Contract
平成 28 年 9 月 14 日
政策・総務・財政委員会
配
財
付
資
政
料
局
私債権等早期未収対応マニュアルの策定及び売払い収入のある契約の見直しについて
27 年度に発生した売電料金の未納事案については、滞納後の対応等の検証を進めるほか、滞納が発生した場合の早期対応や売払い収入がある契約の見直しなどの仕組みづくりに取り組んでいます。
このうち、財政局では、私債権等早期未収対応マニュアルを策定するとともに、
売払い収入のある契約の見直しを進めていますので、取組状況についてご報告します。
1 私債権等早期未収対応マニュアルの策定
売電料金のような債権の未納は、全ての区局において発生する可能性があり、未納が発生した場合には、法的措置を含めた対応が必要となります。
未収債権整理促進対策会議(※)では、プロジェクトチームを設置し、今回の事案における 対応などを踏まえた検討を重ね、各区局が日頃からの備えを実践できるよう、7 月に私債権等早期未収対応マニュアルを策定しました。
※未収債権整理促進対策会議 … 全庁的な未収債権の取組等に関して審議する会議
(議長:柏崎副市長、事務局:財政局)
(1)私債権等早期未収対応マニュアルの主な内容(マニュアル目次参照)
第xx 未収債権発生に向けた備え:行動計画の作成等
第二章 債権発生時における備え:有効な回収手段となる担保設定等
第三章 未収債権発生後の対応: 法的措置等(相殺・仮差押え・訴訟提起等)
(2)マニュアルの全庁共有
28 年 7 月 各区局統括本部の全ての職場に本マニュアルの活用について周知
9 月 各区局経理担当課及び債権所管課職員への研修実施(予定)
2 売払い収入のある契約の見直し
(1)調査
ア 28 年度に区局独自に契約手続きを行っている全ての売払契約について、収納金の徴収方法等の調査を実施
イ 政令市及び日本ロジテック協同組合と契約実績のあった自治体に、電力売払契約における契約条件(収納金の徴収方法、契約保証金等)について調査を実施
(2)今後の予定
上記調査の結果等を踏まえ、収納金の徴収時期や売払い代金の支払いを得られな い場合の担保として、契約保証金を徴収することなどについて具体的に検討・見直しを行い、29 年度契約から反映します。
平成 28 年7月
横浜市未収債権整理促進対策会議
目次
はじめに
第xx 未収債権発生に向けた備え ~全ての部署で備えること~
1 未収を早期発見するための備え 2
2 未収発生を想定したルールづくり ~行動計画の作成~ 3
第二章 債権発生時における備え ~収入の事務を担当する部署で検討すること~
1 事前納付 5
2 納付環境の整備 5
3 担保の設定(人的担保、物的担保) 6
4 信用調査等 6
第三章 未収債権発生後の対応 ~未収が分かったら行動すること~
1 未収になったら(発生する可能性があれば) 10
2 相殺 10
3 財産の調査 11
4 仮差押 12
5 訴訟 14
6 その他の方法で債務名義を取得する方法 16
7 破産と訴訟及び仮差押との関係 16
8 弁護士を活用した債権回収等 16
9 法律事務相談 17
焼却工場売電契約における事例 19
別紙1 取引状況確認書 20
別紙2 期限の利益放棄の申出書 21
別紙3 相殺通知書 22
別紙4-1 預金照会書 23
別紙4-2 預金回答書 24
【本マニュアルのつくり】
本マニュアルは、全ての職場を対象としています。
第xxと第二章は、主に定例的な未収債権が発生しない職場に向けた内容であり、第xxは全ての職場で必ず備えていただきたいことを、第二章は収入をともなう事務をする全ての職場で必ず検討していただきたいことをまとめました。
第三章は、法的措置などを中心に、定例的に未収債権の回収業務をしている職場にも知っていただきたい手続きをまとめました。
ぜひ、職員全員に本マニュアルをお読みいただき、少しでも多くの職場で必要な備えを実践していただきますようお願いします。
<凡例>
本マニュアルにおいては、次の例により表記しています。
普通地方公共団体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自治体
地方自治法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自治法 地方自治法施行令 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自治令 横浜市税外収入の督促及び延滞金の徴収に関する条例 ・・・・・・・税外条例横浜市税外収入の督促及び延滞金の徴収に関する条例施行規則 ・・・税外規則
横浜市の私債権の管理に関する条例 ・・・・・・・・・・・・・・・私債権条例横浜市の私債権の管理に関する条例施行規則 ・・・・・・・・・・・私債権規則横浜市予算、決算及び金銭会計規則 ・・・・・・・・・・・・・・・会計規則
債権管理の手引(私債権・非強制徴収公債権用) ・・・・・・・・・手引
はじめに
本マニュアルは、平成 27 年度に私債権の高額な未収案件が発生し、関係各局が連携して法的措置を含めて対応したことを踏まえ、私債権や非強制徴収公債権(以下「私債権等」と言います。)の早期未収対応における課題の整理と対応について検討した内容を取りまとめたものです。特に、
1 未収債権は全ての部署において発生する可能性がある
今回の事例は、特殊な契約における特別な出来事だったわけではありません。金額の多寡にかかわらず、ある日突然に未収債権が発生することは、全ての部署で起こり得ることです。
例えば、普段は支出だけをしているような部署であっても、補助金の返還金や手当の過払に伴う返納金などが発生する場合があります。また、収入や支出をともなう事務をしない部署だとしても、事故や暴力行為などにより損害賠償金などが発生することもあります。
2 私債権等の回収では様々な「備え」が必要
