第20条 自ら治験を実施する者は、治験の終了又は中止にかかわらず、医薬品医療機器法第 14 条第 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準、医薬品 GCP 省令、医療機器 GCP 省令
京都府立医科大学附属病院治験実施取扱規程
平 成 20 年 4 月 1 日
京都府立医科大学規程第 146 号
目 次
第1章 総則(第1条-第2条) 第2章 治験審査委員会(第3条)
第3章 治験の受入れ・決定(第4条-第10条)第4章 治験責任医師(第11条-第20条)
第5章 被験者の同意(第21条-第25条)第6章 治験薬等の管理(第26条)
第7章 記録の保存・治験事務局等(第27条-第29条)第8章 製造販売後臨床試験(第30条)
第9章 医療機器の臨床試験(第31条)
第 10 章 体外診断用医薬品の臨床試験(第32条)第 11 章 再生医療等製品の臨床試験(第33条) 第 12 章 その他(第34条)
附 則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、京都府公立大学法人京都府立医科大学(以下「大学」という。)が学内外からの依頼を受けて行う研究、試験、調査等のうち、大学の附属病院(以下「附属病院」という。)における治験又は自ら治験を実施しようとする者が附属病院で行う治験の取扱いについて、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)(以下「医薬品医療機器等法」という。)、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)(以下「GCP省令」という。)及び医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成16年厚
生労働省令第171号)(以下「GPSP省令」という。)に定めるもののほか、必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において、次に揚げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)「製造販売後臨床試験」とは、GPSP省令第 2 条第 4 項に規定する製造販売後臨床試験をいう。
(2)「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。
(3)「治験責任医師」とは、附属病院において、治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。「自ら治験を実施しようとする者」又は「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために医薬品医療機器等法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者又は届け出た者であって、「治験責任医師」となるべき医師又は歯科医師をいう。治験の準備を行う場合は「自ら治験を実施しようとする者」、管理の業務を行う場合は「自ら治験を実施する者」、治験を実施する場合は「治験責任医師」という。
(4)「製造販売後臨床試験責任医師」とは、附属病院において、製造販売後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
(5)「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。
(6)「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において、被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質をいう。
(7)「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。
(8)「製造販売後臨床試験薬」とは、被験薬及び対照薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)をいう。
(9)「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。
(10)「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬(以下「治験薬等」という。)の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。
(11)「治験分担医師」とは、附属病院において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
(12)「製造販売後臨床試験分担医師」とは、附属病院において、製造販売後臨床試験責任医師の指導の下に製造販売後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
(13)「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)又は製造販売後臨床試験責任医師若しく
は製造販売後臨床試験分担医師(以下「製造販売後臨床試験責任医師等」という。)の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。
(14)「治験協力者」とは、附属病院において、治験責任医師等の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
(15)「製造販売後臨床試験協力者」とは、附属病院において、製造販売後臨床試験責任医師等の指導の下にこれらの者の製造販売後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
