Contract
参考資料3
平成16年3月26日ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会
放送番組の制作委託に係る契約見本(契約書の必要事項)について
「ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会」は、ブロードバンド時代における放送の社会的な信頼性のさらなる向上と我が国の放送番組の質も含む制作力の強化・向上に資することを目的として平成14年10月に開催され、以来、放送番組の制作体制のxx性・透明性をより一層向上させるための方策についての検討を行っており、同年12月には、放送事業者による番組制作委託取引に関する自主基準の作成、公表等についての合意事項を取りまとめて、公表したところである。
標記については、本検討会において、今後の放送番組制作委託における関係者(新規に関係者となる者を含む。)の参考となり、かつ、放送番組制作委託に係る諸手続きのxx性・透明性をより一層高めることを目的として、平成15年11月以来検討を重ね、今般、別添のとおり「放送番組の制作委託に係る契約見本(契約書の必要事項)」を取りまとめ、公表するものである。
放送番組の制作形態等を大まかに分類すると、①放送事業者自らが制作するもの、②放送事業者が番組制作事業者に制作を委託するもの、③番組制作事業者が独自に制作し、放送事業者がその放送権を購入するもの、④放送事業者と番組制作事業者が共同で制作するものがあるが、そのうち②のケースについて、本契約見本を定めるものである。また、個別の契約の条件内容については当事者間の相対によって個別に定められるものであることから、本契約見本では、契約項目及びその内容についての最低限必要な事項を整理することによって、xx性・透明性の一層の向上とより実効性の高い契約見本の策定という二つの目的の実現を図るものである。
本契約見本の作成にあたっては、現状の放送事業者と番組制作事業者の契約を踏まえ、主要な関係者共通の理解を得て、一般的な必要事項を示した。もとより、個別の契約書は、個々の相対の契約交渉によって合意作成されるものであるが、その際に本契約見本が幅広く参照・活用されることを期待する。
また、個別の放送事業者ごとの契約方針については、前述の合意事項に基づき平成1
5年3月に放送事業者において作成、公表された自主基準の詳細化という位置づけで、本契約見本とは別に、各放送事業者において検討、公表されることを申し合わせているものである。
なお、本契約見本は、必要に応じて適宜適切に見直しを行っていくこととする。
別添
放送番組の制作委託に係る契約見本(契約書の必要事項)
~外部制作委託のケース~
項 目 | x x | 備考 |
契約目的 | ・番組の制作委託と受託に関する契約書である旨、制作する番組の使用目 的とあわせて明記。 | |
番組の概要 | ・制作する番組の説明。タイトル、放送予定日時、放送予定話数等のほ か、主要なスタッフ、キャストなど不可欠の要素を含め番組概要を特定。 | |
著作権 | ・制作実態に伴って発生する著作権の帰属と、契約による著作権の扱いを取り決める場合はその扱いを明記。 なお、契約における扱いとしては、権利を移転させたり、権利行使の代表者を定めたり、著作権の帰属先とは別に権利行使窓口を設定したりすることがある。これらの場合、xxな協議を行うことが不可欠である。 ・番組制作事業者に著作権が帰属し、放送事業者が放送権の許諾を受ける場合には、放送事業者が独占的に放送できる期間、回数、地域、メディアを取り決めた上で、その結果を明記。 なお、当初取得した放送権の期間、回数、地域を超えて、番組の放送権の再購入を放送事業者が希望したときは、別途対価を支払うことにより当該放送事業者が優先的に取得する旨を記述するのが一般的。 | ※1 |
納入物件 | ・誤認や事故等の生じないよう、物件の納入期日・場所、物件の種類、規 格、数量、作業用貸与物の扱いなどを詳細に明記。 | |
