Contract
平成 22 年度厚生労働省委託事業
派遣元事業者のための
就業規則の作成のポイント
派遣労働者とのトラブルを未然に防ぐために
2011 年 3 月
目 次
はじめに 1
Ⅰ 派遣労働者の労務管理をめぐる主なトラブルと対応 2
Ⅱ トラブル等に対応した就業規則作成のポイント 4
・契約の更新、契約の解除 4
・派遣先での勤務態度、服務規定の遵守 12
・守秘義務、機密情報保持 18
・賃金(給与) 20
・年次有給休暇 22
・育児休業、短時間勤務制度 26
・相談、苦情対応 32
・就業規則の周知と効力 34
Ⅲ その他の就業規則作成のポイント 38
・常用型(期間の定めのない雇用)の派遣労働者 38
Ⅳ 役に立つURL集 40
問い合わせ先:都道府県労働局労働基準部監督課一覧
はじめに
・ このパンフレットは、派遣労働者の就業規則を導入又は改訂しようとする派遣元事 業者の参考のために、作成するものです。
・ 常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は、労働基準法第 89 条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。
・ 労働者が安心して働ける明るい職場を作ることは、事業規模や業種を問わず、すべての事業場にとって重要なことです。そのためには、あらかじめ就業規則で、労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、労働者の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが大切です。
・ また、トラブルが生じたときは、トラブルの内容や発生日時、会社としての対応、労使間のやりとりを記録しておくことが、トラブルを悪化させることを防ぐのに役立ちます。
・ 派遣労働をめぐっては、近年、経済情勢の悪化に伴う労働者派遣契約の中途解除を理由とする雇用契約期間中の解雇が社会問題となり、コンプライアンスと派遣労働者の労働条件の確保・改善が特に求められています。
-就業規則を定め、トラブルの防止に努めることは、
派遣労働者のみならず、派遣元事業者にとってもメリットのあることです-
・ 派遣労働者の就業規則といっても、基本的には、一般労働者向けの就業規則や、有期契約労働者向けの就業規則と大きく異なるものではありません。ただし、労務管理が派遣元事業者と派遣先事業者にまたがって行われ、両者の責任が区分されていることや、業務内容等によって労働契約の期間に上限があるなど、派遣労働の特徴に応じて条文や文言を定めるべき部分があります。
・ こうしたことから、このパンフレットは、派遣労働者の労務管理にかかわる主なトラブルを防止する観点から、派遣元事業者など約 30 カ所へのインタビュー調査をもとに、就業規則作成にあたってのポイントや規定例をとりまとめています。
・ 既に就業規則を定めている派遣元事業者においては、本パンフレットで取り上げた項目に基づいて自社の就業規則の見直しを図ることができます。また、新しく就業規則を作成する派遣元事業者においては、モデル就業規則と本パンフレットのポイントを活用することによって、就業規則作成の際の参考にすることができます。
1
1
Ⅰ 派遣労働者の労務管理をめぐる主なトラブルと対応
ヒアリング調査によって把握した、派遣労働者の労務管理をめぐる主なトラブル等としては下記のようなものがあります。これらを防止する観点での就業規則等での対応、工夫している事業者の例にみる作成のポイント、作成例については、参照先のページをご覧ください。
■契約の更新、契約の解除
○中途解除に際して提示した新たな派遣先を「従来と同等以上の条件の就業先でない」と断られたので、やむなく雇用契約を打ち切ったところ、トラブルに 4
○契約が更新されるものと思っていた派遣労働者との間でトラブルに 8
○連絡がとれなくなった派遣労働者を懲戒解雇したところ、解雇は不服だとして問題になった 10
■派遣先での勤務態度、服務規定の遵守
○「職場に来るような格好ではない」「勤務時間中に私用の携帯電話をしていた」「遅刻が多い」と派遣先から苦情 12
○派遣先に損害を与えた派遣労働者に弁償を求めたい 16
■守秘義務、機密情報保持
○派遣先から、「守秘義務(機密事項漏洩禁止)に関する誓約書に、派遣労働者本人のサインや住所の記載がほしい」と言われた 18
■賃金(給与)
○思っていたより賃金(給与)が少ないと、派遣労働者が不満(「社会保険料の控除を知らなかった」「賞与・退職金・交通費がない」) 20
■年次有給休暇
○年次有給休暇を取りたいと派遣先に請求したところ、派遣先が認めてくれなかったといって派遣労働者が不満(派遣先に年次有給休暇を申請) 22
2
2
○年次有給休暇が消失すると思った派遣労働者が、派遣契約期間の満了までに残りの年次有給休暇を取得したいと要望(年次有給休暇の退職前の取得、繰り越し) -24
■育児休業、短時間勤務制度
○育児休業の取得について、育児休業明けに派遣先が確保されている派遣労働者に限って認めるという条件を設けていたところ、法律違反ではないかと言われた 26
○育児・介護休業法の改正による短時間勤務制度の創設や所定外労働(残業)免除の義務化に、派遣元事業者としてどのように対応したらよいか分からない 29
■相談、苦情対応
○相談先がわからなかった派遣労働者が、派遣元事業者が設けている相談窓口を通さず、いきなり訴訟を起こして、問題がこじれてしまった 32
■就業規則の周知と効力
○派遣労働者が就業規則の内容を理解していなかった/派遣労働者を参加させずに労働者の過半数代表を決めていたため、就業規則の正当性が問われてしまった 34
3
3
Ⅱ トラブル等に対応した就業規則作成のポイント
■契約の更新、契約の解除
<主なトラブル例>
○中途解除に際して提示した新たな派遣先を「従来と同等以上の条件の就業先でない」と断られたので、やむなく雇用契約を打ち切ったところ、トラブルに
-解説-
・ 派遣労働者の責に帰すべき事由以外で労働者派遣契約の中途解除が行われた場合には、派遣先と連携し、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けたり、派遣元で他の派遣先を確保して、派遣労働者に新たな就業機会の確保を図ることが求められます。そして、新たな就業機会が確保できない場合は、まず休業等を行って雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払いなど労働基準法等に基づく責任を果たすこと、さらに、やむを得ない事由でこれができない場合において派遣労働者を解雇しようとするときであっても、派遣労働者に対する解雇予告、解雇予告手当の支払い等の労働基準法等に基づく責任を果たすことはもとより、労働契約法の規定を遵守することが求められます。(「派遣元・派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」)
・ 派遣労働者を休業させる場合は、平均賃金の 6 割以上の休業手当を支払うことが必要です。(労働基準法第 26 条)
・ 派遣労働者を解雇する場合は、30 日以上前に予告するか、予告しない場合は平均賃金の 30 日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要です。(労働基準法第 20 条)
・ 新たな就業先の紹介においては、従来と同等以上の条件の就業先を紹介することが 求められた裁判例もあります(エキスパートスタッフ事件(東京地裁 平成 9 年 11 月 11 日判決))。そうした仕事を提供できない場合、契約違反になるとして、派遣労働者が派遣元事 業者に対し、損害賠償として賃金全額を請求するケースがあります。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 労働者派遣契約終了前に派遣先が一方的に派遣を打ち切る「中途解除」が大きな社会的問題となったことを受けて、労働者派遣法第 26 条が改正され、派遣先からの一方的な契約解除に対して派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を労働者 派遣契約に記載することが義務づけられました。また、派遣労働者に対する就業条件明示書注)でも、「派遣契約解除の場合の措置」を明らかにすることが義務づけられています。
・ 就業条件明示書に、新たな就業機会の確保ができない場合は休業手当を支払うこと、
4
4
派遣契約解除に伴う解雇を行う場合の具体的な措置について記載します。
・ 就業条件明示書の「派遣契約解除の場合の措置」欄は、厚生労働省の「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」に沿って書かれることが多いようです。
(参考)就業条件明示書「派遣契約解除の場合の措置」欄への記載例
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣スタッフの責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣スタッフの新たな就業機会の確保を図ることとする。
また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするととともに、休業手当の支払い等の労働基準法等に基づく責任を果たすこととする。
さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣スタッフを解雇しようとするときであっても、当該派遣スタッフに対して少なくとも 30 日前に予告することとし、30 日前に予告しないときは労働基準法第 20 条第 1 項に基づく解雇予告手当を支払うこと、休業させる場合には労働基準法第
26 条に基づき平均賃金の 6 割の休業手当を支払うこと等、雇用主に係る労働基準法等に基づく責任を果たすことはもとより、労働契約法の規定を遵守することとする。
・ 就業規則にも、就業条件明示書への記載が義務づけられている「派遣契約解除の場合の措置」の内容を記載することが望まれます。(<就業規則の例> 例①)
・ 就業規則への記載例としては、新たな就業機会の確保ができない場合は休業手当を支払うこと、(新たな就業機会の提供に伴って、雇い入れ時に示した派遣先又は派遣先における就業場所からの)就業場所の変更があることを記載している例があります。(例③)
・ 休業させる場合の休業手当については、「労働基準法第 26 条に基づく休業手当を支
払う」旨を記載する派遣元事業者が多くなっています。(例①、②)
(注)労働条件通知書と就業条件明示書
・ 労働条件通知書:派遣元事業者と派遣労働者が雇用契約を締結する際に明示することが労働基準法により義務づけられているもので、書面によって明示することが義務づけられている事項としては、契約期間、就業場所、業務内容、休日、休暇、賃金、退職等があります。なお、契約更新の有無、社会保険の加入の有無等、その他の事項についても、できるだけ書面によって明示することが望まれます。
・ 就業条件明示書:派遣就業を開始するときに派遣元事業主から明示することが労働者派遣法により義務づけられているもので、業務内容、就業場所、指揮命令者、派遣期間、就業日・時間、苦情処理の申出先等は、明示すべき事項として法律によって定められています。
・ 登録型派遣労働者に対し、労働条件通知書と就業条件明示書を同時に交付する場合、両者の記載事項
のうち同一事項については、一方を省略して差し支えないこととされています。
5
5
<工夫している事業者の例>
・ 労働者派遣契約や就業条件明示書に、「派遣契約解除の場合の措置」を明記した上で、派遣労働者とよくコミュニケーションをとり、誠意ある態度を示すことで、派遣労働者と良好な関係を維持している派遣元事業者の例がみられます。
