Contract
平成27年度
豊中市包括外部監査結果報告書
一般会計等における委託契約に係る事務の執行について
豊中市包括外部監査人
公認会計士 玉置 寿子
目次
6. 環境部 公園みどり推進課 97
7. 環境部 減量推進課 100
8. 財務部 債権管理課 107
9. 市民協働部 くらし支援課 110
10. 健康福祉部 高齢者支援課 120
11. 健康福祉部 保健所 健康増進課 126
12. 健康福祉部 保険給付課 133
13. こども未来部 こども事業課 138
14. 都市計画推進部 住宅課 146
15. 都市基盤部 交通政策課 149
16. 都市基盤部 水路課 152
17. 教育委員会事務局 生涯学習課 155
18. 教育委員会事務局 読書振興課 161
19. 教育委員会事務局 学校教育課 164
20. 教育委員会事務局 学校給食課 168
(本報告書における記載内容の注意事項)
・金額表記
報告書に記載している委託料等の金額は、原則として消費税等込で表示している。
・端数処理
報告書の数値は、原則として単位未満の端数を切り捨てて表示しているため、表中の総額と内訳の合計が一致しない場合がある。
公表されている資料等を使用している場合には、原則としてその数値をそのまま使用しているため、端数処理が不明確な場合もある。
パーセンテージ等比率は表示単位未満を四捨五入している。
・報告書の数値等の出典
報告書の数値等は、原則として豊中市が公表している資料、あるいは監査対象とした組織から入手した資料を用いている。その場合には原則として数値等の出典は明示していない。報告書の数値等のうち、豊中市以外が公表している資料あるいは監査対象とした組織から入手した資料以外の数値等を用いたもの、あるいは他の地方公共団体等の数値等を表示したものについては、その出典を明示している。
・報告書の数値等の正確性
報告書中の監査人による試算・推計の数値・金額は、監査人に提示のあった資料に限定して行ったもので、その数値・金額の正確性を保証するものではない。
・参考文献・参考資料
地方財務研究会編集『地方財政小辞典』ぎょうせい地方財政情報館/財政用語小辞典
新日本監査法人公会計本部[編]『国・地方自治体の会計と事業評価』中央経済社
第1章 包括外部監査の概要
Ⅰ. 包括外部監査の種類
地方自治法第 252 条の 37 第1項に基づく包括外部監査
Ⅱ. 選定した特定の事件(テーマ)
一般会計等における委託契約に係る事務の執行について
Ⅲ. 事件(テーマ)を選定した理由
豊中市では、実質収支が増加し、財政構造の弾力性を判断する経常収支比率も改善傾向にある。しかし今後も持続的に健全な財政を維持するために、事業の有効性向上によるサービス提供の確保と市民目線によるムダの削減は継続的な課題である。
百 万 円 )
実質収支(普通会計)
4,500
4,000
3,500
3,000
4,207
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
1,768
1,859
1,396
816
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
(
注: 平成 26 年度において、前年度と比較して実質収支が減少しているが、これは走井学校給食センター(23 億円)や文化芸術センター(18 億円)等、大型の建設事業を行っていることによる投資的経費の増加等によるものである。
経常収支比率
98.0%
96.0%
94.0%
92.0%
90.0%
88.0%
96.6%
96.0%
94.0%
93.2%
91.4%
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
加えて人口減少や少子高齢化の進展にともない、行政におけるヒト、モノ、カネといった経営資源がますます限られていくなかで、市民に必要なサービスを持続的に提供していくためには、外部資源を有効に活用していかねばならず、今後、民間との委託契約は増加していくと考えられる。
委託料は、平成 26 年度の決算ベースで 132 億円である。平成 26 年度の決算
の状況(歳出節別集計表)によると、負担金補助及び交付金 906 億円、扶助費
366 億円、償還金利子及び割引料 168 億円に次いで多額であり、歳出合計 2,198億円の 6.0%を占め、歳出額の中でも重要な金額である。また、委託契約は後述のとおり事務執行が特定部局に集約されておらず、多数の担当部局が関与しており、監査の結果について市全体への波及効果が高いと考えられる。
以上、「市民の生活に直結する事業に優先的に資源を集中し、最少の経費で最大の効果をあげる」という観点から、市の行財政改革に貢献すると考えられる委託契約を監査テーマとして選定した。
Ⅳ. 包括外部監査の対象期間
平成 26 年度
但し、必要に応じて平成 25 年度以前及び平成 27 年度の一部を含む。
Ⅴ. 包括外部監査の対象となった部署
監査対象年度である平成 26 年度の歳出(委託料)を基に、契約を抽出し、監
査対象部署を下表のとおりとした。実際の監査は監査実施期間である平成 27 年
度の組織に対して実施しているため、後述の個別監査結果においては、平成 27
年度の組織編成に従って報告書を記載し、必要に応じて平成 26 年度の組織名を付記している。なお、「第2章 Ⅲ.アンケート結果の分析」においては、使用した財務データが平成 26 年度であるため、平成 26 年度の組織編成に従って記載している。
平成 27 年度 | 平成 26 年度 |
人権政策課 | 人権文化部 人権政策室 |
総務部 契約検査課 | 総務部 契約検査室 |
総務部 情報政策課 | 情報政策室 |
資産活用部 施設整備課 | 資産活用部 施設整備課 |
政策企画部 広報広聴課 | 政策企画部 広報広聴課 |
都市活力部 スポーツ振興課 | 教育委員会事務局 スポーツ振興課 |
都市活力部 空港課 | 都市計画推進部 空港室 |
環境部 環境政策課 | 環境部 環境政策室 |
環境部 公園みどり推進課 | 環境部 公園みどり推進課 |
環境部 減量推進課 | 環境部 環境センター 減量推進課 |
環境部 環境業務課 | 環境部 環境センター 環境業務課 |
財務部 債権管理課 | 財務部 債権管理室 |
市民協働部 くらし支援課 | 市民協働部 くらしセンター 雇用労働課 |
健康福祉部 高齢者支援課 | 健康福祉部 いきいきセンター 高齢者支援課 |
健康福祉部 保健所 保健予防課 | 健康福祉部 保健所 保健予防課 |
健康福祉部 保健所 健康増進課 | 健康福祉部 保健所 地域保健課 |
健康福祉部 保険給付課 | 健康福祉部 保険窓口センター 保険給付課 |
こども未来部 こども事業課 | こども未来部 保育幼稚園室 |
こども未来部 子育て給付課 | こども未来部 保育幼稚園室 |
都市計画推進部 住宅課 | 都市計画推進部 まちづくり総務室 |
都市基盤部 交通政策課 | 都市基盤部 道路センター 道路管理課 |
都市基盤部 道路管理課 | 都市基盤部 道路センター 道路管理課 |
都市基盤部 道路維持課 | 都市基盤部 道路センター 道路維持課 |
都市基盤部 水路課 | 都市基盤部 道路センター 道路維持課(分室) |
消防局 消防総務課 | 消防本部 消防総務室 |
教育委員会事務局 生涯学習課 | 教育委員会事務局 地域教育振興室 青少年育成課 |
教育委員会事務局 読書振興課 | 教育委員会事務局 読書振興課 |
教育委員会事務局 学校教育課 | 教育委員会事務局 教育推進室 |
教育委員会事務局 学校給食課 | 教育委員会事務局 学校給食室 |
Ⅵ. 包括外部監査の方法
1. 監査の視点
(1) 合規性の視点
○ 委託に関する事務は地方自治法、地方自治法施行令、豊中市が定める条例その他の法令等及びその趣旨に従い適切に行われているか。
(2) 経済性、効率性、有効性等の視点
○ 事業の PDCA は行われているか
事業の目的が明確にされ、目的がよく達成されているかの確認を行っているか。その結果、必要な場合は事業手法、又は事業そのものの見直しを行っているか。効果測定のための指標は適切か。
PDCA(サイクル):Plan-Do-Check-Action の 4 段階を繰り返すことによって、継続的に業務を改善すること。
○ 委託先の選定は適切に行われているか
委託先の選定に当たり、競争性・透明性の確保、機会均等及び公平性に十分配慮されているか。随意契約を採用する場合は、その理由に十分な合理性が認められるか。
○ 委託料は合理的に決められているか
委託料の算定過程は明確になっているか。委託内容に比して、委託料は合理的な水準となっているか。業務内容・量によってではなく、委託先の組織を基準として委託料を算定するなど、実質、委託先への補助金となっていないか。
○ 委託業務は適切に行われているか
委託した業務内容が適切に実施されたか、実績確認を行っているか。
○ 公平性に配慮しているか
公平性、透明性、合理性に配慮して事務を執行しているか。
2. 主な監査手続
○ 監査対象とした委託契約の関係部署へのヒアリングの実施
○ 関係書類の閲覧・分析
○ アンケート調査
Ⅶ. 包括外部監査の実施期間
自 平成 27 年6月 22 日 至 平成 28 年2月 18 日
Ⅷ. 包括外部監査補助者
公認会計士 | 野呂 貴生 |
公認会計士 | 川端 修司 |
公認会計士 | 本田 真二郎 |
公認会計士 | 増田 千春 |
公認会計士 | 竹田 由梨 |
公認会計士 | 松居 志郎 |
公認会計士 | 八百 秀亮 |
公認会計士 | 崎原 崇史 |
公認会計士 | 黒澤 香 |
公認会計士 | 岡部 広大 |
Ⅸ. 利害関係
包括外部監査の対象となった事件につき、包括外部監査人及び包括外部監査人補助者は地方自治法第 252 条の 29 の規定により記載すべき利害関係はない。
第2章 包括外部監査の結果及び意見
Ⅰ. 委託契約について
1. 委託契約とは
契約とは、相対立する2個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為である。契約に関する民法上の大原則として、契約自由の原則があり、どのような契約を締結するかは当事者の自由である。
地方公共団体が行う委託契約は、地方公共団体が私人と対等の地位において締結するものであり、民法その他私法の適用を受け、いわゆる契約自由の原則も妥当するものであるが、地方公共団体の公共性に鑑み、地方自治法施行令をはじめ地方公共団体の条例、規則によって公法上の制限が加えられている。
地方公共団体の契約においては、契約の履行をいかに確実に確保するかという点と、支出又は収入される金が公金であることから、いかに公正かつ適正な価格の契約を締結するかという点の2点を調和させることが究極的な課題となる。
2. 委託契約の締結方法・形態
契約の締結方法については、地方自治法第 234 条第1項に、「売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」と定められている。
また同条第2項において、「前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。」と定められている。地方公共団体では、公正かつ適正な価格の契約を締結するという点を重視して一般競争入札によることを原則とし、一定の要件を満たす場合に、他の方法によることができるとされている。
契約の締結方法
原則 | 一般競争入札 |
政令で定める場合 (詳細は後述) | 指名競争入札随意契約 せり売り |
各契約の内容やメリット・デメリットは下記のとおりである。
(1) 一般競争入札
契約に関する公告をし、一定の資格を有する不特定多数の者を誘引して、入札により申込をさせる方法により競争を行わせ、地方公共団体にとって最も有利な条件をもって申込をした者を選定して、その者と契約を締結する方法である。
地方自治法上、原則とされる契約締結方法である。
平成19年度に国土交通省が地方自治体の入札制度担当者に行った「地方自治体の発注体制に関する実態調査」では、公共工事においては一般競争入札もわずかにみられるものの、指名競争入札、随意契約が大半を占め、委託業務に至っては一般競争入札を採用している割合は不明であった。しかし近年では、工事、委託業務のいずれにおいても、競争入札による場合は、原則一般競争入札で行っている自治体もある。
メリット | デメリット |
・ 広く参加者を公募し、選定過程が明らかなため、公平性・透明性が高い。 ・ 参加者間での競争を促すことで、経済性に優れた相手先と契約することができる。 | ・ 結果として技術・能力の面で劣る業者が落札した場合、必要な水準の品質を得られない可能性がある。 ・ 公募から契約までに期間を要し、事務手続の負担が大きく、事務経費も大きくなる。 ・ 過当競争、ダンピングにより質が低下する可能性がある。 ・ 受注に偏りがでる可能性がある。 |
一般的なデメリット以外に、自治体の規模等によっては、一般競争入札では周知が不足し、応札者が十分にいないために、入札不調になることも危惧されている。
(2) 指名競争入札
地方自治法第234条第2項に規定された契約手法の一つであり、地方公共団体が資力、信用その他について適当であると認める複数の者を指名し、その特定多数の者をして入札により申込をさせる方法により競争を行わせ、地方公共団体にとって最も有利な条件をもって申込をした者を選定して、その者と契約を締結する方法である。
地方自治法施行令では、下記のとおり、適用できる場合を限定している。
地方自治法施行令 第167条
1 工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき。
2 その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。
3 一般競争入札に付することが不利と認められるとき。
メリット | デメリット |
・ 事前に適当と認める者に参加者を限定するため、不信用・不誠実な業者を排除できるなど、確実な履行の確保が可能となる。 ・ 参加者間において競争させることで、一般競争入札ほどではないものの、経済性を高めることができる。 ・ 一般競争入札に比べて、事務手続が簡素となり、事務負担や事務経費が軽減される。 ・ 中小企業の受注機会の確保について配慮が可能である。 ・ 業者に対して働き掛けることにより、受 注意欲を喚起させる可能性がある。 | ・ 入札の参加者が固定化される傾向があ り、談合などによって公正な競争が阻害される可能性がある。 ・ 指名業者の選定における恣意的な運用のおそれがある。 ・ 入札者を限定することにより競争性が低下するおそれがある。 |
(3) 随意契約
地方公共団体が競争の方法によらないで、任意に特定の者を選定してその者と契約を締結する方法である。
地方自治法施行令において適用できる場合を限定しており、豊中市随意契約ガイドラインでは、下表のとおり説明をしている。
豊中市随意契約ガイドライン
第1号 | 売買、貸借、請負その他の契約で、予定価格が地方自治法施行令別表第5で定める範囲内において、地方公共団体の規則(豊中市財務規則第 104 条)で定める額を超えない契約をするとき。 契約の種類 予定価格(税込) 適用例 1.工事又は製造の 建設工事、建築物等の修 130 万円を超えないもの 請負 繕、印刷製本 物品の購入、動産、不動 2.財産の買入れ 80 万円を超えないもの 産の購入 3.物件の借入れ 40 万円を超えないもの リース契約 4.財産の売払い 30 万円を超えないもの 動産、不動産の売り払い 5.物件の貸付け 30 万円を超えないもの 動産、不動産の貸付け 6.前各号に掲げる 業務委託、役務の提供、 50 万円を超えないもの もの以外のもの 物品の修繕等 |
第2号 | 不動産の買入れ又は借入れ、物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適し ないものをするとき。 |
第3号 | 障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所において製作された物品を買い入れる契約、及び上記施設に加えて、シルバー人材センター連合、シルバー人材センター等、母子福祉団体からの役務の提供を普通地方公共団体の規則(豊中市財務規則第 104 条の2) で定める手続により受ける契約をするとき。 |
第4号 | 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を、普通地方公共団体の規則で定める手続により、買い入れる契約を するとき。 |
第5号 | 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。 |
第6号 | 競争入札に付することが不利と認められるとき。 |
第7号 | 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのある とき。 |
第8号 | 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。 |
第9号 | 落札者が契約を締結しないとき。 |
メリット | デメリット |
・ 信用や実績を基に、最も適格と考えられる業者を選定することができる。 ・ 競争入札に比べ、事務手続が簡易になり、事務負担と事務経費が大きく軽減される。 | ・ 契約先が固定化されやすく、緊張感がなくなることで馴れ合い・不正の起こる可能性が高まる。 ・ 競争の原理が働きにくく、適正な価格よりも高い価格での契約となるおそれが ある。 |
(4) せり売り
契約価格等について、買い手に口頭で競わせて、最も有利な価格を提示した者と契約する方法である(今回の包括外部監査においては監査の対象外としている。)。
地方自治法施行令では、下記のとおり、適用できる場合を限定している。
地方自治法施行令 第167条の3
動産の売払いで当該契約の性質がせり売りに適しているものをする場合
(5) プロポーザル
プロポーザル方式とは、業務の委託先を決定する際に、公募または指名により複数の業者からその目的に合致した企画の提案を受け、その中から価格及び実績、専門性、技術力、企画力、創造性等を勘案し、総合的な見地から判断して最も優れた企画・提案を提示した者を委託先として選定する方法である。
豊中市でも、プロポーザル方式により委託先を決定する場合の手続を定めており、手続上はプロポーザル方式により選定された者と随意契約により契約を締結することとなる。
メリット | デメリット |
・ 目的に合致した、最も優れた提案を受け入れることができる。 ・ 価格及び企画の質を総合的に判断して業者を選定できる。 | ・ 公募から契約までに期間を要し、事務手続の負担が大きく、事務経費も大きくなる。 ・ 業者に大きな負担を強いることとなり、 応募業者が少数となる可能性がある。 |
3. 指定管理者制度
指定管理者制度とは、市民会館などの文化施設、老人デイサービスセンターなどの福祉施設、スポーツ施設などの「公の施設」の管理運営を法人やその他団体に包括的に代行させる制度である。
もともと「公の施設」は、住民の福祉を増進する目的をもって設置しており、かつてはその管理の委託を地方公共団体の出資法人、公共団体及び公共的団体に限定していた。しかし、多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応するため、「公の施設」の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図るため、豊中市でも平成 18 年度から導入されている。
また、指定管理者制度を活用するメリットとデメリットは、下記のものが考えられる。
メリット | デメリット |
・ 民間のノウハウを活用することで、より有効かつ効率的に施設の運用ができる。 ・ 期間を定めることで、PDCAサイクルを明確にし、サービスの改善に活かすことが可能。 ・ 効率的な運用による、経費の節減が期待できる。 ・ サービスの向上が期待できる。 | ・ 指定後のモニタリングが有効に機能しないと、経済性のみが追求され、住民サービスの質が低下するおそれがある。 ・ 結果的に長年にわたり同一の事業者を 指定している場合、多くの事業者のノウハウを活かして住民サービスを効果的、効率的に提供するという目的が果たさ れないおそれがある。 ・ 指定期間が短過ぎると、ノウハウの蓄積ができない。 ・ 仕様を十分に検討の上で協定を結ばな いと、業務の範囲が不明確になる。 |
指定管理者の指定は議会の議決を経て行う行政処分であり、私法上の委託契約ではないが、予算科目上の委託料に含まれるため、今回の監査では対象とした。
Ⅱ. 契約等事務の概要について
1. 豊中市における契約事務に係る規程等
豊中市における契約事務に係る主な規程類は、下記のとおりである。
(1) 「豊中市財務規則」
法令に定めるもののほか、豊中市の財務に関して必要な事項を定めている。契約事務に関する規定は第8章にあり、その構成内容は、「第1節 一般競争入札」、「第2節 指名競争入札」、「第3節 随意契約及びせり売り」、「第4節 契約の締結」、「第5節 契約の履行」となっている。市が締結する建設工事、測量及び建設コンサルタント等業務並びに物品、委託役務関係業務等に係る契約に関する、委託先の選定、契約の締結、契約の履行に関する事項について包括的に定めている。
(2) 「豊中市事務決裁規程」
豊中市の事務の決裁について必要な事項を定めており、決裁手続や決裁権限について規定している。
(3) 「豊中市随意契約ガイドライン」
随意契約の事務を適正かつ円滑に進めるために、随意契約に係る事項の解釈を示すとともに、事務手続上必要な事項を定めている。本ガイドラインの運用に当たっては、随意契約はあくまでも、本来、地方自治体における契約が競争入札を原則とする契約方式の例外であることを十分認識し、地方自治法施行令第 167 条の2第1項各号を適用し、随意契約を行う場合には、個々の契約ごとに技術の特殊性、経済的合理性、緊急性等の解釈を客観的、総合的に判断した理由や経緯を整理することで、公正性、透明性及び経済性を確保し、安易な随意契約を行うことのないようにしなければならないと定めている。
(4) 「豊中市公募型プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」
豊中市が発注する契約に関し、公募型プロポーザル方式により受託候補者を特定する場合の手続について、共通して遵守すべき事項を定めている。公募型プロポーザル方式による契約の公正性、透明性及び客観性を担保することを目的とする。実施要領など関係書類を作成するとともに、審査委員会を設置して
客観的かつ公正な審査を行い、結果及び選定理由を公表しなければならないと定めている。
(5) 「豊中市長期継続契約に関する条例」
地方自治法第 234 条の3の規定により、豊中市において下記の契約については長期継続契約を締結することができると定めている。
① 電子計算機その他の事務機器、車両等の物品を借り入れる契約
② 庁舎その他の施設の警備、清掃等の施設管理に関する委託契約
③ 電気設備、機械設備等の保守点検及び運転監視に関する委託契約
④ 前2号に掲げるもののほか、年間を通じて役務の提供を受ける必要がある契約
(6) 「豊中市長期継続契約に関する事務取扱要領」
豊中市が長期継続契約を締結しようとする場合において、地方自治法第 234
条の3、地方自治法施行令第 167 条の 17 及び「豊中市長期継続契約に関する条例」第2条に定めるもののほか、適正な事務の執行を図るため必要な事項を定めている。「豊中市長期継続契約に関する条例」に定める各号の詳細な内容や、契約における留意事項について定めている。
