令和 3 年度 成果連動型民間委託契約方式(PFS)に関する実態調査報告
2022 年 8 月 8 日
政策研究レポート
令和 3 年度 成果連動型民間委託契約方式(PFS)に関する実態調査報告
自治体経営改革室 室長 xx x
研究員 xx xx研究員 xx xx
xx研究員 xx x xx研究員 xx xx
副主任研究員 xx xx
x年、行政運営の効率化と質の向上を図る新たな手法として「成果連動型民間委託契約方式」=「PFS(Pay For Success)」が、国の成長戦略にも掲げられるなど関心が高まっています。一方で、地方公共団体での導入は、徐々に実施事例が増えてきてはいるものの、全国で十分進んでいるとは言い難い状態にあります。
地方公共団体を取り巻く厳しい環境に対し、限られた資源の中で民間事業者のノウハウを活かして、成果の最大化を図るPFS や SIB(Social Impact Bond) について、その取り組み状況や地方公共団体の皆様のご関心、課題点などを明らかにすることは、PFS 活用に向けた施策・事業の展開や PFS の今後の可能性などについて検討するうえで重要であると考えられます。
そこで、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング自治体経営改革室では、全都道府県、市区町村を対象として、PFS の実態と課題に関する調査を実施致しました。
<調査結果概要>
■調査対象:全都道府県、全市町村、xxx特別区 計 1,788 団体
■回収数(率):723 団体(40.4%)
■概要
PFS・SIB の認知度について、約 8 割の団体が存在は認識しており、自治体内での認知度は高まってきている。
一方で、具体的な仕組みまで理解している団体は 15.9%にとどまり、認知度は高まってきているが、内容の理解は十分には進んでいない。実際に、PFS・SIB を検討しない理由としては、「庁内全体でPFS・SIB に対する理解が進んでいないから」「PFS・SIB について詳しく知らないから」が多く挙げられ、行政職員の間で PFS・SIB に対する理解がまだまだ進んでいないことが読み取れる。
PFS・SIB を活用したい分野としては、「健康増進」「介護予防」がそれぞれ 4~5 割となっており、これまで事例が蓄積されてきた分野は活用意向も高い。一方で、これまで国内では実施事例の少ない「施設・インフラの維持管理」が 46.1%、「公共交通の効率化」が 26.4%と活用意向が高くなっている。
今後検討のPFS・SIB 事業における期待として、PFS・SIB を導入することで、仕様に縛られない民間事業者のノウハウを活かした事業展開への期待や、効果の上昇への期待が大きいことが読み取れる。
一方、導入に向けて困難な点として、成果指標の設定や支払い条件に紐づく成果目標の水準設定が課題となっていることが多いことがうかがえる。また、PFS・SIB に対する理解不足や、従来の考え方とは異なることでの合意形成の難しさが課題となっている。
(お問い合わせ)自治体経営改革室 xxxx://xxx.xxxx.xx/xxxxxxxxx/xxxxxxx/xxx e-mail:xxxxxxxxxxxxx@xxxx.xx
令和 3 年度
成果連動型民間委託契約方式(PFS)に関する実態調査
報告書
令和 4 年8月
三菱UFJリサーチ&コンサルティング自 治 体 経 営 改 革 室
【目 次】
I. PFS の概要 1
1. PFS・SIB とは 1
2. PFS・SIB による事業スキーム 1
3. PFS の活用により期待される効果について 2
II. 調査の概要 3
1. 調査内容 3
2. 調査実施時期、実施方法 3
3. 調査対象及び回収率 3
4. 調査結果をみる上での注意事項 3
III. 調査結果総括 4
IV. 調査結果 6
1. PFS・SIB への関心 6
2. PFS・SIB の導入状況、導入への関心 10
3. 「PFS 共通的ガイドライン」の認識・活用状況 24
4. PFS・SIB 関連制度への応募意向等 25
5. 回答者属性 26
I. PFS の概要
下記の概要は、内閣府の成果連動型民間委託契約方式ポータルサイトより一部を転載しています。詳細は、下記web サイトをご参照ください。
