Contract
前払購入保険約款
平成29年4月1日 17‐制度‐00008
沿革 令和2年2月28日 一部改正令和2年9月4日 一部改正令和5年1月30日 一部改正令和6年2月28日 一部改正
第1章 総則
( この約款の内容)
第1条 この約款は、貿易保険法( 昭和25年法律第67号。以下「法」という。) の規定に基づく前払購入保険の保険約款とする。
( 定義)
第1条の2 この約款における用語の定義は別表に定めるところによる。
第2章 てん補の範囲
( てん補危険)
第2条 日本貿易保険は、被保険者が、前払購入契約に基づいて購入貨物の引渡しを受けることができなくなり、かつ、前払金の返還を当該前払購入契約に基づき請求した場合において、次条各号のいずれかのてん補事由によって当該前払金の返還を受けることができないことにより受ける損失を、この約款( 別に特約を締結したときは当該特約を含む。以下同じ。) の定めるところに従い、てん補する責めに任ずる。
( てん補事由)
第3条 前条に規定するてん補事由は、次のとおりとする。
一 外国において実施される為替取引( 外貨交換及び外貨送金を含む。)の制限又は禁止二 政府間合意に基づく債務繰延べ協定又は前払購入契約の相手国に起因する外貨送金
遅延
三 為替の換算率にかかわらず現地通貨による償還をもってする前払金の弁済を有効とする旨の前払購入契約の相手国の法令の制定その他の外国の政府、州政府又は地方公共団体による前払金の全部又は一部の償還を免除する措置又は決定
四 外国の政府、州政府又は地方公共団体による収用
五 外国の政府、州政府又は地方公共団体による前払金の全部又は一部の償還を妨げる違法又は差別的な措置又は決定
六 国際連合その他の国際機関又は前払購入契約の相手国以外の国による経済制裁七 本邦外において生じた次のいずれかに該当する事由による為替取引の途絶
イ 戦争、革命、テロ行為その他の内乱、暴動、騒擾又はゼネラルストライキ
ロ 暴風、豪雨、洪水、高潮、落雷、地震、噴火、津波、人為的でない火災その他の自然現象による災害
ハ 原子力事故
八 前各号に掲げるもののほか、本邦外において生じた事由であって、前払購入契約の当事者の責めに帰することができないもの
九 前払購入契約の相手方についての破産手続開始の決定( 破産手続開始の決定の事実が公的機関により明らかにされた場合に限る。)
十 前払購入契約の相手方についての破産手続開始の決定に準ずる事由( 支払不能の事実が公的機関により明らかにされた場合に限る。)
十一 前払購入契約の相手方の3月以上の前払金に係る債務の履行遅滞( 被保険者の責めに帰することができないものに限る。)
第3章 損失額及びてん補責任額
( 損失額)
第4条 第2条の損失の額は、以下で算出した残額をいう。
返還を受けることができない -前払金の額( 注)
次条各号の控除すべき金額の合計
( 注) 保険価額のうち、被保険者が前条各号のいずれかのてん補事由により前払金の返還期限( 前条第11号に該当する事由によるときは、前払金の返還期限から3月を経過した時) までに返還を受けることができない前払金の額をいう。
( 損失額算出上控除する金額)
第5条 前条の規定により控除すべき金額は、次の各号に掲げる金額とする。一 他の購入貨物の代金と相殺又は充当した金額
二 被保険者が、損害賠償請求権の行使等により取得した金額( ただし、前払金返還期限後回収した延滞金利を除く。)
三 当該事由の発生により支出を要しなくなった金額
( てん補責任額)
第6条 日本貿易保険がてん補すべき額は、以下で算出した残額に保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た額とする。ただし、次の割合を限度とする。
一 第3条第1号から第8号までのいずれかのてん補事由の場合は100分の97.5二 第3条第9号から第11号までのいずれかのてん補事由の場合は100分の90
第4条に定める- 損失防止軽減することができたと
賠償を受けることができたと
+
損失額
認められる金額( 注)
認められる金額
( 注) 被保険者が第14条第1項又は第2項の規定による義務の履行を怠った場合に被保険者がその義務を履行すれば防止軽減することができたと認められる金額をいう。
( 免責)
第7条 日本貿易保険は、第9条第3項及び第17条第3項に規定するもののほか、次の各号に掲げる損失をてん補する責めに任じない。
一 被保険者等の故意又は重大な過失により生じた損失
二 購入貨物の滅失、き損、だ捕、その他貨物について生じた損失( 共同海損、救助料その他海上保険によって通常てん補される損失を含む。)
三 前払購入契約に関して保険契約者又は被保険者による法令( 外国の法令を含む。)違反があった場合において生じた損失
四 前払購入契約に関して被保険者等による不正競争防止法( 平成5年法律第47号) 又は刑法( 明治40年法律第45号) の贈賄に関する規定違反があった場合において生じた損失
五 第9条第1項に規定する保険責任の開始日前に発生した第3条各号のいずれかのてん補事由によって生じた損失
六 保険申込時の申告内容に事実との相違がある場合又は不正確な申告があることにより、前払購入保険の引受方針について( 平成29年4月1日 17‐制度‐00089)に定め