(16)「モニタリング」とは、治験依頼者又は製造販売後臨床試験依頼者により依頼された 治験(以下「企業主導治験」という。)において、治験又は製造販売後臨床試験が適 正に行われることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに 治験又は製造販売後臨床試験がGCP省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」 という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験 依頼者」という。)又は製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床 試験依頼者」という。)が附属病院に対して行う調査をいう。自ら治験を実施する者 による治験(以下「医師主導治験」という。)において、治験責任医師が特定の者を 指定して行わせる調査をいう。
(17)「監査」とは、治験又は製造販売後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するため、治験又は製造販売後臨床試験がGCP省令及び治験実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書に従って行われたどうかについて企業主導治験において、治験依頼者又は製造販売後臨床試験依頼者が行う調査をいう。医師主導治験において、自ら治験を実施する者が特定の者を指定して行わせる調査をいう。
(18)「有害事象」とは、治験薬等を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。
(19)「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者をいう。
(20)「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。第2章 治験審査委員会
(治験審査委員会)
第3条 附属病院に治験、製造販売後臨床試験、医療機器又は再生医療等製品の臨床試験を行うことの適否その他の調査審議を行わせるため、次のとおり京都府立医科大学附属病院治験審査委員会(以下「審査委員会」という。)を置く。
治験審査委員会の名称:京都府立医科大学附属病院治験審査委員会治験審査委員会の設置者:京都府公立大学法人理事長
治験審査委員会の所在地:xxxxxxxxxxxxxxxxxx 000 xx
2 審査委員会の組織、運営等に関し必要な事項は、別に定める。
第3章 治験の受入れ・決定
(受入れの条件)
第4条 治験の受入れは、大学の教育研究上有意義であり、かつ、附属病院の業務に支障がないと認められるものに限るものとする。
2 附属病院長は、治験がGCP省令、治験実施計画書、治験の契約書及び本規程に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じるものとする。
3 小児治験ネットワークを介して受託した治験においては、別途手順を定める。
(治験の依頼又は申請書)
第5条 治験依頼者又は自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ治験実施依頼・申請書(以下「依頼・申請書」という。)に附属病院長が別に定める書類を添付の上、附属病院長に提出しなければならない。
2 治験依頼者又は自ら治験を実施しようとする者、製造販売後調査依頼者(以下「治験依頼者等」という。)が治験実施に係る書類を附属病院長に提出するときは、治験審査委員会事務局を経由するものとする。
(治験の申請)
第6条 治験責任医師は、依頼・申請書に別に定める書類を添付の上、治験審査委員会事務局を経由して附属病院長に提出しなければならない。
(受入れの決定)
第7条 附属病院長は、前条の申請があったときは、当該治験の受入れの適否について、治験審査依頼書により、あらかじめ審査委員会の意見を聞かなければならない。なお、附属病院長は、必要があると認めるときは、審査委員会以外の治験審査委員会(以下「外部治験審査委員会」という。)を選択し、意見を聞くことができる。
2 前項の外部審査委員会の意見を聞く場合は、当該外部治験審査委員会の設置者とあらかじめ契約を締結しなければならない。なお、契約内容等その他必要な事項については、別に定める。
3 附属病院長は、企業主導治験の場合は治験等の依頼者及び治験責任医師から、医師主導治験の場合は自ら治験を実施しようとする者から提出のあった治験依頼・申請書を、審査委員会開催日の 7 日前までに同委員会に提出し審査を依頼するものとする。
4 審査委員会の長(以下「審査委員長」という。)は、第1項の規程による意見を求められたときは、定例又は臨時の審査委員会を開催し、治験の受入れの適否について審査し、
治験審査結果通知書により附属病院長に意見を述べなければならない。
5 附属病院長は、前項の治験審査結果通知書を受けて、当該治験の受入れの適否を決定したときは、治験審査結果通知書により、企業主導治験の場合は治験依頼者及び治験責任医師に、医師主導治験の場合は自ら治験を実施しようとする者に通知しなければならない。
6 企業主導治験の場合、治験責任医師は、前項の治験審査結果通知書において、修正を条件に付された案件については、治験依頼者と協議の上、治験実施計画書等修正報告書及び関係書類を添付の上、附属病院長に提出しなければならない。医師主導治験の場合、自ら治験を実施しようとする者は、前項の治験審査結果通知書において、修正を条件に付された案件については、治験実施計画書等修正報告書及び関係書類を添付の上、附属病院長に提出しなければならない。
