Ⅰ.策定の背景 ・・・・・・P 1
福岡市設計変更ガイドライン
(土木工事編)
平 成 3 0 年 4 月
福岡市
Ⅰ.策定の背景 ・・・・・・P 1
◆ ◆ | 策定の背景 策定の目的 | |
Ⅱ.設計変更フロー | ・・・・・・P | 3 |
Ⅲ.設計図書の照査 1.工事請負契約書第18条第1項の照査 | ・・・・・・P | 4 |
Ⅳ.設計変更 1.照査内容の確認 | ・・・・・・P | 6 |
2.設計変更に必要な資料作成 | ・・・・・・P | 7 |
3.設計変更が可能なケース | ・・・・・・P 7 | |
4.設計変更が不可能なケース | ・・・・・・P16 | |
5.設計図書の訂正・変更 | ・・・・・・P17 | |
6.設計変更の責任者 | ・・・・・・P19 | |
Ⅴ.工期・請負代金額の変更 | ・・・・・・P26 | |
添付資料 | ・・・・・・P31 | |
ⅰ.関係規定 | ・・・・・資 1 | |
ⅱ.用語の定義 | ・・・・・資16 | |
ⅲ.設計図書の変更事例 | ・・・・・資18 | |
Ⅵ.工事監督におけるワンデ-レスポンス | ・・・・・資27 |
◆策定の背景
土木工事は、
■多種多様な現地の自然条件下で生産されるという特性から設計図書に示された施工条件が実際とは一致しない場合がある。
■設計図書で想定していなかった条件が発生する場合がある。
ごびゅう だつろう
■設計図書に誤謬、脱漏、不明確な表示の場合
がある。
■改正品確法の基本理念に請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいて「xxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」することや「適切な設計変更」が発注者の責務と示されている。
以上のような背景があるため、設計変更の手続きを明確にし、円滑な請負契約を執行する必要がある。
■契約関係の適正化、責任の所在の明確化
■設計図書の変更手続きの円滑化
■契約関係の適正化により、必要とする工事目的物の品質の確保
凡例
:対応する章
:発注者の作業
:受注者の作業
:発注者・受注者の作業
Ⅱ.設計変更フロー
x 約
Ⅲ
設計図書の照査 工事請負契約書第18条第1項の照査
受注者:該当する事実(質問事項)が確認できる資料を書面で提出
Ⅳ
設計変更
(3).発注者が変更を必要と認める
2.設計変更に必要な資料作成
3.設計変更が可能なケース
1.照査内容の確認(受発注者協議、三者協議会等の活用)
(1).工事請負契約書第18条第1項に該当する (2).設計の照査の範囲を超える作業が生じる
4.設計変更が
不可能なケース
※施工途中の場合のみ
発注者:工事一時中止の指示
(4).工事を一時中止する必要がある
※詳細は「工事一時中止に係るガイドライン」による
5.設計図書の訂正・変更
1~3号訂正
x第18条第1項の該当号
4・5号変更
発注者:調査の実施受注者:立会
発注者:結果とりまとめ受注者:意見
受注者:基本計画書の作成・提出
発注者:訂正・変更の通知(調査、協議終了後14日以内)
発注者:基本計画書の承諾
工期目的物の
伴う 変更
伴わない
受発注者協議
6.設計変更の責任者
(1).発注者の責による訂正・変更 (2).コンサルタント等の責による訂正・変更 (3).受注者による訂正・変更
受注者:基本計画書に基づいた施工、工事現場の保全の実施
Ⅴ
工期・請負代金額の変更
必要
不要
工期・請負代金額の変更
受発注者協議
工期・請負代金額の変更
※必要に応じて概算金額の明示
訂正・変更指示の了解
工事続行
工 事 着 手
施工途中
竣 工
Ⅲ.設計図書の照査
受注者は、
■『土木工事共通仕様書 1-1-1-3 2.設計図書の照査』により施工前及び施工途中において、自らの負担により設計図書の照査を行わなければならない。
■照査の結果『工事請負契約書第18条第1項第1号~第5号』に該当する事実がある場合は、監督職員にその事実が確認できる資料(現地地形図、設計図との対比図、取り合い図、施工図等)を書面により提出し、確認を求めなければならない。
これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
発注者は、
『工事請負契約書第19条、第20条』に基づき、施工前及び
施工途中に、
「発注者が変更を必要と認める」
Ⅳ-3-(3)
「工事を一時中止する必要がある」
Ⅳ-3-(4)
ときは、「照査内容の確認」(Ⅳ-1)を行い必要に応じて
設計変更を行う。
1.工事請負契約書第18条第1項の照査
■受注者は、『土木工事共通仕様書 1-1-1-3 2.設計図書の 照査』に基づき施工前及び施工途中に、『工事請負契約書第18条第1項』の第1号から第5号に係わる照査を行わなければならない。
工事請負契約書第18条第1項
(1) 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が
互いに一致しないこと。(これらの優先順位が定められている場合を除く。)
ごびゅう だつろう
(2)
(3)
(4)
(5)
設計図書に誤謬又は脱漏があること。
設計図書の表示が明確でないこと。
工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
設計図書で明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと。
1.照査内容の確認
■照査内容については、発注者と受注者の間で協議を行い、適切に確認を行う。
■照査内容の確認をする手段として、工事着工前、施工途中に必要に応じて三者協議会を開催する。
構成員は、以下とする。
・施工者・設計者・発注者の三者
施工者:工事受注者(現場代理人、xx(監理)技術者、専門技術者等)
設計者:当該工事の詳細設計を実施したコンサルタント(管理技術者、照査技術者、担当技術者等)
発注者:監督員,総括監督員,設計担当職員等
■三者協議会での協議事項等は以下によるものとする。
・施工者による、設計図書の照査結果及び疑問点等の報告
・発注者(必要により設計者)による、施工者の疑問点等に対する回答
・設計者による設計思想及び施工上の留意点等の説明
・三者による施工上の留意点等の確認
・設計、施工に係る意見交換
■三者協議会の開催については、特記仕様書によるものとする。
2.設計変更に必要な資料作成
「工事請負契約書」第18条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、「工事請負契約
書」第18条第4項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとす る。
①設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
②設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③発注者は、書面による指示に基づき受注者が作成した設計変更に関する資料を確認する。
④書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
3.設計変更が可能なケース
■設計変更が可能な以下のケースの具体的な事例、及び設計変更フロー図を示す。
(1).工事請負契約書第18条第1項に該当する (2).設計の照査の範囲を超える作業が生じる (3).発注者が変更を必要と認める
(4).工事を一時中止する必要がある
◆設計変更にあたっての留意点
・当初設計の考え方や設計条件を再確認して協議にあたる。
・当該工事での設計変更の必要性を明確にする。
・必要な指示、協議等は書面で行う。
・変更指示は速やかに行う。(手戻り工事を避ける) そ ご
・任意仮設において、当初積算時の条件と現地条件に齟齬がある場合は、設計図書の訂正・変更ができる。
(1).工事請負契約書第18条第1項に該当する
■『工事請負契約書第18条第1項第1号~第5号』に該当する具体例を以下に示す。
具体例
・設計書と図面で材料の規格が一致しない。 (第1項の1)
・条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質や地下 水位に関する一切の条件明示がない。 (第1項の2)
・設計図書に示されている工法では明示されている土質に 対応していない。 (第1項の2)
・土質柱状図は明示されているが地下水位が不明確な場合
(第1項の3)
