Contract
(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル工事に係る契約者の選定経緯について
2024年3月19日
首都高速道路株式会社
目 次
1.工事概要 .. - | 1 | - |
2.経緯 .. - | 2 | - |
3.契約手続等説明会の開催 .. - | 6 | - |
4.工事公告前説明会の開催 .. - | 6 | - |
5.公示 .. - | 6 | - |
6.技術提案書等作成説明会の開催 .. - | 6 | - |
7.競争参加資格確認 .. - | 7 | - |
8.技術審査(1次評価) .. - | 7 | - |
9.技術ヒアリング .. - | 15 | - |
10.工事契約前実施設計業務の契約 .. - | 15 | - |
11.工事契約前実施設計業務の契約相手方の決定 .. - | 16 | - |
12.工事契約前実施設計業務の遂行 .. - | 16 | - |
13.価格等ヒアリング .. - | 17 | - |
14.技術審査(2次評価) .. - | 18 | - |
15.価格等ヒアリング結果の確認及び工事の契約 .. - | 22 | - |
16.工事の契約相手方の決定 .. - | 23 | - |
17.技術評価検討委員会の経緯 .. - | 24 | - |
1.工事概要
(1)発注者
首都高速道路株式会社
(2)工事名
(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル工事
(3)工事場所
東京都中央区八重洲一丁目から東京都中央区小網町まで
(4)工事契約前実施設計
高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル工事における、江戸橋発進・到達部の仮設構造物、開削トンネルおよび擁壁の仮設構造物、シールド交差部左岸側護岸の実施設計、詳細施工計画策定、工事数量のとりまとめ、工事費の算出、図面の作成等を行うものである。
(5)工事内容
本工事は、高速都心環状線(日本橋区間)のシールドトンネル、小網町地区の開削トンネルおよび擁壁、護岸工、都心環状線および上野線並びに既設建物の基礎撤去他の実施設計および施工を行うものである。
【工事内容】
シールドトンネル(竹橋行) 約550m
シールドトンネル(江戸橋行) 約550m
開削トンネル 約110m
擁壁工 約290m
護岸工 3箇所
建物基礎撤去工 4箇所
高速都心環状線基礎撤去工 9基
高速1 号上野線および仮受橋脚基礎撤去工 2基
トンネル仮設工 一式
地盤改良工 一式
銀座線防護工 一式
実施設計(工事契約前実施設計内容を除く) 一式
(6)工期
工事契約前実施設計:2023年4月1日 から 2023年10月27日まで工 事:2024年3月20日 から 2034年3月31日まで
2.経緯
改善された技術提案書及び
技術提案に係る直接工事費の提出
技術提案書及び
技術提案に係る直接工事費の提出
(1)契約者決定の主な流れ
1
2
合意単価公表
選定経緯等公表
工事契約締結・単価合意
入札(総合評価)
予定価格の設定
③学識経験者への意見聴取
次評価
最終技術提案書( )及び
最終詳細工事費内訳書の提出
価格等ヒアリング
見積条件合意
実施設計
実施設計契約締結
段階選抜者の決定
②学識経験者への意見聴取
次評価
技術ヒアリング
公示
①学識経験者への意見聴取
※
※特異事象に対する提案書を含む
(2)契約者決定までの主な経緯
契約者決定までの主な経緯は以下のとおり。
日 付 | 内 容 |
2022年2月16日 | 第1回技術評価検討委員会 ・契約手続方式の適用性の確認 |
2022年3月10日 | 契約手続等説明会 ・事業概要(案)、契約手続等の公表 |
2022年5月30日 | 技術審査委員会 ・公示内容確認 |
2022年6月8日 | 第2回技術評価検討委員会 ・技術提案評価項目等の確認 |
2022年6月22日 | 契約手続審査会 ・公示内容決定 |
2022年6月28日 | 工事公告前説明会 ・工事概要(案)、契約手続の流れ、競争参加資格(案)、技術提案評価項目(案)等の公表 |
2022年7月27日 | 入札公告の官報掲載 |
2022年8月2日 | 技術提案書等作成説明会 ・工事概要、競争参加資格、工事条件、標準案、技術提案評価項目等の説明 |
2022年9月5日 | 競争参加資格確認申請書提出期限 |
2022年9月29日 | 技術審査委員会 ・競争参加資格確認 |
2022年10月12日 | 契約手続審査会 ・競争参加資格確認 |
2022年10月20日 | 競争参加資格確認通知・技術提案書等提出要請 |
2022年12月22日 | 技術提案書等の受領 |
2022年12月23日 | 技術提案者による技術提案書の説明 |
2023年1月6日~1月31日 | 技術ヒアリング(全4回) |
2023年2月3日 | 修正技術提案書及び設計業務見積書受領 |
2023年2月24日 | 技術審査委員会 ・技術評価結果の決定:1次評価 |
2023年2月28日 | 第3回技術評価検討委員会 ・技術評価結果の妥当性確認:1次評価 |
2023年3月6日 | 契約手続審査会 ・段階選抜者の選定 |
2023年3月16日 | 段階選抜者選定通知・見積条件合意工種通知 |
2023年3月23日 | 工事契約前実施設計見積合わせ |
2023年3月31日 | 工事契約前実施設計業務契約締結 ※契約工期:2023年4月1日~2023年10月27日 |
2023年5月30日 | 概算工費内訳書受領 |
2023年10月27日 | 工事契約前実施設計成果品受領 |
2023年11月1日 | 見積条件書(案)受領 |
2023年11月6日~11月29日 | 価格等ヒアリング(第1回~第4回)・見積条件合意書締結 |
2023年12月1日 | 最終技術提案書・最終詳細工事費内訳書受領 |
2024年1月31日 | 技術審査委員会 ・技術評価結果の決定:2次評価 ・公表事項の確認 |
2024年2月20日 | 第4回技術評価検討委員会 ・技術評価結果の妥当性確認:2次評価 ・公表事項の確認 |
2024年2月26日 | 契約手続審査会 ・技術評価点の決定 |
2024年3月4日 | 入札 |
2024年3月19日 | 工事契約締結 |
(3)契約相手方の選定方式
