Contract
「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」及び「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定」に係る統合条文
この文書は、日本国によって 2017 年6月7日に、及びxxxxによって
2019 年 11 月 26 日に署名された「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(以下「BEPS防止措置実施条約」という。)によって修正される、2014 年1月9日に署名された「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定」(以下「協定」という。)の適用に関する統合条文を示すものである。
この文書は、日本国によって 2018 年9月 26 日及び 2020 年7月 22 日に、
並びにxxxxによって 2020 年7月7日に寄託者(経済協力開発機構事務総長)にそれぞれ提出された留保及び通告に基づいて作成されている。
この文書の唯一の目的は、協定に対するBEPS防止措置実施条約の適用に関する理解を容易にすることであり、この文書は法的根拠となるものではない。協定及びBEPS防止措置実施条約のxxのみが、適用可能な法的文書である。
協定の規定について適用されるBEPS防止措置実施条約の規定は、この文書の全体を通じ、協定の関連する規定の箇所において、枠の中に示されている。
この文書においては、BEPS防止措置実施条約において用いられる語句が協定において用いられる語句に適合するようにするため、BEPS防止措置実施条約の規定の条文に対して変更が加えられている(例えば、「対象租税協定」が「協定」に、「当事国」が「締約国」に変更されている)。同様に、BEPS防止措置実施条約の規定のうち協定の既存の規定を記述する部分に対し、その記述的な文言を既存の規定の条項番号に代える変更が加えられている。これらの変更は、この文書の読みやすさを向上させるためのものであり、BEPS防止措置実施条約の規定の内容を変更することを意図するものではない。
協定の規定の引用は、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、BEP S防止措置実施条約の規定によって修正される協定の規定を引用しているものとして理解されなければならない。
BEPS防止措置実施条約の効力発生及び適用開始
BEPS防止措置実施条約は、日本国について 2019 年1月1日に、及び
オマーンについて 2020 年 11 月1日に効力を生じ、次のとおり適用される。
(a) BEPS防止措置実施条約の規定は、協定の各締約国において、次のものについて適用される。
(i) 非居住者に対して支払われ、又は貸記される額に対して源泉徴収される租税については、2021 年1月1日以後に生ずる課税事象
(ii) 当該締約国によって課されるその他の全ての租税については、
2021 年5月1日以後に開始する課税期間に関して課される租税
(b) (a)にかかわらず、BEPS防止措置実施条約第十六条(相互協議手続)の規定は、協定につき、2020 年 11 月1日以後に一方の締約国の権限のある当局に対して申し立てられた事案(BEPS防止措置実施条約によって修正される前の協定の規定に基づき、2020 年 11 月1日において申立てをすることが認められなかったものを除く。)に関し、当該事案が関連する課税期間を考慮することなく、適用される。
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定
日本国政府及びオマーン国政府は、
所得に対する租税に関し、二重課税を回避し、及び脱税を防止するための 協定を締結することを希望して、
(注)次のBEPS防止措置実施条約第六条1に規定する段落は、「所得に対する租税に関し、二重課税を回避し、及び脱税を防止するための協定を締結することを希望して、」に言及する協定の前文の文言に代わる。
第六条 対象租税協定の目的
協定の対象となる租税に関して、脱税又は租税回避を通じた非課税又は租税の軽減(両締約国以外の国又は地域の居住者の間接的な利益のために協定において与えられる租税の免除又は軽減を得ることを目的とする条約漁(あさ)りの仕組みを通じたものを含む。)の機会を生じさせることなく、二重課税を除去することを意図して、
次のとおり協定した。
この協定は、一方又は双方の締約国の居住者である者に適用する。
1 この協定は、次の租税について適用する。
(a) 日本国については、
(i) 所得税
(ii) 法人税
(iii) 復興特別所得税
(iv) 復興特別法人税
(v) 住民税
(以下「日本国の租税」という。)
(b) オマーン国については、所得税
(以下「オマーン国の租税」という。)
2 この協定は、1に掲げる租税に加えて又はこれに代わってこの協定の署名の日の後に課される租税であって、1に掲げる租税と同一であるもの又は実質的に類似するものについても、適用する。両締約国の権限のある当局は、各締約国の租税に関する法令について行われた重要な改正を、その改正後の妥当な期間内に、相互に通知する。
1 この協定の適用上、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、
(a) 「日本国」とは、地理的意味で用いる場合には、日本国の租税に関する法令が施行されている全ての領域(領海を含む。)及びその領域の外側に位置する区域であって、日本国が国際法に基づき主権的権利を有し、かつ、日本国の租税に関する法令が施行されている全ての区域(海底及びその下を含む。)をいう。
(b) 「オマーン国」とは、オマーン国(オマーン国に属する諸島を含む。)の領域(領海を含む。)並びに領海の外側に位置する区域であって、国際法及びオマーン国の法令に基づき、オマーン国が海底並びに海底の下及び上部水域の天然資源の探査及び開発に関して主権的権利を行使することができる区域をいう。
(c) 「一方の締約国」及び「他方の締約国」とは、文脈により、日本国又はオマーン国をいう。
(d) 「租税」とは、文脈により、日本国の租税又はオマーン国の租税をいう。
(e) 「者」には、個人、法人及び法人以外の団体を含む。
(f) 「法人」とは、法人格を有する団体又は租税に関し法人格を有する団体として取り扱われる団体をいう。
(g) 「一方の締約国の企業」及び「他方の締約国の企業」とは、それぞれ一方の締約国の居住者が営む企業及び他方の締約国の居住者が営む企業をいう。
(h) 「国際運輸」とは、一方の締約国の企業が運用する船舶又は航空機による運送(他方の締約国内の地点の間においてのみ運用される船舶又は航空機による運送を除く。)をいう。
(i) 「国民」とは、次の者をいう。
