『業務実施契約』は、発注者(国際協力機構(以下、「JICA」という。)契約担当役理事)と受注者(受注者の代表取締役等)との間で締結されるものです。しかしながら 、契約の履行に当たって、業務工程や業務内容の確認又は軽微な変更等に至るまで発注者と受注者の間で契約管理することは、実務上合理的ではありません。このため、発注者 から授権された「監督職員」(通常、案件担当課長)と受注者から授権さ れた「業務主任者」との間で、授権された範囲内で契約管理が行えるよう契約約款に規定されています。
業務実施契約における契約管理ガイドライン
2017 年 9 月
調達部
注)業務実施契約(単独型)の契約管理については、「業務実施契約(単独型)における契約管理ガイドライン(2017 年 9 月)」を参照してください。
目 次
1.はじめに
2.監督職員と業務xx者による契約管理
(1)契約の性質 1
(2)監督職員 2
(3)業務xx者 2
(4)業務計画書 2
(5)打合簿 3
(6)契約管理に関する文書 4
3.監督職員の権限
(1)業務の内容(仕様書)に係ること 5
(2)業務の内容(業務計画書)に係ること 5
(3)契約金額の内訳に係ること 6
(4)業務従事者に係ること 7
(5)契約変更に係ること 8
4.契約履行プロセスにおける具体的な契約管理
(1)契約締結時における確認事項 9
(2)業務計画書等の提出 11
(3)費目間流用 11
(4)その他契約金額内訳に係る事項 13
(5)業務従事者の確定・交代等 15
(6)現地再委託契約 16
(7)機材調達・管理 17
(8)本邦研修受入れ 18
(9)契約の変更 19
(10)不可抗力 19
(11)業務の完了 20
別紙:契約管理手続き一覧表(参考)別添:打合簿の具体事例(26例) 様式1:コンサルタント業務従事月報
様式2:業務完了届別紙(自己評価及び契約管理に関する要望について)
1.はじめに
『業務実施契約』は、発注者(国際協力機構(以下、「JICA」という。)契約担当役理事)と受注者(受注者の代表取締役等)との間で締結されるものです。しかしながら、契約の履行に当たって、業務工程や業務内容の確認又は軽微な変更等に至るまで発注者と受注者の間で契約管理することは、実務上合理的ではありません。このため、発注者から授権された「監督職員」(通常、案件担当課長)と受注者から授権さ れた「業務xx者」との間で、授権された範囲内で契約管理が行えるよう契約約款に規定されています。
また、成果品の検査(契約履行の確認)は、JICAの検査職員(通常、案件担当部長)が、成果品提出日翌日から10営業日以内に実施すると規定されていますが、長期に亘り実施される業務の内容と提出される報告書等の内容を検査職員がこの短期間で検査するためには、契約履行過程において、監督職員が適切に業務の履行状況を監督し、 業務の完了に当たってはその監督結果を検査職員に報告し、検査職員はその監督結果の報告に基づき検査ができることが前提となります。
更に重要な視点として、『業務実施契約』では、案件の進捗状況に合わせ柔軟に業務内容の修正を行うことが想定されており、状況の変化に合わせて契約を適切に変更 しながら、案件の当初目的を達成すべく、発注者と受注者が『共同作業』を行うという性格を持っています。「契約の履行管理」について、発注者、受注者がともに正確な知識を持つことが、円滑な『共同作業』の前提となることは、『業務実施契約』に携わる者が一致して認識しておくべき事項だと考えます。
本ガイドラインは、適切な契約の履行とその検査に最低限必要となる、監督職員と業務xx者が共同して実施する契約の履行管理について、解説を行うことを目的としています。
本ガイドラインが、契約履行に当たっての監督職員と業務xx者双方の責任を理解する一助になるとともに、円滑な契約履行を確保し、結果的に履行される業務の質の向上をもたらすことを期待しています。
2.監督職員と業務xx者による契約管理
(1)契約の性質
業務実施契約は、契約約款第1条第4項において、「(前略)特別の定めがある 場合を除き、成果品を完成するために必要な方法、手段、手順については、受注者の責任において定める」としています。
一方、業務実施契約で発注されている「発注者が意図する業務のイメージの全体」を特記仕様書のみで受注者に伝えることは困難です。このため、業務実施過程において、発注者が「このようにやってほしい」というイメージを受注者に伝える必要があり、また、受注者も、「具体的に業務を行う際このようなイメージとなるがよいか?」について、発注者に確認することが必要です。これが上述した「共同作業」です。
発注者と受注者は、契約交渉時に業務内容と業務実施の方法論を協議・確認し
ます。発注者はその結果を踏まえて業務内容を記載した特記仕様書を作成し、受注者は特記仕様書に基づき実施方法を記載した業務計画書を作成します。これらが「共同作業」の土台となります。
(2)監督職員
監督職員は発注者から授権された権限の範囲内で、適正な履行を確保するため、監督行為を行います。
監督職員は、仕様書(共通仕様書及び特記仕様書)と業務計画書に基づき業務が実施されているかを確認し、必要に応じ業務xx者に対して必要な指示や協議を行い、適切な履行を監督します。監督職員の権限は、契約約款第6条第2項に監督職員の業務として以下の項目が規定されています。
【業務実施契約約款第6条第2項】
監督職員等は、本契約の履行及び業務の実施に関して、次に掲げる業務を行う権限を有する。
(1)第1条第7項に定める書類の受理
(2)契約書及びその他関係書類(以下、「契約書等」という。)に基づく、受注者又は受注者の業務xx者に対する指示、承諾、協議及び確認
(3)契約書等に基づく、業務工程の監理及び立会
(4)仕様書及び業務計画書に規定されている業務内容の軽微な変更(予め発注者から権限を与えた範囲に限る。)の承諾及び確認
(5)契約金額内訳書に示す直接経費に係る承諾及び確認
(6)業務従事者名簿に示す業務従事者に係る承諾及び確認
(3)業務xx者
業務xx者は、契約変更が必要と考えられる契約内容の変更等を除き、受注者の権限を有するものとし(契約約款第7条)、監督職員と協力して、適正な履行を確保(両者で合意形成が可能)します。
【業務実施契約約款第7条第1項】
受注者は、第1条第2項に規定する業務従事者名簿において、業務xx者を定めなければならない。業務xx者は業務の実施についての総括管理をつかさどるほか、本契約に基づく受注者の権限(ただし、契約金額の変更、作業項目の追加等業務内容の重大な変更、履行期間の変更、損害額の確定、本契約に係る支払請求及び金銭受領の権限並びに本契約の解除に関するものを除く。)を有するものとする。
業務xx者は、監督職員が発注者から授権されている権限とほぼ同様の権限を
受注者から授権されていることから、両者の間で契約書に基づいた契約管理を行うことができます。
なお、業務xx者の権限を代理で執行することが可能な業務従事者として、副業務xx者が指名されることがありますが、打合簿は業務xx者名で作成(副業務xx者の代理押印は可能)してください。
(4)業務計画書
業務計画書は、契約締結日から 10 営業日以内に受注者が提出する業務の実施
方法を具体的に記載した文書です。業務計画書は、特記仕様書等を踏まえて作成されるもので、プロポーザルにも記載されている以下の項目(共通仕様書第6条)が記載されています(様式は自由です)。
【共通仕様書第6条第2項】
業務計画書には、契約書等に基づき下記事項を記入するものとする。
(1)業務の概要
(2)業務の実施方針
① 業務実施の基本方針
② 業務実施の方法
③ 業務のフローチャート
④ 作業工程計画
⑤ 要員計画
⑥ その他
イ 再委託業務の内容ロ 機材調達計画
ハ その他必要事項
(3)受注者の業務実施体制