全ての部署の方と最も共有したい教訓の一つは、強制徴収権を持たない債権の未収金については、あらかじめ様々な「備え」をしておかないと回収をすることが難しいということです。弁護士に委任して、仮差押や訴訟提起なども含めてあらゆる手段を尽くしたとしても、備えができていない場合には、効果的な債権回収に繋がらないこともあります。
以上の事を踏まえ、未収が発生してからの対応には、おのずと限界があるということを認識していただくとともに、日頃から出来得る備えについて、各区局において主体的に考える機会にしてください。
横浜市未収債権整理促進対策会議
議長 xx x
履行期限
・納入状況の定期的な確認
1(2) 納入状況の確認
(3) 納入確認作業をルーティン化する
・システム等において納入状況を確認し、台帳に記入して管理します。
・納入確認の作業日のスケジュールを管理し、作業をルーティン化します。
納入通知送付
1(1) 台帳を備える
・未納が発生してから作成するのではなく、債権が発生した段階で作成しておく必要があります。
債権発生
・台帳作成
第xx 未収債権発生に向けた備え
x 促
・発送予定日の管理
2(2) 督促状の発送
・納期限までに納付しない者があるときは、期限を指定して督促しなければなりません。
・督促状発送の作業日について、文書事務の期
間を考慮したスケジュール管理をします。
未収発生
・債務者との早期接触
2(1) 未収の原因や納入予定の確認
・可能な限り早く債務者と接触を図り、履行の請求をするとともに、納入にいたっていない原因や納入予定等について確認、その作業日のスケジュールを管理します。
公債権:期限後 20 日以内
私債権:期限後 30 日以内
1 未収を早期発見するための備え
2 未収発生を想定したルールづくり
、
(
)
【スケジュール管理の例】
債権発生 | 月末 | 翌月10日 ~19日 | 翌月13日 ~19日 | 翌月 20日 | 翌々月10日 ~12日 | 翌々月13日 | 適宜 | |||||
・台帳を備える | ・納期限到来 | ・財務会計システムで納入状況を確認 | ・領収日付を台帳に転記する | ・未債収務の者原の因携や帯納 に入電予話定 しを て聞 き 取る | ・督促状の発送について起案して決裁する | ・督促状発送 月末期限 | ・財務会計システムで納入状況を確認 | ・領収日付を台帳に転記する | ・保証人へ催告書を発送 | ・契約の解除を検討 | ・し 簡た易案 な件折に衝つ でい解て決課 し内 なで い情 こ報 と共が有判 明 | ・ま必契で要約報 なの告案変 件更にやつ解い除て 総訴務訟課提や起局 な長 ど が |
第xx 未収債権発生に向けた備え ~全ての部署で備えること~
冒頭でもお示ししたとおり、未収債権は全ての部署において発生する可能性があります。決して
「想定外の出来事」ではありません。それぞれの部署において、発生した場合における対応について想定をしておくことで、未収債権が発生した場合にも、慌てずに対応することができます。
1 未収を早期発見するための備え
未収は、納入状況を確認する「作業」の中で発見することがxxxx。未収を早期発見するためには、この「作業」を適切なタイミングで行うことが重要です。
(1) 台帳を備える(手引 参考1「債権管理台帳」参照)
債権を適正に管理するためには、その記録の整備が極めて重要であり、本市においては、個人別整理簿等(以下「台帳」と言います。)を備えなければならないとされています(会計規則 174 条 2 項、私債権:私債権条例 5 条、公債権:税外規則 6 条)。
台帳では、債務者の住所氏名や徴収金の額に加え、領収日付等もその都度記入して管理します。したがって、未納が発生してから作成するのではなく、債権が発生した段階で作成しておく必要があります。
(2) 納入状況の確認
財務会計システムや各債権固有の業務端末(以下「システム等」と言います。)において納入状況を確認し、台帳に記入して管理します。システム等を確認して台帳に記入する「作業」をすることで、未収を発見することができます。
(3) 納入確認作業をルーティン化する
未収を早期発見するためには、いずれ回付されるであろう「納入済通知書を綴る」といった受動的な作業だけではなく、より適切なタイミングで「システム等で納入状況を確認する」という自発的な作業をすることが重要です。
定期的に納期限が到来する債権においては、業務スケジュールに「システム等で納入状況を確認する」作業日を組み込み、納入確認をルーティン化することで、より早期に未収を発見することができ、作業の漏れを防ぐことにもつながります。
なお、債務者が各種債権を銀行窓口で納入してから、システム等に反映されるまでには一定のタイムラグがあるため、適切なスケジュールの検討が必要です。また、債権の種類や債務者の履行状況等の必要に応じて、システム等に反映されることを待つことなく、領収書の写しを eメールやFAXで受信して確認するなどの方法についても検討します。
【スケジュール作成の例】納期限の 10 日後に財務会計システムを確認し、領収日付を台帳に転記する。
2 未収発生を想定したルールづくり ~行動計画を作成する~
未収債権の発生は「想定外の出来事」ではありません。所管課毎において未収債権が発生した場合における対応を想定し、役割や行動計画等のルールを定めておくことで、初めて未収債権が発生した部署においても円滑な対応をすることが可能になります。
(1) 未収の原因や納入予定の確認
納期限内の納入が確認できなかった場合は、速やかに債務者と接触を図り、履行の請求をするとともに、納入に至っていない原因や納入予定等について確認する「作業」をします。また、効率的な履行の請求等を実現するためには、その作業日についても業務スケジュールに組み込む必要があります。
なお、債務者と接触をした場合など、未収金の納入に関することについて関係者と話をしたときは、その内容について台帳等に記録を残すようにします。
【ルールづくり例】毎月5日までに、前月分の納入確認ができなかった場合には、電話で履行の請求をする。
(2) 督促状の発送
ア 督促とは ~自治法の定めと本市の取扱い~