(i) 日本国については、日本国の国籍を有する全ての個人、日本国の法令に基づいて設立され、又は組織された全ての法人及び法人格を有しないが日本国の租税に関し日本国の法令に基づいて設立され、又は組織された法人として取り扱われる全ての団体
(ii) オマーン国については、オマーン国の国籍を有する全ての個人及びオマーン国において施行されている法令によってその地位を与えられた全ての法人、組合又は団体
(j) 「権限のある当局」とは、次の者をいう。
(i) 日本国については、財務大臣又は権限を与えられたその代理者
(ii) オマーン国については、財務省又は権限を与えられたその代理者
2 一方の締約国によるこの協定の適用に際しては、この協定において定義されていない用語は、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、この協定の適用を受ける租税に関する当該一方の締約国の法令において当該用語がその適用の時点で有する意義を有するものとする。当該一方の締約国において適用される租税に関する法令における当該用語の意義は、当該一方の締約国の他の法令における当該用語の意義に優先するものとする。
1 この協定の適用上、「一方の締約国の居住者」とは、一方の締約国の法令の下において、住所、居所、法人の設立場所、本店又は主たる事務所の所在地その他これらに類する基準により当該一方の締約国において課税を受けるべきものとされる者をいい、当該一方の締約国及び当該一方の締約国の地方政府又は地方公共団体を含む。ただし、「一方の締約国の居住者」には、一方の締約国内に源泉のある所得のみについて当該一方の締約国において租税を課される者を含まない。
2 1の規定により双方の締約国の居住者に該当する個人については、次のとおりその地位を決定する。
(a) 当該個人は、その使用するxx的住居が所在する締約国の居住者とみなす。その使用するxx的住居を双方の締約国内に有する場合には、当該個人は、その人的及び経済的関係がより密接な締約国(重要な利害関係の中心がある締約国)の居住者とみなす。
(b) その重要な利害関係の中心がある締約国を決定することができない場合又はその使用するxx的住居をいずれの締約国内にも有しない場合には、当該個人は、その有する常用の住居が所在する締約国の居住者とみなす。
(c) その常用の住居を双方の締約国内に有する場合又はこれをいずれの締約国内にも有しない場合には、当該個人は、当該個人が国民である締約国の居住者とみなす。
(d) (a)から(c)までの規定により居住者の地位を決定することができ
ない場合には、両締約国の権限のある当局は、合意により当該事案を解決する。
3 1の規定により双方の締約国の居住者に該当する者で個人以外のもの については、その者の本店又は主たる事務所が存在する締約国の居住者とみなす。
(注)次のBEPS防止措置実施条約第四条1(同条3(e)の規定による修正の後のもの)の規定は、協定第四条3の規定に代わる。
第四条 双方居住者に該当する団体
1 協定第四条1の規定によって両締約国の居住者に該当する者で個人以外のものについては、両締約国の権限のある当局は、その者の事業の実質的な管理の場所、その者が設立された場所その他関連する全ての要因を考慮して、合意によって、協定の適用xxx者が居住者とみなされる締約国を決定するよう努める。そのような合意がない場合には、その者は、協定に基づいて与えられる租税の軽減又は免除を受けることができない。
1 この協定の適用上、「xx的施設」とは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っているものをいう。
2 「xx的施設」には、特に、次のものを含む。
(a) 事業の管理の場所
(b) 支店
(c) 事務所
(d) 工場
(e) 作業場
(f) 鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所
3 「xx的施設」には、建築工事現場若しくは建設、組立て若しくは据付けの工事又はこれらに関連する監督活動を含む。ただし、これらの現場、工事又は活動が九箇月を超える期間存続する場合に限る。
4 1から3までの規定にかかわらず、次のことを行う場合は、「xx的施設」に当たらないものとする。
(a) 企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施
設を使用すること。
(b) 企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。
(c) 企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。
(d) 企業のために物品若しくは商品を購入し、又は情報を収集することのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
(e) 企業のためにその他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
(f) (a)から(e)までに規定する活動を組み合わせた活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。ただし、当該一定の場所におけるこのような組合せによる活動の全体が準備的又は補助的な性格のものである場合に限る。
5 1及び2の規定にかかわらず、企業に代わって行動する者(6の規定が適用される独立の地位を有する代理人を除く。)が、一方の締約国内で、当該企業の名において契約を締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使する場合には、当該企業は、その者が当該企業のために行う全ての活動について、当該一方の締約国内に恒久的施設を有するものとされる。ただし、その者の活動が4に規定する活動(事業を行う一定の場所で行われたとしても、4の規定により当該一定の場所がxx的施設であるものとされないようなもの)のみである場合は、この限りでない。
6 企業は、通常の方法でその業務を行う仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理人を通じて一方の締約国内で事業を行っているという理由のみによっては、当該一方の締約国内にxx的施設を有するものとはされない。
7 一方の締約国の居住者である法人が、他方の締約国の居住者である法人若しくは他方の締約国内において事業(xx的施設を通じて行われるものであるか否かを問わない。)を行う法人を支配し、又はこれらに支配されているという事実のみによっては、いずれの一方の法人も、他方の法人のxx的施設とはされない。
1 一方の締約国の居住者が他方の締約国内に存在する不動産から取得する所得(農業又は林業から生ずる所得を含む。)に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 「不動産」とは、当該財産が存在する締約国の法令における不動産の意義を有するものとする。「不動産」には、いかなる場合にも、不動産に附