業務計画書は契約管理の基本文書であり、発注者・受注者で予め合意された業
務の具体的内容及び実施の方法論を示すもので、①業務計画書に基づき業務が実施されているか、②変更があるのであればその変更は適切なものかを確認することが契約管理であるといえます。
このため、監督職員(若しくはその代行者である担当職員)及び業務xx者(若しくはその他業務従事者)は、業務計画書の内容を十分に把握、理解しておく必要があります。
(5)打合簿
上述の通り、監督職員と業務xx者との間の打合せ事項(指示、承諾、協議及び確認)を記録として残すものが「打合簿」です。
【共通仕様書第5条】
第3条に定義する監督職員等の指示、承諾、協議及び確認は、その内容を打合簿(発注者指定様式)に記録し、業務xx者と監督職員等がそれぞれ一部ずつ保管するものとする。
受注者(業務xx者)にとっては、業務内容の軽微な変更や経費の流用に係る
事前の合意を証明する文書となります。監督職員の指示や承諾等に基づいて業務が履行されたことを確認したり、円滑な精算を行うためにも、必ず打合簿を作成してください。
打合せは、当該事態が発生する前に行うこととし、打合簿の日付は、実際に打合せ(電話やメールのやり取り、担当者等を通じた打合せを含む。)を行った日付としてください。
打合簿は、監督職員名(明示的に部分的な権限が委任されている場合は、分任監督職員名)と業務xx者名で作成し、それぞれの押印が必要です。副業務xx者が設定されている場合、押印については、副業務xx者の代理押印が認められます。
なお、打合簿のうち、契約変更に関係する事項等については、調達部担当契約課長が内容確認(押印)を行うことがあります(この3者による打合簿の場合でも、作成する原本は2部で構いません。)。担当契約課長の確認が必要となる具体的な事項については、「4.契約履行プロセスにおける具体的な契約管理」を参照してください。
(6)契約管理に関する文書
監督職員及び業務xx者は、以下に掲げる文書を常に整理し、契約管理の基礎資料として、参照できるようにしてください。
1)契約書(契約書、契約約款、附属書Ⅰ~Ⅳ)
2)業務計画書
3)打合簿
4)契約関連ガイドライン
・業務実施契約における契約管理ガイドライン(本ガイドライン)
・コンサルタント等契約における経理処理ガイドラン
・コンサルタント等契約における現地再委託契約ガイドライン
・コンサルタント等契約における研修・招へい実施ガイドライン
・コンサルタント等契約における物品・機材の調達・管理ガイドライン
・コンサルタント等契約における報告書の印刷・電子媒体に関するガイドライン
・独立行政法人国際協力機構関係者の倫理等ガイドライン
5)コンサルタント業務従事月報(様式1)
6)業務従事者に係る緊急連絡網
7)その他関係書類
3.監督職員の権限
監督職員が契約の管理を行うに当たって、常に認識しておかなければならないことは、監督職員が発注者から授権されている権限の範囲です。この権限の範囲を超えた事項については、打合簿ではなく、契約変更を行う必要があります。
監督職員の権限の範囲を①業務の内容(契約書附属書Ⅱ「特記仕様書」)に係ること、②契約金額の内訳(契約書附属書Ⅲ「契約金額内訳書」)に係ること、③業務従事者(契約書附属書Ⅳ「業務従事者名簿」)に係ることに分け、契約変更で対応すべきもの、打合簿で対応すべきもの、受注者の裁量によるものに分類/整理したものが下表です。
また、より詳細な整理を別紙「契約管理手続き一覧表」として提示します。
監督職員の権限の範囲(概要)
業務内容 | 契約金額内訳 | 業務従事者 | |
契約変更 | ・仕様書記載の業務内容の変更 ・契約履行期間の変更 | ・契約金額又は費目(大項目)注)の変更 | ・業務xx者及び副業務xx者の変更 ・業務従事総人月の増加 |
打合簿 | ・仕様書記載の業務内容の軽微な変更及び確定 ・業務計画書記載の業務方法、手法、手順の変更 | ・費目(中項目)注)間流用 | ・業務従事者の交代及び確定(業務xx者及び副業務xx者を除く。) 注)担当契約課長の確認 (押印)が必要 |
受注者の裁量 | ・業務計画書記載の業務方法、手法、手順の軽微な変更及び確定 | ・費目(小項目)注)間流用 | ・業務従事者間の人月振替 ・現地業務人月と国内業務人月振替 ・従事時期の確定・変更 |
注)費目の分類については、次ページ「費目の構成」を参照してください。
(1)業務の内容(仕様書)に係ること
共通仕様書(契約書附属書Ⅰ)及び特記仕様書(契約書附属書Ⅱ)(以下、併 せて「仕様書」という。)に記載されている業務の内容に関する事項については、 原則、監督職員に変更権限はありません。ただし、最終報告書の冊数の変更やそ の提出期限の延長、xxxxや研修・招へいの受入人数の若干の増減、調達する 機材の数量の若干の増減などの軽微な変更については、監督職員の権限とします。仕様書の軽微な変更については、原則、打合簿に記録してください。
【仕様書における軽微な変更の事例】
・業務実施時期の軽微な変更(8 月上旬実施予定のセミナーが 9 月中旬に延期)
・調達機材の内容の軽微な変更(コンピューターをラップトップからデスクトップに変更。UPSを追加。台数を3台から 4 台に変更。等)
・安全管理に係る留意事項の変更(治安状況が変化し、留意事項が追加された。又は、渡航禁止地域が減少した。等)
(2)業務の内容(業務計画書)に係ること
業務計画書は、上記(1)の仕様書を踏まえて作成されるもので、監督職員と業務xx者にとっては、この業務計画書通り業務が履行されているかを管理する ことが、契約管理の主要業務です。
業務計画書の内容の変更については、仕様書の変更を伴わない限り、監督職員の権限の範囲です。監督職員と業務xx者は、常に密接な連絡を取り(共通仕様書第4条)、業務計画書の軽微な変更を含めて、業務の進捗について情報共有に努めてください。業務計画書の変更については、この情報共有の過程で、両者が 記録に残すべきと判断する事項(業務計画書記載事項のうち、①業務実施の基本方針、及び②業務実施の方法のうち、重要な内容の変更)を打合簿として記録してください。作業工程計画や要員計画等については、コンサルタント業務従事月報に反映されるため、打合簿は不要です。
また、業務計画が大幅に変更となった際には、変更後の業務計画書を新たに作成し(契約約款第2条第2項)、これを基に契約管理を行ってください。
(3)契約金額の内訳に係ること
契約金額の内訳は、契約金額内訳書(契約書附属書Ⅲ)に記載されています。契約金額の内訳の変更とは、「費目間流用」のことです。「費目間流用」とは、
他の費目で余剰となった経費を、業務実施上不足している費目において、契約書の契約金額内訳に示されている当該費目の金額を超えて支出することを認めることを指します。このため、「費目間流用」は、増額される費目についてのみ、その理由、増額する額の妥当性等を監督職員が確認します。
なお、「直接人件費」、「その他原価」、「一般管理費等」については、費目(中項目)以下の構成がないため、「費目間流用」の対象は「直接経費」のみに限られます。
「費目間流用」の取扱いは、以下のとおり整理されます。
費目の構成
費目(大項目) | 費目(中項目) | 費目(小項目) |
直接経費 | 旅費(航空賃) | |
旅費(その他) | 日当・宿泊料等、戦争特約保険料、特別手当 | |
一般業務費 | 一般傭人費、特殊傭人費、車両関連費、賃料借料、施設・機材保守管理費、消耗品費、旅費・交通費、通信・運搬費、資料等作成費、 水道光熱費、雑費 | |
成果品作成費 | ||
機材費 | 機材購入費、機材送料 | |
再委託費 | 現地再委託費、国内再委託費 | |
国内業務費 | 技術研修費、招へい費、諸雑費 | |
直接人件費 | ||
その他原価 | ||
一般管理費等 |
1)費目(大項目)間の流用は認められません。これら費目の額を変更するのであれば、契約変更が必要です。
