節 案件名 契約方式 所管(部・課・事務所) 第37節 公舎受付等管理業務委託 一般競争入札 総務部 秘書課 第38節 千葉県職員録 総務課 第39節 小型四輪貨物自動車1500cc(総務課分) 第40節 軽油見本品購入分析業務委託 税務課 第41節 軽油引取税申告書データ処理業務委託 第42節 税トータルシステムクライアント機器等賃貸借 第43節 メール便配達業務 政策法務課 第44節 再生PPC用紙(本庁分) 管財課 管財課 第45節 グラウンド用白線 第46節...
平成30年度
包括外部監査結果報告書(概要版)
県が国及び地方公共団体以外の法人又は個人と締結する契約であって、県の収入又は支出の原因となる契約全般の契約事務
千葉県包括外部監査人
弁護士 x x x x
第1部 包括外部監査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1第1 外部監査の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1第2 包括外部監査人及び補助者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1第3 監査の対象年度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1第4 監査の実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1第5 監査の対象とする事件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1第6 監査の進行・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
第2部 総論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8第1章 自治体が締結する契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8第2章 自治体の契約事務に係る法令・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8第3章 県の契約事務に係る規則・要綱等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8第4章 県の契約事務の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8第1節 県が締結する契約の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第1 契約件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
第2 契約金額(年度平均)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9第5章 包括外部監査の視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9第1節 基本的視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第1 法令の遵守・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
第2 住民の福祉の増進及び効率性等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10第2節 法令に基づく視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10第1款 契約締結方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10第2款 一般競争入札の手続・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11第3款 指名競争入札の手続・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13第4款 随意契約の手続・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13第5款 総合評価競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15第6款 公共工事適正化法・施行令・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15第7款 公共工事品質確保法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17第8款 契約書の作成手続・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19第9款 契約の履行確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20第3節 住民の福祉の増進等からの視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21第1 住民の福祉の増進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 第2 効率性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 第3 有効性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 第4 経済性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 第5 組織の合理化等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第6章 指摘・意見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24第1節 指摘と意見の区別・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24第2節 契約の分類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24第3節 指摘及び意見の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25第1 契約方法の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 第2 入札者の人数と入札参加資格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 第3 予定価格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 第4 入札保証金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 第5 随意契約における見積合わせの省略・・・・・・・・・・・・・・・・・28 第6 契約書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 第7 契約保証金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 第8 履行の監督及び確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 第9 住民の福祉の増進等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 第4節 指摘及び意見を踏まえての提言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
第3部 各論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33第1編 建設工事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33第1章 一般競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
第1節 平成29年度幕張メッセ施設整備機械設備工事
(トイレリニューアル他)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33第2節 社会資本総合交付金工事
(仮称xxxx線P6・BランプP3・CランプP4橋脚)・・・・・・34第3節 海岸基盤整備(復興)工事(目那川樋管ゲート製作据付工)・・・・・・35 第4節 県単運動公園周辺地区整備工事(2号調整池排水設備)・・・・・・・・36 第5節 社会資本整備総合交付金工事(xx・工事用進入路工)・・・・・・・・37 第6節 公共運動公園周辺地区整備工事(46-1街区外粗造成)・・・・・・・38 第2章 指名競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38第7節 中庁舎第2電気室空調設備更新工事・・・・・・・・・・・・・・・・・39
第8節 (仮称)旧ちばキャリアアップセンター
大規模改修工事に係る家屋事前調査業務委託・・・・・・・・・・・・・39第9節 県単都市河川管理工事(逆井浄化施設設備補修工)・・・・・・・・・・40第 10 節 海岸基盤整備(復興)工事(玉xx樋管ゲート製作据付工)・・・・・・40第 11 節 県単xx西地区上水道配水管布設工事 ・・・・・・・・・・・・・・・41第 12 節 県単河川総合開発工事(貯水池内堆積土砂掘削)・・・・・・・・・・・42第 13 節 県単道路改良(幹線)工事(安全施設工)・・・・・・・・・・・・・・43第 14 節 平成29年度木地区画地確定測量業務委託 ・・・・・・・・・・・・・44第 15 節 国府台県営住宅A工区建設工事監理業務委託
(平成29年度事業)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45第 16 節 河川総合開発委託(xxダム長寿命化計画策定)・・・・・・・・・・・46 第 17 節 江戸川第一終末処理場設備資材価格特別調査業務委託 ・・・・・・・・47 第 18 節 国道道路改築委託((仮称)時xx橋橋梁詳細設計)・・・・・・・・・47 第 19 節 県単港湾管理委託(木更津港港湾施設定期点検)・・・・・・・・・・・48 第 20 節 県単道路改良(幹線)委託(時xx地区工事用道路検討)・・・・・・・50 第 21 節 (仮称)佐津間県営住宅基本設計業務委託(平成29年度) ・・・・・50 第3章 随意契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51第 22 節 新都市ビル西側外壁網設置工事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
第 23 節 平成29年度幕張メッセ施設整備機械設備工事
(国際展示場エスカレーター改修)・・・・・・・・・・・・・・・・・52第 24 節 xx第二県営住宅15、17号棟住居改善ガス設備工事
(平成29年度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53第 25 節 江戸川幹線845工区関連附帯工事(その2)・・・・・・・・・・・・54第 26 節 県単交通安全対策工事(実籾交差点付帯工)・・・・・・・・・・・・・55第 27 節 県単橋梁修繕工事(xxxxxx桁補修) ・・・・・・・・・・・・・55第 28 節 平成29年度幕張メッセ施設整備建築工事実施設計 ・・・・・・・・・56第 29 節 県単道路改良(幹線)委託(積算業務その2)・・・・・・・・・・・・57第 30 節 平成29年度一般国道126号
山武東総道路二期整備国道道路改築事業の施行に関する委託 ・・・・・58第 31 節 防災・安全交付金及び県単道路調査合併委託
(舗装維持管理計画策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59第 32 節 xx県農林総合研究センター新本館建築工事監理業務 ・・・・・・・・59第 33 節 県単河川総合開発委託(高滝ダム堆砂対策検討業務)・・・・・・・・・60第 34 節 広域河川改修(復興)委託(施工計画検討xxx2)・・・・・・・・・61第 35 節 県単災害関連(港湾)委託(浜xx港被災施設設計)・・・・・・・・・62第 36 節 県単災害関連(港湾)及び県単港湾管理合併委託
(浜xx港被災施設測量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62第2編 物品・委託・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63第1章 一般競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63第 37 節 公舎受付等管理業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 第 38 節 xx県職員録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 第 39 節 小型四輪貨物自動車1500cc(総務課分)・・・・・・・・・・・・65 第 40 節 軽油見本品購入分析業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 第 41 節 軽油引取税申告書データ処理業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・68 第 42 節 税トータルシステムクライアント機器等賃貸借 ・・・・・・・・・・・68
第 43 節 メール便配達業務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69第 44 節 再生PPC用紙(本庁分)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70 第 45 節 グラウンド用白線 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71 第 46 節 高速モノクロ複合機の賃貸借(平成29年度出先)・・・・・・・・・・72 第 47 節 知事公舎等植栽管理業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73 第 48 節 本庁舎外エレべータ保守点検業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・73 第 49 節 千葉県庁本庁舎外廃棄物収集運搬及び処分業務委託 ・・・・・・・・・74 第 50 節 OAいす(管財課) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75 第 51 節 平成30年度自動車税納税通知書等作成及び封入封かん業務 ・・・・・76 第 52 節 多目的ホールAV機器保守点検業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・77 第 53 節 xx県印旛合同庁舎で使用する電力 ・・・・・・・・・・・・・・・・78 第 54 節 xx県香取合同庁舎総合管理業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・79 第2章 指名競争入札・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80第 55 節 xxxxxxxxx清掃業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・・・80 第3章 随意契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81第 56 節 平成30年2月定例千葉県議会議案及び予算に関する説明書 ・・・・・81 第 57 節 税トータルシステムOCR機器等賃貸借 ・・・・・・・・・・・・・・82 第 58 節 軽油引取税に係る犯則調査のため採取した石油製品の分析業務委託 ・・82
第 59 節 書籍(「平成29年度地方税法令規通知篇」及び
「平成29年発行地方税法総則逐条解説」)の売買契約締結について・・84第 60 節 xx県自治体情報セキュリティクラウド運用保守業務委託 ・・・・・・85第 61 節 本庁舎外中央監視設備保守点検業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・86第 62 節 平成29年度自動車燃料等(ハイオクガソリン)・・・・・・・・・・・86第 63 節 ポリ塩化ビフェニル廃棄物(特別産業廃棄物)処理委託 ・・・・・・・88第 64 x xごみ処理機制御系システム等変更業務委託 ・・・・・・・・・・・・89第 65 節 文書保管業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90第 66 節 平成29年度xx県職員研修等事業業務委託 ・・・・・・・・・・・・91第 67 節 葛南地域振興事務所借り上げ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91第 68 節 印旛合同庁舎清掃業務委託 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
第1部 包括外部監査の概要
第1 外部監査の種類
地方自治法252条の37第1項の規定による監査
第2 包括外部監査人及び補助者
包括外部監査人及び補助者の氏名及び職業は、以下のとおりである。
包括外部監査人及び補助者は、いずれも監査の対象事件について、地方自治法
252条の29が規定する利害関係がない。
包括外部監査人 | x | x | x | x(弁護士) | |||
同 補 助 者 | x | x | x(弁護士) | ||||
同 補 助 者 | x | x | x | x(弁護士) | |||
同 補 助 者 | x | x | x | x(弁護士) | |||
同 補 助 者 | x | x | x | x(弁護士) | |||
同 補 助 者 | x | x | x | x(弁護士) | |||
同 補 助 者 | x | x | x | x(弁護士) | |||
同 補 助 者 | x | x | x(弁護士・公認会計士) | ||||
同 | 補 | 助 | 者 | x | x | xxx(弁護士) | |
同 | 補 | 助 | 者 | x | x | x(弁護士) |
第3 監査の対象年度
平成29年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)ただし、必要に応じて過年度に遡及及び平成30年度の一部
第4 監査の実施期間
平成30年6月28日から平成31年2月15日まで
第5 監査の対象とする事件
1 事件名
県が国及び地方公共団体以外の法人又は個人と締結する契約であって、県の収入又は支出の原因となる契約全般の契約事務
2 選定理由
契約は、相手方との交渉によって締結され、相手方が契約で定めた債務をその本旨に従って履行することによって初めて契約を締結する目的を達することがで
きる。それゆえ、相手方との交渉の結果、県に不利な内容の契約が締結されるおそれがある上、相手方が契約で定めた債務をその本旨に従って履行せず、契約を締結した県の目的が達成されないおそれもある。そして、県が締結する契約は、議会の議決を経て成立した予算に基づきその執行として行われ、予定価格が5億円を超える工事又は製造の請負や2万㎡以上の土地の売買であってその金額が1億5000万円以上である場合等を除き、改めて議会の承認は必要とされていない。それゆえ、県が行う契約事務につき、これが適正に行われているか、相当であるかにつき、包括外部監査の対象とする必要性は高いといえる。加えて、県が行う契約金額の合計額は、県の最新の集計である平成28年度においては、少額随意契約を除き約2265億円であり、同年度の一般会計当初予算額1兆713
9億円の13.2%を占めている。ところが、県の過去の包括外部監査において、監査対象とした行政事務に含まれる特定の契約関係が監査されたことはあるが、契約全般の契約事務が監査の対象とされたことはない。
よって、上記事件名の契約事務を本年度の包括外部監査の対象とすることにした。
3 監査の対象とする契約及びこれを所管する部課等
監査の対象とする契約は、県が国及び地方公共団体以外の法人又は個人と締結する契約であって、県の収入又は支出の原因となる契約である。それらの契約につき、県は、物品及び委託並びに工事及び測量に区分して、これをそれぞれ調達種目毎に分類して、ホームページで公開している。これを概観すれば、総務部の工事・測量及び物品・委託の項目に掲載されている契約並びに県土整備部の工事・測量及び物品・委託の項目に掲載されている契約は、契約相手を選定する入札方式の区分が他の所管のそれと同じであり、かつ調達種目がxxで網羅的であることから、契約をする目的、契約の法的性質及び債権債務の内容、事務手続の進行につき、他の部署が所管する契約事務と共通するところが多いと推測することができる。それゆえ、総務部及び県土整備部が所管する契約を監査の対象として、その契約の目的、契約締結準備行為、相手方選定、相手方との協議、契約書の作成、履行の監督及び不履行に対する対応等の各段階で契約事務を分析して監査すれば、県が締結する契約全体を監査したと同じ成果が得られるものと言える。
よって、総務部及び県土整備部が所管する契約を監査の対象とした。
4 簿冊閲覧対象契約の抽出・分類
県のホームページで公開されている契約のうち、総務部と県土整備部の契約につき、調達種目毎に1件、金額が最も多いもの等の基準で、県土整備部33件、総務部35件、合計68件の契約を抽出した。
この68件の契約を、まず工事・測量等と物品・委託の二つに分類し、そのそれぞれにつき、契約の相手方選択方式につき、一般競争入札、指名競争入札等及び随意契約の3分類にし、そして、これに各論の節の番号、契約事務の名称、所管、各論の該当頁を記載して、以下の簿冊閲覧対象契約一覧表を作成した。
簿冊閲覧対象契約一覧表
工事・測量等契約一覧
節 | 案件名 | 契約方法 | 所管(部、課・事務 所) | |
第1節 | 平成29年度幕張メッセ施設整備機械設 備工事(トイレリニューアル他) | 総合評価一般競争入札 | 県土整備部 | 施設改修課 |
第2節 | 社会資本総合交付金工事(仮称xxxx線 P6・BランプP3・CランプP4橋脚) | 北xx道路建 設事務所 | ||
第3節 | 海岸基盤整備(復興)工事(目那川樋管ゲ ート製作据付工) | 海匝土木事務 所 | ||
第4節 | 県単運動公園周辺地区整備工事(2号調整 池排水設備) | 流山区画整理 事務所 | ||
第5節 | 社会資本整備総合交付金工事(xx・工事 用進入路工) | 安房土木事務 所 | ||
第6節 | 公共運動公園周辺地区整備工事(46-1 街区外粗造成) | 一般競争入札 (事後審査) | 流山区画整理 事務所 | |
第7節 | 中庁舎第2電気室空調設備更新工事 | 指名競争入札 | 総務部 | 管財課 |
第8節 | (仮称)旧ちばキャリアアップセンター大 規模改修工事に係る家屋事前調査業務委託 | 資産経営課 | ||
第9節 | 県単都市河川管理工事(逆井浄化施設設備 補修工) | 県土整備部 | 柏土木事務所 | |
第10節 | 海岸基盤整備(復興)工事(玉xx樋管ゲ ート製作据付工) | 海匝土木事務 所 | ||
第11節 | 県単xx西地区上水道配水管布設工事 | 木更津区画整 理事務所 | ||
第12節 | 県単河川総合開発工事(貯水池内堆積土砂掘削) | 高滝ダム管理事務所 |
第13節 | 県単道路改良(幹線)工事(安全施設工) | 指名競争入札 | 県土整備部 | 北xx道路建 設事務所 |
第14節 | 平成29年度木地区画地確定測量業務委 託 | 流山区画整理 事務所 | ||
第15節 | 国府台県営住宅A工区建設工事監理業務 委託(平成29年度事業) | 住宅課 | ||
第16節 | 河川総合開発委託(xxダム長寿命化計画策定) | xx・xxダム管理事務所 | ||
第17節 | 江戸川第一終末処理場設備資材価格特別 調査業務委託 | 江戸川下水道 事務所 | ||
第18節 | 国道道路改築委託((仮称)時xx橋橋梁 詳細設計) | 海匝土木事務 所 | ||
第19節 | 県単港湾管理委託(木更津港港湾施設定期 点検) | 木更津港湾事 務所 | ||
第20節 | 県単道路改良(幹線)委託(時xx地区工 事用道路検討) | 公募型指名入札 | 海匝土木事務 所 | |
第21節 | (仮称)佐津間県営住宅基本設計業務委託 (平成29年度) | 住宅課 | ||
第22節 | 新都市ビル西側外壁網設置工事 | 随意契約 | 総務 部 | 管財課 |
第23節 | 平成29年度幕張メッセ施設整備機械設 備工事(国際展示場エスカレーター改修) | 県土整備部 | 施設改修課 | |
第24節 | xx第二県営住宅15、17号棟住居改善 ガス設備工事(平成29年度) | 住宅課 | ||
第25節 | 江戸川幹線845工区関連附帯工事(その 2) | 江戸川下水道 事務所 | ||
第26節 | 県単交通安全対策工事(実籾交差点付帯 工) | 千葉土木事務 所 | ||
第27節 | 県単橋梁修繕工事(xxxxxx桁補修) | 香取土木事務 所 | ||
第28節 | 平成29年度幕張メッセ施設整備建築工 事実施設計 | 施設改修課 |
第29節 | 県単道路改良(幹線)委託(積算業務その 2) | 随意契約 | 県土整備部 | 北xx道路建 設事務所 |
第30節 | 平成29年度一般国道126号山武東総道路二期整備国道道路改築事業の施行に 関する委託 | 海匝土木事務所 | ||
第31節 | 防災・安全交付金及び県単道路調査合併委 託(舗装維持管理計画策定) | 道路環境課 | ||
第32節 | xx県農林総合研究センター新本館建築 工事監理業務 | 営繕課 | ||
第33節 | 県単河川総合開発委託(高滝ダム堆砂対策 検討業務) | 高滝ダム管理 事務所 | ||
第34節 | 広域河川改修(復興)委託(施工計画検討 xxx2) | 山武土木事務 所 | ||
第35節 | 県単災害関連(港湾)委託(浜xx港被災 施設設計) | 木更津港湾事務所 | ||
第36節 | 県単災害関連(港湾)及び県単港湾管理合 併委託(浜xx港被災施設測量) |
物品・委託契約一覧
節 | 案件名 | 契約方式 | 所管(部・課・事務 所) | |
第37節 | 公舎受付等管理業務委託 | 一般競争入札 | 総務部 | 秘書課 |
第38節 | xx県職員録 | 総務課 | ||
第39節 | 小型四輪貨物自動車1500cc(総務課 分) | |||
第40節 | 軽油見本品購入分析業務委託 | 税務課 | ||
第41節 | 軽油引取税申告書データ処理業務委託 | |||
第42節 | 税トータルシステムクライアント機器等 賃貸借 | |||
