401(k)プランの普及とともに拡大を遂げてきた。今回は、その概要を紹介する。
米国生保のGIC(利率保証契約)の現状
GICは米国の生保会社の中心的な団体年金商品である。掛金建て制度を中心に利用され、特に
401(k)プランの普及とともに拡大を遂げてきた。今回は、その概要を紹介する。
通称GICと呼ばれる利率保証契約(Guaranteed Interest Contract)は、投資元本に加え利回りも保証する商品で、1970 年代から米国の生保会社により開発・販売されてきた団体年金商品である。掛金建て(確定拠出型)制度を中心に利用され、特に 1981 年に401(k)プランが導入されて以降、同プランの普及につれ急拡大している。最近では、生保会社の団体年金新契約高の約7割をGICが占めている。
従業員に提供する投資オプション(1991 年)
GIC(利率保証) 株式(アクティブ運用)
株式(インデックス運用)
外国株 マネーマーケット自社株 バランス運用
社債国債
生命保険
0%
20%
40%
60%
80%
提供する基金の割合
(出所)Xxxxxx Xxxxxxx
401(k)プランでは、加入者は、設け られた数種類の投資口座の中から選択 できる。最近は、米国株式市場の活況 を受けて、自社株の人気が高まってい るようだが(大手基金では、積立金の 40%を超えるとの調査もある)、株式 と並んで生保会社が提供するGICが、この投資口座の有力な受け皿の役割を 果たしている。
データが若干古いが、401(k)プラン全体の資産のうち約 50%がGICに投資されている。また、掛金建て制度全体の資産配分では、GICが約4割を占めている。一方、給付建て(確定給付型)制度の資産では、GICは僅か1%に過ぎない。
401(k)プランの資産配分(1991 年)
投資対象 | 401(k)プラン | (参考)掛金建て | (参考)給付建て |
国内株 | 38.4% | 42.4% | 48.9% |
外国株 | 0.7% | 1.1% | 6.6% |
債券 | 3.3% | 10.5% | 28.8% |
GIC | 50.0% | 36.6% | 1.2% |
不動産 | 0.2% | 0.4% | 5.9% |
現預金 | 5.1% | 6.9% | 5.2% |
その他 | 2.3% | 2.1% | 3.4% |
(出所)Greenwich Associates
6 年金ストラテジー May 1997
GICは、生保会社が年金基金から運用を一定期間(通常は2~10 年)、元本と一定利率を保証して受託し、満期時に元利金を支払う契約である。保証利率の水準は、国債利回り+αである。そのため、モーゲージ担保証券や私募債など信用リスクをとった長期債運用が行われる。また、特定の事由(加入者の退職・死亡等による支払)以外の期限前解約の場合には、生保会社が市場価格調整による控除を行って支払うケースが多い。
ところで、1980 年代後半に、各社が高利回りを提示してGIC受託競争が激化し、その保証利回りを実現するためにハイリスクのジャンク債や不動産投資に走り、経営危機に陥る生保会社も現れ、 GICの安全性に懸念が高まった。そのため、GICの残高も頭打ちとなり、この結果、生保会社がGICに伴うリスク管理の向上を迫られる一方で、契約者にとっては、GICの提示利回りだけでなく、その発行体(生保)の信用度も購入時に検討する必要が生じてきたのである。
販売開始以来 20 余年を経た現在、年金基金の様々なニーズに対応してきた結果、多種多様なGICが登場している。基本型(無配当の一括払込・一括満期)の他、一定期間の追加払込可能なGIC、有配当のGIC、また分離勘定のGICも現れている。しかし、いずれの場合も、契約者は短期間
(1週間程度)で契約内容を理解し、保証利率を比較・評価して意思決定する必要がある。
基金のスポンサーは通常複数の(異なる生保会社が発行する)GIC口座を設定し、最適なGICの組み合わせを図っている。ただし、GICの選択・管理は、スポンサーの代わりに高度な手法を持つGICファンドマネージャーが行うケースが多い。また、加入者の保証利率は、複数のGIC利率を加重平均した混合レートとなる。なお、種々の満期・条件のGICが組み合わせられているため、定期的に(通常は毎年)見直しが行われている。
GICの組み合わせ
GIC1
基
金
1,2,3 の
加入者
GIC2
(401(k)
プラン)
混合レート
加入者
を付与
加入者
GIC3
生保B
生保A
最近は、わが国でも、企業の負担を軽減する観点から従来型の給付建て制度を見直して、掛金建て制度の導入を検討すべきとの議論がある。こうしたことから、現在よりxxxxの上昇することが前提ではあるが、米国で掛金建て制度とともに発展してきた生保GICの開発が、わが国でも課題になるものと思われる。
年金ストラテジー May 1997 7