2)費目(中項目)間の流用については、監督職員の権限の範囲内であり、打合簿による流用(当初契約金額内訳書に計上されていなかった費目(中項目)への流用を含む。)が可能です。ただし、旅費(航空賃)からの流用については制限があります(4.(3)2)参照)。また、機材費及び再委託費については、特記仕様書(契約書附属書Ⅱ)に明示されている内容以外のものを調達する必要がある場合には、原則、契約変更が必要です。
3)費目(小項目)間の流用については、受注者の裁量により流用(当初契約金額内訳書に計上されていなかった費目(小項目)への流用を含む。)が可能であり、打合簿の作成は不要です。ただし、一般業務費の支出については、業務完了後に一般業務費支出実績総括表を作成し、当該支出が「業務と関連し
た支出である」ことを監督職員が打合簿で確認します。また、機材費及び再委託費については、特記仕様書(契約書附属書Ⅱ)に明示されている内容以外のものを調達する必要がある場合には、原則、契約変更が必要です。
4)以下の事項については、費目間流用ではないものの、精算を行う際に、監督職員の確認を必要とするため、打合簿を作成し、記録を残してください。
・現地再委託や国内再委託にかかり締結された契約内容の報告
・機材調達を行った際の契約内容の報告(160 万円以上の契約に限る。)
・研修・招へい受入業務に係る研修計画及び経費内訳の承諾
・渡航回数の増加(自社負担とする場合を除く。)(費目間もしくは費目内流用により契約金額を超えない場合も回数の増加については打合簿を要します。)
・航空賃、日当・宿泊料等を他の契約(自社業務を含む。)と折半する場合
・現地研修参加者等への日当・宿泊料及び交通費等を設定した単価で渡切とする場合
・契約金額内訳書に損料単価が記載されていない機材損料を新たに計上する場合の損料単価の確認
(4)業務従事者に係ること
業務従事者については、業務従事者名簿(契約書附属書Ⅳ)に記載されています。業務従事者の確定と変更については、以下のとおり整理されます。
1)業務xx者及び副業務xx者の交代は原則認めていませんが、やむを得ない事情がある場合、契約変更で対応します。
2)業務量が増加し、業務従事総人月の増加が必要な場合、契約変更で対応します。上位格付の業務従事者の人月を削減し、下位格付の業務従事者の人月を増加することにより、直接人件費を増加させることなく業務従事総人月を増加させることは計算上可能ですが、このような直接人件費の増額を伴わない総人月の増加についても、契約変更での対応となります。
3)業務従事者(業務xx者及び副業務xx者を除く。)の交代及び未定の業務従事者の確定については、打合簿による対応が可能です。新たに業務に従事する方の格付や所属、航空券のクラスを確認する必要がありますので、打合簿
(担当契約課長要押印)にて確認してください。
4)業務従事者間の人月の振替えや現地業務人月と国内業務人月の振替え1、業務従事者間の渡航回数の振替え、業務従事時期の確定、変更などについては、仕様書で規定されている業務内容や業務計画等に変更がない限り、受注者の裁量となります。ただし、受注者の裁量で行う限り、契約金額の変更を伴いませんので、直接人件費等は契約金額内訳額の範囲内で精算されます。
【人月振替えに係る基本的な考え方】
人月の振替え自体は受注者の裁量としていますが、これはあくまで、「発注者が期待する業務の実施(質)が確保できる体制」であることが前提となりますので、「裁量権の乱用」は認められません。
監督職員は、毎月提出される「コンサルタント業務従事月報」により、受
1 現地業務人月と国内業務人月は日数の数え方が異なる(現地業務は拘束日 30 日で1人月。国内業務は実働日 20 日で1人月。)ので、振替えはあくまで日数ではなく、人月で確定すること。
注者の最新の要員計画の実績と予定が把握できるので、「発注者が期待する業務の実施(質)」に影響する蓋然性が認められる場合、速やかに業務xx者と業務実施体制について協議し、必要に応じ、適切な要員計画とするよう指示してください。
5)上記4)に伴い、費用間流用や契約金額の増額が必要な場合は、それぞれ打合簿や契約変更が必要となります。
6)業務従事者は、受注者の経営者又は雇用者(以下、「専任の技術者」という。)であることを想定していますが、担当業務の専門性等の観点から専任の技術者以外の者(以下、「補強」という。)を業務従事させることが望ましいと受注者が判断する場合、全業務従事者の4分の3までを目途として、補強を配置することができます。ただし、受注者が共同企業体である場合、共同企業体の代表者及び構成員ごとの業務従事者数の2分の1までを目途とします。この目途を大幅に超えて補強を配置する場合、監督職員の承諾(打合簿の作成)を要します。なお、業務xx者の補強の可否については、業務指示書に記載する条件に従ってください。
(5)契約変更に係ること
監督職員の権限の範囲は、上記(1)~(4)の記載のとおりであり、記載の権限を越える事項は契約変更にて対応する必要がありますが、契約変更に当たっても、監督職員は一定の役割を果たします。
具体的には、以下の1)から6)までの条件に当てはまる契約変更については、監督職員と業務xx者が①契約変更の経緯と理由、②変更される業務内容等、③変更特記仕様書(案)、④変更契約金額内訳書(案)について、協議、合意し、その内容を打合簿(担当契約課長要押印)にて確認した場合は、(発注者による)変更業務指示書の発出、及び(受注者による)変更プロポーザルの提出を省略して、変更契約を締結することができます(契約変更手続きが簡素化できます)。なお、上記の打合簿のみでは、契約変更の効力は発生しませんので、打合簿締
結後、速やかに契約変更手続きを進める必要があります。
【契約変更手続き簡素化の条件】
1)当初業務についての軽微な変更や当初業務に関連した軽微な付帯的業務が発生する場合
2)当初契約にその可能性が明記されている範囲内で業務の変更、確定を行う場合(緊急支援案件等で、業務開始後にパイロット事業の内容を決定する場合や再委託業務の詳細内容、金額を契約開始後に決定し、契約変更において当該経費を追加契約する場合等)
3)自然条件等が当初契約時の想定と異なることが判明し、これに対応するために必要な業務の変更を行う場合
4)急激な治安の悪化、自然災害等の当初想定しえない外的要因に対する緊急対応として業務の変更を行う場合
5)複数の業務期間に分けて契約を締結する場合において、業務の実施が単純に先行契約若しくは継続する契約に移動する場合
6)業務内容に変更はないものの、やむを得ない事情により、発注者が負担すべき経費を増額する必要がある場合(日当・宿泊料の増加、安全対策経費
の増加等)又は履行期限を延長する必要がある場合
ただし、現行契約金額の 30%又は 5000 万円のいずれか小さい額を超える契約変更については、原則として、変更業務指示書を発出し、変更プロポーザルの提出を求めた上で、契約変更手続き(概ね1ヵ月程度を要します)を行います。
【契約変更での対応範囲】
コンサルタント等契約での業務は途上国における業務であり、契約当初想定していた作業条件が確保できなかったり、現地での状況が大きく変化する事態が頻繁に発生し、結果、業務量や必要経費が増加し、契約変更が必要とされることがあります。
このような場合には、発注者として速やかに必要な契約変更に係る協議を行 いますので、まずは、監督職員と業務xx者との間で協議を開始してください。一方、新規に発生する業務の内容及び作業量によっては、現行の受注者との
間での契約変更ではなく、新たに新規案件として公示し、応募者を募ることが適当な場合もあります。
契約変更として対応するか、新規案件として公示するかについては、具体的個別案件ごとに判断することとなりますが、以下の場合は、必ずしも契約変更での対応は妥当ではないと考えますので、留意してください。
