『発注関係事務の運用に関する指針』P4 抜粋
那覇市工事請負契約における設計変更及び工事一時中止ガイドライン
令和3年4月那 覇 市
この「那覇市工事請負契約における設計変更及び工事一時中止ガイドライン」は、那覇市の所掌する令和3年4月1日以降に予算執行伺いを行う工事請負契約(営繕工事を除く。)に適用する。
目 次
Ⅰ 設計変更ガイドライン
1 | 設計変更ガイドライン策定の背景 | ・・・・・・・・・・・P1 |
(1)土木請負工事の特徴 (2)適切な設計変更の必要性 (3)ガイドライン策定の目的 | ||
2 | 用語の定義 | ・・・・・・・・・・P1 |
3 | 設計変更に関する留意事項 | ・・・・・・・・・・P2 |
4 | 設計変更手続きフロー | ・・・・・・・・・・P3 |
5 | 設計変更が不可能なケース | ・・・・・・・・・・P4 |
6 | 設計変更が可能なケース | ・・・・・・・・・・P4 |
(1)設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合 (2)設計図書の表示が明確でない場合 | (契約約款第 18 条第1項第二号) (契約約款第 18 条第1項第三号) |
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と
実際の工事現場が一致しない場合 (契約約款第 18 条第1項第四号)
(4)工事中止の場合の手続き (契約約款第 20 条)
(5)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
(6)受注者からの請求による工期の延長 (契約約款第 21 条)
(7)発注者の請求による工期の短縮 (契約約款第 22 条)
7 設計変更に関わる資料の作成 ・・・・・・・・・・P8
(1)設計照査に必要な資料作成
(2)設計変更に必要な資料作成
8 関連事項 ・・・・・・・・・・P9
(1)仮設、施工方法等の「指定」・「任意」の運用
(2)条件明示について
Ⅱ 工事一時中止ガイドライン
1 工事一時中止ガイドライン策定の背景 ・・・・・・・・・・P11
2 | 工事の一時中止に係る基本フロー | ・・・・・・・・・・P12 |
3 | 発注者の中止指示義務 | ・・・・・・・・・・P13 |
4 | 工事を中止すべき場合 | ・・・・・・・・・・P14 |
5 | 中止の指示・通知 | ・・・・・・・・・・P15 |
6 | 基本計画書の作成 | ・・・・・・・・・P16 |
7 | 工期短縮計画書の作成 | ・・・・・・・・・P17 |
8 | 請負代金額又は工期の変更 | ・・・・・・・・・P18 |
・請負代金額の変更 | ||
・工期の変更 | ||
9 | 増加費用の考え方 | ・・・・・・・・・P19 |
(1) 本体工事施工中に中止した場合
(2)工期短縮を行った場合
(3)契約後準備工着手前に中止した場合
(4) 準備工期間に中止した場合
10 増加費用の設計書及び事務処理上の扱い ・・・・・・・・・P26
・設計書における取扱い
・事務処理上の取扱い
11 工事一時中止に伴う増加費用の取扱いについて ・・・・・・・・・・P26
(1)工事一時中止の区分
(2)全体中止と部分中止の積算内容の違い
Ⅰ 設計変更ガイドライン
1 設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特徴
土木工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。そのため、当初発注時に予見できない事態、例えば土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
(2)適切な設計変更の必要性
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等な立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負代金で締結する」ことが示され、また、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められるときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
また、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこととする。
(3)ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要があることから、設計変更ガイドラインを策定する。なお、設計変更ガイドラインは、一般的な考え方を示すものである。
2 用語の定義
◆設計変更ガイドラインにおいて用いる用語を以下に定義する。
① 「設計変更」とは、契約約款第18条又は第19条の規定により図面又は仕様書を変更することとなる場合において、契約変更の手続きの前に当該変更の内容をあらかじめ発注者が受注者に指示することをいう。
② 「契約変更」とは、契約約款第23条又は第24条の規定により協議し、工期又は請負代金額の変更の契約を締結することをいう。
③ 「軽微な設計変更」とは、次に掲げるもの以外のものをいう。
・構造、工法、位置、断面等の変更で重要なもの
・これまでの変更見込金額の合計額注)が当初請負代金額の20%を超えるもの
・新工種に係るもの
・他の工事又は用地買収、補償等に対し重大な影響を与える変更。
注)議会の議決を経た契約については、当該議決に係る契約金額の100分の5を超える、または1,000万円を超える変更は、議会の議決が必要。
参考:「市長の専決処分事項の指定について 平成 12 年 3 月 24 日議決」
④ 契約約款とは、「那覇市建設工事請負契約約款」をいう。
⑤ 土木工事共通仕様書とは、沖縄県の「土木工事共通仕様書」をいう。
⑥ 照査ガイドラインとは、沖縄県の「設計図書の照査ガイドライン(案)」をいう。
3 設計変更に関する留意事項
受注者の留意事項
工事の着手にあたって設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、速やかに発注者と「協議」し進めることが重要である。
受注者は指示書・協議書等の書面による回答を得てから施工する。
発注者の留意事項
①設計積算にあたって、通知「条件明示について」(P10 参照)に記載されている工事内容に関係する項目については、必ず条件明示するよう徹底する。
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。
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②当初設計の考え方や設計条件を再認識して、設計変更の「協議」にあたる。
