Contract
xx市請負工事設計変更ガイドライン
平成25年8月
大津市総務部契約検査課
目次
1.ガイドラインの目的
---------------------------------------------------------------------------1
2.設計変更の基本事項
(1) 基本的な考え方
---------------------------------------------------------------------------1
---------------------------------------------------------------------------1
(2) 設計変更を行う場合
---------------------------------------------------------------------2
3.設計変更が不可能な場合
--------------------------------------------------------------------- 3
4.発注者及び受注者のとるべき措置 3
(1) 発注者
(2) 受注者
----------------------------------------------------------------------------------------3
----------------------------------------------------------------------------------------4
5.設計変更を行う場合の具体的な事例及び手続き 4
5-1 設計図書が互いに一致しない場合 4
5-2 設計図書に誤謬がある又は脱漏がある場合 5
5-3 設計図書の表示が明確でない場合 6
5-4 設計図書と実際の工事現場が一致しない場合 6
5-5 予期することのできない特別な状態が生じた場合 6
5-6 発注者が必要と認め、変更する場合 7
5-7 工事を一時中止する必要がある場合 8
5-8 発注者が「設計図書の照査」の範囲を超える作業を指示した場合 9
6.施工方法等の指定・任意の運用 11
(1) 指定・任意の基本的な考え方 11
(2) 指定・任意の設計変更における留意点 11
(3) 指定・任意の運用としての不適切な対応事例 11
7.追加工事について
---------------------------------------------------------------------------- 12
8.設計変更による変更契約
------------------------------------------------------------------- 12
(1) 重要な設計変更
(2) 軽微な設計変更
------------------------------------------------------------------------ 12
------------------------------------------------------------------------ 13
9.その他の留意事項
---------------------------------------------------------------------------- 13
(1) 片務的意識の排除
--------------------------------------------------------------------- 13
(2) 総合評価方式における技術提案等は原則対象外 13
(3) 参考数量内訳書の取り扱い 13
1.ガイドラインの目的
大津市では、市民生活や経済活動の基盤となる、道路、河川、公園、学校などの様々な社会資本を整備・維持管理するため、毎年数多くの工事を実施しています。これらの工事を地形、地質、天候などの自然条件や市街部においては騒音、振動、交通の確保等の社会的な制約の中で完成させるため、必要な調査、検討のうえ工事発注を行っていますが、それでもなお、予見できない事態が発生し、工事内容の変更(設計変更)が避けられない場合が多くあります。
本ガイドラインは、xx市工事請負契約書(以下「契約書」という。)等を踏まえ、設計変更を行う際の発注者及び受注者双方の留意点や設計変更を行う事例を明示することで、契約関係における責任の所在の明確化及び契約内容の透明性の向上を図り、設計変更を行わなければならなくなった場合における手続きを円滑化することを目的にしています。
2.設計変更の基本事項
(1) 基本的な考え方
設計変更は、「工事の目的を変更しない範囲で、特に必要とする場合及びやむを得ない場合に行うことができるものとする。」を原則とします。
したがって、次のような場合は、上記設計変更の基本原則の範囲を超えるものですので、設計変更により対応することはできないため、別途発注とします。
□ 設計変更による増加金額の累計が当初契約金額の 30%を超える場合
□ 当初契約した施工場所以外の場所での施工を追加する場合
⇒例)・道路の片側の歩道改良工事だけのものに、反対側の歩道改良工事を追加する場合
・右岸側の護岸工事だけのものに左岸側の護岸工事を追加する場合
・車道の舗装改良工事に、隣接する歩道の舗装改良工事を追加する場合