第43節 | メール便配達業務 | 政策法務課 | ||
第44節 | 再生PPC用紙(本庁分) | 管財課 管財課 | ||
第45節 | グラウンド用白線 | |||
第46節 | 高速モノクロ複合機の賃貸借(平成29年 度出先) | |||
第47節 | 知事公舎等植栽管理業務委託 |
第48節 | 本庁舎外エレべータ保守点検業務委託 | 一般競争入札 | 総務部 x x部 | |
第49節 | 千葉県庁本庁舎外産業廃棄物収集・運搬及 び処分業務委託 | |||
第50節 | OAいす(管財課) | |||
第51節 | 平成30年度自動車税納税通知書等作成 及び封入封かん業務 | 自動車税事務 所 | ||
第52節 | 多目的ホールAV機器保守点検業務委託 | 文書館 | ||
第53節 | xx県印旛合同庁舎で使用する電力 | 印旛地域振興 事務所 | ||
第54節 | xx県香取合同庁舎総合管理業務委託 | 香取地域振興 事務所 | ||
第55節 | 千葉xx匝合同庁舎清掃業務委託 | 指名競争入札 | 海匝地域振興 事務所 | |
第56節 | 平成 30 年 2 月定例千葉県議会議案及び予 算に関する説明書 | 随意契約 随意契約 | 財政課 | |
第57節 | 税トータルシステムOCR機器等賃貸借 | 税務課 | ||
第58節 | 軽油引取税に係る犯則調査のため採取し た石油製品の分析業務委託について | |||
第59節 | 書籍(「平成29年度地方税法令規通知篇」及び「平成29年発行地方税法総則逐条解説」)の売買契約締結について | |||
第60節 | xx県自治体情報セキュリティクラウド 運用保守業務委託 | 情報システム 課 | ||
第61節 | 本庁舎外中央監視設備保守点検業務委託 | 管財課 | ||
第62節 | 平成29年度自動車燃料等(ハイオクガソ リン) | |||
第63節 | ポリ塩化ビフェニル廃棄物(特別産業廃棄 物)処理委託 | |||
第64x | xごみ処理機制御系システム等変更業務 委託 | |||
第65節 | 文書保管業務 | 自動車税事務 所 | ||
第66節 | 平成 29 年度千葉県職員研修等事業業務委 託 | 職員能力開発 センター |
第67節 | 葛南地域振興事務所借り上げ | 葛南地域振興 事務所 | ||
第68節 | 印旛合同庁舎清掃業務委託 | 印旛地域振興 事務所 |
第6 監査の進行
1 契約事務の概要調査
県から、契約事務全般の概要はホームページに掲載されているとの説明を受け、県のホームページを検索し、情報を収集した。この作業は、監査期間を通して適宜行った。個々の契約の概要については、共通の質問事項を書面で提示し、各契約事務の担当者から、書面で回答を得て把握した。
2 法令等の確認・調査
契約事務に係わる法令、県が定めた規則等を調査した。法令及び規則の確認は、地方自治法(以下「自治法」という。)、地方自治法施行令(以下「自治令」という。)、建設業法、xx県財務規則(以下「財務規則」という。)につき、契約に係る条文を抽出し、その内容を確認し、契約事務の進行を対応させて適用を整理した。そして、公共工事の品質確保の促進に関する法律、県が定めた契約事務に係わる要綱、要領は、その内容を確認し、その内容を整理した。この監査期間を通して反復し行った。
3 簿冊の閲覧
県に対し、簿冊閲覧対象とした契約につき、契約事務に係る書類の提出を求めて閲覧した。県が当初開示した書類は、その数量が少なく、その閲覧だけでは内容の把握が困難であった。そこで、法令等の確認、県のホームページの閲覧、その他契約事務に関する資料の収集に努め、そうして獲得した知識に基づき、契約事務についての具体的な質問をし、書類の作成時期を尋ね、手続の具体的内容を説明する資料の作成を要請し、契約相手が作成する書類の開示を求めることを繰り返した結果、平成30年11末頃から開示される書類が増えたが、同年12月末に開示された書類数枚は墨塗りにされ、また別の事実の開示を断られた。そこで、それらの部分を含めて契約事務の内容を推認することができると思われる関連する質問に加えて、一部開示を拒む法的根拠を質問した結果、平成31年1月中旬になって、墨塗りがされた書類が墨塗りのない状態で開示され、そして、説明が断られた事実は、文書を示しながらの口頭説明がなされた。
4 契約事務についての質疑応答
簿冊を閲覧した上で、当該契約事務の担当者に対し、質問書をメールに添付して送信して質問し、これに対する回答書を添付したメールの返信を受けて、当該契約事務の実態を調査した。質問書に対する回答書を読み、疑問が解消されなかった事項につき別の視点から再度メールで質問書を送信して質問をし、回答書の返信を受けた。平成31年1月中旬から下旬にかけて、県の求めで担当者と面談し、指摘意見に関連する事項の説明を受け、質疑応答をした。
第2部 総論
第1章 自治体が締結する契約
自治体が締結する契約についての一般的説明であるため、概要版では省略する。
第2章 自治体の契約事務に係る法令
地方自治法(以下「自治法」という。)、地方自治法施行令(以下「自治令」、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(以下「公共工事適正化法」という。)、公共工事の入札及び契約の適正化に関する法律(以下「施行令」という。)、公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下「公共工事品質確保法」という。)、建設業法等、包括外部監査の視点の根拠となる法令の説明であるが、概要版では省略する。
第3章 県の契約事務に係る規則・要綱等
主に、xx県財務規則についての説明であり、包括外部監査の視点の根拠になっている条項もあるが、概要では省略する。
第4章 県の契約事務の概要
第1節 県が締結する契約の概要
第1 契約件数
県の契約事務の取扱い件数は、平成25年度から平成28年度の4年度を通して、1年度当たり1万件前後で推移している。そのうち、毎年度最も多くの件数を分掌している部は、県土整備部であり、上記4年度の年度当たりの平均件数は、約4568件であり、これを月当たり平均に直せば、約381件となる。他方、総務部の上記4年度の年度当たり平均件数は約335件であり、その月当たり平均件数は、約28件である。県土整備部も総務部も、その事務量の負担の大きさが実感できる件数である。
なお、上記の契約件数は、少額随意契約を除いたものである。第2 契約金額(年度平均)
契約金額は、上記4年度平均で約2153億4800万円であり、1件当たり単純平均額約2150万円である。そのうち、県土整備部は、上記4年度の年度当たり平均額は約897億2400万円であり、1件当たりの金額は約1964万円である。総務部は、上記4年度の年度当たり平均額は約59億2200万円であり、1件当たりの金額は約1767万円である。
なお、上記の契約金額は、少額随意契約を除いたものである。
第2節 契約事務の分掌、第3節 契約事務の管理方法、第4節 契約事務の運用は、組織の在り方についての視点の基礎となっているところもあるが、包括外部監査の直接の対象ではなく、また記述が不十分なところがあるため、概要では省略する。
第5章 包括外部監査の視点
第1節 基本的視点
第1 法令の遵守
1 自治法252条の37第2項は、包括外部監査が特に意を用いるべきことを規定しているが、その肝要につき、住民の福祉の増進等を規定する同法2条14項、及び組織の合理化等を規定する同法2条15項について述べるのみで、法令遵守を規定する同法2条16項については言及していない。しかし、自治体の事務処理が法令に違反してはならないことは当然のことであることから、自治法252条の37第2項の趣旨は、法令の遵守を監査した上で、自治体が住民の福祉の増進等に努めているかの監査をすべきとする趣旨と解する。そして、住民の福祉の増進等の事務処理は、法令を離れてできることではなく、また、自治体の事務処理に係る法令も、住民の福祉の増進等を基本理念として定められている筈である。それゆえ、包括外部監査は、契約事務の処理につき、法令を遵守して行われているかを先ず監査し、その上で、住民の福祉の増進等に努めているかを監査すべきであると解する。
2 ところで、事務処理に係る法令は、事務処理につき行政の裁量に委ねているも
のもある上、文言自体が抽象的なためその具体的適用は行政の裁量に任されているものと解すべき場合もある。そこで、その裁量の範囲を検討する必要があるが、前述の最判昭和62年3月20日は、自治令167条の2第2項について、自治体の合理的裁量判断を委ねられていることを判示し、また、最判平成25年3月
28日は、不動産賃貸借が自治法2条14項、地方財政法4条1項に違反するかにつき、自治体の諸般の事情を総合考慮した合理的な裁量に委ねられていることを判示している。それゆえ、行政の裁量は、これらの判例で判示されている「合理的裁量」という限定が付されたものであると解することができるが、そこで、この合理的裁量とは何かという疑問が生ずる。これについては、判例が何も述べてはいないため、独自の見解を述べれば、合理的裁量とは、判断に際して考慮すべき事情は全て斟酌し、その比較衡量するに際しては、法が示す価値観を基準として、経験則を正しく適用して、住民が納得して受け入れる判断をすることであると解する。
第2 住民の福祉の増進及び効率性等
自治法252条の37第2項は、包括外部監査につき、監査対象自治体の事務の執行が、住民の福祉の増進及び最少の経費で最大の効果を挙げることに努めるべきことを規定する同法2条14項及び組織及び運営の合理化に努めかつ規模の適正を図るべきことを規定する同条15項の規定の趣旨にのつとつてなされているかに意を用いなければならないと規定している。それゆえ、包括外部監査は、自治体が住民の福祉の増進に努めているか、事務処理の効率性や組織の合理化に努めているかを監査する必要がある。
第2節 法令に基づく視点
第1款 契約締結方法
第1 指名競争入札の選択
1 視点の根拠
指名競争入札は、自治令167条の1号から3号のいずれかに該当する事由がある場合にのみ、これによることができる。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 指名競争入札によって締結している契約につき、いかなる事由につき、自治令
167条の1号から3号のうち、どの号を適用して指名競争入札によることにしたのか。
⑵ 指名競争入札によることができるとされた事由は、自治令167条の当該契約に適用されている号に該当する事由と認めることができるか。
第2 随意契約の選択
1 視点の根拠
随意契約は、自治令167条の2第1項の1号から9号までの事由がある場合にのみこれによることができる。その判断は、裁量に委ねられているが、合理的裁量の範囲を越えることはできない。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 随意契約により締結した契約について、如何なる事由xxx、自治令167条の2第1項の1号から9号までのどの号を適用して随意契約によることにしたのか。
⑵ 随意契約によることができるとされた事由は、自治令167条の2の第1項の当該契約に適用された各号に該当する事由と認めることができるか。
第3 総合評価競争入札の選択
1 視点の根拠
総合評価方式による競争入札は、自治令167条の10の2第1項又は第2項に規定する事由がある場合にのみこれによることができる。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 総合評価競争入札により締結されている契約は、どのような事由に基づき総合評価競争入札によることとされたのか。
⑵ その事由は、自治令167条の10の2第1項又は第2項の総合評価競争入札によることができる場合として定められている要件に該当する事由と認めることができるか。
第2款 一般競争入札の手続第1 予定価格
1 視点の根拠
競争入札においては、入札金額が予定価格の制限の範囲内でなければ契約を締結することができない(自治法234条3項)。予定価格は、相手方が申し出た価格が、相手方が負う債務の対価として相当な金額であるかを判断するための基準とするために、自治体が作成する価格である。その算定方法につき、財務規則1
10条2項は、「予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。」と定めている。これは、予定価格は、市場価格や当該契約の内容を考慮して作成すべきことを定めたものである。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
予定価格の作成に際して、当該契約の目的となる物件又は役務の市場価格や契約の内容を考慮しているか。
第2 入札参加資格
1 視点の根拠
自治法234条6項は、入札参加資格を定めることを認め、これを受けて、自治令167条の4、5、5の2は、入札参加資格の内容について規定し、入札に参加できる者を制限することを定めている。これは、契約によって相手方が負う債務を適正に履行しないおそれがある者、その能力を有しない者、あるいは、自治体が契約を締結することが適正ではない者を入札から排除する趣旨である。しかし、これによって入札の機会均等確保、最も有利な契約の締結、そして官製談合の排除という一般競争入札が持つ長所が阻害されるおそれが生ずることがあり得ることは否定できない。それは、一次的には、入札参加者の人数の少なさとして現れるのではないかと考える。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 入札者の人数が少ない契約につき、入札参加資格を定めた目的や理由は何か。
⑵ その目的や理由は、契約の目的や趣旨と整合しているか。
⑶ 入札者が一般競争入札としては少ない場合、入札参加資格の見直しをしているか。
第3 入札保証金
1 視点の根拠
自治法234条4項は、自治体が入札に際して入札保証金を納付させることを認め、自治令167条の7は、入札保証金を納付させるときはその金額又は金額を算定する率を定めることを規定し、財務規則107条は、その金額を算定する率を定め、そのただし書において、入札保証金を免除することができる場合を規定している。そのうち実質的判断が必要となる場合は、同条1項2号の「当該入札に参加しようとする者が契約を締結しないこととなるおそれがないと認められるとき」である。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 入札保証金を免除した契約につき、財務規則107条1項2号が適用されているか。
⑵ 財務規則107条1項2号が適用された契約につき、これに該当するとされた事由はなにか。
⑶ 財務規則107条1項2号を適用して入札保証金を免除している契約につき、これに該当するとされた事由は、財務規則107条1項2号に該当する事由として認めることができるか。
第3款 指名競争入札の手続第1 入札者の指名
1 視点の根拠
自治令167条の11は、工事又は製造の請負、物件の買入れその他自治体の長が定める契約について、あらかじめ指名競争入札に参加することができる資格を定め、その資格を自治令167条の4に定める者に該当しない者とし、かつ契約の種類及び金額に応じて、自治令167条の5第1項に規定する事項を内容とする指名競争入札参加資格を定め、それらの入札参加資格を持つものから入札できる者を指名する指名競争入札を行うことを認めている。
そして、財務規則113条1項は、なるべく10人以上の者を入札者として指名すべきことを規定している。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 当該指名競争入札参加資格は、その契約の種類や金額に応じて、自治令167条の5第1項が規定する事項を具体的に定めるものであるか。
⑵ 県の入札参加資格登録業者のうち、10人以上の者を指名しているか。
第2 その他
予定価格、入札保証金についての監査の視点は、一般競争入札において述べたところと基本的に同じである。
第4款 随意契約の手続第1 予定価格の設定
1 視点の根拠
財務規則117条は、随意契約について、予定価格の決定を規定する財務規則
109条、予定価格の決定方法を規定する財務規則110条を準用すると定めている。しかし、自治法234条3項は、競争入札についてのみ、予定価格の制限の範囲内の価格で契約を締結すべきことを定めているので、随意契約における予定価格は、契約金額を制限するものとしてではなく、相手方が提出する見積価格が適当であるかを判断する基準である。それゆえ、随意契約における予定価格の決定方法は、競争入札におけるそれとは裁量の範囲が広くなると解する。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
予定価格の決定方法は、随意契約における予定価格決定につき裁量の範囲が広いことを考慮すれば、財務規則110条の趣旨に反しないと認めることができるか。
第2 見積合わせ
1 視点の根拠
財務規則116条の2第1項は、随意契約によるときは、原則として2人以上の者から見積書を徴すべきこと、即ち見積合わせをする必要があることを規定し、その例外として、①郵便切手等法令等によって価格が定まっている場合、②契約の目的又は性質により相手方が特定される等見積書を徴しがたいときは、見積書を徴さないことができることを規定している。この見積合わせの例外につき、「xx県財務規則の運用について(通達)」が示している事例は、①1人又は1会社が専有する物品の購入、②見積合わせをする時間的余裕のないとき、③動物、機械、商工見本品、美術品等で他に求め難い特殊な物件の購入、④特殊な修繕、⑤契約の内容の特殊性により相手方が特定されるとき、⑥オープンカウンターで1人又は1会社からのみ見積書の提出があったとき、⑦その他経済状況、当該物品の需給の状況等が比較的安定していて、どこで購入しても値段の差違がないというものである。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 随意契約において見積合わせをしているか。
⑵ 随意契約において見積合わせをしていない場合、財務規則が定める見積合わせを省略することができる場合に該当する事由があるか。
第3 相手方
1 視点の根拠
財務規則116条は、随意契約の相手方決定においては、入札参加資格の審査結果を考慮して行うべきことを規定している。これは、随意契約の相手方とする者として検討する対象は、入札参加資格者名簿に記載されている者を優先すべきことを求める趣旨と解する。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 随意契約の相手方は、入札参加資格者名簿に記載されているか。
⑵ 随意契約の相手方が入札参加資格者名簿以外の者である場合、その者を契約締結の相手方としたことは、合理的裁量の範囲内か。
第5款 総合評価競争入札第1 落札者決定基準
1 視点の根拠
総合評価方式は、一般競争入札及び指名競争入札の落札につき、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち、価格その他の条件を総合考慮して落札者を決定する手続として、自治法234条3項ただし書き、自治令16
7条の10の2で創設された落札者決定方式である。その落札者決定基準は、価格と価格以外の条件を総合考慮して自治体にとって最も有利なものを選ぶ基準であるが、何が有利かは契約によって異なるから、落札者決定基準は、当該契約の目的や内容に基づいて作成されなければならない。また、最も有利かについての判断が恣意的になることを防ぐため、判断の対象とする事項は、客観的に有利な内容を持つ事項を重視すべきである。そして、主観が入り込む事項を判断対象とする必要がある場合は、それを必要最小限に止めると共に、判断の基準を具体化する必要がある。
2 視点の内容
以上から、以下の視点を作成した。
⑴ 総合評価の判断の対象とする事項は、当該契約の目的や内容に則して選ばれているか。
⑵ 総合評価の判断の対象とする事項は、主観の相違によって判断が左右されないものであるか。
⑶ 主観の相違によって判断が左右される事項が総合評価の対象とされている場合、そのような事項は、必要最小限に止められているか。
第2 学識経験者の意見聴取
1 視点の根拠
自治令167条の10の2第4項は、落札者決定基準を定めようとするときは、あらかじめ学識経験者の意見を聴取しなければならないことを規定し、同第5項は、学識経験者からの再度の意見聴取について規定している。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 学識経験者としてどのような人を選んでいるのか。
⑵ 学識経験者の意見は、どのようなものであり、それを落札者決定基準の作成にどのように生かしているのか。
第6款 公共工事適正化法・施行令
第1 情報の公表
1 視点の根拠
公共工事適正化法7条は、毎年度、当該年度の公共工事の発注見通し、その変更後の見通しの公表を義務付け、施行令は、発注見通しを公表すべき公共工事の範囲を予定価格が250万円を超えないと見込まれるもの及び公共の安全と秩序の維持のために自治体の行為を秘密にする必要があるものを除くこと、並びに公表すべき具体的事項及び公表の方法を規定している。そして、公共工事適正化法
8条は、入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札参加資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称、その他施行令で定める公共工事の入札及び契約の過程に関する事項の公表を義務付け、施行令7条は、総合評価競争入札につき、総合評価競争入札によることにした理由、落札者決定基準、価格及びその他の条件が最も有利であるとして落札者を決定した理由、総合評価競争入札以外の契約方法において価格以外の理由で落札者を決定した場合の理由、その他の事項をそれぞれ公表すべきと規定している。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 総合評価競争入札につき、これによることとした理由、落札者決定基準、落札者を決定した理由を公表しているか。
⑵ その他、公共工事適正化法及び施行令が公表を義務付けている事項を公表しているか。
第2 入札者及び受注者に課された義務を履行させる責務
1 視点の根拠
公共工事適正化法12条は、公共工事の入札者に対し、入札金額の内訳書の提出義務を課し、同法14条は、公共工事につき例外なく一括下請負を禁止し、同法15条は、施工体制台帳の写しを発注者に提出すべきことを定めている。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 入札者に対し、入札金額の内訳書を提出させているか。
⑵ 相手方に対し、施工体制台帳の写しを提出させているか。
第3 施工体制の適正化
1 視点の根拠
公共工事適正化法15条1項は、下請負契約の代金額が政令で定める金額(4
000万円)以上になる場合は、建設工事の適正な施工を確保するため、当該下
請負人に係る建設工事の内容等を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場に記事すべきと規定する建設業法24条の7第1項、第2項の適用を、全ての建設業者に適用すると規定し、同条2項は、その施工体制台帳の写しを発注者に提出すべきことを規定している。そして、建設業法19条は、建設工事の請負契約の当事者に対し、建設工事の請負契約において工事内容や請負代金額等を記載した請負契約書を作成すべきことを定め、公共工事適正化法12条は、建設業者に対し、入札金額の内訳書の提出を義務付け、公共工事品質確保法3条10項は、公共工事の品質確保のために下請負のxxな契約の締結等を規定している。これらの規定は、公共工事の適正な施工を確保するためには、下請負代金額がその受注した工事内容の代金として適正であることが必要であることに基づき、自治体をして、施工体制台帳を調査させる趣旨と解する。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 相手方である建設業者をして、施工体制台帳、施工体系図、一次下請負以下の下請負の請負契約書の写し、入札価格の内訳書又は工事費用の内訳書を提出させているか。
⑵ 施工体制台帳、施工体系図は、一次下請負以下の下請負人の存在、その受注した工事の施工部分が具体的に分かるものであるか、入札価格の内訳書又は工事費用の内訳書は、施工部分毎に工事費用を明らかにするものであるか。
⑶ 県は、これらの資料の内容を確認し、施工体制台帳等と入札価格の内訳書等とを対照して分析し、一次下請負以下の全ての下請負の代金額がその受註した工事内容に対応して適正化を分析しているか。
⑷ 県は、施工体制台帳、入札価格の内訳書等につき、上記の調査が容易にできるような書式にさせているか。
⑸ 県は、上記の調査によって、一次下請負以下の下請負代金が、その受注した工事内容に対応して適正でなく、適正な施工がなされないおそれがあると認めるべきときに、相手方をしてその是正をさせているか。
第7款 公共工事品質確保法第1 不正行為の排除
1 視点の根拠
公共工事品質確保法3条8項は、基本理念として、談合、入札談義xxx行為その他の不正行為の排除等を規定している。
2 そこで、以下の視点を作成した。
県は、談合等の不正行為の排除のために適切な措置を講じているか。
第2 多様な入札及び契約の方法等
1 視点の根拠
公共工事品質確保法3条10項は、下請負契約が適正な請負代金で締結され、その請負代金が速やかに支払われる等誠実に履行されるとともに、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善させるように配慮すべきことを規定している。そして、同法13条は、競争に参加する者、参加しようとする者につき、若年の技術者、技能労働者等の育成及び確保の状況その他事項を適切に審査し、又は評価するよう努めなければならないと規定している。これは、下請負契約においてxxであることや、労働者の賃金等の労働条件の向上や労働環境の改善に努めていることを、入札又は落札決定の審査において、審査の対象事項とし、これを評価すべきものとして、これらの事項の審査によって優良と判断された建設業者をして落札され、この意味での優良業者による施工によって、公共工事の品質確保を図る趣旨である。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
県は、公共工事に下請負契約についてxxである業者、労働条件の向上や労働環境の改善に努めていることを、入札参加資格や総合評価の落札者決定基準に取り入れているか。
第3 公共工事契約締結事務
1 視点の根拠
公共工事品質確保法7条は、公共工事の発注者に対し、①予定価格の作成方法、
②予定価格の再度の積算方法、③適正な施工が確保される請負代金額にするための措置、④計画的発注と適切な工期の約定、⑤施工条件の適切な明示、修正、⑥施工状況の確認、評価について規定している。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 公共工事につき、予定価格の作成は、公共工事品質確保法7条1項1号に定める事項を資料としているか。
⑵ その請負代金額によっては適正な施工が見込まれないとする基準又は最低制限価格の設定をしているか。
⑶ 施工条項の確認、評価は、適切な時期に行われているか。
第4 契約事務の公表
1 視点の根拠
公共工事品質確保法17条は、技術提案をした者に対し、その改善の機会を求
