Contract
契約条項
(総則)
第1条 発注者(以下「甲」という。)及び請負者(以下「乙」という。)は、契約書及び この約款(以下「契約書」という。)に基づき、設計図書(別添の図面及び仕様書(この 契約の締結時において効力を有する工事標準仕様書が別に存在する場合は、これを含む。)をいう。以下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この契約書及び設計図 書を内容とする工事の請負契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
2 乙は、契約書記載の工事を契約書記載の工期内に完了し、工事目的物を甲に引き渡すものとし、甲は、その契約代金を支払うものとする。この場合において、工期が日数で定められているときは、国民の祝日に関する法律(昭和 23 年法律 第 178 号)に定める
休日、12 月 29 日から同月 31 日までの期間、1月2日、同月3日、日曜日及び土曜日は、この日数に算入しない。
3 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、乙がその責任において定める。
4 乙は、この契約の履行に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
5 この契約書に定める請求、通知、報告、申出、承諾及び解除は、書面により行わなければならない。
6 この契約の履行に関して甲乙間で用いる言語は、日本語とする。
7 この契約書に定める金銭の支払に用いる通貨は、日本円とする。
8 この契約の履行に関して甲乙間で用いる計量単位は、設計図書に特別の定めがある場合を除き、計量法(平成4年法律第 51 号)に定めるものとする。
9 この契約書及び設計図書における期間の定めについては、この契約書又は設計図書に特別の定めがある場合を除き、民法(明治 29 年法律第 89 号)及び商法(明治 32 年法律
第 48 号)の定めるところによるものとする。
10 この契約は、日本国の法令に準拠するものとする。
11 この契約に係る訴訟については、甲の事務所の所在地を管轄する日本国の裁判所をもって合意による専属的管轄裁判所とする。
12 乙が共同企業体を結成している場合においては、甲は、この契約に基づくすべての行為を共同企業体の代表者に対して行うものとし、甲が当該代表者に対して行ったこの契約に基づくすべての行為は、当該企業体のすべての構成員に対して行ったものとみなし、また、乙は、甲に対して行うこの契約に基づくすべての行為について当該代表者を通じて行わなければならない。
(関連工事の調整)
第2条 甲は、乙の施工する工事及び甲の発注に係る第三者の施工する他の工事が施工上密接に関連する場合において、必要があるときは、その施工につき、調整を行うものとする。この場合において、乙は、甲の調整に従い、第三者の行う工事の円滑な施工に協力しなければならない。
(工程表)
第3条 乙は、設計図書に基づき、速やかに、工程表を作成し、甲に提出しなければならない。
(契約の保証)
第4条 乙は、契約金額が3千万円以上又は甲が別に指定した工事について、この契約の締結と同時に、次の各号の一に掲げる保証を付さなければならない。ただし、第5号の場合においては、履行保証保険契約の締結後、直ちにその保険証券を甲に寄託しなければならない。
一 契約保証金の納付
二 契約保証金に代わる担保となる有価証券等の提供
三 この契約による債務の不履行により生ずる損害金の支払いを保証する銀行、甲が確実と認める金融機関等又は保証事業会社(公共工事の前払金保証に関する法律(昭和 27 年法律第 184 号)第2条第4項に規定する保証事業会社をいう。以下同じ。)の保証
四 この契約による債務の履行を保証する公共工事履行保証証券による保証
五 この契約による債務の不履行により生ずる損害をてん補する履行保証保険契約の締結
2 前項の保証に係る契約保証金の額、保証金額又は保険金額(第4項において「保証の額」という。)は、契約金額の 10 分の1以上としなければならない。
3 第1項の規定により、乙が同項第2号又は第3号に掲げる保証を付したときは、当該保証は契約保証金に代わる担保の提供として行われたものとし、同項第4号又は第5号に掲げる保証を付したときは、契約保証金の納付を免除する。
4 契約金額の変更があった場合には、保証の額が変更後の契約金額の 10 分の1に達するまで、甲は、保証の額の増額を請求することができ、乙は、保証の額の減額を請求することができる。
(権利義務の譲渡等)
第5条 乙は、この契約により生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、承継させ、又は担保の目的に供することができない。ただし、あらかじめ、甲の承諾を得た場合は、この限りでない。
2 乙は、工事目的物並びに工事材料で第 14 条の検査に合格したもの及び製作品で第 40条の検査に合格したものを第三者に譲渡し、貸与し、又は抵当権その他の担保の目的に供してはならない。ただし、あらかじめ、甲の承諾を得た場合は、この限りでない。
(一括委任又は一括下請負の禁止)
第6条 乙は、工事の全部又は大部分を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。
(下請負人の通知)
第7条 甲は、乙に対して、下請負人の商号又は名称その他必要な事項の通知を請求することができる。
(特許権等の使用)
第8条 乙は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権その他日本国の法令に基づき保護される第三者の権利(以下「特許権等」という。)の対象となっている施工方法を使用するときは、その使用に関する一切の責任を負わなければならない。ただし、甲がその施工方法を指定した場合において、設計図書に特許権等の対象である旨の明示がなく、かつ、乙がその存在を知らなかったときは、甲は、乙がその使用に関して要した費用を負担しなければならない。
(監督員)
第9条 甲は、監督員を定めたときは、その氏名を乙に通知しなければならない。監督員を変更したときも同様とする。
2 監督員は、この契約書の他の条項に定めるもの及びこの契約書に基づく甲の権限とされる事項のうち甲が必要と認めて監督員に委任したもののほか、設計図書に定めるところにより、次に掲げる権限を有する。
一 工事の施工についての乙又は乙の現場代理人に対する指示、承諾又は協議
二 設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付又は乙が作成した詳細図等の承諾
三 設計図書に基づく工程の管理、立会い、工事の施工状況の確認又は工事材料の試験若しくは検査
3 甲は、2名以上の監督員を置き、前項の権限を分担させたときは、それぞれの監督員の有する権限の内容を、監督員にこの契約書に基づく甲の権限の一部を委任したときは当該委任した権限の内容を、乙に通知しなければならない。
4 第2項の規定に基づく監督員の指示又は承諾は、原則として、書面により行わなければならない。
(材料検査員)
第 10 条 甲は、材料検査員を定めたときは、書面をもってその氏名を乙に通知しなければならない。材料検査員を変更したときも同様とする。
2 材料検査員は、この契約書の他の条項に定めるもの及びこの契約書に基づく甲の権限とされる事項のうち、甲が必要と認めて材料検査員に委任したもののほか、設計図書で定めるところにより、次に掲げる権限を有する。
一 工事の施工に必要な材料の試験及び検査(第9条第2項第3号により、監督員の行う試験及び検査に係るものを除く。)
