この保証約款は、公共工事の確実な履行を担保することおよび国際性を維 持することを目的として、国際商業会議所制定の「 ICC契約保証証券統一規則第 524号(ICC Uniform Rules for Contract Bonds No.524 )」に基づき作成されています。
公共工事用保証契約基本約款
( 保証約款創設の趣旨)
この保証約款は、公共工事の確実な履行を担保することおよび国際性を維 持することを目的として、国際商業会議所制定の「 ICC契約保証証券統一規則第 524号(ICC Uniform Rules for Contract Bonds No.524 )」に基づき作成されています。
第1条 ( 保証債務の負担)
( 1 )保証人は、債務者の責めに帰すべき事由により、保証期間中に保証証券記載の契約( 以下「主契約」といいます。) に基づく債務( 以下「主債務」といいます。)の不履行( 以下「債務不履行」といいます。)が生じた場合は、債権者に対し債務者と連帯して保証証券記載の保証金額( 以下「 保証金額」といいます。) を限度に主債務の履行を保証します。
( 2 )( 1 ) の主債務には、次の① および② の債務は含みません。
① 瑕疵担保債務または契約不適合(注 )責任債務
② 主契約に基づいて債務者が債権者から受領した前払金の返還債務
( 3 )( 1 ) に規定する債務不履行には、主契約で定められている債務者の責めによる主契約の解除事由が発生した場合に生じる債務不履行を含みます。
( 注) 契約不適合
主契約の工事目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない状態をいいます。
第2条 ( 保証債務の消滅)
( 1 )保証人は、債務者の責めに帰すべき事由により、債務不履行が生じた場合は、保証金額を債権者に支払うことにより、いつでも前条に規定する保証人の債務( 以下「保証債務」といいます。) および特約条項に規定する保証人の債務を消滅させることができます。
( 2 )( 1 ) のほか、債務者の責めに帰すべき事由により、債務不履行が生じた場合は、保証人が、自己の選択に基づき、前条の規定にかかわらず、債務者に代わって自ら主債務を履行した場合または債権者が認め、かつ、主契約に基づく債務者の権利義務を承継した第三者( 以下「代替履行業者」といいます。) に主債務を履行させた場合は、保証債務は、消滅します。
( 3 ) 保証人は、( 2 ) の規定に基づき代替履行業者に主債務を履行させる場合は、そのために生じる増加費用( 主債務を履行するために要する費用等から債権者または第三者から支払を受ける額を控除したもので、必要かつ妥当
なものをいいます。) を代替履行業者に支払います。
第3条 ( 保証責任期間)
保証人が、保証期間の末日の翌日からそ の日を含めて6 か月を経過した日までに債権者から保証債務の履行請求を受けなかった場合は、保証債務は、消滅するものとします。
第4条 ( 債権者による通知)
( 1 )債権者は、次の① から⑥ までの事由が発生したことを知った場合は、遅滞なく、その事由を保証人に通知するものとします。
① 債務者の債務不履行もしくは主契約違反または保証人が保証債務を履行すべき事態が発生した場合
② 債務者の支払の停止または破産手続開始、再生手続開始、会社更生手続開始、もしくは特別清算開始の申立があった場合
③ 債務者の財産に対する強制換価手続が開始された場合、仮差押命令が発せられたときまたは保全差押としての通知が発せられた場合
④ 債務者が取引金融機関または手形交換所の取引停止処分を受けた場合
⑤ 債務者の商号、名称もしくは氏名または住所が変更されたとき、および債務者が法人の場合には代表者が変更された場合
⑥ 住所変更の届出を怠るなど債務者の責めに帰すべき事由によって、債務者の所在が不明となった場合
( 2 )債権者は、債務者から請負代金債権の譲渡の通知を受けた場合は、遅滞なく、その事実を書面をもって保証人に通知するものとします。
( 3 )債権者は、次の① または② の承諾をする場合は、事前に書面をもってその旨を保証人に通知するものとします。
① 債務者が債権者に対して有する債権の譲渡
