Contract
20210401 改正
(総則)
第1条 発注者(以下「甲」という)と受注者(以下「乙」という)とは、甲と元発注者との契約に係る工事(以下「元請契約」という)を完成するため、元請工事の一部について注文書及び注文請書に定めるもののほか、この専門工事下請契約約款(以下「約款」という)に基づき、図面、仕様書その他の図書(以下これらを「設計図書」という)及び甲の定める外注見積仕様書に従いおのおの対等の立場に立って誠実に契約(以下「本契約」といい、本契約の対象となる建設工事を「工事」という)を履行する。
2 注文書、注文請書、設計図書及び外注見積仕様書に特別の定めのない事項は、すべてこの約款に定めるところによる。
(請負代金内訳書及び工程表)
第2条 請負代金内訳書(見積書)には、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に係る法定福利費を明示するものとする。
2 乙は、甲の請求があったときは、設計図書に基づく工事計画書及び工程表を作成し、契約締結後速やかに甲に提出する。
(関連工事との調整)
第3条 甲は、元請工事を円滑に完成するため、この工事と施工上関連ある工事(以下「関連工事」という)との調整を図り、必要がある場合は、乙に対して指示を行う。この場合においてこの工事の内容を変更し、又は工事の全部若しくは一部の施工を一時中止したときは、甲乙協議して工期又は請負代金額を変更できる。
2 乙は、関連工事の施工者と綿密に連絡調整を図り、元請工事の円滑な完成に協力する。
(法令等遵守の義務)
第4条 甲及び乙は、施工にあたり建設業法、その他工事の施工、労働者の使用等に関する法令及びこれらの法令に基づく監督官公庁の行政指導を遵守する。
2 甲は、乙に対し前項に規定する法令及びこれらの法令に基づく監督官公庁の行政指導に基づき必要な指示、指導を行い、乙はこれに従う。
3 乙は工事を施工するにあたって、再下請負人(2次以下の再下請負がなされたときは、その再下請負人を含む。以下これらをまとめて「再下請負人」という)に法令及び行政指導並びに甲の指示、指導を遵守させなければならない。
4 甲が、再下請負人に法令等違反の事実があることを認め、これを是正させるよう求めたときは、乙は直ちに再下請負人にこれを是正させなければならない。
5 再下請負人が工事の施工上第三者に対して損害を与えるか、又は第三者との間に紛争が生じたときは、乙の責によりこれを解決するものとし、それに要した費用は原則として乙及び再下請負人の負担とする。
(秘密情報の保持)
第5条 甲及び乙は、別段の合意をする場合を除き、本契約に関して、相手方から提供(口頭、書面又は電子情報等、記録形態を問わない)を受けた情報、知識、工法、技術又は営業上の秘密の一切(以下これらの情報を「秘密情報」という)を、本契約の継続中はもちろん、終了後であっても、本契約の目的の範囲外に利用し、又は正当な理由なく第三者に開示又は漏洩してはならない。
2 甲及び乙は、秘密情報を工事の見積検討及び本契約の履行をするうえで知る必要のある各自の役員若しくは従業員以外の役員、従業員に開示してはならない。
3 甲及び乙は、秘密情報を本契約の目的の範囲内において複製することができるものと
し、複製した情報についても本条に従い取り扱わなければならない。
4 甲及び乙は、工事が完成した場合、又は相手方から要求された場合は、秘密情報が記載された書面、記録媒体及びその複製物を相手方に返還するか、その指示に従い完全に廃棄するものとする。
5 乙が工事の全部又は一部を第三者に委任し、又は請け負わせた場合は、乙は、かかる第三者に乙と同等の守秘義務を課したうえで秘密情報を開示できるものとする。
(コンピュータ及び電磁的記録に関する措置の取り扱い)
第6条 乙は、前条に定める義務を遵守することに加え、工事に関連する情報を取り扱う電子計算機(同種電子機器、外部記憶装置及びその他周辺機器を含む。以下「対象コンピュータ等」という)及び電磁的記録については、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 対象コンピュータ等は乙の管理下にあるコンピュータを使用し、個人的に所有するものを使用してはならない。
二 対象コンピュータ等にはウィルス対策ソフトを導入し、当該ソフトは随時最新版の状態に保つこと。
三 対象コンピュータにはファイル交換ソフトを導入しないこと。
四 秘密情報については記憶領域の暗号化又はパスワード設定等の適切な情報漏洩対策を講じること。
五 前各号の他、乙は情報セキュリティに関し、甲が運用基準を別途定めた場合はこれに従うものとする。
(個人情報の保護)
第7条 乙は本契約の履行によって知り得た個人情報(以下「個人情報」という)について、法令等に従い善良な管理者の注意をもって管理し、甲の書面による事前の承諾を得ることなく、その利用目的以外のために利用し、又は第三者に提供してはならない。
2 乙は、甲から提供された個人情報を委任先又は再下請負人に提供する場合は、その委任先又は再下請負人に対し、乙と同等の前項記載の義務を課さなければならない。
3 乙は、工事が完成した場合、又は甲から要求された場合は、個人情報が記載された書面、記録媒体及びその複製物を甲に返還するか、甲の指示に従い完全に廃棄するものとする。
4 乙は、甲に提供した個人情報について、甲がその利用目的の範囲内に限り利用するものであることをあらかじめ承諾する。なお、乙は、当該個人情報を甲に提供すること及びその利用目的について本人の同意をあらかじめ得ておかなければならない。
5 乙は、再下請負人から個人情報の提供を受ける場合は、当該個人情報の提供について本人の同意をあらかじめ得ておくことを再下請負人に義務付ける。
(特許権等)
第8条 乙は、第三者の特許権、その他の権利の対象となっている施工方法、工事材料、機 械器具(作業船を含む、以下同じ)などを施工上使用するときは、その使用に関する一切 の責を負う。ただし、甲の指図によって使用する場合において、設計図書等に特許権など の対象である旨の明示がなく、かつ、乙がその存在を知らなかったときはこの限りでない。
