Contract
投資の促進及び保護に関する日本国とカザフスタン共和国との間の協定
日本国及びカザフスタン共和国(以下「両締約国」という。)は、
両締約国間の経済関係を強化するために投資を更に促進することを希望し、
締約国の投資家による他方の締約国の区域内における投資を拡大するための安定した、xxな、良好なかつ透明性のある条件を更に作り出すことを意図し、
両締約国において投資家の発意を促し、及び繁栄を促進する上で投資の漸進的な自由化を図ることが一層重要になっていることを認識し、
両締約国の区域において健康、安全及び環境の分野で適用される措置及び基準を緩和することなしに、これらの目的を達成することが可能であることを認識し、
両締約国間の投資を促進する上で労働者と使用者との間の協調的な関係が重要であることを認識し、
この協定が外国投資に関する国際的な規則の発展についての国際的な協力の強化に寄与することを希望し、
この協定が両締約国間の経済上の連携を更に深めることを信じて、
次のとおり協定した。
第一条
この協定の適用上、
(1)
「投資財産」とは、投資家により直接又は間接に所有され、又は支配されている全ての種類の資産をい
い、次のものを含む。
(f) (e) (d) (c) (b) (a)
企業及び企業の支店
株式、出資その他の形態の企業の持分(その持分から派生する権利を含む。)
債券、社債、貸付金その他の債務証書(その債務証書から派生する権利を含む。)
契約(完成後引渡し、建設、経営、生産又は利益配分に関する契約を含む。)に基づく権利
金銭債権及び金銭的価値を有する契約に基づく給付の請求x
x的財産権(著作権及び関連する権利、特許権並びに実用新案、商標、意匠、集積回路の回路配置、
植物の新品種、営業用の名称、原産地表示又は地理的表示及び開示されていない情報に関する権利を含
む。)
(g)
投資受入国の法令又は契約により与えられる権利(例えば、特許、免許、承認、許可。天然資源の探
査及び採掘のための権利を含む。)
(h)
他の全ての資産(有体であるか無体であるかを問わず、また、動産であるか不動産であるかを問わな
い。)及び賃借権、抵当権、先取特権、質権その他の関連する財産権
投資財産には、投資財産から生ずる価値、特に、利益、xx、資本利得、配当、使用料及び手数料を含む。投資される資産の形態の変更は、その投資財産としての性質に影響を及ぼすものではない。
(2)
「締約国の投資家」とは、次の者であって、他方の締約国の区域内において投資を行おうとし、行って
おり、又は既に行ったものをいう。
(b) (a)
締約国の関係法令によりその国籍を有する自然人
締約国の企業
注釈 締約国の投資家は、投資を行うために必要な具体的な手続をとった場合(投資財産の設立を認め
る免許又は許可のための申請を行った場合を含む。)に限り、他方の締約国の区域内において投資
を行おうとしているものと了解される。
(3)
「締約国の企業」とは、営利目的であるか否かを問わず、また、民間又は政府のいずれが所有し、又は
支配しているかを問わず、締約国の関係法令に基づいて適正に設立され、又は組織される法人その他の事
業体(社団、信託、組合、個人企業、合弁企業、団体、組織及び会社を含む。)をいう。
(4)
「投資活動」とは、投資財産の運営、経営、維持、使用、享有及び売却その他の処分をいう。
(5)
(a)
(b)
「区域」とは、それぞれの締約国について、 当該締約国の領域並びに 国際法に従い当該締約国が主
権的権利又は管轄権を行使する排他的経済水域及び大陸棚をいう。
(6)
「自由利用可能通貨」とは、国際通貨基金協定に定義する自由利用可能通貨をいう。
第二条
1 一方の締約国は、他方の締約国の投資家による投資を可能な限り促進するものとし、自国の関係法令
(外国人による所有及び支配に関するものを含む。)に従って権限を行使する自国の権利を留保の上、当該投資を許可する。
2 各締約国は、他方の締約国の投資家及びその投資財産の利益のため、自国の区域内の投資環境を一層整
備するために適当な措置をとる。この点に関し、各締約国は、投資活動並びに投資財産の設立、取得及び
拡張に関し、他方の締約国の投資家及びその投資財産に対する自国の制限的な措置であってこの協定の効力発生の日に存在するものを削減し、又は撤廃するよう努める。