内閣府 成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)ポータルサイト xxxxx://xxx0.xxx.xx.xx/xxx/xxxxxxx.xxxx
1.PFS•SIB とは
PFS とは、“Pay For Success”の略語であり、「成果連動型民間委託契約方式」を指します。 この PFS による事業とは、地方公共団体等が、民間事業者に委託等して実施させる事業のう ち、その事業により解決を目指す「行政課題」に対応した「成果指標」が設定され、地方公共 団体等が当該行政課題の解決のためにその事業を民間事業者に委託等した際に支払う額等が、当該成果指標の改善状況に連動する事業のことです。
このうち、SIB とは、“Social Impact Bond”の略語であり、PFS による事業を受託した民間事業者が、当該事業に係る資金調達を金融機関等の資金提供者から行い、その返済等を成果に連動した地方公共団体からの支払額等に応じて行うものです。
2.PFS•SIB による事業スキーム
従来の委託スキームでは、業務委託契約において委託される業務の仕様が決まっており、業務を受託した民間事業者は当該仕様に則り業務を実施すれば成果にかかわらず、予め定めた委託料が支払われることとなります。
一方、PFS による事業では、地方公共団体等が民間事業者に業務委託する際に、その委託
料等が、事業の成果指標の改善状況に連動するという契約を行います。また、その際、事業の実施手法について、民間事業者に一定の裁量を持たせるような委託等の契約を行います。民間事業者による業務が実施された後に、成果指標の改善状況を把握するため、「成果の評 価」を行います。その評価結果、つまり、成果指標の改善状況に応じて、委託料等が支払われ
ることとなります。
このスキームは一例であり、事業によっては、資金提供者が参画するケースや民間事業者の取りまとめなどを行う、中間支援組織が参画するケースもあり、事業によって様々なスキームで PFS による事業が実施されています。
3.PFS の活用により期待される効果について
PFS の活用により期待される効果には、以下のようなものがあります。
・ 行政課題の解決に民間事業者のノウハウ等が積極的に活用されることや、民間事業者による柔軟できめ細やかなサービスが提供されることで、国民や地域住民の満足度の向上といったより高い成果(アウトカム)が創出される
・ 行政課題の解決に向けたノウハウを有する多様な民間事業者の公共サービスへの参入機会が創出され、民間事業者において、そのノウハウの蓄積・改善が進み、民間事業者の育成が促進される
・ 地方公共団体等から民間事業者に対する支払額等が、成果指標の改善状況に連動することで、個々の事業の費用対効果が高まり、ワイズスペンディング(賢い予算支出)が図られる
・ 解決を目指す行政課題(政策目的)に向け、事業とその成果との結び付き(因果等の関連性)を整理するとともに、成果指標を設定し、その測定に情報やデータを整備・活用することにより、 EBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング:証拠に基づく政策立案)の推進が図られる
II. 調査の概要
1.調査内容
①成果連動型民間委託契約(Pay for Success:PFS、Social Impact Bond:SIB)への関心・認知
②PFS・SIB の導入状況・導入に向けた関心
③国の制度や支援策の認知
2.調査実施時期、実施方法
令和 3 年 8 月~令和 3 年 9 月、郵送配布・郵送またはweb にて回収
3.調査対象及び回収率
調査対象:全国の全都道府県、全市町村、xxx特別区計 1,788 団体
回収数(率):723 団体(40.4%)
4.調査結果をみる上での注意事項
・本文、表、グラフなどに使われる「n」は、各設問に対する回答団体数を指す。
・百分率(%)の計算は、小数第 2 位を四捨五入し、小数第 1 位まで表示している。したがって、回答率の合計が 100%にならない場合がある。
・本文、表、グラフは、表示の都合上、調査票の選択肢等の文言を一部簡略化している場合がある。
・回答団体数が少ない場合は傾向をみるにとどめ、本文中では触れていない場合がある。
III. 調査結果総括
PFS•SIB への関心(p.6~10)
PFS・SIB の認知度について、約 8 割の団体が存在は認識しており、自治体内での認知度は高まってきている。
