Contract
諫早市工事請負代金債権譲渡の承諾に係る取扱要領
(目的)
第1条 この要領は、中小・中堅建設業者への資金供給の円滑化及び下請保護を図るため、諫早市(以下「市」という。)と工事請負契約を締結した中小・中堅元請建設業者が、当該工事請負契約に基づく工事請負代金債権(以下「債権」という。)の譲渡を行うことについて、諫早市建設工事請負契約書(以下「工事請負契約書」という。)第5条第1項のただし書きに規定する承諾をする場合についての取扱いを定めるものとする。
(対象工事)
第2条 債権譲渡の対象とする工事は、工事請負代金額が 200 万円以上の工事で、次の各号の要件をすべて満たす工事とする。
(1) 前払金の支払を受けていない工事又は前払金の支払を受けている場合は、当該工事の出来高が既に支払った前払金額(中間前払金の支払を受けている場合は、当該中間前払金額を加算した金額)以上である工事、若しくは工事請負契約書第 31 条第2項の検査(以下「完成検査」という。)に合格した工事
(2) 債務負担行為及び歳出予算の繰越等工期が複数年度に亘る工事にあっては、次のア又はイに該当する工事
ア 債務負担行為に係る工事(以下「債務負担工事」という。)にあっては、前号の規定中「出来高」とあるのは「当該会計年度の出来高予定額に対する出来高」と読み替えて適用する。ただし、2年度以降は会計年度毎に前会計年度の出来高予定額以上の出来高であることを要件とする。
イ 前年度から繰り越された工事であって、かつ、年度内に終了が見込まれる工事
(3) 履行保証を付したもののうち、市が役務的保証を必要としない工事
(4) 建設業者の施工能力に疑義が生じている等、債権譲渡の承諾に不適当な事由がない工事
2 前項に掲げる工事以外の債権譲渡は、原則として認めないものとする。ただし、市長が特に必要と認めるものについては、この限りではない。
(譲渡債権の範囲)
第3条 譲渡対象となる債権の額は、次の各号のとおりとする。
(1) 当該工事が完成した場合 完成検査に合格し、引渡しを受けた出来形部分に相応する工事請負代金額から既に支払いをした前払金、中間前払金、部分払金及び当該工事請負契約により発生する市の請求権に基づく金額を控除した額
(2) 当該工事請負契約が解除された場合 当該工事請負契約書第 49 条第1項の出来形部分の検査に合格し、引渡しを受けた出来形部分に相応する工事請負代金額から既に支払いをした前払金、中間前払金、部分払金及び当該工事請負契約により発生する違約金等の市の請求権に基づく金額を控除した額
2 工事請負契約の変更により工事請負代金額(債務負担工事にあっては、出来高予定額)に増減が生じた場合には、債権譲渡額は変更後のものとする。
3 債権譲渡の承諾は1請負契約について1回とする。ただし、債務負担工事にあっては、各会計年度の出来高予定額について1回とする。
(債権譲渡人)
第4条 債権の譲渡人は、市と工事請負契約を締結した中小・中堅元請建設業者(原則として資本の額若しくは出資の総額が 20 億円以下又は常時使用する従業員の数が 1500 人以下の建設業者。以下「債権譲渡人」という。)とする。ただし、構成員の中に大企業が含まれる特定建設工事共同企業体(以下「JV」という。)は、債権譲渡人の範囲外とする。
(債権譲受人)
第5条 債権の譲受人(以下「債権譲受人」という。)は次の各号に掲げる者であって、債権譲渡人への資金供給の円滑化及び下請保護に資する資金の貸付事業を行う者とする。
(1) 事業協同組合(事業協同組合連合会を含む。)
(2) 建設業の実務に関して専門的な知見を有し、債権譲渡人への貸付事業を確実に実施できる財産的基盤及び信用を有すること等の要件を満たす者として、財団法人建設業振興基金が被保証者として適当と認める民間事業者
(債権譲渡承諾の手続き)
第6条 債権譲渡人は、債権譲渡の承諾申請を行う場合は、次に掲げる書類を市長に提出するものとする。
(1) 債権譲渡承諾依頼書(様式1-①、1-②) 1通
(2) 債権譲渡契約証書の写し(任意様式。調印済のもの) 1通
※ 工期途中における承諾申請の場合のみ必要
(3) 下請負人保護に関する特約条項(様式2、調印済のもの) 1通
※ 前号の債権譲渡契約証書に第9条第1項に定める措置が講じられていない場合のみ必要
(4) 保険会社又は保証会社の必要な承諾を受けている旨を証するもの 1通
※ 契約保証金相当額を保険又は保証によって担保されている工事で、保険又は保証約款等により当該保険会社又は保証会社の承諾が義務付けられている場合のみ必要
