装 補 修 ⼯ 事[98] 1)[101] −1)[102] 70)[103] [104] 契約⽬的 法定点検を実施した結果、補修が必要な損傷が⾒つかったため、⻑寿命化を図るため補修⼯事を⾏うもの 河川改修を⾏い、流⽔の円滑化を図る。 歩道を整備することにより、本路線を利⽤する学⽣及び地域住⺠の安全な通⾏を図るもの。 下⽔道を整備し、汚⽔を速やかに排除し、周辺環境の向上を図るもの。 団地が造成されてから数⼗年が経ち、側溝が壊れたり、漏⽔が認められたため。 契約⽇ R2.9.25 R2.10.12...
第4部 各論
個別契約の契約事務に関する報告
第1章 監査の視点
第1節 監査対象契約の選定方針
リスク・アプローチ的な観点を踏まえ、岡⼭市から提供された契約データから、第2 部第1章で述べた「公共契約の基本原則」(適法性、経済性、xx性、透明性等)の観点に基づいて⾼リスクと評価した契約、及び、契約データ上は⾼リスクと評価できなくても岡⼭市が実施している多様な類型の契約をできる限り網羅できるように選定した。
適法性、経済性、xx性、透明性等の観点から⾼リスクと評価すべき契約の選定に当たっては、概ね以下の諸要素を複合的に考慮している。
① ⾼額契約
② ⾼落札率
③ ⼊札状況に不⾃然な点がある(⼊札者の⼤多数が失格となっているケース、⼊札者の
⼤多数が最低制限価格で⼊札しているケースなど)
④ 単独随意契約
⑤ 受注先が外郭団体あるいは岡⼭市の元職員の再就職先
⑥ 総合評価⼀般競争⼊札
⑦ プロポーザル⽅式(企画競争)による選定
⑧ 平成19 年度岡⼭市包括外部監査結果報告書において取り上げられている契約
第2節 監査項目と報告書第4 部の構成
第1 監査項目
第4部で述べる個別契約については、上記の選定⽅針に従って、何らかの理由に基づいて選定したものである。
したがって、それぞれの契約につき、監査対象として選定した理由を明⽰した上、それに関連 する項⽬を中⼼に監査することとし、それに付け加えて、第1部で述べた基本的な監査の視点や、第2部で述べた岡⼭市における運⽤上の問題点を基礎として、個別契約に関し、適法性、xx性、経済性、透明性等の観点から適宜検討を⾏うこととした。
第2 報告書第4 部の構成
1 建設⼯事、⼀般委託・役務等、賃貸借、建設コンサルタント、施設修繕、物品購⼊、物品修繕といった契約業務区分毎に「章」を設け、「章」の中ではさらに同種契約や同種の問題が⽣じている契約を⼀纏めにした「款」を設けるなど、契約を整理して記述した。
2 各節⼜は各款の冒頭に、当該「節」⼜は「款」において述べる各契約の基本的情報について簡潔にまとめた「契約の概要」という項⽬を設けているが、ここに記載している「許容価格」及び「契約⾦額」は、当初許容価格及び当初契約⾦額となっており、中途における変更契約を考慮していないので、留意されたい(変更契約後の契約⾦額については、巻末資料「監査対象契約⼀覧」を参照されたい)。
なお、「許容価格」については、記載しているものと記載していないものとがある。まず、岡
⼭市契約情報公表基準に基づき公表されている許容価格については全て記載している。他⽅、同公表基準において⾮公表とされている許容価格については、記載した上で「(⾮公表)」との注意書きをしているものと、記載せず単に「⾮公表」とのみ記載しているものがある。これらの記載については、本報告書の作成に際し、あらかじめ岡⼭市とも協議を⾏った上、前者については監査報告の必要上記載する必要があると判断し、⾮公表ではあるが記載したもの(基本的に⾼落札率である点について論ずる必要があるもの)であり、後者については監査報告に際しあえて記載する必要はないと判断し、今後の⼊札等契約事務への悪影響を避けるため、記載を控えたものである。
第2章 建設工事契約
第1x x並地内ほか汚水管埋設工事(その31) 他26 契約
第1 契約の概要
件名 | 江並地内ほか汚 ⽔管埋設⼯事 (その31)[80] | 南区役所管内交通安全施設維持修繕⼯事(単価 契約)[81] | 祇園地内汚⽔管埋設⼯事(その 5)[82] | 県道東⽚岡宿⽑線(xxx地内ほか)舗装⼯事 [83] | ⻄⼤xx⼀丁⽬地内マンホールトイレ設置⼯事[84] | ||||
契約⽬的 | 下⽔道を整備し、汚⽔を速やかに排除し、周辺環境の向上を図るもの。 | 岡⼭市南区指定路線における薄くなった区画線を修繕し、通⾏の安全を図るもの。 | 下⽔道を整備し、汚⽔を速やかに排除し、周辺環境の向上を図るもの。 | 舗装の損傷が激しく、本⼯事を発注することで交通の円滑を図るもの。 | 岡⼭市下⽔道総合地震対策計画に基づき、岡⼭市地域防災計画に位置付けられた避難施設にマンホールトイレを整備するも の。 | ||||
契約⽇ | R2.5.19 | R2.6.1 | R2.7.13 | R2.6.23 | R2.6.26 | ||||
許容価格 | 21,791, | 0 円 | 753,132 円 | 19,415, | 0 円 | 47,3 4, | 0 円 | 6,314, | 0 円 |
契約⾦額 | 19,3 2,6 0 円 | 658,9 0 円 | 17,2 3,7 0 円 | 42,281,8 0 円 | 5,515,4 0 円 | ||||
落札率 | 8.67% | 87.49% | 8.76% | 89.31% | 87.35% | ||||
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ||||
⼊札者数 | 12 | 15 | 6 | 30 | 8 | ||||
担当課 | 下⽔道河川局下 ⽔道xx整備課 | 南区役所地域整備課 | 下⽔道河川局下 ⽔道xx整備課 | 東区役所地域整備課 | 下⽔道河川局下⽔道xx整備課 | ||||
契約相⼿ ⽅ | 株式会社ズオー | ⼭陽ネット株式会社 | 有限会社xx組 | 御南建設株式会社 | ⻄⼤寺建設株式会社 |
件名 | 市道藤⽥浦安南町線他交通安全施設設置⼯事(2 −1)[85] | 市道福浜町築港栄町線舗装⼯事 [86] | 鉄地内汚⽔管埋設⼯事(その 3) [87] | xxx⼀丁⽬地内汚⽔管埋設⼯事 ( そ の 7 ) [ 8] | 上道公園野球場防球ネット設置⼯事 [90] |
契約⽬的 | ⾞両交通が岡⼭市中⼼部に流⼊しており、慢性的な渋滞を引き起こす原因となっている。そのため、通過⾞両などの交通流を 適切に分散・誘 | 塗装の⽼朽化によるはがれやひび割れを修繕するため。 | 下⽔道を整備し、汚⽔を速やかに排除し、周辺環境の向上を図るもの。
| 下⽔道を整備し、汚⽔を速やかに排除し、周辺環境の向上を図るもの。
| 場外⾶球が隣接の駐⾞場に停⾞してあった⾃動⾞に当たり、損傷させる事故が発⽣したことから、利⽤者の安全確保のため新たに防球ネットを 設置したもの |
導し、岡⼭市中 ⼼部で発⽣している交通渋滞の緩和を図ることを⽬的として区画線を設置する ⼯事を整備する もの。 | |||||
契約⽇ | R2.7.29 | R2.8.3 | R2.8.7 | R2.7.29 | R2.8.28 |
許容価格 | 8, 68, 0 円 | 17,6 5, 0 円 | 63,437, 0 円 | 35,057, 0 円 | 17,127, 0 円 |
契約⾦額 | 7,572,4 0 円 | 15,573,410 円 | 56,972,289 円 | 31,2 7,756 円 | 15,215,2 0 円 |
落札率 | 87.36% | 8.21% | 89.81% | 89. 2% | 8.84% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 19 | 38 | 24 | 2 | 10 |
担当課 | 都市整備局⻄部幹線道路建設課 | 南区役所地域整備課 | 下⽔道河川局下 ⽔道xx整備課 | 下⽔道河川局下 ⽔道xx整備課 | 市⺠⽣活局市⺠⽣活企画総務課 |
契約相⼿ ⽅ | 株式会社ティ ー・エス・アイ | 株式会社恵毘須 | 株式会社xx⼟ 建 | オオシン建設株 式会社 | さんもく⼯業株式 会社 |
件名 | 県道岡⼭xx線 ( 箕島地内ほか)舗装補修⼯ 事[91] | 県道岡⼭xx線 ( 北区⽥益地内)道路舗装補 修⼯事[92] | 県道御津xx線道路改良⼯事(2 −1)[93] | 百間川緑地遊具整備⼯事(2−2) [94] | 川張街区公園複合遊 x x 新 ⼯ 事 [96] |
契約⽬的 | 舗装を補修することで通⾏の円滑化を図る。 | ⽼朽化により⾞両通⾏に⽀障となっているため補修するもの。 | 現道の幅員が狭 ⼩かつ線形不良のため、バイパス整備を⾏い交通の安全を図 る。 | 施設の⽼朽化が進み、計画的な改修・更新による⻑命化対策を実施するもの | 遊具の更新を⾏い、利⽤者の安全を図るため。 |
契約⽇ | R2.8.24 | R2.8.25 | R2.8.26 | R2.8.21 | R2.8.21 |
許容価格 | 17,6 8, 0 円 | 12,1 0, 0 円 | 9,152, 0 円 | 14,729, 0 円 | 10,846, 0 円 |
契約⾦額 | 15,642,195 円 | 10,652,826 円 | 8,107, 0 円 | 13,079, 0 円 | 9,609,490 円 |
落札率 | 8.43% | 8.04% | 8.58% | 8.8% | 8.6% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 38 | 37 | 10 | 10 | 9 |
担当課 | 南区役所地域整備課 | 北区役所⼟⽊農林分室 | 北区役所⼟⽊農林分室 | 中区役所地域整備課 | 南区役所灘崎⽀所産業建設課 |
契約相⼿ ⽅ | 株式会社⼩橋⼯務店 | ロードワン岡⼭株式会社 | 株式会社中国⼟ ⽊ | 景観エクステリア株式会社 | 景観エクステリア株式会社 |
件名 | 国道 250 号(沼横断歩道橋)塗 | 普通河川xx河川改修⼯事(2− | 県道xx⾦岡線歩道整備⼯事(2 | xx地内汚⽔管埋設⼯事(その | 市道中川町 29 号線排⽔路整備⼯事 |
装 補 修 ⼯ 事 [98] | 1)[101] | −1)[102] | 70)[103] | [104] | |
契約⽬的 | 法定点検を実施した結果、補修が必要な損傷が ⾒つかったため、⻑寿命化を図るため補修⼯ 事を⾏うもの | 河川改修を⾏い、流⽔の円滑化を図る。 | 歩道を整備することにより、本路線を利⽤する学⽣及び地域住 ⺠の安全な通⾏を図るもの。 | 下⽔道を整備し、汚⽔を速やかに排除し、周辺環境の向上を図るもの。
| 団地が造成されてから数⼗年が経ち、側溝が壊れたり、漏⽔が認められたため。 |
契約⽇ | R2.9.25 | R2.10.12 | R2.10.14 | R2.10.19 | R2.10.14 |
許容価格 | 48,807, 0 円 | 28,6 4, 0 円 | 6,545, 0 円 | 63,987, 0 円 | 9,482, 0 円 |
契約⾦額 | 43,241, 0 円 | 25,524,4 0 円 | 6,435, 0 円 | 57,420, 0 円 | 9,438, 0 円 |
落札率 | 8.6% | 89. 1% | 98.32% | 89.74% | 9.54% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 9 | 26 | 14 | 34 | 13 |
担当課 | 都市整備局道路予防保全課 | 北区役所⼟⽊農林分室 | 東区役所地域整備課 | 下⽔道河川局下 ⽔道xx整備課 | 東区役所地域整備課 |
契約相⼿ ⽅ | ⼤陽塗装⼯業株 式会社 | 有限会社 OT コ ーポレーション | 有限会社カシマ 興産 | 株式会社蓬莱組 | 有限会社カシマ興 産 |
件名 | 市道藤⽥浦安南町線道路築造に伴う取合道路整備⼯事(2−1) [105] | 市道⼄⼦xx町線道路改良⼯事 (2−1)[107] | 市道xx 51 号線路肩整備⼯事 [108] | 国道 484 号(K 484 A 10 ・ A 1)道路防災 ⼯ 事 ( 2 − 2 ) [ 12] | 県道xx宿線道路築造⼯事(2−1) [ 15] |
契約⽬的 | 本線築道に伴う取合道路を整備することにより交通の円滑化を図るとともに通 ⾏の安全確保を ⽬的として⾏うものである。 | 路肩を整備することにより、本路線を利⽤する地域住⺠の通⾏の安全を確保するもの。 | 路肩を整備することにより、通 ⾏の安全を図る。 | 落⽯等が確認された⽅⾯危険箇所の解消を図るために落⽯防護 ⼯、⽅⾯吹付⼯の道路防災⼯事を⾏うもの。 | 本事業は、近隣の幹線道路における渋滞緩和及び円滑な交通の確保、交通事故の削減等が期待できることから、当路線(現道)のバイパスを整備する計画で進めており、本⼯事を発注することで、県道xx宿線バイパスの早期完 成を図るもの |
契約⽇ | R2.10.9 | R2.10.29 | R2.10.23 | R2. 1.6 | R3.1.5 |
許容価格 | 35,585, 0 円 | 19, 28, 0 円 | 1,0 6, 0 円 | 82,742, 0 円 | 38,038, 0 円 |
契約⾦額 | 31,904,4 0 円 | 17,108,080 円 | 9,879,1 0 円 | 74,174,1 0 円 | 34,104,950 円 |
落札率 | 89. 6% | 8.97% | 89.27% | 89.65% | 89. 6% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 14 | 7 | 8 | 10 | 25 |
担当課 | 都市整備局⻄部幹線道路建設課 | 東区役所地域整備課 | 南区役所地域整備課 | 都市整備局道路予防保全課 | 東区役所地域整備課 |
契約相⼿ ⽅ | 株式会社⽴建 | 株式会社xx建設 | 株式会社xxリリーフ | 藤⽥興業株式会社 | 株式会社xxx⼯ |
件名 | 丸の内⼀丁⽬地内下⽔管改良⼯事( R 2 − 1 ) [ 16] | (都)下xxxx線電線共同溝整備⼯事(3−1) [120] |
契約⽬的 | 管きょを更⽣し、排⽔の改良を図るものである。 | 本⼯事により安全で円滑な交通を確保し、都市景観の向上を図るため電線共同溝の整備を⾏う もの。 |
契約⽇ | R3.1.8 | R3.3.25 |
許容価格 | 78,265, 0 円 | 29,601, 0 円 |
契約⾦額 | 70,275,7 0 円 | 26,138,2 0 円 |
落札率 | 89.79% | 8.3% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 17 | 15 |
担当課 | 下⽔道河川局下 ⽔道保全課 | 都市整備局東部幹線道路建設課 |
契約相⼿ ⽅ | 株式会社ウエニシ | 株式会社カズケン |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、⼊札参加者の⼤部分が、最低制限価格未満の⼊札⾦額のため失格となっており、⼊札状況に不⾃然な点がないか等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査の結果
1 執⾏理由の記載
⑴ 以下の各契約につき、執⾏伺書記載の「執⾏理由」に以下の記載があった。
件名 | 執⾏理由 |
市道藤⽥浦安南町線他交通安全施設設置⼯事(2− 1)[85] | 本⼯事を施⼯することにより、当該事業の早期完成を⽬指す |
鉄地内汚⽔管埋設⼯事(その3)[87] | 地内の⽣活環境の向上を図るもの |
xxx⼀丁⽬地内汚⽔管埋設⼯事(その7)[ 8] | 地内の⽣活環境の向上を図るもの |
xx地内汚⽔管埋設⼯事(その70)[103] | 地内の⽣活環境の向上を図るもの |
上道公園野球場防球ネット設置⼯事[90] | 上道公園野球場に防球ネットを新設するもの |
県道xx宿線道路築造⼯事(2−1)[ 15] | 本⼯事を発注することで、県道xx宿線の早期完成を図るもの |
⑵ 契約締結の際に、当該契約の必要性及び合理性が認められることは⾃治体契約の⼤前提であ るが、上記の各記載のみではいずれも執⾏理由が不明確であり、契約の必要性が判然としない。例えば、上記「市道藤⽥浦安南町線他交通安全施設設置⼯事(2−1)」[85]について⾒ると、 なぜ本⼯事により「当該事業の早期完成」につながるのかが判然とせず、結局、契約の必要性 が判然としないものと評価せざるを得ない。
契約執⾏に際しての決裁事務の適正化のみならず、契約事務の透明化や事後的な検証を可能にするためにも、執⾏伺書の「執⾏理由」には詳細な記載をすべきである。
★★指摘253
契約事務の透明化や事後的な検証を可能とするために、執⾏伺書の「執⾏理由」には契約の必要性が第三者にも明らかになるよう詳細に記載されたい。
2 ⾒積参考資料の事前公表
⑴ 本節における各契約の⼊札に当たっては、事前に詳細な「⾒積参考資料」が公表されている。
⾒積参考資料の概要は、以下のとおりである。
件名 | 事前公表された⾒積参考資料の内容 |
江並地内ほか汚⽔管埋設⼯事(その 31)[80] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
南区役所管内交通安全施設維持修繕 ⼯事[81] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
祇園地内汚⽔管埋設⼯事(その 5) [82] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
県道東⽚岡宿⽑線(xxx地内ほか)舗装⼯事[83] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、使⽤価格等が詳細に記載されている。 |
⻄⼤xx⼀丁⽬地内マンホールトイ レ設置⼯事[84] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締 切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
市道藤⽥浦安南町線他交通安全施設設置⼯事(2−1)[85] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件等が詳細に記載されている。 |
市道福浜町築港栄町線舗装⼯事 [86] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
鉄地内汚⽔管埋設⼯事(その3) [87] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締 切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
xxx⼀丁⽬地内汚⽔管埋設⼯事 (その7)[ 8] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
上道公園野球場防球ネット設置⼯事 [90] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
県道岡⼭xx線(箕島地内ほか)舗 装補修⼯事[91] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締 切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
県道岡⼭xx線(北区⽥益地内)道路舗装補修⼯事[92] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
県道御津xx線道路改良⼯事(2− 1)[93] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
百間川緑地遊具整備⼯事(2−2) [94] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載さ れている。 |
川張街区公園複合遊具更新⼯事 [96] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
国道 250 号(沼横断歩道橋)塗装補修⼯事[98] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
普通河川xx河川改修⼯事(2−1) [101] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締 切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
県道xx⾦岡線歩道整備⼯事(2− 1)[102] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
xx地内汚⽔管埋設⼯事(その 70) [103] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
市道中川町 29 号線排⽔路整備⼯事 [104] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件等が詳細に記載されている。 |
市道藤⽥浦安南町線道路築造に伴う取合道路整備⼯事(2−1)[105] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
市道⼄⼦xx町線道路改良⼯事(2 −1)[107] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
市道xx 51 号線路肩整備⼯事 [108] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締 切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
国道 484 号(K484A 10・A 1)道路防災⼯事(2−2)[ 12] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、資材価格等が詳細に記載されている。 |
県道xx宿線道路築造⼯事(2−1) [ 15] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
丸の内⼀丁⽬地内下⽔管改良⼯事 (R2−1)[ 16] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締 切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
(都)下xxxx線電線共同溝整備 ⼯事(3−1)[120] | 設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されている。 |
⑵ 岡⼭市では、建設⼯事全般において⾒積資料の事前開⽰が⾏われているが、以上のとおり、いずれの契約においても詳細な⾒積参考資料が公表されており、また、第2 部第4 章第2 節第 2 で述べたとおり、公式ホームページ及び岡⼭市役所情報公開室でもかなり詳細な積算基準・積算単価等を公表しているため、⼊札者において事前に許容価格を推察することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという
意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌xx防⽌、談合をはじめとする不正の排除148の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。また、詳細な⾒積参考資料の事前開⽰により、⼀定以上の積算能⼒を有する業者であれば、ある程度形式的に価格を積算し、それに⼀定の変数を乗じた上で⼊札するだけで受注が可能となるため、本来であれば受注のために必要な、市場⽔準に基づいた適正な積算を⾏う能⼒を有しない事業者が受注してしまうリスクがある。さらに、岡⼭市の建設⼯事における最低制限価格は、第2 部第5章第2 節第4 において詳述したとおり、許容価格を前提として算定を⾏うものとなっており、ランダムでの変数が介在するとはいえ、後述の⼊札結果をふまえると、多くの⼊札者において正確な許容価格を計算し、最低制限価格を推測した上で⼊札を⾏っているものと思われる。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度その必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
3 ⼊札状況
⑴ 本節における各契約の⼊札においては、以下のとおり、多くの⼊札者が最低制限価格未満の
⼊札を⾏ったことにより失格となっている。そして、その点について担当課がどのように原因を検証しているかについてヒアリングしたところ、その回答は以下のとおりであった。
件名 | ⼊札状況の概要 | 担当課における検証状況 |
江並地内ほか汚⽔管埋設⼯事 (その31)[80] | 12 者⼊札、内 10 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない |
南区役所管内交通安全施設維持 修繕⼯事[81] | 15 者⼊札、内 13 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない |
祇園地内汚⽔管埋設⼯事(その 5)[82] | 6 者⼊札、内 5 者最低制限価格 未満により失格 | 検証していない |
県道東⽚岡宿⽑線(xxx地内 ほか)舗装⼯事[83] | 30 者⼊札、内 27 者最低制限価 格未満により失格 | 計算式に⽤いる変数によって最低 制限価格が⾼く設定された |
⻄⼤xx⼀丁⽬地内マンホール トイレ設置⼯事[84] | 8 者⼊札、内 7 者最低制限価格 未満により失格 | 検証していない |
市道藤⽥浦安南町線他交通安全 施設設置⼯事(2−1)[85] | 19 者⼊札、内1者事後失格、16 者最低制限価格未満失格 | 検証していない |
市道福浜町築港栄町線舗装⼯事 [86] | 34 者⼊札、内 30 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない
|
鉄地内汚⽔管埋設⼯事(その 3) [87] | 24 者⼊札、内 2 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない |
xxx⼀丁⽬地内汚⽔管埋設⼯ 事(その7)[ 8] | 2 者⼊札、内 21 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない |
上道公園野球場防球ネット設置 ⼯事[90] | 10 者⼊札、内 9 者最低制限価格 未満により失格 | 計算式に⽤いる変数によって最低 制限価格が⾼く設定された |
県道岡⼭xx線(箕島地内ほ | 38 者⼊札、内 34 者最低制限価 | 検証していない |
148 なお、本来、許容価格の公表と、落札率の⾼⽌xxx談合の誘発との間には直接の因果関係がないという点につい
ては、第2 部第10 章第1節第2−2 において述べたとおりである(以下、同様の記述箇所につき全て同じ)。
か)舗装補修⼯事[91] | 格未満により失格 | |
県道岡⼭xx線(北区⽥益地内)道路舗装補修⼯事[92] | 37 者⼊札、内 34 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
県道御津xx線道路改良⼯事(2 −1)[93] | 10 者⼊札、内9者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
百間川緑地遊具整備⼯事(2−2) [94] | 10 者⼊札、内 9 者最低制限価格 未満により失格 | 最低制限価格が⾼かったことが原 因である |
川張街区公園複合遊具更新⼯事 [96] | 9 者⼊札、内 8 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
国道 250 号(沼横断歩道橋)塗装補修⼯事[98] | 9 者⼊札、内 8 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
普通河川xx河川改修⼯事(2− 1)[101] | 26 者⼊札、内 25 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない |
県道xx⾦岡線歩道整備⼯事(2 −1)[102] | 14 者⼊札、内 1 者事後失格、12者最低制限価格未満により失格 | 計算式に⽤いる変数によって最低制限価格が⾼く設定された |
xx地内汚⽔管埋設⼯事(その 70)[103] | 34 者⼊札、内 31 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
市道中川町 29 号線排⽔路整備⼯ 事[104] | 13 者⼊札、内 12 者最低制限価 格未満により失格 | 計算式に⽤いる変数によって最低 制限価格が⾼く設定された |
市道藤⽥浦安南町線道路築造に伴う取合道路整備⼯事(2−1) [105] | 14 者⼊札、内 13 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
市道⼄⼦xx町線道路改良⼯事 (2−1)[107] | 7 者⼊札、内 6 者最低制限価格未満により失格 | 計算式に⽤いる変数によって最低制限価格が⾼く設定された |
市道xx 51 号線路肩整備⼯事 [108] | 8 者⼊札、内 6 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
国道 484 号( K 484 A 10 ・ A 1)道路防災⼯事(2−2) [ 12] | 10 者⼊札、内 9 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
県道xx宿線道路築造⼯事(2− 1)[ 15] | 25 者⼊札、内 23 者最低制限価格未満により失格 | 計算式に⽤いる変数によって最低制限価格が⾼く設定された |
丸の内⼀丁⽬地内下⽔管改良⼯事(R2−1)[ 16] | 17 者⼊札、内 15 者最低制限価格未満により失格 | 検証していない |
(都)下xxxx線電線共同溝 整備⼯事(3−1)[120] | 15 者⼊札、内 13 者最低制限価 格未満により失格 | 検証していない |
⑵ 以上のとおり、これらの契約の競争⼊札においては、最低制限価格付近に⼊札が集中し、かつ、最低制限価格を下回る失格者が多発し、実質的には少数の⼊札者間での狭い価格帯での価格競争となっている。これだけ多くの⼊札において上記のような事象が発⽣していることは、最低制限価格制度の運⽤が、最低価格⼊札者落札原則の例外としての合理性を維持できていないものと評価せざるを得ない。
また、原因についての検証の有無について各担当課にヒアリングしたところ、「検証していない」という回答や単なる現状の説明にとどまり実質的には検証がなされていないと考えられ
るものがほとんどであった。
そこで、不健全な⼊札状況を少しずつでも改善していくためには、不健全な⼊札状況についての情報を契約課に集約し、担当課と契約課が連携しながら改善策を講じる仕組みの導⼊が必要と考える。例えば、⼀定の定量的な基準(例えば、⼀者⼊札の場合、落札率が極めて⾼率となった⼊札の場合、⼤多数の⼊札者が失格となった場合など)に基づいてスクリーニングされた⼊札結果については、機械的に契約課と共有することとし、多くの担当課から寄せられた
⼊札に関する情報を参考にしながら、契約課において対策を検討するという⽅法も考えられるので、検討されたい(第2 部第5 章第1 節第8)[指摘37]。そして、その前提として、まずは担当課において上記のような⼊札状況となっていることについて原因を分析することが合理的であり、どのような対応により状況の改善が可能かについても⼀次的な検討をすべきである。このような作業は、現場で契約事務に直接携わっている担当課でなければ困難であり、また、契約課が⼀からこのような作業をすることは⾮効率であると考える。
★★指摘254
担当課において最低制限価格に⼊札価格が集中している原因について分析し、どのような対応が考えられるかについて、担当課において⼀次的な検討をされたい。
⑶ 最低制限価格未満の⼊札のため失格者が多発する原因として、まず考えられるのは、前述したとおり、⼊札者に最低制限価格が予測されている可能性である。毎回1者や2者の少数の⼊札者のみが最低制限価格以上となっていることや、同額⼊札者がいない点もふまえると、契約によっては、最低制限価格を予測し、事前に⼊札者間で⼊札額を⽰し合わせている可能性も無いとはいえない。健全な競争環境を担保するためにも、最低制限価格の設定を許容価格と切り離し、⼊札価格を基礎とした変動型最低制限価格制度が導⼊されるべきである。
この点については、第2 部第5 章第1 節第6−2 において詳述した[指摘35]。
⑷ 最低制限価格未満の⼊札のため失格者が多発するその他の原因としては、百間川緑地遊具整備⼯事(2−2)[94]の担当課も回答しているように、そもそも最低制限価格が⾼く設定されすぎ、実勢価格と乖離している可能性が考えられる。
上記の事象に対する最善の対応は、上記変動型最低制限価格制度の導⼊であると考えるが、現状の最低制限価格制度を維持する場合であっても、少なくとも最低制限価格の算定⽅法(数 式)の改定を検討すべきである。
この点については、第2 部第5 章第2 節第4−3 において詳述した[指摘43]。
4 下請管理
⑴ 普通河川xx河川改修⼯事(2−1)[101]
ア 本契約においても下請への発注が⾏われているが、下請業者は3 社、下請代⾦額の合計は 2163 万 04 0 円(それぞれ 1 96 万 5 0 円、75 万 24 0 円、91 万 3 0 円)となっており、下請代⾦の合計額は請負⾦額の約 80%に上っている。すなわち、本契約については、下請業者の中の1 社に対し、請負代⾦(2 52 万 4 0 円)ベースで約78%の下請代⾦によりで下請の発注がされており、⼤半の⼯事を下請業者が担っている状態と考えられる。
上記の点に関し、担当課からヒアリングしたところ、受注者の業務は、「発注者との協議及び⼯程管理など⼯事全般を把握し、⼯事の⼿順・段取りを適切に調整・指揮を⾏っている」とのことであった。
担当課による上記説明のように、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者にこれらの業務を発注することについては、常に必要性が認められるといえるか
は疑問である。すなわち、市が⼯程管理を⾏い、建設⼯事の本体業務については、業務を細分化して直接下請業者へ発注することも可能な場合もあるのではないかと思われるし、このようにすることで、直接下請業者へ発注する分だけコストカットが可能となるばかりか、実際の本体業務を受注すべき中⼩企業を競争⼊札等によりxxに選択することも可能となる。
したがって、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討すべきである。
★意見85
仮に下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討されたい。
イ また、受注者が⾃ら⼯事請負業務(施⼯)を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合は、建設⼯事に当たるのか、委託(いわゆる⼯事の委託)に当たるのかという点につき、あらためて慎重に検討されるべきである。
★意見86
受注者において⾃ら施⼯を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合につき、建設⼯事に当たるのか、委託に当たるのかという点については、慎重に検討されたい。
⑵ 県道xx⾦岡線歩道整備⼯事(2−1)[102]
ア 本契約においては、下請業者は5 社、下請代⾦額の合計は354 万75 0 円( 20 万 0 円、 60 万 5 0 円、6 万 6 0 円、67 万 65 0 円。なお、警備請負契約は単価契約。)となってお り、警備請負契約を除いても、合計で請負⾦額(643 万 5 0 円)の約 5%の下請代⾦によ り下請業者に発注されている。
担当課からの説明によると、受注者は「⼯事全体を把握し、施⼯計画の作成、⼯程管理、品質管理、施⼯管理、安全管理、技術的指導等を⾏っている」とのことであった。なお、 担当課の説明によれば、元請業者が下請⼯事の施⼯に実質的に関与していることについて は、⼯事中において、「『公共⼯事の⼊札及び契約の適正化の促進に関する法律』の施⾏に 伴う岡⼭市の対応について」(第2 部第7 章第2 節第2−2 参照)に基づき、点検したとのこ とであった。