③当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約約款第19条にもとづき書面で行う。(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注すべきではないか)を明確にする。)
④当初請負代金額の 30%を超える変更を行う場合は、現に契約している工事と分離して施工することが困難なものを除き、原則として別途契約とするものとする。
⑤設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。ただし、軽微な設計変更に伴うものは、工期の末(債務負担行為に基づく工事にあっては、各会計年度の末及び工期の末)に行うことをもって足りるものとする。
⑥設計変更に係る打合せ簿(指示)には、概算増(減)額の記載を行う。
(発注者は、設計変更の内容と概算増(減)額を受注者へ提示の上、受注者と設計変更の協議を行う。なお、概算額を記載できない場合にはその理由を記載する。)
⑦工事費の増(減)額を伴う設計変更の指示を行う場合は、事前に、その変更金額を予算事務担当者に確認する。又、軽微な設計変更以外の場合は、変更内容を契約事務担当者に確認する。
⑧設計変更に伴う現場着手については、原則として、受注者の同意を書面(協議書等)で得たのちに指示を行う。
(臨機の措置により緊急に対応する必要のある工事を除く。)
4 設計変更手続きフロー【契約約款第 18 条関係】
【第 18 条第1項】
一 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
【18条第1項】 【18条第2項】
18 条第 1 項の一つに該当する事実
18 条第 1 項の一つに該当する事実
通知し確認を請求
意見
【18条第3項】
【18条第2項】
発注者:調査の実施受注者:立会い
調査結果のとりまとめ
調査結果の通知(とるべき措置の指示を含む)原則14日以内
【18条第3項】
受理
四~五号に該当し、工事目的物の変更が伴わないもの
協議
【18条第4項第三号】
【18条第4項】
終了
不要
設計変更の要否
四~五号に該当し、工事目的物の変更が伴うもの【1
8条第4項第二号】
一~三号に該当
【18条第4項第一号】
設計図書の変更 | 設計図書の訂正 | ||
受理
設計変更の指示
【20条】
「工事一時中止ガイドライン」による P.11 へ
発注者が契約用の設計図書を作成
必要
工事中止の要否
不要 【18条第5項】
終了
必要 不要
変更契約の要否
【23条、24条】
発注者と受注者の協議
① 工期の変更
② 請負代金額の変更
契約の締結
(協議の成立)
5 設計変更が不可能なケース
◆下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
(ただし、契約約款第 26 条(臨機の措置)については別途考慮する。)
①設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判 断して施工を実施した場合
(対応例)受注者は契約約款第18条第1項により設計図書と工事現場の不一致、条件明示の無い事項等発見したときは、その事実が確認できる資料を書面により監督員に提出し確認を求める。
②発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
(対応例)協議の回答は契約約款により発注者が契約約款第18条第3項により調査の終了後14日以内にすることとなっており速やかな回答は発注者の責務である。しかしながら、協議内容によっては各種検討・関係機関調整が必要などやむを得ず受注者の意見を聴いたうえで回答までの期間を延長する場合もある。その為、受注者はその事実が判明次第、出来るだけ早い段階で協議を行うことが重要である。
③「承諾」で施工した場合
(対応例)承諾とは受注者が自らの都合による施工方法等について監督員に同意を得るものである。設計図書と工事現場の不一致・条件明示の無い事項等の場合は契約約款第18条による協議をすることが必要であり、安易な承諾による施工は避けるべきである。
④契約約款・土木工事共通仕様書に定められている所定の手続を経ていない場合(契約約 款第18条~24条、土木工事共通仕様書1-1-3~1-1-15)
(対応例)発注者及び受注者は協議指示・一時中止・工期延期・請負代金額の変更など所定の手続を行う。
⑤正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
(対応例)発注者は速やかに書面による指示・協議等を行う。受注者は書面による指示・協議等の回答を得て施工する。
6 設計変更が可能なケース
◆下記のような場合においては、所定の手続きを踏むことにより設計変更が可能である。
①仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえ なかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合
②当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合
③所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。・・・・協議書において明示する。)
④受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合
(「設計図書の照査ガイドライン(案)」参照)
⑤受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき
受注者
◆◆ 所定の手続きの一般的な流れ ◆◆
発注者
受注者及び発注者は第 23 条、第 24 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額 を定める
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変 更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
「契約約款第 18 条(条件変更等)第1項各号」に基づき、その旨を直ちに監督員に通知
(1)設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合(契約約款第 18 条第1項第二号)
○受注者は、xxx上、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
例ア.条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合ウ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない
場合
(2)設計図書の表示が明確でない場合(契約約款第 18 条第1項第三号)
○設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
例ア.土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ.水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合
(契約約款第 18 条第1項第四号)
○自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
例ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が規制図と一致しない場合
エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(4)工事中止の場合の手続き(契約約款第 20 条)
○受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き)
(「Ⅱ 工事一時中止ガイドライン」P11参照)
例ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工でき
ない場合
イ.警察、河川・道路管理者等の管理者間協議が未了の場合 ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
キ. 工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
ク. 設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
ケ. 埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
(5)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲をこえる行為としては、以下のものなどが想定される。(詳細は「設計図書の照査ガイドライン(案)」参照)
○横断図の再作成が必要となるもの
○構造計算の再計算が必要となるもの
○目的物に変更が生じる図面作成
○構造物の応力計算書のチェック 等
例ア.現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの、又は縦断計画の見直しを伴う
横断図の再作成が必要となるもの
イ.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの
(ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は、「設計図書の照査」に含まれる)ウ.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの
エ.構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるものオ.構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの
カ.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの
キ.構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの
ク.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算および図面作成
ケ.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成
コ.「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計
サ.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出シ.舗装修繕工事の縦横断設計
(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書「15-4-3 路面切削工」「15-4-5切削オーバーレイ工」「15-4-6 オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる。)
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
(6)受注者からの請求による工期の延長(契約約款第 21 条)
○受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により、工期延長変更を請求することができる。
例 ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
イ.設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合ウ.その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期の延長が生じた場合
(7)発注者の請求による工期の短縮(契約約款第 22 条)
○発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる
例 ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合
イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
7 設計変更に関わる資料の作成
設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
(1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して「契約約款第18条第1項」に該当する事実が発見された場合、監督員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
<契約約款第18条第1項>
受注者
発注者
現地と設計内容の違いについて、確認できる資料を書面で提出
資料を確認。
この資料の作成費用は設計変更の対象としない。
第18条第1項に該当する事実を発見
(2)設計変更に必要な資料作成
「契約約款第18条第1項」に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、「契約約款第18条第4項」に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