<就業規則の例>
第2章 人事
(派遣期間終了前における派遣の中止)
第○条 派遣スタッフが、当初に明示された派遣期間の満了前に、派遣先における業務処理が終了した場合、又は派遣先のやむをえない事由により、派遣先から業務処理の終了の申し入れがあった場合には、会社は、派遣期間が終了したものとみなして、その派遣先への派遣スタッフの派遣を中止する。この場合においては、会社は速やかにスタッフを別の派遣先に派遣するように努力する。
2 前項の場合において、新たな就業機会の確保ができないときは、会社は、まず休業等を行い、当該派遣スタッフの雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払い等の労働基準法等に基づく責任を果たすこととする。なお、やむを得ない事由により当該派遣スタッフを解雇しようとするときであっても、少なくとも 30 日前に予告することとし、30 日前に予告しないときは労働基準法第 20 条第 1 項に基づく解雇予告手当を支払うこと等、雇用主に係る労働基準法等の責任を負うことはもとより、労働契約法の規定を遵守することとする。
○派遣契約解除の場合の措置 例① 《就業規則への記載例》
例② 《就業規則に、休業と休業手当の支払いについて記載する例》
(自宅待機による休業)
第○条 会社は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に、労働者派遣契約が解除された派遣スタッフに対し、一定期間の継続又は断続した自宅待機による休業を命ずることがある。
2 前条の休業期間は、その都度会社が定める。
3 休業期間中の取扱いは次の通りとする。 1)休業期間中は労働基準法に定める休業手当を支給する 2)休業期間中であっても派遣スタッフの身分を有する
6
6
○新たな就業先の変更に伴う就業場所の変更
例③ 《就業規則に、新たな就業先の変更に伴う就業場所の変更について記載する例》
第2章 人事
(就業場所の変更)
第○条 会社は業務の都合により、雇い入れ時に示した派遣先又は派遣先における就業場所(以下、就業場所という。)を変更することがある。
2 会社は前項により、就業場所の変更を行う場合は、派遣スタッフの不利益にならないよう次の労働条件を確保するものとする。 1)通勤時間が増加する場合でも、現就業場所から 60 分の増加が限度であること
2)所定就業時間は、現就業時間の概ね 10%以内の増減であること
3)対象業務が、派遣スタッフにおいて登録している職種又は現就業職種であること
4)時間給は、現就業条件に定める時間単価の 100%が補償されるものであること
7
7
<主なトラブル例>
○契約が更新されるものと思っていた派遣労働者との間でトラブルに
-解説-
・ 派遣労働者との雇用契約が、有期労働契約(期間の定めのある労働契約)である場合は、契約時に更新の有無を明示しなければなりません。また、更新する場合があると明示したときは、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」第 1 条第 1 項、2 項)
・ 契約時において、それらをあいまいにしていたために、期間満了時に個別労働紛争が生じていることが少なくありません。
・ また、何度か更新していると、次もまた更新されるものと派遣労働者が期待を抱き、 継続的な収入を見込んでマンションを買ってしまった派遣労働者との間でトラブルになった例があります。なお、3 回以上契約を更新している又は働き始めて1年を 超えている派遣労働者の契約を更新しない場合、契約期間の満了する日の 30 日以 上前までに契約を更新しない旨の予告をしなければなりません。(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」第 2 条)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 雇用契約が自動更新ではない場合、就業規則に、雇用期間を自動更新しないことを明記することは、トラブル防止につながります。
・ 就業規則に、更新の有無や、更新の基準を明記することが望まれます(トラブル防止のため、労働条件通知書や就業条件明示書には必ず明記してください)。なお、更新の基準は、各派遣元事業者の事情に応じて項目を加減することが考えられます。
・ 労働条件通知書等に明記するだけでなく、派遣労働者にその内容を説明し、理解させることが大切です。
・ また、継続雇用を期待させる言動を行わないよう、派遣元事業者や派遣先が注意す
ることも必要です。
<工夫している事業者の例>
・ 労働条件通知書や就業条件明示書に、更新の有無や、契約を更新することがある場合の判断基準を記載している例が見られます。(厚生労働省「労働条件通知書(派遣労働者:常用、有期雇用型)」参照))
・ 就業規則において、「雇用期間」の項目のなかで「再契約することがある」と記載している例が見られます(例①)。また、就業規則で、「自動更新しない」旨を明記している派遣元事業者もあります(例②)。
・ 就業規則に、更新の基準(項目)を明記している派遣元事業者もあります(例②)。
8
8
<就業規則の例>
○契約の更新
例① 《契約の更新の可能性について記載している例》
第2章 人事
(雇用期間)
第○条 派遣スタッフの雇用期間は、原則として1年を超えないものとし、採用の都度会社が定める。
2 会社は、業務の必要に応じて、所定の雇用期間終了後、再契約をすることがある。
3 更新の有無及び更新することがある場合の更新の基準については、個別に労働契約書において定める。
例② 《契約を自動更新しないことを記載している例》
第2章 人事
(雇用期間)
第○条 派遣スタッフの雇用契約の期間は、原則として1年を超えないものとし、雇用契約により定める。
2 前項の雇用契約の期間は、会社が次の基準に基づき必要と判断した場合に、派遣スタッフに事前に通知し、派遣スタッフの同意を得た上で更新することがあるが、自動更新はしない。
1)派遣先との契約更新の有無
2)派遣業務の内容又は契約の条件変更の有無
3)契約期間中の勤務成績、態度又は勤怠状況
4)業務遂行能力、又は業務効率性
5)派遣業務の進捗状況
6)派遣業務量の変更の有無
7)派遣人員数の変更の有無
8)会社及び派遣先が徴求する勤怠その他各種帳票類の提出状況
9)本規則を含む会社規定の遵守状況
10)その他上記各号に準じる状況の有無
3 派遣スタッフと会社との雇用契約は期間の定めのある契約であり、前項の会社からの通知が派遣スタッフに行われない限り、派遣スタッフと会社との雇用契約(更新した場合は更新後の雇用契約)の期間が終了した日をもって、派遣スタッフと会社との間の雇用関係は期間満了により終了する。ただし、期間の定めのある契約を 3 回以上更新した又は雇い入れからの期間が1年を超えた派遣スタッフについて、期間満了により雇用契約を終了させる場合は、終了させる 30 日以上前に契約を更新しない旨の予告を行う。
9
9
<主なトラブル例>
○連絡がとれなくなった派遣労働者を懲戒解雇したところ、解雇は不服だとして問題になった
-解説-
・ 労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも 30 日以上前に予告するか、30 日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。(労働基準法第 20条)
・ 労働者を解雇するには、労働者に解雇の意思表示を行うことが必要です。しかしながら、上記のトラブル例では、派遣労働者と連絡がとれなかったことから、解雇の意思表示が本人に到達したとはいえず、解雇は成立しないことになります。
・ 対処方法としては、1)一定期間連絡が取れない場合は退職とすると就業規則に定めておくこと、2)「公示送達」をすること等が考えられます。(ただし「公示送達」はあまり一般的ではないようです。)
・ 労働者の責に帰すべき事由にもとづいて解雇する場合、事前に所轄労働基準監督署から解雇予告除外の認定を受けることを条件に、解雇予告手当を支払わずに即時解雇することができます。しかし、労働者の責に帰すべき事由の認定基準についての行政解釈は、極めて限定的で厳格な考え方が示されています。認定基準の 1 つに、
「2 週間以上正当な理由がなく無断欠勤し、出勤の催促に応じない場合」というものがありますが、実際に認定基準に該当するかの具体的な判断については、労働基準監督署へ問い合わせた方がよいでしょう。その際、派遣元事業者が、出勤の督促のため派遣労働者に連絡を取ろうとした日時、連絡の手段等、派遣元事業者が適正な措置をとったことの記録をとっておくと良いでしょう。
・ 労働基準監督署の除外認定が得られなくても懲戒解雇は可能ですが、その場合でも、少なくとも 30 日前に予告するか、予告しない場合は解雇予告手当を支払わなければなりません。
・ なお、懲戒解雇を含む懲戒処分をするためには、その事由と方法が就業規則に明定されていることが必要です。
・ また、就業規則に、懲戒処分として労働者に対して減給の制裁を定める場合、減給の1回の額が平均賃金の 1 日分の半額を超えたり、その総額が 1 賃金支払い期にお
ける賃金の総額の 10 分の 1 を超えたりしてはなりません。(労働基準法第 91 条)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
10
10
<就業規則等での対応>
・ 無断欠勤で本人と連絡が取れない場合については、就業規則のなかで、「原則として
2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、連絡が取れない場合は退職とする」旨を明記しておくことが考えられます。
<工夫している事業者の例>
・ 就業規則の中で、「原則として2週間以上、連絡がとれなくなった場合は退職とする」旨を記載している派遣元事業者の例が比較的多く見られます。(例①~③)
<就業規則の例>
○音信不通又は行方不明の状況について
例① 《2週間音信不通の場合退職とする例》
第8章 退職・解雇
(退職)
第○条 派遣スタッフが次の各号の一に該当するときは退職とし、派遣スタッフとしての資格を失う。
1)死亡したとき。
2)雇用期間が満了したとき。
3)やむを得ない事由により退職の申し出が承認され、労働契約が終了したとき。
4)本人と会社の合意により、労働契約が終了したとき。
5)会社と本人が 14 日間音信不通の状態にあり、会社が本人と今後も連絡がとれないと判断したとき。
例② 《2週間音信不通又は行方不明の場合退職とする例》
第8章 退職・解雇
(退職)
第○条 派遣スタッフは、次の各号のいずれか一に該当するときは退職とする。 1)雇用期間が満了したとき。
2)やむを得ない事由により退職の申し出が承認されたとき。
3)派遣スタッフが死亡したとき。
4)音信不通又は行方不明の状況が、14 日に及んだとき。
2 派遣スタッフは、前項第2号により退職の申し出をするときは、退職を希望する日の 14 日前までに口頭、又は文書で会社に申し出なければならない。
※例②の 4)に替えて記載
4)無断欠勤を2週間続けたとき。ただし、やむを得ない事情により会社への連絡ができなかったと会社が認めたときは、これを取り消すことができる。
例③ 《2週間音信不通又は行方不明の場合退職とするが、やむを得ない事情がある場合は取り消すとする例》
11
11
■派遣先での勤務態度、服務規定の遵守
<主なトラブル例>
○「職場に来るような格好ではない」「勤務時間中に私用の携帯電話をしていた」「遅刻が多い」と派遣先から苦情
-解説-
・ 服務規律及び遵守事項は、就業規則に必ず定めなければならない事項ではありませんが、職場の秩序維持に大きな役割を果たすことから、会社にとって労働者に遵守させたい事項を定めます。