イ 担当課による上記説明のように下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元 請業者に⼯程管理等の業務を発注することについては、常に必要性が認められるといえる かは疑問である。すなわち、市が⼯程管理を⾏い、建設⼯事の本体業務については、業務 を細分化して直接下請業者へ発注することも可能な場合もあるのではないかと思われるし、このようにすることで、直接下請業者へ発注する分だけコストカットが可能となるばかり か、実際の本体業務を受注すべき中⼩企業を競争⼊札等によりxxに選択することも可能 となる。
したがって、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討すべきである。なお、市職員が⼯程管理等の業務を担当するためには、市職員の監督能⼒・検査能⼒の向上が必要になる場合があることも想定されるが、市の担当者が直接施⼯管理等を担当することので
きるケースを少しでも増やせるよう、⻑期的な観点から検討されたい。
★意見87
仮に下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討されたい。
ウ また、受注者が⾃ら⼯事請負業務(施⼯)を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合は、建設⼯事に当たるのか、委託(いわゆる⼯事の委託)に当たるのかという点につき、あらためて慎重に検討されるべきである。
★意見 8
受注者において⾃ら施⼯を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合につき、建設⼯事に当たるのか、委託に当たるのかという点については、慎重に検討されたい。
⑶ xx地内汚⽔管埋設⼯事(その70)[103]
ア 本契約においては、下請業者は5 社、下請代⾦額の合計は4 60 万3909 円となっており、 下請代⾦の合計額は請負代⾦額(5742 万円)の約 81%に上っている。また、請負代⾦ベー スで約 74%に当たる部分(4235 万円)は、本契約に係る⼊札の相⼊札業者の⼀つに対する 下請の発注であった。なお、本契約については、契約締結後、「⼯事現場等における施⼯体 制の点検要領」に基づいて、現場等における下請業者の管理状況等の点検がなされており、報告書が作成されていることを確認した。本契約は、「重点点検⼯事」事案として、受注者 の「元請としての実質関与」について、所定の様式に基づいて点検がなされていた。
イ 上記のとおり、本件契約については施⼯の⼤部分が下請業者へ発注されているといえるが、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発 注することについては、常に必要性が認められるといえるかは疑問である。すなわち、市 が⼯程管理を⾏い、建設⼯事の本体業務については、業務を細分化して直接下請業者へ発 注することも可能な場合もあるのではないかと思われるし、このようにすることで、直接 下請業者へ発注する分だけコストカットが可能となるばかりか、実際の本体業務を受注す べき中⼩企業を競争⼊札等によりxxに選択することも可能となる。
したがって、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討すべきである。なお、市職員が⼯程管理等の業務を担当するためには、市職員の監督能⼒・検査能⼒の向上が必要になる場合があることも想定されるが、市の担当者が直接施⼯管理等を担当することのできるケースを少しでも増やせるよう、⻑期的な観点から検討されたい。
★意見89
仮に下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討されたい。
ウ また、受注者が⾃ら⼯事請負業務(施⼯)を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合は、建設⼯事に当たるのか、委託(いわゆる⼯事の委託)に当たるのかという点につき、あらためて慎重に検討されるべきである。
★意見90
受注者において⾃ら施⼯を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合につき、建設⼯事に当たるのか、委託に当たるのかという点については、慎重に検討されたい。
5 監督・検査
⑴ 県道岡⼭xx線(箕島地内ほか)舗装補修⼯事[91]
担当課によると、本⼯事においては、⼊札者に⼯事保険への加⼊は義務付けておらず、審査確認段階においても加⼊の有無について確認していないとのことであった。
しかし、岡⼭市⼯事請負契約約款第 5 条第1項は、「受注者は、⼯事⽬的物及び⼯事材料等を設計図書に定めるところにより⽕災保険、建設⼯事保険その他の保険に付さなければならない」と規定し、同条 2 項は、「受注者は、前項の規定におり保険契約を締結したときは、その証券⼜はこれに代わるものを直ちに発注者に提⽰しなければならない」と規定している。
今後は受注者に約款を遵守させ、担当課において、受注者の保険加⼊の有無につき、証券等を提⽰させることにより必ず確認すべきである。
★★指摘2 5
⼯事保険への加⼊につき、受注者に証券等を提⽰させることにより保険加⼊の有無を必ず確認されたい。
⑵ 川張街区公園複合遊具更新⼯事[96]
担当課へのヒアリングによると⼯事に係る公園遊具の安全性のチェックについては、製造メーカーの社内検査報告書の確認や、⼯事現場において市監督員が材料の確認を⾏っているとのことであった。
しかし、遊具という性質に鑑み、品質や材料だけでなく、構造等のチェックが不可⽋と考える。令和3 年10 ⽉14 ⽇に発⽣した認可保育園での男児の遊具死亡事故149の際になされていたのと同様に、専⾨業者による構造上の安全性のチェックもなされるべきである。
★★指摘256
⼯事に係る公園遊具の安全性のチェックについては、専⾨業者による構造上の安全性のチェックを実施されたい。
6 変更契約
本節の各契約においては、契約変更について、主に三つの問題が認められた。具体的には、①変更理由の記載の問題、②事前に予測可能と思われる変更理由の問題、③設計・契約変更ガイドラインが規定する設計変更範囲の基準を遵守しているかという問題である。
⑴ 変更理由の記載の問題
契約の変更には、岡⼭市⼯事請負契約約款第18 条から第20 条、第 2 条、第23 条に定める
149 令和3年 1 ⽉ 1 ⽇⼭陽新聞デジタル「178 施設の遊具、危険度判定へ 岡⼭市、園児事故受け業者点検」の中で
「岡⼭市内の認可保育園の遊具に男児(2)が挟まり意識不明で⾒つかった事故を受け、市は1⽇、市内の私⽴認可保育園など178 施設を対象に専⾨業者による遊具点検を実施すると発表した。」と報道された。
理由が必要であり、かかる変更理由については、決裁の適正化や「⽇常的モニタリング」、また後⽇の検証に耐え得る具体的かつ明確なものである必要がある。
件名 | 変更理由の記載内容 |
江並地内ほか汚⽔管埋設⼯事 (その31)[80] | 現地再踏査の結果、設計延⻑を変更するもの。 |
祇園地内汚⽔管埋設⼯事(その 5)[82] | 地権者との協議の結果、汚⽔桝を追加するもの。 |
⻄⼤寺上⼀丁⽬地内マンホールトイレ設置⼯事[84] | 関係機関との協議により交通誘導員を増員するもの。 |
市道藤⽥浦安南町線他交通安全 施設設置⼯事(2−1)[85] | 関係機関との協議により、安全に考慮し、仮区画線⼯が必要となった ため追加するもの。 |
鉄地内汚⽔管埋設⼯事(その 3)[87] | 変更①:解体⼯事に要する費⽤等の特定建設資材廃棄物の処理施設等を変更するもの。 変更②:家屋調査に不測の⽇数を要したため。 変更③:解体⼯事に要する費⽤等の特定建設資材廃棄物の処理施設等を変更するもの。 変更④:関係機関との協議により交通誘導員を増員するもの。 |
さい東⼀丁⽬地内汚⽔管埋設⼯事(その7)[ 8] | 関係機関との協議により交通誘導員を増員するもの。 |
上道公園野球場防球ネット設置 ⼯事[90] | 関係機関との協議により既存構造物の防護⽤の仮設材、グラウンドの整地を変更追加するもの。 |
県道御津佐伯線道路改良⼯事 (2−1)[93] | 関係機関との⼯事調整により不測の⽇数を要したため、⼯期を延期する。 |
百間川緑地遊具整備⼯事(2− 2)[94] | 現地再調査の結果、遊具Bのコンクリート基礎の撤去を不施⼯とす る。 |
川張街区公園複合遊具更新⼯事 [96] | 主に諸経費動向調査の対象となったため、調査費⽤の追加計上を⾏い、⾦額変更(増額)を⾏うもの。 |
県道江崎⾦岡線歩道整備⼯事 (2−1)[102] | 本⼯事における特定建設資材廃棄物の再資源化等をするための施設を変更するもの。 |
平野地内汚⽔管埋設⼯事(その 70)[103] | 地元町内会と沿線住⺠との協議の結果、仮駐⾞場の設置が必要となっ たため。 |
市道中川町 29 号線排⽔路整備 ⼯事[104] | 現場着⼿後、設計図書と現地の条件が⼀致しない箇所がみつかったため、構造物撤去⼯の数量を変更するもの。 |
市道藤⽥浦安南町線道路築造に伴う取合道路整備⼯事(2−1) [105] | 地元調整の結果、路⾯排⽔処理による側溝追加と耕作地への坂路設置を追加する。また側溝設置に伴い舗装⾯積も合わせて変更するものと する。 |
市道⼄⼦神崎町線道路改良⼯事 (2−1)[107] | 変更①:⼯期区間に隣接する地元関係者との施⼯に関する調整に不測の⽇数を要したため、⼯期を延期するもの。 変更②:施⼯を進める中、地下⽔位が⾼く施⼯に時間を要した。また ⼀部区間において家屋への出⼊りについて地元関係者との協議に不測の⽇数を要したため、⼯期を延期するもの。 |
しかるところ、以下の各契約において作成された「変更執⾏伺書」の「変更理由」欄の記載は以下のとおりであった。
変更③:当初想定していなかった⽯積みの処分およびアスファルト殻処分等の増変更をするもの。 | |
国道 484 号(K484A 10・ A 1)道路防災⼯事(2−2) [ 12] | 現地確認の結果、伐採⼯を変更する。また近接⼯事調整に不測の⽇数を要したため、⼯期を延⻑する。 |
以上のとおり、各契約において作成されている「変更執⾏伺書」の「変更理由」欄の記載は、抽象的であり変更の理由が判然としない。具体的にいかなる理由で変更されたのか、契約変更の必要性・許容性が判断できるよう、変更執⾏伺書には、具体的かつ詳細な変更理由を記載すべきである。なお、実際に担当課にヒアリングしたことにより判明した契約変更の具体的理由は、下記⑵⼀覧表記載のとおりである。
★★指摘257
変更伺の記載から変更の必要性及び相当性が判断できるよう変更理由を具体的かつ詳細に記載されたい。
⑵ 事前に予測可能と思われる変更理由の問題
以下の「件名」欄記載の各契約における具体的な変更理由について各担当課からヒアリングしたところによると、「変更の具体的理由」欄記載のとおりとの回答であった。
これらの各契約における具体的な契約変更の理由は、「予測可能性」欄記載のとおり、ほとんどのケースで事前に予測可能であったことを伺わせるものであり、設計前の準備や関係者との協議を⼗分に⾏っていれば契約変更の必要がなかった可能性がある。
件名 | 契約変更の具体的理由 | 予測可能性 |
江並地内ほか汚⽔管埋設⼯事(その 31)[80] | ⼯事場所の団地が⾏き⽌まりの道路であり、⾞両の通⾏幅を確保するために下⽔道本管の埋設位置 を変更したもの。 | 事前に現地を確認すれば予測可能と思われる。 |
祇園地内汚⽔管埋設⼯事(その 5) [82] | 汚⽔桝の権利が2箇所ある地権者が、当初の申請 で1箇所希望していたが、着⼯後に残りの1箇所も希望したため、追加で施⼯したもの。 | 事前に地権者と⼗分に協議を⾏い、確認書を交わすなどの対応を ⾏えば防⽌できた可能性がある。 |
⻄⼤寺上⼀丁⽬地内マンホールトイレ設置⼯事[84] | 施⼯時期が夏休み以降となったため、学校と協議の結果、交通誘導員を増員したもの。 | 当初より令和2 年6 ⽉26 ⽇から同年 12 ⽉ 18 ⽇を⼯期として予定しており、事前に想定できたと思わ れる。 |
市道藤⽥浦安南町線他交通安全施設設置⼯事(2−1) [85] | 本線は交通量が多く、道路築造が完成した⾞線へ通⾏⾞両の振替えを⾏う際の⾞両の誘導について、より交通の安全確保が必要なことから仮区画 線を設置し通⾏⾞両を誘導するもの。 | 事前に現地を⼗分に確認していれば、想定できたと思われる。 |
鉄地内汚⽔管埋設 ⼯事( その 3 ) [87] | 第2回変更は、⽇中不在の家があり家屋調査に時間がかかり⼯期延期したもの。第4回変更は、交通規制や迂回路等について発注後に地元から要望 があり、警察等と協議を⾏い、交通誘導員を増員 | 事前に⽇中不在の家が存在する可能性は⼗分想定できる。また地元からの要望も事前に協議していれ ば⼗分想定できたと思われる。 |
発注前に⼯程の全体に関する現地調査や関係者との綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏ い、契約後において、安易に「不測」との理由による変更がなされないようにするべきである。
したもの。 | ||
さい東⼀丁⽬地内汚⽔管埋設⼯事 (その7)[ 8] | 交通規制や迂回路等について発注後に地元から要望があり、地元町内会との交通規制等の協議、警察との道路使⽤協議を⾏い、交通誘導員を増員し たもの。 | 事前に⼗分に関係者と協議していれば、⼗分想定できたと思われる。 |
上道公園野球場防球ネット設置⼯事 [90] | 施設を管理するスポーツ振興課や、公園全体を管理する東区役所との協議により既存構造物の防護 ⽤の仮設材、グラウンドの整地を変更追加するも の。 | 事前に関係者と協議していれば、 ⼗分想定できたと思われる。 |
百間川緑地遊具整備⼯事( 2 − 2 ) [94] | 平成 29 年度の調査に基づき積算し発注したが、 ⼯事着⼿後に現地調査した結果、遊具Bのコンクリート基礎が流出したため。 | 事前に現地を確認していれば、⼗分に想定できたと思われる。 |
川張街区公園複合遊 具 更 新 ⼯ 事 [96] | 発注後、本⼯事は、国が実施する調査の対象となったため、受注者に当該調査の作業を通知すると共に、調査作業に係る事務費⽤を増額するもの。 | 事後的な事情であり、やむを得ないと考えられる。 |
県道江崎⾦岡線歩道整備⼯事(2−1) [102] | 本⼯事は、施⼯区間の前後に交通誘導員を配置するよう計画していた。しかし、掘削及び嵩上⽔路の施⼯時は、施⼯区間への重機や運搬⾞の出⼊りがあり、通⾏⾞両及び歩⾏者等の安全確保のため、重機等の作業箇所に交通誘導員を追加し、2名から 3 名配置に変更した。また、年末に向け沿線の郵便局への⾞両等の出⼊りが多くなることから、舗装⼯の施⼯時は安全に配慮し、駐⾞場内の案内を含め、交通誘導員を2名から5名配置に変 更したこと等によるもの。 | 事前に現地を⼗分に確認していれば想定できたと思われる。 |
平野地内汚⽔管埋設⼯事(その 70) [103] | 当該箇所の下⽔道⼯事は、⽇中に道路を通⾏⽌めして⾏う必要があり、⽇中に⾞の出⼊りがある沿 線住⺠の仮設駐⾞場が必要となったため。 | 綿密な事前調査によりある程度の予測は可能と思われる。 |
市道中川町 29 号線排⽔路整備⼯事 [104] | 既設側溝を撤去した際、道路側に補強コンクリートが⾒つかった。更に基礎コンクリートの厚さが想定より⼤きかったことにより、コンクリートの 撤去、処分量が増加したもの。 | 側溝を撤去しないとわからない事情であるため、やむを得ない事情と考えられる。 |
市道⼄⼦神崎町線道路改良⼯事(2− 1)[107] | 変更理由①:⼯事は、発注前に⼯事区間に隣接する地権者から⼟地を⼯事ヤードに使⽤する了承を得ていた。しかし、⼯事を着⼿する際には、耕作者が当該予定地に⻨を作付けしていたこともあり、地権者から⼟地の使⽤について難⾊を⽰された。この地権者と使⽤する⼟地の範囲及び復旧を含め、施⼯に関する調整に不測の⽇数を要したため、⼯期を延期するもの。
変更理由②:本⼯事の施⼯を進める中、幹線⽤⽔路沿いでもあることから、地下⽔位が⾼く、擁壁 | 変更理由①:事前に地権者と協議を⾏い、確認書を交わすなどの対応を⾏えば防⽌できた可能性がある。
変更理由②:事前に現地を⼗分に調査していれば想定できたと思われる。
変更理由③:着⼿してみないと把握できない事情であり、やむを得 |
等を施⼯する際にも⽔替えを⾏う必要があった。この⽔替え作業に時間を要したため、通常よりも施⼯に遅れが⽣じた。また、⼀部区間において、施⼯中は沿線の家屋への出⼊りに⽀障が⽣じることから、この住⺠との施⼯時期等に関する協議に不測の⽇数を要したため、⼯期を延期するもの。
変更理由③:本⼯事で掘削したところ、想定していなかった既設の⽯積が確認されたため、この撤去と処分を⾏う必要が⽣じた。また、既設の舗装を撤去したところ、想定していた舗装厚 5 ㎝ではなく、 1 ㎝であることが確認されたため、この処 分等について変更するもの。 | ないと考えられる。 | |
市道宮浦 51 号線路肩整備⼯事[108] | 事前現地確認の結果、⼟⽊作業に使⽤する機械で の安全を確保できないため、⼤型⼟のう設置・撤去等の施⼯数量を変更するもの。 | 発注前に現地を確認すれば予測可能と思われる。 |
国道 484 号(K484 A 10・A 1)道路防災⼯事(2−2) [ 12] | 現地確認の結果、什器等を⽤いる伐採が必要となったため、伐採⼯の⾦額を変更し、近接する道路防災⼯事との⽇程調整に時間を要したため、⼯期 を延期するもの。 | 事前に現地を確認すれば予測可能と思われる。 |
★★指摘258
事前に予測可能であった事情による契約変更を防⽌するため、発注前に全体⼯程を通じた現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において、安易に
「不測」との理由による変更がなされないようにされたい。
⑶ 変更の審査基準の問題
⼯事請負契約の設計・契約変更ガイドラインにおいては、設計・契約変更ができる範囲について、「現に施⼯中の⼯事と分離して施⼯することの著しく困難なものを除き、変更⼯事価格の増額分が起⼯⼯事価格の3 割以内のものに限るものとする。なお、現に施⼯中の⼯事と分離して施⼯することが著しく困難な場合において、増額分が3 割を超えるもの⼜はそのおそれのあるものについては、事前に決裁権者の承認を得る」こととされている(ガイドライン2
⾴)。例えば、市道藤⽥浦安南町線道路築造に伴う取合道路整備⼯事(2−1)[105]、県道飯井 宿線道路築造⼯事(2−1)[ 15]、(都)下中野平井線電線共同溝整備⼯事(3−1)[120]では、契約変更によって契約⾦額が3 0 万円から4 0 万円以上もの増額がなされているが、これらは 当初契約⾦額⽐で約10%程度の増額であり、上記ガイドラインの基準を充⾜している。
しかし、第 2 部第 6 章第 2 節第 2−3−⑴で述べたとおり、現状の変更の審査基準に問題があり、契約課において、⼯事の性質や状況、変更の理由に応じた具体的に変更可能な範囲の基準をガイドラインに定めるべきである。
担当課においては、たとえガイドライン上は変更可能と評価し得る範囲の契約変更であっても、別契約として⼊札をやり直した⽅が公正性・経済性の観点から望ましいと判断される契約変更の場合(例えば、⼊札で予定されている⼯事とは全く求められる技術が異なる追加⼯事が必要となるものなど)には、契約課や受注者とも協議し、再度の⼊札を実施するという選択
肢についても厭わず検討すべきである。
★意見91
ガイドライン上は変更可能な範囲でも、別契約として再度⼊札を⾏った⽅が公正性・経済性の観点から望ましいと判断される場合には、契約課や受注者とも協議し、再度の⼊札も選択肢として検討されたい。
第2節 市道原御津伊田線取水施設移転工事
第1 契約の概要
件名 | 市道原御津伊⽥線取⽔施設移転⼯事[1 0] |
契約⽬的 | 道路改良で⽀障となる取⽔施設を移転するもの。 |
契約年⽉⽇ | R2.9.28 |
許容価格 | 13,640, 0 円 |
契約⾦額 | 13,640, 0 円 |
落札率 | 1 0% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札(⼊札者数1 者) |
担当課 | 北区役所御津⽀所産業建設課 |
契約相⼿⽅ | ⽥中機電⼯業株式会社 |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が 1 0%であり、かつ⼊札参加者数が1名であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査の結果
1 ⼊札状況
⑴ ⼊札参加資格
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤
システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を
本件は、⾃治令第167 条の5、同第167 条の5 の2及び岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第3 条から第5 条に基づき、制限付⼀般競争⼊札が実施されているものであるが、公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 市内業者⼜は直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること。
⑺ 第1格付業者が機械器具設置であること。
⑻ 市内全域で機械器具設置の格付が特A、A、B⼜はC等級であること。
⑼ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき、機械器具設置⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑽ 機械器具設置⼯事業に係る資格を有する者を配置すること。
⑵ ⼀者⼊札
ア 上記のとおり、本件競争⼊札における⼊札参加者は1 者となっている。
イ 上記⼊札参加資格要件⑶において、事業所所在地資格につき、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、本件⼊札は競争性を⽋いていることが明らかであるから、客観的に は岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分 な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも事業所所在地資格の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
ウ 上記⼊札参加資格(6)においては、「準市内業者」についてのみ「直近の本市市⺠税の確定 申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、
特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が要求されている。
第2 部第5 章第2 節第2−2 でも述べたように、上記⼊札参加資格(6)の根拠としている同要綱第4 条第2 項は、市内業者には「従業員の数」等に関する要件を課さず、準市内業者のみに⼀律で「従業員 50 ⼈」という要件を課しているが、このような区別を設けることが⾃治令第167 条の5 の2 において許容されるのか疑問である[意見16]。同要綱の問題は、契約課において対応すべき問題と考えられるが、前述のとおり、本件契約については、少なくとも⼊札参加資格要件⑶については「市外業者」まで要件を緩和すべきである。
また、⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき⾃治令第 167 条の 5の2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化されていないが、同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の5 の2 に基づく⼊札参加資格要件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★★指摘259
事業所所在地資格については「市外業者」まで緩和されたい。
★★指摘260
⼊札参加資格要件に関する検討過程については記録されたい。
⑶ 落札率
1 回⽬の⼊札は、⼀者⼊札(落札者と同じ)で⼊札額が許容価格を上回ったため不調になっており、かかる⼊札状況を踏まえると、本契約において落札率が極めて⾼率になること⾃体はやむを得ない。いずれにせよ前述のとおり、⼀者⼊札で競争性が働いていないためにこのよう
な極めて⾼率の落札率となったものといえ、競争性の確保が重要であることを裏付けている。
2 変更契約
⑴ 同契約の「変更執⾏伺書」の「変更理由」には、「地元関係者との協議の結果、緊急時に備えて、電源仕様にディーゼルエンジン作動を追加したため」と記載されていたが、この記載のみでは変更の具体的な必要性・許容性が分からない。
具体的にいかなる理由で変更されたのか、事後にも検証できるよう詳細な理由を記載すべきである。
★★指摘261
変更伺の記載から変更の必要性及び許容性が判断できるよう変更理由を具体的かつ詳細に記載されたい。
⑵ 担当課へのヒアリングによると、変更契約の具体的な理由は、「電気でエンジンを作動するようにしていたが、停電時に対応可能なディーゼルエンジンも今まで通り使えるようにしてほしいと住⺠から要望があったため」とのことであった。「地元関係者」と事前に綿密な協議を
⾏っていれば、契約を事後に変更する必要性はなかったのではないかと思われる。発注前に⼯程の全体に関する現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において安易に「不測」との理由による変更がなされないようにすべきである。
★★指摘262
事前に予測可能であった事情による契約変更を防⽌するため、発注前に全体⼯程を通じた現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において、安易に
「不測」との理由による変更がなされないようにされたい。
3 監督・検査
本⼯事の検査に際して作成された「検査員指摘事項」によると、「提出書類に不備が多く⾒られた」、「現場の清掃等を怠らないこと」など施⼯管理の不備が指摘されている。
第3節 庭瀬地内汚水管埋設工事(その41)
第1 契約の概要
件名 | 庭瀬地内汚⽔管埋設⼯事(その41)[ 1] |
契約⽬的 | 上記地域の⽣活環境の向上を図るもの。 |
契約年⽉⽇ | R2. 1.20 |
許容価格 | 15, 34, 0 円 |
契約⾦額 | 15,290, 0 円 |
落札率 | 9.71% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札(⼊札者数2 者、内1 者事後失格) |
担当課 | 下⽔道河川局下⽔道管路整備課 |
契約相⼿⽅ | 株式会社ZERO-ONE |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が 9.71%と極めて⾼率であり、かつ⼊札参加者数が少数であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査の結果
1 ⼊札状況
⑴ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 市内業者⼜は直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること。
⑺ 第1格付業者が⼟⽊⼜は第1格付業種が建築で第2⼜は第3格付業種が⼟⽊であること。
⑻ 吉備中学校区で⼟⽊の格付がB⼜はC等級であること
⑼ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき、⼟⽊⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑽ ⼟⽊⼯事業に係る資格を有する者を配置すること。
⑵ 実質的⼀者⼊札
ア 本件競争⼊札における⼊札参加者数は実質的には1 者(参加者2者、1者事後失格)となっている。
イ 上記⼊札参加資格要件⑶において、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、本 件⼊札が競争性を⽋いていることは明らかであるから、客観的には岡⼭市建設⼯事競争⼊ 札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも⼊札参加資格要件の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
ウ 上記⼊札参加資格要件⑹においては、「準市内業者」についてのみ「直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税
され、特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が要求されている。
第 2 部第 5 章第 2 節第 2−2 において述べたとおり、上記⼊札参加資格要件⑹の根拠としている同要綱第4 条第2 項は、市内業者には「従業員の数」等に関する要件を課さず、準市内業者のみに⼀律で「従業員 50 ⼈」という要件を課しているが、このような区別を設ける
ことが⾃治令第167 条の5 の2 において許容されるのか疑問である[意見16]。同要綱の問題は、契約課において対応すべき問題であるが、前述のとおり、少なくとも本件において
⼊札参加資格要件⑶については「市外業者」まで要件を緩和すべきである。
また、⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき⾃治令第 167 条の 5の2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化されていないが、同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の5 の2 に基づく⼊札参加資格要件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★★指摘263
事業所所在地資格については、「市外業者」まで緩和されたい。
★★指摘264
⼊札参加資格要件の検討過程については記録されたい。
⑶ 落札率
本件⼊札の落札率は、 9.71%と極めて⾼率である。
本件においては、⾒積参考資料が事前開⽰されており、その中で、設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が、詳細に記載されているため、⼊札者において事前に許容価格を推察することが可能になっているものと思われる。 詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企 業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排
除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度、個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
⑷ 担当課における⼊札状況の検証
⼊札者が1者のみで極めて⾼率の落札率となっている原因の検証状況について担当課にヒアリングしたところ、「検証していない」という回答であった。
不健全な⼊札状況を少しずつでも改善していくためには、不健全な⼊札状況についての情報を契約課に集約し、担当課と契約課が連携しながら改善策を講じる仕組みの導⼊が必要と考える。例えば、⼀定の定量的な基準(例えば、⼀者⼊札の場合、落札率が極めて⾼率となった
⼊札の場合、⼤多数の⼊札者が失格となった場合など)に基づいてスクリーニングされた⼊札結果については、機械的に契約課と共有することとし、多くの担当課から寄せられた⼊札に関する情報を参考にしながら、契約課において対策を検討するという⽅法も考えられるので、検討されたい(第2 部第5 章第1 節第8 参照)[指摘37]。
そして、その前提として、まずは担当課において上記のような⼊札状況となっていることについて原因を分析することが合理的であり、どのような対応により状況の改善が可能かについても⼀次的な検討をすべきである。このような作業は、現場で契約事務に直接携わっている担当課でなければ困難であり、また、契約課が⼀からこのような作業をすることは⾮効率であると考える。
★★指摘265
⼊札者が少数であったり、落札率が⾼率であった原因について分析し、どのような対応が考えられるかについて、担当課において⼀次的な検討をされたい。
2 下請管理
⑴ 本契約においては、下請業者は5 社、下請負代⾦額の合計は1023 万 0 円(それぞれ 80万 0 円、19 万 8 0 円、79 万 2 0 円、 4 万 0 円。警備請負契約は単価契約。)となっており、警備請負契約を除いても、下請代⾦の合計額は請負代⾦額(1529 万円)の約 70%に上っており、そのうちの⼀つの下請業者に対して請負代⾦額ベースで約 58%部分の発注がなされている。
受注者の業務について担当課に確認したところ、「施⼯管理を担当している」とのことであった。本契約については、契約締結後、「⼯事現場等における施⼯体制の点検要領」に基づいて、現場等で下請業者の管理状況等の点検がなされており、報告書が作成されていることを確認した。本契約は、「重点点検⼯事」事案として、受注者の「元請としての実質関与」について、所定の様式に基づいて点検がなされていた。
⑵ 担当課による上記説明のように、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者にこれらの業務を発注することについては、常に必要性が認められるといえるかは疑問である。すなわち、市が⼯程管理を⾏い、建設⼯事の本体業務については、業務を細分化して直接下請業者へ発注することも可能な場合もあるのではないかと思われるし、このようにすることで、直接下請業者へ発注する分だけコストカットが可能となるばかりか、実際の本体業務を受注すべき中⼩企業を競争⼊札等により公正に選択することも可能となる。
したがって、下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討すべきである。
★意見92
仮に下請業者への発注や⼯程管理等を「委託」する⽬的で、元請業者に⼯程管理等の業務を発注する場合については、その必要性を⼗分に検討すべきである。
⑶ また、受注者が⾃ら⼯事請負業務(施⼯)を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合は、建設⼯事に当たるのか、委託(いわゆる⼯事の委託)に当たるのかという点につき、あらためて慎重に検討されるべきである。
★意見93
受注者において⾃ら施⼯を負担せず、下請業者への発注及び⼯程管理等の業務のみを担当する場合につき、建設⼯事に当たるのか、委託に当たるのかという点については、慎重に検討されたい。
3 変更契約
⑴ 同契約の「変更執⾏伺書」の「変更理由」には、「沿線地権者と確認した結果より、汚⽔桝設置個所数を変更するもの」との記載があった。この記載では、変更の具体的な必要性及び許容性がわからない。具体的にいかなる理由で変更されたのか検証できるよう詳細な理由を記載すべきである。
★★指摘2 6
変更伺の記載から変更の必要性及び許容性が判断できるよう変更理由を具体的かつ詳細に記載されたい。
⑵ 担当課へのヒアリングによると、契約の具体的な変更理由は、「①発注後に沿線箇所に家屋が新築されたため、家屋調査の追加が必要になったもの。さらに既設⽔道管の埋設位置の試験堀で、⽔道管が下⽔道管を埋設するには⽀障となることが判明したため、⽔道管の移設の必要が発⽣した。②発注後に新築された家屋、及び建築計画がある箇所から汚⽔桝設置申請があったことから、汚⽔桝の設置数を追加申請するもの。」という回答であった。また、担当課の説明によれば、「本⼯事箇所は狭隘な曲がりが多い市道を⺠間開発⼯事により拡幅⼯事をされたことにより、既設⽔道管の位置・深さが詳細には管理者の⽔道局においても把握できていなかったため、⼯事の中で施設⽔道管の詳細な位置・深さを確認する必要があった。その試験掘の結果により、⽔道管の移設及び、下⽔道管の埋設計画を変更する必要が⽣じたもの。」とのことであった。
しかし、少なくとも既設⽔道管の埋設位置によっては⽔道管の移設が必要になるということは事前想定できる事情といえ、「既設⽔道管の位置・深さが詳細には管理者の⽔道局においても把握できていなかった」のであれば、本来、⼯事に先⽴って別途この点を調査するための発注を⾏うべきであり、変更契約はあくまで例外的に許容されるものであるから、調査後の変更契約を前提に「⼯事の中で施設⽔道管の詳細な位置・深さを確認する」という事業の進め⽅
⾃体が適正といえるか疑問である。
