一 共用部分の設備等の監視・出動業務二 インターネット、CATV 等の運営業務三 除雪・排雪業務
別添2
マンション標準管理委託契約書コメント
1 全般関係
① この管理委託契約書(以下「本契約書」という。)は、マンションの管理組合(以下「管理組合」という。)とマンション管理業者(以下「管理業者」という。)の間で協議が調った事項を記載した契約書を、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成 12 年法律第 149 号。以下「適正化法」という。)第 73 条に規定する「契約成立時の書面」として交付する場合の指針として作成したものである。
② 本契約書は、典型的な住居専用の単棟型マンションに共通する管理事務に関する標準的な契約内容を定めたものであり、実際の契約書作成に当たっては、個々の状況や必要性に応じて適宜内容の追加・修正・削除を行いつつ活用されるべきものである。
③ この管理委託契約(以下「本契約」という。)では、管理組合が適正化法第2条第
6号に定める管理事務を管理業者に委託する場合を想定しているため、適正化法第三章に定めるマンション管理計画認定制度及び民間団体が行う評価制度等に係る業務並びに警備業法に定める警備業務及び消防法に定める防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。そのため、これらの業務に係る委託契約については、本契約と別個の契約にすることが望ましい。
2 第2条関係
① 本条でいう管理対象部分とは、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、管理業者が受託して管理する部分をいい、組合員が管理すべき部分を含まない。この管理対象部分は、名称を含めて、個々の状況や必要性に応じて適宜追加・修正・削除すべきものである。管理規約において管理組合が管理すべきことが明確になっていない部分が存在する場合は、管理業者は管理組合と協議して、契約の締結までに、管理組合が管理すべき部分の範囲及び管理業者の管理対象部分の範囲を定める必要がある。
② 専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が管理すべき部分の範囲内において管理業者が管理事務を行う。
③ 管理事務の対象となるマンションが以下に掲げるものである場合、又は共用部分の設備等の故障等発信機器やインターネット等の設備等が設置され、当該設備等の維持・管理業務を管理業者に委託するときは、本条を適宜追加・修正・削除をすることが必要である。
一 単棟で、大多数の組合員がマンション外に住所地を有する「リゾートマンション」、専有部分の用途が住居以外の用途(事務所等)が認められている「複合用途型マン ション」
二 数棟のマンションが所在する団地
3 第3条関係
① 第1号から第4号までの管理事務の具体的な内容及び実施方法は別表で示している。なお、実際の契約書作成に当たっては、次のような業務を管理業者に委託する場合等個々の状況や必要性に応じて本条を適宜追加・修正・削除するものとする。
一 共用部分の設備等の監視・出動業務二 インターネット、CATV 等の運営業務三 除雪・排雪業務
四 植栽管理業務(施肥、剪定、消毒、害虫駆除等)
五 管理組合が行うコミュニティ活動の企画立案及び実施支援業務(美化や清掃、防災・防犯活動等、管理規約に定めて組合員全員から管理費を徴収し、それらの費用に充てることが適切であるもの)
また、第2条で定める管理対象部分の部位に応じて、本条の管理事務の内容及び実施方法を変更する必要がある場合には、別表においてその相違が明らかになっていることが望ましい。
② 第1号の事務管理業務には、適正化法第2条第6号に定める基幹事務が含まれている。
③ 管理業者が組合員から専有部分内の設備の修繕等で対応を求められるケースがあ る。管理業者の管理対象部分は、原則として敷地及び共用部分等であるが、専有部分 である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分(配管、配線等)は共用部分と 一体で管理を行う必要があるため、管理組合が管理を行うとされている場合において、管理組合から依頼があるときに本契約に含めることも可能である。
また、こうした業務以外にも管理業者によって専有部分内を対象とする業務が想定されるが、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、原則として便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある。
④ 我が国の高齢化の進展に伴い、マンション管理の現場においても、身体の不自由や認知機能の低下により日常生活や社会生活での介護を必要とする管理組合の組合員及びその所有する専有部分の占有者(以下「組合員等」という。)が増加している。こうした状況を踏まえ、管理業者によって高齢者や認知症有病者等特定の組合員を対象とする業務が想定されるが、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、原則として便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある。
ただし、各マンションの個別の事情を踏まえ、マンション全体の居住環境の維持及び向上や防災に資するなどマンション標準管理規約第 32 条第 12 号に該当すると認められる業務は、管理組合から依頼があるときに本契約に含めることも可能である。
⑤ 管理業者は、管理員業務や清掃業務の労働条件等の見直しを行う場合は、必要に応じ、管理組合に対し、労働時間に関する法制度の概要や平成 31 年4月1日からxx施行された「働き方改革関連法」の「時間外労働の上限規制」及び「年5日の年次有
給休暇の確実な取得」の趣旨等を説明し、理解を促すことが望ましい。説明に当たっては、厚生労働省がホームページで公表している「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx)や「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx)等を参考とすることが考えられる。
4 第4条関係
① 第1項は、適正化法第 74 条で基幹事務の一括再委託を禁止していることを踏まえ、第3条第1号の事務管理業務の一括再委託ができないよう定めたものである。
② 本契約は、管理組合と管理業者の信頼関係を基礎とするものであるから、管理事務を第三者に再委託する場合においても、管理業者は、自らの責任と管理体制の下で処理すべきものである。
③ 契約締結時に再委託先の名称が明らかな場合又は契約締結後に明らかになったときには、管理組合に通知することが望ましい。
5 第5条関係
本条は、本契約が民法第 656 条の準委任契約の性格を有することを踏まえ、同法第
644 条の善管注意義務を契約書上も明文化したものである。
本契約書の免責条項(第9条、第 11 条、第 12 条、第 14 条、第 19 条)の規定により、管理業者が免責されるには、各規定に適合するほか本条の善管注意義務を果たしていることが必要である。
6 第6条関係
① 第2項で定額委託業務費の内訳を明示することにより、第3条に規定する管理事務の範囲・内容と定額委託業務費の関係を明確化することとしたものである。
ただし、適正化法第 72 条に基づき管理委託契約締結前に行う重要事項説明の際に、管理業者が管理組合に対して見積書等であらかじめ定額委託業務費の内訳を明示している場合であって、当事者間で合意しているときは、本契約書に定額委託業務費の内訳を記載しないことができる。
② 第2項第2号で定める支払方法以外の方法で、定額委託業務費の支払いをする場合には、同号を適宜追加・修正するものとする。
③ 管理組合は、管理事務として管理業者に委託する事務(別表第1から別表第4までに定める事務)のため、管理業者に委託業務費を支払う。この委託業務費は、実施する業務の性格によって、第2項で定める定額委託業務費(その負担が定額でかつ実施内容によって価格に変更を生じる場合がないため精算を要しない費用)と、第3項の定額委託業務費以外の費用(実施内容によって価額に変更が生じる場合があるため各業務終了後に管理組合と管理業者で精算を行う費用)とに分けられる。
④ 第3項の定額委託業務費以外の費用とは、例えば、業務の一部が専有部分で行われる排水管の清掃業務、消防用設備等の保守点検業務等に支払う費用が想定される。
なお、定額委託業務費以外の費用が存在しない場合は、本項は不要である。
⑤ 3年ごとに実施する特定建築物定期調査のように、契約期間をまたいで実施する管理事務の取扱いについては、本契約と別個の契約とする方法、第2項の定額委託業務費に含める方法又は第3項の定額委託業務費以外の費用に含める方法が考えられる。第2項の定額委託業務費に含める場合には、実施時期や費用を明示し、管理事務を実施しない場合の精算方法をあらかじめ明らかにすべきである。