めた場合の技術提案の改善の過程につき、その概要の公表を義務付け、同法18条は、技術提案公募型において、その技術提案の審査の結果及び交渉の過程につき、その概要の公表を義務付けている。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 公共工事品質確保法17条、同法18条が公表を義務付けている事項を公表しているか。
⑵ 公表している事項は、概要と認めることができる程度の事実が含まれているか。
第8款 契約書の作成手続第1 契約書の書式
1 視点の根拠
契約書は、これを作成することによって、成立する契約の内容を確認し、契約当事者の認識の同一性を確認することができる。そして、契約書を2通作成して双方が所持すれば、お互いに契約書作成後に何度でも確認することができる。それ故、債務の履行が遅れるとか合意したとおりに履行されないとか、合意内容を曖昧にして履行しないという紛争が生ずることが著しく減少する。しかも、契約について紛争が生じても、債務の内容を特定するに必要な事項が契約書に記載されていれば、契約書に基づいて迅速に紛争を解決することができる。裁判になっても、合意の内容の立証は容易である。それ故、契約書には、当該契約の目的や内容に応じて、債権債務を特定するに足りる事項が記載されていなければならない。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 契約書の記載から債権債務が特定することができるだけの記載がなされているか。
⑵ 債権債務を特定するための記載事項が多く、別の仕様書に記載する場合や図面によらねば債務の特定が不十分になる場合、仕様書や図面が契約書の内容となるような書式で作成されているか。
第2 契約書の記載事項
1 視点の根拠
⑴ 契約書には、当該契約の種類に応じて、或いは契約書の記載事項を定める法令等に従い、記載すべきことを記載しなければならない。しかし、記載すべき事項に漏れがないことを重視して、当該契約の目的や内容を考慮せずに、想定できる状況について全て対応する規定を設けようとすれば、必要性が乏しい条項が多く
なり、当該契約にとって重要な条項が多数の条項の中に埋もれ、或いは、条項と条項との関係について解釈上の問題が生じることもある。また、当該契約の個性を軽視し、当該契約の種類に応じて定型化した契約書を使用すれば、ときには、当該契約にとっては奇想天外な契約書が作成されることもあり得る。
⑵ 公共工事適正化法が規定する施工体制台帳の写しの提出等、法令が相手方に対して義務付けている行為や、裁判に証人としての出頭する行為は、これを契約に取り込まない場合、契約に定めた債権としてその行為を求めることができず、その不履行を理由として契約を解除し或いは損害賠償請求することが、著しく困難になることが多い。そして、法律が義務付けている行為は履行されるという保証はない。
2 視点の内応
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 財務規則96条に定める契約書に記載すべき事項の記載はなされているか。
⑵ 建設工事の請負契約書につき、建設業法19条に定める事項が記載されているか。
⑶ 当該契約の目的や内容に即して必要な条項が定められているか。
⑷ 当該契約の目的や内容に照らし、これを定める必要性がない条項、又はその必要性が乏しい条項が多く定められ、全体として契約の内容の把握が困難になっていないか。
⑸ 当該契約の目的や内容に照らし、無用な条項、又は奇妙な条項は定められていないか。
⑹ 法令等で相手方に義務付けられているが、当該契約の目的や内容に照らして、これを契約上の債務として規定すべき条項が定められているか。
第9款 契約の履行確保第1 契約保証金
1 視点の根拠
⑴ 契約保証金は、債務不履行に因る損害を補填する効果を持ち、そのため相手方に債務の履行を促す心理的効果をもつ。財務規則99条2項は、契約保証金を免除することができる場合を規定しているが、契約保証金が履行確保の効果をもつことに鑑み、免除の要件具備の判断は適正に行うべきであり、そして、それが確認できるようにするために報告書を作成すべきである。
⑵ 財務規則99条2項3号は、入札参加資格と過去2年間の履行に加えて、
「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」と規定しているが、これは、入札参加資格や過去の履行状況を調査するだけでは足りず、契約締結時における相手方の履行能力を別途調査する必要があるということを規
定する趣旨であると解する。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 契約保証金を免除している場合、財務規則99条2項1号から7号までのいずれの要件を適用しているか。
⑵ その要件を適用する際、その要件に該当する事実の有無を調査しているか。取り分け、財務規則99条2項3号を適用している場合、入札参加資格や過去の履行状況の調査に加えて、契約締結時における相手方の履行能力を別途調査しているか。
⑶ その調査結果を確認することができるようにするために報告書を作成し、必要な資料を添付しているか。
第2 履行の監督及び確認
1 視点の根拠
自治法234条の2第1項は、債務の適正な履行を確保するため及び給付の完了を確認するために必要な監督又は検査をすべきことを定め、自治令167条の
15第1項は、その監督を立会、指示その他の方法で行うべきことを定め、同条
2項は、その検査は、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類(電磁的記録を含む)に基づいて行うべきことを定め、同条4項は、専門的な知識又は技能を必要とする等の理由により、職員が監督又は検査を行うことが困難又は適当でないときは、職員以外の者に委託して監督又は検査を行わせることを定めている。そして、財務規則100条2項は、検査につき検査調書を作成すべきことを定め、財務規則101条は、検査を委託したときは、受託者をして検査報告書を提出させるべきことを規定している。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 債務の履行の監督及び確認は、法令が求める方法で適正かつ適切に行われているか。
⑵ 履行の監督及び確認につき、どのような書類が作成されているか。
⑶ それらの書類は、履行の監督及び確認につき、法令を遵守して適正に、かつ債務の履行を確保するものとして確認することが分かる程度に具体的に要領良く作成され、疎明資料が添付されているか。
第3節 住民の福祉の増進等からの視点
第1 住民の福祉の増進
1 視点の根拠
自治体は、住民の福祉の増進を図ることを基本としているから、契約事務においても、住民の福祉の増進という意識をもって処理すべきである。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 契約事務において、住民の立場から検討しているか。
⑵ 契約事務において、住民の声に耳を傾けているか。
第2 効率性
1 視点の根拠
契約事務は、仕様書や設計図の作成から始まって、予定価格の作成、入札参加資格の作成、入札の公告、落札決定、契約書の作成、履行の監督及び確認を経て支払まで、様々な手続があり、これに伴って作成する書類も多い。これらの契約事務の処理が非効率であれば、これに要する執務時間が長くなり、職員が増え、人件費が増額することになる。それゆえ、契約事務の処理が効率的に行われるべきことが重要である。事務処理の効率性は、同じ事務処理に要する時間が少ないこと、処理する事務に重複がないこと、処理する事務に過誤が無く、これを修正する時間が必要ないことによって図られる。この様な意味で、事務処理の効率性を図るには、一般論として、研修によって担当者の契約事務の処理能力を向上させると共に、契約事務を整理し、画一化し、書式を統一する必要がある。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 契約事務が整理され、画一化され、書式が整備させているか。
⑵ 契約事務担当職員に対する研修は適切に行われているか。
⑶ 契約事務の処理について手続の要点や書式を説明する手引は整備されているか。
⑷ 契約事務の分掌は、重複せずに適切になされているか。
第3 有効性
1 視点の根拠
契約は、その締結によって、自治体と相手方との間に法律関係を成立させるものであるから、それを成立させる契約事務は的確に行われる必要がある。的確ではない事務処理は役立たず、無駄であるばかりか、その外の事務処理に悪影響を及ぼすことになり、契約の相手方にも影響し、延いては行政に対する信頼を減退させることにもなる。そして、契約事務は、幾つもの手続の積み重ねでもあり、一つの契約につき所管を越えて行われることもあり、重要な契約事務については上司の決裁を受ける必要があるため、作成する書類は、その記載内容が担当者以外の者にも具体的に理解できる内容にすべきである。更に、必ずしも書類の作成
が求められていない契約事務についても、例えば法令が定める要件に該当する事実の調査や確認、債務の履行を確実にする履行の監督及び確認は、その事務処理が的確になされたことを、担当者以外の者が容易に理解し、確認することが出来るようにするため、事務処理の報告書を作成すべきである。そして、その書類の記載は、読めば理解できるように具体的事実を文章で記述する書式にする必要があり、かつその記述内容を確認することができる資料を添付する必要がある。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 契約事務は、的確になされているか。
⑵ 契約事務が的確になされたことを、担当者以外の者が確認することができる書類が、作成されているか。
⑶ 特に、法令の適用に係る要件事実を確認する契約事務や履行を確実にする契約事務につき、それを記録する書類は作成されているか。
⑷ それらの書類は、作成事項、作成日、作成者の氏名と所属、そして当該判断をした者、その年月日、場所は当然として、その契約事務の内容として、判断事項、判断の対象、判断の基準、判断の方法及び過程、判断結果が具体的事実として記述されているか。
⑸ それらの書類には、その記載内容の確認に必要な資料と理解するに有益な資料が添付されているか。
第4 経済性
1 視点の根拠
支出を伴う契約においては、相手方による履行の質を確保しながら、契約金額がより少額であることが、自治体にとっては経済的である。しかし、単に契約金額が低額であれば経済性が良いとはいえない。自治体にとっては、相手方が履行に見合う契約金額の支払いを受け、それが相手方の経済活動に充てることも必要だからである。そして、契約が建設工事の請負であり、相手方に下請負がいれば、その下請負人が受注した工事に見合う請負代金の支払を受け、それをその経済活動に充てることも必要である。更に、相手方やその下請負人が支払を受けた契約金額が、その従業員の昇給等の労働条件向上に充てられれば、消費活動がより活発になる。こうして、支出した契約金が社会で循環して、租税収入も増額する。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 支出を伴う契約において、契約金額を低額にする契約方法が重視され、優先的に行うという意味で、手続の原則とされているか。
⑵ 契約金額が、債務に見合うものとして適正な金額になっているか。
⑶ 落札決定手続において、下請負契約の代金額を発注内容に見合うものにしている業者、労働条件が良い業者、或いはそのような業者と下請負契約をしている業者を優先しているか。
第5 組織の合理化等
1 視点の根拠
自治体は、住民の生活に必要不可欠な組織であり、処理すべき事務には限りが無く、予算もあるため、ともすれば組織が拡大する。組織が大きくなれば、連携が困難になることもある。それ故、組織を無駄に大きくしないこと、組織を効率的に動かすこと、組織の意思決定において、現場の状況を知事が認識することができ、知事の意思が現場に伝わること、異なる組織相互間においてお互いの状況を認識し、意思の伝達ができることを、組織運営の基本とすべきである。
2 視点の内容
そこで、以下の視点を作成した。
⑴ 契約事務において、所管の分掌に重複がないか。
⑵ 契約事務が関連する所管同士の意思の疎通は図られているか。
⑶ 契約事務の担当者の仕事が、知事に対し、管理職の決裁を経て、正しく具体的な情報として、伝えられているか。
⑷ 知事の意思及び理念が、管理職を経て契約事務の担当者に正しく伝わり、その意思及び理念に基づいて契約事務は処理されているか。
第6章 指摘・意見
第1節 指摘と意見の区別
指摘と意見は、これを区別する明確な基準を設定して分別したものではないが、一応の基準として、当該契約事務が法令に違反し、又は、抵触していると認めて是正を求めるもの、または、効率性、有効性及び経済性の視点から是正をする必要があると認めたものは指摘とし、法令に違反するおそれ又は抵触するおそれがあるものにつきその注意喚起を図り、対応策を提案するもの、又は、効率性、有効性及び経済性の視点から何らかの対応策を必要とするが、適切な対応策を策定するには関連する事項を併せて検討する必要がある場合に、その検討を求めるものを意見とした。
第2節 契約の分類
第1 契約の種類
業務委託契約は、契約書の記述及びその内容に応じて、請負と準委任に振り分けた。元々、請負と準委任との区別は困難なところがあるが、監査対象の契約書は、これを意識して記載していないと思われるため、請負と準委任との区別は困難であった。仮に訴訟になった場合、裁判所が別の判断をする可能性がある。
第2 契約方法
1 契約方法とは、契約の相手方を選ぶ方法である。その方法として、一般競争入札、指名競争入札及び随意契約の三種類がある。その外、契約方法として、総合評価一般競争入札及び総合評価指名競争入札とがあり、いずれも落札者の決定を入札価格とその他の条件とを総合評価して行う手続であり、その手続自体は、総合評価一般競争入札と総合評価指名競争とで違いはない。両方をまとめて総合評価競争入札という。以上の外、契約相手を公募するプロポーザルがある。
2 簿冊閲覧対象とした契約を契約方法の種類を基準として分類した結果は、以下のとおりである。ただし、簿冊閲覧対象契約の抽出は、県のホームページに掲載されている契約の一覧表に記載されている業種毎に、最も契約金額が高いもの、単価契約の場合は単価が高いものを68件選ぶという方法であっため、県の契約の全体の平均を示すものではない。
3 簿冊閲覧対象契約につき、契約方法で整理した表が、3頁の「簿冊閲覧対象契約一覧表」であるが、総合評価指名競争入札は、1件もなかった。これも、県の契約を全て見た結果ではなく、閲覧対象簿冊68件を対象としてのことに過ぎない。参考として述べれば、総合評価指名競争入札の方法による契約がない、あるいは少ないと仮定してその理由を推測すれば、県の総合評価一般競争入札は、入札参加資格が多くの項目で規定されている上に、手順が、入札の前に入札参加資格確認申請をさせ、技術資料を受付けて審査して入札参加資格通知をし、その上で入札参加資格確認通知をし、次いで入札の前に技術資料の判断・評価をするというものであり、その実態が指名競争入札に近似しているため、敢えて総合評価指名競争入札という方式を行う必要性がないためと考える。
第3節 指摘及び意見の概要
第1 契約方法の選択
1 指名競争
指名競争16件のうち、7節、11節から15節、32節において、指名競争入札を選択したことにつき、指摘・意見を述べた。その理由は、結局のところ、選択した理由が法令の要件に該当するとは認め難い場合である。なお、選択した理由を記録した書類がないとの指摘・意見の趣旨は、指名競争入札を選んだ理由、その結論を導く前提となる具体的事実、それらの事実の有無の調査方法、調査結果、
それらの事実に基づく判断の仕方を具体的に記録した書類がないということであり、その意味では、全ての指名競争入札に当てはまることである。契約事務の効率性を考慮すれば、そのような報告書を作成することは無駄であるとか、そのような執務時間はないということになるかも知れない。しかし、それを読んでも具体的な内容が理解できず、その契約事務の適法性、相当性については、その作成者を信じる外ないというような書類、しかも作成年月日、作成者の氏名及び所属の記載もないような書類では、それを何枚重ねても、その契約事務の適法性、相当性を確かめることはできず、その意味では効用性が低い書類になる。逆に、一度読めば具体的な内容を確認することができる書類は、その契約事務の決裁が正しく行われ、これに基づく次の手続も適法性及び相当性をもって処理できるため、効用性が高い書類となる。
2 随意契約
随意契約により契約相手を選んでいることについて指摘・意見を述べたものは、
25節、58節、61節、62節、64節である。その理由は、自治令167条の2第1項各号に該当する事由があるとの判断につき、これを認め難いということである。その判断過程を記録した報告書を作成すべきとする指摘・意見は、基本的には、随意契約を選択した契約の全てに当てはまることである。
3 総合評価競争入札
⑴ 総合評価一般競争入札を行っている契約は、1節から5節である。
総合評価競争入札を選択していることについての指摘は、当該契約の判断が、
「xx県総合評価方式ガイドライン」に従っているため、県が行っている全ての総合評価競争入札についていえることである。上記ガイドラインは、「予定価格が
5千万円(税込み)以上の公共工事は、原則として総合評価競争入札による」としている。これについての指摘は、総合評価競争入札のこのような運用は、自治令167条の10の2第1項及び第2項が定める要件事実の該当性を判断したことにはならないため、同法に違反するというものである。
⑵ それは、当該建設工事の請負契約を必ずしも無効にするものではないと解するが、仮にそうであっても、入札価格とその他の条件を総合評価して落札者を決定する範囲が一律に広がるということは、相当ではない。一般競争入札が持つ入札手続の透明性が失われるおそれがある範囲、入札参加の機会均等が損なわれるおそれがある範囲が、いずれも拡大するからである。落札者決定基準の入札価格以外のその他の条件が、必ずしも客観的ではない場合は、落札決定につき外からの不正な影響力の行使があっても、それが見えにくくなる。そのことは、落札者決定過程が公表されないことによって増幅される。公共工事適正化法8条1号は、公共工事の入札及び契約の過程に関する事項の公表を求め、施行令は、7条2項
8号で、総合評価競争入札を行った場合は、①総合評価競争入札を行った理由、
②落札者決定基準、③価格その他の条件が当該自治体にとって最も有利な申込みとして落札決定をした場合におけるその有利と認めた理由を、それぞれ公表すべきと定めているが、県はこれらの事実を公表していない。
⑶ なお、公共工事品質確保法3条10項は、公共工事の品質確保として、公共工事における下請負の請負代金額が適正な金額でありかつ速やかに支払われること並びに労働者の賃金等の労働条件の向上及び労働環境の改善が配慮されなければならないと規定している。これは、公共工事の落札決定において、そのように努める業者について高い評価を与えるべきとする趣旨である。しかし、県の総合評価基準には、そのような評価項目は設けられていない。
⑷ それゆえ、上記ガイドラインは一旦廃止し、財務規則を法令の改定に合わせて改定した上で、新たに要項から作成し直すべきである。
第2 入札者の人数と入札参加資格
1 入札参加資格又は入札者の人数につき指摘又は意見を述べた契約は、1節、5節、37節、39節、45節がある。これにつき指摘・意見を記述していない競争入札も、そのほとんどが入札者の数が数名であり、そして、入札参加資格を定めない競争入札はないため、入札者の人数と入札参加資格についての指摘・意見は、競争入札において共通のものといえる。
2 入札者が少ないことの原因が入札参加資格にあるのかにつき、県は、過去においてこれを調査したことがなく、資料がなかった。そこで、入札参加資格の項目につき、その設定によって、競争入札の競争性が不当に制限されることになるのか、契約の目的に照らして相当かを検討したが、入札参加資格を作成する過程を記録した書類がないため、入札参加資格と入札者の人数との因果関係の有無を判断するに至らなかった。
3 建設工事における「建設工事等入札参加業者資格者名簿」の登載者、物品等における「物品等入札参加業者適格者名簿」の登載者は、工種や業種毎に数百名から千名を超える人数がいる場合もあるのに、入札者の数が1件当たり数名に止まっているという状況は、異常に思える。競争性が著しく低下していることは明らかであり、入札参加の機会均等が確保されていないのではないかとの疑いも生ずる。それゆえ、県は入札参加者が少ないことにつき、入札参加資格がどの程度の影響をもたらしているかを調査し、入札者の人数を増やすための対策を講ずる必要があると考える。
第3 予定価格
1 予定価格について指摘・意見を記述した契約は、39節、43節、45節、50節、51節、52節、58節、64節がある。予定価格は、自治体が契約を締結
する際に、契約金額を決定する基準とするためにあらかじめ作成する金額であり、その作成方法につき、財務規則は、市場価格及び契約内容に応じて作成すべきと定めている。指摘・意見は、予定価格の作成方法が、この財務規則の規定に従っていないという認識に基づくものである。そして、ここでも、予定価格の根拠を確認することができる報告書が作成されていないという問題がある。
2 公共工事については、システムを用いて予定価格を作成しているが、そこにどのような項目があり、如何なる事実が入力されているかは、十分に調査することができなかった。しかし、人工代につき、国の統計表を用いているとの説明があり、その場合は県の人件費の実態に基づいていないのではないかとの疑問を抱いたこともあった。
第4 入札保証金
入札保証金について指摘・意見を述べた契約は、7節である。
入札保証金は、財務規則107条1項2号が定める「入札に参加しようとする者が契約を締結しないこととなるおそれがないと認められるとき」との事実がある場合である。その事実は具体的な事実でなければならない。そして、その具体的事実があることは、これを確認することができるようにするため、報告書に記録されなければならない。入札者が少ない実態では、落札者となるべき者が契約を締結しないことは事実上あり得ないことと思われるが、仮にそうだとしても、本来は事前には分からないことであるし、少ない場合も落札者となるべき者が契約を締結しなければそれまでの手続が無駄になるため、入札者が少ないと予想される場合も、入札保証金免除の要件が具備されているか、厳格に判断する必要がある。
第5 随意契約における見積合わせの省略
1 随意契約における見積合わせの省略につき指摘・意見を述べた契約は、23節、
27節、58節、64節である。
2 財務規則116条の2第1項本文は、随意契約においては、原則として2人以上の者から見積書を徴すべきことを定め、同項ただし書きは、「契約の目的若しくは性質により相手方が特定される等見積書を徴しがたいとき」は見積もり書を徴しないことができると定めている。これは、随意契約においても原則として2人以上の者と交渉すべきとする趣旨と解する。指摘・意見は、これを行わないことについての判断が合理的範囲内にあることにつき疑問が残った場合である。そして、目についたところは、その判断過程についての記録がなく、その適法性、相当性を確認することができないということである。それゆえ、それを記録した報告書を作成することが望ましい。
第6 契約書
1 契約書の書式
⑴ 契約書の書式として、当該契約書の書式では当該契約の債権債務が特定されていることにはならないとの指摘は、1節、3節、4節、10節、27節、29節、
39節、45節及び52節で記述した。
⑵ 県は、県の契約について訴訟を提起すること又は提起されることが現実にあり得るとは考えていないのかも知れないが、契約で定めた内容の債務の履行がなされない場合に、損害賠償請求訴訟を提起しても、契約書だけでは債務を特定することができないのであれば、勝訴することが困難になる。県は、契約書の作成につき、全般的にみて、契約書を効率的に作成することができること、概要が分かり易いことを重視し、債務不履行の抑制、契約を巡る紛争予防、起こった紛争の迅速な解決という契約書の本来的な機能を軽視しているのではないかという印象を抱いた。
2 契約書の記載内容
⑴ 契約書の内容が不適切との指摘・意見は、39節、45節、49節、52節から54節、58節、59節、62節、67節があった。
⑵ 契約書は、当該契約の目的及び内容に応じて作成する必要がある。契約には全て個性がある。その個性に対応せずに作成された契約書は、その内容が自己に不利益な内容になっていても気付き難くなることもあるし、紛争が生じ易くなることもあるし、紛争が生じた場合に契約書に基づいて適切に解決することが困難になることもある。契約書の記載内容についての指摘・意見は、そのような理由に基づくものである。なお、67節の契約書は、契約の解除において、県が破産したり、租税の滞納処分を受けたり、営業許可を取り消されること等を想定した滑稽な契約書である。
第7 契約保証金
1 契約保証金の免除についての指摘は、8節、14節から19節、25節、28節、29節、31節、32節、34節、36節、37節、39節から41節、4
2節、45節、46節、48節から55節、58節、60節、61節、63節、
65節、68節、合計35節に上った。
2 契約保証金は、債務の履行を確保する効果を持つものであり、仮に債務不履行が生じた場合はこれを損害の填補に充てることができるのであるから、契約保証金を支払わせることができることは、自治体にとって有利な制度である。それゆえ、財務規則99条2項の契約保証金免除規定は、厳格に解すべきである。契約保証金を免除する事情は、これを推測すれば、契約保証金を預かっても、これを
結局返すことになるなら、預かることは無駄であるから省きたいということかもしれないが、それは無駄な手続ではない。契約保証金を返すときは、債務の履行がなされて、契約保証金預かったことの目的が達成されることになるからである。
その利益は、契約保証金の経費よりも遙かに大きいと考える。
3 相手方が「契約を履行しないおそれがないと認められるとき」に当たる事由として、「建設工事等入札参加業者資格者名簿」又は「物品等入札参加業者適格者名簿」に登載されていることを挙げることは、誤りである。これらの名簿に登載されていることは、契約締結時において相手方につき債務不履行をしないと認めることができる事由ではない。それは、入札に参加することができる資格があると認められただけの事実に過ぎないし、しかも入札参加資格によって入札から排除される可能性もある事実に過ぎないからであり、その上、入札参加資格が審査された時期と契約締結時は、必ずしも時期が同じではないからである。
第8 履行の監督及び確認
1 履行の監督及び確認について意見を記述した契約は、1節、30節、37節、
43節、45節、50節、52節、65節である。
2 履行の監督は、履行を確実にし、履行の確認は、不完全履行や瑕疵を見逃した 支払を防ぐことになり、これを怠ることは、直ちに大きな損失を招くおそれがあ る。この履行の確認及び検査を対象とする監査は、特に建設工事において、書類 の開示が遅れたために調査が不十分になり、心残りであるが、確実にいえること は、契約事務の内容を確認することができる書類が作成されているとは言い難い ということである。会計を所管する部署が、履行の監督及び確認をした者が適切 にそれをしたであろうと信頼する外ないような概略的な書類を作成するだけでは、履行の監督及び確認をしたことにはならない。同じ組織の者との間の相互信頼は 必要であるが、人を見て仕事を見ないのであれば、効率的に組織が機能すること はあり得ない。仕事が見えるように報告書を作成すべきであり、それが契約事務 の適法性、相当性を保ち、他の部署の契約事務の内容を確認することも容易にな り、決裁が契約事務の内容を見て適切になされることになり、組織全体として、 効率性が向上すると考える。