属する財産、農業又は林業に用いられる家畜類及び設備、不動産に関する一般法の規定の適用がある権利、不動産用益権並びに鉱石、水その他の天然資源の採取又は採取の権利の対価として料金(変動制であるか固定制であるかを問わない。)を受領する権利を含む。船舶及び航空機は、不動産とはみなさない。
3 1の規定は、不動産の直接使用、賃貸その他の全ての形式による使用から生ずる所得について適用する。
4 1及び3の規定は、企業の不動産から生ずる所得及び独立の人的役務を提供するために使用される不動産から生ずる所得についても、適用する。
1 一方の締約国の企業の利得に対しては、当該一方の締約国の企業が他方の締約国内にあるxx的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行わない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。一方の締約国の企業が他方の締約国内にあるxx的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、当該一方の締約国の企業の利得のうち当該xx的施設に帰せられる部分に対してのみ、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 3の規定に従うことを条件として、一方の締約国の企業が他方の締約国内にあるxx的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、当該xx的施設が、同一又は類似の条件で同一又は類似の活動を行う別個のかつ分離した企業であって、当該xx的施設を有する企業と全く独立の立場で取引を行うものであるとしたならば当該xx的施設が取得したとみられる利得が、各締約国において当該xx的施設に帰せられるものとする。
3 xx的施設の利得を決定するに当たっては、経営費及び一般管理費を含む費用であって当該xx的施設のために生じたものは、当該xx的施設が存在する締約国内において生じたものであるか他の場所において生じたものであるかを問わず、控除することを認められる。
4 xx的施設が企業のために物品又は商品の単なる購入を行ったことを理由としては、いかなる利得も、当該xx的施設に帰せられることはない。
5 1から4までの規定の適用上、xx的施設に帰せられる利得は、毎年同一の方法によって決定する。ただし、別の方法を用いることにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。
6 他の条で別個に取り扱われている所得が企業の利得に含まれる場合に
は、当該他の条の規定は、この条の規定によって影響されることはない。
1 一方の締約国の企業が船舶又は航空機を国際運輸に運用することによって取得する利得に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 第二条の規定にかかわらず、一方の締約国の企業は、船舶又は航空機を国際運輸に運用することにつき、オマーン国の企業である場合には日本国の事業税、日本国の企業である場合には日本国の事業税に類似する租税でオマーン国において今後課されることのあるものを免除される。
3 1及び2の規定は、共同計算、共同経営又は国際経営共同体に参加していることによって取得する利得についても、適用する。
1 次の(a)又は(b)の規定に該当する場合であって、そのいずれの場合においても、商業上又は資金上の関係において、双方の企業の間に、独立の企業の間に設けられる条件と異なる条件が設けられ、又は課されているときは、その条件がないとしたならば一方の企業の利得となったとみられる利得であってその条件のために当該一方の企業の利得とならなかったものに対しては、これを当該一方の企業の利得に算入して租税を課することができる。
(a) 一方の締約国の企業が他方の締約国の企業の経営、支配又は資本に直接又は間接に参加している場合
(b) 同一の者が一方の締約国の企業及び他方の締約国の企業の経営、支配又は資本に直接又は間接に参加している場合
2 一方の締約国が、他方の締約国において租税を課された当該他方の締約国の企業の利得を1の規定により当該一方の締約国の企業の利得に算入して租税を課する場合において、両締約国の権限のある当局が、協議の上、その算入された利得の全部又は一部が、双方の企業の間に設けられた条件が独立の企業の間に設けられたであろう条件であったとしたならば当該一方の締約国の企業の利得となったとみられる利得であることに合意するときは、当該他方の締約国は、その合意された利得に対して当該他方の締約国において課された租税の額について適当な調整を行う。この調整に当たっては、この協定の他の規定に妥当な考慮を払う。
3 1の規定にかかわらず、締約国は、1に規定する条件がないとしたならば当該締約国の企業の利得として更正の対象となったとみられる利得に
係る課税年度の終了時から十年を経過した後は、1に規定する状況においても、当該利得の更正をしてはならない。この3の規定は、不正に租税を免れた利得については、適用しない。
1 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1に規定する配当に対しては、これを支払う法人が居住者とされる一方の締約国においても、当該一方の締約国の法令に従って租税を課することができる。その租税の額は、当該配当の受益者が他方の締約国の居住者である場合には、次の額を超えないものとする。
(a) 当該配当の受益者が、当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする六箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の十パーセント以上を直接又は間接に所有する法人である場合には、当該配当の額の五パーセント
(b) その他の全ての場合には、当該配当の額の十パーセント
この2の規定は、当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない。
3 2(a)の規定は、日本国における課税所得の計算上受益者に対して支払う配当を控除することができる法人によって支払われる配当については、適用しない。
4 この条において、「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及びその分配を行う法人が居住者とされる締約国の租税に関する法令上株式から生ずる所得と同様に取り扱われる所得をいう。