2 乙は、契約の履行に際して知り得た施工方法など、又は甲と共同で開発した施工方法などについて、甲の書面による同意を得ずに使用し、又は特許権等の工業所有権を申請し、あるいは第三者をして申請させてはならない。
(安全、衛生の確保など)
第9条 乙は、施工にあたり事業者として工事従事者の災害の防止に万全を期する。
2 乙は、災害防止のため、甲の安全衛生管理の方針並びに安全衛生管理計画を遵守すると
ともに自ら作業基準を確立し、かつ責任体制を明確にする。
3 乙は、乙の従業員又は再下請負人の従業員が労災事故に被災した場合は、法令及び行政指導に定められた措置をとるとともに、直ちにその事実を甲に報告する。
4 乙は、乙の従業員又は再下請負人の従業員の業務上の災害補償について、労働基準法第
87条第2項に定める使用者として補償引受の責を負う。なお、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)の取扱については、注文書、注文請書において定めるものとする。ただし、甲が加入する労災保険による場合、乙若しくはその従業員又は再下請負人若しくはその従業員の故意又は重大な過失による事故などに係る徴収金の事業主負担分については、乙がこれを負担する。
(事業内容の報告)
第10条 甲又は乙は、必要があるときは、相手方にその事業経営の内容などについて報告を求めることができる。
(意見の聴取)
第11条 甲は、施工上の工程の細部、作業方法などを定めるにあたって、あらかじめ乙の意見を聴取することができる。
(保証人)
第12条 乙は、甲の要求があったときは、本契約に基づく債務について保証人をたてなければならない。
2 前項の場合、保証人がその義務を果たせないことが明らかになったときは、甲は乙にその変更を求めることができる。
(書面主義)
第13条 この約款の各条項に基づく協議、承諾、通知、指示、催告、請求などは、原則として書面により行う。
(権利義務の譲渡)
第14条 甲又は乙は、本契約により生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は継承させない。ただし、相手方の書面による承諾を得た場合はこの限りでない。
2 甲又は乙は、本契約の目的物、工事現場に搬入した工事材料(工場製品を含む、以下同じ)又は機械器具を第三者に譲渡、貸与又は抵当権その他の担保の目的に供しない。ただし、相手方の書面による承諾を得た場合はこの限りでない。
(一括委任又は一括下請負の禁止)
第15条 乙は、一括して工事の全部又は大部分を第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。ただし、法令において一括下請負が禁止されていない工事で、あらかじめ元発注者及び甲の書面による承諾を得た場合はこの限りでない。
2 乙は、第1項ただし書きにより元発注者及び甲の承諾を得た再下請負人等を変更しようとする場合は、改めて、元発注者及び甲の書面による承諾を得なければならない。
(関係事項の通知)
第16条 乙は、次の各号に掲げる事項を契約締結後遅滞なく書面をもって甲に通知する。一 建設業の許可業種及び番号
二 主任技術者をおくときは、その氏名三 現場代理人をおくときは、その氏名
四 その他施工上法律でおくことを義務づけられた有資格者などの氏名
五 甲の指定書式による「協力業者安全関係提出書類」一式
六 その他、甲が工事の適正な施工を確保するため必要と認めて指示する事項
2 乙は、前項各号に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく書面をもってその旨甲に通知する。
(再下請負人の関係事項の通知)
第17条 乙が工事の全部又は一部を第三者に委任し、又は請け負わせた場合は、その契約
(その契約に係る工事が数次の契約によって行なわれるときは、数次のすべての契約を含む)に関し、次の各号に掲げる事項を遅滞なく書面をもって甲に通知する。
一 受任者又は請負人の氏名及び住所(法人であるときは名称及び工事を担当する営業所の所在地)
二 建設業の許可業種及び番号
三 主任技術者をおくときは、その氏名四 現場代理人をおくときは、その氏名
五 雇用管理責任者、安全管理者及び衛生管理者をおくときはそれらの氏名六 その他施工上法律でおくことを義務づけられた有資格者などの氏名
七 工事の種類及び内容八 工期
九 その他、甲が適正な施工を確保するため、必要と認めて指示する事項
2 乙は、前項各号に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく書面をもってその旨甲に通知する。
(監督員)
第18条 甲は、監督員を定めたときは、書面をもってその氏名を乙に通知する。
2 監督員は、この約款に定めるもの及びこの約款に基づく甲の権限のうち、甲が監督員に委任したもののほか、設計図書で定める次の権限を有する。
一 契約の履行についての乙又は乙の現場代理人に対する指示、承諾又は協議
二 設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付又は乙が作成したこれらの図書の承諾
三 設計図書等に基づく工程の管理、立会、工事の施工状況の検査又は工事材料の試験若しくは検査
3 甲は、この約款に基づく甲の権限の一部を監督員に委任したときは、その委任した権限の内容を、二名以上の監督員に権限を分担させたときは、それぞれの監督員の有する権限の内容を、書面をもって乙に通知する。
4 甲が第1項の監督員を定めないときは、この約款に定められた監督員の権限は、甲が行使する。
(現場代理人及び主任技術者)