・ 派遣労働者の中には、就業経験の浅い人や、オフィスワークの経験のない人などが含まれることがあります。就業未経験者も視野に入れ、派遣先事業所での勤務態度や守るべき事項について、予め就業規則に服務規定として定めておくことは、トラブルの防止に寄与します。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則に、服務規律及び遵守事項を定めます。
・ 派遣先の企業や職場によっても基準が異なることから、派遣先に合わせた対応が必要です。就業規則には、企業や職場に共通する最低限の項目を記載しておき、企業や職場ごとに違う部分については、別途、リーフレット等により派遣労働者に通知することが考えられます。
<工夫している事業者の例>
・ 就業未経験者も視野に入れ、正社員に比べて、かなり細かく具体的に、たくさんの項目を就業規則に挙げている派遣元事業者もみられます(例①)。一方、たくさん書いても守りきれない、派遣先により服務規定が異なる等により、就業規則には最低限の項目を記載するという派遣元事業者もあります(例②)。また、派遣元事業者によっては、特定分野の遵守事項(例:パソコン使用上の遵守事項)を就業規則の中で別に項目を立てて定めているところもあります(例③)。
・ 派遣先ごとに違う服務規定等については、就業規則とは別に、「派遣先での注意事項」等として派遣労働者に渡している派遣元事業者もあります。
・ 重要な規定については、就業条件明示書やリーフレット等にも記載して派遣労働者 への周知を図ったり、登録時や派遣開始時に説明や読上げを行っている派遣元事業 者の例があります。また、「登録時誓約書」に重要な服務規定を抜粋して記載し、派 遣労働者にこれらの規定を遵守する旨の署名を求めている派遣元事業者もあります。
12
12
<就業規則の例> ※太字は派遣特有の表現と思われる部分例① 《「服務上の遵守事項」の項目が比較的多い記載の例》第4章 服務規定
(服務事項・禁止事項)
第○条 派遣スタッフは、次の各号に定める事項を遵守しなければならない。 1)常に健康に留意し、清潔感のある態度をもって誠実に勤務すること。
2)本規則並びに会社及び派遣先の指示命令を遵守して、自己の職務を正確かつ迅速
に処理し、常にその効率化をはかり、業務の改善に積極的であること。 3)出退勤・遅刻・早退に際しては、所定の方法に従って、始業及び終業の時刻を記
録すること。 4)始業時刻には、就業できる態勢にあること。
5)終業時刻前に退勤の準備をしたりしないこと。
6)就業時間中は、業務外の行為はしないこと。
7)派遣先の就業に関する規定を尊重し、所定終業時刻以降は、承認又は指示を受けたときを除き速やかに退勤すること。
8)就業中は、勝手に職場を離れたり、私用面会、私用電話をしないこと。
9)派遣先等職場の立ち入り禁止区域に入らないこと、また、職場に第三者を入場させないこと。
10)就業中は、私語を慎むこと。
11)就業中は、その職場にふさわしい清潔な服装、身だしなみ等、マナーの保持に努めること。
12)品位や人格を保ち、挨拶や言葉づかいに十分に配慮すること。
13)派遣先の承認を得ずに日常携行品以外の私物を職場に持ち込まないと。
14)派遣先等職場の整理整頓に努め、退出するときは、後片づけをすること。
15)定められた届出、手続きを怠らない、若しくは偽らないこと。
16)無断の欠勤、遅刻、早退、私用外出等は、理由の有無にかかわらず皆無であること。
17)派遣先等職場において口論、けんか、その他のトラブルを起さないよう万全を期すこと。
18)刑罰法規にふれる行為、過度の借財、不当な私利を図る行為等を行い、他人に迷惑をかけ、又は風紀を乱さないこと。
19)会社、派遣先及び協力関係企業に帰属する物品、金銭有価証券等を私的に流用、使用、着服及び隠匿したりしないこと。
20)会社が定める「秘密情報保持規定」の各事項を遵守し、在籍中はもとより、解雇又は退職後といえども、会社、派遣先及び協力関係企業に関する機密及びその他の一切の情報を他に漏らさないこと。
21)会社、派遣先及び協力関係企業の名称、業務遂行上の地位を私的な目的、その他業務遂行以外の目的で使用しないこと。
22)業務遂行上の権限を超えたことを行ったり、又は業務遂行上の権限を濫用したりしないこと。
23)会社及び派遣先の社内及び施設内でビラの配布、演説、集会、掲示、署名運動、政治、宗教、営利等の行為、及び活動を行わないこと。
24)会社の役員・社員・スタッフ、派遣先の役員・社員及び派遣先の取引先・顧客の役員・社員に対し、政治、宗教及び連鎖販売取引の勧誘を行わないこと。
13
13
25)会社、派遣先並びに協力関係企業及びそれらに属する個人を中傷、誹謗したり、
不利益を与えるような事実の歪曲を行い、又は虚偽の事実を陳述、若しくは流布したりしないこと。
26)会社、派遣先及び協力関係企業の名誉、信用を傷つけないこと。
27)派遣先等職場又はこれに準じる場所(以下「派遣先等職場等」という)において、派遣先労働者(人材派遣事業者からの派遣スタッフ、その他派遣先の労働者に準じる就業者を含む)に対して、相手方の望まない性的言動により、当該労働者に不利益を与えたり、就業環境を害するような行為を行わないこと。
28)派遣先等職場等において性的な刊行物をみだりに掲出したり、卑猥な言動その他派遣先等職場等の風紀を乱し、又は他人に著しい不快感を与える行為を行わないこと。
29)その他、前各号の服務事項・禁止事項に違反する行為に準ずるような不都合な行為をしないこと。
2 前項の服務事項又は禁止事項のいずれか一に違反した場合は、懲戒・解雇事由となることや、派遣スタッフの登録を取り消すことがある。
例② 《「服務上の遵守事項」の項目が比較的少ない記載の例》
第4章 服務規律
(服務の基本原則)
第○条 派遣スタッフは、専門技能職としての自覚を持ち、派遣先の会社の職場秩序を保持し、自己の業務に専念し、作業能率の向上に努めるとともに、派遣先の社員と互いに協力して職場の秩序を維持しなければならない。
(服務上の遵守事項)
第○条 派遣スタッフは、次の事項を遵守しなければならない。
1)この就業規則及び明示書に基づき、業務上の指揮命令に従って勤務すること。
2)職業能力を発揮できるように健康の保持増進に努めるとともに、誠実に全力で業務を行うこと。
3)在職中、退職後を問わず、業務上知り得た秘密及び個人情報を漏らさないこと。
4)派遣先の職場の規律維持及び施設利用上の注意事項を守り、職場の風紀や秩序を乱さないこと。
5)出退勤、遅刻、早退もしくは欠勤に際しては所定の方法に従って届けること。
6)就業時間中は自己の服務に専念し、承認なくして職場を離れないこと。
7)就業時間中は職場にふさわしい服装をし、他人に対しては明るく親切に、言葉遣い及び態度を丁寧にすること。
8)許可なく職場の備品、書類等を持ち出さないこと。
9)職場の設備、機会、器具その他の備品を丁寧に扱い、火災、盗難の予防に注意し、整理整頓に努めること。
10)日常携行品以外の私物及び不必要な高額の金品等をみだりに職場に持ち込まない
こと。
25)会社、派遣先並びに協力関係企業及びそれらに属する個人を中傷、誹謗したり、不利益を与えるような事実の歪曲を行い、又は虚偽の事実を陳述、若しくは流布したりしないこと。
26)会社、派遣先及び協力関係企業の名誉、信用を傷つけないこと。
27)派遣先等職場又はこれに準じる場所(以下「派遣先等職場等」という)において、派遣先労働者(人材派遣事業者からの派遣スタッフ、その他派遣先の労働者に準じる就業者を含む)に対して、相手方の望まない性的言動により、当該労働者に不利益を与えたり、就業環境を害するような行為を行わないこと。
28)派遣先等職場等において性的な刊行物をみだりに掲出したり、卑猥な言動その他派遣先等職場等の風紀を乱し、又は他人に著しい不快感を与える行為を行わないこと。
29)その他、前各号の服務事項・禁止事項に違反する行為に準ずるような不都合な行為をしないこと。
2 前項の服務事項又は禁止事項のいずれか一に違反した場合は、懲戒・解雇事由となることや、派遣スタッフの登録を取り消すことがある。
例② 《「服務上の遵守事項」の項目が比較的少ない記載の例》
第4章 服務規律
(服務の基本原則)
第○条 派遣スタッフは、専門技能職としての自覚を持ち、派遣先の会社の職場秩序を保持し、自己の業務に専念し、作業能率の向上に努めるとともに、派遣先の社員と互いに協力して職場の秩序を維持しなければならない。
(服務上の遵守事項)
第○条 派遣スタッフは、次の事項を遵守しなければならない。
1)この就業規則及び明示書に基づき、業務上の指揮命令に従って勤務すること。
2)職業能力を発揮できるように健康の保持増進に努めるとともに、誠実に全力で業務を行うこと。
3)在職中、退職後を問わず、業務上知り得た秘密及び個人情報を漏らさないこと。
4)派遣先の職場の規律維持及び施設利用上の注意事項を守り、職場の風紀や秩序を乱さないこと。
5)出退勤、遅刻、早退もしくは欠勤に際しては所定の方法に従って届けること。
6)就業時間中は自己の服務に専念し、承認なくして職場を離れないこと。
7)就業時間中は職場にふさわしい服装をし、他人に対しては明るく親切に、言葉遣い及び態度を丁寧にすること。
8)許可なく職場の備品、書類等を持ち出さないこと。
9)職場の設備、機会、器具その他の備品を丁寧に扱い、火災、盗難の予防に注意し、整理整頓に努めること。
10)日常携行品以外の私物及び不必要な高額の金品等をみだりに職場に持ち込まないこと。
14
14
14
例③ 《特定分野の遵守事項を別に定める例》
(パソコン使用上の留意事項)
第○条 派遣スタッフは、派遣先におけるパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)の利用に際し、次の事項を守り適正な管理を図らなければならない。 1)パソコンを自己又は派遣先以外の第三者の用のために使用しないこと。
2)派遣先の業務に関係ない情報をパソコンに登録しないこと。
3)派遣先から貸与された ID・パスワード等は、自己で厳重に管理をすること。
4)パソコンの利用に関し、その作業の不具合・システムの改変・不正使用・ウィルスの侵入等、又はそれらのおそれのある事実を発見したときは、直ちに派遣先に報告すること。
5)派遣先の業務に関係しない電子メールを受送信しないこと。
6)インターネットに接続されているパソコンを使用する際には派遣先の業務に関係ないウェブサイトの閲覧・プリントアウト等をしないこと。
7)派遣先の許可なく、ソフトのダウンロード・インストール、周辺機器の接続等及び環境の変更を行わないこと。
15
15
<主なトラブル例>
○派遣先に損害を与えた派遣労働者に弁償を求めたい
-解説-
・ 派遣労働者が、派遣元事業者や派遣先等に損害を与えた場合、派遣元事業者はその損害の弁償を派遣労働者に求めることがあります。ただし、その損害が派遣労働者のみの責に帰することができるか否か、派遣労働者に損害の弁償を求められるか否かの判断には慎重を要します。
・ このため、損害賠償を行う必要が生じたときに無用のトラブルが生じることを防ぐ意味で、損害賠償の規定を予め定めておくことが必要です。
・ なお、予め損害賠償の金額を規定しておくことは禁じられています(労働基準法第 16条)。ただし、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではありません。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則に、損害賠償についての規定を設けます。(例①)
16
16
<就業規則の例>
○損害賠償
例① 《損害賠償を本人に求める例》
第7章 表彰・制裁
(損害賠償)