(1)追加される業務内容が、既存契約の業務内容の関連業務と位置付けられない場合、又は業務従事者に求められる専門性が異なる場合
(2)単純な工事の発注や機材の調達を新たに追加する場合(本来的には、JICAが直接発注すべき)
(3)追加される業務規模が著しく大きい場合(一つの目安としては、現行契約金額の 30%を超える場合)
4.契約履行プロセスにおける具体的な契約管理
本章では、それぞれの契約プロセスにおいて、契約管理が必要な事項(打合簿を作成することが必要な事項)の具体的な事例を提示して、解説します。
(1)契約締結時における確認事項(打合簿事例1、2)
契約交渉において双方が協議、確認した点について、契約締結日の日付をもって、打合簿に記録してください(現地での状況が契約締結時の想定と違っていた場合等、当初の想定が打合簿に記録されていると、スムーズに契約変更を行うことができます)。
1)分任監督職員の所掌権限
分任監督職員は監督職員の権限を分担させるために置くことができますが、通信が発達し、受注者の裁量も拡大していますので、契約管理上は、基本的には、分任監督職員の設置は必要ないと考えます。ただし、以下の事情等に当てはまる場合、JICA では分任監督職員(通常、JICA 在外事務所次長)を設置する場合があります。
・ 特別な治安対策が必要な国において、受注者に在外事務所から安全管理関連の指示を行う必要がある場合
・ パイロットプロジェクトの実施等について、在外事務所が主体的にC/ Pと意見交換しながら対象村落の選定、実施の内容等を決定していく必要がある場合
なお、分任監督職員の設置の有無に関わらず、在外事務所(支所)とは、業務進捗状況を十分共有してください。
【在外事務所の役割について】
JICA 在外事務所は、プロジェクト(又は調査等)のモニタリング機能を持っています。したがって、プロジェクトの目標やコンポーネントを変更する必要が生じた場合に、C/P機関と協議を行うのは、主に在外事務所となります。
在外事務所は、日常的にC/P機関とのコンタクトもあり、現地事情にも通じていることから、業務xx者が現地で業務を遂行するに当たっては、分任監督職員の設置の有無に関わらず、業務の進捗状況や発生している課題について在外事務所へ情報提供するとともに、プロジェクト(又は調査等)の方向性について、意見交換を励行してください。
一方、監督職員は、C/P機関、在外事務所及び受注者間での意見交換を尊重しながら、契約の管理やプロジェクトの管理を行ってください。
また、在外事務所は、モニタリング機能の他に、受注者に対しての便宜供与機能や監視機能も持っています。安全管理や相手国政府機関に係る既存情報、当該国の税制(VAT免税手続き等)や法制度(現地傭人に係る法的枠組み)などについて、適切に受注者に情報提供することとなります。加えて、現地再委託契約に係る事実確認や第三者抽出検査、調達された機材の受注者による物品管理状況の確認、実績評価に係る情報提供なども在外事務所の役割となります。
在外事務所主管の案件でも、本部関係部に分任監督職員を設置する必要は必
ずしもありませんが、受注者からは契約事務等に係る軽微な相談も多いので、必ず本部窓口担当者(関連部署の担当者等)を確保し、受注者へ通知して下さい。
2)部分払の支払請求予定金額及び時期
部分払の支払請求が予定されている場合、JICA は当該年度の予算手当を行う必要があります。このため、想定されている部分払については、その請求予定金額及び時期を打合簿で確認しておくことが望ましいと考えます。なお、契約履行期間中に部分払が必要になった場合、又は追加で必要になった場合には、契約変更が必要なため、監督職員に申し出てください。
3)経費にかかる合意事項
途上国における業務の実施過程において、追加的な経費が必要となることがあります。一定程度の額であれば、「流用」の範囲内で受注者に対処頂くのが原則ですが、その規模が大きい場合、契約変更の検討が必要となります。
その際、検討の原点となるのが、契約締結時の双方の認識です。例えば、業務実施過程で、新たに執務スペースの確保が必要となる場合、その前提として、
①先方C/Pが執務室を提供することがR/D上確約されていたため、経費を計上しなかったのか、②受注者が所有する現地事務所を活用する想定をしてい
たため、経費を計上しなかったのかにより、判断が異なります。前者は契約変更の検討が可能ですが、後者は困難です。
このため、契約交渉時の経費計上の前提について、必要に応じて打合簿(担 当契約課長要押印)に記録を残してください。
4)要員にかかる合意事項 a)要員計画全般
業務従事者間の人月や渡航回数の振替え、現地業務と国内業務の人月の振替え等については、受注者の権限として打合簿作成の対象とはしておりませんが、中心的な業務従事者の長期現地滞在や特定時期(成果発表セミナーや C/Pとの年次協議等)の業務xx者の張付けなど、発注者として特に指示しておく必要がある場合、打合簿に記録してください。
b)未確定業務従事者
契約締結時に業務従事者が確定していない場合、契約書には氏名を記載せず、契約履行途中に業務従事者が確定した時点で、打合簿(担当契約課長要 押印)に記録して確認を行っています。
契約締結時において、未確定の業務従事者に関し、当該分野の業務従事者に求められる資質(類似業務の経験、語学能力、資格等)について、確認しておくべき事項があれば、打合簿に記録してください。
c)業務従事者の格付
業務従事者の格付は、業務従事者が従事する業務の難易度に応じて決定されることが原則です。しかしながら、業務として「3号」に値する業務であっても、当該業務従事者の経験年数が不足して「4号」として契約が締結されていることがあります。
このような契約では、将来継続契約を締結する時点において、同一の業務従事者の経験年数が増加して「3号」と認められる場合が想定されます。このような場合、当初契約締結時に、「継続契約時には当該業務従事者の格付を3号とする」旨、打合簿(担当契約課長要押印)で確認してください。
打合簿がない場合、原契約では当該業務従事者を「4号」としか記載しておらず、原契約の契約交渉の際に、双方で当該業務従事者を継続契約時に「3号」とする旨の共通理解があったのかどうか確認できないため、JICA として
「3号」の格付を認めることが困難となる場合があります。
なお、格付は担当業務の難易度に応じて設定されるものですので、契約履行途中に当該業務従事者の経験年数が増えたことを理由に、格付の昇格を認めることはありません。
(2)業務計画書等の提出(打合簿事例3)
業務計画書、コンサルタント業務従事月報、その他特記仕様書(契約書附属書
Ⅱ)で作成することとなっている報告書等は、原則として、監督職員に提出されることとなります(契約約款第1条第7項)。このうち、以下の文書等については、業務の進捗に応じ適切に提出されたことを記録するため、打合簿をもって監督職員が内容を承諾してください。
1)業務計画書(様式自由。)
2)特記仕様書(契約書附属書Ⅱ)の「報告書等」に記載の報告書等のうち、成果品(部分払の対象となる中間成果品を含む。)として位置づけられていな
いもの(成果品については、「業務完了届」をもって提出)
なお、コンサルタント業務従事月報の提出に際しては、打合簿での記録は不要ですが、分任監督職員の設置の有無に関わらず、業務実施国に JICA 在外事務所がある場合(兼轄国の事務所を含む。)は、事務所の担当者にもメールベースで 提出してください。
(3)費目間流用(打合簿事例4、5)
費目の構成を再度以下に表示します。契約金額内訳に係る監督職員の権限については、3.(3)のとおりですので、ここでは、直接経費の費目間流用についてのみ解説します。
直接経費内の費目(小項目)については、柔軟な業務の実施を支援する考えから、費目間流用の範囲を制限せず、受注者の裁量を認めています。