発注前に⼯程の全体に関する現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において安易に「不測」との理由による変更がなされないようにすべきである。
★★指摘267
事前に予測可能であった事情による契約変更を防⽌するため、発注前に⼯程の全体に関する現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において安易に
「不測」との理由による変更がなされないようにされたい。
第4節 東岡山スポーツ広場トイレ改築工事
第1 契約の概要
件名 | 東岡⼭スポーツ広場トイレ改築⼯事[ 13] |
契約⽬的 | 既存トイレ(汲取り)の⽼朽化が著しいため、トイレの改築及び⽔洗化を図るもの。 |
契約年⽉⽇ | R2. 1.16 |
許容価格 | 7,909, 0 円 |
契約⾦額 | 7,865, 0 円 |
落札率 | 9. 4% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札(⼊札者数1 者) |
担当課 | 都市整備局公共建築課 |
契約相⼿⽅ | ⽉本建設株式会社 |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が 9. 4%と極めて⾼率であり、かつ⼊札参加者数が 1 者であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 市内業者⼜は直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること。
⑺ ①第1格付業者が建築⼜は②第1 格付業種が⼟⽊で第2 ⼜は第3 格付業種が建築であること。
⑻ 格付業種①に該当するもの
ア 中区⼜は東区で建築の格付がB 等級
イ 東区で建築の格付が格付がC 等級 格付業種②に該当するもの
ア 旭東中学校区で建築の格付がB ⼜はC 等級
⑼ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき、建築⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑽ 建築⼯事業に係る資格を有する者を配置すること。
2 ⼀者⼊札
⑴ 上記のとおり、本件競争⼊札における⼊札参加者数は1 者となっている。
⑵ 上記⼊札参加資格要件⑶において、事業所所在地資格につき、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、本件⼊札は競争性を⽋いていることが明らかであるから、客観的には岡
⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも事業所所在地資格の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
⑶ 上記⼊札参加資格⑹においては、「準市内業者」についてのみ「直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特
別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が課されている。第 2 部第 5 章第 2 節第 2−2 において述べたとおり、上記⼊札参加資格⑹の根拠としている同
要綱第4 条第2 項は、市内業者には「従業員の数」等に関する要件を課さず、準市内業者のみに⼀律で「従業員 50 ⼈」という要件を課しているが、このような区別を設けることが⾃治令第167 条の5 の2 において許容されるのか疑問である[意見16]。同要綱の問題は、契約課において対応すべき問題と考えられるが、本件契約については、前述のとおり、少なくとも⼊札参加資格要件⑶については「市外業者」まで要件を緩和すべきである。
また、⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき⾃治令第167 条の5 の 2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化され
ていないが、同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の5 の2 に基づく⼊札参加資格要 件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★★指摘268
事業所所在地資格については「市外業者」まで緩和されたい。
★★指摘269
⼊札参加資格要件に関する検討過程については記録されたい。
3 落札率
本件⼊札における落札率は、 9. 4%と極めて⾼率である。
1 回⽬の⼊札は、⼀者⼊札で⼊札額が許容価格を上回ったため不調になっており、かかる⼊札状況を踏まえると、本契約において落札率が極めて⾼率になること⾃体はやむを得ない。
しかし、⼀者⼊札で競争性が働いていないためにこのような極めて⾼率の落札率となったものといえ、競争性の確保が重要であることを裏付けている。
第5節 市道西七区9 号線橋梁修繕工事
第1 契約の概要
件名 | 市道⻄七区9 号線橋梁修繕⼯事[ 14] |
契約⽬的 | 橋梁上部を修繕し、通⾏の安全を図る。 |
契約年⽉⽇ | R2.12. 2 |
許容価格 | 8,646, 0 円 |
契約⾦額 | 8,580, 0 円 |
落札率 | 9.24% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札(⼊札者数1 者) |
担当課 | 南区役所灘崎⽀所産業建設課 |
契約相⼿⽅ | 有限会社T・K・R |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が 9.24%と極めて⾼率であり、かつ⼊札参加者数が 1 者であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の
検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 「建設⼯事」と「修繕(委任)」の区別
同契約の⽬的は、「橋梁の修繕」であり、契約の性質として修繕契約(委任契約)ともとらえることができる。担当課へのヒアリングによると、予算費⽬が異なることと、⼀般に⽬的物の効
⽤が増加する場合、修繕⼯事で発注するとのことであった。予算費⽬が異なることは理由にならないと思われる。
岡⼭市では、建設業法第 2 条 1 項の「建設⼯事」に該当すれば、予算科⽬が修繕であっても
「建設⼯事⼜は⼩規模⼯事」として発注するものとされている。建設⼯事とそれ以外の契約では根拠規定や⼿続も異なるため、「建設⼯事」に該当するか否かの判断は重要である。
本⼯事も、前述のとおり予算費⽬が「修繕料」ではない、また、⼀般に⽬的物の効⽤が増加する場合には⼯事で発注することとしている等の曖昧な理由で建設⼯事を選択しており、⼗分な検討を経て「建設⼯事」に当たるものと判断されたものとはいい難い。繰り返しになるが、「建設
⼯事」に当たるか否かは、建設業法第2 条第1 項に定める「建設⼯事」に当たるか否かという問題であるから、そのような観点から検討を⾏うべきであり、そのような観点からすると、本件契約については、岡⼭市における契約業務区分における「修繕」に該当する疑いがある。
建設業法第2 条第1 項の「建設⼯事」について、同法には、該当する⼯事の種類を列挙する表 があるのみで、基準が不明確であるという問題がある。⼀⽅で、「建設⼯事」に当たるか否かの 判断は、その後の⼿続全般に影響する重⼤な問題であるから、具体的な判断基準が策定されてい ない現状においても、過去の事例や他⾃治体の例を参考にしながら、慎重に⾏われる必要がある。
★★指摘270
「⼯事」に当たるか否かの判断は、建設業法第 2 条第 1 項の「建設⼯事」に当たるといえるかとの観点から、慎重に⾏われたい。
2 ⼊札状況
⑴ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 市内業者⼜は直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であ
ること。
⑺ 第1格付業者が⼟⽊⼜は第1格付業種が建築で第2⼜は第3格付業種が⼟⽊であること。
⑻ 灘崎中学校区で⼟⽊の格付がB⼜はC等級であること
⑼ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき、⼟⽊⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑽ ⼟⽊⼯事業に係る資格を有する者を配置すること。
⑵ ⼀者⼊札
ア 本件競争⼊札における⼊札参加者数は1 者となっている。
イ 上記⼊札参加資格⑵において、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、競争性を⽋いていることは明らかであるから、客観的には岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当する。
したがって、そもそも参加資格要件の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
ウ 上記⼊札参加資格⑹においては、「準市内業者」についてのみ「直近の本市市⺠税の確定 申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、
特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が課されている。第 2 部第 5 章第 2 節第 2−2 において述べたとおり、上記⼊札参加資格⑹の根拠としている同要綱第4 条第2 項は、市内業者には「従業員の数」等に関する要件を課さず、準市内業者のみに⼀律で「従業員数 50 ⼈」という要件を課しているが、このような区別を設けることが⾃治令第167 条の5 の2 において許容されるのか疑問である[意見16]。同要綱の問題は、契約課において対応すべき問題であるが、少なくとも⼊札参加資格要件⑶については「市外業者」まで要件を緩和すべきである。
また、⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき⾃治令第 167 条の 5の2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化されていないが、同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の5 の2 に基づく⼊札参加資格要件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★★指摘271
事業所所在地資格については「市外業者」まで緩和されたい。
★★指摘272
⼊札参加資格要件の検討過程については記録されたい。
⑶ 落札率
本件⼊札における落札率は、 9.24%と極めて⾼率である。
本件においては、事前に⾒積参考資料が開⽰されており、その中には、設計⾦額の表⽰単 位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、締切排⽔⼯積算条件、資材価格等が詳細に記載されて いるため、⼊札者において事前に許容価格を推察することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰に
ついては、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
⑷ 担当課における⼊札状況の検証
⼊札者が1者のみで極めて⾼率の落札率となっていることに関し、原因の検証状況について担当課にヒアリングしたところ、「検証していない」という回答であった。
不健全な⼊札状況を少しずつでも改善していくためには、不健全な⼊札状況についての情報を契約課に集約し、担当課と契約課が連携しながら改善策を講じる仕組みの導⼊が必要と考える。例えば、⼀定の定量的な基準(例えば、⼀者⼊札の場合、落札率が極めて⾼率となった
⼊札の場合、⼤多数の⼊札者が失格となった場合など)に基づいてスクリーニングされた⼊札結果については、機械的に契約課と共有することとし、多くの担当課から寄せられた⼊札に関する情報を参考にしながら、契約課において対策を検討するという⽅法も考えられるので、検討されたい(第2 部第5 章第1 節第8)[指摘37]。
そして、その前提として、まずは担当課において、上記のような⼊札状況となっていることについて原因を分析することが合理的であり、どのような対応により状況の改善が可能かについても⼀次的な検討をすべきである。このような作業は、現場で契約事務に直接携わっている担当課でなければ困難であり、また、契約課が⼀からこのような作業をすることは⾮効率であると考える。
★★指摘273
実質的な⼊札者が少数であったり、落札率が⾼率であった原因について分析し、どのような対応が考えられるかについて⼀次的な検討をされたい。
3 変更契約
⑴ 同契約の「変更執⾏伺書」の「変更理由」には、「⽔道管の移設及び戻し⼯事に不測の⽇数を要したため、⼯期を延期する」、「当初は全⾯通⾏⽌め予定であったが、地元関係者との協議により、歩⾏者・⼆輪⾞が通⾏できる仮設道を設置するもの」との記載があった。この記載では、変更の具体的な必要性がわからない。具体的にいかなる理由で変更されたのか検証できるよう詳細な理由を記載すべきである。
★★指摘274
変更伺の記載から変更の必要性及び相当性が判断できるよう変更理由を具体的かつ詳細に記載すべきである。
⑵ 担当課に対するヒアリングによると、発注後に現地周辺住⺠の要望を受けて当初⾒込んでいなかった仮設道の設置を⾏ったとのことであった。発注担当者において事前に⼗分な現地調査と確認をしていれば仮設道の設置は事前に想定することが可能であったと思われる。
発注前に全体⼯程に関する現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において、安易に「不測」との理由による変更がなされないようにされたい。
★★指摘275
事前に予測可能であった事情による契約変更を防⽌するため、発注前に全体⼯程に関する現地調査や関係者と綿密な協議を⾏う等、⼗分な準備を⾏い、契約後において、安易に
「不測」との理由による変更がなされないようにされたい。
第6節 岡山市立豊小学校内児童クラブ室増築工事
第1 契約の概要
件名 | 岡⼭市⽴豊⼩学校内児童クラブ室増築⼯事[ 17] |
契約⽬的 | 受⼊児童数増加に対応するため児童クラブ専⽤室を増築し、既存クラブ室の解体を⾏うもの。 |
契約年⽉⽇ | R3.2.18 |
許容価格 | 58,245, 0 円 |
契約⾦額 | 58,025, 0 円 |
落札率 | 9.62% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札(⼊札者数5 者) |
担当課 | 都市整備局公共建築課 |
契約相⼿⽅ | 難波建設株式会社 |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が 9.62%と極めて⾼率であり、さらに許容価格以下の⼊札が1者のみでの⼊札となっているため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることは可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 ⼊札状況
⑴ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 市内業者⼜は直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること。
⑺ 第1格付業種が建築(格付業種①)⼜は第1格付業種が⼟⽊で第2⼜は第3格付業種が建築であること(格付業種②)。
⑻ 格付業種①に該当するもの
ア 市内全域で建築の格付が特A 下等級
イ 中区⼜は東区で建築の格付がA 等級
ウ 東区で建築の格付がB 等級
格付業種②に該当するもの
ア ⻄⼤寺中学校区で建築の格付が特A 下、A ⼜はB等級
⑼ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき建築⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑽ ①経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の最新の建築⼀式⼯事の平均完成⼯事⾼が 60, 0, 0 円以上であること。
②平成 17 年 4 ⽉ 1 ⽇以降に 1 棟で下記アからウを全て満たす建築⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること。
ア 新築、増築⼜は改築⼯事
イ ⽊造、鉄⾻造、鉄筋コンクリート造⼜は鉄⾻鉄筋コンクリート造
ウ 1 棟当たりの延べ⾯積が1 0 ㎡以上
⑾ 建築⼯事業に係る資格を有する者を配置すること。
⑿ ⽊造建築⼠、⼆級建築⼠⼜は⼀級建築⼠の免許取得者を有すること。
⑵ 実質的⼀者⼊札
ア 本件競争⼊札における⼊札参加者数は4者であるが、許容価格以下の⼊札者は1者のみであった。
イ 上記⼊札参加資格要件⑶において、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、落札率が極めて⾼率であったことを踏まえると、競争性を確保できているとは評価し難いから、客観的には岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも参加資格要件の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
ウ 上記⼊札参加資格(6)においては、「準市内業者」についてのみ「直近の本市市⺠税の確定 申告書における岡⼭市分の従業員数が 50 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、
特別徴収を⾏っている従業員数が 50 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が要求されている。
第2 部第5 章第2 節第2−2 でも述べたとおり上記⼊札参加資格(6)の根拠としている同要綱第4 条第2 項は、市内業者には「従業員の数」等に関する要件を課さず、準市内業者のみに⼀律で「従業員 50 ⼈」という要件を課しているが、このような区別を設けることが⾃治令第167 条の5 の2 において許容されるのか疑問である[意見16]。同要綱の問題は、契約課において対応すべき問題であるが、前述のとおり、少なくとも⼊札参加資格要件⑶については「市外業者」まで要件を緩和すべきである。
また、⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき⾃治令第 167 条の 5の2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化されていないが、同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の5 の2 に基づく⼊札参加資格要件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★★指摘276
事業所所在地資格については「市外業者」まで緩和されたい。
★★指摘2 7
⼊札参加資格要件に関する検討過程については記録されたい。
⑶ 落札率
本件⼊札については、⼊札参加者数は 5 者ではあるが、4 者は許容価格を上回る⼊札価格であったため、有効⼊札者は1 者のみであり、落札率は 9.62%と極めて⾼率となっている。
本件においては、⾒積参考資料(⼯事数量総括表)が事前開⽰されており、その中で、⼯事費の細⽬別の詳細な内訳、必要な材料や什器等の詳細な内訳等が、詳細に記載されている。さらに、第2 部第4 章第2 節第2 で述べたとおり、公式ホームページ及び岡⼭市役所情報公開室でかなり詳細な積算基準・積算単価を公表しているため、両者を合わせると、⼀定以上の積算能⼒を有する業者であれば、事前にある程度許容価格を推察することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度、個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
2 担当課における⼊札状況の検証
本件⼊札については、⼊札参加者は 5 者ではあるが、4 者は許容価格を上回る⼊札価格であったため、有効⼊札者は1 者のみとなり、落札率は 9.62%と極めて⾼率となっている。
担当課に上記のような⼊札状況となっている原因についてヒアリングしたところ、「落札業者
⼀社以外は積算の精度を⽋き許容価格を超えてしまったため失格になったものであると考えられる。また、本⼯事は低⼊札調査対象案件(同調査価格は許容価格の約 92%)であり、精度の⾼い積算を⾏った上で低⼊札を回避して応札したことが落札率の⾼い原因であることを理由とするものである」と回答があった。
しかし、許容価格を超える⼊札の原因が「積算の精度」であったとしても、他の⼊札者の「積算の精度」が不明の状況下において、あえて低価格での⼊札を回避するという⾏動には合理性がない。他の⼊札者も同様の「積算の精度」に基づく⼊札をするかもしれないとの予測の下でなお落札しようとするならば、可能な限り低価格で⼊札しようとするはずだからである。すなわち、その根本的な原因は競争性が確保されていないことにある。また、積算能⼒が原因であるというならば、各⼊札者の⼊札価格内訳書の分析を実施して初めて確認できることであるが、そのような分析が⾏われた形跡はうかがわれない。まずは担当課において、上記のような⼊札状況となっていることについて、改善の可能性がないかという観点から原因を分析することが必要かつ合理的と考える。
★★指摘278
多数の⼊札参加者が許容価格を上回る⼊札をした場合や、落札率が極めて⾼率であった場合など、⼊札状況について改善の必要性がある場合には、そのような⼊札状況となっている原因について分析し、どのような対応が考えられるかについて、担当課において⼀次的な検討をされたい。
第7節 阿津漁港浚渫工事
第1 契約の概要
件名 | 阿津漁港浚渫⼯事[ 19] |
契約⽬的 | 阿津漁港の泊地内の堆積した⼟砂を浚渫するもの。 |
契約年⽉⽇ | R3.3.25 |
許容価格 | 69,245, 0 円 |
契約⾦額 | 69, 23, 0 円 |
落札率 | 9.97% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札(⼊札者数2 者) |
担当課 | 南区役所農林⽔産振興課 |
契約相⼿⽅ | 株式会社花島建設 |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が 9.97%と極めて⾼率であり、かつ⼊札参加者数が 2 名であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者、準市内業者、市外業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 第1、第2⼜は第3格付業者がしゅんせつであること。
⑺ ①市内業者及び準市内業者の場合
市内全域で、しゅんせつの格付が特A⼜はA等級
②市外業者の場合
最新の経営規模等評価結果通知書・総合評価値通知書におけるしゅんせつ⼯事の総合評価値が 740 点以上であること。
⑻ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき、しゅんせつ⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑼ 平成 17 年 4 ⽉ 1 ⽇以降に、請負代⾦額 30, 0, 0 円以上のしゅんせつ⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること。(ただし、⼯事の施⼯に関する ISO09 0 シリーズ認証
取得者は、同種⼯事施⼯実績のうち請負代⾦額に係る実績についての条件を免除する。)
⑽ しゅんせつ⼯事業に係る資格を有する者を配置すること。
2 ⼊札者数
⑴ 本件競争⼊札における⼊札参加者は2 者であり、落札率も極めて⾼率となっていることからすると、競争性が実質的に確保されているとは評価し難い。
⑵ ⼀般論としては、上記公告⽂の⑺の格付等級要件、もしくは⑼の実績要件が厳格すぎた可能性はある。競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、参加資格要件を緩和すべきである。例えば、格付等級要件について、市内業者⼜は準市内業者についてはB等級まで広げること、市外業者については総合評価値が B 等級に相当する 680 点に広げること、実績要件については条件とされる請負代⾦額の下限を引き下げること等を検討されるべきである。また、後述のとおり、⼊札者が少数となった原因をしっかりと検証し、今後の⼊札参加資格の設定に活⽤すべきである。
⑶ ⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき⾃治令第167 条の5 の2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化されていないが、同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の5 の2 に基づく⼊札参加資格要件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★意見94
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、同種⼯事における⼊札参加資格要件の⾒直しを検討されたい。
★★指摘279
⼊札参加資格要件の検討過程については記録されたい。
3 落札率
本件⼊札における落札率は、 9.97%と極めて⾼率になっている。
本件においては、⾒積参考資料が事前開⽰されており、その中で、設計⾦額の表⽰単位、積算条件、仮設材賃料等積算条件、資材価格等が、詳細に記載されているため、事前に許容価格を推測することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に
⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度、個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
第8節 県道原藤原線(中原橋)塗装補修工事 他6 契約
第1 契約の概要
件名 | 県道原藤原線(中原橋)塗装補修⼯事(2−1)[89] | 岡⼭市総合⽂化体育館空調設備改修⼯事[95] | 岡⼭市新南消防署 新 築 ⼯ 事 [97] | (仮称)岡⼭市 ⽴⼭南学園施設整備⼯事[ 9] | 岡⼭市⽴オリエント美術館⻑寿命化改修に伴う電気設 備⼯事[106] | |||||
契約⽬的 | 法定点検をした結果補修の必要な損傷が⾒つかったため、⻑寿命化を図る⽬的で塗替塗装等の補修⼯事を⾏うもの。 | 吸収冷温⽔機の ⽼朽化による更新⼯事を⾏う。 | 現在南区にある南消防署の⽼朽化及び浸⽔対策による移転整備を⾏うもの。 | 9年間⼀貫性のある教育活動、学校運営ができる施設環境を確保できるとともに地域ぐるみで ⼦供たちの学びを⽀える場としての施設を整備 する。 | 昭和 54 年に建て られ築 40 年となるオリエント美術館について、個別施設計画により⻑寿命化改修するもの。 | |||||
契約⽇ | R2.9.16 | R2.9. 1 | R2.12.25 | R2.12.15 | R2. 1.5 | |||||
許容価格 | 241,208, | 0 円 | 2 8, 72, | 0 円 | 810,271, | 0 円 | 1,657,073, | 0 円 | 149,369, | 0 円 |
契約⾦額 | 204,6 0, | 0 円 | 286, 0, | 0 円 | 727,430, | 0 円 | 1,650, 0, | 0 円 | 148,940, | 0 円 |
落札率 | 84.82% | 9.04% | 89.78% | 9.57% | 9.71% | |||||
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札総合評価⼊札⽅式(特 別簡易型) | ⼀般競争⼊札総合評価⼊札⽅式 (特別簡易型) | ⼀般競争⼊札総合評価⼊札⽅式 (特別簡易型) | ⼀般競争⼊札総合評価⼊札⽅式 (特別簡易型) | ⼀般競争⼊札総合評価⼊札⽅式(特 別簡易型) | |||||
⼊札者数 | 2 | 4 | 4 | 2 | 6 | |||||
低⼊札価格調査 | 有 | 無 | 有 | 無 | 無 | |||||
担当課 | 都市整備局道路予防保全課 | 都市整備局公共建築課 | 都市整備局公共建築課 | 教育委員会学校施設課 | 都市整備局公共建築課 | |||||
契約相⼿ ⽅ | 烏城塗装⼯業株式会社 | 株式会社中央設備・株式会社⼩野⽥⼯務所JV | 広成建設株式会社・協⽴⼟建株式会社JV | 中国建設⼯業株式会社・株式会社笹⼭⼯業・親和建設株式会社 JV | 旭電業株式会社 |
件名 | 半⽥町地内ほか汚 ⽔管埋設⼯事(その1)[ 18] | 岡⼭駅前広場整備に伴う排煙搭他 移 設 ⼯ 事 [121] |
契約⽬的 | 上記地内の⽣活環 境の向上を図るもの。 | 岡⼭駅東⼝への 路⾯電⾞乗⼊に伴い、駅前広場 |
を改修する。 | ||
契約⽇ | R3.3.1 | R3.4.21 |
許容価格 | 101, 62, 0 円 | 131,626, 0 円 |
契約⾦額 | 85, 50,9 4 円 | 120,505, 0 円 |
落札率 | 84.15% | 91. 5% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札総合 評価⼊札⽅式(特別簡易型) | ⼀般競争⼊札総合評価⼊札⽅式 (特別簡易型) |
⼊札者数 | 20 | 4 |
低⼊札価格調査 | 有 | 無 |
担当課 | 下⽔道河川局下⽔道管路整備課 | 都市整備局公共建築課 |
契約相⼿⽅ | 新⽇本エンタープライズ株式会社 | 株式会社津島⼯業 |
第2 監査対象として選定した理由
建設⼯事契約において実施されている総合評価⼀般競争⼊札、及び併せて適⽤される低⼊札価格調査制度の運⽤の検証のため、監査の対象としたもの。
第3 監査項目
1 ⼊札状況及び⼊札参加資格
本項で取り上げる契約は、⼊札者数が少数である、許容価格を超える⼊札者が多数存在する、落札率が⾼率であるといった点から抽出したものである。その中で、⼊札状況及び⼊札参加資格に関し、各契約に共通する問題について論じた後、各契約固有の問題を論じる。
⑴ 全ての契約に共通する問題 ア ⼊札検討過程の記録化
本件各契約においては、⼊札参加資格要件の設定に関し、いかなる具体的理由に基づき
⾃治令第167 条の5 の2 所定の要件に該当するものと判断したかという点についての検討過程については記録化されていない。同条に基づく⼊札参加資格要件の設定は、あくまでも例外であることからすると、契約事務の公正性、透明性を担保するため、⾃治令第167 条の 5 の2 に基づく⼊札参加資格要件を設定する場合には、必ず記録に残すべきである。
★★指摘280
⼊札参加資格要件の検討過程については記録されたい。
イ ⼊札状況の検証
件名 | ⼊札状況の概要 | 担当課における検証状況 |
県道原藤原線(中原橋)塗装 | 2 者⼊札 | 検証していない。 |
本件各契約の⼊札においては、⼊札参加数が少数であったり、落札率が⾼率である状況が認められた。そして、その点について担当課がどのように原因を検証しているかについてヒアリングしたところ、その回答は以下のとおりであった。
補修⼯事(2−1)[89] | ||
岡⼭市総合⽂化体育館空調設備改修⼯事[95] | 4 者⼊札、内 3 者許容価格を超える価格で⼊札 | 落札業者 1 社以外は積算精度が⾼くなかったため応札価格が許容価格を超えてしまい失格になったと思われる。また、本⼯事は⼯事品質確保のため低⼊札調査対象案件 (同調査価格は許容価格の 92%)となっており、応札者が精度の⾼い積算を⾏った上で低⼊札を回避して応札したこと(適正価格での応札)が落札率の⾼い原因(⼊札 制度による要因)である。 |
(仮称)岡⼭市⽴⼭南学園施設整備⼯事[ 9] | 2 者⼊札、内1者許容価格を超える価格で⼊札、落札率 9.57% | 設計⾦額と実勢価格が近似したことを理由とするものである。 |
岡⼭市⽴オリエント美術館⻑寿命化改修に伴う電気設備⼯ 事[106] | 6者⼊札、内 4 者許容価格を超える価格で⼊札、1 者無効。落 札率 9.71% | 落札業者⼀社以外は積算の精度を ⽋き許容価格を超えてしまったため失格になったと思われる。 |
岡⼭市総合⽂化体育館空調設備改修⼯事[95]及び岡⼭市⽴オリエント美術館⻑寿命化改 修に伴う電気設備⼯事[106]において、「積算精度」の問題である等の回答があったが、こ の点については、本章第 6 節第 3−2 において述べたことと同様の指摘が当てはまる。すな わち、積算能⼒が原因であるというならば、各⼊札者の⼊札価格内訳書の分析を⾏われて 初めて分かることであるが、⼊札実施時点においてそれが⾏われた形跡はうかがわれない。また、岡⼭市総合⽂化体育館空調設備改修⼯事[95]に関し、「低⼊札を回避して応札した こと(適正価格での応札)」が要因であるとの回答についても上記箇所で述べたことと同様 であり、他の⼊札者の「積算の精度」が不明の状況下において、あえて低価格での⼊札を 回避するという⾏動には合理性がなく、その根本的な原因は競争性が確保されていないこ とにある。
以上の点に関し、担当課である公共建築課の説明によれば、「本市では公共建築⼯事における積算は基本的に、国⼟交通省⼤⾂官房官庁営繕部監修の『公共建築⼯事積算基準』を
⽤いて⾏っています。その内容は、複合単価(材⼯共の施⼯単価)から共通費(共通仮設費等の各種経費)に⾄るまで事細かく定められており、この基準と併せて建設物価調査会等が発⾏している物価本による材料費や国(県)から公表された労務単価を⽤いれば、設計数量等も公表していることから、誰でも本市設計とかなり近い積算が可能になります。以上のことから考えると、本市許容価格をオーバーし、失格になった業者は積算能⼒において、落札業者よりは低かったと考えられます。また、⼊札価格内訳書(許容価格分・業者応札分)を⽐較分析してみると、直接⼯事費及び経費の誤差は 3.9%程度であり、落札した業者(JV)の積算能⼒は⽐較的⾼いと評価できます。さらに本市の⼊札制度として低⼊札による不落(予定価格の 92%程度)がある以上、他の⼊札者の『積算精度』に関わらず不落を回避する⾏動には⼗分合理性があります。」とのことであったが、本章第6 節第3−2 においても述べたとおり、許容価格を超える⼊札の原因が、仮に「積算の精度」によるものであったとしても、競争性が確保されている限り、⼊札者は可能な限り低価格で⼊札しようとするはずであるから、極めて⾼率の落札率となっていることに鑑み、本件各契約における競争性に問題が無いとは直ちに断定できない(したがって、より踏み込んだ分析と検
討が必要と考える)。また、本契約において実施されているのは「低⼊札価格調査」であり、
「最低制限価格制度」による⼀律の不落は⽣じないのであるし、実際に「低⼊札価格調査」において最低価格⼊札者を落札者として認めない例は極めて稀であると思われるから、「不 落を回避する⾏動には⼗分合理性があります。」との説明は説得的でない。
また、(仮称)岡⼭市⽴⼭南学園施設整備⼯事[ 9]に関し、「設計⾦額と実勢価格が近似したことを理由とする」との回答があったが、「実勢価格」というのは、需給も踏まえた競争の結果としての市場価格のことであるから、そもそも競争性が⾼まらなければ実勢価格は分からないし、⼊札参加数から考えれば、競争性が阻害されており、⼊札額が実勢価格と近似しているという⾒解には疑問が残る。
以上のとおり、総じて⼊札状況に関する実質的な検証が⾏われているとはいい難い。
不健全な⼊札状況を少しずつでも改善していくためには、⼊札状況についての情報を契 約課に集約し、担当課と契約課が連携しながら改善策を講じる仕組みの導⼊が必要と考え る。例えば、⼀定の定量的な基準(例えば、⼀者⼊札の場合、落札率が極めて⾼率となっ た⼊札の場合、⼤多数の⼊札者が失格となった場合など)に基づいてスクリーニングされ た⼊札結果については、機械的に契約課と共有することとし、多くの担当課から寄せられ た⼊札に関する情報を参考にしながら、契約課において対策を検討するという⽅法も考え られるので、検討されたい(第2 部第5 章第1 節第8)[指摘37]。そして、その前提として、まずは担当課において上記のような⼊札状況となっていることについて原因を分析するこ とが合理的であり、どのような対応により状況の改善が可能かについても⼀次的な検討を すべきである。このような作業は、現場で契約事務に携わっている担当課でなければ困難 であり、また、契約課が⼀からこのような作業をすることは⾮効率であると考える。