7 附属病院長は、前項の治験実施計画書等修正報告書に関係書類の写しを添付の上、審査委員会に提出しなければならない。
(治験実施契約書)
第8条 企業主導治験の場合、京都府公立大学法人理事長は、治験実施の受入れが決定されたときは、治験実施契約書(以下「実施契約書」という。)により治験依頼者と契約を締結するものとする。
(業務の委託)
第9条 治験依頼者が治験の業務に係る全部又は一部を他の者に委託した場合は、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲を記載した覚書を締結するものとする。
2 企業主導治験において、附属病院長は、治験の実施に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した覚書を当該業務を受託する者と締結しなければならない。
(1)当該委託に係る業務の範囲
(2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
(3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを附属病院長が確認することができる旨
(4)当該受託者に対する指示に関する事項
(5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを附属病院長が確認することができる旨
(6)当該受託者が附属病院に対して行う報告に関する事項
(7)その他当該委託に係る業務について必要な事項
3 医師主導治験において、自ら治験を実施しようとする者又は附属病院長は、治験の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者と契約を締結しなければならない。
(1)当該委託に係る業務の範囲
(2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
(3)前項の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを自ら治験を実施しようとする者又は附属病院長が確認することができる旨
(4)当該受託者に対する指示に関する事項
(5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを自ら治験を実施しようとする者又は附属病院長が確認することができる旨
(6)当該受託者が自ら治験を実施しようとする者又は附属病院長に対して行う報告に関する事項
(7)その他当該委託する業務に係る被験者に対する補償措置に関する事項
(8)その他当該委託に係る業務について必要な事項
(契約事項又は治験実施計画書等の変更)
第10条 企業主導治験の場合、第8条の実施契約書の内容に変更が生じたときは、附属病院長は、治験依頼者から治験に関する変更申請書に附属病院長が別に定める書類を添付の上、提出させるものとする。
医師主導治験の場合、第5条第1項により提出した文書の内容に変更が生じたときは、附属病院長は、自ら治験を実施する者から、治験に関する変更申請書に附属病院長が別に定める書類を添付の上、提出させるものとする。
2 治験責任医師は、第8条の実施契約書又は第5条第1項により提出した文書に変更が生じたときは、治験に関する変更申請書に別に定める書類を添付の上、治験審査委員会事務局を経由して提出しなければならない。
3 附属病院長は、第1項の規定による申請があったときは、当該治験の変更の適否について治験審査依頼書により、あらかじめ審査委員会の意見を聞かなければならない。
4 審査委員長は、前項の意見を求められたときは治験の適否について審査し、治験審査結果通知書により、附属病院長に意見を述べなければならない。
5 附属病院長は、前項の治験審査結果通知書を受けて、治験の変更の適否を決定したときは、治験審査結果通知書により、企業主導治験の場合は治験依頼者及び治験責任医師に、医師主導治験の場合は自ら治験を実施する者に通知しなければならない。
6 第4項の治験審査結果通知書において、修正を条件に付された場合の治験責任医師及び附属病院長のとるべき措置は、第7条第4項及び同条第5項の規定を準用する。
7 企業主導治験において、実施契約書の内容について変更が決定されたとき、京都府公立大学法人理事長は、治験実施変更契約書(以下「実施変更契約書」という。)により治験依頼者と変更契約を締結するものとする。
第4章 治験責任医師
(治験責任医師)
第11条 治験責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
(1)治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有すること。
(2)治験実施計画書、治験薬概要書(製造販売後臨床試験を除く)及び治験薬の適切な使用方法に精通していること。
(3)治験を行うのに十分な時間的余裕を有すること。
(4)本学の医師又は歯科医師(助教以上)であること。
2 治験責任医師は、当該治験に係る治験分担医師及び治験協力者が存する場合には、治験分担医師及び治験協力者リストを作成し、附属病院長に提出しなければならない。
3 治験分担医師及び治験協力者は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
(1)治験分担医師は、2年以上の臨床研究を有する本学の常勤又は非常勤の医師又は歯科医師(専攻医及び診療従事許可を取得した大学院生・研修員・研究生を含む。)であること。ただし、前期専攻医は除外する。
(2)治験協力者は、本学の常勤又は非常勤の職員及び本院と治験協力業務に係る委受託契約を締結した治験施設支援機関から派遣される職員であること。