一方、直接経費内の費目(中項目)の流用については、監督職員の承諾を得ることを条件(打合簿が必要)としています。監督職員が費目間流用を承諾するに当たって留意すべき事項は以下のとおりです。
直接経費にかかる費目の構成
費目(大項目) | 費目(中項目) | 費目(小項目) |
直接経費 | 旅費(航空賃) | |
旅費(その他) | 日当・宿泊料等、戦争特約保険料、特別手当 | |
一般業務費 | 一般傭人費、特殊傭人費、車両関連費、賃料借料、施設・機材保守管理費、消耗品費、旅費・交通費、 通信・運搬費、資料等作成費、水道光熱費、雑費 | |
成果品作成費 | ||
機材費 | 機材購入費、機材送料 | |
再委託費 | 現地再委託費、国内再委託費 | |
国内業務費 | 技術研修費、招へい費、諸雑費 |
1)費目間流用の考え方について
費目間流用は、「余った経費は他経費に使うことができる。」という考え方ではなく、「予定を超えて必要となった経費であり、本来的には契約変更を行って契約金額を増額するところだが、幸い他の費目の中で余っている経費があるので、運用として当該経費を利用する。」というのが基本的な考えです。このため、監督職員が費目間流用を承諾するに当たっては、「他の費目が余っていなければ、契約変更を行うのか?」を一つの判断基準とし、判断に際しては、合理的な理由であれば簡潔な説明で承諾するとの姿勢で対応します。
途上国で業務を行う際、当初計画通りにすべての経費が支出されることは期待できませんので、少なくとも直接経費については、「受注者が見積もった経費なので、実費がこれを超えた場合、原則受注者の責任。」との考え方は取りません。
監督職員が承諾可能、又は承諾困難な直接経費内の費目間流用の具体的な理
由を例示すると以下のとおりです。
【承諾が可能な直接経費内の費目間流用の理由の例示】
・業務の都合で現地業務期間が増加した場合(国内業務人月の現地業務人月への振替え)に、旅費(その他)の日当・宿泊料等が増額。
・同行するC/Pの都合により、他都市への渡航回数が増加し、一般業務費の旅費・交通費が増額。
・カラー印刷すべき頁が増えたので、成果品作成費が増額。
・報告書の印刷部数が増えたので、成果品作成費が増額。
・機材を実際に調達すると、予定より価格が高く、機材費が増額。
・C/Pとの協議により機材の仕様が高度となり、機材費が増額。
・為替レートが悪化して、(現地)再委託費が増額。
・水質検査の項目が増加したため、水質検査に係る再委託費が増額。
・具体的な研修計画を策定したところ、国内業務費が増額。
【承諾が困難な直接経費内の費目間流用の理由の例示】
・現地へ渡航してみたら、一般業務費の一部費目について受注者の予想より物価が上昇していたため、一般業務費を増額。
・経費が余ったので、C/Pの現地研修の日当、宿泊料の単価(旅費・交通費)を増額。
・見栄えが良いという理由で、中間報告書をカラー刷りで印刷し、成果品作成費を増額。
・受注者の善管注意義務が足りず、機材が破損したため、機材費を増額。
2)旅費(航空賃)について
旅費(航空賃)については、競争の対象とする経費として適当でないとの判断から、別見積とし、航空賃価格が上昇した場合も契約金額を超えて精算することを認めています。このため、旅費(航空賃)から他の経費に流用することは、原則認めません(すでに渡航回数の減少が確定している場合、渡航がすべて終了し残額があることが明らかな場合など、合理的な理由がある場合には、認めることがあります)。
(4)その他契約金額内訳に係る事項
1)「国内業務費」について
直接経費内の「国内業務費」については、契約時点での内訳作成が困難であるため、契約締結後、研修・招へい業務開始前に、研修計画の確定(研修事業の場合)と経費内訳を作成し、打合簿に記録することとなります。
2)現地再委託費の為替レート差損について(打合簿事例6)
現地再委託費の支出は現地再委託契約締結時に金額が確定するものの、支払い時期が原則現地再委託契約履行後となるため、為替レートの変動により差損が生じることがあります。このような場合は、契約約款第 14 条第 5 項に基づき、以下の内容を打合簿(担当契約課長要押印)で確認することにより、契約金額を超えて精算することが認められます。
① 現地再委託契約の契約金額と支払方法(契約変更を行っている場合は、契約変更後の契約金額と支払方法)
② 現地再委託契約に係る支払い時の為替レート(証拠書類を添付)
③ 日本円換算の支払総額
3)その他の為替差損について
現地再委託費以外の為替レート差損については、契約金額(直接経費:流用を含む。)の上限内で受注者側の責任で調整頂くのが原則です。直接経費支出の裁量を広く受注者に認めていることから、「直接経費の上限額」の存在が直接経費支出の経済性・効率性の担保として機能しているため、為替差損によるものを含め、安易に「やむを得ずかかった経費なので、精算対象とする。」との判断はできません。
一方、急激な為替レートの変動により、業務に重大な影響を及ぼすレベルの直接経費の不足が予測される場合、個別の協議に応じます(打合簿事例7)(打 合簿は担当契約課長要押印)。ついては、急激な為替レートの変動により業務に重大な影響があると予測された場合には、レート変動による具体的影響(不足見込み額含む)、対応策(業務内容の見直し案含む)等について監督職員に速やかに報告・相談してください(契約終了間際になってからの事後的な相談には応じられませんので、ご注意ください)。
4)渡切単価の設定について(打合簿事例8)
現地研修参加者等への日当・宿泊料及び交通費等を設定した単価で渡切とする場合については、その単価が適切に設定されているかを確認するため、事前に監督職員の確認を得ることとします。監督職員は、単価の設定根拠やC/P機関の規程、事務所ナショナルスタッフが国内出張を行う際の単価なども参照し、単価の妥当性を確認します。なお、航空賃について渡切単価を設定することは認めません。
5)旅費の分担について(打合簿事例9)
現地業務を他の業務(JICA の業務か否かを問わない。)と継続して実施する場合、旅費の負担方法について、整理しておく必要があります。
別業務に継続して従事することの承諾を得るものではなく、経費に係る取扱いの確認のみですので、必ずしも渡航前に確認を得る必要はありませんが、旅費の負担方法について整理出来次第速やかに打合簿を作成してください。本打合簿は精算報告書に写しを添付して頂きます。
【精算に当たっての留意事項】
1.一般業務費の個別支出に係る監督職員による確認(打合簿事例 10)
一般業務費の各費目(小項目)の支出、流用については、受注者の裁量としていますが、業務完了時点(履行期間の途中でも、監督職員と業務xx者との間で、必要な途中確認を行ってください。)で、一般業務費支出実績総括表に基づき、支出された項目が業務に関連して必要となり支出された費目であることを監督職員が確認することとします。
原則として受注者の裁量の範囲内とする支出なので、業務との関連を広く認めることとなりますが、特に以下に当たる支出については、理由を明記した上で、監督職員が確認することとします。
・契約金額内訳書で計上されていない費目(小項目)に支出を行う場合
・費目(小項目)について、契約金額内訳書の記載の「備考」の内容を超えて支出を行う場合
・契約締結時に「一式」等として、具体的な支出内容を明示していなかった
場合
・支出実績が契約金額内訳と比較して大幅に超過している場合
業務完了時の監督職員による確認を円滑なものとするため、上記に当たる支出については、監督職員との事前相談を励行してください。
2.個別支出に係る調達部による精算時の確認
