技術レベル 河 川 管 理 施 設 等 構 造 令 な ど 備 考 汎 用 品 の 組 合 せ 標 準 設 計 設 計 基 準 整 備シ リ ー ズ 化 施工企業独自の設計 揚排水 ポンプ設備 水中モータポンプ2m3/s 以下 救排(標準設計) 軸流ポンプ及び斜流ポンプ10m3/s以下 10m3/sを超えるポンプ(可動翼を含む) 揚排水ポンプ設備設計指針(案)に基づく分類 ゲート設備 河川用ゲート設備10m2未満(小形) 河川用ゲート設備50m2未満(中形)...
土木機械設備の入札契約手法に関する委員会最終報告書
平成19年11月
土木機械設備の入札契約手法に関する委員会
はじめに
ゲート設備や揚排水ポンプ設備は、洪水防御、流水の正常な機能の維持、浸水被害の防止等に必要なものであり、また、トンネル換気設備は、トンネル内の環境を維持し、交通安全と快適な通行に必要なものである。これらの土木機械設備は、各土木施設に求められる機能を果たすための重要な社会資本の一部である。
これら土木機械設備の調達は、調達時点で完成品として品質を確認できる物品の購入とは基本的に異なり、各々の現場で求められる性能を発揮すべく、施工企業が保有する技術、製造設備等を用いて、個別に設計・製作されるものである。このため、施工企業の技術力に基づいて具体に設計される材料、機械的な要素、操作制御装置があいまって、設計業務で設定される外形的な寸法や基本的な機能、性能等を実現させ、システムとしての機能が発揮される。さらに、適切な保全が実施されることにより、性能と信頼性・耐久性が確保される。このため、発注者は、個々の工事の内容に応じて適切な技術力を持つ企業を競争参加者として選定するとともに、適切な監督、検査の実施により、その品質及び信頼性の確保を図る必要がある。
一方、現下の我が国の厳しい財政状況、経済状況を背景に、ダンピング受注、不良工事、談合など、公共工事の品質についての懸念が高まってきた。
このような状況を踏まえ、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が平成 17 年 3月に成立し、4 月より施行されたところである。本法律において、公共工事では、経済性に配慮しつつ、価格以外の多様な要素も考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、品質が確保されなければならないと規定されている。さらに、「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針について」が定められ、平成17年9月に「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」を策定して、工事の品質確保を図っていく上での具体的な方策が示されている。また、平成 17 年 7 月 29 日にとりまとめられた「入札談合の再発防止対策について」では、一般競争方式及び総合評価方式の拡大などを柱とする技術競争性向上を図るための入札方式の改善等に取り組むこととしている。
土木機械設備の入札契約手法に関する委員会は、これらの背景及び土木機械設備に係る技術特性を踏まえ、入札契約手続きについてのガイドラインを策定することにより、技術に基づくxxな競争を促進し、土木機械設備の品質の向上を図ることを目的として、平成 17 年 10 月に設置され、平成18年2月に中間報告書をとりまとめたところである。
その後、国土交通省では水門設備工事に係る談合事件を受け、入札談合防止対策検討委員会を設置し、平成19年6月18日に「水門設備工事に係る入札談合等に関する調査報告書」をとりまとめ、競争性・透明性等の向上のための入札契約方式の改善として、多様な発注方式の採用、一般競争方式の拡大等に取り組むこととしている。
本報告書(「土木機械設備の入札契約手法に関する委員会報告書」)は、「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」を基本とし、「公共工事における総合評価方式活用ガイドライン」を参考としつつ、土木機械設備工事に係る技術の特性を踏まえ、一般競争方式及び総合評価方式の拡大並びに多様な発注方式(詳細設計付き施工発注方式、設計施工一括発注(デザインビルド)方式など)の導入を図るため、土木機械設備工事に関する施工企業及び担当技術者の技術力、施工能力の評価、技術提案の審査・評価等を活用した入札契約手続きについての議論をとりまとめたものである。
最後に、委員会の審議において貴重な意見をいただいた委員各位並びに議論の取りまとめに御尽力いただいた事務局各位に心から御礼申し上げるとともに、本報告書が有効に活用され、土木機械設備の品質の向上が図られることを希望する。
平成19年11月
土木機械設備の入札契約手法に関する委員会
委員長 x x x x
土木機械設備の入札契約手法に関する委員会委員名簿
委 員 長
xx xx | xx xx | 弁護士(中央建設業審議会委員等) 財団法人日本建設情報総合センター 理事 |
委 員xx | xx | 横浜国立大学大学院工学研究院 教授 |
x | xx | 京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻 准教授 |
xx | xx | 財団法人ダム技術センター 理事 |
xx | xx | 社団法人河川ポンプ施設技術協会専務理事 |
xx | x | 国土技術政策総合研究所 |
xx | xx | 総合技術政策研究センター 建設マネジメント研究官 国土交通省総合政策局 建設施工企画課長 |
xx | xx | 国土交通省関東地方整備局企画部 機械施工管理官 |
xx xx 東京大学社会基盤学科社会基盤学専攻 教授副委員x
x 務 局
xx x 国土交通省総合政策局建設施工企画課 施工環境技術推進室長xx xx 国土交通省大臣官房技術調査課 課長補佐
xx x 国土交通省総合政策局建設施工企画課 課長補佐
xx xx 国土交通省総合政策局建設施工企画課 機械設備係長
[平成19年10月時点]
交代委員
xx xx 新潟県土木部 技監
xxx x 国土交通省関東地方整備局企画部 機械施工管理官xx xx 国土技術政策総合研究所
総合技術政策研究センター 建設マネジメント研究官 xx xx 国土交通省総合政策局 建設施工企画課長
事務局
xx xx 大臣官房技術調査課 課長補佐
xx xx 国土交通省総合政策局建設施工企画課 機械施工企画官xx xx 国土交通省総合政策局建設施工企画課 課長補佐
目 次
1 土木機械設備の特性と入札契約手法 1
1-1 土木機械設備 1
1-2 土木機械設備の特性 1
1-3 土木機械設備を扱う企業 2
1-4 入札契約手法で考慮すべき事項 2
2 適用範囲 3
3 土木機械設備工事・業務の分類 4
3-1 土木機械設備工事の分類 4
3-2 土木機械設備の点検業務等 5
4 入札契約 6
4-1 入札契約方式の選定 6
4-2 適格企業の選定 8
4-3 多様な発注方式 12
4-4 審査・評価 22
5 施工体制と監督・検査 23
5-1 施工体制 23
5-2 監 督 23
5-3 完成図書等の取扱 24
5-4 検 査 24
別紙-1 土木機械設備工事における評価項目(簡易型)の例別紙-2 土木機械設備工事における評価項目(標準型)の例
別紙-3 土木機械設備工事における評価項目(高度技術提案型)の例
別紙-4 設計施工一括発注方式等におけるリスク分担の考え方 タイプⅠ,Ⅱ別紙-5 設計施工一括発注方式等におけるリスク分担の考え方 タイプⅢ
参考資料 土木機械設備の計画・設計の流れ(例)
1 土木機械設備の特性と入札契約手法
1-1 土木機械設備
土木機械設備とは、河川堤防や道路トンネルなどの、土木構造物の有する機能の補完あるいは拡大を目的に、能動的な機能を付与するために設置される機械設備で、河川用ゲート設備、ダム用ゲート設備、揚排水ポンプ設備、トンネル換気設備、トンネル非常用設備、消融雪設備、道路排水設備などやこれらに類する土木構造物に係る機械設備をいう。
1-2 土木機械設備の特性
土木機械設備の特性として、以下の事項が挙げられる。
(1)固定的な構築物でなく、能動的に自然物を扱う設備である。
土木機械設備は、土木構造物のように固定された構築物ではなく、河川水位の上昇に伴う水門扉の開閉、ポンプ稼働による内水等の排除、トンネル内における自動車排出ガス等の強制排除など、土木構造物に能動的な機能を付与することを目的としている。
(2)運転・稼働して初めてその機能を果たすものである。
土木機械設備は、土木構造物と一体になって設置されているものが多く、河川の水位上昇に伴う支川への逆流防止のための河川用ゲ-ト設備による制水や、内水位上昇に伴う家屋等への浸水防止のための揚排水ポンプ設備による強制内水排除、道路トンネル内における自動車排出ガスのトンネル換気設備による強制排除等、運転・稼働して初めてその機能を果たすものとなっている。
(3)各機能要素を組み合わせたプラント的システムである。
土木機械設備は、一般に主機械設備の他に主機械駆動設備、系統設備、電源設備、監視・操作制御設備、付属設備など多くの構成要素を組み合わせた構成となっている。そして、土木機械設備を構成する構成要素が所要の性能を発揮し、相互に協調することによりシステムとして機能する。
(4)機能の維持のため適切な保全が必要である。
土木機械設備を確実に始動・停止し、長期間にわたって安定した機能を確保するためには、定期的な保全(点検・修繕・部品の取替等)が必要である。
特に一般の機械設備との大きな違いとして、土木機械設備の多くが非常用の機械設備で常時待機状態にあり、河川xx時等の稼働を必要とする際に確実な運転・操作が求められることから、保全は土木機械設備にとって重要な要素である。
1-3 土木機械設備を扱う企業
土木機械設備は、xx用等の公共事業以外の使途を含む広い市場を対象として、規格品又は汎用品として生産される機器を組み合わせたシステムからなる最も簡易なもの、設計基準等に基づいて、個々の発注者の要請を満たすべく設計・製作された単品生産の主要機器を中心に組み合わせたもの、そして、設計基準等が未整備で、ほぼ全ての主要構成機器が、個々の発注者の要請を満たすべく設計・製作された単品生産となっている最も高度な土木機械設備まで、設備の種類、構造・機能、規模によって、施工に必要な技術レベルの幅が非常に広く、施工可能な企業数も大きく異なっている。
簡易な土木機械設備では、機器の製作企業と販売企業が多数存在し、施工企業には、システムを構成する技術力と、機械器具設置工事の能力が求められる。
最も高度な土木機械設備では、個々に設定された機能などの要求仕様に対応し、施工企業が保有する製造設備、設計技術、施工技術に基づき、個々の機器が十分な性能を発揮するよう設計・製作されることに加え、部分的な不具合の他への影響、あるいは、想定外の外力に対して致命的損傷とならないように、機械要素と制御や機械要素同士が適切なバランスを保つように施工される。このような場合は、土木機械設備の目的を理解し、要求される性能を実現する高度な技術力が要求されることから、施工可能な企業は限定される。
1-4 入札契約手法で考慮すべき事項
土木機械設備の入札契約手法の検討にあたっては、一定の性能が均一的に保証される標準品等を用いる簡易な土木機械設備では、工事の遂行能力を重視した入札契約方式とすることが考えられる。一方、より高度な土木機械設備においては、施工企業の設計・製作・据付に係る技術力を最大限に活用する入札契約方式を導入することが考えられ、より競争性、透明性、xx性を高める観点から、工事の態様等に応じて詳細設計付き施工発注方式、設計施工一括発注(デザインビルド)方式、本体・設備一括発注方式など多様な発注方式の活用が必要である。