4 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に当該治験の内容について十分説明するとともに、分担させる業務を適正かつ円滑に行うために必要な情報を提供するものとする。
5 治験等を実施する医師は、次の各号を順守するものとする。
(1)治験等の実施にあたっては、承認された治験等実施計画書から逸脱してはならないこと。
(2)企業主導治験の場合は審査委員会の承認及び治験実施契約が締結される前に、医師主導治験の場合は審査委員会の承認並びに厚生労働大臣に治験計画の届け出後、医薬品医療機器等法で規定された期間が経過するまで被験者を治験等に参加させてはならないこと。
(3)被験者に対する緊急の危険を回避する等医療上やむを得ない場合、又は変更が事務的事項に関するものである場合を除き、企業主導治験の場合は実施契約書を締結する前に、医師主導治験の場合は審査委員会の承認及び附属病院長の了承があるまで治験を継続してはならないこと。
(被験者の選定)
第12条 治験責任医師等は、次に掲げるところにより、被験者となるべき者を選定しなければならない。
(1)倫理的及び科学的観点から、治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、同意の能力
等を十分に考慮すること。
(2)同意の能力を欠く者及び治験に参加することにより不利益を受けるおそれがある者にあっては、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、選定しないこと。
(3)治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては、当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。
(被験者に対する責務)
第13条 治験責任医師等は、治験薬の適正な使用方法を被験者に説明し、かつ、必要に応じ、被験者が治験薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。
2 治験責任医師等は、被験者が他の医師の治療を受けている場合には、被験者の同意の下に、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
3 附属病院長及び治験責任医師等は、被験者に生じた有害事象に対して適切な医療が提供されるよう、事前に、必要な措置を講じておかなければならない。
4 治験責任医師等は、被験者に有害事象が生じ、治療が必要であると認めるときは、その旨を被験者に十分説明するとともに、企業主導治験の場合は治験依頼者に通知しなければならない。
(実施計画書からの逸脱等)
第14条 治験責任医師等は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、全てこれを記録し、その写しを保存しなければならない。
2 前項の場合において、治験責任医師は、治験実施計画書からの逸脱に関する報告書を、企業主導治験の場合は附属病院長及び治験依頼者に、医師主導治験の場合は附属病院長に直ちに提出しなければならない。
3 附属病院長は、前項の報告を受けたときは、審査委員会の意見を求め、その結果を治験審査結果通知書により、企業主導治験の場合は治験依頼者及び治験責任医師に、医師主導の場合は自ら治験を実施する者に通知しなければならない。
4 第 1 項の場合において、企業主導治験の場合、治験責任医師は、附属病院長を経由して、治験依頼者から治験実施計画書からの逸脱に関する通知書により合意を得なければならない。
(症例報告書)
第15条 治験責任医師等は、治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成し、これに記名押印又は署名しなければならない。
2 治験責任医師等は、症例報告書の記載を変更し、又は修正するときは、その日付を記載してこれに押印又は署名しなければならない。
3 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書を点検し、内容を確認した時に、これに記名押印又は署名しなければならない。
(重篤な有害事象の発生)
第16条 企業主導治験の場合、治験責任医師は、治験薬との因果関係の有無に関わらず死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに重篤な有害事象に関する報告書により附属病院長に報告するともに、治験依頼者に通知しなければならない。
医師主導治験の場合、治験責任医師は、本項の発生を認めたときは、直ちに重篤な有害事象に関する報告書により附属病院長(一つの実施計画書に基づき共同で複数の医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に報告するとともに、治験薬提供者に通知しなければならない。
2 附属病院長は、前項の報告を受けたときは、審査委員会の意見を求め、その結果を治験審査結果通知書により企業主導治験の場合は治験依頼者及び治験責任医師に、医師主導治験の場合は自ら治験を実施する者に通知しなければならない。
(中止等)
第17条 附属病院長は、企業主導治験において、治験依頼者から開発の中止等に関する報告書により治験を中断又は中止する旨の通知があった場合は、速やかにその旨及びその理由等を審査委員会及び治験責任医師に通知しなければならない。医師主導治験において、自ら治験を実施する者から本項の通知が合った場合は、速やかにその旨及びその理由を審査委員会に通知しなければならない。
2 治験責任医師は、前項の通知があった場合は、速やかに被験者に通知し、適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