調達部においては、上記1.の監督職員の確認を踏まえ、精算報告書及び証拠書類を検査することとなりますが、精算に当たって個別の支出が以下の事項に当てはまると調達部が判断する場合、業務上必要であった経費とは認めず、精算金額の対象としませんので、十分留意してください。
以下の事項については、上記1.の打合簿の段階においても、監督職員と業務xx者の双方で、十分留意してください。
・「コンサルタント等契約における経理処理ガイドライン」第3章「コンサルタント等契約における直接経費」で規定される用途を明らかに超えて支出されている場合
・業務とは明らかに無関係である場合
・理由もなく経費の単価が著しく高額である場合
・証拠書類に不備がある場合
3.精算時の運用について
直接経費内の費目(中項目)間の流用については監督職員の承諾を得ることを条件としていますが、現地業務期間の残りが少なくなった時点で、為替レートの変更等によりやむを得ず流用が必要となる場合や、精算報告書を作成した時点で、軽微な流用が必要となる場合があります。このような場合は、精算時の運用として、その流用額(増額)が当該費目(中項目)の額の 5%か 50 万円のいずれか低い金額の範囲内である場合に限り、打合簿なしで、精算を行うことを認めます(契約金額総額を超えて精算できるということではなく、あくまで費目(中項目)間流用が可能ということです)。
なお、本取扱いは例外的に運用するものですので、費目(中項目)間流用が必要な場合は前もって打合簿にて確認するよう、励行してください。
(5)業務従事者の確定・交代等
1)評価対象業務従事者以外(打合簿事例 11)
業務従事者の確定及び交代については、企画競争時の評価対象業務従事者を除き、基本的には受注者の裁量ですが、以下の点について、JICA として確認する必要があるため、打合簿(担当契約課長要押印)による確認が必要です。 a)業務従事者の格付の認定
業務の難易度に応じて設定されている格付に対し、新たにアサインされる業務従事者が当該格付の認定基準を満たしているかを確認
b)業務従事者の航空券クラスの確認
新たにアサインされる業務従事者の学歴年次2を確認し、設定される航空券
2 学歴年次の起算は大学卒業翌年度の 4 月 1 日とし、公示日時点での年次を「学歴年次」とする。必ずしも 3 月が卒業時期ではない海外の大学等を卒業した場合においても、4 月 1 日から起算する。なお、業務を複数の契約期間に分割して契約書を締結する場合に第2期以降の契約期間に業務従事者が確定する場合は、該当期間お契約締結日時点での年次を「学歴年次」とする。
クラスを確認(これにより契約金額内訳書の旅費(航空賃)の総額を超える場合には、その旨も併せて確認)
c)業務従事者の所属先
雇用保険番号等により、所属先の「専任の業務従事者」であるか否かを確認
d)業務従事者の専門性の確認
新たにアサインされる業務従事者が当該業務の専門性を十分具備しているか否かの判断については、xx的に業務全体の履行に責任を持つ受注者の裁量ですが、当該業務従事者が明らかに専門性に欠け、業務全体の履行が困難となる蓋然性が高いと判断される場合には、これを認めない場合があります。
2)評価対象業務従事者(業務xx者及び副業務xx者を除く。)(打合簿事例 12)企画競争時の評価対象業務従事者(業務xx者及び副業務xx者を除く。)
の交代については、打合簿(担当契約課長要押印)による対応が可能ですが、
①やむを得ない事情が存在するのか、②交代する新たな業務従事者が現行の業務従事者と比較して同等若しくはそれ以上の能力、専門性を有しているのか、
③格付の認定基準を満たしているのか、④業務全体として適切な履行が確保されるのかについて、検討が必要です。
併せて、後任者の航空券クラスや所属先を確認します。
3)業務xx者又は副業務xx者
業務xx者又は副業務xx者の交代は原則認めていませんが、やむを得ない 理由により交代が必要な場合は、その理由と代替を予定する候補者名を明記し、候補者の経歴書を添付した発注者宛文書を受注者名で監督職員まで提出して ください。提出文書を踏まえ、必要な協議、契約変更手続きを行います。
4)補強の配置上限目途の超過(打合簿事例 13)
3.(4)6)に記載する補強の業務従事者の配置上限目途を大幅に超える場合、その業務従事者配置が業務の質を確保する上で問題がないか、監督職員の判断を求めることとします。監督職員は、業務xx者から事情を聴取した上で、業務の質に明らかに支障が生じると判断する場合については、業務xx者に対して、再検討を求めてください。
特に支障があるか必ずしも明らかでない場合は、その配置を承諾して構いません(打合簿を作成してください)。その場合であっても、業務の進捗につれて、補強が多数を占めていることによる支障が明確になった場合には、改めて業務従事体制の再検討を求めてください。
なお、配置上限目途の超過が大幅なものではない場合(例:共同企業体構成員の業務従事者5名中3名が補強)、必ずしも打合簿は必要ありません。
【要員計画に係る受注者の裁量】
受注者の裁量を具体的に列挙すると以下のとおりです。
・業務従事者間の人月の振替え
・現地業務と国内業務の人月の振替え
・業務従事者間の渡航回数の振替え
上記振替えに伴い、格付上位の業務従事者の人月が増加する場合は直接人件費(及びその他原価、一般管理費等)の増額が発生しますが、受注者の裁量で
実施されている振替えであるため、各費目(大項目)の当初契約金額を上限として精算を行って頂きます。振替えに伴い契約金額を増額する場合や業務従事総人月を増加させる場合は、契約変更が必要です。
また、現地業務期間が長くなる場合は日当・宿泊料の増額が発生しますが、これも受注者の裁量で実施されていることから、原則、費目(中項目)の当初契約金額を上限として精算を行っていただきます。しかしながら、本項目は直接経費であることから、他の直接経費に余裕がある場合、打合簿による承諾をもって、費目(中項目)間流用が可能です。
(6)現地再委託契約
現地再委託契約については、「コンサルタント等契約における現地再委託契約 ガイドラン(2017 年 4 月)」に基づき実施します。同ガイドラインでは、公共調達におけるxx性、競争性、透明性の重要性を指摘しつつ、具体的な調達方法については、受注者の責任で適切に判断するとの立場で記載されています。調達方法(入札とするか、見積合わせとするか等)や契約形態(Lump-sum Contract か、 Time-based Contract か等)について、原則、事前に監督職員が指示することはありません。
現地再委託契約の実施過程において、監督職員は以下の事項の確認を行います。
1)再委託契約の業務概要の確認(打合簿事例 14)
原則として契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)に再委託の業務概要が記されており、その概要に基づいた経費が契約金額内訳書に記載されているので、監督職員が契約履行途中で具体的な再委託契約の業務内容を再確認することはありません。
しかしながら、契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)において再委託業務の概要を規定せず、「パイロットプロジェクト(1件 1000 万円程度×10 件)」といったように内容を確定していない場合には、具体的なパイロットプロジェクトが設計、合意された段階で、打合簿にて確認を行ってください。
2)入札を行う場合の立会
受注者が再委託契約の選定に際し入札を行う場合には、原則、JICA の在外事務所員等が立会うこととします。ただし、打合簿の作成は行いません。
3)選定の経緯と契約の内容の確認(打合簿事例 15)
契約相手先選定の経緯と締結した契約の内容について、業務xx者から監督職員へ文書(様式任意)で報告します。業務xx者は、在外事務所へも報告文書の写しを提出してください。なお、英文以外の契約書については、英文又はxxの仮訳を添付してください。