⑥ 1年に1回以上実施する消防用設備等の点検のように、契約期間内に複数回実施する管理事務の取扱いについては、第2項の定額委託業務費に含める方法又は第3項の定額委託業務費以外の費用に含める方法が考えられる。第2項の定額委託業務費に含める場合には、実施時期や費用を明示し、管理事務を実施しない場合の精算方法をあらかじめ明らかにすべきである。
7 第7条関係
① 管理事務xxは、通常、管理組合が管理業者に管理事務を行わせるのに不可欠であるため、無償で使用させるものとしている。
② 第2項は、管理事務xxの使用に係る諸費用(水道光熱費、通信費、備品、消耗品費等)の負担区分について、その内容を規定するものとする。
③ 管理事務xxの資本的支出が必要となった場合の負担については、別途、管理組合及び管理業者が協議して決定することとなる。
8 第8条関係
① 本条は、カスタマーハラスメントを未然に防止する観点から、管理組合が管理業者に対して管理事務に関する指示を行う場合には、管理組合が指定した者以外から行わないことを定めたものであるが、組合員等が管理業者の使用人その他の従業者(以下
「使用人等」という。)に対して行う情報の伝達、相談や要望(管理業者がカスタマーセンター等を設置している場合に行うものを含む。)を妨げるものではない。また、
「法令の定め」とは、建物の区分所有等に関する法律(昭和 37 年法律第 69 号。以下
「区分所有法」という。)第 34 条第3項に規定する集会の招集請求などが想定される。なお「管理者等」とは、適正化法第2条第4号に定める管理者等をいう。(以下同じ。)
② 管理組合又は管理業者は、本条に基づき指定する者について、あらかじめ相手方に書面で通知することが望ましい。
9 第9条関係
① 本条で想定する災害又は事故等とは、天災地変による災害、漏水又は火災等の偶発
的な事故等をいい、事前に事故等の発生を予測することが極めて困難なものをいう。
② 第1号及び第2号に規定する災害又は事故等の例については、当該マンションの地域性、設備の状況等に応じて、適宜内容の追加・修正・削除を行うものとする。
③ 専有部分は組合員が管理することになるが、専有部分において犯罪や孤立死(孤独死)等があり、当該専有部分の組合員の同意の取得が困難な場合には、警察等から管理業者に対し、緊急連絡先の照会等の協力を求められることがある。
④ 管理業者は、災害又は事故等の発生に備え、管理組合と管理業者の役割分担やどちらが負担すべきか判断が難しい場合の費用負担のあり方について、あらかじめ管理組合と協議しておくことが望ましい。
⑤ 組合員等で生じたトラブルについては、組合員等で解決することが原則であるが、管理組合がマンションの共同利益を害すると判断した場合、管理組合で対応することとなる。この場合に管理組合が管理業者に助言等の協力を必要とする場合、緊急時の業務に明記することも考えられる。
10 第 10 条関係
① 第1項に規定する書面は、別表第1 1(1)②に定める「収支決算案の素案」を提出することで代えることができる。また、本報告は適正化法第 77 条に基づく報告であるので、管理業者は、管理業務xx者をして行う必要がある。
② 第1項の報告期限は、管理組合の総会の開催時期等を考慮し、管理組合の運営上支障がないように定めるものとする。
③ 第1項に規定する書面の交付をマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成 13 年国土交通省令第 100 号。以下「適正化法施行規則」という。)に基
づき電磁的方法により提供する場合には、管理業者は、適正化法施行規則第 88 条に定める要件を満たす必要がある。
なお、電磁的方法とは、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に定めるものをいう。(以下同じ。)
イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
ロ 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
④ 第2項の規定は、適正化法施行規則第 87 条第5項に基づく書面の交付であるため、適正化法施行規則の規定に従って交付する必要がある。なお、「国土交通省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」(平成 17 年国土交通省令第 26 号)に規定する要件を満たした場合、当該書面は電磁的方法により提供することができる。
⑤ 第3項の報告については、当事者間の合意により、あらかじめ期日を定めて行う方法とすることも考えられる。
11 第 11 条関係
① 弁護士法第 72 条の規定を踏まえ、債権回収はあくまで管理組合が行うものであることに留意し、第2項の管理業者の管理費等滞納者に対する督促に関する協力について、事前に協議が調っている場合は、協力内容(管理組合の名義による配達証明付内容証明郵便による督促等)、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。
② 滞納者が支払わない旨を明らかにしている状態又は複数回の督促に対して滞納者が明確な返答をしない状態にもかかわらず、管理業者が督促業務を継続するなど法的紛争となるおそれがある場合には、弁護士法第 72 条の規定に抵触する可能性があることに十分留意すること。
12 第 12 条関係
① いわゆるカスタマーハラスメントは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義されており(「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」
(厚生労働省))、これは第1項第4号の「管理事務の適正な遂行に著しく有害な行為」に該当し、組合員等が、管理業者の使用人等に対し、本契約に定めのない行為や法令、管理規約、使用細則又は総会決議等(以下「法令等」という。)に違反する行為を強要すること、侮辱や人格を否定する発言をすること、文書の掲示や投函、インターネットへの投稿等による誹謗中傷を行うこと、執拗なつきまといや長時間の拘束を行うこと、執拗な架電、文書等による連絡を行うこと、緊急でないにもかかわらず休日や深夜に呼び出しを行うことなどが含まれる。なお、管理組合の役員も管理組合の組合員であるため、当然に本条の「組合員等」に含まれることに留意すること。また、カスタマーハラスメントが発生した場合又は疑われる場合には、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を参考とし、企業として毅然と対応すること。
② 管理業者は、報告の対象となる行為や頻度等について、あらかじめ管理組合と協議しておくことが望ましい。
③ 第5項は、カスタマーハラスメントが組合員等と管理業者の使用人等との間で起こり、その是正が必ずしも共同の利益とみなされない場合があることから、管理組合に是正に向けた特段の配慮を求めるために定めたものである。
13 第 13 条関係
① 第1項は、建物等の滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合の通知義務を定めたものであるが、新型コロナウイルス感染症の流行により組合員等の共同生活に重大な影
響を及ぼす事態が生じたことを踏まえ、今後、管理業者が、管理事務の実施に際し、マンション内で初めて、健康の維持に重大な影響を及ぼすとされる新たな感染症への 罹患の事実を知った場合にも、協議の上で、相手方に通知しなければならない内容と することが考えられる。この場合には、行政からの指示や情報を踏まえて対応するこ とが望ましい。また、管理事務の実施に際し、組合員等にひとり歩き等の認知症の兆 候がみられ、組合員等の共同生活や管理事務の適正な遂行に影響を及ぼすおそれがあ ると認められる場合にも、協議の上で、相手方に通知しなければならない内容とする ことが考えられる。なお、管理業者がこれらの情報を本契約の範囲内で取得した場合 は、本人の同意なくこれらの情報を管理組合に提供でき、管理組合も本人の同意なく 取得することができる。ただし、管理業者が通知するこれらの情報については、特定 の個人を識別する情報が含まれているため、当該情報の取扱いを適切に行う観点から、あらかじめ管理組合において、その取扱いについて定めておく必要がある。また、x x業者は、「個人情報取扱事業者等に係るガイドライン・Q&A 等(個人情報保護法x x規定、第4章等関係)」(個人情報保護委員会公表)を遵守する必要があり、管理 組合は、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号。以下「個人情報保護
法」という。)第 25 条に基づき管理業者を監督する義務があることに留意すること。