一方で、具体的な仕組みまで理解している団体は 15.9%にとどまり、認知度は高まってきているが、内容の理解は十分には進んでいない。
PFS・SIB に対して、関心がある団体は約 7 割に上っており、特に都道府県、政令指定都市において強い関心を示す自治体の割合が高い。
PFS・SIB を活用したい分野としては、「健康増進」「介護予防」がそれぞれ 4~5 割となっており、これまで事例が蓄積されてきた分野は活用意向も高い。一方で、これまで国内では実施事例の少ない「施設・インフラの維持管理」が 46.1%、「公共交通の効率化」が 26.4%と活用意向が高くなっている。
PFS•SIB の導入状況、導入に向けた関心(p.10~23)
① 導入の検討状況・検討の理由
PFS・SIB 導入の検討状況としては、導入に向けて検討を進めている団体が 12.7%にのぼった。また、1.4%の団体からは、過去検討を行ったものの導入できなかったと回答があった。
PFS・SIB を検討しない理由としては、「庁内全体で PFS・SIB に対する理解が進んでいないから」が 72.1%、「PFS・SIB について詳しく知らないから」が 45.9%となっており、行政職員の間でPFS・SIB に対する理解がまだまだ進んでいないことが読み取れる。
PFS・SIB の導入を検討するきっかけ・理由としては、「国の資料等で PFS・SIB のことを知り、関心を持ったから」が 45.7%となっており、国が成長戦略に位置付け、様々な形で周知を図ってきたことに一定の成果があったことがうかがえる。
② 検討分野・関心のある分野
現在、導入の検討が進められている分野としては、「健康増進」が 16.3%、「介護予防」が 6.5%となっており、これまで事例が蓄積されてきた分野について引き続き検討が進められていることがうかがえる。一方で、検討を進めたい団体の関心がある分野としては、検討が進められている分野である「介護予防」「健康増進」に加え、「就労支援」「子ども・家庭支援」「施設・インフラの維持管理」についても 50%を超えており、関心度が高い。これらの分野はこれまで事例の蓄積は薄いものの、関心度の高さから今後検討が進む可能性もある。
③ PFS・SIB に対する期待・導入の困難さ
今後検討の PFS・SIB 事業における期待として、「成果に応じて報酬が支払われるため、民間事業者の事業改善努力が促進されること」「民間事業者のノウハウを活用して新しい行政サービスを実施する際の試行と検証ができること」がそれぞれ 54.3%となっており、 PFS・SIB を導入することで、仕様に縛られない民間事業者のノウハウを活かした事業展開への期待や、効果の上昇への期待が大きいことが読み取れる。
一方、導入に向けて困難な点として、「成果報酬の基準となる妥当な成果目標の水準の設定が困難なこと」が 66.3%、「ロジックモデルを作成し、適切な成果指標を設定するのが困難なこと」が 52.2%となっており、成果指標の設定や支払い条件に紐づく成果目標の水準設定が課題となっていることが多いことがうかがえる。また、「庁内での PFS・SIB に対する理解が薄いこと」
「取り組む分野や行政課題の合意形成が困難であること」「将来的なコストまで含めた事業費を予算に組み込むことに対する合意形成が困難なこと」を挙げる団体は 30~50%程度となっており、PFS・SIB に対する理解不足や、従来の考え方とは異なることでの合意形成の難しさが課題となっている。
国の制度や支援策の認知(p.24~25)
PFS の検討の進め方が示されている、内閣府発行の「成果連動型民間委託契約方式(P FS:Pay For Success)共通的ガイドライン」(以下、「PFS 共通的ガイドライン」という)について、「ガイドラインの存在を知らない」団体が 41.1%となっており、まだ周知が十分に図られているとは言えない。また、追加してほしい内容として、事例ベースで具体的な検討の進め方や検討の内容を希望する意見が多く見られた。
PFS・SIB 関連制度の中では、PFS・SIB の案件形成のために支援される「地方公共団体による成果連動型民間委託契約方式(PFS)に係る事業案件形成支援(内閣府)」については、「知らない」が 41.5%(300 件)と最も多く、自治体に十分に周知されているとは言えない。一方で、「応募経験がないが、今後あれば応募したい」が 30.3%となっており、今後の PFS 事業組成に向けた活用意向がある団体も少なくないことがうかがえる。