自治体の債権を納期限までに納付しない者があるときは、期限を指定して督促しなければなりません(公債権:自治法 231 条の 3、私債権:自治令 171 条)。本市においては、未収債
権が公債権のときは納期限後 20 日以内(税外条例 2 条)に、私債権のときは納期限後 30 日
以内(私債権規則 3 条 1 項)に、発付の日から 10 日以内の期限を指定した督促状(手引 参考2参照)を発して督促する取扱いとされています。
イ 督促状の発送予定日
定期的に未納が発生しない債権の場合、督促状の発送作業自体が「想定外の出来事」になりがちです。未収債権が発生した場合を想定し、本市の取扱いを踏まえた督促状の作成日と発送作業日について、あらかじめ業務スケジュールに組み込むことで、督促状発付の「漏れ」を防ぎます。
なお、入金からシステム等に反映されるまでのタイムラグを踏まえると、未収の発見から督促状の発送までの日数は、さほど長くありません。督促状の作成日に際しては、起案から決裁に要する期間を考慮したスケジュール管理をし、発送までの間に納付確認ができた案件については、引き抜くことで対応するようにします。
(3) 保証人への請求等
担保の設定(第二章「2 担保の設定」参照)をしている場合は、未収が発生した場合の運用ルールを決めておきます。
【ルールづくり例】督促状の期限までに支払いがない場合には、保証人に請求する。
(4) 契約解除等の検討
契約によって定期的に発生している債権の場合は、滞納額がいたずらに膨れ上がることを防ぐために、未収の原因や納入予定の状況を踏まえ、契約の変更(追加担保等)や解除の必要性について検討します。
(5) 区局内における情報共有
債務者と接触した結果、簡易な折衝で解決しないことが判明した案件は、速やかに課内で情報共有をします。契約の変更(追加担保等)や解除、訴訟提起などが必要な案件については、迅速な判断を要するため、総務課や区局長まで報告します。
その後の対応については、第三章「未収債権発生後の対応」を参照ください。判断に迷う案件については、財政局徴収対策課債権回収促進担当へ相談します。
第二章 債権発生時における備え ~収入の事務を担当する部署で検討すること~
私債権等は、債務者の協力なく債権を回収することができません。また、未収が発生してから時間が経過するにつれ、債務者の協力を得ることは困難になっていきます。
債権が発生(契約や行政処分等)するとき、又は発生する見込みとなったとき(入札をすることが決まったとき、行政処分前に調査をするとき等)において様々な協力を得ておく「備え」をすることで、未収が発生した場合に有効な回収手段を講じることが可能になります。債権や債務者の特徴に合わせて、より効果的な備えをすることが必要です。
1 事前納付
債権が売却やサービスの対価である場合は、事前納付とするようにします(手引 2「未収債権発生防止等の取組」参照)。
2 納付環境の整備
納付しやすい環境の整備を進め、滞納発生の未然防止を図ります。
(1) 口座振替
うっかり忘れなどによる未収発生を防ぐために、口座振替(自治法 231 条の 2 第 3 項)ができる環境を整え、制度の利用促進を図ります。
口座振替を利用するメリットは、一度の届出によって継続した振替が可能であることが挙げられます。また、本市として支払う手数料が比較的安価であることも利点です。
デメリットとしては、債務者が口座振替の依頼をしてから、金融機関の審査等を含めた手続きが完了するまで期間(約 45 日)を要することや、口座残高が不足する場合には引き落とされず、未収となってしまう点が挙げられます。
(2) ペイジー収納、コンビニエンス・ストア収納
パソコンやスマホで納付ができるペイジー収納や、24 時間納付することができるコンビニエンス・ストア収納は、債務者にとって利便性の高い納付手段と言えます。
デメリットとしては、導入に際する費用が発生することに加え、口座振替と比較して本市が支払う手数料が高額になることが挙げられます。また、納付書に専用の番号やバーコードを印字する必要があるため、財務会計システムの納付書では対応することができないことにも留意する必要があります。
なお、私人(コンビニエンス・ストアを含みます)に公金を取り扱わせるためには、法律又はこれに基づく政令に根拠があることを要します(自治法 243 条)。使用料、手数料、賃貸料、
物品売払代金、寄付金及び貸付金の元利償還金(自治令 158 条 1 項)や地方税(自治令 158 条
の 2 第 1 項)等、法令に定めがある債権がその要件を満たすときに限り認められるものであることに注意します。
(3) クレジットカード収納
債務者が申し出た場合には、自治体は歳入をクレジットカード会社に納付させることができます(自治法 231 条の 2 第 6 項)。
パソコンやスマホで 24 時間納付することができることに加え、口座残高に関わらずクレジットカード会社が立替払いをしてくれることや、債務者に利用ポイントが付与されるなどのメリットがあります。
デメリットとしては、ペイジー収納やコンビニエンス・ストア収納と比較しても、手数料が高額になるということがあります。自治体の負担でポイントが付与されるなどの批判も想定されるため、債務者に相応の手数料負担を求めるなど、他の納付手段を利用している債務者との均衡を図る自治体もあります。
3 担保の設定(人的担保、物的担保)
あらかじめ有効な担保を設定しておくと、債権を確実に回収することが可能になります。
貸付金のように、支払期間が長期に渡るような債権の場合には、完済までの間に債務者の経済状況が変化してしまうリスクに備えるため、確実な担保を徴する必要があります。また、単期間で支払いを終える債権の場合でも、1回の支払額が高額なものは、数か月分が未収になっただけでも大きなリスクとなるため、担保を徴することを検討します。
(1) 保証契約