第19条 現場代理人は、本契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行 うほか、この約款に基づく乙の一切の権限(請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、工事関係者に関する措置請求並びに本契約の解除に係るものを除く)を行使する。ただし、現場代理人の権限について、乙が特別に委任又は制限するときは、あらかじめ、当該権限 の内容を甲に通知しなければならない。
2 乙は建設業法等の法令の定めに従って、施工技術上の管理をつかさどる主任技術者を置かなければならない。
3 現場代理人と主任技術者とはこれを兼ねることができる。
(工事関係者に関する措置請求)
第20条 甲は、現場代理人、主任技術者、その他乙が施工のために使用している再下請負人、作業員等で施工又は管理につき著しく不適当と認められるものがあるときは、乙に対して、その理由を明示した書面をもって、必要な措置をとるよう求めることができる。
2 乙は、監督員がその職務の執行につき著しく不適当と認められるときは、甲に対して、その理由を明示した書面をもって必要な措置をとるよう求めることができる。
3 甲又は乙は、前二項の規定による請求があったときは、その請求に係る事項について決定し、その結果を相手方に通知する。
(工事材料の品質及び検査)
第21条 乙は、工事材料につき設計図書にその品質が明示されていないものについては、使用前に甲の承諾を受ける。
2 乙は、工事材料については、使用前に甲の検査又は試験に合格したものを使用する。
3 前項の検査又は試験に必要な費用は、別に定める場合を除き、乙の負担とする。
4 甲は、乙から第2項の検査又は試験を求められたときは、遅滞なくこれに応ずる。
5 乙は、工事現場内に搬入した工事材料を甲の承諾を受けないで工事現場外に搬出しない。
6 乙は、前項の規定にかかわらず、検査の結果不合格と決定された工事材料については遅滞なく工事現場外に搬出する。
7 第2項から前項の規定は、機械器具についても準用する。
(甲の立会及び工事記録の整備)
第22条 乙は、調合を要する工事材料については、甲の立会を受けて調合し、又は見本検査に合格したものを使用する。
2 乙は、水中の工事又は地下に埋設する工事、その他施工後外面から明視することのできない工事については、甲の立会を受けて施工する。
3 甲は乙から前ニ項の立会又は見本検査を求められたときは、遅滞なくこれに応ずる。
4 乙は、設計図書において見本又は工事写真等の記録を整備すべきものと指定された工事材料の調合又は工事の施工をするときは、設計図書で定めるところによりその記録を整備し、甲の要求があったときは遅滞なくこれを提出する。
(支給材料及び貸与品)
第23条 甲から乙への支給材料又は貸与品(以下「支給材等」という)の品名、数量、品質、規格、性能、引渡し場所、引渡し時期、返還場所、返還時期は、設計図書又は外注見積仕様書に定めるところによる。
2 工程の変更により引渡し時期及び返還時期を変更する必要があると認められるときは、甲乙協議してこれを変更する。この場合において、必要があると認められるときは、工期 又は請負代金額を変更する。
3 甲は、支給材等を乙の立会のうえ検査して引き渡す。この場合において、乙は、その品質、規格又は性能が設計図書又は外注見積仕様書の定めと異なり、又は使用に適当でないと認めたときは、遅滞なく書面をもってその旨甲に通知する。
4 甲は、前項後段の規定による通知を受けた場合において、必要があると認めるときは、設計図書又は外注見積仕様書で定める品質、規格若しくは性能を有する他の支給材等を引き渡し、又は支給材等の品質、規格等の変更を行うことができる。この場合において、必要があると認めるときは、甲乙協議して、工期又は請負代金額を変更する。
5 乙は、支給材等を善良な管理者の注意をもって、使用及び保管し、乙の故意又は過失によって支給材等が滅失若しくはき損し、又はその返還が不可能となったときは、甲の指定した期間内に原状に復し、又は代品を納め、又はその損害を賠償する。
6 乙は、引渡しを受けた支給材等が、種類、品質又は数量に関し本契約の内容に適合しな
いもの(第3項の検査により発見することが困難であったものに限る。)であり、使用に適当でないと認められるときは、遅滞なく監督員にその旨を通知する。この場合において第4項の規定を準用する。
(設計図書不適合の場合の改造義務)
第24条 乙は、工事の施工が設計図書に適合しない場合において、甲がその修補又は改造を請求したときはこれに従い、その費用は乙の負担とする。ただし、甲の責に帰すべき理由によるときは、修補又は改造に要する費用は甲の負担とし、必要があると認められるときは、甲乙協議して工期を変更する。
2 甲は、乙が前項の修補又は改造を行わないとき、又はこれを行わないことが明らかであ るときは、乙の費用負担において自ら行うか、又は第三者にこれを行わせることができる。
(条件変更等)
第25条 乙は、施工にあたり、次の各号の一に該当する事実を発見したときは、直ちに書面をもってその旨甲に通知し、確認を求める。
一 設計図書と工事現場の状態とが一致しないこと
二 設計図書の表示が明確でないこと(図面と仕様書が交互符合しないこと、及び設計図書に誤謬又は脱漏があることを含む)
三 工事現場の地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件が実際と相違すること
四 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別の状態が生じたこと
2 甲は、前項の確認を求められたとき、又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは、直ちに調査を行い、乙に対してとるべき措置を指示する。
3 甲は、第1項各号に掲げる事実が甲乙間において確認された場合において、必要があると認められるときは、工事内容、工期若しくは請負代金額を変更する。この場合において、工期又は請負代金額の変更については、甲乙協議して定める。ただし、乙が第1項の通知を怠ったときは、この限りでない。
(工期の変更、中止等)