5 1及び2の規定は、一方の締約国の居住者である配当の受益者が、当該配当を支払う法人が居住者とされる他方の締約国内において当該他方の締約国内にあるxx的施設を通じて事業を行う場合又は当該他方の締約国内において当該他方の締約国内にある固定的施設を通じて独立の人的役務を提供する場合において、当該配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該xx的施設又は当該固定的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条又は第十四条の規定を適用する。
6 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国内において利得又は所得を取得する場合には、当該他方の締約国は、当該法人の支払う配当及び当該法人の留保所得については、これらの配当及び留保所得の全部又は一部が当該他方の締約国内において生じた利得又は所得から成るとき
においても、当該配当(当該他方の締約国の居住者に支払われる配当及び配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該他方の締約国内にあるxx的施設又は固定的施設と実質的な関連を有するものである場合の配当を除く。)に対していかなる租税も課することができず、また、当該留保所得に対して租税を課することができない。
1 一方の締約国内において生じ、他方の締約国の居住者に支払われるxxに対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1に規定するxxに対しては、当該xxが生じた一方の締約国においても、当該一方の締約国の法令に従って租税を課することができる。その租税の額は、当該xxの受益者が他方の締約国の居住者である場合には、当該xxの額の十パーセントを超えないものとする。
3 2の規定にかかわらず、一方の締約国内において生ずるxxであって、次のいずれかの場合に該当するものについては、他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
(a) 当該xxの受益者が、当該他方の締約国の政府、当該他方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体、当該他方の締約国の中央銀行又は当該他方の締約国の政府が全面的に所有する機関である場合
(b) 当該xxの受益者が当該他方の締約国の居住者であり、かつ、当該他方の締約国の政府、当該他方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体、当該他方の締約国の中央銀行若しくは当該他方の締約国の政府が全面的に所有する機関によって保証された債権、これらによって保険の引受けが行われた債権又はこれらによる間接融資に係る債権に関して当該xxが支払われる場合
4 3の規定の適用上、「中央銀行」及び「政府が全面的に所有する機関」とは、次のものをいう。
(a) 日本国については、
(i) 日本銀行
(ii) 株式会社国際協力銀行
(iii) 独立行政法人国際協力機構
(iv) 独立行政法人日本貿易保険
(v) 日本国政府が資本の全部を所有するその他の類似の機関であって、両締約国の政府が外交上のxxの交換により随時合意するもの
(b) オマーン国については、
(i) オマーン中央銀行
(ii) 国家総合準備基金
(iii) オマーン投資基金
(iv) オマーン国の法令に基づき組織された退職基金又は年金基金
(v) オマーン国政府が全面的に所有するその他の類似の特別の法人又は機関であって、両締約国の政府が外交上のxxの交換により随時合意するもの
5 この条において、「xx」とは、全ての種類の信用に係る債権(担保の有無及び債務者の利得の分配を受ける権利の有無を問わない。)から生じた所得、特に、公債、債券又は社債から生じた所得(公債、債券又は社債の割増金及び賞金を含む。)及び他の所得で当該所得が生じた締約国の租税に関する法令上貸付金から生じた所得と同様に取り扱われるものをいう。前条で取り扱われる所得は、この協定の適用xxxには該当しない。
6 1及び2の規定は、一方の締約国の居住者であるxxの受益者が、当該xxの生じた他方の締約国内において当該他方の締約国内にあるxx的施設を通じて事業を行う場合又は当該他方の締約国内において当該他方の締約国内にある固定的施設を通じて独立の人的役務を提供する場合において、当該xxの支払の基因となった債権が当該xx的施設又は当該固定的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条又は第十四条の規定を適用する。
7 xxは、その支払者が一方の締約国の居住者である場合には、当該一方の締約国内において生じたものとされる。ただし、xxの支払者が、一方の締約国内にxx的施設又は固定的施設を有する場合において、当該xxの支払の基因となった債務が当該xx的施設又は固定的施設について生じ、かつ、当該xxが当該xx的施設又は固定的施設によって負担されるものであるときは、当該支払者がいずれかの締約国の居住者であるか否かを問わず、当該xxは、当該xx的施設又は固定的施設の存在する当該一方の締約国内において生じたものとされる。
8 xxの支払の基因となった債権について考慮した場合において、xxの支払者と受益者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、当該xxの額が、その関係がないとしたならば支払者及び受益者が合意したとみられる額を超えるときは、この条の規定は、その合意したとみられる額についてのみ適用する。この場合には、支払われた額のうちその超過する部分に対しては、この協定の他の規定に妥当な考慮を払った上で、各締約国の法令に従って租税を課することができる。
1 一方の締約国内において生じ、他方の締約国の居住者に支払われる使
用料に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1に規定する使用料に対しては、当該使用料が生じた一方の締約国においても、当該一方の締約国の法令に従って租税を課することができる。その租税の額は、当該使用料の受益者が他方の締約国の居住者である場合には、当該使用料の額の十パーセントを超えないものとする。
3 この条において、「使用料」とは、文学上、芸術上若しくは学術上の著作物(映画フィルム及びラジオ放送用又はテレビジョン放送用のフィルム又はテープを含む。)の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式若しくは秘密工程の使用若しくは使用の権利の対価として、産業上、商業上若しくは学術上の設備の使用若しくは使用の権利の対価として、又は産業上、商業上若しくは学術上の経験に関する情報の対価として受領される全ての種類の支払金をいう。