3 治験責任医師は、自らが治験を中断又は中止した場合は、速やかに附属病院長に治験終了(中止・中断)報告書により報告するとともに、速やかに被験者に通知し、適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
4 附属病院長は、前項の報告があった場合は、その旨及びその理由を企業主導治験の場合は治験依頼者及び審査委員会、医師主導治験の場合は審査委員会に通知しなければならない。
(複数年にわたる治験の継続審査)
第18条 治験責任医師は、治験の期間が 1 年を超える場合には、附属病院長が別に定める日までに治験実施状況報告書により治験の実施状況を附属病院長に報告しなければならない。
2 附属病院長は、前項の報告があった場合は、当該治験を継続して行うことの適否について審査委員会の意見を聞かなければならない。
3 附属病院長は、前項の審査委員会の意見に基づき、第7条第3項から第5項の規定に準じて、当該治験の継続の適否について処理するものとする。
(完了報告)
第19条 治験責任医師は、治験を終了したときは、速やかに治験終了(中止・中断)報告書により附属病院長にその旨を報告しなければならない。
2 附属病院長は、前項の報告があった場合、その旨を企業主導治験の場合は治験依頼者及び審査委員会に、医師主導治験の場合は審査委員会に通知しなければならない。
(治験総括報告書の作成)
第20条 自ら治験を実施する者は、治験の終了又は中止にかかわらず、医薬品医療機器法第 14 条第 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準、医薬品 GCP 省令、医療機器 GCP 省令
又は再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 26 年厚生労働省令第
89 号)(以下「再生医療等製品GCP省令」という。)並びに「治験の総括報告書の構成
と内容に関するガイドライン(平成 8 年 5 月 1 日薬審第 335 号)」に従って、治験総括報告書を作成する。なお、多施設共同治験にあっては自ら治験を実施する者が共同で作成することができる。
2 自ら治験を実施する者は治験総括報告書に監査証明書を添付して保存する。第5章 被験者の同意
(被験者の同意の取得)
第21条 治験責任医師等は、被験者となるべき者を治験に参加させるときは、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない。
2 被験者となるべき者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは、前項の規定にかかわらず、代諾者となるべき者の同意を得なければならない。この同意を得た場合において、代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録を作成しなければならない。
3 治験責任医師等は、当該被験者に対して治験薬の効果を有してないと予測される治験においては、前項の規定にかかわらず、同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし、治験実施計画書に当該治験に参加させることができる旨明記され、審査委員会で承認された場合はこの限りでない。
4 治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者及び代諾者に質問する機会を与え、かつ、当該質問に十分に答えなければならない。
(被験者への説明文書)
第22条 治験責任医師等は、前条第1項の説明を行うときは、次に掲げる事項を記載した説明文書を交付しなければならない。
(1)治験は研究を伴うものであることについて
(2)治験の目的について
(3)治験の方法について
(4)治験に参加する時期・期間及び予定人数について
(5)予測される利益及び不利益について(治験薬の効果や副作用及び危険性について)
(6) 他の治療方法の有無とその内容について
(7) 治験に参加する期間、治験への参加の継続にあたり、意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに伝えられることについて
(8) 治験の参加を何時でも取りやめることができること、治験に参加しないこと、又は参加を取り止めることにより不利益な取扱いを受けないこと
(9) 治験を中止する場合の条件又は理由について
(10)治験参加中の費用負担について
(11)被験者の診療録を閲覧する場合があることについて
(12)被験者のプライバシーの保護について
(13)健康被害が発生した場合の治療及び補償について
(14)健康被害が発生した場合の相談窓口について
(15)この治験を審査した委員会について
(16)治験責任医師及び治験分担医師の氏名、職名及び連絡先について
(17)被験者が守るべき事項について
(18)その他治験に係る必要な事項
2 説明文書には、被験者となるべき者に権利を放棄させる旨又はそれを疑わせる記載並びに治験依頼者、附属病院及び治験責任医師等の責任を免除し若しくは軽減させる旨又はそれを疑わせる記載をしてはならない。
3 説明文書には、できる限り平易な表現を用いなければならない。
(同意文書等の署名及び交付)
第23条 第21条第1項に規定する同意は、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者(以下「被験者となるべき者等」という。)が説明文書の内容を十分理解した上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び治験協力者並びに被験者となるべき者等(第3項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人)が日付を記載してこれに記名押印し、又は署名しなければならない。
