(国内総生産(GDP)に占める割合55.1%)
法制審議会民法(債権関係)部会(第29回)説明資料(2)
補足説明書
2011年(平成23年)6月28日
弁護士 | xxxx(日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長) | |
弁護士 | xxxx(同・副委員長) | |
【 目次 】 | 弁護士 | xxxx(同・幹事) |
第1 総論・民法における消費者契約の位置付け(xx)・・・・・・2頁(資料2-1)第2 民法と消費者概念(xx)・・・・・・・・・・・・・・・・4頁(資料2-2)第3 約款・不当条項規制(xx)・・・・・・・・・・・・・・12頁(資料2-3)第4 不実表示、公序良俗(xx)・・・・・・・・・・・・・・40頁(資料2-4)第5 保証制度の見直し(xx)・・・・・・・・・・・・・・・54頁(資料2-5)第6 複数契約の解除・無効、抗弁接続、リース契約(xx)・・65頁(資料2-6)第7 その他の論点(xx)・・・・・・・・・・・・・・・・・73頁(資料2-7)
以上
1
【 第1 総論・民法における消費者契約の位置付け 】
第1 はじめに
1、消費者被害事件に取り組む弁護士個人の立場として
2、消費者被害事件の実態を踏まえて
第2 民法における消費者契約の位置付け
1 消費者契約への配慮の必要性が高いこと
(1) 消費者市場の現状 ※ 内閣府「平成 20 年度国民生活白書」より
① 消費者が支出する総額(家計最終消費支出) 284 兆円
(国内総生産(GDP)に占める割合55.1%)
② 1契約の単価の低さを考えれば消費者契約の数的割合はかなりの高さではないかと推察される。
→ 私法ルールの全体像や法整備のあり方を考えるうえで、消費者や消費者契約に対する配慮は不可欠。
(2) 消費者問題の現状
① 消費生活相談件数は高止まり
2009年度 899、433件 ※「2010 年版国民生活年報」より
→消費者が被害を被ったと感じた際、消費生活センター等に相談する割合:
13.9% 「国民生活選好度調査 2006 年度」
② 消費者被害に遭う割合
※消費者被害に遭ったとの回答者 2.6% 「国民生活選好度調査 2006 年度」
※交通事故の被害に遭う率 0.6%、刑法犯の被害に遭う率 1.2%
③ 深刻な消費者被害
平均契約額 150 万円、平均既払額 55 万円
→少額多数被害と高額少数被害の併存
新聞 41,213 円、インターネット接続 73,355 円、分譲マンション 26,432,427 円
生命保険 5,503,034 円、株 5,113,058 円、クリーニング 16,305 円
④ 消費者被害に伴う経済的損失額の大きさ
※最大で金 3 兆 4000 億円、最小で金 1 兆 8706 億円 「H20 国民生活白書」
→我が国経済において無視できない規模の金額(対 GDP 比 0.36~0.66%)
⑤ 公的機関に消費者権利を擁護されていると感じている国民意識の著しい低さ
<日本> 感じる 7%(6.9%) 感じない 75%(74.7%)
<オランダ> | 同 | 80% | 同 | 17% |
<英国> | 同 | 71% | 同 | 23% |
→ 消費者問題は、個々の被害者の個人的問題ではなく、国家として現状を放置すべきでない問題、国家・社会レベルで対応策を講じるべき問題
(3) 考えられる法制度の在り方
① 行政機関による消費者被害の拡大防止・救済
・消費者庁・地方消費者行政の充実と事業者規制の必要性
→消費者被害は少額多数被害、個人での自衛困難性
→行政機関の専門性・効率性。
→反面で、人的・予算的な限界あり
② 消費者・消費者団体による被害防止・救済制度の充実
ⅰ 消費者団体の権限強化
→消費者団体訴訟制度[消費者契約法]、集団的被害救済制度(検討中)
ⅱ 消費者自身が自律的な救済を図る法制度
→民法改正か消費者契約法か消費者特別法かを問わない基本的視点として、消費者関連民事ルールの一層の充実の重要性
③ 消費者関連民事ルール整備の方向性
ア)事業者規制法の中の民事特別規定の活用
→被害実態に即した迅速・機動的な改正・強化の方向性イ)消費者契約法の活用
→横断的消費者契約ルールの迅速な改正・整備の方向性ウ)民法の活用
→格差是正・社会問題の解決に使える民法の現代化
(4) 一般法たる民法に望まれること
① 一般私法である民法を現代社会に適合した法律に現代化
→消費者契約の存在や現状を視野に入れる必要がある。
② 対等当事者間の民事規定から社会の実態を踏まえた規定へ
→消費者と事業者など当事者の格差是正・社会問題の解決に使える民法となることが必要
⇒消費者と事業者など当事者の格差の是正に関する理念規定を設けることに賛成
以上
【 第2 民法と消費者概念 】
第1 民法における契約当事者間の格差への対応の当否・要否
= 格差対応は特別法に委ねておけばよい問題か。