保証契約は、債権者と保証人が締結する契約であり、債権者と主債務者の契約とは別の債務になります。保証人は、原則として、主債務者と同じ債務を負担することになり、主債務者が履行の求めに応じない場合には、保証人に履行を求めることができるため、債権の担保となります。
なお、保証契約は、保証人の資力を担保にするものですから、弁済資力を備えた適切な相手から保証を受けることが重要です。
(2) 抵当権
抵当権は、債権者と担保目的物の所有者が締結する契約により発生します。抵当権者は、債務が弁済されない場合に、その債務の担保として供された物を競売手続に付し、その競売代金から優先的弁済を受ける権利を有します。強制的に、かつ一般債権者に先んじて弁済を受けることができるため、債権の担保となります。
4 信用調査等
契約によらずに発生する債権や、担保の設定が及ぼす契約金額への影響が大きい債権など、保証契約を締結することが難しい場合には、信用調査等を強化する方法で、リスク回避に努めます。
(1) 資産状況の確認
債務者の納付能力の審査に際して、収支(手引 参考6「収支内訳書」参照)や財産の状況が分かる客観的な資料(確定申告書の写し、源泉徴収票、課税証明書、登記事項証明書等)を提出させ、内容の詳細を聞き取ります(手引 6「納付折衝」参照)。
(2) xx証書の活用
契約書や履行誓約書を作成する際に、強制執行認諾条項(債務者が契約事項に反した場合には、強制執行を認める旨を定めたもの)を記載したxx証書で作成し、万が一不履行になった際には債務名義を取得することができるように備えます。
xx証書は、債権の性質(公権力を行使するような債権等)によっては、作成ができないものもあります。特に公債権については、公証人との十分な調整が必要となります。
なお、仮に債務名義を取得した場合においても、差押可能財産を把握していないと実効性がないため、財産調査同意書の取得(「(3) 財産調査同意書の取得」参照)は別途必要になります。
【参考】xx証書とは
xx証書とは、公証人が公証人法等の法令に基づいて、法律行為や権利に関する事実について作成した調書のことをいいます。xx証書に、強制執行認諾条項を記載しておくと、金銭債権については、契約事項に反した場合に債務名義を有することになり、これに基づき強制執行ができることになります。
なお、xx証書の作成には、目的物の価額に応じた手数料がかかります。
<証書作成の手数料(公証人手数料令別表参照)>
目的の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 1万1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万7,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 2万3,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 2万9,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 4万3,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3,000円+超過5,000万円まで毎に1万3,000円 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5,000円+超過5,000万円まで毎に1万1,000円 |
10億円を超えるもの | 24万9,000円+超過5,000万円まで毎に8,000円 |
(3) 財産調査同意書の取得
債務者本人の同意を得る(手引 参考4「調査同意書」、手引 参考5「財産・所得状況申告書(兼調査同意書)」参照)ことで、金融機関や本市の各区税務課に対する照会が可能になります(手引 7「所在調査・財産調査」参照)。
同意書は、未収債権が発生してから提出を受けても有効ですが、未収になってからでは債務者が警戒してしまい、同意書の提出に至らない可能性が高まります。同意書の提出を契約の条件にするなど、可能な限り早い段階に取得できる仕組みにします。
(4) 本市との取引状況の確認
未収債権が発生した際に、最も確実な回収に繋がる手段は「相殺」です(第三章「2 相殺」
参照)。債務者が本市との別の契約において、本市から支払いを受ける権利を有している場合は、詳細の分かる資料(別紙1「取引状況確認書」参照)を提出させることで、相殺の対象となり得る反対債権をあらかじめ確認することができます。
取引状況確認書の提出を契約の条件にしたり、虚偽のxxが判明した場合は契約解除事由にしたりするなど、可能な限り正確な情報を把握できる仕組みにします。
(5) 連絡先の確保
不履行があった場合に連絡をとるため、あらかじめ債務者や保証人の連絡先(携帯電話や勤務先等、日中連絡がつくところ。複数確認できればなお良い)を確認しておきます(手引 2
「未収債権発生防止等の取組」参照)。
(6) 期限の利益の喪失
貸付金の償還等の契約に際しては、支払いを継続して怠った場合に、期限の利益を喪失させるための条項を設け、一括返済を求めることが可能となるように備えます(手引 2「未収債権発生防止等の取組」参照)。
債権発生時における備え チェックシート
債権発生が確定します。
事前に納付させることは可能?
いいえ
口座振替できますか
はい
いいえ
事前納付にすれば万事解決。
口座振替ができる環境を検討
次の書類等を提出させることを検討します。
①収支内訳書等
②財産調査同意書
③取引状況確認書
④確実な連絡先
はい 私人に委任でき はいる債権ですか?
検討済
口座振替の勧奨に注力します
いいえ
コンビニ収納を検討してください
検討済
納付書は財務
いいえ
ペイジー収納を検討してください
検討済
契約書をxx
会計システム?
検討済
証書で作る検討
あらかじめ担保
はい を設定できる?
いいえ
クレジット収納を検討してください
検討済
期限の利益喪失条項を設けます
はい
はい
担保を設定してください
未収が発生したら担保実行します。
いいえ
担保は確実ですか?
はい
契約で発生する債権ですか?