(7) その他
豊中市においては、契約事務に関する規程等として、上記(1)~(6)のほか下記の規程類が存在する。このうち、工事契約にのみ関係する規程は当報告書では参照していない。
・ 予定価格等事前公表実施要領
・ 豊中市発注契約に係る暴力団等排除措置要綱
・ 豊中市発注契約に係る不当介入対応要領
・ 一般競争入札方式実施試行要領(測量及び建設コンサルタント業務)
・ 一般競争入札方式実施要領(建設工事)
・ 豊中市工事検査要領
・ 豊中市工事成績評定要領
・ 入札参加停止基準運用要領
・ 豊中市特定建設工事共同企業体事務取扱要領
・ 豊中市建設工事等入札・契約手続検討委員会設置要綱
・ 豊中市建設工事請負指名競争入札参加者指名基準
・ 豊中市測量及び建設コンサルタント業務委託指名競争入札参加者指名基準
・ 豊中市建設工事等入札参加者審査点数算定要領
・ 豊中市入札参加停止基準
・ 公正入札調査委員会設置要領
・ 談合情報対応マニュアル
・ 建設業退職金共済制度の普及徹底に関する措置について
・ 豊中市物品等指名競争入札参加者指名事務取扱内規
・ 施設等及びこれらに付帯する設備の修繕の執行に伴う取扱い要領
・ 豊中市電子入札運用基準
2. 豊中市における契約事務について
(1) 総務部契約検査課の役割
【豊中市事務分掌規則第5条】
① 総合評価一般競争入札、契約及び検査に係る企画及び調整に関すること。
② 物品(1件 50,000 円以上のものに限る。)の購入契約(国、他の地方公共団体又は公共的団体から指定された業者との購入契約を除く。)に関すること。ただし、緊急医療用物品、定期刊行物、図書、がん具(教材を除く。)、レコード盤及び音楽、映像その他の情報を記録した磁気テープ、コンパクトディスクその他の電磁的記録媒体の購入並びに写真の現像焼付を除く。
③ 印刷の発注契約に関すること。
④ 物品の修繕契約(1件 100,000 円以上のものに限る。)に関すること。ただし、医療用器具の修繕、定期検査時以外の自動車等の修理を除く。
⑤ 電算データ入力業務の委託契約(単価契約に限る。)に関すること。
⑥ 庁舎その他の施設(市立小中学校を除く。)の警備(機械警備を除く。)、清掃等の施設管理業務の委託契約(随意契約によるものにあっては、地方自治法施行令第 167 条の
2第1項第1号、第8号又は第9号の規定により締結するものに限る。)に関すること。
⑦ 複写機及びファクシミリの借入契約に関すること(市立小中学校を除く。)。
⑧ 物品及び修繕の検収に関すること(他の所管に属するものを除く。)。
⑨ 各種工事請負契約及び工事用資材の購入契約に関すること。
⑩ 工事に係る設計、監理及び調査並びに測量調査(航空測量を除く。)の委託契約に関す
豊中市では、昭和 51 年に総務部に契約検査室(現 契約検査課)を契約管理部門として設置し、建設工事等特定の種別の契約については、各事務事業を実施する所管部署に代わり、全庁における契約事務を執行している(豊中市事務分掌規則第5条)。
ること。
⑪ 建設工事請負業者審査会に関すること。
⑫ 次に掲げる施設及びこれらに付帯する設備の修繕契約
(1 件 600,000 円以上のものに限る。)に関すること。ア 市設建築物
イ 道路
ウ 水路及び親水水路
エ 都市公園及び児童遊園
⑬ 競争入札参加資格及び小規模修繕参加資格の審査及び登録に関すること。
⑭ 入札専用公印の管守に関すること。
⑮ 各種工事の中間検査及びしゅん工検査並びに検査に係る評定に関すること。
また、契約検査課は、入札・契約手続の透明性、客観性、公正性等の向上にも取り組んでおり、契約全般に関するルールの策定、各契約事務を所管する部署を対象にした契約事務に関する研修のほか所管部署からの相談対応等、契約全般の統括部門としての位置づけがなされている。
(2) 契約事務
上記規定により契約検査課が分掌する契約以外については、各事務事業の所管部署が契約事務を行っている。各所管部署は、原則として平成 24 年に導入された契約検査管理支援システム(以下「契約管理システム」という。)を利用して契約手続を行っている。このシステムの利用により、マニュアルに沿った運用がなされ、各所管部署の契約事務が誤りなく統一的に処理されることが期待されている。
但し、一部の契約は現在でも契約管理システムに登録されず、別のシステム
(文書管理システム)により起案し、契約締結しているものがあるなど、全ての契約事務の処理手順を統一するには至っていない。
3. 契約事務に関する監査の視点
公共調達については、競争性及び透明性を確保することが必要であり、いやしくも納税者から不適切な調達を行っているのではないかとの疑念を抱かれるようなことはあってはならない。国は、入札及び契約に係る取扱い及び情報の公表等に関し、「公共調達の適正化について(平成 18 年8月 25 日財計第 2017号)」(以下「公共調達の適正化について」)を定め、入札及び契約に係る手続の
一層厳格な取扱いを行うとともに、情報公開の充実に努めることを求めている。また、公共調達に係る全国 1,722 市町村までを含めた統計データをまとめている。
国と都道府県、指定都市(政令で指定する人口 50 万人以上の市)、その他の市町村では取り扱う予算の規模に違いがあり、必ずしも国と全く同様の基準で同程度の事務の適正さが求められるものでもないであろう。但し、公共調達という側面の考え方においては一つの判断基準になる。
この報告書において取り扱う監査の視点の参考のため、「公共調達の適正化について」に掲げられた措置を以下に抜粋する。
(1) 入札及び契約の適正化を図るための措置
法令等に照らし、随意契約によらざるを得ない場合を除き、原則として一般競争入札(総合評価方式を含む。)による調達を行うものとする。また、従来、競争性のない随意契約を行ってきたものについては、一般競争入札(総合評価方式を含む。)又は企画競争若しくは公募を行うことにより、競争性及び透明性を担保するものとする。
例:リース契約等
複数年度にわたる期間を前提にしている契約であるにもかかわらず、初年度に係る調達についてのみ一般競争入札又は企画競争を実施し、次年度以降については、随意契約を行っている場合は、国庫債務負担行為を活用することにより、一般競争入札(総合評価方式を含む。)又は企画競争を行い複数年度契約を締結するものとする。
※ 豊中市では、平成 26 年度に調査対象とした契約において、11 年間のリース契約を随意契約で行っているものがあったが、「公共調達の適正化について」が公表される以前に開始した契約であること、平成 26 年度までで
終了し、平成 27 年度からの新たな契約では競争的な入札を行っていることから、監査結果とはしていない。
例: 設備、物品又は情報処理のためのシステム等の調達と不可分な関係にある保守点検業務及びこれに付随する業務に係る契約
当該保守点検業務等が不可分とならないよう見直しを行うものとする(特にシステムの開発及び運用に係るもの)。なお、当該設備等の調達を行う際に、保守点検業務等を含めた複数年度契約を行うことはできないか、保守点
検業務等も評価する総合評価方式による一般競争入札に改めることができないか等について検討を行うものとする。
※ 豊中市では、平成 26 年度に調査対象とした複数の契約において、システ ムの調達と不可分な保守点検や付随する業務での随意契約があったが、 平成 27 年度の調査時点においては、今後新たな契約を行う際には、上記 取扱いに沿った競争的な入札を行う者との方針を確認していることから、特に個別の監査結果としては取り上げていない。
予定価格については、競争入札に付する場合と同様一層適正な設定に努めるものとする。
※ 豊中市においては、予定価格が設定されていない契約が件数で 12.9%、金額にして 34.7%ある(P34)。
(2) 再委託の適正化を図るための措置
随意契約により、試験、研究、調査又はシステムの開発及び運用等を委託する場合には、不適切な再委託により効率性が損なわれないよう、その適正な履行を確保しなければならない。なお、競争入札による委託契約についても、再委託を行う場合には承認を必要とするなどの措置を定め、その適正な履行を確保するものとする。
(監査結果「再委託の承認に不備、または改善の余地があるもの」P67)
① 一括再委託の禁止
委託契約の相手方が契約を履行するに当たって、委託契約の全部を一括して第三者に委託することを禁止しなければならない。
② 再委託の承認
委託契約の相手方が再委託を行う場合には、あらかじめ再委託の相手方の商号又は名称及び住所並びに再委託を行う業務の範囲、再委託の必要性及び契約金額について記載した書面を契約の相手方に提出させ、次に掲げる事項 について審査し、適当と認められる場合に承認を行うものとする。
∙ 再委託を行う合理的理由
∙ 再委託の相手方が、再委託される業務を履行する能力
∙ その他必要と認められる事項
なお、契約の相手方が特殊な技術又はノウハウ等を有することから「競争を許さない」として随意契約を締結したものについて、承認を行う場合には、契約金額の相当部分が再委託先に支払われている場合や契約の目的となる事務又は事業の大半を再委託先が実施している場合など、随意契約によることとした理由と不整合とならないか特に留意しなければならない。
③ 履行体制の把握及び報告徴収
再委託の相手方からさらに第三者に委託が行われる場合には、当該第三者の商号又は名称及び住所並びに委託を行う業務の範囲を記載した書面を委託契約の相手方に提出させることにより、委託契約に係る履行体制の把握に努めるものとする。委託契約の適正な履行の確保のために必要があると認めるときは、委託契約の相手方に対し、報告を求める等必要な措置を講じるものとする。
Ⅲ. アンケート結果の分析
1. アンケートの目的
今回の包括外部監査において、監査対象契約を抽出するに当たり、母集団となる委託契約の全件リストがないことが判明した。豊中市においては、平成 24年度から契約管理システムを導入・利用しているが、このシステムに全ての契約は登録されておらず、他の手段によっても平成 27 年4月1日現在委託契約の全件リストは作成されていない。そこで、委託契約の全体像を俯瞰的に把握するために、平成 26 年度中に委託料が執行された全ての部署に対してアンケートを実施した。
2. アンケートの内容・対象
アンケートを実施するに当たり、委託契約の全件リストがないため、下記の手法で契約のリストを作成し、各契約の所管部署に確認を依頼した。
契約管理システムからデータを抽出し、所管部署が所管する委託契約が網羅されているか確認した。契約管理システムに登録されていない契約をリストに追加し、リストの合計が予算執行支援システム(以下「予算執行システム」という。)より出力される財務データと一致することを確認した。このリストについて、各所管部署に対し「委託契約に関するアンケート」を実施した。
アンケートでは主に、競争性が確保されているか、価格の適切性を確保する努力がされているかを概括的に把握するため、下記について質問した。
① 契約方法
② 随意契約の根拠
③ プロポーザルの有無
④ 見積書の入手数
⑤ 指名業者数
⑥ 入札者数
⑦ 予定価格
⑧ 予定価格の積算方法
⑨ 予定価格の事前公表の有無
⑩ 契約金額
⑪ 委託先
⑫ 契約継続期間
⑬ 再委託の有無
⑭ 再委託金額
⑮ 支出金額
アンケート結果の数値及び金額は、各所管部署からの回答を基に集計等を行っており、回答結果の正確性については確認していない。委託件数とは、入手したアンケートのデータ1行を1件とカウントした件数であり、委託契約件数とは必ずしも一致しない。また、委託金額は、決算書の委託料の歳出額(※)であり、指定管理委託料を含んでいる。
※ アンケートで支出金額と記載された金額とは、出納閉鎖期間内の調整により若干の差額が生じている。
なお、アンケートに使用した歳出データは平成 26 年度のものであるため、平
成 26 年度の組織に従って記載している。
3. アンケート分析の内容
下記の項目について分析した。
・ 契約等形態分析
・ 随意契約(随意契約理由、見積書の入手状況)
・ 指名競争入札(指名業者数、応札率)
・ 予定価格の積算
・ 外郭団体への委託
・ 再委託の状況
4. アンケート分析
(1) 契約等の形態分析
① 全体の契約等形態分析
豊中市の業務委託等を、一般競争入札・指名競争入札・総合評価一般競争入札・プロポーザル・随意契約・指定管理の契約等形態別に概観すると、下表のとおりである。
委託契約等の契約等形態別の内訳
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
一般競争入札 | 5 | 0.3% | 51,698 | 0.4% |
指名競争入札 | 333 | 16.3% | 2,198,628 | 18.0% |
総合評価一般競争入札 | 4 | 0.2% | 120,555 | 1.0% |
プロポーザル | 72 | 3.5% | 1,278,162 | 10.5% |
随意契約 | 1,628 | 79.7% | 8,534,275 | 70.1% |
小計 | 2,042 | 100.0% | 12,183,319 | 100.0% |
指定管理 | 10 | - | 1,072,756 | - |
合計 | 2,052 | - | 13,256,076 | - |
一般競争
入札
0.3%
指名競
争入札 総合評価
16.3% 一般競争
入札
0.2%
一般競争
入札
0.4%
指名競争
入札 総合評価
18.0% 一般競争入札 1.0%
委託件数 割合
委託金額 割合
随意
随意 契約
契約 70.1%
79.7%
プロポー
ザル
3.5%
プロポー
ザル
10.5%
プロポーザル方式により選定された相手先と契約する場合の随意契約を除いた随意契約(以下「随意契約」という。)は、指定管理(協定)を除く契約全体に対し、件数で 79.7%、金額で 70.1%を占めている。他方、地方自治法上原則とされる一般競争入札の割合は、件数で 0.2%、金額で 0.4%と著しく少ない。
国において、支出の原因となる契約は、競争入札やプロポーザル等、競争性のある契約方式によるものが8割超を占め、競争性のない随意契約は件数にして 15%、金額で 20%に過ぎず、競争性のある契約方式が大半を占めている。また、競争入札における一般競争入札と指名競争入札の割合は9:1、物品役務等に限っても8:2であり、ほとんどが一般競争入札による契約である(財務省平成 26 年度契約に関する統計「契約金額及び件数に関する統計」)。
他方、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(以下「入札契約適正化法」という。)に基づく調査によると、平成 26 年 4 月 1 日現在、公共工事において都道府県や指定都市で一般競争入札を導入していない都市はないが、人口 50 万人未満の市区町村(豊中市は約 40 万人)では、27.3%
(470 団体)が制度すら未導入である。この調査では、豊中市のデータと比較可能な全国の自治体の委託契約における一般競争入札と指名競争入札の割合は公表されていない。(財務省 公共調達「平成 26 年度入札契約適正化法等に基づく実施状況調査の結果について」)
これらのデータから、今回の豊中市で行ったアンケートが示す調査結果が特に不適切な状態を示しているとは言えないが、全体的な傾向からみると、今後は市においても、より透明性の高い契約方式の採用割合を高めていくことになるであろう。
このような方向性を考えるとき、一般競争入札や指名競争入札は競争性の確保という点では優れているが、落札者の決定を価格のみによって行うことから、「より良いサービスをより安価に調達する」という自治体の責任を果たす上で、質を考慮することが出来ないという欠陥を抱えている。
この点、公共工事においては一定以上の低価格競争を排除し質を担保する観点から、材料費、人件費、経費等に一定の積算基準がある。しかし、今回監査で取り上げたような委託契約、特に単純作業の外注ではなく、事業者の創意工夫や高度な能力を必要とするような業務においては、サービスを提供する側の固有の能力や技術に依存する要素が大きいため、積算方法も明確でなく、後述するように予定価格を積算していないケースも多い。従ってこのようなケースでは総合評価、あるいはプロポーザルといった手法がより適す
る場合もあると思われる。
このような点を考慮すると、アンケート結果のみに着目して競争入札の割 合をいたずらに高めることを目的とし、価格の削減のみを目指すのではなく、市は多くの事業者に参入機会を拡大することによって、サービスの質におけ る選択肢を広げ、同じ予算でもより良いサービスを市民に提供する方向を目 指すよう、努力することが望まれる。
次に、価格のみによって委託先を決定する競争入札を行う場合における一般競争入札と指名競争入札の割合を見る。
金額基準による一般競争入札と指名競争入札の割合
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | |||
割合 | 割合 | ||||
一般競争入札 | 30,000 千円以上 | - | -% | - | -% |
15,000 千円以上 30,000 千円未満 | 2 | 0.6% | 43,197 | 1.9% | |
5,000 千円以上 15,000 千円未満 | 1 | 0.3% | 6,588 | 0.3% | |
5,000 千円未満 | 2 | 0.6% | 1,912 | 0.1% | |
小計 | 5 | 1.5% | 51,698 | 2.3% | |
指名競争入札 | 30,000 千円以上 | 16 | 4.7% | 801,385 | 35.6% |
15,000 千円以上 30,000 千円未満 | 27 | 8.0% | 557,096 | 24.7% | |
5,000 千円以上 15,000 千円未満 | 49 | 14.5% | 408,980 | 18.2% | |
5,000 千円未満 | 241 | 71.3% | 431,166 | 19.2% | |
小計 | 333 | 98.5% | 2,198,628 | 97.7% | |
合計 | 338 | 100.0% | 2,250,327 | 100.0% |
指名競争入札は、地方自治法第 234 条第2項に規定された契約手法の一つであり、一般競争入札に比較して、不信用、不誠実な者が入札することを排除できるなど、確実な履行の確保が可能となる手法と言われている。しかし、一方では、業者を指名する基準に発注者の恣意性が働きやすく、入札参加者が限定されることによる競争性の低下などのデメリットも懸念されている。
豊中市では平成 22 年度から、予定価格が 30,000 千円以上の測量及び建設コンサルタント契約について一般競争入札を原則とし、例外的に指名競争入札を採用できるケースを示した規定を適用している(「豊中市測量及び建設コンサルタント業務委託一般競争入札実施試行要領」)。30,000 千円未満の
契約や委託契約には特別な規定は定められていないが、業者選定の公平性、 競争機会の確保において、考え方や趣旨は上記要領と同様であると解される。しかし、上表のとおり、実際のデータは、競争入札においては指名競争入
札が件数で 98.5%、金額で 97.7%とそのほとんどを占めていることを示している。この傾向は、金額基準によっても大きな違いはない。むしろ、30,000千円以上では、特に原則とされる一般競争入札による契約は皆無となっている。これは、規模の大きな契約では、価格競争よりも質が重視され、入札業者を特定する指名競争入札を選択しているともいえる。しかし、質を重視すべき契約で、敢えて価格競争のみの入札方式を選択している場合、上述の規定の趣旨は勘案すべきである。質を重視する場合は、競争入札が適するのか、それとも前述したその他の競争性のある入札方式が良いのかはよく検討すべきである。
また、指名競争入札における豊中市の指名業者の選定条件について、いくつかの委託契約で調査したところ、そのほとんどが一般競争入札において事前に条件付けをすることができるものであった。
一般競争入札では入札業者の適格要件が公表され、業者は入札するかどう かを自主的に選択できるのに対し、指名競争入札では、市が指名を行うため に、場合によっては入札意欲があり、業務遂行能力もある適格業者が入札機 会を逃し、ひいては市民が、良質で安価な公共サービスを受ける機会を逃し ている可能性もある。指名競争入札の問題点は、どのような業者を指名する かについての基準や理由が不明瞭であり、発注者側の裁量が大きい点である。従って、競争性・透明性の確保、機会均等、公平性の観点からは、指名条件 が第三者から不透明な指名競争入札よりも、一般競争入札のほうが望ましい とも言える。しかし、豊中市においては、業者を指名して入札を行うほうが、 一方的に公示するのみの一般競争入札よりも、良質な業者の競争が確保でき るとのことであった。
近年では、競争入札において一般競争入札を主としている自治体もあり、今後は一般競争入札の割合が高まると思われるが、市においては指名競争入札の効用が高いと考えており、監査意見とはしていない。
なお、競争機会の確保という観点からは、業者登録の時期の制限を撤廃することも検討すべきである。豊中市では現在、毎年 12 月に限定して業者登録の期間としているが、まだ少数とはいえ時期を特に限定していない自治体も存在する。こちらも、現状において、入札参加資格停止事務における漏れのない対応など、市は時期を限定することによる公平性・公正性・透明性の確保にメリットが大きいと考えており、時期尚早として監査意見とはしてい
ない。
② 部局別の契約等形態分析
部局別の委託契約等全般に占める契約等形態別の割合は、下表のとおりである。
部局別の契約等形態別内訳(委託件数)(件)
部局 | 一般競争入札 | 指名競争入札 | 総合評 価一般競争入札 | プロポーザル | 随意契約 | 指定管理 | 総計 | 随契割合 |
危機管理室 | - | 1 | - | - | 13 | - | 14 | 92.9% |
情報政策室 | 1 | 1 | - | 8 | 74 | - | 84 | 88.1% |
総務部 | - | 2 | - | 1 | 35 | - | 38 | 92.1% |
資産活用部 | - | 42 | 2 | 1 | 145 | - | 190 | 76.3% |
人権文化部 | 1 | 13 | - | - | 66 | 2 | 82 | 80.5% |
政策企画部 | - | 7 | - | 7 | 18 | - | 32 | 56.3% |
環境部 | - | 68 | - | 2 | 87 | 1 | 158 | 55.1% |
財務部 | - | 5 | - | 1 | 23 | - | 29 | 79.3% |
市民協働部 | - | 5 | 1 | 33 | 114 | - | 153 | 74.5% |
健康福祉部 | - | 26 | 1 | 10 | 311 | - | 348 | 89.4% |
こども未来部 | 1 | 8 | - | 2 | 76 | 1 | 88 | 86.4% |
都市計画推進部 | - | 13 | - | 3 | 18 | 2 | 36 | 50.0% |
都市基盤部 | 1 | 72 | - | - | 63 | - | 136 | 46.3% |
会計室 | - | 1 | - | - | 5 | - | 6 | 83.3% |
消防本部 | - | 3 | - | 1 | 73 | - | 77 | 94.8% |
教育委員会 | 1 | 61 | - | 3 | 459 | 4 | 528 | 86.9% |