IV. 調査結果
1.PFS•SIB への関心
PFS•SIB の認識
PFS・SIB の認識について聞いたところ、「概要は知っていたが、詳細な仕組みについては理解していなかった」が 36.8%(266 件)と最も多く、次いで「聞いたことはあったが、詳細な内容については知らなかった」が 26.8%(194 件)、「聞いたことが無かった」が 20.3%(147件)となっている。少なくとも「聞いたことがある」以上に認知をしている団体は全体の約 8割となっている。
団体種別にみると、都道府県、政令指定都市、中核市では「具体的な仕組みについて理解していた」が 50%前後となっており、比較的理解度が高いことがうかがえる。一方で、町、村では「聞いたことが無かった」が 30~50%程度となっており、十分に周知されていないことがうかがえる。
図表 1 PFS・SIB の認識 (n=723) (単一回答)
図表 2 団体種別にみたPFS・SIB の認識 (単一回答)
PFS•SIB への関心
PFS・SIB への関心について聞いたところ、「少し関心がある」が 61.4%(444 件)と最も多く、次いで「関心がない」が 28.2%(204 件)、「とても関心がある」が 10.2%(74 件)となっている。「少し関心がある」「とても関心がある」を合わせると、約 7 割の団体が関心をもっている。
団体種別にみると、都道府県、政令指定都市では「とても関心がある」が 30%前後となっており、認知度も高かったが、関心度も高い。一方で、町、村では「関心が無い」が 40~50%程度となっており、関心度が低いことがうかがえる。上述のとおり、町、村では、そもそも認知度が低く、十分に周知されていないことが要因である可能性がある。
図表 3 PFS・SIB への関心 (n=723) (単一回答)
図表 4 団体種別にみたPFS・SIB への関心 (単一回答)
PFS•SIB でメリットと感じる点
PFS・SIB でメリットと感じる点について聞いたところ、「成果に応じて報酬が支払われるため、民間事業者の事業改善努力が促進されること」が 77.6%(402 件)と最も多く、次いで
「民間事業者のノウハウを活用して新しい行政サービスを実施する際の試行と検証ができること」が 57.9%(300 件)、「公共事業発注時に目標未達だった場合のコスト負担が最小限となること」が 45.9%(238 件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、「成果重視の政策立案に対する庁内の意識改革につながること」「市民参画・住民主体の地域課題解決ツールとしての活用可能性があること」等が挙げられた。
図表 5 PFS・SIB でメリットと感じる点 (n=518) (複数回答)
PFS•SIB を活用したい分野
PFS・SIB を活用したい分野について聞いたところ、「健康増進」が 50.0%(259 件)と最も多く、次いで「施設・インフラの維持管理」が 46.1%(239 件)、「介護予防」が 40.7%(211件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、下図表のほか、「具体的には検討していない・今後検討する」が多く挙げられた。
図表 6 PFS・SIB を活用したい分野 (n=518) (複数回答)
図表 7 「その他」の具体的な分野
分野 | 回答件数 |
地域活性化(商店街活性化、民間投資促進等) | 6 件 |
徴収業務(税、公共料金等) | 4 件 |
移住支援 | 3 件 |
空き家対策 | 3 件 |
環境(環境政策、廃棄物対策、鳥獣対策等) | 3 件 |
ふるさと納税 | 3 件 |
観光振興 | 3 件 |
結婚支援 | 2 件 |
その他(施設運営業務委託、計画策定、データ活用等) | 7 件 |
2.PFS•SIB の導入状況、導入への関心
導入状況•関心
① 過去の導入状況
PFS・SIB 導入状況について聞いたところ、「導入したことがない」が 93.9%(679 件)と最も多く、次いで「現在導入している」が 4.4%(32 件)、「過去に導入したことがある」が 1.7%(12 件)となっている。
図表 8 PFS・SIB 導入状況 (n=723) (複数回答)