いいえ
第三章 未収債権発生後の対応 ~未収が分かったら行動すること~
未収債権が発生した場合には、まず、第xx「2 未収発生を想定したルールづくり」で定めたルールに基づいた対応をします。
対応の結果、任意納付による回収の見込みが立たないと判断された案件については、債務者の協力を得ずに債権回収する方法を検討します。
1 未収になったら(発生する可能性があれば)
債務者の協力を得ずに債権回収する前に、協力が得られる可能性の有無について最終的な判断をします。
(1) 状況の確認、折衝
第二章「3 担保の提供」「4 信用調査等」で想定される債務者の協力のうち、協力を得られていないものがあれば、今から協力を得ることが可能か、債務者や保証人と折衝します。債務者の協力を得られない場合には、早急に別の方法での回収手段を講じる必要があるため、次の点に留意して迅速な判断を心がけます。
ア 早期接触を図る
必要に応じて現地に赴くなど、債務者や保証人と早期の接触を図ります。
イ 期限を区切った折衝をする
債務者の協力を得ずに債権回収をする場合においては、可能な限り早期に着手することで回収できる可能性を高めることになります。期限を区切った折衝をし、債務者の協力の可否
(納付誠意の有無)を早期に見極める必要があります。
ウ 安易な分割納付を認めない
安易に分割納付を認めることは、債務者からすれば「期限の利益を付与した」と捉えてしまう可能性があることに注意が必要です。分割納付を認める趣旨ではないものの、債務者が一部を支払う意思を表示したことから、その弁済手段として納付書を発行する場合は、その事実を債務者に明確に示すとともに、台帳等に記録を残します。
債務者の申し出による一括納付ができない理由や、納付額、回数の妥当性について、収支明細書を提出させるなど、十分な裏付け調査をします。また、一括納付以外の支払方法を認める場合は、期限の利益喪失条項を入れた履行誓約書の作成を条件とし、併せてxx証書で作成することを検討します。
2 相殺(P19 焼却工場売電契約における事例「市として初めての相殺」参照)
私債権等において、最も確実な回収に繋がる手段は「相殺」です。
既に債務者と本市との他の契約状況を把握している場合は、当該契約の所管課に状況を確認し、相殺適状になっているものについて相殺します。また、債務者と本市との他の契約状況を把握し
ていないとき、又は把握している債権を相殺してもなお未収債権が残るときは、必要に応じて各区局の経理担当に契約状況の照会をします。
(1) 相殺適状
相殺は、次の要件を満たしている場合(相殺適状)にすることができます。なお、契約解除は相殺適状の要件ではないため、契約の継続や一部納付の如何を問わず、相殺適状に達していれば、可能な限り早期に相殺することで、回収額を増やす結果となります。
ア 当事者間に対立する債権が存在していること
双方の債権が有効に成立していることが条件です。一方の契約が無効の場合には、相殺の意思表示も無効となります。
イ 双方の債権が同種の目的を有すること
未収の金銭債権と相殺する債権も、金銭債権である必要があります。
ウ 自働債権と受働債権の両方の弁済期が到来していること
未収債権と相殺しようとする、もう一方の債権(受働債権:本市が支払義務を負う債権)についても、弁済期が到来している必要があります。なお、受働債権の弁済期が到来していない場合には、期限の利益を放棄(別紙2「期限の利益放棄の申出書」参照)することで、相殺適状を作りだすことが可能です。
エ 双方の債務が性質上相殺を許さないものではないこと
例えば、もう一方の債権が市税の場合には、相殺ができません(地方税法 20 条の 9)。
【参考】民法(抜粋)
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 (省略)
第五百六条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。
2 (省略)
(2) 相殺の方法
相手方に相殺の意思表示をすることで行います。なお、後に争いとならないよう、相殺の意思表示は書面ですることとします(別紙3「相殺通知書」参照)。
3 財産の調査(P19 焼却工場売電契約における事例「財産調査の実際」参照)
債務者本人に財産調査の同意を得ている場合は(手引 参考4「調査同意書」、手引 参考5「財産・所得状況申告書(兼調査同意書)」参照)、金融機関や本市の各区税務課に対して照会をします。
(1) 金融機関等の情報
金融機関、保険会社、給与・報酬の支払者に対して、債務者との取引状況について照会(別紙4「預金等照会書兼回答書」参照)します。
回答の有無は照会先の判断によりますが、本人の同意を得れば、少なくとも個人情報の保護に関する法律の規定においては情報提供が可能になることから、回答を得られる可能性が高まります(個人情報の保護に関する法律 23 条 1 項)。
(2) 市税情報
必要な市税情報について税務担当課に照会(手引 参考 10「市税情報照会書」及び「市税情報照会回答書」参照)することができます(横浜市の私債権等の滞納整理にかかる市税情報の照会に関する要綱)。給与等の支払者や市内に所有している土地や家屋が判明する場合があります。
4 仮差押(P19 焼却工場売電契約における事例「仮差押の実際」参照)
仮差押えとは、金銭の支払いを目的とする債権について強制執行することができなくなる恐れ、あるいは著しく困難になる恐れがある場合に、債務者が所有する財産を仮に差し押さえて、将来 の強制執行を確保するための手続きです。
債務者による任意の納付が期待できない場合において、①債務者の財産を把握しており、②担保金の予算措置ができているときは、仮差押えを申し立てることを検討します。なお、仮差押の申立ては、訴えの提起に該当しませんので、議会の議決等は必要とされません。
(1) 仮差押の効果
仮差押えは議会の議決が不要であるなどの理由から、比較的短期間で効力を発生させることができます。また、処分禁止や配当への加入については、強制執行と同様の効力が生じるなどのメリットがあります。
ア 処分禁止
債権の仮差押命令は、第三債務者に対して債務者への支払いを禁止し、債務者に対して債権の処分を相対的に禁止する効力が生じます。
これは、処分禁止という側面でみれば強制執行と同じ効力であり、債務者へのプレッシャーという意味でも強制執行と同様の効果が期待できます。
イ 配当への加入