①設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
②設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
<契約約款第18条第4項>
受注者
発注者
~設計変更するために必要な資料の作成を依頼するときは~
設計変更に関わる資料を作成→提出
資料を確認。
この資料の作成費用は、設計変更の対象
設計変更が必要な内容について、受発注者間で確認
必要な資料の作成ついて協議し、発注者が受注者に具体的な作業を指示
設計図書の訂正・変更は発注者
8 関連事項
(1)仮設、施工方法等の「指定」・「任意」の運用
①自主施工の原則(発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲)
契約約款第1条第3項により、仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、設計図書に特別の定めがある場合(指定)を除き、受注者がその 責任において定める(任意)とされている。
②「指定」
工事目的物を施工するための施工条件として仮設・施工方法等を発注者が予め決定する必要がある場合に、設計図書に条件として明示した仮設・施工方法等は「指定」と言う。
③「任意」
工事目的物を施工するための仮設・施工方法等は、「自主施工の原則」により、受注者の責任で実施しなければならない。「指定」以外は、「任意」と言う。
【「指定」と「任意」の考え方】
設計図書における明示 | 仮設・施工方法等の変更 | 仮設・施工方法等 の変更がある場合の設計変更 | 設計図書に示された 施工条件の変更に伴う設計変更 | |
「指定」 | 仮設・施工方法等について具体的に明 示 | 変更するには発注者の指示が必要 | 設計変更の対象となる | 設計変更の対象となる |
「任意」 | 仮設・施工方法等について明示しな い(※) | 変更にあたっては発注者の指示は必要ない (施工計画書等の修正 は必要) | 設計変更の対象とならない | 設計変更の対象となる |
その他<指定仮設とすべき事項>
・仮設構造物を一般交通に供する場合
・関係官公署との協議により制約条件のある場合
・特許工法又は特殊工法を採用する場合
・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合
・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設
※ 設計図書に「参考」あるいは「参考図」と示される場合があるが、その場合は「任意」であり受注者の施工方法を拘束するものではない。
ただし、指定・任意ともに設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は設計変更の対象となる。
(2) 条件明示について
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
なお、条件明示等に記載漏れがないようチェックすること(「条件明示について」は平成 14 年
3月 28 日国官技第 369 号通知を参照)
明示項目 | 明 示 事 項 |
工程関係 | (1)他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期。 (2)施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法。 (3)当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期。 (4)関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲。 (5)余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期。 (6)工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間。 (7)設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数。 |
用地関係 | (1)工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期。 (2)工事用地等の使用終了後における復旧内容。 (3)工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 (4)施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用さ せる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 |
公害関係 | (1)工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容。 (2)水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間。 (3)濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容(処理施設、処理条件等)。 (4)工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲等。 |
安全対策関係 | (1)交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間。 (2)鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容。 (3)落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容。 (4)交通誘導員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容。 (5)有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、その内容。 |
工事用道路関係 | (1)一般道路を搬入路として使用する場合 1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等 。 2)搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容。 (2)仮道路を設置する場合 1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間。 2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容。 |