選挙管理委員会事務局 | - | 3 | - | - | 38 | - | 41 | 92.7% |
監査委員事務局 | - | - | - | - | 1 | - | 1 | 100.0% |
農業委員会事務局 | - | 1 | - | - | - | - | 1 | 0.0% |
議会事務局 | - | 1 | - | - | 9 | - | 10 | 90.0% |
5 | 333 | 4 | 72 | 1,628 | 10 | 2,052 | 79.3% |
部局別の契約等形態別内訳(委託金額)(百万円)
部局 | 一般競争入札 | 指名競争入札 | 総合評 価一般競争入札 | プロポーザル | 随意契約 | 指定管理 | 総計 | 随契割合 |
危機管理室 | - | 5 | - | - | 16 | - | 21 | 76.2% |
情報政策室 | 1 | 2 | - | 239 | 290 | - | 533 | 54.4% |
総務部 | - | 6 | - | 13 | 77 | - | 96 | 80.2% |
資産活用部 | - | 116 | 67 | 3 | 393 | - | 580 | 67.8% |
人権文化部 | 24 | 47 | - | - | 66 | 148 | 285 | 23.2% |
政策企画部 | - | 24 | - | 36 | 43 | - | 104 | 41.3% |
環境部 | - | 1,043 | - | 2 | 182 | 15 | 1,244 | 14.6% |
財務部 | - | 21 | - | 6 | 99 | - | 127 | 78.0% |
市民協働部 | - | 14 | 33 | 368 | 381 | - | 798 | 47.7% |
健康福祉部 | - | 165 | 19 | 49 | 2,980 | - | 3,215 | 92.7% |
こども未来部 | - | 21 | - | 38 | 3,335 | 7 | 3,404 | 98.0% |
都市計画推進部 | - | 32 | - | 12 | 38 | 208 | 292 | 13.0% |
都市基盤部 | 19 | 266 | - | - | 114 | - | 399 | 28.6% |
会計室 | - | 1 | - | - | 20 | - | 21 | 95.2% |
消防本部 | - | 6 | - | 477 | 40 | - | 524 | 7.6% |
教育委員会 | 6 | 405 | - | 29 | 394 | 693 | 1,528 | 25.8% |
選挙管理委員会事務局 | - | 12 | - | - | 46 | - | 58 | 79.3% |
監査委員事務局 | - | - | - | - | - | - | - | - |
農業委員会事務局 | - | 2 | - | - | - | - | 2 | 0.0% |
議会事務局 | - | 2 | - | - | 12 | - | 14 | 85.7% |
51 | 2,198 | 120 | 1,278 | 8,534 | 1,072 | 13,256 | 64.4% |
部局別に見ても、随意契約の割合が非常に高い。
件数では、政策企画部、環境部、都市計画推進部、都市基盤部では随意契約の割合が5割程度以下と比較的低いが、農業委員会事務局を除く他の部局では、随意契約の割合が圧倒的に高い割合を占めている。
金額では、人権文化部、環境部、都市計画推進部、都市基盤部、消防本部、教育委員会事務局では随意契約の割合が3割未満と比較的低いが、他の多くの部局では随意契約が高い割合を占めている。
(2) 随意契約
① 随意契約理由
随意契約は、地方自治法施行令第 167 条の2第1項に定める第1号から第
9号の場合に限定し、適用される。
「随意契約」の種類(地方自治法施行令第 167 条の2第1項1~9号)
第1号:予定価格が豊中市財務規則第 104 条に定める額を超えないとき。第2号:性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
第3号:身体障害者授産施設等から物品を調達、シルバー人材センター等から役務の提供を受けるとき。
第4号:市長の認定した者から新商品として生産された物品を買い入れるとき。第5号:緊急の必要により競争入札に付することができないとき。
第6号:競争入札に付することが不利と認められるとき。
第7号:時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。
第8号:競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。第9号:落札者が契約を締結しないとき。
アンケートに基づき、根拠条項(号)ごとに集計した結果は、下表のとおりである。
随意契約の根拠条項ごとの内訳
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
第1号 | 649 | 39.8% | 150,042 | 1.8% |
第2号 | 856 | 52.6% | 7,711,245 | 90.3% |
第3号 | 46 | 2.8% | 219,729 | 2.6% |
第4号 | - | - | - | - |
第5号 | 8 | 0.5% | 27,316 | 0.3% |
第6号 | 61 | 3.7% | 360,359 | 4.2% |
第7号 | 1 | 0.1% | 8,910 | 0.1% |
第8号 | 6 | 0.4% | 47,743 | 0.6% |
第9号 | 1 | 0.1% | 8,928 | 0.1% |
合計 | 1,628 | 100.0% | 8,534,275 | 100.0% |
第6号
第3号
2.8%
3.7%
その他
1.0%
第1号
39.8%
第6号
4.2%
第3号
2.6%
その他
1.1%
第1号
1.8%
委託件数 割合
委託金額 割合
第2号
52.6%
第2号
90.3%
第1号は、豊中市においては、業務委託、役務の提供、物品の修繕等の金額が1件 50 万円以下の場合であり、件数では4割がこれに該当したが、金額では 1.8%であり、特に異常性は見られない。
第2号は、「その性質又は目的が競争入札に適さないもの」と規定され、件数で5割、金額では9割と圧倒的に多い。地方自治法上の原則は一般競争入札であり、2号の適用に当っては、地方自治法施行令で具体的な判断基準が示されておらず、安易に競争性のない随意契約を行う可能性がある。
第3号は、シルバー人材センター等から役務の提供を受ける場合等が該当し、市では放置自転車等防止事業や公園維持管理事業、ひまわり運営管理事業において適用している事例が見られた。金額、件数ともに全体の3%弱である。
第6号は、競争入札に付することが不利と認められる場合が該当し、具体的な理由を説明できなければならない。市では学校給食センター運営管理事業(小学校給食搬送業務)や住民情報システムの運用事業において6号を適用している事例が見られた。
② 見積書の入手状況
豊中市では、見積書の徴取について下記のとおり規定されている。
豊中市財務規則
(随意契約)
第 104 条(省略)
2 主管部課長は、施行令第 167 条の2の規定により随意契約を行おうとするときは、なるべく2人以上の者を選んでこれらの者から見積書を徴しなければならない。
豊中市随意契約ガイドライン
5.見積徴取について
随意契約をする場合には、豊中市財務規則第104条第2項の規定により、「なるべく2人以上の者を選んでこれらの者から見積書を徴しなければならない」と規定されている。
次のいずれかに該当する場合は、見積り徴取者数を1者以下とすることができるが、その場合は、価格の妥当性を証する資料(積算資料、類似契約資料等)を作成すること。
(1)契約の性質又は目的により契約の相手方が特定されるとき。
(2)他の業者が見積書の提出を拒否したとき。
(3)災害時等特別の事情があるとき。
≪競争見積りによる随意契約≫(複数の者から見積書を徴する)
第1号(地方自治法施行令第 167 条の2第1項第1号)
(詳細省略)
≪特命随意契約≫(単数の者から見積書を徴する)
(2)以下に例示する項目は、可能性のある事案を記載したものであり、該当しているからといって、直ちに適用すべきものとする趣旨ではありません。また、例示したものに限定される主旨のものではないことを考慮のうえ判断すること。
第2号(地方自治法施行令第 167 条の2第1項第2号)
~第9号(地方自治法施行令第 167 条の2第1項第9号)
(詳細省略)
随意契約のうち、見積書の入手状況は下表のとおりである。
随意契約の見積書入手状況
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
複数入手 | 321 | 19.7% | 158,188 | 1.9% |
1者入手 | 1,211 | 74.4% | 3,503,049 | 41.0% |
入手なし | 96 | 5.9% | 4,873,037 | 57.1% |
合計 | 1,628 | 100.0% | 8,534,275 | 100.0% |
上記規定では、随意契約における価格の適正性を検証するため、原則的には複数の者から見積書を徴取することとしているが、実際には1者のみから入手、若しくは見積書を入手していない随意契約が圧倒的に多い。複数者から見積書を入手している随意契約は、件数で2割弱、金額では全体のわずか 1.9%であった。
これを随意契約理由別にみると、下表のとおりである。
随意契約理由別の見積書入手状況(委託件数)(件)
区分 | 1号 | 2号 | 3号 | 5号 | 6号 | 7号 | 8号 | 9号 | 合計 |
複数入手 | 285 | 27 | 1 | - | 6 | - | 2 | - | 321 |
1者入手 | 361 | 739 | 44 | 8 | 55 | 1 | 2 | 1 | 1,211 |
入手なし | 3 | 90 | 1 | - | - | - | 2 | - | 96 |
合計 | 649 | 856 | 46 | 8 | 61 | 1 | 6 | 1 | 1,628 |
随意契約理由別の見積書入手状況(委託金額)(千円)
区分 | 1号 | 2号 | 3号 | 5号 | 6号 | 7号 | 8号 | 9号 | 合計 |
複数入手 | 60,925 | 71,575 | 964 | - | 1,718 | - | 23,004 | - | 158,188 |
1者入手 | 88,273 | 2,787,090 | 216,157 | 27,316 | 358,640 | 8,910 | 7,732 | 8,928 | 3,503,049 |
入手なし | 843 | 4,852,579 | 2,606 | - | - | - | 17,007 | - | 4,873,037 |
合計 | 150,042 | 7,711,245 | 219,729 | 27,316 | 360,359 | 8,910 | 47,743 | 8,928 | 8,534,275 |
ガイドラインでは、次のいずれかに該当する場合は、見積書の徴取を1者以下とすることができるとしている。その場合は、価格の妥当性を証する資
料(積算資料、類似契約資料等)を作成することを条件としており、第2号や第5号がこれに該当するものと考えられる。第6号については、競争入札に付することが不利と認められる証拠が必要とされている。第7号(「時価に比して著しく有利な価格」)もこれに準ずると解される。第8号、第9号は下記には当たらないが、例外的なケースであり、第3号はそもそも価格の優位性を問題としていない。
(1)契約の性質又は目的により契約の相手方が特定されるとき。
(2)他の業者が見積書の提出を拒否したとき。
(3)災害時等特別の事情があるとき。
このアンケート結果から、以下のような推論が導き出せる。
第1号随意契約の見積書入手状況
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
複数入手 | 285 | 43.9% | 60,925 | 40.6% |
1者入手 | 361 | 55.6% | 88,273 | 58.8% |
入手なし | 3 | 0.5% | 843 | 0.6% |
合計 | 649 | 100.0% | 150,042 | 100.0% |
【意見1】第1号随意契約に要する見積り合わせのチェック
第1号随意契約では、原則、複数の者からの見積りを要するにもかかわらず、5割超で見積り合わせが実施されていない。
昨年度の市の定期監査では、見積書の不徴取、予定価格の未設定についての監査結果が3部署に対し提出されているが、上表からみると、まだ多くの部署において不備がある可能性がある。ただし、性質的には他の号に適するが、少額につき、第1号を優先適用しているケースもあるため、見積り合わせが実施されていない契約のすべてが手続不備であるとは言えない。
毎年度、同種の契約は同じ事務手続を行う傾向があると考えられるため、各課はこの点について、問題がないか再検討されたい。
第2号随意契約の見積書入手状況
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
複数入手 | 27 | 3.2% | 71,575 | 0.9% |
1者入手 | 739 | 86.3% | 2,787,090 | 36.2% |
入手なし | 90 | 10.5% | 4,852,579 | 62.9% |
合計 | 856 | 100.0% | 7,711,245 | 100.0% |
【意見2】第2号随意契約方式採用の適切性
市では、契約の性質又は目的により契約の相手方が特定される場合(すなわち、その業務を行える業者が他に存在しない場合)に限定して、第2号を適用することとしている。このルールを踏まえると、第2号随意契約のうち
27 件において、複数業者からの見積りを徴取できていることは不自然であり、随意契約を適用することが不適切であった可能性がうかがえ、各課はこの点について、再点検することが望ましい。この意見から、複数の業者からの見積書を徴取することをやめるといった安易な対応は論外であり、第2号を適用すべきか否かという本来の検討に注力されたい。
(3) 指名競争入札
① 指名業者数
指名競争入札における指名業者数の分布は、下表のとおりである。
指名競争入札における指名業者数の内訳
指名業者数 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
2者 | 9 | 2.7% | 9,216 | 0.4% |
3者 | 36 | 10.8% | 163,475 | 7.4% |
4者 | 23 | 6.9% | 55,123 | 2.5% |
5~6者 | 123 | 37.0% | 331,357 | 15.1% |
7~9者 | 69 | 20.7% | 268,601 | 12.2% |
10 者以上 | 73 | 21.9% | 1,370,854 | 62.4% |
合計 | 333 | 100.0% | 2,198,628 | 100.0% |
2者
2.7%
3者
10.8%
2者
0.4%
3者
7.4%
4者
2.5%
4者
6.9%
委託件数 割合
委託金額 割合
5者
以上
79.6%
5者
以上
89.7%
「豊中市測量及び建設コンサルタント業務委託指名競争入札参加者指名基準」では、指名競争入札の場合は、原則5者以上の業者を指名することが必要とされている。アンケートの結果、指名者数が5者以上の指名競争入札は、件数・金額ともに全体の概ね8割以上を占めていた。また、指名者数が
5者未満となった主な理由は、業務内容の特殊性により指名条件を満たす業者数が少ないことが考えられる。
② 応札率
指名競争入札における応札率(入札業者数/指名業者数)は、下表のとおりである。
指名業者数別の応札率
指名業者数 | 応札率 (平均) | 委託件数(件) | ||
うち 応札率 100% | 割合 | |||
5者未満 | 88.0% | 68 | 46 | 67.6% |
5~6者 | 84.9% | 123 | 72 | 58.5% |
7~9者 | 72.4% | 69 | 20 | 29.0% |
10 者以上 | 91.4% | 73 | 37 | 50.7% |
合計 | 84.4% | 333 | 175 | 52.6% |
指名競争入札全体の応札率の平均は 84.4%であり、指名業者数の多寡によって際立った違いはなかった。また、応札率 100%の割合は、指名業者が
7~9者である場合において、29.0%と他と比べて低いが、その原因は、主に都市基盤部において、業務の特殊性から専門的な技術や特定の機材が必要であること等によるもので、その他は 50~60%台と、特に際立った特徴は見受けられなかった。
(4) 予定価格の積算について
予定価格とは、契約を締結するに際し、その契約金額を決定する基準として地方公共団体の長が予め作成する見積価格をいう。
予定価格の設定については法令に定めがないが、「豊中市財務規則」や「豊中市随意契約ガイドライン」において、下記のとおり一般競争入札や指名競争入札、随意契約を行う際には予定価格の設定が必要である旨が規定されている。
豊中市財務規則
(予定価格の設定)
第 97 条 主管部課長は、一般競争入札の開札を行うときは、予定価格(最低制限価格を設けた場合にあっては、予定価格及び最低制限価格。次項において同じ。)を記載した書面を封書にし、開札場所に置かなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、工事請負契約並びに市長が定める委託契約及び売買契約に係る一般競争入札については、予定価格を当該一般競争入札を行う前に公表するものとする。
(一般競争入札に関する規定の準用)
第 103 条 第 90 条の 2 から第 90 条の 4 まで及び第 92 条から第 100 条までの規定は、指名競争入札の場合に準用する。
豊中市随意契約ガイドライン
3.随意契約とは
~(省略)
このため、随意契約を行う際には、当該業務に対する予算の確保はもちろんのこと、予定価格を設定するとともに、契約を締結しようとする業者との随意契約理由についても整理しておかなければならない。
豊中市における予定価格の積算方法別の委託件数、予定価格及び契約金額は、下表のとおりである。
予定価格の積算方法別の内訳
積算方法 | 委託件数(件) | 予定価格 (千円) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | ||||
独自積算 | 350 | 17.1% | 6,372,775 | 3,768,023 | 28.4% |
1者見積書 | 976 | 47.6% | 4,114,143 | 3,093,354 | 23.3% |
複数見積書 | 161 | 7.8% | 685,194 | 286,793 | 2.2% |
前年度参考 | 214 | 10.4% | 464,328 | 355,591 | 2.7% |
その他 | 87 | 4.2% | 187,507 | 1,148,932 | 8.7% |
予定価格なし | 264 | 12.9% | - | 4,603,381 | 34.7% |
合計 | 2,052 | 100.0% | 11,823,949 | 13,256,076 | 100.0% |
その他
4.2%
独自
積算
17.1%
独自
積算
28.4%
前年度
参考
10.4%
予定価
格なし
12.9%
委 託 件 数
割 合
予定価
格なし
34.7%
委 託 金 額
割 合
複数
見積書
7.8%
1者 見積書 47.6%
1者
その他 見積書
8.7% 23.3%
前年度 複数
参考 見積書
2.7% 2.2%
予定価格については、市が独自に積算する、複数見積りを徴取するなど価格の妥当性を検証しているものは、件数で 24.9%、金額で 30.6%、委託先からのみの見積書や、前年度実績を参考としているものは件数で 58.0%、金額で 26.0%を占め、予定価格がないものもかなりの割合を示している。
前述したように、昨年度の定期監査において、予定価格を設定していないことについての監査結果が出ているが、指摘された以外にも予定価格を設定していない契約がかなりの割合を示していることが読み取れる。
(5) 外郭団体への委託
外郭団体とは、国又は地方公共団体の組織の外にありながら、そこから出資・補助金を受けるなどして行政の補完的な事業や活動を行う団体のことである。豊中市では、下記のように定義している。
豊中市ホームページ
(1) 資本金、基本財産その他これらに準ずるものに係る本市の出資比率又は出えん比率(以下「出資比率等」という。)が4分の1以上であり、かつ、出資者又は出えん者のうち、本市の出資比率等が最も大きい団体
(2) 市の区域をもって設置する旨の法的根拠があり、かつ恒常的に人的・財政的に
支援を行っている団体
委託先の外郭団体の割合
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
外郭団体 | 77 | 3.8% | 1,064,512 | 8.0% |
その他 | 1,975 | 96.2% | 12,191,564 | 92.0% |
合計 | 2,052 | 100.0% | 13,256,076 | 100.0% |
注: 上記の外郭団体には、外郭団体と外郭団体以外の団体との共同事業体への委託契約も含めている(以下同様)。
外郭
団体
3.8%
外郭
団体
8.0%
委 託 件 数
割 合
委 託 金 額
割 合
その他
96.2%
その他
92.0%
契約等形態ごとの委託先の外郭団体の割合
契約等形態 | 委託先 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | ||||
一般競争入札 | その他 | 5 | 100.0% | 51,698 | 100.0% |
総合評価一般競争入札 | その他 | 4 | 100.0% | 120,555 | 100.0% |
指名競争入札 | 外郭団体 | 2 | 0.6% | 3,660 | 0.2% |
その他 | 331 | 99.4% | 2,194,967 | 99.8% | |
プロポーザル | その他 | 72 | 100.0% | 1,278,162 | 100.0% |
随意契約 | 外郭団体 | 70 | 4.3% | 319,807 | 3.7% |
その他 | 1,558 | 95.7% | 8,214,467 | 96.3% | |
指定管理 | 外郭団体 | 5 | 50.0% | 741,044 | 69.1% |
その他 | 5 | 50.0% | 331,712 | 30.9% | |
合計 | 2,052 | ― | 13,256,076 | ― |
※ 表中「割合」は契約等形態ごとの委託先の割合である。
上表のうち、指名競争入札、随意契約及び指定管理における割合は下記のとおりである。
①指名競争入札
外郭
団体
0.6%
外郭
団体
0.2%
委 託 件 数
割 合
委 託 金 額
割 合
その他
99.4%
その他
99.8%
②随意契約
外郭
団体
4.3%
外郭
団体
3.7%
委 託 件 数
割 合
委 託 金 額
割 合
その他
95.7%
その他
96.3%
③指定管理
その他
27.6%
その他
44.4%
委 託 件 数
割 合
外郭
団体
55.6%
委 託 金 額
割 合
