・OA 機器ワーキンググループ、自動車ワーキンググループ
参 考 1
環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)
【平成 22 年度第1回環境配慮契約法基本方針検討会提出資料】
1.基本方針等の見直しの考え方
(1)本年度の見直しに当たっての考え方
環境配慮契約法に基づく基本方針については、必要に応じた見直しを実施することとされており、以下に掲げたいずれかの項目を満たす製品・サービスが契約の対象となる場合に見直しを検討することを基本的な考え方とする。
①国等が排出する温室効果ガス等の削減を図ること。すなわち、国等の排出量の大きい製品・サービスや高い削減効果が見込まれる製品・サービスを対象とすること。
②民間部門への波及効果が大きく、我が国全体の温室効果ガス等の排出の削減に寄与する製品・サービスを対象とすること。
③新たな技術開発や普及の進展等により、一層の温室効果ガス等の排出の削減が見込める製品・サービスを対象とすること。
④温室効果ガス等の排出の削減を図るため、環境政策の観点から、広く普及を図る必要のある製品・サービスを対象とすること。
⑤基本方針と関係のある他の国等の施策が見直された場合には、当該見直し内容を踏まえ、適切に対応すること。
上記の基本的考え方及びこれまでの検討経緯等を踏まえ、環境配慮契約として契約類型、契約方式、内容、手続等を検討する。
(2)検討方法等
検討に当たっては、昨年度に引き続き、環境配慮契約法に基づく基本方針等の見直しについて検討することを目的とした有識者による検討会(環境配慮契約法基本方針検討会)を設置し、国等が環境に配慮した契約を推進するための基本的考え方、手続、評価基準等について検討を行うこととする。
また、検討会の下に契約類型ごとの有識者、関連団体・関係事業者等が参加するワーキンググループを設置し、基本方針の見直しに係る意見交換を行い、検討会に意見を提出することとする。具体的には、本年度、以下のワーキンググループを設置する。
・OA 機器ワーキンググループ、自動車ワーキンググループ
2.OA 機器の購入等に係る契約
(1)検討経緯
OA 機器(コピー機等、プリンタ等)の調達については、平成 20 年 6~7 月に広く一般事業者等を対象に実施した環境配慮契約法の基本方針等の見直しに係る提案を受け、平成 20 年度より基本方針検討会及び OA 機器ワーキンググループにおいて検討を行ってきた。
平成 20 年度の検討においては、台数指定を行わず求める性能を規定した発注による OA 機器の調達(以下「最適配置等を考慮した機器調達」という。)の必要性をはじめ、購入及び賃貸借等に係る契約に関する枠組みについて一定の合意を得たところであるが、「発注において入札に参加する者に提示すべき情報の整理」「最適配置を行った際の作業能率確保の考え方の整理」「現状の OA 機器の使用実態の把握」等の課題があり、最適配置等を考慮した機器調達を直ちに導入することは時期尚早との指摘を受け、継続検討となった。
平成 21 年度の検討においては、環境に配慮した契約を OA 機器の調達に導入することは、事業者に環境負荷低減性能の優れた製品を供給するインセンティブを付与するとともに、調達者においては、調達時の経費削減に加え、使用段階での温室効果ガス排出量の削減を可能とする効果が期待できることから、環境配慮の要素を加味できる契約方式について検討を進め、検討の方向性(OA 機器に関する環境に配慮した契約のロードマップ 参考2参照)の提示を行った。
(2)検討方針(案)
平成 21 年度に作成した当該ロードマップを踏まえ、本年度の検討内容は、以下のとおりとする。
将来的には、入札価格とライフサイクル全般での環境負荷を総合的に評価できる契約方式を検討することを目指すものとする。その第一歩として、本年度は、OA 機器の調達において、OA 機器実態調査や OA 機器に関する専門的な知識や経験を有する者の意見を参考に、必要なサービス性能を確保しながら可能な範囲で調達台数の削減を検討すること、また、OA 機器の導入による環境負荷のうち、標準消費電力量(TEC値)など特定の評価指標を選定するとともに、当該評価値と入札価格を総合的に評価するための方式について検討を行う。
(3)検討内容(案)
環境配慮契約法基本方針解説資料の別紙において、必要なコピーやプリント環境確保のための条件を整理するため、国及び独立行政法人等は OA 機器実態調査を実施することを推奨している。
本年度は、OA 機器実態調査を実施することにより効果が期待される規模や調査発注の手順、またその調査結果を活用した調達台数削減のための具体的な考え方、個別の機器機能等を活用した環境負荷低減のための視点などについて、より具体的な情報について整理を行う。
また、調達者が OA 機器を調達する際に、その契約において用いる評価項目を明らかにするとともに、調達者が仕様書を通じて提供すべき情報を幅広く提示する。併せて、環境負荷低減効果を適切に評価できる契約方式を検討する。
これらの検討に当たっては、OA 機器ワーキンググループを通じた情報収集の他、 OA 機器の調達において先進的な契約や取組を行っている地方公共団体や民間事業者の状況などを参考とする。
3.自動車の購入等に係る契約
(1)検討の背景と内容