また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(令和3年法律第 56 号) により、事業者は、社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む 上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの)の除 去の実施について必要かつ合理的な配慮の提供を行うことが義務化された。そのため、管理業者は、管理組合から、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配 慮の提供に関する助言を求められた場合には、地域包括支援センター等の支援施設の 役割や連絡先に関する情報を提供するなどの対応を行うこと。
② 管理規約や使用細則に組合員の住所変更や組合員等の長期不在等について届出義務を設けている場合は、第2項に適宜追加することが望ましい。
14 第 14 条関係
第1項に規定する管理事務は、その都度管理組合の承認を得て行われるものであり、管理組合の協力が不可欠なものである。
管理業者は、組合員等が正当な理由なく管理業者(又は再委託の業者)の立入りを拒否したときは、第2項によりその部分に係る管理事務の実施が不可能である旨を管理組合に通知するものとする。また、管理業者は、その場合の取扱い(費用負担を含む。)について、あらかじめ管理組合と協議しておくことが望ましい。
15 第 15 条関係
① 本条は、宅地建物取引業者が、媒介等の業務のために、宅地建物取引業法施行規則
(昭和32年建設省令第12号)第16条の2に定める事項等について、管理業者に当該事
項の確認を求めてきた場合及び所有する専有部分の売却等を予定する組合員が同様の事項の確認を求めてきた場合の対応を定めたものである。
宅地建物取引業者又は売主たる組合員(以下「宅地建物取引業者等」という。)を通じて専有部分の購入等を予定する者に管理組合の財務・管理に関する情報を提供・開示することは、当該購入等予定者の利益の保護等に資するとともに、マンション内におけるトラブルの未然防止、組合運営の円滑化、マンションの資産価値のxxxの観点からも有意義であることを踏まえて、提供・開示する範囲等について定めた規定である。
② 本来、宅地建物取引業者等への管理組合の管理規約、管理組合が作成し保管する会計帳簿、什器備品台帳及びその他の帳票類並びに管理組合が保管する長期修繕計画書及び設計図書(コメント15及びコメント44において「管理規約等」という。)の提供及び別表第5に掲げる事項の開示は管理規約及び使用細則の規定に基づき管理組合が行うべきものであるため、これらの事務を管理業者が行う場合にあっては、管理規約及び使用細則において宅地建物取引業者等への提供・開示に関する根拠が明確に規定されるとともに、これと整合的に本契約書において、管理業者による提供・開示に関して規定されることが必要である。
また、管理業者が提供・開示できる範囲は、原則として本契約書に定める範囲となる。本契約書に定める範囲外の事項については、組合員又は管理組合に確認するよう求めるべきである。管理業者が受託した管理事務の実施を通じて知ることができない過去の修繕等の実施状況に関する事項等については、管理業者は管理組合から情報の提供を受けた範囲で、これらの事項を開示することとなる。
なお、本契約書に定める範囲内の事項であっても、「敷地及び共用部分における重大事故・事件」のように該当事項の個別性が高いと想定されるものについては、該当事項ごとに管理組合に開示の可否を確認し、承認を得て開示する事項とすることも考えられる。
③ 提供・開示する事項に組合員等の個人情報やプライバシー情報が含まれる場合には、個人情報保護法の趣旨等を踏まえて適切に対応する必要がある。
なお、別表第5に記載する事項については、「敷地及び共用部分における重大事故・事件」に関する情報として特定の個人名等が含まれている場合を除き、個人情報保護法の趣旨等に照らしても、提供・開示に当たって、特段の配慮が必要となる情報ではない(売主たる組合員の管理費等の滞納額を含む。)。
④ 管理業者が、管理組合の組合員から当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受けた宅地建物取引業者に対して総会等の議事録を閲覧させる業務を受託する場合は、本契約内容に追加を行うものとする。この場合において、当該議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該議事録の保管場所において、当該電磁的記録に記録された情報の内容を書面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものを閲覧させるものとする。なお、議事録には個人情報やプライバシー情報が含まれ
る場合も多いことから、発言者や審議内容から特定の個人が識別できないように加工するなど、個人情報保護法の趣旨等を踏まえて適切に対応することが必要である。
⑤ 管理業者が第1項に基づいて提供・開示した件数、第2項に基づいて受領することとする金額等については、第 10 条第3項の報告の一環として管理組合に報告することとすることも考えられる。
⑥ 第1項の「その他の帳票類」とは、領収書や請求書、本契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などのことをいう。
⑦ 第1項の「設計図書」とは、適正化法施行規則第 102 条に定める図書のことをいう。
16 第 17 条関係
本条は、適正化法第 80 条及び第 87 条の規定を受けて、管理業者及びその使用人等の秘密保持義務を定めたものである。管理業者は、管理事務に関して知り得た秘密について、書面をもって管理組合の事前の承諾を得た場合等を除き、開示、漏えいしたり、目的外の利用をしてはならない。なお、適正化法第 80 条及び第 87 条の規定では、管理業者でなくなった後及び管理業者の使用人等でなくなった後にも秘密保持義務が課せられている。
17 第 18 条関係
① 本条は、管理業者は、管理事務に関して個人情報に接する機会が多いことに鑑み、個人情報保護法の適用を受ける事業者が本法令を遵守することはもとより、個人情報取扱事業者等に係るガイドライン・Q&A 等を参考にして、個人情報の適正な取扱いの確保を図ることが重要であることを踏まえた規定である。
② 管理業者が管理組合から委託を受けて作成、管理していた個人情報以外の情報についての返却又は廃棄の取扱いや、管理業者において特定の個人が識別できないように加工した情報の活用に関する取扱いについては、あらかじめ、管理組合に対して十分に説明し、明確にしておくことが望ましい。
③ 管理業者が本契約の管理事務の遂行とは関係のない目的で組合員等から取得した個人情報については、本規定の対象外であるが、当該個人情報についても本規定の趣旨にのっとり適切に管理すべきである。
18 第 19 条関係
① 管理業者の免責事項について、昨今のマンションを取り巻く環境の変化、特に感染 症がまん延したり、予期できない自然災害が増えてきていることから、当該マンショ ンの地域性、設備の状況に応じて、管理組合及び管理業者の協議の上、例えば「感染 症の拡大のため予定していた総会等の延期に係る会場賃借・設営に対する損害」、「排 水設備の能力以上に機械式駐車場内に雨水流入があったときの車両に対する損害」等、必要に応じて具体的な内容を記載することも考えられる。
② 管理業者が IT を活用して管理事務を行う場合、インターネット回線や通信機器の不具合等が想定されることから、当該マンションの設備の状況等に応じて、管理組合及び管理業者が協議の上、例えば「通信機器の不具合等により生じた総会等の延期に伴う出席者の機会損失に対する損害」等、必要に応じて具体的な内容を記載することも考えられる。
19 第 20 条関係
第2項第1号に規定する「銀行の取引を停止されたとき」とは、「手形交換所の取引停止処分を受けたとき」のことである。
20 第 21 条関係
本条は、民法第 651 条の規定を踏まえ、契約当事者双方の任意解除権を規定したものである。解約の申入れの時期については、契約終了に伴う管理事務の引継ぎ等を合理的に行うのに通常必要な期間を考慮して設定している。
21 第 22 条関係
契約の有効期間は、管理組合の会計期間、総会開催時期、重要事項説明時期等を勘案して設定することが必要である。
22 第 23 条関係
① 第1項は、本契約を更新しようとする場合の申入れ期限及び方法を規定したものである。管理業者は、適正化法第 72 条により、本契約を更新しようとするときは、あらかじめ重要事項説明を行うと定められていることを踏まえ、xx前までに更新の申入れを行うこととしたものである。
② 契約の有効期間が満了する日までに更新に係る協議が調わないときは既存の契約は終了し、当該マンションの管理運営に支障を及ぼす可能性があるため、第2項では暫定契約の手続きを定めている。ただし、この場合にも適正化法第 72 条に規定する、同一の条件で契約を更新しようとする場合の重要事項の説明等の手続は必要である。
③ 暫定契約の期間は、協議状況を踏まえて、当事者間で適切な期間を設けるものとする。
④ 第3項の申出がない場合は、円滑な管理事務の引継ぎ等のため、契約終了後の取扱いについて、本契約の終了時までに余裕をもって、管理組合及び管理業者が協議することが望ましい。
