審議内容 2023年度上半期における新たな随意契約 法人から、「2023年度上半期における新たな随意契約」について、会計規程第32条第1項各号との整合性が図られているとの説明があり、了承された。 契約監視委員からの意見・質問 法人からの説明、回答 「オルタナティブ投資に係る市場参照ベンチマークの利用(MSCI指数購読に係る追加契約)」の調達内容に記載の ある“伝統的資産と同じ角度から”という表現について、オルタナティブ資産と伝統的資産とでは性質が異なるので、ニュアンスに違和感を覚えた。...
第38回 年金積立金管理運用独立行政法人契約監視委員会議事概要
1.日時及び場所 2024年2月19日(月曜日)15:00~16:05年金積立金管理運用独立行政法人会議室
2.審議等事項
(1)審議事項
①一者応札・応募となった案件の改善策について
【契約監視委員会設置要綱第4条第3号に基づく審議案件】
②2023年度上半期における新たな随意契約
【契約監視委員会設置要綱第4条第4号に基づく審議案件】
③その他必要な事項
【契約監視委員会設置要綱第4条第5号に基づく審議案件】
(2)報告事項
契約審査会進捗状況
3.契約監視委員(敬称略) (2024年2月19日現在)
白鴎大学特任教授・公認会計士(*)
企業年金連合会 東京地方協議会 事務局長
前コンプライアンス・オフィサー(*)年金積立金管理運用独立行政法人監査委員
監査委員監査委員
(*)は外部有識者(以下「外部委員」という。)
xx xxxxx x
xx 建尾x xxxxx x
4.議事概要
(1)審議事項①~③及び(2)報告事項について法人より説明を行い、質疑を行った。また、(1)③その他必要な事項及び(2)報告事項については、契約監視委員からの発言等はなかった。
審議等の結果は以下のとおりとなった。
審議等事項 | 審議等の結果 |
(1)① | 法人から、2023 年度上期に調達を実施した、「一者応札・応募となった案件の改善策」について説明があり、競争性確保のための改善方策 が妥当であることが了承された。 |
(1)② | 法人から、「2023 年度上半期における新たな随意契約」について、会計 規程第 32 条第1項各号との整合性が図られているとの説明があり、了承された。 |
(1)③ | 委員等からの発言等はなかった。 |
(2) | 契約審査会における審議案件の契約締結状況等についての報告の後、 フリー・ディスカッションを行った。 |
主な質疑及び意見は以下のとおり。
【審議事項① 契約監視委員会設置要綱第4条第3号に基づく審議案件】
審議内容 | 一者応札・応募となった案件の改善策について |
審議の結果・契約監視委員からの意見等 | |
法人から、2023年度上期に調達を実施した、「一者応札・応募となった案件の改善策」につ いて説明があり、競争性確保のための改善方策が妥当であることが了承された。 |
【審議事項② 契約監視委員会設置要綱第4条第4号に基づく審議案件】
審議内容 | 2023年度上半期における新たな随意契約 | |
法人から、「2023年度上半期における新たな随意契約」について、会計規程第32条第1項各 号との整合性が図られているとの説明があり、了承された。 | ||
契約監視委員からの意見・質問 | 法人からの説明、回答 | |
「オルタナティブ投資に係る市場参照ベンチマークの利用(MSCI指数購読に係る追加契約)」の調達内容に記載のある“伝統的資産と同じ角度から”という表現について、オルタナティブ資産と伝統的資産とでは性質が異なるので、ニュアンスに違和感を覚えた。 | オルタナティブ資産についても、市場参照ベンチマークを用いて、伝統的資産のようにパフォーマンスを比較することによって適切な資産管理に努めたいという趣旨であるということをご理解いただきたい。 確かに“角度”という表現はちょっと誤解を招くかもしれない。 オルタナティブ資産は、非上場であり、市場で常に評価されるものではなく、例えばプライベートエクイティ等では、ある時点の財務状況等、あるいは類似業種の市場データと比較する等の様々な評価方法があることを踏まえた表現ではあるが、より適切な表現を検 討したい。 | |