・使用する材料の規格(種類、強度等)が明確に示されて いない。 (第1項の3)
・設計図書に明示された土質や、地下水位が現地条件と一 致しない。 (第1項の4)
・設計図書に明示された地盤高と工事現場の地盤高が一致 しない。 (第1項の4)
・埋蔵文化財が発見され調査が必要となった。(第1項の5)
・工事範囲の一部に軟弱な地盤があり、地盤改良が必要と なった。 (第1項の5)
事例1
工事請負契約書第18条第1項に該当する場合のフロー図
受注者 発注者
凡例
「契約書第18条第1項」
の第1号~第5号に該当する事実を発見
【共1-1-1-3】
発注者の作業
受注者の作業両者の作業
該当する事実が確認
できる資料を提出し発注者に確認を要請
【契第18条第1項】
照査内容の確認
(Ⅳ-1)
設計図書の訂正・変更
【契第18条第2項】
(Ⅳ-5)【契第18条第3項】
【契第18条第4項】
設計変更の責任者(Ⅳ-6)【契第18条第4項】
工期・請負代金額の変更
【契第18条第5項】
(Ⅴ) 【契第23条】
【契第24条】
工事着工
(2).設計の照査の範囲を超える作業が生じる
■「設計の照査の範囲を超える作業」として想定される具体例を以下に示す。
1. 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
2.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
3.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
4.構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
5.構造物の載荷高さが変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
6.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲を超えるものとして扱う)。
7.構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
8.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
9.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
10.「設計要領」「各種示方書」等との対比設計。
11.構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
さかのぼ
12.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
13.舗装修繕工事の縦横断設計。(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。)
事例2
設計の照査の範囲を超える作業が生じる場合のフロー図
受注者 発注者
凡例
「設計の照査の範
囲を超える作業が生じる場合
発注者の作業
受注者の作業両者の作業
該当する事実が確認
できる資料を提出し発注者に確認を要請
【契第18条第1項】
照査内容の確認
(Ⅳ-1)
設計図書の訂正・変更
【契第18条第2項】
(Ⅳ-5)【契第18条第3項】
【契第18条第4項】
設計変更の責任者(Ⅳ-6)【契第18条第4項】
工期・請負代金額の変更
【契第18条第5項】
(Ⅴ) 【契第23条】
【契第24条】
工事着工
(3).発注者が変更を必要と認める
■『工事請負契約書第19条』に示されるように、発注者は工事の施工前、施工途中必要と認められるときは、変更内容を受注者に通知して設計変更を行うことができる。以下にその具体例を示す。
具体例
・地元調整の結果、施工範囲、施工時間、施工期間を変更する。
・同時に施工する必要がある工種が判明し、その工種を追加する。
・警察・河川・鉄道等の管理者、電力・ガス等の事業者、消防署等との協議により、施工内容の変更、工事の追加をする。
・使用材料を変更する。
・関連する工事の影響により施工条件が変わったため、施工内容を変更する。
・隣接工事との調整で、交通誘導警備員の配置を変更する。
発注者が変更を必要と認める場合のフロー図
発注者の作業受注者の作業両者の作業
凡例
受注者 発注者
設計図書の変更が
必要と判断 【契第19条】
照査内容の確認(内容の通知)
(Ⅳ-1)
設計変更の責任者(Ⅳ-6)
【契第18条第4項】
工期・請負代金額の変更
(Ⅴ)
【契第18条第5項】
【契第23条】
【契第24条】
工事着工
(4).工事を一時中止する必要がある
■受注者の責に帰することができないものにより、受注者が工事を施工できないと認められる場合、『工事請負契約書第20条』により、工事を一時中止させなければならない。
この場合において設計変更を行う。以下にその具体例を示す。
具体例
・設計図書に工事着工の時期が定められていた場合、その期日までに受注者の責によらず着工できない場合。
・警察、河川、鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合。
・管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合。
・受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合。
・設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合。
・予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合。
・工事用地等の確保が行われていない。
事例3
工事を一時中止する必要がある場合のフロー図
凡例
発注者の作業受注者の作業両者の作業
受注者 発注者
受注者の責に帰すことのできないものにより工事
を施工できない
照査内容の確認
(Ⅳ-1)
工事の一時中止の
「指示」
工期の変更
(Ⅴ)
工事中止期間中の
維持・管理に関する基本計画書を提出
基本的事項の
「指示」
【共1-1-1-13】
基本計画書の承諾
基本計画書に基づく
現場の保全
請負代金額の変更
(Ⅴ)
工事着工
【契第20条第1項】
【契第20条第1項】
【契第18条第5項】
【契第23条】
【契第18条第5項】
【契第24条】
4.設計変更が不可能なケース
■施工途中において、下記のような場合においては、原則として設計変更ができない。
①.設計図書に条件明示のない事項において、発注者と
「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合。
②. 発注者と「協議」をしているが、協議の回答(指示)がない時点で施工を実施した場合。
③. 工事請負契約書・土木工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経ていない場合。
『工事請負契約書第18条~24条、
共通仕様書1-1-1-13~1-1-1-15』
④.正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合(緊急時を除く)。
⑤.「承諾」で施工した場合。
⑥.当初の設計図書に従って施工しても支障がない場合。
⑦.任意仮設において、施工方法の変更の場合(ただし、
そ ご
現地条件に齟齬がある場合は除く)
事例4
5.設計図書の訂正・変更
■『工事請負契約書第18条第1項に該当する』
『設計の照査の範囲を超える作業が生じる』場合は、
『契第18条第4項』に基づいて設計図書の訂正か変更かを確定する。
■設計図書の変更の場合、『契第18条第2項,第3項』の所定の手続きを経て設計図書の変更を行う。
工事請負契約書第18条第4項
(1) 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの
発注者が行う。
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの
発注者が行う。
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴なわないもの
発注者と受発者とが協議して発注者が行う。
設計図書の訂正・変更フロー図
凡例
発注者の作業発注者の作業両者の作業
『契第18条第1項に該当する』
『設計の照査の範囲を超える作業が生じる』に該当する
該当する内容の工事請負契約書第18条第1項の該当号は?
