② JV スポンサー工事
〔営繕補償保険〕の契約内容説明とQ&A
契約内容説明
保険の概要
「住宅品質確保促進法」が施行され、住宅建物について10 年間の長期に渡り瑕疵担保を保証することになったのに対し、その修理費用等をカバーするために施工会社からの要望もあり、今回新発売された保険です。
この保険は瑕疵補償保険ともいわれます。
国内の住宅・マンション・テナントビル・工場・倉庫等の建築物を完成し引き渡した後
瑕疵に起因して保証書(または保証書に準ずる契約書、四会連合約款等)に基づき保証期間中に使用者から補償請求があった場合
直接の修理費用や訴訟費用が支払われる保険
対象工事
従って、過去の完成工事建物については保険の対象外になります。
日本国内の建築物(保険開始後の完成工事物件)
① 元請工事
② JV スポンサー工事
従ってサブ工事は除かれる(後頁Q&A参照)。
③ 下請け工事
100%下請け工事で、保証責任を負うことを請負契約書等に明記されている場合。
保険金の支払対象範囲
① 貴社の定めた標準保証書、またはそれに準ずる契約書に基づいて、貴社が保証責任を負担する損害について、保険金が支払われれます。
② 保証責任の解決にあたり、貴社が保険会社の承認を得て支出した訴訟、裁判上の和解・調停・示談等に要した費用。
③ 損害について貴社が第三者に対し、損害賠償請求権を有する場合には、その権利の保全・行使に必要な手続きにかかる費用。
例: 機械設備の損壊が発生した場合に、その発生時期が機械の保証期間内であった時に、貴社がその修理費用を肩代わりした場合等の求償にかかる費用等。
支払対象部位
屋根・外壁・内壁・小屋根・天井・軸組・造作・建具・設備・基礎・床
注:設計図と異なる材質の使用については免責となります(免責条項の⑧)。
てん補される損害
【修繕費用】
部品代・材料費・人件費・宿泊費・交通費及び運搬費が対象となります。 但し、補修時において補修個所と同等の材料等の仕入原価や製造原価が限度となります(Q&A参照 )。
注:瑕疵の原因を調査するために要した費用は含まれません(免責条項の㈭)。
【訴訟費用】
保証責任の解決にあたり、貴社が保険会社の承認を得て支出した訴訟、裁判上の和解・調停・示談等に要した費用。
保険期間保証期間
保険金額保険料率
免責金額免責条項
平成 13 年 3 月 1 日から 1 年毎に毎年の更新となります。
引き渡しの日から 10 年間です。住宅以外の建物も同じ期間です。
但し、本保険が数年後に打ち切られた場合はその時点迄の保証期間となります。
1 事故の支払い限度額は1億円。1年間の全支店限度額も 1 億。
住宅 : 請負金額に対し 0.156%
住宅以外: 請負金額に対し0.037%。3年間は固定となりますが損害率により年度によっては優良戻しまたは追徴が発生します。
1 事故につき 20 万円(Q&Aを参照 )。
① 施工者等の故意
② 地震、噴火、津波、火災、天災、暴動等の事由による損害。
③ 土地の沈下、隆起、振動、軟弱化、土砂崩れ、土地の流出・流入等。
④ 引き渡し後の建築物の自然消耗、摩擦、さび、かび、むれ、腐敗、変色、虫食い、建築物の性質による結露等のその他の損害。
⑤ 瑕疵認定事故ではない場合の調査費用(Q&A参照 )。
⑥ 標準保証書の規定を超えた補修費用や保証責任等(Q&A参照 )。
⑦ 貴社が補修した部位に発生した瑕疵
⑧ 請負契約書がない場合及び請負契約書や設計書等において、貴社の保証責任が明示さ れていない部分に対する補修(Q&A参照 )。
⑨ 使用者より補修請求がないにも拘わらず、貴社が自らの決定、または行政庁からの命令 に基いて、瑕疵の存在する部位の補修を行った場合。
⑩ 引き渡した建築物の瑕疵に起因する賠償責任損害(Q&A参照 )。
⑪ 保険開始前に存在していた瑕疵。
Q&A集
【対象工事】について
Q : JV サブも加入出来ないか?(過去スポンサーから請求を受けている。)
A : 次の事由により3年間は加入出来ません。
・ 補修工事が発生した場合、スポンサー企業が補修工事をし、請求だけが貴社に来ることになりますと、事故の調査ができないため、瑕疵の認定が困難及び補修費用が妥当か判断できなくなります。
・ 年間の暫定保険料算出の基礎である請負金額を今回は算入していないこと、また暫定保険料 がかなり膨らむため。
【てん補される損害】及び【免責事項】について
Q1 : グレードの高い具材を使用して補修した場合は全額免責なのか?