□ 当初の工事目的と関係のない工種を追加する場合
⇒例)・橋梁下部工に、xxxを追加する場合
・山切土工事だけの工事に、法枠工を追加する場合
・河川改修工事に、隣接する道路の舗装工事を追加する場合
ただし、上記に該当する場合であっても、当初の工事と分離して発注することが、設計変更により対応することに比較して不合理であると認められる場合には、設計変更にて対応できるものとします。
⇒例1)工事目的物の一部を変更する場合
・連続する土留擁壁の一部の構造、形状等を変更する場合
・杭の長さを、支持地盤の高さに合わせて変更する場合
・外壁改修工事において、下地補修範囲を変更する場合
・舗装改良工事で路床CBRが不足するため路床の地盤改良工を追加する場合
例2)工事目的物の築造と一体を成すものを変更する場合
・工事目的物を築造するための仮設物又は仮設工法を変更・追加する場合山留工法を鋼xx工法から深礎工法に変更する場合
掘削に伴う家屋防護工(地盤改良工)の範囲を変更する場合
・建設発生土の処分先を変更する場合
・盛土材料を、他現場の流用土から購入土に変更する場合
この例示の場合でも、当該工事の施工区域内であるか、又は当該工事の施工区域内に隣接していなければなりません。
(2) 設計変更を行う場合
設計変更については、契約書において次の場合に行うものと規定しています。
表1 主な設計変更を行う場合とその根拠規定
設計変更を行う場合 | 根拠規定 | ||
1 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書(以下 「設計図書」という。)が互いに一致しない場合 (⇒5-1) | 契約書第 18 条 第 1 項第 1 号 | ||
2 | 設計図書に誤謬又は脱漏がある場合 | (⇒5-2) | 契約書第 18 条 第 1 項第 2 号 |
3 | 設計図書の表示が明確でない場合 | (⇒5-3) | 契約書第 18 条 第 1 項第 3 号 |
4 工事現場の形状、地質、ゆう水等の状態、施工上の制約等設計図書 に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合 (⇒5-4) | 契約書第 18 条 第 1 項第 4 号 | ||
5 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのでき ない特別な状態が生じた場合 (⇒5-5) | 契約書第 18 条 第 1 項第 5 号 | ||
6 | 発注者が必要と認め、設計図書の内容を変更する場合 | (⇒5-6) | 契約書第 19 条 |
7 工事用地等の確保ができない等のため又は天災等であって受注者の 責めに帰すべきことができないものにより、受注者が工事を施工できないと認められる(工事を一時中止する必要がある)場合(⇒5-7) | 契約書第 20 条 | ||
8 発注者が、受注者が行う「設計図書の照査」の範囲を超える作業を 指示した場合 (⇒5-8) | 契約書第 18 条 |
上記以外にも契約書第 8 条、第 15 条、第 21 条、第 22 条、第 24 条から第 27 条、第 29
条、第 33 条等において設計変更する場合があることを規定しています。
しかし、表1にあてはまる場合であっても、設計変更の基本原則の範囲を超える場合は、設計変更により対応することはできません。
また、発注者の指示を受けずに工事内容を変更して施工するなど、xxの手続を経てない場合も、設計変更により対応することはできません。
3.設計変更が不可能な場合
表2に示すような場合は、原則として設計変更で対応することはできません。
表2 設計変更が不可能な場合
設計変更が不可能なケース |
1 設計図書に条件明示のない事項において契約書第 18 条第 1 項から第 4 項に規定する 手続を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合 |
2 発注者に契約書第 18 条第 1 項に基づく通知を行っているが、発注者からの調査結果 の通知前に施工を実施した場合 |
3 承諾で施工した場合 |
4 契約書第 18 条から第 24 条に定められた所定の手続を経ていない場合 |
5 指示・協議等、書面によらない場合 参考 xx市建設工事監督要綱 第 6 条(指示書、承諾書) 監督職員は、書面により受注者に対し指示又は承諾を行うときは、原則として、指示書、承諾書(様式第 1 号)により行う。 |
ただし、契約書第 26 条(臨機の措置)での対応の場合は、この限りではありません。
4.発注者及び受注者のとるべき措置
(1) 発注者
発注者は受注者が工事目的物を適切に施工できるよう、必要な施工条件を明示した設計図書を作成し、また、設計図書の訂正又は変更の必要が認められた場合には、受注者に対して書面により指示を行わなければなりません。
また、工事目的と関係のない工種の追加や別の工事で施工すべき工種の追加を受注者に対して指示をしてはいけません。
そのため、発注者は次の事項にかかる措置をとる必要があります。
ア 設計変更を行う必要が認められた場合には、必要な指示、協議等を書面で行う。
※書面には「本指示(協議)内容は設計変更の対象とする(又はしません)。」と明記する。
イ 受注者から設計図書について確認の請求があった場合には、受注者の立会いの上、調査を行う。