外郭
団体
72.4%
一般競争入札、指名競争入札及び随意契約では概ね本市とは関連のない委託先に業務委託されている。指定管理では、5割超が外郭団体に指定されているが、選定方法は原則公募によっており、附属機関において候補者選定を行っている。
外郭団体別の委託金額は、下表のとおりである。
外郭団体別の委託金額
委託先 | 委託金額(千円) |
(公財)豊中市スポーツ振興事業団 ・(公財)フィットネス 21 事業団共同事業体(注) | 351,475 |
(公財)豊中市スポーツ振興事業団 | 230,440 |
(公社)豊中市シルバー人材センター | 157,310 |
(一財)とよなか男女共同参画推進財団 | 114,320 |
(社福)豊中市社会福祉協議会 | 85,351 |
(一財)豊中市医療保健センター | 58,056 |
(公財)とよなか国際交流協会 | 53,258 |
(一財)豊中市住宅協会 | 14,301 |
合計 | 1,064,512 |
注: (公財)フィットネス 21 事業団は外郭団体ではないが、外郭団体(公財)豊中市スポーツ振興事業団との共同事業体であるため、上記に含めている。
(6) 再委託の状況
平成 26 年度の委託契約等 2,052 件のうち、再委託されているものは 26 件 (1.3%)あった。契約等形態別の再委託の割合は、下表のとおりである。
契約等形態別の再委託の割合
契約等形態 | 委託件数(件) (A) | 再委託件数(件) | 再委託割合 (B)/(A) |
(B) | |||
一般競争入札 | 5 | - | -% |
指名競争入札 | 333 | 5 | 1.5% |
総合評価一般競争入札 | 4 | - | -% |
プロポーザル | 72 | - | -% |
随意契約 | 1,628 | 19 | 1.2% |
指定管理 | 10 | 2 | 20.0% |
合計 | 2,052 | 26 | 1.3% |
再委託金額の認識率(再委託件数/委託件数)
区分 | 再委託件数(件) | |
割合 | ||
再委託金額を認識 | 9 | 34.6% |
再委託金額が不明 | 17 | 65.4% |
合計 | 26 | 100.0% |
委託先が再委託を行うに当たっては、豊中市の承認が必要である。特に、随意契約において再委託が行われ、その業務の大部分を再委託している場合には、そもそも随意契約であることの必要性に疑義が出るため、その契約の合理性を担保しておく必要がある。アンケートの結果では、再委託金額が「不明」と回答された案件が、再委託件数の6割以上を占めた。再委託金額を正確に把握していなくても、委託業務の大部分を再委託することになっていないかなど、再委託の内容を適切に把握したうえで承認している場合もあろうが、現在豊中市の実務においては、再委託について適切な承認が行われているか、客観的に判断できないケースが多かった。
5. 分析から得られた傾向
アンケートの分析から得られた傾向は、下記のとおりである。
• 市の委託契約の大部分を随意契約が占めており、一般競争入札は著しく少ない。
• 随意契約理由は、地方自治法施行令第 167 条の2第1項第2号の理由(その性質又は目的が競争入札に適しないもの)が金額でみると9割を占める。
• 随意契約において、第1号(予定価格が豊中市財務規則第 104 条に定める額を超えないとき。)の5割超で見積り合わせが実施されておらず(※)、第2号は、その性質又は目的により契約の相手方が特定される場合に限定しているにもかかわらず、複数の業者による見積り合わせが実施されているものがあるなど、随意契約を適用するうえで、問題が潜在している可能性がある。
※ 原則的には、第 1 号の随意契約では金額の妥当性を確かめるため見積り合わせを行うこととしているが、性質的には他の号が適するものであっても、金額が少額の場合には第1号を優先して適用することから、見積り合わせが不要な案件も含まれる。
• 予定価格を設定していない、または予定価格の積算を委託先 1 者のみの見積
りや前年度実績のみを参考にしているものが件数で7割、金額では6割以上ある。
• 再委託について、適切な承認が行われているか、客観的に不明なケースが多い。
Ⅳ. 全庁的な監査の結果及び意見
1. 概要
地方公共団体が厳しい財政状況の中において、安定的に公共サービスを提供していくためには地方公共団体の有する経営資源のみでは対応が困難な状況にあり、民間に委託可能なものは民間に委託し、職員は真に行政として対応しなければならない政策・課題に重点的に取り組まなければならない状況にある。こうした民間活力を活かした効果的、効率的な公共サービスの提供が不可避な状況である。
国においても「地方公共団体における行財政改革の更なる推進のための指針」
(平成 18 年8月 31 日総務省)において「公共サービス改革」として民間委託
等の見直しを実施するよう求めている。また直近では平成 27 年6月 30 日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2015」等を受け、「地方行政サービス改革の推進に関する留意事項」(平成 27 年8月 28 日総務省)が示され、地方行政サービス改革の推進に関する主要事項として民間委託等の推進等が掲げられ、今後においても民間委託等の積極的な活用による業務改革の推進が望まれている。
2. 節:委託料の推移
豊中市における委託料の推移は下表のとおりである。委託料は予算・実績ともに増加傾向にあり、市の歳出に占める割合も年々増加している。
委託料等の推移 (千円)
区分 | 平成 23 年度 | 平成 24 年度 | 平成 25 年度 | 平成 26 年度 | 平成 27 年度 |
歳出(予算) | 206,506,348 | 219,899,384 | 219,395,778 | 225,940,062 | 240,265,506 |
歳出(実績) | 200,258,316 | 223,796,276 | 214,659,531 | 219,870,416 | ― |
委託料(予算) | 10,755,356 | 11,796,118 | 13,503,953 | 14,372,799 | 11,935,614 |
委託料(実績) | 9,995,714 | 11,202,452 | 11,958,701 | 13,256,077 | ― |
委託料割合 (予算) | 5.2% | 5.4% | 6.2% | 6.4% | 5.0% |
委託料割合 (実績) | 5.0% | 5.0% | 5.6% | 6.0% | ― |
( 百 万 円 )
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
委託料(予算)
委託料(実績)
委託料割合(予算)
委託料割合(実績)
7.0%
6.5%
6.0%
5.5%
5.0%
4.5%
平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
注) 平成 27 年度の委託料(予算)が平成 26 年度の委託料(予算)に比して減少してい
るのは、民間保育所費の保育所入所委託料が制度改正により平成 27 年度から扶助費
に計上されることになったためであり、実質は4億 5,268 万円増加している。
(平成 26 年度保育所入所委託料(予算):28 億 8,986 万円、平成 27 年度保育所入所委託料(予算)(扶助費計上):31 億 4,349 万円)
豊中市においては、「平成 27 年度行財政運営方針」で「公民役割分担の最適化」を掲げ、「公共サービスについて、民間活力の導入、市民・地域との連携・協働、事業の民営化など、事業実施手法の見直しを行い、公民の役割分担の最適化を積極的に進めていくものとする。」とされている。
依然として厳しい地方財政の状況、ヒト・モノ・カネといった経営資源は制約がますます強まってきている一方で、少子高齢化等を背景とした公共サービス需要は確実に増加していくと見込まれている。このような状況下で、経営資源を最大限に活用し、高レベルの公共サービスを維持し、効果的、効率的に提供していくためには、外部資源の積極的な有効活用は今後も重要な課題である。
3. 全庁的な監査の視点
豊中市の委託契約に関する事務は、原則、各事業を所管する部署が行っているが、一部の契約種別については総務部契約検査課が契約事務を行っている
(「豊中市事務分掌規則第5条 契約検査課」)。このように委託契約では、一部は集権的、一部は分権的に各部署が契約事務に携わっているなかで、統制が十
分には機能していない可能性もあるため、ここに焦点をあて、監査を実施することで新たな視点を提供できるものと考えた。
委託の対象となる様々なサービスについては、民間事業者に委託することで、より幅広い経験やノウハウ、創意工夫を取り入れることができる可能性、より低コストを実現できる可能性など、様々なメリットを生む可能性があることや、
「民にできることは民で」「公共サービスへの民間活力の導入」の視点から、民間への委託契約は件数、金額ともに増加する傾向にある。このことは、国及び豊中市の方針とも一致している。一方で、委託することによりかえって管理コストがかさむなど全体として非効率になってはいないか、過剰な管理を行うことで、民間のノウハウや創意工夫を活かし切れていないケースはないか、反対に管理が不十分で委託者と受託者の間で馴れ合いが生まれ、それが実害につながるケースはないか、委託業務の手法は見直され、最適化する仕組みがあるか、など様々な視点から、課題が発見される場合もある。
これらの視点で監査を行うため、対象とする部署は広範囲に設定することとし、平成 26 年度の歳出における委託料から一定の基準で委託契約を抽出した。抽出した契約については、事業の視点で検討を加えるため、所管部署への質問、契約書等関係書類の閲覧等により検討を加え、あわせて合規性のチェックを行い、個別の契約に対する監査結果を形成した。
更に、個々の委託契約から発見された個別具体的な問題点のうち、全庁的な視点での検討が必要な課題については、契約に関する統括部門であり、総合調整機能を担う契約検査課に対し、ヒアリングを行った。
一方で、豊中市における全庁的な傾向を捉えるため、委託契約に関するアンケートを実施している。
これらの手続の結果、把握された現状及び課題について、全庁的な課題、個別具体的な課題に分けて整理する(所管部署別の個別意見については、Ⅴ.対象部署別監査の結果及び意見の項を参照。)。
全庁的な課題
【意見3】契約管理システムの更なる有効活用
豊中市は、平成 24 年度に事業計画、予算、執行・実施、評価、決算を一連のフローとしてマネジメントを行うための統合型データベースを導入している。この時同時に、契約を管理するシステムとして、契約管理システムが導入された。
導入の一つの目的は財務系システムの維持管理費用の削減にあったが、それ
まで各部局が文書管理システムの起案により行っていた契約について、全庁的に事務を統制できるシステムとはなっていなかったため、事務の標準化を図るという目的もあった。また、このシステムの導入により、登録されたデータを利用して、事務の効率化を行うことも想定されていたと考えられる。
しかし導入から3年を経過した平成 26 年度においても、全ての契約が契約管理システムに登録されているわけではなく、登録されたデータも分析や事後チェック等に有効利用できているとは言えない。
今回の監査で、契約管理システムから抽出したデータ(※1)と歳出簿(※
2)を照合したところ、ほぼ全ての課において両者のデータが一致せず、全庁でみると、132 億円の委託料のうち2割近い 23 億円の契約が契約管理システムでは把握できなかった。
※1 平成 24 年度~26 年度の各年度毎に「委託役務」の契約案件を抽出し、キー設定の重複分と平成 24、25 年度の単年度執行済額を除いて作成したデータに各所管課が所管している契約を追加して作成したデータ
※2 予算執行システムから抽出した会計データ
各所管部署差異一覧(平成 26 年度) (単位:千円)
部署 | ①予算執行 システム | ②契約管理 システム | 差額 (②-①) | |
危機 管理室 | 危機管理室 | 17,411 | 20,585 | 3,174 |
情報 政策室 | 情報政策室 | 482,183 | 1,694,075 | 1,211,892 |
総務部 | 行政総務室 | 15,541 | 19,220 | 3,678 |
法務・コンプライアンス室 | 9,136 | 3,024 | △ 6,112 | |
情報公開課 | 7,502 | 10,123 | 2,621 | |
人材育成センター人事課 | 11,952 | 29,423 | 17,471 | |
人材育成センター職員課 | 26,087 | 31,297 | 5,210 | |
契約検査室 | 4,100 | 3,702 | △ 399 | |
資産活用部 | 施設活用推進室 | 123,765 | 358,353 | 234,588 |
土地活用課 | 39,356 | 135,799 | 96,443 | |
施設整備課 | 148,441 | 653,287 | 504,846 | |
人権 文化部 | 人権政策室 | 187,063 | 84,912 | △ 102,151 |
文化芸術室 | 124,065 | 203,672 | 79,607 | |
政策 | 企画調整室 | 4,215 | 4,190 | △ 24 |
企画部 | 秘書課 | 59 | 160 | 100 |
広報広聴課 | 77,739 | 164,311 | 86,572 | |
都市活力創造室 | 20,690 | 19,928 | △ 762 | |
とよなか都市創造研究所 | 1,809 | 1,809 | - | |
環境部 | 環境政策室 | 49,904 | 33,574 | △ 16,330 |
公園みどり推進課 | 326,299 | 438,714 | 112,414 | |
環境センター減量推進課 | 100,725 | 688,463 | 587,738 | |
環境センター美化推進課 | 1,554 | 1,554 | - | |
環境センター中部事業所 | 3,688 | 3,346 | △ 342 | |
環境センター北部事業所 | 2,134 | 812 | △ 1,322 | |
環境センター環境業務課 | 638,289 | 552,585 | △ 85,704 | |
財務部 | 財政室 | 7,521 | 5,732 | △ 1,789 |
税務センター税務企画課 | 8,212 | 15,376 | 7,164 | |
税務センター市民税課 | 25,617 | 30,675 | 5,057 | |
税務センター固定資産税課 | 39,099 | 59,661 | 20,563 | |
税務センター納税管理課 | 3,843 | 14,722 | 10,879 | |
債権管理室 | 44,755 | 41,437 | △ 3,318 | |
市民協働部 | コミュニティ政策室 | 10,849 | 7,582 | △ 3,267 |
くらしセンター消費生活課 | 17,746 | 35,285 | 17,539 | |
消費生活課(臨時福祉給付金関 係) | 85,606 | 109,885 | 24,280 | |
くらしセンター雇用労働課 | 437,865 | 515,249 | 77,384 | |
くらしセンター地域経済課 | 27,912 | 25,644 | △ 2,268 | |
市民窓口センター市民相談課 | 73,157 | 285,348 | 212,191 | |
市民窓口センター市民課 | 32,183 | 34,719 | 2,537 | |
市民窓口センター庄内出張所 | 10,186 | 23,133 | 12,947 | |
市民窓口センター新千里出張所 | 486 | - | △ 486 | |
南部地域連携センター | 4,946 | 9,893 | 4,946 | |
千里地域連携センター | 43,994 | 111,217 | 67,223 | |
健康福祉部 | 地域福祉室 | 86,033 | 103,759 | 17,726 |
福祉指導監査室 | 6 | - | △ 6 | |
福祉事務所 | 39,354 | 28,126 | △ 11,228 | |
いきいきセンター障害福祉課 | 297,371 | 468,438 | 171,067 | |
いきいきセンター高齢施策課 | 54,996 | 18,856 | △ 36,140 |
いきいきセンター高齢者支援課 | 546,170 | 261,344 | △ 284,827 | |
保健所保健企画課 | 20,902 | 42,807 | 21,904 | |
保健所衛生管理課 | 22,924 | 2,042 | △ 20,881 | |
保健所保健予防課 | 479,588 | 86,447 | △ 393,141 | |
保健所地域保健課 | 1,585,264 | 183,873 | △ 1,401,391 | |
保険窓口センター保険給付課 | 156,721 | 6,234 | △ 150,487 | |
保険窓口センター保険資格課 | 372 | 33,916 | 33,544 | |
保険窓口センター保険収納課 | 17,427 | 17,940 | 512 | |
こども 未来部 | こども政策室 | 98,337 | 42,539 | △ 55,798 |
保育幼稚園室 | 3,384,772 | 140,223 | △ 3,244,548 | |
都市計画推進部 | まちづくり総務室 | 237,124 | 5,782 | △ 231,343 |
都市計画室 | 5,481 | 5,918 | 437 | |
市街地整備課 | 41,780 | 62,628 | 20,848 | |
千里ニュータウン再生推進課 | 6,091 | 6,091 | - | |
空港室 | 38,040 | 18,798 | △ 19,243 | |
土地利用調整センター建築審査 課 | 5,933 | 5,979 | 46 | |
都市基盤部 | 土木総務室 | 9,233 | 30,888 | 21,655 |
道路センター道路建設課 | 157,821 | 132,475 | △ 25,345 | |
道路センター道路管理課 | 85,645 | 361,560 | 275,915 | |
道路センター道路維持課 | 249,690 | 188,325 | △ 61,365 | |
水路課 | 57,909 | 74,982 | 17,073 | |
会計室 | 会計室 | 21,517 | 48,194 | 26,677 |
消防本部 | 消防総務室 | 519,142 | 533,495 | 14,353 |
警防課 | 2,192 | 1,072 | △ 1,120 | |
救急救命課 | 4,894 | 1,171 | △ 3,723 | |
予防課 | 80 | 80 | - | |
教育委員会事務局 | 教育総務室 | 249,483 | 650,069 | 400,586 |
教育総務室特任主幹 | 142,524 | 44,123 | △ 98,401 | |
人権教育室 | 806 | 679 | △ 127 | |
地域教育振興室 | 43,162 | 20,377 | △ 22,785 | |
読書振興課 | 93,539 | 232,412 | 138,873 | |
スポーツ振興課 | 712,638 | 53,170 | △ 659,468 | |
青少年育成課 | 100,927 | 82,430 | △ 18,497 |
教職員室 | 728 | 794 | 66 | |
教育推進室 | 68,040 | 45,496 | △ 22,544 | |
教育センター | 25,632 | 26,516 | 884 | |
学校給食室 | 179,267 | 165,285 | △ 13,982 | |
中央公民館 | 32,408 | 55,782 | 23,374 | |
選挙管理委員会 事務局 | 選挙管理委員会事務局 | 58,917 | 77,714 | 18,797 |
監査委員 事務局 | 監査委員事務局 | 43 | 43 | - |
農業委員会 事務局 | 農業委員会事務局 | 2,652 | 2,652 | - |
議会 事務局 | 総務課 | 2,272 | 6,717 | 4,445 |
議事課 | 12,421 | 22,280 | 9,859 | |
総計 | 13,255,954 | 10,882,998 | △ 2,372,955 |
予算執行システムと契約管理システムが一致しない要因
① 統合型データベースの導入(平成 24 年度)前に契約締結した長期継続契約は予算執行システムでの支払いのみとなり、契約管理システムには反映されていない。
② 単価契約については契約管理システムで契約締結を行うが、単価のみを定めるものであり、最終の執行額が契約管理システムに反映されていない。
③ 医師会、国民健康保険連合会、自治会等の地域団体、官公庁など業者登録になじまないものについては業者登録されていないことから、契約管理システムによる事務処理ができず、文書管理システムの起案により契約締結を行っている。
④ 契約管理システムからのデータ抽出は分類業務区分「委託役務(清掃警備以外)」で行うため、節:委託料の他に、節:役務費から支出するものも含まれている。
⑤ 契約管理システムに登録されている長期継続契約は、契約期間内の合計金額で表示され、年額となっていないため、財務数値と一致しない(契約管理システムの数値が予算管理システムより大きくなる。)。
契約管理システムでは登録データの網羅性が確保できていないため、契約データが必要になる都度、契約管理システムと予算執行システムによりデータを抽出し、集約して対応している。
システム導入後3年が経過し、実務上の課題が集積される頃であるため、課題の収集・分析を行い、システムの利用や運用方法について再検討すべき時期
に来ているともいえる。契約システムの運用上の課題を整理し、契約状況の分析や契約事務に係る仕組みづくりに活かされるよう、運用の見直しを検討されたい。
【意見4】委託契約全般の統制、管理、事後チェックの必要性
豊中市財務規則上、契約検査課の所管事務は、建設工事及び関連する測量・コンサル、物品調達、データ入力作業、清掃等が限定列挙され、これらの契約事務については個々に、業者の選定から入札事務、契約までの全ての事務を取り扱っている。一方、所管する契約事務以外にも全庁的な契約管理部署としての機能も持ち、契約全般に関して全庁的な課題があれば、その企画・調整を行い、各種ガイドラインの策定、研修による周知、各所管部署からの相談対応などを行っている。
しかし、多くの委託契約は各事業を所管する部署内で契約事務を執り行っている。契約検査課は、契約管理システム及び予算執行システムの双方を活用してデータの集計・集約を行うことは可能だが、常時そのような手法で全庁の契約の統制・監視を行っているわけではなく、契約管理システムを用いても、事務の事後チェックは行っていない。結果として委託契約事務に関しては、各所管部署が責任を持ち、全庁的に統制する部署は存在しない。
このような現状において、特に委託契約については、各所管部署によって独自の解釈や規程類の適用誤り、運用のばらつきが見られた。
契約管理システムの情報を活用するなどして、契約検査課が契約全般の企画・調整機能をより強化することが望ましい。
【意見5】単価契約の決裁基準の整理
事務事業の委託に関する事務の決裁者については、豊中市事務決裁規程別表