② 債務者の申出による、請負代金の第三者による代理受領
( 4 )債権者は、主債務がすべて履行されたときまたは主債務が消滅したときは、遅滞なく、その旨を証する書面を添えて保証人に通知するものとします。
( 5 )( 1 ) から( 4 ) までの規定は、保証人が債務者からの通知を受けた場合または保証人が債務者からの通知を不要と認める場合は、適用しません。
第5条 ( 主契約の内容の変更)
債権者は、主契約の内容を変更すべき次の① から③ までの事実が発生した場合は、遅滞なく、その旨を証する書面を添えて保証人に通知するものとし
ます。
① 設計変更に伴う契約変更を行った場合。ただし、軽微な設計変更に伴う場合は、除きます。
② 請負金額の変更を行った場合。ただし、変更見込額が請負金額の3 0 %以下の場合を除きます。
③ 工事の全部または一部の施工を中止した場合。
第6条 ( 工期の変更)
( 1 )債権者は、工期の変更をしようとする場合は、事前に、遅滞なく、その旨を証する書面を添えて保証人に通知するものとします。ただし、保証人が認める場合を除きます。
( 2 )保証人が( 1 )の通知を受けた場合は、保証期間は、工期の変更に応じて変更されたものとみなします。
第7条 ( 保証債務履行の請求)
債権者は、保証債務の履行を請求しようとする場合は、次の① から③ までの書類を保証証券に添えて、保証人に提出しなければなりません。
① 保証債務履行請求書
② 債務不履行の事実および請求額を立証する書類
③ その他保証人が損害の調査のために必要と認める書類
第8条 ( 保証債務履行開始期限)
保証人は、債権者から代替履行請求書を受領した日の翌日から起算してその日を含め3 0 日以内に保証債務の履行を開始します。ただし、この期間内に必要な調査を終えることができないときその他の特別の事由がある場合は、この期間を延長し調査を終了した後、遅滞なく、保証債務の履行を開始します。
第9条 ( 保証契約の解除)
( 1 )債権者は、保証人に事前の通知を行うことにより、この保証契約を解除することができます。
( 2 )保証人は、債権者の承認を受けた場合には、この保証契約を解除することができます。
第1 0 条 ( 保証契約の無効)
この保証契約の締結時において、債権者に詐欺の行為があった場合( 主債
務の内容その他保証債務の履行にかかる重要事実につき債権者が事実と異なることを告げた場合を含みます。) は、この保証契約は無効とします。
第1 1 条 ( 譲渡または質入れの禁止)
保証人は、保証証券に基づき負担する保証人の債務については債権者からの請求以外には、たとえ保証証券に基づく債権の譲渡または質入れ等があっても、保証人の書面による事前の承諾のある場合を除いては、これらの譲受人等に対しその履行義務を負担しません。
第1 2 条 ( 代位等)
( 1 )保証人が、第1 条( 保証債務の負担)に規定する保証債務を履行する場合( 第2 条( 保証債務の消滅)の規定により保証人が保証債務を消滅させる場合を含みます。) は、これと引換えに債権者は、自らの権利を害さない範囲において、債務者に対して有する一切の権利を保証人に代位取得させ、または譲渡するとともに保証人の権利を確保するために必要な一切の措置をとるものとします。
( 2 )債権者は、保証人の債務者に対する債権の回収に協力するとともに、債務者または他の者から債権を回収した場合には、保証人の取得すべき回収金額をすみやかに保証人に支払います。
第1 3 条 ( 基本約款の読み替え)
保証人が、第2 条( 保証債務の消滅)( 2 ) の規定にしたがい、代替履行業者に主債務を履行させる場合は、同条( 1 )の規定を除き、この約款中「債務者」とあるのは「代替履行業者」と読み替えるものとします。
第1 4 条 ( 管轄裁判所)
この保証契約に関する訴訟、和解および調停については、日本国内にある保証人の本店所在地を管轄する裁判所を管轄裁判所とします。
第1 5 条 ( 準拠法)
この約款に規定のない事項については、日本国の法令に準拠するものとします。
瑕疵または契約不適合責任保証特約条項
第1 条( 瑕疵担保債務または契約不適合責任債務の負担)