ウ 設計変更後の請負代金額や工期は、受注者と協議の上、決定する。(契約書第 23 条、第 24 条)
(2) 受注者
受注者は、工事の目的を達せられるよう施工する義務があり、そのため工事の施工にあたっては発注者の意図、設計図書、現場条件などを確認する必要があります。
適切に工事を施工するため、受注者は次の事項に留意しなければなりません。
ア 設計図書と工事現場に相違がある、必要な条件明示がされていないなど施工する上で疑問が生じた場合は、速やかに発注者に通知する(契約書第 18 条第 1 項)。
イ 数量・仕様等の設計図書の変更が必要な場合は、その旨、発注者と協議を行い、発注者の書面による指示に従い施工する(独自の判断で施工しない)。
5.設計変更を行う場合の具体的な事例及び手続き
工事を実施していく中で、2(2)の表1に示した理由により、当初の設計どおりに工事をできない場合があります。
このような場合、工事目的を達成するために設計図書の内容を変更し、それに応じて工期、請負代金額を変更することになります。
以下に、設計変更を行う場合の具体的な事例と設計図書、工期、請負代金額の変更を行うまでの手続をフロー図で示します。
5-1 設計図書が互いに一致しない場合(契約書第 18 条第 1 項第 1 号)
(1) 具体的な事例
□ 図面と設計書でH鋼の規格、舗装の厚さが一致しない。
□ 図面と設計書で管の口径が一致しない。
□ 図面と設計書の数量(管敷設延長、舗装面積、材料、仕様等)が一致しない。
(2)設計変更を行うまでの手続き
設計図書が互いに一致しないことが判明した時点から、設計変更するまでに発注者と受注者が行う手続きを図1に示します。
なお、5-2~5-5の場合の手続きも5-1の場合の手続きと共通です。
図1 設計図書が互いに一致しない場合の手続き
(5-1~5-5共通)
受注者
発注者
発注者、受注者立会いの上、調査を実施(契約書第 18 条第 2 項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、当該契約締結時の価格を基礎として、発注者、受注者協議して決定(契約書第 23 条及び第 24 条)
必要がある場合、発注者が設計図書の訂正又は変更
(契約書第 18 条第 4 項)
受注者の意見を聴いた上で結果を取りまとめ、受注者に通知
(契約書第 18 条第 3 項)
請求内容を確認するため、調査の実施を決定(契約書第 18 条第 1項)
ただちに発注者に通知し、確認を請求(契約書第 18 条第 1 項)
ごびゅう だつろう
5-2 設計図書に誤謬がある又は脱漏がある場合(契約書第 18 条第 1 項第 2 号)
(1) 具体的な事例
① 設計図書に誤謬(誤りが)ある場合
□ 図面により同一部分の舗装構成が異なっている。
□ 設計図書に示されている矢板の打設方法では、条件明示されている土質で施工できない。
② 設計図書に脱漏(記載漏れ)がある場合
□ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない。
□ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない。
□ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導員についての条件明示がない。
□ 使用する部材の品質が明示されていない。
□ 図面に示されている器具が設計書に計上されていない。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図1と同じです。
5-3 設計図書の表示が明確でない場合(契約書第 18 条第 1 項第 3 号)
(1) 具体的な事例
□ 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確である。
□ 水替工実施の記載はあるが、作業時、常時などの運転状況等の明示がない。
□ 使用する材料の規格(種類、強度等)が明確に示されていない(明示が不十分である)。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図1と同じです。
5-4 設計図書と実際の工事現場が一致しない場合(契約書第 18 条第 1 項第 4 号)
(1) 具体的な事例
□ 設計図書に明示された土質や地下水位と工事現場の土質や地下水位が一致しない。
□ 設計図書に明示された地盤高と工事現場の地盤高が一致しない。
□ 設計図書に明示された舗装版、地下埋設物等と工事現場の舗装版、地下埋設物等が一致しない。
□ 設計図書に明示された地下埋設物の位置と工事現場での位置が一致しない。
□ 設計図書に明示された地形と工事現場の地形が一致しない。
□ 設計図書に明示された機械設備の寸法と設置箇所の寸法が一致しない。
□ 設計図書に明示された補修箇所の形状と補修部品の形状が一致しない。
□ 設計図書に明示された交通誘導員の人数と規制図が一致しない。
□ 設計図書に明示された埋設物よりも大きい(多くの)埋設物が設置されていた。
□ 設計図書に明示された劣化の範囲、劣化の程度と実際の劣化の範囲、劣化の程度が一致しない。
□ 設計図書に明示された地盤改良材、配合量で想定している改良後の強度と工事現場での試験による改良後の強度が一致しない。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図1と同じです。