【契第18条第4項】
第1号~第3号 第4号・第5号
訂 正 変 更
発注者:調査の実施 受注者:立会い 【契第18条第2項】
発注者:結果のとりまとめ 受注者:意見
【契第18条第3項】
訂正の通知(協議終了後原則14日以内)
変更の通知
(調査終了後原則14日以内)
【契第18条第3項】
工事目的物の変更を伴うか
【契第18条第4項】
YES NO
受発注者で協議
「設計変更の責任者」による設計変更 【Ⅳ-6】
6.設計変更の責任者
■設計図書の訂正・変更は、『工事請負契約書第18条第4項』のとおり、発注者が行わなければならない。
ただし、『協議(受発注者協議または三者協議会)』により、以下のとおり責任者を明確にする。
(1).発注者の責による訂正・変更
(2).コンサルタント等の責による訂正・変更 (3).受注者による訂正・変更
工事請負契約書第18条第4項
(1) 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの
発注者が行う。
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの
発注者が行う。
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴なわないもの
発注者と受発者とが協議して発注者が行う。
(1).発注者の責による訂正・変更
■設計図書の訂正・変更は、『工事請負契約書第18条第4項』のとおり、発注者が行わなければならない。
■発注者は、受注者から提出される確認資料の活用、コンサ ルタントへの発注を行い設計図書(設計図面、数量計算書、特記仕様書)の訂正・変更行う。
■発注者の責による変更で以下の場合について、次項よりその変更作業内容を示す。なお、訂正については受注者から提出される確認資料をもとに発注者が訂正する。
①.条件変更に伴う場合
②.新たな構造計算が必要になった場合
■確認資料とは、
・現地地形図
・設計図との対比図
・取り合い図
・施工図(協議用図面程度であり、変更設計図ではない)
①.条件変更に伴う場合
■『工事請負契約書第18条第1項(条件変更等)』に該当す る変更の場合、受注者から提出される確認資料を活用して、発注者が作成することが基本である。
■受注者から提出される確認資料とは、現地地形図、設計書との対比図、取り合い図、施工図である。
設計図書の変更担当者 | 変更の為の資料 | |||
担当者 | 作業内容 | 作成者 | 作業内容 | |
変更設計図面 | 発注者 | 【施工前、施工途中】 ・受注者が作成する施工図をもとに作成する。 | 受注者 | 【施工前、施工途中】 ・確認資料(※1) |
変更数量計算書 | 発注者 | 【施工前】 ・変更設計図面をもとに作成する 【施工途中】 ・受注者が作成する出来形数量をもとに作成する | 受注者 | 【施工途中】 ・出来形数量計算書を作成 |
変更特記仕様書等 | 発注者 | 【施工前、施工途中】 ・受注者から提出される確認資料を活用して作成 | 受注者 | 【施工前、施工途中】 ・確認資料(※1) |
※1.確認資料:現地地形図,設計図との対比図,取り合い図,施工図(※2)
※2.施工図 :協議用図面程度であり、変更設計図面ではない
②.新たな構造計算が必要になった場合
■新たに構造計算、線形等の設計が必要になった場合、発注者はコンサルタント等へ業務を発注する。
■受注者は、必要に応じて土質資料、試験結果を提出する。
■新たな構造計算が必要になった場合 (施工前・施工途中共通)
設計図書の変更担当者 | 変更の為の資料 | |||
担当者 | 作業内容 | 作成者 | 作業内容 | |
変更設計図面 | コンサルタント等 | ・コンサルタント等へ業務を発注 ※発注者が業務を発注し作成する | 受注者 | 必要に応じて土質資料、試験結果を提出 |
変更数量計算書 | コンサルタント等 | ・コンサルタント等へ業務を発注 ※発注者が業務を発注し作成する | - | - |
変更特記仕様書等 | 発注者 | ・受注者から提出される確認資料を活用して作成 | 受注者 | 確認資料(※1) |
※1.確認資料:現地地形図,設計図との対比図,取り合い図,施工図(※2)
※2.施工図 :協議用図面程度であり、変更設計図面ではない
(2).コンサルタント等の責による訂正・変更
か し
■設計成果物に「瑕疵」がある場合、『設計業務等委託契約
書第39条(かし担保)』、『調査等請負契約書第41条(かし担保)』に示すとおり、設計・測量・調査業務受注者に
か し
対して相当の期間を定めて、その「瑕疵」の修補を請求す
ることができる。
■設計に瑕疵があると判断された場合 (施工前・施工途中共通)
設計図書の変更担当者 | 変更の為の資料 | |||
担当者 | 作業内容 | 作成者 | 作業内容 | |
変更設計図面 | コンサルタント等 (当初 受託者) | ・変更設計図面の作成 | 受注者 | 確認資料(※1) |
変更数量計算書 | コンサルタント等 (当初 受託者) | ・変更数量計算書の作成 | - | - |
変更特記仕様書等 | 発注者 | ・受注者から提出される確認資料を活用して作成 | 受注者 | 確認資料(※1) |
※1.確認資料:現地地形図,設計図との対比図,取り合い図,施工図(※2)
※2.施工図 :協議用図面程度であり、変更設計図面ではない
「瑕疵」が想定される場合の変更設計図書の作成責任者確定フロー図
設計成果物に「瑕疵」があると想定された場合
瑕疵と認められない
軽微な瑕疵
重大な瑕疵
瑕疵担保
期間以内か
瑕疵期間10年
以内か
NO
YES
NO
発注者の責による
訂正・変更
(受注者が実施する)
発注者の責による
訂正・変更
(受注者が実施する)
コンサルタント等に設計
図書の訂正・変更を要請
設計業務等委託契約書第
39条に基づく修補の請求
コンサルタント等の責による訂正・変更
(3).受注者による訂正・変更
■発注者の責による場合や、コンサルタント等の責による場
か し か
合でかし担保期限(契約書記載の瑕疵担保期間、重大な瑕
し
疵10年)を過ぎているときは、発注者の負担により設計
図書の訂正・変更を行わなければならない。
ただし、工事工程上やむを得ない場合は、当該工事施工業者(受注者)が訂正・変更を実施する。この場合の費用は計上する。
■受注者が実施する場合 (施工前・施工途中共通)
設計図書の変更担当者 | 変更の為の資料 | |||
担当者 | 作業内容 | 作成者 | 作業内容 | |
変更設計図面 | 受注者 | ・変更設計図面の作成(発注者が受注者へ発注する) | 受注者 | 確認資料(※1) |
変更数量計算書 | 受注者 | ・変更数量計算書の作成(発注者が受注者へ発注する) | - | - |
変更特記仕様書等 | 発注者 | ・受注者から提出される確認資料を活用して作成 | 受注者 | 確認資料(※1) |
※1.確認資料:現地地形図,設計図との対比図,取り合い図,施工図(※2)
※2.施工図 :協議用図面程度であり、変更設計図面ではない
Ⅴ.工期・請負代金額の変更
設計図書の訂正または変更が行われた場合、『工事請負契約書第23条、24条』にもとづき、工期・請負代金額の変更、または損害を及ぼしたときの必要な費用の負担は、発注者と受注者が協議して定める。
■設計変更に係る受発注者協議
・設計変更は受発注者相互の合意を図ることを基本とし、協議により考え方のすり合わせを行う。
なお、変更の内容は書面等にて明確にする。
・受注者は、必要に応じて概算金額の提示を求めることができるものとする。発注者は受注者からの要請があれば、変更指示時に概算金額(設計金額における直接工事費ベ-スの増減額)を明示する。
■概算金額明示の考え方
1.概算金額は、類似する他工事の事例や設計業務等の成果、協会資料などを参考に記載することも可とする。
2.概算金額は、十万円単位を基本(十万円以下の場合は一万円単位)とする。
3.なお、概算金額の明示にあたっては、受発注者相互の事務量負担軽減を図ることが必要である。
4.記載する概算金額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
5.緊急的に行う場合または何らかの理由により概算金額の算定に時間を要する場合は、「後日通知する」ことを添えて指示を行うものとする。
■協議書(様式2-3)
※変更増減額(概算金額)の提示 { 要請する ・ 要請しない }
■通知書(様式2-4)