4 1及び2の規定は、一方の締約国の居住者である使用料の受益者が、当該使用料の生じた他方の締約国内において当該他方の締約国内にあるxx的施設を通じて事業を行う場合又は当該他方の締約国内において当該他方の締約国内にある固定的施設を通じて独立の人的役務を提供する場合において、当該使用料の支払の基因となった権利又は財産が当該xx的施設又は当該固定的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条又は第十四条の規定を適用する。
5 使用料は、その支払者が一方の締約国の居住者である場合には、当該一方の締約国内において生じたものとされる。ただし、使用料の支払者が、一方の締約国内にxx的施設又は固定的施設を有する場合において、当該使用料を支払う債務が当該xx的施設又は固定的施設について生じ、かつ、当該使用料が当該xx的施設又は固定的施設によって負担されるものであるときは、当該支払者がいずれかの締約国の居住者であるか否かを問わず、当該使用料は、当該xx的施設又は固定的施設の存在する当該一方の締約国内において生じたものとされる。
6 使用料の支払の基因となった使用、権利又は情報について考慮した場合において、使用料の支払者と受益者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、当該使用料の額が、その関係がないとしたならば支払者及び受益者が合意したとみられる額を超えるときは、この条の規定は、その合意したとみられる額についてのみ適用する。この場合には、支払われた額のうちその超過する部分に対しては、この協定の他の規定に妥当な考慮を払った上で、各締約国の法令に従って租税を課することができる。
1 一方の締約国の居住者が第六条に規定する不動産であって他方の締約国内に存在するものの譲渡によって取得する収益に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 一方の締約国の居住者が法人、組合又は信託財産(資産の価値の五十パーセント以上が第六条に規定する不動産であって他方の締約国内に存在するものにより直接又は間接に構成される法人、組合又は信託財産に限る。)の株式又は持分の譲渡によって取得する収益に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。ただし、当該譲渡に係る株式又は持分と同じ種類の株式又は持分(以下「同種の株式等」という。)が公認の有価証券市場において取引され、かつ、当該一方の締約国の居住者及びその特殊関係者が所有する同種の株式等の数が同種の株式等の総数の五パーセント以下である場合は、この限りでない。
3 次の(a)又は(b)の規定に該当する場合には、一方の締約国の居住者が (b)に規定する株式の譲渡((a)の資金援助が最初に行われた日から五年以内に行われる譲渡に限る。)によって取得する収益に対しては、他方の締約国において租税を課することができる。
(a) 当該他方の締約国(日本国については、預金保険機構を含む。以下この3において同じ。)が、金融機関の差し迫った支払不能に係る破綻処理に関する当該他方の締約国の法令に従い、当該他方の締約国の居住者である金融機関に対して実質的な資金援助を行う場合
(b) 当該一方の締約国の居住者が当該他方の締約国から当該金融機関の株式を取得する場合
4 一方の締約国の企業が他方の締約国内に有するxx的施設の事業用資産を構成する財産(不動産を除く。)の譲渡又は一方の締約国の居住者が独立の人的役務を提供するため他方の締約国内においてその用に供している固定的施設に係る財産(不動産を除く。)の譲渡から生ずる収益(当該xx的施設の譲渡、企業全体の譲渡の一部としての当該xx的施設の譲渡又は当該固定的施設の譲渡から生ずる収益を含む。)に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
5 一方の締約国の企業が国際運輸に運用する船舶若しくは航空機又はこれらの船舶若しくは航空機の運用に係る財産(不動産を除く。)の譲渡によって当該一方の締約国の企業が取得する収益に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
6 1から5までに規定する財産以外の財産の譲渡から生ずる収益に対しては、譲渡者が居住者とされる締約国においてのみ租税を課することができる。
1 一方の締約国の居住者が自由職業その他の独立の性格を有する活動について取得する所得に対しては、その者が自己の活動を行うため通常その用に供している固定的施設を他方の締約国内に有しない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。その者がそのような固定的施設を有する場合には、当該所得に対しては、当該固定的施設に帰せられる部分についてのみ、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 「自由職業」には、特に、学術上、文学上、美術上及び教育上の独立の活動並びに医師、弁護士、技術士、建築士、歯科医師及び公認会計士の独立の活動を含む。
1 次条、第十八条及び第十九条の規定が適用される場合を除くほか、一方の締約国の居住者がその勤務について取得する給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、勤務が他方の締約国内において行われない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。勤務が他方の締約国内において行われる場合には、当該勤務について取得する給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1の規定にかかわらず、一方の締約国の居住者が他方の締約国内において行う勤務について取得する報酬に対しては、次の(a)から(c)までに規定する要件を満たす場合には、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
(a) 当該課税年度において開始し、又は終了するいずれの十二箇月の期間においても、報酬の受領者が当該他方の締約国内に滞在する期間が合計百八十三日を超えないこと。
(b) 報酬が当該他方の締約国の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われるものであること。
(c) 報酬が当該他方の締約国内に雇用者が有するxx的施設又は固定的施設によって負担されるものでないこと。
3 1及び2の規定にかかわらず、一方の締約国の企業が国際運輸に運用する船舶内又は航空機内において行われる勤務に係る報酬に対しては、当該一方の締約国において租税を課することができる。
一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