今のご指摘によると、調達内容がダイレクトな説明になっていないようにも思えるので、修正後、そちらを拝見したい。 | 伝統的資産に、オルタナティブ資産を含め、ポートフォリオ全体で国民のために収益を上げていくのが、我々の使命である。難しい部分はあるが、伝統的資産に合わせるものは合わせるような形で、より精緻な資産管理を行っていくためにこの調達を行ったという趣旨である。 ご指摘のとおり、「角度」という表現については、より適切なものにさせていただきた い。 |
【報告事項 契約審査会審議案件進捗状況】
報告内容 | 契約審査会における審議案件の契約締結状況等についての報告 | |
契約監視委員からの意見・質問 | 法人からの説明、回答 | |
「資産運用に係る統合運用管理基盤提供サー | 契約に時間を要した理由として、公共調達 |
ビス」について、双方の調整により契約時期が遅れた具体的な内容を伺いたい。例えば調達仕様等を明確・詳細に記載することで解決できる内容なのか。 契約締結交渉に入ってから、業者が仕様をごり押しで変更するようなことを行っていないか懸念している。 | という枠組みの中で、取り込まなければならない文言についての調整に時間がかかったことがあげられる。交渉が難航した要因として大きく2つあり、1つは政府統一基準に関連した守秘義務条項の取り込みであり、もう一つは仕様の内容を契約に取り込むことであった。 政府統一基準に関連した守秘義務条項については、先方のひな型契約書に当初から含まれている内容では十分でないことから交渉が始まったこともあり、当該説明に時間を要した。最終的には、先方がSECの管轄下にある法人であり、SECのルールに従うように、我々も政府統一基準に従わなければならないという事情をしっかり説明することで受け入れていただくことができたが、時間を要することとなった。 仕様に関しては、当初は先方が、我々の作成した仕様書を契約の一部として取り込むことができず、仕様の内容を別途契約書に取り込むことに時間を要した。具体的には、ひな型契約書での契約を原則とし、従来、契約変更を実施しないポリシーを要する先方にとって、これまでに経験のない契約案件であること、どのように仕様の内容を取り込むかといったところから議論が始まったこと、先方が当方に提示するシステムの設定内容を記載した書類に使用内容を盛り込み当該書類を契約書の一部とすることで契約書へ仕様内容を取り込むことに合意できたが、結果として契約書が全部で300ページにもなり、確認と調整に時間を要してしまったことなど、複合的な事由により契約調整に時間を要してしまったと理解している。なお、仕様内容を漏らさず契約に取り込んでいることを当法人が確認していることから、ご指摘いただいたような仕様が変更されてしまうような事象は生じていな いと理解している。 |
一番調整を要したのは、政府統一基準による守秘義務の件であったということか。 | 政府統一基準による守秘義務の件には、それなりの時間を要したが、同じぐらい仕様の内容を変更せず漏れなく取り込ませるための 対応にも時間を要した。 |
そもそもそういう法人が応募するのがおかしいのではないか。 | 本件は4者の応募があり、うち3者が外資系であった。外資系の法人で、システムのサービスを提供している社の多くは、それぞれ自分たちのひな型により契約を締結したいという思いが非常に強いようである。残りの1者は日本法人であり、その者を選定していれば我々の契約のひな型で契約を行うことができたかもしれないが、外資系を除外することのないよう、事前に法務部門とも相談した上で、先方のひな型で契約交渉をスタートした 結果、時間がかかってしまったと考える。 |
契約交渉がもめるような事態を招くことを繰り返されることがないよう、何か改善策はあるのか。 | ご指摘の点は、我々も痛感したところである。今後このような法人と契約をする際には、仕様を当初より英語に翻訳して、理解を早める工夫が必要であること、また、交渉が難航する場合には次点の応募者を選定する可能性があることを説明会の場でしっかり説明 することとしたい。 |