第26条 甲は、工事内容の変更又は工事の全部若しくは一部の施工を一時中止させる必要があると認めるときは、書面をもって乙に通知し、工事内容の変更又は工事の全部若しくは一部の施工を一時中止させることができる。この場合において、必要があると認められるときは、甲乙協議して工期又は請負代金額を変更する。
2 甲は、工期の変更をするときは、変更後の工期をこの工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間としてはならない。
(乙の請求による工期の延長)
第27条 乙は、天候の不良など乙の責に帰することができない理由又はその他の正当な理由により工期内に工事を完成することができないときは、遅滞なくその理由を明らかにした書面をもって甲に工期の延長を求めることができる。この場合における延長日数は、甲乙協議して定める。
2 前項の規定により工期を延長する場合において、必要があると認められるときは、甲乙協議して請負代金額を変更する。
(甲の請求による工期の短縮等)
第28条 甲は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、書面をもって乙に通知し、工期の変更を求めることができる。この場合における変更日数は、甲乙協議して定
める。
2 この約款の他の条項の規定により、工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、甲乙協議のうえ通常必要とされる工期の延長を行わないことができる。
3 前二項の場合において、必要があると認められるときは、甲乙協議して請負代金額を変更する。
(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)
第29条 工期内に賃金又は物価の変動により請負代金額が不適当となり、これを変更する必要があると認められるときは、甲乙協議して請負代金額を変更する。
2 甲と元発注者との元請契約の中の当該工事部分について、賃金又は物価の変動を理由にして請負代金額が変更されたときは、甲又は乙は、相手方に対し、前項の協議を求めることができる。
(臨機の措置)
第30条 乙は、災害防止などのため必要があると認められるときは、甲に協力して臨機の措置をとる。
2 乙が前項の規定により臨機の措置をとった場合において、その措置に要した費用のう ち、乙の請負代金額の範囲外と認められる部分については、甲がこれを負担することとし、この場合における甲の負担額は、甲乙協議して定める。
(一般的損害)
第31条 本契約の目的物の引渡し前に本契約の目的物又は工事材料について生じた損害、その他施工に関して生じた損害(本契約において別に定める損害を除く)は、乙の負担と する。ただし、その損害のうち、甲の責に帰すべき理由により生じたものについては、甲 がこれを負担する。
(第三者に及ぼした損害)
第32条 乙は工事の施工に関して第三者(関連工事の請負人等を含む、以下本条において同じ)に損害を及ぼしたときは、乙がその損害を負担する。ただし、その損害のうち、甲の責に帰すべき理由により生じたもの及び施工に伴い通常避けることができない事象により生じたものについてはこの限りでない。
2 前項の場合、その他施工について第三者との間に紛争を生じた場合においては、甲乙協力してその処理解決にあたる。
(天災その他不可抗力による損害)
第33条 天災その他不可抗力によって、工事の出来形部分、現場の工事仮設物、現場搬入済の工事材料又は機械器具に損害を生じたときは、乙は事実発生後速やかにその状況を甲に通知する。
2 前項の損害は、甲が確認したものに限り、甲がこれを負担する。ただし、乙が善良な管理者の注意を怠ったことに基づく損害を除く。
3 損害額は、次の各号に定めるところにより、甲乙協議して定める。一 工事の出来形部分に関する損害
損害を受けた出来形部分に相応する請負代金額とし、残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
二 工事材料に関する損害
損害を受けた工事材料に相応する請負代金額とし、残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
三 工事仮設物又は機械器具に関する損害
損害を受けた工事仮設物又は機械器具について、この工事で償却することとしている償却費の額から損害を受けた時点における出来形部分に相応する償却費の額を差し引いた額とする。ただし、修繕によりその機能を回復することができ、かつ、修繕費の額が上記の額より少額であるものについては、その修繕費の額とする。
4 第1項及び第2項の規定により、甲が損害を負担する場合において、保険その他損害をてん補するものがあるときは、その額を損害額から控除する。
5 天災その他不可抗力によって破損した工事目的物、工事出来形、工事材料、工事仮設物又は機械設備等の片付けに要する費用は、甲がこれを負担する。この場合における甲の費用は、甲乙協議して定める。
(完成検査及び引渡し)
第34条 乙は、工事を完成したときは、書面をもってその旨甲に通知するものとし、甲は、乙の立会のもと遅滞なく完成確認の検査を行う。
2 甲は、前項の検査によって工事の完成を確認した後、乙が引渡しを申し出たときは、直ちに本契約の目的物の引渡しを受ける。
3 甲は、乙が前項の申出を行わないときは、請負代金の支払の完了と同時に本契約の目的物の引渡しを求めることができる。この場合において、乙は直ちにその引渡しをする。
4 第1項の検査に合格しないときは、乙は遅滞なくこれを修補して再度甲の検査を受ける。この場合においては、修補の完了を工事の完成とみなして前三項の規定を適用する。
5 甲が第2項の引渡しを受けることを拒み、又は引渡しを受けることができない場合において、乙は、引渡しを申し出たときからその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、本契約の目的物を保存すれば足りる。