る基準を満たさない前払購入契約について、貿易保険に係る保険契約締結の内諾について( 平成29年4月1日 17‐制度‐00071)に規定する日本貿易保険の内諾を得ずに保険契約が締結された場合において生じた損失( ただし、日本貿易保険が保険契約の訂正を承認した場合は、当該承認日以降に発生した第3条各号のいずれかのてん補事由による損失を除く。)
( 保険金不払、保険金返還、保険契約の解除)
第8条 日本貿易保険は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該保険金の全部若しくは一部を支払わず、若しくは当該保険金の全部若しくは一部を返還させ、又は当該保険契約を解除することができる。
一 被保険者等の過失( 重大な過失を除く。) により損失が生じたとき
二 保険契約者又は被保険者が故意又は過失により事実を告げなかったとき、又は真実でないことを告げたとき
三 環境ガイドラインに基づき、保険契約者又は被保険者が日本貿易保険に提出したスクリーニングフォーム( 環境ガイドラインで定めるスクリーニングフォームをいう。)の内容の全部又は一部が、保険契約者又は被保険者の故意又は過失により事実に反しているか、又は記載すべき事項を記載していないため環境ガイドラインに定めるカテゴリA又はBに分類されるべき当該プロジェクトがカテゴリCに分類されたとき
四 被保険者等が、前払購入契約に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反したとき
五 前各号に掲げるほか、保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき六 前払購入契約が無効であったとき
七 被保険者等が、反社会的勢力等による経営の支配若しくは実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供若しくは便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係にあると認められるとき
2 この約款に特別の定めがない限り、前項の規定による解除その他の保険契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じる。
( 保険期間)
第9条 日本貿易保険の保険責任の開始日は、前払予定日、実際に最初の前払が行われた日、前払購入契約が締結された日又は保険契約の締結を行った日のうちもっとも遅い日とする。
2 日本貿易保険の保険責任の終了日は、前項に規定する保険責任の開始日の6月ごとの応当日のうち、前払金の返還の期限の日の直後の応当日とする。
3 第1項の責任が始まる前に第3条各号のいずれかのてん補事由が生じたときは、日本貿易保険は、当該事由による損失をてん補する責めに任じない。
4 日本貿易保険は、第3条第11号のてん補事由による損失の場合については、前払金の返還の期限が保険期間内にあればてん補の対象とし、当該返還の期限から3月を経過した日が保険期間内にある必要はないものとする。
第4章 保険契約者又は被保険者の義務
( 他の保険契約の通知義務)
第10条 保険契約者又は被保険者は、前払購入契約について、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在することを知ったときは、当該事実を知った日から1月以内、かつ、保険金の支払請求時までに当該保険契約について日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 債権保全義務)
第11条 被保険者は、他の債権における注意と同様の注意をもって前払金の返還請求に係る債権の管理保全に努めなければならない。
( 損失を受けるおそれが高まる事情発生の通知義務)
第12条 被保険者は、前払金の返還の期限前に、次の各号に掲げる損失を受けるおそれが高まる事情の発生を知ったときは、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。 一 前払購入契約の相手方からの信用補完措置等の変更、破棄( ただし、第18条に該当
する場合を除く。)
二 前払購入契約の相手方についての破産手続開始の決定又は破産手続開始の決定に準ずる事由の発生
三 信用補完措置等を行う者についての破産手続開始の決定又は破産手続開始の決定に準ずる事由の発生
( 損失等発生の通知義務)
第13条 被保険者は、第3条第1号から第10号までのいずれかのてん補事由による損失の発生を知ったとき、又は前払金の返還の期限までに前払購入契約に基づく前払金の返還が行われず、第3条第11号のてん補事由による損失を受けるおそれのある場合には、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 損失の防止軽減等の義務)
第14条 被保険者は、損失を防止軽減するため、他の債権における注意と同様の注意をもって一切の合理的措置を講じなければならない。
2 被保険者は、損失の全部又は一部の賠償又は保証債務の履行を受けることができる場合、その賠償請求権又は保証債務履行請求権の行使又は保全に必要な手続を怠ってはならない。
3 日本貿易保険は、被保険者が前2項の規定による義務の履行のために要した費用をその義務の履行によって取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