保証人は、この特約条項に従い、公共工事用保証契約基本約款( 以下「基本約款」といいます。) 第1 条( 保証債務の負担)( 2 ) ① の規定にかかわらず、保証証券記載のこの特約の保証期間( 以下「この特約の保証期間」といいます。)中に債権者が、債務者または基本約款第2 条( 保証債務の消滅)( 2 )の規定により債務者の権利義務を承継した第三者( 以下「債務者等」といいます。) に瑕疵の修補請求を行いまたは修補に代えもしくは修補とともに損害の賠償を請求したときに、または契約不適合(注) に起因する債務( 履行の追完、代金減額、または損害賠償) の履行請求をしたときに、 債務者等の責めに帰すべき事由により、保証証券記載の契約( 以下「主契約」といいます。)に基づく瑕疵担保債務または契約不適合責任債務( 以下「契約不適合責任債務等」といいます。) の不履行( 以下「債務不履行」といいます。) が生じた場合は、債権者に対して債務者等と連帯して保証証券記載のこの特約の保証金額( 以下「この特約の保証金額」といいます。) を限度に契約不適合責任債務等の履行を保証します。
( 注) 契約不適合
主契約の工事目的物(「以下「工事目的物」といいます。) が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない状態をいいます。
第2条( 瑕疵保証債務または契約不適合責任保証債務の消滅)
(1)保証人は、債務者等の責めに帰すべき事由により、債務不履行が生じた場合において、この特約の保証金額を債権者に支払うことにより、いつでも前条に規定する保証人の瑕疵保証債務または契約不適合責任保証債務( 以下
「契約不適合責任保証債務等」といいます。)を消滅させることができます。
( 2 )( 1 ) のほか、債務者等の責めに帰すべき事由により、債務不履行が生じた場合において、保証人が自己の選択に基づき、前条の規定にかかわらず、債務者等に代わって自ら契約不適合責任債務等を履行したとき、または、債権者が認め、かつ、主契約に基づく債務者等の権利義務を承継した第 三者( 以下「本特約上の代替履行業者」といいます。) に契約不適合責任債務等を履 行させたときには、契約不適合責任保証債務等は、消滅するものとします。
( 3 ) 保証人は、( 2 ) の規定に基づき本特約上の代替履行業者に瑕疵担保債務を履行させる場合は、そのために生じる修補費用( 瑕疵を修補するために要する費用等で、必要かつ妥当なものをいいます。) を本特約上の代替履行業者に支払うものとし、本特約上の代替履行業者に契約不適合責任債務を履
行させる場合は、そのために生じる履行の追完に必要な費用( 修補または代替物の引渡しにかかる費用等で、必要かつ妥当なものをいいます。) を本特約上の代替履行業者に支払うものとします。
第3条 ( 瑕疵担保債務または契約不適合責任債務の履行請求通知)
債権者は、工事目的物に瑕疵があり、債務者等に瑕疵の修補請求を行いまたは修補に代えもしくは修補とともに損害の賠償を請求したとき、または工事目的物に契約不適合があり、契約不適合責任に起因する債務( 履行の追完、代金減額、または損害賠償) の履行請求をしたときは、遅滞なく、その旨を証する書面を添えて保証人に通知するものとします。
第4 条( この特約の保証責任期間)
保証人が、この特約の保証責任期間の末日の翌日から起算して6 か月を経過した日までに債権者から前条に定める通知を受けなかった場合は、契約不適合責任保証債務等は、消滅するものとします。
第5 条( 特約条項の読み替え)
保証人が、第2 条( 瑕疵保証債務または契約不適合責任保証債務の消滅)
( 2 )の規定に従い本特約上の代替履行業者に契約不適合責任債務等を履行させる場合は、同条( 1 ) の規定を除き、この特約条項中「債務者等」とあるのは「本特約上の代替履行業者」と読み替えるものとします。
第6 条( 基本約款の読み替え)
この特約条項においては、基本約款中「主債務」とあるのは「契約不適合責任債務等」と、「保証債務」とあるのは「契約不適合責任保証債務等 」と、
「債務者」とあるのは「債務者等」と読み替えるものとします。
第7 条( 基本約款との関係)
この特約条項に規定のない事項については、この特約に反しないかぎり、基本約款の規定を準用します。