6 前項の場合において、乙が自己の財産に対するのと同一の注意をもって管理したにもかかわらず本契約の目的物に生じた損害及び乙が管理のために特に要した費用は、甲の負担とする。
(法定検査)
第34条の2 第34条の規定にかかわらず、乙は、法定検査(建築基準法第7条から同法第7条の4までに定められる検査その他設計図書等に定める法令上必要とされる関係機関による検査のうち、発注者が申請者となっているものをいう。以下同じ。)に先立つ適切な時期に、工事の内容が設計図書等のとおりに実施されていることを確認して、甲に対し、検査(発注者が本項の業務を監理者に委託した場合は、監理者立会いのもとに行う検査)を求める。
2 前項の検査に合格しないときは、乙は、工期内又は甲(甲が本項の業務を監理者に委託した場合は、監理者)の指定する期間内に修補又は改造して、甲に対し、検査(甲が本項の業務を監理者に委託した場合は、監理者立会いのもとに行う検査)を求める。
3 甲は、乙及び監理者立会いのもと、法定検査を受ける。この場合において、乙は、必要な協力をする。
4 法定検査に合格しないときは、乙は、修補、改造その他必要な処置を行い、その後については、第1項、第2項及び第3項の規定を準用する。
5 第2項及び第4項の規定にかかわらず、所定の検査に合格しなかった原因が乙の責めに帰すことのできない事由によるときは、必要な処置内容につき、甲、乙が協議して定める。
6 乙は、甲に対し、第5項の協議で定められた処置の内容に応じて、その理由を明示して必要と認められる工期の延長又は請負代金額の変更を求めることができる。
(その他の検査)
第34条の3 乙は、第34条、第34条の2及び第36条に定めるほか、設計図書等に甲
又は監理者の検査を受けることが定められているときは、当該検査に先立って、この工事の内容が設計図書等のとおりに実施されていることを確認して、甲又は監理者に通知し、甲又は監理者は、速やかに乙の立会いのもとに検査を行う。
2 第1項の検査に合格しないときは、乙は、速やかに修補又は改造して、甲又は監理者の検査を求める。
(完成前使用)
第35条 甲は、工事の完成前においても本契約の目的物の全部、又は一部を使用することができる。ただし、乙は必要があるときは甲の同意を得て、その使用中止を求めることができる。
2 前項の場合において、甲は善良な管理者の注意をもってこれを使用するものとし、その使用によって乙に損害を及ぼしたときはこれを補償する。
(部分引渡し)
第36条 甲は、本契約の目的物について設計図書の定めにより指定した部分の引渡しを受ける場合は、第34条に準じて検査を行い、その引渡しを受けることができる。この場合、その部分の請負代金相当額の支払については第40条(完成時の支払)の規定を準用する。
(請負代金の支払方法及び時期)
第37条 請負代金の支払方法及び時期は注文書、注文請書に定めるところによる。
2 甲又は乙は、やむを得ない場合には、注文書、注文請書の定めにかかわらず、相手方の同意を得て請負代金の支払の時期又は支払方法を変更することができる。
3 前項の場合において、甲又は乙は、相手方が被った損害がある場合は、その負担について協議して定める。
(前払金)
第38条 乙は、注文書、注文請書に定めるところにより、甲に対して前払金を請求することができる。この場合、甲は、乙に対して相当の担保の提供を求めることができる。
2 乙は、受領した前払金を当該工事の施工に直接必要な費用以外には使用してはならない。
(部分払)
第39条 乙は、出来形部分並びに工事現場に搬入した工事材料に相応する請負代金相当額について、注文書、注文請書に定めるところにより部分払を請求することができる。
2 乙は部分払を請求しようとするときは、甲に対してあらかじめ、その請求に係る工事の出来形部分、工事現場に搬入した工事材料の確認を求めることとし、甲は、その確認を行い、その結果を乙に通知する。
3 甲は、第1項の規定に基づき乙より請求を受けたときは、注文書、注文請書に定めるところにより部分払を行う。
4 乙が前払金の支払を受けている場合においては、第1項の請求額は原則として次の式によって算出する。
請求額=第1項による金額×請負代金額−受領済前払金額
請負代金額
5 第3項の規定により部分払金の支払があった後、再度部分払の請求をする場合においては、第1項又は前項による請求額はすでに部分払の対象となった額を控除した額とする。
(完成時の支払)
第40条 乙は、工事が第34条(完成検査及び引渡し)の検査に合格したときは、請負代金全額の支払を請求することができる。ただし、引渡しを要する工事にあっては引渡しの時とする。
2 甲は、前項の定めによる請求を受けたときは、注文書、注文請書に定めるところにより請負代金の支払を完了する。
(賃金などの立替払)
第41条 乙が賃金、再下請負工事代金、材料代金などの支払を遅滞し、勧告されてもなお支払わないときは、甲は、乙の従業員、再下請負人、材料納入業者などからの書面による申出により、これを立替払いすることができる。ただし、原則として事前に乙から事情を聴取する。
2 乙の再下請負人が、賃金、再下請負工事代金、材料代金などの支払を遅滞したときは、乙は再下請負人に代わって直ちにこれを支払う等適切な措置を講ずる。乙が適切な措置を講じないときは、甲は、乙に代わってこれを立替払いすることができる。
3 甲は、前二項の規定によって立替払いをしたときは、乙に対する立替金として処理することができる。
(乙の中止権)
第42条 次の各号の一に該当するときは、乙は工事を中止することができる。
一 甲が、前払金、部分払を遅滞し、乙が相当の期間を定めて催告してもなお支払わないとき。
二 天災その他不可抗力により、本契約の目的物に損害を生じ、あるいは工事現場の状態が変動したため施工できないと認められるとき。
2 甲は、前項の場合において、乙が工事の続行に備え、工事現場の維持又は作業員、機械器具等を保持するために支出した費用及びその他施工の中止に伴う損害を被った場合はこれを補償するものとし、補償額は、甲乙協議して定める。