第三条
1 一方の締約国は、自国の区域内において、投資活動に関し、他方の締約国の投資家及びその投資財産に対し、同様の状況において自国の投資家及びその投資財産に与える待遇よりも不利でない待遇を与える。
2 1の規定にかかわらず、いずれの一方の締約国も、自国の区域内における他方の締約国の投資家の投資活動に関して特別な手続を定めることができる。ただし、当該手続は、この協定に基づく当該投資家の権利を実質的に害するものであってはならない。
第四条
1 一方の締約国は、自国の区域内において、投資活動並びに投資の許可及び投資の許可に関連する事項に関し、他方の締約国の投資家及びその投資財産に対し、同様の状況において第三国の投資家及びその投資財産に与える待遇よりも不利でない待遇を与える。
2 1の規定は、次のものについては、適用しない。
(c) (b) (a)
土地の取得に関する事項
一方の締約国が相互主義に基づき第三国の投資家及びその投資財産に与える待遇
植物の新品種の保護、航空、漁業及び海事に関する二国間及び多数国間の国際協定の当事国であるこ
とに伴う特恵的な待遇
3 1の規定は、一方の締約国が、現行又は将来の関税同盟、経済同盟若しくは通貨同盟、自由貿易地域又はこれらに類する事項を内容とする国際協定であって当該一方の締約国が当事者であるもの又は将来当事者となるものにより与える特恵的な待遇を、他方の締約国の投資家及びその投資財産に与えることを義務付けるものと解してはならない。
第五条
1 一方の締約国は、自国の区域内において、他方の締約国の投資家の投資財産に対し、xxかつxxな待遇並びに十分な保護及び保障を与える。
2 いずれの一方の締約国も、自国の区域内において、恣意的な措置により、他方の締約国の投資家の投資
活動をいかなる意味においても阻害してはならない。
3 一方の締約国は、他方の締約国の投資家の投資財産及び投資活動に関して義務を負うこととなった場合には、当該義務を遵守する。
第xx
xxの締約国は、自国の区域内において、投資家の権利の行使及び擁護のため全ての審級にわたり裁判所の裁判を受け、及び行政機関に対して申立てをする権利に関し、他方の締約国の投資家に対し、同様の状況において自国の投資家又は第三国の投資家に与える待遇よりも不利でない待遇を与える。
第七条
(a)
(l)
いずれの一方の締約国も、自国の区域内における他方の締約国の投資家の投資活動に関し、当該他方の締約国の投資家による投資を許可した日に存在する要求を除くほか、次の から までに掲げる要求を課し、
又は強制してはならない。一方の締約国は、自国の区域内における他方の締約国の投資家の投資活動に関し、当該他方の締約国の投資家による投資を許可した日に存在する要求よりも一層制限的な要求を課し、又は強制してはならない。
(c) (b) (a)
一定の水準又は割合の物品又はサービスを輸出すること。
一定の水準又は割合の現地調達を達成すること。
自国の区域内において生産された物品若しくは提供されたサービスを購入し、利用し、若しくは優先
し、又は自国の区域内の自然人若しくは法人その他の事業体から物品若しくはサービスを購入するこ
と。
(d)
輸入数量又は輸入価額を、輸出数量若しくは輸出価額と又は当該投資家の投資財産に関連する外国為
替の流入の量と何らかの形で関連付けること。
(e)
当該投資家の投資財産により生産される物品又は提供されるサービスの自国の区域内における販売
を、輸出数量若しくは輸出価額と又は外国為替収入と何らかの形で関連付けることにより制限するこ
と。
(h) (g) (f)
輸出又は輸出のための販売を制限すること。
特定の国籍を有する者を取締役、理事又は役員に任命すること。
技術、製造工程その他の財産的価値を有する知識を自国の区域内の自然人又は法人その他の事業体に
移転すること。ただし、次のいずれかの場合を除く。
(i)
要求が、競争法の違反に係る救済措置として司法裁判所、行政裁判所又は競争当局によって課さ
れ、又は強制される場合
(ii)
要求が、適用可能な知的財産権の保護に関する多数国間協定であって自国が締結しているものに反
しない態様で行われる知的財産権の移転に関するものである場合
(l) (k) (j) (i)