仮設備関係 | (1)仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は、その内容、 期間、条件等。 (2)仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法。 (3)仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容。 |
建設副産物関係 | (1)建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件。 (2)建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容。 (3)建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場等の処理条件。なお、再資源化処理施設又は終処分場を指定する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件。 |
工事支障 物件等 | (1)地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、 位置、移設時期、工事方法、防護等。 (2)地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工事内容及び期間等。 |
薬液注入 関係 | (1)薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等。 (2)周辺環境への調査が必要な場合は、その内容。 |
その他 | (1)工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等。 (2)工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等。 (3)支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡期間等。 (4)関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 (5)架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件。 (6)工事用電力等を指定する場合は、その内容。 (7)新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容。 (8)部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期。 (9)給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等。 |
Ⅱ 工事一時中止ガイドライン
1.工事一時中止ガイドライン策定の背景
◆ 工事発注の基本的考え方
○ 工事の発注に際しては、地元設計協議、工事用地の確保、占用事業者等協議、関係機関協議を整え、適正な工期を確保し、発注を行うことが基本となる。
◆ 工事発注の現状
○ 円滑かつ効率的な事業執行を図るため、工事の発注時期の平準化に努めているところ
であるが、一部の工事で各種協議や工事用地の確保が未完了な場合においてもやむを得ず条件明示を行い、発注を行っている。
◆ 現状における課題
○ 各種協議や工事用地の確保が未完了な状態で発注を行った工事や工事の施工途中で
受注者の責めに帰すことができない事由により施工ができなくなった工事については、工事の一時中止の指示を行わなければならない。
○ しかし、一部の工事において一時中止の指示を行っていない工事も見受けられ、受注
者の現場管理費等の増加や配置技術者の専任への支障が生じているといった指摘があるところである。
◆ 工事一時中止ガイドライン(案)の策定
○ 本ガイドライン(案)は、工事一時中止の運用が受発注者の共通認識のもとで円滑に運用されるよう、その考え方や手続き方法等についてとりまとめたものである。
2.工事の一時中止に係る基本フロー
受注者
発注者
工事請負契約
工事施工不可要因の発生
工事施工不可要因の発見
工事の一時中止を協議
工事の一時中止を検討
【基本計画書の作成】
中止の必要有り
中止の通知・指示
中止の対象となる工事内容、工事区域、中止期間の見通し及び工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本的事項を指示する
基本計画書の 確認・承諾・協議
基本計画書の提出
・工事中止に伴う増加費用が発生する項目 等
提出・協議
【発注者の中止指示義務】
【工事を中止すべき場合】
【中止の通知・指示】
工期短縮計画書の提出
・工期短縮に伴う概算増加費用※
工期短縮が可能か
工期短縮の要請「協議」
工期短縮必要
工事再開通知
工期短縮が可能
工期短縮不可の場合、その旨を「回答」
協 議
・工期短縮の必要性判断
工期短縮不要
中止に伴う増加費用・工期変更の請求
請 求
【増加費用の考え方】
工事請負代金・
工期の変更
変更が必要
【請負代金額又は工期の変更】
工事請負代金・工期変更の検討
変更は不要
中止期間が3ヶ月以内
中止期間が3ヶ月を超えるなど、標準積算によりがたい
見積積算
標準積算
増加費用は一時中止にかか
る費用計上の他、工期短縮を
行った場合は、それに必要な費用を適切に計上する
受発注者間協議
契 約 変 更
工 事 完 成
3.発注者の中止指示義務
◆受注者の責めに帰すことができない事由により工事を施工できないと認められる場合には、発注者が工事の全部又は一部の中止を命じなければならない。
◆受注者は、工事施工不可要因を発見した場合、速やかに発注者と協議を行う。発注者は、必要があれば速やかに工事中止を通知する。
【契約約款第20条第1項】
※以降の一時中止に係る事項については、全部又は一部中止とも同様の考えとする。
◇ 受注者の帰責事由によらずに工事の施工ができないと認められる場合
◇ 受注者は、工事を施工する意思があっても施工することができず、工事が中止状態となる
◇ このような場合に発注者が工事を中止させなければ、中止に伴い必要とされる工期又は請負代金額の変更は行われず、負担を受注者が負うこととなる
◇ 発注者は、工事の中止を受注者に命じ、工期又は請負代金額等を適正に確保する必要がある
◇ 契約約款第16条に規定する発注者の工事用地等確保の義務、第18条に規定する施工条件の変化等における手続と関連する
◇ このことから、発注者及び受注者の十分な理解のもとに適切に運営されることが望まれる
注)工事の一時中止期間における、xx技術者及び監理技術者の取り扱いについては以下のとおり。
∙ 工事を全面的に一時中止している期間は、専任を要しない期間である。
∙ 受注者の責めによらない理由により工事中止又は工事内容の変更が発生し、大幅な工期延期※となった場合は、技術者の途中交代が認められる。