二 必要と認めるものの出荷証明書等関係書類の確認 三 検査の結果、不合格とされた材料の引取り等の指示
(現場代理人及び主任技術者等)
第 11 条 乙は、次の各号に掲げる者を定め、その氏名その他必要な事項を甲に通知しなけ
ればならない。これらの者を変更したときも同様とする。一 現場代理人
二 主任技術者 (建設業法 (昭和 24 年法律第 100 号) 第 26 条第2項の規定に該当する場合は「監理技術者」とし、同条第3項の規定に該当する場合は「専任の主任技術者」又は「専任の監理技術者」とする。ただし、工事が同条第4項の規定にも該当する場合は、「監理技術者資格者証の交付を受けた専任の監理技術者」とする。以下同じ。)
三 専門技術者(建設業法第 26 条の2に規定する技術者をいう。以下同じ。)
2 現場代理人は、工事現場に常駐し、その運営及び取締りを行うほか、工事の施工に関し、この契約書に基づく乙の一切の権限を行使することができる。
3 甲は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当し、現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限の行使に支障がなく、かつ、甲との連絡体制が確保されていると認めた場合には、現場代理人について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。
一 契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの期間
二 第 21 条第1項又は第2項の規定により、工事の全部の施工を一時中止している期間三 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター等の工場製作を含む工事であって、工場製作
のみが行われている期間
四 前3号に掲げる期間のほか、工事現場において作業等が行われていない期間五 前各号に掲げるもののほか、甲があらかじめ認めた場合
4 第2項の規定にかかわらず、乙は、自己の有する権限のうち現場代理人に委任せず自ら行使しようとするものがあるときは、あらかじめ、当該権限の内容を甲に通知しなければならない。
5 現場代理人、主任技術者及び専門技術者は、これを兼ねることができる。
(履行報告)
第 12 条 乙は、設計図書に定めるところにより、契約の履行について甲に報告しなければならない。
(工事関係者に対する措置請求)
第 13 条 甲又は監督者は、現場代理人がその職務(第 11 条第5項の規定により主任技術者、監理技術者又は専門技術者を兼任する現場代理人にあっては、それらの者の職務を含む。)の執行につき著しく不適当と認められるときは、乙に対して、その理由を明示して、必要な措置をとることを請求することができる。
2 甲又は監督員は、主任技術者、監理技術者又は専門技術者(これらの者と現場代理人を兼任する者を除く。)その他乙が工事を施工するために使用している下請負人、労働者等で工事の施工又は管理につき著しく不適当と認められる者があるときは、乙に対して、その理由を明示して必要な措置をとることを請求することができる。
3 乙は、前2項の規定による請求があったときは、速やかに、当該請求に係る事項について決定し、その結果を甲に通知しなければならない。
4 乙は、監督員がその職務の執行につき著しく不適当と認められるときは、甲に対して、
その理由を明示して、必要な措置をとることを請求することができる。
5 甲は、前項の規定による請求があったときは、速やかに、当該請求に係る事項について決定し、その結果を乙に通知しなければならない。
(工事材料の品質及び検査等)
第 14 条 工事材料の品質については、設計図書に定めるところによる。設計図書にその品質が明示されていない場合は、中等の品質を有するものとする。
2 乙は、設計図書において甲又は監督員の検査を受けて使用するものと指示された工事材料については、当該検査に合格したものを使用しなければならない。この場合において、検査に直接要する費用は、乙の負担とする。
3 甲又は監督員は、乙から前項の検査を求められたときは、遅滞なくこれに応じなければならない。
4 乙は、工事現場内に搬入した工事材料を監督員の承諾を受けないで工事現場外に搬出してはならない。
5 前項の規定にかかわらず、乙は、検査の結果不合格と決定された工事材料については、遅滞なく工事現場外に搬出しなければならない。
(監督員の立会い及び工事記録の整備等)
第 15 条 乙は、設計図書において監督員の立会いを受けて調合し、又は調合について見本検査を受けるものと指定された工事材料については、当該立会いを受けて調合し、又は当該検査に合格したものを使用しなければならない。
2 乙は、設計図書において監督員の立会いを受けて施工するものと指定された工事については、当該立会いを受けて施工しなければならない。
3 乙は、前2項の規定により必要とされる監督員の立会い又は見本検査を受けるほか、甲が特に必要があると認めて設計図書において見本又は工事写真等の記録を整備するものと指定した工事材料の調合又は工事の施工をするときは、設計図書に定めるところにより、当該記録を整備し、監督員の請求があったときは、遅滞なくこれを提出しなければならない。
4 監督員は、乙から第1項又は第2項の立会い若しくは見本検査を請求されたときは、遅滞なくこれに応じなければならない。
5 第1項又は第3項の場合において、見本検査又は見本若しくは工事写真等の記録の整備に直接要する費用は、乙の負担とする。
(支給材料、貸与品及び発生品)
第 16 条 甲が乙に支給する工事材料(以下「支給材料」という。)並びに貸与する建設機械器具及び工事材料(以下「貸与品」という。)の品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所及び引渡時期は、設計図書に定めるところによる。
2 甲又は監督員は、支給材料又は貸与品の引渡しに当たっては、乙の立会いの上、甲の負担において、当該支給材料又は貸与品を確認しなければならない。この場合において、乙は、当該確認の結果、その品名、数量、品質又は規格若しくは性能が設計図書の定めと異なり、又は使用に適当でないと認めたときは、その旨を直ちに甲に通知しなければ
ならない。
3 乙は、支給材料又は貸与品の引渡しを受けたときは、遅滞なく甲に受領書又は借用書を提出しなければならない。
4 甲は、乙から第2項の通知を受けた場合においても、当該支給材料又は貸与品について交換その他の措置をとる必要がないと認めるときは、乙に対して、その理由を明示して、当該支給材料又は貸与品の使用を請求することができる。
5 甲は、前項の請求を行うことが適当でないと認めるときは、当該支給材料若しくは貸与品に代えて他の支給材料若しくは貸与品を引渡し、又は次項の規定により支給材料若しくは貸与品の品名、数量、品質、規格若しくは性能を変更しなければならない。
6 甲は、必要があると認めるときは、支給材料又は貸与品の品名、数量、品質、規格若しくは性能、引渡場所又は引渡時期を変更することができる。
7 甲は、前2項の場合において、必要があると認めるときは、工期若しくは契約金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
8 乙は、支給材料又は貸与品の引渡しを受けた後、当該支給材料又は貸与品に第2項の確認により発見することが困難であった隠れたかしがあり使用に適当でないと認めたときは、その旨を直ちに甲に通知しなければならない。この場合においては、第4項及び第5項並びに第7項の規定を準用する。