★★指摘281
⼊札者が少数であったり、落札率が⾼率であった原因について分析し、どのような対応が考えられるかについて、担当課において⼀次的な検討をされたい。
⑵ 県道原藤原線(中原橋)塗装補修⼯事(2−1)[89] ア ⼊札状況
本契約の⼊札参加者は 2 者のみであったが、落札率は 84.82%と⽐較的良好な⽔準となっている。もっとも、競争性の確保による効果は落札率の低下に⽌まるものではなく、履⾏の質という⾯からも⼗分な競争性の確保が重要であることから、⼊札参加者をさらに増加させるための⽅策の検討は必要と考える。
イ ⼊札参加資格
公告⽂によると、⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者、市外業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤
システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 第1格付業種が塗装であること。
⑺ ①市内業者及び準市内業者の場合
市内全域で塗装の格付が特A 等級
②市外業者の場合
最新の経営規模等評価結果通知書・総合評定通知書における塗装⼯事の場合評定値が860 点以上であること
⑻ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき塗装⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑼ 平成17 年4 ⽉1 ⽇以降に、請負代⾦額120, 0, 0 円以上の塗装⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること
⑽ 塗装⼯事業に係る監理技術者証の交付を受けており、かつ講習を修了している者を専任で配置す
ること。
ウ 格付等級要件
上記公告⽂⑺の格付等級要件が厳格すぎ、⼊札参加者の⾒込を誤った可能性がある。競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、参加資格要件を緩和すべきである。例えば、市内業者及び市外業者の格付等級要件を、「A等級」まで広げることや市外業者の格付等級要件をA等級に相当する740 点以上に広げること等を検討されるべきである。
★意見95
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、格付等級要件を緩和するなどの⼊札参加資格要件の⾒直しを検討されたい。
エ 実績要件
上記公告⽂⑼の実績要件、特に「請負代⾦額 120, 0, 0 円以上の契約」という要件については、実績として求める契約規模が⼤きすぎたため、⼊札参加者の⾒込を誤った可能性がある。競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、実績要件にある請負代⾦額の下限を変更するなどの⼊札参加資格要件を緩和すべきである。
なお、上記実績要件は本件契約の規模に応じて定められたものといえるが、本件⼊札に おいて競争性が⼗分に確保されなかった状況を踏まえ、そもそも本件契約の業務の性質上、
⼀括して発注する必要性があるといえるかどうかについても検討が必要と考える。仮に分割発注が可能であれば、多数の中⼩事業者に対して受注の機会を拡⼤することにもつながるものであり、地元業者の保護の観点からも望ましいといえる。この点と関連し、令和3 年 9 ⽉ 24 ⽇閣議決定「令和3年度中⼩企業者に関する国等の契約の基本⽅針について」にお
いては、「分離・分割発注の推進」として、「物件等の発注に当たっては、価格⾯、数量⾯、
⼯程⾯等からみて分離・分割して発注することが経済合理性・公正性等に反しないかどうかを⼗分検討した上で、可能な限り分離・分割して発注を⾏うよう努めるものとする。」とされている。
★意見96
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、実績要件を緩和するなどの⼊札参加資格要件の⾒直しを検討されたい。
★意見97
業務の性質上、⼀括して発注する必要性があるかどうか検討されたい。本件⼊札において競争性が⼗分に確保されなかったことを踏まえ、「価格⾯、数量⾯、⼯程⾯等からみて分離・分割して発注することが経済合理性・公正性等に反しないかどうかを⼗分検討した上で、可能な限り分離・分割して発注を⾏う」よう努められたい。
⑶ 岡⼭市総合⽂化体育館空調設備改修⼯事[95] ア ⼊札状況
本契約の⼊札において、⼊札参加者は 4 者ではあるが、3 者は許容価格を上回る⼊札価格であったため、実質的な⼊札者は 1 者のみであり、また、落札率は 9.04%と極めて⾼率となっている。
したがって、競争性が確保されているものとは評価し難い。 イ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 共同企業体の構成員⼈数 2社
⑺ 市内業者⼜は直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 10 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 10 ⼈以上の準市内業者であること。
⑻ 共同企業体の代表者は、第 1 構成員とし、構成員のうち最上位の等級の者(以下、「最上位等級者」という。)とすること。最上位等級者が複数の場合は、最上位等級者のうち岡⼭市競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について第3 条第1 項に規定する総合数値により決定された順位が最上位の者とすること。等級及び総合数値は、今回は発注する⼯事の格付業種についてのものであること。
なお、岡⼭⼯事成績評定活⽤基準に定める優遇措置、経過措置⼜は代替優遇措置により⼊札に参加する者についても、開札⽇時点の本市有資格者名簿に登載された格付等級及び総合数値により代表者を決定すること。
⑼ 各構成員の出資⽐率は30%以上で、代表者の出資⽐率は構成員中最⼤であること。
⑽ 第1 構成員及び第2 構成員、第1 格付業種が管
⑾ 第1構成員は市内全域で管の格付が特A等級
第2 構成員は市内全域で管の格付が特A ⼜はA 等級
⑿ 各構成員は建設業法第3 条第1 項の規定に基づき管⼯事業について、特定建設業の許可 を受けていること。
⒀ 第1 構成員のみ
平成 17 年 4 ⽉ 1 ⽇以降に、1 棟で下記アからウを全て満たす管⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること。
ア 新設、増設⼜は改設⼯事
イ 1 棟当たりの延べ⾯積6,8 0 ㎡以上 ウ 請負代⾦額が140, 0, 0 円以上
⒁ 第1 構成員及び第2 構成員
管⼯事業に係る監理技術者資格者証の交付を受けており、かつ講習を修了している者を専任で配置すること。
⒂ ①この⼊札において、構成員は同時に2 つ以上の共同企業体の構成員となることはできない。
②共同企業体の存続期間は、当該共同企業体に係る特定建設⼯事共同企業体協定締結の⽇からこの⼊札に係る⼯事の請負契約の履⾏後、3 カ⽉を経過した⽇までとする。
ただし、落札者以外の者にあっては、当該⼯事の請負契約が締結された⽇までとする。
③共同企業体の構成員が指名停⽌または指名留保となり⼊札参加資格を喪失した場合は、⼊札受付期限の 3 ⽇前まで(休⽇を除く。)に限り、資格要件を満たす構成員を補充したうえで、新
たに共同企業体を結成し、⼊札に参加できるものとする。
ウ 事業所所在地資格
上記⼊札参加資格要件⑶において、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、落札率が極めて⾼率であったことを踏まえると、競争性を確保できているとは評価し難いから、客観的には岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも参加資格要件の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
なお、上記⼊札参加資格要件⑺においては、「準市内業者」についてのみ「直近の本市市
⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 10 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税
を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 10 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が要求されている。
上記⼊札参加資格要件⑺の根拠としている岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格の設定に関する要綱第 4 条第 1 項第 2 号別表 2「5 管⼯事、⽔道⼯事」においては、許容価格 1 億円以上2 億円未満の⼯事に関し、市内業者には「従業員の数」等に関する要件を課さず、準市内業者のみに⼀律で「従業員 10 ⼈」という要件を課しているが、このような区別を設けることが⾃治令第 167 条の 5 の 2 において許容されるのか、同要綱第 4 条第 2 項に規定する
「従業員数 50 ⼈以上の準市内業者」における場合と同様、疑問である。この点については、第 2 部第 5 章第 2 節第 2−2 を参照されたい[意見 16]。同要綱の問題は、契約課において 対応すべき問題であるが、前述のとおり、少なくとも⼊札参加資格要件⑶については「市 外業者」まで要件を緩和すべきである。
公共建築課からの説明によれば、「公共⼯事の本質の1つとして、市内業者の保護と健全な育成が⽬的としてあるため、市内業者を優先しています。不落等の事象が連続すれば準市内、市外へと拡⼤します。」とのことであった。公共⼯事の発注における政策⽬的において「市内業者の保護と健全な育成」が考慮されるべき要素の⼀つであることを否定するものではないが、第2 部第2 章第2 節第2−2−⑵において述べたとおり、「いわゆる『地域要件』の設定については、公共調達の基本原則である競争性の確保の観点から、地域産業の育成の必要性に配慮しつつも、⼗分な応札可能者を確保することが前提とされている」の
であり、競争性の確保が優先される。したがって、「不落等の事象が連続」しない限り地域要件の緩和をする必要がないかのような理解は誤りであり、そのような取扱いは岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の解釈・適⽤を誤っているものといわざるを得ない。
★★指摘282
事業所所在地資格については「市外業者」まで緩和されたい。
エ 格付等級要件
上記公告⽂の⑾の格付等級要件が厳格すぎ、⼊札参加者の⾒込を誤った可能性がある。 競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、参加資格要 件を緩和すべきである。例えば、第1構成員は市内全域で管の格付を「A等級」まで広げ たり、第2 構成員は市内全域で管の格付を「B等級」まで広げること等を検討すべきである。
★意見98
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、格付等級要件を緩和するなどの参加資格要件の⾒直しを検討されたい。
オ 実績要件
上記公告⽂⒀の実績要件すなわち施⼯実績の「1 棟当たりの延べ⾯積 6,8 0 ㎡以上」の要件や「請負代⾦額が 140, 0, 0 円以上」の要件につき、実績として求められる契約規模が
⼤きすぎたのではないかあらためて検証すべきである。競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、実績要件にある1 棟当たりの延べ⾯積や請負代
⾦額の下限を変更するなど参加資格要件を緩和することを検討すべきである。
担当課の説明によれば、「公共⼯事は多くの発注機関で請負⾦額 5 0 万円以上の⼯事について JACIC が管理する⼯事実績情報システム(コリンズ)に⼯事データを登録することが義務化され発注時の実績要件や技術者の配置状況等の把握に活⽤されています。実績要件は本⼯事の施⼯が可能か否かを考慮する上で、⼤変重要なもので上記データベース等を元に設定しています。根拠のない緩和は、⼯事の品質保持に⽀障を来します。また、請負代
⾦の条件については近年、⼤規模空調設備の⼯事実績が少ないことを鑑み許容価格のおおむね半分程度に緩和した⾦額となっております。」とのことであり、その趣旨は⼗分に理解できるところではあるが、なお⼀層の緩和が可能かどうかについて、⼯事の品質保持とのバランスを⼗分に踏まえた上で継続的に検討すべきである。
★意見 9
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、実績要件を緩和するなどの参加資格要件の⾒直しを検討されたい。
カ 落札率
本件は、落札率が、 9.04%と極めて⾼率となっている。
本件においては、⾒積参考資料(⼯事数量総括表)が事前開⽰されており、その中で、
⼯事費の細⽬別の詳細な内訳、必要な材料や什器等の詳細な内訳等が、詳細に記載されている。さらに、第2 部第4 章第2 節第2 で述べたとおり、公式ホームページ及び岡⼭市役所
情報公開室でかなり詳細な積算基準・積算単価を公表しているため、両者を合わせると、
⼀定以上の積算能⼒を有する業者であれば、ある程度事前に許容価格を推測することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度、個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
⑷ (仮称)岡⼭市⽴⼭南学園施設整備⼯事[ 9] ア ⼊札状況
本契約の⼊札において、⼊札参加者は 2 者ではあるが、1 者は許容価格を上回る⼊札価格であったため、実質的な⼊札者は1 者のみである。
落札率も 9.57%となっており、必ずしも低いとはいえないことから、競争性が⼗分に確保されているとまでは評価できない。
イ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は以下のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 共同企業体の構成員数 3 社
⑺ 共同企業体の代表者は、第 1 構成員とし、構成員のうち最上位の等級の者(以下、「最上位等級者」という。)とすること。最上位等級者が複数の場合は、最上位等級者のうち岡⼭市競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について第3 条第1 項に規定する総合数値により決定された順位が最上位の者とすること。等級及び総合数値は、今回は発注する⼯事の格付業種についてのものであること。
なお、岡⼭⼯事成績評定活⽤基準に定める優遇措置、経過措置⼜は代替優遇措置により⼊札に参加する者についても、開札⽇時点の本市有資格者名簿に登載された格付等級及び総合数値により代表者を決定すること。
⑻ 各構成員の出資⽐率は20%以上で、代表者の出資⽐率は構成員中最⼤であること。
⑼ 第1 構成員及び第2 構成員及び第3 構成員 第1、第2 ⼜は第3格付業種が建築
⑽ ①第1構成員
ア 市内全域で建築の格付が特A上等級
②第2 構成員及び第3 構成員
ア 市内全域で建築の格付が特A 上⼜は特A 下等級
ただし、特A下等級については、建築⼯事の施⼯に関する ISO9 0 シリーズ認証取得者に限る。
⑾ 各構成員は建設業法第3 条第1 項の規定に基づき建設⼯事業について、特定建設業の許可を受けていること。
⑿ 第1 構成員のみ
平成 17 年 4 ⽉ 1 ⽇以降に、1 棟で下記アからウを全て満たす建築⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること。
ア 新設、増設⼜は改設⼯事
イ 鉄⾻造(軽量鉄⾻造を除く。)、鉄⾻コンクリート造⼜は鉄⾻鉄筋コンクリート造
ウ 1 棟当たりの延べ⾯積が2,9 0 ㎡以上
ただし、増築⼯事の場合は、既存部分の⾯積は含まないものとする。
⒀ 第1 構成員及び第2 構成員
建築⼯事業に係る監理技術者資格者証の交付を受けており、かつ講習を修了している者を専任で配置すること。
⒁ ①この⼊札において、構成員は同時に2 つ以上の共同企業体の構成員となることはできない。
②共同企業体の存続期間は、当該共同企業体に係る特定建設⼯事共同企業体協定締結の⽇からこの⼊札に係る⼯事の請負契約の履⾏後、3 カ⽉を経過した⽇までとする。
ただし、落札者以外の者にあっては、当該⼯事の請負契約が締結された⽇までとする。
③共同企業体の構成員が指名停⽌または指名留保となり⼊札参加資格を喪失した場合は、⼊札受付期限の 3 ⽇前まで(休⽇を除く。)に限り、資格要件を満たす構成員を補充したうえで、新たに共同企業体を結成し、⼊札に参加できるものとする。
④各構成員は、⼀級建築⼠の免許取得者を有すること。
ウ 事業所所在地資格
まず、上記⼊札参加資格要件⑶において、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、上記のとおり、実質的⼊札者が1 者であることに加え、落札率が極めて⾼率となっていることを踏まえると、競争性が確保されているものとは評価し難いから、客観的には岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも参加資格要件の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。
★★指摘283
事業所所在地資格については「市外業者」まで緩和されたい。
エ 格付等級要件
上記公告⽂⑽の格付等級要件が厳格すぎ、⼊札参加者の⾒込を誤った可能性がある。競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、参加資格要件を緩和すべきである。例えば、第1構成員は市内全域で建築の格付を「特A下等級」まで広げたり、第2 構成員は市内全域で建築の格付を「A 等級」まで広げること等を検討すべきである。
★意見1 0
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、格付等級要件を緩和するなどの⼊札参加資格の⾒直しを検討されたい。
オ 実績要件
上記公告⽂⑿の実績要件、その中でも施⼯実績の 1 棟当たりの㎡数 2,9 0 ㎡以上の設定が契約の規模が⼤きすぎ、過度に競争性が失われた可能性がある。
競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、実績要件にある1 棟当たりの延べ⾯積や請負代⾦額の下限を変更するなど参加資格要件を緩和することを検討すべきである。
★意見101
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、実績要件を緩和するなどの⼊札参加資格の⾒直しを検討されたい。
カ 落札率
本件⼊札の落札率は、 9.57%と極めて⾼率である。
本件においては、⾒積参考資料(⼯事数量総括表)が事前開⽰されており、その中で、
⼯事費の細⽬別の詳細な内訳、必要な材料や什器等の詳細な内訳等が、詳細に記載されている。さらに、岡⼭市では公式ホームページ及び岡⼭市情報公開室でかなり詳細な積算基準・積算単価を公表しているため、両者を合わせると、⼀定以上の積算能⼒を有する業者であれば、ある程度事前に許容価格を推察することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度、個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
⑸ 岡⼭市⽴オリエント美術館⻑寿命化改修に伴う電気設備⼯事[106] ア ⼊札状況
本件競争⼊札においては、⼊札参加者は実質的に 1 者のみ(参加者6 者、4 者許容価格を超える価格で⼊札、1 者無効150)となっている上、落札率が極めて⾼率( 9.71%)となっていることから、競争性が確保されているものとは評価できない。
イ ⼊札参加資格
公告⽂によると、⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ ⾃治令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市⼀般競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に
基づく岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という。)に登載されていること。
150 技術評価点のために必要な⾃⼰採点表が提出されなかったため、1者の⼊札が無効となった。
⑶ 岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱に定める市内業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保期間中でないこと。
⑸ ⼊札受付締切⽇時までに岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤推進協議会が設置する岡⼭県電⼦⼊札共同利⽤システムで使⽤することができる岡⼭県電⼦⼊札認証局が発⾏する岡⼭県電⼦⼊札⽤電⼦証明書を取得し、電⼦⼊札システムの岡⼭市への利⽤者登録を完了していること。
⑹ 市内業者、⼜は直近の本市法⼈市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 10 ⼈以上であり、かつ、岡⼭市の市⺠税が課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 10 ⼈以上の準市内業者であること。
⑺ 第1格付業種が電気であること。
⑻ 市内全域で電気の格付が特A ⼜はA等級
⑼ 建設業法第3 条第1 項の規定に基づき電気⼯事業について、建設業の許可を受けていること。
⑽ 下記①⼜は②を満たすこと
①平成 17 年 4 ⽉ 1 ⽇以降に、1 棟で下記アからエを全て満たす電気⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること。
ア 建築改修⼯事に伴う⼯事
イ 鉄⾻造(軽量鉄⾻造を除く。)、鉄⾻コンクリート造⼜は鉄⾻鉄筋コンクリート造
ウ 1 棟当たりの延べ⾯積が3,3 0 ㎡以上
エ 請負⾦額が10, 0, 0 円以上
②平成 17 年 4 ⽉ 1 ⽇以降に、1 棟で下記アからウを全て満たす建築⼯事を元請で契約し、完成・引渡しが完了した実績を有すること。
ア 建築⼯事(新設、増設⼜は改設⼯事)に伴う⼯事
イ 鉄⾻造(軽量鉄⾻造を除く。)、鉄⾻コンクリート造⼜は鉄⾻鉄筋コンクリート造
ウ 1 棟当たりの延べ⾯積が2,2 0 ㎡以上
ただし、増築⼯事の場合は、既存部分の⾯積は含まないものとする。
⑾ 配置予定技術者
電気⼯事業に係る監理技術者資格者証の交付を受けており、かつ講習を修了している者を専任で配置すること。
ウ 事業所所在地資格
上記⼊札参加資格要件⑶において、「市内業者⼜は準市内業者」に限定されているが、競争性を⽋いていることは明らかであるから、客観的には岡⼭市建設⼯事競争⼊札参加資格要件の設定に関する要綱第4 条第2 項の規定する「⼗分な競争性が確保できない」場合に該当するものといえる。
したがって、そもそも参加資格要件の設定に際して「市外業者」にも資格を付与すべきであったといえる。なお、上記⼊札参加資格⑹においては、「準市内業者」についてのみ
「直近の本市市⺠税の確定申告書における岡⼭市分の従業員数が 10 ⼈以上であり、かつ、
岡⼭市の市⺠税を課税され、特別徴収を⾏っている従業員数が 10 ⼈以上の準市内業者であること」との要件が要求されているが、第2 部第5 章第2 節第2 でも述べたように、このような区別を設けることが⾃治令第167 条の5 の2 において許容されるのか疑問である[意見 16]。同要綱の問題は、契約課において対応すべき問題であるが、少なくとも⼊札参加資格要件⑶については「市外業者」まで要件を緩和すべきである。
★★指摘284
事業所所在地資格を「市外業者」まで要件を緩和されたい。
エ 格付等級要件
上記公告⽂の⑻の格付等級要件が厳格すぎ、⼊札参加者の⾒込を誤った可能性がある。競争性が確保されるよう、適正な品質の確保の要請とバランスを取りながら、参加資格要件を緩和すべきである。例えば、市内業者及び市外業者の格付等級要件を、「B 等級」まで広げることを検討すべきである。
★意見102
競争性の確保と適正な品質の確保の要請のバランスを取りながら、格付等級要件を緩和するなどの⼊札参加資格の⾒直しを検討されたい。
オ 落札率
本件⼊札の落札率は、 9.71%と極めて⾼率である。
本件においては、⾒積参考資料(数量総括表)が事前開⽰されており、その中で、⼯事 費の細⽬別の詳細な内訳、必要な材料や什器等の詳細な内訳等が、詳細に記載されている。さらに、岡⼭市では公式ホームページ及び岡⼭市情報公開室でかなり詳細な積算基準・積 算単価を公表しているため、両者を合わせると、⼀定以上の積算能⼒を有する業者であれ ば、ある程度事前に許容価格を推察することが可能になっているものと思われる。
詳細な⾒積参考資料の事前開⽰は、⼊札者に的確な⾒積を⾏わせることを可能とし、⼤企業に⽐して積算能⼒が相対的に低い中⼩事業者にも⼊札の機会を保証することができるという意味において合理性は認められるものの、落札率の⾼⽌まり防⽌、談合を始めとする不正の排除の観点から、許容価格を事後開⽰している趣旨を没却するものである。
したがって、誰でも容易に許容価格を推測できるような詳細な⾒積参考資料の事前開⽰については、メリット・デメリットを踏まえた上で、再度、個別にその必要性・合理性を検証すべきである(第2 部第4 章第2 節第2)[意見4]。
2 総合評価⽅式の運⽤上の問題点
⑴ 総合評価⽅式の運⽤状況の概要は下記のとおりである。
件名 | 総合評価⽅式の運⽤状況 |
県道原藤原線(中原橋)塗装補修⼯事(2−1)[89] | ・技術評価基準表によると、①企業の施⼯実績、②配置予定技術者の能⼒、③企業の体制等に配点がふられている。 ・技術評価点は次順位⼊札者の⽅が⾼いが、価格評価点の⼤⼩によって結果が決している。 ・岡⼭市建設⼯事総合評価⼀般競争⼊札技術評価委員会(以下「技術評価委員会」という)の議事録がない。 ・学識経験者の意⾒も「特になし」という意⾒。 |
岡⼭市総合⽂化体育館空調設備改修⼯事[95] | ⼊札者が1者のみであり(残りは失格)、1者のみで総合評価が⾏われている。 |
岡⼭市新南消防署新築⼯事 [97] | ・技術評価基準表によると、①企業の施⼯実績、②配置予定技術者の能⼒、③企業の体制等に配点がふられている。 ・技術評価点は次順位⼊札者の⽅が⾼いが(落札者は技術評価点最 低)、価格評価点の⼤⼩によって結果が決している。 |
・技術評価委員会の議事録がない。 ・各学識経験者の意⾒も「特になし」という意⾒。 | |
(仮称)岡⼭市⽴⼭南学園施設整備⼯事[ 9] | ⼊札者は1者のみであり(残りは失格)、1者のみで総合評価が⾏われている。 |
岡⼭市⽴オリエント美術館⻑ 寿命化改修に伴う電気設備⼯事[106] | ⼊札者は1者のみであり(残りは失格)、1者のみで総合評価が⾏われている。 |
半⽥町地内ほか汚⽔管埋設⼯事(その1)[ 18] | ・技術評価基準表によると、①企業の施⼯実績、②配置予定技術者の能⼒、③企業の体制等に配点がふられている。 ・落札者は、技術評価点が他の⼊札者(失格者をのぞく)より⾼いが、⾦額も他の⼊札者より(失格者をのぞく)も⾼い。 ・技術評価委員会の議事録がない。 ・各学識経験者の意⾒も「特になし」という意⾒。 |
岡⼭駅前広場整備に伴う排煙搭他移設⼯事[121] | ・技術評価基準表によると、①企業の施⼯実績、②配置予定技術者の能⼒、③企業の体制等に配点がふられている。 ・技術評価点は次順位⼊札者の⽅が⾼いが、価格評価点の⼤⼩によって結果が決している。 ・技術評価委員会の議事録がない。 ・各学識経験者の意⾒も「特になし」という意⾒。 |
⑵ 現在の⼊札状況と総合評価⽅式の関係
上記のとおり、総合評価⽅式が採⽤された⼊札で、⼀者⼊札のケースが散⾒された。この 場合、どのような技術評価点であっても、落札者は変わらないのであるから、総合評価⽅式に よる⼀般競争⼊札を実施した意味がない。それどころか、受注者においても発注者においても、無駄な事務コストが発⽣する。
総合評価⽅式が実施されるのは、最低でも許容価格1 億円以上の規模の⼤きい契約であり、かつ、実施には多⼤な事務コストの負担を⽣じるのであるから、競争性の確保については、通常の⼀般競争⼊札に⽐しても特段の配慮が求められるのであり、決して⼀者⼊札といった結果とならないよう、⼊札参加資格の緩和など⼊念に改善策を検討すべきである。また、実際に⼀者⼊札となっている件については、⼊札参加資格が厳格すぎないか、最低制限価格の設定に問題はなかったかなど事後検証によりその原因を究明し、⼆度とそのような総合評価⼀般競争⼊札が繰り返されないよう対応を検討すべきである。
★★指摘285
総合評価⽅式の実施に際しては、競争性の確保について特段の配慮を⾏い、⼀者⼊札とならないよう⼊念に改善策を検討されたい。
⑶ 技術評価委員会の議事録の作成
岡⼭市建設⼯事総合評価⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第6 条第2 項によると、落札者決定基準は原則として技術評価委員会において定めるものとされる。また同要綱第 13 条第 2 項によると、落札者の決定は原則として技術評価委員会の審査を受けるものとされる。
監査対象となった個別契約については、技術評価委員会における審議につき議事録が⼀切作成されていなかった。技術評価委員会が適正に実施されたか否かを後で検証できるようにす
るためには、審議事項がわかるように議事録を作成しておくべきである。なお、担当課においても、議事録が作成されていないなどの状況を発⾒した場合には、契約課に連絡するなど、⼿続が適正に⾏われるよう常に改善の意識を⼼掛けるべきである。
★★指摘286
技術評価委員会の審議事項がわかるよう議事録を作成されたい。
⑷ 学識経験者による意⾒聴取の⼿続の形骸化
岡⼭市建設⼯事総合評価⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第4 条によると、総合評価⼀般競争⼊札を⾏うとする場合において、落札者決定基準を定めるときは、あらかじめ2 ⼈以上の学識経験者を有する者の意⾒を聴かなければならないとされる。
しかし、監査対象の対象とした個別契約において実施されていた意⾒聴取において委嘱を受けた学識経験者は、いずれも岡⼭県の職員であった。また、監査対象とした全ての個別契約において、学識経験者の意⾒は「特になし」と記されているのみであり、制度が形骸化しているのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。
落札者決定基準の決定に際して、学識経験者からの意⾒聴取することとされている趣旨は、利害関係のない中⽴の専⾨家の意⾒を聴取することにより、発注者が意識しづらいポイントを 総合評価⽅式による審査に反映させることにある。落札者決定基準や審査に専⾨的知⾒を適正 に反映させるためには、基準の賛否等につき学識経験者から具体的な意⾒を引き出すよう努⼒ することが必要である。具体的な⽅策として、例えば、学識経験者2 名のうち1 名は⺠間の学 識経験者とする⽅法、予定される業務の性質に応じて、学識経験者への委嘱に際し具体的な質 問項⽬を設ける⽅法も考えられる。担当課においても、学識経験者に対して積極的かつ具体的 に意⾒を求める等の働きかけを⾏い、有益な意⾒を引き出す努⼒をすべきである。
★意見103
学識経験者 2 名のうち1名は⺠間の学識経験者とする⽅法、予定される業務の性質に応じて、学識経験者への委嘱に際し具体的な質問項⽬を設ける⽅法など、学識経験者から具体的な意⾒を引き出すための⽅策を検討されたい。
⑸ 価格評価点と技術評価点のバランス
総合評価⽅式で採⽤されている技術評価基準は、前述のとおり、総じて客観的なものであり、内容についても⼀定の合理性が認められる。
ところが、監査対象とした個別契約における⼊札結果を⾒ると、技術評価点の優劣が結果に影響せず、結局、⼊札価格で結果が決しているケースが⼤半となっている。価格評価点と技術評価点のバランスについては、⼊札状況のみならず、落札者の履⾏状況についても継続的に検証し、配点を変更するなどして、当該契約の⽬的や市の政策課題などにも配慮した上で、最適なバランスを探求し続けるべきである。担当課においても、⼊札の結果や検証の状況について契約課と情報共有するよう努め、制度の改善に向けて協働すべきである。
★意見104
価格評価点と技術評価点のバランスについては、継続的に検証し、配点を変更するなどして、当該契約の⽬的や市の政策課題などにも配慮した上で、最適なバランスを探求されたい。
3 低⼊札価格調査制度の運⽤状況
本件各契約における、低⼊札価格調査制度の運⽤状況は、下記のとおりである。
⑴ 県道原藤原線(中原橋)塗装補修⼯事(2−1)[89]
調査担当者の調査票には、各項⽬に詳細に記載があるもの、⼀切記載がなく⼀⾔「特になし」と記載があるものなど区々となっており、具体的な記載がないものも散⾒された。
担当課に対するヒアリングによると「低⼊札価格調査制度の担当課は契約課であり、当課は担当課でない」という理由で、直接業者からの聴き取り調査を省略し、書⾯審査のみで調査を済ませた理由を把握していないとのことであった。調査の精度にも疑問がある。
労務費単価は、交通誘導員の計上単価の確認のみですませており、それ以外の労務費は⼊札価格詳細内訳書(⼯事内訳書)の全体の数字をチェックするだけで、個別の賃⾦は確認していない。
⑵ 岡⼭市新南消防署新築⼯事[97]
調査担当者の調査票には、各項⽬に詳細な記載があるもの、⼀切記載がなく⼀⾔「特になし」と記載があるものなどばらつきがあり、具体的な記載がないものが散⾒された。
労務費単価は、交通誘導員の計上単価の確認のみですませており、それ以外の労務費は⼊札価格詳細内訳書(⼯事内訳書)の全体の数字をチェックするだけで、個別の賃⾦については確認されていない。
⑶ 半⽥町地内ほか汚⽔管埋設⼯事(その1)[ 18]
ア 調査担当者の調査票には、各項⽬に詳細に記載があるもの、⼀切記載がなく⼀⾔「特になし」と記載があるものなどばらつきがあり、具体的な記載がないものが散⾒された。
労務費単価は、交通誘導員の計上単価の確認のみですませており、それ以外の労務費は
⼊札価格詳細内訳書(⼯事内訳書)の全体の数字をチェックするだけで、個別の賃⾦については確認されていない。
イ 低⼊札価格調査の過程において、最低価格⼊札者が下請業者の⾒積⾦額を下回る下請⾦額 を積算した⼊札価格で応札していたことが判明している。下請業者保護の観点からすると、下請業者の⾒積⾦額を下回る下請代⾦を積算した⼊札価格での応札を許容すべきではない。本件では、結果的に⾒積⾦額どおりの⽀払いが⾏われたことにより、担当課として特段問 題視はしていないようにも思われるが、このような運⽤は許されるべきではない(第2 部第
5 章第2 節第5−5)[指摘46]、[指摘47]。
上記契約[ 18]においては、低⼊札価格調査の結果、「⾒積⾦額を下回る⾦額で応札していた件について確認したところ、積算上、結果的に⾒積⾦額より安価な⾦額となったものであり、相⼿⽅に対しては請求⾦額どおりを⽀払うとの回答があった。このため、その他の事項の確認結果及び担当課の意向を踏まえると、同種⼯事の施⼯実績もあることから、履⾏不可能といえるものではないと判断する。」との意⾒が付され、当該⼊札者が落札者として決定されている。
本来、上記のような⼊札については、下請業者からの⾒積書と⼊札価格内訳書等の内容に⽭盾が⽣じているのであるから、岡⼭市建設⼯事低⼊札価格調査実施要綱第8 条第1 項第 1 号に規定する「⼊札書、⼊札価格内訳書、提出書類等において、積算に⽭盾がなく、適正
な⾒積りに基づいた価格であること」との要件を満たさないものと判断されるべきであり、同要綱第9 条第2 号の「提出書類等が前条第1 項各号に掲げる要件を満たしていないとき」 に当たるものとして、落札者として認めるべきではなかったと考えられる。
★★指摘287
下請業者の⾒積⾦額を下回る下請⾦額で⼊札⾦額を積算し、応札した業者については、岡
⼭市建設⼯事低⼊札価格調査実施要綱第 8 条第 1 項第 1 号に規定する「⼊札書、⼊札価格内訳書、提出書類等において、積算に⽭盾がなく、適正な⾒積りに基づいた価格であること」との要件を満たさないものと判断されるべきであり、同要綱第 9 条第 2 号に当たるものとして、落札者として認めるべきではない。