【監理技術者制度運用マニュアル:国土交通省総合政策局】
※ 大幅な工期延期とは、契約約款(受注者の解除権)第48条第1項第二号を準拠して、「延期期間が当初工期の10分の5(工期の10分の5が6月を超えるときは、6月)を超える場合」を目安とする。
<ポイント>
適切な工事一時中止の指示は、「発注者の義務」です。
4.工事を中止すべき場合
◆ 受注者の責めに帰すことができない事由により工事を施工できないと認められる場合は、
①工事用地等の確保ができない等のため受注者が工事を施工できないと認められるとき
②暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため受注者が工事を施工できないと認められるとき
の2つが規定されている。【契約約款第20条第1項】
◆ 上記の2つの規定以外にも、発注者が、必要があると認めるときは、工事の全部又は一部の施工を一時中止することができる。【契約約款第20条第2項】
※ 一時中止を指示する場合は、「施工できないと認められる状態」にまで達していることが必要であり、
「施工できないと認められる状態」は客観的に認められる場合を意味する。
① 工事用地等の確保ができない等
のため工事を施工できない場合
② 自然的又は人為的な事象のため
工事を施工できない場合
○
○
発注者の義務である工事用地等
の確保が行われないため(契約約款第16条)施工できない場合設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため(契約約款第18条)施工を続けることが不可能な場
合・・・等
○
○
「自然的又は人為的事象」は、埋
蔵文化財の発掘又は調査、反対運動等の妨害活動も含まれる
「工事現場の状態の変動」は、地形等の物理的な変動だけでな
く、妨害活動を行う者による工事現場の占拠や著しい威嚇行為も
含まれる。
5.中止の指示・通知
◆ 発注者は、工事を中止するにあたっては、中止対象となる工事の内容、工事区域、中止期間の見通し等の中止内容を受注者に通知しなければならない。
【契約約款第20条】また、工事現場を適正に維持管理するために、最小限必要な管理体制等の基本事項を指示することとする。
発注者の中止権
◇ 発注者は、「必要があると認められる」ときは、任意に工事を中止することができる。
※ 「必要があると認められる」か否か、中止すべき工事の範囲、中止期間については発注者の判断
◇ 発注者が工事を中止させることができるのは工事の完成前に限られる。
受注者による中止事案の確認請求
◇ 受注者は、受注者の責めに帰すことができない工事施工不可要因を発見した場合は、工事の中止について発注者と協議することができる。
工事の中止期間
◇ 発注者は、中止期間が満了したときは、工事の再開を通知することとなるが、通常、中止の通知時点では中止期間が確定的でないことが多い。
◇ このような場合、発注者は、工事中止の原因となっている事案の解決にどのくらい時間を要するか実現可能な計画を立て、工事を再開できる時期を通知する必要がある。
◇ 発注者は、施工一時中止している工事について施工可能と認めたときに工事の再開を通知しなければならない。
◇ このことから、中止期間は、一時中止を指示したときから一時中止の事象が終了し、受注者が工事現場に入り作業を開始できると認められる状態になったときまでとなる。
<ポイント>
中止・再開も書面により通知する必要があります。
6.基本計画書の作成
◆ 工事を中止した場合において、受注者は中止期間中の工事現場の維持・管理に関する基本計画書を発注者に提出し、協議する。
【土木工事共通仕様書第1編1-1-13】
※ 実際に工事着手する前の施工計画作成中及び測量等の準備期間中であっても、現場の維持・管理は必要であることから、基本計画書を提出し、受発注者間で協議する。
管理責任
◇ 中止した工事現場の管理責任は、受注者に属するものとする。
◇ 受注者は、基本計画書において管理責任に係る旨を明らかにする。
記載内容
◇ 基本計画書作成の目的
◇ 中止時点における工事の出来形、職員の体制、労働者数、搬入材料及び建設機械器具等の確認に関すること
◇ 中止に伴う工事現場の体制の縮小と再開に関すること
◇ 工事現場の維持・管理に関する基本的事項
◇ 工事再開に向けた方策
◇ 工事一時中止に伴う増加費用※が発生する項目
◇ 基本計画書に変更が生じた場合の手続き
※ 一部一時中止の場合には、増加費用が発生する項目の記載は省略できる。
<ポイント>
一時中止期間中も受注者の立場・責任は 変わりません。
基本計画書によって中止の内容を受発注 者間で確認します。
・ 「工事再開に向けた方策」については、一時中止期間の見通しが明確でない場合は、工事を円滑に再開できるように講じる方策、体制の確保等について記載する。
・ 基本計画書に記載する「増加費用が発生する項目」は目安であり、現場条件の変更等により最終的な項目と異なる場合がある。
・ 基本計画書の内容に変更が生じる場合は、変更内容を受発注者間で協議調整し、調整結果を工事打合せ簿で確認するとともに、受注者は変更基本計画書を作成し、発注者に提出するものとする。
7.工期短縮計画書の作成
◆ 発注者は一時中止期間の解除にあたり工期短縮を行う必要があると判断した場合は、受注者と工期短縮について協議し合意を図る。
◆ 受注者は、発注者からの協議に基づき、工期短縮を行う場合はその方策に関する工期短縮計画書を作成し、発注者と協議を行う。
◆ 協議にあたっては、工期短縮に伴う増加費用等について、受発注者間で確認し、双方の認識の相違が生じないようにする。
記載内容
◇ 工期短縮に必要となる施工計画、安全衛生計画等に関すること
◇ 短縮に伴う施工体制と短縮期間に関すること
◇ 工期短縮に伴い、新たに発生する費用について、必要性や数量等の根拠を明確にした増加費用を記載
工期・請負代金額の変更
◇ 受注者は、発注者からの承諾を受けた工期短縮計画にのっとり施工を実施 し、受発注者間で協議した工程の遵守に 努める。
◇ 工期短縮に伴う増加費用については、工期短縮計画書に基づき設計変更を 行う。
8.請負代金額又は工期の変更
◆ 工事を中止した場合において、「必要があると認められる」ときは、請負代金額又は工期が変更されなければならない。
※ 「必要があると認められるとき」とは、客観的に認める場合を意味する。
◇ 中止がごく短期間である場合や中止が部分的で全体工事の施工に影響がない等の例外的な場合を除き、請負代金額及び工期の変更を行う。
請負代金額の変更
◇ 発注者は、工事の施工を中止させた場合に請負代金額の変更ではし得ない受注者の増加費用、損害を負担しなければならない。
◇ 増加費用
○ 工事用地等を確保しなかった場合
○ 暴風雨の場合など契約の基礎条件の事情変更により生じたもの
◇ 損害の負担