高速都心環状線の神田橋ジャンクションから江戸橋ジャンクション区間(以下「日本橋区間」という。)は、日本橋川の上に建設されており、昭和38年の開通から50年以上が経過している。日々、点検・補修を行っているものの、構造物の高齢化によって、重大な損傷が発生していることから、平成26年に橋梁を更新する大規模更新箇所として設定され、 「首都高日本橋地下化検討会」を踏まえ、都市計画変更の告示を行い、地下化が事業化された。
更新する日本橋区間の構造は、1.8kmの短い事業区間の中で、高架、擁壁、開削トンネル
、シールドトンネルに構造が分かれていることから、各構造に対し、それぞれ効果的かつ効率的な更新が必要となっている。
本事業は、以下に示す多数かつ厳しい制約条件下で、事業目標を達成させる必要があり、構造・施工法等に係る高度な技術を必要としている。
① 周辺再開発と連動した施工となり、着手時期、施工ヤードに制約
② 地下鉄等に近接し、地下埋設物、護岸・ビル基礎と干渉する等、周辺構造物への影響に対し、配慮が必要
③ 日本橋川の河積阻害に配慮した施工計画の立案が必要
④ 日本橋川河床下にも施工が及ぶ既設八重洲線現位置でのトンネル再構築
⑤ 都心環状線の長期通行止めを伴わない、う回路を活用した高架部の切回し
⑥ 2024年に本体工事に着手し、10年以上に及ぶ長期プロジェクト
⑦ 地元や再開発ビル等、工事中の周辺環境、景観等への配慮
このため、本事業では、幅広くコストとバランスを踏まえた民間企業の構造・施工法に係る優れた技術力を確実に活用するため、技術提案書を公募の上、その審査の結果を踏まえて
、技術提案審査結果が僅差となった場合でも特定工種の優れた技術提案を幅広く採用できる可能性が排除されないように2者を選定し、選定された者と工事契約前実施設計業務の契約を締結した後、価格等ヒアリング及び工事契約前実施設計を踏まえた最終技術提案書の提出を受け、価格と技術提案を踏まえて総合評価し、工事の契約を締結する「技術選抜設計承認方式」を試行的に採用した。
工事契約前実施設計は、通常の設計業務と異なり、契約手続き中に2者の競争参加者(以下「段階選抜者」という。)と並行して設計打合せを行う等、特殊な環境下で設計業務を実施する必要があった。
そのため、業務実施においては、以下に示す留意事項を段階選抜者と事前に共有した。 設計業務範囲
設計業務に関する情報提供 設計業務打合せ
なお、見積条件合意書を締結した工種については、工事契約後に提出される請負代金内訳書に記載された単価を個別合意単価とした。
(4)参考額の掲示
工事契約前実施設計及び工事に係る費用の参考額を、公示時の入札説明書において提示した。
競争参加者にとっては技術提案の自由度が高い反面、仕様が確定していないことから、場合によっては、提案する目的物の品質・性能と価格等のバランスの判断が困難となり、発注者にとって過剰で高価格な提案となるおそれがある。そのため、競争参加者の提案する目的物の品質・性能のレベルの目安として、予め、工事契約前実施設計及び工事に係る費用の参考額を設定した。なお、工事契約前実施設計については「予定価格は競争参加者からの見積を踏まえて設定する。」とした。また、工事については「参考額は、上限拘束性を有するものではないが、技術提案に際しての工事の規模の目安である。」とした。
(5)契約相手方の選定体制
技術提案書の内容の審査・評価等は、首都高速道路株式会社の技術審査委員会(以下「技術審査委員会」という。)及び契約手続審査会(以下「契約手続審査会」という。)にて行った。
また、中立かつ公正な立場で審査を行うため、学識経験者で構成する「日本橋区間地下化事業 技術評価検討委員会」(以下「技術評価検討委員会」という。)を設置した。
技術評価検討委員会は別表のとおり、各技術分野を専門とする学識経験者4名で構成し、事業内容の確認、契約手続方法の適用性の確認、技術提案内容の確認、技術審査及び技術評価の結果並びに技術評価点順位の妥当性の確認、公表事項の確認等を行った。なお、技術評価検討委員会は非公開とした。
技術評価検討委員会の構成は以下のとおり。
【第1回~第2回 技術評価検討委員会】
氏 名 | 所 属 | |
委 員 長 | 真下 英人 | 一般社団法人 日本建設機械施工協会施工技術総合研究所 所長 |
委 員 (五十音順) | 小澤 一雅 | 東京大学大学院 工学系研究科 総合研究機構 特任教授 |
木村 嘉富 | 国土交通省 国土技術政策総合研究所 所長 | |
古関 潤一 | 東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻 教授 |
【第3回 技術評価検討委員会】
氏 名 | 所 属 | |
委 員 長 | 真下 英人 | 一般社団法人 日本建設機械施工協会施工技術総合研究所 所長 |
委 員 (五十音順) | 奥村 康博※ | 国土交通省 国土技術政策総合研究所 所長 |
小澤 一雅 | 東京大学大学院 工学系研究科 総合研究機構 特任教授 | |
古関 潤一 | 東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻教授 |
※2022.6.28付で木村委員が退職されたため、国土技術政策総合研究所所長の後任である奥村委員に交代
【第4回 技術評価検討委員会】
氏 | 名 | 所 属 | ||
委 員 長 | 真下 | 英人 | 一般社団法人 日本建設機械施工協会施工技術総合研究所 | 所長 |
委 | 員 | 小澤 | 一雅 | 東京大学大学院 工学系研究科 総合研究機構 特任教授 |
※2023.3.31付で古関委員が民間企業に異動、2023.7.4付で奥村委員が退職されたが、1次評価により大部分の技術評価が完了していたため後任なし
3.契約手続等説明会の開催
(1)契約手続等説明会開催の概要
本事業の契約手続の参加希望者(有資格業者、資格申請を検討している者)に、契約手続の参加に向けた準備を進めていただくため、事業概要や契約手続等の内容を公表する契約手続等説明会を2022年3月10日に開催した。
説明会においては、参考資料に付した資料を用いて、以下の内容を説明した。
・事業概要(案)
・契約手続
・工事条件(案)
4.工事公告前説明会の開催
(1)工事公告前説明会開催の概要
本工事の契約手続の参加希望者(有資格業者、資格申請を検討している者)に、工事概要(案)、契約手続きの流れ及び設計業務概要(案)等の内容を公表する工事公告前説明会を2022年6月28日に開催した。