6(3)の規定を適用し、「契約1件」当たりの金額に応じて決裁者を適用することとしている。
今回、各所管部署が締結した単価契約において、単価に基づき決裁者を適用している事例が見受けられたが、これは単価の額を契約の金額として事務決裁規程の決裁者を判断していたとのことである。
単価を基準とすると、最終的な執行総額を基準にしたときと比べ下位の職階において決裁することが起こり得るが、そもそも金額に応じて決裁者を適用する仕組みにあっては、単価契約の場合においても、当該契約から生じる支出の総額を基準とすべきと考えられる。
もちろん、単価契約を締結しようとする際には、年間の支出総額は確定して
いないが、単価契約案件については、予め、年間の予定数量を見積もり、執行予定額の総額で予算の計上を行うか、又は年間の予定数量を入札時に参考情報として入札参加事業者に提示していると考えられる。
従って、単価契約の締結に係る決裁者については、契約締結時に想定される年間の執行見込額を基準にすべきと考えられる。
単価契約締結の決裁者の決定に関する判断が部署によって異なる現状については、事務決裁規程の内容が分かりにくいことも原因のーつと考えられるため、事務決裁規程において単価契約の決裁者をより分かりやすい規定に改正するとともに、庁内へ周知徹底されたい。
【意見6】再委託に関するルールの整備
契約上再委託の事前承認が必要とされているにもかかわらず、再委託の有無を確認していないケースや、承認の趣旨を理解しないまま、再委託を受け入れているケースが散見された。あるいは、再委託業務が市との契約の「一部である」「主たる業務ではない」「契約相手先が当該業務を実施できないことが明らか」であるから事前承認の手続を取らなくてもよい、と様々な運用解釈がなされている。
しかし、現状、豊中市では、直接の契約相手先から業務を外部に再委託する場合の全てを、事前承認の必要な「再委託」としており、どのような場合に再委託の事前承認を不要と判断するかの基準等はない。まず、再委託の事前承認を必要とするケースを整理する、事前承認を必要とする趣旨や範囲を庁内に周知する、そして業務にあたって事務の実効性を補助するような確認のための雛形を配布するなど、指導的機能を果たすことが求められる。
例えば雛形に再委託の有無を記載し、委託先からこれを入手することにしておけば、委託先に改めて確認を促し、同時に再委託の有無も確認可能である。
【意見7】指定管理者に対する保証金の徴収
契約保証金は相手方の契約内容の完全な履行を確保するとともに、仮に債務不履行が発生した場合に、その受ける損害を補てんすることを目的として、契約の締結に当たり契約の相手方から契約金額の一定割合を徴することとされている(地方自治法施行令第 167 条の 16)。市においては、豊中市財務規則第 108
条で契約代金の額の 100 分の5に相当する額以上を契約保証金の額として定めている。
現在、市においては、指定管理業務の法的性質が私法上の「契約」ではなく公法上の「行政処分」であるため、当該規定が適用されないという判断から、
契約保証金を徴収していない。
指定管理者が指定期間中にサービスを提供できなくなったり、あるいはサービスの内容が十分でなかったりする場合のリスク管理としては、協定において損害賠償を求めることを定めているほか、そもそも、そうした事態に至らないよう定期的なモニタリングによりサービスの内容や水準にとどまらず、指定管理者の財務状況についてもチェックを行うこととしている。
しかし、指定管理業務は市民サービスに直結し、かつ大きな影響を与えるものであるため、リスク管理を徹底すべきであり、契約同様に履行を保証する代替手段を設けることが望ましい。
4. 外部監査の結果及び意見の要約
平成 26 年度の包括外部監査を実施した結果及び意見は下表のとおりである。個別の内容の詳細については、各所管部署に記載しているため、当該事項の本文を参照されたい。
監査の「結果」 | 法令、条例、規則等に違反している事項 |
監査の「意見」 | 「結果」以外で改善・検討を求める事項 |
監査の結果・意見の一覧
No | 契約・業務・事業名 監査の結果又は意見 | 該当頁 |
アンケート | ||
1 | 第1号随意契約に要する見積り合わせのチェック 【意見】 | 30 |
第1号随意契約では、原則、複数の者からの見積りを要するにもかかわらず、5割超で見積り合わせが実施されていないことは手続不備の可能性がある。 性質的には他の号に適するが、少額につき、第1号を優先適用しているケースもあるため、見積り合わせが実施されていない契約のすべてが手続不備であるとは言えないが、各課はこの点について、 問題がないか再点検されたい。 |
2 | 第2号随意契約方式採用の適切性 【意見】 | |
市では、契約の性質又は目的により契約の相手方が特定される場合(すなわち、その業務を行える業者が他に存在しない場合)に限り、第2号を適用することとしている。このルールを踏まえると、第2号随意契約の 27 件において、複数業者からの見積りを徴取できていることは不自然であり、随意契約が不適切であった可能性がある。 各課はこの点について、再点検されたい。 | 31 | |
契約全般 | ||
3 | 契約管理システムの更なる有効活用 【意見】 | 42 |
平成 24 年度に契約管理システムが導入された。 システム導入後3年が経過しているが、登録したデータを十分に活用できていないため、課題を整理し、契約状況の分析や契約事務に係る仕組みづくりに活かされるよう、運用の見直しを検討されたい。 | ||
4 | 委託契約全般の統制、管理、事後チェックの必要性 【意見】 | 47 |
契約検査課は、契約全般に関して、全庁的な課題があれば、その企画・調整を行い、各種ガイドラインの策定、研修による周知、各所管部署からの相談対応などを行っている。一方、多くの委託契約は各事業を所管する部署内で契約事務を執り行っている。このような現状において、各所管部署によって独自の解釈や規程類の適用誤り、運用のばらつきが見られた。 契約管理システムの情報を活用するなどして、契約検査課が契約 全般の企画・調整機能をより強化することが望ましい。 | ||
5 | 単価契約の決裁基準の整理 【意見】 | 47 |
各所管部署が締結した単価契約において、単価に基づき決裁権者を適用している事例が見受けられたが、契約締結時に想定される年間の執行見込額を基準にすべきと考えられる。 単価契約締結の決裁権者が部署によって異なる現状については、事務決裁規程が分かりにくいことも原因のーつと考えられるため、事務決裁規程において単価契約の決裁者をより分かりやすい規定 に改正するとともに、庁内へ周知徹底されたい。 |
6 | 再委託に関するルールの整備 【意見】 | 48 |
契約上再委託の事前承認が必要とされているにもかかわらず、再委託の有無を確認していないケースや、承認の趣旨を理解しないまま、再委託を受け入れているケースが散見された。再委託の事前承認を必要とするケースを整理する、事前承認を必要とする趣旨や範囲を庁内に周知する、そして業務にあたって事務の実効性を補助するような確認のための雛形を配布するなど、指導的機能を果たすこ とが求められる。 | ||
7 | 指定管理者に対する保証金の徴収 【意見】 | 48 |
指定管理業務の法的性質が私法上の「契約」ではなく公法上の「行政処分」であるため、地方自治法施行令上の契約保証金に関する規定が適用されないという判断から、契約保証金を徴収していない。 指定管理業務は市民サービスに直結し、かつ大きな影響を与えるものであるため、リスク管理を徹底すべきであり、契約同様に履行 を保証する代替手段を設けることが望ましい。 |
所管部署 | No | 契約・業務・事業名監査の結果又は意見 | |
人権政策課 | とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ管理運営業務 | ||
8 | 指定管理委託料の積算 【意見】 | 72 | |
エトレ豊中の5階と6階は、各設置目的に合致した利用が主となっているが、市民から見れば、いずれも個々人の違いや多様性を尊重する見地から、施設の相互利用促進を制限する理由はない。現在でも、場合によっては各設置目的を超えた使用を許可しているが、今後は両施設の相互利用をさらに効果的、積極的に進めることにより、市民の利便性の向上とともに一層運営を合理化できる余地がないのか、検討されたい。 また、活動実態に関しては、市民から見れば、効果に対して合理的なコストであることが望まれる。指定管理委託料は、既存の出資団体を前提に積算するのではなく、当該施設で達成すべき効果から割り出した必要工数を積算して事業実施に必要な配置人員を決定 し、予定価格を設定するよう検討されたい。 | |||
9 | 効果測定の指標 【意見】 | 74 | |
他に競争者がいないため、男女財団の過去の実績による運営コストを基礎とした指定管理委託料となっている実態を前提にすれば、市民のニーズに合った事業効果が得られているか、それに見合った費用であるかについては、より一層厳格な検証が必要である。アウトプットだけでなく、市民ニーズにどれだけこたえることができたかの効果を測るアウトカム指標を設定されたい。 そのうえで、常に変化する社会環境や市民ニーズを真に捉え、求められる機能を果たし得ているか、指定管理委託料の水準は適切か、市民サービスの内容や方法を変える必要はないかなど、事業を 評価するに相応しい効果指標を設定し、評価されたい。 | |||
10 | 特定の団体に対する使用料の免除 【意見】 | 75 | |
特別の理由が認められるとして、特定の社会活動団体がすてっぷを利用する際には、常に使用料を免除している。 すてっぷ登録団体制度における他の登録団体が男女共同参画目 |
的で使用する場合、月2回までしか使用料を免除されないことと比 較して公平性に欠けるため、整合性を図られたい。 | |||
11 | 事業報告書における指定管理業務協定書に基づく自主事業の明瞭 な表示 【意見】 | 75 | |
事業計画書には自主事業に係る実施計画書及び収支予算書、事業報告書には自主事業の実施状況及び経費の収支状況の記載が求められている。しかし、男女財団は、これらの書類に指定管理業務以外に実施した事業に係る計画及び実施状況と混同する記載をしているため、男女財団がすてっぷで実施する自主事業の収支が不明確である。 協定書に基づき、指定管理業務協定書に基づく自主事業の計画及 び収支を記載するよう求められたい。 | |||
12 | 再委託手続の適正化 【意見】 | 75 | |
すてっぷの指定管理業務を行うに当たり第三者委託の承認申請をしているが、業務名と委託先の名称のみ記載し、再委託の金額や再委託の業務の範囲等は記載していない。再委託の承認の可否に資 する情報を記載した事前承認申請を入手されたい。 | |||
総務部 情報政策課 | 複数契約 | ||
13 | 再委託手続の適正化 【意見】 | 79 | |
再委託先の会社名のみ記載された業務従事者承諾書を入手することで足りるとして、再委託の承諾を行っていない。再委託の承認 の可否に資する情報を記載した事前承認申請を入手されたい。 | |||
14 | 再委託手続の不備 【結果】 | 79 | |
業務従事者承諾書すら入手していない。再委託の承認の可否に資 する情報を記載した事前承認申請の入手を徹底する必要がある。 | |||
15 | 契約書の記載誤り 【結果】 | 79 | |
契約書上、契約保証金免除の根拠条文が誤っていた。 | |||
16 | 予定価格変更手続の誤り 【結果】 | 79 | |
予定価格を変更する場合、予定価格等設定伺を再度起案し、決裁を得る運用が行われているが、変更に係る起案が作成されていなか った。 | |||
17 | 随意契約理由の根拠不足 【意見】 | 79 | |
システム改修に係る委託契約において、導入業者と契約した場合 には開発期間の短縮や経費の節減が期待されるため、地方自治法施 |
行令第 167 条の2第1項第6号の「競争入札に付することが不利と認められるとき。」に該当するとして、随意契約を行っているが、競争入札を行った場合にどの程度不利になるかが不明確で、理由の説明としては不十分である。 第6号を理由として随意契約するのであれば、不利である具体的 理由を随意契約理由書に記載されたい。 | |||
18 | 長期継続契約に係る決裁権者に関するルールの整理 【意見】 | 80 | |
豊中市事務決裁規程では、「契約1件当たりの金額」で決裁権者を定めているが、長期継続契約の場合は別途通知により、年額(12か月分の金額)で決裁者を決定するという運用が行われている。 実際には、多くの場合、年額での意思決定であっても、結果的に総額の執行を意思決定したのとほぼ同様の効果が発現するため、決 裁権者に関する運用を変更する必要がないか再検討されたい。 | |||
政策企画部 広報広聴課 | 「広報とよなか」企画編集制作業務 | ||
19 | 再委託手続の不備 【結果】 | 82 | |
再委託の事前承認の届けがないことをもって再委託はないものとしていたが、今回、改めて委託先に再委託の有無を確認したところ、再委託をしていることが判明した。 現状において豊中市では、市の直接の契約先が別の業者に委託す る場合の全てを「再委託」と定義しているため、再委託の全てについて事前承認が必要となる。 | |||
豊中市広報番組制作・放送業務 | |||
20 | ケーブルテレビによる情報発信の効果検証 【意見】 | 84 | |
情報伝達手段が多様化し、制作維持費が増加する中で、番組制作本数や放送回数等、アウトプット指標は実績管理しているが、現在市民がどれほどケーブルテレビによる情報発信を利用し、必要としているか、他の手段と比べたときにケーブルテレビを媒体とする優位性はどうか、などのアウトカム(成果)指標については確認していない。 今後は、映像媒体の活用のあり方について、時代の流れに応じて、 多様な情報伝達手段の中で適切な資源配分や転換を行われたい。 |
都市活力部 スポーツ振興課 | 豊中市立体育施設の管理運営業務 | ||
21 | 指定管理者に対する保証金の徴収 【意見】 | 90 | |
指定管理業務の法的性質が私法上の「契約」ではなく公法上の「行政処分」であるため、地方自治法施行令上の契約保証金に関する規定が適用されないという判断から、契約保証金を徴収していない。 指定管理業務は市民サービスに直結し、かつ大きな影響を与えるものであるため、リスク管理を徹底すべきであり、契約同様に履行 を保証する代替手段を設けることが望ましい。 | |||
豊中市ふれあい緑地球技上芝生管理・巡回業務 | |||
22 | 履行保証保険の加入漏れ 【結果】 | 91 | |
契約書上、履行保証保険により契約保証金を免除する旨の記載があったにもかかわらず、履行保証保険へは加入していなかった。所 管部署もその事実を看過しており、契約手続に不備があった。 | |||
23 | 指名業者の選定根拠の明確化 【意見】 | 92 | |
指名業者の選定方法について、具体的な選定根拠が資料として残されておらず、当該業務の取扱いができると考えられる業者を全て指名して競争性が適正に確保されたかどうかが不明である。一般競争入札としない根拠や指名方法の適正性を明確にしておくために、 指名業者の選定方法・根拠について明示されたい。 | |||
環境部 環境政策課 | 豊中市立環境交流センター管理運営業務 | ||
24 | 指定管理者選考における要検討事項 【意見】 | 95 | |
① 募集要項の明確化 環境交流センター指定管理者候補者の選定における一次審査 (審査)において、各応募者から提出された指定管理委託料の提案額の積算根拠に、一部ばらつきが見受けられた。 公平・公正な審査を行うにあたっては、誤解を生じないような募集要項を作成されたい。 ② 審査の経過に関する記録及び資料の保管について 採点結果の妥当性や評価根拠を示すことができるよう、議事録や関連資料の作成を適切に行われたい。 |
環境部 公園みどり推進課 | ふれあい緑地(1・5街区)協働管理委託業務 | ||
25 | 委託料の適切な見直し 【意見】 | 99 | |
市は随意契約により公園管理業務を委託先に委託しているが、市が委託先に支払っている委託料の金額は、委託先が実際に支出した委託対象事業費を大幅に上回っている。 これは、企画書に基づく市の負担範囲を超えており、実質的には委託先に対する助成となっていると考えられる。企画書の趣旨に沿えば、市が支払う委託料は、委託先が協働管理委託業務を実施するために支出した費用の範囲内とすべきであり、委託料の見直しを検 討されたい。 | |||
環境部 減量推進課 | し尿収集運搬業務 | ||
26 | 委託料の適切な見直し 【意見】 | 102 | |
昭和 58 年以来同一の相手先と随意契約を続けており、し尿処理量は年々減少しているが、委託料はそれほど変化していない。他に委託業者が存在しないため、随意契約はやむを得ないとしても、契約金額や事業実施方法については市が自ら検証する必要がある (PDCA の必要性)。 委託料に変化がない主な要因は、予定価格積算方法の見直しを行っていないこと及び予定価格を参考に同社との随意契約の中で前契約を基準としてほぼ同水準で両者の話し合いにより契約額が決定されてきたことによる。 次期契約締結時にあたっては、他市の処理単価(処理量や件数)等と比較したうえで、現在の委託料の算出方法が適切か、見直しも 含めた検討を行われたい。 | |||
27 | 適切な書類の保存 【意見】 | 103 | |
同契約において、業務開始当初の契約金額積算の前提・考え方や、過去に見直しが行われたか等に関する情報が引き継がれていない ため、ほぼ前回契約を踏襲しているとのことであった。時代の変化に伴い、実情に応じて必要な検討を行い、改定を行っていくためにも、引継ぎが必要な資料が引き継がれていないことは問題である。 財務規則上の書類保存期限は一般的なルールを示しているにすぎない。個々の業務で必要な書類は、一般的な保管期限を過ぎても適切に引き継がれるよう、それぞれの所管部署で適切な取り扱いを 定められたい。 |
粗大ごみ等受付業務 | |||
28 | 随意契約に関する財務規則適用誤り 【結果】 | 105 | |
地方自治法施行令第 167 条の2第1項第1号の規定は予定価格総額について適用すべきであり、処理業務1件当たりの契約単価が少額であることを理由に随意契約の方法を採用することは適切ではなく、プロポーザル、入札等、適切な契約方法を選択する必要が ある。 | |||
29 | 見積り合わせに関する財務規則適用誤り 【結果】 | 106 | |
第1号による随意契約を行う場合には、価格に競争性が働かないため、見積り合わせ等により、価格の適正性に対し、検証を加える ことが必要である。 | |||
財務部 債権管理課 | 豊中市電話催告等業務 | ||
30 | 随意契約理由の根拠不足 【意見】 | 109 | |
当委託契約については、詳細なマニュアルに基づき業務が実施され、同業務を提供できる事業者が市場に唯一とは考えられず、その性質又は目的が競争入札に適さないものと判断できる明確な理由はない。 一般競争入札やプロポーザルによる随意契約等に基づき委託契 約を締結できないかについて、検討することが望ましい。 | |||
市民協働部 くらし支援課 | 住宅支援給付事業 | ||
31 | 委託料の適切な見直し 【意見】 | 112 | |
住宅等困窮離職者に直接支給される住宅手当に対し、委託先が受け取る間接事務コストとしての委託料の方が、平成 24 年度から総額で大きいという逆転現象が生じ、支援者一人当たりに換算してみると平成 26 年度には 3.6 倍になっている。委託先が唯一豊中市社会福祉協議会であるなか、委託料は組織の人員体制を基準に算定される傾向があり、事業遂行に必要なコストとしてのシビアな見直しが十分であったとは言えない。 支援費と委託料のバランスに配慮して、限られた資金をより有効に生かし、市民への説明責任を果たせるよう、事業の効率的な運営のほか、事業全体の実績を踏まえた委託料の算出について検討され たい。 |
生活困窮者自立支援促進モデル事業 | |||
32 | 訓練実績と相関関係がない委託料の額 【意見】 | 114 | |
生活困窮者の就業支援という目的に照らして、訓練・実習への参 加人数(成果)と、委託費の額(費用)に合理的な相関関係がない。今後、生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援事業として実 施するにあたっては、受け入れ可能な事業者を地域に増やしていくことが解決策の一つとして考えられる。 また、委託内容に応じた経費の単価設定やコンペ又はプロポーザ ルの実施の可能性についても検討されたい。 | |||
33 | 訓練実施実績の PDCA 【意見】 | 115 | |
当事業は8団体に委託しているが、訓練実施の実績は大きく異なり、同じように公費を投入して少ない効果しか得られなかった委託先もあった。そういった中で、事業全体としては一定数の就職困難者を受入れ、訓練・実習の機会を提供したことで成果があったものと評価されている。 今後の展開に当たっては、よりきめ細かな事業毎の実施内容及び 手法の改善に取り組むことが求められる。 | |||
くらし再建パーソナルサポートセンター事業 | |||
34 | 随意契約理由の根拠不足 【意見】 | 117 | |
前回の事業実施者というだけでは随意契約の理由としては不足している。契約金額の規模からしても、コンペ又はプロポーザルの 実施を検討されたい。 | |||
起業支援型地域雇用創造事業 | |||
35 | 契約保証金の免除規定の適切な記載 【意見】 | 119 | |
「契約決議書」に添付されている「契約保証金免除理由書」には、 リスク管理の観点で適切な記載を行われたい。 | |||
健康福祉部 高齢者支援課 | 豊中市シルバーハウジング生活援助員派遣事業 | ||
36 | 事業者の選定方法の見直し 【意見】 | 122 | |
競争性のある契約方法の採用も可能であり、仮に、他に適切な事業者が存在しないという判断から随意契約を続けるとしても、少なくとも当該事業を4法人に限定して随意契約を行う合理性はない。 事業目的の達成のために随意契約によることの妥当性について改めて検証を行うとともに、公平性や透明性の観点から事業者の選 定方法について再検討されたい。 |
37 | 契約書の記載誤り 【結果】 | 122 | |
契約書の作成過程で文言誤りが発見・修正されていない。決裁過 程におけるチェックに問題がある。 | |||
豊中市介護予防二次予防事業通所型介護予防事業 | |||
38 | プロポーザル提案額を考慮しない配点方法 【意見】 | 124 | |
プロポーザル型コンペにおいては、金額以外の要素が重視されるものの、見積金額差が一切、得点差として反映されないような採点方法は異例である。 プロポーザル型コンペを実施する際において、提案金額からも一 定の得点差が生じるような採点方法が望ましい。 | |||
豊中市高齢者ふれあい入浴事業 | |||
39 | 事業実績の確認方法の検証 【意見】 | 125 | |
委託料支払いの基礎となる事業実績報告書に記載される入浴者数は補助対象上限がないにもかかわらず、数値の正確性が検証されていない。 入浴者数は委託料の支払に直結することから、入浴者数の検証方 法について検討されたい。 | |||
健康福祉部 保健所健康増進課 | 平成 26 年度定期予防接種業務 | ||
40 | 近隣市町との相互乗り入れに係る精算 【意見】 | 129 | |