対象設備の種類、構造・機能、規模によって求められる技術レベルに適した方法として、簡易な土木機械設備では設計業務の成果に基づいた施工が可能であるため、総合評価方式(簡易型)とし、高度な土木機械設備においては、設計業務を外形的、概括的範囲に留め、施工企業の技術力を最大限に活用する総合評価方式(標準型、高度技術提案型)により、要求性能を合理的に実現し、高い信頼性を得ることが考えられる。
なお、総合評価における技術提案、設計施工一括発注(デザインビルド)方式等における設計提案の要請と評価に当たっては、土木構造物との整合はもとより、要求する機能などの仕様を満足し、機構、構造、材料等が維持管理運用の観点から適切に計画され、工場における製作と現場における据付等の工事内容が連携されていることなどに留意する。
また、土木機械設備の機能を継続的に維持するため、メンテナンス込みの複数年契約の活用などの検討を行う必要がある。
さらに、入札契約手続における競争性等の向上の観点からも、設備についての標準設計化や設備仕様(装置、機器、部品)の標準化についての検討、汎用品等の活用の推進が望まれる。
2 適用範囲
「土木機械設備の入札契約手法に関する委員会報告書(以下、「本報告書」という。)」は、ゲート設備、揚排水ポンプ設備、トンネル換気設備に適用する。その他これに類する土木構造物に係る機械設備については、必要な範囲で準用することとする。また、本報告書は、適用する際の標準的な目安を示したもので、具体の適用にあたっては、現場条件や技術特性、地域特性等を考慮し、適切に判断するものとする。
(1)ゲート設備・揚排水ポンプ設備・トンネル換気設備
ゲート設備に関しては、扉体・戸当り、開閉装置や制御設備で構成されており、扉体・戸当り等主要部(大規模なゲート設備では開閉装置(ドラム、減速機等)も含む。)や制御設備については、個々の設置条件に応じて設計・製作している。揚排水ポンプ設備・トンネル換気設備についても同様に、ポンプ本体及び駆動部、送排風機などの主要部や制御設備については、個々の設置条件に応じて設計・製作をしている。
設計・製作に当たっては、各企業の保有する技術力(設計・製作・据付等)に基づき、機械要素から部品に至るまで、相互のバランスと全体としての性能に配慮している。さらに、土木機械設備は、制御プログラムによって各構成要素が機能し、全体として所要の性能を発揮するプラント的システムであることからシステム設計が必要となる。具体的には、異常な外力や応力に対して、あるいは部分的な故障に対して、構造物又はシステム全体への影響を最小としつつ、不具合箇所を修理、交換しやすくすることによって、土木機械設備の信頼性を高めるよう、各企業の製造技術、設計技術に応じた設計を行っている。
また、土木機械設備は、土木施設の主要な機能を担っている重要なもので、施工時に施工企業の技術力に基づいて具体化するものであることから、品質確保、性能確保のため、施工企業、担当技術者に対して高い技術力が求められる。
(2)その他の土木機械設備
小規模の揚排水ポンプ設備、トンネル換気設備や道路排水設備、消融雪設備、共同溝付帯設備、車両重量計等については、全体として所要の性能を発揮すべく設計されたシステムに応じて規格品若しくは汎用機器を組合せて構成される。そのため、個々の設置条件に応じて設計・製作を行っている機器は少ないものの、システム設計に係る重み付けが大きいものである。
3 土木機械設備工事・業務の分類
3-1 土木機械設備工事の分類
(1)新設工事
従来、土木機械設備が設置されていない箇所にゲート設備、揚排水ポンプ設備、トンネル換気設備などの土木機械設備を新たに構築する工事である。
土木構造物等による制約の下で施工企業の技術力に応じて独自の設計・製作・据付が可能な場合がある。
(2)追加工事
一体の土木機械設備を分割発注したときの後工事である。
既設部分の基礎となった技術力を有し、既設部分の設計思想、ノウハウ等を熟知し、理解することで円滑な施工を図ることができる場合がある。
(3)増設工事
複数の系統で構成される土木機械設備において、その一部の系統に当たる設備を構築した後で、隣接箇所に系統を追加して構築する工事である。
土木構造物等による制約の下で施工企業の技術力に応じて独自の設計・製作・据付が可能な場合がある。
例えば、ゲート設備や揚排水ポンプ設備において、既設設備と一部を共有しながらも、設備として独立して機能するポンプやゲートと操作盤の組合せ(系統)を増設する場合が該当する。
(4)更新工事
土木機械設備全体の経年使用による陳腐化、機能の劣化あるいは社会的要請の変化に対応するため、土木機械設備として機能する設備一式又は系統について新たに製作し据付ける工事である。
土木構造物等による制約の下で施工企業の技術力に応じて独自の設計・製作・据付が可能な場合がある。
(5)改造工事
土木機械設備全体の経年使用による陳腐化、機器の劣化、社会的要請の変化あるいは設備システムの大幅な変更に対応して土木機械設備の構造体や機器の一部を製作・据付する工事である。(揚排水ポンプ設備の自動運転化や遠隔制御化、ゲート設備の嵩上げ、土木機械設備の耐震強化工事など)
これらの工事は、既設部分の設計・製作・据付の基礎となった技術力を有し、既設部分の設計思想、ノウハウ等を熟知し、理解していることで円滑な施工を図ることができる場合がある。
(6)修繕工事
土木機械設備の経年使用による腐食や劣化、事故等により土木機械設備が部分的に破損、機能低下した場合、当初の使用目的に見合うように設備機能の復旧を図るための工事である。(構造体の補強、設備、機器のオーバホールなど)
土木機械設備の基本的な性能、機能と直接的に関連する工事で、既設部分の基礎となった技術力を有し、既設部分の設計思想、ノウハウ等を熟知し、理解していることで円滑な施工を図ることができる場合がある。
※修繕工事は、土木機械設備の性能・機能を左右する部位について、劣化又は故障を復旧するもので、一般的に使われている補修工事、修理等の概念も含まれる。
(7)取替・塗装等工事
土木機械設備の塗装塗り替え工事及び土木機械設備の経年使用による装置、機器、部品の一部が劣化又は陳腐化して機能劣化した部分の機器取替を行い元の機能を復旧するための工事である。
土木機械設備の基本的な機能と直接関連しない工事である。(塗装塗り替え工事や、汎用の油圧ユニット、汎用の油圧シリンダ、汎用の水密ゴム、その他の汎用部品の取替など)
3-2 土木機械設備の点検業務等
(1)点検業務
点検要領などに基づいて、土木機械設備の装置、機器の回転数、寸法、温度、異音などを計測・測定、観測して、異常、損傷の有無、要領で定められている管理値との比較、分析を行い、点検表に取りまとめ、さらに今後の維持管理の検討に資するための考察を行う業務である。
なお、運転、清掃、手工具等による簡単な機械部品の交換、機器の調整などを含む場合がある。
(2)診断業務
点検結果や維持管理の記録、流域の状況、交通の状況などの使用状況に照らして土木機械設備が目的に合致しているか、土木機械設備の延命、更新又は大規模な改造の必要性があるかなどを診断、判定し、今後の合理的な点検手法、所要の改造、更新などを提案する業務である。
なお、設備の機能保全による機能維持が限界に達した場合、大規模な震災やその他の災害による被害又は河川・道路計画の変更に伴い大規模な改造・更新が予測される場合は、設備及び使用条件の全体を詳細にわたって調査し、総合的に検討を加える総合診断とするべきである。排水ポンプ設備については「河川ポンプ設備更新検討要綱・同解説(平成6年1月)」が定められており、他の土木機械設備もこれに準じて実施する。
4 入札契約
4-1 入札契約方式の選定
土木機械設備工事においては、技術レベルに応じて表-1に示す入札契約方式を選定することを原則とする。なお、土木機械設備における技術レベルの具体例を表-2に示す。
表-1 技術レベルと入札契約方式
技術レベル | 河 川 x x 施 設 等 構 造 令 な ど | ※1:複数の競合技術から選択するものは、総合評価方式(高度技術提案型)とする。 ※2:水理実験等により発注者が設備形式を決定した場合は、詳細設計付き施工発注方式とすることができる。 | |||
汎 用 品 の 組 合 せ標 準 設 計 | 設 計 基 準 整 備シ リ ー ズ 化 | 施工企業独自の設計 | |||
複数の競合技術から選択 | 個別設計製作である ○新構造・形 式 ○過 去 最 大 複数の競合技術から選択 | ||||
入札契約方式 | 設計・施工分離 | ※1 詳細設計付き施工発注方式 | 設計・施工一括発注 ※2 (デザインビルド)方式 |
注)本体・設備一括発注方式とする場合は、異工種JVの活用が考えられる。ただし、汎用品の組合せや標準設計がある工事などでは、異工種JVに限らない方式が考えられる。
表-2 土木機械設備の具体例
技術レベル | 河 川 x x 施 設 等 構 造 令 な ど | 備 考 | ||
汎 用 品 の 組 合 せ 標 準 設 計 | 設 計 基 準 整 備シ リ ー ズ 化 | 施工企業独自の設計 | ||
揚排水 ポンプ設備 | 水中モータポンプ 2m3/s 以下 救排(標準設計) | 軸流ポンプ及び斜流ポンプ 10m3/s以下 | 10m3/sを超えるポンプ (可動翼を含む) | 揚排水ポンプ設備設計指針 (案)に基づく 分類 |
ゲート設備 | 河川用ゲート設備 10m2未満(xx) | 河川用ゲート設備 50m2未満(中形) | 河川用ゲート設備 50m2以上(大形)及びシェル構造 | ダム・堰施設 技術基準(案)に基づく分類 |
ダム用ゲート (φ1m未満の小容量放流設備) | ダム用ゲート | |||
トンネル換気設備 | J F | φ1,530mm以下 | φ1,530mmを超える | 道路トンネル技術基準 (換気編)に基づく分類 |
送排風機 | φ3,150mm以下 | φ3,150mmを超える | ||
その他の設備 | 道路排水設備・消融雪設備・共同溝付帯設備・車両重量計等 |
※揚排水ポンプ設備に関しては、主ポンプ1台当り吐出量(m3/s)
※河川用ゲート設備に関しては、1門当り扉体投影面積(m2)
※トンネル換気設備に関しては、口径(mm)
注)救排:救急排水ポンプ、可動翼:羽根角度制御、JF:ジェットファン、ブースターファン
(1)総合評価方式の適用
「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」には、高度技術提案型、標準型、簡易型別の評価項目、評価基準が例示されているが、土木機械設備工事においては、土木機械設備の特性、設置環境、使用条件に適合した項目を追加して提案を求める必要がある。
例えば、土木機械設備は、施工企業の技術力に基づく計画、設計施工によるところが多いことから、製作・据付に係る改善及び供用時の信頼性・コスト等の事項(構造、材料等を含む土木機械設備のライフサイクルコスト低減、操作の安全性・確実性、設備の信頼性確保、操作の省力化、システム増強への自由度など)について追加する。
なお、土木機械設備以外を含む汎用の目的で製作されている機械、部品を組み合わせて構成される土木機械設備や標準設計がある場合など、建設コンサルタントによる設計に基づいて施工することによって基本的な機能を発揮できる土木機械設備については、工期短縮等の現場の要請に基づく技術提案を求める総合評価