説明会における説明内容は以下のとおり。
・工事概要(案)
・契約手続きの流れ
・競争参加資格および技術提案(案)
・工事条件(案)
・技術提案評価項目(案)及び標準案(案)
・設計業務概要(案)
5.公示
(1)公示内容の確認
本工事の契約手続を行うにあたり、技術審査委員会にて入札公告資料を作成し、技術評価検討委員会にて、以下の事項について確認された。その確認を踏まえ、契約手続審査会にて公示内容を決定した。
・工事契約手続きスケジュール
・工事公告の内容
・技術提案範囲及び技術提案評価項目
(2)公示手続
2022年7月27日に入札公告を官報及びHPに掲載し、一般競争入札に付した。
6.技術提案書等作成説明会の開催
(1)技術提案書等作成説明会の開催概要
本工事の契約手続の参加希望者(有資格業者、資格申請を検討している者)に、技術提案書及び申請書等の作成説明会を2022年8月2日に開催した。
説明会における説明内容は以下のとおり。
・契約手続概要
・工事概要
・工事条件及び標準案
・技術提案書評価項目及び作成要領
7.競争参加資格確認
(1)競争参加資格確認
競争参加資格確認は、競争参加者としての適正な資格と必要な実績を有するかを審査するものである。
(2)審査結果
2022年9月5日までに、5者の応募があった。この5者より提出された競争参加資格確認申請書について技術審査委員会及び契約手続審査会にて確認を行った結果、入札説明書に示した競争参加資格を満たしており、2022年10月20日に競争参加資格を有する5者に対して競争参加資格確認結果及び技術提案書提出要請書の通知を行った。
8.技術審査(1次評価)
(1)技術審査概要
技術提案範囲については、「工事目的物及び仮設構造物並びに施工法」とし、評価対象及び評価項目は以下のとおりとした。
①地下鉄へ配慮した山留め計画
②現場条件に配慮した構造計画
③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
④地盤の安定性への配慮
⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
⑥河川に配慮した施工計画
⑦環境への配慮
i-Constructionの推進
技術提案書は、技術提案書提出要請を行った5者から提出があった。
修正技術提案書の審査は、技術審査委員会にて実施し、技術評価結果を決定した。
技術評価結果等を技術評価検討委員会に報告し、技術審査及び技術評価結果の妥当性が確認された。その確認を踏まえ、契約手続審査会にて段階選抜者2者を決定し、2023年3月16日に段階選抜者選定の通知を行った。
なお、公示後、技術提案書等作成に係る質問期間(2022年8月2日から8月10日)に219問を受領した。
受領した質問について、回答内容の確認を行い、2022年8月23日から資料閲覧にて回答を公表した。
【技術提案の審査・評価】
修正技術提案書の審査は、入札説明書に記載した“具体的な評価項目”及び“評価(例)”を踏まえ、求める効果ごとに、評価項目毎に“評価細目”を設定した。
受領した全ての技術提案がどの評価細目に該当するか分類したうえで、評価細目単位で本工事への適用性及び効果を評価し、評価項目毎に公示時の入札説明書に記載した表-1に示す
4段階評価で技術評価点を決定した。
なお、評価項目のうち「環境への配慮」及び「i-Constructionの推進」については、表-2
・3の評価基準により技術評価点を決定した。
表-1 技術提案評価基準
【S】 | 本工事への適用性及び効果が極めて高く期待でき、その内容に対し具体的にわかりやすく記載されている。 |
【A】 | 本工事への適用性及び効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されている。 |
【B】 | 本工事への適用性及び効果が期待でき、その内容に対し具体的に記載されている。 |
【C】 | 上記以外の一般的な提案や本工事への適用性、効果の確認ができない提案等。 |
表-2 技術提案評価基準(環境への配慮)
【S】 | 脱炭素化の効果が極めて高く期待でき、その内容に対し具体的にわかりやすく記載されている。 |
【A】 | 脱炭素化の効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されている。 |
【B】 | 脱炭素化の効果が期待でき、その内容に対し具体的に記載されている。 |
【C】 | 脱炭素化の効果が期待できない提案等。 |
表-3 技術提案評価基準(i-Constructionの推進)
【A】 | ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されている。 |
【B】 | ICT施工技術を活用した取組が記述されている。 |
【C】 | ICT施工技術の活用が不十分である。 |
(2)審査結果
1次評価における各評価項目の配点及び審査結果は表-4の通りである。
表-4 評価項目の配点と審査結果
評価対象 | 評価項目 | 具体的な評価項目 | 技術評価点 |
(1) 特殊山留め(半蔵門線歯抜け部、浅草線歯抜け部) (15点) | ①地下鉄へ配慮した山留め計画 (15点) | ・掘削時の山留めや掘削底版の安定性に配慮した地下鉄歯抜け部の施工方法 ・地下鉄及び地下埋設物並びに工程に配慮した合理的な山留め計画 ・信頼性の高いシールドの発進及び到達に寄与する妻壁等の山留め計画 | A者【S】15点 B者【A】10点 C者【B】5点 D者【C】0点 E者【B】5点 |
(2) シールドトンネル (45点) | ②現場条件に配慮した構造計画 (15点) | ・セグメントの組立て及び止水性に配慮したセグメント継手部の構造 ・効率的な坑内作業に寄与する施工時及び完成時の浮き上がり対策 | A者【S】15点 B者【S】15点 C者【A】10点 D者【A】10点 E者【A】10点 |
③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画 (15点) | ・工程を遵守するための狭隘な作業ヤードにおけるプラント設備やセグメントヤードの工夫 ・近接構造物及び低土被り部並びに河川部の特殊条件を考慮し、安全性と品質確保に配慮した掘進管理 ・信頼性及び安全性の高いシールドの発進(江戸橋部)・ 到達(2箇所)及び回転方法 | A者【B】5点 B者【B】5点 C者【C】0点 D者【A】10点 E者【A】10点 | |