( 入金の通知義務)
第15条 被保険者は、損失等発生通知を行った後、保険金の支払を請求する以前に回収した金額があるときは、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 調査に応ずる義務)
第16条 保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険が購入貨物若しくは前払購入契約に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は前払購入契約に関する帳簿書類、購入貨物その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
2 被保険者は、第28条第7項の規定により納付すべき金額に係る債権の保全上の必要に基づいて、日本貿易保険が業務若しくは資産の状況に関し、調査、報告、若しくは資料の提出を求めた場合又は業務若しくは資産の状況に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
( 贈賄行為に関与しない旨の宣誓義務等)
第16条の2 保険契約者及び被保険者は、不正競争防止法及び刑法の規定に違反する贈賄行為にかかわっていないこと及び今後ともかかわらないことを日本貿易保険に対して誓約しなければならない。
2 被保険者等が前払購入契約に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反した罪により起訴された場合、保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険に対して速やかに報告しなければならない。
第5章 保険契約の無効、失効、解除
( 告知義務違反)
第17条 保険契約締結の当時、被保険者等が損失を受けるおそれのある重要な事実のあることについて、故意又は過失によって、日本貿易保険にこれを告げず、又は真実でないことを告げたときは、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
2 前項の規定による解除権は、日本貿易保険が解除の原因を知った日から2月間行使しないときは、消滅する。
3 被保険者に損失が発生した後に日本貿易保険が第1項に基づいて保険契約を解除した場合においても、日本貿易保険は当該損失をてん補する責めに任じない。ただし、当該損失が、第1項に規定する損失を受けるおそれのある重要な事実に基づいて発生したものではない場合は、この限りでない。
( 前払購入契約の内容の変更)
第18条 被保険者が前払購入契約の内容に関し、次の各号に掲げる変更を行ったときは、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
一 表示通貨の変更
二 前払購入契約の相手方の変更
三 相手国、船積国又は仕向国の変更四 前払金額の5% 以上の増額
五 前払金の返還期限の延長( 第9条第2項に定める保険責任の終了日の延長を伴うものに限る。)
2 日本貿易保険は、前項に規定する通知を受けたときには、保険契約を解除することができる。ただし、日本貿易保険が書面で承認したときは、この限りでない。
3 前項の承認に条件を付けた場合であって、当該条件が成就されないときには、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
4 前2項の規定に基づく解除は、重大な変更があった時から将来にわたってのみ効力を生ずる。
5 日本貿易保険は、被保険者が第1項に規定する通知を怠った場合、重大な変更があった時から保険契約は、効力を失ったものとみなすことができる。
6 被保険者は、前払購入契約の内容に関して重大な変更に該当しない変更を行った場合であって、保険契約の変更を希望するときは、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
第6章 保険料
( 保険料の納付等)
第19条 保険契約者は、保険契約を締結した場合又は重大な変更を行った場合であって保険契約者が保険料を納付すべきときその他保険契約者が保険料を納付すべき場合においては、日本貿易保険が発行する保険料請求書に従い、日本貿易保険が指定する日までに保険料率等規程に従って日本貿易保険の指定する額の保険料の全額を日本貿易保険に納付しなければならない。
2 保険契約者が日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに前項に規定する保険料の全額を納付しなかったときは、保険契約者は、保険料及び当該保険料について日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日の翌日から保険契約者の納付すべき保険料が納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険が発行する保険料請求書に従い、納付しなければならない。ただし、第4項の規定に基づき保険契約が解除された場
合は、この限りでない。