○ 発注者に過失がある場合に生じたもの
○ 事情変更により生じたもの
※ 増加費用と損害は区別しないものとする。
工期の変更
◇ 工期の変更期間は、原則、工事を中止した期間が妥当である。
◇ 地震、災害等の場合は、後片付け期間や復興期間に長期を要する 場合もある。
◇ このことから、後片付け期間や復興に要した期間を含めて工期延期することも可能である。
9.増加費用の考え方
(1)本工事施工中に中止した場合
■増加費用の範囲
◆ 増加費用等の適用は、発注者が工事の一時中止(部分中止により工期延期となった場合を含む)を指示し、それに伴う増加費用等について受注者から請求があっ た場合に適用する。
◆ 増加費用として積算する範囲は、工事現場の維持に要する費用、工事体制の縮小に要する費用、工事の再開準備に要する費用、中止により工期延期となる場合の
費用、工期短縮を行った場合の費用※とする。
工事現場の維持に要する費用
◇ 中止期間中において工事現場を維持し又は工事の続行に備えて機械器具、労務者又は技術職員を保持するために必要とされる費用等
◇ 中止に係る工事現場の維持等のために必要な受注者の本支店における費用
中止により工期延期となる場合の費用
◇ 工期延期となることにより追加で生じる社員等給与、現場事務所費用、材料の保管費用、仮設諸機材の損料等に要する費用等
工事の再開準備に要する費用
◇ 工事の再開予告後、工事を再開できる体制にするため、工事現場に再投入される機械機器具、労務者、技術職員の転入に要する費用等
工事体制の縮小に要する費用
◇ 中止時点における工事体制から中止した工事現場の維持体制にまで体制を縮小するため、不要となった機械機器具、労務者、技術職員の配置転換に要する費用等
工期短縮を行った場合の費用※
◇ 工期短縮の要因が発注者に起因する場合、自然条件(災害等含む)に起因する場合の工期短縮に要する費用等
◇ 工期短縮の要因が受注者に起因する場合は増加費用を見込まないものとする。
※ 本工事とは、工事目的物又は仮設に係る工事
■中止に伴う増加費用の算定
◆ 増加費用の算定は、受注者が基本計画書に従って実施した結果、必要とされた工事現場の維持等の費用の明細書に基づき、費用の必要性・数量など受発注者間で協議 して行う。
◆ 増加費用の各構成費目は、原則として、中止期間中に要した費目の内容について積算 する。再開以降の工事にかかる増加費用は、従来どおり設計変更で処理する。
◆ 一時中止に伴い発注者が新たに受け取り対象とした材料、直接労務費及び直接経費 に係る費用は、該当する工種に追加計上し、設計変更により処理する。
増加費用等の構成
◇ 中止期間中の現場維持等に要する費用は工事原価内の間接工事費の中で計上し、一般管理費等の対象とする。
直接工事費
純工事費
工事原価
共通仮設費
工事価格
間接工事費
現場管理費
※
請負工事費
一般管理費等
消費税相当額
中止期間中の現場維持等の費用
+
工期短縮により増加する費用注)
※一時中止に伴う本支店における増加費用を含む。
標準積算により算定する場合、中止期間中の現場維持等に関する費用として積算する内容は、積上げ項目及び率項目とする。
積上げ項目
◇ 直接工事費、仮設費及び事業損失防止施設費における材料費、労務費、水道光熱電力等料金及び機械経費で現場維持等に要する費用
○ 直接工事費に計上された材料(期間要素を考慮した材料)及び仮設費に計上された仮設材等の中止期間中に係る損料額及び補修費用
○ 直接工事費(仮設費を含む)及び事業損失防止施設費における項目で現場維持等に要する費用
率で計上する項目
◇ 運搬費の増加費用
○ 現場搬入済みの建設機械の工事現場外への搬出又は工事現場への再搬入に要する費用
○ 大型機械類等の現場xx運搬
◇ 安全費の増加費用
○ 工事現場の維持に要する費用
※ 保安施設、保安要員の費用及び火薬庫、火工品庫の保安管理に要する費用
◇ 役務費の増加費用
○ 仮設費に係る土地の借り上げ等に要する費用、電力及び用水等の基本料金
◇ 営繕費の増加費用
○ 現場事務所、労働者宿舎、監督員詰所及び火薬庫等の営繕損料に要する費用
◇ 現場管理費の増加費用
○ 現場維持のために現場へ常駐する社員等従業員給料手当及び労務管理費等に要する費用
※ 現場搬入済みの機械及び仮設材料等の存置の必要性については、円滑な工事再開が図られるよう、存置費用、搬出費及び再搬入費との比較のほか、当該地域における資機材の需給状況等に留意すること
注)・ 標準積算は工事全体の一時中止(主たる工種の部分中止により工期が延期となった場合を含む)に適用し、道路維持工事又は河川維持工事のうち経常的な工事である場合、及び一時中止期間が3ヶ月を超える場合は適用不可
・ 標準積算によりがたい場合は、別途、見積による積上積算とする。
■増加費用の積算
◆ 増加費用は、原則、工事目的物又は仮設に係る工事の工事着手後を対象注)に算定することとし、算定方法は下記のとおりとする。ただし、中止期間3ヶ月※以内は標準積算により算定し、中止期間が3ヶ月を超える場合及び道路維持工事又は河川維持工事のうち経常的な工事である場合など、標準積算によりがたい場合は、受注者から増加費用に係る見積を求め、受発注者間で協議を行い増加費用を算定する。
※ 標準積算の適用範囲は、積算基準策定時に検証したケースが3ヶ月程度までであることから、「中止期間3ヶ月以内」としている。
※ 見積を求める場合、中止期間全体にかかる見積(例えば中止期間4ヶ月の場合、4ヶ月分の見積)を徴収する。
注)増加費用の算定(請負代金額の変更)は、工事着手後を原則とし、工事着手前の増加費用に関する受発注者間のトラブルを回避するため、契約図書に適切な条件明示(用地確保の状況、関係機関との協議状況など、工事着手に関する条件)を行うとともに、施工計画打合せ時に、現場事務所の設置時期などを確認し、十分な調整を行うこと
※沖縄県土木工事標準積算基準書「第Ⅰ編第10章 工事の一時中止に伴う増加費用等の積算」
(1-10-①-1)を参照
◎ 工事一時中止に伴う積算方法(3ヶ月以内、標準積算による場合)
中止期間中の現場維持等の費用G (単位:円 1,000円未満切り捨て)
G=dg×J+α
G:中止期間中の現場維持等の費用
dg:一時中止に係る現場経費率 (単位:%、少数第4位四捨五入3位止め) J:対象額(一時中止時点の契約上の純工事費)(単位:円、1,000円未満切り捨て) α:積上げ費用 (単位:円、1,000円未満切り捨て)
一時中止に係る現場経費率dg
dg=A{( J/(a×Jb+N) )B-( J/(a×Jb) )B}+(N×R×100)/J N: 一時中止日数(日)
ただし、部分中止の場合は、部分中止に伴う工期延期日数
R: 公共工事設計労務単価(xxxx世話役) A・B・a・b: 各工種毎に決まる係数(別表-1)
(2)工期短縮を行った場合 (当初設計から施工条件の変更がない場合)
■増加費用の範囲