第9 住民の福祉の増進等
1 住民の福祉
45節で、履行の監督及び確認として記述しているが、その内容は、グラウンド用白線の成分のサンプル検査をすることを求めるものである。県は、そのようなことは不要なことだと認識しているが、契約金額が市場価格と比較して廉価に過ぎるように思え、そのことから、かつて使用されていた有害な消石灰が混入し
ている可能性もあるのではないかとの疑念を生じたがゆえの指摘である。そのようなことはあり得ないとしても、県がサンプル検査をすれば、自分の子どもの健康に県が十分な配慮をしてくれているとの認識が住民に生まれ、それが県の行政全般に対する信頼感を醸成することになり、県の行政事務の処理に有益となるものと考える。
2 報告書の作成
入札保証金の免除、随意契約の選択、総合評価競争入札の選択、契約保証金の免除及び履行の監督及び確認等で、契約事務の具体的内容を確認することができる報告書の作成を求めているが、それは、効率性についての考え方の違いによるものである。そのような書類の作成を省き、概要が確認できる書類の作成に止めれば、書類作成の執務時間は大きく減少することは確実である。しかし、それを作成した本人の記憶も時の経過によって薄れるし、そもそも、担当者以外は、その内容を確認することができないのであるから、組織として、その契約事務の内容を把握できないままに、その手続に基づく手続をすることになる。その具体的内容が確認できないならば、その契約時に基づく他の所管の契約事務が困難となり、効率性が低下するし、有効的な協働も困難となる。指揮命令の上下関係においても、決裁が形式化するおそれがあり、情報が管理職に正しく伝わらず、その判断が適切になされなくなるおそれも否定しきれない。報告書の作成には、時間がかかるが、その記載内容が具体的で分かり易く、そして添付された資料が適切であれば、その後の事務処理の能率は上がり、組織全体としての効率性は向上するし、異なる部署同士の連携も取り易くなるから、報告書の作成を省くよりも、これを作成する方が遙かに効率的であり、有効性があると考える。
3 中小企業及び労働者への支援
総合評価競争入札につき、公共工事品質確保法に基づき、下請負の請負代金が適正であり、速やかに支払う業者、労働者の労働条件の向上や労働環境の改善に努める業者を、公共工事の発注において高く評価すべきであるとの指摘は、中小企業の経営者やそこで働く労働者達の福祉の増進の視点に基づくものであり、支払われた契約金額が大企業に止まり、その取締役達の高額所得になるよりも、中小企業や労働者に対してより多額が支払われ、消費が増えるようにする方が、遙かに経済効率が良いと考えたからでもある。県は、公共工事の多額な予算をもって、地域経済の発展に大きな役割を果たす立場にあり、その役割を法令の趣旨に沿って適切に果たすことが住民の福祉を増進させることになるものと考える。
第4節 指摘及び意見を踏まえての提言
第1 規則及び要綱等の改定及び全体的整理
規則及び要綱等は、法令の改定に対応していないところがある。そして、要綱、
要領及び手引きは、数が多くて把握が困難であり、部分的に重複や矛盾も見受けられる。それは、契約事務を担当する部署がそれぞれ要綱等を作成し、他の部署と協議することなく改定することから生ずることではないかと推測する。そこで、規則、要綱及び要領等の全体を確認し、法令に合わせて改定し、要綱及び要領等を整理し、統廃合することを検討すべきである。そして、その作業は、契約事務に係わる部署全体で連携して行う必要があると考える。
第2 報告書の作成と組織の在り方
作成する書類は、効率性を旨とし、概要を記載するものになっていることが多い。それは、契約事務の具体的内容の確認、理解を困難にし、組織の横の連携においても、上下の管理、指示命令においても、実質的な効率性、有効性を妨げることになると考える。それゆえ、契約事務のうち、法令の適用、不適用の判断に係る契約事務、次の手続の前提となる契約事務は、契約事務の具体的内容を記述し、その記述内容を確認することができる資料を添付する報告書の作成を義務付けるべきである。この報告書の作成を中核として、組織の在り方の改革をすることを検討することが、必要かつ有益ではないかと考える。
第3 公共工事の在り方
公共工事は、地域社会に有用なxx物を設置し、これを使用する住民の福祉を増進し、県の予算を地域社会に投下し、地域経済の活性化に寄与する効果を持っていて、自治体の行政事務のうち最も重要な部分である。公共工事適正化法及び施行令ならびに公共工事品質確保法は、この公共工事の在り方を定める重要な法令である。そこに定められている基本的理念として、県が改めて重要なこととして意識すべきことは、情報公表、談合等の不正行為の排除、下請負の保護、建設労働者の保護であると考える。県は、これらの基本理念に沿い、かつ法令を遵守して契約事務を行うべきでは当然のことであるが、さらに進んで、具体的施策として、情報公表については、ホームページを改良して住民が知りたい情報への接近を容易にして情報公表を進めること、談合等の対策は、情報提供を待つことから、入札参加状況の年度を超えての推移の分析、入札価格の内訳書の比較対照等により、談合等の不正行為の有無を積極的に調査する方向へ変えること、下請負の保護については、下請負の実態に合わせて分割発注する等、下請負が直接受注することができるようにすること、建設労働者の保護については、賃金等の労働条件及び労働環境につきあるべき水準を示して、労働条件の向上及び労働環境の改善を奨励し、これに応じて労働条件の向上及び労働環境の改善に努めている業者を優遇することを提案する。
第3部 各論
第1編 建設工事
第1章 一般競争入札
第1節 平成29年度幕張メッセ施設整備機械設備工事(トイレリニューアル他)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 幕張メッセの国際展示場の施設整備に伴う機械設備工事の請負契約 |
契約方法の種類 | 総合評価一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 株式会社。本店所在地は東京。資本金35億円。 下請けは、一次下請け10社、二次下請け7社、三次下請け3社、四次下請け1社となっている。相手方が直接施工する部分は、無い。 |
代金額 | 2億5920万円(税込み) |
契約保証金 | 2592万円 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
契約書に「別添の条項」を特定する記載はなく、他方、約款には、「契約書」を特定する記載はない。そして、設計図書については、別冊の図面等を特定する記載はなされていない。そのため、債権債務が特定できない。よって、債権債務を特定することができるようにする書式に改定すべきである。
2 総合評価方式(指摘)
⑴ 総合評価競争入札は、自治令167条の10の2第1項又は第2項の要件に該当する事由がある場合に行うことができる。ところが、予定価格5千万円以上(税込み)の工事について適用すると定める総合評価方式ガイドラインを適用し、自治令の上記要件具備は、調査も検討もしていない。よって、総合評価方式ガイドラインのxx県総合評価方式の実施方針、即ち、「予定価格5000万円以上(税込み)の工事について総合評価方式を原則として適用する」との規定は、これを廃止すべきである。
⑵ 県が定める総合評価項目は、公共工事適正化法、施行令、公共工事品質確保法、の趣旨と整合していない。総合評価項目を改定し、下請負に施工させることを常態とする業者、下請負及び二次以下の下請負の請負代金額の適正化に努めない業者、及び労働条件の向上及び労働環境の改善に努めない業者は、受注ができないような
評価項目を定めるべきである。
⑶ 総合評価の対象とされた施工計画に施工時の安全対策があった。工事打合せ記録によれば、夜間工事において誘導員がを配置されてなく、イベント主催者から抗議が寄せられるという不祥事が起こっている。県の説明によれば、この不従事を起こした業者は、本節の契約の相手方ではないとのことであるが、その業者も総合評価方式で選ばれた者である。そこで、総合評価項目に不祥事が生じたときは、工事成績評定において、厳しく減点し、債務不履行の有無を検討すべきである。
⑷ 施行令7条2項8号は、総合評価競争入札を行った場合には、これを行った理由や落札者決定基準等を公表すべき定めている。よって、これらの事項を公表すべきである。
3 下請負(指摘)
一括下請けが禁止される理由は、これを認めると不当に安い金額の下請負契約が締結され、また労働条件が悪化する等の弊害が生じるからである。それ故、一括下請けではない場合も、そのような弊害が生じないようにするため、下請契約書、施工体制台帳及び提出の見積書・内訳書から、下請負の受注工事の金額と下請負代金との差額を確認し、上記弊害を生ずるおそれがある場合は、それを是正させるべきである。
4 入札参加資格(意見)
一般競争入札において入札参加資格を定めることは、入札者を制限するということである。これによって入札に参加できる者が減少すると、談合が容易になる。することになる。それゆえ、入札参加資格の制限が、これによって入札参加資格を持つ者の数が談合を容易にする程の少数になることは相当ではない。入札しなかった業者が入札しなかった理由を調査し、入札参加資格を定めたことがどのような効果を持ったかを調査し、今後の入札参加資格を定める場合の参考資料とすべきである。
5 履行の監督及び確認(意見)
⑴ 工事の完成検査は、工事の過程の日常的監督の積み重ねに基づいて行わねばならない。ところが、監督員が工事現場に臨場した状況については、これを確認することはできなかった。それ故、工事監督員は、日常的に工事現場に臨場して施工を監督し、そして、これを日報として記録することが望ましい(意見)。
⑵ 自治令167条の15第4項に基づき、履行確保の監督又は検査につき専門的知識又は技能を必要とする場合、等の理由で、職員が監督又は検査をすることが困難又は適当ではないと認められるときは、職員以外の専門的知識又は技能を有する者に委託することを検討することが望ましい。
第2節 社会資本総合交付金工事(仮称xxxx線P6・BランプP3・CランプP4橋脚)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 国道464号北xx道路のxx橋(仮称・xx市xx所在)の建設工事に係 る請負契約 |
契約方法の種類 | 総合評価一般競争入札 |
入札者の人数 | 2者 |
相手方・下請負 | xx市美浜区に本店を置く株式会社 下請負あり |
代金額 | 請負代金の総額は4億1671万2600円(税込み)うち平成29年度の 債務負担額(支出額)は2億1360万円(税込み) |
契約保証金 | 3963万6000円 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
契約書添付の約款に定めた条項が本節の契約内容となることや、工事の具体的内容を定める設計図書について、建設工事請負契約書上では十分な特定がなされているとはいえないことから、これらについて、契約書の内容からxx的に特定できるよう契約書の書式を改定すべきである。
2 総合評価(指摘)
法令上、総合評価競争入札を選択するときは、まず、自治令が定める要件の具備につき検討する必要があるにもかかわらず、本件総合評価方式の選択においてはこの十分な調査、検討をされているとは言い難いことから、一般競争入札において総合評価方式を適用するには、自治令が定める適用要件の具備を調査し、検討すべきである。また、検討内容及び結果を後日確認できるようにするため、その手続につき書面を作成すべきである。
3 入札参加資格(意見)
県は入札参加者数を20者以上と見込んでいたが、実際に入札に参加したのは2者であり、県の見込みを大きく下回った。県は、本契約の入札参加資格要件(例えば、地域要件や施工実績等)が妥当であったのかを検証し、今後類似の契約の一般競争入札を実施する際は、必要に応じて入札参加資格を緩和するなどの措置をとることが望ましい。
第3節 海岸基盤整備(復興)工事(目那川樋管ゲート製作据付工)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 旭市xx地区を流れる普通河川目那川の開口部からの津波遡上を防止する 施設として、樋管ゲートを製作・据付する工事の請負契約 |
契約方法の種類 | 総合評価一般競争入札 |
入札者の人数 | 1者 |
相手方・下請負 | 香川県内に本社を有する株式会社(下請負はなし) |
代金額 | 1億7496万円(税込み) |
契約保証金 | 契約保証金は、1749万6000円。但し、契約保証金の納付に代え、契 約書4条1項3号に基づき、保証事業会社の保証書を県に差し入れ |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
契約書添付の約款に定めた条項が本節の契約内容となることや、工事の具体的内容を定める設計図書について、建設工事請負契約書上では十分な特定がなされているとはいえないことから、これらについて、契約書の内容からxx的に特定できるよう契約書の書式を改定すべきである。
2 総合評価(指摘)
法令上、総合評価競争入札を選択するときは、まず、自治令が定める要件の具備につき検討する必要があるにもかかわらず、本件総合評価方式の選択においてはこの十分な調査、検討をされているとは言い難いことから、一般競争入札において総合評価方式を適用するには、自治令が定める適用要件の具備を調査し、検討すべきである。また、検討内容及び結果を後日確認できるようにするため、その手続につき書面を作成すべきである。
3 入札参加者の人数(意見)
担当課は、今後の発注業務の適正化の観点からも、入札者数が少なかった原因について、入札参加資格の妥当性の検証も含めた調査等を行うことが望ましい。
4 契約の変更-入札実施時期(意見)
工期の変更は、受注業者にも人手の確保時期などの調整を強いる結果となることから、誰にとってもできる限り避けられた方がベターであり、担当課は、工期の変更をできる限り避けるように入札実施時期の判断を行うことが望ましい。
第4節 県単運動公園周辺地区整備工事(2号調整池排水設備)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 運動公園周辺地区の区画整理事業進捗に伴う雨水流出増に対処するため、x x池の排水設備を設置する工事請負契約 |
契約方法の種類 | 総合評価一般競争入札 |
入札者の人数 | 2者 |
相手方・下請負 | 東京都内に本社を有する株式会社(一次下請け2者、二次下請け1者) |
代金額 | 6116万6880円(税込み・契約変更後の最終的金額) |
契約保証金 | 契約保証金の納付に代え、契約書4条1項5号に基づき履行保証保険契約を 締結し、保険証券を県に寄託 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
契約書添付の約款に定めた条項が本節の契約内容となることや、工事の具体的内容を定める設計図書について、建設工事請負契約書上では十分な特定がなされているとはいえないことから、これらについて、契約書の内容からxx的に特定できるよう契約書の書式を改定すべきである。
2 総合評価(指摘)
法令上、総合評価競争入札を選択するときは、まず、自治令が定める要件の具備につき検討する必要があるにもかかわらず、本件総合評価方式の選択においてはこの十分な調査、検討をされているとは言い難いことから、一般競争入札において総合評価方式を適用するには、自治令が定める適用要件の具備を調査し、検討すべきである。また、検討内容及び結果を後日確認できるようにするため、その手続につき書面を作成すべきである。
3 入札参加者の人数(意見)
担当課は、入札者数が低調であった場合には、入札参加資格の妥当性の検証も含め、その原因を調査するなどして入札者数の確保を図ることが望ましい。
第5節 社会資本整備総合交付金工事(xx・工事用進入路工)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 道路を建設するための大規模な補強盛土工や切土工を行うにあたり、資材や 建設機械を搬入する桟橋や工事用進入路を施工する請負契約 |
契約方法の種類 | 総合評価一般競争入札 |
入札者の人数 | 2者 |
相手方・下請負 | 土木建築工事の請負等を業とする千葉県内の株式会社(下請負あり) |
代金額 | 2億8728万円(税込み) |
契約保証金 | 2872万8000円 |
第2 指摘・意見
1 総合評価(指摘)
⑴ 総合評価方式を選択する場合は、自治令が定める適用要件の具備を調査し、検討すべきである。これを妨げている総合評価ガイドラインのxx県総合評価方式の実施方針、即ち、「予定価格5000万円以上(税込み)の工事について総合評価方
式を原則として適用する」との規定は、これを廃止すべきである。そして、総合評価方式実施要領2条⑴から⑷も、自治令の趣旨に沿っているとは言い難いところがあるため、改正すべきである。
⑵ 法令を遵守するため、総合評価項目を改定し、下請負に施工させることを常態とし、或いは二次、三次、四次の下請負に施工させる業者、労働条件が劣悪な業者、眼に見えないところで手抜きをする業者、xxな競争に疑いが生ずる同一業者の反復受注ができないような評価項目を定めるべきである。
⑶ 総合評価項目に不祥事が生じたときは、工事成績評定において、厳しく減点し、債務不履行の有無を検討すべきである。
⑷ 本節の工事は、総合評価方式が適用されていることから、施行令7条1項、2項が公表事項と定める事項を全て公表すべきである。
2 入札参加資格(意見)
一般競争入札であるが、入札者が2名しかおらず、多くの参加者から業者を選定する一般競争入札の趣旨が実現されていない。入札参加資格などを再検討し、入札者の増加及び入札の活性化ができないか検討するのが望ましい。
第6節 公共運動公園周辺地区整備工事(46-1街区外粗造成)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 流山都市計画運動公園周辺地区の宅地造成工事(敷地造成工、除草・伐採工、 構造物撤去工及び仮設工等)に係る請負契約 |
契約方法の種類 | 事後審査型の一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | xx市に本店を置く株式会社 下請負あり |
代金額 | 3812万4000円(税込み) |
契約保証金 | 381万2400円 |
第2 指摘・意見
1 入札参加資格(意見)
県は入札参加者数を20者以上と見込んでいたが、実際に入札に参加したのは3者であり、県の見込みを大きく下回った。県は、本契約の入札参加資格要件(例えば、地域要件や施工実績等)が妥当であったのかを検証し、今後類似の契約の一般競争入札を実施する際は、必要に応じて入札参加資格を緩和するなどの措置をとることが望ましい。
第2章 指名競争入札
第7節 中庁舎第2電気室空調設備更新工事
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 売買契約と請負契約の混合契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 相手方は、xx市内の有限会社である。下請負は3者である。 |
代金額 | 835万9200円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項1号により免除 |
第2 指摘・意見
1 指名競争入札の選択(指摘)
本契約は、自治令167条1号をその根拠として指名競争入札を経て締結されている。
しかしながら、自治令167条1号は、「工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないもの」であるときに指名競争入札に付することができるとされている。本件は、庁舎内の空調設備の工事であり、特殊な工事ではないところ、一般競争入札に付するか否かについても検討されることが望ましい。
2 入札保証金の免除(意見)
本節の入札においては、入札保証金が免除となっているが、免除の根拠となる資料を徴求することが望ましい。
決裁の書面上、入札保証金を免除する根拠規定として、財務規則107条1項2号があげられていた。しかし、指名競争入札については、財務規則114条が107条を準用している。したがって、一般競争入札の規定をそのまま根拠規定として記載することは不正確である。
第8節 (仮称)旧ちばキャリアアップセンター大規模改修工事に係る家屋事前調査業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | (仮称)旧ちばキャリアアップセンター大規模改修工事に係る家屋事前 調査の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 6者 |
相手方・下請負 | 調査・建設コンサルタント業務等を営む株式会社。下請負はない。 |
代金額 | 453万600円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
業務委託契約書に業務委託仕様書が綴じ込まれていない。仕様書は契約の内容を構成するものであるから、契約書と一体として綴じ込むべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、受注者は過去2年間にxx県と契約実績(平成27年度
36件、平成28年度23件)があり、これらをすべて誠実に履行し、かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められたことからとするが、「契約を履行しないこととなるおそれがない」ことの具体的な検討がなされているとはいえない。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても具体的に調査を行うべきである。そして、財務規則99条2項3号の要件の具備につき、調査した結果を報告書にまとめ、資料を添付の上、記録に残すべきである。
第9節 県単都市河川管理工事(逆井浄化施設設備補修工)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 一級河川xxx水系大xxの柏市逆井地先にある河川浄化(リン除去) 施設の設備の機能向上のための補修工事の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 6者 |
相手方・下請負 | xx市内に支店をもつ機械器具設置工事・水道施設工事等の請負を業と する株式会社(下請負あり) |
代金額 | 842万4000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条第2項1号により免除 |
第2 指摘・意見
指摘・意見はない
第10節 海岸基盤整備(復興)工事(玉xx樋管ゲート製作据付工)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 旭市xx地区を流れる普通河川玉xxの開口部からの津波遡上を防止す る施設として、樋管ゲートを製作・据付する工事の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 4者 |
相手方・下請負 | 札幌市内に本社を有する株式会社(下請けあり) |
代金額 | 2883万6000円(税込み) |
契約保証金 | 契約保証金は、288万3600円である。契約保証金の納付に代え、 契約書4条1項3号に基づき、金融機関の保証書を県に差入れ |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
契約書添付の約款に定めた条項が本節の契約内容となることや、工事の具体的内容を定める設計図書について、建設工事請負契約書上では十分な特定がなされているとはいえないことから、これらについて、契約書の内容からxx的に特定できるよう契約書の書式を改定すべきである。
2 入札者数の確保(意見)
担当課は、入札者数が低調であった場合には、その原因を調査するなどして入札者数の確保を図ることが望ましい。
第11節 県単xx西地区上水道配水管布設工事
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 配水管布設工事を行うという請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 11者 |
相手方・下請負 | 本店所在地はxx県木更津市、事業目的は土木工事、管工事、塗装工事、 水道設備工事の請負(下請負なし) |
代金額 | 変更前 2632万7160円(税込み)変更後 2837万9160円(税込み) 再変更後 3041万640円(税込み) |
契約保証金 | 263万2716円 |
第2 指摘・意見
1 指名競争入札の選択(指摘)
土地区画整理事業の場合、造成工事等を施工の上、土地所有者に「換地」として引き渡すところ、土地所有者の生活に支障を来すため短時間で引き渡す必要があるとのことである。そして、工事で不測の事態が生じた場合、一般競争入札で早期に発注をして契約をしても、工事着工ができないおそれがあるため、指名競争入札としているとのことであった。また、土地区画整理事業は、事業費捻出の為に早期に保留地を整備し売却を進める必要があるとのことである。
不測の事態とはいかなることを想定しているのかにもよるが、通常起こりえないことを前提としている以上、一般競争入札で契約しても、通常は問題なく工事に着工できるはずである。
また土地所有者の生活への支障というが、実際に支障が生じるのは、工事に着工してからであり、一般競争入札か指名競争入札で、工事期間に違いはないはずである。
よって本節の契約は一般競争入札にすべきであったと思われる。今後は自治令
167条1号の要件、即ち、当該契約の「性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき。」につき、具体的かつ実質的に検討し、的確に判断すべきであり、疑問が残るときは一般競争入札とすべきである。
2 指名業者の選定方法(意見)
本件では、指名業者選定の留意事項として、当該工事に対する地理的条件の項目につき、本店所在地が君津土木事務所管轄内と定められている。
建設業の健全な発展や担い手育成、地域経済の活性化の行政目的から君津土木事務所管内の業者から選定をすることを基本とするとの目的であれば一定の合理性が認められる。ただし、地元優先は行き過ぎるとひいては癒着の温床となるので、注意するのが望ましい。
また本件工事は、水道本管及び各宅への供給管の敷設工事であり水道事業者は木更津市であったことからすると、木更津市が、水道法16条の2第1項に基づきその給水区域において、給水措置工事を適切に施工することができると認めたる者の指定をすることができたことを考慮する必要があったものといえる。よって、木更津市指定給水装置工事事業者であることを指名業者選定に当たっての留意事項とするのが望ましい。
第12節 県単河川総合開発工事(貯水池内堆積土砂掘削)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県単河川総合開発工事(貯水池内堆積土砂掘削)の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 10者 |