(契約不適合責任)
第43条 甲は、引き渡された本契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないもの(以下「契約不適合」という。)であるときは、乙に対し、書面をもって、本契約の目的物の修補又は代替物の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、その履行の追完に過分の費用を要するときは、甲は履行の追完を請求することができない。
2 前項の場合において、乙は、甲に不相当な負担を課するものでないときは、甲が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
3 第1項の場合において、甲が相当の期間を定めて、書面をもって、履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、甲は、その不適合の程度に応じて、書面をもって、代金の減額を請求することができる。ただし、次の各号の一に該当するときは、催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 乙が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 本契約の目的物の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合において、乙が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、甲が本項本文の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
(契約不適合責任期間等)
第43条の2 甲は、引き渡された本契約の目的物に関し、第34条又は第36条の引渡しを受けた日から2年以内でなければ、契約不適合を理由とした履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求又は契約の解除(以下「請求等」という。)をすることができない。
2 前項の規定にかかわらず、建築設備の機器本体、室内の仕上げ・装飾、家具、植栽等の契約不適合については、引渡しの時、甲が検査して直ちにその履行の追完を請求しなければ、乙は、その責めを負わない。ただし、当該検査において一般的な注意の下で発見できなかった契約不適合については、引渡しを受けた日から1年を経過する日まで請求等をすることができる。
3 前二項の請求等は、具体的な契約不適合の内容、請求する損害額の算定の根拠など当該請求等の根拠を示して、乙の契約不適合責任を問う意思を明確に告げることで行う。
4 甲が第1項又は第2項に規定する契約不適合に係る請求等が可能な期間(以下本条において「契約不適合責任期間」という。)内に契約不適合を知り、その旨を乙に通知した場合において、甲が通知から 1 年が経過する日までに前項に規定する方法による請求等をしたときは、第1項又は第2項に規定する契約不適合責任期間内に請求等をしたものとみなす。
5 甲は、第1項又は第2項に規定する請求等を行ったときは、当該請求等の根拠となる契 約不適合に関し、民法の消滅時効の範囲で、当該請求等以外の請求等をすることができる。
6 前各項の規定は、契約不適合が乙の故意又は重過失により生じたものであるときには適用せず、契約不適合の責任については、民法の定めるところによる。
7 民法第637条第1項の規定は、契約不適合責任期間については適用しない。
8 甲は、本契約の目的物の引渡しの時に、契約不適合があることを知ったときは、第1項の規定にかかわらず、直ちに書面をもってその旨を乙に通知しなければ、当該契約不適合に対する請求等をすることができない。ただし、乙が当該契約不適合があることを知っていたときは、この限りでない。
9 本契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)第94条第1項に規定する住宅新築請負契約である場合には、本契約の目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成12年政令第64号)第5条に定める部分の瑕疵
(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について請求等を行うことのできる期間は、第34条又は第36条の引渡しを受けた日から10年とする。この場合において、本条前各項の規定は適用しない。
10 引き渡された本契約の目的物の契約不適合が支給材料の性質又は甲若しくは監督員の指図により生じたものであるときは、甲は当該契約不適合を理由として、請求等をすることができない。ただし、乙がその材料又は指図が不適当であることを知りながらこれを甲に通知しなかったときは、この限りでない。
(甲の損害賠償請求等)
第44条 乙の責に帰すべき理由により工期内に工事を完成することができない場合において、工期経過後相当の期間内に完成する見込みのあるときは、乙は、工期を延長することができる。
2 甲は、次の各号の一に該当するときは、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、当該各号に定める場合が本契約及び取引上の社会通念に照らして乙の責に帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
一 乙が工期内に工事を完成することができないとき(前項の規定により工期を変更したときを含む。)
二 本契約の目的物に契約不適合があるとき。
三 第45条の規定により、本契約が解除されたとき。
四 前各号に掲げる場合のほか、乙が債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