◆ 工期短縮の要因が発注者に起因するもの・・・【増加費用を見込む】例)工種を追加したが工期延期せず当初工期のままとした場合
◆ 工期短縮の要因が受注者に起因するもの・・・【増加費用は見込まない】例)工程の段取りにミスがあり、当初工程を短縮せざるを得ない場合
◆ 工期短縮の要因が自然条件(災害等含む)に起因するもの・・・【増加費用を見込む】
例)想定以上の悪天候により、当初予定の作業日数確保が見込めず工期延期が必要であるが、何らかの事情により、工期延期ができない場合
例)自然災害で被災※を受け、一時作業ができなくなったが、工期延期をせず、当初工期のまま施行する場合
※災害による損害については、契約約款(不可抗力による損害)第29条に基づき対応
■増加費用を見込む場合の主な項目事例
◇ 当初昼間施工であったが、工種追加により夜間施工を追加した場合は、夜間施工の手間に要する費用
◇ パーティー数を増加せざるを得ず、建設機械等の台数を増加させた場合に要する費用
◇ その他、必要と思われる費用
※増加費用の内訳については、受発注者間で協議する。
(3)契約後準備工着手前に中止した場合
◆ 契約後準備工着手前とは、契約締結後で、現場事務所・工事看板が未設置、材料等が未搬入の状態で測量等の準備工に着手するまでの期間をいう。
◆ 発注者は、上記の期間中に、準備工又は本工事の施工に着手することが不可能と判断した場合は、工事の一時中止を受注者に通知する。
当初契約工期
契約締結
施工計画作成期間 | 準備工期間 | 本工事施工期間 | 後片付け期間 |
変更契約工期
契約締結
施工計画作成期間 | 中止期間 | 準備工期間 | 本工事施工期間 | 後片付け期間 |
◇ 基本計画書の作成
○ 契約約款(工事用地の確保等)第16条第2項に「受注者は、確保された工事用地等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない」とある。
○ このことから、受注者は必要に応じて、「工事現場の維持・管理に関する基本的事項」を記載した基本計画書を発注者に提出し、承諾を得る。
◇ 増加費用
○ 一時中止に伴う増加費用は計上しない。
(4)準備工期間に中止した場合
◆ 準備工期間とは、契約締結後で、現場事務所・工事看板を設置し、測量等の本工事施工前の準備期間をいう。
◆ 発注者は、上記の期間中に、本体工事に着手することが不可能と判断した場合は、工事の一時中止を受注者に通知する。
当初契約工期
契約締結
施工計画 作成期間 | 準備工 期間 | 本工事施工期間 | 後片付け期間 |
契約締結
変更契約工期
施工計画 作成期間 | 準備工 期間 | 中止期間 | 準備工 期間 | 本工事施工期間 | 後片付け期間 |
◇ 基本計画書の作成
○ 受注者は、「工事現場の維持・管理に関する基本的事項」を記載した基本計画書に必要に応じて増加費用が発生する項目を記載した上で、その内容について発注者と協議し同意を得る。
◇ 増加費用
○ 増加費用の適用は、受注者から請求があった場合に適用する。
○ 増加費用は、安全費(工事看板の損料)、営繕費(現場事務所の維持費、土地の借地料)及び現場管理費(監理技術者もしくはxx技術者、現場代理人等の現場従業員手
当)等が想定される。
○ 増加費用の算定は、受注者が「基本計画書」に基づき実施した結果、必要とされた工事現場の維持等の費用の「明細書」に基づき、費用の必要性・数量など受発注者間で協議して決定する。(積算は受注者から見積を求め行う)
10.増加費用の設計書及び事務処理上の扱い
■増加費用の設計書における取扱い
◆増加費用は、中止した工事の内訳書の中に「中止期間中の現場維持等の費用」として原 契約の工事費とは別計上する。
◆ただし、設計書上では、原契約に係る請負工事費増加費用の合算額を請負工事費とみなす。
■増加費用の事務処理上の取扱い
◆増加費用は、原契約と同一の予算費目をもって、設計変更の例にならい、契約変更するものとする。
◆増加費用は、受注者の請求があった場合に負担する。
◆増加費用の積算は、工事再開後速やかに受発注者間で協議して行う。
11.工事一時中止に伴う増加費用の取扱いについて
(1)工事一時中止の区分
全部一時中止 (工事全体の全体) | 一部一時中止 (主たる工種の中止) | |
中止の範囲 | 工事範囲全体 | 工事範囲において工事が施工できない部分 (中止の通知の際に図面に中止箇 所を図示) |
技術者の専任 | 工事を全面的に一時中止している期間は専任を要しない。 (書面により明確となっていること) | 工事施工期間は専任が必要 |
受注者が契約解除できる時期 (契約約款第48条) | 中止期間が工期の10分の5を超えるとき (工期の10分の5が6月を超えるときは、 6月) | 中止部分を除いた他の部分の工事が完了した後、3月を経過しても、なおその中止が解除されないとき |
工期変更 | 原則として、中止期間分を工期延期することが考えられる。 | 一部一時中止に伴う影響期間について工期延期する。 |
(2)全体中止と部分中止の積算内容の違い
■算定方法の違い
全部一時中止 | (工 事全体 が中 止 ) | 工種A(主たる工種)工種B(その他工種) | 中止期間:N(日) | |
中止期間が3ヶ月以内の場合 → 標準積算+積上げ積算 | 中止期間が3ヶ月を超える場合 → 全て積上げ積算 | |||
○ 率計上項目は、標準積算(率計上)とする。 (社員等給与、現場事務所費用等) ※ 標準積算の率計上項目の対象日数は「中止期間N」を用いる。 ○ 率計上項目以外は積上げ積算とする。 (材料の保管費用、仮設諸機材の損料等) ※ 積上げ積算の対象期間は「中止期間N」とする。 | ○ 全ての増加費用を積上げ積算する。 (社員等給与、現場事務所費用等+材料の保管費用、仮設諸機材の損料等) ※ 積上げ積算の対象期間は「中止期間N」とする。 | |||
一 (主部 た る 一 工時 種中 が 中 止 止 ) | 工種A(主たる工種)工種B(その他工種) | 中止期間:N(日) 標準積算における積上げ:② 標準積算以外:③ | 一部中止に伴う 工期延期期間:N'(日) ※ 数量増による工期延期日数は除く 標準積算における率計算:① | |
中止期間が3ヶ月以内の場合 → 標準積算+積上げ積算 | 中止期間が3ヶ月を超える場合 → 全て積上げ積算 | |||
① 率計上項目は、標準積算(率計上)する。 (社員等給与、現場事務所費用等) ※ 標準積算の率計上項目の対象日数は「工期延期期間 N’」を用いる。 ② 率計上項目以外は積上げ積算する。 (材料の保管費用、仮設諸機材等の損料等) ※ 積上げ積算の対象期間は「中止期間N」とする。 | ③ 全ての増加費用を積上げ積算する。 (社員等給与、現場事務所費用等+材料の保管費用、仮設諸機材の損料等) ※ 積上げ積算の対象期間は「中止期間N」とする。 |