9 乙は、支給材料又は貸与品若しくは工事の施工に伴い生じた発生品を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
10 乙は、設計図書に定めるところにより、工事の完了、設計図書の変更等によって不用となった支給材料又は使用目的が終了した貸与品及び発生品を甲に返還しなければならない。この場合において、貸与品は、修理清掃の後、甲又は監督員の確認を受けて引き渡さなければならない。
11 乙は、故意又は過失により支給材料又は貸与品若しくは発生品が滅失若しくはき損し、又は返還が不可能となったときは、甲の指定した期間内に代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又はこれらに代えて損害を賠償しなければならない。
12 乙は、支給材料又は貸与品の使用方法が設計図書に明示されていないときは、監督員の指示に従わなければならない。
(工事用地の確保等)
第 17 条 甲は、工事用地その他設計図書において甲が提供するものと定められた工事の施工上必要な用地(以下「工事用地等」という。)を乙が工事の施工上必要とする日(設計図書に特別の定めがあるときは、その定められた日)までに確保しなければならない。
2 乙は、確保された工事用地等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
3 工事の完了、設計図書の変更等によって工事用地等が不用となった場合において、当該工事用地等に乙が所有又は管理する工事材料、建設機械器具、仮設物その他の物件(下請負人の所有又は管理するこれらの物件並びに支給材料、貸与品及び発生品を含む。以下本条において同じ。)があるときは、乙は当該物件を撤去(甲に返還する支給材料、貸与品及び発生品については、甲の指定する場所へ搬出。以下本条において同じ。)するとともに、当該工事用地等を原状に復して、甲に明け渡さなければならない。
4 前項の場合において、乙が正当な理由なく、相当の期間内に当該物件を撤去せず、又
は工事用地等の原状回復を行わないときは、甲は、乙に代わって当該物件を処分し、工事用地等の原状回復を行うことができる。この場合においては、乙は、甲の処分又は原状回復について異議を申し出ることができず、また、甲の処分又は原状回復に要した費用を負担しなければならない。
5 第3項に規定する乙のとるべき措置の期限、方法等については、甲が乙の意見を聴いて定める。
(設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等)
第 18 条 乙は、工事の施工部分が設計図書に適合しない場合において、監督員がその改造を請求したときは、当該請求に従わなければならない。この場合において、当該不適合が監督員の指示によるときその他甲の責に帰すべき事由によるときは、甲は、必要があると認められるときは工期若しくは契約金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用の負担をしなければならない。
2 甲又は監督員は、乙が第 14 条第2項又は第 15 条第1項から第3項までの規定に違反した場合において、必要があると認められるときは、工事の施工部分を破壊して検査し、又は確認することができる。
3 前項に規定するほか、甲又は監督員は、工事の施工部分が設計図書に適合しないと認められる相当の理由がある場合において、必要があると認められるときは、当該相当の理由を乙に通知して、工事の施工部分を最小限度破壊して検査し、又は確認することができる。
4 前2項の場合において、検査等及び復旧に直接要する費用は乙の負担とする。
(条件変更等)
第 19 条 乙は、工事の施工に当たり、次の各号の一に該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面と仕様書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。二 設計図書に誤びゅう又は脱漏があること。
三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が相違すること。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは、乙の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、乙が立会いに応じない場合には、乙の立会いを得ずに行うことができる。
3 甲は、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後速やかに、その結果を乙に通知しなければならない。
4 前項の調査の結果、第1項の事実が甲乙間において確認された場合は、甲は、必要があると認められるときは、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、甲は、必要があ
ると認められるときは工期若しくは契約金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第 20 条 甲は、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を乙に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、甲は、必要があると認められるときは、工期若しくは契約金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工事の中止)
第 21 条 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって、乙の責に帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、乙が工事を施工できないと認められるとき又は第 19 条第1項の事実についての確認が、甲乙間で一致しない場合において、乙が工事を施工することができないと認められるときは、甲は、工事の中止について直ちに乙に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 甲は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止について乙に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 甲は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは契約金額を変更し、又は乙が工事の続行に備え、工事現場等を維持するために増加費用を必要とし若しくは乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(乙の請求による工期の延長)
第 22 条 乙は、自己の責に帰すことができない事由により工期内に工事を完了することができないときは、その理由を明示して、甲に工期の延長を請求することができる。
2 甲は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。甲は、その工期の延長が甲の責めに帰すべき事由による場合においては、契約金額について必要と認められる変更を行い、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(甲の請求による工期の短縮等)