2 第21条第 1 項及び第2項に規定する同意は、治験責任医師等に強制され、又はその判
断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。
3 説明文書を読むことができない被験者となるべき者等(第21条第2項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第1項に規定する説明及び同意は、立会人を立ち合わせた上で行わなければならない。この場合において、立会人は治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
4 治験責任医師等は、第1項の同意文書の写しを、被験者、代諾者に交付しなければならない。
(被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)
第24条 治験責任医師は、治験依頼者から安全性情報等に関する報告書により、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認められる情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が継続して治験に参加するかどうかを確認しなければならない。この場合において、第21条第4項及び前条第2項の規定を準用する。
2 治験責任医師は、前項の場合において、説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂しなければならない。
3 治験責任医師は、前項の規定により説明文書を改訂したときは、その旨を附属病院長に報告するとともに、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければならない。この場合においては、第21条から前条までの規定を準用する。
4 附属病院長は、前項の報告を受けた場合は、審査委員会の意見を求め、その結果を治験審査結果通知書により企業主導治験の場合は治験依頼者及び治験責任医師に、医師主導治験の場合は自ら治験を実施する者に通知しなければならない。
(緊急状況下における救命的治験)
第25条 治験責任医師等は、第21条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象としている治験においては、次の各号のすべてに該当する場合に限り、被験者となるべき者等の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができるものとする。
(1)被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
(2)現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
(3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
(4)予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。
(5)代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
2 治験責任医師等は、前項に規定する場合には、速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い、当該治験への参加について
文書により同意を得るとともに、その経過及び結果を緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書により附属病院長に報告しなければならない。この場合において、附属病院長は審査委員会に報告しなければならない。
第6章 治験薬等の管理
(治験薬等の管理)
第26条 附属病院長は、附属病院において治験薬を適切に保管、管理し、治験薬管理の総括責任者となる者として「治験薬管理者」を置く。
2 治験薬管理者は、原則として薬剤部長とする。だだし、医療機器においては、原則治験責任医師が管理するものとする。
3 治験薬管理者は、「治験薬管理実務担当者」を指名し、その実務の一部を委嘱することができる。
4 附属病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から提出された治験薬等の管理に関する手順書(以下「治験薬手順書」という。)を治験薬管理者に交付しなければならない。
5 治験薬管理者は、治験薬手順書に従って治験薬を適切に管理することとし、次に掲げる業務を行う。
(1)治験薬等を受領し、治験薬等受領書を発行する。
(2)治験薬等の保管、管理及び払い出しを行うこと。
(3)治験薬等管理表及び治験薬等出納表を作成し、治験薬等の使用状況及び治験等進捗状況を把握すること。
(4)被験者からの未使用治験薬等の返却及びその記録を作成すること。
(5)未使用治験薬等(被験者からの未使用返却治験薬等、使用期限切れ治験薬等、欠陥品を含む。)を治験依頼者等に返却し、未使用治験薬等返却書を発行すること。
(6)その他治験依頼者又は自ら治験を実施する者等が作成した治験薬手順書に従い治験薬等を適切に管理すること。
第7章 記録の保存・治験事務局等
(記録の保存)
第27条 附属病院長は、治験に関する記録について、次に掲げる区分ごとに記録保存責任者を定め、適切に保存しなければならない。
(1)原資料のうち診療録
診療情報管理室長
(2)治験実施計画書、診療録以外の原資料、同意文書及び説明書その他治験の実施に関す
る記録等
治験責任医師
(3)治験実施承認申請等に係る書類及び治験実施審査結果並びに治験実施に関する契約文書等