1 第十四条及び第十五条の規定にかかわらず、一方の締約国の居住者が演劇、映画、ラジオ若しくはテレビジョンの俳優、音楽家その他の芸能人又は運動家として他方の締約国内で行う個人的活動によって取得する所得に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 一方の締約国内で行う芸能人又は運動家としての個人的活動に関する所得が当該芸能人又は運動家以外の者に帰属する場合には、当該所得に対しては、第七条、第十四条及び第十五条の規定にかかわらず、当該芸能人又は運動家の活動が行われる当該一方の締約国において租税を課することができる。
次条2の規定が適用される場合を除くほか、一方の締約国の居住者が受益者である退職年金その他これに類する報酬に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
1(a) 一方の締約国又は一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体に対し提供される役務につき、個人に対し、当該一方の締約国又は当該一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体によって支払われる給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
(b) もっとも、当該役務が他方の締約国内において提供され、かつ、当該個人が次の(i)又は(ii)の規定に該当する当該他方の締約国の居住者である場合には、その給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
(i) 当該他方の締約国の国民
(ii) 専ら当該役務を提供するため当該他方の締約国の居住者となっ
た者でないもの
2(a) 1の規定にかかわらず、一方の締約国又は一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体に対し提供される役務につき、個人に対し、当該一方の締約国若しくは当該一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体によって支払われ、又は当該一方の締約国若しくは当該一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体が拠出し、若しくは設立した基金から支払われる退職年金その他これに類する報酬に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
(b) もっとも、当該個人が他方の締約国の居住者であり、かつ、当該他方の締約国の国民である場合には、当該退職年金その他これに類する報酬に対しては、当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
3 一方の締約国又は一方の締約国の地方政府若しくは地方公共団体の行う事業に関連して提供される役務につき支払われる給料、賃金、退職年金その他これらに類する報酬については、第十五条から前条までの規定を適用する。
専ら教育又は訓練を受けるため一方の締約国内に滞在する学生又は事業修習者であって、現に他方の締約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であったものがその生計、教育又は訓練のために受け取る給付(当該一方の締約国外から支払われるものに限る。)については、当該一方の締約国においては、租税を課することができない。
1 一方の締約国の居住者が受益者である所得(源泉地を問わない。)であって前各条に規定がないもの(以下この条において「その他の所得」という。)に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 1の規定は、一方の締約国の居住者であるその他の所得(第六条2に規定する不動産から生ずる所得を除く。)の受益者が、他方の締約国内において当該他方の締約国内にあるxx的施設を通じて事業を行う場合又は当該他方の締約国内において当該他方の締約国内にある固定的施設を通じて独立の人的役務を提供する場合において、当該その他の所得の支払の基因となった権利又は財産が当該xx的施設又は当該固定的施設と実質的な関連を有するものであるときは、当該その他の所得については、適
用しない。この場合には、第七条又は第十四条の規定を適用する。
3 1に規定する一方の締約国の居住者と支払者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、その他の所得の額が、その関係がないとしたならば当該居住者及び当該支払者が合意したとみられる額を超えるときは、この条の規定は、その合意したとみられる額についてのみ適用する。この場合には、支払われた額のうちその超過する部分に対しては、この協定の他の規定に妥当な考慮を払った上で、各締約国の法令に従って租税を課することができる。
1 日本国については、二重課税は、次のとおり除去される。
日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令の規定に従い、日本国の居住者がこの協定の規定に従ってオマーン国において租税を課される所得をオマーン国内において取得する場合には、当該所得について納付されるオマーン国の租税の額は、当該居住者に対して課される日本国の租税の額から控除する。ただし、控除の額は、日本国の租税の額のうち当該所得に対応する部分を超えないものとする。
2 オマーン国については、二重課税は、次のとおり除去される。
(a) オマーン国の居住者がこの協定の規定に従って日本国において租税を課される所得を取得する場合には、オマーン国は、日本国において直接に又は源泉徴収によって納付される日本国の租税の額を当該居住者の所得に対するオマーン国の租税の額から控除する。ただし、控除の額は、その控除が行われる前に算定されたオマーン国の租税の額のうち、日本国において租税を課される所得に対応する部分を超えないものとする。
(b) オマーン国の居住者が取得する所得についてこの協定の規定に従ってオマーン国において租税が免除される場合には、オマーン国は、当該居住者の残余の所得に対する租税の額の算定に当たっては、その免除された所得を考慮に入れることができる。
1 一方の締約国の国民は、他方の締約国において、租税又はこれに関連する要件であって、特に居住者であるか否かに関し同様の状況にある当該他方の締約国の国民に課されており、若しくは課されることがある租税若しくはこれに関連する要件以外のもの又はこれらよりも重いものを課
されることはない。この1の規定は、第一条の規定にかかわらず、いずれの締約国の居住者でもない者にも、適用する。