A : 建築時に使用した材料費までは支払対象となり、その金額を超えたものに対し免責となります。
Q2 : 瑕疵部分を補修する為にはグレードを上げた具材を使用しないと再発するケースが殆どだが、認められないのか?
A : 保険会社としては、単にむやみに過剰サービス的にグレードをあげた具材を使用する場合を想定しているのであって、質問のケースでは個々に見積書を参考に検討して、妥当と認められた場合は支払対象となります。
Q3 : 「瑕疵と認められない補修個所を調査した費用は免責」となっているが水漏れ等は一個所 補修しても済まない場合が多いが?
A : それぞれ原因が異なれば支払対象となります。
Q4 : 免責⑧で設計図と異なる具材を使用した場合は免責か ?
A : この免責条項の主旨としては、例えば直径15cmの具材を使用しなければならないところに12cmのを使用して強度を故意に落としてしまったなどの場合に免責とするもので、設計変更等の見積り書、変更の打ち合わせ議事録、資料を提出して頂き材質変更事由が正当と認められなければ免責とはなりません。
Q5 : 上記Q4に関連し、殆どすべて請負契約書や設計図とは完成後は異なるが免責となるのか、竣工図てよいか?
A : 竣工図にして下さい。保険金請求の場合、なるべく実際の仕様が記載されている図書が 必要となります。
Q5 : 設備機器、室内装飾、家具などはメーカー補償は 1 年だが、2 年目以降に瑕疵が発見された場合は補償されるのか、又設備に起因して給排水管などから水が溢れた場合はどうか?
A : 設備機器等本体の瑕疵は認められません。後者は補償対象となります。
Q7 : 施工不良で修理した場合も保険の対象になるのか?
A : 重大な過失も対象となりますが、あくまでも瑕疵が原因での補修が前程となります。
Q8 : 具体的な保険金支払例があれば参考にしたいのですが?
A : まだ発売されたばかりの保険のため、支払例はありません。
【免責金額 20 万】について
Q1 : 免責金額の 20 万円は下げられないか(20 万円以下の補修が多い)?
A : 可能ですがその分レートが上がりますので、今回は全社統一で20 万円と決定されています。
Q2 : マンションなど複数の住戸で発生した造作・内壁・床等の瑕疵補修の場合、トータル金額に対し 免責金額は 20 万円でよいのか?
A : 瑕疵が同一原因なら 1 事故とみなします。
【賠償責任】について
Q1 : 見舞金、保証金、一時仮住まい等の費用はてん補されるか?
A : 賠償責任となりますので、この保険ではカバー出来ません(P/L保険で補償されます)。
Q2 : タイル落下等で第3者に危害を与えた場合も保証の対象か
A : このケースも賠償責任となりますので、この保険ではカバー出来ません(工事中ならば請負賠償責任保険で、引き渡し後ならP/L 保険で補償されます)。
【保険金の請求】について
Q1 : いちいち使用者から示談書を取り交わすことは難しい。
A : 免責条項⑧に抵触するために修繕後の確認書に署名・捺印だけでもとって下さい。
Q2 : 瑕疵によるクレームがついた場合、修理は1日か2日以内に済ませねばならなず、査定員が来るのを待っていられない。
A : できるだけ速やかに連絡を下さい。また、最低現場状況写真は必ず撮っておいてください。
Q3 : 保険金請求手続きは現在の瑕疵工事報告書より複雑になるのか?
A : 次の書類が必要となります。
① 事故状況報告書:事故原因が明記されていれば瑕疵工事報告書で可
② 保険金請求書
③ 写真
④ 入居者の営繕工事を受けたことを証明する書類に署名・捺印のあるもの
⑤ 営繕にかかった費用の明細
⑥ 設計書又は竣工図書
⑦ その他(必要に応じて提出していただきます)
Q4 : 引き渡し後の点検・検査で瑕疵が発見された場合、入居者に内緒で補修したい。
A : 保険の概要③や免責⑨にあるように、あくまでも使用者からの申し出があった場合に認められます。
【その他】
Q1 : 瑕疵による保険金請求の可能性が低い物件(倉庫、工場等)は除外してもよいか?
A : 包括契約となりますので一部除外しての引受けはできません。
Q2 : 包括契約か個別契約になるのか?
A : 包括契約となりますので一部除外しての引受けはできません。
Q3 : 同業他社は契約しているのか?
A : 大手ゼネンコンの数社のみ契約。
この保険は非常にモラルリスク(手抜き工事助長)を伴うもので保険会社では信用できる企業のみしかお引受けしていません。