(5) 下請負人等不存在確認書(様式3、債権譲渡人及び債権譲受人の連名によるもの)
1通
※ 完成検査後における承諾申請であり、かつ下請負人が存在しない場合のみ必要
2 第5条に定める債権譲受人のうち、別表1に掲げる者以外の者に対する債権譲渡を行う場合にあっては、前項に掲げる書類のほか、次の各号に掲げる書類を添付しなければならない。ただし、債権譲渡承諾申請を行う年度において、既に市長に提出されているものがある場合は省略できるものとする。
(1) 発行日から3ヶ月以内の債権譲受人の印鑑証明書 1通
(2) 債権譲受人の法人登記簿の写し 1通
(3) 債権譲受人が行っている事業に関する規約等 1通
3 第1項の債権譲渡承諾依頼書等の提出は、次の各号に掲げる期間または時期に行うことができる。
(1) 工期途中においては、当該工事請負契約の工期末日の2週間前まで
(2) 完成検査合格後においては、完成検査合格の時点以後
4 第1項の申請を行うときは、当該債権が譲渡、差押、質権の設定その他権利の移動又は設定等がされていないものでなければならない。
(債権譲渡の承諾)
第7条 市長は、前条第1項の依頼書等を受理したときは、第2条から前条までの要件及び次に掲げる要件について確認が得られたときは、債権譲渡の承諾を決定し、確定日付けを記載した債権譲渡承諾書(様式4-①、4-②)を債権譲渡人及び債権譲受人にそれぞれ1通を交付するものとする。この際、債権譲渡整理簿(様式5)に必要事項を記載し、保管するものとする。
(1) 債権譲渡承諾依頼書
① 本要領に定める様式を使用していること。
② JV案件の場合は、JVの名称、代表構成員及びその他の構成員全員の住所、氏名の記載があること。また、構成員に大企業が含まれていないこと。
③ 次の内容が契約書と一致していること。
ア 契約番号、工事名、契約締結日、工事場所、工期、請負代金額イ 債権譲渡人の所在地、商号又は名称、代表者職氏名、使用印
④ 支払済の前払金額、中間前払金額、部分払金額に誤りがなく、債権譲渡額(申請 時点)が工事請負契約に基づき債権譲渡人が請求できる金額と一致していること。
⑤ 債権譲受人に対し、口頭、電話等により債権譲渡承諾申請に関し、直接意思確認が得られること。
(2) 債権譲渡契約証書の写し
① 前号③及び④に関する記載事項が一致していること。
② 下請負人が存在する場合において、第9条第1項に定める措置が講じられていること。また、講じられていない場合は、下請負人保護に関する特約条項が添付されていること。
(3) 下請負人等不存在確認書
監督職員及び施工体制台帳(対象額以上の工事に限る。)の確認により、下請負人等が明らかに存在しないこと。
(4) 印鑑証明書(別表1に掲げるもの以外のみ)
債権譲渡承諾依頼書、債権譲渡契約証書(写)記載の所在地、名称、代表者及び使用印が、印鑑証明書と一致していること。
2 前項に定めるほか、次の各号に掲げる事項について、確認が得られたときは承諾するものとする。
(1) 債権譲受人が、別表1及び別表2に掲げる者であること。
(2) 債権譲渡人に倒産等の兆候(1回目の手形不渡等)がないこと。
3 第1項の交付は、依頼書等を受理した日から7日以内に行うものとする。
4 債権譲渡の承諾後の中間前金払及び部分払に関する請求は次の各号のとおりとする。
(1) 債権譲渡人は、中間前金払及び部分払を請求することができない。
(2) 債権譲受人は、部分払を請求することができる。
5 債権譲渡人及び債権譲受人は、譲渡債権について、他の第三者に譲渡し又は質権を設定し、その他債権の帰属及び行使を害する行為を行ってはならない。
(債権譲渡の不承諾)
第8条 第2条から前条までの要件について確認が得られなかったときは、債権譲渡の不承諾を決定し、不承諾理由を記した通知書(様式6)を債権譲渡人及び債権譲受人にそれぞれ1通を交付するものとする。この際、債権譲渡整理簿に必要事項を記載し、保管するものとする。
(下請保護)
第9条 債権譲渡の承諾に当たり、下請保護のために、債権譲渡人と債権譲受人の間の債権譲渡の契約を締結する場合に、次の各号に掲げる特約を定めるものとする。
(1) 債権譲渡人が倒産により下請負人等へ支払うことができなくなった場合には、債権譲受人が市から受け取る当該工事請負代金額の一定割合(当該工事の下請割合、下請代金支払方法等を勘案して、債権譲渡人と債権譲受人の間で任意に定める割合)を限度として、債権譲渡人に代わって下請負人等に支払う旨の特約