報告文書は打合簿に添付して、報告を行った事実を記録してください。本打合簿は、精算報告書に添付頂きます。
4)再委託契約の成果品の確認(必要がある場合のみ)
監督職員が業務全体の履行を確認するために必要と判断する場合、再委託業務の成果品(アンケート調査結果、生態系インパクト評価結果、ボーリング調査結果等)を確認します。ただし、打合簿は必ずしも必要としません。
なお、契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)において再委託が認められている業務以外を再委託することはできません(契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)に記載のない
業務を再委託する必要が生じた場合は契約変更が必要です)。
【現地再委託契約に係る JICA 在外事務所(支所)の役割】
監督職員又は分任監督職員に任命されているか否かに関わらず、コンサルタント等契約における現地再委託に係る在外事務所(支所)の責任として、以下が求められます。なお、在外事務所(支所)が存在しない場合、監督職員が直接その役割を担います。
(1)入札会への立会
再委託先選定に当たり入札を行う場合、原則在外事務所員(企画調査員、ナショナルスタッフ、現地滞在中の調査団員等も可)の立会が求められます。立会に際しては、入札説明書に基づき入札(開札)手続きが行われたかについて確認の上、疑問がある際は、監督職員に報告してください。
(2)締結した契約の事実確認(入札会へ立会った場合は省略可能)
業務xx者から報告があった現地再委託契約について、在外事務所(支所)の担当者が、以下の契約実態を電話等の方法で再委託先に確認してください。
1)契約相手方の存在(架空契約の防止を目的とするもの)
2)契約金額の確認(水増し契約の防止を目的とするもの)
3)契約内容(概要)の確認(偽装契約の防止を目的とするもの)
(7)機材調達・管理
機材調達・管理については、「コンサルタント等契約における物品・機材のx x・管理ガイドラン(2017 年 6 月)」に基づき実施します。同ガイドラインでは、公共調達におけるxx性、競争性、透明性の重要性を指摘しつつ、具体的な調達方法については受注者の責任で適切に判断するとの立場で記載されています。調達方法(入札とするか、見積合わせとするか等)について、原則、事前に監督職員が指示をすることはありません。
機材調達及びその管理の過程において、監督職員は以下の確認を行います。
1)調達する機材の確認(打合簿事例 16)
業務指示書での指示及び契約交渉の結果を踏まえ、契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)に調達すべき機材リストとその概要を記載します。また、その概要に基づいた経費が契約金額内訳書に記載されます。
契約締結時点で機材リストが確定しない場合は、機材リストとその概要が確定した時点で、打合簿にて内容を確認してください。
2)入札を行う場合の立会
受注者が機材の調達に際し入札を行う場合には、原則、在外事務所員等が立会い、必要に応じて監督職員に報告を行います。打合簿の作成は行いません。
3)選定の経緯と契約の内容の確認(打合簿事例 15 参照)
契約相手先選定の経緯と締結した契約の内容について、業務xx者から監督職員へ文書(様式任意)で報告します。打合簿に文書を添付して、報告を行った事実を記録してください。なお、本打合簿は、精算報告書に添付頂きます。
4)調達した機材の確認
調達した機材については、供与機材を除き、JICA に所有権があります。消耗品の扱いを受ける物品を除き、JICA に所有権がある機材については、受注者が
「貸与物品リスト」を作成し、これを JICA へ提出頂きます。JICA「貸与物品リスト」は、原本をコンサルタント業務従事月報に添付し、監督職員へ提出してください。なお、本月報は4.(2)に基づき、分任監督職員の設置の有無に関わらず、業務実施国に JICA 在外事務所がある場合(兼轄国の事務所を含む。)は、事務所の担当者にもメールベースで提出ください。なお、供与機材の場合は、速やかにこれを先方実施機関等に譲渡し、当該機関の長又はそれに準ずる者の署名入りの受領書を徴してください。受領書は、原本を監督職員へ提出してください。また、写しを精算報告書に添付頂きます。
なお、契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)に明示されている機材以外を調達することはできません(契約書附属書Ⅱ(特記仕様書)に記載のない機材の調達が必要となった場合は、原則、契約変更が必要です)。
(8)研修・招へい受入業務
研修・招へい受入業務については、「コンサルタント等契約における研修・招 へい実施ガイドラン(2017 年 6 月)」に基づき実施します。
契約締結時に研修受入計画の詳細を確定することは困難です。このため、研修員受入事業の場合は、研修詳細計画書(案)を策定し、研修計画の内容(xxxxxx、日程)について監督職員と打合せを行い、確定後の研修詳細計画書について監督職員の承認を得てください。また、これに併せて、契約金額内訳書の金額を踏まえ、必要となる経費の内訳についても監督職員の確認を得てください
(打合簿事例 17)。なお、計画に基づき積算される経費が、費目「国内業務費」の契約金額を超える場合は、併せて費目間流用についても監督職員の承諾を得てください。
また、業務完了後は、業務完了報告書を提出し、打合簿にて監督職員の確認を得てください(打合簿事例 18)。業務完了報告書には、研修詳細計画書(実績版)
(研修事業の場合)と国内業務費内訳書を添付してください。この業務完了時の打合簿は、精算報告書に添付頂きます。
(9)契約の変更
契約変更の取扱いについては、「3.(5)契約変更に係ること」に記載のとおりですので、ここでは、具体的な事例を2つ提示します。(打合簿事例 19、20)
(打合簿は担当契約課長要押印)
(10)不可抗力
不可抗力(大規模デモの発生、大規模な洪水被害等)が発生し、予定通りの業務が困難となった場合、不可抗力への対処方法を双方で協議し、業務内容、履行期限、契約金額を変更する契約変更を行うこととなります。
この契約変更に至るまでに、業務xx者と監督職員の間で、最低限以下の合意形成を行い、打合簿で確認する必要があります。
1)不可抗力発生の第一報(打合簿事例 21)
不可抗力が発生した場合には、どのような連絡手段であれ、可能な限り速やかに、監督職員まで第一報をお願いします。その後、①不可抗力の内容、②不可抗力が業務に与える影響(暫定的な判断で可)及び、③応急的な対応を記載
した文書により、報告してください。文書による報告は、打合簿にて確認してください。
2)応急的対応に係る経費(打合簿事例 22)(打合簿は担当契約課長要押印) 応急的な対応に係り、現地にて発生した以下の費用については、原則 JICA
側の負担とします。 a)待機期間に要した「直接人件費」及び「日当・宿泊費」 b)現地業務地からの避難のために要した「交通費」の増加分
c)機材が損害を受けた場合の機材の補修費又は代替機材購入費のための「機材費」(保険xxによる保険金分を除く。)
d)その他類似する費用で、合理的に妥当と判断される経費
当該経費に係る積上げについては、打合簿にて確認してください。応急的な対応なので、まずは費目間流用で対応することとし、その後、必要に応じ契約金額増額のための契約変更の手続きを行います。
3)業務復帰計画(打合簿事例 23)
不可抗力が終息し、中断した現地業務を再開する場合、作業工程・要員計画の再設定や復帰に必要な追加業務人月・直接経費等の確定が必要となります。このような変更は契約変更手続きを通じ、発注者・受注者間で協議、合意していくことになりますが、業務復帰計画の概要については、まずは監督職員と業務xx者の間で、打合簿(担当契約課長要押印)をもって確認してください。