⑤ 第4項について、管理業者は、第 10 条における管理事務の報告等、本契約期間内で必ずしも完了しない業務及びその引継ぎを契約終了以降に行う必要がある場合は、あらかじめ管理組合の承諾を得ることとする。
23 第 24 条関係
本条は、設備の維持管理に関する法令の制定又は改廃により、第3条の管理事務の内容や第6条の委託業務費の額の変更が必要となった場合について定めたものである。
24 第 25 条関係
① IT の活用に際しては、管理業者が行う管理事務の効率化のみならず、管理組合にとっても利便性が向上するように配慮して行うことに留意すること。
② 第1項及び第2項の承諾を得る際には、承諾の有無をめぐる事後のトラブル防止の観点から、その承諾を書面又は書面に出力可能な形式(電子メール、SNS、WEB ページ上の回答フォーム、CD-ROM、USB メモリ等)で行うこと。
③ 第1項の承諾を得る場合、次の事項を明らかにしておくこと。
1.電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類
・電子メール、SNS
・WEB ページからのダウンロード
・WEB ページで閲覧(専用ページ)
・CD-ROM やUSB メモリ等
2.電磁的方法で提供する書面の記録方式
・ソフトウェアの形式(Excel や PDF 等)やバージョン等
3.電磁的方法による提供の対象となる書面の種類
・管理委託契約書第○条に係る書面
・上記各書面に関連する書面(事務処理上必要となる書面)
4.電磁的方法による提供の中止ができること
相手方が電磁的方法による提供を受けない旨を申し出た際には、電磁的方法による提供を中止し、書面による交付を行うこと。
5.その他
・ID やパスワード等を設定する場合の通知方法等
④ 第2項の承諾を得る場合、次の事項を明らかにしておくこと。
1.WEB 会議システム等の種類
・ソフトウェアの形式やバージョン等
2.WEB 会議システム等による報告の内容
・管理委託契約書第 10 条第1項に係る報告
・管理委託契約書第 10 条第3項に係る報告
・管理委託契約書第○条に係る報告
・上記各報告に関連する報告(その他の管理事務に関する報告)
3.WEB 会議システム等による報告の中止ができること
相手方がWEB 会議システム等による報告を受けない旨を申し出た際には、WEB 会議システム等による報告を中止し、対面による報告を行うこと。
4.その他
・ID やパスワード等を設定する場合の通知方法等
⑤ 第2項の第 10 条第1項及び第3項に規定する報告を管理組合の承諾を得て WEB 会議システム等により行う場合には、管理組合から報告の内容を理解した旨の確認を得ること。
⑥ 管理業者が第1項及び第2項に規定する IT の活用を行う際には、管理組合及び管理業者の双方が対応可能であることをあらかじめ確認しておくとともに、管理規約の変更を含めた管理組合内のルールを定めることを助言することが望ましい。
⑦ IT の活用に必要となる費用やデータの保存に必要となるサーバ費用等の負担については、あらかじめ管理組合と管理業者が協議しておくこと。
⑧ 理事会や総会の様子を動画に保存し、当日出席できなかった者が後日確認できるようにする場合には、肖像xxの権利関係に十分留意の上、セキュリティが十分確保できるサーバ等を利用すること。また、保存しておく期間等については、管理組合と管理業者が協議して定めること。
25 第 26 条関係
xxの誠実義務には、管理業者・管理組合双方ともに厳にハラスメントに該当する言動を行わないことや、管理業者が管理組合に対して法令等に反するような助言等を行ってはならないことも含まれる。
26 第 27 条関係
本条は、管理組合、管理業者及びこれらの役員が反社会的勢力に該当しないことを確約する旨を規定したものであり、その確約に反して、管理組合、管理業者又はこれらの役員が反社会的勢力であることが判明した場合には、第 20 条第2項第5号の規定に基づき、契約の相手方は本契約を解除することができる。
27 第 28 条関係
支払督促を申し立てる裁判所については、本条の規定にかかわらず、民事訴訟法の定めるところにより、債務者の住所地等を管轄する簡易裁判所においてするものとする。
28 後文関係
① 代表者以外の者(支店xx)が契約当事者となる場合において、本契約書を適正化法第 73 条に規定する契約成立時の書面として使用するときは、「代表者の氏名」も併記しなければならないことに留意する。
② 管理業者が、適正化法第 73 条第3項に基づき「契約成立時の書面」を電磁的方法により提供する場合には、適正化法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行令(平成 13 年政令第 238 号)及び適正化法施行規則に定める要件を満たす必要がある。
③ 電子契約による場合の記載例は次のとおり。
(記載例)
本契約の成立の証として、電子契約書ファイルを作成し、それぞれ電子署名を行う。なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。
④ 本契約を電子契約で締結する場合や本契約に基づく書面を電磁的方法により提供し、又は提供を受ける場合には、管理業者は、電子帳簿保存法、電子署名法、e-文書法等各種法令に留意し、対応方法や必要事項をあらかじめ管理組合と協議することが望ましい。
⑤ 「押印についてのQ&A」(令和2年6月 19 日 内閣府、法務省、経済産業省)によると、契約書への押印の考え方は次のとおり。
・私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
・特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
29 別紙1関係
① 業務対象は、管理事務の内容として別表第1~4に定めるものを原則とするが、業務を細分化して記載できる場合には分けて記載すること。別表第1 2(3)については、その他の業務を具体的に記載すること。
② 別紙1では、契約時に第三者へ再委託することが明らかなものを記載すること。このほか一時的・臨時的に第三者への再委託が必要となった場合は、その旨を管理組合に通知することが望ましい。
30 別紙2関係
定額委託業務費の構成は一様ではないので、内訳明示の方法を3つ例示している。
31 別紙3関係
定額委託業務費以外の費用は、独立性を有する業務ごとに計上する。
32 別紙4関係
別紙4の記載要領は次のとおり。
・記載対象の口座について
本契約締結時において、口座の名義にかかわらず、管理対象となる全ての口座を記載すること。
・「口座の種類」について
「収納口座」、「保管口座」及び「収納・保管口座」のいずれかの口座を記載すること。
・「預貯金の種類」について
「普通預金」や「定期預金」等、当該口座の預貯金の種類を記載すること。
・「名義」、「通帳の保管者」、「印鑑の保管者」及び「電子取引を利用する場合のパスワードの保管者」について
「甲」又は「乙」を記載すること。
また、保管者が「甲」及び「乙」以外の場合は、その保管者の名称を記載すること(管理組合損害補償金給付制度を活用する場合等)。
・「電子取引を利用する場合のパスワードの名称」について
「インターネットバンキングパスワード」、「ファームバンキングパスワード」、
「支払承認パスワード」等、電子取引の手法を判別できるよう記載すること。
・「電子取引を利用する場合のパスワード(預貯金引出用)以外に乙が保管する預貯金引出用のキャッシュカード等の有無」について
キャッシュカード等がある場合は「有」と記載し、その名称を併せて記載すること。
また、キャッシュカード等がない場合は「無」と記載すること。
・「乙が保管する通帳等の管理責任者(乙名義の収納口座を含む。)」について管理責任者の所属している部署名及び役職名を記載すること(氏名不要)。
また、通帳、印鑑、パスワード等について、管理責任者が異なる場合は、それぞれ記載すること。
33 別表第1 1(1)関係
① 管理業者が管理組合の出納業務の全部を受託していない場合においては、収入及び支出のxxについても、管理業者が受託した出納業務に係る範囲で行うものとする。
② 収支予算案の素案及び収支決算案の素案の報告期限は、個々の状況や管理組合の総会の開催時期等を考慮し、管理組合の運営上支障がないように定めるものとする。
③ 会計の収支状況に関する書面として、収支状況及び収納状況が確認できる書面の作成が必要である。
34 別表第1 1(2)関係
① 管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する管理組合の財産については、適正化法第 76 条の規定に基づき、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。
② 財産の分別管理の方法については、以下の方法別に各方式の具体的な内容を記載するものとする。
一 保証契約を締結して管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合二 管理業者の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合