平成 19 年 7 月の省エネ法トップランナー基準の改正により、2015(平成 27)年度以降の乗用車、軽貨物車及び軽量貨物車の燃費基準については、測定方法が従来の 10・15 モードからより実態に即した JC08 モードへ変更されるほか、ガソリン自動車とディーゼル自動車を同一区分として扱う1こととされている。また、カタログ等に表示される燃費についても、今後、JC08 モード燃費へxx切り替わることとなっている。このため、現行の基本方針において、「入札条件は、当分の間、燃料種別ごとに設定する」としている原則について、ディーゼル自動車の普及状況を勘案しつつ、検討する必要がある。
また、現行の基本方針解説資料では、自動車の購入等に係る契約において、価格以外の要素として評価する環境性能を二酸化炭素排出量の削減としているところ、自動車の使用段階における二酸化炭素排出量は燃料使用量と恒等であるため、自動車の環境性能の評価項目に係る指標は「燃費(km/㍑)」を採用している。しかしながら、今後、電気自動車等の環境性能の優れた新たな自動車が市場にxx投入される中、こうした自動車を含めて可能な限り同一に扱う(複数車種の自動車について統一した評価式による総合評価落札方式に基づいて契約の相手方を選定する)ことについて検討することが必要と考えられ、そのためには、複数車種間の環境性能を同一に評価できる指標についての考え方を、関係省庁における議論等を踏まえ、整理する必要がある。
(2)検討事項(案)
上記(1)を踏まえ、本年度の自動車の購入等に係る契約の検討事項(案)は、以下のとおりとする。
❑ ガソリン自動車とディーゼル自動車を同一の評価式に基づき評価する総合評価落札方式の導入に関する検討
🔾 燃料種別ごとに設定している入札条件の統一化の是非
🔾 統一化する場合の総合評価落札方式
❑ 複数車種間の環境性能を同一に評価できる指標についての考え方の整理
🔾 使用段階における温室効果ガス(二酸化炭素)排出量の適切な評価方法2
1 乗用車、軽貨物車、軽量貨物車にあっては、ガソリン自動車とディーゼル自動車を同一区分として、エネルギー換算(発熱量換算)で同等の目標基準値を適用することとし、ガソリン自動車は燃費値を、ディーゼル自動車はガソリン発熱量換算燃費値(ディーゼル自動車の燃費値を 1.10 で割った値)を用いる。
2 例えばガソリン自動車、ディーゼル自動車及び LP ガス自動車については、「自動車の燃費性能の評価及び公表に関する実施要領」(平成 16 年国土交通省告示第 61 号)に基づき、「1km 走行における CO2排出量(g-CO2/km)」が公表されている。
4.地方公共団体における環境配慮契約の推進
(1)地方公共団体における環境配慮契約の取組状況
通常の経済活動の主体として大きな位置を占め、かつ、他の主体にも大きな影響力を有する国及び地方公共団体が果たす役割は極めて大きい。したがって、国はもちろんのこと、地方公共団体が自ら率先して環境配慮契約を推進し、これを呼び水とすることにより、さらに巨大な経済主体である民間部門へも取組の輪を広げ、我が国全体の環境配慮契約への転換を促すことにつながるものと期待される。
こうした環境配慮契約の牽引役としての役割が期待される地方公共団体における環境配慮契約の実施状況は、参考3のとおりである。
環境配慮契約法の認知度については、内容を知っていると回答した団体は全体で
30.3%、規模別にみると都道府県・政令市では 98.5%と認知度が極めて高い一方で、町村の 35.3%が知らないと回答している。また、環境配慮契約に取り組むかどうかわからないと回答した団体は全体で 80.6%を占めており、規模別の内訳は都道府県・政令市が 26.2%、区市が 79.6%、町村が 86.7%となっている。さらに、契約方針を策定している団体は全体で 1.9%に過ぎない。このように、都道府県・政令市については、環境配慮契約に関して一定の普及、取組がみられるものの、区市町村については、現在のところ不十分な状況にある。
(2)「地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアル」の改定
環境配慮契約の導入を図るためには、特に区市町村において環境配慮契約の導入意義と内容に関する認知度を高めるとともに、地域や規模に応じた具体的な方法等に関する適切な情報提供が極めて重要であると考えられる。
併せて、アンケート調査において地方公共団体から環境配慮契約の進展のために国として進めてほしい取組のうち、全体の過半数に及ぶものとして「環境配慮契約のメリット、効果に関する整理」58.2%、「環境配慮契約に関する情報提供システム、広報活動の拡充」55.4%、「国の基本方針に関する情報提供、他の地方公共団体の取組状況に関する情報提供」54.2%があげられており、これらの要望を勘案した情報提供も必要と考えられる。
地方公共団体における環境配慮契約の導入を促進するために、参考3に示した課題や要望等を踏まえ、平成 21 年度に作成した「地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアル(以下「導入マニュアル」という。)」の改定を行い、その内容について、基本方針等の全国説明会等をはじめ広く普及を図るものとする。
なお、導入マニュアルの改訂に当たっては、次の 3 点を特に留意すべきポイントとする。
🔾 普及啓発にも活用可能な、具体的かつわかりやすい導入マニュアルとすること
🔾 地方公共団体の地域性や規模に応じた導入マニュアルとすること
🔾 阻害要因とされている項目(情報、人、費用、メリット、導入効果等)を考慮した導入マニュアルとすること