【不可抗力が終息しない場合の取扱い】
不可抗力が終息せず、業務の大幅な縮小(実質的な中断)を行わざるを得ない場合、原則として、発注者・受注者で協議して、業務の大幅な縮小にかかる契約変更を行い、契約を完了させることとなります。契約変更に際しての JICAの基本的な考え方を整理すると以下のとおりです。
(1)業務工程上既に終了している部分については、これらを変更契約において成果品として規定することにより、業務完了の確認根拠と位置付け、成果品の提出、合格をもって、経費支払いの対象とする。
(2)業務工程上着手中の国内業務については、作業継続により一定の成果品が得られることを条件に、当該業務を継続し、経費支払いの対象とする。
(3)業務工程上着手中の現地業務については、若干の工程延長により一定の成果品が得られることを条件に、当該業務を継続し、経費支払いの対象とする。
(4)その他、不可抗力への応急的対応に係る経費を契約金額に盛り込む。
(11)業務の完了
業務の完了に当たって、監督職員と業務xx者が確認しておくべき事項として、以下があります。
1)継続契約に係る確認(打合簿事例 24)
契約を複数の契約期間に分割して契約書を締結する場合は、継続する契約について、発注者からの業務指示書の発出と受注者からのプロポーザルの提出を経て、契約交渉の上、継続契約を締結します。ただし、①業務の内容等に特に変更がない場合、又は②変更はあるが、「3.監督職員の権限」の「(5)契約変更に係ること」に記載される条件に当てはまる場合であって、契約見込金額
の増減が、当初契約の選定時に提出された全体見積(別見積を含む。)における対象契約期間見積額の 30%以内又は 5000 万円(税込)のいずれか小さい額に収まっている場合には、事前に(先行する契約の履行期間中に)業務xx者と監督職員の間で打合簿(担当契約課長要押印)をもって以下を確認することにより、継続契約に係る発注者からの業務指示書の発出と受注者からのプロポーザルの提出の手続きを経ることなく、契約交渉を行い、契約を締結することができます。
【継続契約に関する打合簿での確認事項】 a)業務内容変更の経緯と理由 b)変更される業務内容等 c)変更内容を反映した特記仕様書(案) d)変更内容を反映した見積金額内訳書(案)
2)継続契約がある場合の一般業務費の支出
現地での水道光熱費や電話代は、使用した時期より支払いの請求が遅れる
(翌月請求等)ことが一般的です。このような原因で、精算報告書作成までに証拠書類が整わない場合、当該金額を継続契約において計上、精算することが認められています。このような場合は、必ず打合簿にて対応を確認してください(打合簿事例 25)。
この他、先行する契約期間と継続契約の契約期間の間で(JICA との契約が存在しない期間に)支出される経費は、原則精算の対象外ですが、以下の一般業務費について、現地商習慣において中断が極めて困難、あるいは継続して契約した方が廉価である場合は、これら経費の継続契約での計上、精算が認められます。このような場合も、必ず打合簿にて対応を確認してください。
✓ 一般傭人費
✓ 特殊傭人費
✓ 車両関連費
✓ 賃料借料
✓ 施設・機材保守管理費
✓ 通信・運搬費
✓ 水道光熱費
3)成果品提出期限の延長(打合簿事例 26)
特記仕様書に記載された成果品提出期限を延期する場合が少なからずありますが、その場合は打合簿による確認で対応可能です(ただし、履行期限の延長を伴わない場合に限ります)。参考まで事例を提示します。
【成果品の提出】
業務完了時(又は部分払の対象とするため部分的な業務を完了した時)の成果品(中間成果品)は、業務完了届(部分払の際は業務部分完了届)を添えて、受注者から発注者宛に提出されます(物理的な提出先は、監督職員)。
提出された成果品に基づき、JICA 検査職員が内容を確認した上で、履行された業務を検査(合否を判断)し、検査結果を契約担当役理事名の文書をもって受注者に通知します。
【業務完了時のその他の手続き】
業務完了時に、監督職員と業務xx者はそれぞれ個別に、契約管理の結果について、JICA 検査職員へ報告します。検査職員は、これらの報告を基に成果品の合否及び「実績評価」結果を確定し、受注者に通知することとなります。
(1)監督職員
監督職員は、検査職員が業務の完了に伴い提出された成果品の検査を適切に実施するため、契約履行過程に行った監督業務の結果について、「実績評価結果(案)」という位置づけで、監督結果を検査職員に報告します。
(2)業務xx者
業務xx者は、自らが履行した業務の結果について「自己評価」(様式2)との位置づけで、JICA 検査職員に対して報告します。この際、併せて、JICAの契約管理に係り改善すべき点等があれば、指摘ください。
注)実績評価とは、業務の質的向上を目的として、受注者の業務履行の質を評価し、記録し、
コンサルタント等の適切な選定に反映する制度です。
別紙
契約管理手続き一覧表(参考)
業務内容等に関する事項 | 契約金額内訳に関する事項 | 業務従事者に関する事項 (要員計画を含む。) | |
契約変更 | ・仕様書記載の業務内容の変更 (再委託の追加等含む。) ・契約履行期間の変更 ・部分払の追加 | ・契約金額又は費目(大項目)の変更注1) | ・業務xx者・副業務xx者の変更 ・業務従事総人月の増加 |
打合簿 ( 契約課長押印 ) | ・契約締結時の確認 (業務従事者の格付に関する合意事項、経費に係る合意事項等) ・契約変更に係る確認(不可抗力が発生した後の業務復帰計画等を含む。) ・継続契約に係る確認 | ・現地再委託費の為替レート差損 | ・業務従事者(業務xx者(総括)・副業務xx者(副総括)以外)の交代・確定 (専門性、所属先、格付、航空券クラスの確認) |
注2 | |||
打合簿 | ・契約締結時の確認 (分任監督職員、部分払、未確定業務従事者の要件確認等) ・仕様書記載の業務内容の確定 ・仕様書記載の業務内容の軽微な変更(成果品提出期限の延長(但し、履行期間内)、報告書の冊数増等) ・業務計画書記載の業務方法、手法、手順の変更(仕様書の変更に至らないもののみ) ・再委託業務概要の確定(契約時に未確定の場合のみ) ・再委託に係る契約内容の報告 ・調達する機材の確認(契約時に未確定の場合のみ) ・機材調達の契約内容の報告 ・研修員受入れに係る研修計画 (経費内訳含む。)の承認 ・研修員受入れに係る実施報告 ・不可抗力発生の報告 | ・費目(中項目)間流用(機材・再委託の追加を除く。) ・現地研修参加者への日当・宿泊料及び交通費等の渡切単価の設定 ・渡航回数の増加(契約金額を超えない場合含む。自社負担する場合を除く。) ・旅費を他業務と分担する場合 ・不可抗力発生に伴う応急的経費の取扱い | |
受注者の裁量 | ・業務計画書記載の業務方法、手法、手順の確定及び軽微な変更 | ・費目(小項目)間流用(機材・再委託の追加を除く。) | ・業務従事時期の確定・変更 【以下は、契約金額の増額がない場合(自社負担の場合含む。)に限る。】 ・業務従事者間の人月の振替 ・業務従事者間の渡航の振替注3) ・現地業務人月と国内業務人月の 振替注3) |
注1)契約金額の増額が必要となる場合、契約変更が必要(航空賃値上げ、現地再委託為替差損を除く)です。契約金額の減額が可能となる場合、精算時の戻入れ対応が可能ですが、減額が可能となった事由が業務内容の削減等である場合、業務内容変更に係る契約変更が必要です。
注2)打合簿(契約課長押印)とは、打合簿のうち、契約変更等調達部の業務に関連する合意が含まれる打合簿について、担当契約課長が内容確認を行うものです。契約担当課長の氏名を明記し、押印されます。
注3)下線部は、今回の整理で受注者の裁量としたものです。