3 前項の規定により延滞金を納付しなければならない場合において、保険契約者が納付すべき保険料及び延滞金の全額に満たない額を納付したときは、日本貿易保険は納付された金額を保険料、延滞金の順に充当する。
4 保険契約者が、日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに日本貿易保険の指定する額の保険料の全額又は延滞金の全額を納付しなかったときは、日本貿易保険は保険契約の全部又は一部を解除することができる。
5 前項の規定による解除は、当該保険料又は延滞金が保険契約を締結した場合において納付すべきものであるときは保険契約の締結の日から、被保険者が重大な変更を行った場合において納付すべきものであるときは当該重大な変更があった日から効力を生ずる。
6 保険契約者について、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始若しくは特別清算手続開始の各決定又は外国の法令に基づく制度上これに準ずる手続があった場合には、第1項の規定にかかわらず、日本貿易保険からの通知等を要さずに、保険契約者は、日本貿易保険に対する第1項に定める保険料の支払債務について当然に期限の利益を失い、直ちに保険料の全額を支払うものとする。ただし、当該期限の利益の喪失後、日本貿易保険は、新たに支払期日を指定することができる。
( 保険料の返還)
第20条 日本貿易保険は、保険料の納付が日本貿易保険の指定する日の翌日以後になされた場合であって日本貿易保険が前条第4項の規定に基づき保険契約を解除したとき又は日本貿易保険が同項の規定に基づき保険契約を解除した日以後に保険料が納付された場合は、当該納付に係る保険料に100分の90を乗じて得た金額を返還する。
2 保険責任が始まる前に第3条各号のいずれかに該当する事由( 保険契約の申込みの当時保険契約者が存在することを知っていた事由を除く。) が生じた場合において保険契約者がその事実を知って、日本貿易保険に遅滞なく書面で保険契約の解除を通知したときは、保険契約は締結の日にさかのぼって効力を失うものとし、日本貿易保険は、保険料に100分の90を乗じて得た金額を返還する。
3 被保険者が、前払購入契約の内容変更又はその他合理的理由により保険価額の減少又は保険期間の短縮を申請し、日本貿易保険がこれを承認した場合は、日本貿易保険がてん補すべき責めに任じなくなった部分に相当する保険料について、100分の90を乗じて得た金額を返還する。ただし、保険料率等規程で定めるときを除く。
4 前3項に定める場合のほか、保険契約の無効、失効若しくは解除の場合又は日本貿易保険が損失をてん補する責めに任じない場合においても、日本貿易保険は保険料を返還しない。ただし、保険料率等規程で定める場合は、保険料の全部又は一部を返還する。
第7章 保険金の支払
( 保険金受取人)
第21条 被保険者は、保険金請求事務を被保険者の代わりに行い、被保険者のために保険金を受領する者として保険金受取人を定めることができる。保険金受取人は、日本貿易保険が特に認めた場合を除き、1名とする。
2 被保険者は、保険契約の締結後に、保険金受取人を指定、変更又は廃止する場合には、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
3 保険金受取人を定めた場合、被保険者は、この証券記載の保険金受取人を通じてのみ保険金の支払を請求することができる。
4 日本貿易保険は、この証券記載の保険金受取人が保険金の支払を請求してきた場合に
は、当該保険金受取人に対して保険金を支払うものとし、この場合、日本貿易保険は被保険者に対して保険金を支払ったものとみなし、当該保険金支払債務は消滅するものとする。
( 保険金の請求)
第22条 保険金請求人は、自己の費用をもって損失の計算を行い、日本貿易保険に保険金の支払を請求しなければならない。
2 前項の請求は、日本貿易保険が別に定める期間内に行うものとする。ただし、保険金請求人が保険金の請求期間について猶予期間の設定を申請し、日本貿易保険が特に猶予期間を定めた場合は、この限りでない。
3 保険金請求人が正当な理由なく日本貿易保険が別に定める期間内又は日本貿易保険が定めた猶予期間内に保険金の支払の請求を行わない場合には、日本貿易保険は、保険金を支払わない。
4 保険金請求人は、第19条第1項及び第2項の規定にかかわらず、保険金の支払を請求するまでに、同条第1項及び第2項に規定する保険料及び延滞金の全部が支払われない限り、保険金の支払請求をすることが認められないものとする。
( 保険金請求権の消滅時効)
第23条 保険金請求権は、前払金の返還の期限( 第3条第11号のてん補事由による損失がてん補される場合にあっては、前払金の返還の期限から3月を経過した日) から3年を経過した場合、時効により消滅するものとする。
2 前条第4項の規定は、前項に基づく消滅時効の成立を妨げない。
( 前払金の返還の期限前の請求)
第24条 被保険者は、前払金の返還の期限前において、第3条各号のいずれかに該当する事由の発生により返還期限までに前払金を回収することができないことが確実であるときは、損失の発生について、日本貿易保険の確認を求めることができる。
2 前項の場合における損失額は、第4条の規定により算出した損失額のうち、元本及び前項の確認があった日までに発生した利子に係るものとする。