変更増減額(概算金額)は、十万円単位を基本(十万円以下の場合は一万円単位)とする。
変更増減額
(概算金額)
約 〇 万円 増・減
左記は設計金額における直接工事費ベ-スの増減額であり、後日の変更契約に係る参考地として位置付けるものである。
■設計変更事由書(様式2-5)
概算金額は設計金額を記載する。
(基本的には直接工事費ベ-スの増減額を記載)
約 〇〇 万円 増(直工)
■工期変更について
工期変更の対象であると確認された場合、『土木工事共通仕様書1-1-1-15』より受注者は、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付した工期変更の協議書を発注者へ提出し、協議を行い工期の変更を定める。
■契約変更の時期について
設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものであるが、土木工事においては、「軽微な設計変更」に限って、工期末に契約変更を行うことが出来る。
「軽微な設計変更」とは・・
①設計変更額が当初設計金額の20%以内のもの
②構造、工法、位置、又は断面等の変更で重要でないものなど
添付資料
ⅰ.関係規定 ・・・・資 1
ⅱ.用語の定義 ・・・・資16
ⅲ.設計図書の変更事例 ・・・・資18
Ⅳ.工事監督におけるワンデ-レスポンス ・・・・資27
ⅰ.関係規定
①発注関係事務の運用に関する指針 ・・・・・・資 2
・工事施工段階
(施工条件の変化等に応じた適切な設計変更)
(工事中の施工状況の確認等)
(施工現場における労働環境の改善)
(受注者との情報共有や協議の迅速化等)
②工事請負契約書 ・・・・・・資 4
・第18条(条件変更等)
・第19条(設計図書の変更)
・第20条(工事の一時中止)
・第21条(受注者の請求による工期の延長)
・第22条(発注者の請求による工期の短縮等)
・第23条(工期の変更方法)
・第24条(請負代金額の変更方法等)
・第25条(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)
・第30条(請負代金額の変更に代える工事内容の変更)
・第42条(前払金又は中間前払金等の不払に対する工事中止)
③土木工事共通仕様書 ・・・・・・資 9第1編共通編 第1章総則 第1節総則
・1-1-1-3 設計図書の照査等
・1-1-1-13 工事の一時中止
・1-1-1-14 設計図書の変更
・1-1-1-15 工期変更
・1-1-1-41 臨機の措置
④設計業務等委託契約書 ・・・・・・資12
・第39条(瑕疵担保)
⑤調査業務等請負契約書 ・・・・・・資13
・第41条(瑕疵担保)
⑥土木工事施工管理の手引き ・・・・・・資14
・12 出来形数量計算書
①発注関係事務の運用に関する指針
<工事施工段階>
(施工条件の変化等に応じた適切な設計変更)
施工条件を適切に設計図書に明示し、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合その他の場合において、必要と認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴って必要となる請負代金の額や工期の適切な変更を行う。
また、労務、資材等の価格変動を注視し、賃金水準又は物価水準の変動により受注者から請負代金額の変更(いわゆる全体スライド条項、単品スライド条項又はインフレスライド条項)について請求があった場合は、変更の可否について迅速かつ適切に判断した上で、請負代金額の変更を行う。
(工事中の施工状況の確認等)
建設業法違反(一括下請負の禁止、技術者の専任義務違反、施工体制台帳の未整備等)と疑うに足りる事実があるときは、建設業許可行政庁等に通知する。当該通知の適切な実施のために、現場の施工体制の把握のため の要領を策定し、必要に応じて公表するとともに、策定した要領に従って現場の施工体制等を適切に確認するほか、一括下請負など建設業法違反の防止の観点から、建設業許可行政庁等との連携を図る。1)
工事期間中においては、その品質が確保されるよう、監督を適切に実施する。低入札価格調査の基準価格を下回って落札した者と契約した場合等においては、適切な施工がなされるよう、通常より施工状況の確認等の頻度を増やすことにより重点的な監督体制を整備する等の対策を実施する。
適正かつ能率的な施工を確保するとともに工事に関する技術水準の向上に資するため、出来形部分の確認等の検査やその他の施工の節目(不可 視となる工事の埋戻しの前など)において、必要な技術的な検査(以下「技術検査」という。)を適切に実施する。技術検査については、施工について改善を要すると認めた事項や現地における指示事項を書面により受注者に通知する。
この技術検査の結果は工事の施工状況の評価(以下「工事成績評定」という。)に反映させる。
(施工現場における労働環境の改善)
労働時間の適正化、労働・公衆災害の防止、賃金の適正な支払、退職金制度の確立、社会保険等への加入など労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めることについて、必要に応じて元請業者の指導が図られるよう、関係部署と連携する。
こうした観点から、元請業者に対し社会保険等未加入業者との契約締結 を禁止する措置や、社会保険等未加入業者を確認した際に建設業許可行政庁又は社会保険等担当部局へ通報すること等の措置を講ずることにより、下請業者も含めてその排除を図る。
下請業者や労働者等に対する円滑な支払を促進するため、支払限度額の見直し等による前金払制度の適切な運用、中間前金払・出来高部分払制度や下請セーフティネット債務保証事業又は地域建設業経営強化融資制度の活用等により、元請業者の資金調達の円滑化を図る。
既に中間前金払制度を導入している場合には、発注者側からその利用を促すこと及び手続の簡素化・迅速化を図ること等により、受注者にとって当該制度を利用しやすい環境の整備に努める。
(受注者との情報共有や協議の迅速化等)
設計思想の伝達及び情報共有を図るため、設計者、施工者、発注者(設計担当及び工事担当)が一堂に会する会議(専門工事業者、建築基準法(昭和
25年法律第201号)第2条に規定する工事監理者も適宜参画)を、施工者が設計図書を照査等した後及びその他必要に応じて開催するよう努める。
また、各発注者は受注者からの協議等について、速やかかつ適切な回答に努める。
変更手続の円滑な実施を目的として、設計変更が可能になる場合の例、手続の例、工事一時中止が必要な場合の例及び手続に必要となる書類の例等についてとりまとめた指針の策定に努め、これを活用する。1)
設計変更の手続の迅速化等を目的として、発注者と受注者双方の関係者が一堂に会し、設計変更の妥当性の審議及び工事の中止等の協議・審議等を行う会議を、必要に応じて開催するよう努める。
②工事請負契約書
(条件変更等)
第18条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
(1) 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が互いに 一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること。 (3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと。
2 監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を 行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後14日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果により第1項各号に掲げる事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
(1) 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの
発注者が行う。
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの
発注者が行う。
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの
発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正または変更が行われた場合において、
