に、売買代金が予定代金を 5%以上超過している場合、予備的契約で予定された設備要素の一つが実現されえない場合、契約対象の不動産又は不動産の一部が強度又は予定されていた仕事の品質において 10%を超える価値減少を示している場合は、寄託者に返還される。
⑤ 不動産の留保を目的とするその他のあらゆる合意は、無効である。
⑥ 本条が規定する場合においては、被留保者は、受取証の要求を伴う書留便により、売主及び受寄者に対し、償還の請求を通知する。
⑦ 寄託者が返還の権利を証明することを条件として、償還は、この請求から最長で 1 ヶ月の期間内になされる。
第 1601-14 条 第 1601-4 条が規定する契約に含まれる、第 1601-9 条ないし第 1601-13 条
並びに第 1642-1 条及び第 1646-1 条に違反するあらゆる条項は、書かれなかったものとみなされる。
※関連条文
第 1642-1 条(1985 年 8 月 8 日の法律)① 建築予定不動産の売主は、工事の受領前又は取得者による占有の開始後一月の期間の満了前は、その時点において明白な建築物の瑕疵について、免責を受けることができない。
② 売主が瑕疵を修補することを義務付けられている場合には、契約の解除又は代金の減額は行われない。
第 1646-1 条(1985 年 8 月 8 日の法律)① 建築予定不動産の売主は、取得者による工
作物の受領から 10 年の間、建築家、請負人その他請負契約によって工事主と契約関係に
ある者自身がこの法典第 1792 条及び第 2270 条の適用によって負う隠れた瑕疵[についての責任]を負う。
② 売主は、取得者による工作物の受領から 2 年の間、小さな工作物(menu ouvrage)について担保責任を負う。不動産の相次ぎの所有者 propriétaires successifs は、これらの担保責任を享受する。
③ 売主が瑕疵を修補することを義務付けられている場合には、契約の解除又は代金の減額は行われない。
④ 相次ぎの取得者は、本条の適用により生じる訴権を、当初の売主に対してのみ行使できる。
第 1792 条(1976 年 12 月 28 日の法律) 建築物の全部又は一部が建築の瑕疵によって滅失した場合、それが土地の瑕疵から生じるものであっても、建築家、請負人その他請負契約によって工事主と契約関係にある者は、それについて 10 年間責任を負う。
第 11 章 寄託及び係争物寄託
第 2 節 狭義の寄託第 5 款 必要的寄託
第 1949 条 必要的寄託は、火災、崩壊、略奪、難船その他の予見されない出来事のような何らかの事故によって強制された寄託である。
第 1950 条(1986 年 12 月 22 日の法律) 必要的寄託については、第 1341 条に定める数額を上回る価額に関するときでも、証人による証拠を受理することができる。
第 1951 条 必要的寄託は、そのほか、先に挙げたすべての規則によって規律される。
第 1952 条(1979 年 3 月 7 日の法律)① ホテル業者は、受寄者と同様に、そのホテルに宿泊し部屋を使用する者がホテルに持ち込む物件のあらゆる破損、破壊又は盗難について責任を負う。これらの物件の寄託は、必要的寄託とみなされる。
② [以下のものは]ホテルに持ち込まれたものとみなされる。
a) 旅客が部屋を使用する間にホテルに所在する物件
b) 旅客が部屋を使用する間、ホテル業者又はホテル業者に役務を提供する者がホテル外で監視を引き受ける物件
c) 旅客が部屋を使用する期間の前後の合理的な期間に、あるいはホテルにおいて、あるいはホテル外で、ホテル業者又はホテル業者に役務を提供する者が監視を引き受ける物件
③ 本条の責任は、損害ごとに、一日分の宿泊賃料の 100 倍に限定される。大公規則
(règlement grand-ducal)は、この賃料を決定するための要素を定めることができる。
第 1953 条(1979 年 3 月 7 日の法律)① [以下の場合には]ホテル業者の責任は無制限である。
a) 物件がホテル業者又はホテル業者に役務を提供する者の手に委ねられた場合
b) ホテル業者が受領を義務付けられている物件の受託を拒んだ場合
c) 第 1952 条が規定する物件の破損、破壊又は盗難が、ホテル業者又はホテル業者に役務を提供する者のフォートに帰せしめられる場合