第○条 派遣スタッフが故意又は重大な過失によって会社に損害を与えたときは、会社は派遣スタッフに、その損害を賠償させることがある。また、派遣スタッフが損害を賠償したとしても、会社は、原則として、懲戒規定に基づき懲戒等を行うものとする。
2 派遣スタッフが派遣先に損害を与えたときは、派遣スタッフにその損害を賠償させることがある。
3 派遣スタッフの損害賠償の義務は、退職又は解雇後においても免責又は軽減されるものではない。
17
17
守秘義務、機密情報保持
■守秘義務、機密情報保持
-
<主なトラブル例>
○派遣先から、「守秘義務(機密事項漏洩禁止)に関する誓約書に、派遣労働者本人のサインや住所の記載がほしい」と言われた
-解説-
・ 機密情報保持契約は、基本的に、派遣先と派遣元事業者の間、及び派遣元事業者と派遣労働者の間で取り交わされるものです。派遣先の機密情報保持については、これらでカバーされます。
・ しかしながら、派遣先が、派遣労働者に対して直接、機密情報保持契約や機密情報保持誓約書への署名を求めるxxxが見られます。なかには、派遣労働者に対し、住所や連絡先など個人情報の記載を求めるケースも見られます。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則の中に「守秘義務」や「機密情報保持」の規定を定め(例①、②)、さらに、
「服務事項・禁止事項」や「懲戒基準」の条項において、機密情報保持規定の遵守を求めたり(「派遣先での勤務態度、服務規定の遵守」の項の例①、②参照)、違反した場合の罰則及び損害賠償義務を定めます。(例④)
・ 何が秘密(機密)情報に当たるかについては、できるだけ具体的に規定しておいた
ほうがトラブル防止に役立ちます。(例③)
<工夫している事業者の例>
・ 派遣労働者からの相談を受け、派遣元事業者が派遣先に対して、そうしたことは不要であることを説明し、派遣先に理解を求めているという事業者が多いようです。中には、派遣労働者に対し、住所や連絡先など個人情報の記載を求めたケースにおいて、はっきりとした態度で記載は認められないことを伝え、場合によっては、派遣の依頼を受けないこともある、という派遣元事業者の例があります。
18
18
<就業規則の例>
○守秘義務
例① 《守秘義務を定める例》
(守秘義務)
第○条 派遣スタッフは、業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。また、雇用契約終了後についても同様とする。
例② 《機密情報保持を定める例》
(機密情報保持)
第○条 派遣スタッフは、会社及び派遣先事業者等に関する情報の管理に十分注意を払うとともに、自らの業務に関係のない情報を不当に取得してはならない。
2 派遣スタッフは、退職に際して、自らが管理していた会社及び派遣先事業者等に関するデータ・情報書類等を速やかに返却しなければならない。
例③ 《守秘義務及び機密情報にあたる事項を定める例》
(守秘義務)
第○条 派遣スタッフは、業務上知り得た情報や、取引先、顧客その他の関係者、会社・派遣先の役員・従業員等の個人情報を正当な理由なく開示したり、利用目的を超えて取り扱い、又は、漏洩してはならない。会社を退職した場合においても同様とする。
2 派遣スタッフは、会社の定めた規則を遵守しなければならない。
3 会社は、必要に応じて、会社の機密情報にかかる秘密保持に関する誓約書を提出させることがある。
4 会社の業務の範囲に属する事項について、著作・講演・執筆などを行う場合は、あらかじめ会社の許可を受けなければならない。
5 会社の機密情報とは次のものをいう。 1)会社が業務上保有している顧客の個人情報(メールアドレス、氏名、住所、電話番号等) 2)会社の取引先に関する情報(取引先会社名、住所、担当者名、取引商品等) 3)会社の企画及び商品内容に関する情報(進行中の企画内容、システムの仕様等)
4)会社の財務及び人事に関する情報
5)会社との事業提携に関する情報(提携先会社名、住所、条件等)
6)子会社及び関連会社に関する上記各号の事項
7)その他、会社が機密保持を必要として指定した情報
例④ 《機密保持義務に違反した場合の罰則を「懲戒事由」の項に定める例》
(懲戒事由)
第○条 次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減給、出勤停止又は懲戒解雇に処することがある。
1)○○○
:
○)機密情報を社外に洩らし又は洩らそうとしたとき
19
19
賃金(給与)
■賃金(給与)
<主なトラブル例>
○思っていたより賃金(給与)が少ないと、派遣労働者が不満
(「社会保険料の控除を知らなかった」「賞与・退職金・交通費がない」)
-解説-
・ 派遣労働者でも、加入資格要件を満たす者については、労働保険及び社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務づけられています(ただし、労災保険は必ず加入)。しかし、賃金から保険料が控除されることを派遣労働者が理解していないと、例に示したように「思っていたよりも手取りが少ない」などと派遣労働者が不満を持ち、ひいてはトラブルになる恐れがあります。
・ 賞与、退職金、定期昇給、交通費等を支給しない場合、そのことを派遣労働者が認識していないと、不満を感じ、トラブルになる恐れがあります。
・ 賃金等の労働条件は、雇い入れ時に労働条件通知書で明示することが必要です。(労働基準法第 15 条)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 賞与、退職金、定期昇給、交通費の支給等について定める場合は就業規則に記載しなければなりませんが、定めない場合であっても、その旨を就業規則に明示することで、トラブルの防止につながります。また、社会・労働保険の加入状況や加入資格の有無については、労働条件通知書や就業条件明示書に記載されることが多いですが、社会・労働保険に加入する場合に保険料が賃金から控除されること等について就業規則に明示することもトラブル防止に効果があると考えられます。(例①~
③)
・ 交通費の支給については、登録型の派遣労働者に対しては支給しないと決めておいたとしても、実際に支給しないかどうかは派遣先次第で決まることがあることから、就業規則に一概に定めることは難しいとする派遣元事業者が多くみられます。
・ 就業規則等に記載するだけでなく、記載内容について、派遣労働者に認知・理解さ
せることが大切です。
20
20
<工夫している事業者の例>
・ 社会・労働保険に加入する場合に保険料が賃金から控除されること等について、就 業規則に明示し、派遣労働者に説明している派遣元事業者の例があります。
・ 社会・労働保険について、派遣元事業者のウェブサイトに解説を設け、派遣労働者の理解を促している派遣元事業者があります。
・ 社会・労働保険への加入要件を満たす場合、派遣労働者に加入が必要であることを説明するとともに、同意を登録要件にすることで、加入を円滑に促進している派遣元事業者の例があります。
<就業規則の例>
○賞与や退職金の有無
例① 《賞与や退職金の有無について記載する例》
第6章 賃金
(賞与)
第○条 派遣スタッフには別途定めるところにより賞与を支給する。/支給しない。
(退職金)
第○条 派遣スタッフには別途定めるところにより退職金を支給する。/支給しない。
○昇給の有無
例② 《昇給について記載する例》
第6章 賃金
(昇給)
第○条 会社は派遣スタッフに対し、昇給を行うことがある。
○社会・雇用保険料の控除
例③ 《社会・雇用保険料の給与からの控除について記載する例》
(社会・雇用保険料等の控除)
第○条 給与の支給に際しては、法令又は労使の協定により、必要と認める以下に掲げるものは控除する。
1)源泉所得税
2)住民税
3)健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
4)その他の労使の協定により控除することを認めたもの
21
21
■年次有給休暇
<主なトラブル例>
○年次有給休暇を取りたいと派遣先に請求したところ、派遣先が認めてくれなかったといって派遣労働者が不満(派遣先に年次有給休暇を申請)
-解説-
・ 派遣労働者であっても、6 ヵ月以上の継続勤務など法定の要件を満たした場合は、年次有給休暇を取得することができます。(労働基準法第 39 条)
・ 派遣労働者からの年次有給休暇の取得の申し出については、原則、認めなければなりません。
・ 派遣労働者が年次有給休暇を取得したいと思ったときは、派遣元責任者に連絡し、派遣元責任者が派遣先と調整を行います。しかしながら、派遣労働者が届出の手順をよく理解していないと、派遣元に連絡せずに、派遣先に直接相談し、難色を示されて不満に思ったり、結果として派遣元が知らないまま年次有給休暇だと思って休んでしまうことがあります。その結果、年次有給休暇としての処理がなされずにトラブルになってしまうケースもあります。派遣労働者に、年次有給休暇の取得を希望する場合の届出の手順を知っておいてもらうことが必要です。
・ なお、派遣労働者に請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、使用者は時季を変更することが可能ですが、派遣元事業者は、代替要員を確保し、派遣先に理解を求めるなどして、できるだけ派遣労働者の希望に応える必要があります。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則に、年次有給休暇の届出の手順などについて記載します。(例①)
・ 労働条件通知書に、派遣元責任者、派遣先責任者が誰かを具体的に記載し、派遣労働者に知らせます。
<工夫している事業者の例>
・ ウェブサイトで、派遣労働者向け情報として、年次有給休暇の申請方法や申請の時期等を解説している派遣元事業者があります。
22
22
<就業規則の例>
○年次有給休暇の届出
例① 《年次有給休暇の届出の手順について、就業規則に記載している例》
第3章 勤務
(年次有給休暇) ※一般的な年次有給休暇の規定に追加
1 ○○○○
:
○ 派遣スタッフは、年次有給休暇を取得しようとする場合は、派遣先との連絡及び代替要員等の対応の必要性から、取得しようとする日の少なくとも前々日までに、派遣元責任者及び派遣先責任者に届けなければならない。
ただし、やむを得ない場合はこの限りでない。
(注)「届出の手順」以外の事項については、巻末の URL 集に示すモデル就業規則等の「年次有給休暇」の項を参照。
23
23
<主なトラブル例>
○年次有給休暇が消失すると思った派遣労働者が、派遣契約期間の満了までに残りの年次有給休暇を取得したいと要望(年次有給休暇の退職前の取得、繰り越し)
-解説-
・ 派遣契約の更新がされないことが分かった派遣労働者が、残りの契約期間内で年次 有給休暇の取得を希望する場合があります。退職前は、時季変更権を使って派遣労 働者の申請を断ることは困難です。派遣元事業者は、契約解除の申し出に当たって、 派遣労働者が年次有給休暇の取得を希望する可能性を考慮しておくことが必要です。
・ 雇用契約を更新するなど継続雇用となる場合は、更新後の契約においても、既に付与された年次有給休暇が消滅することはありません(ただし、付与された日から 2年間で時効により消滅します)。
・ しかし、登録型派遣労働者の場合は、派遣契約が満了すると次の派遣先が決まるまで雇用期間が途切れ、しかも次の派遣先が前と違うことも多いため、派遣労働者からすると、年次有給休暇の請求権が消滅するのではないかと思われがちです。こうしたことから、継続勤務ではない場合でも年次有給休暇を繰り越せる制度を設けておくと、派遣労働者の不安が解消され、急いで残りの年次有給休暇を取得せず、繰り越すことを選べるようになります。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則に、年次有給休暇の繰り越しについての規定を設けている派遣元事業者があります。(例①)