(簡易型、標準型)を行うことが考えられる。評価項目の例を、別紙-1~3に示す。
(2)設計・施工の扱い
「設計コンサルティング業務の外注にあたっての設計・施工分離の原則」(昭和
34年事務次官通達)が提示され、設計のチェック・品質確保・コスト管理を図ることとしている。しかし、技術基準が整備されていない場合や複数の競合技術から選択する場合など、建設コンサルタントに十分な技術力がなく、施工企業の技術力に基づく独自の設計が必要な土木機械設備については、詳細設計付き施工発注方式、設計施工一括発注(デザインビルド)方式を適用し、併せて総合評価方式(高度技術提案型)を導入することが考えられる。
なお、設計施工一括発注(デザインビルド)方式を導入する工事は、以下のいずれかの場合などが考えられる。
①技術基準が十分には整備されていないもの
②土木機械設備工事で新しい技術、構造・機能の導入を試みるもの
③設計を複数の競合技術から選択して決めるもの
(3)本体・設備の扱い
土木機械設備の工夫によって、土木構造物の規模を縮小できる場合(コスト縮減)や土木構造物の設計自由度が向上して景観との調和を向上できる場合(景観向上)、土木機械設備の施工と土木構造物の施工を連携させることによって工期が短縮できる場合(工期短縮)など、土木機械設備の施工企業と土木構造物の施工企業が直接連携することによる効果が期待できる場合に本体・設備一括発注方式とすることが考えられる。
(4)工事の規模
工場施設に対して過大となる規模の工事では、一括下請等の不法行為を招くおそれがある。また、大規模な河口堰やダム用ゲート設備では、所要の技術力を有する企業が少ないため、同種企業による特定建設工事共同企業体(特定JV)での発注では、競争性の確保に支障をきたすおそれがある。このため、工事規模の設定(分割発注)に当たっては、所要の技術力を有する企業数、価格面、数量面、工程面からみて適正な工事規模となるよう留意する。
4-2 適格企業の選定
品質を確保し、所要の性能・機能を有する土木機械設備を施工するため、当該土木機械設備の施工に必要な技術力を有する企業、技術者を確保しなければならない。このため、土木機械設備の施工に必要な技術力を適切に評価する必要がある。
(1)工事に関する技術力
土木機械設備の施工に必要な技術力の要素は、土木機械設備の構造・機能に関する技術的要素と、規模が大きくなることによる応力等の力学的要素とに分けられる。
①構造・機能に関する技術力
ゲート設備などでは、曲げ応力や圧縮力(座屈を含む。)、引張り力を受ける柱や梁などや、膜構造を複雑に組み合わせた構造を有し、高速の水流を受けたり、水流を制御する技術が求められる。ポンプ設備などでは、回転駆動機構により流体機械としての機能を発揮する技術などが求められる。さらに、機械技術によって構築された主要部を、土木機械設備の目的に応じて、的確に駆動させる操作制御設備と一体になって、初めて機能する。このような、構造・機能に関する指標によって技術力を評価できる。
小容量放流設備
取水設備
ダム用ゲート
ジェットフローゲート |
ホロージェットバルブ |
高圧スライドゲート |
その他の主バルブ |
ラジアルゲート(設計水深25m以上) |
ラジアルゲート(設計水深25m未満) |
工事目的物に関する技術力の要素である構造・機能に着目した土木機械設備の分類例を図-1~3に示す。
プレートガーダ構造2段式ゲート
プレートガーダ構造ローラゲート※
長径間シェル構造ローラゲート
2段式シェル構造ローラゲート
クレスト・ローラゲート,他
クレスト・ラジアルゲート
ローラゲート(設計水深25m未満)
ローラゲート(設計水深25m以上)
ローラゲート(設計水深80m以上)
プレートガーダ構造スライドゲート
シェル構造ローラゲート
直線多段式選択取水ゲート
円形多段式選択取水ゲート
ラジアルゲート(設計水深80m以上)
河川用ゲート
※特殊ゲート(起伏ゲート等)は、プレートガーダ構造ローラーゲートを類似とする。
図-1 構造・機能に関するゲート設備の分類例
水中モータポンプ
ジェットファンブースタファン
コンクリートケーシングポンプ
メタルケーシングポンプ
可動翼ポンプ
軸流送風機(固定翼)
軸流送風機(可変翼)
図-2 構造・機能に関する揚排水ポンプ設備の分類例
図-3 構造・機能に関するトンネル換気設備の分類例
②規模に関する技術力
土木機械設備の規模が大きくなると、力学(材料力学、流体力学等)上の課題、運転制御システムの課題、製作・据付における精度管理、強度管理の課題が発生する。このような技術的観点を反映した規模の指標としては、例えば揚排水ポンプ設備については主ポンプ1台当り吐出量(m3/s)、ゲート設備については1門当たりの扉体の投影面積(m2)、ダム用ゲートについては扉体投影面積(m2)と設計水深(m)、長径間ゲートについては純径間(m)、トンネル換気設備については口径(mm)等が挙げられる。
(2)点検に関する技術力
点検は、設備の劣化、損傷の有無を確認、予測し、必要に応じて部品等の交換、調整を行い、良好な状態に保つものである。さらに、点検の結果に応じて、経過観察、修繕、改造等の措置を計画し、管理者が所要の措置をとることによって、不測の事態を未然に防ぐなど、点検は、土木機械設備の機能を長期間にわたって維持し、信頼性を確保する上で、最も重要なものである。
点検は、目視、触診、計測等を通じて土木機械設備の状況を把握する作業、個々の状況が土木機械設備全体に及ぼす影響等に基づいて、土木機械設備の状況を評価し、所要の措置を提案する業務で構成される。このため、土木機械設備の構成を理解して、高度な技術的判断を遂行する技術力が必要である。
(3)施工企業に要求される技術力
①新設工事及び更新工事
新設工事では、設備全体を示された設計条件を満足するように設計・製作・据付を行うため、同じ形式・構造の土木機械設備であれば、過去に同様な土木機械設備の工事実績や経験を有すれば、過去の工事実績や経験から2倍の規模のものまでは、保有技術の延長(外挿)として、工事を遂行できると考えられる。
このため同種工事については、1/2規模以上の実績を有すれば当該工事を施工
できる技術力を有するものとする。
類似工事については、同種工事と比較して、形式・構造の異なることによる技術的課題と規模が大きくなることによる技術的課題を解決する必要があることから、類似工事は、1/1.4規模以上の実績を有することで当該工事を施工できる技術力を有するとみなすことができると考えられる。図-4にこれらの考え方を示す。
構造・機能に関する技術的課題の克服
類似
同種設備
2倍
大規模
小規模
2倍
1.4倍
類似設備
1.4倍
上位の分類
下位の分類
規模の大形化に
関する課題の克服
同種
図-4 「同種」「類似」の考え方
※「同種」「類似」に関する補足説明
土木機械設備の工事については、同じ構造・機能の「同種」の範囲であれば、大きさの違いによる力学的な技術課題を解決することによって、より大きな土木機械設備の施工が可能になる。下位の構造・機能の「類似」の技術力からの場合は、構造・機能の違いに起因する課題と大きさの違いによる力学的技術課題の両方を解決することによって、上位に分類される土木機械設備の施工が可能になる。そこで、すでに保有する技術レベルを表す施工実績がある土木機械設備と同種の場合は、2 倍の規模まで施工が可能で、上位に分類される土木機械設備では、1.4 倍の規模まで施工が可能とする。(工事目的物から見れば、同種では 0.5 倍の規模、類似では 0.7 倍の規模となる。)
②改造工事及び修繕工事
既設部分に関する外形的情報に加え、既設部分の設計思想、根拠となったシミュレーション、技術的ノウハウ等に関する情報を有し、これらを理解することで円滑な施工が図ることができる場合があると考えられる。
当該設備を施工した企業が存続しない場合は、完成図書として記録された情報を基に、記録されていない設計思想、根拠となったシミュレーション、技術ノウハウ等を推定、理解したうえで実施する必要があると考えられる。このため、構造・機能や規模に関する技術課題を克服している必要があり、当該設備と同種、同規模以上に相当する技術力を有することが必要と考えられる。
③点検
土木機械設備の点検に関しては、土木機械設備の構成を理解すると共に、構成要素の状況を的確に察知する技術力、土木機械設備全体に照らして所要の措置を提案するため、該当する土木機械設備に関する建設コンサルタント業務を遂行できる技術力を有していることが求められる。これらの技術力を保持するには、過去の実績で得た経験、情報等が継承されている又は同種の経験等があることが望ましい。
(4)企業の技術力
企業の技術力は、蓄積されている技術的知識・知見と土木機械設備を製作することができる工場設備によって表すことができる。技術的知識・知見は、文書などによって代表される形式知と技術者・技能者が保有する暗黙知とによって構成される。土木機械設備工事では、工場製作による部分が大きなウエイトを占めることから工場の生産設備は、企業の技術力の評価に大きな影響を及ぼす。工場でそれまで製作経験がない場合には、保有する知見によって製作作業を管理することになるが、経験と管理対象の技術水準が大きく異なると管理できない恐れがあることから、工場設備の規模(施工実績の規模)も重要な指標である。
従って、企業の技術力は、生産設備、文書等に記録された技術情報、技術者の経験やノウハウとして保有されている技術力(暗黙知)が相まって発揮されるものである。これらを定量的に評価することは困難であるが、施工実績(良好な施工を完遂した土木機械設備)をもって、当該土木機械設備を施工できる技術力があると証明できる。
しかし、企業の統廃合等があった場合は、施工実績の基礎となる技術力が継承されていない場合が想定される。当該技術力の継承については、土木機械設備ごとに以下の要素などを確認することが必要と考えられる。
①工場設備
土木機械設備の製作に必要となる主要工作機械設備、組立て設備等を列記し、それらが継承されていること、又は、保有していること。
②技術文書
土木機械設備の施工に必要となる技術情報、シミュレーションプログラム、特許等を列記し、それらが継承されていること。
③技術者
土木機械設備の施工に当たって中心的役割を果たした技術者、又は当該工事において当該技術者と共に業務を実施したなどにより、当該技術者から技術移転を受けた技術者が継承されていること。
(5)企業及び技術者の評価
企業及び技術者の評価方法は、「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」の評価項目及び評価基準を参考に、土木機械設備工事の特性(土木工事に比較して工事件数が少ない。)を踏まえ、次に示す事項が考えられる。
①発注件数が少ない土木機械設備は、施工実績の期間を15年間まで延ばすことができる。
②工事成績評定点の平均点、優良工事表彰の有無、イメージアップ優良工事表彰の有無及び安全管理優良請負者表彰の有無の期間については、それぞれ5年間とする。
4-3 多様な発注方式
より競争性、透明性、公正性を高める観点から、土木機械設備工事の態様等に応じて、詳細設計付き施工発注方式や設計施工一括発注(デザインビルド)方式(以下「設計施工一括発注方式等」という。)、本体・設備一括発注方式など、多様な発注方式を積極的に導入するものとする。
なお、設計施工一括発注方式等の適用に当たっては、「設計・施工一括発注方式導入検討委員会報告書(平成13年3月)」「公共工事における総合評価方式活用ガイドライン