④地盤の安定性への配慮 (15点) | ・地下埋設物に配慮し、河積阻害を極力抑えた、低土被り区間の地表面における、噴出・漏洩または地盤変状を抑制する対策 | A者【S】15点 B者【B】5点 C者【A】10点 D者【S】15点 E者【A】10点 | |
(3) シールドに 干渉する護岸 (15点) | ⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画 (15点) | ・シールドの掘進に伴う護岸の影響を極力抑える護岸基礎構造の工夫 ・河積阻害を極力抑えた施工計画 | A者【A】10点 B者【A】10点 C者【S】15点 D者【A】10点 E者【S】15点 |
(4) 都心環状線の 基礎撤去 (15点) | ⑥河川に配慮した施工計画 (15点) | ・航路を確保し河積阻害を極力抑えた施工計画 | A者【A】10点 B者【B】5点 C者【S】15点 D者【S】15点 E者【B】5点 |
(5) カーボンニュートラルへの取組 (3点) | ⑦環境への配慮 (3点) | ・脱炭素化の効果が期待できる取組 | A者【A】2点 B者【A】2点 C者【A】2点 D者【S】3点 E者【A】2点 |
(6) 生産性向上への取組 (2点) | i-Constructionの推進 (2点) | ・掘削工等、ICT活用施工によって安全で効率的となる取組 | A者【A】2点 B者【A】2点 C者【A】2点 D者【A】2点 E者【A】2点 |
計 (95点) | A者 74点 B者 54点 C者 59点 D者 65点 E者 59点 |
A者:大成建設株式会社 / B者:清水建設・竹中土木JV C者:安藤ハザマ・前田・りんかい日産JV / D者:大林・佐藤・錢高JV E者:鹿島・鉄建・東急JV
※JV:(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル特定建設工事共同企業体
(3)具体個別評価
競争参加者の技術提案に関する個別評価は、以下のとおりである。
A者:大成建設株式会社
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、高い効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、効果が期待された。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、高い効果が期待された。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、高い効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、高い効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、効果の期待できる提案はなかった。
○掘進時の近接構造物への影響低減及び低土被り区間の安全性について、限定的ではあるが効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、効果が期待された。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、高い効果が期待された。
○航路幅の確保、拡充について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪⑦環境への配慮
○脱炭素化の効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されていた。
≪ i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
B者:清水建設・竹中土木JV
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、高い効果が期待された。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、提案がなかった。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、高い効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○掘進時の近接構造物への影響低減、及び低土被り区間の安全性について、効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、効果が明確でなかった。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、効果の期待できる提案はなかった。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、効果の確認ができない提案であった。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、高い効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、高い効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、効果の期待できる提案はなかった。
○航路幅の確保、拡充について、高い効果が期待された。
≪⑦環境への配慮
○脱炭素化の効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されていた。
≪ i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
C者:安藤ハザマ・前田・りんかい日産JV
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、効果の期待できる提案はなかった。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、高い効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、効果が期待された。