3 前項の場合において、賠償額は、甲と乙とが協議して定める。ただし、同項第1号の場合においては、甲は、乙に対し、請負代金額から出来形部分に相応する請負代金相当額を控除した額につき、遅延日数に応じ、年14.6パーセントの割合で計算した額を請求することができる。この場合、甲は、元発注者又は他の関係者から損害金を求められたときは、乙に対して、前記計算額のほか、その額を請求できる。
(乙の損害賠償請求等)
第44条の2 乙は、次の各号の一に該当するときは、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、当該各号に定める場合が本契約及び取引上の社会通念に照らして甲の責に帰することができない理由によるものであるときは、この限りでない。
一 第49条の規定により、本契約が解除されたとき。
二 前号に掲げる場合のほか、甲が債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
2 第38条(前払金)、第39条(部分払)、第40条(完成時の支払)(第36条(部分引渡し)において準用する場合を含む。以下本項において同じ。)の規定による請負代金の支払が遅れた場合においては、乙は未受領金額につき、遅延日数に応じ年14.6パーセントの割合で計算した額の遅延利息の支払を甲に請求することができる。
3 甲が前項の遅滞にあるときは、乙は、本契約の目的物の引渡しを拒むことができる。
4 第34条第5項及び第6項の規定は、前項の規定による引渡しの拒絶について準用する。
(甲の解除権1)
第45条 甲は、乙が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、本契約を解除することができる。ただし、当該期間を経過した時における債務の不履行が本契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
一 正当な理由がないのに、工事に着手すべき時期を過ぎても工事に着手しないとき。二 工期内又は工期経過後相当期間内に工事を完成する見込がないと明らかに認められ
るとき。
三 正当な理由なく、第43条第1項の履行の追完を行わないとき。四 前各号に掲げる場合のほか、本契約に違反したとき。
2 甲は、乙が次の各号の一に該当するときは、何らの通知催告を要することなく本契約を解除することができる。
一 施工技術、労務管理、安全衛生管理などが不良なため、本契約の目的物を完成させることができないことが明らかであるとき。
二 差押、仮差押若しくは仮処分を受け、又は競売の申立て若しくは破産、民事再生手続開始、会社更生手続開始などの申立てがあったとき、又は清算に入ったとき。
三 手形交換所の不渡報告に掲載され、又は取引停止処分があったとき。
四 支払いを停止する等により、本件工事の施工を継続することが困難と認められるとき。
五 住所変更の届出を怠るなどその責に帰すべき事由により、乙又は乙の代表者の所在が不明になったとき。
六 第14条第1項の規定に違反して、請負代金債権を譲渡したとき。七 第15条の規定に違反したとき。
八 引き渡された本契約の目的物に契約不適合がある場合において、その不適合が本契約の目的物を除却した上で再び建設しなければ、本契約の目的を達成することができ
ないものであるとき。
九 前記各号に掲げる場合のほか、乙が、本契約に違反し、甲が前条の催告をしても本契 約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
十 第49条(乙の解除権)第1項の規定によらないで本契約の解除を申し出たとき。
3 甲は、第1項又は前項の規定により本契約を解除したときは、工事の出来形部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受ける。ただし、その出来形部分が設計図書に適合しない場合は、その引渡しを受けないことができる。
4 甲は、前項の引渡しを受けたときは、その引渡しを受けた出来形部分及び工事材料に相応する請負代金相当額を乙に支払う。
5 前項の場合において、前払金があったときは、その前払金の額(第39条(部分払)の規定による部分払をしているときは、その部分払において償却した前払金の額を控除した額)を前項の出来形部分及び工事材料に相応する請負代金相当額から控除する。この場合において、受領済みの前払金額になお余剰があるときは、乙は、その余剰額に前払金の支払の日から返還の日までの日数に応じ、年14.6パーセントの割合で計算した額の利息を付して甲に返還する。
6 第1項各号又は第2項各号に定める場合が甲の責に帰すべき事由によるものであるときは、甲は、第1項又は第2項の規定により本契約を解除することができない。
(甲の解除権2)
第46条 甲は、工事が完成しない間は、前条第1項及び同条第2項に規定する場合のほか必要があるときは、本契約を解除することができる。
2 前条第3項から第5項までの規定は、前項の規定により本契約を解除した場合に準用する。ただし、前条第5項のうち利息に関する部分は準用しない。
3 甲は、第1項の規定により本契約を解除した場合において、これにより乙に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償する。この場合における賠償額は、甲と乙とが協議して定める。
(反社会的勢力の排除)
第47条 甲は、乙又は再下請負人及びその代表者、責任者、実質的に経営権を有する者が次の各号の一に該当するときは、何ら催告せずに、本契約を解除することができる。
一 暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者 、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋その他の反社会的勢力(以下まとめて「反社会的勢力」という)に属すると認められるとき
二 反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められるとき三 反社会的勢力を利用していると認められるとき