図表 9 団体種別にみたPFS・SIB 導入状況 (複数回答)
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0
1.7
(%)
過去に導入したことがある
12.0
16.7
0.0
3.0
1.3
0.8
0.0
4.4
全体(n=723)
都道府県(n=25)
政令指定都市(n=12)特別区(n=8)
中核市(n=33)
現在導入している
8.0
0.0
18.2
41.7
一般市(n=318)町(n=258)
村(n=66)
導入したことがない
無回答
4.7
1.6
50.0
0.0
0.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.3
0.4
1.5
84.0
93.9
78.8
100.0
94.0
97.3
98.5
② 今後の導入の検討状況
PFS・SIB 導入の検討状況について聞いたところ、「具体的な検討に至っておらず、検討に向けた取組も特に行っていない」が 85.6%(619 件)と最も多く、次いで「具体的な検討に向けて情報収集や研究を進めている」が 10.2%(74 件)、「導入に向けて具体的な検討を進めている」が 1.9%(14 件)となっている。導入に向けて検討を進めている団体は、「具体的な検討を進めている」「具体的な検討に向けて町内で調整をしている」「具体的な検討に向けて情報収集や研究を進めている」を合わせて 12.7%にのぼっている。また、1.4%の団体からは、過去検討を行ったものの導入できなかったと回答があった。
団体種別にみると、政令指定都市、中核市で「具体的な検討に向けて情報収集や研究を進めている」が 30%程度となっている。一方で、町、村では「具体的な検討に至っておらず、検討に向けた取組も特に行っていない」が 95%程度となっている。
図表 10 PFS・SIB 導入の検討状況 (n=723) (単一回答)
図表 11 団体種別別にみたPFS・SIB 導入の検討状況 (単一回答)
PFS•SIB 事業を検討しない理由
PFS・SIB 事業を検討しない理由について聞いたところ、「庁内全体で PFS・SIB に対する理解が進んでいないから」が 72.1%(446 件)と最も多く、次いで「検討の方法、フローがよくわからないから」が 48.5%(300 件)、「PFS・SIB について詳しく知らないから」が 45.9%
(284 件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、「全国の事例を収集している段階であるため」「導入に適した事業が見当たらない・整理できていないため」「指標設定の方法・詳細がわからないため」「実施可能な事業者がいないため」「検討するためのマンパワーが不足しているため」等が挙げられた。
図表 12 PFS・SIB 事業を検討しない理由 (n=619) (複数回答)
過去に行った検討の詳細
(「過去に具体的な検討を行ったが導入には至らなかった」団体のみ)
① 過去の検討の最終段階
過去の検討において、最終的にどの段階まで達したかについて聞いたところ、「案件形成段階(事業内容・成果指標・支払い条件・実施体制等に関する検討、マーケットサウンディング等)」が 40.0%(4 件)と最も多く、次いで「初期段階(庁内で話が出ている、担当者内で検討を始めている)」が 30.0%(3 件)となっている。
図表 13 過去検討の最終段階 (n=10) (複数回答)
② 過去検討した分野
過去検討した分野について聞いたところ、「健康増進」が 40.0%(4 件)と最も多く、次いで「介護予防」が 20.0%(2 件)、「施設・インフラの維持管理」が 20.0%(2 件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、「観光振興」「廃棄物処理」等が挙げられた。
図表 14 過去検討した分野 (n=10) (複数回答)
③ 導入に至らなかった理由
導入に至らなかった理由としては、下記が挙げられた。
図表 15 導入に至らなかった理由
分類 | 理由 |
効果が無い | 自治体規模が小さく、十分な効果が得られないと考えられたから。 |
すでに成果が出ている分野であり、さらなる効果は見込みにくかったか ら。 | |