第 23 条 甲は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮を乙に請求することができる。
2 甲は、この契約書の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、通常必要とされる工期に満たない工期とすることを乙に請求することができる。
3 甲は、前2項の場合において、必要があると認められるときは契約金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工期の変更等)
第 24 条 工期の変更については、甲乙協議して定める。ただし、協議が整わない場合には、甲が定め、乙に通知する。
(契約金額の変更方法等)
第 25 条 契約金額の変更については、甲乙協議して定める。
2 この契約書の規定により、乙が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に甲が負担する必要な費用の額については、甲乙協議して定める。
3 前2項の協議が整わない場合には、甲が定め、乙に通知する。
(賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更)
第 26 条 甲又は乙は、工期内で契約締結の日から9月を経過した後に日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により契約金額が不適当となったと認めたときは、相手方に対して契約金額の変更を請求することができる。
2 甲又は乙は、前項の規定による請求があったときは、変動前残工事金額(契約金額から当該請求時の既済部分に相応する契約金額を控除した額をいう。以下同じ。)と変動後残工事金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事金額に相応する額をいう。以下同じ。)との差額のうち変動前残工事金額の 100 分の 1 を超える額につき、契約金額の変更に応じなければならない。
3 変動前残工事金額及び変動後残工事金額は、請求のあった日を基準とし、物価指数等に基づき甲乙協議して定める。ただし、協議が整わない場合にあっては、甲が定め、乙に通知する。
4 第1項の規定による請求は、本条の規定により契約金額の変更を行った後再度行うことができる。この場合においては、第1項中「契約締結の日」とあるのは、「直前の本条に基づく契約金額変更の基準とした日」とするものとする。
5 特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、契約金額が不適当となったときは、甲又は乙は、前各項の規定によるほか、契約金額の変更を請求することができる。
6 予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、契約金額が著しく不適当となったときは、甲又は乙は、前各項の規定にかかわらず、契約金額の変更を請求することができる。
7 前2項の場合において、契約金額の変更額については、甲乙協議して定める。ただし、協議が整わない場合にあっては、甲が定め、乙に通知する。
(臨機の措置)
第 27 条 乙は、災害防止等のため必要があると認めるときは、臨機の措置をとらなければならない。この場合において、乙は、あらかじめ甲の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りでない。
2 前項の場合においては、乙は、そのとった措置の内容を甲に直ちに通知しなければならない。
3 甲は、災害防止その他工事の施工上特に必要があると認めるときは、乙に対して臨機
の措置をとることを請求することができる。
4 乙が第1項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において、当該措置に要した費用のうち乙が契約金額の範囲内において負担することが適当でないと認められる部分については、甲が負担する。
(一般的損害)
第 28 条 工事目的物の引渡し前に、工事の既済部分、検査済持込工事材料、支給材料、貸与品又は発生品について生じた損害その他工事の施工に関して生じた損害については、乙がその費用を負担する。ただし、その損害(火災保険その他の保険等によりてん補された部分を除く。)のうち甲の責に帰すべき事由により生じたものについては、甲が負担する。
(第三者に及ぼした損害)
第 29 条 工事の施工に伴い第三者に損害を及ぼしたときは、乙がその損害を賠償しなければならない。ただし、その損害(火災保険その他の保険等によりてん補された部分を除く。以下本条において同じ。)のうち甲の責に帰すべき事由により生じたものについては、甲が負担する。
2 前項の規定にかかわらず、工事の施工に伴い通常避けることができない地盤沈下、地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは、甲がその損害を負担しなければならない。
ただし、その損害のうち工事の施工について乙が善良な管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては、乙が負担する。
3 前2項の場合その他工事の施工について第三者との間に紛争を生じた場合においては、甲乙協力してその処理解決に当たるものとする。
(天災その他の不可抗力による損害)
第 30 条 工事目的物の引渡し前に、天災等(設計図書で基準を定めたものにあっては、当該基準を超えるものに限る。)で甲乙双方の責に帰すことができないもの(以下「不可抗力」という。) により、工事の既済部分、仮設物、検査済持込材料、支給材料、貸与品、発生品又は建設機械器具に損害が生じたときは、乙は、その事実の発生後直ちにその状況を甲に通知しなければならない。
2 甲は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに調査を行い、前項の損害(乙が善良な管理者の注意義務を怠ったことに基づくもの及び火災保険その他の保険等によりてん補された部分を除く。以下本条において同じ。)の状況を確認し、その結果を乙に通知しなければならない。
3 乙は、前項の規定により損害の状況が確認されたときは、損害による費用の負担を甲に請求することができる。
4 甲は、前項の規定により乙から損害による費用の負担の請求があったときは、当該損害の額(工事の既済部分、仮設物、検査済持込材料、支給材料、貸与品、発生品又は建設機械器具であって検査又は立会いその他工事に関する記録等により確認することができるものに係る額に限る。)及び当該損害の取片付けに要する費用の額の合計額(以下「損
害合計額」という。)のうち契約金額の100 分の1を超える額を負担しなければならない。
5 損害の額は、次の各号に掲げる損害につき、それぞれ当該各号に定めるところにより、算定する。
一 工事の既済部分に関する損害
損害を受けた既済部分に相応する契約金額相当額とし、残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
二 検査済持込材料、支給材料、貸与品又は発生品に関する損害
損害を受けた検査済持込材料、支給材料、貸与品又は発生品に相応する契約金額相当額とし、残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
三 仮設物又は建設機械器具に関する損害
損害を受けた仮設物又は建設機械器具で通常妥当と認められるものについて、当該工事で償却することとしている償却費の額から損害を受けた時点における既済部分に相応する償却費の額を差し引いた額とする。ただし、修繕によりその機能を回復することができ、かつ、修繕費の額が上記の額より少額であるものについては、その修繕費の額とする。