⑷ ⼩括
ア これらの運⽤上からは、調査⽅法が具体的に定まっていないため、調査毎、調査担当者毎に調査⼿法・調査内容が区々になっている。適正な調査が毎回確実に実施されるよう統⼀した調査⽅法の基準、指針が設けられるべきである。この点については、第2 部第5 章第2 節第5−3 において述べた[指摘 4]。
担当課においては、仮に統⼀的指針がなかったとしても、調査票については、調査の結 果のみならず具体的な根拠を含め、後に調査内容が検証できるよう具体的に記載すること、業者との対⾯での聴き取り調査も原則として⾏うべきである。
★★指摘2 8
低⼊札価格調査に際して作成される調査票には、調査の結果のみならず、具体的な根拠を含め、後に調査内容が検証できるよう具体的に記載されたい。また、業者との対⾯での聴き取り調査を原則として実施されたい。
イ 低⼊札価格調査制度の実施による重要な効果の⼀つは、受注者及び下請等の労務費をチェックすることで、労務費単価の切下げを防⽌し、労働者保護等につなげることにある。岡
⼭市の低⼊札価格調査においても、「労務費単価が法定最低賃⾦未満の⾦額となっていないこと」が⼀つの調査項⽬になっている(同要綱第8 条第1 項7 号)。
ところが、いずれの契約についても、交通誘導員に係るものを除き、労務費単価が確認されていなかった。担当課からは、「設計⾦額は複合単価が多く確認ができない」、「⼊札価格詳細内訳書(⼯事内訳書)で⽐較しているため、交通誘導員の単価しか⽐較できない」といった説明もあったが、そもそも調査の際に確認が予定されている⼊札価格詳細内訳書
(同要綱第8 条)において材料費と⼯賃が個別に記載されていないという取扱いに問題があり、確認ができないことを正当化する理由にはならない。労働者保護の観点から、下請業者の労働者も含め全ての労務費単価に関し、法定最低賃⾦を遵守しているかどうかについて確実に確認する体制、規程を整備する必要があるし(第2 部第5 章第2 節第5−4)[指摘 45]、仮に規程が定められていない現状においても、担当課は、下請業者の労働者も含め全ての労働単価に関し、法定最低賃⾦を遵守しているかについて、客観的資料に基づき厳格に確認すべきである。
★★指摘289
低⼊札価格調査においては、下請業者の労働者も含め全ての労働単価につき、法定最低賃
⾦を遵守しているか確認されたい。
ウ 第2 部第5 章第2 節第5 で述べたとおり、低⼊札価格調査制度の運⽤には、安値⼊札を1件1件丁寧に調査し、施⼯可能性を具体的に確認する必要があり、適正に運⽤しようと思
えば⾮常に⼿間がかかる制度である。さらに調査に時間がかかると、⼯期が遅れることのほか、調査を担当する事務部⾨に負担がかかる。また「施⼯可能性」の判断も抽象的なものであり、決め⼿がなく、漫然と施⼯可能性ありと判断されているのが通常である。
第 2 部第 5 章第 2 節第 5−6 でも述べたが、低⼊札価格調査制度はコストパフォーマンスが悪いことから、現状の制度設計のまま制度を維持することには疑問を感じる。しかし、現⾏の制度設計のまま実施する以上は、各担当課においては、制度を実効的なものにすべく調査を徹底すべきである。
★★指摘290
低⼊札価格調査を実施するのであれば、調査を徹底されたい。
第9節 遊具改修工事(2 契約)
第1 契約の概要
件名 | 瀬⼾町総合運動公園のびのび広場遊具改修⼯事[109] | 御津スポーツパーク遊 | 具改修⼯事[ | 10] |
契約⽬的 | 既存遊具が構造上の不備等により、遊具の安全基準を満たしておらず危険な状態であるため、遊具の改修(更新)を⾏う もの。 | 既存遊具が構造上の不備等により、遊具の安全基準を満たしておらず危険な状態であるため、遊具の改修(更新)を⾏うもの。 | ||
契約年⽉⽇ | R2.10. 2 | R2.10. 2 | ||
許容価格 | 32,945, | 0 円 | 32,956, | 0 円 |
契約⾦額 | 32,945, | 0 円 | 32,956, | 0 円 |
落札率 | 1 0% | 1 0% | ||
契約⽅法 | 随意契約(企画競争)(⾃治令第 167 条の 2 第1 項第2 号) | 随意契約(企画競争)(⾃治令第 167 条の 2第1 項第2 号) | ||
担当課 | 市⺠⽣活局スポーツ振興課 | |||
契約相⼿⽅ | タカオ株式会社 | タカオ株式会社 |
第2 監査対象として選定した理由
企画競争実施の結果、最適提案者と随意契約が締結されており、かつ契約⾦額が⽐較的⾼額であるため、企画競争等の⼿続が適正に⾏われているか等の検証が必要と考えたもの。
第3 監査項目
1 随意契約理由
いずれの契約も、本遊具改修⼯事(設計・施⼯)企画競争において特定された契約相⼿⽅候補者(最適提案者)と単独随意契約をするものである。かかる随意契約理由は、企画競争が適正に実施されている限り、特段の問題はない。
2 設計⾦額の積算
⑴ 本件では、企画競争の実施に関する公⽰において、総⼯事価格の予算を 3 0 万円とする旨が公表されている。企画競争実施の公⽰において総⼯事価格の予算が⽰されれば、基本的には
1 0%に近い⾦額で提案が⾏われることが通常であるし、本件においても現に予算額直下の提案が⾏われている。
他⽅、最適提案書の決定後に⾏われる設計⾦額の積算は、基本的には最適提案者の提案内容どおりに⾏われることが予定されているものといえるので、本件では、企画競争の公⽰に先
⽴って⾏われる「総⼯事価格」の予算編成こそが重要な意味を持つことになる。
⑵ 担当課へのヒアリングによると、いずれの契約についても「令和元年度に発注諸準備として、
⾒積条件:『既存の複合遊具と同規模程度(サイズ及び遊具の種類、基数等)』、『遊具の安全に関する基準(JPFA-SP-S:2014)等を満たす遊具とすること』等の条件を付して、随意契約の相⼿⽅となる可能性がある3 社から参考⾒積を徴し、それぞれの参考⾒積平均価格を算定し、また、瀬⼾及び御津の更新遊具は、エリアバランスや施設全体規模、平準化等を考慮し、いずれも同規模のものとする⽅針として、それぞれの参考⾒積平均価格から更に平均額を算定し、瀬⼾及び御津それぞれ同価格の総⼯事価格で設定した。」とのことであった。
複数の参考⾒積を基礎とし、平均額を算定するなどして予算を編成していること⾃体は評価できるが、随意契約の相⼿⽅となる可能性がある業者のみから参考⾒積を取得している点は問題である。
そもそも、企画競争は広く⼀般に対して公募されているのであり、企画競争への参加申請者は3 社に限られているわけではない。それにもかかわらず、特定の業者のみから参考⾒積を取得することは企画競争の公平性・公正性の観点から問題がある(当該3 社は参考⾒積の提出時点で企画競争への参加申請に関する事前準備を⾏っているのも同然である)し、それに基づいて予算が編成され、予算額のほぼ上限で随意契約の契約⾦額が決定された場合、価格の客観性、公正性への信頼は揺らぐことになる。
この点については、鈴⽊70 ⾴において、⼊札の場合に関する記述の中で、「予定価格を設定するために安易に⼊札参加が⾒込まれる業者から『参考⾒積』を徴することは、業者が本⾳価格を提⽰するとは考えられず、結局、割⾼な価格を基に予定価格を設定することにならざるを得ないので適当ではなく、直ちに⽌めるべきである。」と指摘されているが、本件のように参考⾒積から予算が決定される場合でも同様の指摘が当てはまる。
⑶ 企画競争に先⽴って⾏われる予算編成は、原則として客観的な積算基準に基づいて⾏うべきであり、また、企画競争への参加申請が⾒込まれる業者からの参考⾒積の取得は、原則として避けるべきである。また、予算の客観性・公正性の担保のため、企画競争への参加申請が予定されていない業者からも、できる限り参考⾒積を取得すべきである。
担当課の説明によれば、「遊具の安全基準を熟知し、⼤型複合遊具の製造・製作から据付までを⾏うことができる遊具に関するノウハウを⾼く有した業者(企画競争における資格要件、及び発注者の要求事項にて求める者と同じ者)でなければ、遊具の製造・製作費、組⽴・据付費等の適正価格は算定できず、そのため、本企画競争への参加申請が予定されない業者(要求基準を満たす遊具の製造・製作、施⼯が不可能な業者、また、遊具メーカーではない他業種の者等)からの参考⾒積は不適当と思われる。」とのことであったが、適正な設計⾦額の積算を実施し得る業者が企画競争参加外の業者に存在するか否かは、⼀概に判断することはできないものと思われ、担当課としては「できる限り」取得に努めるべきものと考える。また、調査の結果、そのような業者が存在しないことを確認したのであれば、その経緯を記録しておくべきである。
★意見105
企画競争の前提としての予算の編成は、原則として客観的な積算基準に基づいて⾏うべきであり、企画競争への参加が⾒込まれる業者からの参考⾒積の取得は原則として避けるべきである。また、企画競争への参加申請が予定されていない業者からも、できる限り参考
⾒積を取得されたい。
3 契約相⼿⽅の選定
⑴ 本件2 契約のために「遊具改修⼯事(設計・施⼯)企画競争実施に関する要綱」が制定されている。
本件各契約の企画競争の実施に当たっては、遊具改修⼯事(設計・施⼯)企画競争審査委員会(以下「委員会」という)がその審議を⾏う(同要綱第3 条)こととされ、委員会は、①提案者に求める内容等の妥当性、②契約の相⼿⽅として最適なものを特定するための企画提案書の評価基準の決定、③⼯事請負候補者の特定、④その他企画競争の実施に関し、必要な事項を審議するものとされる(同要綱第4 条)。
⑵ 委員会の会議録によると、令和 2 年 7 ⽉ 31 ⽇に企画提案者 3 者からヒアリングを⾏い、審査が⾏われており、ヒアリングにおける質疑応答の内容については、⾮公開の会議録に記録されている。
ヒアリングに際し、審査委員に対して配付された資料においては企画提案者3 者の名称は伏せられていた。審査委員に先⼊観を与えない状態での審査⽅法は適切なものであり、他の企画競争においても、同様の審査⽅法で⾏うべきである。
⑶ いずれの契約についても、同じ評価基準が定められているが、「技術提案に関する評価」と
「事業費に関する評価」の合計の最も⾼い希望者が、最適提案者とされる。
技術提案に関する評価は、「1 テーマやコンセプト」、「2 遊具の構成要素」、「3 維持管 理」、「4 安全に対する配慮」、「5 実現性」、「6 その他」の六つの評価項⽬に分かれており、さらにその評価項⽬毎に評価ポイントが定められ、点数が配分されている。
これらの評価基準に基づいて評価が⾏われた結果、得点が最上位の最適提案者と次順位の提案者が特定されている。
しかし、評価ポイントは、「魅⼒的」、「遊びやすさ」、「怪我への対応が適切」等の抽象的な内容が多く、また配点もそれぞれの評価ポイントに「10」「20」「30」点という幅のある点数が割り振られている。
プロポーザル⽅式という選考⽅法である以上、ある程度の恣意性の介⼊はやむを得ないが、その中でも可及的に客観的かつ公正な判断がなされるよう、評価項⽬にはできる限り具体的・ 客観的な指標を⽤いるべきであり、また配点もできる限り細かく割り振られるべきである。
★★指摘291
プロポーザル⽅式の実施に際して評価基準に⽤いられている評価項⽬については、できる限り具体的・客観的な指標を⽤い、配点もできる限り細かく割り振られたい。
⑷ そして、本件におけるプロポーザル⽅式のように、選考⽅法の性質上、恣意性の完全な排除が困難な契約相⼿⽅の選定については、審査⼿続の透明性の確保、及び市⺠に対する説明責任について、より⼀層の配慮が必要と考えられる。
しかし、岡⼭市ホームページには、上記の審査に関して、①審査結果の決定⽇、②提案者数、③最適提案者の住所及び名称、④提案者毎の評価得点(合計点)しか掲載されておらず、
情報公開が不⼗分といわざるを得ない。少なくとも審査⼿続の概要や、各提案者の評価項⽬毎の得点については公表されるべきである。
★★指摘292
プロポーザル⽅式による契約相⼿⽅の選定を⾏った場合、少なくとも審査⼿続の概要や各提案者の評価項⽬毎の得点について公表されたい。
4 企画提案書と契約書の⼀体性
本件のようなプロポーザル⽅式や企画競争による契約相⼿⽅の選定を⾏う場合、競争参加者からは企画提案書において、要求⽔準外の事項についても様々な提案が⾏われることが多い。
企画競争においては、そのような要求⽔準外の提案も含め、企画提案の全体を評価した上で最適提案者の特定に⾄るのであるから、提案書において提案されている事項については、契約締結に際し、契約上の義務として位置付けられるべきである。
本件各契約の企画競争においても、最適提案者(契約相⼿⽅)から提出されている提案書には、
⼯事請負契約約款上の契約不適合責任期間を超える独⾃の保証期間、無償定期点検、⼯事中賠償責任保険への加⼊など、様々な提案内容が記載されている(なお、提案書には、製造物賠償責任保険への加⼊も記載されているが、この点については公⽰における要求事項に含まれるものである)が、本件各契約に関して締結された⼯事請負契約書には、企画競争に際して提案された上記提案書の内容が契約内容に含まれる内容となっていない。
企画競争時の提案内容が契約内容に含まれることを契約書等において明記すべきである。
★★指摘293
企画競争に際して提出された提案書記載の提案内容が契約内容に含まれることを契約書等に明記されたい。
5 下請管理
⑴ いずれの契約においても、受注者は請負業務の⼀部を下請に発注し、さらには⼆次下請への発注も⾏われている。
瀬⼾町総合運動公園のびのび広場遊具改修⼯事[109]においては、下請代⾦額が 6,6 0, 0
円、その下請業者からの⼆次下請⾦額が合計 5,390, 0 円である。また、御津スポーツパーク遊具改修⼯事[ 10]においては、下請代⾦額は 6,6 0, 0 円、その下請け業者からの⼆次下請
⾦額が合計6,050, 0 円である。
このように、下請代⾦の8 割から9 割の⾦額が⼆次下請の代⾦額となっており、⼀般論としては(真偽はともかく)下請代⾦の「中間搾取」の可能性を念頭に置かざるを得ないケースであるが、現状では、⼀次下請については、市規則第59 条において、「⼯事の全部⼜は⼤部分」を⼀括して下請に発注することは禁⽌されているものの、⼆次下請以下の場合における「中間搾取」については、建設業法第 2 条の適⽤範囲を除いて明確な規制がなされていない。
これを規制する制度を規程等で設けるべきという点については、第2 部第6 章第1 節第3− 3 で述べたが、制度がない状況下においても、担当課において、受注者から下請や⼆次下請に係る通知書や契約書を取得した上で精査し、「中間搾取」が疑われる場合は実地調査等も実施して事実関係を確認し、建設業法等に基づいて是正を図るべきである。
★★指摘294
受注者から下請や⼆次下請に係る通知書や契約書を取得した上で精査し、「中間搾取」が疑われる場合は実地調査等も実施して事実関係を確認し、是正を図ることとされたい。
⑵ いずれの契約においても、担当課は、約款第7 条が規定する受注者に課された下請に係る事項の通知義務に基づき、受注業者から下請通知書や再下請負通知書を提出させている。
しかし、本件においては、厳格な企画競争を実施した上、改修⼯事業務が適正に執⾏されると判断されたことにより、受注者が最適提案者として選定されたものである。すなわち、契約相⼿⽅の個性が重視されているのであり、その結果として単独随意契約が締結されるに⾄っている。
したがって、発注者の承認なく業務の⼀部が下請業者へ発注されること⾃体、許容されな いものというべきであり、「通知」のみですませるのではなく、下請については市の事前承認 を必要とすべきである。今後、企画競争により契約相⼿⽅が選定された場合は、下請(⼆次下 請以下の下位の下請を含む)については、約款、契約書及び仕様書等においても、下請の範囲、下請先、下請代⾦について、事前に市に通知させ、市において、⼀括⼜は⼤部分についての下 請でないことを審査した上で、書⾯による事前承認を得ることを条件とすることにつき規定さ れたい。また、企画競争の趣旨に鑑み、下請(⼆次下請等も含む)の予定については必ず提案 書に明記させることとし、原則として提案書に明記されたもの以外の下請を承認しない取扱い とすべきである。
★★指摘295
企画競争により契約相⼿⽅が選定された場合、下請(⼆次下請以下の下位の下請を含む)への発注については、下請の範囲、下請先、下請代⾦について、事前に市に通知させ、市の審査を経た書⾯による事前承認を得ることを条件とすることにつき、約款、契約書及び仕様書等において規定されたい。
★★指摘296
企画競争の実施に際し、下請(⼆次下請等も含む)の予定については必ず提案書に明記させることとし、特段の事情がない限り、提案書に明記されたもの以外の下請を承認しない取扱いとされたい。
6 賠償責任保険への加⼊
上記のとおり、本件企画競争に際して契約相⼿⽅から提出された企画提案書には、製造物賠償責任保険及び⼯事中賠償責任保険への加⼊に関する提案が記載されている。
担当課に対するヒアリングによると、契約相⼿⽅は、全会員が製造物賠償責任保険と⼯事中賠償責任保険に加⼊している⽇本公園施設業協会の協会員であり、本件については、同協会への架電による問い合わせ確認により、保険加⼊の事実確認を⾏ったとのことである。
⼀応、適切な対応と認められるものの、加⼊保険の内容等についても把握するため、保険証券の写しの提出等を求める⽅がより適切ではないかと思われる。
7 安全性の検査
担当課へのヒアリングによると⼯事に係る公園遊具の安全性のチェックについては、いずれの契約も、竣⼯検査時に、部分的に遊具の落下⾼さや隙間を検⼨確認すると共に、全ての遊具に
「SP マーク」:(「遊具の安全に関する基準 JPFA-SP-S:2014」に基づく遊具であることを⽰す製
造表⽰ラベル)が貼付されていることを確認していることであり、市職員による監査の⼿法としては適正であると考える。
もっとも、遊具という性質に鑑み、令和3 年10 ⽉14 ⽇に発⽣した認可保育園での男児の遊具死亡事故151の際になされていたのと同様に、遊具⼯事の検査に際しては、市職員以外の専⾨業者による構造上の安全性のチェックを実施することを検討すべきである。なお、担当課の説明によると、本企画競争の場合、契約相⼿⽅を含む全ての参加申込者が、公園遊具の安全点検が適正に
⾏える「専⾨業者」とのことであったが、公園遊具の安全性のチェックについては、安全性の確実な担保の観点から、他の専⾨業者による安全性のダブルチェックを実施する必要性についても検討すべきである。また、安全点検の資格を有していない業者による公園遊具⼯事の場合には、必ず専⾨業者による構造上の安全性のチェックを実施すべきである。
★意見106
公園遊具の安全性のチェックについては、施⼯業者が専⾨業者である場合においても、他の専⾨業者による安全性のダブルチェックを実施する必要性について検討されたい。また、安全点検の資格を有していない業者による公園遊具⼯事の場合には、必ず専⾨業者による構造上の安全性のチェックを実施されたい。
151 前掲令和3年 1 ⽉1 ⽇⼭陽新聞デジタル記事参照。
第3章 一般委託・役務等提供契約
第1節 市庁舎等設備総合管理業務委託契約
第1 契約の概要
件名 | 市庁舎等設備総合管理業務委託[1] |
契約⽬的 | 本庁舎、分庁舎、保健福祉会館などの施設において、電気・機械等設備の保守・運転・監視等を実施する⻑期継続契約 |
契約年⽉⽇ | H30.8.31 |
許容価格 | 254,182,320 円(⾮公表) |
契約⾦額 | 250,542,720 円 |
落札率 | 98.57% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 2 |
担当課 | 総務局庁舎管理課 |
契約相⼿⽅ | 株式会社⽇建 |
その他 | ⻑期継続契約(履⾏期間3 年) |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が⾼率(98.57%)であり、かつ、⼊札参加者数が少数であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 契約⽅式の選択
⼀般競争⼊札(⾃治法第234 条)による。なお、制限付⼀般競争⼊札(⾃治令第167 条の5 の 2、岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第3 条第2 項)が実施されている。
2 ⻑期継続契約の要件への該当性
⑴ 第2 部第5 章第1 節第4−2 に記載したとおり、⻑期継続契約は、「その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに⽀障を及ぼすようなもの」であり、かつ「条例で定めるもの」に限り締結することが許容されることとされている(⾃治令第 167 条の 17)のであって、条例において定められた「契約類型」に当てはまる契約の全てについて⻑期継続契約の締結が許容されるものではない。
本契約は、仕様書の記載によれば、委託業務のうち「⽇常管理業務」は、年末年始を除く 平⽇8 時30 分から17 時15 分までは8 名以上の⼈員の常駐、閉庁時及び宿直は2 名以上の⼈ 員の常駐によって、継続的に電気・機械等設備の保守・運転・監視等を実施することを業務内 容としており、その契約業務の性質上、⼀⽇も⽋かすことのできないものであるといえるから、
⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については問題ないと考える。
そして、本契約は、⻑期継続契約に関する⾃治令第 167 条の 17 を受けて制定されている、岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例第2 条第2 号「庁舎等の設備保守に係る契約」に該当する。岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例施
⾏規則第 5 条本⽂においては、「条例第 2 条第 2 号に規定する契約期間は、5 年を超えない期間で、契約の性質⼜は⽬的を勘案して、適正かつ合理的な期間とする。」と規定されている。 また、「⻑期継続契約制度運⽤基準」第 5 条第2 号において、「役務の提供は、施⾏規則第 5 条本⽂のとおり、5 年を超えない期間で、できる限り短い合理的な期間とする。この合理的な期間は、物価変動や技術⾰新の状況を考えると原則として2 年⼜は3 年とする。」と規定され
ており、庁舎管理課へのヒアリングによれば、この原則の最⻑期間としたとのことである。
⑵ なお、上記⑴の⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については、「執⾏伺兼契約⽅法伺」等の提供された資料の中には、検討経過に関する記載がなかった。
⻑期継続契約の締結可否について審査する際には、上記の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、上記要件を満たすと判断した具体的理由については、記録を残すべきである。
★★指摘297
⻑期継続契約の締結可否について審査する際、⾃治令第 167 条の 17 所定の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、要件を満たすと判断した具体的理由については記録されたい。
3 設計⾦額の積算
⑴ 参考⾒積の取得
委託設計書によれば、労務費について⽇常管理業務は「建築保全業務技術者技師Ⅰ」は⽇額単価20,2 0 円、「同技師Ⅱ」は⽇額単価19,2 0 円というように資格に応じた⽇額単価が定められ、これに数量(⽇数)を乗じて積算がなされている。定期点検・整備業務は、1 回毎の単価が定められ(例えば、「電気設備定期点検」は 1 回につき 149, 0 円)、これに数量(回数)を乗じて積算がなされている。
担当課である庁舎管理課へのヒアリングによれば、これらの単価は「参考⾒積や物価資料等により決定している」とのことであったが、参考⾒積を取得した業者数は、1 者(落札者)のみとのことであった。
しかし、参考⾒積の取得業者数が1 者のみでは、それに基づいて積算されている設計⾦額の客観性・公正性が担保できないし、また、⼊札参加が⾒込まれる業者のみから参考⾒積を取得した場合、当該業者は容易に許容価格を推測可能な状況となり得るものであるから、競争⼊札の公正性を害するといわざるを得ない。この点については、鈴⽊70 ⾴においても、「予定価格を設定するために安易に⼊札参加が⾒込まれる業者から『参考⾒積』を徴することは、業者が本⾳価格を提⽰するとは考えられず、結局、割⾼な価格を基に予定価格を設定することにならざるを得ないので適当ではなく、直ちに⽌めるべきである。」と指摘されている。
本件は、⼊札参加が⾒込まれる業者である1 者のみから参考⾒積を取得し、それに基づいて設計⾦額の積算を⾏い、また、許容価格を設定している結果、参考⾒積取得業者が 98.57%という⾼い落札率で落札する結果となっている。設計⾦額の積算に当たっては、⼊札参加が⾒込まれる業者からの参考⾒積の取得をできる限り避けるとともに、それが困難な場合でも、設計
⾦額における積算の客観性・公正性の担保、競争⼊札における公正性の確保のため、参考⾒積はできる限り複数の業者から取得すべきである。
★★指摘298
設計⾦額の積算に当たっては、⼊札参加が⾒込まれる業者からの参考⾒積の取得をできる限り避けるとともに、それが困難な場合でも、参考⾒積はできる限り複数の業者から取得されたい。
⑵ 参考⾒積の保管
参考⾒積の内容を確認しようとしたところ、庁舎管理課からは参考⾒積は残っていないとの回答であった。
岡⼭市⽂書取扱規程第53 条第2 項においては、「作成・施⾏された⽂書は的確に整理・保管し、必要に応じて⽬的のものを迅速に取り出して利⽤できるように集中管理しなければならない。」と規定され、⽂書の保存期間は⽂書分類基準表で定めるとされている(同規程第57 条第 2 項)。そして、岡⼭市⽂書分類基準表「⼤分類D 財務」「中分類04 契約管理」「⼩分類01 庶務」において、「契約管理諸務関係書」の保存期間が3 年と定められている。
参考⾒積書は、設計⾦額の積算の正当性を裏付けるものであり、⽂書の重要性に鑑み、「契約管理諸務関係書」に含まれると解される。実際にも、多くの担当課において、参考⾒積書が保管されていた。
各担当課において参考⾒積書を取得する場合、設計⾦額の積算に際し考慮されない場合と いう事態はおよそ考えられない(考慮しない場合はそもそも取得しないと考えられる。)し、設計⾦額の積算の正当性・合理性や契約相⼿⽅の選定過程の事後的検証にとっても、参考⾒積書は重要な⽂書であるといえるから、これを廃棄することは内部統制上も問題である。
したがって、参考⾒積書を取得した場合には、少なくとも「契約管理諸務関係書」に該当するとして3 年以上は保管すべきである。なお、修繕に関して監査対象とした個別契約において、参考⾒積書が取得されていた場合、本件各担当課を除く全ての担当課から参考⾒積書の提供を受けることができた。
★★指摘2 9
設計⾦額の積算に際して参考⾒積書を取得した場合は、3 年間以上、保管する取扱いを徹底されたい。
4 契約相⼿⽅の選定
⑴ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ 令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づき岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という)役務部
⾨の業種「保守・点検・管理」業種細区分「機械設備」「電気設備」「消防設備」すべてに登載されていること。
⑶ 委託事務事業の執⾏の適正化に関する規程(昭和 58 年市訓令甲第 20 号)第 10 条第 1 項及び第 2 項に定める市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保(以下「指名停⽌等」という。)期間中でないこと。
⑸ 平成 20 年 4 ⽉1 ⽇以降⼀の契約で 1 年以上の間、1 棟の延床⾯積 14, 0 ㎡以上の事務所ビル設備管理業務及び特⾼受電設備の電気設備管理業務を元請で受注し、履⾏した実績を有すること(契約完了したものに限る。)。
⑹ 「建築物における衛⽣的環境の確保に関する法律」第 12 条の 2 第 1 項第 5 号(建築物飲料⽔貯
⽔槽清掃業)及び8 号(建築物環境衛⽣総合管理業)に規定する事業で岡⼭県知事の登録を受けている者。
担当課である庁舎管理課へのヒアリングによれば、この⼊札参加資格要件については、「機
械設備、電気設備、消防設備の保守・点検・管理を履⾏でき、市庁舎と同等規模の事務所ビルを管理できるようこの条件に設定した」とのことである。
⑵ ⼊札状況の概要
本契約の⼊札参加者数は2 者であり、⼀般競争⼊札でありながら⼊札参加者数が少ない結果となっている。なお、庁舎管理課へ過去(前回契約時・平成 27 年度)の⼊札状況をヒアリングしたところ、⼊札参加者数3 者で落札者は同様に株式会社⽇建とのことであり、⼊札参加者数が少なく、競争性が⼗分に確保できていない状況が続いていることが分かる。
また、庁舎管理課へのヒアリングによれば、より競争性を⾼める⽅策については検討し、本契約より常駐職員に求める資格要件を緩和したとのことである(具体的には、「消防設備⼠甲種 1〜5、⼄種 6・7」を「消防設備⼠(甲⼜は⼄種 1〜5 類、⼄種 6・7)⼜は消防設備点検資格者(第1・2 種)」に変更したとのことである。)。
しかし、このようなわずかな資格要件の緩和により⼊札参加者数が増え、競争性が⾼まるとは考えられず、落札率も⾮常に⾼率であることに鑑みると、⼊札における競争性を⾼める⽅策としては不⼗分である。⼊札参加資格のさらなる⾒直しによって競争性を⾼める⽅策をとるべきである。その際、本件業務内容に照らして、特段「市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者」に限定すべき理由はないと考えられること、「市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者」だけでは実質的競争性を確保することができていない状況であることから、次回以降、⼊札参加資格について委託規程第 10 条第 4 項に基づき「市外業者」まで範囲を広げることも選択肢として検討すべきである。
★★指摘3 0
⼊札参加資格のさらなる⾒直しによって競争性を⾼める⽅策をとるべきであり、⼊札参加資格については「市外業者」まで範囲を広げることも選択肢として検討されたい。
5 再委託
庁舎管理課へのヒアリングによれば、再委託はなされていないとのことである。
6 監督・検査
⑴ 毎⽇の⽇常点検業務については、作業内容、作業者が記載された「設備保守管理⽇誌」が受託者より提出されている。仕様書に記載のある「各設備点検報告」及び「各部位・設備劣化報告」については「委託報告書」が提出されている。
⑵ 検査においては「委託業務完了通知書」及び「委託報告書」が提出され、これに基づき検査が実施されている。
⑶ 上記の「設備保守管理⽇誌」や「委託報告書」の記載は、委託業務が履⾏されているかをチェックすることはできるが、受託者による業務の質をチェックするような内容にはなっていない。委託業務完了届提出後の合格不合格の検査のみならず、例えば、検査に当たって評価項⽬を策定し、A〜E の 5 段階で評価するなど、各受託者の業務執⾏の質についても評価するシステムを構築すべきである(第2 部第7 章第4 節第5−2)[指摘132]。
第2節 庁舎宿日直業務委託契約
第1款 本庁舎宿日直業務委託
第1 契約の概要
件名 | 本庁舎宿⽇直業務委託(その3)[9] |
契約⽬的 | 閉庁時に岡⼭市役所本庁舎を訪ねた来訪者及び電話問い合わせに対し、懇切丁寧に対応することで、市⺠サービスの充実、向上を図ることを⽬的とする。 |
契約年⽉⽇ | R2.3.30 |
許容価格 | 28,160, 0 円(⾮公表) |
契約⾦額 | 27,904,8 0 円 |
落札率 | 9.09% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 1 |
担当課 | 総務局庁舎管理課 |
契約相⼿⽅ | 有限会社⻄⽇本キャリアコール |
その他 | ・1 回⽬、2 回⽬の⼊札が不調に終わったため、再々⼊札しようとするもの。なお、1 回⽬は指名競争⼊札が実施されている。 ・⻑期継続契約(履⾏期間3 年) |
第2 監査対象として選定した理由
⼀般競争⼊札でありながら、落札率が極めて⾼率( 9.09%)であり、かつ、⼊札参加者数が少数(1 者)であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 契約⽅式の選択
⼀般競争⼊札(⾃治法第234 条)による。制限付⼀般競争⼊札(⾃治令第167 条の5 の2、岡
⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第3 条第2 項)が実施されている。
2 ⻑期継続契約の要件への該当性
⑴ 第2 部第5 章第1 節第4−2 に記載したとおり、⻑期継続契約は、「その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに⽀障を及ぼすようなもの」であり、かつ「条例で定めるもの」に限り締結することが許容されることとされている(⾃治令第 167 条の 17)のであって、条例において定められた「契約類型」に当てはまる契約の全てについて⻑期継続契約の締結が許容されるものではない。
本契約は、仕様書の記載によれば、「宿直業務」は毎⽇午後5 時から翌朝の午前8 時30 分まで、「⽇直業務」は岡⼭市の休⽇を定める条例(平成元年市条例第49 号)に定める市の休⽇の午前 8 時 30 分から午後 5 時までとされており、かかる時間帯の閉庁時における来庁者への対応等は、その契約業務の性質上、⼀⽇も⽋かすことのできないものであるといえるから、⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については問題ないと考える。
そして、本契約は、⻑期継続契約に関する⾃治令第 167 条の 17 を受けて制定されている、岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例第2 条第2 号「その他の翌年度以降にわたり経常的かつ継続的に役務の提供を受ける必要があると認められる契約」、さらにこれを受けて制定されている岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例施
⾏規則第4 条第1 号の「建物警備」及び第3号の「受付及び案内」に該当する。同施⾏規則第 5 条本⽂においては、「条例第2 条第2 号に規定する契約期間は、5 年を超えない期間で、契約
の性質⼜は⽬的を勘案して、適正かつ合理的な期間とする。」と規定されている。
また、「⻑期継続契約制度運⽤基準」第 5 条第2 号において、「役務の提供は、施⾏規則第 5条本⽂のとおり、5 年を超えない期間で、できる限り短い合理的な期間とする。この合理的な期間は、物価変動や技術⾰新の状況を考えると原則として2 年⼜は3 年とする。」と規定されており、本契約においてはこの原則の最⻑期間とされている。
⑵ なお、上記⑴の⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については、「執⾏伺兼契約⽅法伺」等の提供された資料の中には、検討経過に関する記載がなかった。
⻑期継続契約の締結可否について審査する際には、上記の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、上記要件を満たすと判断した具体的理由については、記録を残すべきである。
★★指摘301
⻑期継続契約の締結可否について審査する際には、上記の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、上記要件を満たすと判断した具体的理由については、記録されたい。
3 設計⾦額の積算
⑴ 労務費単価
委託設計書の記載によると、労務費については「R2 警備員C 単価 1, 0 円/8h×0.71(実績による)」とあり、国⼟交通省の建築保全業務労務単価により積算されている。他⽅、同じく宿⽇直業務委託契約である下記第2 款の契約と⽐較すると、例えば、東区役所宿⽇直業務委託
(その 2)[8]においては厚⽣労働省が公表している賃⾦構造基本統計調査(賃⾦センサス)の職種別平均賃⾦を基に積算されており、同じ宿⽇直業務でありながら異なる資料に基づき単価が設定されている。⾦額で⽐較すれば、例えば、「17: 0〜 2: 0 宿直者」の労務単価は、本契約においては1 時間につき976 円、東区役所宿⽇直業務委託(その2)[8]は1 時間につき 909 円と⼤きく異なるとまではいえないものの、同種契約間の公平性や、積算業務の円滑化という観点からは、同種業務の委託については同じ積算基準を⽤いるのが相当といえる。