自国の区域内に当該投資家の特定地域又は世界市場に向けた事業本部を設置すること。
一定の数又は割合の自国民を雇用すること。
自国の区域内において一定の水準又は価額の研究開発を達成すること。
当該投資家が生産する物品又は当該投資家が提供するサービスの一又は二以上を、特定地域又は世界
市場に向けて自国の区域のみから供給すること。
第八条
1 各締約国は、法令、行政上の手続、一般に適用される行政上及び司法上の決定並びに国際協定であって、投資活動に関連し、又は影響を及ぼすものを速やかに公表し、又は公に利用可能なものとする。
2 一方の締約国は、他方の締約国の要請があった場合には、1に規定する事項に関して、速やかに、当該
他方の締約国の書面による個別の照会に書面により応じ、及び当該他方の締約国に情報(当該一方の締約国が投資に関して締結する契約に関連する情報を含む。)を提供する。
3 1及び2の規定は、締約国に対し、秘密の情報であって、その開示が国内法の実施を妨げ、その他公共の利益に反することとなり、又はプライバシー若しくは正当な商業上の利益を害することとなるものの開示を義務付けるものと解してはならない。
第九条
各締約国は、緊急の場合又は純粋に軽微な場合を除くほか、自国の法令に従い、この協定の対象となる事項に影響を及ぼす一般に適用される規制を設定し、改正し、又は廃止する前に、公衆による意見提出のための合理的な機会を与えるよう努める。
第十条
各締約国は、自国の法令に従い、この協定の対象となる事項に関する腐敗行為を防止し、及び阻止するために、措置をとり、及び努力を払うことを確保する。
第十一条
一方の締約国は、投資活動を行うことを目的として自国の領域に入国し、及び滞在する希望を有する他方の締約国の国籍を有する自然人の入国、滞在及び居住に係る申請並びに就労許可の発給に対し、自国の関係法令に従い、好意的な考慮を払う。
第十二条
1 いずれの一方の締約国も、自国の区域内にある他方の締約国の投資家の投資財産の収用若しくは国有化又はこれに対する収用若しくは国有化と同等の措置(以下「収用」という。)を実施してはならない。ただし、次の全ての条件を満たす場合は、この限りでない。
(d) (c) (b) (a)
公共の目的のためのものであること。
差別的なものでないこと。
2から4までの規定に従って迅速、適当かつ実効的な補償の支払を伴うものであること。
正当な法の手続及び第五条の規定に従って実施するものであること。
2 補償は、収用が公表された時又は収用が行われた時のいずれか早い方の時における収用された投資財産
のxxな市場価格に相当するものでなければならない。xxな市場価格には、収用が事前に公に知られる
ことにより生じた価格の変化を反映させてはならない。
3 補償については、遅滞なく支払うものとし、支払の時までの期間を考慮した商業的に妥当な金利に基づくxxを含める。当該補償については、実際に換価すること、自由に移転すること並びに収用の日の市場における為替相場により関係する投資家の締約国の通貨及び自由利用可能通貨に自由に交換することができるものとする。
4 収用の影響を受ける投資家は、当該投資家の事案及び補償の額に関し、この条に定める原則に従って速やかな審査を受けるため、収用を行う締約国の裁判所の裁判を受け、又はその行政機関に対して申立てをする権利を有する。ただし、第十七条の規定の適用を妨げない。
第十三条
1 一方の締約国は、武力紛争又は自国の区域内における革命、暴動、国内争乱若しくはこれらに類する事件その他の緊急事態により、自国の区域内にある投資財産に関して損失又は損害を被った他方の締約国の投資家に対し、原状回復、損害賠償、補償その他の解決方法に関し、自国の投資家又は第三国の投資家に
与える待遇のうち当該他方の締約国の投資家にとっていずれか有利なものよりも不利でない待遇を与え
る。
2 1に規定する解決方法の手段としての支払が行われる場合には、実際に換価すること、自由に移転すること並びに支払の時の市場における為替相場により関係する投資家の締約国の通貨及び自由利用可能通貨に自由に交換することができるものとする。
第十四条
1 一方の締約国又はその指定する機関が、自国の投資家に対し、他方の締約国の区域内にある当該投資家の投資財産に関連する保証契約又は保険契約に基づいて支払を行う場合には、当該他方の締約国は、次のことを承認する。
