Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
公共工事品質確保に関する議員連盟
「公共工事契約適正化委員会」第7回御説明資料
(平成25年9月19日)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
入札契約制度の課題と課題解決のための制度改正の方向性(案)
<目的>インフラの品質確保のための担い手の確保
(背景)現場の担い手不足、行き過ぎた価格競争、発注者マンパワー不足、受発注者の負担増大等
公共工事の入札契約制度の課題
Ⅰ.現状では、発注者は個々の公共工事の品質確保に重点
Ⅱ. 入札契約方式が画一的で、時代のニーズや事業の特 性に応じた多様な方式が活用されにくい状況
(具体的な課題の例)
制度改正の方向性
発注者は、公共工事の品質確保に加え、中長期的な 担い手の確保等にも配慮する旨を明確化
事業の特性等に応じて選択できる多様な入札契約方式を体系的に位置づけ
(入札契約方式の例)
・技術的難易度が高い工事等において民間のノウハウ等を最大限活用する必要性
・工事の規模や難易度に応じた発注体制整備が困難な場合
・入札契約に係る受発注者の負担の増大
・地域維持体制確保への懸念(インフラメンテナンス、災害対応等)
・元請から技能労働者まで施工体制全体の適正経費の支払
(ひいては持続可能性)確保
・若手の技術者、技能労働者の確保への懸念
Ⅲ. 予定価格の設定にあたり
・労務、資材等の適正価格を的確に反映しているか。
・高度な技術提案等が必要な場合に、提案を踏まえて 適切に定めているか。
→公募により最も優れた技術を有する企業を選定し、 価格や工法等について交渉を行った上で契約する方式
→CM方式など、発注者支援に資する方式
→段階選抜方式や総合評価落札方式の適切な活用(二極化等)
→人や機械保有等の建設企業の多面的要素の適切な評価
→複数年度契約、複数業務の一括発注や共同受注方式
→元xxの契約の透明性を高めるための方式(オープンブックやコスト+フィー等)
→建設企業(下請含む)における若手技術者や技能労働者 等の確保・育成の取組を評価
予定価格のより適正な設定について明確化
・適正価格を的確に反映した積算の実施
・技術提案を踏まえた予定価格
・新たな契約方式に対応した予定価格
○ 上記の各事項に対応した項目は、今後の検討の結果、追加や削除等の変更があり得る。
○ 公共工事の品質確保の促進に関する法律(※)の体系に位置づける手法(法令、基本方針等)について更に検討が必要。
○ そのうえで、各発注者に適切かつ円滑に活用されるよう、国において技術的助言として運用方針の策定等を行っていく方向。
○ 上記検討にあわせ、予算決算及び会計令や地方自治法施行令等の改正の必要性について十分検討。
○ 透明性、xx性、必要かつ十分な競争性の確保のための方策や発注体制を整備できない発注者に対する支援のあり方等についても検討。
○ 公共工事に関する調査及び設計の品質確保の方策等についても検討。
入札・契約手続きのフロー
事業の性格や地域の特性に応じた入札契約方式の選択
選抜方式:技術を評価して価格等を交渉する方式、段階的な選抜方式 等契約対象範囲:設計施工分離方式、設計施工一括方式、複数年契約 等 請負代金の支払:総価契約単価合意方式 等
など
競争に参加する建設業者のランク分け
発注ごとの落札者決定のプロセス
経
営事項審査
競
争参加資格審査
<評価・選抜>
全発注者共通の
客観的事項の審査
発注者ごとの
主観的事項の審査
※受発注者の負担の軽減の観点から、手続の簡素化等に留意
中長期的な公共事業の品質確保のための施工力・技術力の維持向上
にも資するとの観点からの評価等の見直しを検討
契
約
入
札
個別発注ごとの
入札参加条件設定
(※)公共工事の品質確保に関する基本理念や国等の責務、公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を規定。平成17年に議員立法により制定。
公共工事の品質確保の促進に関する法律 (公布 平成17年3月31日)
【目的】公共工事の品質確保に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、
公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めることにより、公共工事の品質確保の促進を図り、もって国民の福祉の向上及び国民経済の健全な発展に寄与(第1条)
1.公共工事の品質確保に関する基本理念および発注者の責務
2. 『価格と品質で総合的に優れた調達』