発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第19条 発注者は、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を 変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなけ ればならない。
(工事の一時中止)
第20条 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的
な事象(以下「天災等」という。)であって受注者の責めに帰すこと
ができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更 し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止 に伴う増加費用を必要とし、若しくは受注者に損害を及ぼしたときは 必要な費用を負担しなければならない。
(受注者の請求による工期の延長)
第21条 受注者は、天候の不良、第2条の規定に基づく関連工事の調整への協力その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工 事を完成することができないときは、その理由を明示した書面により、発注者に対して、工期の延長変更を請求することができる。
2 発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。発注者は、その工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、請負代金額について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(発注者の請求による工期の短縮等)
第22条 発注者は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、受注者に対して、工期の短縮を請求することができる。
2 発注者は、この契約書の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、延長する工期について、通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。
3 発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工期の変更方法)
第23条 工期の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が工期の変更事由が生
じた日(第21条の場合にあっては、発注者が工期変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては、受注者が工期変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(請負代金額の変更方法等)
第24条 請負代金額の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注
者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、請負代金額の変更事由が生じ
た日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
3 この契約書の規定により、受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者と受注者とが協議して定める。
(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)
第25条 発注者又は受注者は、工期内で請負契約締結の日から12月を経過した後に日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めたときは、相手方に対して請負代金額の変更を請求することができる。
2 発注者又は受注者は、前項の規定による請求があったときは、変動前残工事代金額(請負代金額から当該請求時の出来形部分に相応する請負代金額を控除した額をいう。以下この条において同じ。)と変動後残工事代金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事代金額に相応する額をいう。以下この条において同じ。)との差額のうち変動前残工事代金額の1000分の15を超える額につき、請負代金額の変更に応じなければならない。
3 変動前残工事代金額及び変動後残工事代金額は、請求のあった日を基準
とし、物価指数等に基づき発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から、14日以内に協議が整わない場合にあっては、発注
者が定め、受注者に通知する。
4 第1項の規定による請求は、この条の規定により請負代金額の変更を行った後再度行うことができる。この場合においては、同項中「請負契約締結の日」とあるのは「直前のこの条に基づく請負代金額変更の基準とした日」とするものとする。
5 特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、請負代金額が不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各号の規定によるほか、請負代金額の変更を請求することができる。
6 予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、請負代金額が著しく不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各号の規定にかかわらず、請負代金額の変更を請求することができる。
7 前2項の場合において、請負代金額の変更額については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。
8 第3項及び前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知しなければならない。ただし、発注者が第1 項、第5項又は第6項の請求を行った日又は受けた日から7日以内に 協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(請負代金額の変更に代える工事内容の変更)
第30条 発注者は、第8条、第15条、第17条から第22条まで、第25条から第 27条まで、前条又は第33条の規定により請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別の理由があるときは、請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。この場合において、設計図書の変更内容は、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知しなければならない。ただし、発注者が請負代金額を増額すべき事由又は費用を負担すべき事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(前払金又は中間前払金等の不払に対する工事中止)
第42条 受注者は、発注者が第34条、第34条の2、第38条又は第39条において準用される第32条の規定に基づく支払いを遅延し、相当の期間を定めてその支払いを請求したにもかかわらず支払いをしないときは、工事の全部又は一部の施工を一時中止することができる。この場合においては、受注者は、その理由を明示した書面により、直ちにその旨を発注者に通知しなければならない。
2 発注者は、前項の規定により受注者が工事の施工を中止した場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建 設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に 伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要 な費用を負担しなければならない。
③土木工事共通仕様書
第1編 共通編 第1章 総則 第1節 総則 1-1-1-3 設計図書の照査等