予防接種の相互乗り入れは市民の利便性を向上させ、公衆衛生の向上及び増進に寄与するという目的にかなったものであるが、豊中市においては他市町民の接種を受け入れる方が多く、平成 26 年度 では年間 20 百万円程度、委託費用を持ち出ししていることになる。これは試算に過ぎないが、毎年同様の負担超過が続いているようであれば、市民にとっては何らかの形で精算すべき、ということになるのではないか。自治体間の調整が必要になるため、毎年のデータを提示したうえでルールを作成し、近似値の概算額で精算するなど の方策を検討されたい。 | |||
41 | 単価契約への決裁規程の適用誤り 【結果】 | 130 | |
契約単価ではなく、総額予算に着目して、誤りなく規程を適用す べきである。 |
豊中市立庄内保健センター診療業務 | |||
42 | 薬剤管理の不備 【結果】 | 131 | |
薬剤については横流しや誤使用のリスクがあり、在庫の管理、確認は重要である。日々の出入りから本来書面で管理すべきものであり、在庫表を作成し、しかるべき管理者による確認も必要である。在庫管理及び実地棚卸のルールを策定し、それに沿った運用を行う べきである。 | |||
健康福祉部 保険給付課 | 豊中市国民健康保険 1 日総合健康診断業務及び脳ドック検診業務 | ||
43 | 契約医療機関の選定 【意見】 | 135 | |
市内の医療機関全てに契約の意向が確認できていない中で、特定の医療機関とのみ長年にわたり随意契約を続けていることは、契約相手方選定の透明性に問題がある。平成 26 年度で最も受診者の多 い医療機関は 1,821 人であったが、最も少ない医療機関では0人である。 今後、契約医療機関の選定において、契約先を取捨選択するのであれば、利用実績も勘案して、既存の契約先に対する継続契約の是 非についても検討されたい。 | |||
44 | 国民健康保険人間ドック助成制度 【意見】 | 136 | |
当事業は、近年、事業費が増加傾向にあり、平成 24 年度から 26年度では2割増加している。助成の内容は自治体によってばらつきがあり、関西2府6県の中核市の中では豊中市は比較的手厚い助成を行っている。 事業費が増加傾向にあり、その財源は被保険者から徴収する保険料であることから、検診による成果や他の保健事業との優先度、他の保険者の助成状況も鑑みた上で、保険者として助成制度を検討す ることが望ましい。 | |||
45 | 単価契約への決裁規程の適用誤り 【結果】 | 136 | |
単価ではなく、契約総額で決裁権者を判断する必要があり、規程 の適用誤りである。 | |||
46 | 再委託の状況確認 【意見】 | 137 | |
再委託承認の申し出がないことから、消極的に再委託はないものとし、再委託の有無について特に確認は行っていない。 当該業務は毎年1、2月頃に来年度の契約の可否及び検診項目・ 金額等についての確認を行っているため、その中で再委託の状況に |
ついても確認することが望ましい。 | |||
こども未来部 こども事業課 | 業務委託(民間保育所入所委託) | ||
47 | 社会福祉法人との契約における契約書の未作成 【意見】 | 140 | |
学校法人及び宗教法人とは契約書を締結しているが、社会福祉法人との間では契約書が作成されていなかった。規定に基づき契約書の作成が省略されているが、契約行為を行う際は、契約書を極力作成し、法的関係を明文化すべきである。当該規定が適用されるべき 範囲については、市として考え方を整理されたい。 | |||
48 | 決裁権限に関する規程の整理 【意見】 | 141 | |
学校法人等との契約について、契約決議書上豊中市事務決裁規程の別表8(2)を適用することが妥当と判断して決裁を得ている。契約の内容を鑑みると民間保育所における保育の委託は「事務・事業の委託」に該当すると考えられ、同規程の第9条第 13 号又は別 表6(3)を適用する方がより適切であったと解される。 | |||
49 | 契約保証金の徴収 【意見】 | 142 | |
契約保証金は、保育単価ではなく、委託料総額に基づき徴収すべきである。 新設の園について、初年度は3号の契約保証金免除規定に該当し ない場合もあるため、契約保証金の徴収が必要となることに留意されたい。 | |||
50 | 調理業務の第三者委託に関する契約内容の確認が不十分 【意見】 | 143 | |
調理業務を委託している6園のうち5園は有事の際の業務代行者を設定しているのに対し、残りの1園は設定していない。 実態を確認し、現在未設定の1園に対し、他の5園と同様の対応 を求めることが必要か検討されたい。 | |||
51 | 保育所運営費(委託料)の精算誤り 【結果】 | 143 | |
精算資料の作成誤り(交付済み額の集計誤り)による保育所運営費の支給不足や超過支給があった。 保育所運営費の精算を適正に実施するため、精算資料の作成時に 実際の交付済み額との照合作業も実施するべきである。 | |||
業務委託(家庭保育所入所委託) | |||
52 | 家庭保育所との契約における契約書の未作成 【意見】 | 145 | |
家庭保育所への業務委託について契約書を締結していない。責任 の所在を含め契約内容を互いに明確にし認識を共有しておくため、 |
民間保育所と同様、契約書を締結することの要否を検討されたい。 | |||
都市計画推進部 住宅課 | 市営西谷住宅ほか 25 施設(計 2,378 戸)及びこれらの共同施設の管理運営 | ||
53 | 指定管理委託料における修繕費の取扱い 【意見】 | 148 | |
当該業務に係る収支は、2年連続で 25 百万円以上の剰余金が発生しており、これは空家修繕費、一般修繕費と人件費の各支出項目が予算を大幅に下回ったことが要因である。修繕を行うための予算を与えているにもかかわらず、適切な時期に適切な修繕を実施しなければ、次期の指定管理者に隠れ債務を引き継ぐ可能性がある。 修繕費等、指定管理者に執行義務が課されている費目において余剰が発生した場合は、次年度に繰り越し、一定期間後には精算する、又は毎年度精算して返還する等の取り扱いを協定書で定めること の要否について検討されたい。 | |||
都市基盤部 交通政策課 | 放置自転車等一括業務 | ||
54 | 誓約書の提出に係る指導の不備 【結果】 | 150 | |
受注者及び再委託先から暴力団等排除措置要綱で必要とされている誓約書を徴していなかった。 | |||
55 | 不適切な契約書日付の記載 【結果】 | 151 | |
当該契約に係る見積書提出日は平成 26 年2月4日、契約決議書 の起票年月日が平成 26 年3月3日であるにもかかわらず、契約書 の締結日付が平成 25 年 12 月 18 日となっていた。 | |||
都市基盤部 水路課 | 平成 26 年度市内一円道路清掃業務 | ||
56 | 産業廃棄物収集運搬・処分業務の再委託 【意見】 | 153 | |
清掃業務において生じる産業廃棄物は、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではなく、清掃する前から発生していた産業廃棄物を一定の場所に集積させる行為をしたに過ぎないため、市が排出事業者であり、本件に関わる産業廃棄物の収集運搬・処分業者とそれ ぞれ委託契約を締結する必要がある。 |
教育委員会事務局 生涯学習課 | 豊中市立青少年自然の家管理運営業務 | ||
57 | 現金収入管理の不備 【意見】 | 157 | |
使用料の収納方法について、条例には前納が明記されているが、実際には退所時当日に支払いが行われている(後納)。現状の統制方法では、市に現金振り込みされた額を市の収納すべき額としているのみであり、実際に収納すべき金額が確実に収納されているかが確認できていない。現地では宿泊費以外に食費や物販、シーツ代、冷暖房代など、現金収納を種々行っているが、同様に、統制が不十分なまま長年業務を行っている。 市の他の施設、他の自治体の同種施設等の情報を参考に、施設に 合った統制を考案する必要がある。 | |||
58 | 簿外処理されている現金 【意見】 | 157 | |
利用者から徴収する給食費収入や材料費運搬費などの費用は実費相殺と解釈して、収支報告書には記載されず、帳簿外で処理されている。市はこれらの現金収入・費用について管理しておらず、現在の料金設定が適切かどうかも把握していない。公の施設を利用して現金を収納する以上、それらの収支を明確にするためにも、収支報告書に収入と支出の総額を計上することが望ましい。 現金取り扱いの内部統制の面からも不正が発生しやすく危険であるため、他にも簿外で処理されている現金がある場合には、同様 に帳簿で収支を明確に管理するよう指導されたい。 | |||
59 | 主催事業の実施による余剰金の発生とその処理 【意見】 | 158 | |
市は、青少年自然の家の青少年健全育成という設置目的を踏まえて施設の効用を一層高めるために、主催事業の実施を求めている。これらの主催事業で、平成 22~26 年の5年間の指定管理期間において発生した余剰金の合計は 2,134 千円である。 現在のところ、主催事業は指定管理者の自主事業でないと考えられていることから、当該事業に要する経費に充当する額を差し引いた額は市の納入とすべきである。自主事業の範囲を整理し、それに 応じた手続を実施されたい。 | |||
60 | 適切な備品管理の推進 【意見】 | 159 | |
貸与中の物品は散逸しやすいため、所有者を明確にして現品帳簿 の管理を明確にし、現物と定期的に照合して、適正な備品管理を行われたい。 |
教育委員会事務局 読書振興課 | 豊中市立岡町図書館総合管理業務委託 他 | ||
61 | 契約締結時に必要な書類の不備 【結果】 | 163 | |
契約締結時に提出が義務付けられているにもかかわらず、入手できていない書類があった。 | |||
62 | 決裁規程の適用誤り 【結果】 | 163 | |
事務手続における決裁者が事務決裁規程上の決裁権者ではなかった。 | |||
教育委員会事務局 学校教育課 | 豊中市立小中学校における外国人英語指導助手派遣事業委託 | ||
63 | AET の配置 【意見】 | 166 | |
それぞれ学級数の異なる中学校区に対し、均一に各1名の AETを配置しているため、AET1人当たりの英語授業数は 88 コマから 319 コマまで、3倍以上の開きがある。AET の配置に配慮されたい。 | |||
64 | 公募型プロポーザル方式による業者選定 【意見】 | 167 | |
当該業務は「英語学習におけるリスニング、スピーキング、リーディング等の指導を通じて児童生徒の英語学習能力の向上と実践的コミュニケーション能力を養うことを目的。」としていることから、単なるネイティブスピーカーを人材派遣することではなく、目的を達成するための授業支援等の内容やより良いやり方について、業者によって異なる提案や工夫、ノウハウがある可能性がある。現在は競争入札で委託先を決定しているが、公募型プロ ポーザル方式を導入することも検討されたい。 | |||
65 | 決裁規程の適用誤り 【結果】 | 167 | |
各事務手続における決裁者が、事務決裁規程上の決裁権者であ る教育監ではなかった。 |
教育委員会事務局 学校給食課 | 学校給食搬送業務委託契約 | ||
66 | 随意契約理由の記載誤り 【結果】 | 170 | |
「契約決議書」と「随意契約理由書」の随意契約理由の記載が 一致していなかった。 | |||
67 | 契約保証金の免除規定の記載漏れ 【結果】 | 170 | |
「契約決議書」上、契約保証金の免除規定についての記載が漏 れていた。 | |||
68 | 契約金額の妥当性の検証 【意見】 | 171 | |
当該契約においては、委託先から徴収した見積書に基づく金額を予定価格としており、複数の業者からの見積書徴収や、所管部署での積算は実施されておらず、予定価格と契約金額は同額である。当初入札時の平成 17 年度と比較しても、契約金額は+1.75%しか変動しておらず、長年にわたり同一の相手先と随意契約を続けているために、価格が硬直的になっている可能性がある。 平成 30 年度を目途に一般競争入札で委託先を選定する予定であり、それに向けて予定価格を適切に算出するため、現在の委託金 額が妥当であるかについての検証を実施されたい。 | |||
69 | 車両燃料費の契約上の取扱い 【意見】 | 171 | |
車両の燃料費は市況により価格変動が大きいことが想定されるため、契約金額が実態から乖離しないよう、固定契約ではなく変 動契約とすることを検討されたい。 | |||
豊中市中学校給食調理業務委託(Aブロック) | |||
70 | 中学校給食の喫食率の改善 【意見】 | 173 | |
平成 26 年度は喫食率(給食を食べる生徒の割合)50%を目標に掲げているが、現在多くの中学校において 10%以下と目標を大きく下回る水準で推移している。 中学校給食の導入を推進する国の方針を鑑み、また市として費用対効果の面からも、他の自治体での取り組みも参考にしながら 効果的な運用に努められたい。 | |||
71 | 給食材料費の契約上の取扱い 【意見】 | 173 | |
市から支払われた給食材料費と委託先が実際に支払った給食材 料費には差が生じることがあり、野菜等天候不順により価格変動 が大きかった場合には、その差が多額となる可能性がある。現に、 当該契約では 744 千円委託先の赤字となっていた。給食の安定的 |
な供給を確保するため、委託先の財務面での負担を必要以上に強いないよう、委託先と協議し中学校給食を安全で持続可能な事業 として構築するための対応策を検討されたい。 | |||
豊中市中学校給食支援システム運用業務委託(Aブロック) | |||
72 | 契約保証金の免除規定の記載漏れ 【結果】 | 175 | |
「契約決議書」上、契約保証金の免除規定についての記載が漏 れていた。 | |||
計 結果 20 件 意見 52 件 |
個別の契約等に関する監査の結果及び意見を類型別に分類すると次のとおりである。
手続上の問題があるもの
問題の類型 | 結果/意見 | 監査の結果又は意見 |
① 履行確認に不十分な点があるもの | 意見 | 39,57,59 |
② 現物管理に問題があるもの | 結果 | 42 |
意見 | 58,60 | |
③ 再委託の承認に不備、または改善の余地があるもの | 結果 | 14,19 |
意見 | 12,13,46,56 | |
④ 契約保証金の徴収漏れ等 | 結果 | 22 |
意見 | 49 | |
⑤ 決裁規程の適用誤り、または改善の余地があるもの | 結果 | 41,45,62,65 |
意見 | 18,48 | |
⑥ 契約書の未作成 | 意見 | 47,52 |
⑦ その他書類の記載誤り、不備等 | 結果 | 15,37,55,61,66,67,72 |
意見 | 17,35 | |
⑧ その他事務手続上の誤り、不備等 | 結果 | 16,29,51,54 |
意見 | 11,27,50 |
事業に改善の余地があるもの
問題の類型 | 結果/意見 | 監査の結果又は意見 |
⑨ 随意契約の妥当性を検討し、受注機会を拡大すべきもの | 結果 | 28 |
意見 | 30,34,36 | |
⑩ 経済的合理性の観点から検討の余地があるもの | 意見 | 8,25,26,31,32,38,40, 53,68,69 |
⑪ 効果検証の実施、効果測定指標のよりよい設定等を目指すべきもの | 意見 | 9,20,44 |
⑫ より効果的な事業の実施を模索すべきもの | 意見 | 33,63,64,70,71 |
⑬ 公平性、透明性の観点で課題があるもの | 意見 | 10,23,24,43 |
⑭ 指定管理における履行の確保について | 意見 | 21 |
Ⅴ. 対象部署別監査の結果及び意見
個別の監査対象部署の選定方法
1.平成 26 年度決算説明書(歳出節別集計表)歳出項目第 13 節委託料を対象とした。
2.予算執行システムから委託料データを抽出するため、予算執行システムと決算説明書(歳出節別集計表)の委託料合計額を照合し、一致を確認した。
3.予算執行システムから抽出した委託料のデータ1行を1事業とみなし、 100,000 千円を超える事業が存在する部署等を中心に監査対象部署を選定した。
4.監査対象部署の中で、金額が 10,000 千円を超える委託契約等を中心に監査対象とする個別の契約を抽出した。
(注)対象部局選定後、予算執行システムの1行のデータが1事業ではなく、複数の事業や複数の契約が含まれている場合があることが判明したが、その事実により対象契約の選定を上記考え方に従って正確にやり直すことはしていない。
1. 人権政策課
(旧人権文化部 人権政策室)
(1) 人権政策課の業務概要
当課は、人権文化のまちづくり、人権問題に係る調査研究、人権啓発事業を推進し、とよなか国際交流センターを所管している。また、男女共同参画社会の実現をめざし、とよなか男女共同参画推進センターすてっぷを所管している他、豊中人権まちづくりセンター、螢池人権まちづくりセンターを管理運営している。
(2) 平成 26 年度委託契約の状況
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
一般競争入札 | - | -% | - | -% |
指名競争入札 | 5 | 21.7% | 19,203 | 47.4% |
プロポーザル | - | -% | - | -% |
随意契約 | 18 | 78.3% | 21,312 | 52.6% |
小計 | 23 | 100.0% | 40,515 | 100.0% |
指定管理 | 2 | - | 148,102 | - |
合計 | 25 | - | 188,617 | - |
指名競
争入札
21.7%
指名競
争入札
47.4%
委 託
件 数 割 合
委 託
金 額割 合
随意
契約
78.3%
随意
契約
52.6%
(注:上記のグラフには、指定管理は含めていない)
(3) 委託契約別監査の結果及び意見
とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ管理運営業務
指 定 管 理 内 容 | とよなか男女共同参画推進センターすてっぷの管理運営業務 |
指 定 管 理 者 | 一般財団法人とよなか男女共同参画推進財団 |
指 定 管 理 期 間 | 平成 23 年度~27 年度(5年) 設置以降継続して同財団が管理運営を行っている。 |
予 定 価 格 | 89,164 千円(税抜)(平成 23 年度) |
指 定 管 理 者 提 案 額 | 88,000 千円(税抜)(平成 23 年度) 予定価格に対する提案額の割合:98.7% |
指定管理委託料 | 99,779 千円 |
執 行 済 額 | 99,779 千円 予定価格よりも高くなっている主な理由は、当初予定価格が税抜であったこと及び従来市の直接執行であった施設総合管理委託料を平成 26年度から指定管理者負担としたため。 |
選定方法及び根拠 | 公募(指定管理者)(地方自治法第 244 条の2第3項) |
指 定 管 理 者 選定方法・理由 | 応募は1者。 選定委員会による書類審査、面接審査を行い議会承認。 |
予 定 価 格積 算 方 法 | 前年度実績に基づき、人件費、経費等を積算。平成 28 年度以降の指定管理業務に係る積算に当たっては、人件費は賃金構造基本統計調査(全 国)の概況を参考にして積算している。 |
実 績 確 認 | 事業報告書の提出を受けている。指定管理者が実施した業務について定期・随時にモニタリングを実施し、貸室利用者数、稼働率、講座イベント参加者数、面接相談の枠数、情報ライブラリー図書・資料回転率等あらかじめ設定した目標値が達成されているか、毎年度評価を行 っている。 |
【事業の実施目的と成果】
とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ(以下「すてっぷ」という。)は、社会のあらゆる分野への男女の均等な参画及び男女の人権の確立を図り、男女が社会の対等な構成員としてその責任を分かち合い、共に築く男女共同参画社会の実現をめざして、とよなか男女共同参画推進センター条例(以下「男女センター条例」という。)に基づき設置された施設である。
一般財団法人とよなか男女共同参画推進財団(平成25年度に一般財団法人化。以下「男女財団」という。)が、平成12年から管理委託制度により、平成18年
度からは指定管理者として、設置以降継続してすてっぷを管理運営している。平成18年度からの5年間は非公募、平成23年度からの5年間は公募による選定である。
当該指定管理業務については、部屋の稼働率等確保するべきサービス水準が募集要項で定められ、所管課による評価(毎年)、選定評価委員会による評価
(指定管理期間中に1回)が行われている。
すてっぷにはセミナー室、約150席のすてっぷホール等があり、稼働率は 62.2%である。平成26年度の利用実績は、男女財団の指定管理業務、自主事業での利用を含めて目的利用が2,952件、一般利用が1,068件、利用料収入はそれぞれ、1,007千円、7,352千円である。
【前監査人の意見】
② 出資団体の管理経費の財源について(監査の意見)
(省略)
しかし、監査対象とした出資団体のうち、国際交流協会、男女財団及びスポーツ事業団の 3 団体については、管理経費の財源を充足するほどの自主財源を確保する状況にはなく、 市からの財政支援がなければ、管理経費の財源が確保できないのが実態である。このため、これまで出資団体において管理経費の財源とされていた補助金等が廃止されることにより、不足することとなる出資団体の管理経費の財源の一部については、結果的に、指定管理料により賄われていると考えられる。
(省略)
市が安易に出資団体の管理経費を負担することは慎むべきである。
しかし、出資団体が市の施策の推進にあたって重要な役割を果たし、公共の福祉の増進 に積極的に寄与していると評価しうる存在であるとすれば、各出資団体が自主財源により管理経費を確保すべく検討を進めることを前提に、公募により指定管理者に指定されている出資団体について、民間事業者等との公平性確保の観点も踏まえ、市が十分に説明責任を果たした上で、市が出資団体の管理経費を負担することの合理性が否定されるものでは
ない。
平成 23 年度を監査対象とした平成 24 年度包括外部監査で、前監査人は指定管理者の管理経費について以下のような監査意見を付している(下線は追加)。
【措置】
これに対し、市は、平成 25 年8月に以下のように進捗状況を公表し、市が男女財団の管理経費を負担していないとしている(下線は追加)。
担当課(室) | 措置の内容又は対応の状況進捗状況 | 進捗状況 |
行政総務課 | 公募により指定管理者を選定する場合は、出資団体と他の団体との公平性、公正性等を確保する必要がありますので、出 資団体そのものの管理経費の負担は行っていません。しかし、指定管理者制度の導入や公益法人制度改革等、出資団体を取り巻く制度が変革される中で、団体としての持続可能な収益構造が求められます。そのため、平成 24 年度から取り組んでいる「出資法人等評価」等も踏まえ出資団体と市が相互に情報共有を図りつつ、新たな収入の開拓など団体に対する要請 を行うとともに、市としても必要な提案を行っていきます。 | 措置済 |
【平成26年度 男女財団決算書】
男女財団は、平成26年度より公益法人会計基準を適用し、公益目的事業に相当する実施事業等会計、収益事業に相当するその他会計、管理業務やその他の法人全般に係る費用を計上する法人会計に区分して正味財産増減計算書を公表している。平成26年度の正味財産増減計算書内訳表における事業別の収支は下表のとおりである。
(単位:千円)