三 保証契約を締結する必要のないときに管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合
四 管理組合の収納・保管口座を設ける場合
なお、上記一~四が想定される収納口座等に係る名義人等の区分は次のとおり。
収納口座 | 保管口座 | 収納・保管口座 | 該当 コメント | ||||
名義人※1 | 印鑑等※2の管理者 | 集金代行※3の委託者 | 名義人 | 印鑑等の管理者 | 名義人 | 印鑑等の管理者 | |
管理組合 | 管理組合 | 管理業者 | 管理組合 | 管理組合 | - | - | ②一 |
管理 組合 | ②三 | ||||||
- | |||||||
管理業者 | 管理業者 | ②一 | |||||
管理 組合 | ②一 | ||||||
- | |||||||
管理業者 | 管理組合 | 管理 業者 | ②二 | ||||
管理組合 | ②二 | ||||||
- | |||||||
管理業者 | 管理業者 | ②二 | |||||
管理組合 | ②二 | ||||||
- | |||||||
- | - | - | - | - | 管理組合 | 管理組合 | ②四 |
※1 管理組合名義と管理業者名義の収納口座がある場合は、管理費等を最初に収納する収納口座の名義で判断する。ただし、最初に収納する口座が集金代行会社の口座であるときは、集金代行会社の口座から振り替える口座の名義で判断する。
※2 印鑑等とは、適正化法施行規則第 87 条第3項第2号に規定する「印鑑、預貯金等の引出用カード、その他これらに類するもの」をいう。以下、本コメントにおいて
「印鑑等」と表記しているものについては同じ。
※3 集金代行会社との契約内容を確認し、集金代行会社に収納業務を委託している者で判断する。
③ 適正化法施行規則第 87 条第4項により、管理業者が保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合の印鑑等を管理することは禁止されている。
④ 電子取引(インターネットバンキング等)を利用する場合は、インターネットバンキング等を利用していることがわかるように1(2)④に記載するものとする。なお、管理組合名義の収納口座から出金ができるパスワード等を管理業者が管理する場合には、当該パスワード等が適正化法施行規則第 87 条第3項第2号に規定する印鑑等に該当することに留意すること。
(インターネットバンキングを利用している場合の1(2)④の記載例)
乙は、甲の収支予算に基づき、甲の経費を、甲の承認の下にインターネットバンキングを利用して乙の収納口座から、又は甲の承認を得て甲の保管口座から支払う。
⑤ 管理業者が損害保険証券を保管する場合については、適正化法施行規則第 87 条に規定する有価証券の分別管理の規定に鑑み、掛け捨て型の保険契約に係る証券に限るものとする。
⑥ 本契約に基づき管理業者が受託する出納業務の範囲を明確化するため、管理対象となるすべての口座を明確にするとともに、出納業務の重要性から通帳等の管理責任者を明記すること。したがって、管理組合が自ら管理している本契約の出納業務の範囲外の口座は、明記する対象口座に含まれない。
⑦ 管理業者が、本契約書第 11 条第1項に基づく管理費等の滞納者に対する督促を行う場合は、その旨記載するものとする。
⑧ 管理費等の滞納者に対する督促については、管理業者は組合員異動届等により、管理組合から提供を受けた情報の範囲内で督促するものとする。なお、督促の方法(電話若しくは自宅訪問又は督促状)については、滞納者の居住地、督促に係る費用等を踏まえ、合理的な方法で行うものとし、その結果については滞納状況とあわせて書面で報告するものとする。ただし、あらかじめ定めた期間(別表第1 1(2)②二に定める「○月」)内であっても、滞納者が支払わない旨を明らかにしている状態又は複数回の督促に対して滞納者が明確な返答をしない状態にもかかわらず、管理業者が督促業務を継続するなど法的紛争となるおそれがある場合には、弁護士法第 72 条の規定に抵触する可能性があることに十分留意すること。
⑨ 管理組合の会計に係る帳簿等とは、管理費等の出納簿や支出に係る証拠書類等をいう。
⑩ 現金収納がある場合には、現金のき損事故や不正流用等防止のため、業務方法をあらかじめ明示しておくこと。また、現金収納を行わない場合には、その旨を記載すること。なお、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づく管理事務の IT化について」(令和3年 12 月 24 日付国不参第 78 号)の趣旨に鑑み、現金収納に代わる電子マネーの活用など管理事務の IT 化の促進を図ることにより、管理組合及び管理業者の業務効率化や利便性向上などに資することに留意すること。
35 別表第1 1(2)関係
(34_②一 保証契約を締結して管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合)-適正化法施行規則第 87 条第2項第1号イ又はロの方式
① 出納業務として、各専有部分の水道料等の計算、収納を委託する場合は、本表に以下の規定を加えるものとする。
○ 組合員等が甲に支払うべき水道料、冷暖房料、給湯料等(以下「水道料等」という。)の計算、収納
甲の管理規約等の定めに基づき、○月ごとに、組合員等別の水道料等を計算し、
甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法により、組合員等の口座から、甲の口座に振り替える。
② 管理業者が管理費等の収納事務を集金代行会社に再委託する場合は、別表第1 1
(2)①二及び三を以下のとおり記載するものとする。
○ 二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座収納日の○営業日前までに、預金口座振替請求金額通知書を、乙が再委託する次の集金代行会社(以下「集金代行会社」という。)に提出する。
再委託先の名称 ○○○○再委託先の所在地 ○○○○
○ 三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。以下「収納日」という。)に、甲の組合員の口座から集金代行会社の口座に振り替え、収納日の○営業日後に集金代行会社の口座から甲の収納口座に収納し、④の事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。
③ 適正化法施行規則第 87 条第2項第1号ロに定める方法による場合は、別表第1
1(2)①三を以下のとおり記載するものとする。
○ 三 甲の組合員の修繕積立金の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。以下同じ。)に、甲の組合員の口座から甲の保管口座に振り替える。甲の組合員の管理費等(修繕積立金を除く。)の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日に、甲の組合員の口座から甲の収納口座に振り替えし、④の事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。
④ 管理業者は、管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合にあっては、次の要件を両方とも満たさない場合は、収納口座に収納される一月分の管理費等の合計額以上の額につき、有効な保証契約を締結していることが必要なことから、保証契約の内容等を記載するものとする。なお、「有効な保証契約」とは、管理業者が保証契約を締結していなければならないすべての期間にわたって、適正化法施行規則第87条第3項に規定する保証契約を締結していることが必要であるとの趣旨である。したがって、管理委託契約の契約期間の途中で保証契約の期間が満了する場合には、当該保証契約の更新等をしなければならない。
一 管理費等が組合員から管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又は管理業者若しくは管理業者から委託を受けた者が組合員から管理費等を徴収しない場合
二 管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、
預貯金の引出用カードその他これらに類するものを管理しない場合
⑤ 別表第1 1(2)①四ハのdからfの項目は、保証契約書等を添付することにより、これらが確認できる場合は記載を省略することができる。
⑥ 別表第1 1(2)④は、支払に使用する収納口座について、管理業者が印鑑等を保管している場合には、管理組合からの支払委託により包括的に承認を得ていると考えられるため「承認の下に」と表記し、管理組合が印鑑等を保管している場合には、支払の都度管理組合から承認を得ることになるため「承認を得て」と表記する。また、経費等の支払いに際し、複数の口座を使用している場合には支払の流れがわかるように別表第1 1(2)④に追記すること。