・ なお、年次有給休暇の買い上げを予約し、これに基づいて請求された日数を与えな
いことはできません。
<工夫している事業者の例>
・ 派遣期間内に取得できない場合は、派遣元事業者との雇用契約のみ延長し、取得させている派遣元事業者があります。
・ 事前の買上げ予約とは異なり、退職等で請求権が消滅した年次有給休暇を買上げることは必ずしも違法ではないので、やむをえない場合にそうした措置で対応する派遣元事業者があります。
24
24
<就業規則の例>
○年次有給休暇の繰り越し
例① 《未就労期間が一定期間であれば繰り越せることを記載している例》
第3章 勤務
(年次有給休暇) ※一般的な年次有給休暇の規定に替えて挿入
1)○○○
:
○)年次有給休暇の有効期間は2年間とする。なお、継続雇用とは認められない状況となっても次の雇用契約を締結するまでの期間が○カ月以内であった場合は、年次
有給休暇が消滅することはない。
25
25
■育児休業、短時間勤務制度
<主なトラブル例>
○育児休業の取得について、育児休業明けに派遣先が確保されている派遣労働者に限って認めるという条件を設けていたところ、法律違反ではないかと言われた
-解説-
・ 育児休業は、日々雇用される者を除くほかは、期間を定めて雇用される者も制度の対象となりますが、登録型の派遣労働者など期間を定めて雇用される者については、
①当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者、②その養育する子が
1歳に到達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者、という条件のいずれにも該当する場合に限り、育児休業の申出をすることができます。
・ 育児休業を申し出た有期契約労働者が、上記の①、②に該当する者であるかの判断については、厚生労働省が指針を出しています。①については、育児休業の申し出のあった日の直前の1年間について、勤務の実態に即し雇用関係が実質的に継続していることをいうものであり、契約期間が形式的に連続しているか否かによって判断するものではないとしています。②については、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき、相当程度の雇用継続の可能性があるか否かによって判断するものであるとしています。
(「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図ら
れるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」平成 21 年厚生労働省告示第 509 号)
・ このように適用除外の判断は実態等に応じて慎重に行う必要があることから、実質的には判断を下すのは難しいと感じ、トラブル例のような条件を就業規則に記載していたことについて見直す事業者が少なくないようです。
・ 適用除外について記載する際は、場合によっては、都道府県労働局雇用均等室へ問い合わせた方がよいでしょう。
(参考)
<基本的に相当程度雇用継続の可能性ありと判断される場合に該当するもの>
(イ) 育児休業申出のあった時点で締結している労働契約の期間の末日が 1 歳到達日後の日である労働者
(ロ) 書面又は口頭により労働契約を更新する場合がある旨明示されている労働者であって、育児休業申出のあった時点で締結している労働契約と同一の長さの期間で契約が更新 されたならばその更新後の労働契約の期間の末日が 1 歳到達日後の日であるもの
(ハ) 書面又は口頭により労働契約を自動的に更新すると明示されている労働者であって、自動的に更新する回数の上限の明示がないもの
(ニ) 書面又は口頭により労働契約を自動的に更新すると明示されている労働者であって、自動的に更新する回数の上限の明示があり、当該上限まで労働契約が更新された場合の期間の末日が 1 歳到達日後の日であるもの
<基本的に相当程度雇用継続の可能性ありと判断される場合に該当しないもの>
(ホ) 書面又は口頭により労働契約の更新回数の上限が明示されている労働者であって、当該上限まで労働契約が更新された場合の期間の末日が 1 歳到達日以前の日であるもの
26
26
(へ) 書面又は口頭により労働契約の更新をしない旨明示されている労働者であって、育児休業申出のあった時点で締結している労働契約の期間の末日が 1 歳到達日以前の日であるもの
(ト) 書面又は口頭により労働契約を更新する場合がある旨明示されている労働者であって、育児休業申出のあった時点で締結している労働契約と同一の長さの期間で契約が更新 されたならばその更新後の労働契約の期間の末日が 1 歳到達日以前の日であるもの
※ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等に基づいて判断すべき場合もあり得る。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則には、介護休業とならび育児休業に関する規定を設けることが必要です。
(例①~③)
・ その上で、育児休業終了時に派遣先がなかった場合は、育児休業終了をもって雇用契約が終了することを、就業規則に記載することが考えられます。
・ 育児・介護休業法は、労使協定により、a)休業の申し出があった日から起算して、育児休業の場合は1年(1 歳 6 カ月までの育児休業の場合は 6 カ月)以内、介護休
業の場合は 93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな者、b)1週間の所定労働日数が2日以下の者について適用除外者とすることができるとしています。労使
協定で適用除外者を定めた場合は、就業規則に明示することが必要です。
<工夫している事業者の例>
・ 育児休業明けに派遣先があるかについて悩みが大きく、以前は就業規則に「派遣先が確保されていること」という条件を設けていたが、関係機関とも相談し、法律違反ではないが柔軟にしたほうがよいだろうと、条件を削除した派遣事業者の例があります。
・ 育児休業を希望する派遣労働者については、本人が希望する育児休業期間に合わせて雇用契約をする例が多くなっています(結果的に、派遣労働者は育児休業給付金の支給も得られます)。
・ 育児休業終了時に派遣先がなかった場合は、育児休業終了をもって雇用契約終了とすることについて、派遣労働者によく説明し、理解してもらうことが必要です。信頼関係を築き、よくコミュニケーションを取ることで、育児休業明けにどうしても派遣先を紹介できなかった場合も分かってもらえたという例があります。なお、説明を受けて理解したという「誓約書・同意書」に、派遣労働者のサインをもらっている派遣元事業者もあります。
・ 派遣労働者の育児休業取得については、巻末に示す次のサイトも参考になります:
「派遣スタッフのための育児休業マニュアル」「育児・介護休業等に関する規則の規定例」
27
27
<就業規則の例>
○育児休業の対象者
例① 《期間雇用者のすべてを育児休業の対象とする例》
(育児休業の対象者)第○条
1 育児のために休業することを希望する労働者(日雇労働者を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。
例② 《法に基づき一定範囲の期間雇用者を育児休業の対象から除外する例》
(育児休業の対象者)第○条
1 育児のために休業することを希望する労働者(日雇労働者を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。ただし、期間契約労働者にあっては、2に定める者に限り、育児休業をすることができる。
2 育児休業ができる期間契約労働者は、申出時点において、次のいずれにも該当する者とする。
イ 入社1年以上であること。
口 子が1歳に達する日を超えて雇用関係が継続することが見込まれること。
ハ 子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
(育児休業の対象者)第○条
1 育児のために休業することを希望する労働者(日雇労働者を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、この規則に定めるところにより育児休業をすることができる。ただし、期間契約労働者にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り育児休業をすることができる。
イ 入社1年以上であること。
口 子が1歳に達する日を超えて雇用関係が継続することが見込まれること。
ハ 子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
2 前項にかかわらず、労使協定により除外された次の労働者はこの限りではない。一 入社 1 年未満の労働者
二 申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者三 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
例③ 《法に基づき一定範囲の期間雇用者と労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》
28
28
<主なトラブル例>
○育児・介護休業法の改正による短時間勤務制度の創設や所定外労働(残業)免除の義務化に、派遣元事業者としてどのように対応したらよいか分からない
-解説-
・ 育児・介護休業法により、3歳に満たない子を養育する労働者に対する短時間勤務制度及び所定外労働の免除が義務化されました(一部の規定については、常時 100 人以下
の労働者を雇用する中小企業については平成 24 年 7 月 1 日から施行)。
・ 日々雇用される者、1日の所定労働時間が6時間以下の者を除くほかは、登録型の派遣労働者のように期間を定めて雇用される者も制度の対象となります。
・ このように、有期契約の派遣労働者も短時間勤務制度や所定外労働の免除の対象者となりますが、そのような勤務を認めてくれる派遣先を十分確保できるか、不安を感じている派遣元事業者も少なくありません。しかしながら、派遣労働者だからという理由だけで制度の適用除外にすることはできません。
・ 育児・介護休業法は、労使協定により以下のものを適用除外することができるとしています。①雇用された期間が1年未満であるもの、②週の所定労働日数が2日以下のもの、③業務の性質又は業務の勤務体制から考慮すると、所定労働時間の短縮の制度の適用が困難だと認められる業務に携わるもの。③については、厚生労働省の指針において、下記のような例示がなされています。
(参考)
<業務の性質又は業務の勤務体制から考慮すると、所定労働時間の短縮の制度の適用が困難だと認められる業務に携わるもの>
イ 業務の性質に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務
ロ 業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務 労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務
ハ 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
(イ) 流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
(ロ) 交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