(平成17年9月)」「高度技術提案型総合評価方式の手続きについて(平成18年4月公共工事における総合評価方式活用検討委員会)」を参考に実施するものとする。
(1)設計施工一括発注方式等
設計施工一括発注方式等の導入によって、企業が保有する高い技術力を有効に活用し、コスト縮減や土木機械設備の性能・機能の向上、工期短縮等の効率化を図ることとなり、一定のコストに対して得られる品質が向上し、土木機械設備の効率的な整備につながるものである。
○詳細設計付き施工発注方式
構造の細部の設計及び実際の施工に必要な仮設等の設計を工事と同時に契約する方式で、例えば、予定価格の算出ができる範囲の設計を発注者(コンサルタント)により行った後、細部の設計及び実際の施工に必要な仮設等の設計を施工企業が行う発注方式である。
○設計施工一括発注(デザインビルド)方式
製作・据付に係る全ての設計及び施工を施工企業が行うものであり、発注者は競争参加者に対して適切な設計条件、土木構造物からの制約条件等を提示し、それに基づき工事内容や現場条件に応じた適切な設計段階から実施する発注方式である。
1)設計施工一括発注方式等の適用条件
①タイプⅠ
土木機械設備の構造・施工方法が異なる複数の案が考えられ、構造・施工方法によって設計内容が大きく変わるなど発注者が設計内容を1つの案に決められず、設計・施工に特に精通した者の技術力を得て設計することが必要となる場合。
②タイプⅡ
土木機械設備工事の総合的ノウハウが蓄積されているもので、設計と施工が密接不可分な場合
③タイプⅢ
災害等により土木機械設備の復旧までに非常に厳しい工程を強いられ、設計を終えてから工事を発注するという時間的猶予がない場合。
2)設計施工一括発注方式等の適用時期
設計施工一括発注方式等を効果的に活用するため、競争参加者のノウハウや工夫が最大限発揮できるよう、適切な段階での実施が望ましいが、設計条件や土木構造物からの制約条件等も考慮し、どの段階で「設計施工一括発注方式等」により発注するのか、工事内容や現場条件に応じて実施する時期を決定する。
・設計段階Ⅰ:対象とする土木機械設備の「設計条件(性能・機能)」の段階からの設計提案(設計施工一括発注(デザインビルド)方式に適用)
※土木構造物の基本計画、特性、目的の検討後で、土木機械設備の設計を土木構造物に反映して、全体のコスト縮減や性能向上等に資することが期待できる。
・設計段階Ⅱ:対象とする土木機械設備の「概略設計仕様」を決定した段階からの設計提案(設計施工一括発注(デザインビルド)方式に適用)
※土木構造物の予備設計後で、土木構造物のディテールの変更を許容することにより、土木機械設備のコスト縮減や性能向上等に資することが期待できる。
・設計段階Ⅲ:対象とする土木機械設備の「予備設計」を決定した段階からの設計提案(詳細設計付き施工発注方式に適用)
※土木構造物の詳細設計後で、土木構造物の設計による制約の範囲内で、土木機械設備のコスト縮減や性能向上等に資することが期待できる。
これらの方式を活用する場合は、施工企業から幅広い技術提案を受けることができ、競争性を高めることができるよう、どの設計段階から適用するかを検討し、それに応じた設計条件を整理する必要がある。
設計段階Ⅰ
設計条件の確認(土木)
基本計画 | 特性 | 目的 | 機能・形式の決定 | |
ダム用ゲート | 本体の形 | 洪水処理、貯水池維持、低水放流、その他 | 設備の形式(越流形、放流管形、オリフィ ス形など)水門扉の用途によるゲート形式など | |
式・規模、 | ||||
地形・地 | ||||
ダム・堰・水 | 質 | |||
門等の特質、 | ||||
水位、流量 | 河川用ゲート | 制水・水位維持、土砂吐き、流量調節、舟通しなどの用途によるゲート形式の決定(ローラ、スライド、シェル構造、起伏式 など) | ||
条件、貯水 | ||||
池の機能保 | 河川横断、 | 制水門、洪水吐き、 | ||
全など | 堤防を分 | 流量調整や魚道等の | ||
断して設 | 機能を持たせる場合 | |||
置 | もある |
基本寸法の決定 |
放流・取水条件に応じた水位・水質条件を満たすように設置標高、径間長、断面高など決定 |
制水・放流条件及び水位・水質、計画高水位などの条件から径間長、ゲート高さ、ゲート形式の選定 |
設計段階Ⅱ
設計段階Ⅲ
具体的なゲート設備の設計
具体的仕様の決定
詳細設計
(機械)
予備設計(機械)
詳細設計(土木)
予備設計(土木)
(機械の概略設計仕様)
図-5 各段階における土木機械設備の決定事項 例(ゲート設備)
なお、本報告書でいう土木機械設備の設計とは以下のように定義する。
○予備設計:施設全体の計画、目的等に基づき土木機械設備の概略構造、基本寸法を設定するもので、一般的には土木構造物と一体で設計される。
○詳細設計:土木機械設備の具体的な構造、寸法、機器仕様等の設定のための設計計算及び図面作成、数量算出のこと。
なお、設計・施工分離発注方式では、工事発注や予定価格算出のために必要となる設計を実施するもの。
○実施設計:施工者の工場設備、実際の調達機器や部材に応じた細部構造等の設計で、施工者が施工を行うために必要となる設計計算及び図面作成、数量算出のこと。
3)設計施工一括発注方式等の適用範囲
設計施工一括発注方式等の適用条件と適用時期の組合せとして適用範囲を表-3に示す。
表-3 適用範囲
適用条件 | 適 | 用 | 時 | 期 | ||
計画 調査 | 設 | 計 | ||||
段階Ⅰ | 段階Ⅱ | 段階Ⅲ | ||||
タイプⅠ | - | △ | △ | ○ | ||
タイプⅡ | - | △ | ○ | ○ | ||
タイプⅢ | - | - | - | ○ |
4)設計提案
設計提案・技術提案(以下「設計提案等」という)の提出資料は、できるだけ提案企業に過度な負担を掛けないよう留意しつつ、設計提案等が適切に評価できるものとしなければならない。
①具体的な提出資料の明示
必要な提出資料としては、設計段階Ⅰについては、主に土木機械設備の機能・形式からの検討であり設計に係る制約条件が少なく自由度の高い提案となる。しかし、検討範囲が広いため設計提案企業は対象案件に対して、詳細の調査検討が別途必要となる。
設計段階Ⅱ,Ⅲについては、表-4,5,6に例示するものが考えられるが、設計提案の自由度等を勘案し、提出を求める範囲として要求する設計提案を明確に示したうえで求める必要がある。
また、発注者の要求事項が明確になっていないと、必要以上の性能のものを提案されたり、設計提案企業に過度の負担を強いる恐れがあることから、土木機械設備の性能・機能等の要求要件、設計提案等を求める範囲、施工条件等を詳細に入札説明書に明示するものとする。
表-4 設計段階Ⅱ(総合評価(高度技術提案型))における提出資料の例
設備形式提案書: 要求される設備の形式を提案
設備計画検討書: 要求される性能を満たす土木機械設備全体、主要構造部位についての構造形式を決定した根拠(実験、実績を含む。)、経緯等をまとめたもの
構 造 計 算 書: 要求する性能の確保、使用条件で発生する負荷に抗する等の基本的な性能を確保する部材の強度等の定量的な検討根拠
設 計 図 書: 全体、主要部、主要部品等の概略の構造、形状、材質等に関するもので、図面としては、一般構造図等で機能・品質等の基本性能及び価格の評価が可能な範囲
施 工 計 画 書:設計図書で示された土木機械設備の実現性を示す等の目的で、製作・据付における施工要領・品質確保手順等をまとめたもの
表-5 設計段階Ⅲ(総合評価(高度技術提案型))における提出資料の例
設備計画検討書: 要求される性能を満たす土木機械設備全体、主要構造部位についての構造形式を決定した根拠(実験、実績を含む。)、経緯等をまとめたもの
構 造 計 算 書: 要求する性能の確保、使用条件で発生する負荷に抗する等の基本的な性能を確保する部材の強度等の定量的な検討根拠
設 計 図 書: 全体、主要部、主要部品等の概略の構造、形状、材質等に関するもので、図面としては、一般構造図等で機能・品質等の基本性能及び価格の評価が可能な範囲
表-6 設計段階Ⅲ(総合評価(標準型))における提出資料の例
設備計画検討書: 土木機械設備の性能に係る概略基本事項(制御方式、設備仕様、配置等)
概略設計図書 : 全体、主要部、主要部品等の概略構造、形状、材質、加工等に関する図面で機能・品質等の基本性能評価が可能な範囲、
技 術 提 案: 製作・据付における仮設計画や信頼性、維持管理の向上に考慮した設備の技術提案
②提案企業の設計提案等に要する期間の設定
設計提案等に要する期間は、提案企業からの有効な提案を得るため、土木機械設備の規模、設計提案の難易度を勘案し、適正に設定する必要がある。
5)必要とする技術力と設計における実施体制
土木機械設備を施工するうえで企業に求める技術力については、「4-2 適格企業の選定(4)企業の技術力」で述べているとおり、工場製作による部分が大きなウエイトを占めている。そのため、設計段階において留意すべきことは、設計を行う技術者が施工経験やノウハウを有していること、施工を行う技術者との連携が図れることが品質や施工効率等を確保するうえで最も考慮すべき点となる。
6)設計提案等の審査及び改善
提出された設計提案等の審査については、提案内容の技術的判断の必要性に応じて学識経験者、公的機関の研究所の研究者、土木機械設備に関係する学術団体等(以下「学識経験者等という)を活用し、審査体制の充実に努めるものとする。
審査後に設計提案等の内容を一部改善することで、より優れた設計提案等となる場合や一部の不備を解決できる場合には、発注者と競争参加者との技術対話を通じて、発注者から設計提案等の改善を求め、又は競争参加者に改善を提案する機会を与えるものとする。
ただし、透明性を確保するため契約締結後に速やかに評価結果とともに設計提案等の改善に係る過程の概要を公表する必要がある。この場合、設計提案等が提案企業の秘密に属する可能性があることを考慮し、各競争参加者に対する発注者からの改善要請事項
の概要、各提案企業の再提出における改善状況の概要を基本とし、競争参加者の知的財産を保護する観点から各提案企業の了解を得た上で公表するものとする。
なお、各提案企業の提案の具体的内容に係る部分は公表しないものとする。
7)リスク分担の考え方
設計のリスクを含め原則として受注企業がリスクを担うこととする。
但し、激甚な自然災害、インフレ、法改正等の予期できないようなリスクは発注者が負担する。具体的なリスクの取扱については、契約図書でリスク分担を明らかにすることとする。
また、発注者・受注企業、双方のリスクをより明確にするためには、目的物の保証期間を設定するなどの検討が必要である。
適用条件におけるタイプ別(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)のリスク分担の考え方を別紙-4~5に示す。
(2)詳細設計付き施工発注方式の適用における留意点
1)予定価格の算定
総合評価(標準型)を活用する場合、設計者(発注者)の設計に基づき予定価格を定めることを原則とする。
総合評価(高度技術提案型)を活用する場合、競争参加者からの積算基準類にない新技術・新工法等が提案されることが考えられるため、競争参加者からの技術提案に基づき予定価格を定めることができる。予定価格の算出方法の選定は、結果として最も優れた提案を採用できるように、技術評価点の最も高い提案に基づき予定価格を算定することを基本とする。
ただし、発注者からの設計要求の内容(部分的な設計要求)によって、予定価格の精度に差異が発生する恐れがあることから、個別工事案件毎に予定価格算出方法について検討する必要がある。