委託内容がPFS 方式に適さないと判断したから。 | |
具体的な事業内容のソーシャルインパクトや、社会的課題の解決の要素が 不十分であったため。 | |
財政面の課題 | 委託費が高額であったから。 |
行政の持ち出し費用が不明であり、財政協議が整わなかったから。 | |
予算規模が大きく、確保が困難であったから | |
指標設定が難しい | 成果指標設定の難度が高く、具体的な検討段階に進むことができなかった から。 |
成果が出ているということの評価が困難であったため。 |
※複数回答を集約・整理して記載
導入を検討している分野
(「導入に向けて具体的な検討を進めている」「具体的な検討に向けて庁内で調整をしている」「具体的な検討に向けて情報収集や研究を進めている」団体のみ)
導入検討分野について聞いたところ、「検討を進めている」分野として、「健康増進」が 16.3%、
「介護予防」が 6.5%となっている。
また、「関心がある」分野として「介護予防」が 69.6%、「健康増進」が 68.5%と多くなっている。その他、「就労支援」「子ども・家庭支援」「施設・インフラの維持管理」も「関心がある」が 50%を超えており、関心の高さがうかがえる。
一方で、「関心が無い」分野としては、「防犯・再犯防止」が 41.3%、「防災・危機管理」が 37.0%となっている。
図表 16 検討を進めている分野 (n=92) (複数回答)
健康増進介護予防就労支援
子ども・家庭支援
起業支援施設・インフラの維持管理公共交通の効率化
防災・危機管理防犯・再犯防止
その他
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0(%)
6.5
1.1
1.1
0.0
5.4
1.1
0.0
0.0
6.5
16.3
図表 17 関心がある分野 (n=92) (複数回答)
健康増進介護予防就労支援
子ども・家庭支援
起業支援施設・インフラの維持管理公共交通の効率化
防災・危機管理防犯・再犯防止
その他
0.0 20.0 40.0 60.0 80.0(%)
59.8
52.2
47.8
55.4
46.7
41.3
35.9
13.0
68.5
69.6
図表 18 関心が無い分野 (n=92) (複数回答)
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0
(%)
健康増進介護予防就労支援
子ども・家庭支援
起業支援
0.0
12.0
20.7
27.2
30.4
施設・インフラの維持管理公共交通の効率化防災・危機管理 防犯・再犯防止
その他
23.9
20.7
29.3
37.0
41.3
具体的な検討の状況
(「導入に向けて具体的な検討を進めている」「具体的な検討に向けて庁内で調整をしている」「具体的な検討に向けて情報収集や研究を進めている」団体のみ)
① 検討の段階
PFS・SIB 事業検討状況について聞いたところ、「初期段階(庁内で話が出ている、担当者内で検討を始めている)」が 39.1%(36 件)と最も多く、次いで「具体的な検討に至っている事業は無い」が 35.9%(33 件)、「民間事業者の選定・契約段階(仕様書作成、事業者公募、契約締結等)」が 8.7%(8 件)となっている。
図表 19 PFS・SIB 事業検討状況 (n=92) (単一回答)
② 事業内容
具体的な事業内容としては、健康増進分野が多く、中でも運動プログラムの実施を事業内容としているものが多く見られた。
図表 20 事業検討内容
分野 | 事業内容 |
健康増進 | 運動教室等、運動プログラムの実施 |
健康ポイントプログラム | |
特定保健指導の利用勧奨 | |
介護予防 | 認知症予防プログラム |
高齢者の地域参加促進プログラム | |
介護予防プログラム参加促進 | |
施設・インフラ | 公共施設包括管理による効率化 |
施設整備・運営事業 | |
行政事務効率化 | 水道料金の徴収 |
奨学金未収金回収 | |
その他 | 地域活性化組織の資金調達 |
中心市街地活性化に向けた事業 | |
移住促進拠点の運営業務 |
※複数回答を集約・整理して記載
③ 事業によって解決したい課題
事業により解決したい課題として、主に健康増進分野では「医療費の適正化」「健康寿命の延伸」、介護予防分野では「フレイル予防」「高齢者の地域参加」等がみられた。
図表 21 事業により解決したい課題