○掘進時の近接構造物への影響低減及び低土被り区間の安全性について、限定的ではあるが効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、効果の期待できる提案はなかった。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、効果が明確でなかった。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、効果が期待された。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、高い効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、高い効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、効果が期待された。
○航路幅の確保、拡充について、高い効果が期待された。
≪⑦環境への配慮
○脱炭素化の効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されていた。
≪ i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
D者:大林・佐藤・錢高JV
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、提案がなかった。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、限定的ではあるが効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、高い効果が期待された。
○掘進時の近接構造物への影響低減、及び低土被り区間の安全性について、効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、効果が明確でなかった。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、効果が期待された。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、高い効果が期待された。
○航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑦環境への配慮
○脱炭素化の効果が極めて高く期待でき、その内容に対し具体的にわかりやすく記載されていた。
≪ i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
E者:鹿島・鉄建・東急JV
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、提案がなかった。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、シールド発進および到達の確実性および安全性について、効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、高い効果が期待された。
○掘進時の近接構造物への影響低減、及び低土被り区間の安全性について、効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、効果が期待された。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、効果が期待された。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、高い効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○航路幅の確保、拡充について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪⑦環境への配慮
○脱炭素化の効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されていた。
≪ i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
9.技術ヒアリング
(1)技術ヒアリングの概要
技術提案書の提出があった5者に対して技術ヒアリングを行い、技術提案内容及び前提条件、適用条件、検証内容等の確認を行った。技術ヒアリングを通じて、発注者から技術提案の改善を求め、競争参加者に提案を改善する機会を設け、2023年2月3日に改善された修正技術提案書を5者から受領した。
(2)具体ヒアリング内容
技術ヒアリングは、(各者)4回実施し、具体なヒアリング内容は以下のとおりである。
【第1回~第3回】
○技術提案の内容及び前提条件、適用条件、検証内容等について確認及び質問
~具体確認内容~
基本条件、設計要領との整合(施工ヤードの使用条件等確認)
提案内容に対する不明点、技術的内容の確認(施工方法等の確認)
技術評価の上で必要となる効果の確認(提案内容の定量的な効果等の確認) 技術的信頼性の確認(施工実績等の確認)
技術提案に係る直接工事費の計上項目の確認(具体計上工種の確認) 全体施工計画の確認(工程表及び施工ステップ図等の確認)
【第4回】
○第1回~第3回の技術ヒアリングにおける質問項目についての回答確認
○改善された技術提案内容の最終内容確認
なお、技術提案の主な改善内容は、表-5のとおりであった。
表-5 技術提案の改善内容一覧
改善要請事項 | 改善状況 | A者 | B者 | C者 | D者 | E者 | |
① | ヒアリングにおける説明内容と提案書 内の表記の齟齬について修正を要請 | 要請に基づき改善 | 8箇所 | 4箇所 | 4箇所 | 2箇所 | 2箇所 |
② | ヒアリングにおける説明内容と提案書 内の図表の齟齬について修正を要請 | 要請に基づき改善 | 4箇所 | 3箇所 | 1箇所 | 0箇所 | 1箇所 |
③ | 提案対象の明確化について修正を要請 | 要請に基づき改善 | 2箇所 | 5箇所 | 13箇所 | 1箇所 | 8箇所 |
10.工事契約前実施設計業務の契約
(1)実施方法
技術評価検討委員会にて技術評価結果等の妥当性が確認され、契約手続審査会にて段階選抜者を決定した後、2023年3月16日に段階選抜者選定通知及び見積条件合意工種通知と併せて、工事契約前実施設計にかかる見積書の提出要請を行った。