3.発注者をサポートする仕組み
公共工事の品質は、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより確保されなければならない(第3条第2項)
発注者は、基本理念にのっとり、その発注に係る公共工事の品質が確保されるよう発注関係事務を適切に実施する責務(第6条)
・工事の経験等、技術的能力に関する事項を審査(第11条)
・技術提案を求める入札(第12条)
・技術提案についての改善を求めることが可能(第13条)
・高度な技術等の提案の審査の結果を踏まえた予定価格作成が可能(第14条)
発注者は、自ら発注関係事務を
適切に実施することが困難な場合、外部の者の能力を活用するよう
努める(第15条)
政府の策定する「基本方針」に基づき、各発注者は必要な措置を講ずる(第9条)
※議員立法により制定
多様な入札契約方式の導入・活用のイメージ
<現場のニーズ>
施工条件が複雑で事業期間が長期にわたるプロジェクトであるため、精度の高い積算が困難で、従来の入札・契約方式ではリスクが過大で事業者が応札しない可能性が高い。
<今後検討する対応の方向性>
技術力を競った上で価格交渉する方式の導入
「技術提案競争・交渉方式」(仮称)
小さなロットの維持管理事業等は採算性が悪く、過剰な価格競争が起きれば、地域に真に必要な企業が生き残らず、維持管理等に支障が生じるおそれ。
地域維持のための発注単位の柔軟化
「複数年契約」、
「複数工種・工区一括等契約(仮称)」
・多くの工事を速やかに発注・施工する必要があるが、十分な発注体制をとれない。
・技術的に高度で複雑な工事を発注・施工する必要があるが、知識と経験のある技術職員が不足している。
民間のxxや技術力を活用した発注者支援
「CM方式」
若手技術者等の確保や育成など、中長期的な公共工事の品質の確保に必要な重要課題がある。
中長期的な公共工事の品質確保のため、若手技術者等の確保状況などを評価
中長期的な品質確保のための評価などの拡充
ダンピングや下請・職人へのしわ寄せの防止が必要。
透明性の高い支払方法の導入
「オープンブック方式」、「コスト+フィー方式」
老朽化インフラのメンテナンスの課題
発注前の仕様の確定が困難
橋梁等の修繕は、施工の段階で設計と実態が異なり、再設計や契約変更が必要になることが多い。
実態に見合わない価格
修繕工事は、新設工事と比べて手間がかかり、人件費や機材のコストも割高になる場合がある。
修繕工事は発注ロットが小さいため、利益が出にくい。
【現状の課題(自治体・業界団体等へのヒアリングによる)】
xxxxx・xxxx不足
自治体の多くは、人員・ノウハウの不足により計画的な点検、維持管理、補修、更新ができていない。
構造物ごとに劣化具合を判断できる技術者が異なるため、適切な技術者の確保が必要。
点検の水準が不十分な場合があり、適切かつ計画的な補修に繋がっていない。
技術提案競争・交渉方式(仮称)の導入
大規模で技術的難易度が高い工事等は、特に民間企業の高度な技術力やノウハウ等の発揮を十分に求めることが重要。民間の技術力を最大限活かした工事や維持管理を推進するため、 技術力を競った上で価格交渉する方式の導入を検討。
技術提案競争・交渉方式(仮称) の導入の検討
手続の流れ(イメージ)
技術力の競争
発注者と交渉権者の交渉
技術力を総合的に審査
※交渉が調わなかった場合は、別途検討
(
契 約 締 結
受注者の決定
予定価格の設定・
見積合わせ
施工方法等の確認・
価格交渉
交渉権者の決定
術審査
書類審査・ヒアリングなど)
技術提案書の提出
公
募
公募により最も優れた技術を有する企業を選定し、当該企業と優先的に価格や工法 等について交渉を行った上で契約する方式
複数年契約・複数工種工区等一括契約(仮称)の活用拡大
災害対応、除雪、インフラの維持管理等を担う能力のある地域の建設企業が減少。地域維持や災
害対応等を的確に行っていくため、その担い手確保に向け、発注単位の柔軟化を検討。
度の高い建設企業等の共同受注方式の利用の促進
複数年契約、複数工種・工区等一括契約(仮称) の活用拡大の検討
複数年の契約や複数工種・工区の一括契約、巡回・清掃・除草の包括契約の活用や、地域精通
○異なる事業の組み合わせ
(道路管理 ✢ 河川管理)
包括して発注する方式のイメージ
○年間を通じた工事量の平準化
(除雪 ✢ 除草、維持補修)
○異なる工区の組み合わせ
(A工区 ✢ B工区)
契約
(複数年)
地域の
○単体企業
○事業協同組合
○地域JV
共同受注方式の利用の促進
CM方式の導入