外資系企業に特にそのような傾向が強いと思う。今回も4者のうち3者が外資系企業ということであり、また運用に係る契約の相手先も外資系企業が多いと想像している。外資系企業との契約の割合が現状どの位で、今後の見通しはどのようであるか伺いたい。 | 運用に係る契約の観点からすると外資系4割、国内6割位かと思われる。もしかしたら直近では半々くらいまで来ているかもしれない。 今後、我々がグローバルに展開した標準サービスを前提とした仕様に近づけようとすればするほど、外資系企業の参入が増えてくるのではないかと想定している。 金融関係の本当にグローバルなサービスについては、外資系企業が優位な地位にあるのが実態である。 このようなサービス等の調達については、初めから応募を厳格に絞り、手が挙がらないというやり方だと、必要なサービスの確保という点から困るので、政府機関としても譲れない点については、契約締結交渉段階において、必要に応じ海外本社等とも議論し、確保している。 我が国の地位が低下していくと、我々の立場を外資系企業に理解していただくという努力がより一層必要になるというのが懸念事項 である。 |
個人的には、グローバルな標準に合わせていくことが今後ますます増えるのではないか と思っている。それが契約の形式的な事項に |
よって妨げられるということがあってはならないと思っている。今後どのように進めていくのか課題が多いと思うが、効率的に進めることができるよう、よく検討していただきた い。 | |
円以外の通貨による契約案件について、最近の急激な円安、ユーロ安により、契約時の単価とここへきて支払っている金額が大きく異なってきているのではないか。この点につ いての見解を伺いたい。 | ご指摘のとおり、調達時点において想定していた為替xxxと実際の時点での為替レートに差異が生じるのは当然起こり得ることであり、それを十分念頭に置きながら手続きを 進めてまいりたい。 |
「参加者確認公募」の場合、概算所要額は 公表されているのか。 | 公表していない。 |
同じ「参加者確認公募」でも“契約金額/概算所要額の割合”に乖離があるものと、ほぼ同じになるものがあるのはどうしてか。 | 「参加者確認公募」については、想定している相手方は1者しかいないということである。公告後、競合他社が現れなければ、当初想定していた相手方と契約することになるので、100%となる。 ご指摘いただいた乖離のある案件については、相手先を選定後、実際の契約締結までに時間を要したために履行期間が当初の想定よ り短くなった事情によるものである。 |
「継続手続き中の案件」の中で、応募者数 が“-”となっているのはどのような事情か。 | この資料の作成時点では公告期間中であっ たため、まだ応募者が最終的に確認できていないという事情によるもの。 |
【審議事項③ 契約監視委員会設置要綱第4条第5号に基づく審議案件】
審議内容 | その他必要な事項 | |
契約監視委員からの意見・質問 | 法人からの説明、回答 | |
「参加者確認公募」について、新たな案件について確認の上、随意契約としていると理解している。既に随意契約としている案件について「参加者確認公募」とするかどうかの判断基準はあるのか。 | 契約審査会に付議する際に調達部署と経理部で内容の確認を行う。調達部署においてマーケットの状況を踏まえて、競合他社がいるかどうか確認を行うが、時間の経過によってその状況が変わることが想定される場合には引き続き随意契約とせず、「参加者確認公募」とすることについて検討を行う。最終的には契約審査会に付議し、確定する。 「参加者確認公募」の結果、随意契約となったものは、発注者の方で、必要とされる能力・設備等を見て、これしかないと思ったけれども、公共機関が行う契約なので、広く公募を行い随意契約として確認されたものであ り、結果としては代替性がないということで |
ある。 「参加者確認公募」を長期間行って、結果として他の参加者がおらず、代替性がないとの判断から随意契約とする方法もあるのだが、そこはなかなか踏み切れず、引き続き 「参加者確認公募」を行うケースが多いとこ ろである。 | |
経理部において事前に検討されているということは理解したが、やはり契約審査会においても一定の判断基準を設けた方が良いのではないかと思う。例えば、一度随意契約を行い、10年経って競合他社が現れる場合もあると思う。その場合、一般公募を行うことに意味が出てくる。 | 契約期間が切れた場合には、その段階で代替性が本当にないのかどうか契約審査会において確認を行っている。 なお、ある契約期間内で、随意契約理由が同じもの、例えば、人員が増えたことに伴い情報端末を増やすというような案件については、報告事項として取り扱い、事後点検を受 けるケースはある。 |
以上
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年金積立金管理運用独立行政法人
監査委員会事務室電話 03-3502-2494