段階選抜者2者ともに、受領した見積書が予定価格の制限の範囲内であることを確認し、工事契約前実施設計業務の契約を締結した。
なお、工事契約前実施設計業務の予定価格は、修正技術提案書と併せて受領した設計業務見積書を参考に設定した。
(2)工事契約前実施設計見積合わせ
実施日時 2023年3月23日(木) 午前10時・午後2時
11.工事契約前実施設計業務の契約相手方の決定
(1)調査・設計名:
(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル工事(実施設計)
(2)契約者:
A者:大成建設株式会社
D者:大林・佐藤・錢高(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル特定建設工事共同企業体
(3)契約締結日:2023年3月31日
(4)契約金額(消費税及び地方消費税を含む。):
A者:予定価格 219,720,600円 / 契約金額 195,800,000円 D者:予定価格 134,524,500円 / 契約金額 121,000,000円
(5)工期:2023年4月1日から2023年10月27日
【設計内容】
・江戸橋発進・到達部の仮設構造物実施設計
・開削トンネル及び擁壁の仮設構造物実施設計
・シールド交差部左岸側護岸の実施設計
・シールドトンネルの掘進における事前対策の検討
12.工事契約前実施設計業務の遂行
工事契約前の実施設計は、以下に示す留意事項を段階選抜者と共有した上で、実施設計業務を遂行した。
設計業務範囲
工事契約前に実施する設計内容は、技術提案に係る項目であるため、技術提案に係る項目は、基本的に各者の技術提案を尊重し、発注者の考えに基づく設計指示は行わず、制約条件や設計要領に従って設計されているかを確認した。
設計業務に関する情報提供
段階選抜者が行う設計業務に必要な情報を、段階選抜者の求めに応じて可能な限り提示した。なお、一方の段階選抜者から求められ提示した情報は、他方からも設計業務に必要な情報として求められない限り、他方には提示しなかった。これにより2者に提示する情報量には差異が生じるが、どのような設計をしているのか等、他方が一方の技術提案内容を推測できないように配慮した。
ただし、関係機関等から、新たに制約条件等が示された場合は、設計業務に必要かどうかに関わらず、段階選抜者に等しく条件等を提示した。
設計業務打合せ
① 技術提案の技術評価点に影響が出る可能性があるため、設計方針や構造、施工方法の変更
・改善を伴う指示は行わなかった。
② 2者それぞれの設計業務打合せ回数、打合せのべ時間は、設計進捗状況により異なる場合がある旨及び段階選抜者から設計打合せ開催の申出があった場合、緊急対応等、特別な理由がある場合を除いて、拒否しないことを予め提示した。
③ 打合せ回数、打合せのべ時間が段階選抜者の当初の想定を超えても、基本条件、設計条件等の変更がない限り、設計変更は行わず、打合せ回数、打合せのべ時間の量は、技術提案の評価に影響しない旨を予め提示した。
④ 入札説明書に記載された「評価しない」技術提案に該当する設計項目であっても、指摘、通知等は行わず、設計業務を履行し、成果品の納品を義務付けた。
⑤ 設計業務打合せは、段階選抜者同士が鉢合わせないよう留意した。
⑥ 工事契約後に、段階選抜者が求める場合、実施設計の業務打合せ簿を閲覧可能としたが、相手方の技術提案内容が推測できる記載は非公開にする場合がある旨、及び閲覧に付するそれぞれの業務打合せ簿は、当該段階選抜者に確認し、非公開部分を協議する旨を予め提示した。
13.価格等ヒアリング
(1)価格等ヒアリングの概要
本工事では、あらかじめ指定された工種について、技術提案内容に基づく実施設計を工事契約前に実施し、設計成果品と見積条件書(案)を段階選抜者より受領した。
一方、発注者は公示時に工事の規模の目安として参考額を掲示した。参考額は、発注者が独自に検討した標準案に基づく積算額であり、段階選抜者が算出した工事費とは乖離が生じる可能性があった。
段階選抜者から提出される見積条件の妥当性を確認すること及び発注者が指定する工種の見積条件合意を目的として、価格等ヒアリングを実施した。
価格等ヒアリング実施後、最終技術提案書及び最終詳細工事費内訳書を段階選抜者より受領した。
(2)価格等ヒアリング(全4回)の概要
価格等ヒアリングは、工事契約前実施設計業務のしゅん功後に、2023年11月6日~11月27日において、計4回行った。
工事契約前実施設計しゅん功後に受領した成果品及び見積条件書(案)に基づく、構造・施工方法・施工条件等の確認、及び見積条件合意工種の積算条件等の確認を段階選抜者と実施した。
見積条件合意工種については、積算条件に相違がないことを確認し、A者10項目、D者9項目において見積条件合意書を締結し、価格等ヒアリングを終了した。
【第1回~第4回価格等ヒアリング】
○実施設計しゅん功後に受領した成果品及び見積条件書(案)に基づき、構造、施工方法、施工条件、積算条件等及び見積条件合意工種の積算条件等を確認
主に以下の項目について、条件等を双方で確認した。
●技術提案に基づく構造、施工方法及び施工条件
●工事費算出に使用する積算基準(年版含む)及び積算条件
●見積りにて積算する工種・材料及び見積り条件
●数量、単価の算出条件
●施工計画と積算条件との整合性
見積条件合意工種における主な合意条件
●工事費算出に使用する積算基準(年版含む)及び積算条件
●見積りにて積算する工種・材料の確認及び見積り条件
●施工計画と整合した積算条件
(3)最終技術提案書及び最終詳細工事費内訳書の受領
2023年12月1日に価格等ヒアリングに基づく最終技術提案書及び最終詳細工事費内訳書を段階選抜者から受領した。
最終技術提案書においては、3つの評価項目「⑦安全管理(近接施工)」、「品質確保」、
「⑨工程に関する工夫」を修正技術提案書(1次評価)から追加した。
また、工事契約前実施設計や検討を踏まえ、修正技術提案書から一部修正された。
14.技術審査(2次評価)
(1)審査概要
最終技術提案書の審査は、修正技術提案書の審査(1次評価)と同様に、技術審査委員会にて実施し、技術評価結果を決定した。
技術評価結果等を技術評価検討委員会に報告し、技術審査及び技術評価結果の妥当性が確認された。
なお、最終技術提案書の技術審査は、修正技術提案書の評価と同様の手法及び評価基準により実施した。
(2)審査結果