(2) 債権譲渡人が倒産により下請負人等へ支払うことができなくなった場合には、債権譲受人が市から受け取る当該工事請負代金額から債権譲渡人への貸付金等を精算の上、残余の部分を債権譲渡人に代わって下請負人等に支払う旨の特約
ただし、債権譲受人が別表1に掲げる者の場合は、同組織の事務体制にかんがみ、当分の間は、債権譲受人が市から受け取る当該工事請負代金額から債権譲渡人への貸付金等を精算の上、債権譲渡人の倒産による任意整理において、残余の部分を別表1に掲げる者が債権譲渡人に代わって下請負人等に支払うことにつき債権者間の合意が整ったときは、当該合意に従って支払う旨の特約も認めるものとする。
2 債権譲渡人は、下請負人等が存在する場合は、債権譲受人に次の各号に掲げる書類を提出するものとする。
(1) 融資申請時までの下請負人等への代金支払状況・支払計画書(様式7)
(2) 誓約書(様式8)
※債権譲受人が別表1に掲げる者の場合で、前項前号ただし書きを適用する場合
3 第1項及び前項により保護する下請負人等の範囲は、債権譲渡人が当該工事請負契約を履行するために使用する下請負人(債権譲渡人と直接の契約関係を有する者であって、法人、個人を問わない。)及び当該工事請負契約を履行するために資材を提供する資材業者(債権譲渡人と直接の契約関係を有するものであって、法人、個人を問わない。)とする。
(被担保債権)
第 10 条 債権譲渡は、将来債権譲渡人と債権譲受人との間で締結する金銭消費貸借契約等
(契約を履行するための運転資金確保等のために行うもの。)に基づいて債権譲受人が債権譲渡人に対して取得する債権を担保するものであって、債権譲受人が債権譲渡人に対して有するそれ以外の債権を担保するものではない。
第 11 条 融資時における譲渡債権の担保価値の査定は、債権譲受人において行うこととし、市長は担保価値の査定のための出来高確認は行わないものとする。
(融資の実行報告)
第 12 条 債権譲渡人及び債権譲受人は、第7条第1項の承諾を受けた後、金銭消費貸借契
約を締結し、当該金銭消費貸借契約に基づき融資等が実行された場合には、速やかに連署にて、市長に融資実行報告書(様式9)を提出するものとする。
2 前項のほか、工事請負契約に変更が生じた場合は、債権譲渡人は、遅滞なく債権譲受人に契約変更請書の写しを提出するものとする。
3 市長は、融資実行報告書を受領した場合は、以後の工事請負代金を債権譲受人が指定した口座に支払うものとする。
(完成払)
第 13 条 完成払の請求にあたっては、債権譲渡人において市長に工事完成通知書(諫早市工事執行規則(以下「規則」という。)様式第 26 号)に工事写真等を添えて提出し、完
成検査を受け、工事完成(全部・部分)確認書(規則様式第 29 号)を受理した後でなければ行うことはできない。
2 債権譲渡人は、前項の確認書を受理した場合においては、遅滞なく債権譲受人に確認書の写しを提出しなければならない。
3 債権譲受人は、前項の確認書の写しを受理後、別に定める完成払請求書1通を市長に提出して完成払を請求するものとする。
(部分払)
第 14 条 部分払の請求にあたっては、債権譲渡人において市長に既済部分検査申込書(規則様式第 28 号)に工事写真等を添えて検査を申込み、工事完成(全部・部分)確認書を受理した後でなければ行うことはできない。
2 債権譲渡人は、前項の確認書を受理した場合においては、遅滞なく債権譲受人に確認書の写しを提出しなければならない。
3 債権譲受人は、前項の確認書の写しを受理後、別に定める部分払請求書1通を市長に提出して部分払を請求するものとする。なお、債権譲渡人の倒産等により、工事完成前に出来高部分を請求する場合においても当該請求書により請求するものとする。
(不正行為への措置)
第 15 条 債権譲渡人及び債権譲受人が、市に提出した書面について、明らかな偽造・改ざん等の不正行為が認められたときは、市長は、債権譲渡人及び債権譲受人の監督官庁その他関係機関に対してその事実を通報するものとする。
(様式類の整備)
第 16 条 本要領に基づく債権譲渡を実施するに当たって必要な様式類等で、本要領に定めのないものは、債権譲受人において定めたものを使用することとする。
附 則
・長崎県建設工業協同組合
・対馬建設業協同組合
1 この要領は、平成 21 年 4 月1日から施行する。別表1(第5条第1号関係)
別表2(第5条第2号関係)
・株式会社建設総合サービス