36 別表第1 1(2)関係
(34_②二 管理業者の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合)-適正化法施行規則第 87 条第2項第1号イ又はロの方式
① 出納業務として、各専有部分の水道料等の計算、収納を委託する場合は、本表に以下の規定を加えるものとする。
○ 組合員等が甲に支払うべき水道料、冷暖房料、給湯料等(以下「水道料等」という。)の計算、収納
甲の管理規約等の定めに基づき、○月ごとに、組合員等別の水道料等を計算し、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法により、組合員等の口座から、甲の口座に振り替える。
② 管理業者が管理費等の収納事務を集金代行会社に再委託する場合は、別表第1 1
(2)①二及び三を以下のとおり記載するものとする。
○ 二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座収納日の○営業日前までに、預金口座振替請求金額通知書を、乙が再委託する次の集金代行会社(以下「集金代行会社」という。)に提出する。
再委託先の名称 ○○○○再委託先の所在地 ○○○○
○ 三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。以下「収納日」という。)に、甲の組合員の口座から集金代行会社の口座に振り替え、収納日の○営業日後に集金代行会社の口座から乙の収納口座に収納し、④の事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。この場合、甲の保管口座に移し換えるまでの管理費等については、利息を付さない。
③ 適正化法施行規則第 87 条第2項第1号ロに定める方法による場合は、別表第1
1(2)①三を以下のとおり記載するものとする。
○ 三 甲の組合員の修繕積立金の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振
替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。以下同じ。)に、甲の組合員の口座から甲の保管口座に振り替える。甲の組合員の管理費等(修繕積立金を除く。)の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日に、甲の組合員の口座から乙の収納口座に収納し、④の事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。この場合、甲の保管口座に移し換えるまでの管理費等(修繕積立金を除く。)については、利息を付さない。
④ 管理業者は、収納口座を管理業者の名義とする場合は、収納口座に収納される一月分の管理費等の合計額以上の額につき、有効な保証契約を締結していることが必要なことから、保証契約の内容等を記載するものとする。なお、「有効な保証契約」とは、管理業者が保証契約を締結していなければならないすべての期間にわたって、適正化法施行規則第 87 条第3項に規定する保証契約を締結していることが必要であるとの趣旨である。したがって、管理委託契約の契約期間の途中で保証契約の期間が満了する場合には、当該保証契約の更新等をしなければならない。
⑤ 別表第1 1(2)①四ハのdからfの項目は、保証契約書等を添付することにより、これらが確認できる場合は記載を省略することができる。
⑥ 別表第1 1(2)④は、支払に使用する収納口座について、管理業者が印鑑等を保管している場合には、管理組合からの支払委託により包括的に承認を得ていると考えられるため「承認の下に」と表記し、管理組合が印鑑等を保管している場合には、支払の都度管理組合から承認を得ることになるため「承認を得て」と表記する。また、経費等の支払いに際し、複数の口座を使用している場合には支払の流れがわかるように別表第1 1(2)④に追記すること。
37 別表第1 1(2)関係
(34_②三 保証契約を締結する必要がないときに管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合)-適正化法施行規則第 87 条第2項第1号イ又はロの方式
① 出納業務として、各専有部分の水道料等の計算、収納を委託する場合は、本表に以下の規定を加えるものとする。
○ 組合員等が甲に支払うべき水道料、冷暖房料、給湯料等(以下「水道料等」という。)の計算、収納
甲の管理規約等の定めに基づき、○月ごとに、組合員等別の水道料等を計算し、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法により、組合員等の口座から、甲の口座に振り替える。
② 適正化法施行規則第 87 条第2項第1号ロに定める方法による場合は、別表第1
1(2)①三を以下のとおり記載するものとする。
○ 三 甲の組合員の修繕積立金の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座
振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。以下同じ。)に、甲の組合員の口座から甲の保管口座に振り替える。甲の組合員の管理費等(修繕積立金を除く。)の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日に、甲の組合員の口座から甲の収納口座に振り替えし、④の事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。
③ 管理業者は、管理組合の収納口座と管理組合の保管口座を設ける場合で、かつ、次の一及び二のいずれにも該当する場合、収納口座に収納される一月分の管理費等の合計額以上の額につき、有効な保証契約を締結する必要がない。
一 管理費等の収納についてイ又はロの場合に限る。
イ 管理費等が組合員から管理業者が受託契約を締結した管理組合又はその管理者等(以下「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合
ロ 管理業者又は管理業者から委託を受けた者が組合員から管理費等を徴収しない場合
二 収納口座の印鑑等の管理について
管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用カードその他これらに類するものを管理しない場合
④ 別表第1 1(2)①三による管理費等の収納は、上記③一及び二のいずれにも該当し、かつ、その月分として徴収された修繕積立金等金銭又は適正化法施行規則第 87条第1項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を引き続き当該収納口座において管理することを管理組合等が承認している場合には、別表第1 1(2)④の事務を行った後の残額を引き続き収納口座にて管理することができる。なお、管理組合等があらかじめこの承認をしている場合の契約書の記載例を以下に示す。
(記載例)
別表第1 1(2)①
三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。)に、甲の組合員の口座から甲の収納口座に振り替えし、④の事務を行った後その残額を、引き続き甲の収納口座において管理する。
⑤ 別表第1 1(2)④は、経費等の支払いに際し、複数の口座を使用している場合には支払の流れがわかるように追記すること。
38 別表第1 1(2)関係
(34_②四 管理組合の収納・保管口座を設ける場合)-適正化法施行規則第 87 条第2
項第1号ハの方式
出納業務として、各専有部分の水道料等の計算、収納を委託する場合は、本表に以下の規定を加えるものとする。
○ 組合員等が甲に支払うべき水道料、冷暖房料、給湯料等(以下「水道料等」という。)の計算、収納
甲の管理規約等の定めに基づき、○月ごとに、組合員等別の水道料等を計算し、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法により、組合員等の口座から、甲の口座に振り替える。
39 別表第1 1(3)関係
① 長期修繕計画案の作成及び見直しは、長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン、長期修繕計画作成ガイドラインコメント(平成 20 年6月国土交通省公表(令和3年9月改訂))を参考にして作成することが望ましい。また、長期修繕計画における修繕積立金の額が著しく低額である場合の確認については、マンションの修繕積立金に関するガイドライン(平成 23 年4月国土交通省公表(令和5年4月追補版))において修繕積立金の額の目安を示しているため、参考とすることが望ましい。
② 長期修繕計画案の作成業務(長期修繕計画案の作成のための建物等劣化診断業務を含む。)以外にも、必要な年度に特別に行われ、業務内容の独立性が高いという業務の性格から、以下の業務を管理業者に委託するときは、本契約とは別個の契約にすることが望ましい。