分野 | 事業により解決したい課題 |
健康増進 | 健康寿命の延伸 |
医療費の抑制・適正化 | |
介護予防 | 高齢者の認知機能の維持・改善 |
高齢者の地域参加 | |
フレイル予防 | |
介護給付費・介護リスクの抑制 | |
施設・インフラ | 公共インフラの維持管理コスト縮減 |
その他 | 地域コミュニティ維持・活性化 |
まちの賑わい維持・創出 | |
移住促進 |
※複数回答を集約・整理して記載
④ 予算規模
予算規模として、回答のあったところでは、「1,000 万円以下」が 4 件と最も多くなっている。
図表 22 予算規模
予算 | 件数 |
1,000 万円以下 | 4 件 |
1,000 万円~2,000 万円 | 3 件 |
2,000 万円~4,000 万円 | 1 件 |
4,000 万円以上 | 3 件 |
⑤ 事業期間
事業期間として、回答のあったところでは、「1 年以上~3 年未満」「5 年以上」がそれぞれ
4 件と多くなっている。
図表 23 事業期間
事業期間 | 件数 |
1 年未満 | 1 件 |
1 年以上~3 年未満 | 4 件 |
3 年以上~5 年未満 | 3 件 |
5 年以上 | 4 件 |
⑥ 検討のきっかけ・理由
PFS・SIB 事業検討のきっかけ・理由について聞いたところ、「国の資料等で PFS・SIB のことを知り、関心を持ったから」が 45.7%(42 件)と最も多く、次いで「民間企業や財団法人、有識者・研究者等、外部から営業を受け関心を持ったから」が 16.3%(15 件)、「首長等、貴団体の上層部より導入の検討を指示されたから」が 5.4%(5 件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、「議会質問があったため」「研究会・会議への参加勧誘を受けたため」等が挙げられた。
図表 24 PFS・SIB 事業検討のきっかけ・理由 (n=92) (複数回答)
⑦ 今後検討のPFS・SIB 事業における期待
今後検討のPFS・SIB 事業における期待について聞いたところ、「成果に応じて報酬が支払われるため、民間事業者の事業改善努力が促進されること」「民間事業者のノウハウを活用して新しい行政サービスを実施する際の試行と検証ができること」が 54.3%(各 50 件)と最も多く、次いで、「公共事業発注時に目標未達だった場合のコスト負担が最小限となること」が 34.8%(32 件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、「成果重視の政策立案に対する庁内の意識改革」「コストの縮減につながること」等が挙げられた。
図表 25 今後検討の PFS・SIB 事業における期待 (n=92) (複数回答)
⑧ PFS▪SIB 事業導入の困難さ▪苦労
PFS・SIB 事業導入の困難さ・苦労について聞いたところ、「成果報酬の基準となる妥当な成果目標の水準の設定が困難なこと」が 66.3%(61 件)と最も多く、次いで「庁内での PFS・ SIB に対する理解が薄いこと」「ロジックモデルを作成し、適切な成果指標を設定するのが困難なこと」が 52.2%(各 48 件)となっている。
「その他」の回答として具体的には、「スキームの構築が難しいこと」「事業者側の理解を促す必要があること」等が挙げられた。
図表 26 PFS・SIB 事業導入の困難さ・苦労 (n=92) (複数回答)
3.「PFS 共通的ガイドライン」の認識•活用状況
「PFS 共通的ガイドライン」の認識・活用状況について聞いたところ、「ガイドラインの存在を知らない」が 41.1%(297 件)と最も多く、次いで「ガイドラインを知っており、内容は確認している(活用はしていない)」が 28.6%(207 件)、「ガイドラインの存在は知っているが、内容は知らない」が 27.5%(199 件)となっている。
図表 27 「PFS 共通的ガイドライン」の認識・活用状況 (n=723) (単一回答)
ガイドラインに追加してほしい内容としては、事例ベースで情報の追加を希望する意見が多く見られた。
図表 28 「PFS 共通的ガイドライン」に追加してほしい内容
分類 | 内容 |
事例の追加 | 事例を随時追加してほしい。 |
具体的な事例などを多く盛り込んでほしい。 | |