公益目的事業 (実施事業等会計) | 収益事業 (その他会計) | 法人会計 | 合計 | ||||||
指定管理(除講) | 指定管理(講座) | 自主事業(除講) | 自主事業(講座) | 共通事業 | 施設管理 | 受託事業等 | 管理費 | ||
経常収益計 | 44,393 | 15,814 | 49 | 799 | 40 | 28,314 | 15,025 | 16,381 | 120,818 |
(うち指定管理委託料収入) | (44,210) | (13,205) | (-) | (-) | (-) | (27,019) | (-) | (15,344) | (99,779) |
経常費用計 | 44,377 | 15,754 | 1,334 | 2,813 | 0 | 28,269 | 10,202 | 16,381 | 119,135 |
(うち人件費 ※) | (29,431) | (10,618) | (947) | (1,858) | (-) | (13,805) | (4,994) | (12,552) | (74,207) |
当期経常増減額 | 16 | 59 | △1,285 | △2,013 | 39 | 44 | 4,823 | - | 1,683 |
※ 人件費は、役員報酬、給与手当、賞与引当金繰入額、法定福利費の合計である。
ここから、男女財団では経常収益の 83%が指定管理委託料収入であり、法人の管理費は 94%が指定管理委託料収入で賄われていることが分かる。
【意見8】指定管理委託料の積算
すてっぷが設置されている阪急豊中駅前の建物(エトレ豊中)には、同じく市の施設であるとよなか国際交流センターが設置されており、両施設の設置目的等は以下のとおりである。
とよなか国際交流センター | すてっぷ | |||
条例に定める施設の設置目的(下線は追加) | ∙ 在住外国人に対する相談及び支援 ∙ ふれあい交流の場の提供 ∙ 国際交流に関する会議、研修、催し等へのセンターの施設の 提供 ∙ 国際理解のための講座の開催 及び啓発の実施 ∙ 国際交流に関する情報の収集 及び提供 ∙ 国際交流活動への住民の参加の促進 ∙ その他市長が必要と認める事業 | ∙ 性別に起因する人権の侵害及び悩みに関する相談 ∙ 男女共同参画社会の実現をめざす市民活動の支援及び交流 の場の提供 ∙ 男女共同参画の推進に関する会議、研修、催し等へのセンターの施設の提供 ∙ 男女共同参画の推進のための講座等の開催及び啓発の実施 ∙ 男女共同参画の推進に関する情報の収集及び提供 ∙ 男女共同参画の推進に関する調査及び研究 ∙ その他市長が必要と認める事業 | ||
設置場所 | エトレ豊中6階 | エトレ豊中5階 | ||
延べ床面積 | 2,097.75 ㎡ | 2,309.64 ㎡ | ||
職員数 | 11 人 | 20 人 | ||
平成 26 年度指定管理委託料 | 48,323 千円 | 99,779 千円 | ||
平成 26 年度の両財団の人件費 | 29,935 千円 | 74,207 千円 | ||
指定管理業務に係る年度評価の評価基準表におけるサービス水準の目標値 | 延べ利用者数 | 60,000 人 | 貸室利用者数 | 50,000 人 |
国際交流目的での会議室の稼働率 | 60% | 貸室稼働率 | 57.7% | |
アンケート結果による利用者満足度 | 80% | 講座イベント参加者数 | 5,500 人 |
(注1)職員数は臨時雇用人員を含む平成 27 年3月末現在の人員である。
(注2)人件費は役員報酬、給与手当、臨時雇用人員、賞与引当金繰入額、法定福利費の合計額である。
現指定管理者を公募した平成 22 年当時、指定管理委託料の予定価格は前年度
の両財団の実績を参考に積算しており、平成 26 年度実績でみると、両施設の指定管理委託料には2倍の差がある。この要因として、すてっぷには情報ライブラリーやステージを備えたホール、相談室等があり、国際交流センターとはつくりが異なるため、配置に必要な人数が異なること、設置目的が異なり、市民ボランティアを活用しながら事業展開を行っている国際交流センターと、主として財団の職員が事業を行っているすてっぷでは活動実態が異なる点等が挙げ
られている。
施設のハード面に関しては、各設置目的に合致した利用が主となっているが、市民から見れば、いずれも個々人の違いや多様性を尊重する見地から、5階と
6階の施設の相互利用促進を制限する理由はない。現在でも、場合によっては各設置目的を超えた使用を許可しているが、今後は両施設の相互利用をさらに効果的、積極的に進めることにより、市民の利便性の向上とともに一層運営を合理化できる余地がないのか、検討されたい。
また、活動実態に関しては、市民から見れば、効果に対して合理的なコストであることが望まれる。「公の施設の設置の目的を効率的に達成するため必要があると認められるとき」(地方自治法第 244 条の2第3項)に指定管理者制度を採用していることから、指定管理委託料は、既存の出資団体の職員数、給与水準を前提に積算するのではなく、当該施設で達成すべき効果から割り出した実施すべき事業の種類、頻度を決定し、その必要工数を積算して事業実施に必要な配置人員を決定し、予定価格を設定するよう検討されたい。
【意見9】効果測定の指標
すてっぷの管理運営に係る仕様書によると、市は指定管理者に単に施設の管理運営だけではなく、条例に定める施設の設置目的に沿った相談、情報提供、調査研究等の事業の実施を要請している(上表参照)。これらは、関連業務における経験者等の配置や、事業実施に伴う経験の蓄積により、他の事業者にも実施可能であると考えられるが、実際には、指定管理者を初めて公募した平成 22年度も、平成28年度からの5年間の指定管理期間にも男女財団以外の応募はなかった。
このように他に競争者がいないため、男女財団の過去の実績による運営コストを基礎とした指定管理委託料となっている実態を前提にすれば、市民のニーズに合った事業効果が得られているか、それに見合った費用であるかについては、より一層厳格な検証が必要である。市は評価の基準として、貸室利用者数、稼働率、講座イベント参加者数、面接相談の枠数、情報ライブラリー図書・資料回転率を設けているが、アウトプットだけでなく、市民ニーズにどれだけこたえることができたかの効果を測るアウトカム指標を設定されたい。
そのうえで、常に変化する社会環境や市民ニーズを真に捉え、求められる機能を果たし得ているか、指定管理委託料の水準は適切か、市民サービスの内容や方法を変える必要はないかなど、事業を評価するに相応しい効果指標を設定し、評価されたい。
【意見 10】特定の団体に対する使用料の免除
男女センター条例第8条第3項では、市長は,特別の理由があると認めるときはすてっぷの使用料を減免することができるとされている。そして、豊中市行政手続条例第5条第1項に基づき定められた審査基準で、「市立働く婦人の家、市立婦人会館を従来から継続的に利用していた社会活動団体が、当該施設を閉鎖したことにより、その活動の低下が著しいと認められるとき。」は特別の理由が認められるとして、特定の社会活動団体がすてっぷを利用する際は、常に使用料を免除している。
すてっぷ登録団体制度における他の登録団体が男女共同参画目的で使用する場合、月2回までしか使用料を免除されないのと比較して公平性に欠けるため、整合性を図られたい。
【意見 11】事業報告書における指定管理業務協定書に基づく自主事業の明瞭な表示
所管課は基本協定書に基づき、毎年度男女財団に事業計画書及び事業報告書を提出させている。事業計画書には自主事業に係る実施計画書及び収支予算書、事業報告書には自主事業の実施状況及び経費の収支状況の記載が求められている。
しかし男女財団は、これらの書類における指定管理業務協定書に基づく自主事業の計画及び収支に、指定管理業務以外に実施した事業に係る計画及び実施状況と混同する記載をしているため、男女財団がすてっぷで実施する自主事業の収支が不明確である。
協定に基づき、指定管理業務協定書に基づく自主事業の計画及び収支を記載するよう求められたい。
【意見 12】再委託手続の適正化
当該指定管理業務に係る基本協定書では、予め市の書面による承諾を得た場合を除き、指定団体は管理運営業務の一部を第三者に委託してはならないとされている。
男女財団は、すてっぷの指定管理業務を行うに当たり第三者委託の承認申請をしているが、空調設備保守点検や総合管理業務等の業務名と委託先の名称のみ記載し、再委託の金額や再委託の業務の範囲等は記載していない。
再委託の承認は、業務範囲の明確化や中抜きの防止等の趣旨で行われるため、これらの判断に資する情報を記載することが求められる。所管課は、再委託の承認の可否に資する情報を記載した事前承認申請を入手されたい。
2. 総務部 情報政策課
(旧 情報政策室)
(1) 情報政策課の業務概要
当課は、電子自治体の推進に係る総合企画・調整、行政情報システムや住民情報システム等の開発及び維持管理、情報公開制度及び個人情報保護制度の総合窓口業務などの業務を行っている。
(2) 平成 26 年度委託契約の状況
下表は、旧情報政策室所管の契約を対象としている(旧総務部情報公開課所管であった、現情報政策課所管の契約は含んでいない。)。
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
一般競争入札 | 1 | 1.2% | 1,340 | 0.2% |
指名競争入札 | 1 | 1.2% | 2,160 | 0.4% |
プロポーザル | 8 | 9.5% | 239,393 | 44.9% |
随意契約 | 74 | 88.1% | 290,774 | 54.5% |
合計 | 84 | 100.0% | 533,667 | 100.0% |
一般競
争入札
1.2%
プロポーザル
9.5%
一般競
争入札
0.2%
指名競
争入札
0.4%
指名
競争
委 託 入札
件 数 割 合 1.2%
随意
契約
54.5%
委 託
金 額 割 合
プロ
ポーザル 44.9%
随意
契約
88.1%
(3) 委託契約別監査の結果及び意見
情報政策課所管の委託契約のうち、監査の対象とした業務は下表のとおりである。
業務名 | 委託先 | 契約金額 (千円) | 委託先の選定方法 | の 再有 委無 託 | 監査結果 |
豊中市児童手当システム構築業務 | 富士通(株) | 11,772 | 指名型プロポーザル | 有 | 【意見 13】 |
公共施設予約システム運用保守業務 | (一財)関西情報センター | 14,083 | 随意契約 | 無 | - |
通信系システム運用 保守業務 | 日 本 ユ ニ シ ス (株) | 57,780 | 指名型プロ ポーザル | 無 | 【意見 18】 |
住民基本台帳ネット ワ ー ク 関連 シ ステム・メンテナンス業務 | (株)NTT データ関西 | 31,683 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【意見 18】 |
汎用機維持管理に関 する保守業務 | (株)NTT データ関 西 | 168,988 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 |
豊中市公共施設案内予約システム構築業 務 | (一財)関西情報センター | 14,904 | 指名型プロポーザル | 無 | - |
豊中市仮想化基盤構 築業務 | ネットワンシス テムズ(株) | 10,260 | 公募型プロ ポーザル | 無 | 【結果 15】 |
市府民税システム(課税システム平成 26 年度税制改正対応)業務 | (株)NTT データ関西 | 9,720 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【意見 17】 |
介護保険システム(平成 27 年度法改正対応 ( 平成 26 年度対応 分))変更業務 | (株)NTT データ関西 | 19,440 | 随意契約 | 有 | |
保険ファイリングシ ステム(平成 26 年度還付加算金対応)業務 | (株)NTT データ関西 | 7,560 | 随意契約 | 有 | |
市府民税システム(当初システム平成 26 年度税制改正対応)業務 | (株)NTT データ関西 | 7,128 | 随意契約 | 有 | |
福祉医療システム(平成 26 年度乳幼児等医療費助成年齢拡大対応)変更業務 | (株)NTT データ関西 | 7,182 | 随意契約 | 有 | |
軽自動車税システム (平成 26 年度税制改正対応)業務 | (株)NTT データ関西 | 5,378 | 随意契約 | 有 |
新住民記録システム (平成 26 年度社会保障・税番号制度対応)変更業務 | 富士ゼロックスシステムサービス(株) | 21,600 | 随意契約 | 無 | 【意見 17】 |
固定資産税システム (平成 27 年度評価替え対応)業務委託 | (株)NTT データ関西 | 18,900 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【意見 17】 |
住基システム(新住基システム用以降データ抽出)業務 | (株)NTT データ関西 | 10,260 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【結果 16】 【意見 17】 |
共通宛名システム(共通基盤システム連携対応)業務 | (株)NTT データ関西 | 14,040 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【意見 17】 |
窓口支援システム(共通基盤システム連携対応)業務 | (株)NTT データ関西 | 9,298 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【意見 17】 |
豊中市共通基盤システム(窓口支援システ ム連携構築)業務 | 日本電気(株) | 11,891 | 随意契約 | 有 | 【結果 14】 【意見 17】 |
介護保険システム(平成 26 年度受給者訂正連絡票の電子化等対 応)業務 | (株)NTT データ関西 | 8,208 | 随意契約 | 有 | 【意見 13】 【意見 17】 |
豊中市新住民記録システム構築業務 | 富士ゼロックスシステムサービス(株) | 157,080 | 指名型プロポーザル | 無 | - |
豊中市共通基盤シス テム構築業務 | 日本電気(株) | 69,660 | 指名型プロ ポーザル | 有 | 【結果 14】 |
【情報政策課の特徴】
情報政策課の委託契約は、主に既存システムの保守及び改修と新システムの導入業務がある。システム改修業務は、当初開発時のシステム導入業者と随意契約することが多く、新システムの導入業務は、公募型又は指名型プロポーザルにより委託先を選定している。
新システムの導入に際して、従来は導入業務のみを対象として業者を選定し、保守やシステム改修は当該導入業者と随意契約していた。しかし、平成25年度以降の汎用機システムからオープン系システムへ移行する取組みにおいて、新システム導入に当たっては、導入時のみならず、システム稼働後の保守等ランニングコストを合わせた業務内容でプロポーザルを受けるようになっている。
【意見 13】再委託手続の適正化
業務委託契約書上、予め市の書面による承諾を得た場合を除き、業務の全部又は一部を再委託してはならないとされている。
情報政策課は、再委託先の会社名のみ記載された業務従事者承諾書を入手することで足りるとして、再委託の承諾を行っていない。
再委託の承諾は、業務範囲の明確化や中抜きの防止等の趣旨で行われるため、再委託業務の内容等これらの判断に資する情報を記載することが求められる。
再委託の承認の可否に資する情報を記載した事前承認申請を入手されたい。
【結果 14】再委託手続の不備
当該契約については、業務従事者承諾書すら入手していない。再委託の承認の可否に資する情報を記載した事前承認申請の入手を徹底する必要がある。
【結果 15】契約書の記載誤り
契約書上、契約保証金免除の根拠条文を、市が「契約の相手方から委託を受けた保険会社と工事履行保証契約を締結したとき。」(豊中市財務規則第 110条第2号)としているが、当該契約では保険会社と契約しているのは委託先(契約の相手方)であるため、根拠条文は「契約の相手方が保険会社との間に市を被保険者とする履行保証保険契約を締結したとき。」(同条第1号)である。
根拠条文が誤っているため改められたい。
【結果 16】予定価格変更手続の誤り
当該契約では、予定価格等設定伺における当初予定価格は 10,000 千円であっ
たが、予定価格調書に記載された実際の予定価格は 9,750 千円であった。原因は、予定価格設定の決裁権者が当初設定した予定価格より少ない額で見積り合わせを実施すべきと判断し、予定価格を変更したためである。
予定価格を変更する場合、予定価格等設定伺を再度起案し、決裁を得る運用が行われているが、担当者が失念したために変更に係る起案が作成されていなかった。今後、このようなことが無いよう周知徹底する必要がある。
【意見 17】随意契約理由の根拠不足
情報政策課は、システム改修に係る委託契約において、導入業者と契約した場合には開発期間の短縮や経費の節減が期待されるため、地方自治法施行令第 167条の2第1項第6号の「競争入札に付することが不利と認められるとき。」に該当するとして、随意契約を行っている。
国によれば、公共調達はその適正化の観点から、随意契約によらざるを得ない場合を除き原則として一般競争入札によるものとされ、「競争入札に付することが不利と認められる」場合は随意契約によることができるが、その場合、
「競争入札に付することが不利」であることを具体的に説明できる必要があるとされている(「公共調達の適正化について」)。
しかし、開発期間の短縮や経費の削減については、競争入札を行った場合、 どの程度不利になるかが不明確であり、不利である理由としては不足している。著作権の問題等で、他に業務を実施できる事業者が存在しないないとして第
2号を適用する場合を除き、第6号を理由として随意契約を締結するのであれば、不利である具体的理由を随意契約理由書に記載されたい。
【意見18】長期継続契約に係る決裁権者に関するルールの整理
豊中市事務決裁規程では、予定価格の設定や契約決議に際して、「契約1件当たりの金額」で決裁権者を定めている。しかし、長期継続契約の場合は別途通知により、「契約1件当たりの金額」ではなく、年額(12 か月分の金額)で決裁者を決定するという運用が行われている。その結果、契約1件の総額を見れば副市長決裁が必要な予定価格等設定伺が、年額で決定したため部長決裁に、市長決裁が必要な契約決議が副市長決裁に、副市長決裁が必要な契約決議が部長決裁でとどまっている起案が見られた。
市は、このように会計年度をまたがる長期継続契約について、予算が削除又は減額された場合の契約解除規定を設けること等を前提に、翌年度以降の契約執行について対外的にリスクを負わないものとして、契約総額でなく年額を基準として意思決定を行っている。しかし、実際には、契約解除の根拠となるような事態が発生しない限り契約継続が前提となるため、年額での意思決定であっても、結果的に総額の執行を意思決定したのとほぼ同様の効果が発現している。
上記観点から、規程の運用を変更する必要がないか、改めて検討されたい。
3. 政策企画部 広報広聴課
(1) 広報広聴課の業務概要
当課は、「広報とよなか」等の発行やホームページ、ケーブルテレビ広報番組など、さまざまな方法での市政に関する情報発信、市政に対する意見などの広聴、市民相談などの業務を行っている。
(2) 平成 26 年度委託契約の状況
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
一般競争入札 | - | -% | - | -% |
指名競争入札 | 4 | 36.4% | 18,821 | 24.2% |
プロポーザル | 4 | 36.4% | 28,995 | 37.3% |
随意契約 | 3 | 27.2% | 29,922 | 38.5% |
合計 | 11 | 100.0% | 77,738 | 100.0% |
随意
契約
27.2%
指名競
争入札
36.4%
指名競
争入札
24.2%
委 託 件 数 割 合
随意
契約
38.5%
委 託 金 額 割 合
プロポーザル
36.4%
プロポーザル
37.3%
(3)委託契約別監査の結果及び意見
①「広報とよなか」企画編集制作業務
契 約 内 容 | 以下の企画編集作業の実施。 1.制作物 「広報とよなか」平成 24 年4月号~平成 29 年3月号 2.仕様 ①発行日:毎月1日 ②部数:188,000 部 ③版型:A4判 |
④製本:中とじ ⑤本体仕様:36~56 ページ 3.業務内容 ①企画:企画、構成、調査・分析 ②コピー:リライトコピー作成、記事校正、取材原稿入力 ③デザイン:レイアウト、イラスト作成、写真撮影 ④その他:政策・編集進行管理 | |
委 託 先 | (株)廣済堂 |
継 続 契 約 期 間 | 平成5年度以降 |
予 定 価 格 | 81,585 千円 |
契 約 金 額 | 提案額( 24 年度): 81,585 千円( 落札率: 100%) 契約金額( 26 年度) :80,008 千円 |
執 行 済 額 | 15,776 千円 |
契 約 方 法 及 び 根 拠 | プロポーザル型コンペ(随意契約) (地方自治法施行令第 167 条の2第1項第2号) |
委 託 先 選 定 方 法 ・ 理 由 | 2者からのプロポーザルを受け審査委員がプレゼン・質問等を通じ て採点を行い、最優秀提案を選定。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 委託先より入手した見積書に基づき予定価格を設定。 |
実 績 確 認 | その都度所管部署と相談しながら作成されている。市と委託配布者へ予め定められた部数を納品することで成果物の実績確認を行っ ている。 |
【事業の実施目的と成果】
市政やまちの魅力、地域・市民活動などについて情報発信を行うことで、市政への理解と関心を高めるとともに、市民の市政への参加・参画を促すきっかけを提供することを目的としている。
【結果 19】再委託手続の不備
広報広聴課では、「広報とよなか」の企画編集制作業務及び広報番組制作・放送業務及び広報誌宅配業務について、これまで再委託の事前承認の届けがないことをもって、再委託はないものとしていた。今回、改めて委託先に再委託の有無を確認したところ、広報誌企画編集制作業務では、委託先(株)廣済堂から個人ライターへ記事の制作を、また、広報番組制作・放送業務では、(株)ジ
ェイコムウエスト豊中・池田局が個人カメラマンに撮影の依頼をしていることが判明した。
所管部署は今回の調査によるこの回答を受け、当業務は委託先に制作業務を包括的に依頼しているもので、委託先監修のもと一部分を再委託していることから、いずれも事前承認の必要な再委託には該当しないものと判断した。
しかし、一方、現状において豊中市では、市の直接の契約先が委託内容の一部を別の業者に委託する場合の全てを「再委託」と定義しており、例外はない。そのため、再委託の全てについて事前承認が必要となる。
どのような再委託について事前承認が必要か、また事前承認する際に検討すべき事柄について、部署によって理解にばらつきがあるため、取扱いを定める必要がある。また、再委託を原則禁止し、事前承認としている趣旨について、庁内に周知することが必要である。
②豊中市広報番組制作・放送業務