相手方・下請負 | 相手方は、産業廃棄物処分等を事業内容とする株式会社。 下請負は、掘削工1者である。 |
代金額 | 4838万4000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項1号の規定により免除 |
第2 指摘・意見
1 入札方法の選択(指摘)
本節の契約において、入札方法として指名競争入札を選択しているところ、上述のとおり、県は、工事の性質上工期が限定されることを理由としている。
しかしながら、自治令167条1号において、指名競争入札を選択する要件として、「工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき」との規定が定められており、一般競争入札に適しないという要件を満たすかの検討が十分になされているとはいえない。
今後は、当該要件を検討の上、記録に残すべきである。
2 契約書-個人情報特記事項(意見)
個人情報の利用がないにもかかわらず、個人情報特記事項が契約書に規定されていた。
個人情報の利用がない場合は、個人情報特記事項を規定する必要はないため、当該事項を契約書に規定しないことを要望する。
第13節 県単道路改良(幹線)工事(安全施設工)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 一般国道464号xx市松虫外における工事の進入防止用の立入防止柵 の設置の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条2号 |
入札者の人数 | 12者 |
相手方・下請負 | 千葉県内の土木工事の請負等を業とする株式会社(下請負あり) |
代金額 | 1544万4000円(税込み) |
契約保証金 | 154万4400円 |
第2 指摘・意見
指摘・意見はない
第14節 平成29年度木地区画地確定測量業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 平成29年度木地区画地確定測量業務の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 8者 |
相手方・下請負 | 相手方は、測量業務等を事業内容とする株式会社(千葉事務所)。 下請負はない。 |
代金額 | 1900万8000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 指名競争入札の選択―入札参加資格要件(指摘)
入札参加資格要件として、「公益社団法人街づくり区画整理協会」の会員であることが設定されているところ、そもそも「公益社団法人街づくり区画整理協会」の会員であることからといって、一般的な測量とは異なるものも含め土地区画整理事業に精通しているとは限らない。また、同協会の会員数(賛助会員を含む)が、県内でわずか3しかない(東京でも49)ことから、土地区画整理事業に精通している業者が一般に加入する協会であるとも考え難い。さらに、要件に該当する業者数が少ないことから、競争性が阻害されていると言わざるを得ない。
そこで、入札参加資格要件から「公益社団法人街づくり区画整理協会」の会員であることを除外するべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、入札参加資格者名簿に登載されている業者であり、ちば電子調達システムで、過去2年間の契約実績及び履行を確認しており、契約を履行しないこととなるおそれがないと判断したため、それをもって同号の要件に該当すると判断している。しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の財務状況等、契約履行能力の有無についても検討を行うべきである。そして、財務規則99条2項3号の要件の具備につき、調査した結果を報告書にまとめ、資料を添付の上、記録に残すべきである。
第15節 国府台県営住宅A工区建設工事監理業務委託(平成29年度事業)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 国府台県営住宅A工区の工事監理業務を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 5者 |
相手方・下請負 | xx市に本店を置く特例有限会社 下請負あり |
報酬額 | 1814万4000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘
1 指名競争入札の選択(指摘)
本契約においては、委託箇所実地での監理業務であり、地元地域の業者を選定することで十分な成果が期待できること、競争力に勝る業者の受注の偏りを排除し、受注機会の均等により県内地域の中小企業の育成に配慮しつつ、能力が劣る不良・不適格業者を排除することにより公共工事の品質確保を図り、かつ、受発注者双方の事務負担の軽減が図れること等を理由として、指名競争入札が選択されている。しかしながら、これらの目的は条件付き一般競争入札を実施することによって達成可能と考えられるため、本契約について指名競争入札を採用する理由としては不十分である。指名競争入札を採用するにあたっては、条件付き一般競争入札によって対応することができないのかどうか、十分に検討すべきである。
2 指名競争入札の選択(指摘)
本契約においては、建設工事等契約事務取扱実施規程に基づき、指名業者選定審査会の意見を聴いた上で指名業者が決定されているが、指名業者選定審査会の議事録は作成されておらず、指名業者の決定にあたって、どのような検討がなされたのかを事後的に確認することができない。指名業者の選定がxxに行われたことを事後的に検証することができるように、指名業者選定審査会の議事録を残すようにすることが望ましい。
3 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められな
かった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
第16節 河川総合開発委託(xxダム長寿命化計画策定)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xxダムの「ダム長寿命化計画」の策定を委託する請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号。 |
入札者の人数 | 7者 |
相手方・下請負 | 大阪市に本店を置く株式会社 下請負はない。 |
代金額 | 1869万480円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められなかった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
2 指名競争入札の選択(指摘)
本契約においては、建設工事等契約事務取扱実施規程に基づき、指名業者選定審査会の意見を聞いた上で指名業者が決定されているが、指名業者選定審査会の議事録は作成されておらず、指名業者の決定にあたって、どのような検討がなされたのかを事後的に確認することができない。指名業者の選定がxxに行われたことを事後的に検証することができるように、指名業者選定審査会の議事録を残すべきであ
る。
3 専門家意見聴取会(意見)
調査項目を追加する変更契約を行う端緒となった当該専門家意見聴取会の協議内容は、打合せ記録簿に記録されているが、追加調査に関する記載は「追加調査として、堤体下流面のクラックマップ作成、シュミットハンマー試験を実施し、今後のダム管理の基礎資料とすることは、妥当と考える。」との記載のみである。かかる記載のみからでは、いかなる資料に基づき、どのような検討結果を経た結果、当該追加調査が必要であるとの判断に至ったのかが判然としない。専門家意見聴取会における検討結果は、追加調査(変更契約)の必要性を基礎づけるものであるから、いかなる資料に基づき、どのような検討を行った結果、どのような追加調査が必要となったのかが読み取れる程度の記載をすることが望ましい。
第17節 江戸川第一終末処理場設備資材価格特別調査業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県の流域下水道事業における、江戸川の第一終末処理施設の機械及び電気工事用資材について、平成30年度の設計単価を決定させるため の実勢価格調査を目的とする請負契約。 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 4者 |
相手方・下請負 | xx市内に営業所を有する、資材価格調査事業等を行っている株式会社。 (下請負はない。) |
代金額 | 変更前 723万6000円(税込み) 変更後 738万720円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまで例外的な扱いであることは明らかであり、したがって免除とするための検討は慎重に行うべきである。そのため、いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当しているのかについての調査検討を行い、その検討経緯(結果)については書面として残しておくべきである。
第18節 国道道路改築委託((仮称)時xx橋橋梁詳細設計)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 本契約は200mを超える長大橋梁の詳細設計であることから、同規模の設計実績を有する業者が受託することが適切であることから指名競争 入札とした。 |
入札者の人数 | 8者 |
相手方・下請負 | 建設コンサルタントを事業内容とする株式会社であり、本社は東京に所 在する。(下請負はなし) |
代金額 | 4989万1680円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金(指摘)
財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、
「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も 定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても調査を行 うべきである。
2 履行期間延長申請書の日付が記載されていない(意見)
本件では、相手方から、契約の履行期間に関する延長申請がなされている。しかしながら、延長申請書には、日付の記載がなされていない。不測の紛争を予防する観点から、日付の記載を要求すべきである。
第19節 県単港湾管理委託(木更津港港湾施設定期点検)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 木更津港港湾施設定期点検の請負契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条1号 |
入札者の人数 | 8者 |
相手方・下請負 | 相手方は、港湾・臨海開発等を事業内容とする株式会社である。 下請負はない。 |
代金額 | 1614万2760円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
⑴ 県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、測量等の委託業務の入札への参加を希望する業者は、
2年に1度の県報告示に従い、必要な書類を添付した上で県に申請を行い、審査を受け、入札参加資格者名簿に登載される必要がある。そして、名簿登載の申請に必要な書類には、納税証明書、財務諸表、測量法55条1項の規定による登録証明書等などがあり、これらの審査を経て入札参加資格を得ていることから、名簿登載業者については、県との契約を適切に履行できる契約の相手方として相当であるとの評価を受けているものと解釈し、落札決定時や契約締結時に指名停止措置や倒産等の事前情報が発行されていない場合には、それをもって同号の要件に該当すると判断している。
⑵ しかし、入札参加資格者名簿登載時の財務状況と、契約時の財務状況が大きく変動している可能性があり、必ずしも契約締結時において相手方に契約履行能力があるとはいえない。よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても具体的に調査を行うべきである。そして、財務規則99条2項
3号の要件の具備につき、調査した結果を報告書にまとめ、資料を添付の上、記録に残すべきである。
2 低入札価格調査制度-調査基準価格(指摘)
相手方からの請求書の受領後、支払審査中の出納課からの指摘により、入札時の調査基準価格の誤り(3万2400円)があったことが判明した。
本件では落札者には影響するものではなかったが、入札の結果に影響を及ぼしうるものであることから、今後はかかる誤りが発生しないように、聞き取り調査等により算定誤りが生じた原因を調査し、再発防止策を講ずるべきである。また、その調査結果は報告書にまとめて記録に残すべきである。
3 契約書-個人情報特記事項(意見)
個人情報の利用がないにもかかわらず、個人情報特記事項が契約書に規定されていた。個人情報の利用がない場合は、個人情報特記事項を規定する必要はないため、当該事項を契約書に規定しないことを要望する。
4 低入札価格調査制度-低入札価格調査(意見)
低入札価格調査対象があったが、「建設工事等に係る委託業務の低入札価格調査試行実施要領」に基づいて届出がなされたため、入札を無効として事務処理を行った。「低入札価格調査報告書の提出に代わる届出」が提出された場合は、低入札価格調査は中止されることとされているが(建設工事等に係る委託業務の低入札価格調査試行実施要領10条4項)、制度運用の参考のため、担当者に聞き取りを行うことがあることとされている(同別記第16号の2様式)。そこで、「低入札価格調査報告書の提出に代わる届出」を提出した理由、当該価格での入札を行った理由、積算方法等について聞き取りをすることが望ましかったものと考えられ、今後は「低入
札価格調査報告書の提出に代わる届出」が提出された場合であっても、担当者に聞き取りを行うことを要望する。
第20節 県単道路改良(幹線)委託(時xx地区工事用道路検討)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 請負契約 |
契約方法の種類 | 簡易公募型指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 本節の契約は工事用道路、付帯構造物、仮設構造物と複数の詳細設計を実施するものである。簡易公募型指名競争入札では、応募調書資料により、指名を希望する業者の業務実績及び配置予定技術者の業務経験について、詳細に確認できること、また、これらの資料を基に指名業者を選定することから当該契約に適した方式と判断したことから選択してい る。 |
入札者の人数 | 4者 |
相手方・下請負 | xx市内に本店所在地を置く株式会社である。(下請負はなし) |
代金額 | 626万4000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金(指摘)
具体的な入札者が決定されていない段階で、財務規則99条2項3号に該当するとして、契約保証金を免除する旨の決裁がなされている。財務規則99条2項3号は、履行をしないおそれが認められない場合に、履行をしない場合の損害賠償を担保する性質を有する契約保証金を免除する趣旨の規定である。よって、具体的な落札者が決定した段階で、その履行実績、能力を調査して、その該当性が判断されなければならない。
2 応募者の人数(意見)
当初の見込みでは、応募者予定数は10者であった。しかし、実際には4者からの応募であった。競争原理を働かせるためには、応募者数が見込より少なかったことに対する検討がなされるべきである。
第21節 (仮称)佐津間県営住宅基本設計業務委託(平成29年度)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 請負契約 |
契約方法の種類 | 簡易公募型指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 大規模建築物の設計業務において、能力及び実績を持った業者を選出することにより公共工事の品質を図るために簡易公募型の指名競争入札が 選択された。 |
入札者の人数 | 9者 |
相手方・下請負 | xxx市を本店所在地とする設計などを事業内容とする会社。下請負は 3者。 |
代金額 | 1014万1200円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 請求書の日付について(意見)
相手方からの代金請求書の日付が空欄となっていた。
契約書上、県の支払は、請求があった日から30日以内とされており、これを過ぎると債務不履行となり、遅延損害金が発生しうる。そのため、請求があった日が
30日の経過の有無を判断する重要な起算点となる。したがって、日付を記載させて提出させることが望ましい。
2 下請負(意見)
本節の契約は、公共工事ではなく、公共工事の品質確保の促進に関する法律の直接の適用はないものの、下請の代金額やその業務の適正が確保されなければならないのは当然である。成果物に対する品質確保やその将来的な担い手の確保の観点からは、下請に対する監督を行うことも望ましく、契約書やその担当箇所を把握し適切な下請契約が行われることが望ましい。
第3章 随意契約
第22節 新都市ビル西側外壁網設置工事
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 新都市ビルの西側外壁に網の設置工事を実施するための請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項5号 |
相手方・下請負 | 相手方はxx市内の株式会社である。下請負は1者である。 |
見積合わせ | なし |
代金額 | 1387万8000円 |
契約保証金 | 138万7800円 |
第2 指摘・意見
1 見積合わせ(指摘)
財務規則116条の2第1項は「契約担当者は、随意契約によろうとするときは、原則として二人以上の者(当該契約の予定価格が十万円未満であるときは、一人又は二人以上とする。)から見積書を徴さなければならない。しかし、本件では、1者のみの見積りとなっている。よって、見積書を徴求すべきである。
2 随意契約の選択(意見)
本工事の実施に際して、緊急性を根拠に随意契約が選択されている。
しかしながら、本工事を実施する端緒となった外壁の剥離については、平成26年度より認められ、その後、平成28年度及び平成29年度に合計5回の入札を行っているが、いずれも不調に終わっている。
剥離が発覚していた時期からすれば、緊急性の要件を満たしていることが疑問であることから、不落随契(自治令167条の2第1項8号、9号・入札を行ったが、落札者、入札者がいない場合に随意契約を用いること)が検討されるべきであった。
第23節 平成29年度幕張メッセ施設整備機械設備工事(国際展示場エスカレーター改修)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx市美浜区所在の幕張メッセ国際展示場内に設置されている展示場の エスカレーターの改修工事であり請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | xx市内に支店をもつ株式会社(下請負1者) |
見積合わせ | 見積書は、契約の相手方からのみ徴取している |
代金額 | 2億3155万2000円(税込み) |
契約保証金 | 2315万5200円 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
工事の具体的内容を特定することができるようにするため、設計図書に記載されている建設工事を契約の内容とする書式に改定すべきである。
2 履行の確認(指摘)
エスカレーターの業者は多数居ること、予定価格が高額であることから、外の同
業者からも見積書を徴取すべきである。
第24節 xx第二県営住宅15、17号棟住居改善ガス設備工事
(平成29年度)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 住戸内のガス配管やガス栓の交換工事であり請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 相手方の本店所在地は、xx県xx市であり、事業内容は、ガスの供給、 販売、ガス機器等の販売、関連工事。(下請負あり) |
見積合わせ | 契約の相手方が特定されることから財務規則116条の2第1項但し書 き(運用通達116条の2関係三オ)に基づき省略 |
代金額 | 739万8000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項1号により免除 |
第2 指摘・意見
第1 ガス事業法(指摘)
平成29年7月6日県土整備部都市整備局住宅課担当者が作成した決裁文書である随意契約理由書において、ガス事業法の改正を踏まえず、「都市ガスの供給事業を行うことができるのは、ガス事業法に基づき経済産業大臣の許可を受けた「一般ガス事業者」に限定されており、当該施設のある市原市xxは相手方一者のみがその許可を受けた一般ガス事業者となっている。(以下省略)」と誤った内容が表記された。
そのため、ガス事業法の改正が踏まえられないまま、平成29年7月7日住宅課長らの決裁がなされ、さらに平成29年7月19日、指名業者選定審査会県土整備部会会議にて財務規則115条、xx県建設工事等指名業者選定審査会規定
2条2項に基づき、承認されることとなったのである。
今後は年度に跨って継続的に行う事業の場合、特に法改正に注意して契約事務を行うようにするべきである。
第2 建設工事請負契約書―公共工事標準請負契約約款(意見)
公共工事標準請負契約約款の平成29年7月25日改正内容として、下請企業を含めて社会保険加入の促進を促すため、請負代金内訳書及び工程表を提出させ、内訳書には、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に係る法定福利費を明示するものとされている(公共工事標準請負契約約款現行3条)。これらの改正は、若年入職者減少の一因となっているほか、関係法令を遵守している企業ほど競争上不
利になるなどの課題があったことからであった。
本件において、契約締結日は平成29年10月3日であり、同年9月26日付の上記通知以降に契約を締結している。したがって、改正内容を踏まえることが望ましい。むろん、実務において、上記日程において、改正の反映を間に合わせることは事実上不可能なのかもしれないが、労働者の権利保護という重大な改正であることからすれば、できる限りの努力をすることが望ましい。
第25節 江戸川幹線845工区関連附帯工事(その2)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 下水道管渠に設置したマンホール内に角落としを設置する工事の請負契 約である。 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第6号 |
相手方・下請負 | 相手方は、特定建設工事共同企業体である。下請負はない。 |
見積合わせ | していない。 |
代金額 | 1123万2000円(税込み) |
契約保証金 | 契約保証金を免除している。契約保証金を免除した理由は、財務規則9 9条2項2号の工事履行保証契約の締結である。 |
第2 指摘・意見
1 随意契約の選択理由(指摘)
シールド工事の進捗状況、本体工事の遅れが原因となった二度の工事期間の延期は、随意契約締結時点で予見できたと考えられること、角落としが必要になった事情が本体工事に関連する工事であることから、競争入札を行うこともできたのではないかという疑問もあるので、自治令167条の2第1項6号の「競争入札に付することが不利と認められるとき。」に該当する事実があったとは認め難い。よって、工事を急ぐ理由があると考える場合も、そこに無理がないかを多角的に検討し、競争入札が可能ならこれを選択すべきである。
2 随意契約審査会(指摘)
「xx県建設工事等指名業者選定審査会江戸川下水道事務所部会規定」に従って、随意契約を選択するか否かにつき、随意契約審査会を開催すべきである。
3 施工管理(指摘)
契約書に定めた建設工事を設計図書に従って施工することを確保するためには、施工を監督することが最も効果的である。しかし、監督職員の監督の具体的実施状況については、書類が作成されないため、口頭で報告されていても、上司がその報
告内容を正確に把握し、記憶し、後にその報告を資料として利用することは困難である。よって、監督職員の監督については、報告書や日報を作成し、これらの書類をもって報告するように改めるべきである。
第26節 県単交通安全対策工事(実籾交差点付帯工)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 実籾交差点(習志野市実籾2丁目所在)に隣接する私有地上に設置され た擁壁等の撤去復旧工事に係る請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項6号 |
相手方・下請負 | xxxxxx市に本店を置く株式会社 下請負あり |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項及びxx県財務規則の運用について(通達) 116条の2第3項オにより省略 |
代金額 | 665万3187円(税込み) |
契約保証金 | 66万5319円 |
第2 指摘・意見
1 説明書の作成(指摘)
県が地盤面の低下について当該隣接地の所有者に伝達した記録は残されておらず、また、所有者もかかる事実を聞いていないと主張したため、県の費用負担により本 工事が実施されることになった。今後は、同様の工事において、関係者(隣接地所 有者等)に対して計画の詳細を十分説明し、その説明の相手方、時期及び内容等を 明記した記録を、一定期間保存する措置をとるべきである。
2 随意契約の選定(意見)
本件では、「本工事と既発注工事は、施工及び工程上密接不可分な付帯的な工事であり、入札に付することが不利と認められる」ことが随意契約の根拠とされているが、決裁書類を見る限り、本工事と既発注工事が「施工及び工程上密接不可分」であることは具体的に明らかとされておらず、他業者による受注が価格面で確実に不利に働いたといえるのかどうかは判断し難いと言わざるを得ない。随意契約が例外的な契約方式であることに照らしても、県は、契約履行中の追加工事の場合においても、他の者との契約が不利に働くことを、具体的資料に基づき検討することが望ましい。
第27節 県単橋梁修繕工事(xxxxxx桁補修)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xxxxxの鋼主桁において、腐食損傷が確認されたことから、当該損 |
傷箇所を補修する工事の請負契約 | |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項7号 |