6 数次にわたる不可抗力により損害合計額が累積した場合における第2次以降の不可抗力による損害合計額の負担については、第4項中「当該損害の額」とあるのは「損害の額の累計」と、「当該損害の取片付けに要する費用の額」とあるのは「損害の取片付けに要する費用の額の累計」と、「契約金額の 100 分の1を超える額」とあるのは「契約金額
の 100 分の1を超える額から既に負担した額を差し引いた額」として同項を適用する。
(契約金額の変更に代える設計図書の変更)
第 31 条 甲は、第8条、第 16 条、第 18 条から第 21 条まで、第 23 条、第 26 条から第 28
条まで、前条又は第 35 条の規定により契約金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別の理由があるときは、契約金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。この場合において、設計図書の変更内容は、甲乙協議して定める。ただし、協議が整わない場合には、甲が定め、乙に通知する。
(検査及び引渡し)
第 32 条 乙は、次の各号の一に該当するときは、直ちに甲に対して、検査の請求をしなければならない。
一 工事を完了したとき。
二 工事の施工中でなければその検査が不可能なとき又は著しく困難なとき。三 その他必要があるとき。
2 甲は、前項第1号の検査(以下「完了検査」という。)の請求を受けたときは、その日から起算して 14 日以内に、前項第2号及び第3号に係る検査の請求を受け、その請求を相当と認めたときは、遅滞なく、それぞれ乙の立会いを求め、検査を完了しなければならない。この場合において、甲は、必要があると認められるときは、その理由を通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。
3 第1項の規定にかかわらず、甲は、必要があると認めるときは、乙に通知の上、その立会いを求め、検査を行うことができる。この場合において、甲は、必要があると認め
られるときは、その理由を通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。
4 乙は、前2項の検査に立ち会わなかったときは、検査の結果について異議を申し立てることができない。
5 検査に要する費用及び検査のため変質、変形、消耗又はき損したものを原状に復する費用は、すべて乙の負担とする。
6 第2項の完了検査に合格したときをもって、工事目的物の引渡しを完了したものとする。この場合において、工事目的物が乙の所有に属するときは、その所有権は、引渡しにより甲に移転する。
7 乙は、第2項の完了検査に合格しない場合で、甲が特に1回に限り改造又は補修を認めたときは、直ちにこれを完了しなければならない。この場合において、改造又は補修が完了したときは、第2項、第4項、第5項及び前項の規定を準用する。
8 前項の改造又は補修が直ちに完了しないとき又はその検査に合格しないときは、甲は、工期経過後の日数に応じ、乙から遅延違約金を徴収する。この場合においては、第 44 条第1項及び第2項の規定を準用する。
(契約代金の支払)
第 33 条 乙は、前条第2項又は第7項の完了検査に合格したときは、契約代金の支払を請求することができる。
2 甲は、前項の規定による請求を受けたときは、その日から起算して 40 日以内に契約代金を支払わなければならない。
3 甲がその責に帰すべき事由により前条第2項の期間内に検査をしないときは、その期限を経過した日から検査をした日までの期間の日数は、前項の期間(以下「約定期間」という。)の日数から差し引くものとする。この場合において、その遅延日数が約定期間の日数を超えるときは、約定期間は、遅延日数が約定期間の日数を超えた日において満了したものとみなす。
(契約保証金)
第 34 条 契約保証金は、契約金額が増減されたときは、これに応じて増減するものとする。ただし、既納保証金が未払の契約金額の 10 分の1以上あるときは、乙は、さらに納付を要しない。
2 甲は、第 32 条第2項又は第7項の完了検査に合格したとき又は第 46 条第1項若しくは第 47 条第1項の規定により契約が解除されたときは、乙の請求により、40 日以内に契約保証金を返還する。
3 甲は、契約保証金について、利息を付さない。
(部分使用)
第 35 条 甲は、第 32 条第6項の規定による引渡し前においても、工事目的物の全部又は一部を乙の承諾を得て使用することができる。
2 前項の場合においては、甲は、その使用部分を善良な管理者の注意をもって使用しなければならない。
3 甲は、第1項の規定により工事目的物の全部又は一部を使用したことによって乙に損害を及ぼしたときは、必要な費用を負担しなければならない。
(前金払)
第 36 条 甲は、契約書で前払金の支払を約した場合において、乙が保証事業会社と契約書記載の工期を保証期限とする公共工事の前払金保証に関する法律 第2条 第5項に規定する保証契約(以下「保証契約」という。)を締結したときは、次の各号による額(10 万円未満のは数は切り捨てる。)を前払金として支払う。
一 契約金額が2億5千万円以下である場合は、契約金額の4割を超えない額
二 契約金額が2億5千万円を超える場合は、次に掲げる額の合計額(4億円を限度とする。)
イ 2億5千万円の4割を超えない額
口 契約金額から2億5千万円を減じた額の2割を超えない額
2 乙は、前項の前払金の支払を受けようとするときは、この契約締結後(甲が別に前払金の請求時期を定めたときは、その時期)に、保証事業会社と締結した保証契約を証する書面(以下「保証証書」という。)を甲に提出した上で前払金の請求をしなければならない。
3 甲は、前項の請求を受けたときは、遅滞なく第1項の前払金を支払う。
(契約金額の増減による前払金の追加払又は返還)
第 37 条 甲は、前条第1項の規定により前金払をした後、設計図書の変更その他の理由により契約金額を変更した場合において、その増減額が著しいため、前払金の額が不適当と認められるに至ったときは、甲の定めるところにより、前払金を追加払し、又は返還させることがある。
2 乙は、前項の規定により、甲が前払金の追加払を認めた場合は、前払金の追加払を請求することができる。
3 乙は、甲から第1項の規定による前払金の返還請求を受けたときは、当該契約変更の日以後、甲が指定する日までに返還しなければならない。
4 前項の場合において、乙が返還期限までに前払金を返還しないときは、返還期限の翌日から返還の日までの日数に応じ、未返還額につき年 5 パーセントの割合(年当たりの割合は、閏(じゅん)年の日を含む期間についても、365 日の割合とする。)で計算した額(100 円未満のは数があるとき又は 100 円未満であるときは、そのは数額又はその全額を切り捨てる。) を遅延利息として支払わなければなない。
(保証契約の変更)
第 38 条 乙は、前条第1項の規定による前払金の返還請求を受けた場合において、保証契約を変更したときは、直ちに変更後の保証証書を甲に提出しなければならない。
2 乙は、前条第2項の規定により、前払金の追加払を受けようとするときは、当該契約変更の日以後、保証契約を変更し、変更後の保証証書を甲に提出した上で、請求しなければならない。
3 乙は、前払金額の変更を伴わない工期の変更が行われた場合には、甲に代わりその旨
を保証事業会社に直ちに通知するものとする。
(前払金の使用制限及び返還)