1.図面原図の貸与
受注者からの要求があり、監督職員が必要と認めた場合、受注者に図面の原図を貸与することができる。ただし、共通仕様書等市販・公開されているものについては、受注者が備えなければならない。
2.設計図書の照査
受注者は、施工前及び施工途中において、自らの負担により契約約款第18条第1項第1号から第5号に係わる設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、受注者は、監督職員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
3.契約図書等の使用制限
受注者は、契約の目的のために必要とする以外は、契約図書、及びその他の図書を監督職員の承諾なくして第三者に使用させ、または伝達してはならない。
1-1- 1-13 工事の一時中止
1.一般事項
発注者は、契約約款第20条の規定に基づき以下の各号に該当する場合においては、あらかじめ受注者に対して通知した上で、必要とする期間、工事の全部または一部の施工について一時中止をさせることができる。
なお、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的または人為的な事象による工事の中断については1-
1-1-41臨機の措置により、受注者は、適切に対応しなければならない。
(1)埋蔵文化財の調査、発掘の遅延及び埋蔵文化財が新たに発見され、工事の続行が不適当または不可能となった場合
(2)関連する他の工事の進捗が遅れたため工事の続行を不適当と認めた場合
(3)工事着手後、環境問題等の発生により工事の続行が不適当または不可能となった場合
2.発注者の中止権
発注者は、受注者が契約図書に違反しまたは監督職員の指示に従わない場合等、監督職員が必要と認めた場合には、工事の中止内容を受注者に通知し、工事の全部または一部の施工について一時中止させることができるものとする。
3.基本計画書の作成
前1項及び2項の場合において、受注者は施工を一時中止する場合は、
中止期間中の維持・管理に関する基本計画書を監督職員を通じて発注者に提出し、承諾を得るものとする。また、受注者は工事の再開に備え工事現場を保全しなければならない。
1-1-1-14 設計図書の変更
設計図書の変更とは、入札に際して発注者が示した設計図書を、発注者が指示した内容及び設計変更の対象となることを認めた協議内容に基づき、発注者が修正することをいう。
1-1-1-15 工期変更
1.一般事項
契約約款第15条第7項、第17条第1項、第18条第5項、第19条、第20条第3項、第21条及び第42条第2項の規定に基づく工期の変更について、契約約款第23条の工期変更協議の対象であるか否かを監督職員と受注者との間で確認する(本条において以下「事前協議」という。)ものとし、監督職員はその結果を受注者に通知するものとする。
2.設計図書の変更等
受注者は、契約約款第18条第5項及び第19条に基づき設計図書の変更または訂正が行われた場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
3.工事の一時中止
受注者は契約約款第20条に基づく工事の全部もしくは一部の施工が一時中止となった場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
4.工期の延長
受注者は、契約約款第21条に基づき工期の延長を求める場合、第1項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする延長日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
5.工期の短縮
受注者は、契約約款第22条第1項に基づき工期の短縮を求められた場合、可能な短縮日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付し、契約約款第23条第2項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
1-1-1-41 臨機の措置
1.一般事項
受注者は、災害防止等のため必要があると認められるときは、臨機の 措置をとらなければならない。また、受注者は、措置をとった場合には、その内容を直ちに監督職員に通知しなければならない。
2.天災等
監督職員は、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的または人為的事象(以下「天災等」とい
う。)に伴ない、工事目的物の品質・出来形の確保及び工期の遵守に重大な影響があると認められるときは、受注者に対して臨機の措置をとることを請求することができる。
④設計業務等委託契約書
(瑕疵担保)
第39条 発注者は、成果物に瑕疵があるときは、受注者に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し、又は修補に代え、若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。
2 前項の場合において受注者が負うべき責任は、第29条(第36条において準用する場合を含む。)の規定による検査に合格したことをもって免れるものではない。
3 第1項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求は、第29条第3項又は第4項(第36条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から本件建築物又は本件構造物の工事完成後1年(本件建築物又は本件構造物の工事がコンクリ-ト造等の建物等又は土木工作物等の建設工事の場合にあっては、2年)以内に行わなければならない。ただし、これらの場合であっても、成果物の引渡し時から10年間を超えては、修補又は損害賠償の請求を行えない。
4 前項前段の規定にかかわらず、前項に規定する請求を行うことができる期間(以下「瑕疵担保期間」という。)について設計図書で別段の定めをした場合は、当該設計図書の定めるところによる。
5 前2項の規定にかかわらず、成果物の瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には、瑕疵担保期間は、引渡しを受けた日から10年とする。
6 発注者は、成果物の引渡しの際に瑕疵があることを知ったときは、第1項の規定にかかわらず、その旨を直ちに受注者に通知しなければ、当該瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできない。ただし、受注者がその瑕疵があることを知っていたときは、この限りでない。
7 第1項の規定は、成果物の瑕疵が設計図書の記載内容、発注者の指示又は貸与品等の性状により生じたものであるときは、適用しない。ただし、受注者がその記載内容、指示又は貸与品等が不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは、この限りでない。
⑤調査業務等請負契約書
(瑕疵担保)
第41条 発注者は、成果物に瑕疵があるときは、受注者に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し、又は修補に代え、若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。
2 前項の場合において受注者が負うべき責任は、第31条(第38条において準用する場合を含む。)の規定による検査に合格したことをもって免れるものではない。
3 第1項の規定による瑕疵の修補または損害賠償の請求は、第31条第3項又は第4項(第38条においてこれらの規定を準用する場合を含む。) の規定による引渡しを受けた日から本件建築物又は本件構造物の工事 完成後1年(本件建築物又は本件構造物の工事がコンクリ-ト造等の 建物等又は土木工作物等の建設工事の場合にあっては、2年)以内に 行わなければならない。ただし、これらの場合であっても、成果物の 引渡し時から10年間を超えては、修補又は損害賠償の請求を行えない。
4 前項前段の規定にかかわらず、前項に規定する請求を行うことができる期間(以下「瑕疵担保期間」という。)について設計図書で別段の定めをした場合は、当該設計図書の定めるところによる。