相手方・下請負 | 香取市内に本社を有する株式会社(一次下請け1者) |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項に基づいて省略 |
代金額 | 594万円(税込み) |
契約保証金 | 契約保証金は、59万4000円。但し、契約保証金の納付に代え、契 約書4条1項3号に基づき、保証事業会社の保証書を県に差入れ |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
契約書添付の約款に定めた条項が本節の契約内容となることや、工事の具体的内容を定める設計図書について、建設工事請負契約書上では十分な特定がなされているとはいえないことから、これらについて、契約書の内容からxx的に特定できるよう契約書の書式を改定すべきである。
2 見積合わせの省略(意見)
本件では、財務規則116条の2第1項ただし書で定められた見積合わせを省略できる場面に該当する事情があるとは考えがたいことから、担当課は、施工足場の兼用を図るという目的の範囲内で、可能な限り見積合わせを行うことが望ましい。
3 変更契約締結の時期(意見)
本件においては、設計変更に伴う建設工事請負変更契約書の締結が平成30年3月22日となっているが、実際に設計変更の必要性が判明し、設計変更の協議を行い、変更後の設計に基づいて施工を行ったのは、いずれも変更契約締結の約1か月前のことである。担当課は、設計変更の必要性が判明した場合、速やかに設計変更の協議を行い、協議が整い次第、建設工事請負変更契約書を締結することが望ましい。
第28節 平成29年度幕張メッセ施設整備建築工事実施設計
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 幕張メッセの施設整備工事の実施設計に関する請負契約。 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 第167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 東京都内に事務所を構える、幕張メッセの設計を行った建築事務所。(下 請負は2者) |
見積合わせ | 相手方からのみ徴取している。もっとも本節の契約においては、財務規 |
則116条の2第1項ただし書(見積書を徴さないことができる場合) に該当するものと思われる。 | |
代金額 | 2872万8000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、したがって免除とするための検討は慎重に行うべきである。特に、「契約を履行しな いこととなるおそれがないと認められる」か否かについては、現在における相手方 の規模や財務状況等につき、調査検討する必要がある。したがって、契約保証金を 免除とするためには、いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当してい るのかについて十分調査をし、その検討経緯(結果)については書面として残して おくべきである。
2 下請負(指摘)
県と相手方との契約内容が金額を含めて適正であるか否かの検証にあたって、相 手方が下請業者とどのような契約を締結しているのかという点は重要な情報である。そのため、県として、相手方から下請負に関する資料(契約書等)の提出を求める べきである。
第29節 県単道路改良(幹線)委託(積算業務その2)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 一般国道464号北xx道路の橋梁下部工事(xx市xx所在の河川・ 道路構造物3件)の積算業務に関する業務委託契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 県及び県内市町村等が出捐して設立された公益財団法人。下請負はなし |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項及びxx県財務規則の運用について(通達) 116条の2第3項オにより省略 |
代金額 | 800万2800円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、
同号適用の理由について、「本契約の相手方は、過去2年間に、複数回にわたって規模を同じくする契約を県と締結をしており、これらすべてを履行していることから、本契約を履行しないこととなるおそれがないと認めた」としており、それ以上の調査は行っていない。しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても調査を行うべきである。
2 秘密保持条項(意見)
本契約の秘密保持条項は、第三者への漏洩を禁止するが、目的外使用の禁止までは定めず、本契約に基づき開示した情報が、全く無関係の機会に相手方に利用されてしまうことを防ぐためには、規定が不十分である。そこで、今後同種の契約を締結する際は、これらの点についても秘密保持条項に規定することが望ましい。
また、必須とはいえないが、一定の場合に秘密情報の開示を例外的に認める旨の条項を規定する場合もあり得るため(例えば、裁判所等の法的権限を有する機関に開示を義務付けられた場合や、リーガルチェック等を想定し、弁護士・会計士等の法令上の守秘義務を専門職への開示を許容する場合等)、この点についてもその要否を検討することが望ましい。
第30節 平成29年度一般国道126号山武東総道路二期整備国道道路改築事業の施行に関する委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 銚子連絡道路の一部である、xx県山武郡横芝光町xxから横芝光町xxまでの約1.6キロメートル区間の整備業務を委託することを目的と する請負契約。 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号。 |
相手方・下請負 | xx県道路公社(下請負はない。) |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項ただし書により省略。 |
代金額 | 9000万円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項7号により免除 |
第2 指摘・意見
1 決裁文書(指摘)
「平成29年度一般国道126号山武東総道路二期整備国道道路改築事業の施行
に関する委託契約に基づく資金計画について(受理)」と称する決裁文書につき、決裁日の記載が漏れている(もっとも、担当者もそのことに気付いており、ファイルに付箋で記載漏れが指摘されていた。)。そのため、係る文書については、速やかに適切な措置を講ずべきである。
2 履行の確認(意見)
県としては、委託業務が適正になされたかについて、しっかりと確認する必要があり、その内容については、検査調書の作成とは別に、事後的に検証可能なようにできる限り書面として残しておくことが望ましい。
第31節 防災・安全交付金及び県単道路調査合併委託(舗装維持管理計画策定)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 請負契約 |
契約方法の種類 | 簡易公募型プロポーザル方式による随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 東京都内に本社を置く株式会社。(下請負はなし) |
見積合わせ | なし |
代金額 | 1015万2000円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 変更契約(指摘)
本件では、契約の履行期限が4度延長されている。本件の履行期間の延長理由は、本来、いずれも契約締結前の設計段階で検討されるべきものである。よって、履行期間については、当初の計画において、履行できることの可否も踏まえて慎重に吟味されなければならない。
2 契約保証金(指摘)
財務規則99条2項3号により契約保証金を免除しているが、当該条項に該当することについての検討過程の資料は作成されていない。いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当しているのかについて調査検討を行い、その検討結果については書面として記録されなければならない。
第32節 xx県農林総合研究センター新本館建築工事監理業務
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県農林総合研究センター新本館建設工事に係る監理業務を委託する |
準委任契約 | |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 大阪市に本店を置く株式会社 下請負なし |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項但し書きにより省略 |
報酬額 | 3618万円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約の選択‐建設工事等指名業者選定審査会(指摘)
xx県建設工事等指名業者選定審査会規程によれば、審査会は、一定の金額を超える発注を随意契約によろうとする契約担当者の諮問に応じ、経済的合理性及び緊急性等を考慮し、契約の妥当性及び契約の相手方について意見を述べるものとされている。本契約に関して行われたxx県建設工事等指名業者選定審査会(以下「審査会」という。)について、審査会における審査内容についての記録がないため、審査会においていかなる検討がなされたのかが明らかでない。随意契約の選択及び契約相手方の選定過程において十分な審査が行われたのか、事後的な検証を可能とするためにも審査会における検討内容は記録化しておくべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められなかった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
第33節 県単河川総合開発委託(高滝ダム堆砂対策検討業務)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県内にある高滝ダム貯水池における流入土砂対策を講じる上での課題の整理と流入土砂の堆積箇所を制御する方法等について検討する業務を委 託することを内容とする請負契約。 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 一般財団法人水源地環境センター(下請負はない。) |
見積合わせ | 見積書は、契約の相手方からのみ徴取している。もっとも本節の契約においては、財務規則116条の2第1項ただし書(見積書を徴さないこ とができる場合)に該当するものと思われる。 |
代金額 | 646万9200円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項7号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約選択の理由(意見)
本節の随意契約選択理由の合理性には疑いが残る。そして、どのような経緯、調査によって自治令167条の2第1項2号に該当すると判断するに至ったのかについて、書面が作成されていないため、判断の相当性を確認することができない。それゆえ、随意契約を選択するに至った理由を裏づける事実を具体的に記載した報告書を作成することが望ましい。
第34節 広域河川改修(復興)委託(施工計画検討xxx2)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 広域河川改修(復興)工事の仮設施工計画の設計にかかる請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項6号 |
相手方・下請負 | 相手方は、河川計画、建築設計等を事業内容とする株式会社(千葉事務 所)である。下請負はない。 |
見積合わせ | 現場で工事作業を中止しており日々現場管理費用が発生する状況であったこと、及び、対応の遅れがさらなる歩道陥没を起こす可能性があったことから、時間をかけて他の業者にも適正な見積りを徴取する資料や仕様を作成する時間がなかったため、当該条項を適用して見積合わせを省略した(財務規則の運用について(通達)116条の2(見積書)関係 第3のイ)。 |
代金額 | 859万6800円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、
同号適用の理由について、ちば電子調達システムの「契約結果照会」機能により、平成28年度の当該業者の契約実績を確認しており、本業務と同業種(土木関係建設コンサルタント業務)の業務を含め、平成28年度だけで30件の業務を契約・履行した実績があることから、それをもって同号の要件に該当すると判断している。
しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の財務状況等、契約履行能力の有無についても検討を行うべきである。
2 契約書-個人情報特記事項(意見)
個人情報の利用がないにもかかわらず、個人情報特記事項が契約書に規定されていた。
個人情報の利用がない場合は、個人情報特記事項を規定する必要はないため、当該事項を契約書に規定しないことを要望する。
第35節 県単災害関連(港湾)委託(浜xx港被災施設設計)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 施設の被災要因を把握し、復旧に係る実施設計を目的とする請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項5号 |
相手方・下請負 | 相手方の本店在地はxxxxx区であり、事業目的は道路、橋梁、港湾、上下水道、河川、鉄道、空港、都市計画などの建設業に関わる各種調査、計画、設計及び施工管理等。千葉営業所は、xx県xx市に所在。(下請 負なし) |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項ただし書(同条運用通達三イ)に基づき見 積合わせは省略 |
代金額 | 1512万円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
指摘・意見はない。
第36節 県単災害関連(港湾)及び県単港湾管理合併委託(浜xx港被災施設測量)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 台風により被災した浜xx港の被災施設の測量業務を委託する請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項5号 |
相手方・下請負 | 富津市内に所在する株式会社 下請負なし |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項但し書きにより省略 |
代金額 | 971万7840円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められなかった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
2 見積合わせ(意見)
xx県財務規則116条の2第1項本文は、随意契約によるときは、原則として二人以上の者から見積書を徴することとしているが、本契約については、早急に被災状況を把握する必要があったことから、同項ただし書の「契約の目的若しくは性質により相手方が特定される等見積書を徴しがたいとき」に該当するとして、相見積の徴取が省略されている。本事業が災害復旧に係る事業で緊急性を有することは理解できるが、例えば、協会から、当該測量に対応可能な業者が複数ある場合には複数の業者の推薦を受け、複数の業者から簡易な見積書を徴取し、最も低い金額を提示した業者と契約を締結することとした場合に、1者のみから見積書を徴取する場合と比較してそれほど時間を要することはないのではないかと思われるため、そのような方法がとれないかどうか検討してみることが望ましい。
第2編 物品・委託
第1章 一般競争入札
第37節 公舎受付等管理業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 知事公舎において、来訪者対応等が必要と思われる時間帯の内、公舎職員が不在の時に、公舎職員に代わって受付業務や巡回警備等の業務を担当する準 委任契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札(但し、4月から8月までは月ごとの随意契約) |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | xx市内に本社を有する株式会社(下請けなし) |
報酬額 | 402万6240円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号を根拠に免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
財務規則の規定ぶりからは、契約保証金の免除はあくまで例外的取扱いであることから、契約保証金を免除する際には、免除要件該当性の判断の際に、十分な資料を基にした慎重な判断を行うとともに、その検討経緯及び結果については、後日の検証にも耐えられるよう、可能な限り資料とともに書面で残しておくべきである。
2 見積合わせの省略(意見)
担当課が「見積書を徴しがたいとき」に該当すると判断した理由は、随意契約によらなければならない理由としては理解できるも、見積合わせを行うことができない理由になるとは考えにくく、また、当該業務の特殊性を考慮しても見積合わせを行うことは十分可能であったと考えられることから、担当課は、随意契約を行うことが必要な場合でも、できる限り原則に則って見積合わせを行うことが望ましい。
3 入札参加資格の設定(意見)
本件の一般競争入札の入札参加資格のうち、xx県(出先機関を含む)との間での庁舎警備等の契約実績を要するとしたこと、及びxx市内に本社を有することを要するとしたことについては、合理性が乏しい入札参加資格と言わざるを得ないことから、一般競争入札を行う場合には、その利点を阻害しないよう、幅広い入札者が集まるように配慮して入札参加資格を設定すべきであり、本件一般競争入札の入札参加資格についても、その観点から見直すことが望ましい。
4 履行の確認(意見)
履行確認を行った場合には、最低限、誰が、どのような資料を用いて、どのような手順で履行確認を行ったかがわかるような報告書等を作成し、また、確認に要した資料についても可能な限り添付することが望ましい。
第38節 xx県職員録
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県において職務に従事する職員の氏名・職名等を掲載したxx県職員録 (平成29年5月 1 日現在)の印刷および製本の請負契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 1者 |
相手方・下請負 | 千葉県内の印刷業等を行う株式会社(下請負はない) |
代金額 | 396万5760円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 履行の確認(意見)
検査の内容が記録上不明である。後日検証可能なように落丁・乱丁の有無や冊数の確認等いついかなる検査を行ったのかを詳細に記録することが望ましい。
第39節 小型四輪貨物自動車1500cc(総務課分)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 東葛飾地域振興事務所及び印旛地域振興事務所において使用する公用車の 更新(新規車両の購入及び旧車両の下取り)を内容とするものであり。契約類型としては、新車の購入契約と中古車の売却契約との混合契約。 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 2者 |
相手方・下請負 | xx市に本店を有する自動車販売等を業とする株式会社。(下請負はない。) |
代金額 | 182万6060円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
⑴ 取引対象物件の特定
県が取得する車両及び下取りに提供する車両の詳細については、例えば県が取得する車両については仕様書を添付するなどしたり、また県が下取りに提供する車両については車両番号や車台番号などを記載するなどすることにより、取引対象物品が契約書上明らかとなる措置を講ずべきであった。この点、県からの事前回答によると、平成30年度からは下取り車両の状況に関する書類を入札公告書類に添付する運用に改め、取得する車両の仕様書や下取りする車両の状況について、契約書に
添付することで、措置が図られたとのことであった。
⑵ 契約保証金免除規定の記載
契約保証金免除の旨が契約書上からは明らかとなっていない。そのため、契約書において明示すべきである。この点、県からの事前回答によると、平成30年度からは契約保証金を免除する旨を契約書において明示することとしたとのことであった。
2 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、したがって免除とするための検討は慎重に行うべきである。特に、「契約を履行しな いこととなるおそれがないと認められる」か否かについては、現在における相手方
(会社)の規模や財務状況等につき、調査検討をする必要がある。したがって、契約保証金を免除とするためには、いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当しているのかについて十分調査をし、その検討経緯(結果)については書面として残しておくべきである。
3 決裁文書(指摘)
決裁文書には、契約保証金を免除とする根拠規定として、財務規則99条3項との記載がなされ、それに基づき決裁がなされているが、県からの回答によると、係る記載は誤記であり、正しくは財務規則99条2項3号であるとのことであった。そのため、係る文書については、速やかに適切な措置を講ずべきである。この点、県からの事前回答によると、監査人からの事前の問い合わせ(指摘)をきっかけとして、上記誤記についてはその後に訂正処理を行い、その経過についての報告書を作成の上、決裁権者にまでその旨の報告を行っているとのことであった。
4 予定価格(意見)
積算基礎は、それが入札において重要な指標となるものであるため、その算出における積算根拠については、できる限り明確に書面化して残しておく必要性が高いものといえる。そのため、本件についても、「いつ、誰から、(管財課の)誰に、どのような質問をし、それに対してどのような回答があり、その根拠としてどのような資料が示されたか」などについて、書面化してファイルに綴じておくことが望ましい。
5 入札参加資格(意見)
複数の入札参加資格が定められているが、係る入札参加資格が、入札者数が少ない原因である可能性も否定できない。そのため、県としては、入札者数が少ない原因について、入札参加資格の必要性も含め調査検討をすることが望ましい。
第40節 軽油見本品購入分析業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県が軽油に対する違法な混和等(いわゆる不正軽油)を早期に発見・摘発し、軽油引取税の課税の適正を図るため、県内の石油製品販売業者から軽油見本品を購入して、当該軽油見本品に対する軽油識別剤による定性分析及び定量 分析を行う業務を委託する請負契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 1者 |
相手方・下請負 | 中小企業団体の組織に関する法律に基づき設立された中小企業団体 下請 負はなし |
代金額 | 308万8800円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、「本契約の相手方は、過年度から続けて契約を締結しており、過去の業務を誠実に履行していたことから、不履行のおそれはないものと判断した」としており、それ以上の調査は行っていない。しかし、財務規則99条2項
3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても調査を行うべきである。
2 契約書-義務の追加(意見)
分析業務については、契約書及び仕様書上、受託者が作業手順に従って分析を行ったことを示す資料の保存は義務付けられていない。この点、県が必要と認めたときは、業務の実施状況につき調査を行い、又は受託者に対し報告を求めることができるとされているが、前記のような資料が保存されていなければ、調査及び報告が十分に行われるとは言い難い。
したがって、今後県が締結する契約については、受託者に対し、分析業務が適正に履行されたことを確認する資料(例えば、定性分析の結果を示す写真や、定量分析における混和率の算出方法を記載した書面等)の保存を義務付けることが望ましい。
3 履行の確保-誓約書の提出(意見)
相手方は、中小企業団体の組織に関する法律に基づき設立された公益性の高い中小企業団体であるが、本契約の履行に当たり自らの組合員が営むガソリンスタンドも調査対象となり得ることから、調査対象の選定や調査結果の報告等が不正に行わ
れる可能性は皆無とはいえない。県は、相手方から軽油見本品購入分析計画の提出を受けた際に、各県税事務所が把握している管内ガソリンスタンドの情報と照合し相手方による不正行為を防止する措置をとっているが、相手方の調査が中立・正確に行われることを担保するため、より一層の措置(例えば、誓約書の提出等)をとることが望ましい。
4 履行の確認(意見)
検査調書には、いずれも、「下記の契約について平成〇年〇月〇日検査した結果、履行を確認しました」と記載されているのみで、誰が、どのような資料を用い、どのような手順で履行確認がなされたかについての記載は一切なされていない。担当課は、最低限、誰が、どのような資料を用いて、どのような手順で履行確認を行ったかがわかるように検査調書を作成し、また、確認に要した資料についても可能な限り添付することが望ましい。
第41節 軽油引取税申告書データ処理業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県税である軽油引取税に関する軽油引取税申告書の記載内容のデータ入力 業務を外部委託する準委任契約。 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | xx市に本店を有する情報処理サービス等を業とする株式会社。(下請負は ない。) |
報酬額 | 202万8652円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、免除とするための検討は慎重に行うべきである。特に、「契約を履行しないこととな るおそれがないと認められる」か否かについては、現在における相手方(会社)の 規模や財務状況等につき、調査検討する必要がある。したがって、契約保証金を免 除とするためには、いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当している のかについて十分調査をし、その検討経緯(結果)については書面として残してお くべきである。
第42節 税トータルシステムクライアント機器等賃貸借