第 39 条 乙は、前払金をこの工事に必要な経費以外の経費に充ててはならない。
2 乙は、前項の規定に違反した場合又は保証契約が解約された場合は、既に支払われた前払金を、直ちに甲に返還しなければならない。
3 乙は、前項の規定により前払金を返還する場合は、前払金の支払の日から返還の日までの日数に応じ、当該返還額に年 5 パーセントの割合(年当たりの割合は、閏(じゅん)年の日を含む期間についても、365 日の割合とする。)で計算した額(100 円未満のは数があるとき又は 100 円未満であるときは、そのは数額又はその全額を切り捨てる。) を利息として支払わなければならない。
(中間前払)
第 39 条の2 乙は、第 36 条第1項の規定により前払金の支払いを受けた後、保証事業会社と中間前払金に関し、契約書記載の工期を保証期限とする保証契約を締結したときは、
1億円を限度とし、契約金額の2割を超えない額(10 万円未満の端数は切り捨てる。)の中間前払金の支払を甲に請求することができる。ただし、第 40 条の規定による部分払を行う場合は、この限りでない。
2 乙は、前項の中間前払金の支払を請求しようとするときは、あらかじめ、甲に対して書面により認定の請求をしなければならない。
3 甲は、前項の請求があったときは、遅滞なく認定を行い、当該認定の結果を乙に通知しなければならない。
4 乙は第1項の中間前払金の支払いを受けようとするときは、前項の認定結果の通知を受けた後(甲が別に中間前払金の請求時期を定めたときは、その時期)に、保証証書を甲に提出した上で、中間前払金の請求をしなければならない。
5 甲は前項の請求を受けたときは、遅滞なく第1項の中間前払金を支払う。
6 第 37 条から前条までの規定は、中間前払金を支払った場合について準用する。
(部分払)
第 40 条 甲は、工事の完了前において、乙の部分払請求を相当と認めるとき(入札心得等において、乙の部分払請求回数について制限を定めた場合は、その回数の範囲内で相当と認めるとき)は、検査に合格した既済部分に相応する契約金額相当額(以下「既済部分の代価」という。)の 10 分の9以内で甲が定める金額を支払うことができる。製作及びすえ付けその他の工事に関し、完成した製作品で検査に合格して現場に持込みを終わったもの又は甲の都合により現場持込みが困難と認められる製作品で、検査に合格して甲の指定する場所へ持込みが終わったものについては、甲は、工事の完了前において、乙の部分払請求を相当と認めるときは、その製作品に相応する契約金額相当額(以下「製作代価」という。)の 10 分の9以内で甲が定める金額を支払うことができる。この場合
においては、第 33 条第1項及び第2項の規定を準用する。
2 前項の既済部分の代価(製作代価を含む。以下同じ。)は、甲が認定する。
3 第 36 条の規定により前払金が支払われている場合の部分払の額は、前2項の規定によ
り算定した部分払の額から、当該前払金の額に契約金額に対する既済部分の代価の割合を乗じて得た額を控除した額の範囲内とし、次の式により算定する。
部分払の額≦既済部分の代価×(9/10 一前払金額/契約金額)
4 第1項の規定による支払の対象となった既済部分又は製作品が乙の所有に属するときは、その所有権は、支払により乙から甲に移転する。ただし、目的物全部の引渡しが完了するまでの保管は、乙の責任とし、目的物全部の引渡しまでに生じた損害については、第 28 条、第 29 条及び第 30 条の規定を準用する。
(一部しゅん工)
第 41 条 工事目的物について、甲が設計図書において、工事の完了に先立って引渡しを受けるべきことを指定した部分(以下「指定部分」という。)がある場合において、当該指定部分の工事が完了したときは、第 32 条中「工事」とあるのは「指定部分に係る工事」
と、「工事目的物」とあるのは「指定部分に係る工事目的物」と、第 33 条中「契約代金」とあるのは、「指定部分に相応する契約代金」と読み替えて、これらの規定を準用する。
(前払金等の不払に対する工事中止)
第 42 条 乙は、甲が第 36 条の規定に基づく支払もしくは第 39 条の2の規定に基づく支払
又は前条において準用される第 33 条の規定に基づく支払を遅延し、相当の期間を定めてその支払を請求したにもかかわらず支払をしないときは、工事の全部又は一部の施工を一時中止することができる。この場合において、乙は、その理由を明示してその旨を直ちに甲に通知しなければならない。
2 甲は、前項の規定により乙が工事の施工を中止した場合において、必要があると認められるときは工期若しくは契約金額を変更し、又は乙が工事の続行に備え工事現場等を維持するために増加費用を必要とし若しくは乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(かし担保)
第 43 条 甲は、工事目的物にかしがあるときは、乙に対して相当の期間を定めてそのかしの修補を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。ただし、かしが重要ではなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、甲は、修補を請求することができない。
2 前項の規定によるかしの修補又は損害の賠償の請求は、第 32 条第6項(第 41 条においてこの規定を準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から2年以内に、これを行わなければならない。ただし、木造の建物の建築工事請負契約及び設備工事(電気工事、給排水衛生工事、空調工事等をいう。)請負契約の場合は、1年とする。なお、前項のかしが乙の故意又は重大な過失により生じた場合は、請求を行うことのできる期間は 10 年とする。
3 甲は、工事目的物が第1項のかしにより滅失又はき損したときは、前項の定める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から6月以内に第1項の権利を行使しなければならない。
4 第1項の規定は、工事目的物のかしが支給材料の性質又は甲若しくは監督員の指図に
より生じたものであるときは適用しない。ただし、乙がその材料又は指図の不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは、この限りでない。
5 乙がかしの修補に応じないときは、甲は、乙の負担でこれを修補することができる。なお、このために乙に損害が生じても、甲は、その賠償の責を負わない。
(履行遅滞の場合における違約金等)
第 44 条 乙の責に帰すべき事由により工期内に工事を完了することができない場合において、工期経過後相当の期間内に完了する見込みのあるときは、甲は乙から遅延違約金を徴収して工期を延長することができる。
2 前項の遅延違約金の額は、契約金額につき遅延日数に応じ、年 5 パーセントの割合(年当たりの場合は、閏(じゅん)年の日を含む期間についても 365 日の割合とする。)で計算
した額 (100 円未満のは数があるとき又は 100 円未満であるときは、そのは数額又はその全額を切り捨てる。)とする。この場合において、検査に合格した指定部分(他の部分と明確に区分できるため、分割して引渡しを受けても支障がないと甲が認める履行部分を含む。)があるときは、これに相応する契約金額相当額を遅延違約金の算定に当たり契約金額から控除する。