5-5 予期することのできない特別な状態が生じた場合(契約書第 18 条第 1 項第 5 号)
発注者が設計図書において施工条件として定めなかった事項に関して、工事着手後に予期することのできない特別な状態が生じた場合、契約締結や工事施工の前提が大きく変わり、受注者が当初の設計図書どおりに施工することが困難又は不適当であるので、設計変更を行います。
(1) 具体的な事例
□ 工事範囲の一部に軟弱な地盤があり、地盤改良が必要になった。
□ 埋蔵文化財が発見され、調査が必要となった。
□ 予見できなかった地中障害物が発見され、調査が必要となった。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図1と同じです。
5-6 発注者が必要と認め、変更する場合(契約書第 19 条)
発注者は、仕様や施工方法を十分検討した上で設計図書を作成し工事発注していますが、工事の施工途中において、発生当初の判断を変更せざるを得ない事態が生じることがあります。そのような場合、設計変更を行います。
(1) 具体的な事例
□ 地元調整の結果、施工範囲を拡大(縮小)する。
□ 地元調整の結果、施工時間、施工日を変更する。
□ 同時に施工する必要のある工種が判明し、その工種を追加する。
□ 施設の維持管理方法が具体化し、施工内容を変更する。
□ 警察、河川・鉄道等の管理者、電力・ガス等の事業者、消防署等の協議等により、施工内容の変更、工事の追加をする。
□ 関連する工事の影響により施工条件が変わったため、施工内容を変更する。
□ 工事現場の安全管理上、フェンス等の防護施設(共通仮設費に含まれるものを除く。)が必要と判断し、追加する。
□ 当初設計で指定していた建設副産物(残土等)の処分先を変更する。
□ 使用材料を変更する。
□ 隣接工事との調整で、交通誘導員の人数を変更する。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図2 発注者の都合により設計変更を行う場合の手続き(5-6)
受注者 | 発注者 設計変更の必要があると判断 (契約書第 19 条) 発注者が設計図書の変更を行い、受注者にその内容を通知 (契約書第 19 条) | ||
工期、請負代金額を変更する必要があるして、発注者、受注者協議して決定(契 | 場合は、当該契約締結時の価格を基礎と約書第 23 条及び第 24 条) | ||
5-7 工事を一時中止する必要がある場合(契約書第 20 条)
工事用地等の確保ができない等のため又は自然的若しくは人為的な事象であって受注者の責めに帰すことが出来ないものにより、工事目的物等に損害を生じ、若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合です。
(1) 具体的な事例
① 工事用地等の確保ができない場合
□ 発注者の義務である工事用地等の確保が行われていない。
□ 設計図書に工事着工時期が定められているが、その期日までに受注者の責によらず施工できない。
□ 警察、河川・鉄道等の管理者等の管理者間協議が終わっていない。
□ 管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された。
② 自然的若しくは人為的な事象により工事を施工できない場合
□ 受注者の責によらない何らかの事象(地元調整等)が生じた。
□ 設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない。
□ 予見できない事態(地中障害物の発見等)が発生した。
□ 設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが不可能と認められる。
□ 別契約の関連工事の進捗が遅れた。
□ 設計時に行った関係機関等との基本協議に基づく施工方法が、工事契約後に行った詳細協議で変更された。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図3 工事を一時中止する場合の手続き(5-7)
発注者
受注者の責めに帰すことができないもののため、受注者が工事を施工することができない事態が発生(契約書第 20 条第 1 項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、当該契約締結時の価格を基礎として、発注者、受注者協議して決定(契約書第 23 条及び第 24 条)
受注者
発注者は必要があると認められるときは、工期又は請負代金額を変更し、必要な費用を負担
(契約書第 20 条第 3 項)
通知された内容の工事を一時中止
発注者は、工事の一時中止を受注者に通知し、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。(契約書第 20 条第 1 項)
(3) 留意事項
(1)により工事を一時中止せざるを得ない場合がありますが、工事発注の基本的な考え方は「工事の発注に際して、地元設計協議、工事用地の確保、占用事業者等協議、関係機関協議を整え、適正な工期を確保し、発注を行うことが基本となる。」であることから、この考え方を十分認識して工事発注に努める必要があります。