( 保険金の支払)
第25条 日本貿易保険は、第22条第1項に定める手続による請求を受けた日から2月以内に保険金を支払う。ただし、調査のため特に時日を要するときは、この限りでない。
2 被保険者と前払購入契約の相手方との間に保険契約の対象となる権利に係る紛争がある場合( 当該権利の存在、有効性及び金額に疑義がある場合を含むが、これらに限らない。)、両当事者を拘束する仲裁判断、確定判決又は和解等により当該紛争が最終的に解決したことを証する資料が提出されるまでの間、日本貿易保険は保険金の支払を留保することができる。
( 他の保険契約等との関係)
第26条 この証券記載の前払購入契約につき、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在し、かつ、各保険契約のてん補責任額の合計が損失額を超える場合には、第4条の損失額に、第6条のてん補責任額の各保険契約のてん補責任額の合計額に対する割合を乗じて得た額を支払保険金額とする。
第8章 債権の回収
( 保険代位)
第27条 日本貿易保険は、保険金を支払ったときは、法第42条の規定に基づき保険金の支払のときに被保険者の有していた前払金に係る債権を支払った保険金の額の第4条に規定する残額に対する割合をもって取得する。
( 回収金の納付)
第28条 被保険者は、前条の規定にかかわらず、保険金の支払の請求がなされた後においても、自己又は日本貿易保険のために前払購入契約に基づく前払金又は損害賠償金、違約金その他これらに類する金銭の回収に努めなければならない。ただし、当該回収に係る権利の行使の相手方についての破産手続開始の決定がなされたことその他やむをえない事由により当該回収に係る権利を行使することが困難であることについて被保険者が日本貿易保険に書面で申請してその認定を受けたとき又は第4項若しくは次条第3項の規定に基づき権利行使等の委任を行ったときは、この限りでない。
2 被保険者は、前項に規定する義務の履行の状況について、日本貿易保険に書面で報告しなければならない。ただし、前項ただし書の規定により日本貿易保険の認定を受けたとき又は権利行使等の委任を行ったときは、この限りでない。
3 被保険者は、前条に規定する日本貿易保険の保険代位を前払購入契約の相手方の住所地法において当該相手方その他の第三者に対抗することができるために必要な手続を行うことを日本貿易保険が指示したときは、これに従わなければならない。
4 被保険者は、前項による義務を履行したときは、被保険者が有している保険事故に係る債権について日本貿易保険に対し権利行使等の委任を行わなければならない。
5 被保険者は、前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項について、共通運用規程に従わなければならない。
6 日本貿易保険は、第1項による義務の履行のために要した費用を取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
7 被保険者は、保険金の支払の請求がなされた後、回収した金額があるときは、日本貿易保険に書面で通知し、かつ、日本貿易保険が指定する次の式で算出された金額を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
支払保険金額
( 回収金額- A) ×
第4条の損失額 - B
Aは、第1項による義務の履行のために要した費用( ただし、日本貿易保険が認めた金額に限る。)
Bは、第4条の損失額に前払金の返還の期限の翌日から保険金支払日( 回収が保険金の支払を受けた日以前の場合には、当該回収のあった日) までの期間に応じ共通運用規程に定める利率を乗じて得た額から保険金請求日までに回収した延滞利息( 保険金請求までに回収した元本に係る延滞利息を除く。) を除いた額に支払った保険金の額の第4条の損失額に対する割合を乗じて得た金額から既に被保険者に充当した金額を除いた金額又は回収した金額からAを除いた金額に支払った保険金の額の第4条の損失額に対する割合を乗じて得た金額のいずれか少ない金額
8 前項の場合において、前項に規定する期間内に当該各項の通知をすることを怠った被保険者は、回収納付金額について回収のあった日( 回収のあった日が、保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日) の翌日から当該通知をした日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した違約金を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
9 被保険者は、第7項又は前項のいずれかに該当する場合において、各項の規定に基づき日本貿易保険に納付すべき金額を日本貿易保険の指定する日までに納付しなかったときは、当該金額及び当該金額について日本貿易保険の指定する日の翌日から納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。
10 前2項の規定により違約金又は延滞金を納付すべき場合において、被保険者が回収納付金額、違約金及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を回収納付金額、違約金、延滞金の順に充当する。