一 修繕工事の前提としての建物等劣化診断業務(耐震診断を含む。)二 大規模修繕工事実施設計及び工事監理業務
三 建物・設備の性能向上に資する改良工事の企画又は実施の調整(耐震改修工事、防犯化工事、バリアフリー化工事、IT 化工事等)
四 マンション建替え支援業務
③ 別表第1 1(3)二の「本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により乙以外の業者に行わせる場合」とは、本契約以外に管理組合が自ら本マンションの維持又は修繕(日常の維持管理として管理費を充当して行われる修繕、保守点検、清掃等)を第三者に外注する場合をいう。
④ 別表第1 1(3)二の「大規模修繕」とは、建物の全体又は複数の部位について、修繕積立金を充当して行う計画的な修繕又は特別な事情により必要となる修繕等をいう。
⑤ 別表第1 1(3)二の「見積書の受理」には、見積書の提出を依頼する業者への現場説明や見積書の内容に対する管理組合への助言等(見積書の内容や依頼内容との整合性の確認の範囲を超えるもの)は含まれない。また、「甲と受注業者との取次ぎ」には、工事の影響がある住戸や近隣との調整、苦情対応等、管理組合と受注業者の連
絡調整の範囲を超えるものは含まれない。
ただし、管理組合と管理業者の協議により、これらを追記することは可能である。なお、これらを追記する場合には、費用負担を明確にすること。
⑥ 別表第1 1(3)二の「実施の確認」について、本契約とは別個の契約として、建築士やマンション維持修繕技術者等の有資格者による確認を行うことも考えられる。
40 別表第1 2関係
① 理事会支援業務は、理事会の円滑な運営を支援するものであるが、理事会の運営主体があくまで管理組合であることに留意する。
② 別表第1 2(1)①の規定に基づき整備する名簿について、マンション標準管理 規約において理事長に組合員名簿の作成・保管等が義務付けられていることを踏まえ、管理業者が組合員等から閲覧の請求を受けた場合には、閲覧の請求先が理事長である ことを説明すること。
ただし、法令の定めに基づく閲覧の請求の場合は、この限りではない。
また、名簿を理事長に提出する頻度やタイミングについては、理事長とあらかじめ協議しておくことが望ましい。
なお、「理事長」には管理組合法人における理事及び代表理事も含むものとする。
③ 必要に応じて理事会及び総会に管理業者の使用人等を出席させる場合には、あらかじめ出席時間の目安や頻度、理事会及び総会が長時間又は深夜に及ぶ場合の対応等を決めておくことが望ましい。
④ 管理業者は、業務時間外や休日に管理組合が管理業者の使用人等に連絡した場合、翌営業日又は休日明けの対応となる可能性があることを事前に伝えておくことが望ましい。
⑤ 理事会及び総会の議事録は、管理組合の活動の重要な資料となることを踏まえ、管理業者に議事録の案の作成を委託する場合は、その内容の適正さについて管理組合がチェックする等、十分留意する。議事録については、議事の経過の要点及びその結果を記載する必要がある。「議事の経過」とは議題、議案、討議の内容及び採決方法等を指すが、それらの要点を記載することで足り、すべての発言を一言一句記録するものではない。しかし、議事に影響を与える重要な発言は記録することに留意する。
また、管理業者は、管理組合がチェックする上で十分な余裕をもって議事録の案を提出する。
⑥ 大規模修繕、長期修繕計画変更、管理規約改正等、理事会が設置する各種専門委員会の運営支援業務を実施する場合は、その業務内容、費用負担について、別途、管理組合及び管理業者が協議して定めるものとする。
⑦ 総会等の決議や議事録の作成を電磁的方法により行う場合には、事務処理の方法等について具体的に記述することが望ましい。
⑧ 別表第1 2(2)四の組合員等の出欠の集計等の業務を実施する場合は、総会の成立要件とも関係するため、管理組合が事前にチェックできるように十分留意する。
なお、議決権行使書や委任状により議決権を行使する方法について、管理組合から管理業者が協力を求められたときは、その協力方法について、別途、管理組合及び管理業者が協議して定めるものとする。
⑨ 理事会支援業務や総会支援業務について、区分所有法及び管理組合の管理規約に照らし、管理組合の管理者等以外のxxに招集の権限があると考えられる者から当該支援業務に関する契約書に規定する業務の履行の要求があった場合にも、これを拒否すべき正当な理由がある場合を除き、管理業者は業務を履行すべきものである。
ただし、あらかじめ定めた理事会等支援業務の頻度を超える場合には超えた部分の費用について、WEB 会議システム等を活用した理事会・総会を行う場合には機器の調達、貸与及び設置の補助に係る費用(アカウントのライセンス費用を含む。)について、別途、管理組合及び管理業者が協議して定めるものとする。
なお、別表第1 2(1)②一~四、(2)一~六の業務のうち、電磁的方法の活用が可能である場合、具体的に明示すること。
⑩ 別表第1 2(3)③一の設計図書とは、適正化法施行規則第 102 条に規定する設計図書その他の管理組合が宅地建物取引業者から承継した図書及び管理組合が実施したマンションの修繕等に関する図書であって、管理組合から管理を依頼された図書をいう。
⑪ 管理組合の管理者等は、区分所有法第 33 条及び第 42 条第5項等により、管理規約及び総会議事録の保管、利害関係人に対する閲覧を義務付けられている。管理業者は、管理組合の管理者等の依頼の下にこれらの図書等の保管業務を行うものである。
⑫ 管理業者が別表第1 2(3)③一及び二の図書等の保管業務を行う場合には、管理組合の役員の交替等により預かっている図書等の種類が当事者間で食い違うことのないように、例えば、定期的な管理組合と管理業者双方の立会いや図書等の保管リストにより保管状況を確認することも考えられる。
⑬ マンション分譲業者はマンションの分譲に際し、あらかじめ規約共用部分等について区分所有法第 32 条に基づき、単独でxx証書により規約設定することができる。マンションの管理規約は、本来、このxx証書規約と一覧性を有するよう作成すべきであるが、マンションによっては、xx証書規約とそれ以外の管理規約の両方の保管が必要な場合も想定される。
⑭ 本契約書第3条に個々のマンションの状況や必要性に応じて業務を追加した場合には、具体的な内容及び実施方法を記載すること。
41 別表第2関係
① 別表第2は、管理員の勤務形態で最も多い「管理員通勤方式」の勤務・業務態様を規定しているので、これ以外の方式(住込方式又は巡回方式等)による場合は、適宜
本表を修正するものとする。
また、集会室やパーティールーム、ライブラリー、フィットネスルーム、来客用駐車場等の各種共用施設があるようなマンション等で、管理員とは別に受付等の業務を専門に行うスタッフを配置することを管理業者に委託することも考えられ、その場合は、管理員の業務と区分して別途記載するものとする。
② 管理員の休憩時間については、勤務形態に応じて適宜記載するものとする。
③ 管理業者は、管理員の夏期休暇、年末年始休暇の対象日、その他休暇の日数等(健康診断や研修等で勤務できない日を含む。)について事前に書面で提示し、また、それらの休暇の際の対応(精算や他勤務日での時間調整等)を、あらかじめ具体的に明示することが望ましい。
④ 管理業者は、管理員が忌引、病気、災害、事故等でやむを得ず勤務できない場合の対応(精算や他勤務日での時間調整等)を管理組合との協議により、あらかじめ規定しておくことが望ましい。
⑤ 管理員に勤務時間外の対応が想定される場合、あらかじめ管理組合との協議を行い、必要に応じて、本契約に条件等を明記することが望ましい。
⑥ 自治体の都合によりゴミの収集日や時間が変更となった場合に管理組合及び管理業者の協議により勤務日等を変更することができる旨をあらかじめ規定しておくことも考えられる。
⑦ 別表第2 2(3)一の外注業者とは、管理事務の実施に係るものであり、専有部分のリフォーム工事等に係る業者は含まれない。
⑧ 管理事務実施の必要上、管理員の勤務日以外の日に、管理事務の実施に係る外注業者が業務を行う場合、管理員による業務の着手、実施の立会いが困難な場合が想定される。このような場合、管理組合への連絡、事後の確認等により、適切な対応を行うことが望ましい。
⑨ 別表第2 2(3)一の「実施の立会い」とは、終業又は業務の完了確認等を行うものであり、外注業者の業務中、常に立会うことを意味しない。また、工事の完了確認を行う場合は、工事が設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認するものではなく、外観目視等によりその完了を確認することや外注業者から業務終了の報告を受けることをいう。
⑩ 清掃業務を管理員が兼務する場合は、その旨を「別表第2 2 業務の区分及び業務内容」に記載するものとする。
⑪ 本契約書第3条に追加した業務を管理員業務とする場合には、具体的な内容及び実施方法を記載すること。
42 別表第3関係
① 別表第3は、予想される清掃業務を例示しているが、実際の契約書作成に当たっては、契約の実態に合わせて適宜追加・修正・削除を行う。なお、管理員が清掃業務を