2次評価における各評価項目の配点及び審査結果は表-6の通りである。
表-6 2次評価における評価項目の配点と審査結果
評価対象 | 評価項目 | 具体的な評価項目 | 技術評価点 |
(1) 特殊山留め(半蔵門線歯抜け部、浅草線歯抜け部) (15点) | ①地下鉄へ配慮した山留め計画 (15点) | ・掘削時の山留めや掘削底版の安定性に配慮した地下鉄歯抜け部の施工方法 ・地下鉄及び地下埋設物並びに工程に配慮した合理的な山留め計画 ・信頼性の高いシールドの発進及び到達に寄与する妻壁 等の山留め計画 | A者【S】15点 D者【C】0点 |
(2)シールドトンネル (45点) | ②現場条件に配慮した構造計画 (15点) | ・セグメントの組立て及び止水性に配慮したセグメント継手部の構造 ・効率的な坑内作業に寄与する施工時及び完成時の浮き 上がり対策 | A者【S】15点 D者【A】10点 |
③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画 (15点) | ・工程を遵守するための狭隘な作業ヤードにおけるプラント設備やセグメントヤードの工夫 ・近接構造物及び低土被り部並びに河川部の特殊条件を考慮し、安全性と品質確保に配慮した掘進管理 ・信頼性及び安全性の高いシールドの発進(江戸橋部)・ 到達(2箇所)及び回転方法 | A者【B】5点 D者【A】10点 | |
④地盤の安定性への配慮 (15点) | ・地下埋設物に配慮し、河積阻害を極力抑えた、低土被り区間の地表面における、噴出・漏洩または地盤変状を抑制する対策 | A者【S】15点 D者【S】15点 | |
(3) シールドに干渉する護岸 (15点) | ⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画 (15点) | ・シールドの掘進に伴う護岸の影響を極力抑える護岸基礎構造の工夫 ・河積阻害を極力抑えた施工計画 | A者【A】10点 D者【A】10点 |
(4) 都心環状線の基礎撤去 (15点) | ⑥河川に配慮した施工計画 (15点) | ・航路を確保し河積阻害を極力抑えた施工計画 | A者【A】10点 D者【S】15点 |
(5) 立坑、開削トンネル、擁壁部 (10点) | ⑦安全管理(近接施工) (5点) | ・地下鉄に配慮した山留め施工時及び掘削時の山留め及び掘削底面の状態把握・管理手法 | A者【A】3点 D者【A】3点 |
品質確保 (5点) | ・本体構造におけるコンクリート構造のひび割れ、止水対策等による耐久性の確保 | A者【A】3点 D者【A】3点 | |
(6) 特異事象への対応 (5点) | ⑨工程に関する工夫 (5点) | ・関係機関協議の遅れや再開発による建物収去の遅れによる全体工程遵守及び工程遅延回復のための工夫 | A者【A】3点 D者【A】3点 |
(7) カーボンニュートラルへの取組 (3点) | ⑩環境への配慮 (3点) | ・脱炭素化の効果が期待できる取組 | A者【A】2点 D者【S】3点 |
(8) 生産性向上への取組 (2点) | ⑪i-Constructionの推進 (2点) | ・掘削工等、ICT活用施工によって安全で効率的となる取組 | A者【A】2点 D者【A】2点 |
計 (110点) | A者 83点 D者 74点 |
A者:大成建設株式会社 / D者:大林・佐藤・錢高JV
※JV:(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル特定建設工事共同企業体
(3)具体個別評価
段階選抜者の技術提案に関する個別評価は、以下のとおりである。
A者:大成建設株式会社
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、高い効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、効果が期待された。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、高い効果が期待された。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、高い効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、高い効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、効果の期待できる提案はなかった。
○掘進時の近接構造物への影響低減及び低土被り区間の安全性について、限定的ではあるが効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、効果が期待された。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、高い効果が期待された。
○航路幅の確保、拡充について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪⑦安全管理(近接施工)
○状態把握の適切性、確実性について、効果が期待された。
≪ 品質確保
○コンクリートのひび割れ抑制対策及び止水性の確保について、効果が期待された。
≪⑨工程に関する工夫
○工程順守及び工程遅延回復のための工夫について、効果が期待された。
≪⑩環境への配慮
○脱炭素化の効果が大いに期待でき、その内容に対し具体的に記載されていた。
≪⑪i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
D者:大林・佐藤・錢高JV
≪①地下鉄へ配慮した山留め計画
○歯抜け部における確実な止水性及び山留めの安定性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○山留め施工時や掘削時における地下鉄に対する安全性について、限定的ではあるが、効果が期待された。
○地下埋設物移設の低減等に配慮した合理的な山留計画について、提案がなかった。
○シールド掘進に対する確実性及び安全性について、限定的ではあるが効果が期待された。
≪②現場条件に配慮した構造計画
○セグメント組立時の施工性及び継手部の止水性向上について、効果が期待された。