(a)
当該支払の原因となった当該投資家の権利又は請求権が当該一方の締約国又はその指定する機関に移
転されること。
(b)
当該一方の締約国又はその指定する機関が、代位により、当該投資家の当初の権利又は請求権と内容
及び範囲において同じ権利又は請求権を行使する権利を有すること。
(a)
2 1 に規定する権利又は請求権の移転に基づき1に規定する一方の締約国又はその指定する機関に対し
て行われる支払及びこのようにして支払われた資金の移転については、前二条及び次条の規定を準用す
る。
第十五条
1 一方の締約国は、自国の区域に向けた又は自国の区域からの全ての資金の移転であって、自国の区域内にある他方の締約国の投資家の投資財産に関連するものが、自国の法令に定める手続に従って、遅滞なく、かつ、自由に行われることを確保する。この資金の移転には、特に次のものを含める。
(e) (d) (c) (b) (a)
当初の資金及び投資財産を維持し、又は増大させるための追加的な資金
利益、xx、資本利得、配当、使用料、手数料その他の投資財産から生ずる収益
融資の返済その他の契約に基づいて行われる支払であって、投資財産に関連するもの
投資財産の全部又は一部の売却又は清算によって得られる収入
当該一方の締約国の区域内にある投資財産に関連する活動に従事する当該他方の締約国から赴任した
従業員が得た収入その他の報酬
(g) (f)
第十二条及び第十三条の規定に従って行われる支払
第十七条の規定に基づく紛争の解決の結果として生ずる支払
2 各締約国は、1に規定する資金の移転が遅滞なく、かつ、自由利用可能通貨により移転の日の市場にお
ける為替相場で行われることを確保する。
3 1及び2の規定にかかわらず、締約国は、次の事項に関する自国の法令をxx、無差別かつ誠実に適用する場合には、資金の移転を遅らせ、又は妨げることができる。
(d) (c) (b) (a)
破産、支払不能又は債権者の権利の保護
証券の発行、交換又は取引
刑事犯罪
裁決手続における命令又は判決の履行の確保
第十六条
1 一方の締約国は、この協定の運用に影響を及ぼす問題に関して他方の締約国が行う申入れに対し好意的な考慮を払うものとし、かつ、当該申入れに関する協議のための適当な機会を与える。
2 この協定の解釈又は適用に関する両締約国間の紛争であって、外交交渉によっても満足な調整に至らな
かったものは、仲裁委員会に決定のため付託する。仲裁委員会は、いずれか一方の締約国が他方の締約国から当該紛争の仲裁を要請するxxを受領した日から三十日の期間内に各締約国が任命する各一人の仲裁委員及びこのようにして選定された二人の仲裁委員が仲裁委員長となる者としてその後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員の三人の仲裁委員から成る。この場合において、第三の仲裁委員は、いずれの締約国の国民でもない者とする。
3 各締約国が任命した仲裁委員が2に規定するその後の三十日の期間内に第三の仲裁委員について合意しなかった場合には、両締約国は、国際司法裁判所長に対し、いずれの締約国の国民でもない第三の仲裁委員を任命するよう要請する。
4 仲裁委員会は、合理的な期間内に、投票の過半数による議決で決定を行う。当該決定は、最終的なものであり、かつ、拘束力を有する。
5 各締約国は、自国が選定した仲裁委員に係る費用及び自国が仲裁に参加する費用を負担する。仲裁委員長がその職務を遂行するための費用及び仲裁委員会の残余の費用は、両締約国が均等に負担する。
第十七条
1 この条の規定の適用上、
(a)
「投資紛争」とは、一方の締約国と他方の締約国の投資家との間の紛争であって、当該他方の締約国
の投資家又は当該一方の締約国の区域内にある当該他方の締約国の投資家の投資財産について、この協
定に基づく当該一方の締約国の義務の申し立てられた違反により損失又は損害が生じているものをいう。
(d) (c) (b)
「紛争投資家」とは、投資紛争の当事者である投資家をいう。
「紛争締約国」とは、投資紛争の当事者である締約国をいう。
「紛争当事者」とは、紛争投資家及び紛争締約国をいう。
2 この条のいかなる規定も、紛争投資家が、紛争締約国の区域内において、行政的又は司法的解決を求め