そこで、設計⾦額の積算に当たっては、業務の類型や業態毎に、契約課が主導して市の委託契約において適⽤されるべき労務単価や⼀般管理費率等について⼀定の基準を定め、要綱等に定めるか、少なくとも⼿引:委託編に明確に記載すべきである。また、かかる基準が整備されるまでの過渡期的措置として、契約課及び担当課においては、相互に連携しながら、同種業務に関する積算基準に関する情報を共有し、全庁的に同種業務間における積算⽅法の統⼀を図る体制を整備すべきである。
この点は、第2 部第4 章第4 節第3 において述べたので、参照されたい[指摘 1]。
⑵ 積算内容の相当性
上記1 のとおり、本契約は、1 回⽬(指名競争⼊札)、2 回⽬の⼊札(⼀般競争⼊札)が不調 に終わったため、再々⼊札が実施されたものである。1 回⽬、2 回⽬の⼊札が不調に終わった 理由を庁舎管理課へのヒアリングしたところ、「⼊札⾦額が許容価格に達していなかったため」との回答であった。とすると、そもそも 1 回⽬、2 回⽬の設計⾦額の積算内容に相当性がなか ったという可能性が⾼い。
1 回⽬、2 回⽬の⼊札において、いずれも許容価格を超える⾦額の⼊札しかなされず不調に終わった原因を分析するという観点から、設計⾦額(特に労務費)の積算が適正であるかという点について検証をすべきである。
★意見107
1 回⽬、2 回⽬の⼊札において、いずれも許容価格を超える⾦額の⼊札しかなされず不調に終わった原因を分析するという観点から、設計⾦額(特に労務費)の積算が適正であるかという点について検証されたい。
4 契約相⼿⽅の選定
⑴ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ 令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づき岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という)役務部
⾨の業種「その他委託」業種細区分「受付、案内、電話交換」に登載されていること。
⑶ 委託事務事業の執⾏の適正化に関する規程(昭和 58 年市訓令甲第 20 号)第 10 条第 1 項及び第 2 項に定める市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保(以下「指名停⽌等」という。)期間中でないこと。
⑸ 平成 28 年 4 ⽉ 1 ⽇以降 1 年以上の間、宿⽇直業務⼜は案内業務を⽇本国、都道府県⼜は市町村
から元請で受注し、誠実に履⾏した実績を有すること。
⑵ ⼊札状況の概要
本契約の⼊札参加者数は 1 者である。なお、本契約は、1 回⽬、2 回⽬の⼊札が不調に終わったため、再々⼊札が実施されたものであるが、庁舎管理課へのヒアリングによれば、1 回⽬は指名競争⼊札が実施され、5 者が⼊札に参加したとのことである。また、2 回⽬は⼀般競争
⼊札を実施し、1 者が⼊札に参加したとのことである。2 回⽬の⼊札の⼊札参加資格と 3 回⽬の⼊札の本契約の⼊札参加資格は同じである。
上記の経緯に照らせば、本契約は、⼊札が複数回⾏われた結果、契約の相⼿⽅が選定されており、本契約の⼊札実施状況について、例えば、⾮公表であるはずの許容価格の情報が漏洩した、あるいは、⼊札者が容易に推測可能であるために落札率が⾼くなったというような不⾃然な点は認められなかった。
⑶ 競争性を⾼める⽅策の検討
本契約は⼀般競争⼊札が実施されていながら⼊札参加者が1 者であり、また、落札率が極めて⾼率であることに鑑みると、実質的な競争性が確保されているとは認め難い。実質的競争性を確保するため、⼊札参加資格要件を⾒直し、例えば「市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者」に限定している点を、委託規程第 10 条第 4 項に基づき「市外業者」まで広げるなど、競争性を⾼める⽅策を検討すべきである。
★★指摘302
⼊札参加資格のさらなる⾒直しによって競争性を⾼める⽅策をとるべきであり、⼊札参加資格については「市外業者」まで範囲を広げることも選択肢として検討されたい。
⑷ 契約相⼿⽅の選定⽅法
本件は、2 回⽬と 3 回⽬の⼊札において⼀般競争⼊札が実施されていることからも裏付けられているとおり、1 回⽬の指名競争⼊札の実施については、⾃治令第 167 条第 1 号の「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」との要件を満たしていなかったものと考える。
⼀般競争⼊札の実施によって⼊札参加者を増やすことができれば、より競争性が増し、よ り低額な⾦額での契約締結に結びつく可能性もあり、仮に、従前、指名競争⼊札を⾏っていた からといって、漫然と同様に指名競争⼊札を⾏うのではなく、⼀般競争⼊札を実施できないか、都度改めて検討することは⾮常に重要である。
契約⽅式の選択に当たっては、都度、⼀般競争⼊札による契約相⼿⽅の選定ができないのか当該契約の性質・⽬的に照らして具体的に検討し、⼀般競争⼊札によることが可能な契約については、⼀般競争⼊札によって契約相⼿⽅の選定を⾏うよう運⽤を改めるべきである。
この点は、本来「指摘」事項といえるが、結果として、2 回⽬の⼊札から⼊札⽅法が⾒直され、⼀般競争⼊札が実施されているため、「意⾒」として記載しておく。
★意見108
指名競争⼊札の⽅法による場合は、⾃治令第 167 条第 1 号の要件を満たすか否かにつき厳格に判断し、従前、指名競争⼊札が実施されている委託契約についても、都度、契約の具体的な性質・⽬的に照らして⼀般競争⼊札による契約相⼿⽅の選定ができないか継続的に
⾒直されたい。
5 再委託
庁舎管理課へのヒアリングによれば、本契約について再委託はなされていないとのことである。
6 監督・検査
⑴ 監督・検査
庁舎管理課へのヒアリングによれば、⽇々の業務報告については「苦情・依頼等の受付処理」及び「宿・⽇直⽇誌」が提出されているとのことである。「苦情・依頼等の受付処理」においては、市⺠から連絡があった⽇時、連絡をしてきた市⺠の⽒名・連絡先、対応した宿⽇直者の⽒名、苦情・依頼等の要旨、宿⽇直者の対応状況が記載されており、これらの業務報告書類に基づいて適正に監督・検査が⾏われている。
⑵ アンケート調査及びモニタリング調査の実施
本件契約の⽬的は、上記「第 1 契約の概要」の「契約⽬的」に記載のとおり、「閉庁時に岡⼭市役所本庁舎を訪ねた来訪者及び電話問い合わせに対し、懇切丁寧に対応することで、市
⺠サービスの充実、向上を図ること」である(これは、「執⾏伺兼契約⽅法伺書」の「明細書」記載の契約の「概要」を記載している。)。
このように、本契約は市⺠サービスの充実、向上を図る⽬的があるため、かかる⽬的が達成されているかを検証する⽅法として、受託者のサービスの内容、質に関し、実際に夜間・休
⽇に来庁した市⺠にアンケートに協⼒してもらったり、電話対応の内容を録⾳の上、例えば
「丁寧な⾔葉遣いができているか」、「市⺠のニーズをきちんと把握しているか」、「的確な回答ができているか」等の評価項⽬を設けてチェックするなどのモニタリング調査も有⽤である。庁舎管理課へのヒアリングの回答では「業務の性質上、アンケートやモニタリング調査に 適さないため実施、検討はしていない」とのことであるが、上記のとおり本契約の⽬的は市⺠サービスの充実、向上を図ることにあるのであるから、契約⽬的を達成できているか否かを確
認するためには、業務の性質上アンケートやモニタリング調査に適さないとは到底認められず、むしろ必要不可⽋というべきである。
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、アンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施されたい。
★★指摘303
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施されたい。
第2款 区役所宿日直業務委託(5 契約)
第1 契約の概要
件名 | 南区役所宿⽇直業務委託[5] | 中区役所宿⽇直業務委託[6] | 東区役所宿⽇直 業務委託(その 2)[8] | 東区役所宿⽇直業務委託[65] | 南区役所宿⽇直業務委託[ 6] |
契約⽬的 | 各区役所における休⽇夜間の電話や来庁者への応対等を実施。 | ||||
契約⽇ | H31.3.15152 | R2.3.13 | R2.3.24 | R3.3.18 | R2.3.13153 |
許容価格 | ⾮公表 | 9,753,260 円 (⾮公表) | ⾮公表 | ⾮公表 | 9,753,260 円 (⾮公表) |
契約⾦額 | 8,719,920 円 | 9,350, 0 円 | 9,735, 0 円 | 19,690, 0 円 | 9,570, 0 円 |
落札率 | − | 95.87% | − | − | 98.12% |
契約⽅法 | 指名競争⼊札(⾃治令第167 条第1 号) | ||||
指名理由 | 役務業者名簿のうち、「受付、案内、電話交換」(希望順位3 位まで)に登録のある市内業者 | ||||
担当課 | 南区役所総務・地域振興課 | 中区役所総務・地域振興課 | 東区役所総務・地域振興課 | 東区役所総務・地域振興課 | 南区役所総務・地域振興課 |
契約相⼿ ⽅ | ⼀般財団法⼈厚 ⽣会 | 有限会社⻄⽇本キャリアコール | ⼀般財団法⼈厚 ⽣会 | ⼀般財団法⼈厚 ⽣会 | ⼀般財団法⼈厚 ⽣会 |
⼊札者数 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 |
指名業者数 | 7(4 者辞退) | 6(4 者辞退) | 6(4 者辞退) | 5(3 者辞退) | 6(4 者辞退) |
その他 | ⻑期継続契約 (履⾏期間1 年) | ⻑期継続契約 (履⾏期間1 年) | ⻑期継続契約 (履⾏期間1 年) | ⻑期継続契約 (履⾏期間2 年) | ⻑期継続契約 (履⾏期間1 年) |
第2 監査対象として選定した理由
いずれの契約ともに指名競争⼊札が⾏われているが、落札率が⽐較的⾼率であり、かつ、⼊札参加者数が⽐較的少数であるため、より競争性を⾼めるための⽅策を検討するなど、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
152 契約書記載の作成⽇付。なお、財務会計システムにおける契約データ上の「当初契約⽇」には、「H31.3.13」と記⼊
されている。
153 契約書記載の作成⽇付。なお、財務会計システムにおける契約データ上の「当初契約⽇」には、「R3.3.25」と記⼊
されている。
第3 監査結果
1 指名競争⼊札の実施要件(⾃治令第167 条第1 号)への該当性
⑴ 担当課からの回答
各契約について、具体的にどのような理由に基づき、⾃治令第167 条第1 号の「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」に該当すると判断したのか各担当課へヒアリングしたところ、それぞれ下記の回答があった。
件名 | 担当課からの回答内容 |
南区役所宿⽇直業務委託[5] | 岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条では、⼀般競争⼊札を⾏う委託業務は、許容価格が 20 万 SDR(約 3 0 万円)以上の業務及び許容価格が 20 万 SDR 未満で特に市⻑が必要と認めた業務としており、本委託業務はこのどちらにも該当しないため⼀般競争⼊札に適しないと判断 しました。 |
中区役所宿⽇直業務委託[6] | 当該業務は、休⽇夜間に⽋かさず⼈員を配置するため⼈員の確保必要があり、また、緊急の対応に備え市内に拠点のある業者を選定すべきと判断し ました。 |
東区役所宿⽇直業務委託(その2)[8] | 岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条より、⼀般競争⼊札を試⾏する委託等は、許容価格が 20 万 SDR(3 0 万円)以上のもの及び許容価格が 20 万 SDR(3 0 万円)未満の業務のうち、市⻑が特に必要と認めたものとすることとなっています。当該委託は、20 万 SDR(3 0 万円)未満の業務であり、かつ、市⻑が特に認めたものに該当しないため、 指名競争⼊札としました。 |
東区役所宿⽇直業務委 託[65] | 上記[8]と同じ。 |
南区役所宿⽇直業務委 託[ 6] | 上記[5]と同じ。 |
上記のうち、中区役所宿⽇直業務委託[6]においては、休⽇夜間に⽋かさず⼈員配置する ための⼈員確保と緊急時対応の必要性から市内に拠点がある業者を選定するため、⼀般競争⼊ 札に適しないと判断したとのことであるが、これらの点は緊急時対応が可能であることを⼊札 参加資格とし、かつ、緊急時対応の義務を仕様書や契約書において定めれば⾜りるものであり、
「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」ことの合理的説明とはいえない。また、南区役所 宿⽇直業務委託[5]、東区役所宿⽇直業務委託(その 2)[8]、東区役所宿⽇直業務委託[65]、南区役所宿⽇直業務委託[ 6]に関する上記の各回答は、契約の性質や⽬的に照らした回答に なっておらず、「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」ことの説明になっていない。
第 1 款に記載した、本庁舎宿⽇直業務委託(その 3)[9]については、同じ宿⽇直業務委託でありながら⼀般競争⼊札が実施されており、その点に鑑みても、本件各契約が「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」とは認められない。本件各契約については、⼀般競争⼊札を実施すべきである。
★★指摘304
宿⽇直業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
⑵ 岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱の規定内容
上記回答のうち、南区役所宿⽇直業務委託[5]、東区役所宿⽇直業務委託(その 2)[8]、
東区役所宿⽇直業務委託[65]、南区役所宿⽇直業務委託[ 6]の回答は、⾃治法第 234 条第 2 項の規定する⼀般競争⼊札の原則と整合しない回答となっている。
担当課がこのような判断をしている根本的な原因は、そもそも第 2 部第 5 章第 4 節第 1−3において記載したとおり、契約⽅式について定める岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第2 条が、⾃治法第234 条第2 項とは明らかに整合しない内容となっていることにあると考えられる。岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条は改正の必要がある(第 2部第5 章第4 節第1−3)[指摘 5]。
2 ⻑期継続契約の要件への該当性
⑴ 第2 部第5 章第1 節第4−2 に記載したとおり、⻑期継続契約は、「その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに⽀障を及ぼすようなもの」であり、かつ「条例で定めるもの」に限り締結することが許容されることとされている(⾃治令第 167 条の 17)のであって、条例において定められた「契約類型」に当てはまる契約の全てについて⻑期継続契約の締結が許容されるものではない。
本件各契約は、仕様書の記載によれば、「宿直業務」は「午後 5 時から翌朝 8 時 30 分まで」
(毎⽇)、「⽇直業務」は「岡⼭市の休⽇を定める条例(平成元年市条例第 49 号)に定める市の休⽇の午前 8 時 30 分から午後 5 時まで」であり、かかる時間帯の閉庁時における来庁者への対応等は、その契約業務の性質上、⼀⽇も⽋かすことのできないものであるといえるから、
⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については問題ないと考える。
そして、本件各契約は、⻑期継続契約に関する⾃治令第 167 条の 17 を受けて制定されている、岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例第2 条第2 号「その他の翌年度以降にわたり経常的かつ継続的に役務の提供を受ける必要があると認められる契約」、さらにこれを受けて制定されている岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例施⾏規則第4 条第1 号の「建物警備」及び同第3 号の「受付及び案内」に該当する。同施⾏規則第 5 条本⽂においては、「条例第 2 条第 2 号に規定する契約期間は、5 年を超えない期間で、契約の性質⼜は⽬的を勘案して、適正かつ合理的な期間とする。」と規定されている。
また、「⻑期継続契約制度運⽤基準」第5 条第2 号において、「役務の提供は、施⾏規則第5条本⽂のとおり、5 年を超えない期間で、できる限り短い合理的な期間とする。この合理的な期間は、物価変動や技術⾰新の状況を考えると原則として2 年⼜は3 年とする。」と規定されており、本件各契約においてはこの原則の期間内とされている。
⑵ なお、上記⑴の⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については、「執⾏伺兼契約⽅法伺」等の提供された資料の中には、検討経過に関する記載がなかった。
⻑期継続契約の締結可否について審査する際には、上記の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、上記要件を満たすと判断した具体的理由については、記録を残すべきである。
★★指摘305
⻑期継続契約の締結可否について審査する際、⾃治令第 167 条の 17 所定の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、要件を満たすと判断した具体的理由については記録されたい。
3 設計⾦額の積算
⑴ 積算⽅法
単価の記載及び担当課からの回答内容
件名
委託設計書における「単価」の記載及び担当課からのヒアリングにおける回答は下記のとおりである。
南区役所宿⽇直業務委託[5] | 平成31 年度最低賃⾦⾒込みを基に積算。「17: 0〜 2: 0 宿直者」の労務単価は1 時間当たり 834 円で積算。例年最低賃⾦を基に設計しております。2020 年から最低 賃⾦ではなく、平均賃⾦で設計を⾏う予定です。 |
中区役所宿⽇直業務委託[6] | 令和 2 年度最低賃⾦⾒込みを基に積算。「17: 0〜 2: 0 宿直者」の労務単価は 1 時間当たり 860 円で積算。令和 2 年度までは最低賃⾦をベースに積算していましたが、最低賃⾦をベースとした積算⾦額では当該業務の履⾏が難しいという結論に ⾄りました。それを踏まえ令和3 年度は、厚⽣労働省の平成30 年賃⾦構造基本統 計調査による職種別平均賃⾦(守衛)をベースに積算しました。 |
東区役所宿⽇直業務委託(その 2)[8] | 委託設計書に単価の根拠についての記載なし。「17: 0〜 2: 0 宿直者」の労務単価は 1 時間当たり 909 円で積算。厚⽣労働省が公表している賃⾦構造基本統計調査 による職種別平均賃⾦から労務単価を算出しています。 |
東区役所宿⽇直業務委託[65] | 厚⽣労働省の平成 30 年賃⾦構造基本統計調査による職種別平均賃⾦(守衛)をベ ースに年 2%程度労務単価上昇考慮。「17: 0〜 2: 0 宿直者」の労務単価は 1 時間当たり936 円で積算。 |
南区役所宿⽇直業務委託[ 6] | 令和 2 年度最低賃⾦⾒込みを基に積算。「17: 0〜 2: 0 宿直者」の労務単価は 1 時間当たり860 円で積算。 |
⑵ 積算基準の統⼀
このように、同じ「宿⽇直業務」の委託契約であるにもかかわらず、区役所毎単価の設定根拠が区々となっているところ、この点については合理的な理由が認められない。同種契約間の公平性や、積算業務の円滑化という観点からは、同種業務の委託については同じ積算基準を⽤いるのが相当といえる。
そこで、設計⾦額の積算に当たっては、業務の類型や業態毎に、契約課が主導して市の委託契約において適⽤されるべき労務単価や⼀般管理費率等について⼀定の基準を定め、要綱等に定めるか、少なくとも⼿引:委託編に明確に記載すべきである。また、かかる基準が整備されるまでの過渡期的措置として、契約課及び担当課においては、相互に連携しながら、同種業務に関する積算基準に関する情報を共有し、全庁的に同種業務間における積算⽅法の統⼀を図る体制を整備すべきである。
この点は、第2 部第4 章第4 節第3 において述べたので、参照されたい[指摘 1]。
なお、上記のとおり担当課からの回答によれば、最低賃⾦による単価の設定ではなく、「厚
⽣労働省の平成30 年賃⾦構造基本統計調査による職種別平均賃⾦(守衛)」を根拠資料として設計をするよう⾒直しがなされているとのことであり、かかる⾒直しは妥当といえる。このように、例えば、「市の施設の宿⽇直業務委託における労務費については、厚⽣労働省の賃⾦構造基本統計調査による職種別平均賃⾦(守衛)に基づき単価を設定して積算する」といった指針を契約課において決めておくという運⽤を⾏うことによって共通の根拠による積算が実現されると思われる。
4 契約相⼿⽅の選定
⑴ 指名理由
いずれも市内業者から指名している。
辞退者が多いことから追加指名したり、⼊札参加資格から市内業者の選定を外す等の⽅策を検討したかという点につき担当課からヒアリングを⾏ったところ、南区役所宿⽇直業務委託
[ 6]に関し、南区役所総務・地域振興課からは、「例えば、市外の業者などに範囲を広げて、本社が遠隔地である業者が落札した場合、業務中に問題が⽣じた際の対応が遅れてしまう可能
性があることなどから、指名競争⼊札に必要な2 社が確保でき、競争性が担保されているため、参加資格を広げることについては検討しておりません。」との回答があった。
また、東区役所宿⽇直業務委託(その 2)[8]に関しても、東区役所総務・地域振興課から は、「①遠隔地に住所がある業者(市外業者)は、緊急時に対応が遅れることが予想されるこ と、②現状で2 社以上の⼊札があるため、指名競争⼊札が成⽴していること、以上の2 点から、現時点でより競争性を⾼める⽅策を検討しておりません。」との回答があった。
中区役所宿⽇直業務委託[6]についても、中区役所総務・地域振興課からは「検討しておりません」との回答があった。
しかし、本件5 契約のうち4 契約は⼊札参加者2 者で、残り1契約は⼊札参加者3 名であり、いずれも少数で、しかも落札率が⽐較的⾼率であることからすると、実質的競争性が⼗分に確 保されているとは認め難い。緊急時に対応可能であることについては、⼊札参加資格において 緊急時対応が可能であることを定め、かつ、仕様書や契約書において緊急時対応の義務につい て定めれば⾜りることから、緊急時の対応の必要性は、「市内業者」に限定した⼊札を維持し、指名競争⼊札における競争性を⾼める⽅策を検討しなくてよい理由にはならない。また、追加 指名によって競争性を⾼めることを検討しなくてよい理由にもならない。
本件各契約の⼊札⽅法につき指名競争⼊札を⾏うとしても、指名業者の選定に当たっては、委託規程第 10 条第 4 項に基づく市外業者への拡⼤も含め、指名業者数を⼤幅に増加させるな ど、実質的競争性を⾼めるための⾒直しが必要である。また、⼊札における実質的競争性を担 保するため、指名業者に対して辞退をする場合の期限を定め、辞退によって⼊札参加者が5 者 に満たなくなる場合は追加指名を⾏うという運⽤に改めるべきである。
★★指摘306
⼊札⽅法につき指名競争⼊札を⾏うとしても、指名業者の選定に当たっては、市外業者への拡⼤も含め、指名業者数を⼤幅に増加させるなど、実質的競争性を⾼めるための⾒直しを実施されたい。
★★指摘307
⼊札における実質的競争性を担保するため、指名業者に対して辞退をする場合の期限を定め、辞退によって⼊札参加者が 5 者に満たなくなる場合は追加指名を⾏うという運⽤に改められたい。
⑵ ⼊札状況の概要
ア 本契約の⼊札においては、上記のとおり、⼊札への辞退者が多い。
辞退者が多い原因について中区役所総務・地域振興課からヒアリングしたところ「従事者を確保することに苦慮することが予⾒できるからだと考えます」とのことであった。仮にそうだとすれば、各業者がすぐに委託業務の履⾏に⼗分な⼈員を確保できる可能性は少なく、本件各契約は今後の辞退者の続出の可能性があり、少数による⼊札が継続してしまう可能性が⾼いといえるから、いつまでも競争性を⼗分に確保した⼊札が実施できない。
やはり上記⑴記載のとおり、指名業者の選定については、早急に市外業者への拡⼤し、より多くの業者が⼊札に参加できるようにするなど(範囲を広げれば、従事者を確保できる業者が増える可能性もある。)、競争性を⾼めるための⾒直しが必要である。
イ また、担当課へ過去の⼊札状況についてヒアリングをしたところ、中区役所宿⽇直業務委託[6]について、中区役所総務・地域振興課からは、同契約について過去2 回(平成30 年
度、平成28 年度)は許容価格以下の⼊札が2 者あり、過去1 回(平成26 年度)は許容価格以下の⼊札が3 者あり、それ以外は許容価格以下の⼊札は1 者との回答であった。この回答からすると、例年、ほぼ許容価格以下の⼊札は1 者という状況である。
本件各契約の許容価格は⾮公表であるが、過去の⼊札状況から本件各契約の許容価格が推測され、かかる⾦額では受託できないとの理由で辞退者が多く出ている可能性もある。そのような理由により競争性が低下している場合、仮に調達価格の経済性の観点では問題が無いとしても、履⾏の質を招くおそれは否定できない。この点からすれば、設計⾦額
(特に労務費)の積算が適正であるかという点についても検証が必要と思われるが、その際は、辞退者への辞退理由の確認という⽅法も考えられる。
★意見109
辞退者が多い原因について分析するという観点から、設計⾦額(特に労務費)の積算が適正であるかという点について検証をすべきである。
5 再委託
各担当課へのヒアリングによれば、各契約について再委託はなされていないとのことであった。なお、いずれの契約においても仕様書においては再委託に関する記載がなく、契約書第6 条に
おいて、受託者が委託業務の⼀部を再委託する場合は、相⼿⽅の名称及びその他岡⼭市が必要と認める事項をあらかじめ岡⼭市へ通知しなければならないと定められているのみで、市が承認⼿続を⾏うことは定められていない。
しかし、本件各契約は指名競争⼊札が実施されており、業者の個性に着⽬して受託者が選定されているのであるから、再委託する場合には、受託者が委託契約前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを仕様書に定めるべきである。
また、契約書第6 条の受託者による「通知」のみを求めている点を変更し、受託者が委託契約 前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」するという規定へ変更すべきである。
★★指摘308
委託契約書及び仕様書において、再委託する場合に関し、受託者が委託契約前に契約相⼿
⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを定められたい。
6 監督・検査
⑴ 監督・検査⽅法
いずれの契約においても「宿⽇直室引継」という業務⽇誌を提出させている。休⽇夜間にかかってきた電話等については、相⼿⽅の⽒名や連絡先、電話等のあった時間、内容、宿⽇直担当者の対応状況が記載されており、提供された資料の限りにおいては、特段、問題点は⾒当たらなかった。
⑵ 市⺠へのアンケートやモニタリング調査
市⺠へのアンケートやモニタリング調査に関する実施・検討状況について各担当課へヒアリングをしたところ、南区役所総務・地域振興課からは、市⺠へのアンケートやモニタリング調査について、「現時点ではそれらの調査を⾏うことについて検討しておりません。ただし、
市⺠から業務に関する苦情等を受け、適切なサービスが⾏われていないと市で判断した場合は、当該業者へ指導を⾏うことがあります」との回答があった。また、東区役所総務・地域振興課 からは「現時点でアンケート調査等は検討しておりませんが、市⺠の⽅が当該業者に対してご 意⾒がある場合は、市のホームページや電話を通じて、意⾒を承り、市⺠満⾜度向上のため、 当該業者へ指導を⾏うことにしております」との回答があった。中区役所総務・地域振興課か らは、「⾏っていません。また、検討もしておりません。」との回答があった。
本件各契約における委託業務は、休⽇夜間の市⺠からの電話への対応や、来庁者に対する対応を内容としており、市⺠へのサービスを内容としている。市⺠へのサービスの質をより向上させていくためには、現状のような市⺠からの苦情や意⾒を受けてからの指導に限らず、より積極的に市⺠からの意⾒を集める対応を⾏うことが望ましい。
そこで、受託者のサービスの内容、質に関し、実際に夜間・休⽇に来庁した市⺠にアンケートに協⼒してもらったり、電話対応の内容を録⾳の上、例えば「丁寧な⾔葉遣いができているか」、「市⺠のニーズをきちんと把握しているか」、「的確な回答ができているか」等の評価項
⽬を設けてチェックするなどのモニタリング調査も有⽤である。
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施すべきである。
★★指摘309
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施されたい。
第3節 庁舎等警備業務委託契約
第1款 市庁舎等警備他業務委託
第1 契約の概要
件名 | 市庁舎等警備他業務委託(再)[7] |
契約⽬的 | ①本庁舎等警備業務、②本庁舎構内駐⾞場管理及び使⽤料徴収業務、③分庁舎警備及び分庁舎駐⾞場使⽤料徴収業務、④保健福祉会館警備及び保健福祉会館駐⾞場使⽤料徴収業務 |
契約年⽉⽇ | R2.3.24 |
許容価格 | 151,250, 0 円(⾮公表) |
契約⾦額 | 150,173,1 0 円 |
落札率 | 9.29% |
契約⽅法 | ⼀般競争⼊札 |
⼊札者数 | 2 |
担当課 | 総務局庁舎管理課 |
契約相⼿⽅ | アトラクティブ⼤永株式会社 |
その他 | 初度の⼊札が不調に終わったため、設計等を⾒直し再⼊札しようとするもの。⻑期継続契約 (履⾏期間3 年)。 |
第2 監査対象として選定した理由
庁舎等の警備に関する業務委託契約については平成 19 年度岡⼭市包括外部監査においても監 査対象となっており、同監査の内容も踏まえて現在の契約事務がどのように⾒直しがなされてい るか確認するもの。また、⼀般競争⼊札でありながら、落札率が極めて⾼率( 9.29%)であり、かつ、⼊札参加者数が少数であるため、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性 を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 契約⽅式の選択
⼀般競争⼊札(⾃治法第234 条)による。制限付⼀般競争⼊札(⾃治令第167 条の5 の2、岡
⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第3 条第2 項)が実施されている。
平成 19 年度岡⼭市包括外部監査においては、本契約について「⻑年にわたり財団法⼈厚⽣会と単独随意契約を締結していたことにつき合理性はなく、競争性確保のために競争⼊札が必要である」との意⾒が付されているところ、その後、単独随意契約については⾒直しがなされ、上記令和2 年度の契約においては⼀般競争⼊札が実施されており、適正な⽅向で⾒直しがなされていると認められる。
2 ⻑期継続契約の要件への該当性
⑴ 第2 部第5 章第1 節第4−2 に記載したとおり、⻑期継続契約は、「その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに⽀障を及ぼすようなもの」であり、かつ「条例で定めるもの」に限り締結することが許容されることとされている(⾃治令第 167 条の 17)のであって、条例において定められた「契約類型」に当てはまる契約の全てについて⻑期継続契約の締結が許容されるものではない。
本契約は、仕様書の記載によれば、「平⽇警備」は「市の休⽇を除く午前8 時30 分から午後 5 時 15 分まで」、「休⽇警備」は「市の休⽇の午前 8 時 30 分から午後 5 時 15 分まで」、「夜間警備」は「毎⽇午後5 時15 分から翌⽇午前8 時30 分まで」であり、この時間に警備員を常駐させて市庁舎等の警備等を⾏わせるものとなっており、その契約業務の性質上、⼀⽇も⽋かすことのできないものであるといえるから、⾃治令第 167 条の 17 の要件への該当性については問題ないと考える。
そして、本契約は、⻑期継続契約に関する⾃治令第 167 条の 17 を受けて制定されている、岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例第2 条第2 号「その他の翌年度以降にわたり経常的かつ継続的に役務の提供を受ける必要があると認められる契約」、さらにこれを受けて制定されている岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例施
⾏規則第 4 条第 1 号の「建物警備」に該当する。同施⾏規則第 5 条本⽂においては、「条例第 2 条第 2 号に規定する契約期間は、5 年を超えない期間で、契約の性質⼜は⽬的を勘案して、適正かつ合理的な期間とする。」と規定されている。
また、「⻑期継続契約制度運⽤基準」第 5 条第2 号において、「役務の提供は、施⾏規則第 5条本⽂のとおり、5 年を超えない期間で、できる限り短い合理的な期間とする。この合理的な期間は、物価変動や技術⾰新の状況を考えると原則として2 年⼜は3 年とする。」と規定されており、本契約においてはこの原則の最⻑期間とされている。
⑵ なお、上記⑴の⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については、「執⾏伺兼契約⽅法伺」等の提供された資料の中には、検討経過に関する記載がなかった。
⻑期継続契約の締結可否について審査する際には、上記の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、上記要件を満たすと判断した具体的理由については、記録を残すべきである。
★★指摘310
⻑期継続契約の締結可否について審査する際、⾃治令第 167 条の 17 所定の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、要件を満たすと判断した具体的理由については記録されたい。
3 設計⾦額の積算
本庁舎警備業務委託のうち、本庁舎時間帯業務(開庁⽇ 8:30〜17:15)の労務費単価は、
「R2 警備員A 単価 14, 0 円/8h」、その他は、「R2 警備員C 単価 1, 0 円/8h×0.74(実績による)」とあり、国⼟交通省の令和 2 年度建築保全業務労務単価(令和元年 12 ⽉ 10 ⽇国⼟交通省
⼤⾂官房官庁営繕部計画課)により積算されている。
なお、本節第2 款のほっとプラザ⼤供警備業務委託[63]等とは異なる根拠資料に基づき単価が設定されているが、同じ「警備業務委託」であっても、本節第2 款の各契約は機械警備業務を委託業務とするものであり、単純に⽐較はできないものと考える。
4 契約相⼿⽅の選定
⑴ ⼊札参加資格
公告⽂によると、本件の⼊札参加資格要件は下記のとおりである。
⑴ 令第167 条の4 及び契約規則第2 条第1 項に掲げる者でないこと。
⑵ 岡⼭市競争⼊札参加資格及び審査等に関する事項について(昭和 61 年市告⽰第 120 号)に基づき岡⼭市⼀般競争(指名競争)⼊札参加資格有資格者名簿(以下「有資格者名簿」という)役務部
⾨の業種「警備」業種細区分「⼈的警備」に登載されていること。
⑶ 委託事務事業の執⾏の適正化に関する規程(昭和 58 年市訓令甲第 20 号)第 10 条第 1 項及び第 2 項に定める市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者であること。
⑷ 公告で定めた開札⽇時において、岡⼭市指名停⽌基準に基づく指名停⽌⼜は指名留保(以下「指名停⽌等」という。)期間中でないこと。
⑸ 公安委員会による警備業の認定を受けていること。
⑹ 平成28 年4 ⽉1 ⽇以降1 年以上の間、延床⾯積14, 0 ㎡以上の屋内施設において、⼈的常駐警備を元請で受注し、誠実に履⾏した実績を有すること。
⑵ ⼊札状況の概要
本契約における⼊札参加者数は2 者である。なお、過去の⼊札状況について庁舎管理課へのヒアリングをしたところ、前回の契約時(平成 28 年度)の⼊札状況は、⼊札者 1 者、落札者は本契約の受託者と同じアトラクティブ⼤永株式会社であるとのことであり、⼊札参加者数が少数である状況が続いている。