( 日本貿易保険による権利の行使)
第29条 日本貿易保険は、保険金支払前に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、被保険者から当該債権に係る権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
2 日本貿易保険は、第27条の規定に基づき保険代位を行った後に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、当該債権のうち被保険者が有している部分について被保険者から権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
3 被保険者は、日本貿易保険から前2項の申込みを受けた場合は、合理的な理由のあるときを除き、これに応じなければならない。
4 前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項については、前条第5項を準用する。
5 日本貿易保険は、第3項又は前条第4項の規定により権利行使等の委任を受けた保険事故に係る債権の行使を第三者に委任することができる。
第9章 雑則
( 換算率)
第30条 この約款において、外貨を邦貨に、邦貨を外貨に、又は一の外貨を他の外貨に換算する場合に適用する外国為替相場は、次の各号のとおりとする。また、次の各号に定める始値は、日本貿易保険が認めたものをいう。
一 外貨を邦貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する対顧客直物電信買相場の始値
二 邦貨を外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する対顧客直物電信売相場の始値
三 一の外貨を他の外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する当該外貨間の換算率の始値
2 前払金の額が外貨建てのときは、保険価額、第4条の損失額及び第6条のてん補責任額は、次の各号の規定に基づき邦貨に換算するものとする。ただし、日本貿易保険が別に定めた場合は、この限りでない( 以下第3項から第5項までの各項において同じ。)。一 保険価額については、前払購入契約の締結の日( 保険契約の締結後に前払金の額が
増額変更された場合の当該増額部分にかかる保険価額又は前払金の額が邦貨建てから外貨建てに変更された場合若しくは外貨建てから他の外貨建てに変更された場合の保険価額は、当該前払購入契約が変更された日) における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算する。ただし、前払金について、当該前払金に係る外貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
二 第4条の損失額及び第6条のてん補責任額については、前払購入契約の締結日における前項第1号の外国為替相場( ただし、前払金について、当該前払金に係る通貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率) 又は前払金の返還の期限の日における前項第1号の外国為替相場のいずれか円高( 前払購入契約に表示された外貨の本邦における邦貨をもって表示される外国為替相場が低落した場合をいう。) の外国為替相場により邦貨に換算する。
3 第5条第1号から第3号までの金額が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該金額は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨
に換算するものとする。
4 第28条第7項の規定に基づき回収した金額を納付する場合において、回収した金額が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該金額は、回収を確認した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。
5 第14条第3項又は第28条第6項に規定する日本貿易保険の負担する費用は、次の各号の規定により換算する。
一 第28条第7項に規定する費用が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
二 第28条第7項の規定によらない方法で日本貿易保険の負担する費用を請求する場合において、当該費用が外貨建てときは、当該費用は、その額が確定した日における第
1項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
6 第2項から第5項において定める日に第1項各号の外国為替相場がない場合は、その日の直前の第1項各号の外国為替相場のある日における当該外国為替相場を適用する。
7 第1項各号の外国為替相場が提示されていない外貨の場合には、他の通貨を媒体とした換算率を適用する。
8 日本貿易保険が特に認めた場合には、第1項から第7項までの規定にかかわらず、日本貿易保険の指定した換算率を適用する。