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県の租税に関する情報をxx的に統括する税トータルシステムにかか る必要機器(ソフトを含む)を借り受ける賃貸借契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 東京都内の株式会社(下請負はない) |
代金額 | 3億6536万8320円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金免除の要件の具備につき調査した結果を報告書にまとめて資料を添付した報告書を作成し、記録に残すべきである。
2 メンテナンス日時の確認(意見)
ちば電子調達システムが5月1日にメンテナンスによるシステム停止があることが後に判明したために、入札参加資格の確認申請の締切りが当初の5月1日から9日に変更された。あらかじめシステムメンテナンスの日時を確認しておくことが望ましい。
第43節 メール便配達業務
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 千葉県庁(本庁舎、中庁舎、南庁舎及び議会棟)に所在する各課(局・室を含む。ただし、教育委員会及び病院局は除く。)から差し出されるメール便を、受託事業者が各課に集荷して回り、各課が指定する荷受人に対して配達 することを目的とする請負業務 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 1者 |
相手方・下請負 | 全国規模の配送組織を持つ株式会社の千葉支店(下請けはない) |
代金額 | 1171万2600円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号に基づき免除 |
第2 指摘・意見
1 入札参加者の人数(意見)
本件では一般競争入札が行われているが、過去5年間の入札者数はいずれも1~
2者にとどまっていることから、担当課は、本件業務の遂行が可能と思われる業者が、本件入札に参加しない理由などを調査するなどして、できる限り1者入札を避
ける工夫をすることが望ましい。
2 予定価格と契約価格との乖離(意見)
基本的な業務内容は同様であるにもかかわらず、平成28年度以降予定価格が急増し、以後、予定価格と契約価格との大幅な乖離が続いている。
これは、平成28年度から積算方法を変更したことによるものであるが、担当課は、予定価格の設定に当たり、妥当な積算方法を、さらに十分に検討することが望ましい。
3 履行の確認(意見)
履行確認を行った場合には、最低限、誰が、どのような資料を用いて、どのような手順で履行確認を行ったかがわかるような報告書等を作成し、また、確認に要した資料についても可能な限り添付することが望ましい。
第44節 再生PPC用紙(本庁分)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 本庁の各課・局で使用する再生PPC用紙を購入する際の単価を定める売買 取引基本契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 習志野市に本店を置く株式会社 |
代金額 | A3用紙が1523.88円、A4用紙が1227.96円、B4用紙が1 856.52円、B5用紙が1027.08円である(金額は全て税込み)。 |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
本契約の契約条項には、県から業者への注文方法、納品期限、最小発注単位に係る条項が規定されていない。契約書の条項には、入札に際して県から提示されている「仕様書」に基づいて納品を行う旨の規定があり、当該仕様書には、納品期限や最小発注単位などの規定がなされており、仕様書にこれらの記載があることから、仕様書の記載事項が契約の内容になっているものと解釈できないものではないが、上記事項は重要事項であるから、契約書の条項として明記しておくべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められな
かった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
第45節 グラウンド用白線
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県立学校等において県が管理するグラウンドに白線を引くため等の用途に 使用するラインパウダー(炭酸カルシウム)を購入する売買契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 1者 |
相手方・下請負 | xx市内に本店をもつ運動用品の小売店。下請負はない。 |
代金額 | 単価契約の金額であり、20㎏入りの1袋当たり723円60銭(税込み) である。平成30年度の購入予定数は6745袋、その代金総額は約488万円(税込み)である。 |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 予定価格(指摘)
入札の見込みがある者2者から参考見積を徴して、その低い金額の参考見積額をもって予定価格とするという方法で、予定価格を作成している。その結果、予定価格は、2者の参考見積額のうち低額な参考見積額と同額の865円(税込み)となっていて、市場価格から乖離している。よって、予定価格は、財務規則110条2項に拠り、市場価格及び契約の内容に応じて作成すべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金の免除要件を定める財務規則99条2項3号は、履行を入札参加資格、過去の契約の履行状況の外、「かつ契約を履行しないおそれがないと認められるとき。」と規定しているため、契約締結当時の履行能力を調査する必要がある。そのため、物品等入札参加業者適格者名簿に登載されていることを確認するだけでは足りず、同名簿に登載された時期、その審査のために提出させた資料の閲覧、その上で、それらの資料だけで足りるかを判断すべきである。そして、その調査の方法、調査の結果得られた事実を報告書にして、確認できるようにすべきである。
3 契約書(指摘)
⑴ 単価契約書には、その品質を定めるグラウンド用白線仕様書が綴られていないし、
単価契約書に共通仕様書を特定できる記載もされていない。それゆえ、単価契約書では、売買の品質が特定されていないことになる。よって、グラウンド用白線仕様書を単価契約書に別紙として綴り、割印をすべきである。
⑵ 単価契約書に綴られた別紙納入先一覧には、納入先が合計486記載されているが、実際に納入した部署は、100であった。契約書は、実際の契約内容に即して作成すべきである。
4 履行の監督及び確認(指摘)
消石灰は、文部科学省通達「学校での消石灰の使用禁止について」により使用が禁止されているが、納入の際にその成分検査をしていない。生徒達の健康に係わることであるから、成分のサンプル検査をすべきである。
5 入札者の人数(意見)
過去5年間において、入札者は1者又は2者であり、落札者は1者であり、かつ同じ業者である。一般競争入札であるのに、入札者が1者又は2者であることは、実際には競争入札になっていないということである。このような場合、その原因を調査して入札者を増やす努力をすることが望ましい。
第46節 高速モノクロ複合機の賃貸借(平成29年度出先)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 出先機関で使用する高速モノクロ複合機(本年度は52台)につき、複合機 の使用、保守点検調整、ドラムカートリッジ等消耗品の供給等が含まれる複合的な複写サービス契約(非典型契約)。 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 千葉県内に本店を有する、複写機等各種情報機器の販売及びシステム・サー ビスを行っている株式会社。(下請負はない。) |
代金額 | 5152万3776円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、したがって免除とするための検討は慎重に行うべきである。そこで、契約保証金を 免除とするためには、いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当してい るのかについて十分調査をし、その検討経緯(結果)については書面として残して おくべきである。
第47節 知事公舎等植栽管理業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 請負契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 13者 |
相手方・下請負 | 市原市内の株式会社である。(下請負はなし) |
代金額 | 216万円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に契約保証金を免除としている。
同号は、「過去二年間に県、国(公社及び公団を含む。)又は他の地方公共団体と種類及び規模をほぼ同じくする契約を数回以上にわたつて締結し、これらをすべて誠実に履行し、かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき」として、過去の実績から、契約保証金を免除するものである。
しかしながら、提出された一件記録上、契約の相手方の過去の実績についての資料は不見当であった。
また、財務規則99条2項3号は。現在の履行能力についての要件を課しているが、係る要件についても調査がなされていない。
よって、これらの点についての検討が必要である。
2 決裁書面の記載について(意見)
執行伺いについて、年月日の記入がなく、一般競争入札参加者の人数が13者であるのに7者で決裁されているものがあり、正確な記載が望まれる。
第48節 本庁舎外エレべータ保守点検業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県庁に所在するエレベータの保守点検業務を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 2者 |
相手方・下請負 | 東京都内に本店を有する、建築物管理業等を事業内容とする株式会社(下請 負はない。) |
報酬額 | 2700万円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、免除とするための検討は慎重に行うべきである。したがって、契約保証金を免除と するためには、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、契約締結時 の契約履行能力についても充分に調査をし、その検討経緯・結果については書面と して残しておくべきである。
第49節 千葉県庁本庁舎外産業廃棄物収集・運搬及び処分業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県庁舎から排出される産業廃棄物の収集運搬及び処分を委託する準委 任契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | xx市に所在し、産業廃棄物の収集、運搬、処分等を業とする特例有限会社 |
報酬額 | 1立方メートルあたり、金属くずが0円、混合物(金属・木・プラスチック)が6480円、廃プラスチックが4320円、発泡スチロールが1080円、 ガラス陶磁器くずが2160円(金額は全て税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められなかった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
2 契約書(不当な条項の削除)(指摘)
本契約の契約書第4条3項に、契約当事者の責任範囲に関する規定として、「乙
(注:受注者)が、第1項の業務(注:廃棄物の運搬処分)の過程において、乙又は第三者に損害が発生した場合に、乙に過失がない場合は甲(注:県)において賠
償し、乙に負担させない。」という条項が定められているが、かかる条項を定める必要はなく、県が本来負担する必要のない損害賠償義務を負担することとなる可能性も否定しえないため、当該条項は削除すべきである。
3 履行の監督及び確認(指摘)
⑴ 検査調書
契約相手による履行確認に関する記録としては検査調書のみが作成されているが、その記載事項は実質的に「履行を確認した」旨の形式的事項のみであり、何をどの ように確認したのかが不明である。検査調書以外に、履行の確認をしたこと、履行 確認の方法や内容がわかる報告書を作成すべきである。
⑵ 履行確認の方法
本契約においては、相手方からの業務終了報告書の提出に代えて、マニフェストのB2票及びD票を提出することで足りるとされており、本契約の履行確認としてはB2票及びD票のみ提出を受けている。しかしながら、最終処分まで適正に行われたかどうかを確認すべきであるから、相手方からは、B2票及びD票にとどまらず、最終処分が完了したことを確認するためのE票の提出も求めるべきであり、その旨を契約書上も明記すべきである。
第50節 OAいす(管財課)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | OAいす(事務いす)の売買契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 相手方は、OA機器・事務用品の販売等を事業内容とする株式会社である。 下請負はない。 |
代金額 | 261万8060円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 発注方法(指摘)
5回に分けて県から相手方にいすが発注され、1回目から3回目までは発注書を相手方にFAX送信することと併せて口頭でも伝えていたが、3回目までの発注に対して履行が適正になされたことから、4回目及び5回目の発注は、速やかな履行を図るため、発注書によらず電話のみによってなされている。
このように発注を口頭のみによって行った場合、言い間違いや聞き間違いが生じ、品目違いや数量違い等の誤発注が発生するおそれがあることから、発注書等の書面 による発注を行うべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、受注者は過去2年間にxx県と同種の契約を締結し誠実に履行していることから、契約を履行しないこととなるおそれがないと判断した。
しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時における相手方の財務状況等、契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても具体的に調査を行うべきである。
3 予定価格(意見)
主事〜副課長用のOAいすについて、県が同一業者から徴取した参考見積と当該業者の入札価格が大きく乖離しており、参考見積りの妥当性に疑義があると言わざるを得ない状況にあった。にもかかわらず、その理由を確認することなく、予定価格を設定している。
参考見積りの妥当性に疑義がある場合、その提出者に見積り金額の理由を確認することを要望する。
第51節 平成30年度自動車税納税通知書等作成及び封入封かん業務
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 平成30年度自動車税納税通知書等作成及び封入封かん業務の請負契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 4者 |
相手方・下請負 | 相手方は、印刷・製本等を事業内容とする株式会社である。下請負はない。 |
代金額 | 3719万1960円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 予定価格(指摘)
平成29年8月に当業務委託の仕様を策定し、これと並行して、平成28年度の受託業者(平成29年度の受託業者と同一)から参考見積を徴し、それを参考として各単価を決定し、各項目で数量を掛け予定価格の積算を行っている。
予定価格の積算に当たって、入札参加者のうち1者のみから取得した参考見積を参考として各単価を設定した場合、見積の妥当性を検証することが困難である。
そこで、予定価格の積算に当たって参考見積を徴する場合は、入札者以外も含む複数者から取得することにより、予定価格の妥当性を検証するべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
県は、上述のとおり、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、受注者は過去2年以上当所の同案件を受注し誠実に履行していたため、それをもって同号の要件に該当すると判断している。
しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時における相手方の財務状況等、契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても検討を行うべきである。
第52節 多目的ホールAV機器保守点検業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx市中央区に所在するxx県文書館6階の多目的ホールに存在するAV機器の保守点検及び緊急に対処すべき事項が発生した場合の措置などの業 務を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 2者 |
相手方・下請負 | xx市内に本社を有する株式会社(下請負はない) |
報酬額 | 25万9200円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約書(指摘)
「多目的ホールAV機器保守点検業務委託仕様書」の名称で作成されている契約書別冊の仕様書が、契約書の条項上では「別冊仕様書」と規定されており、文言上齟齬を生じていることから、担当課は、契約書で定める「仕様書」については、別冊においても同じ名称を使用するなどして、仕様書の特定が確実にできるようにすべきである。
2 契約書の記載事項(指摘)
現状の契約書の規定の仕方では、本件業務委託の範囲に含まれるとされる、保守業務や修理業務について、業務内容に含まれていないと解釈されるおそれがあることから、仕様書に「日常の保守業務」及び「緊急に対処すべき事項が発生した場合の措置」について明記し、契約書の記載を疑義のないものとすべきである。
3 契約保証金の免除(指摘)
財務規則の規定ぶりからは、契約保証金の免除はあくまで例外的取扱いであるこ
とから、契約保証金を免除する際には、免除要件該当性の判断の際に、十分な資料を基にした慎重な判断を行うとともに、その検討経緯及び結果については、後日の検証にも耐えられるよう、可能な限り資料とともに書面で残しておくべきである。
4 予定価格の積算方法(意見)
本件が一般競争入札となった平成26年度以降、契約金額に対して、予定価格が著しく高額な状態が続いているにもかかわらず、積算方法について特段の検討をすることなく、前年度と同額程度の予定価格を決定していることから、市場の実態を反映した適切な価格の範囲内で最も経済的な調達をするために、積算方式や点検単価の算出方法を見直すことが望ましい。
5 履行の確認(意見)
本件は契約金額が100万円を超えない契約であり、財務規則100条2項によれば、検査調書の作成を省略できる場合に該当するが、契約書上、履行確認及び検査は、業務委託料支払いの前提とされるべき重要な業務であるといえることから、担当課は、財務規則100条第2項に該当するかどうかにかかわらず、検査の具体的内容及びその結果に関する報告書等を作成するなどして、点検内容及び相手方の履行状況が後日確認できるようすることが望ましい。
第53節 xx県印旛合同庁舎で使用する電力
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 印旛合同庁舎で使用する電力に関する電力供給契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | xxx品川区に本店を置く株式会社 |
代金額 | 基本料金単価(kwあたり)は892.50円、電力量料金単価(kwhあたり)は7月から9月の期間を除く期間が16.08円、7月から9月が1 7.22円(金額は全て税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約書‐条項の定め方(指摘)
本契約の契約書第13条1項に「当該地域のみなし小売電気事業者が、電気受給契約の変更等により、電力量料金単価を改定した場合(当該地域のみなし小売電気事業者が燃料費調整分を電力量料金単価に反映させる改定をしたことにより、一時的に燃料費調整が行われなくなる場合を含む)、乙の供給する電力の電力量料金単価についても、当該地域のみなし小売電気事業者の料金改定期日と同一期日をもって、同様の改定を行うものとする。」との条項が定められているが、本条項における「同
様の改定」との文言は不明確であり、改定後の電力量料金単価について複数の解釈の余地がある。そのため、改定後の電力量料金単価がxx的に明確になるように文言を改めるべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
本節の契約については、財務規則99条2項3号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号の「契約を履行しないこととなるおそれがないと認められる」の要件については、現在の相手方の規模や財務状況等を調査検討する必要があるが、この点について十分な資料の収集と検討がなされているものとは認められなかった。契約保証金の免除については、相手方の規模や財務状況等を確認できる資料を収集し、その上で免除の要件を満たすかどうかを慎重に審査すべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項3号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
3 履行の確保(指摘)
契約相手による履行確認に関する記録としては検査調書のみが作成されているが、その記載事項は実質的に「履行を確認した」旨の形式的事項のみであり、何をどの ように確認したのかが不明である。相手方による履行の確認を行った記録として、 検査調書以外に、履行の確認をしたこと及び履行確認の方法や内容等を記載した報 告書を作成すべきである。
第54節 xx県香取合同庁舎総合管理業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 香取合同庁舎の総合管理業務(清掃業務、電気・機械設備等の保守業務及び 害虫防除等の衛生環境確保業務等)を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 一般競争入札 |
入札者の人数 | 3者 |
相手方・下請負 | 柏市に本店を置く有限会社 |
報酬額 | 829万4400円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、「本契約の相手方は、過去2年間において県の他機関と同様の契約を締結した実績があり、かつ、適正に履行されている(契約違反等による指名停止措置等を受けていない。)ことから、同号に該当すると判断した。」として
おり、それ以上の調査は行っていない。しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても調査を行うべきである。
2 契約書(意見)
本契約の履行期間は、契約書上、「平成29年10月1日から平成30年3月31日まで」とされている。もっとも、平成29年10月1日は日曜日であり、香取合同庁舎の閉庁日に当たる。そのため、相手方が実際に業務の履行を開始したのは、翌2日以降である。履行開始日に疑義が生じることがないよう、本契約のように閉庁日に業務を予定していない契約では、契約書上、履行開始日は開庁日(本件では平成29年10月2日)とすることが望ましい。
3 履行の確認(意見)
検査調書には、いずれも、「下記の契約について平成〇年〇月〇日検査した結果、履行を確認しました」と記載されているのみで、誰が、どのような資料を用い、どのような手順で履行確認がなされたかについての記載は一切なされていない。担当課は、最低限、誰が、どのような資料を用いて、どのような手順で履行確認を行ったかがわかるように検査調書を作成し、また、確認に要した資料についても可能な限り添付することが望ましい。
第2章 指名競争入札
第55節 xxxxxxxxx清掃業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xxxxxxxxxの清掃業務を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 指名競争入札 |
契約方法の選択理由 | 地元業者の育成と円滑な連絡調整を図る観点から、海匝地域及びその隣 接地域(香取及び山武)に事業所を有し、物品等入札参加業者適格者名簿に登載されている10者を選定して、指名競争入札を実施 |
入札者の人数 | 9者 |
相手方・下請負 | 香取市に本店を置く株式会社 下請負はなし |
報酬額 | 193万4928円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について「、落札業者の過去2年間の県施設との清掃委託業務の契約実績を調査した結果、同号を充たすと判断したため。」としており、それ以上の調査は行っていない。しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても調査を行うべきである。
2 契約書-違約金規定(意見)
本契約の契約書には、受託者の責めに帰すべき事由により履行期間内に委託業務を完了することができない場合の違約金の定めが規定されていない。
よって、受託者の責任を明確にするため、受託者に履行遅滞があった場合の違約金に関する規定を本契約書上に定めるのが望ましい。
3 履行の確認(意見)
検査調書には、いずれも、「下記の契約について平成〇年〇月〇日検査した結果、履行を確認しました」と記載されているのみで、誰が、どのような資料を用い、どのような手順で履行確認がなされたかについての記載は一切なされていない。担当課は、最低限、誰が、どのような資料を用いて、どのような手順で履行確認を行ったかがわかるように検査調書を作成し、また、確認に要した資料についても可能な限り添付することが望ましい。
第3章 随意契約
第56節 平成30年2月定例千葉県議会議案及び予算に関する説明書
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 平成30年2月定例千葉県議会において議場等に配布する議案及び予算 に関する説明書の印刷および製本の請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 東京都内の印刷業等を業とする株式会社(下請負はない) |
見積合わせ | 見積書は、契約の相手方からのみ徴取している |