5 前2項の規定にかかわらず、成果物の瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には、瑕疵担保期間は、引渡しを受けた日から10年とする。
6 発注者は、成果物の引渡しの際に瑕疵があることを知ったときは、第1項の規定にかかわらず、その旨を直ちに受注者に通知しなければ、当該瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできない。ただし、受注者がその瑕疵があることを知っていたときは、この限りでない。
7 第1項の規定は、成果物の瑕疵が設計図書の記載内容、発注者の指示又は貸与品等の性状により生じたものであるときは、適用しない。ただし、受注者がその記載内容、指示又は貸与品等が不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは、この限りでない。
⑥土木工事施工管理の手引き
12 出来形数量計算書
12.1 目的
出来形数量計算書作成は、出来高管理を行う上で必要且つ重要な作業である。この作業には3通りの目的があり、その内容は下記のとおりである。
(1)契約数量が契約図書及び現地との照合の結果間違いがないか、その照査を行うと共に、契約図書に数量が明示されていない各種材料及び構造の数量計算。
(2)設計図面等に変更があった場合、変更に関する数量計算。
(3)出来高確認のための数量計算
12.2 作成上の留意点
(1)契約数量が契約図書及び現地との照合の結果間違いがないか、その照査を行うと共に、契約図書に数量が明示されていない場合、各種材料及び構造物の数量計算を行う。
1)数量計算対象は工事内訳書、明細書及び各種構造図等に示されている工種全般とする。また、一式契約、仮設工(床掘、埋戻
し、型枠、支保工、足場等)についても数量計算を行う。数量計算は設計寸法によって行う。
2)この照査によって契約数量、寸法等の誤りが発見される場合もあり、この結果が施工に影響を与えるので、工事契約後直ちに数量計算を実施する必要がある。
3)違算等の資料(数量計算、図面等)は変更指示及び契約変更の資料として利用される場合もあるので、早急に且つ正確に作成しなければならない。
(2)設計図面等に変更があった場合、変更に関する数量計算を行う。
1)変更数量計算書、図面等は変更指示及び契約変更の資料として利用されるので、早急且つ確実に作成しなければならない。
2)変更数量計算書は、変更指示書に明示された条件、及び変更設計 寸法を基に算出された数量である。したがって、契約変更数量は、監督職員が変更指示した内容のみ認められるものであり、現地出 来形寸法で算出されたものではない。
(3)出来高数量計算確認のために数量計算を行う。
1)数量計算の結果が出来高数量総括表に記入される。
2)数量計算は工事内訳書、明細書に記載されている契約数量に対して行う。
3)数量計算は出来形寸法によって計算する。この場合、出来形寸法が設計寸法に対し、土木工事施工管理基準及び規格値に定める規格値を満足していれば、出来高数量は設計数量とする。
注)前項の(3)の出来高数量確認のために行う数量計算で、出来形寸法が設計寸法に対し、土木工事施工管理基準及び規格値に定める規格値を満足していれば、前項(1)(2)の契約数量確認及び変更数量計算のために作成した数量計算書を添付する。
出典 | ||
・設計図書の変更 | ・・・・入札に際して発注者が示した設計図書を、発注者が指示した内容及び設計変更の対象となることを認めた協議内容に基づき、発注者が修正することをいう。 | 共1-1-1-14 |
・契約図書 | ・・・・契約書及び設計図書をいう。 | 共1-1-1-2 |
・設計図書 | ・・・・仕様書、図面、工事数量総括表(金抜設計書)、現場説明書及び現場説明に対する質 | 共1-1-1-2 |
問回答書をいう。
・仕様書 ・・・・各工事に共通する共通仕様書と各工事ごと
に規定される特記仕様書を総称していう。
・共通仕様書 ・・・・各建設作業の順序、使用材料の品質、数量、
仕上げの程度、施工方法等工事を施工するうえで必要な技術的要求、工事内容を説明したもののうち、あらかじめ定型的な内容を盛り込み作成したものをいう。
・特記仕様書 ・・・・共通仕様書を補足し、工事の施工に関する
明細または工事に固有の技術的要求を定める図書をいう。なお、設計図書に基づき監督職員が受注者に指示した書面及び受注者が提出し監督職員が承諾した書面は、特記仕様書に含まれる。
・現場説明書 ・・・・工事の入札に参加するものに対して発注者
が当該工事の契約条件等を説明するための書類をいう。
・質問回答書 ・・・・質問受付時に入札参加者が提出した契約条
件等に関する質問に対して発注者が回答する書面をいう。
・指示 ・・・・契約図書の定めに基づき、監督職員が受注
者に対し、工事の施工上必要な事項につい て書面により示し、実施させることをいう。
・承諾 ・・・・契約図書で明示した事項について、発注者
若しくは監督職員または受注者が書面により同意することをいう。
・協議 ・・・・書面により契約図書の協議事項について、
発注者または監督職員と受注者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。
共1-1-1-2
共1-1-1-2
共1-1-1-2
共1-1-1-2
共1-1-1-2
共1-1-1-2
共1-1-1-2
共1-1-1-2
・提出 ・・・・監督職員が受注者に対し、または受注者が
監督職員に対し工事に係わる書面またはそ の他の資料を説明し、差し出すことをいう。
・通知 ・・・・発注者または監督職員と受注者または現場
代理人の間で、工事の施工に関する事項について、書面により互いに知らせることをいう。
・書面 ・・・・手書き、印刷物等による工事打合せ簿等の
工事帳票をいい、発行年月日を記載し、署名または押印をしたものを有効とする。
出典
共1-1-1-2
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・確認 | ・・・・契約図書に示された事項について、臨場も | 共1-1-1-2 |
しくは関係資料により、その内容について | ||
・監督職員 | 契約図書との適合を確かめることをいう。 ・・・・本仕様で規定されている監督職員とは、総括 | 共1-1-1-2 |
監督員、監督員を総称していう。
・施工図 ・・・・協議用図面程度であり変更設計図面ではな
いもの
・三者協議会 ・・・・発注者と施工者にて通常行われている協議
の場に、設計コンサルタント(以下、「設計者」という。)を加えることで、設計思想及び設計・施工条件や施工上の留意点などの確実な伝達を行い、工事目的物の品質確保及び円滑な工事の実施を目的に行う会議のこと。
・瑕疵(かし) ・・・・取引の通念からみて契約の目的物に何らか
の欠陥があること。(xxxxxxによる設計図面の誤謬、構造基準の誤った適用による過大設計、数量の計算ミスによる工事費の過小積算、構造計算ミスによる強度不足等)
・契 ・・・・工事請負契約書
・共 ・・・・土木工事共通仕様書
ⅲ.設計図書の変更事例
事例1.工事請負契約書第18条1項に該当する事例
(第1号)図面の表示に不一致があった事例 ・・・・・・資19
(第2号)必要項目に漏れがあった事例 ・・・・・・資20
(第3号)材料仕様が不明確だった事例 ・・・・・・資21
(第4号)設計図書と現場状況に不一致があった事例・・・・・・資22
(第5号)予期できない条件が生じた事例 ・・・・・・資23
事例2.設計の照査の範囲を超える作業が生じる事例
現地条件が異なり再計算が生じた事例 ・・・・・・資24
事例3.工事を一時中止する必要がある事例
予見できない事態で工事を中止した事例 ・・・・・・資25
事例4.設計図書の変更が不可能な事例
任意仮設における設計変更の事例 ・・・・・・資26
事例1.工事請負契約書第18条1項に該当する事例
(第1号)図面の表示に不一致があった事例
■内容
ある工事において、構造図と詳細図及び数量総括表を照査したところ、構造図には防護柵H=1.10mが明記されているが、その詳細図はなく、数量総括表にも数量が計上されていなかった。
■受注者の対応
受注者は、この内容が工事着工前の設計図書の照査の段階で判明したため、受発注者協議において照査の内容が確認できる資料として構造図、詳細図、数量総括表を示し、確認を要請した。また、以下の内容を質問した。
①.本工事で防護柵を設置する必要があるか。
②.必要なら詳細図が必要である。