2)発注者の確認体制
設計・施工分離発注方式と異なり、目的物の品質の判断のよりどころとなる規定内容が、施工者が行う詳細設計によって明確になること、また、設計と施工を単一の施工企業が照査することから、発注者の確認体制の充実を図り、品質を確保する必要がある。
なお、総合評価(高度技術提案型)を活用する場合、詳細設計完了時の確認、実施設計完了時の承諾、工事実施段階における承諾等の手続きについて、学識経験者等の活用を検討する。
3)設計変更の考え方
総合評価(標準型)を活用する場合は、予定価格算定のため、設計者(発注者)の設計に基づき数量を決定することから、当初契約時と施工企業による詳細設計の数量に大幅な変更は考えられないため、総価契約の金額は原則変更しない。例えば、強度計算上の合理的な理由から発注者が想定していた部材数量等について設計変更が必要と思われる箇所については、金額変更の対象となる場合がある。
総合評価(高度技術提案型)を活用する場合、次に掲げる理由から詳細設計の完了後、工事着工前までの間に単価を合意することを基本とする。
①技術評価点の最も高い競争参加者の設計提案をもとに予定価格を定めることを基本としているため、他の競争参加者が落札した場合には予定価格における工事費の内訳と落札者の入札価格の内訳が異なることとなる。
②設計提案に基づく詳細設計が完了した段階で数量が確定し、当初契約時とは数量が変更となる可能性があるが、総価契約の金額は変更しない。
いずれの場合も条件変更がある場合には施工者による詳細設計後の図面、数量に基づき設計変更を行うこととなる。
4)詳細設計付き施工発注方式の実施例
①実施手順例
具体の実施手順例について、図-6に示す。
なお、総合評価(高度技術提案型)を活用する場合は、図-7に示す実施手順例を参考とする。
ヒアリング
技術的能力の審査
(競争参加資格の確認)
申請書及び資料の提出
(技術提案)
技術提案の評価
改善された技術提案の提出
技術提案の改善
20~30日
20~30日
20日
公 告
予定価格の作成
公告後速やかに
資料作成説明会
入札説明書に対する質問書の提出
入札説明書の交付
質問書に対する回答期限
競争参加資格確認結果の通知
入札
理由の説明要求に係る回答
競争参加資格がないと認めた理由の説明資料
入札説明書に対する質問書の提出期限
技術提案の審査
は必要に応じて実施
総合評価による落札者の決定
図-6 詳細設計付き施工発注方式の実施フロー(例)
※契約までの流れについては、「公共工事における総合評価方式活用ガイドライン平成17 年 9 月」を参照した
(3)設計施工一括発注(デザインビルド)方式の適用における留意点
1)予定価格の算定
競争参加者からの積算基準類にない新技術・新工法等が提案されることが考えられるため、競争参加者からの技術提案に基づき予定価格を定めることができる。
予定価格の算出方法の選定は、結果として最も優れた提案を採用できるように、技術評価点の最も高い提案に基づき予定価格を算定することを基本とする。
ただし、発注者からの設計提案時期(設計段階Ⅰ~Ⅱ)、設計条件(部分的な設計要求)によって、予定価格の精度に差異が発生する恐れがあることから、個別工事案件毎に予定価格算出方法について検討する必要がある。
2)発注者の確認体制
設計・施工分離発注方式と異なり、目的物の品質の判断のよりどころとなる規定内容が、施工者が行う計画段階、予備設計段階、詳細設計に応じた設計内容が明確になると考えられる。さらに、設計と施工を単一の施工企業が照査することになるので、発注者は、各段階において確認体制の充実を図り、品質を確保する必要がある。
そこで、詳細設計完了時の確認、実施設計完了時の承諾、工事実施段階における承諾等の手続きについても、学識経験者等の活用を検討する。
また、場合によっては、発注者による確認体制に関する検討も必要となる。
3)設計変更の考え方
設計・施工一括発注(デザインビルド)方式を適用する場合には、次に掲げる理由から実施設計の完了後、工事着工前までの間に単価を合意することを基本とする。
①技術評価点の最も高い競争参加者の設計提案をもとに予定価格を定めることを基本としているため、他の競争参加者が落札した場合には予定価格における工事費の内訳と落札者の入札価格の内訳が異なることとなる。
②設計提案に基づく詳細設計が完了した段階で数量が確定し、当初契約時とは数量が変更となる可能性があるが、総価契約の金額は変更しない。
いずれの場合も条件変更がある場合には施工者による詳細設計後の図面、数量に基づき設計変更を行うこととなる。
4)設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の実施例
①実施手順例
具体の実施手順例について、図-7に示す。
競争参加者
発注者
外部
リスク分担の設定
基本方針・地方自治法(地方公共団体の場合)
評価方法の設定
学識経験者の意見聴取
1ヶ月程度
2~3ヶ月程度
競争参加資格の確認結果の通知
(資格がないと認めた場合)
2週間程度
1ヶ月程度
1ヶ月程度
申請書及び資料の提出
(設計提案、技術提案を除く)
競争参加資格の確認
(設計提案・技術提案を除く)
資料作成説明会
入札公告・入札説明書交付
設計提案・技術提案の審査
設計提案・技術提案の提出
(設計数量を含む)
技術的判断の必要性に応じて実施
品確法第13条
(設計提案が要求を満たさない時は、必ず実施する。)
設計提案・技術提案の改善
(技術対話)
学識経験者等の活用
基本方針・地方自治法(地方公共団体の場合)
契約
品確法第13条
改善過程の公表
落札者の決定
学識経験者の意見聴取
総合評価
(改善された設計提案・技術提案・入札価格)
改善された
設計提案・技術提案の提出
改善された設計提案・技術提案の審査
必要に応じて見積の提出
競争参加資格の確認
技術的判断の必要性に応じて実施
学識経験者等の活用
入札(設計提案・技術提案・価格)
予定価格の作成
学識経験者の意見聴取
品確法第14条
完成検査
据付工事
工場検査
工場製作
提案に基づく詳細設計・実施設計
完成
確認・承諾
図-7 設計施工一括発注(デザインビルド)方式の実施フロー(例)
※契約までの流れについては、「高度技術提案型総合評価方式の手続について平成18年4月」を参照した。
(4)本体・設備一括発注方式
本体・設備一括発注方式は、異なる工種である土木構造物本体工事と土木機械設備工事を一括して契約する方式であり、本体と設備の相互の構造や施工が密接に関連する工事等において、その活用が考えられる。
例えば、水門扉等の機械設備と本体等の土木構造物を一体的に施工することで、施工の最適化や効率化が図れ、工期短縮や品質確保に繋がる場合に、活用が考えられる。
また、土木機械設備の設計の工夫によって、土木構造物の規模を縮小でき施設全体のコスト縮減に繋がる場合や土木構造物の設計自由度が向上して景観との調和を向上できる場合、土木機械設備の施工と土木構造物の施工を連携させることによって工期が短縮できるなど、土木機械設備の施工企業と土木構造物の施工企業が直接連携することによる効果が期待できる場合に、異工種JVによる本体・設備一括発注方式の活用が考えれられる。この場合は、設計施工一括発注方式等によることが考えられる。
なお、標準設計が整備されているような小形のゲート設備等では、異工種JVに限らない活用が考えられる。この場合、下請企業となる設備企業の技術力確認や工場製作段階での品質確保対策など留意が必要である。
4-4 審査・評価
土木機械設備工事に関する総合評価方式の適用により技術提案の審査・評価を行う。
(1)総合評価項目
「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」の表2-1 を参考とし、土木機械設備の特性を踏まえ、以下の点に留意する。
①土木機械設備の施工計画に関しては、現場での工事に先立って行われる設計及び工場における生産・品質管理なども重要な評価項目となる。
②土木機械設備を現場で据付けた後、総合的なシステムの調整・協調などの確認、土木構造物としての全体の目的・機能が達成されているのかの確認が必要であるので、それらに関して、施工計画で確認をする。
③配置予定技術者の能力等に関しては、設計・製作・据付に関する技術者が異なることが多い土木機械設備の特性を踏まえ、「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」の例示を参考に実施する。
(2)審査の手続き
適切な審査・評価を行うため、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」を踏まえ、学識経験者の意見を聴くなどの措置を講じる。
5 施工体制と監督・検査
5-1 施工体制
(1)工事
土木機械設備工事は、施工企業の設計部門における設計、工場内における製作と工事現場における据付に分けられ、各構成機器の機能・性能を適切に確保するため、所要の技術力確保、工場製作・据付工事における、適正な施工技術の確保等、十分な施工体制を整備する。
なお、現場代理人が技術者を兼ねる場合でも、当然に技術者に必要な資格等を有していなければならない。
(2)点検
①履行体制
設備の機能を長期にわたり維持し、信頼性を確保することを目的とし、土木機械設備の状況を定量的に計測し、それらの変化状況並びに不具合箇所を調査・発見・記録し、機器の調整、給油、小規模な部品の取替等を実施するほか、点検終了後、個々の土木機械設備に最適な運用計画の立案や機器の更新・修繕計画などを立案する高度な専門知識を必要とするため、管理技術者、照査技術者を選任した履行体制とすることが望まれる。
②業務計画
点検に際して、個々の土木機械設備に設定された点検項目、点検内容等を、安全に配慮して、確実に実施する業務計画を作成する。
なお、点検項目やその内容は、土木機械設備ごとに、その性能を確保するために設定されるものであることから、完成図書に記載されたものに従わなければならない。
5-2 監督
土木機械設備の特性を踏まえて、施工企業が設計図書の設備仕様に対し構成機器等を決定した根拠となる承諾図書の確認、工場にて製作された各構成機器の機能・性能に係る技術的所見(工場での加工・組立及び性能確保のための確認)及び現場にて据付られた土木機械設備の据付管理に係る技術的所見に関して確実に施工されていることを確認する。
なお、土木機械設備では、機能を発揮するための構造等の詳細については、工事を受注した企業が保有する技術的経験、ノウハウ、工場設備、技術者、技能者等に適した設計を行う必要がある。
設計・施工分離発注方式は、発注者の詳細設計に基づいて、具体の施工(製作・据付工事)に必要な実施設計が受注した企業によって行われる。この実施設計に関し、着工後の大きな手戻りによる受発注者双方の損害を回避するため、土木施設との関連、管理者の観点からの照査等の目的で、発注者が行う確認行為を
「承諾」としている。
一方、設計施工一括発注方式等については、発注者からの当該工事の仕様に基づいて、受注した企業が詳細設計を実施する。詳細設計完了後は、発注者により設計に係る確認を実施する。詳細設計完了後は、設計・施工分離発注と同様に詳細設計に基づき具体の施工(製作・据付工事)に必要な実施設計が行われ、発注者の確認行為として「承諾」が行われる。
従って、「承諾」は、受注企業の責任による実施設計に基づく工事着手をあくまで発注者の観点から承諾するものであるから、必ずしも「承諾」によって施工企業の責務(瑕疵担保責任等)が免責又は軽減されるものではないことを踏まえ共通仕様書の内容等を検討する必要がある。