仮差押の対象財産について先行する強制執行や担保権の実行がある場合、第三債務者が供託をしたとき等(民事xxx 165 条)までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者が、配当を受けるべき債権者となります。
第三債務者が供託をした場合は、供託以降の配当への加入を遮断する効力(配当遮断効)が生じるため、配当を受ける可能性を少しでも高めるためには、可能な限り早く仮差押えをする必要があります。
(2) 仮差押のメリットを生かした手続きの流れ
仮差押えの申立書や証明資料の作成等にはノウハウが必要です。手続きに不備があるなどの理由により仮差押決定までに時間を要してしまうと、仮差押えの目的が達成できなくなる可能性もあることから、専門家である弁護士に依頼することで、迅速かつ円滑な仮差押えが見込まれます。
ア 仮差押の申立て
仮差押えの申立てでは、その趣旨並びに保全すべき権利と、保全の必要性を明らかにする必要があります。
なお、債権の仮差押命令を申し立てる場合には、併せて第三債務者に対する陳述催告についても申し立てることで、債権の存否や支払いの意思について確認するようにします。
イ 裁判官との面接
裁判官と面接をし、裁判所は債権者(弁護士が代理人として申し立てた場合は、弁護士が対応)に対して審尋をします。申立書や添付資料での主張や疎明が不足している場合には再面接となることもあります。面接結果により、担保の金額と供託までの期間が決定します。
ウ 担保金の供託
仮差押えには担保金を立てる必要があります。その金額は被保全権利や保全の必要性を勘案して裁判所が裁量により決定しますが、通常は保全額の2割~3割程度とされます。担保金は、裁判所から担保額が告知された日から概ね1週間以内に供託することになるため、想定される予算をあらかじめ確保する必要があります。
なお、この担保金は、違法・不当な仮差押えの執行によって債務者が被った損害を担保するものであり、担保の事由が消滅したときなどには、担保取消の手続きで取り戻すことができます。
エ 仮差押決定
担保金を供託した後、裁判所に供託書のxxと目録などの必要書類を提出します。債権者の申立てが相当と認められた場合には、仮差押の決定がなされます。この場合、裁判所から第三債務者へ仮差押決定のxxが送付され、第三債務者に送達された時点で仮差押えの効力が発生し、第三債務者は債務者に対して仮差押えに係る債務の支払いを禁止されます。
オ 債務名義の取得
仮差押えを本執行に移行し、仮差押えに係る債権を取り立てるためには、債務名義を取得する必要があり、通常は訴訟を提起します。訴訟の結果、債務者に対して債権を有する判決が確定すれば、債務名義になります。
カ 担保金の取戻し(民事保全法 4 条 2 項、民事訴訟法 79 条)
次のとおり、担保の取消し事由が生じた場合には、裁判所による取消決定を経て、担保を取り戻すことができます。
(ア) 担保の事由の消滅(民事訴訟法 79 条 1 項)
仮差押えの前提となる訴訟手続きにおいて、勝訴判決が確定したときをいいます。
訴訟によって債務名義を取得し、本執行に移行した場合には、この方法で担保金を取り戻します(通常1か月程度かかります。)。また、支払督促やxx証書といった訴訟以外の方法で債務名義を取得した場合は、担保消滅の事由が認められないため、(イ)又は(ウ)による担保取消を検討することになります。
(イ) 担保権利者の同意(民事訴訟法 79 条 2 項)
担保権利者(債務者)の担保取消同意(及び即時抗告権の放棄)を書面で得たときをいいます。
xx証書や支払督促で債務名義を取得した場合に、債務者の同意を得られるときには、この方法で担保金を取り戻します(通常1週間程度かかります。)。
(ウ) 権利行使の催告(民事訴訟法 79 条 3 項)
本案訴訟が完結し(敗訴判決の確定や敗訴的和解、本案訴訟の未提起や取下げ等を含む)、かつ保全事件が取り下げられた時に、債権者の申立てにより、裁判所が債務者に対してx xの期間内にその権利(損害賠償請求の訴え)を行使すべき旨を催告することを言います。この場合において、債務者が一定期間(実務上は 7 日ないし 14 日とすることが多い)に 権利を行使しないときは、債務者が担保取消に同意したものとみなされ、担保取消決定が なされます。
xx証書や支払督促で債務名義を取得した場合に、債務者の同意を得られないときには、この方法で担保金を取り戻します。
(3) 予算の確保
ア 弁護士費用
弁護士に徴収を委任し、仮差押えを経て回収に至った場合、本市の契約(平成 28 年度)
では着手金を「債権額の2割又は5万円のうち少ない方」、報酬額を「回収額の3割又は 100万円のうち少ない方を適用」としています。原則、初めて委任する案件の場合は、初年度に限り財政局徴収対策課の予算で対応しますが、所管局としても1件分に相当する 105 万円×消費税+実費=120 万円程度の予算を確保するなどの備えをすることを検討します。
イ 担保金
専決で訴訟が可能な 500 万円までの案件で、100 万円~150 万円の担保金を要するため、所管局として1件分に相当する150 万円程度の予算を確保するなどの備えをすることを検討します。
5 訴訟
訴訟とは、一般的には訴えの提起から判決確定にxxx裁判手続きを指します。
(1) 給付の訴えの提起
債務名義を取得するためには、給付の訴えを提起することが一般的です。その他の方法としては、xx証書の作成や支払督促の申立等があります(6(1)(2)参照)。
(2) 訴訟の特徴
ア 債務者の態度、協力の如何に問わず、判決による決着がつけられる。
x 勝訴判決が下されれば債務名義となり、強制執行が可能になる。また、このことにより、任意の弁済も期待できる。
ウ 時効中断の効力が生じる。
エ 他の債権回収の方法に比較して、費用や時間等に要するコストが大きい。
(3) 議会の議決事項
訴えの提起をする際には、議会の議決を要します。議決を要する事件については、議決によって自治体としての意思が決定するため、訴えの提起をする前に議決しなければなりません。なお、議決を要する事件について議決を欠いた執行行為は、原則として無効となります。
(4) 議会の委任による専決処分
議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、自治体の長が専決処分することができます(自治法 180 条 1 項)。