ることを妨げるものと解してはならない。
3 投資紛争は、可能な限り、紛争当事者間の友好的な協議又は交渉により解決する。
4 紛争投資家から書面による協議又は交渉の要請があった日から三箇月以内に、投資紛争が友好的な協議
又は交渉により解決されない場合において、当該紛争投資家が解決のために司法裁判所又は行政裁判所若
しくは行政機関に当該投資紛争を付託しなかったときは、当該紛争投資家は、当該投資紛争を次のいずれかの国際的な調停又は仲裁に付託することができる。
(a)
千九百六十五年三月十八日にワシントンで作成された国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決
に関する条約(以下この条において「ICSID条約」という。)による調停又は仲裁。ただし、IC
SID条約が両締約国間で効力を有する場合に限る。
(b)
投資紛争解決国際センターに係る追加的な制度についての規則による調停又は仲裁。ただし、いずれ
か一方の締約国のみがICSID条約の当事国である場合に限る。
(d) (c)
国際連合国際商取引法委員会の仲裁規則による仲裁
紛争締約国と合意する場合には、他の仲裁規則による仲裁
5 適用される仲裁規則は、この条の規定によって修正する部分を除くほか、4に規定する仲裁を規律す
る。
6 4の規定に従い投資紛争を調停又は仲裁に付託しようとする紛争投資家は、紛争締約国に対し、当該投
資紛争が付託される少なくとも九十日前に書面によりその旨の通報を行う。当該通報には、次の事項を明
記する。
(a)
当該紛争投資家の名称及び住所
(b)
当該紛争締約国の問題となる特定の措置並びに問題の所在を明確にする上で十分な当該投資紛争に係
る事実及び法的根拠の簡潔な要約(この協定のいずれの義務について違反があったとされるかについて
の特定を含む。)
(c)
4に規定する調停又は仲裁のうち当該紛争投資家が選択するもの
(d)
当該紛争投資家が求める救済手段及び損害賠償請求額の概算
7 各締約国は、紛争投資家が投資紛争を4に規定する調停又は仲裁であって当該紛争投資家が選択するも
のに付託することに同意する。
(a)
(b)
8 7の規定による同意及び紛争投資家による仲裁への請求の付託は、次の 及び の規定の要件を満たさ
なければならない。
(a)
紛争当事者の書面による同意に関するICSID条約第二章の規定又は投資紛争解決国際センターに
係る追加的な制度についての規則の規定
(b)
書面による合意に関する外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(以下「ニューヨーク条約」とい
う。)第二条の規定
(a)
9 7の規定にかかわらず、4に規定する調停又は仲裁への請求の付託は、紛争投資家が1 に規定する損
失又は損害を被ったことを知った日又は知るべきであった最初の日のいずれか早い方の日から三年が経過
した場合には、行うことができない。
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4の規定にかかわらず、紛争投資家は、紛争締約国の関連する法律に従い行政裁判所若しくは行政機関
又は司法裁判所において暫定的な差止めによる救済(損害賠償の支払を伴わないものに限る。)を申し立
て、又はその申立てに係る手続を継続することができる。
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4の規定により設置される仲裁裁判所については、紛争当事者が別段の合意をする場合を除くほか、紛
争当事者それぞれが任命する各一人の仲裁人及び紛争当事者の合意により任命されて裁判長となる第三の
12
仲裁人から成る三人の仲裁人により構成する。投資紛争が仲裁に付託された日から六十日以内に、紛争投資家又は紛争締約国が一人又は二人以上の仲裁人を任命しない場合には、紛争当事者のいずれも、 及び
13
に規定する要件に従うことを条件として、投資紛争解決国際センター(以下この条において「ICSI
D」という。)の事務局長に対し、ICSIDの仲裁人の名簿から、いまだ任命されていない一人又は二
人以上の仲裁人を任命するよう要請することができる。
12