(ハ) 個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務
※ただし、これらは例示であり、これらであれば困難と認められる業務に該当するというものではなく、また、これら以外は該当しないというものではない。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 派遣労働者の就業規則について、育児・介護休業法に対応させるため、育児短時間勤務に関する規定を就業規則の中に設ける必要があります。
・ 労使協定により、③の適用除外者を定める場合は、適用除外者に対し、a)フレッ
29
29
クスタイムス制、b)始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、c)託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、のいずれかの代替措置を講じることが義務付けられています。どのような代替措置を講じるかも含めて、労使協定の中に盛り込
む必要があります。就業規則の中にも、これらについて記載する必要があります。
<工夫している事業者の例>
・ 派遣労働者が短時間勤務できるかは、派遣先の理解にかかっているところも大きいため、派遣元事業者としても、派遣先に理解・協力を求めていくことが必要です。
・ 早めの時間に就業することを望む育児短時間勤務の派遣労働者と、夕方からの勤務を望む派遣労働者を組み合わせ、ワークシェアリングの形で派遣を行うことが考えられます。短時間勤務の派遣労働者を、一時的に派遣元事業者内での内勤や自社の請負事業で活用することで継続雇用を図っている派遣元事業者の例があります。
・ この問題をめぐる派遣労働者とのトラブルの多くは、派遣労働者が育児短時間勤務を申し出た際に、派遣元事業者の担当者が制度を理解しておらず、十分な説明をすることができなかったり、あいまいな態度を取ってしまったことによって起こることが多いようです。派遣労働者に接する社員(営業担当者等)に制度の周知と理解を図ることがトラブルの防止につながります。
<就業規則の例>
○育児短時間勤務
例① 《育児短時間勤務について記載している例》
(育児短時間勤務)第 15 条
1 3 歳に満たない子を養育する労働者は、申し出ることにより、就業規則第◯条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。
所定労働時間を午前○時から午後○時まで(うち休憩時間は、午前○時から午後○時までの1時間とする。)の 6 時間とする(1歳に満たない子を育てる女性労働者は
更に別途 30 分ずつ 2 回の育児時間を請求することができる。)。
2 前項にかかわらず、日雇労働者及び 1 日の所定労働時間が 6 時間以下である労働者からの育児短時間勤務の申出は拒むことができる。
3 申出をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上 1 年以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮開始予定日の 1 か月前までに、育児短時間勤務申出書により人事部労務課に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、育児短時間勤務取扱通知書を交付する。その他適用のための手続等については、第 3 条から第 5 条までの規定(第 3 条第 2 項及び第 4 条第 3 項を除く)注1)を準用する。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく基本給を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給を支給する。
注1)「第 3 条 育児休業の申出の手続等」「第 4 条 育児休業の申出の撤回等」「第 5 条 育児休業の期間等」。出所:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」
30
30
例② 《労使協定の締結により除外可能な者をすべて除外している例)》
(第 15 条 1,3,4 は例①と同じ)
(育児短時間勤務)第 15 条
1 3 歳に満たない子を養育する労働者は、申し出ることにより、就業規則第◯条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。
所定労働時間を午前○時から午後○時まで(うち休憩時間は、午前○時から午後○時までの1時間とする。)の 6 時間とする(1 歳に満たない子を育てる女性労働者は更に別途 30 分ずつ 2 回の育児時間を請求することができる。)。
2 前項にかかわらず、次のいずれかに該当する労働者からの育児短時間勤務の申出は拒むことができる。
1)日雇労働者
2)1 日の所定労働時間が 6 時間以下である労働者
3)労使協定によって除外された次の労働者 (ア) 入社 1 年未満の労働者
(イ) 1週間の所定労働日数が 2 日以下の労働者
(ウ) 業務の性質又は業務の実施体制に照らして所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務として別に定める業務に従事する労働者
3 申出をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上 1 年以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮開始予定日の 1 か月前までに、育児短時間勤務申出書により人事部労務課に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、育児短時間勤務取扱通知書を交付する。その他適用のための手続等については、第 3 条から第 5 条までの規定(第 3 条第 2 項及び第 4 条第 3 項を除く。)注1)を準用する。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく基本給を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給を支給する。
(業務上育児短時間勤務が困難な労働者に対する代替措置)第 15 条の 2
1 前条第 2 項(3)(ウ)の労働者は、申し出ることにより、子が 3 歳に達するまでの間、育児休業をすることができる。
2 1 の育児休業に関する手続その他の事項については、第 2 章に定める育児休業に準じるものとする。ただし、第 3 条第 2 項及び第 4 条第 3 項の規定注1)は準用しない。
注1)第 3 条 2: 育児休業の申出について一子につき 1 回限りとすることと、その適用除外を定める規定。第 4 条 3:育児休業の申出を撤回した者は、特別の事情がない限り同一の子については再度申出をすることができないことを定める規定。出所:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」
31
31
相談、苦情対応
■相談、苦情対応
<主なトラブル例>
○相談先がわからなかった派遣労働者が、派遣元事業者が設けている相談窓口を通さず、いきなり訴訟を起こして、問題がこじれてしまった
-解説-
・ 派遣労働者が、派遣元事業者や派遣先に対して不安や不満を持ったときに、派遣元事業者が相談窓口を設定しているのにもかかわらず、その周知が不十分だったため、社外に相談してしまうケースがあるようです。
・ 苦情の処理・申出先については、通常、就業条件明示書に記載されますが、いくら記載されていても、派遣労働者が認識・理解していなければ意味がありません。記載するだけでなく、派遣労働者にそのことを認識・理解させることが重要です。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 苦情の処理・申出先について、就業規則に記載することが望まれます。(例①)
・ その上で、労働条件通知書や就業条件明示書に、苦情の処理・申し出先について、担当者の所属、名前、連絡先などを具体的に記載することが望まれます。厚生労働省「モデル就業条件明示書」(巻末 URL 集参照)には、「苦情の処理・申出先」を記載する欄が設けられています。
<工夫している事業者の例>
・ 苦情の処理・申出先について、就業条件明示書と就業規則の両方に記載している事業者の例があります。
・ 就業規則への記載とは別に、派遣労働者が常時閲覧できる派遣元事業者のウェブサイト等で、相談窓口・苦情窓口の認知を図ったり、ウェブサイト等から直接、相談や苦情の受付を行っている派遣元事業者の例があります。
32
32
<就業規則の例>
例① 《派遣労働者からの苦情処理について記載している例》
第7章 表彰・制裁
(派遣スタッフからの苦情処理)
第○条 会社において、苦情の申し出を受ける者は苦情処理担当社員及びコーディネーター並びに派遣元責任者とする。
2 前項において派遣先に関わる苦情が発生した場合、当該派遣元責任者が中心となり、誠意をもって、速やかに処理を図り、その結果について必ず派遣スタッフ及び派遣先
責任者に文書にて通知すると同時に、総務に提出するものとする。
33
33
■就業規則の周知と効力
<主なトラブル例>
○派遣労働者が就業規則の内容を理解していなかった/派遣労働者を参加させずに労働者の過半数代表を決めていたため、就業規則の正当性が問われてしまった
-解説-
・ 就業規則は、企業単位ではなく事業場単位で作成します。
・ 常時 10 人以上の労働者(パート・アルバイト、派遣労働者等を含む)を使用する事業場では、必ず就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。(労働基準法 89 条)
・ 就業規則は、労働時間や賃金、人事・服務規律など、労働者の労働条件や職場で守るべき規律等を定めたものです。これらを定め、労使の間で無用のトラブルが生じることを防ぎ、明るい職場づくりに寄与するという就業規則の役割から考えると、 10 人未満であっても就業規則を作成することが望まれます。(就業規則を定め、周知を図ることで防げるトラブルがあります。)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
①就業規則の内容
・ 就業規則に記載しなくてはならない事項については、労働基準法により定められていますが、そのほか使用者が任意に記載し得る事項もあります。労働者派遣法によって就業条件明示書への記載が義務づけられている「派遣契約解除の場合の措置」のように、近年、労働者派遣法や派遣関係の通達、指針等により求められた事項については、就業規則にも規定として盛り込んでいくことが望まれます。
・ 就業規則は、事業場で働く労働者の労働条件や服務規律等を定めるものであることから、そこで働くすべての労働者についての定めをする必要があります。ただし、例えば、派遣元事業者が直接雇用する労働者と、登録型の派遣労働者の勤務の態様等が異なり、登録型の派遣労働者について、直接雇用する労働者と異なった定めをする必要がある場合には、通常の労働者に適用される就業規則(以下「一般の就業規則」という。)のほかに、登録型の派遣労働者など一部の労働者のみに適用される別個の就業規則(例えば「派遣労働者就業規則」)を作成することとしても差し支えありません。派遣元事業者の場合、一般の就業規則とは別に、派遣労働者用の就業 規則を作成することが考えられます。
※就業規則に記載しなければいけない内容や、作成及び変更の手続については、厚生労
働省「モデル就業規則」等を参照してください。
34
34
②就業規則の作成・及び変更手続
○過半数代表者は、派遣労働者の中から選ばなくてはいけないか?