本市においては、「市長専決処分事項指定の件(最近改正:平成 21 年 12 月 11 日市会議決)
(手引P17 参照)」として、「訴訟物の価額が 5,000,000 円以下の地方自治法第 240 条第 1 項に規定する債権の徴収に係る訴えの提起に関すること」が指定されています。
(5) 地方自治法 180 条 1 項の専決処分の効果
地方自治法 180 条 1 項における専決処分(以下「180 条専決」と言います。)として指定された事項は、議会の権限を離れて自治体の長の権限となりますが、180 条専決を行った場合には、議会に報告する必要があります。
(6) 弁護士委任と債権所管課の役割
訴訟は、専門的な知識を要する場面が多いため、殆どの場合、弁護士に委任することになります。
訴訟は、第三者である裁判所が判断する手続きですので、自治体である横浜市も当事者の一方に過ぎず、xxであると主張しても、それを裏付ける証拠がなければ、当該事実があったとは認定されません。「債権発生の根拠」や「納税折衝の経緯」「不履行(一部履行)の経過」などを客観的に説明できる書類を収集して、第三者が見ても「未収債権が存在し」「不履行な状態にある」ことが明らかになるように、準備をしておく必要があります。
6 その他の方法で債務名義を取得する方法
給付の訴えを提起することなく、債務名義を取得する方法もあります。
※ xxxxxの便宜上、仮差押えをすることを前提とした説明がなされていますが、xx証書や支払督促は、仮差押えをしない場合でも利用することができる手続きです。
(1) xx証書
仮差押えをすることで債務者から任意納付や履行延期の申し出があった場合は、強制執行認諾条項を記載したxx証書による履行計画書等の作成を検討します。
効果的な仮差押えが見込める財産(高額の預金や給与等)を把握している場合には、任意に納付したりxx証書作成に同意したりする可能性が見込めるため、仮差押えを先行させるメリットが大きいと言えます。
xx証書の作成条件として、仮差押えの取下げを求められた場合には、確実な担保の設定をするなど、対象財産以外から回収する手段を確保する対策が必要です。折り合いが付かない場合には、xx証書にこだわることなく、訴えの提起をします。
(2) 支払督促
仮差押えをしても債務者が無反応の場合には、訴訟に代えて、支払督促の申立てを検討することもできます。支払督促を発して2週間以内に債務者が異議の申立てをしない場合、裁判所は債権者の申立てにより支払督促に仮執行宣言を付すため、これにより債務名義の取得に至ります。
なお、支払督促をした場合に異議の申立てがあることが予め想定されるなど、支払督促をするメリットがないときは、訴えの提起をします。
7 破産と訴訟及び仮差押との関係
破産手続き開始の決定があった場合には、強制執行や仮差押えで、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失い(破産法 42 条 2 項)、破産者を
当事者とする破産財団に関する訴訟手続は中断します(破産法 44 条 1 項)。
8 弁護士を活用した債権回収等(債権回収促進担当)
次のとおり、法律の専門家である弁護士を活用するための手続きを用意しています。弁護士に相談した方が良い内容か迷う場合には、まず、財政局徴収対策課債権回収促進担当までお気軽に御相談ください。
(1) 弁護士徴収委任
訴訟や支払督促の法的措置等、弁護士による回収が適切と思われる債権などについて、徴収を委任します。弁護士によっては、法的措置によらない形でも、書面送付や電話を活用した方法によって、十分な回収が図れる場合もありますので、債権や案件の内容に則した委任が可能です。
なお、原則として、初年度の委任費用は債権回収促進担当で負担しますので、お気軽にご相談ください。
(2) 弁護士調査委任
債権発生の根拠について債務者と争いがある案件や、債務者が誰なのか明確でない案件などについて、必要な調査を弁護士に委任します。原則として、委任費用は債権回収促進担当で負担しますので、お気軽にご相談ください。
なお、調査委任の結果、法的措置等により回収が可能と判断された案件については、別途徴収委任することを検討します。
(3) 債権管理Eメール法律相談
自治体の債権回収に精通する弁護士に、債権の種別や法令の解釈等について、Eメールで意見を求めることができます。相談に関して、所管課の費用は発生しません。
9 法務事務相談(総務局法制課)
債務者と法的トラブルが発生してしまった場合など、一般的な法律相談については、総務局法制課が対応しています。法的トラブルの解決のためには初期対応が重要となりますので、早めに法制課まで御相談ください。
財政局契約第二課からのお知らせ
物品などの売払いについて
財政局契約第二課では、不用品の売払い契約業務を行っています。
その際には、契約代金を受領(領収書により納付を確認)した後で、物品の引き渡しをお願いしています。(横浜市契約規則第 99 条・物品売払契約約款第7条)
この契約内容であれば、未収債権が発生することはありません。
不用品以外を売払う契約を各区局で行う場合は、第二章(P5~)にあるように、未収債権に備える契約内容になっているか、今一度、契約書の点検をお願いします。
また、新たに契約手続きを行う場合や不明な点がある場合は契約第二課に御相談下さい。
【参考】
◯横浜市契約規則(抜粋) (引渡し)
第 99 条 契約の相手方は、契約代金を納入した後でなければ、物品を引き取ることができない。ただし、契約で別の定めをした場合は、この限りでない。
○物品売払契約約款(抜粋)
(引取り)
第7条 買受人は買受代金を納付した後でなければ、物品を引き取ることができない。
①財産把握
②担保金の用意
完納 仮差押え解除債務者からの
仮差押えのメリットを生かした手続きの流れ
仮差押え
仮差押の申立て
裁判官との面接
担保金の供託
仮差押決定
処分禁止
連絡は?分割
18
xx証書
xx証書による誓約の提案
合意
公証人役場でxx証書を作成
不履行(強制執行認諾条項に該当)
ない
債権額は
拒否 500万円以上?
はい
合仮
は差 訴訟
勝訴
訴えの提起
確定判決
確押実えなを担解保除をす設る定場
いいえ
はい
議会対応
議決
報告
180条
市長専決
支払督促に 異議はでそう?
不明
支払督促
支払督促の申立
異議申立てがあった?
ない
滞納者の
財産
取立て
債務名義
強制執行
ある
仮執行宣言の申立て
異議申立てがあった?