なお、工事を一時中止する場合、「工事の一時中止に係るガイドライン」により適切な対応を行ってください。
5-8 発注者が「設計図書の照査」の範囲を超える作業を指示した場合(契約書第 18条)
受注者は、5-1~5に示した状態が生じた場合、この事実を監督員に通知しなけれ
ばなりません。また、この後に行う調査について、監督員に対し意見を言う機会があります。
受注者は、これらの通知や意見を書面により行う必要がありますが、この際に受注者が作成するべき資料の範囲(受注者が行う「設計図書の照査」の範囲)を超えるものとして、次のものなどが想定されます。
発注者は、受注者に「設計図書の照査」の範囲を超える設計図書の訂正又は変更を実施させる場合において、必要があると認められる場合は、工期、請負代金額を変更しなければなりません。
(1) 「設計図書の照査」の範囲を超えるもの
□ 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
□ 施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
□ 現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
□ 構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
□ 構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
□ 現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの。
□ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
□ 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
□ 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
□ 「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
□ 構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
□ 設計根拠まで遡る設計図書の見直し、必要とする工費の算出。
□ 舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断図面が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書第3編 2-6-15 路面切削工、2-6-17 オーバーレイ工に該当し縦横断設計を行うものは照査設計に含まれる)。
□ 現地調査の結果、既存の埋設物(ケーブル、配管等)等の位置や内容の見直しの必要が生じた場合。
□ 現地調査の結果、設計図書で明示している既存設備の機能や能力等が異なる場合の容量計算及び図面作成
(注意)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとします。
(2)設計変更を行うまでの手続き
図4 設計図書の照査の範囲を超える指示をした場合の手続き(5-8)
受注者
発注者
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、当該契約締結時の価格を基礎として、発注者、受注者協議して決定(契約書第 23 条及び第 24 条)
発注者、受注者立会いの上、調査を実施(契約書第 18 条第 2 項)
(契約書第 18 条第 1 項)
直ちに発注者に通知し、確認の請求
を請求
発注者は必要があると認められるときは、工期又は請負代金額を変更し、必要な費用を負担
(契約書第 19 条)
必要がある場合、発注者が設計図書の訂正又は変更
(契約書第 18 条第 4 項)
発注者の指示に基づき資料を作成
受注者の意見を聴く(契約書第 18
条第 3 項)際に、受注者が行うべき設計図書の照査の範囲を超える資料の提出を指示
請求を受けたとき、自ら気付いたときは、調査の実施を決定
(契約書第 18 条第 2 項)
6.施工方法等の指定・任意の運用
(1) 指定・任意の基本的な考え方
工事目的物を完成させるために必要な仮設及び施工方法その他一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、受注者がその技術力等を発揮するところであるため、施工主体である受注者の責任による自主的な選択が原則となります。
一方、受注者の自主的な選択を制限する必要がある場合は、設計図書等に特別の定めを明示し、施工方法等を指定することができます。
契約書第 1 条第3項
仮設、施工方法その他工事目的物を完成させるために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この契約に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
(2) 指定・任意の設計変更における留意点
任意の施工方法等は、受注者がその責任において定めるものなので、原則として設計変更の対象としません。ただし、設計図書に明示された施工方法等を選定するための必要な条件に変更が生じた場合は、設計変更の対象となります。