・ 就業規則を作成し、又は変更する場合の所轄労働基準監督署への届出については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記し、その者の署名又は記名押印のある書面(意見書)を添付しなければなりません。
・ ここでいう「労働者」には、派遣労働者も含まれます。派遣労働者も含めた労働者のなかから、その過半数を代表する者を選ぶ必要があります。
・ ただし、労働者の過半数を代表する者は、派遣労働者である必要はありません。
・ 労働者の過半数を代表する者は、①労基法第 41 条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、②就業規則の作成及び変更の際に、使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であること、のいずれにも該当する者でなければなりません。(労基法施行規則第6条の2)
○過半数代表者の選出の方法は?
・ 過半数代表の選出方法としては、例えば以下のようなものが考えられます。
・投票を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する
・挙手を行い、過半数の労働者の支持を得た者を選出する
・候補者を決めておいて投票、挙手又は回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する
・職場ごとに職場の代表者を選出し、これらの者の過半数の支持を得た者を選出する
・ 一方、次のような方法は認められません。
・使用者が一方的に指名する
・親睦会の代表者を自動的に労働者代表とする
・一定の役職者を自動的に労働者代表とする
・一定の範囲の役職者が互選により労働者代表を選出する
※東京労働局「就業規則作成の手引き」等を参照。
・ 派遣労働者の場合は、通常、各人はそれぞれ異なる職場で働いており、一同に会する機会はなかなかないことから、投票や挙手で代表を選ぶことは難しいといえます。候補者を決めておき、回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する方法などを取ることが考えられます。
35
35
③就業規則の周知
・ 作成した就業規則は、各労働者に配布したり、各職場に掲示したりするなどにより労働者に周知させなければなりません。(労働基準法第 106 条)
・ 周知の方法としては、労働者一人ひとりへの配付、労働者がいつでも見られるような職場の見やすい場所への掲示・備え付け、電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにすること、などが考えられます。
・ 派遣労働者の場合、通常は派遣先の職場で働いており、派遣元事業者の事業所に立ち寄ることは少ないことから、できるだけ一人ひとりに配付するか、電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにすることが望まれます。
・ 派遣労働者に就業規則を周知し内容への理解を促すため、特に重要な事項について抜粋版を作り、本体と合わせて配付したり、さらには、登録時や派遣先での就業前に、派遣労働者と抜粋版等の読み合わせをすることが考えられます。
・ 周知がなされていない就業規則には、効力が認められません。また、就業規則の変更を知らなかったことによるトラブルも少なくありません。就業規則を変更する場合も、それを周知させることが必要です。(関連条文:労働契約法 7 条)
・ 就業規則のなかには、労働条件に関わる規定や、服務規定・懲戒規定、育児・介護休業や短時間勤務の扱いなど、派遣労働者が登録する派遣元事業者を選択する観点から予め知っておいたほうがよいと思われる内容があります。派遣登録前に、就業 規則を配付したり、内容を説明することは、トラブルの防止に役立つと思われます。
<派遣登録時や登録前に知ったほうがよいと思われる就業規則の項目>
・就業規則の遵守の必要性
・賃金の締切日、支払い日、方法
・賞与、退職金、定期昇給の有無
・年次有給休暇の付与(日数)
・欠勤の扱い
・服務規定、懲戒規定
・産前産後休暇、育児・介護休業、短時間勤務の取扱い /等
・ 派遣元事業者の担当者が就業規則を熟知していないために説明が曖昧になり、トラブルになるケースも少なくないことから、派遣元事業者の担当者が就業規則を熟知しておくことも必要です。
36
36
<工夫している事業者の例>
○就業規則の内容についての認知・理解の促進と確認
・ 就業規則の中に、派遣労働者に対して就業規則を理解し遵守しなくてはならないことを明記している例があります。(例①)
・ 登録時や派遣先での就業前に、派遣労働者と就業規則やその抜粋の読み合わせを行い、内容を理解したことについて派遣労働者に署名を求めている例があります。
・ 服務規定や懲戒規定の内容を理解し、遵守を誓約することを、登録要件としている例があります。
○過半数代表の選出方法
・ 派遣労働者に対し、E メールで候補者を知らせ、E メールで信任投票を行っている例があります。
・ 派遣元事業者が設置運営し、派遣労働者にアクセス権を与えているウェブサイトや
E メールを使って候補者を知らせ、E メールで信任投票を行っている例があります。
○就業規則の周知の方法
・ ウェブサイトで、就業規則を公開している派遣元事業者もあります。派遣労働者がいつでも就業規則を見られることに加え、その派遣元事業者への登録・就職を考えている人への情報提供にもなります。また、派遣先の指揮命令者や管理者が見ることで、派遣労働者の就業環境改善につながることが期待されます。
・ 派遣元事業者が派遣労働者にアクセス権を与えているウェブサイトで、派遣労働者が就業規則を閲覧できるようにしている派遣元事業者もあります。
・ 派遣労働者だけでなく、登録者全員に、就業規則を配付している派遣元事業者もあります。
<就業規則の例>
○就業規則の遵守
例① 《就業規則の遵守を就業規則に定めている例》
第1章 総則
(就業規則の遵守)
第○条 派遣スタッフは、本規則を採用の決まったときや必要なときに必ず読み、内容を熟知しなければならない。なお、本規則について疑問等のあるときは説明を求めなければならない。
2 派遣スタッフは本規則を遵守し、派遣先事業場(以下、「派遣先」という)及び、労
働者との信頼関係とルールを大切にしなければならない。
37
37
常用型(期間の定めのない雇用)の派遣労働者
Ⅲ その他の就業規則作成のポイント
■常用型(期間の定めのない雇用)の派遣労働者
・ 技術系などに多く見られる常用型の派遣労働者については、一般の就業規則が適用されることも多いようです。
・ 常用型の派遣労働者に特徴的な就業規則作成のポイントとしては、「派遣元と派遣先で年間休日数が異なる場合への対応」、「次の派遣先が見つかるまでの休業手当の支払い」などがあります。
<ポイント>
○派遣元と派遣先で年間休日数が異なる場合への対応
-解説-
・ 派遣先のほうが、派遣元よりも年間休日数が多い(少ない)場合があります。
・ 派遣先と派遣元で年間休日数に違いがある場合には、予め派遣先ごとに年間計画を立て、休日数(勤務日)の調整を行います。
・ 派遣先のほうが年間休日数が多い場合は、①派遣元で研修を実施(出勤日とする)、
②年次有給休暇を計画的に付与する、といった形で調整することが考えられます。
・ 派遣先のほうが年間休日数が少ない場合は、①派遣先の了承を得て休日とする、②休日出勤扱いとし割増賃金を支払う、といった対応が考えられます。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 就業規則には、勤務日や休日については派遣先に合わせることを記載します。(例)
・ 日数の調整については、派遣先ごとに状況が異なるため、就業規則には記載されないことが多くなっています。派遣元事業者の運用で調整が行われているのが実態です。
・ 年間休日数については、労働条件通知書や就業条件明示書に記載されます。
<就業規則の例>
○勤務日、就業時間、休憩時間
第2章 人事
(勤務日、就業時間、休憩時間)
第○条 派遣スタッフの勤務日、就業時間ならびに休憩時間は派遣先会社に合わせるものとする。
2 業務上必要がある場合は、前項の勤務日、就業時間を変更することがある。
(以下省略)
38
38
常用型(期間の定めのない雇用)の派遣労働者
<ポイント>
○次の派遣先が見つかるまでの休業手当の支払い
-解説-
・ 常用型の派遣労働者の場合、次の派遣先が見つかるまでの期間は、①派遣元事業者において就業する(派遣元事業者内の業務に従事する)、②研修を行う、といった対応がなされるほか、これらができない場合には、③自宅待機による休業を命じ、休業手当を支払う、といった対応が取られることがあります。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<就業規則等での対応>
・ 次の派遣先が見つかるまでの休業期間の休業手当について、就業規則に規定を設け
ている派遣元事業者の例があります。(例)
<就業規則の例>
○帰休と休業手当
第2章 人事
(自宅待機による休業)
第○条 会社は不況等による業績の悪化やその他業務上必要のあるときに一定期間の継続又は断続した自宅待機による休業を命じることがある
(自宅待機による休業期間)
第○条 前条の自宅待機による休業期間は、その都度会社が定める。
(自宅待機による休業期間中の取扱い)
第○条 自宅待機による休業期間中の取扱いは次の通りとする。
①期間中は労働基準法に定める休業手当を支給する
②期間中であっても派遣スタッフの身分を有する
39
39
Ⅳ 役に立つURL集
1.厚生労働省「モデル就業規則」(一般労働者用)
派遣労働者の就業規則も、基本は一般労働者の就業規則と大きな違いはありません。作成に際して参考になる、一般労働者の就業規則のモデルを閲覧・ダウンロードすることができます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/model/