ない
<焼却工場売電契約における事例>
1 市として初めての相殺(※)
契約解除後に行われた弁護士との相談の中で提案があり、相殺手続が行われました。
具体的には、横浜市が債務者に有する未収の売電代金(売掛金)と、当該債務者から電気を買っている区役所の電気料金(買掛金)の相殺を行いました。なお、区役所と実際に対応した手続き作業は次のとおりで、相殺通知は毎月送ったものの、区役所は年度明けにまとめて 1 回の納付作業となりました。
(1) 受働債権の調査
区役所が該当。その後、相殺について事前調整。
(2) 契約先へ意思表示としての通知文「相殺通知書」と区役所への依頼文「債権・債務の相殺について」を作成・送付
(3) 相殺を行ったことを毎月、契約先へ通知(参考で区役所へ通知文を送付)
(4) 区役所に対し相殺額の納付を依頼(年度でまとめて 1 回)区役所に対し一括納付を依頼
※ 今回の私債権による相殺手続は、財政局含め関係者の知りうる限り、初めての対応でした。
2 財産調査
契約解除後、債務者の本社に訪問し、財産調査の同意書の提出を求めたところ、後日、郵送で受理することができました。
この同意書を得たことで、金融機関等に対し任意の財産調査を行いました。特に、金融機関に対する調査では、任意のため白紙回答などがあったものの、普通預金の過去の出入金明細書等の資料を得て、債務者の預金口座に振り込みをしている取引先が判明するなど債務者が有する債権の仮差押につなげることができました。
3 仮差押
仮差押に必要や書類の作成や裁判官との面接等は、すべて弁護士を通じて行いました。
なお、所管課において必要な作業は、①仮差押の対象財産の把握と、②必要な担保金の予算確保に加えて、③仮差押に伴う本市の決裁と弁護士の事務スケジュールの調整です。
(1) 仮差押の対象財産の把握
予め把握していた電気事業者が得ている交付金と、本人同意による調査で判明した売掛金を対象とすることにしました。
(2) 必要な担保金の予算確保
財政部門と調整し、高額の担保金を確保しました。
(3) 仮差押に伴う本市の決裁と弁護士の事務スケジュールの調整
財産判明のタイミング等の事情により、仮差押の申立てを実施しました。担保金は、その都度の裁判官との面接で決まるため、申立ての決裁と担保金の支出の事務は厳しいスケジュールとなりました。
別 紙 1
平成 年 月 日
取 引 状 況 確 認 書
横浜市長
x 約 者
所在地
名 称
代表取締役 ㊞
本契約以外に、当社が横浜市から支払いを受ける権利を有する契約は、次のとおりです。
区局 | 所管課 | 契約名 | 契約金額 | 契約期間 | 履行期限 |
別 紙 2
会社
代表取締役 様
第 号
平成 年 月 日
印
横浜市長 x x x
期 限 の 利 益 放 棄 の x x 書
次のとおり、横浜市は貴社に対して支払義務がありますが、当該支払日まで有する期限の利益について、本書面をもちまして放棄させていただきます。
1 横浜市の支払義務
(1) 契約件名
(2) 契約締結日
(3) 契約金額
(4) 支払日
横浜市 局 課担当:
電話:
別 紙 3
会社
代表取締役 様
第 号
平成 年 月 日
印
横浜市長 x x x
相 殺 通 知 書
次のとおり、横浜市と貴社における自働債権と受働債権について、民法第 505 条に基づき、両債権の対当額にて相殺します。なお、貴社に対する相殺後の残債権については、本書面をもちまして、履行の催告とさせていただきます。
1 横浜市の債権(自働債権)の表示
2 貴社の債権(受働債権)の表示
横浜市 局 課担当:
電話:
別 紙 4 - 1
○ ○ | ○ 第 | 号 |
平 成 | 年 月 | 日 |
御中 横浜市長 ○○ ○○ 印
預金等の照会について(依頼)
平素から横浜市政にご協力をいただき誠にありがとうございます。
御多忙中恐縮ですが、○○○○徴収事務のため必要がありますので、次の調査対象者との取引状況について御回答くださるようお願いいたします。
回答については、同封の回答書に御記入くださるか、又は下記の調査依頼事項について記載のあ
る貴店所定の用紙(CIF照会用紙等)を添付してくださっても結構です。希望回答期限:
調 査 対 象 者 | |||
フリガナ 氏 名 | 備考 | ||
生年月日 | |||
住 所 | |||
( 備 考 ) |
調 査 x x 事 項 | |
1 | 普通預金の有無 |
該当がある場合は、預金額と口座番号の記載をお願いします。 | |
普通預金については直近3か月の取引状況について、出入金明細等の資料の添付 | |
をお願いいたします。 | |
(振込年金等について差押禁止額を援用すべきか確認を行います。) | |
2 | 普通預金以外の預金の有無 口座番号と預金額のほかに、定期預金の場合は満期日、定期積金の場合は現在額、満期日、(満期給付金額)の記載をお願いします。 |
3 | 貸付の有無 該当がある場合は、貸付の現在額の記載をお願いします。 |
4 | 信用金庫等の会員の持分の有無 該当がある場合は、「何口何円」として記載をお願いします。 |
5 | 先行差押の有無 回答書作成時に該当があれば差押執行機関と差押年月日の記載をお願いします。 |
6 | その他参考事項 |
横浜市役所○○局
○○○○課 担当
tel:
別 紙 4 - 2
平成 年 月 日
(回答先)
横 浜 市 長 (金融機関等名称)
印
預金等の照会について(回答)
平成 月 日 ○○○第 号で調査依頼のありました事項につき、次のとおり回答します。
調 査 対 象 者 | |||||||
フリガナ | 住 所 | ||||||
氏 | 名 | ||||||
備 | 考 | ||||||
調 査 事 項 | ( | 年 月 日現在) | |||||
1 2 3 4 5 6 | 普通預金の有無 ( 有 ・ * 口座番号 * 預金額 円 * 取引状況(出入金明細等)につい ①別紙添付資料のとおり ②直近3ケ月間の取引(異動)等がないため省略します。 普通預金以外の預金の有無 ( 有 * 当座預金:口座番号 :預金額 * 定期預金:口座番号 :預金額 :満期日 年 月 * 定期積金:口座番号 :預金額 :満期日 年 月 :満期額(満期給付金) 貸付の有無 ( 有 ・ 無 * 貸付現在額 信用金庫等の会員の持分の有無 ( * 口 先行差押の有無 * 執行機関 その他参考事項(届出TEL等) * | 無 ) * 口座番号 * 預金額 円 * 取引状況(出入金明細等)について ①別紙添付資料のとおり ②直近3ケ月間の取引(異動)等がないため省略します。 ・ 無 )円 円 日 円 日 円 ) 円 (担保の内容 有 ・ 無 )円 差押年月日 | ) |
横浜市○○局○○○○課【担当】 あて