5-3 完成図書等の取扱
(1)工事
土木機械設備は公物であり、その管理者には土木機械設備のライフサイクルにわたる維持・管理を確実に実施していく責任があるため、設計・施工・据付等に関する記録が不可欠である。そのため、施工企業に電子的手段による完成図書の作成、提出を求めている。
しかし、完成図書には、設計・製作過程の技術情報やノウハウ等の企業秘密とされるものを含む場合があるほか、完成図書が著作物に該る場合、その著作者は著作権及び著作者人格権を有している。この点、完成図書に関する著作者人格権を移転することは出来ないが、著作権や物としての所有権は、「完成図書」として発注者に移転できるものであるため、その内容と使用について、契約上明確にする必要がある。
具体的には、改造、修繕に必要な設計図は、施工企業(本工事に係る施工企業の技術を継承した者を含む。)が存続しなくなった場合等において、第三者(当該改造、修繕を受注した企業)に開示できる場合のあることや、点検等に必要な資料は、第三者(点検業務等を受注した企業)が使用する場合があること、改造、修繕にあっては、第三者が既存の完成図書について関連部分の修正を行う場合があることなどについて契約図書に明記する。
(2)点検
土木機械設備の点検結果に基づき、今後の点検方法、運転に当っての留意事項、修繕、更新計画及び設備全体の信頼・安全性確保方策についてとりまとめ、点検結果と分析、当面の対応方針、次年度以降の対処方針について整理するなど、土木機械設備の信頼性確保に努める必要がある。
5-4 検査
土木機械設備工事及び点検業務などの検査を適正及び厳格に実施するために、実際の実施状況を踏まえ、土木機械設備工事の検査に必要な要領を整備する必 要がある。
別紙-1
土木機械設備工事における評価項目(簡易型)の例
総合評価方式 | 企業への期待 | 評価の視点 | 評価項目 | 配点 | 得点 | 備考 | |
簡易型 | 企業の技術力 | 施工計画 | 円滑な施工管理に係わる技術的提案 | ||||
材料・購入品の品質管理に係わる技術的所見 | |||||||
施工上の課題に対する技術的所見 | |||||||
施工上配慮すべき事項 | |||||||
安全管理に留意すべき事項 | |||||||
工場製作・据付の安全性に係わる技術的所見 | |||||||
工場における品質管理 | |||||||
据付における品質管理 | |||||||
社内コンプライアンス体制等にかかわる所見 | |||||||
企業の施工能力 | 同種・類似工事の施工経験※ | ||||||
工事成績 | |||||||
優良工事表彰 | |||||||
イメージアップ優良工事表彰 | |||||||
コスト縮減工事表彰 | |||||||
事故及び不誠実な行為 | |||||||
関連分野での技術開発の実績 | |||||||
当該工種の手持ち工事量の状況 | |||||||
技術力を示す施工事例の概要 | |||||||
配置予定技術者の能力 | 資格 | ||||||
同種・類似工事の施工経験 | |||||||
優良工事技術者表彰 | |||||||
ヒアリング | 技術者の専門技術力 | ||||||
当該工事の理解度・取組姿勢 | |||||||
技術者のコミュニケーション力 | |||||||
企業の信頼性・社会性 | 地域精通度 | 地理的条件 | |||||
地域貢献度 | 災害協定等による地域貢献度の実績 | ||||||
ボランティア活動による地域貢献の実績 | |||||||
労働福祉の状況 | |||||||
地産品の使用状況 | |||||||
加算点 | 10~30点 |
※ 継承した同種・類似工事実績については、工場施設、技術者、技術文書等の継承を証明する資料を添付させるとともに、継承が無い場合の同種・類似工事実績も併せて提出させる。
別紙-2
土木機械設備工事における評価項目(標準型)の例
総合評価方式 | 企業への期待 | 評価の視点 | 評価項目 | 配点 | 得点 | 備考 | ||
標準型 | 企業の技術力 | 施工計画(簡易型) | ||||||
企業の施工能力 | 同種・類似工事の施工経験※ | |||||||
工事成績 | ||||||||
優良工事表彰 | ||||||||
イメージアップ優良工事表彰 | ||||||||
コスト縮減工事表彰 | ||||||||
事故及び不誠実な行為 | ||||||||
関連分野での技術開発の実績 | ||||||||
当該工種の手持ち工事量の状況 | ||||||||
点検・維持・管理軽減に係わる検討・提案 | ||||||||
配置予定技術者の能力 | 資格 | |||||||
同種・類似工事の施工経験 | ||||||||
優良工事技術者表彰 | ||||||||
ヒアリング | 技術者の専門技術力 | |||||||
当該工事の理解度・取組姿勢 | ||||||||
技術者のコミュニケーション力 | ||||||||
企業の信頼性・社会性 | 地域精通度 | 地理的条件 | ||||||
地域貢献度 | 災害協定等による地域貢献度の実績 | |||||||
ボランティア活動による地域貢献の実績 | ||||||||
労働福祉の状況 | ||||||||
地産品の使用状況 | ||||||||
企業の高度な技術力 | 施工計画 | 施工上配慮すべき事項等の技術的所見 | ||||||
工場製作・据付の安全性に係わる技術的所見 | ||||||||
社内コンプライアンス体制等にかかわる所見 | ||||||||
技術提案の施工計画 | 総合的なコスト | 総合的なコスト | 総合的なコストの縮減に関する技術提案 | |||||
性能・強度等 | 性能・強度等 | 工事目的物の性能、機能の向上に関する技術提案 | ||||||
社会要請 | 環境の維持 | 周辺及び地球環境に係わる検討・提案 | ||||||
交通の確保 | 交通規制の短縮日数等に係わる検討・提案 | |||||||
特別な安全対策 | 歩行者用通路幅確保等に係わる検討・提案 | |||||||
省資源・リサイクル | 省資源・リサイクル対策に係わる具体的な検討・提案 | |||||||
メンテナンス | 点検・維持・管理に係わる検討・提案 | |||||||
リスクマネージメント | 非常事態に係わる検討・提案 | |||||||
新技術 | 新技術に係わる検討・提案 | |||||||
景観 | 景観に係わる検討・提案 | |||||||
品質 | 品質確保に係わる検討・提案 | |||||||
加算点 | 10~50点 |
※ 継承した同種・類似工事実績については、工場施設、技術者、技術文書等の継承を証明する資料を添付させるとともに、継承が無い場合の同種・類似工事実績も併せて提出させる。
別紙-3
土木機械設備工事における評価項目(高度技術提案型)の例
総合評価方式 | 企業への期待 | 評価の視点 | 評価項目 | 配点 | 得点 | 備考 | ||
高度技術提案型 | 企業の技術力 | 企業の施工能力 | 同種・類似工事の施工経験※ | |||||
技術力を示す施工事例の概要 | ||||||||
配置予定技術者 | 技術者の専門技術力 | |||||||
当該工事の理解度・取組姿勢 | ||||||||
技術者のコミュニケーション力 | ||||||||
企業の高度な技術力 | 施工計画 | 施工上配慮すべき事項等の技術的所見 | ||||||
円滑な施工管理に係わる技術的提案 | ||||||||
工場製作・据付の安全性に係わる技術的所見 | ||||||||
社内コンプライアンス体制等にかかわる所見 | ||||||||
技術提案の施工計画 | 総合的なコスト | 総合的なコスト | 総合的なコストの縮減に関する技術提案 | |||||
性能・強度等 | 性能・強度等 | 工事目的物の性能、機能の向上に関する技術提案 | ||||||
社会要請 | 環境の維持 | 周辺及び地球環境に係わる検討・提案 | ||||||
交通の確保 | 交通規制の短縮日数等に係わる検討・提案 | |||||||
特別な安全対策 | 歩行者用通路幅確保等に係わる検討・提案 | |||||||
省資源・リサイクル | 省資源・リサイクル対策に係わる具体的な検討・提案 | |||||||
メンテナンス | 点検・維持・管理軽減に係わる検討・提案 | |||||||
リスクマネージメント | 非常事態に係わる検討・提案 | |||||||
新技術 | 新技術に係わる検討・提案 | |||||||
景観 | 景観に係わる検討・提案 | |||||||
品質 | 品質確保に係わる検討・提案 | |||||||
加算点 | 10~50点 |
※ 継承した同種・類似工事実績については、工場施設、技術者、技術文書等の継承を証明する資料を添付させるとともに、継承が無い場合の同種・類似工事実績も併せて提出させる。
別紙-4
設計・施工一括発注方式等におけるリスク分担の考え方 タイプⅠ,Ⅱ
具体的なリスク分担については、個々の現場条件に応じて詳細な検討が必要である。
大項目 | 小項目 | リスク発生する可能性の要因 | リスク分担 | ||
発注者 | 請負者 | ||||
技術特性 | 設計段階Ⅰ | 設計条件 | 発注者による基本計画、特性、目的の提示※ | ○ | |
概略設計仕様 | 請負者による機能、形式の提案 | ○ | |||
予備設計 | 請負者による設計提案と予備設計 | ○ | |||
詳細設計 | 請負者による詳細設計 | ○ | |||
実施設計 | 請負者による実施設計 | ○ | |||
その他 | 施工方法に関する技術提案 | ○ | |||
設計段階Ⅱ | 設計条件 | 発注者による基本計画、特性、目的の提示 | ○ | ||
概略設計仕様 | 発注者による機能、形式の提示※ | ○ | |||
予備設計 | 発注者による設計(部分) | ○ | |||
請負者による設計提案と予備設計 | ○ | ||||
詳細設計 | 請負者による詳細設計 | ○ | |||
実施設計 | 請負者による実施設計 | ○ | |||
その他 | 施工方法に関する技術提案 | ○ | |||
設計段階Ⅲ | 設計条件 | 発注者による基本計画、特性、目的の提示 | ○ | ||
概略設計仕様 | 発注者による機能、形式の提示 | ○ | |||
予備設計 | 発注者による予備設計の提示※ | ○ | |||
詳細設計 | 発注者による設計(部分) | ○ | |||
請負者による設計提案と詳細設計 | ○ | ||||
実施設計 | 請負者による実施設計 | ○ | |||
その他 | 施工方法に関する技術提案 | ○ | |||
自然条件 | 地質 | 予測不可能な地質条件等による設備への影響(発注者による調査によって想定された設計条件によらない場合) | ○ | ||
上記以外(請負者による調査・解析結果を含む) | ○ | ||||
気象 | 予測不可能な雨・雪・風・気温等による設備への影響(明示された設計条件から合理的に予測したものを超えた場合を含む) | ○ | |||
上記以外 | ○ | ||||
地震 | 予測不可能な地震による設備への影響(明示された設計条件から合理的に予測したものを超えた場合を含む) | ○ | |||
上記以外 | ○ | ||||
その他 | 自然環境への配慮 | ○ | |||
社会条件 | 地中障害物 | 地下埋設物等の地中障害物の撤去・移設(設計条件に示したものにない場合) | ○ | ||