【中間論点整理「第62,1(1)」183頁】
【配付資料(1)・意見書169頁】
【意見】
民法も現実の人に存する知識・情報・交渉力等の様々な格差に対応する必要があるとの考え方に賛成する。
【理由】
1 消費者市場と消費者契約の割合の大きさ
① 消費者が支出する総額(家計最終消費支出)は284兆円 *1
※ 国内総生産(GDP)に占めるシェアは約55%(2007 年度)
② 消費者契約における1契約あたりの単価の低さ
※ 消費者契約の数的割合はかなりの割合ではないかと推察される。
2 消費者問題の深刻さ
① 消費生活相談件数は高止まり
2009 年度で年間約90万件 *2
② 深刻な消費者被害の現状
契約額147万円,支払額55万円 *3
※ 少額多数被害と高額少数被害の併存 *4
③ 消費者被害に遭った人の割合の無視できない高さ
内閣府の国民生活選好度調査の結果では 2006 年度で全体の2.6% *5
※ 交通事故 0.6 %(2007 年),刑法犯 1.2 %(2007 年)*6
④ 消費者被害による経済的損失額の大きさ
最大3兆4000億円 *7
※ PIO-NET データを基にした契約金額ベースの推計(2007 年)
⑤ 公的機関に消費者権利を擁護されていると感じている国民意識の低さ*8
<日本> 感じる
<オランダ> 同
6.9%
80%
感じない同
74.7 %
17 %
⑥ 行政に頼らない制度の充実,被害回復の実現という観点も重要
3 消費者契約はあくまで格差契約の典型例
消費者以外にも個人と大差ない中小零細事業者などが多く存在。
※ 最近では、消費者保護法の適用の可否が不明確な中小零細事業者の契約被害(電話機リース等)が社会問題となっている。
*1 内閣府「平成 20 年度国民生活白書・消費者市民社会への展望-ゆとりと成熟した社会構
築に向けて-」(xxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxxxxxx/x00/00_xxx/00_xxxxxx/xxxxx.xxxx。以下「平成20年度国民生活白書」という)8頁。
*2 独立行政法人国民生活センター編「消費生活年報 2010」(以下「消費生活年報 2010」という。xxxx://xxx.xxxxxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxx.xxx。)10 頁。「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)」に登録された 2009 年度の消費生活相談件数。
*3「消費生活年報 2010」35 頁・図9。
*4「平成20年度国民生活白書」87~91頁、143~144頁。「xx分布」ではなく「ベキ分布」。
*5 同・92~93頁。
*6 同・92頁。
*7 同・103~104頁。
*8 同・121頁。
- 1 -
4 一般法である民法の受け皿としての機能への期待
特別法での救済に困難を伴う事案への対応の必要性
※ 高齢者の被害などでは,クーリングオフの行使や他者への相談もせずに時間が経過しているケースや,不実告知や威迫・困惑といった要件を必ずしも満たさない不当勧誘案件が少なくない。
第2 当事者間に格差がある場合には劣後する者の利益に配慮する必要がある旨の抽象的な解釈理念を規定することの当否
【中間論点整理「第62,1(2)」184頁】
【配付資料(1)・意見書169~170頁】
【意見】
民法に「当事者間に知識・情報等の格差がある場合には劣後する者の利益に配慮する必要がある旨の抽象的な解釈理念」を規定すべきとの考え方に賛成する。
【理由】
1 民法における格差是正の必要性
上記「第1」1~4で前述のとおり。
2 一般法である民法の受け皿としての機能への期待
民法の原理として非対等者間の場合には対等当事者間とは異なる考慮が働く(劣後する者を保護する必要がある)という考え方を明示しておくことや,民法の役割の1つとして契約当事者間の格差への配慮や是正が唱われることは,公序良俗やxxxといった一般規定の柔軟な適用や,具体的な事案によっては消費者契約と実質的に大差ない格差契約(中小零細事業者など)に対する消費者保護規定の類推適用などにつながり得るのではないか。
第3 消費者契約に関する規定を設けることの当否
1 消費者契約に関する規定の要否
【意見】
【中間論点整理「第62,1(3)」184頁】
【配付資料(1)・意見書170頁】
後述する法形式の問題はあるが、新たな消費者契約に関する特則を法制化する必要性は高い。
【理由】
(1) 消費者契約に関する民事ルールの不十分さと立法の必要性 (ア) 消費者契約法の制定とその後の経緯
ⅰ 消費者契約法は,平成 12 年 4 月に成立し,平成 13 年 4 月 1 日から
施行されている消費者契約に関する包括的民事ルールである。