技術者不足によって工事の規模や難易度に応じた発注体制を整備できない自治体等に対し、民間の能力を十分に活用して発注者の技術力を量的・質的に補完する、新たな発注者支援の 方式の導入を検討。
CM方式活用の例
【ピュア・アットリスク併用型】
CM方式 の導入の検討
発注から施工に至る必要な段階で、建設関連の企業や団体が発注者支援業務を担う
※CM :Construction Management。発注者の補助者であるCMR(コンストラ クション・マネージャー)が、発注者の側に立って、設計や工事発注方式の検討、工程の管理など、各種マネジメント業務の全部又は一部を実施。 また、オープンブック方式やコスト✢フィー方式の活用により、下請建設業者に対する支払額の透明化や下請けへのしわ寄せの防止が可能。
※オープンブック方式:工事費用を施工者に支払う過程において、支払金額とその対価のxxさを明らかにするため、施工者が発注者に全てのコストに関する情報を開示し、発注者又は第三者が監査を行う方式
※:コスト✢フィー方式:工事の実費(コスト)を実費精算とし、これにあらかじめ合意さ
発注者
発
注 CM契約(請負) CM契約(委託)者
側
マ CMR
ネ (ピュア型)
ジ
メ コスト マネジメント
ン +
ト フィー
オープンブック
受注者側マネジ
れた報酬(フィー)を加算して支払う契約方式 メン
※今後、被災地における取組事例の検証を進め、CMRの課題等を整理し、そ ト
れらを踏まえ他地域への展開を図る。
CMR
(アットリスク型)
施工者
施工者
施工者
設計者
A地区 B地区 C地区
施工者
D地区
中長期的な品質確保のための評価の拡充
地域の実情等に応じて、中長期的な公共工事の品質確保のための施工力・技術力の維持・向上にも資するとの観点から、経営事項審査、競争参加資格審査、総合評価等の入札契約の各段階において、若手技術者の確保状況などの評価等を充実させることを検討。
中長期的な品質確保のための評価など の拡充を検討
(例)
・若手技術者・技能者の活用や若年入職者への伝統技術の継承等に係る条件を設定し、評価
・地域に必要な企業の育成にも資するとの観点から、本店所在地、地域貢献(防災協定の加入状況等)
の実績等を評価 など
取組例
例えば、総合評価など入札契約の各段階で、若手技術者・技能者を雇用する企業に対する評価を拡充することを検討
発注ごとの入札・契約
審査
経営事項
審査
競争参加資格
競争参加
契約
価格と
品質(技術力)
総合評価
多様な入札契約方式の体系のイメージ(案)
⮚ 中長期的な担い手の確保、行き過ぎた価格競争の是正、地域のインフラメンテナンスや維持管理、発注者のマンパワー不足、受発注者の負担軽減等の課題に対応するため、多様な入札契約方式の導入・活用を推進。
⮚ 上記課題に対応して、現時点で想定される多様な入札契約方式の体系を、議論のたたき台として提示するもの。
⮚ 発注者は、事業の性格や地域の特性等に応じて、多様な入札契約方式から適当な方式を選択。
⮚ 透明性、xx性、必要かつ十分な競争性の確保のための方策を検討。
選抜方法
競争性のある方式
技術を評価して価格等を交渉する方式
○ 技術提案競争・交渉方式(仮称): 技術的難易度が高く、民間のxxとノウハウの最大限の活用と併せ、対話により受発注者が柔軟
に調整を進めることが適当な場合公募により最も優れた技術を有する企業を選定し、当該企業と優
技術と価格を評価する方式
先的に工法や価格等について交渉を行った上で契約する方式
○ 総合評価落札方式: 工期、機能、安全性などの価格以外の要素と価格とを総合的に評価して落札者を決定する方式
⮚ 国交省の直轄事業においては、発注者が示す仕様に基づき、適切で確実な施工を行う能力を評価する方式(施工能力の評価を行うタイプ)と、施工能力に加え、構造上の工夫や特殊な施工方法等を含む高度な技術提案を求めて評価する方式(技術提案の評価を行うタイプ)の2タイプがある。
価格のみを評価する方式
:定型的な工事でロットが小さく、施工力、技術力等による評価が困難なもの
○ 価格のみを評価する一般競争入札:公告により不特定多数の者を誘引し申し込みした者で価格競争を行わせ、落札者と契約する方式
○ 価格のみを評価する指名競争入札:発注者が指名した企業間で価格競争を行わせ、落札者と契約する方式
※ 段階的に選抜する方式:受発注者の事務量の軽減のため、段階的に選抜する方式
・第一段階として、技術のみを評価して競争参加者を絞り込む方式
・第二段階として、技術と価格を評価して落札者を決定する方式
※技術提案に基づき競争参加者を数者に絞り込んだ後に対話を行って仕様を決定し、その後、競争参加者に価格等に基づく競争を行って契約の相手方を決定する競争的対話方式がある。