対価 | ・契約履行の対価に関し、委託内容、利用条件等に応じて、その金額、支払日、支払方法などを、適正に取り決めて明記。 なお、対価には契約目的に含まれている番組使用の許諾の対価が含まれ る。 | |
改変 | ・編成上の必要等で放送事業者が番組を改変する必要が生じる場合があり、放送事業者が必要により番組を改変することへの同意について明 記。 | |
二次利用 | ・著作権共有の場合には、二次利用の円滑な促進等のため、代表行使者の取り決めなど番組の二次利用の許諾窓口の扱い、対象期間、権利処理、利益配分等必要な条件を取り決めた上で、その結果を明記。 ・著作権が番組制作事業者にある場合には、二次利用のそれぞれの形態における許諾窓口を放送事業者、番組制作事業者のいずれが担うこととするのかを取り決めた上で、その結果を明記。また、対象期間、権利処 理、費用負担、利益配分等その業務に関わる条件を取り決められる範囲 | ※2 |
で取り決めた上で、その結果を明記。 ・取り決めた期間後の取扱いなどについては、予め当事者間で十分協議し、その結果を明記。 | ||
クレジット 表示 | ・双方の合意に基づき、第三者が理解できるような制作責任等の表示の仕 方を明記。 | |
権利処理 | ・必要な権利処理のうち、放送事業者側の責任で行うものと、受託した番組制作事業者側の責任で行うものとの区分を明記。 ・二次利用の際に必要となる権利情報等の資料を作成納入することを明 記。 | |
制作基準等制作業務遂行の取決 め、審査 | ・放送事業者と番組制作事業者が著作権を共有する形で制作業務を遂行する場合は、制作過程での業務遂行方針、委託側と受託側の内容管理と制作への関与の位置づけを明記。 ・番組制作事業者が著作権を有する形で制作業務を遂行する場合は、放送番組基準、編集基準等の条件を遵守することとし、放送事業者の審査において不適格となった場合には、その費用負担については当事者間で協 議の上で、番組制作事業者が改訂することを明記。 | |
納入・試写 | ・納入段階での内容チェックと納品手続について明記。 | |
内容の変更 | ・契約内容の変更が必要となった場合の扱いを明記。 | |
制作の中止 | ・キャストの病気・事故、番組編成上の事由、天変地異等の不可抗力等の場合は、当初の予定話数に満たないうちに番組制作を中止できるが、制作進行状況等を勘案の上、相互の補償等の措置を協議により決定する旨 を明記。 | |
秘密保持条 項 | ・企画、アイデアその他業務遂行過程で知りえた内部情報を双方ともに第 三者に開示することを禁止する旨を明記。 | |
契約譲渡の制限 | ・契約当事者の一方は、事前に書面による他方当事者の承諾がない限り契約による権利義務の全部若しくは一部を他の者に譲渡、継承させてはな らない旨を明記。 | |
契約解除条項 | ・契約当事者の一方が契約違反したときは、他方当事者は相当の期間をおいて催告したのち本契約を解除することができる旨を明記。 | |
別途協議条 項 | ・本契約に定めなき事項又は条項の解釈に疑義がある場合は、誠意をもっ て協議し円満に解決する旨を明記。 |
※1 民間の地上波の放送事業者でBS、CS放送事業者が別法人となる場合でも、当該地上波の放送事業者と番組制作事業者が、BS、CSでの放送権及びその応分の対価の支払いを含めて契約することができる。
※2 放送事業者が代表行使者となる場合又は独占的に窓口業務を行うことを規定する場合にあっても、番組制作事業者側にも二次利用の案件を放送事業者側に提案することが可能である。なお、「独占的」という文言を使用する理由は、二次利用の契約を第三者と取り交わす際、第三者にライセンスする権利を全て有している旨の保証条項を契約書に必ず記載しなければならず、二次利用契約の相手方との関係上必要となるためである。
(注)なお、日本動画協会所属の構成員は、個別の放送事業者の契約方針に重大な関心を示しており、今回の契約見本の取りまとめには参加していない。