四 反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められるとき
五 反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているとき
六 自ら又は第三者を利用して、甲又は甲の関係者に対し、詐術、暴力的行為又は脅迫的言辞を用いたとき
2 乙は、乙又は再下請負人が反社会的勢力による不当要求又は工事妨害(以下「不当介入」という)を受けた場合には、断固としてこれを拒否し、又は再下請負人をして断固としてこれを拒否させるとともに、不当介入があった時点で、速やかに甲にこれを報告し、甲の捜査機関への通報及び元発注者への報告に必要な協力を行うものとする。
3 乙が正当な理由なく前項に違反した場合、甲は何ら催告をせずに、契約を解除することができる。
4 第1項及び第3項により、甲が契約を解除した場合に、乙に損害が生じても甲は何らこれを賠償ないし補償することを要しない。かかる解除により甲に損害が生じたときは、乙
はその損害を賠償する。
5 乙又は再下請負人は、反社会的勢力のいずれでもなく、また、反社会的勢力が経営に実質的に関与している法人等ではないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
(乙らの支払い遅延に伴う措置)
第48条 乙又は再下請負人が賃金、再下請負工事代金その他の支払いを遅延したとき、あるいはそのおそれがあるときは、甲は、乙に対する請負代金等の支払を留保することができる。
2 甲は、乙の作業員、再下請負人及び取引先などから乙の負担する債務につき甲に支払請求があったときは、第41条(賃金などの立替払)第1項の手続によらずに、乙又は再下請負人に代わって、甲が乙に支払うべき請負代金等の中から当該支払いを行うことができる。この場合、甲の支払いと同時に甲の乙に対する同額の請負代金等の債務が消滅し、乙は甲に対し異議申立は一切しない。
(乙の解除権)
第49条 乙は、甲が本契約に違反したときは、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、本契約を解除することができる。ただし、当該期間を経過した時における債務の不履行が本契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
2 乙は、次の各号の一に該当するときは、何らの通知催告を要することなく本契約を解除することができる。
一 第26条(工期の変更、中止等)の規定により工事内容を変更したため請負代金額が
6/10以上減少したとき。
二 第42条(乙の中止権)第1項の規定による工事の施工の中止期間が工期の1/2
(工期の1/2が6月を超えるときは6月)を超えたとき。ただし、中止が工事の一部の場合は、その一部を除いた他の部分の工事が完了した後、工期の1/4(工期の1/
4が3月を超えるときは3月)を経過しても、なおその中止が解除されないとき。 三 甲が本契約に違反し、その違反によって工事を完成することが困難となったとき。四 甲が請負代金を支払う能力を欠くことが明らかとなったとき。
3 第45条(甲の解除権1)第3項から第5項までの規定は、前項の規定により本契約が解除された場合に準用する。ただし、第45条第5項の規定のうち、利息に関する部分はこれを準用しない。
4 乙は、第1項又は第2項の規定により、契約を解除した場合において、これにより損害を受けたときは、その損害の賠償を甲に対して請求することができる。この場合における賠償額は、甲乙協議して定める。
5 第1項又は第2項各号に定める場合が乙の責に帰すべき事由によるものであるときは、乙は、第1項又は第2項による本契約の解除をすることができない。
(解除に伴う措置)
第50条 契約を解除したときは、甲乙が協議して、当事者に属する物件について期間を定めてその引取り、後片付けなどの処置を行う。
2 前項の処置が遅れているとき、催告しても正当な理由なくなお行われないときは、相手方は代ってこれを行い、その費用を請求することができる。
3 前2項の規定のほか、解除に伴い生じる事項の処理については、甲乙が民法の規定に従って協議して定める。
(相殺)
第51条 甲は、乙に対して立替金等の債権を有する場合は、乙に通知の上、甲の乙に対する工事代金支払債務と対当額でこれを相殺する。ただし、乙について破産、民事再生、会社更生等の手続の申立てがあった場合、あるいは著しい信用不安を招いたと甲が判断した場合、甲は乙に何ら通知することなく甲の乙に対する債権債務を相殺する。
(紛争の解決)
第52条 この約款の各条項において、甲乙協議して定めるものにつき協議が整わない場合、その他契約に関して甲乙間に紛争を生じた場合には、甲又は乙は、当事者の双方の合意により選定した第三者又は建設業法による建設工事紛争審査会(以下「審査会」という)のあっせん又は調停により解決を図る。
2 甲及び乙は、その一方又は双方が前条のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがないと認めたときは、前条の規定にかかわらず、審査会の仲裁に付し、その仲裁判断に服する。
3 前2項の規定にかかわらず、本契約について甲乙間に紛争が生じたときは、甲又は乙は、仲裁合意書により仲裁合意した場合を除き、裁判所に訴えの提起又は民事調停の申立て をすることによって解決を図ることができる。
(情報通信の技術を利用する方法)
第53条 この約款において書面により行わなければならないこととされている協議、承諾、通知、指示、催告、請求、要求及び申出は、建設業法その他の法令に違反していない限りにおいて、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて行うことができる。ただし、当該方法は書面の交付に準ずるものでなければならない。
(補則)
第54条 契約書及びこの約款の疑義、並びにこれらに定めのない事項については、必要に応じ甲乙協議して定める。