契 約 内 容 | 1. 制作について ① 制作方法 ・ 構成台本の制作 ・ 取材、撮影、録音、テロップの作成、音楽の選定及び録音、スタジオ収録、編集作業 ・ その他、制作に係る一切の作業 ② 番組時間 ・ 構成時間=30 分 ③ 製作本数は、10 日に1番組を原則とし、年間 36 本とする。 ④ 納期 ・ 市が指定する日。受託者は、番組制作後、市の検査を受け、市の承認を受けること。 ⑤ 納品 ・ 未使用の DVD2枚に収録し納品する。 2. 放送について ① 放送回数及び放送時間帯 ・ 1日1回以上放送する。 ・ その他市と協議して定める。 ② 放送期間 |
契約期間と同 | |
委 託 先 | (株)ジェイコムウエスト 豊中・池田局 |
継 続 契 約 期 間 | 平成 25 年4月1日~平成 28 年3月 31 日 平成8年 10 月から開始。 |
予 定 価 格 | 80,098 千円 |
契 約 金 額 | 提案額( 25 年度): 80,098 千円( 落札率: 100%) 契約金額( 26 年度) :81,624 千円 |
執 行 済 額 | 27,463 千円 |
契 約 方 法 及 び 根 拠 | 随意契約 (地方自治法施行令第 167 条の2第1項第2号) |
委 託 先選 定 方 法 ・ 理 由 | テレビ媒体を用いたタイムリーな市政情報等を発信することを目的の一つとして、豊中市が一部出資して豊中コミュニティーケーブルテレビ(株)が設立され、平成8年 10 月に広報番組の制作・放送がスタートした。 現在、業務委託契約を締結している(株)ジェイコムウエスト豊中・池田局は、その前身が豊中コミュニティーケーブルテレビ(株)であ り、番組制作放送開始以来、同社と随意契約を行っている。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 委託先より入手した見積書に基づき予定価格を設定。 |
実 績 確 認 | 契約書(仕様書)に定められた回数の実績を確認。 |
【意見 20】ケーブルテレビによる情報発信の効果検証
当業務は、映像媒体による市政情報の発信を目的として、市の一部出資により、豊中コミュニティーケーブルテレビ(株)を設立して平成8年 10 月に番組制作・放送を開始し、その後(株)ジェイコムウエスト豊中・池田局が同社の業務を引き継いだものである。ケーブルテレビでは、市政情報の発信だけでなく、地域・市民の活動を紹介しているとともに、災害時の情報発信なども行うこととしているが、当時と比較すると、映像媒体の種類や発信手段は大幅に増加し、利用者の映像情報に対するニーズや入手方法も大きく変化している。
豊中市でも映像情報の発信手段として、近年はホームページや動画サイトなど新たな媒体も積極的に利用しており、その制作維持費が増加する一方、ケーブルテレビ制作放送費は現在でも3年間で約8千万円の契約を行っている。情報伝達手段が多様化し、制作維持費が増加する中で、番組制作本数や放送回数等、アウトプット指標は実績管理しているが、現在市民がどれほどケーブルテ
レビによる情報発信を利用し、必要としているか、他の手段と比べたときにケーブルテレビを媒体とする優位性はどうか、などのアウトカム(成果)指標については確認していない。(※)
このような中、放送開始当初(平成8年度)は日に5回であった放送回数を3回に減らすなど見直しを行い、近年では下表のように業務内容を見直している。
平成 25 年度以前 | 平成 25 年度 | 平成 26 年度 | 平成 27 年度 | |
制作本数/月 | 4 | 3 | 3 | 2 |
制作本数/年 | 52 | 36 | 36 | 25 |
放送回数/日 | 3 | 3 | 3 | 3 |
契約金額 (千円) | 32,836 | 80,098 | 81,624 | 76,123 |
契約金額/年 (千円) | 32,836 | 26,699 | 27,462 | 21,962 |
* 平成 25 年度以前は1年契約、平成 25~27 年度は3年契約。
* 平成 26 年度の契約金額の増加は消費税5%⇒8%に伴う増額
今後は、映像媒体の活用のあり方については、現状の形式でのケーブルテレビによる発信の仕方にこだわらず、時代の流れに応じて、多様な情報伝達手段の中で適切な資源配分や転換を行われたい。
※ 平成 28 年3月にケーブルテレビ視聴も含む広報に係る市民アンケートを実施予定とのこと。
4. 都市活力部 スポーツ振興課
(旧 教育委員会事務局 スポーツ振興課)
(1) スポーツ振興課の業務概要
当課は、スポーツに係る施策の総合企画及び調整、スポーツの振興に係る調査・研究及び啓発、体育施設の管理及び整備計画に関する業務等を行っている。
(2) 平成 26 年度委託契約の状況
下表は、旧教育委員会事務局スポーツ振興課所管の契約を対象としている。
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
一般競争入札 | - | -% | - | -% |
指名競争入札 | 4 | 13.3% | 24,297 | 35.1% |
プロポーザル | - | -% | - | -% |
随意契約 | 26 | 86.7% | 44,918 | 64.9% |
小計 | 30 | 100.0% | 69,216 | 100.0% |
指定管理 | 3 | - | 643,441 | - |
合計 | 33 | - | 712,657 | - |
指名競
争入札
13.3%
指名競
争入札
35.1%
随意
契約
86.7%
委 託
件 数 割 合
随意
契約
64.9%
委 託
金 額 割 合
(注:上記のグラフには、指定管理は含めていない)
(3) 委託契約別監査の結果及び意見
① 豊中市立体育館等の管理運営業務
指 定 管 理 内 容 | 豊中市立体育館等の管理運営(指定管理) |
指 定 管 理 者 | 公益財団法人豊中市スポーツ振興事業団・公益財団法人フィットネ ス 21 事業団共同事業体 |
指 定 管 理 期 間 | 平成 23~27 年度(5年) 当該契約は5年間の年度協定を締結した上で、毎年度ごとの年度協定を締結している。 |
予 定 価 格 | 378,471 千円(税抜) |
指 定 管 理 者 提 案 額 | 344,502 千円(税抜) 予定価格に対する提案額の割合:91% |
指 定 管 理 委 託 料 | 346,144 千円(平成 23~25 年度) 351,475 千円(平成 26 年度) |
執 行 済 額 | 346,144 千円(平成 23~25 年度) 351,475 千円(平成 26 年度) |
選定方法及び根拠 | 公募(指定管理者)(地方自治法第 244 条の2第3項) |
指 定 管 理 者選 定 方 法 ・ 理 由 | 豊中市体育施設条例に基づき、体育施設の管理運営を行う指定管理者を公募した。 応募のあった1者について、豊中市立体育施設指定管理者選定委員会が事前に定めた審査基準に基づき書類審査及び面接審査により評価し、評点の合計点が基準を上回っていたため、当該業者を指定 管理者として選定した。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 直近の指定管理実績に基づき所管部署で積算。 |
実 績 確 認 | 利用実績や維持管理実績、指定管理委託料の決算について指定管理者から報告を受け、予め定めた確保すべきサービス水準・最高評価 サービス水準との比較や現地視察を実施し評価している。 |
② 豊中市立温水プールの管理運営業務
指 定 管 理 内 容 | 豊中市立温水プールの管理運営(指定管理) |
指 定 管 理 者 | 公益財団法人豊中市スポーツ振興事業団 |
指 定 管 理 期 間 | 平成 23~27 年度(5年) 当該契約は5年間の年度協定を締結した上で、毎年度ごとの年度協 |
定を締結している。 | |
予 定 価 格 | 249,830 千円(税抜) |
指 定 管 理 者 提 案 額 | 214,024 千円(税抜) 予定価格に対する提案額の割合:86% |
指 定 管 理 委 託 料 | 220,856 千円(平成 23~25 年度) 227,166 千円(平成 26 年度) |
執 行 済 額 | 220,856 千円(平成 23~25 年度) 227,166 千円(平成 26 年度) |
選定方法及び根拠 | 公募(指定管理者) (地方自治法第 244 条の2第3項) |
指 定 管 理 者選 定 方 法 ・ 理 由 | 豊中市体育施設条例に基づき、体育施設の管理運営を行う指定管理者を公募した。 応募のあった2者について、豊中市立体育施設指定管理者選定委員会が事前に定めた審査基準に基づき書類審査及び面接審査により評価し、評点の合計点が最も高かった業者を指定管理者として選定 した。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 直近の指定管理実績に基づき所管部署で積算。 |
実 績 確 認 | 利用実績や維持管理実績、指定管理委託料の決算について指定管理者から報告を受け、予め定めた確保すべきサービス水準・最高評価 サービス水準との比較や現地視察を実施し評価している。 |
③ 豊中市立屋外体育施設の管理運営業務
指 定 管 理 内 容 | 豊中市立屋外体育施設の管理運営(指定管理) |
指 定 管 理 者 | 奥アンツーカ(株) |
指 定 管 理 期 間 | 平成 23~27 年度(5年) 当該契約は5年間の年度協定を締結した上で、毎年度ごとの年度協定を締結している。 |
予 定 価 格 | 88,015 千円(税抜) |
指 定 管 理 者 提 案 額 | 60,011 千円(税抜) 予定価格に対する提案額の割合:68% |
指 定 管 理 委 託 料 | 63,000 千円(平成 23~25 年度) 64,800 千円(平成 26 年度) |
執 行 済 額 | 63,000 千円(平成 23~25 年度) 64,800 千円(平成 26 年度) |
選 定 方 法 及 び 根 拠 | 公募(指定管理者) (地方自治法第 244 条の2第3項) |
指 定 管 理 者選 定 方 法 ・ 理 由 | 豊中市体育施設条例に基づき、体育施設の管理運営を行う指定管理者を公募した。 応募のあった3者について、豊中市立体育施設指定管理者選定委員会が事前に定めた審査基準に基づき書類審査及び面接審査により評価し、評点の合計点が最も高かった業者を指定管理者として選定 した。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 直近(直営時)の管理運営費実績に基づき所管部署で積算。 |
実 績 確 認 | 利用実績や維持管理実績、指定管理委託料の決算について指定管理者から報告を受け、予め定めた確保すべきサービス水準・最高評価 サービス水準との比較や現地視察を実施し評価している。 |
(以下は、上表①~③についてまとめて記載している。)
【事業の実施目的と成果】
近年、高齢化の進展や健康志向の高まりによりスポーツを通じた健康づくりへの関心が高まる一方で、生活が便利になったことや少子化の進展、地域の遊び場の減少などにより、日常的に体を動かす機会や場が少なくなっている。国はスポーツの新たな価値や意義、果たす役割の重要性の高まりから、平成23年
8月に「スポーツ基本法」を、その理念の実現に向けて平成24年3月に「スポーツ基本計画」を策定した。計画ではその後10年間を見通して、年齢や性別等を問わず、広く人々がスポーツに参画できる環境を整備するための基本方針と具体的な施策を打ち出した。
豊中市でもこれを受け、平成25年3月にスポーツ施策の方向性を示す「豊中市スポーツ推進ビジョン」を策定し、そのビジョンの実現に向けて平成26年3月に「豊中市スポーツ推進計画」を策定した。現状、豊中市の運動・スポーツ実施率(週1回以上運動・スポーツを実施する成人の割合)は、目標値である 65%に比べ36.9%(平成24年度調査による)と30ポイントほど下回っている。
豊中市では、年齢やスポーツ経験などに応じたスポーツの機会を提供すること、スポーツを習慣化するための取り組み・支援をすること、プログラムの実施や内容の工夫を図ること等によりスポーツ実施率の向上を目指している。
豊中市の主要な公立体育施設である体育館等(6施設)、温水プール(2施設)、屋外体育施設(9施設)はいずれも市民のスポーツ活動の場であり、各
種スポーツ教室やイベント・講習会が開催されており、施設利用者数も増加傾向にある。
これらの体育施設の管理運営は地域スポーツの推進に欠かせず、今後も継続が必要な事業である。
【意見 21】指定管理者に対する保証金の徴収
契約保証金は、相手方の契約内容の完全な履行を確保するとともに、仮に債務不履行が発生した場合にその受ける損害を補てんすることを目的として、契約の締結に当たり契約の相手方から契約金額の一定割合を徴することとされている(地方自治法施行令第 167 条の 16)。豊中市においては、豊中市財務規則第 108 条で契約代金の額の 100 分の5に相当する額以上を契約保証金の額として定めている。
現在、市では、指定管理業務の法的性質が私法上の「契約」ではなく公法上の「行政処分」であるため、当該規定が適用されないという判断から、契約保証金を徴収していない。
指定管理者が指定期間中にサービスを提供できなくなったり、あるいはサービスの内容が十分でなかったりする場合のリスク管理としては、協定において損害賠償を求めることを定めているほか、そもそも、そうした事態に至らないよう定期的なモニタリングによりサービスの内容や水準にとどまらず、指定管理者の財務状況についてもチェックを行うこととしている。
しかし、指定管理業務は市民サービスに直結し、かつ大きな影響を与えるものであるため、リスク管理を徹底すべきであり、契約同様に履行を保証する代替手段を設けることが望ましい。
④ 豊中市ふれあい緑地球技場芝生管理・巡回業務
契 約 内 容 | 豊中市ふれあい緑地球技場の芝生管理・巡回業務 |
委 託 先 | 奥アンツーカ(株) |
継 続 契 約 期 間 | 平成 26 年5月 23 日~平成 27 年3月 31 日 |
予 定 価 格 | 17,557 千円 |
契 約 金 額 | 13,519 千円(落札率:77 %) |
執 行 済 額 | 13,519 千円 |
契 約 方 法 及 び 根 拠 | 指名競争入札 (地方自治法施行令第 167 条第1号) |
委 託 先 | 本件の取扱いができる業者が限られていることから指名競争入札 |
選 定 方 法 ・ 理 由 | とした。 「有資格者名簿」に記載されている業者(豊中市入札参加資格業者)のうち、本件の取扱いができる資格要件を考慮し5者を選定した。当該業者で指名競争入札を実施し、5者が入札を行った。入札の結果、予定価格内の最低額で応札した業者を委託先として選定した。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 委託先からの見積書に基づき、所管部署で積算。 |
実 績 確 認 | 委託先作成の報告書等により、球技場を常に良好かつ安全快適な状 態に保っているか評価している。 |
【事業の実施目的と成果】
屋外体育施設の管理運営事業の一環として平成 26 年4月に完成したふれあい緑地球技場(以下、同施設という)について、同年9月からの利用開始に向け芝生管理等を実施した。同施設の芝生はスポーツに適した天然芝であり、その維持管理は非常に手間がかかり難易度の高いものであることから、専門業者へ委託することとなった。
なお当該契約は、上記③の屋外体育施設の管理運営期間の途中からの契約であったために、屋外体育施設の管理運営に関する協定には含まれずに別個の契約となっていたが、次回の屋外体育施設指定管理者の公募時(平成 28 年度以降分)には、同施設を屋外体育施設に含めて公募を行う予定である。
【結果 22】履行保証保険の加入漏れ
当該契約の契約保証金について、委託先との契約書上「履行保証保険により免除(豊中市財務規則第 110 条第1号(履行保証保険の加入)の規定による。)」との記載があり、契約保証金の徴収が免除されていた。しかし、実際は履行保証保険へは加入していないにもかかわらず、所管部署もその事実を看過しており、契約手続に不備があった。契約保証金の徴収は豊中市財務規則にて規定されており、契約保証金の徴収が免除される場合にはその根拠の事実確認を徹底すべきである。
なお、結果的に委託先は適切に業務の履行を完了している。また、平成 27 年度は上記の委託先とは別の業者へ同業務を委託しており、当該委託契約においては、所管部署が委託先の履行保証保険への加入を確認済みで、同様の事象は発生していない。
【意見 23】指名業者の選定根拠の明確化
指名業者の選定方法について、「有資格者名簿」に記載されている業者(豊中市入札参加資格業者)のうち、天然芝(スポーツ芝)の管理が可能と考えられる業種の業者から、定評のある業者2者及びそれらと同規模の3者の、合わせて5者を指名している。しかし、具体的な選定根拠が資料として残されておらず、当該業務の取扱いができると考えられる業者を全て指名して競争性が適正に確保されたかどうかが不明である。一般競争入札としない根拠や指名方法の適正性を明確にしておくために、指名業者の選定方法・根拠について明示されたい。
5. 環境部 環境政策課
(旧 環境部 環境政策室)
(1) 環境政策課の業務概要
当課は、「環境基本条例」の理念に基づき、市民・事業者・行政協働による環境の保全及び創造を推進している。環境に係る総合企画・調整及び推進、地球温暖化対策の推進、環境交流センターの運営、ESD(持続可能な開発のための教育)の推進、環境配慮対象事業の協議・指導、大気汚染等への対応等の業務を行っている。
(2) 平成 26 年度委託契約の状況
下表は、旧環境部環境政策室所管の契約を対象としている。
区分 | 委託件数(件) | 委託金額(千円) | ||
割合 | 割合 | |||
一般競争入札 | - | -% | - | -% |
指名競争入札 | 10 | 38.5% | 17,938 | 52.8% |
プロポーザル | 1 | 3.8% | 2,400 | 7.1% |
随意契約 | 15 | 57.7% | 13,602 | 40.1% |
小計 | 26 | 100.0% | 33,941 | 100.0% |
指定管理 | 1 | - | 15,962 | - |
合計 | 27 | - | 49,903 | - |
指名競
争入札
38.5%
指名競
争入札
52.9%
随意
契約
57.7%
委 託
件 数 割 合
随意
契約
40.1%
委 託
金 額 割 合
プロ
プロ ポー
ポーザ ザル
ル 3.8% 7.1%
(注:上記のグラフには、指定管理は含めていない)
(3) 委託契約別監査の結果及び意見
① 豊中市立環境交流センター管理運営業務
指 定 管 理 内 容 | 豊中市立環境交流センターの管理運営業務 |
指 定 管 理 者 | 特定非営利活動法人とよなか市民環境会議アジェンダ 21 |
指 定 管 理 期 間 | 平成 25 年4月1日~平成 30 年3月 31 日 |
予 定 価 格 | 16,241 千円 |
指 定 管 理 者 提 案 額 | 15,519 千円 予定価格に対する提案額の割合:95.6% |
指 定 管 理 委 託 料 | 平成 25 年度 15,519 千円 平成 26 年度 15,962 千円(消費税率変更) |
選 定 方 法 及 び根 拠 | 公募(指定管理者) (地方自治法第 244 条の2第3項) |
指 定 管 理 者選 定 方 法 ・ 理 由 | 公募により応募団体からの提案を審査 公募に対し、応募団体は5団体。1次審査(書類)により3団体を選考、1団体が辞退したため、2団体が2次(面接)審査を受け、合計点で第一候補者及び第二候補者を選定した。 |
予 定 価 格 積 算 方 法 | 環境情報サロンの平成 24 年度予算額とリサイクル交流センターの過去 3ヶ年(平成 21 年度~平成 23 年度)の決算額の平均を参考に算定。 |
実 績 確 認 | 事業計画書及び事業報告書の提出を受けている。 平成 26 年度は、指定管理委託料 15,962 千円に対し事業額 17,640 千円であるが、精算条項はない。予め目標設定した来館者数が達成されているかどうかを主な成果指標としている。 |
備 考 | 上記指定管理者には、環境情報サロン運営に係る業務の一部を平成 16 年度から平成 24 年度まで委託していた。 |
【事業の実施目的と成果】
豊中市立環境交流センター(以下「同センター」という。)は、地球環境の保全、環境への配慮・資源・エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に関し、活動のための交流の場や情報の提供等を行い、環境に配慮した生活又は行動を促進し、地球温暖化の防止に資するとともに、循環型社会の形成を図ることを目的に、既存施設であったリサイクル交流センター(阪急「曽根駅」から北へ徒歩約5分、岡町駅~曽根駅途中の高架下)と環境情報サロンの2施設の機能を統合し、新たに環境活動や環境学習の交流拠点とすべく、リサイクル交流センターをリニューアルし、平成25年4月に同センターを開設した。同センターには、会議室4室と展示スペース(53㎡)、図書資料室があり、貸室及び施設
の目的を達成するためのさまざまな事業を行っており、平成26年度は、地球環境の保全に関する講演会(地球温暖化防止講演会、環境フォーラム、ESDセミナーなど)、環境ギャラリー(環境に関する絵画、写真、パネルの展示)、リサイクル工作教室などが実施された。
同センターの開設においては、指定管理者制度による管理運営が導入され、施設の管理、貸室業務及び環境情報サロンの業務も指定管理業務に含め、平成 24年度に公募を行い、選定評価委員会による審査及び市議会の議決を経て、平成25年度から指定管理者による管理運営が行われている。
指定管理者制度の導入により、平成25年度の施設利用者は計12,644人、2年目となる平成26年度の利用者は、一般9,199人、環境目的の会議室利用5,586人、環境目的以外の会議室利用708人(合計15,493人)であり、確保すべきサービス水準である来館者数9,200人以上という目標を達成している。
【意見 24】指定管理者選考における要検討事項
当業務は、公募により応募団体からの提案を審査し、指定管理者候補者を選定した。この際、外部の第三者で構成する選定評価委員会が一次審査(書類)と二次審査(面接)を行っている。公募には5団体の応募があり、上位3団体が一次審査を通過したが、1団体が辞退したため、2団体による二次審査が行われ最終的に現在の指定管理者が選定された。
この時の選定書類等一連の書類を閲覧したところ、以下の改善点が見受けられた。
①募集要項の明確化
環境交流センター指定管理者候補者の選定における一次審査(審査)において、各応募者から提出された指定管理委託料の提案額の積算根拠に、一部ばらつきが見受けられた。
その原因としては、募集要項に明確な記述がなかったことが考えられるが、公平・公正な審査を行うにあたっては、誤解を生じないような募集要項を作成されたい。
②審査の経過に関する記録及び資料の保管について
今回の環境交流センター指定管理者候補者の選定における二次審査(面接)において、選定評価委員会での審議の内容について、選定評価委員会の採点結果と議事録との照合を行ったが、記録の一部が簡略化されているため、確認できない部分があった。また、議事録以外の審査関係書類からも、これらを補填
する資料は見当たらなかった。
採点結果の妥当性や評価根拠を示すことができるよう、議事録や関連資料の作成を適切に行われたい。