2.厚生労働省東京都労働局「就業規則作成の手引き」
http://www.roudoukyoku.go.jp/seido/kijunhou/k-kisoku.htm
3.厚生労働省「派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために」
派遣労働者の労働条件の確保に関する主要なポイントがまとめられています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/04/tp0401-1.html
4.厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」
一般・特定労働者派遣事業にかかわる各種申請・届出書式が入手できるほか、派遣労働者の就業規則の作成にあたって踏まえなくてはならない、諸規則類(適用の特例を含めた労働基準法等の労働基準関係法令、労働契約法、中途解除に伴う解雇・雇止め等に適切に対応するため改正された派遣元・派遣先指針、派遣労働者の労働条件に係る通達等)を閲覧することができます。
また、モデル就業条件明示書、派遣労働者用の労働条件通知書などを閲覧・ダウンロードすることができます。 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/index.html
5.厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」等
育児・介護休業法の改正(平成 22 年 6 月 30 日施行)に対応した、就業規則における取扱いの解説、育児・介護休業等に関する規則の規定例(育児休業制度、所定労働時間の短縮措置等)、育児・介護休業等に関する労使協定の例(適用除外とする労働者についての規定等)などを閲覧・ダウンロードすることができます。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/index.html#pam-01
6.厚生労働省「派遣スタッフのための育児休業マニュアル」
派遣労働者が育児休業を取得するために知っておくべきこと、ノウハウをまとめています。
(2011 年 4 月に厚生労働省ホームページにて公開予定。)
※情報は、2011 年 3 月末のものです。
40
40
問い合わせ先:都道府県労働局労働基準部監督課一覧
郵便番号 | 所在地 | 電話番号 | ||
北海道労働局 | 監督課 | 060-8566 | 札幌市北区北8条西2丁目1番1号札幌第1合同庁舎 | 011-709-2311(代表) |
青森労働局 | 監督課 | 030-8558 | 青森市新町2-4-25青森合同庁舎 | 017-734-4112 |
岩手労働局 | 監督課 | 020-0023 | 盛岡市内丸7番25号盛岡合同庁舎1号館 | 019-604-3006 |
宮城労働局 | 監督課 | 983-8585 | 仙台市宮城野区鉄砲町1番地仙台第4合同庁舎 | 022-299-8838 |
秋田労働局 | 監督課 | 010-0951 | 秋田市山王7丁目1番3号秋田合同庁舎 | 018-862-6682 |
山形労働局 | 監督課 | 990-8567 | 山形市香澄町3丁目2番1号山交ビル3階 | 023-624-8222 |
福島労働局 | 監督課 | 960-8021 | 福島市霞町1-46福島合同庁舎5F | 024-536-4602 |
茨城労働局 | 監督課 | 310-8511 | 水戸市宮町1丁目8-31茨城労働総合庁舎 | 029-224-6214 |
栃木労働局 | 監督課 | 320-0845 | 宇都宮市明保野町1番4号宇都宮第2地方合同庁舎 | 028-634-9115 |
群馬労働局 | 監督課 | 371-8567 | 前橋市大渡町1丁目10番7号群馬県公社総合ビル8F | 027-210-5003 |
埼玉労働局 | 監督課 | 330-6016 | さいたま市中央区新都心11番地2 明治安田生命さいたま新都心ビル ランド・アクシス・タワー15F | 048-600-6204 |
千葉労働局 | 監督課 | 260-8612 | 千葉市中央区中央4丁目11番1号千葉第2地方合同庁舎 | 043-221-2304 |
東京労働局 | 監督課 | 102-8306 | 千代田区九段南1-2-1九段第三合同庁舎13階 | 03-3512-1612 |
神奈川労働局 | 監督課 | 231-8434 | 横浜市中区北仲通5丁目57番地横浜第2合同庁舎 | 045-211-7351 |
新潟労働局 | 監督課 | 951-8588 | 新潟市中央区川岸町1-56 | 025-234-5922 |
富山労働局 | 監督課 | 930-8509 | 富山市神通本町1丁目5番5号富山労働総合庁舎 | 076-432-2730 |
石川労働局 | 監督課 | 920-0024 | 金沢市西念3丁目4番1号金沢駅西合同庁舎5階・6階 | 076-265-4423 |
福井労働局 | 監督課 | 910-8559 | 福井市春山1丁目1番54号福井春山合同庁舎 | 0776-22-2652 |
山梨労働局 | 監督課 | 400-8577 | 甲府市丸の内1丁目1番11号 | 055-225-2853 |
長野労働局 | 監督課 | 380-8572 | 長野市中御所1丁目22-1 | 026-223-0553 |
岐阜労働局 | 監督課 | 500-8723 | 岐阜市金竜町5丁目13番地岐阜合同庁舎3階 | 058-245-8102 |
静岡労働局 | 監督課 | 420-8639 | 静岡市葵区追手町9番50号静岡地方合同庁舎3階 | 054-254-6352 |
愛知労働局 | 監督課 | 460-8507 | 名古屋市中区三の丸2丁目5番1号名古屋合同庁舎第2号館 | 052-972-0253 |
三重労働局 | 監督課 | 514-8524 | 津市島崎町327番2津第2地方合同庁舎 | 059-226-2106 |
滋賀労働局 | 監督課 | 520-0057 | 大津市御幸町6番6号 | 077-522-6649 |
京都労働局 | 監督課 | 604-0846 | 京都市中京区両替町通御池上ル金吹町451 | 075-241-3214 |
大阪労働局 | 監督課 | 540-8527 | 大阪市中央区大手前4丁目1番67号大阪合同庁舎第2号館9F | 06-6949-6490 |
兵庫労働局 | 監督課 | 650-0044 | 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号神戸クリスタルタワー16F | 078-367-9151 |
奈良労働局 | 監督課 | 630-8570 | 奈良市法蓮町387奈良第3地方合同庁舎 | 0742-32-0204 |
和歌山労働局 | 監督課 | 640-8581 | 和歌山市黒田二丁目3番3号和歌山労働総合庁舎 | 073-488-1150 |
鳥取労働局 | 監督課 | 680-8522 | 鳥取市富安2丁目89-9 | 0857-29-1703 |
島根労働局 | 監督課 | 690-0841 | 松江市向島町134番10松江地方合同庁舎5F | 0852-31-1156 |
岡山労働局 | 監督課 | 700-8611 | 岡山市北区下石井1丁目4番1号岡山第2合同庁舎 | 086-225-2015 |
広島労働局 | 監督課 | 730-8538 | 広島市中区上八丁堀6番30号広島合同庁舎2号館 | 082-221-9242 |
山口労働局 | 監督課 | 753-8510 | 山口市中河原町6番16号山口地方合同庁舎2号館 | 083-995-0370 |
徳島労働局 | 監督課 | 770-0851 | 徳島市徳島町城内6番地6徳島地方合同庁舎 | 088-652-9163 |
香川労働局 | 監督課 | 760-0019 | 高松市サンポート3番33号高松サンポート合同庁舎3階 | 087-811-8918 |
愛媛労働局 | 監督課 | 790-8538 | 松山市若草町4番地3松山若草合同庁舎5F | 089-935-5203 |
高知労働局 | 監督課 | 780-8548 | 高知市南金田1番39 | 088-885-6022 |
福岡労働局 | 監督課 | 812-0013 | 福岡市博多区博多駅東2丁目11番1号福岡合同庁舎新館4F | 092-411-4862 |
佐賀労働局 | 監督課 | 840-0801 | 佐賀市駅前中央3丁目3番20号佐賀第2合同庁舎 | 0952-32-7169 |
長崎労働局 | 監督課 | 850-0033 | 長崎市万才町7-1住友生命長崎ビル | 095-801-0030 |
熊本労働局 | 監督課 | 860-8514 | 熊本市春日2-10-1熊本地方合同庁舎9階 | 096-355-3181 |
大分労働局 | 監督課 | 870-0037 | 大分市東春日町17番20号大分第2ソフィアプラザビル6F | 097-536-3212 |
宮崎労働局 | 監督課 | 880-0805 | 宮崎市橘通東3丁目1番22号宮崎合同庁舎 | 0985-38-8834 |
鹿児島労働局 | 監督課 | 892-0816 | 鹿児島市山下町13番21号鹿児島合同庁舎 | 099-223-8277 |
沖縄労働局 | 監督課 | 900-0006 | 那覇市おもろまち2丁目1番1号那覇第2地方合同庁舎3F | 098-868-4303 |
本パンフレットについてのお問い合わせ:
厚生労働省 労働基準局 監督課 特定分野労働条件対策係
03-3502-5308
平成 23 年 3 月発行
発行・編集 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 経済・社会政策部
〒108-8248 東京都港区港南 2-16-4 品川グランドセントラルタワー
監 修 「派遣労働者の労働条件改善事業」検討委員会