○浮き上がり対策の確実性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○浮き上がり対策工における坑内作業の効率化について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪③施工性と安全性に配慮した合理的な施工計画
○作業ヤードの利用方法における効率化について、高い効果が期待された。
○掘進時の近接構造物への影響低減、及び低土被り区間の安全性について、効果が期待された。
○掘進時のセグメントの品質確保について、効果が明確でなかった。
○発進・到達時の安全性及び回転工における確実性、施工実現性について、効果が期待された。
≪④地盤の安定性への配慮
○地上部における噴出・漏洩または地盤抑制対策の確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河川内における噴出・漏洩に対する確実性、安全性、施工実現性について、高い効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、限定的ではあるが、効果が期待された。
≪⑤シールド掘進の影響に配慮した構造計画
○シールド掘進時における護岸の安定性について、効果が期待された。
○河積阻害率の低減および航路幅の確保、拡充について、効果が期待された。
≪⑥河川に配慮した施工計画
○河積阻害率の低減について、高い効果が期待された。
○航路幅の確保、拡充について、高い効果が期待された。
≪⑦安全管理(近接施工)
○状態把握の適切性、確実性について、効果が期待された。
≪ 品質確保
○コンクリートのひび割れ抑制対策及び止水性の確保について、効果が期待された。
≪⑨工程に関する工夫
○工程順守及び工程遅延回復のための工夫について、効果が期待された。
≪⑩環境への配慮
○脱炭素化の効果が極めて高く期待でき、その内容に対し具体的にわかりやすく記載されていた。
≪⑪i-Constructionの推進
○ICT施工技術を積極的に活用した取組が記述されていた。
15.価格等ヒアリング結果の確認及び工事の契約
(1)実施方法
技術審査委員会にて段階選抜者との価格等ヒアリング内容及び価格等ヒアリング結果の確認を行った。
(2)予定価格及び価格評価点の設定
技術審査委員会にて価格等ヒアリング内容について確認された後、予定価格を設定した。 なお、予定価格は、最終技術提案書における技術評価点の高い者の技術提案を踏まえて定
めた。
また、それぞれの技術提案を踏まえて定める予定価格相当額の内訳より、段階選抜者毎にそれぞれ低入札基準価格を設定し、入札価格が低入札基準価格以下であった場合は、価格評価点を0点とすることとした。
(3)入札日時
以下の日程で、段階選抜者による入札を実施した。実施日時 2024年3月4日(月)午前10時
(4)入札結果 ※金額は消費税及び地方消費税を含む。 A者:76,120,000,000円
D者:71,500,000,000円
(5)価格評価点 ※金額は消費税及び地方消費税を含む。 A者
予 定 価 格:80,395,277,600円低入札基準価格:73,963,655,392円価格評価点
110×(1-(入札価格÷予定価格))=5.850点
D者
予 定 価 格:80,395,277,600円予定価格相当額:77,370,348,000円低入札基準価格:71,180,720,160円価格評価点
110×(1-(入札価格÷予定価格))=12.171点
(6)2次評価点
A者:技術評価点83点+価格評価点 5.850点=2次評価点 88.850点(落札者) D者:技術評価点74点+価格評価点 12.171点=2次評価点 86.171点
開札の結果、入札価格が予定価格の制限の範囲内の価格をもって入札した者のうち、技術評価点と価格評価点の合計である2次評価点の高い者を落札者とし、工事契約を締結した。
16.工事の契約相手方の決定
(1)工事名
(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル工事
(2)契約者
大成建設株式会社
(3)工事場所
東京都中央区日本橋一丁目から東京都中央区日本橋小網町まで
(4)工事概要
シールドトンネル(竹橋行) 約550m
シールドトンネル(江戸橋行) 約550m
開削トンネル 約110m
擁壁工 約290m
護岸工 3箇所
建物基礎撤去工 4箇所
高速都心環状線基礎撤去工 9基
高速1号上野線および仮受橋脚基礎撤去工 2基
トンネル仮設工 一式
地盤改良工 一式
銀座線防護工 一式
実施設計(工事契約前実施設計内容を除く) 一式
(5)工事請負契約締結日 2024年3月19日
(6)契約金額 ※金額は消費税及び地方消費税を含む。予定価格 80,395,277,600円
契約金額 76,120,000,000円
(7)工期
2024年3月20日から2034年3月31日まで
17.技術評価検討委員会の経緯
技術評価検討委員会は、計4回開催し、事業内容の確認、契約手続方法の適用性の確認、技術提案内容の確認、技術審査及び技術評価結果の妥当性の確認、公表事項の確認等を行った。
各委員会の開催日時及び各委員会における確認事項は以下のとおり。
【第1回技術評価検討委員会】
開催日時:2022年2月16日(水)14:00~17:00
場 所:首都高速道路株式会社 本社9階会議室
確認事項:委員会において、確認された事項は以下のとおり
○委員会設立趣意書、委員会規約の確認
○事業内容の確認
○契約手続方式の適用性の確認
○契約手続説明会の概要確認
【第2回技術評価検討委員会】
開催日時:2022年6月8日(水)15:00~17:30
場 所:首都高速道路株式会社 本社9階会議室
確認事項:委員会において、確認された事項は以下のとおり
○工事契約手続スケジュールの確認
○工事公告、技術提案範囲及び技術提案評価項目の確認
【第3回技術評価検討委員会】
開催日時:2023年2月28日(火)15:00~17:30
場 所:首都高速道路株式会社 本社9階会議室
確認事項:委員会において、確認された事項は以下のとおり
○技術提案内容の確認
○技術審査及び技術評価結果の妥当性の確認
【第4回技術評価検討委員会】
開催日時:2024年2月20日(火)15:00~16:30
場 所:首都高速道路株式会社 本社9階会議室
確認事項:委員会において、確認された事項は以下のとおり
○最終技術提案内容の確認
○技術審査及び技術評価結果の妥当性の確認
○公表事項の確認