庁舎管理課へのヒアリングによれば、より競争性を⾼める⽅策は随時検討しているとのことであり、具体的には、市外業者への⼊札参加資格の拡⼤についても検討したとのことであった(市外業者まで拡⼤しなかった理由は不明である)。
しかし、本契約は、前回契約時から継続して⼊札参加者数が少なく、⼊札における実質的 な競争性が確保されているとは認め難い。⼊札参加資格のさらなる⾒直し(例えば、本件業務 内容に照らして特段「市内業者、市内扱い業者⼜は準市内業者」に限定すべき理由はないため、委託規程第10 条第4 項に基づき「市外業者」まで範囲を広げることが考えられる。)によって 競争性を⾼める⽅策をとるべきである。
★★指摘3 1
⼊札参加資格のさらなる⾒直しによって競争性を⾼める⽅策をとるべきであり、⼊札参加資格については「市外業者」まで範囲を広げることも選択肢として検討されたい。
5 再委託
庁舎管理課へのヒアリングによれば、再委託はなされていないとのことである。
6 監督・検査
⑴ 監督
毎⽇の業務報告については「警備⽇誌」を提出させている。「警備⽇誌」には、報告事項として「1 ⽴哨報告事項」「2 巡回報告事項」「3 庁内・守衛室取り扱い事項」「4 構内駐⾞場管理」の 4 項⽬について記載がなされている。そして、例えば、「未施錠のドアがあって施錠した」というようなことがあれば「2 巡回報告事項」に記載され、「分庁舎駐⾞場の⼊⼝発券機に⾞が接触する事故があった」といった情報は「3 庁内・守衛室取り扱い事項」に記載されている。
庁舎管理課へのヒアリングによれば、本庁舎構内駐⾞場使⽤料徴収業務、分庁舎駐⾞場使
⽤料徴収業務及び保健福祉会館駐⾞場使⽤料徴収業務において、利⽤者から回収された使⽤料と市へ納付された利⽤料が⼀致するかの確認は、受託者から各駐⾞場の管理⽇誌を提出させ、納⼊された⾦額と⽇誌に記載された⾦額が⼀致しているかを確認し、かつ、駐⾞場の保守業者が管理する駐⾞場のシステムから利⽤料を照合し、全て⼀致するかを確認しているとのことであり、監査に際し提供された資料の限りでは、特に、問題点は⾒当たらなかった。
⑵ 検査
監査に際し提供された委託業務完了届及び警備⽇誌等の提出資料の限りにおいては、特に問題点は⾒当たらなかった。
第2款 庁舎等警備業務委託(3 契約)
第1 契約の概要
件名 | ほっとプラザ⼤供警備業務委託[63] | 南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託[67] | 中区役所庁舎警備業務委託 [68] |
契約⽬的 | ⽕災、盗難等を防⽌するため、夜間、閉館時における 機械警備を⾏う。 | 岡⼭市南区役所灘崎⽀所庁舎へ、盗難防⽌のため機械 警備システムを導⼊する。 | 岡⼭市中区役所庁舎の機械警備業務を⾏う。異常発⽣時に は速やかに対応を⾏う。 |
契約⽇ | R3.3.23 | R3.3.25 | H28.9.5154 |
許容価格 | ⾮公表 | ⾮公表 | ⾮公表 |
契約⾦額 | 693, 0 円 | 1,595,0 2 円 | 1,306,368 円 |
落札率 | − | − | − |
契約⽅法 | 指名競争⼊札(⾃治令第 167条第1 号) | 指名競争⼊札(⾃治令第 167 条第1 号) | 指名競争⼊札(⾃治令第 167条第1 号) |
指名理由 | ①有資格者名簿役務部⾨の業種「警備」、業種細区分 「機械警備」、②市内及び市 | ①「警備(機械警備)」の希望順位 2 位以上、②市内及 び市内扱いの者を全て指名 | ①「機械警備」の希望順位 2位以上、②市内及び市内扱い の業者 |
154 契約書記載の作成⽇付。なお、財務会計システムにおける契約データ上の「当初契約⽇」は「R3.3.29」となってい
る。
内扱いの業者 | |||
⼊札者数 | 3 | 2 | 4 |
指名業者数 | 6(3 者辞退) | 5(3 者辞退) | 5(1 者辞退) |
担当課 | 総務局⼈事部⼈事課 | 南区役所灘崎⽀所総務⺠⽣課 | 中区役所総務・地域振興課 |
契約相⼿ ⽅ | 綜合警備保障株式会社 岡 ⼭⽀社 | 株式会社⼭陽セフティ | 株式会社⼭陽セフティ |
その他 | ①履⾏確保等に関する調査実施、②⻑期継続契約(履 ⾏期間5 年) | ①履⾏確保等に関する調査実施、②⻑期継続契約(履 ⾏期間5 年) | ①履⾏確保に関する調査実 施、②⻑期継続契約(履⾏期間H28.10.1〜R3.3.31) |
第2 監査対象として選定した理由
庁舎等の警備に関する業務委託契約については平成 19 年度岡⼭市包括外部監査においても監査対象となっており、同監査の内容も踏まえて現在の契約事務がどのように⾒直しがなされているか監査するもの。
第3 監査結果
1 指名競争⼊札の実施要件(⾃治令第167 条第1 号)への該当性
⑴ 各担当課において、具体的にどのような理由に基づき、⾃治令第167 条第1 号の「性質⼜は
⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」と判断したのかに関する各担当課へのヒアリング結果は下記のとおりである。
ア ほっとプラザ⼤供警備業務委託[63]
⼈事課からは、「本業務の⽬的は、ほっとプラザ⼤供の夜間、閉館時における機械警備であり、有事には速やかな現地での確認が必要になります。このため、事業所等が市内にない可能性が⾼い市外業者等も参加できる⼀般競争⼊札は適しないと判断し、指名競争⼊札により市内及び市内扱いの業者を選定しました。」との回答があった。
業務の性質上、緊急時に速やかな現地確認が必要であることは認められるものの、これについては⼊札参加資格に定めて⼀般競争⼊札を実施し、かつ、仕様書及び契約書において受託者に義務付けることでも同じ⽬的達成をすることができるというべきであるから、契約相⼿⽅の選定⽅法の段階で⼀般競争⼊札ではなく指名競争⼊札を選択すべき必然性は認められない。第1 款の市庁舎等警備他業務委託(再)[7]においても、警備業務が委託業務内容に含まれ、緊急時には常駐の警備員の他にも警備員が駆けつける必要性が⽣じる点では同等であるが、同契約においては⼀般競争⼊札が実施されていることからすると、緊急時の対応の必要性は、必ずしも「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」ことを根拠付けるものではないといえる。
少なくとも、「警備システム作動から何分以内に現地確認を⾏う⼈員体制が整っている業者」という条件を付した上で制限付⼀般競争⼊札を⾏うことによっても上記の⽬的は達成できるから、原則どおり⼀般競争⼊札を実施すべきである。
★★指摘312
ほっとプラザ⼤供警備業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
イ 南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託[67]
南区役所灘崎⽀所総務⺠⽣課からは、「岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条では、許容価格 20 万 SDR(=3 0 万円)以上のものは⼀般競争⼊札の対象となることが規定されており、マニュアルである契約事務の⼿引きにも 3 0 万円以上のものが⼀般競争⼊札の対象となることが明記されています。⼀⽅、当警備業務委託契約は許容価格が●
●●万円1 5であり、警備業務という性質上、定型的専⾨的技能を活⽤でき、迅速かつ確実な対応が期待できる市内及び市内扱いの業者で、資⼒・信⽤・実績その他について適切な複数者を予め選出する指名競争⼊札とすることで、⼀般競争⼊札に⽐して事務上の負担や経費の軽減を図ることも可能となります。以上の理由により、性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しないと判断いたしました。」との回答があった。
上記「警備業務という性質上、定型的専⾨的技能を活⽤でき、迅速かつ確実な対応が期待でき」、「資⼒・信⽤・実績その他について適切な」者に委託するという⽬的は、これらの点を適切にスクリーニングできる⼊札参加資格を定め、制限付⼀般競争⼊札を実施することでも達成可能である。
したがって、南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施すべきである。
★★指摘313
南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
ウ 中区役所庁舎警備業務委託[68]
中区役所総務・地域振興課からは、「仕様書に記載のとおり、機械警備により警備対象に 異常が発⽣したときに速やかに急⾏する必要があるため、その⽬的を達成するためには、 市内業者で機械警備に精通した業者を選定する必要があったためです。」との回答があった。
これについても、上記ア及びイと同様であり、⼊札参加資格に適切に定め、制限付⼀般競争⼊札を実施することでも達成可能である。
したがって、中区役所庁舎警備業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施すべきである。
★★指摘314
中区役所庁舎警備業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
⑵ また、上記⑴イの南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託[67]に関する担当課の回答のなかで
「許容価格 3 0 万円以上のものが⼀般競争⼊札の対象となることが明記されている」との点は、⾃治法第234 条第2項の規定する⼀般競争⼊札の原則と整合しない。
担当課がこのような判断をしている根本的な原因は、第 2 部第 5 章第 4 節第 1−3 において記載したとおり、そもそも契約⽅式について定める岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する
1 5 担当課からの回答には許容価格が記載されていたが、本契約の許容価格が現時点では⾮公表であることに加え、落
札率にも問題があるとは認められないため、掲載を差し控えた。
要綱第2 条が、⾃治法第234 条第2 項とは明らかに整合しない内容となっていることにあると考えられる。岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条は改正の必要がある(第 2部第5 章第4 節第1−3)[指摘 5]。
2 ⻑期継続契約の要件への該当性
⑴ 第2 部第5 章第1 節第4−2 に記載したとおり、⻑期継続契約は、「その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに⽀障を及ぼすようなもの」であり、かつ「条例で定めるもの」に限り締結することが許容されることとされている(⾃治令第 167 条の 17)のであって、条例において定められた「契約類型」に当てはまる契約の全てについて⻑期継続契約の締結が許容されるものではない。
本件各契約は、仕様書の記載によれば、「毎⽇0: 0〜24: 0(24 時間通年)、警備対象が無
⼈の状態となり、甲(委託者)のセットによる警報装置警戒開始の信号を受けたときに警備を開始し、甲のセットによる警報装置警戒解除の信号を受けたときに警備を終了する。午前0 時において警備操作がなされていない場合は、その原因を確認すること。」とされており(各契約共通)、このような機械警備は、その契約業務の性質上、⼀⽇も⽋かすことのできないものであるといえるから、⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については問題ないと考える。
そして、本契約は、⻑期継続契約に関する⾃治令第 167 条の 17 を受けて制定されている、岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例第2 条第2 号「その他の翌年度以降にわたり経常的かつ継続的に役務の提供を受ける必要があると認められる契約」、さらにこれを受けて制定されている岡⼭市⻑期継続契約を締結することができる契約を定める条例施
⾏規則第4 条第1 号の「建物警備」に該当する。
⑵ 同施⾏規則第 5 条本⽂においては、「条例第 2 条第 2 号に規定する契約期間は、5 年を超えない期間で、契約の性質⼜は⽬的を勘案して、適正かつ合理的な期間とする。」と規定されている。また、「⻑期継続契約制度運⽤基準」第5 条第2 号において、「役務の提供は、施⾏規則第 5 条本⽂のとおり、5 年を超えない期間で、できる限り短い合理的な期間とする。この合理的な期間は、物価変動や技術⾰新の状況を考えると原則として2 年⼜は3 年とする。」とされている。
本契約はいずれも3 年を超えているが、この点について、「⻑期継続契約制度運⽤基準」第 5 条第 2 号は、「4 年若しくは 5 年の期間の契約・・・は、3 年以内では、契約締結が困難なものについて、真にやむを得ない期間に限り、例外的に認められるものであり、その適⽤に当たっては、取引の実情等を詳細に調査するなど、慎重に検討すること。」と規定している。
本件各契約の内容は機械警備であり、特に「3 年以内では、契約締結が困難」といった事情は認められない。
本件各契約について⻑期継続契約を締結するとしても、その期間については、3 年以内では契約締結が困難であるのか、再度検討が必要である。
★★指摘315
本件各契約について⻑期継続契約を締結するとしても、その期間については、3 年以内では契約締結が困難であるのか、再度検討されたい。
⑶ 本件各契約について、上記⑴の⾃治令第167 条の17 の要件への該当性については、「執⾏伺兼契約⽅法伺」等の提供された資料の中には、検討経過に関する記載がなかった。また、3 年を超える期間としたことについても、取引の実情等を詳細に調査し、真にやむを得ない期間を設定したのかについての検討経過に関する記載もなかった。
⻑期継続契約の締結可否について審査する際には、上記の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、上記要件を満たすと判断した具体的理由については、記録を残すべきである。
★★指摘316
⻑期継続契約の締結可否について審査する際、⾃治令第 167 条の 17 所定の要件を満たすか否か厳格に判断し、かつ、要件を満たすと判断した具体的理由については記録されたい。
3 設計⾦額の積算
⑴ 委託設計書記載の⼈件費の単価について、各担当課に対し根拠資料に関するヒアリングを⾏った結果は下記のとおりである。
件名 | 回答 |
ほっとプラザ⼤供警備業務委託[63] | ⼈事課より「公共⼯事設計労務単価(令和 2 年 3 ⽉から適⽤のもの)、職種:交通誘導警備員 B(岡⼭県)の単価を参考にしています。」との回答があった。また、本件について、参考⾒積はとっていないとのこと であった。 |
南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託[67] | 委託設計書に「参考⾒積から算定」との記載あり。 南区役所灘崎⽀所総務⺠⽣課へヒアリングを⾏ったところ、参考⾒積を 3 者からとり、これを基に算定したとのことであった。 |
中区役所庁舎警備業務委 | 委託設計書に「⾒積×0.8」との記載あり。 |
託[68] | 中区役所総務・地域振興課へ「⾒積」とあるのは参考⾒積をとったとい |
うことかヒアリングをしたところ、「参考⾒積は 1 者から徴し、それぞ | |
れの内訳に0.8 を乗じたもので計上しています。」との回答であった。 |
⑵ 平成19 年度岡⼭市包括外部監査においては、機械警備業務委託については市⽴保育園52 園 の夜間の機械警備業務委託契約について監査対象(担当課は保健福祉局保育課)となっている。当時における委託設計書につき「直接経費⼀式○円、間接経費⼀式○円、減価償却費⼀式○円、合計○円」との記載になっており、担当課から「10 年前に単価を決めてそのまま使⽤してお り内訳は不明である」との回答がなされていた点について、「根拠内容が不明なまま、前のデ ータを引き継いでそのまま使⽤していることは問題である。」との意⾒が付されている。
この平成 19 年度監査の対象となった契約と本件各契約は別の契約であり、担当課も異なる ため単純⽐較はできないが、少なくとも、ほっとプラザ⼤供警備業務委託[63]においては公 共⼯事設計労務単価という客観的資料に基づく積算が⾏われ、南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務 委託[67]においては複数業者から参考⾒積をとった上で積算が⾏われており、平成 19 年度 監査の意⾒のように「根拠内容が不明なまま、前のデータを引き継いでそのまま使⽤している」といった問題は⾒当たらない。
しかしながら、本件監査対象の3 契約は、同じ機械警備業務でありながら算定根拠が区々となっており、設計⾦額積算の客観性・公正性、同種契約間の公平性という観点からは疑問が残る積算根拠となっている。また、上記中区役所庁舎警備業務委託[68]に関する回答からは、参考⾒積⾦額に0.8 を乗じた根拠も判然としない。
⑶ 設計⾦額積算の客観性・公正性、同種契約間の公平性、積算業務の円滑化といった観点からは、同種業務の委託については同じ積算基準を⽤いることが合理的である。そこで、設計⾦額の積算に当たっては、業務の類型や業態毎に、契約課が主導して市の委託契約において適⽤されるべき労務単価や⼀般管理費率等について⼀定の基準を定め、要綱等に定めるか、少なくとも⼿引:委託編に明確に記載すべきである。また、かかる基準が整備されるまでの過渡期的措
置として、契約課及び担当課においては、相互に連携しながら、同種業務に関する積算基準に関する情報を共有し、全庁的に同種業務間における積算⽅法の統⼀を図る体制を整備すべきである。この点は、第2 部第4 章第4 節第3 において述べたので、参照されたい[指摘 1]。
4 契約相⼿⽅の選定
⑴ 指名理由
「指名業者⼀覧」に記載されている指名理由は、第 1「契約の概要」の「指名理由」欄に記載したとおりである。
各担当課へのヒアリングによれば、指名理由記載の要件を満たす業者は全て指名したとのことである。しかし、ほっとプラザ⼤供警備業務委託[63]については指名した6 者中3 者が辞退、南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託[67]については指名した5 者中3 者が辞退しており、実質的競争性としては必ずしも⼗分ではない。もっとも、落札率は適正な⽔準に維持されているといえる状況であることから、今後も継続的に⼊札状況を注視し、実質的競争性が低下した場合には、第1 款の市庁舎等警備他業務委託(再)[7]の⼊札参加資格を参考に、委託規程第 10 条第 3 項に基づき「準市内業者」まで範囲を拡⼤するなど、必要に応じて競争性を⾼める対応を⾏うべきである。
★意見 10
継続的に⼊札状況を注視し、実質的競争性が低下した場合には、⼊札参加資格を「準市内業者」まで範囲を拡⼤するなど、必要に応じて実質的競争性を⾼める対応を⾏われたい。
⑵ 追加指名
本件各契約は、いずれも指名業者の⼀部が辞退したため、⼊札参加者数が5 者に満たないまま⼊札が実施されている。しかし、第 2 部第 5 章第 4 節第 2−8 において記載したとおり、市規則第 20 条第 1 項で原則として 5 者以上を指名しなければならないとしているのは、最低限の競争性を確保するために設けられた数字と解され、5 者を指名したとしても実際の⼊札が 3者で⾏われれば、市規則が意図する競争性は実質的には確保されていないということになる。 そこで、⼊札における実質的競争性を担保するため、指名業者に対して辞退をする場合の 期限を定め、辞退によって⼊札参加者が 5 者に満たなくなる場合は、5 者に満つるまで追加指
名を⾏うという運⽤に改めるべきである。
★★指摘317
⼊札における実質的競争性を担保するため、指名業者に対して辞退をする場合の期限を定め、⼊札辞退によって⼊札参加者が 5 者に満たなくなる場合は追加指名を⾏うという運⽤に改められたい。
⑶ 履⾏確保に関する調査
本件各契約においては、履⾏確保に関する調査が実施されているところ、「履⾏確保等に関する調査票」の調査項⽬には、「⑶ 労務費単価が法定最低賃⾦未満の⾦額となっていないこと」というものがある。
ほっとプラザ⼤供警備業務委託[63]については、同項⽬の調査結果として「調査対象業者の給与⽀給基準(社外秘)は法定最低賃⾦を上回っているとのことである。」との記載があるため、何らかの根拠資料の提出を求めて確認したのか⼈事課へヒアリングしたところ、「調査時に⼝頭で確認をとったのみ」との回答であった。
また、中区役所庁舎警備業務委託[68]についても、同項⽬の調査結果として「当委託は機械警備業務であり、⼈件費については同社が請け負う他の施設と複合して考えなければならない為、今回提出のあった内訳書では本業務従事者単体での勤務条件は確認できないが、同社の求⼈情報を確認したところ、最低賃⾦以上の⾦額であったことから、法定賃⾦は守られているものと考えられる。」との記載があった(中区役所総務・地域振興課からの回答では、この求
⼈情報は⽬視によって確認したもので、対象業者からの提出は受けていないとのことである。)。 なお、南区役所灘崎⽀所庁舎警備業務委託[67]については、提出資料から県最低賃⾦をク
リアしていることを確認したとのことである。
第2 部第5 章第4 節第8−3 においても記載したが、労務費の点につき、「令和3 年度中⼩企業者に関する国等の契約の基本⽅針について」(令和 3 年 9 ⽉ 24 ⽇閣議決定)において、「国等は、特に⼈件費率の⾼い役務契約については、適正な履⾏確保の観点から、低⼊札価格調査基準価格を下回る価格により落札した者と契約する場合における措置として、⼈件費が明記された⼊札価格内訳書の徴収を徹底し、最低賃⾦額を下回る⼈件費でないことに留意するとともに、落札の決定があった旨の公表の徹底を⾏うものとする。」とされている。これは、地⽅公共団体が発注する契約についても同様に当てはまるものといえる。
上記のほっとプラザ⼤供警備業務委託[63]における⼝頭による確認や、中区役所庁舎警備業務委託[68]における求⼈情報の⽬視による確認という調査⽅法は、「履⾏確保に関する調査」の趣旨に照らして不⼗分であるといわざるを得ないし、上記「令和3 年度中⼩企業者に関する国等の契約の基本⽅針について」が求めている「⼈件費が明記された⼊札価格内訳書の徴収を徹底」がなされていない。
最低賃⾦額未満の賃⾦しか⽀払わない場合は最低賃⾦法違反となるのであるから、この調査項⽬については、対象業者へ当該委託業務に関する労務費単価が最低賃⾦以上になることを証明する資料の提出を求めて、明確な資料に基づき確認を⾏うべきである。「履⾏確保に関する調査」制度⾃体の実効性については、第 2 部第 5 章第 4 節第 8−4 で述べたとおり疑問もないではないが、「⑶ 労務費単価が法定最低賃⾦未満の⾦額となっていないこと」という調査項
⽬を設けた以上は厳格に運⽤しなければ意味がない。
★★指摘318
低⼊札価格調査及び履⾏確保の調査の際、「労務費単価が法定最低賃⾦未満の⾦額となっていないこと」という調査項⽬の調査のため、必ず⼊札価格内訳書及び客観的な裏付け資料の提出を求め、労務費単価を確実に確認されたい。
第4節 庁舎等清掃業務委託契約
第1款 庁舎等清掃他業務委託(2 契約)
第1 契約の概要
件名 | 分庁舎清掃業務委託[14] | 本庁舎等清掃他業務委託[15] |
契約⽬的 | 分庁舎の衛⽣的な職場環境を維持するた め必要な清掃、⼀般廃棄物の集積、分別を⾏う。 | 本庁舎等の衛⽣的な職場環境を維持するため必要な清掃、⼀般廃棄物の集積、分別を ⾏う。事業系⼀般廃棄物の運搬を⾏う。 |
契約年⽉⽇ | R2.4.1 | R2.4.1 |
許容価格 | 5,428,5 0 円(⾮公表) | 27,7 2,2 0 円(⾮公表) |
契約⾦額 | 5, 34,780 円 | 27,654, 0 円 |
落札率 | 98.27% | 9.75% |
契約⽅法 | 指名競争⼊札(⾃治令第167 条第1 号) | 指名競争⼊札(⾃治令第167 条第1 号) |
選定理由 | ①市内業者、②業種「清掃」、業種細区分 「庁舎・事務所清掃」希望順位 1 位、③建築物における衛⽣的環境の確保に関する法律に基づく「建築物清掃業」⼜は 「建築物環境衛⽣綜合管理業」のいずれかの登録業者、④H28.4.1 以降の 1 年以上の間、3 0 ㎡以上の官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があり、契約 課へ業務実績調書を提出している業者 | ①及び③は左記と同様。②業種「清掃」、業種細区分「庁舎・事務所清掃」希望順位 1位登載業者であり、かつ、業種「廃棄物」、業種細区分「⼀般廃棄物収集運搬」の登載業者、④H28.4.1 以降の 1 年以上の間、官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があり、契約課へ業務実績調書を提出している業者 |
⼊札者数 | 16 | 2 |
指名業者数 | 17 者指名(1 者辞退) | 5 者指名(3 者辞退) |
担当課 | 総務局庁舎管理課 | 総務局庁舎管理課 |
契約相⼿⽅ | 株式会社エヌイーティー | 株式会社サピックス |
第2 監査対象として選定した理由
双⽅の契約ともに指名競争⼊札が⾏われているが、落札率が極めて⾼率であることから、指名競争⼊札の実施要件を満たしているといえるか、⼊札状況に不⾃然な点はないか、競争性の確保が⼗分に⾏われているか等につき確認した上、より競争性を⾼める⽅策の実施可能性についても検討するため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 指名競争⼊札の実施要件(⾃治令第167 条第1 号)への該当性
⑴ 各契約について、担当課が具体的にどのような理由に基づき、⾃治令第167 条第1 号の「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」に該当するものと判断したのかにつき、庁舎管理課へヒアリングしたところ、下記の回答があった。
件名 | 回答 |
分庁舎清掃業務委託 [14] | 庁舎・事務所清掃を履⾏でき、「建築物清掃業」⼜は「建築物環境衛⽣綜合 管理業」のいずれかの登録業者であり、市庁舎と同等規模の官公庁施設において受託実績がある業者を指名するため。 |
本庁舎等清掃他業務 | 庁舎・事務所清掃を履⾏でき、「⼀般廃棄物収集運搬」の登録業者であり、 |
委託[15] | 「建築物清掃業」⼜は「建築物環境衛⽣綜合管理業」のいずれかの登録業者 |
であり、市庁舎と同等規模の官公庁施設において受託実績がある業者を指名 | |
するため。 |
⑵ しかし、これらの回答は、指名競争⼊札における業者の指名理由を並べているだけで、⾃治令第167 条第1 号の要件を満たすことの合理的説明とはいい難い。
また、上記⑴各記載の⽬的のためということであれば、制限付⼀般競争⼊札の実施によっても同じ⽬的は達成できるといえる。
したがって、指名競争⼊札による契約相⼿⽅の選定については⾒直しを⾏い、制限付⼀
般競争⼊札を実施すべきである。
★★指摘319
庁舎清掃業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
2 設計⾦額の積算
⑴ ⼈件費単価
いずれの契約についても、1 ㎡当たりの労務費単価に⾯積を乗じる⽅法により積算がなされている。また、項⽬によっては1 回当たりの単価に清掃回数を乗じて積算がなされている。
これらの単価の根拠資料について庁舎管理課へヒアリングをしたところ、「物価資料等(具体的には、建設物価、建設施⼯単価、積算資料)により決定している。」との回答であった。
⑵ 業務管理率及び⼀般管理費率
いずれの契約についても、「共通費」の項⽬に「業務管理率 6%」、「⼀般管理率 20%」の記載がある。分庁舎清掃業務委託[14]の委託設計書の「共通費」につき「業務管理率 6%」及び「⼀般管理率 20%」とした根拠について庁舎管理課にヒアリングしたところ、「過去の実績等を元に決定した。」とのことであった。この回答によれば、過去の受託業者との契約⾦額を元に決定されたということに過ぎず、客観性・公正性が担保されているとはいい難いということに加え、過去の受託業者のみが⼊札において優位となることは明らかであるから、不適切といわざるを得ない。
⼀般委託・役務等の契約全般を通して、⼀般管理費率のような間接経費については積算根 拠が⼀⾒して分からないものが複数あった。契約課へのヒアリングによれば、⼀般管理費率に ついては、各契約担当課において案件毎に判断しているとのことであるが、何らの基準もなく 各担当課が⾃由に間接経費の率を定められることとなれば、公平性が害されるし、不相当に間 接経費が計上されれば市⺠の納税を原資とする費⽤が不相当に⽀出されることになってしまう。そこで、設計⾦額積算の客観性・公正性、同種契約間の公平性、積算業務の円滑化といった観 点からは、同種業務の委託については同じ積算基準を⽤いることが合理的である。
そこで、設計⾦額の積算に当たっては、業務の類型や業態毎に、契約課が主導して市の委託契約において適⽤されるべき労務単価や⼀般管理費率等について⼀定の基準を定め、要綱等に定めるか、少なくとも⼿引:委託編に明確に記載すべきである。また、かかる基準が整備されるまでの過渡期的措置として、契約課及び担当課においては、相互に連携しながら、同種業務に関する積算基準に関する情報を共有し、全庁的に同種業務間における積算⽅法の統⼀を図る体制を整備すべきである。この点は、第2 部第4 章第4 節第3 において述べたので、参照されたい[指摘 1]。
3 契約相⼿⽅の選定
⑴ 指名業者の選定理由
ア 上記第 1 記載の④の選定理由をみると、分庁舎清掃業務委託[14]においては「H28.4.1 以降の 1 年以上の間、3 0 ㎡以上の官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があり、契約課へ業務実績調書を提出している業者」、本庁舎等清掃他業務委託[15]においては
「H28.4.1 以降の 1 年以上の間、官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があり、契約課へ業務実績調書を提出している業者」とされており、分庁舎清掃業務委託[14]において「3 0 ㎡以上の」という要件が加重されている。しかしながら、両者の業務を⽐較すると、本庁舎等清掃他業務委託[15]のほうが事業系⼀般廃棄物の運搬も含まれており業務範囲が広いし、許容価格も⾼額である。そうだとすれば、⼀般論として、本庁舎等清掃他業
務委託[15]について分庁舎清掃業務委託[14]よりも厳しい要件を付すのであればともかく、分庁舎清掃業務委託[14]について本庁舎等清掃他業務委託[15]より厳しい要件を設定する合理的理由は認められない。
分庁舎清掃業務委託[14]について、選定理由の「H28.4.1 以降の 1 年以上の間、3 0 ㎡以上の官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があり、契約課へ業務実績調書を提出している業者」から「3 0 ㎡以上の」という要件は削除すべきである。
★★指摘320
分庁舎清掃業務委託[14]について、選定理由の「H28.4.1 以降の 1 年以上の間、3 0 ㎡以上の官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があり、契約課へ業務実績調書を提出している業者」から「3 0 ㎡以上の」という要件は削除されたい。
イ また、本契約はいずれも上記第 1 記載の④の選定理由において、平成 28 年 4 ⽉ 1 ⽇以降の1 年以上の間に官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があることを求めている。 この点については、「令和3 年度中⼩企業者に対する国等の契約の基本⽅針について」(令
和 3 年 9 ⽉ 24 ⽇閣議決定)12 ⾴において、新規中⼩企業者の受注機会の増⼤を図るため、
「国等は、役務及び⼯事等における⼀般競争⼊札の際には、契約の履⾏の確保に⽀障がない限り、過去の実績を過度に求めないよう配慮するものとする。」とされており、これは地
⽅公共団体が発注する契約にも妥当するし、契約の履⾏の確保に⽀障がない限りは⼀般競争⼊札のみならず指名競争⼊札においても妥当するといえる。
本契約いずれにおいても、上記第1 記載の①ないし③の選定理由を満たせば、特段、契約の履⾏の確保に⽀障が⽣じるとは考え難い。同じ清掃業務である下記第2 款の東区役所庁舎等清掃業務委託[31]等及び第3 款のオリエント美術館清掃業務委託[32]においては、本契約のような過去の受注実績を選定理由としていない。
本契約いずれにおいても、選定理由のうち、平成 28 年 4 ⽉ 1 ⽇以降の 1 年以上の間に官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があることという要件は削除すべきである。
★★指摘321
選定理由のうち、平成28 年4 ⽉1 ⽇以降の1 年以上の間に官公庁施設において常駐清掃を元請で受託実績があることという要件は削除されたい。
⑵ ⼊札状況の概要
ア 分庁舎清掃業務委託[14]においては、上記第 1 のとおり、指名した 17 者のうち 1 者が辞退し、16 者で⼊札が実施されている。許容価格以下の⼊札は落札者1 者のみであった。
このように 16 者という⽐較的多数の⼊札者があり、しかも本契約は毎年同じ内容で発注されていると思われ、過去の契約⾦額からある程度の許容価格が予測できると思われる状況下において、許容価格以下の⼊札が1 者という状況は⼀般論としては不⾃然である。
このような⼊札結果になっていることの原因究明及び⼊札における実質的競争性確保のための⽅策(例えば、上記のような状況であれば、本契約については許容価格を事前公表し、許容価格以下の⼊札しか認めないことにより競争性を確保することも考えられる。)を検討すべきである。
★★指摘3 2
分庁舎清掃業務委託[14]について、許容価格以下の⼊札が 1 者という⼊札結果になっていることの原因究明及び⼊札における実質的競争性確保のための⽅策を検討されたい。
イ 本庁舎等清掃他業務委託[15]においては、指名した5 者が1 回⽬の⼊札に参加したものの、許容価格以下の⼊札がなかった。2 回⽬からは 5 者のうち 3 者が辞退し、2 者で⼊札が実施されている。当該2 者により許容価格以下になるまで 2 回⽬、3 回⽬の⼊札が⾏われた後に落札者が決定している。この⼊札の経過からすれば、⾮公表の許容価格の情報が流出していたと疑われるような不⾃然な点はあったものとは認められない。
しかし、本契約は毎年同じ内容で発注されていると思われ、過去の契約⾦額からある程度の許容価格が予測できると思われる状況となっていることは、分庁舎清掃業務委託[14]と同様であるところ、許容価格以下の⼊札がなされるまでに3 回の⼊札がなされるという経過は、⼀般論として確実に「偶然」の事象とまでは評価できない。
このような⼊札結果になっていることの原因究明及び⼊札における実質的競争性確保のための⽅策(例えば、本契約については許容価格を事前公表し、許容価格以下の⼊札により競争性を確保することが考えられる。)を検討すべきである。
★★指摘323
本庁舎等清掃他業務委託[15]について、許容価格以下の⼊札が 1 者という⼊札結果になっていることの原因究明及び⼊札における実質的競争性確保のための⽅策を検討されたい。
4 再委託
庁舎管理課へのヒアリングによれば、いずれの契約についても再委託はなされていないとのことであった。なお、いずれの契約においても仕様書においては再委託に関する記載がなく、契約書第6 条において、受託者が委託業務の⼀部を再委託する場合は、相⼿⽅の名称及びその他岡⼭市が必要と認める事項をあらかじめ岡⼭市へ通知しなければならないと定められているのみで、市が承認⼿続を⾏うことは定められていない。
しかし、本件各契約は指名競争⼊札が実施されており、業者の個性に着⽬して受託者が選定されているのであるから、再委託する場合には、受託者が委託契約前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを仕様書に定めるべきである。
また、契約書第6 条の受託者による「通知」のみを求めている点を変更し、受託者が委託契約 前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」するという規定へ変更すべきである。
★★指摘324
委託契約書及び仕様書において、再委託する場合につき、受託者が委託契約前に契約相⼿
⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを定められたい。