2 一方の締約国の企業が他方の締約国内に有するxx的施設に対する租税は、当該他方の締約国において、同様の活動を行う当該他方の締約国の企業に対して課される租税よりも不利に課されることはない。この2の規定は、一方の締約国に対し、家族の状況又は家族を扶養するための負担を理由として当該一方の締約国の居住者に認める租税上の人的控除、救済及び軽減を他方の締約国の居住者に認めることを義務付けるものと解してはならない。
3 第九条1、第十一条8、第十二条6又は第二十一条3の規定が適用される場合を除くほか、一方の締約国の企業が他方の締約国の居住者に支払ったxx、使用料その他の支払金については、当該一方の締約国の企業の課税対象利得の決定に当たって、当該一方の締約国の居住者に支払われたとした場合における条件と同様の条件で控除するものとする。
4 一方の締約国の企業であってその資本の全部又は一部が他方の締約国の一又は二以上の居住者により直接又は間接に所有され、又は支配されているものは、当該一方の締約国において、租税又はこれに関連する要件であって、当該一方の締約国の類似の他の企業に課されており、若しくは課されることがある租税若しくはこれに関連する要件以外のもの又はこれらよりも重いものを課されることはない。
5 この条の規定は、この協定の対象である租税について適用する。
1 一方又は双方の締約国の措置によりこの協定の規定に適合しない課税 を受けたと認める者又は受けることになると認める者は、その事案について、当該一方又は双方の締約国の法令に定める救済手段とは別に、自己が居住者である締約国の権限のある当局に対して又は当該事案が前条1の規定の適用に関するものである場合には自己が国民である締約国の権限のある当局に対して、申立てをすることができる。
(注)次のBEPS防止措置実施条約第十六条1の第xxの規定は、協定第二十四条1の第xxの規定に代わる。
第十六条 相互協議手続
一方又は双方の締約国の措置により協定の規定に適合しない課税を受けたと認める者又は受けることとなると認める者は、その事案につき、
当該一方又は双方の締約国の法令に定める救済手段とは別に、いずれかの締約国の権限のある当局に対して申立てをすることができる。
当該申立ては、この協定の規定に適合しない課税に係る措置の最初の通知の日から三年以内に、しなければならない。
2 権限のある当局は、1に規定する申立てを正当と認めるが、自ら満足すべき解決を与えることができない場合には、この協定の規定に適合しない課税を回避するため、他方の締約国の権限のある当局との合意によってその事案を解決するよう努める。成立した全ての合意は、両締約国の法令上のいかなる期間制限にもかかわらず、実施されなければならない。
3 両締約国の権限のある当局は、この協定の解釈又は適用に関して生ずる困難又は疑義を合意によって解決するよう努める。両締約国の権限のある当局は、また、この協定に定めのない場合における二重課税を除去するため、相互に協議することができる。
4 両締約国の権限のある当局は、2及び3に規定する合意に達するため、直接相互に通信することができる。
1 両締約国の権限のある当局は、この協定の規定の実施又は両締約国若しくはそれらの地方政府若しくは地方公共団体が課する全ての種類の租税に関する両締約国の法令(当該法令に基づく課税がこの協定の規定に反しない場合に限る。)の運用若しくは執行に関連する情報を交換する。情報の交換は、第一条及び第二条の規定による制限を受けない。
2 1の規定に基づき一方の締約国が受領した情報は、当該一方の締約国がその法令に基づいて入手した情報と同様に秘密として取り扱うものとし、1に規定する租税の賦課若しくは徴収、これらの租税に関する執行若しくは訴追、これらの租税に関する不服申立てについての決定又はこれらの監督に関与する者又は当局(裁判所及び行政機関を含む。)に対してのみ、開示される。これらの者又は当局は、当該情報をそのような目的のためにのみ使用する。これらの者又は当局は、当該情報を公開の法廷における審理又は司法上の決定において開示することができる。
3 1及び2の規定は、いかなる場合にも、一方の締約国に対し、次のことを行う義務を課するものと解してはならない。
(a) 当該一方の締約国又は他方の締約国の法令及び行政上の慣行に抵触する行政上の措置をとること。
(b) 当該一方の締約国又は他方の締約国の法令の下において又は行政の通常の運営において入手することができない情報を提供すること。
(c) 営業上、事業上、産業上、商業上若しくは職業上の秘密若しくは取引の過程を明らかにするような情報又は公開することが公の秩序に反することになる情報を提供すること。
4 一方の締約国は、他方の締約国がこの条の規定に従って当該一方の締約国に対し情報の提供を要請する場合には、自己の課税目的のために必要でないときであっても、当該情報を入手するために必要な手段を講ずる。一方の締約国がそのような手段を講ずるに当たっては、3に定める制限に従うが、その制限は、いかなる場合にも、当該情報が自己の課税目的のために必要でないことのみを理由としてその提供を拒否することを認めるものと解してはならない。
5 3の規定は、提供を要請された情報が銀行その他の金融機関、名義人、代理人若しくは受託者が有する情報又はある者の所有に関する情報であることのみを理由として、一方の締約国が情報の提供を拒否することを認めるものと解してはならない。
この協定のいかなる規定も、国際法の一般原則又は特別の協定に基づく外交使節団又は領事機関の構成員の租税上の特権に影響を及ぼすものではない。
この協定中の条の見出しは、引用上の便宜のためにのみ付されたものであって、この協定の解釈に影響を及ぼすものではない。
1 各締約国は、他方の締約国に対し、外交上の経路を通じて、この協定の効力発生のために必要とされる国内手続が完了したことを確認する書面による通告を行う。この協定は、遅い方の通告が受領された日の属する月の翌月の初日に効力を生ずる。
2 この協定は、次のものについて適用する。
(a) 日本国については、
(i) 源泉徴収される租税に関しては、この協定が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に租税を課される額
(ii) 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、この協定が効
力を生ずる年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の所得
(iii) その他の租税に関しては、この協定が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の租税
(b) オマーン国については、
(i) 源泉徴収される租税に関しては、この協定が効力を生ずる日の属する年の翌年の一月一日以後に支払われ、又は貸記される額
(ii) その他の租税に関しては、この協定が効力を生ずる日の属する年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の租税