消費者契約法の実体法部分は,大別して,①契約締結過程の適正化を図るための不適切勧誘行為規制と,②契約内容の適正化を図るための不当条項規制に大別できる。
しかし,上記①②のいずれにおいても,立法に先だって提唱されていた
第 16
次xxx中間報告*1 や消費者契約法日弁連試案*2 などに比して,不
十分な内容に止まっている。
*1 第 16 次国民生活審議会消費者政策部会中間報告「消費者契約法(仮称)の具体的内容に
ついて」。h ttp://xxx0.xxx.xx.xx/00/x/00000000x-xxxxxx-0.xxxx。
*2 日本弁護士連合会「消費者契約法日弁連試案・同解説」
xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx/0000_0.xxxx。
- 2 -
この点,立法時の衆議院・参議院の委員会付帯決議においては,5 年を目途に見直しを含めた措置を講じることになっていた。
また,平成 17 年 4 月に制定された「消費者基本計画」においては,消費者契約法の見直しについて,特に情報提供,不招請勧誘の規制,適合性
原則を挙げて,平成 19
年までに一定の結論を得ることになっていた。*1
ⅱ その後,消費者契約法については,平成 18 年改正によって消費者団体
訴訟制度が導入され,平成 20 年改正によってその拡充が図られたが,実
体法部分については,何ら法改正がなされないまま現在に至っている。
※ 前述のように高止まりしている消費者被害を抜本的に減少させるためにも,次々と発生してくる新たな消費者契約被害の救済を図るためにも,不適切な営業活動を行っている事業者を市場から排除して健全な消費者取引市場を実現するためにも,消費者契約法の実体法改正は早期に実現する必要がある。
(イ) 内閣府及び消費者庁における法改正に向けたこれまでの取り組み
ⅰ 消費者契約法の所轄官庁であった内閣府(平成 21 年 9 月以降は消費者庁)は,実体法改正に向けた準備作業として,不適切勧誘行為規制に関し,平成 18 年に,諸外国の立法状況の調査結果を公表している。*2
ⅱ また,内閣府は,不当条項規制に関し,平成 16
年及び平成 19
年の2
回にわたって,不当条項に関する我が国の社会実態の調査作業を行っている。*3
ⅲ さらに,国民生活審議会は,平成 19 年 8 月に,消費者契約法の実体法改正に向けた現行法の評価や論点の検討・整理を行っている。*4
ⅳ 上記のような調査結果や報告内容は,消費者契約法の実体法改正の必要性やあるべき方向性を裏付ける立法事実として,極めて重要な基礎資料と評価できる。
しかし残念なことに現在消費者庁では,他の立法課題との関係で,消費者契約法の実体法改正に向けた具体的な立法作業を行っていない模様である。
(ウ) 日本弁護士連合会における法改正に向けたこれまでの取り組み
ⅰ 一方,日本弁護士連合会は,平成 18 年 12 月 14 日,「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」を公表し,消費者契約法の実体法改正の早期実現を訴えると共に,下記の内容を含む具体的な改正提案を行っている(以
*1 「消費者基本計画」。。
*2 内閣府国民生活局「諸外国における消費者契約に関する情報提供、不招請勧誘の規制、適合性原則についての現状調査」(なお、上記の調査結果の詳細は,「諸外国の消費者法における情報提供・不招請勧誘・適合性の原則」(別冊NBL121 号)として公刊されている)。
xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxx/xxxxxxx/xxxx/xxxxxx_xxxxxx.xxx。
*3 平成 19 年度消費者契約における不当条項研究会編「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」(なお、上記の調査結果の詳細は,「消費者契約における不当条項の実態
分析」(別冊NBL92 号),及び,「消費者契約における不当条項の横断的分析」(別冊NBL128
号)として公刊されている。後者の文献では,新たな不当条項リストとして立法措置を含めた検討を要する契約条項 17 類型が列挙されている)。
xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxxxxxx.xxx。
*4 国民生活審議会消費者政策部会消費者契約法評価検討委員会「消費者契約法の評価及び論点の検討等について」。h ttp://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxx/xxxx/x-000.xxx。
- 3 -
下「日弁連提案」という)。*1