第三の仲裁人は、紛争当事者が別段の合意をする場合を除くほか、いずれの締約国の国民であってもな
らず、いずれの締約国にも日常の住居を有してはならず、いずれの紛争当事者によっても雇用されてはな
らず、また、いかなる資格においても対象となる投資紛争を取り扱ったことがあってはならない。
13
紛争当事者のそれぞれは、4に規定する仲裁の場合には、それぞれ、任命される仲裁人の国籍として受
け入れられない国籍を三を上限として指定することができる。この場合において、ICSIDの事務局長
に対し、いずれかの紛争当事者によって指定された国籍の者を仲裁人に任命しないよう要請することができる。
14
仲裁は、紛争当事者が別段の合意をする場合を除くほか、ニューヨーク条約の締約国において行う。
15
4の規定により設置される仲裁裁判所は、この協定及び関係する国際法の規則に従って、係争中の事案
につき決定する。
16
紛争締約国は、他方の締約国に次のものを送付する。
(a)
仲裁に付託された請求に関する書面による通知(当該請求が付託された日の後三十日以内に送付す
る。)
(b)
仲裁において提出された全ての主張書面の写し
17
紛争締約国でない締約国は、紛争当事者への書面による通知を行った場合には、この協定の解釈に関す
る問題につき仲裁裁判所に対し意見を提出することができる。
18
仲裁裁判所は、紛争投資家の権利を保全し、又は仲裁手続の進行を容易にするため、暫定的な保全措置
(紛争当事者のいずれかが所持し、又は管理する証拠を保全するための命令を含む。)を命ずることがで
(a)
きる。仲裁裁判所は、差押えを命じてはならず、又は1 に規定する違反を構成するとされる措置の差止
めを命じてはならない。
19
仲裁裁判所が下す裁定には、次の事項を含める。
(a)
紛争締約国が、紛争投資家及びその投資財産に関し、この協定に基づく義務に違反したか否かに関す
る判断
(b)
(i)
(ii)
違反があった場合には、その救済措置。ただし、当該救済措置は、次の 及び に規定するものの一
方又は双方に限られる。
(i)
損害賠償及び適当なxxの支払
(ii)
原状回復。この場合の裁定においては、紛争締約国が原状回復に代えて損害賠償及び適当なxxを
支払うことができることを定めるものとする。
20
19
仲裁裁判所は、仲裁に係る費用についても、適用される仲裁規則に従って裁定を下すことができる。 の規定に従って下される裁定は、最終的なものであり、かつ、紛争当事者を拘束する。紛争締約国
は、裁定を遅滞なく実施し、及び自国の区域内において関係法令に従い当該裁定を執行する。
21
いずれの一方の締約国も、他方の締約国及び当該一方の締約国の投資家が4の規定に従って仲裁に付託
することに同意し、又は付託した投資紛争に関し、外交上の保護を与えてはならず、又は国家間の請求を
21
行ってはならない。ただし、当該他方の締約国が当該投資紛争について下された裁定に従わなかった場合は、この限りでない。この の規定の適用上、外交上の保護には、投資紛争の解決を容易にすることのみ
を目的とする非公式の外交交渉を含めない。
第十八条
1 この協定(第十三条の規定を除く。)の他の規定にかかわらず、各締約国は、次の措置をとることができる。
(a)
自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要であると認める次の措置
(i)
戦時、武力紛争の時その他の自国内又は国際関係における緊急時にとる措置
(ii)
兵器の不拡散に係る国内政策又は国際協定の実施に関連してとる措置
(b)
国際の平和及び安全の維持のため国際連合憲章に基づく義務に従ってとる措置
2 各締約国は、1の規定に基づいてこの協定(第十三条の規定を除く。)に基づく義務に適合しない措置
をとる場合であっても、当該義務を回避するための手段として当該措置を用いてはならない。第十九条
1 いずれの締約国も、次のいずれかの場合には、第三条の規定に基づく義務であって国境を越える資本取引に係るもの及び第十五条の規定に基づく義務に適合しない措置を採用し、又は維持することができる。
(a)
国際収支及び対外支払に関して重大な困難が生じている場合又は生ずるおそれがある場合
(b)