全国事例の中で、スキームも含めて内容を詳細に掲載してほし い。 | |
分野ごとの検討材料 | 分野ごとのユニットコスト、達成度合いが金銭換算可能な成果指 標を載せてほしい。 |
ロジックモデルや成果指標を分野別に例示してほしい。 | |
それぞれの分野に対する具体的な導入事例を追加してほしい。 (成果目標、支払額の算出、導入までの課題等) | |
検討に必要な詳細情報 | 実事例におけるPFS 事業実施に係る金額を示してほしい。 |
契約方法、事業者選定方法についての事例や情報を示してほし い。 |
※複数回答を集約・整理して記載
4.PFS•SIB 関連制度への応募意向等
中央官庁の PFS・SIB 関連制度への応募意向等について聞いたところ、PFS・SIB の案件形成のために支援される「地方公共団体による成果連動型民間委託契約方式(PFS)に係る事業案件形成支援(内閣府)」については、「知らない」が 41.5%(300 件)と最も多く、自治体に十分に周知されているとは言えない。一方で、「応募経験がないが、今後あれば応募したい」が 30.3%となっており、今後の PFS 事業組成に向けた活用意向がある団体も少なくないことがうかがえる。
図表 29 PFS・SIB 関連制度への応募意向 (n=723)
地方公共団体による成果連動型民間委託 契約方式(PFS)に係る事業案件形成支援
(内閣府)
地方創生交付金
(内閣府)
保険者努力支援交付金
(厚生労働省)
地域支援事業交付金
(厚生労働省)
生活困窮者就労準備支援事業費等補助金(厚生労働省)
保険者機能強化推進交付金
(厚生労働省)
介護保険保険者努力支援交付金
(厚生労働省)
ヘルスケアサービス社会実装事業
(経済産業省)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0.1 | |||||
30.3 | 22.5 | 41.5 | 5.0 | ||
0.6 | |||||
25.3 1. | 9 23.2 | 15.9 | 28.5 | 5.1 | |
0.0 | |||||
10.8 | 16.3 | 11.5 | 55.3 | 6.1 | |
0.4 | |||||
11.9 | 15.9 | 10.8 | 54.6 | 6.4 | |
0.4 | |||||
9.4 | 15.8 | 12.6 | 55.6 | 6.2 | |
10.40. | 1 15.8 | 11.9 | 55.7 | 6.1 | |
10.5 0 | 1 15.6 | 11.6 | 55.9 | 6.2 | |
..71 18.1 | 13.1 | 61.8 | 6.1 | ||
.
00
応募経験 があり、 今後あれば応募したい
応募経験 があるが、
今後あっても応募しない
応募経験 がないが、今後あれば応募したい
応募経験がなく、
今後あっても応募しない
知らない 無回答
5.回答者属性
団体種別
団体種別について聞いたところ、「一般市」が 44.0%(318 件)と最も多く、次いで「町」が 35.7%(258 件)、「村」が 9.1%(66 件)となっている。
図表 30 団体種別 (n=723)
地域
地域について聞いたところ、「九州」が 15.6%(113 件)と最も多く、次いで「南関東」が
12.7%(92 件)、「北関東・甲信」が 12.3%(89 件)となっている。
図表 31 地域 (n=723)
- ご利用に際して -
本資料は、信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。
また、本資料は、執筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社の統一的な見解を示すものではありません。
本資料に基づくお客様の決定、行為、及びその結果について、当社は一切の責任を負いません。ご利用に当たっては、お客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。
本資料は、著作物であり、著作権法に基づき保護されています。著作権法の定めに従い、引用する際は、必ず出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティングと明記してください。
本資料の全文または一部を転載・複製する際は著作権者の許諾が必要ですので、当社までご連絡ください。