5 監督・検査
⑴ 監督
監督の⼀環として、毎⽇の業務⽇誌が提出されている。ただし、業務⽇誌の内容は、清掃箇所が⼀覧とされており、当該箇所を清掃した場合にチェックしていくという内容であり、受託者の業務の質までをこの業務⽇誌の記載からチェックできるとはいい難い。
⑵ 検査
検査については、契約書、仕様書(本契約においては仕様書に業務内容や清掃箇所についての詳細な記載あり)、業務⽇誌、委託業務完了届に基づき⾏われているが、客観的に清掃が綺麗に⾏われているか等の受託者の業務の質については、上記⑴の監督時と同様、これらの関係書類からチェックできるとはいい難い。
⑶ アンケート調査及びモニタリング調査の必要性
本件各契約における委託業務は、市⺠も利⽤する市庁舎の清掃であり、市⺠へのサービスを内容としている。市⺠へのサービスの質をより向上させていくためには、来庁した市⺠に受託者のサービスの内容、質に関するアンケートに協⼒してもらう⽅法により受託者の業務の質をチェックするということが考えられる。
また、例えば、清掃業務については、「清掃の対象箇所にごみがなく清潔に保たれているか」、「ソファ等の備品に埃が付着していないか」といった細かなチェック項⽬を設け、定期的にチェックするモニタリング調査を⾏うことも有⽤である。
庁舎管理課へのヒアリングによれば、「業務の性質上、庁内に汚れている箇所があれば、市
⺠・職員から連絡があり、その都度清掃を⾏うことから基本的に庁舎の美観が保たれており、アンケートやモニタリング調査等は検討しておりません。」との回答があったが、このように市⺠や職員から指摘された場合のチェックの他に、定期的にモニタリング調査によってチェックされることになれば受託者が業務の質を向上しようとするインセンティブにもなり、有⽤であると考えられる。
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施すべきである。
★★指摘325
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施されたい。
6 変更契約
分庁舎清掃業務委託[14]については変更契約がなされており、「変更執⾏伺書」添付の「変更執⾏伺明細書」の「変更理由」には「新型コロナウイルスの影響により、当初⾒込みを上回ったため」、「委託設計書(変更)」の「変更理由」には「新型コロナウイルスの影響による数量が当初⾒込みを上回った」との記載がある。
この点につき、当初の委託設計書のどの項⽬の数量が当初⾒込みを上回ったのか庁舎管理課へのヒアリングを⾏ったところ、「消毒⽤アルコール液・⼿洗い⽤液体⽯鹸」との回答があった。さらに、ヒアリングによれば、上記「委託設計書(変更)」以外に「委託業務打合せ簿」が作成されているとのことであり、当該打合せ簿には、新型コロナウイルスの影響で、消毒⽤アルコール液・⼿洗い⽤液体⽯鹸の消費量が当初の⾒込みを⼤きく上回っていること、その不⾜量等記載され、契約⾦額の増額が必要な理由や数量が記載されていた。
この打合せ簿の記載に照らせば、本件変更契約については、その必要性・許容性が認められる。
しかしながら、上記の「変更執⾏伺明細書」や「委託設計書(変更)」の「変更理由」の記載
⾃体からは、かかる必要性、許容性が判断できる内容にはなっていない。
当初の契約における契約⾦額を増額する場合には合理的な変更理由が必要であり、かかる変更理由については、変更契約の決裁に際して明確にされている必要があり、そのためには、「変更執⾏伺書」添付の「変更執⾏伺明細書」の「変更理由」に明確に記載されている必要がある。
「変更執⾏伺書」添付の「変更執⾏伺明細書」の「変更理由」にも、具体的にいかなる理由で 変更されたのか詳細な記載をすべきである。また、当該「変更理由」は「別紙委託設計書(変更)のとおり」といった記載をするとしても、「委託設計書(変更)」の「変更理由」には、具体的に いかなる理由で変更されたのかにつき、詳細な記載をすべきである。
★★指摘326
変更執⾏伺明細書には変更契約の理由を具体的に記載されたい。
第2款 区役所庁舎等清掃業務委託(3 契約)
第1 契約の概要
件名 | 東区役所庁舎等清掃業務委託[31] | 南区役所庁舎清掃業務委託 [ 3] | 中区役所庁舎等清掃等業務委託[37] |
契約⽬的 | ①東区役所庁舎の⽇常清掃、定期清掃、ごみ運搬・分別等、②東消防署の床⾯脂仕上補修作業、③⽔道局東管路整備課の⽇常清掃、定期清掃、臨時清掃、雑作 業 | 南区役所庁舎の⽇常清掃業務及び定期清掃業務を⾏う。 | 岡⼭市中区役所庁舎等の清掃、⼀般廃棄物の集積、分別、収集、運搬を⾏う。 |
契約年⽉⽇ | R2.4.1 | R2.4.1 | R2.4.1 |
許容価格 | ⾮公表 | 4,310,570 円(⾮公表) | ⾮公表 |
契約⾦額 | 5, 75, 0 円 | 4,171,2 0 円 | 5,280, 0 円 |
落札率 | − | 96. 7% | − |
契約⽅法 | 指名競争⼊札(⾃治令第 167 条第1 号) | 指名競争⼊札(⾃治令第 167 条第1 号) | 指名競争⼊札(⾃治令第 167条第1 号) |
指名理由 | ①市内業者のうち住所が東区管内、②業種が「清掃」 「庁舎・事務所等」、③従業員が 5 名以上、④希望順位が 1 位までの条件を満たす業者から5 者指名 | ①市内業者のうち本社が南区、②業種細区分「庁舎・事務所清掃」、③ビル管理法に基づく建築物清掃業⼜は建築物総合管理業の登録業者、④希望順位 1 位の業者 全5 者を指名 | ①市内業者、②清掃業種の 「庁舎・事務所清掃」、③廃棄物の⼀般廃棄物収集運搬に登録、④希望順位1 位の業者全7 者 |
⼊札者数 | 5 | 5 | 7 |
担当課 | 東区役所総務・地域振興課 | 南区役所総務・地域振興課 | 中区役所総務・地域振興課 |
契約相⼿⽅ | 有限会社⻄⼤寺環境施設管 | 株式会社オークスコーポレ | 株式会社研美社 |
理センター | ーション |
第2 監査対象として選定した理由
いずれの契約においても指名競争⼊札が⾏われているが、落札率が⾼率なものもあり、より競争性を⾼める⽅策を検討するなど、監査の必要性が⾼いと考えたもの。また、同種の契約間で⽐較検討を⾏うため、上記3 契約を選定した。
第3 監査結果
1 指名競争⼊札の実施要件(⾃治令第167 条第1 号)への該当性
⑴ 各契約について、担当課が具体的にどのような理由に基づき、⾃治令第167 条第1 号の「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」に該当するものと判断したのかにつき、担当課にヒアリングしたところ、下記の回答があった。
件名 | 担当課からの回答 |
東区役所庁舎等清掃業務委託[31] | 岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条より、⼀般競争 ⼊札を試⾏する委託等は、許容価格が20 万SDR(3 0 万円)以上のもの及び許容価格が20 万SDR(3 0 万円)未満の業務のうち、市⻑が特に必要と認めたものとすることとなっています。当該委託は、20 万 SDR(3 0 万円)未満の業務であり、かつ、市⻑が特に認めたものに 該当しないため、指名競争⼊札としました。 |
南区役所庁舎清掃業務委託[ 3] | 岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条では、⼀般競争 ⼊札を⾏う委託業務は、許容価格が 20 万 SDR(約 3 0 万円)以上の業務及び許容価格が 20 万 SDR 未満で特に市⻑が必要と認めた業務としており、本委託業務はこのどちらにも該当しないため⼀般競争⼊札 に適しないと判断しました。 |
中区役所庁舎清掃等業務 委託[37] | 業務が多岐に渡り、業務を遂⾏するには清掃業務に精通した業者であ る必要があるためです。 |
⑵ このうち、上記東区役所庁舎等清掃業務委託[31]及び南区役所庁舎清掃業務委託[ 3]の回答は、「岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱」第 2 条に従って判断したとするものであるが、第2 部第5 章第4 節第1−3 において述べたとおり、同条の規定⾃体が⾃治法第 234 条第 2 項・⾃治令第 167 条第 1 項に反するものであるため、同要綱については改正が必要である[指摘 5]。
⑶ また、中区役所庁舎清掃等業務委託[37]の回答については、そもそも清掃業務⾃体が特殊な技術を多く求めない⼀般的な業務であり、上記回答内容から「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」とはいえない。⾃治令第167 条第1 号の趣旨は、本来、契約の履⾏に特殊な技術を要する等の事情のため、⼀般競争⼊札では契約の⽬的を達することが困難な場合に、⼀定の履⾏能⼒を有する者を指名することで履⾏を担保する点にあるのであって、本件の庁舎の清掃業務についてはかかる趣旨が妥当しない。
庁舎清掃業務については、契約相⼿⽅の選定⽅法について⾒直しを⾏い、⼀般競争⼊札による選定を⾏うべきである。
★★指摘327
庁舎清掃業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
2 設計⾦額(労務費単価)の積算
⑴ 東区役所庁舎等清掃業務委託[31]
委託設計書の「⽇常清掃業務」を例にみると、1 ㎡当たり労務費単価が記載され、これに⾯積を乗じ、さらに数量(清掃の回数)を乗じて計算がなされている。労務費単価については、備考欄に第1ないし 19 号単価表の記載がある。東区役所総務・地域振興課からのヒアリングによれば、これらの単価表は、国⼟交通省が公表している建築保全業務積算要領の建築保全業務労務単価に基づき単価表を作成したとのことである。
⑵ 南区役所庁舎清掃業務委託[ 3]
委託設計書の「⽇常清掃業務」を例にみると、記載は、1 ㎡当たりの労務費単価が記載され、これに⾯積を乗じ、さらに数量(清掃の回数)を乗じて計算がなされている。単価の根拠につ いては、「建築保全業務積算基準 P162 で弾性床と硬質床が同じ歩掛りで同じことから弾性床 価格を採⽤」や「積算資料(広島)参照」といった記載がある。
⑶ 中区役所庁舎清掃等業務委託[37]
委託設計書の「⽇常清掃業務」を例にみると、1 ㎡当たり労務費単価が記載され、これに⾯積を乗じ、さらに数量(清掃の回数)を乗じて計算がなされている。労務費単価については、備考欄に第1ないし 10 号明細表の記載がある。中区役所総務・地域振興課へのヒアリングによれば、これらの明細表は、清掃内容に該当する「建設物価」の単価表に記載のある数値を採
⽤したとのことである。
⑷ ⼩括
以上のように各契約を⽐較すると、積算に⽤いている労務費単価の根拠資料が区々となっている。しかし、設計⾦額の客観性・公平性の観点から、同種業務には共通の根拠資料が⽤いられるべきであるし、それにより積算業務の煩雑さを避けることもできる。
そこで、設計⾦額の積算に当たっては、業務の類型や業態毎に、契約課が主導して市の委 託契約において適⽤されるべき労務単価(例えば、東区役所庁舎等清掃業務委託[31]におい て根拠とされた建築保全業務積算要領の建築保全業務労務単価を⽤いるといったような、⾃動 的に更新されている資料を指定するという⽅法もあり得る。)や⼀般管理費率等について⼀定 の基準を定め、要綱等に定めるか、少なくとも⼿引:委託編に明確に記載すべきである。また、かかる基準が整備されるまでの過渡期的措置として、契約課及び担当課においては、相互に連 携しながら、同種業務に関する積算基準に関する情報を共有し、全庁的に同種業務間における 積算⽅法の統⼀を図る体制を整備すべきである。この点は、第2 部第4 章第4 節第3 において 述べたので、参照されたい[指摘 1]。
3 契約相⼿⽅の選定
⑴ 指名理由の合理性
指名業者の指名理由は上記第1 記載のとおりである。
東区役所庁舎等清掃業務委託[31]は「東区」、南区役所庁舎清掃業務委託[ 3]は「南区」の業者に限定されており、それぞれ 5 者⼊札に参加している。中区役所庁舎清掃等業務委託
[37]は⼀般廃棄物収集運搬が業務に含まれるため「市内業者」とされ、「中区」といった限 定がなされていない。東区役所庁舎等清掃業務委託[31]及び南区役所庁舎清掃業務委託[ 3]の2 つの契約については、担当課へのヒアリングによれば条件を満たす業者全て指名したとの ことである。この地域による限定の理由について、各担当課へヒアリングしたところ、東区は
「清掃員の⽋員が⽣じる事態が発⽣した場合に早急に対応をしてもらうため、選定業者の住所を東区にしました。」、南区は「本社が遠隔地にある場合、清掃員の⽋員などの緊急時に早急に対応することが困難である可能性があることや、南区内に清掃業者が6 社存在し、競争性が確
保されていると判断できることから、業者の選定を南区に限定しております。」とのことであった。
しかし、各区という狭いエリアに限定しなくとも、少なくとも市内業者であれば緊急時の 対応に⽀障を来たすことは⼀般的に考えられない。令和2 年度はいずれの契約も5 者⼊札に参 加しているが、上記ヒアリングによれば条件を満たす業者⾃体5 者であったということであり、指名業者が辞退し、⼊札参加者数が5 者に満たない事態になれば⼊札における競争性の担保は 不⼗分なものとなってしまう。
そこで、指名競争⼊札の競争性、公平性の担保という観点からは、合理性の認められない理由による指名業者の限定は避けるべきであり、当該地域に限定した指名によっても競争性・公正性が確実に担保されていると客観的に認められる状況でない限り、原則として各区の特定のエリア内に限定して指名する運⽤は⾏わないよう改めるべきである。
★★指摘328
競争性・公正性が確実に担保されていると客観的に認められる状況でない限り、原則として「区」のような狭いエリアに限定して指名する運⽤は⾏わないよう改められたい。
⑵ 指名理由の差異
また、東区役所庁舎等清掃業務委託[31]は「従業員が 5 名以上」、南区役所庁舎清掃業務委託[ 3]は「ビル管理法に基づく建築物清掃業⼜は建築物総合管理業の登録業者」という条件が定められており、同じ業務内容でありながら異なる条件が定められている。
しかし、このように同じ業務でありながら指名理由が異なることについて合理的な理由は認められないし、各担当課の指名理由の定め⽅によっては条件を満たす業者が少数に絞られることにもつながり、指名基準の公正性の観点からも問題がある。
そこで、清掃業務といった委託契約における典型的な業務類型については、仮に指名競争
⼊札を⾏う場合であっても、⼀定の共通した指名理由に従って業者を指名すべきである。
★★指摘329
清掃業務といった委託契約における典型的な業務類型については、指名競争⼊札を⾏うに当たって、⼀定の共通した指名理由に従って業者を指名されたい。
4 再委託
担当課へのヒアリングによれば、いずれも再委託はなされていないとのことである。なお、いずれの契約においても仕様書においては再委託に関する記載がなく、契約書第6 条において、受託者が委託業務の⼀部を再委託する場合は、相⼿⽅の名称及びその他岡⼭市が必要と認める事項をあらかじめ岡⼭市へ通知しなければならないと定められているのみで、市が承認⼿続を⾏うことは定められていない。
しかし、本件各契約は指名競争⼊札が実施されており、業者の個性に着⽬して受託者が選定されているのであるから、再委託する場合には、受託者が委託契約前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを仕様書に定めるべきである。
また、契約書第6 条の受託者による「通知」のみを求めている点を変更し、受託者が委託契約 前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」するという規定へ変更すべきである。
★★指摘 30
委託契約書及び仕様書において、再委託する場合につき、受託者が委託契約前に契約相⼿
⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを定められたい。
5 監督・検査
⑴ 監督
委託業務の執⾏に関する検査において受託者へ提出されている資料について各担当課にヒアリングをしたところ、各契約においても⽇常清掃について、毎⽇の作業⽇報を提出されているとのことであった。提供された作業⽇報等の資料の記載内容は下記のとおりである。
件名 | 作業⽇報等の記載内容 |
東区役所庁舎等清掃業務委託[31] | 「清掃作業報告書」を提出させているとのことであった。「清掃作業報告書」には、清掃場所(例えば「1階男⼦便所」等)が表に列挙されてい て、清掃を⾏った場所にチェックをしていくという内容になっている。 |
南区役所庁舎清掃業務委託[ 3] | 「清掃作業⽇報」という作業⽇報で、作業場所と作業内容が記載され (例えば、「⽞関ホール」については、「床⾯拭き・掃き」「汚れ箇所の ⽔・洗剤拭き」「フロアーマット除塵(適宜洗浄)」「扉ガラス部分拭き」 「吸い殻拾い・灰⽫清掃並びにゴミ屑処理」「ソファー・消⽕器等備品什器の除塵」「⾦属部分等磨き上げ」と記載されている)、作業を⾏ったと ころにチェックをしていくという内容になっている。 |
中区役所庁舎清掃等業務委託[37] | 「清掃作業⽇誌」という作業⽇報で、清掃場所(例えば「1 階宿直室」 など)と作業内容(例えば「床⾯の拭き・掃き」など)が表に列挙されており、⾏った作業をチェックしていくという内容になっている。 |
これらの作業⽇報からは、指定した箇所について清掃作業を⾏ったかどうかのチェックは可能であるが、作業内容の質まではチェックをすることは難しい内容といえる。
⑵ 検査
仕様書、作業⽇報、委託業務完了届の提出がなされ、これらに検査が基づき⾏われているが、客観的に清掃が綺麗に⾏われているかという受託者の業務の質については、上記⑴の監督時と同様、これらの関係書類からチェックできるとはいい難い。
⑶ アンケート調査及びモニタリング調査の必要性
第1 款の分庁舎清掃業務委託[14]等と同様、本件各契約における委託業務は、市⺠も利⽤する区役所の庁舎の清掃であり、市⺠へのサービスを内容としている。市⺠へのサービスの質をより向上させていくためには、来庁した市⺠に受託者のサービスの内容、質に関するアンケートに協⼒してもらう⽅法により受託者の業務の質をチェックするということが考えられる。また、例えば、清掃業務については、「清掃の対象箇所にごみがなく清潔に保たれている か」、「ソファ等の備品に埃が付着していないか」といった細かなチェック項⽬を設け、定期的
にチェックするモニタリング調査を⾏うことも有⽤である。
市⺠へのアンケートやモニタリング調査に関する実施・検討状況について各担当課へヒア リングをしたところ、南区役所総務・地域振興課からは、市⺠へのアンケートやモニタリング 調査について、「現時点ではそれらの調査を⾏うことについて検討しておりません。ただし、 市⺠から業務に関する苦情等を受け、適切なサービスが⾏われていないと市で判断した場合は、当該業者へ指導を⾏うことがあります」との回答があった。また、東区役所総務・地域振興課 からは「現時点でアンケート調査等は検討しておりませんが、市⺠の⽅が当該業者に対してご
意⾒がある場合は、市のホームページや電話を通じて、意⾒を承り、市⺠満⾜度向上のため、当該業者へ指導を⾏うことにしております」との回答があった。中区役所総務・地域振興課からは、「アンケート等や調査は実施及び検討しておりません。」との回答があった。
しかし、市⺠へのサービスの質をより向上させていくためには、市⺠や職員から指摘された場合のチェックの他に、定期的にモニタリング調査によってチェックされることになれば受託者が業務の質を向上しようとするインセンティブにもなり、有⽤であると考えられる。
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施すべきである。
★★指摘 31
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施されたい。
6 ⾃動⾞保険への加⼊
中区役所庁舎清掃等業務委託[37]は、⼀般廃棄物の処理の収集運搬も業務内容としている。仕様書には「運搬業務に必要な運搬⾞両について、対⼈対物無制限の⾃動⾞保険に加⼊していること」との記載がある。この点について、中区役所総務・地域振興課へ受託者から⾃動⾞保険の保険証書の提出を受けて確認しているかヒアリングをしたところ、「仕様書に保険証書(証券)の提出を義務付けていないため、保険証書の写しはありません。」との回答であった。
しかし、この点については、過去に地⽅⾃治体から委託を受けて廃棄物の収集運搬を⾏っていた業者がその業務中に起こした交通事故について地⽅⾃治体の使⽤者責任を認めた裁判例があり
(⾼知地判平成28 年8 ⽉26 ⽇・公刊物未掲載)156、受託者が任意保険に加⼊せず、または加⼊していたとしても対⼈対物無制限の契約内容でなかった場合、市が被害者へ賠償⾦を⽀払うことになる可能性がある。
仕様書において、受託者に対して保険証書の写しの提出を義務付け、契約内容を保険証書によって確認すべきである。
★★指摘 32
廃棄物の収集運搬に使⽤する⾞両については、仕様書において受託者に対して保険証書の写しの提出を義務付け、対⼈対物無制限の契約内容になっていることを確認されたい。
156 同事案では、⾼知市が資源物及び不燃ごみの収集を⾼知市再⽣資源処理協同組合に委託していたところ、同組合は
⾼知市が⽰した業務計画に基づき収集運搬業務を⾏っていたことや、同組合が所有するごみ収集⾞の⾞体に「⾼知市資源再⽣処理センター」との表⽰をすることを容認していた等の事実から、⾼知市と同組合の関係は、客観的外形的にみると、緊密な⼀体性があると認められると判⽰されている。そして、⾼知市が、同組合がその業務に使⽤するごみ収集⾞の運⾏を事実上⽀配、管理することができ、社会通念上その運⾏が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき⽴場にあるといえる場合は、⾼知市は、⾃動⾞損害賠償保障法第 3 条所定の「⾃⼰のために⾃動⾞を運⾏の
⽤に供する者」に当たると解すべきであるとされ、⾼知市の同法に基づく責任を認めている。
第3款 オリエント美術館清掃業務委託
第1 契約の概要
件名 | オリエント美術館清掃業務委託[32] |
契約⽬的 | オリエント美術館全館の施設清掃と⼀般廃棄物の処理 |
契約年⽉⽇ | R2.4.1 |
許容価格 | 5, 7,2 0 円(⾮公表) |
契約⾦額 | 5, 7,2 0 円 |
落札率 | 1 0% |
契約⽅法 | 指名競争⼊札(⾃治令第167 条第1 号) |
選定理由 | ①「清掃:庁舎・事務所清掃」を希望順位 1 位、②市内業者、③⼀般廃棄物収集運搬の登録をしている業者 |
⼊札者数 | 6 |
担当課 | 教育委員会オリエント美術館 |
契約相⼿⽅ | 株式会社サピックス |
その他 | 不落随契 |
第2 監査対象として選定した理由
指名競争⼊札が⾏われているが、落札率が 1 0%であることから、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 指名競争⼊札の実施要件(⾃治令第167 条第1 号)への該当性
本契約について、担当課が具体的にどのような理由に基づき、⾃治令第167 条第1 号の「性質
⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」に該当するものと判断したのかについて、教育委員会事務局オリエント美術館(以下「オリエント美術館」という。)からヒアリングしたところ、「貴重な美術品を扱う美術館においての清掃業務のため、信頼と実績のある業者に細⼼の注意を払い業務に臨んでもらわなくてはならない。また契約上の義務違反等が⽣じれば、事業に著しく⽀障をきたすおそれがあるため⼀般競争⼊札に適しないと判断した。」との回答であった。
業務執⾏場所が上記の回答にある「貴重な美術品を扱う美術館」であるという特殊性から、通常の⼀般競争⼊札に適しないとの判断には⼀定の合理性が認められる。ただし、⼊札参加資格に過去の美術館等同等の施設における清掃業務の受託経験を定めた上で、制限付⼀般競争⼊札を⾏うことによっても、美術館という特殊性を考慮した上でより競争性の⾼い⽅法による契約相⼿⽅の選定は可能と思われるので、制限付⼀般競争⼊札の実施についても検討すべきである。
★意見 1
指名競争⼊札による契約相⼿⽅の選定については⾒直しを⾏い、制限付⼀般競争⼊札の実施を検討されたい。
2 設計⾦額の積算
⼈件費について、委託設計書の記載は、「清掃員 A」「清掃員 B」「清掃員 C」につき 1 ⽇当た
りの単価が記載され、これに作業⽇数を乗じて積算されている。⼈件費単価については、「令和
2 年度建築保全業務労務単価(国⼟交通省)の清掃員⽇割基礎単価に基づく。」との記載がある。清掃員A ないしC の違いについてオリエント美術館からヒアリングしたところ、「清掃員A」は
「ビルクリーニング技能⼠の資格を有する者⼜は清掃業務について作業の内容判断ができる技術
⼒及び作業の指導等の総合的な技能を有し、実務経験6 年以上程度の者」、「清掃員B」は「清掃業務について、作業の内容判断ができる技術⼒及び必要な技能を有し、実務経験3 年以上6 年未満程度の者」、「清掃員 C」は「清掃業務について、清掃員 A ⼜は B の指⽰に従って作業を⾏う能⼒を有し、実務経験3 年未満程度の者」とのことである。
第 1 款の分庁舎清掃業務委託[14]及び本庁舎等清掃他業務委託[15]、並びに第 2 款の東区 役所庁舎等清掃業務委託[31]、南区役所庁舎清掃業務委託[ 3]及び中区役所庁舎清掃等業務 委託[37]は、労務費単価は1 ㎡当たりの単価を⽤いているところ、本契約は1 ⽇当たりの単価 を⽤いており、異なる基準を⽤いている。美術館という特殊性を考慮しても、このような異なる 基準を⽤いることに合理的根拠が認められるかは疑問が残る。労務費単価のベースとなる資料は 同種の契約は共通したものを⽤いた上で、清掃場所の特殊性に応じた調整をするのが妥当である。
そこで、設計⾦額の積算に当たっては、業務の類型や業態毎に、契約課が主導して市の委託契 約において適⽤されるべき労務単価や⼀般管理費率等について⼀定の基準を定め、要綱等に定め るか、少なくとも⼿引:委託編に明確に記載すべきである。そして、担当課においては、当該基 準に基づいた設計⾦額の積算を⾏う運⽤をすべきである。また、かかる基準が整備されるまでの 過渡期的措置として、契約課及び担当課においては、相互に連携しながら、同種業務に関する積 算基準に関する情報を共有し、全庁的に同種業務間における積算⽅法の統⼀を図る体制を整備す べきである。この点は、第2 部第4 章第4 節第3 において述べたので、参照されたい[指摘 1]。
3 契約相⼿⽅の選定
⑴ ⼊札状況
本契約においては 6 者が⼊札に参加している。⼊札結果をみると、1 回⽬の⼊札では許容価格以下の⼊札がなく、2 回⽬からは 2 者が⼊札しているが、3 回の⼊札によっても⼊札が許容価格を超えており、⾦額交渉の結果、最低価格を提⽰した事業者(株式会社サピックス)と随意契約が成⽴している(いわゆる不落随契)。落札率は 1 0%であるが、上記の経緯を経て落
札者が決定していることからすると、落札率が 1 0%となったこともやむを得ないものといえ、
⼊札実施状況について特に不⾃然な点は認められなかった。
⑵ 設計⾦額の積算内容についての検証
上記⑴のとおり、本契約は3 回の⼊札によっても⼊札が許容価格を超えており、最低価格を 提⽰した株式会社サピックスと随意契約が成⽴している。この経緯からすると、そもそもの設 計⾦額の積算内容が相当性を⽋くものであった可能性も否定できない。担当課の説明によれば、 3 回の⼊札によっても許容価格以上の⼊札しかなされなかった要因として、令和 2 年度が例年 と異なり、半年の休館となる年度であったため、清掃の頻度等が少なく、その積算について市 と業者との間で乖離が⽣じたことが考えられるとのことであった。
本業務委託は美術館という特殊性のある施設ということでもあり、設計⾦額の積算内容が適切であるか(次回の⼊札に備え、複数社から参考⾒積をとる⽅法も考えられる)も含め、不落随契に⾄った原因について、さらに検証されたい。
★意見 12
貴重な美術品が収められているという施設の特殊性に鑑み、設計⾦額の積算が適切であったかも含め、不落随契に⾄った原因について、さらに検証されたい。
4 再委託
担当課へのヒアリングによれば、再委託はなされていないとのことである。なお、本契約においては仕様書においては再委託に関する記載がなく、契約書第6 条において、受託者が委託業務の⼀部を再委託する場合は、相⼿⽅の名称及びその他岡⼭市が必要と認める事項をあらかじめ岡
⼭市へ通知しなければならないと定められているのみで、市が承認⼿続を⾏うことは定められていない。
しかし、本件契約は指名競争⼊札が実施されており、業者の個性に着⽬して受託者が選定され ているのであるから、再委託する場合には、受託者が委託契約前に契約相⼿⽅、再委託する業務 の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを仕様書に定めるべきである。
また、契約書第6 条の受託者による「通知」のみを求めている点を変更し、受託者が委託契約 前に契約相⼿⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」するという規定へ変更すべきである。
★★指摘 3
委託契約書及び仕様書において、再委託する場合につき、受託者が委託契約前に契約相⼿
⽅、再委託する業務の範囲、再委託の契約⾦額の各項⽬についての「通知」を⾏い、これらを審査の上、市が「承認」する必要があることを定められたい。
5 監督・検査
⑴ 監督
担当課であるオリエント美術館からのヒアリングによれば、監督の⼀環として、現場作業員から「清掃業務報告書」を毎⽉提出させているとのことである。委託業務完了届の提出は 3か⽉毎求め、検査も3 か⽉毎⾏っている(仕様書にも検査は3 か⽉毎に実施の旨が明記されている。)。他の清掃業務委託においては 1 か⽉毎に委託業務完了届の提出を求め、1 か⽉毎に検査を⾏っている例も⾒られるため、3 か⽉毎に検査を⾏う理由をオリエント美術館へヒアリングしたところ、「双⽅の業務削減のために3 か⽉毎の検査としている。」とのことであった。
しかし、貴重な美術品が収められているという施設の特殊性に着⽬して、「信頼と実績のある業者に細⼼の注意を払い業務に臨んでもらわなくてはならない」のであれば、やはり毎⽉の検査を⾏うことが妥当である。検査回数については⾒直しを検討すべきである。
★意見 13
検査回数については、現⾏の「3 か⽉毎」から「毎⽉」へ変更するなど検査回数について⾒直しを検討されたい。
⑵ 検査
仕様書、作業⽇報、委託業務完了届の提出がなされ、これらに検査が基づき⾏われているが、客観的に清掃が綺麗に⾏われているかという受託者の業務の質については、上記⑴の監督時と同様、これらの関係書類からチェックできるとはいい難い。
⑶ 市⺠へのアンケート調査及びモニタリング調査の必要性
上記の受託者に記載させている「清掃業務報告書」は清掃箇所の⼀覧表があり、これに清掃した箇所をチェックしていくものであり、清掃をした箇所を確認することはできるが、受託者の業務の質についてのチェックをすることができるまでの内容にはなっていない。
受託者の業務の質に関する調査⽅法として、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査に関する実施・検討状況について担当課へヒアリングをしたところ、これまで実施、検討されたことはないとのことであった。
しかし、第1 款の分庁舎清掃業務委託[14]等、第2 款の東区役所庁舎等清掃業務委託[31]等と同様、本件各契約における委託業務は、市⺠が美術品鑑賞のために来館する美術館の清掃 であり、市⺠へのサービスを内容としている。市⺠へのサービスの質をより向上させていくた めには、来館した市⺠に受託者のサービスの内容、質に関するアンケートに協⼒してもらう⽅ 法により受託者の業務の質をチェックするということは有⽤である。
また、例えば、清掃業務については「清掃の対象箇所にごみがなく清潔に保たれているか」
「ソファ等の備品に埃が付着していないか」といった細かなチェック項⽬を設け、定期的にチェックするモニタリング調査を⾏うことも有⽤である。特に、「貴重な美術品を扱う美術館」という点に着⽬して清掃の履⾏能⼒のある受託者を選定したというのであれば、例えば「美術品に汚損、損傷を及ぼす危険がなかったか」というチェック項⽬を設け、厳しく審査することも必要である。定期的にモニタリング調査によってチェックされることになれば受託者が業務の質を向上しようとするインセンティブにもなり、有⽤である。
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施すべきである。
★★指摘 34
市⺠サービスの業務委託を⾏う場合、市⺠へのアンケート調査やモニタリング調査を定期的に実施されたい。
第4款 南区維持管理センター清掃業務委託
第1 契約の概要
件名 | 南区維持管理センター清掃業務委託[36] |
契約⽬的 | 南区維持管理センターの清掃 |
契約年⽉⽇ | R2.4.1 |
許容価格 | 2,070,2 0 円(⾮公表) |
契約⾦額 | 2,070,2 0 円 |
落札率 | 1 0% |
契約⽅法 | 指名競争⼊札(⾃治令第167 条第1 号) |
指名理由 | ①市内の「庁舎・事務所清掃」登録のある業者、②希望順位 1 位の業者の条件を満たす全 40者のうち、履⾏場所に近い5 者を選定 |
⼊札者数 | 2 |
指名業者数 | 5(3 者辞退) |
担当課 | 南区役所地域整備課 |
契約相⼿⽅ | 株式会社エヌイーティー |
その他 | 不落随契 |
第2 監査対象として選定した理由
指名競争⼊札が⾏われているが、落札率が 1 0%であることから、⼊札状況に不⾃然な点がないか、あるいは、より競争性を⾼めることが可能か等の検討のため、監査の必要性が⾼いと考えたもの。
第3 監査結果
1 対象施設
本件契約に係る清掃業務の対象施設である「南区維持管理センター」は、南区役所地域整備課の説明によると、道路・公園における軽微な修繕、動物の死骸回収、清掃ゴミの回収等の現場作業を⾏う市職員(作業技師等)が勤務する事務所で、勤務する職員は南区役所地域整備課の所属とのことである。
2 指名競争⼊札の実施要件(⾃治令第167 条第1 号)への該当性
⑴ 担当課からの回答
本契約について、具体的にどのような理由に基づき、⾃治令第167 条第1 号の「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」に該当するものと判断したかについて、南区役所地域整備課からヒアリングしたところ、「岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条により、⼀般競争⼊札を試⾏する対象業務(測量や建設コンサル等を除く)は、許容価格が 20SDR(約
3 0 万円)以上のもの及び許容価格が 20SDR 未満の業務のうち市⻑が特に必要と認めたものとされており、このいずれにも該当しないことから指名競争⼊札を⾏っている。」との回答であったが、これは⾃治法第234 条第2 項・⾃治令第167 条第1 項に反する解釈であり、当該契約が⼀般競争⼊札に適しないと判断する理由にはならない。岡⼭市委託等⼀般競争⼊札の試⾏に関する要綱第 2 条については、第 2 部第 5 章第 4 節第1−3 においても述べたとおり、同条の規定⾃体が⾃治法第234 条第2 項・⾃治令第167 条第1 項に反するものであるため、改正が必要である[指摘 5]。
⑵ ⼀般競争⼊札の実施
上記1 のとおり、清掃業務の対象施設である「南区維持管理センター」は市職員(作業技師 等)が勤務する事務所ということであり、かかる点では、第1 款の分庁舎清掃業務委託[14] 等、第2 款の東区役所庁舎等清掃業務委託[31]等と共通する。これらの契約においては、清 掃業務の精通した業者を選定する必要性という観点から指名競争⼊札が実施されていたところ、そもそも清掃業務⾃体が特殊な技術を多く求めない⼀般的な業務であり、上記回答内容から
「性質⼜は⽬的が⼀般競争⼊札に適しない」とはいえない。⾃治令第167 条第1 号の趣旨は、本来、契約の履⾏に特殊な技術を要する等の事情のため、⼀般競争⼊札では契約の⽬的を達することが困難な場合に、⼀定の履⾏能⼒を有する者を指名することで履⾏を担保する点にあるのであって、本件の庁舎の清掃業務についてはかかる趣旨が妥当しない。
本件の庁舎清掃業務については、契約相⼿⽅の選定⽅法について⾒直しを⾏い、⼀般競争
⼊札による選定を⾏うべきである。
★★指摘 35
庁舎清掃業務委託に係る契約については、⼀般競争⼊札を実施されたい。
3 設計⾦額の積算
⑴ ⼈件費単価
委託設計書によれば、1 ⽇当たりの⼈件費に数量(⽇数)を乗じて積算されている。この積