代金額 | 596万7237円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条第2項6号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約選択の理由(意見)
契約の相手方が随意契約の理由となる条件を満たしているのかの検討が、それまでの実績の内容を除いてなされていない。契約年ごとに契約の相手方が上記条件を満たしているかの検討結果を記載し、また他に条件を満たす業者が存在しないかの調査をするのが望ましい。
2 履行の確認(意見)
検査を行っただけの記載にとどまり、検査の内容が記録上不明である。後日検証可能なように冊数の確認や落丁・乱丁等の瑕疵の有無についていついかなる検査を行ったのかを詳細に記録するのが望ましい。
第57節 税トータルシステムOCR機器等賃貸借
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 税トータルシステムOCR機器等賃貸借に係る再リース契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 東京都内の総合リース等を業とする株式会社(下請負はない) |
見積合わせ | 見積書は、契約の相手方からのみ徴取している |
代金額 | 2252万7720円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条第2項6号により免除 |
第2 指摘・意見
1 予定価格(意見)
予定価格は2257万1460円であったところ、積算の根拠となる見積りは項目のみであった。見積りの根拠となる資料を付するなど、後の検証に耐えうるようさらに具体的にするのが望ましい。
第58節 軽油引取税に係る犯則調査のため採取した石油製品の分析業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 軽油引取税の犯則調査として差押え又は領置した物件(石油製品を)の 分析業務を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 「揮発油等の品質の確保等に関する法律17条の13の規定による登録 分析機関・下請負はない |
見積合わせ | なし。 |
報酬額 | 1検体当たりの報酬は7万6140円(税込み) 総額は106万5960円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約の選択(指摘)
登録分析機関が全国で3機関しかないことが、石油製品の分析能力を持つ組織が外に存在しないことを意味しない。法に基づく分析機関が、公益性が極めて高い軽油引取税犯則調査のための分析業務を断るとは思えないし、これを確認することができる記録はない。そして、石油製品の成分が時間の経過によって変わるところがあるとすれば、差押え後に分析機関を探して契約を締結することは著しく不当であり、年度当初に単価契約を締結して調査の必要性に備えておくべきである。よって、年度当初に指名競争入札を行い、単価契約を締結すべきである。
2 見積合わせ(指摘)
財務規則116条の2第1項ただし書きの「相手方が特定される」とは「競争入札に適しない」という意味であるところ、本節の分析業務はこれに該当しないこと、同項ただし書きは、「徴さないことができる。」とするだけであること、見積合わせは、随意契約に競争による価格決定の要素を加味して代金額決定手続の適正性を確保するものであることから、見積合わせをすべきである。そして、見積合わせを徴しようとしたができなかったときは、その事務処理報告書を作成し、随意契約選択につき決裁を得るときにこれを添付すべきである。
3 予定価格(指摘)
財務規則110条2項は、取引の実例価格、需給の動向、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して行うべきと規定している。ところが、本節の随意契約における予定価格は、相手方から提出された見積書や積算書に基づいて作成されているため、予定価格を決定する趣旨を逸脱した不当な価格である。よって、予定価格の算定は、市場価格の調査又は第三者から入手した原価に関する資料に基づいて作成すべきである。
4 契約書(指摘)
⑴ 証人対応
法律が定める義務は、これを契約に取り込まねば、その履行を債権者として請求することはできないし、損害賠償請求をし、解除することが困難になる。よって、契約書には、裁判所から証人として呼び出しを受けたときはこれに応ずべき義務を
相手方が負う旨の条項を定めるべきである。
⑵ 検体と分析対象資料との同一性の確保
押収する石油製品の押収場所、保管場所は異なることから、押収した検体と分析の対象とする資料の同一性が確保されることが必要である。よって、契約書には、県が引渡した検体と相手方が分析した検体との同一性が確保される方法で分析業務を遂行させる条項を定めるべきである。
⑶ 分析業務の報告
分析結果の信用性を確保するために、分析を行った者の氏名、肩書き、分析業務の資格、分析方法が適正な器機を用いて、適正な方法で遂行されたこと、その結果報告する分析結果が得られたことにつき、報告書で説明し、そしてその報告内容を裏付ける資料を添付させる必要がある。よって、分析業務に付き、相手方に対しこのような報告書の作成及び提出義務を課す条項を定めるべきである。
⑷ 委託する業務と分析業務との対応
分析結果を報告する試験報告書の書式が規定されていないため、業務委託契約書
1条に記載されている分析事項と試験報告書に記載されている検査事項との同一性 の確認が困難である。よって、試験報告書と業務を委託する書面の書式を改定し、 契約書に定める分析事項と試験報告書の検査事項との同一性を明確にすべきである。
⑸ 委託する業務の特定
委託する業務につき、その内容が前文に記載され、一連の業務である分析と報告が離れた条文に記載されているため、委託する業務の特定が明確ではない。よって、今後作成する契約においては、相手方が負う債務を明確にするため、前文に記載してある業務の委託を条項に移し、分析事項を定める条項との関連性を明確にすべきである。
5 契約保証金の免除(意見)
契約保証金の免除については、財務規則99条2項で免除できる場合を規定しているが、その要件事実の調査がなされていない。よって、今後の契約締結に際しては、犯則調査前の準備の時点で契約保証金の免除の要件の調査をすべきであるが、本節の契約については、意見に止める。
6 契約の交渉過程の文書化(意見)
本節の随意契約の締結過程をみると、平成29年9月12日に相手方から見積書を徴取しているが、予定価格はその見積価格と同額であり、その金額で契約されているため、減額交渉をせずに漫然と相手方提示の見積価格で随意契約を締結したのではないかとの疑いを生ずる。担当者をして、契約締結に至る交渉過程について文書で報告させることが望ましい。
第59節 書籍(「平成29年度地方税法令規通知篇」及び「平成29年
発行地方税法総則逐条解説」)の売買契約締結について
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県を買主、相手方を売主、「平成29年度地方税法令規通知篇」及び「平 成29年発行地方税法総則逐条解説」を目的物とする売買契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令第167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 一般財団法人 |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項ただし書に従い省略 |
代金額 | 200万4100円 |
契約保証金 | 財務規則99条2項6号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約書(意見)
契約書4条には、「検査の結果不合格となった物品は、甲が指定した期限内に乙はこれを持ち去らなければならない」などと規定され、第5条は納入後に損傷などを発見した場合に交換できるとする規定されている。
重複するので、不要な規定となるものと考えられる。無用な紛争を呼ばないためにも、契約書の記載は簡潔にすべきである。
第60節 xx県自治体情報セキュリティクラウド運用保守業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県と県内各市町村が共同して、セキュリティ対策の仕組みの運用保守業 務を外部へ委託することを内容とする準委任契約。 |
契約方法の種類 | 公募型プロポーザルによる随意契約 |
契約方法の選択理由 | 地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令11 条1項1号による。 |
相手方・下請負 | xx市内に支店を有する、地域電気通信業務等を行っている株式会社。 (下請負はない。) |
見積合わせ | 見積書は、相手方からのみ徴取している。もっとも本節の契約においては、財務規則116条の2第1項ただし書(見積書を徴さないことがで きる場合)に該当するものと思われる。 |
報酬額 | 3億506万9976円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、したがって免除とするための検討は慎重に行うべきである。したがって、契約保証 金を免除とするためには、いかなる具体的事実が存在し、それが上記条項に該当し ているのかについて十分調査をし、その検討経緯(結果)については書面として残 しておくべきである。
第61節 本庁舎外中央監視設備保守点検業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 千葉県庁に設置された中央監視制御設備の保守点検業務を委託する準委 任契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 当該設備は相手方が独自に開発したシステムであり、それらのハード及 びソフトは、同社固有のものであるため、専門知識を有する同社でなければ保守点検や修理等を行うことができないと判断されたため |
相手方・下請負 | 東京都内に本店を有する、建物設備保守業等を事業内容とする株式会社 (下請負はない。) |
見積合わせ | 見積書は、契約の相手方からのみ徴取、見積合わせ無し |
報酬額 | 2586万3840円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約を選択した理由(指摘)
当該設備は、中央監視制御設備としては、市場におけるシェアも高い一般的な設備であるし、他の市町村では同じ名称のシステムにつき、競争入札を実施されていることから、他社においても実施可能である可能性がある。したがって、同業他社への聴き取り等を行うなどして、実際に他社では不可能か確認すべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
契約保証金を免除することはあくまでも例外的な扱いであることは明らかであり、免除とするための検討は慎重に行うべきである。したがって、契約保証金を免除と するためには、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、契約締結時 の契約履行能力についても充分に調査をし、その検討経緯・結果については書面と して残しておくべきである。
第62節 平成29年度自動車燃料等(ハイオクガソリン)
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 継続的売買契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | xx県石油協同組合(下請負なし) |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項但し書き(運用通達3、オ)に基づき、見 積合わせを省略 |
代金額 | レギュラーガソリン 691万203円(税込み)軽油 1万871円(税込み) A重油 30万258円(税込み) ハイオクガソリン 123万4597円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約の選択(意見)
昭和53年度に覚書を締結することになった経緯は、従前指名競争入札を行っていたところ、xx県石油協同組合から、県に対し随意契約の要請があったことからである。県は、法的に随意契約が可能であること、官公需適格組合との随意契約は官公需についての中小企業者の受註の確保に関する法律に基づく国の方針に沿うこと、安定供給が確保できること等から、随意契約を締結することとし、上記覚書を締結したという経緯がある。
しかしながら、同様の場合に一般競争入札、個別契約方式を採用している都道府県もあり、xx県もそのことを把握していたことからすると、本件において条文の要件であるその性質目的が競争入札に適さないとはいえない。
また官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律は競争入札を否定する根拠にならない。
そもそも随意契約は例外であり、談合を防止する観点からも相手方の要請に応じて随意契約を選択するといった手法は適当ではない。
京都府において、単価価格が店頭価格より高いことが判明したことを契機に法人用カードを使用する個別契約方式を採用していることからすれば、xx県においても随意契約以外の方法がないのか検討することが望ましい。
2 契約書について(意見)
表題が「単価契約書」となっているが、「継続的売買に関する基本契約書」など当該契約の中身が了解しうる表題が望ましい。
また、個別契約の成立要件を明確にするためその旨の条項を設けるのが望まし
い。
さらに、本件は、自動車の燃料を購入する契約であるところ、万一燃料が不良品であった場合、当該自動車本体が損壊することとなる。そこで、納入された燃料によって自動車が損壊した場合に相手方が賠償責任を負う旨の規定を設けることが望ましい。
第63節 ポリ塩化ビフェニル廃棄物(特別産業廃棄物)処理委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 県が保管する高濃度PCB廃棄物(高圧コンデンサ)の処分を委託する 準委任契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 中間貯蔵・環境安全事業株式会社法に基づいて国が全額出資して設立し た特殊会社 下請負なし |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項但し書きにより省略 |
報酬額 | 1215万9780円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項6号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
本契約については、財務規則99条2項6号の規定により契約保証金の納付が免除されている。同号は、契約保証金免除の要件として、「契約の履行が確実な相手方と随意契約を締結する場合において、契約金額が百万円を超えないとき又は契約の性質により契約保証金を徴する必要がないとき」と規定しているが、契約保証金の免除は例外的な取扱いであり、厳格な要件が課されていることからすれば、単に契約の相手方が、国が100%出資する特殊法人であり、高濃度PCB廃棄物処分の指定機関であるという点のみをもって、「契約の履行が確実」であると認めるのは相当ではなく、PCB廃棄物の処理能力を持つのかどうか、財務状況に問題はないかなどといった点について実質的な審査をするべきである。
また、契約保証金の免除の審査にあたり、財務規則99条2項6号の要件について審査したことを確認できる記録も作成されておらず、審査内容を確認することができない。契約保証金の免除審査にあたっていかなる資料に基づき、いかなる判断をしたのか等を記録しておくべきである。
2 履行の監督及び確認(指摘)
⑴ 報告書の作成
相手方による履行を確認したことを報告する文書として検査調書が作成されてい
るが、その記載事項は「履行を確認した」旨の形式的事項のみであり、何をどのように確認したのかが不明である。相手方による履行の確認を行った記録として、検査調書以外に、履行の確認をしたこと及び履行確認の方法や内容等を記載した報告書を作成すべきである。
⑵ 履行確認の方法
契約書上、相手方による業務終了報告書は、マニフェストD票の送付をもって代えることとされており、契約相手方からは、業務を完了した旨を記載した形式的な業務完了報告書とともにマニフェストD票のみが提出されている。最終処分まで適正になされたかどうかを確認すべきであるから、相手方からは、D票にとどまらず、最終処分が完了したことを確認するためにE票の提出も求めるべきであり、契約条項上もE票の提出を義務付けるべきである。
第64x xごみ処理機制御系システム等変更業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 生ごみ処理機の操作盤の交換及び制御システムの変更を目的とする請負 契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令第167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 生ごみ処理機の保守点検業者・下請負はない。 |
見積合わせ | 財務規則第116条の2のただし書きの「契約の目的若しくは性質によ り相手方が特定される等見積書を徴しがたいとき」を根拠に、見積合わせをしていない。 |
代金額 | 254万8800円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号の「契約を履行しないこととなるおそれがない」 より免除 |
第2 指摘・意見
1 契約方法の選択(指摘)
随意契約の選択の理由は、担当者の伝聞に基づいている上、生ごみ処理機は耐用年数を過ぎていて、修理も4回目であり、修理代金も高額化しているのに、廃棄を検討していない点において相当でない。それゆえ、今後本件生ごみ処理機が故障したときは、耐用年数、修理費の金額等を調査し、廃棄も含めて調査し、検討すべきである。
2 予定価格(指摘)
財務規則110条2項は、予定価格は市場価格と当該契約の内容に即して算定す
べきと規定していると解することができる。しかるに、本節の契約では、予定価格は、相手方の見積額を参考にして、平成29年度建築保全業務労務単価に基づいて算定された金額であり、市場価格を考慮していない。予定価格は、交渉の過程を通して、契約の相手方やその他から、専門的知識に係る資料や部材の市場価格に係る資料を入手し、それらの資料に基づいて、具体的に価格を分析し、積算すべきである。
3 見積もり合わせ(指摘)
相手方でなければ施工できないとの県の結論は、特殊な業種ではないこと、調査が不十分であり、その調査報告書も作成されていないことから、見積合わせを行わなかったことの相当性に疑問が残る。よって、2者以上の者から見積書を徴することが困難である場合は、それが困難であることや困難である理由を記述し、その根拠資料を添付した調査報告書を作成すべきである。
4 契約保証金の免除(意見)
契約金を免除することが、財務規則99条2項3号の「契約を履行しないこととなるおそれがない」場合にあたる場合でも、その契約事務が適正に行われたことを確認することができるようにするため、契約保証金を免除した理由を報告書にまとめて、これを決裁文書に添付することが望ましい。
第65節 文書保管業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | xx県自動車税事務所の庁舎内で保管しきれない文書の保管及び保管・ 使用等のための運搬を外部の文書保管業者に委託する請負契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | xx市内に本社を有する株式会社(下請けなし) |
見積合わせ | 財務規則116条の2第1項ただし書に基づき省略 |
代金額 | 119万4825円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 随意契約の選択理由(指摘)
県における契約は入札が原則であり、随意契約はあくまで例外的場面でのみ許されることからすれば、担当課は1者随意契約を継続する理由があるかどうかを常に検証し、理由が失われている場合には競争入札の導入を検討すべきであり、仮に随意契約を継続する場合でも、見積合わせを行うなどの手法を検討すべきである。
2 契約保証金の免除(指摘)
財務規則の規定ぶりからは、契約保証金の免除はあくまで例外的取扱いであることから、契約保証金を免除する際には、免除要件該当性の判断の際に、十分な資料を基にした慎重に判断を行うとともに、その検討経緯及び結果については、後日の検証にも耐えられるよう、可能な限り資料とともに書面で残しておくべきである。
3 履行の確認(意見)
履行確認を行った場合には、最低限、誰が、どのような資料を用いて、どのような手順で履行確認を行ったかがわかるような報告書等を作成し、また、確認に要した資料についても可能な限り添付することが望ましい。
第66節 平成29年度千葉県職員研修等事業業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 平成29年度千葉県職員研修等事業の準委任契約 |
契約方法の種類 | 随意契約(プロポーザル方式) |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項 |
相手方・下請負 | 経営及びオフィス・マネジメントに関する調査研究及び診断指導、展示 会、講演会等の開催、人材育成等を行う一般社団法人。下請負はない。 |
見積合わせ | プロポーザル方式のため、見積合わせはしていない。 |
報酬額 | 8217万5904円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 特記仕様書に規定する書類を徴取していないこと(指摘)
データ保護及び管理に関する特記仕様書において、「データ管理計画書」「データ取扱計画」「セキュリティ措置計画」「データ管理簿」「データ返却等計画書」等を作成し、県の承認を得ることとされているところ、これらのうち「データ管理簿」及び「データ返却等計画書」が作成されていなかった。
今後は、データの適切な管理の観点から、これらの書類を漏れなく徴取されたい。
第67節 葛南地域振興事務所借り上げ
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 葛南地域振興事務所を設置するためのビルの一部を賃借する賃貸借契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項2号 |
相手方・下請負 | 船橋市・下請負はない |
見積合わせ | なし |
代金額 | 1坪当たり月額1万4040(税込み)の割合で算出した月額223万 4746(税込み) |
契約保証金 | 免除 |
第2 指摘・意見
1 長期継続的契約(指摘)
本節の契約は、建物賃貸借契約であり、一般的には長期継続的契約にすることが多い。予算は単年度であるが、毎年契約書を取り交わす必要性は乏しく、他方、長期継続契約にすることによって支障が生ずることは想定できない。そして、本節の契約事務に要する時間が2時間程度であってもこれを省くことができれば省くべきである。毎年度契約書を取り交わすとなれば、その都度決裁は必要となるし、書類も増える。これらの決裁事務や書類作成事務を省くことができるのであれば、省くべきである。よって、船橋市に対し、長期継続的契約の締結を申し入れて協議すべきである。
2 契約書の条項(指摘)
本節の定期建物賃貸借契約書には、契約解除事由として、賃借人である県が差押え、破産宣告、行取引停止処分又は租税の滞納処分を受けた場合や、後見開始の審判がなされたり、死亡し、失踪した場合、営業許可を取り消されたり、廃業する場合等、県に生ずることが想定できない事由が規定されていて、不適切であるから、改定すべきである。その他、賃料の支払方法等、改定すべき条項が散見される。
3 契約書作成の体制(意見)
契約書の作成は、その目的を達成するためには、どのような条項を設ける必要があるのか、それらの条項の記述をどのようにするかを検討する事務である。このような事務を遂行するには、法律、判例のみならず、紛争が起こる状況、そのような状況において紛争を防ぐために必要な措置、起きた紛争を迅速かつ効率的に解決する方法等についての知識、経験則を伴った判断力及び創造力が必要である。しかも、契約には、個性があるから、定型的な書式を用い、共通約款を使用することでは不十分となる場合もあり得るし、そのような方法では対応できない場合もあり得る。よって、契約書を適切に作成できるにようにするため、契約書の作成等の法的業務に専従する特別職を創設するとか、必要に応じて外部の弁護士に依頼する等の対応をすることが望ましい。
第68節 印旛合同庁舎清掃業務委託
第1 契約事務の内容
契約の種類 | 印旛合同庁舎の清掃業務を委託する準委任契約 |
契約方法の種類 | 随意契約 |
契約方法の選択理由 | 自治令167条の2第1項5号 |
相手方・下請負 | xxxxx区に本社を置く株式会社 下請負はなし |
見積合わせ | 3者から見積書を取得 |
報酬額 | 164万358円円(税込み) |
契約保証金 | 財務規則99条2項3号により免除 |
第2 指摘・意見
1 契約保証金の免除(指摘)
県は、財務規則99条2項3号を根拠に本契約の契約保証金を免除しているが、同号適用の理由について、「本契約の相手方は、本契約の前年度(平成28年度)にも庁舎清掃業務を2件受注しており(うち1件は印旛合同庁舎、その余は印旛合同庁舎と同規模を有する県の機関)、いずれも適正に履行されたことを確認したため」としており、それ以上の調査は行っていない。しかし、財務規則99条2項3号は、入札参加資格の保有や過去の契約の履行状況に加えて、「かつ、契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき。」との要件も定めており、契約締結時において相手方に契約履行能力があることも必要としている。
よって、県は、契約締結時における相手方の契約履行能力の有無についても調査を行うべきである。
2 最低制限価格(意見)
本契約は当初一般競争入札により相手方を選定する予定だったが、入札者(18者)が全て失格となったため、入札は不調に終わった。入札が不調となった原因は、入札者全員の入札価格が県の最低制限価格を下回っていたことによる。契約の相手方の選定は、一般競争入札によるのが原則であり、入札不調により本契約を随意契約の方式で締結せざるを得なかったことは望ましい結果とはいえない。
県は、今後、できる限り入札不調による随意契約の締結を避けるため、不調に終わった入札の予定価格の定め方が妥当であったのか等について十分な検証をすることが望ましい。
3 契約書-履行遅滞の違約金規定(意見)
本契約の契約書には、受託者の責めに帰すべき事由により履行期間内に委託業務を完了することができない場合の違約金の定めが規定されていない。
よって、受託者の責任を明確にするため、受託者に履行遅滞があった場合の違約金に関する規定を本契約書上に定めるのが望ましい。
4 履行の確認(意見)
検査調書には、いずれも、「下記の契約について平成〇年〇月〇日検査した結果、履行を確認しました」と記載されているのみで、誰が、どのような資料を用い、ど