例外的な状況において、資金の移転が経済全般の運営、特に通貨及び外国為替に係る政策に重大な困
難をもたらし、又はもたらすおそれがある状況にある場合
2 1に規定する措置は、次の全ての要件を満たすものとする。
(e) (d) (c) (b) (a)
国際通貨基金協定を締結している限りにおいて、同協定に適合するものであること。
1に規定する状況に対処するために必要な限度を超えないものであること。
一時的なものであり、かつ、事情が許す限り速やかに廃止されるものであること。
他方の締約国に対し、速やかに通報されるものであること。
他方の締約国の商業上、経済上又は金融上の利益に対し不必要な損害を与えることを避けるものであ
ること。
3 この協定のいかなる規定も、国際通貨基金協定に基づく締約国の権利及び義務を変更するものではない。
第二十条
1 この協定の他の規定にかかわらず、締約国は、信用秩序の維持のための金融サービスに関連する措置
(投資家、預金者、保険契約者若しくは信託上の義務を金融サービスを提供する企業が負う者を保護し、
又は金融システムの健全性及び安定性を確保するための措置を含む。)をとることを妨げられない。
2 締約国は、1の規定に基づいてこの協定の規定に適合しない措置をとる場合には、当該措置をこの協定に基づく当該締約国の義務を回避するための手段として用いてはならない。
第二十一条
1 この協定のいかなる規定も、知的財産権の保護に関する多数国間協定であって両締約国が締結しているものに基づく権利を害し、及び当該多数国間協定に基づく義務を免れさせるものと解してはならない。
2 この協定のいかなる規定も、いずれか一方の締約国に対し、知的財産権の保護に関する多数国間協定であって自国が締結しているものにより第三国の投資家及びその投資財産に与えている待遇を、他方の締約国の投資家及びその投資財産に与えることを義務付けるものと解してはならない。
3 両締約国は、知的財産権の十分かつ効果的な保護に妥当な考慮を払うものとし、一方の締約国の要請があった場合には、この目的のために速やかに相互に協議する。各締約国は、その協議の結果に基づき、投資財産に悪影響を及ぼしていると認められる要因を除去するために、自国の関係法令に従い、適当な措置
をとる。
第二十二条
1 この協定のいかなる規定も、3から5までに規定する条項を除くほか、租税に係る課税措置については、適用しない。
2 この協定のいかなる規定も、租税条約に基づく締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。この協定と当該租税条約とが抵触する場合には、抵触する限りにおいて、当該租税条約が優先する。
3 第一条、第五条、第六条、第八条及び第十二条の規定は、租税に係る課税措置について適用する。
4 第十六条及び第十七条の規定は、3の規定が対象とする限りにおいて、租税に係る課税措置に関する紛争について適用する。
(a)
(b)
5 租税に係る課税措置が収用に当たらないことが の規定に従って決定された場合には、いずれの投資
家も、第十二条の規定を第十七条の規定による投資紛争の付託の根拠として援用することができない。
(b)
投資家は、第十七条6の規定に基づく通報を行った時は、問題となっている課税措置が収用に当たる
か否かを決定するために、両締約国の権限のある当局に事案を送付する。両締約国の権限のある当局が
当該事案を検討しない場合又は検討したが、送付を受けてから百八十三日以内に当該課税措置が収用に
当たらないことを決定しない場合には、当該投資家は、第十七条の規定により当該事案を仲裁に付託することができる。
(c)
(b)
の規定の適用上、「権限のある当局」とは、
(i)
日本国については、財務大臣又は権限を与えられたその代理者をいう。財務大臣又は権限を与えら
れたその代理者は、外務大臣又は権限を与えられたその代理者と協議の上、事案を検討する。
(ii)
カザフスタン共和国については、財務大臣又は権限を与えられたその代理者をいう。
第二十三条
1 両締約国は、この協定の目的を達成するため、次のことを任務とする合同委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(b) (a)
この協定の実施及び運用について討議し、及び見直しを行うこと。