なお、指定の施工方法等は、設計変更の対象となります。
表3 指定・任意の考え方
x x | 任 意 | |
設計図書での取扱い | 施工方法等について具体的に指定します | 施工方法等について具体的には指定しません (参考図を示す場合はある) |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必 要 | 受注者の任意 |
施工方法等の変更が生じた 場合の設計変更 | 対象とします | 対象としません |
明示した条件の変更が生じ た場合の設計変更 | 対象とします | 対象とします |
(3) 指定・任意の運用としての不適切な対応事例
□ ○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。(発注者)
□ 標準歩掛りではバックホウでの施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。(発注者)
□ 新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。(発注者)
□ 任意部分において、受注者の考えで決定した施工方法にも係わらず、結果的に費用が増額したことにより契約金額の増額を要求。(受注者)
7.追加工事について
工事内容の変更を行う場合、それに伴って設計変更手続きを行いますが、その変更部分が「設計変更の基本原則」を超えるものについては、設計変更手続きを行うことはできません。この場合、当該設計変更部分の工事については、必要に応じて、当初の工事とは別の工事(以下、「追加工事」という。)として発注を行います。
この場合でも、工事発注の原則は競争入札であるため、追加工事が必ず随意契約で発注されるわけでありません。随意契約により契約を締結する場合は、設計変更の対象となる先行する工事(以下「元工事」という。)がまだ施工中であることを前提に、追加工事が元工事と密接に関連している必要があります。具体的には、原則として、同一工事場所であること、追加工事の履行期限が元工事の工期内であること等、が求められます。
8.設計変更による変更契約
設計変更により変更契約で対応するものは、変更内容により、次の2つに分類されます。
(1) 重要な設計変更
「重要な設計変更」とは、次のいずれかに該当するものをいい、原則、変更の理由が生じた都度、変更契約を締結するものであります。
① 構造、工法、位置、断面等を変更するもので重要なもの。
□ 重力式擁壁を逆T型擁壁等に変更するもの。
□ 鉄筋コンクリート造から鉄骨鉄筋コンクリート造に変更するもの。
□ 杭基礎工の杭を既製杭から場所打杭に変更するもの。
□ 山留工法を鋼xx工法から深礎工法に変更する場合
□ 主要となる工種、工法を変更する場合
② 施工数量等の変更で著しい変更
□ 変更見込額(設計金額ベース)の合計額が当初の設計金額の3割を超えるもの。
⇒ 別途工事として契約すべきものの基準に該当するが、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものとして設計変更で対応するものは、この基準に該当するため、重要な設計変更として変更の理由が生じた都度、変更契約を行います。
ただし、設計変更金額が 5000 万円を超えず、下記の例のような、やむを得ない事情がある場合で、契約検査課との設計変更事前協議を終了したものに限り、軽微な設計
変更と同様にまとめて行うことができます。
例)切土工事で、条件明示に示した土質と工事現場が大きく異なる場合など、変更の理由が生じた時点において、重要な設計変更に該当することは予想されるが、当該箇所の施工が完了しないと変更の内容(数量等)が確定しないもの。
なお、変更契約にあたり議会の承認が必要な工事にあっては、契約検査課と十分協議し、適切に対応することとします。
(2) 軽微な設計変更
「軽微な設計変更」とは、重要な設計変更以外のものをいい、まとめて変更契約できます。ただし、変更契約が工期末直前にならないように、適切に設計変更を行うことが必要です。
9.その他の留意事項
(1) 片務的意識の排除
建設業法第 18 条では「建設工事の請負契約の原則」として「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を締結し、xxに従って誠実にこれを履行しなければならない。」と規定しています。この請負契約の原則に基づき、発注者という優位的立場を利用した無報酬業務(いわゆる「サービス工事」)の強要など、受注者に対する理不尽な要求は行わないよう注意してください。
(2) 総合評価方式における技術提案等は原則対象外
総合評価方式における技術提案等は、落札者の決定要素として重要なものであることから、原則として設計変更の対象となりません。ただし、受注者の責によらず、技術提案等が履行できない場合を除きます。
(3) 参考数量内訳書の取り扱い
建築・設備工事では、入札に際して参考数量内訳書を配布しておりますが、参考であるため設計図書に含まれませんので、設計図書と数量内訳書の相違は設計変更の対象とはなりません。
入札参加者や受注者は、入札前の見積時や施工前に入念に精査されたうえで、疑義があれば質問書等により早期の解消に努めて下さい。
附 x
xガイドラインは、平成 25 年 8 月 1 日から施行する。