② ホテル業者は、有価証券、硬貨及び紙幣の受領を義務付けられる。その者は、それらの物件が危険である場合、又は、その価値若しくはホテルの利用条件にかんがみて、それらの物件が過剰な商業価値若しくは手間を必要とする性質を有している場合にのみ、それらの受領を拒むことができる。
③ ホテル業者は、自らに寄託された物件が密閉又は封印された包装の中に入れられることを求めることができる。
第 1954 条(1979 年 3 月 7 日の法律) ホテル業者は、破損、破壊又は盗難が[以下のものに]起因する限りにおいて、責任を負わない。
a) 旅客自身、又は、旅客に同伴し、旅客に仕え、若しくは旅客を訪問する者
b) 不可抗力
c) 物件の性質又は瑕疵
第 1954-1 条(1979 年 3 月 7 日の法律) ホテル業者又はホテル業者に役務を提供する者のフォートの場合を除き、旅客は、破損、破壊又は盗難を発見した後に不当な遅滞なくそれを申告しなければ、第 1952 条及び第 1953 条の利益を失う。
第 1954-2 条(1979 年 3 月 7 日の法律)① この法典の第 1927 条は適用されない。
② 前もってなされる、ホテル業者の責任を排除又は制限することを目的とするあらゆる宣言又は合意は、無効である。
第 1954-3 条(1979 年 3 月 7 日の法律) 第 1952 条ないし第 1954-2 条は、乗物、乗物の積荷の一部をなしその場に放置された物件、及び、生きている動物には適用されない。
第 3 節 係争物寄託
第 1 款 係争物寄託のさまざまな種類
第 1955 条 係争物寄託は、あるいは合意により、あるいは裁判による。
第 2 款 合意による係争物寄託
第 1956 条 合意による係争物寄託は、一又はxxの者によって、係争物について第三者の手中に行われる寄託である。その第三者は、争いが終了した後に、それを取得すべきであると裁判される者にその物を返還する義務を負う。
第 1957 条 係争物寄託は、無償でないことがある。
第 1958 条 係争物寄託は、無償であるときは、以下に挙げる差異を別として、狭義の寄託の規則に服する。
第 1959 条 係争物寄託は、動産物件だけでなく、不動産であっても目的とすることができる。
第 1960 条 係争物寄託の任にあたる受寄者は、争いが終了する前には、すべての利害関係当事者の同意又は正当と判断される事由によるのでなければ、免責を受けることができない。
第 3 款 係争物寄託又は裁判上の寄託
第 1961 条 裁判所は、[以下の物について]係争物寄託を命じることができる。一 債務者のもとで差し押さえられる動産
二 所有又は占有が二又はxxの者の間で係争中の不動産又は動産三 債務者がその免責のために提供する物
第1962 条① 裁判上の保管人の設定は、差押人と保管人との間で相互的義務を生じさせる。保管人は、差押物件の保存のために、善良な家父としての注意を払わなければならない。
② 保管人は、差押えの解除の場合には、あるいは売却のために差押人に対して、あるいは執行が行われた当事者に対して、差押物件を提出しなければならない。
③ 差押人の義務は、法律が定める報酬を保管人に支払うことにある。
第 1963 条① 裁判上の係争物寄託は、あるいは利害関係当事者の間で合意する者に、あるいは裁判官が職権で選任する者に委ねられる。
② いずれの場合にも、物を委ねられた者は、合意による係争物寄託に伴うすべての義務に服する。
第 12 章 射倖契約
第 1964 条① 射倖契約は、あるいは当事者のすべてにとって、あるいはそのうちの一又はxxにとって、利益及び損失に関する効果が不確実な出来事にかかわる相互的な合意である。
② このようなものとして、[以下のものが]ある。保険契約
冒険貸借
競技及び賭事 終身定期金契約
③ 最初の二つは、海事の法律によって規律される。
第 1 款 競技及び賭事
第 1965 条 法律は、競技の負債又は賭事の支払いについて、いかなる訴権も付与しない。
第 1966 条① もっぱら武具を用いて行うべき競技、徒競走又は競馬、車両競争、球技及び身体の技巧及び訓練に資する同一の性質の他の競技は、前条[の適用]から除外される。
② ただし、裁判所は、その全額を過大と思うときは、請求を排斥することができる。 1967 条 いかなる場合にも、敗者は、任意に支払ったものの返還を請求することができない。ただし、勝者の側に詐欺、欺瞞又は騙取があった場合には、その限りでない。
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