3 甲の責に帰すべき事由により、第 33 条第2項 (第 41 条において準用する場合を含む。)の規定による契約代金の支払が遅れた場合においては、乙は、未受領金額につき遅延日数に応じ、政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和 24 年法律第 256 号)第 8 条第
1 項の規定に基づき財務大臣が決定した割合( 年当たりの割合は、閏(じゆん)年の日を含む期間についても 365 日の割合とする。) で計算した額(100 円未満のは数があるとき又は 100 円未満であるときは、そのは数額又はその全額を切り捨てる。)の支払を甲に請求することができる。
(甲の解除権)
第 45 条 甲は、乙が次の各号の一に該当するときは、契約を解除することができる。この場合において、第1号の規定により契約を解除するときは、何ら催告を要しないものとする。
一 その責に帰すべき事由により、工期内に完了しないとき又は工期経過後相当の期間内に工事を完了する見込みが明らかにないと認められるとき。
二 正当な理由なく、工事に着手すべき期日を過ぎても工事に着手しないとき。三 第 11 条第1項第2号に掲げる者を設置しなかったとき。
四 前3号に掲げる場合のほか、契約に違反したために契約の目的を達成することができないと認められるとき。
五 第 47 条第1項の規定によらないで契約の解除を申し出たとき。
六 地方自治法施行令第 167 条の4第 1 項の規定に該当すると判明したとき。
七 この契約に関して、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第49条の規定による公正取引委員会の乙(乙が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この項において同じ。)に対する排除措置命令
(排除措置命令がなされなかった場合については、同法第62条第1項の規定による納付命令)が確定したとき。
八 この契約に関して、乙(乙が法人の場合については、その役員又はその使用人)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の6又は同法第198条の規定による刑が確定したとき。
(契約が解除された場合等の違約金)
第 45 条の2 次の各号のいずれかに該当する場合においては、乙は、契約金額の 10 分の
1に相当する額を違約金として甲の指定する期間内に支払わなければならない。一 前条の規定によりこの契約が解除された場合
二 乙がその債務の履行を拒否し、又は、乙の責めに帰すべき事由によって乙の債務について履行不能となった場合
2 次の各号に掲げる者がこの契約を解除した場合は、前項第二号に該当する場合とみなす。
一 乙について破産手続開始の決定があった場合において、破産法(平成 16 年法律第 75
号)の規定により選任された破産管財人
二 乙について更生手続開始の決定があった場合において、会社更生法(平成 14 年法律第 154 号)の規定により選任された管財人
三 乙について再生手続開始の決定があった場合において、民事再生法(平成 11 年法律第 225 号)の規定により選任された再生債務者等
3 第1項に該当する場合において、第4条の規定により契約保証金の納付又はこれに代わる担保の提供が行われているときは、甲は、当該契約保証金又は担保をもって第1項の違約金に充当することができる。
(協議解除)
第 46 条 甲は、工事が完了するまでの間は、第 45 条の規定によるほか、必要があるときは、乙と協議の上、契約を解除することができる。
2 甲は前項の規定により契約を解除したことにより乙に損害を及ぼしたときは、その損害を賠債しなければならない。
(乙の解除権)
第 47 条 乙は、次の各号の一に該当するときは、契約を解除することができる。
一 第 20 条の規定により設計図書を変更したため契約金額が3分の2以上減少したとき。二 第 21 条の規定による工事の施工の中止期間が当初の工期の 10 分の5(工期の 10 分
の5が 180 日を超えるときは、180 日とする。)を超えたとき。ただし、中止が工事の一部のみの場合は、その一部を除いた他の部分の工事が完了した後 90 日を経過しても、その中止が解除されないとき。
三 甲が契約に違反したため契約の履行が不可能となったとき。
2 前項第2号の場合において、日数の計算は、第1条第2項の規定を準用する。
3 乙は、第1項の規定により契約を解除した場合において、損害があるときは、その損害の賠償を甲に請求することができる。
第 48 条 甲は、契約が解除された、又は乙がその債務の履行を拒否し、若しくは、乙の責めに帰すべき事由によって乙の債務について履行不能となった場合(以下「契約が解除がされた場合等」という。)においては、既済部分を検査の上、当該検査に合格した部分及び必要と認める持込工事材料に対して、相当と認める金額(第 40 条の規定による部分払をしているときは、既支払の部分払金額を控除した額)を支払い、その引渡しを受けるものとする。この場合において、甲は、必要があると認められるときは、その理由を乙に通知して、既済部分を最小限度破壊して検査することができる。
2 前項の場合において、検査又は復旧に直接要する費用は、乙の負担とする。
3 第1項の場合において、第 36 条の規定による前金払又は第 39 条の2の規定による中
間前払をしたときは、当該前払金の額(第 40 条の規定による部分払をしたときは、その部分払において償却した前払金の額を控除した額)及び当該中間前払金の額を、第1項の規定による支払額から控除する。
なお、乙は、受領済みの前払金額及び中間前払金の額に余剰があるときは、甲の指定する日までに甲に返還しなければならない。この場合においては、第 37 条第4項の規定を準用する。
4 乙は、契約が解除された場合等において、第 16 条の規定による貸与品又は発生品があるときは、当該貸与品又は発生品を甲に返還しなければならない。この場合において、当該貸与品又は発生品が乙の故意又は過失により滅失又はき損したときは、代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又はこれらに代えてその損害を賠償しなければならない。
5 乙は、契約が解除された場合等において、第 16 条の規定による支給材料があるときは、第1項の既済部分の検査に合格した部分に使用されているものを除き、甲に返還しなければならない。
この場合において、当該支給材料が乙の故意若しくは過失により滅失若しくはき損したとき、又は既済部分の検査に合格しなかった部分に使用されているときは、代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又はこれらに代えてその損害を賠償しなければならない。
6 乙は、契約が解除された場合等において、工事用地等に乙が所有又は管理する工事材料、建設機械器具、仮設物その他の物件(下請負人の所有又は管理するこれらの物件並びに支給材料、貸与品及び発生品を含む。 以下本条において同じ。) があるときは、乙は、当該物件を撤去(甲に返還する支給材料、貸与品及び発生品については、甲の指定する場所へ搬出。以下本条において同じ。)するとともに、工事用地等を原状に復して、甲に明け渡さなければならない。
7 前項の場合において、乙が正当な理由なく、相当の期間内に当該物件を撤去せず、又は工事用地等の原状回復を行わないときは、甲は、乙に代わって当該物件を処分し、工事用地等の原状回復を行うことができる。この場合においては、乙は、甲の処分又は原状回復について異議を申し出ることができず、また、甲の処分又は原状回復に要した費用を負担しなければならない。