兼務する場合は、その旨を明記する。
② 作業回数の記入に当たっては、当該欄に「1回/日」「3回/週」「1回/月」等の例により記入する。
③ 本契約書でいう日常清掃とは床の掃き拭きやちりはらい等を中心とした清掃をいい、定期清掃とは定期に床の洗浄やワックス仕上げ等を行うことをいい、いずれも、清掃員が作業を行うこととしている。
④ 植栽の散水・除草は、季節やxxの状態に応じて適宜実施する方が望ましい場合もある。また、本業務は日常清掃業務として行うものであり、植栽の規模が大きい場合や施肥、剪定、害虫駆除等の業務を行う場合は、植栽管理業務として本契約に追加するか別個の契約とすることが望ましい。
⑤ 管理業者は、清掃業務を行う者が夏期休暇、年末年始休暇、その他の休暇等(健康診断や研修等で勤務できない日を含む。)を取得する場合の対応及び忌引、病気、災害、事故等でやむを得ず勤務できない場合の対応を管理組合との協議により、あらかじめ規定しておくことが望ましい。
清掃員が管理業者の使用人等である場合は、別表第2に定める管理員の対応に準じることが望ましい。
43 別表第4関係
① 別表第4は、建物・設備等管理業務の契約書作成に当たって、当該マンションの設備の状況や本契約の契約期間内に実施される業務に応じて、適宜追加・修正・削除を行う。
② エレベーター設備の保守管理方式については、一般的にフルメンテナンス方式とP OG方式の2種類があるため、両方式のいずれかを選択する。
イ.フルメンテナンス方式
ⅰ 部品の予備品、修繕計画、故障時の原因に対する処理、官庁検査の手続及び対策等については、メンテナンス会社が実施又は代行する。
ⅱ エレベーターの計画修繕(ただし意匠・建築面は除く)に関しては、メンテナンス会社が負担実施する。
ロ.POG方式(PARTS=消耗部品、OIL=給油用オイル、GREASE=グリス等の略)
ⅰ 点検保守を主体としたメンテナンス条件であり、定められた消耗部品、給油等はメンテナンス会社が負担する。
ⅱ ⅰ以外の修繕費用は管理組合が負担する。
具体の契約に当たっては、両方式の特性、金額等を明確化した上で、契約することが望ましい。
③ 建築基準法第 12 条第1項の規定による1(2)の特定建築物定期調査の報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね6月から3年までの間隔
において特定行政庁が定める時期と規定されている。
④ 建築基準法第 12 条第3項の規定による1(3)の特定建築物の建築設備等定期検査及び2の昇降機定期検査の報告の時期は、建築設備、防火設備及び昇降機の種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、一部の検査項目については1年から3年まで)の間隔において特定行政庁が定める時期と規定されている。
⑤ 水道の点検については、水道法、水道法施行令、水道法施行規則、関係告示(平成 15 年厚生労働省令第 101 号、平成 15 年厚生労働省令第 261 号、水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関するガイドライン)及び地方公共団体が定める条例を確認し、水道の種類及び給水方式に応じて点検を実施すること。
⑥ 浄化槽の点検については、浄化槽法、浄化槽法施行令、浄化槽法施行規則及び都道府県や市町村が定める条例を確認し、浄化槽の種類に応じて点検を実施すること。
なお、都道府県及び市町村において、条例で別段の定めがある場合には、条例によること。その際には、市町村によっては、市町村長の許可を受けている業者(浄化槽保守点検業者)のみ点検ができるようにしている場合があることに留意すること(登録制度のない都道府県(市町村)では、浄化槽管理士に委託する必要がある。)。
⑦ 自家用電気工作物の点検については、電気事業法、電気事業法施行規則及び保安規程(電気事業法第 42 条に基づき電気工作物を設置する者が事業場又は設備ごとに定める工事・維持及び運用に関する保安を確保する規定)に基づき、点検を実施すること。なお、点検には、認定電気工事従事者又は第一種電気工事士が行う必要があることに留意すること。
⑧ 消防用設備等の点検については、消防法、消防法施行令、消防法施行規則、関係告示等(昭和 50 年消防庁告示第 14 号、平成 14 年6月 11 日消防予第 172 号、平成 16年消防庁告示第9号)及び火災予防条例等を確認し、消防用設備等の種類に応じて点検を実施すること。
⑨ 機械式駐車場の点検については、駐車場法に定める路外駐車場に該当する場合は
「機械式駐車場の適切な維持管理に関する指針」(国土交通省令和3年9月一部見直し)及び「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き(平成 28 年国土交通省)を確認し、駐車場法に定める路外駐車場以外に設置される機械式駐車場の場合は「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き(平成 28 年国土交通省)及び各機械式駐車場の製造者が定める項目に沿った点検を行うこと。
⑩ 管理業者は、専有部分への入室が必要な点検や工事において、組合員等から入室を拒否された場合の取扱い(費用負担を含む。)について、あらかじめ管理組合と協議して定めておくことが望ましい。
⑪ 本契約書第2条に定める管理対象である敷地内に擁壁等の附属施設があり、その附属施設の外観目視点検を本契約内容に含める場合には、外観目視点検の方法を記載すること。
⑫ 本契約書第3条に個々のマンションの状況や必要性に応じて業務を追加した場合
には、具体的な内容及び実施方法を記載すること。
44 別表第5 全体関係
① 別表第5は、一般分譲の住居専用の単棟型マンションにおいて、宅地建物取引業者等から開示を求められると想定される事項を例示しており、実際の契約書作成に当たっては、マンションのタイプ(単棟型、団地型、複合用途型)、管理規約及び使用細則の規定や管理規約等の保管状況等に応じて、適宜追加・修正・削除を行う。
② 4(4)①については、本契約の内容にかかわらず、管理業者が把握可能な当該マンション内で行われる共用部分の点検・検査等の全て(日常的に行っている目視による点検の実施年月は除く。)を含めることが望ましい。
③ 6(3)、8①及び③で「検討中」とあるのは、理事会で検討されている場合であって、いずれも管理業者が把握できている場合をいう。
45 別表第5 6(3)関係
6(3)の「変更予定有」とは、値上げ等が総会で承認されている場合又は総会に上程されることが決定している場合をいう。
46 別表第5 7③関係
7③の専有部分使用規制の制定・変更予定の「有」とは、7①及び②の規制に係る使用細則等の制定又は変更が総会で承認されている場合又は総会に上程されることが決定している場合であって、管理業者が把握できている場合をいう。
47 別表第5 8関係
① 「大規模修繕」とは、建物の全体又は複数の部位について、修繕積立金を充当して行う計画的な修繕又は特別な事情により必要となる修繕等をいう。
② 8③の大規模修繕工事実施予定の「有」とは、修繕工事の実施が総会で承認されている場合又は総会に上程されることが決定している場合をいう。
8③の「工事概要」とは、工事内容、期間、工事費、一時金の予定等をいう。
48 別表第5 9関係
当該マンションについて、アスベストの使用の有無の調査の結果が記録されているときは、当該結果の写しを提供することとすることも考えられる。
49 別表第5 10関係
当該マンションが昭和56年5月31日以前に新築されたものであって、建築物の耐震改修の促進に関する法律第4条第2項第3号の技術上の指針となるべき事項に基づいて建築基準法第77条の21第1項に定める指定確認検査機関、建築士法第2条第1項
に定める建築士、住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に定める登録住宅性能評価機関、地方公共団体が行った耐震診断の結果がある場合、次の書類を提供することとすることも考えられる。
ア 住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に定める住宅性能評価書の写し(平成13年国土交通省告示第1346号別表2-1の1-1の耐震等級(構造駆体の倒壊等防止)に係る評価を受けたものに限る。)
イ 地方税法施行規則第7条の6に規定する書類(耐震基準適合証明書の写し、住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に定める住宅性能評価書の写し)
ウ 租税特別措置法施行規則第18条の4第2項、第18条の21第1項、第23条の6第3項に定める書類(耐震基準適合証明書の写し、住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に定める住宅性能評価書の写し)
エ 指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関、地方公共団体が作成した耐震診断結果評価書の写し