両締約国の投資家にとり良好な条件の整備を促進することを目的として、投資に関連するその他の事
項であってこの協定に関係するものについて情報を共有し、及び討議すること。
2 委員会は、必要に応じ、この協定の機能を強化し、又はこの協定の目的を達成するため、コンセンサス
方式による決定により、両締約国に適当な勧告を行うことができる。
3 委員会は、両締約国の代表者から成る。委員会は、任務を遂行するため自己の手続規則を定める。
4 委員会は、小委員会を設置し、当該小委員会に対して特定の作業を委任することができる。委員会は、両締約国の同意が得られる場合には、民間部門との共同会合を開催することができる。
5 委員会は、一方の締約国の要請により、会合する。第二十四条
両締約国は、一方の締約国が健康、安全若しくは環境に関する自国の措置の緩和又は自国の労働基準の引下げを通じて他方の締約国の投資家及び第三国の投資家による投資を奨励することが適当でないことを認める。一方の締約国は、自国の区域内における他方の締約国の投資家及び第三国の投資家による投資財産の設立、取得又は拡張を奨励する手段としてそのような措置及び基準の適用の免除その他の逸脱措置を行うべきではない。
第二十五条
1 一方の締約国は、他方の締約国の投資家であって当該他方の締約国の企業であるものが第三国の投資家
によって所有され、又は支配されており、かつ、次のいずれかの場合に該当するときは、当該他方の締約国の投資家及びその投資財産に対し、この協定による利益を否認することができる。
(b) (a)
当該一方の締約国が当該第三国と外交関係を有していない場合
当該第三国に関する措置であって、当該他方の締約国の企業との取引を禁止するもの又は当該他方の
締約国の企業若しくはその投資財産に対してこの協定による利益を与えることにより当該措置に違反
し、若しくは当該措置を阻害することとなるものを当該一方の締約国が採用し、又は維持する場合
2 一方の締約国は、他方の締約国の投資家であって当該他方の締約国の企業であるものが第三国の投資家によって所有され、又は支配されており、かつ、当該他方の締約国の企業が当該他方の締約国の区域内において実質的な事業活動を行っていないときは、事前の通報及び協議を行うことを条件として、当該他方の締約国の投資家及びその投資財産に対し、この協定による利益を否認することができる。
3 この条の規定の適用上、
(a)
企業が投資家によって「所有」されるとは、当該投資家が当該企業の五十パーセントを超える持分を
所有する場合をいう。
(b)
企業が投資家によって「支配」されるとは、当該投資家が当該企業の役員の過半数を指名し、又は当
該企業の活動につき法的に指示する権限を有する場合をいう。
第二十六条
1 各締約国は、他方の締約国に対し、外交上の経路を通じて、この協定の効力発生のために必要とされる国内手続が完了したことを確認する通告を行う。この協定は、遅い方の通告が受領された日の後三十日目の日に効力を生ずる。この協定は、この協定の効力発生の後十年の期間効力を有するものとし、その後は、2に定めるところに従って終了する時まで自動的に効力を存続する。
2 いずれの一方の締約国も、一年前に他方の締約国に対して外交上の経路を通じて書面による通告を行うことにより、最初の十年の期間の終わりに、又はその後いつでも、この協定を終了させることができる。
3 この協定は、この協定の効力発生の後いつでも、両締約国の合意により改正することができる。
4 この協定は、一方の締約国の投資家の投資財産であって、この協定の効力発生の前に他方の締約国の区域内において当該他方の締約国の関係法令に従って取得されたものについても適用する。
5 この協定の終了の日の前に取得された投資財産に関しては、この協定の規定は、この協定の終了の日か
ら更に十年の期間引き続き効力を有する。
6 この協定は、この協定の効力発生の前に生じた事態に起因する請求又はこの協定の効力発生の前に既に解決されている請求については、適用しない。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
二千十四年十月二十三日にアスタナで、英語により本書二通を作成した。
日本国のために
xxxx
カザフスタン共和国のために A・イセク