上記以外 | ○ | ||||
近接施工 | 交通(車両及び歩行者)、沿道建築物等への支障 | ○ | |||
騒音・振動・大気 | 周辺住民等に対する騒音・振動・排出ガスの配慮 | ○ | |||
水質汚濁 | 周辺水域環境に対する水質汚濁の配慮 | ○ | |||
作業用道路 | 生活道路を利用しての資機材購入等の工事用道路の制約と近隣及び交通車両等への配慮 | ○ | |||
作業用ヤード | 作業スペースの制約と近隣への配慮 | ○ | |||
現道作業 | 現道上での交通規制を伴う作業 | ○ | |||
建設副産物 | 産業廃棄物、一般廃棄物の処分 | ○ | |||
マネジメント特性 | 他工事調整 | 他工事との工程調整 | ○ | ○ | |
住民対応 | 近接住民への対応 | ○ | ○ | ||
関係機関対応 | 関係行政機関との調整 | ○ | ○ | ||
工程管理 | 工期・工程の制約、変更への対応(工法変更に伴うものを含む) | ○ | ○ | ||
品質管理 | 品質管理の煩雑さ、複雑さ(高い品質管理制度の要求等を含む) | ○ | |||
安全管理 | 高所作業、夜間作業、潜水作業等の危険作業 | ○ | |||
その他 | 災害時の応急復旧等 | ○ | |||
その他 | 不可抗力 | 地震等による地形の変化 | ○ | ||
人為的なミス(発注者) | 設計ミス、積算の間違い | ○ | |||
人為的なミス(請負者) | 設計ミス、積算の間違い | ○ | |||
法律・基準等の改正 | 条例や法規の改正による設計変更、基準や指針の改正による設計変更、税制の変更による工事費の変更 | ○ | |||
その他 | 契約不履行 | ○ | ○ |
※ 土木構造物の寸法誤差、変更によるリスクは、発注者の負担となる。
別紙-5
設計・施工一括発注方式等におけるリスク分担の考え方 タイプⅢ
具体的なリスク分担については、個々の現場条件に応じて詳細な検討が必要である。
大項目 | 小項目 | リスク発生する可能性の要因 | リスク分担 | ||
発注者 | 請負者 | ||||
技術特性 | 設計段階Ⅲ | 設計条件 | 発注者による基本計画、特性、目的の提示 | ○ | |
概略設計仕様 | 発注者による機能、形式の提示 | ○ | |||
予備設計 | 発注者による予備設計の提示※ | ○ | |||
詳細設計 | 発注者による設計(部分) | ○ | |||
請負者による設計提案と詳細設計 | ○ | ||||
実施設計 | 請負者による実施設計 | ○ | |||
その他 | 施工方法に関する技術提案 | ○ | |||
自然条件 | 地質 | 予測不可能な地質条件等による設備への影響(発注者による調査によって想定された設計条件によらない場合) | ○ | ||
上記以外(請負者による調査・解析結果を含む) | ○ | ||||
気象 | 予測不可能な雨・雪・風・気温等による設備への影響(明示された設計条件から合理的に予測したものを超えた場合を含む) | ○ | |||
上記以外 | ○ | ||||
地震 | 予測不可能な地震による設備への影響(明示された設計条件から合理的に予測したものを超えた場合を含む) | ○ | |||
上記以外 | ○ | ||||
その他 | 自然環境への配慮 | ○ | |||
社会条件 | 地中障害物 | 地下埋設物等の地中障害物の撤去・移設(設計条件に示したものにない場合) | ○ | ||
上記以外 | ○ | ||||
近接施工 | 交通(車両及び歩行者)、沿道建築物等への支障 | ○ | |||
騒音・振動・大気 | 周辺住民等に対する騒音・振動・排出ガスの配慮 | ○ | |||
水質汚濁 | 周辺水域環境に対する水質汚濁の配慮 | ○ | |||
作業用道路 | 生活道路を利用しての資機材購入等の工事用道路の制約と近隣及び交通車両等への配慮 | ○ | |||
作業用ヤード | 作業スペースの制約と近隣への配慮 | ○ | |||
現道作業 | 現道上での交通規制を伴う作業 | ○ | |||
建設副産物 | 産業廃棄物、一般廃棄物の処分 | ○ | |||
その他 | |||||
マネジメント特性 | 他工事調整 | 他工事との工程調整 | ○ | ○ | |
住民対応 | 近接住民への対応 | ○ | ○ | ||
関係機関対応 | 関係行政機関との調整 | ○ | ○ | ||
工程管理 | 工期・工程の制約、変更への対応(工法変更に伴うものを含む) | ○ | ○ | ||
品質管理 | 品質管理の煩雑さ、複雑さ(高い品質管理制度の要求等を含む) | ○ | |||
安全管理 | 高所作業、夜間作業、潜水作業等の危険作業 | ○ | |||
その他 | 災害時の応急復旧等 | ○ | |||
その他 | 不可抗力 | 地震等による地形の変化 | ○ | ||
人為的なミス(発注者) | 設計ミス、積算の間違い | ○ | |||
人為的なミス(請負者) | 設計ミス、積算の間違い | ○ | |||
法律・基準等の改正 | 条例や法規の改正による設計変更、基準や指針の改正による設計変更、税制の変更による工事費の変更 | ○ | |||
その他 | 契約不履行 | ○ | ○ |
※ 土木構造物の寸法誤差、変更によるリスクは、発注者の負担となる。
参考資料
土木機械設備の計画・設計の流れ(例)
1.ダム放流設備の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 調査・計画 | 予備設計 詳細設計 | ||||
基本計画 | 施設の特性を整理 | 設計条件の整理 | 機能・形式の決定 | 基本寸法の決定 | 具体的仕様の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 施設の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 設置位置 | 洪水処理方式(洪水放流、調節、流量) 貯水池維持 平常時維持流量 要求性能の整理と基本寸法の決定 | 本体予備設計 | 本体詳細設計(ゲート形式、必要寸法、荷重条件を考慮) | |
放流設備の種類、位置 (形式、流量調節方式、ゲート操作条件など) 本体構造等による制約条件 | 本体予備設計 基本仕様(設置標高、径間長、高さ、門数) ゲート構造、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | |||||
設備の設計 | ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 施設の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 設置位置 | 洪水処理方式(洪水放流、調節、流量) 貯水池維持 平常時維持流量 要求性能の整理と基本寸法の決定 | 放流設備の種類、位置 (形式、流量調節方式、ゲート操作条件など) 本体構造等による制約条件 | 基本仕様(設置標高、径間長、高さ、門数) ゲート構造、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 | 施設の特質 | 本体の形式・規模 | 洪水処理方式(洪水放流、調節、流量) | 放流設備の種類、位置 (形式、流量調節方式、ゲート操作条件など) 本体構造等による制約条件 | 基本仕様(設置標高、径間長、高さ、 | |
(コンサル) | 水位・水質条件 | 地形・地質 | 貯水池維持 | 門数) | ||
放流条件 など | 設置位置 | 平常時維持流量 | ||||
要求性能の整理と基本寸法の決定 | ||||||
施工企業 | ゲート構造、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
2.ダム取水設備の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 設計条件の整理 | 予備設計 詳細設計 | ||||
基本計画 | 施設の特性を整理 | 設計条件の整理 | 機能・形式の決定 | 基本寸法の決定 | 具体的使用の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 設備の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 | 選択取水(取水量、取水範囲)貯水池維持 低水放流 要求性能の整理と基本寸法の決定 | 本体予備設計 | 本体詳細設計(ゲート形式、必要寸法、荷重条件を考慮) | |
取水設備の位置 本体構造等による制約条件取水設備の形式 (取水方式、操作条件など) | 本体予備設計 基本仕様(設置標高、設置位置)ゲート形式、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | |||||
設備の設計 | ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 設備の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 | 選択取水(取水量、取水範囲)貯水池維持 低水放流 要求性能の整理と基本寸法の決定 | 取水設備の位置 本体構造等による制約条件取水設備の形式 (取水方式、操作条件など) | 基本仕様(設置標高、設置位置)ゲート形式、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) ※高度技術提案型では省略する項目あり(提案範囲) | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 (コンサル) | 設備の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 | 選択取水(取水量、取水範囲)貯水池維持 低水放流 要求性能の整理と基本寸法の決定 | 取水設備の位置 本体構造等による制約条件 | 基本仕様(設置標高、設置位置) | |
施工企業 | 取水設備の形式 (取水方式、操作条件など) | ゲート形式、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
3.堰設備の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 設計条件の整理 | 予備設計 詳細設計 | ||||
基本計画 | ゲート設備の特性を整理 | 目的 | 機能・形式の決定 | 基本寸法の決定 | 具体的使用の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 設備の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 | 分流 潮止め取水 | 本体予備設計 | 本体詳細設計(ゲート形式、必要寸法、荷重条件を考慮) | |
設備の位置堰の用途 (水位維持、流量調節、土砂吐き等)本体構造等による制約条件 設備の形式 | 本体予備設計 基本仕様(設置標高、径間長、高さ、門数) 計画流量 ゲート形式、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | |||||