③.後施工なら柵設置用の箱抜きが必要ではないか。
構造図に明示された防護柵
■設計変更等の内容
発注者は、本工事で防護柵を設置する考えであったが、詳細図がなく、工事設計数量も計上漏れをしていた。
発注者は、受注者との協議に基づき、詳細図及び数量総括表などの設計変更を行った。
(第2号)必要項目に漏れがあった事例
■内容
ある工事において、躯体工事が本格的に始まると生コン車の通行が頻繁となり、地元住民、一般車の交通の妨げとなると考えられるが、交通誘導警備員が計上されていなかった。(地元より交通誘導警備員配置の要望もあった)
■受注者の対応
受注者は、発注者に確認を要請。発注者から意見を求められた受注者は、地元の要望や交通状況を考慮し、交通誘導警備員配置計画書を作成した。
No | 打設予定日 | 打設箇所 | 配置交通誘導警備員 | 備 考 |
1 | 平成19年○月中旬 | 水路部①ロット | 3人 | |
2 | 平成19年○月下旬 | 水路部②ロット | 3人 | |
3 | 平成19年△月上旬 | 水路部③ロット | 3人 | |
4 | 平成19年△月中旬 | 本体部①ロット | 5人 | 打設量多いため |
5 | 平成19年△月下旬 | 本体部②ロット | 3人 | |
6 | 平成19年□月上旬 | 本体部③ロット | 3人 | |
7 | 平成19年□月中旬 | 本体部④ロット | 3人 | |
8 | 平成19年□月下旬 | 集水桝部①ロット | 3人 | |
9 | 平成19年×月上旬 | 集水桝部②ロット | 3人 | |
10 | 平成19年×月中旬 | 集水桝部③ロット | 3人 | |
合 計 | 32 |
※ No.4は一日あたりの打設量が多いため、配置予定3人の中間に1人づつ追加配置する
交通誘導警備員配置図、配置計画
■設計変更等の内容
発注者は、受注者から提案された交通誘導警備員配置計画について、協議に基づき特記仕様書の変更及び交通誘導警備員の計上を行った。
(第3号)材料仕様が不明確だった事例
■内容
ある工事において、特記仕様書に鉄筋D25以外はSD295Aとなっているが、D29のSD295Aはメーカーが生産中止しており、入手が困難となっていること✎ら材料の表示が明確でな✎った。
■受注者の対応
受注者は、確認できる資料として、鉄筋メーカーへの生産状況問い合わせ結果を示し、SD345への変更を提案した。
特記仕様書 第7章 第40条
本工事に使用する鉄筋は、すべて異形鋼とし、摘要工種は下記のとおりとする。
鉄筋の種類 | 摘要工種 |
SD345 | 上屋差筋(D25) |
SD295A | 上記以外の鉄筋 |
特記仕様書
鉄筋SD295Aの作成状況について
製造業者 鉄筋径 | ○○製鉄 | (株)△△△ | □□製鋼 | ××製鉄 |
D13 | ○ | ○ | ○ | ○ |
D16 | ○ | ○ | ○ | ○ |
D19 | ○ | ○ | ○ | ○ |
D22 | ○ | ○ | ○ | ○ |
D25 | × | × | × | × |
D29 | × | × | × | × |
D32 | × | × | × | × |
○:製造中 ×休止
■設計変更等の内容
発注者は、現在の土木構造物で使用される鉄筋がSD295A
✎らSD345に移行していること、SD295Aが生産中止された事実を✃握し、受注者との協議に基づきSD295A✎らSD345とする特記仕様書及び図面、数量の変更を行った。
(第4号)設計図書と現場状況に不一致があった事例
■内容
ある工事において、特記仕様書で既設道路を工事用道路として使用すると示されていたが、現場(既設道路)は幅員が狭く蛇行し、両端に構造物もあること✎ら、トレーラー(車幅3.3m)が通行できず、設計図書と現場が一致しない。
■受注者の対応
受注者は、資料として既設道路の写真を示し、また工事用道路比較検討書として、特記仕様書に示された既設道路を改良した場合と、新たな工事用道路を新設した場合の資料を提出した。
現場写真
比較検討による新設工事用道路の計画
■設計変更等の内容
発注者は、受注者立会のもと直ちに調査を行い、協議に基づき、道路両端に構造物がない既設道路に新たな工事用道路を施工する設計変更を行った。
(第5号)予期できない条件が生じた事例
■内容
ある工事において、直接基礎で設計されたボックスカルバートを布設するため掘削していたところ、ボックスカルバート中央付近に設計図書では明記されていない軟弱地盤が発見された。
■受注者の対応
受注者は、支持地盤が示されているボックスカルバート一般図と掘削の結果が一致しないことを報告した。また、発注者の指示により、基礎工を検討するために地質調査を行った。
■設計変更等の内容
発注者は、当初設計においてカルバート工指針が示すとおり、ボックスカルバートの両端で行った地質調査の結果をもとに基礎形式を決定していたが、受注者立会のうえ掘削箇所の調査を行ったところ、中央部が軟弱地盤であること(予期できな✎ったこと)が判明した。そのため、設計コンサルタントと基礎形式の検討を行ったうえで変更設計図書を作成し、受注者との協議に基づき設計図書の変更を行った。
事例2.設計の照査の範囲を超える作業が生じる事例現地条件が異なり再計算が生じた事例
■内容
ある仮設工事の土留め壁において、現地測量の結果、現地盤の標高が設計図書に示された標高と1.2m異なっていた。設計図書と現地条件が異なり、設計条件が変わること
✎ら構造計算を再度行う必要が生じた。
■受注者の対応
受注者は、この内容が着手前測量で判明したため、受発 注者協議において、着手前測量成果簿と構造計算書及び設 計図を示し、構造計算の再計算及び図面の再作成を求めた。
■設計変更等の内容
発注者は、直ちに受注者立会のうえ調査を行ったところ
、設計後(工事発注後)に現地の標高が変わったことが判明した。そのため、設計コンサルタントと土留め壁の構造計算等について検討を行ったうえで変更設計図書を作成し
、受注者との協議に基づき設計図書の変更を行った。
事例3.工事を一時中止する必要がある事例
予見できない事態で工事を中止した事例
■内容
ある橋梁工事において、支持層が設計で想定していたより浅✎ったため、橋台の基礎杭が施工途中で高止まりした
。発注者は再度構造計算を行い、その構造の安全が確認できるまで工事を一時中止した。
■発注者の対応
発注者は、受注者立会のうえ調査を行った結果、支持層の位置が設計での想定より浅いことが判明したため、現在の現場条件で杭の応力計算、安定計算を再度行い、その構造の安全を確認する必要があると判断した。そのため、構造の安全が確認された変更設計図書が作成出来るまで工事を一時中止することとした。
設計変更等の内容
発注者は、受注者との協議に基づき橋台基礎の土質変更に伴う設計変更を行うとともに、工事の一時中止に伴う増加費用の計上を行った。
事例4.設計図書の変更が不可能な事例
任意仮設における設計変更の事例
■内容
ある護岸工事の仮締切盛土において、上流側の仮締切盛土がxxにより崩れ始めた。受注者は大型土のうにより仮締切盛土の補強を行うため、発注者に対し設計図書の変 更を求めた。
■発注者の対応
受注者は、確認できる資料として、現場写真、仮設計画平面図、標準断面図を示した。し✎し、特記仕様書には仮締切盛土は任意工法と明記されており、工事目的物を完成するために必要な一切の手段については受注者の責任において処理することとなっている。したがって、発注者は本工事において設計図書の変更は不可能であることを通知した。
仮設計画平面図
標準断面図
Ⅵ.工事監督におけるワンデーレスポンス
■内容
公共事業を取り巻く環境が非常に厳しいな✎で、事業の執行にあたっては、工事の品質を確保しながら、よりスピ
-ド感を持った対応が求められている。
このため、「現場を待たせない迅速な対応(ワンデ-レスポンス)」の実施により問題解決のための行動の迅速化を図るもの。
■実施方法
①監督員は、受注者✎らの協議・質問について、基本的に
「その日のうち(24時間以内)」に回答する。
②監督員による回答が出来ない場合には、速や✎に上司等に相談し、回答する。
③「その日のうち」に回答することが困難な場合(例:対外協議、現地調査、構造計算等が必要な場合)、受注者に「回答期限」を「その日のうち」に回答する。
④監督員が不在の場合は、総括監督員等が対応するなど、組織体制に即した方法によりワンデ-レスポンスを実施する。
〔 福岡市設計変更ガイドライン(土木工事編)〕
平成22年4月1日 制定平成25年4月1日 改定
平成30年4月1日 改定(全面改定)