この協定は、一方の締約国によって終了させられる時まで効力を有する。いずれの一方の締約国も、この協定の効力発生の日から五年の期間が満了した後に開始する各暦年の末日の六箇月前までに、外交上の経路を通じて、他方の締約国に対し書面による終了の通告を行うことにより、この協定を終了させることができる。この場合には、この協定は、次のものにつき適用されなくなる。
(a) 日本国については、
(i) 源泉徴収される租税に関しては、当該六箇月の期間が満了した年の翌年の一月一日以後に租税を課される額
(ii) 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、当該六箇月の期間が満了した年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の所得
(iii) その他の租税に関しては、当該六箇月の期間が満了した年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の租税
(b) オマーン国については、
(i) 源泉徴収される租税に関しては、終了の通告が行われた年の翌年の一月一日以後に支払われ、又は貸記される額
(ii) その他の租税に関しては、終了の通告が行われた年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の租税
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
二千十四年一月九日にマスカットで、ひとしく正文である日本語、アラビア語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
日本国政府のために久枝譲治
オマーン国政府のために
ダルウィーシュ・ビン・イスマーイール・ビン・アリ・アル・バルーシー
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定(以下「協定」という。)の署名に当たり、日本国政府及びオマーン国政府は、協定の不可分の一部を成す次の規定を協定した。
1 協定第二条1の規定に関し、「オマーン国の租税」には、協定が適用される租税に係る債務不履行又は不作為に関して支払われるいかなる額も、また、協定が適用される租税に関して課される金銭罰に相当するいかなる額も含まれない。
2 協定の適用上、「一方の締約国の居住者」には、「特別の法人」を含むことが了解される。「特別の法人」とは、オマーン国の勅令に基づき設立され、かつ、オマーン国政府が全面的に所有する法人をいう。
3 協定第六条2の規定に関し、「農業」には、魚の養殖を含むことが了解される。
4 協定第七条3の規定に関し、同規定は、恒久的施設が存在する締約国が、当該締約国の課税目的のために当該恒久的施設の課税所得を決定するに当たり、控除に関する当該締約国の法令を適用することを妨げるものではないことが了解される。
5 協定第八条の規定に関し、次のことが了解される。
(a) 船舶又は航空機を国際運輸に運用することに関連して銀行に一時的に預金された資金に対する利子は、同条に規定する船舶又は航空機を運用することによって取得する利得とみなされ、協定第十一条に規定する利子とはみなされないこと。
(b) 船舶又は航空機を国際運輸に運用することによって取得する利得には、次に掲げる利得を含むこと。
(i) 国際運輸における船舶又は航空機の賃貸(裸用船による船舶又は航空機の賃貸を除く。)から取得する利得
(ii) 裸用船による船舶又は航空機の賃貸(船舶又は航空機を国際運輸に運用することに付随する賃貸に限る。)から取得する利得
(iii) コンテナー(コンテナーの運送のために使用されるトレーラー及び関連設備を含む。)の使用、保管又は賃貸(船舶又は航空機を国際運輸に運用することに付随する使用、保管又は賃貸に限る。)から取得する利得
(iv) 他の企業に代わって行う国際運輸に係る切符の販売(船舶又は航空機を国際運輸に運用することに付随する販売に限る。)から取
得する利得
6 協定第十条から第十三条まで及び第二十一条の規定に関し、所得が生 ずる基因となる株式、信用に係る債権又はその他の権利若しくは財産の設定又は移転に関与した者が、これらの条の規定による特典を受けることを当該設定又は移転の主たる目的の全部又は一部とする場合には、当該所得に対しては、これらの条の規定による租税の軽減又は免除は与えられないことが了解される。
(注)次のBEPS防止措置実施条約第七条1の規定は、協定の議定書6の規定に代わる。
第七条 条約の濫用の防止
1 協定のいかなる規定にもかかわらず、全ての関連する事実及び状況を考慮して、協定に基づく特典を受けることが当該特典を直接又は間接に得ることとなる仕組み又は取引の主たる目的の一つであったと判断することが妥当である場合には、そのような場合においても当該特典を与えることが協定の関連する規定の目的に適合することが立証されるときを除くほか、その所得については、当該特典は、与えられない。
7 協定第十一条の規定に関し、同条2の規定にかかわらず、オマーン国内において生ずる利子であって、日本国の法令に基づいて設立された年金基金が受益者であるものに対しては、日本国においてのみ租税を課することができる。
8 協定第十三条2の規定に関し、「公認の有価証券市場」とは、次のものをいうことが了解される。
(a) 日本国の金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)に基づき設立された金融商品取引所又は認可金融商品取引業協会により設立された有価証券市場
(b) オマーン国のマスカット証券取引所
(c) 同条2の規定の適用上、両締約国の権限のある当局が公認の有価証券市場として合意するその他の有価証券市場
9 協定第十六条の規定に関し、「法人の役員」には、オマーン国の居住者である法人の経営委員会その他これに類する機関であって、オマーン国の関係法令に規定するものの構成員を含むことが了解される。
10 協定のいかなる規定も、日本国が、匿名組合契約又はこれに類する契約に基づいて取得される所得及び収益に対して、日本国の法令に従って源泉課税することを妨げるものではない。
11 協定第二十五条5の規定に関し、一方の締約国は、弁護士その他の法律
事務代理人がその職務に関してその依頼者との間で行う通信に関する情報であって、当該一方の締約国の法令に基づいて保護されるものについては、その提供を拒否することができる。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。
二千十四年一月九日にマスカットで、ひとしく正文である日本語、アラビア語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。
日本国政府のために久枝譲治
オマーン国政府のために
ダルウィーシュ・ビン・イスマーイール・ビン・アリ・アル・バルーシー