8 第4項、第5項及び第6項に規定する乙のとるべき措置の期限、方法等については、契約の解除が第 45 条又は第 45 条の2第 1 項第 2 号又は同条第 2 項の規定により契約が
解除された場合等においては甲が定め、第 46 条又は前条の規定により契約が解除された場合においては、甲乙協議して定めるものとする。
(賠償の予定)
第 49 条 乙は、第 45 条第1項第7号又は第8号のいずれかに該当するときは、甲が契約
を解除するか否かを問わず、賠償金として、契約金額の 100 分の 20 に相当する額を甲に支払わなければならない。
工事が完了した後も同様とする。ただし、第 45 条第1項第8号のうち、乙が刑法第 198
条の規定による刑が確定した場合は、この限りでない。
2 前項の場合において、乙が共同企業体であり、既に解散されているときは、甲は、乙 の代表者であった者又は構成員であった者に賠償金の支払いを請求をすることができる。この場合においては、乙の代表者であった者及び構成員であった者は、共同連帯して前 項の額を甲に支払わなければならない。
3 第1項の規定は、甲に生じた実際の損害額が前項に規定する賠償金の額を超える場合においては、超過分につき賠償を請求することを妨げるものではない。
(相殺)
第 50 条 甲は、乙に対して有する金銭債権があるときは、乙が甲に対して有する保証金返還請求権、契約代金請求権及びその他の債権と相殺し、不足があるときは、これを追徴する。
(紛争の解決)
第 51 条 この契約書の各条項において甲乙協議して定めるものにつき協議が整わない場合又は協議が整わなかったときに甲が定めたものに乙が不服がある場合その他この契約に関して甲乙間に紛争を生じた場合には、甲及び乙は、建設業法に定める建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)のあっせん又は調停によりその解決を図る。
2 前項の規定にかかわらず、現場代理人の職務の執行に関する紛争、主任技術者、専門技術者その他乙が工事を施工するために使用している下請負人、労働者等の工事の施工又は管理に関する紛争及び監督員の職務の執行に関する紛争については、第 13 条第3項
若しくは第 13 条第5項の規定により、甲若しくは乙が決定を行った後又は甲若しくは乙が遅滞なく決定を行わない場合でなければ、甲及び乙は、前項のあっせん又は調停を請求することができない。
(仲裁)
第 52 条 甲及び乙は、前条の審査会のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがないと認めたときは、前条の規定にかかわらず、甲乙合意のうえ、審査会の仲裁に付し、その仲裁判断に服する。
(単価契約)
第 53 条 本契約が単価契約の場合においては、次の条項を追加し、あるいは読み替えるものとする。
「第1条」の次に次の条項を追加する。
第1条の2 甲は表記の工事を発注するときは、そのつど施工指示書を乙に交付するものとし、乙は、その施工指示書に基づき工事を施工しなければならない。
2 次の条項について読み替える。
一 第4条中「契約金額」とあるのは「発注見込額」と読み替える。
二 第 32 条中「工事」とあるのは「第1条の2に基づく施工指示書の工事」と読み替える。
三 第 33 条中「契約代金」とあるのは「第1条の2に基づく施工指示書の工事に相応する契約代金」と読み替える。
四 第 34 条中「契約金額」とあるのは「発注見込額」と読み替える。
五 第 44 条中「契約金額」とあるのは「第1条の2に基づく施工指示書の契約金額」と読み替える。
六 第 45 条の2中「契約金額」とあるのは「発注見込額」と読み替える。
(補則)
第 54 条 この契約書に定めのない事項については、必要に応じて甲乙協議して定める。
(暴力団等排除に関する特約条項)
第 55 条 暴力団等排除に関する特約条項については、別紙に定めるところによる。
別紙
暴力団等排除に関する特約条項
(暴力団等排除に係る契約解除)
第1条 甲は、乙(乙が法人の場合にあっては、その役員又はその使用人)が次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を解除するものとする。この場合においては、何ら催告を要しないものとする。
一 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第 77 号。以下「暴対法」という。)第2条第6号に規定する暴力団員および暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)であるとき、又は暴力団員等が乙の経営に実質的に関与しているとき。
二 業務に関し、不正に財産上の利益を図るため、又は第三者に損害を加えるために暴対法第2条第2号に規定する暴力団(以下「暴力団」という。)又は暴力団員等を利用したと認められるとき。
三 暴力団又は暴力団員等に対して、直接又は間接的に金銭、物品その他の財産上の利益を与え、便宜を供与し、又は暴力団の維持若しくは運営に協力したと認められるとき。
四 暴力団又は暴力団員等と社会的に非難される関係を有していると認められるとき。
五 下請負人等が前各号のいずれかに該当する者であることを知りながら、当該契約を締結したと認められるとき。
2 前項の規定により契約を解除したときは、契約保証金は、甲に帰属する。
3 乙は、契約保証金の納付がなく、第1項の規定により契約が解除されたときは、契約金額の 100 分の 10 に相当する額(契約の一部の履行があったときは契約金額から履行部分に対
する契約代金相当額を控除して得た額の 100 分の 10 相当額)を、違約金として甲の指定する期間内に支払うものとする。
4 第1項の規定により契約が解除された場合において、乙に損害が生じても、甲は一切賠償の責を負わない。
5 乙は、この契約の履行に当たり杉並区契約における暴力団等排除措置要綱(平成 23 年1月 17 日杉並第 53890 号)第4条に基づく入札参加除外措置を受けている者にこの契約の下請負(二次以降の下請負を含む。以下同じ。)をさせ又は委託を行ってはならない。また、乙はこの契約の下請負若しくは受託をさせた者が契約履行期間中に入札参加除外措置を受けた場合は、速やかに当該契約の解除をしなければならない。
6 第1項各号に該当する疑義が乙に生じた場合は、甲は警視庁と該当の可否に関する情報の交換を行うことができる。
7 前各項に定めるもののほか契約解除に伴う措置等については、契約書の関係規定を準用するものとする。
(不当介入に関する通報報告)
第2条 乙は、契約の履行に当たって、暴力団、暴力団員等およびこれらに限らず区が締結する契約に関し契約の相手方に、工事妨害等の不当介入又は下請参入等の不当要求(以下「不当介入」という。)を行う団体および個人から不当介入を受けた場合(下請負人が暴力団等から不当介入を受けた場合を含む。以下同じ。)は、遅滞なく甲への報告及び警視庁管轄警察署(以下「管轄警察署」という。)への通報(以下「通報報告」という。)並びに捜査上必要な協力をしなければならない。
2 前項の場合において、通報報告にあたっては、書面にて甲及び管轄警察署にそれぞれ提出するものとする。
3 乙は、下請負人が不当介入を受けた場合は、遅滞なく乙に対して報告するよう当該下請負人に指導しなければならない。
4 甲は、乙が不当介入を受けたにもかかわらず、正当な理由がなく甲への報告又は管轄警察署への通報を怠ったと認められるときは、杉並区競争入札参加有資格者指名停止に関する要綱(平成 22 年3月 23 日杉並第 65476 号)別表7「その他不正な行為」に該当するものとして指名停止措置を講ずることができるものとする。