・第二段階として、価格のみを評価して落札者を決定する方式
※工事ごとに入札参加意欲を確認し、当該工事の施工に係る技術的な特性等を把握するための簡易な技術提案の提出を求めた上で指名を行う方式(公募型指名競争方式)がある。
評価のあり方
中長期的な公共工事の品質確保のため施工力・技術力の維持向上に資する観点からの評価の充実
例)○若手技術者等の評価:若手技術者・技能者の活用・確保状況等について評価
○地域企業の実績等の評価:本店所在地、地域貢献(防災協定の加入状況等)の実績等を評価
※評価にあたっては、受発注者の負担についても留意
競争性のない方式
○ 随意契約(非競争型):競争入札によらないで任意の企業と契約する方式
契約対象範囲 請負代金の支払額の決め方
事業プロセスの範囲
○設計施工分離方式:設計と施工を分離して契約する方式。
※さらに工事を細分化して契約する方式(分離発注)もある。
○設計施工一括方式:設計と工事を一括して契約する方式。
デザインビルド方式。
○ECI(Early Contractor Involvement):計画・設計の早期段階から工事
業者等が参画し、施工性の検討を進めること。
工事の発注単位の範囲
○複数年契約: 複数年にわたって実施する契約
○複数工種・工区等一括契約(仮称):地域の実情に応じ、関連性の
ある複数の工種や工区、巡回・清掃・除草などをまとめて対象にする契約
○総価契約:契約時に請負代金を確定しておき、契約書に示
された設計図書の変更事由が生じた場合、請負代金の変更を行うという契約
・総価契約単価合意方式:総価で請け負い、代金変更がある場合の算定のための単価等を前もって協議・合意し、設計変更や部分払に伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施する契約方式。国交省の直轄事業で実施。
○単価・数量精算契約:工事材料等について単価を契
約で定め、予定の施工数量に基づいて概算の請負代金を計算して契約し、工事完成後に実際に用いた数量と約定単価をもとに請負代金を確定する契約
○コスト+フィー方式:工事の実費(コスト)を実費精算と
し、これにあらかじめ合意された報酬(フィー)を加算して支
CM方式
:コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理などの各
払う契約方式
請負代金の支払プロセス
・ピュア型
種のマネジメント業務の全部又は一部を行う方式 ○オープンブック方式:工事費用を施工者に支払う過程
において、支払金額とその対価のxxさを明らかにするため、
・アットリスク型
・ピュア・アットリスク併用型
施工者が発注者にすべてのコストに関する情報を開示し、発注者又は第三者が監査を行う方式
多様な入札契約方式の中から適切な手法を選択し、組み合わせることによって、中長期的な公共工事の品質確保が可能
例) ○地域維持型契約方式:地域の的確な維持管理や災害対応等の担い手を中長期的に確保していくため、複数年の契約や複数工種・工区の
一括契約、巡回・清掃・除草の包括契約、地域精通度の高い建設企業等の共同受注などを可能とする方式
○経営事項審査、競争参加資格審査、総合評価等の入札手続段階で、中長期的な公共事業の品質確保のための施工力・技術力の維持向上の観点からの評価等の見直しを検討するとともに、債務負担行為のより一層の有効活用等を通じた発注の平準化のための方策、より効果的なダンピング防止策等も検討。
○受発注者の負担軽減のための方策、発注体制を整備できない発注者に対する支援のあり方についても検討。
○公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)の体系に多様な入札契約方式を位置付けることを検討するとともに、位置づける手法(法令、基本方針等)についてさらに検討。その上で、各発注者に適切かつ円滑に活用されるよう、国において技術的助言として運用方針の策定等を行っていく方向。
今後のスケジュールイメージ
~7月 8月 9月
10月
11月
12月 1月~
xx審・社整審基本問題小委員会
7月26日再開
9月18日開催
11月開催予定
年内を目途にとりまとめ
直轄事業における今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会
(仮称)
適宜3省WTと調整
平 成
検討状況を報告
検討状況 26
年 通 x x x
を報告
9月19日自民党議連
与党
※自民党議連 : 自民党 公共工事品質確保に関する議員連盟公共工事契約適正化委員会