( 保険の目的又は保険金請求権の譲渡)
第31条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
3 第1項に基づき、保険の目的又は保険金請求権の譲渡について日本貿易保険の承認を受けたときは、譲渡の後に譲渡を行った旨を日本貿易保険に書面で通知するものとする。
( 保険金支払後の債権譲渡)
第32条 保険金支払日以後において、被保険者が、保険事故に係る債権のうち被保険者が有している部分を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
( 質権又は譲渡担保の設定)
第33条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権について質権又は譲渡担保を設定しようとするときは、当該質権又は譲渡担保権の取得予定者と連名で事前に日本貿易保険の承諾を得なければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承諾に当たっては、条件を付けることができる。
3 被保険者は、第1項の規定に基づく質権若しくは譲渡担保権を解除したとき又は質権若しくは譲渡担保権が消滅したときは、その旨を日本貿易保険に書面で通知するものとする。
( 共通運用規程)
第34条 この約款に規定するもののほか、損失防止軽減義務、回収義務、保険目的等の譲渡その他日本貿易保険が定める各保険に共通の事項については、共通運用規程において定める。
( 約款の改正)
第35条 日本貿易保険は、法令の改正、社会情勢の変動、その他相当の事由がある場合に、この約款を改正することができる。
( 手続事項)
第36条 この約款に基づく手続については、日本貿易保険がそのホームページにおいて対外的に周知する手続に基づいて行うものとする。
( 準拠法令)
第37条 この約款に定めていない事項については、法及びこれに基づく命令その他日本国の法令の定めるところによる。
附 則
この約款は、平成29年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和2年4月1日から実施する。附 則
この改正は、令和2年10月1日から実施する。附 則
この改正は、令和5年3月20日から実施する。附 則
この改正は、令和6年3月15日から実施する。
別表
用語( 五十音順) | 定義 |
回収納付金額 | 第28条第7項に基づき日本貿易保険に納付すべき金額をいう。 |
環境ガイドライン | 貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン( 平成29年 4月1日 17‐制度‐00091) をいう。 |
共通運用規程 | 貿易保険共通運用規程( 平成29年4月1日 17‐制度‐00069) をいう。 |
銀行 | 銀行法( 昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行をい う。 |
重大な変更 | 前払購入契約の内容に関する第18条第1項各号に掲げる変更をいう。 |
信用補完措置等 | 前払購入契約の相手方からの前払金の返還を保証する契約その他の保険契約締結の当時確保していた又は確保し得べき前払金 の返還に係る一切の信用補完措置をいう。 |
損失等発生通知 | 第13条に規定する通知をいう。 |
日本貿易保険 | 法第3条に規定する株式会社日本貿易保険をいう。 |
反社会的勢力等 | 暴力団、暴力団員( 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者を含む。)、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他の反社会的勢力に該当し、又は反社会的勢力若しくはこれと密接な関係に ある者をいう。 |
被保険者 | 本邦人又は本邦法人( 本邦内に居住する外国人及び本邦内に所在する外国法人の支店、支社その他の営業拠点を含む。)であって、前払購入契約の当事者であり、前払購入契約の締結に関与し、自己の危険負担において当該契約上の義務を履行する者であって、被保険利益の実質的な帰属体となる者をいう。 |
被保険者等 | 保険契約者、被保険者若しくは保険金を受け取るべき者又はこれらの者の役員、代理人若しくは使用人をいう。 |
表示通貨 | 前払購入契約に表示された通貨( 邦貨の場合を含む。) をいう。 |
保険価額 | 前払金の額をいう。 |
保険金請求人 | 被保険者その他の保険金の支払を請求しようとする者をいう。 |
保険料率等規程 | 貿易保険の保険料率等に関する規程( 平成29年4月1日 17‐制度‐00070) をいう。 |
前払金 | 前払購入契約に基づいて当該購入貨物の船積期日前に支払った代金又は賃借料をいい、前払又は船積が2回以上となる場合は、原則として第1回目の船積までに支払った前払金額とする。ただし、当該前払金額に対する船積貨物の代金が正しく把握できる場合は、それぞれの前払金をいう。 |
前払購入契約 | この証券記載の前払購入契約をいう。 |
前払購入契約の相手方 | 前払購入契約の締結の相手方又は当該契約に係る前払金の返還義務を負う者をいう。 |
前払予定日 | 前払購入契約に基づいて前払金が支払われる予定の日をいう。 |