設備の設計 | ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 設備の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 | 分流 潮止め取水 | 設備の位置堰の用途 (水位維持、流量調節、土砂吐き等)本体構造等による制約条件 設備の形式 | 基本仕様(設置標高、径間長、高さ、門数) 計画流量 ゲート形式、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 (コンサル) | 設備の特質 水位・水質条件放流条件 など | 本体の形式・規模地形・地質 | 分流 潮止め取水 | 設備の位置堰の用途 (水位維持、流量調節、土砂吐き等)本体構造等による制約条件 | 基本仕様(設置標高、径間長、高さ、門数) 計画流量 | |
施工企業 | 設備の形式 | ゲート形式、開閉方式(基本諸元)一般図(概略の構造寸法) | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
4.水門設備の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 設計条件の整理 | 予備設計 詳細設計 | |||
基本計画 | ゲート設備の特性を整理 | 目的 | 各種計算と設備形式の決定 | 具体的使用の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 設備の特質 水位・水質条件など | 本体の形式・規模地形・地質 | 分流 逆流防止用水 防潮など | 本体予備設計 設置目的、及び必要機能条件の整理 (設計荷重、揚程)計画流量 ゲート構造(敷高、必要断面)樋門・水門の形式 概略ゲート形式・開閉方式等(扉幅、扉高、重量)本体構造等による制約条件 | 本体詳細設計(ゲート形式、必要寸法、荷重条件を考慮) |
設備の設計 | ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 設備の特質 水位・水質条件など | 本体の形式・規模地形・地質 | 分流 逆流防止用水 防潮など | 設置目的、及び必要機能条件の整理 (設計荷重、揚程)計画流量 ゲート構造(敷高、必要断面)樋門・水門の形式 概略ゲート形式・開閉方式等(扉幅、扉高、重量)本体構造等による制約条件 | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 (コンサル) | 設備の特質 水位・水質条件など | 本体の形式・規模地形・地質 | 分流 逆流防止用水 防潮など | 設置目的、及び必要機能条件の整理 (設計荷重、揚程)計画流量 本体構造等による制約条件 | |
施工企業 | ゲート構造(敷高、必要断面)樋門・水門の形式 概略ゲート形式・開閉方式等(扉幅、扉高、重量) | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ゲート形式、開閉方式 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
5.トンネル換気設備の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 設計条件の整理 | 予備設計 詳細設計 | |||
トンネルのルート選定 | 各種条件の確認 | 換気量及び換気方式の検討 | 各種計算と換気方式の決定 | 具体的仕様の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 路線の便益 地形、地物、地質、植生用排水、土地利用状況文化財の把握・確認 | TN延長、縦断勾配、TN断面 周辺環境条件(交通関係、気象関係、環境関係、地形・地物・地質関係、法規関係) | 換気施設の必要性 概略換気量の算定(換気量の計算)換気方式の検討 (縦流、半横流、横流) | 本体予備設計 換気方式の仕様検討(所要換気量等)補助機器の選定 換気所、電気室の位置・規模検討 | 本体詳細設計 |
設備の設計 | ・操作制御方式 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 路線の便益 地形、地物、地質、植生用排水、土地利用状況文化財の把握・確認 | TN延長、縦断勾配、TN断面 周辺環境条件(交通関係、気象関係、環境関係、地形・地物・地質関係、法規関係) | 換気施設の必要性 概略換気量の算定(換気量の計算)換気方式の検討 (縦流、半横流、横流)電気室の検討 制御方式等の検討 | 換気方式の仕様検討(所要換気量等)補助機器の選定 換気所、電気室の位置・規模検討 | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・操作制御方式 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 (コンサル) | 路線の便益 地形、地物、地質、植生用排水、土地利用状況文化財の把握・確認 | TN延長、縦断勾配、TN断面 周辺環境条件(交通関係、気象関係、環境関係、地形・地物・地質関係、法規関係) | 換気施設の必要性 概略換気量の算定(換気量の計算)換気方式の検討 (縦流、半横流、横流) | 換気方式の決定 | |
施工企業 | 換気方式の仕様検討(所要換気量等)補助機器の選定 換気所、電気室の位置・規模検討 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・操作制御方式 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
6.ポンプ設備(10m3/s以下)の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 設計条件の整理 | 予備設計 詳細設計 | ||||
基本計画 | ポンプ設備の特性を整理 | 概略仕様決定 | 機能・形式の決定 | 基本寸法の決定 | 具体的使用の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 機場の目的(排水・揚水)計画条件 (施設条件、運転操作、維持管理、法及びその他の要求条件、有効活用)費用便益計算 | 想定揚排水量、概略水位本体の形式・規模 地形・地質 | 機場の規模決定 (揚排水量、概略揚程、概略ポンプ形式、台数等)) | 本体予備設計 ・ポンプ設備レイアウト設定(水路、水槽、上屋、基礎等) | 本体詳細設計(水路、水槽、上屋、基礎等) | |
設備の形式(ポンプ形式) | 本体構造等による制約条件 | |||||
設備の設計 | 機場全体レイアウト決定ポンプ設備主要諸元設定 (口径、台数、原動機、主要系統機器、電源設備、操作制御設備等) | ・ポンプ設備形式等の基本事項 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 機場の目的(排水・揚水)計画条件 (施設条件、運転操作、維持管理、法及びその他の要求条件、有効活用)費用便益計算 | 想定揚排水量、概略水位本体の形式・規模 地形・地質 | 機場の規模決定 (揚排水量、概略揚程、概略ポンプ形式、台数等) | 設備の形式(ポンプ形式) | 機場全体レイアウト決定ポンプ設備主要諸元設定 (口径、台数、原動機、主要系統機器、電源設備、操作制御設備等)本体構造等による制約条件 | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ポンプ設備形式等の基本事項 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 (コンサル) | 機場の目的(排水・揚水)計画条件 (施設条件、運転操作、維持管理、法及びその他の要求条件、有効活用)費用便益計算 | 想定揚排水量、概略水位本体の形式・規模 地形・地質 | 機場の規模決定 (揚排水量、概略揚程、概略ポンプ形式、台数等) | 本体構造等による制約条件 | ||
施工企業 | 設備の形式(ポンプ形式) | 機場全体レイアウト決定ポンプ設備主要諸元設定 (口径、台数、原動機、主要系統機器、電源設備、操作制御設備等) | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ポンプ設備形式等の基本事項 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
7.ポンプ設備(10m3/s超)の計画・設計の流れ
①設計・施工分離発注方式の計画・設計の流れ
設計段階 | 設計条件の整理 | 予備設計 詳細設計 | |||
基本計画 | ポンプ設備の特性を整理 | 概略仕様決定 | 各種計算と設備形式の決定 | 具体的使用の決定 | |
施設全体 本体(土木)設計 | 計画条件 (水位・設置・施設条件、運転操作、維持管理、法及びその他の要求条件、有効活用) 被害想定 | 想定揚排水量、概略水位本体の概略形式・規模 地形・地質(水路等形状検討) 周辺付帯設備の検討(排樋管等) | 機場の規模決定 (揚排水量、概略揚程、概略ポンプ形式、台数) | 本体予備設計 ・ポンプ設備レイアウト設定(水路、水槽、上屋、基礎等)本体構造等による制約条件 | 本体詳細設計(水路、水槽、上屋、基礎等) |
設備の設計 | 機場全体レイアウト決定(概略配置案) ポンプ形式、口径、台数、原動機、主要系統機器、電源設備、操作制御設備等(主要諸元) 一般図(概略の構造寸法) | ・ポンプ設備形式等の基本事項 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
②詳細設計付き施工発注方式の例
発注者 (コンサル) | 機場の目的(排水・揚水)計画条件 (水位・設置・施設条件、運転操作、維持管理、法及びその他の要求条件、有効活用) 被害想定 | 想定揚排水量、概略水位本体の概略形式・規模 地形・地質(水路等形状検討) 周辺付帯設備の検討(排樋管等) | 機場の規模決定 (揚排水量、概略揚程、概略ポンプ形式、台数) | 本体構造等による制約条件 機場全体レイアウト決定(概略配置案) ポンプ形式、口径、台数、原動機、主要系統機器、電源設備、操作制御設備等(主要諸元) 一般図(概略の構造寸法) | |
施工企業 | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ポンプ設備形式等の基本事項 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |
③設計・施工一括発注(デザインビルド)方式の例
発注者 (コンサル) | 計画条件 (水位・設置・施設条件、運転操作、維持管理、法及びその他の要求条件、有効活用) | 想定揚排水量、概略水位 本体の概略形式・規模 地形・地質(水路等形状検討) 周辺付帯設備の検討(排樋管等) | 機場の規模決定 (揚排水量、概略揚程、概略ポンプ形式、台数) | 本体構造等による制約条件 機場全体レイアウト決定(概略配置案) | |
施工企業 | ポンプ形式、口径、台数、原動機、主要系統機器、電源設備、操作制御設備等(主要諸元) 一般図(概略の構造寸法) | 工場製作技術に応じた具体の詳細設計 ・ポンプ設備形式等の基本事項 ・操作制御方式、付属設備 ・設計計算書(細部) ・材質、部材 ・装置、機器の詳細仕様、配置 ・施工計画(仮設など) ・一般構造図、組立図 ・仮設図 ・数量計算 |