臨床治験センター長
(4)治験薬の管理に関する書類治験薬管理者
2 治験に関する書類は、次のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者又は自ら治験を実施する者と協議するものとする。
(1)当該治験薬に係る製造販売承認日(開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知をした日から 3 年が経過した日)
(2)当該治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
3 製造販売後臨床試験に係る書類は、当該治験薬の再審査又は再評価が終了した日から
5年間保存しなければならない。
(治験事務局)
第28条 治験に関する事務は、京都府立医科大学附属病院臨床治験センターにおいて処理する。
(モニタリング・監査への協力)
第29条 附属病院長は、治験依頼者又は自ら実施する者が指定した特定の者、によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査に協力するものとする。
2 附属病院長及び治験責任医師は、前項のモニタリング、監査又は調査が実施される際には、モニター、監査担当者並びに治験審査委員会及び規制当局の求めに応じ、第27条第
1項の治験に関連する記録を直接閲覧に供しなければならない。第8章 製造販売後臨床試験
(製造販売後臨床試験)
第30条 製造販売後臨床試験の取扱いについては、第4条から第28条までの規定を準用する。この場合において、「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と、「治験実施計画書」とあるのは、「製造販売後臨床試験実施計画書」と、「治験責任医師」とあるの
は「製造販売後臨床試験責任医師」と、「治験分担医師」とあるのは、「製造販売後臨床試験分担医師」と、「治験責任医師等」とあるのは、「製造販売後臨床試験責任医師等」と、「治験依頼者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「治験薬管理者」とあるのは「製造販売後臨床試験薬管理者」と、「治験薬」とあるのは「製造販売後臨床試験薬」と、「治験協力者」とあるのは「製造販売後臨床試験協力者」と読み替えるものとする。ただし、第26条第2項の規定は除く。
第9章 医療機器の臨床試験
(医療機器の臨床試験)
第31条 医療機器の臨床試験の取扱いについては、医薬品医療機器等法、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 17 年厚生労働省令第 36 号)(以下「医療機器G CP省令」という。)及び医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成 17 年厚生労働省令第 38 号)による。
2 前項の医療機器の治験を実施する場合は、第2条の定義のうち「被験薬」を「被験機器」に、「対照薬」を「対照機器」に、「治験薬」を「治験機器」及び「製造販売後臨床試験機器」(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)に、読み替えるものとする。
第10章 体外診断用医薬品の臨床試験
(臨床性能試験、相関性能試験)
第32条 臨床性能試験、相関性能試験の取り扱いについては、医薬品医療機器等法及び医療機器GCP省令による。
第11章 再生医療等製品の臨床試験
第33条
再生医療等製品の臨床試験の取り扱いについては、医薬品医療機器等法並びに再生医療等製品GCP省令及び再生医療等製品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成 26 年厚生労働省令第 90 号)による。
2 前項の再生医療等製品の治験を実施する場合は、第2条の定義のうち「被験薬」を「被験製品」に、「対照薬」を「対照製品」に、「治験薬」を「治験製品」又は「再生医療等製品」(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)に、読み替えるものとする。
第12章 その他
(雑則)
第34条 この規定に定めるもののほか、治験、製造販売後臨床試験、医療機器の臨床試験、再生医療等製品の臨床試験及び体外診断用医薬品の臨床試験の取扱いに関して必要な事項については、附属病院長が別に定める。
附 則
この規程は、平成20年 4月 1日から施行する。附 則(平成21年規程第146-1号)
この規程は、平成21年 1月 1日から施行する。附 則(平成21年規程第146-2号)
この規程は、平成21年11月 1日から施行する。附 則(平成22年規程第146-3号)
この規程は、平成22年 4月 1日から施行する。附 則(平成24年規程第146-4号)
この規程は、平成24年 4月16日から施行する。但し、第18条、第20条及び第
21条を除く改正後の規程は、平成24年 4月 1日から適用する。
附 則(平成25年規程第146-5号)
この規程は、平成25年 7月 1日から施行する。附 則(平成25年規程第146-6号)
この規程は、平成25年 9月20日から施行する。附 則(平成26年規程第146-7号)
この規程は、平成26年12月16日から施行する。附 則(平成27年規程第146-8号)
この規程は、平成27年4月16日から施行し、平成27年4月1日から適用する。附 則(平成28年規程第146-9号)
この規程は、平成28年 9月 1日から施行する。附 則(平成28年規程第146-10号)
この規程は、平成29年 3月 1日から施行する。附 則(平成31年規程第146-11号)
この規程は、平成31年 4月 1日から施行する。