ⅱ まず,契約締結過程の適正化を図るための改正提案として,①事業者の消費者に対する情報提供義務を明文化すること,②消費者契約法第4条1項2号の取消の要件である「断定的判断」の内容のうち「その他の将来における変動が確実な事項」が消費者の財産上の利得に影響する事項に限定されない旨を明文化すること,③取消の要件となる「重要事項」の内容について,契約動機に関する事項が含まれる旨を明文化すること,④情報提供義務違反,状況の濫用,不招請勧誘行為等について,消費者取消権を付与すること,⑤xxxxの原則に反する不当勧誘行為について消費者取消権を付与する一般規定を制定すること,⑥適合性の原則違反があった場合に契約を無効とすること,⑦不適正勧誘行為に対する損害賠償責任を明定すること,⑧取消権の行使期間を短期3年,長期10年に延長すること,⑨法定追認規定を排除すること等を提唱している。
ⅲ また,契約内容の適正化を図るための改正提案として,①違約金条項に関する不当条項リスト(消費者契約法第9条1号)の「平均的損害」に関する立証責任を事業者に転換すること,②一般条項(消費者契約法第10条)のxxを「xxxxの原則に反して消費者の利益を不当に害する消費者契約の条項は無効とする。」と改訂すること,③契約条項の開示,不意打ち条項の禁止,消費者有利解釈準則を採用すること,④継続的契約に関する消費者中途解約権を付与すること,⑤不当条項リストを拡張すること(ブ ラックリスト 6 類型,グレーリスト 11 類型)等を提唱している。
(2) 民法(債権法)の改正論議に伴う新たな消費者契約の特則の検討の必要性
<例> 債権の消滅時効の特則【中間論点整理「第62,2③」185頁】
【意見】
1) もし仮に債権の消滅時効に関して当事者の合意により法律の規定と異なる時効期間や起算点を設定できるようにするのであれば,消費者契約においては法律の規定より消費者に不利となる合意変更はできないという特則規定を設ける立法に賛成である。
2 民法と消費者契約法との役割分担のあり方
【中間論点整理「第62,1(3)」184頁】
【配付資料(1)・意見書170~171頁】
【意見】
(1) 上記のような消費者契約に関する特則の法制化については,法務省と消費者庁の協力によって,民法と同時に消費者契約法を改正する方法で立法化することが望ましいと考える。
また,民法の改正を機に,消費者契約法の私法実体規定を民法に取り込んで消滅させるという考え方(いわゆる統合論)には反対である。
(2) もっとも,もし万一消費者契約法の同時改正が難しい場合には,消費者保護を進めるという観点から,次善の策として,既存の消費者契約法の私法実体規定はそのままに,消費者契約に関する特則を民法に設けるということも視野に入れておく必要がある。
その場合には,消費者契約に関する特則の存在が,他の社会的弱者に対して不当に反対解釈されたりしないように,むしろ格差契約の典型例として類推適用されるように,格差是正の必要性に関する理念規定を併せ規定すべき
*1 日本弁護士連合会「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」。
xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx /061214.html。
- 4 -
ものと考える。
また,将来的に,民法における消費者契約に関する特則は,消費者契約法ないしそれを包含する包括消費者法典に吸収する方向で検討される必要があると考える。
【理由】
(1) 消費者契約に関する特則の性格
① 社会実態に適合した迅速な法改正の必要性
② 消費者保護水準の低下への懸念
→ 民法よりも消費者契約法で立法化した方が望ましいと考える。
(2) 消費者契約法の民法典への統合について
民法の改正を機に,消費者契約法の私法実体規定を民法に取り込んで消滅させるという考え方(いわゆる統合論)には反対である。
※ これまでの法制審議会における議論や中間論点整理を拝見すると,考え方の分岐点や考えられる選択肢は別紙「フローチャート」(説明資料
(2)-2)のようなところか。
(3) 民法改正に伴う消費者契約に関する特則の立法化の必要性
民法で原則規定のみが立法され,消費者契約に関する特則規定(例外規定を含む)の立法が遅れるといった事態は問題である。
→ 法務省と消費者庁の協力によって,民法と同時に消費者契約法を改正する方法で,消費者契約に関する特則規定を立法化することが最も望ましいと考える。
<参考>
「消費者基本計画2010」(平成22年3月30日閣議決定)施策番号 42
具体的施策 消費者契約法に関し,消費者契約に関する情報提供,不招請勧誘の規制,適合性原則を含め,インターネット取引の普及を踏まえつつ,消費者契約の不当勧誘・不当条項規制の在り方について,民法(債権関係)改正の議論と連携して検討します。
担当省庁等 消費者庁,法務省,関係省庁等
実施時期 平成22年度以降,前段については,問題点の把握を行い(中略)ます。
(4) 何らかの事情で民法と消費者契約法の同時改正が困難な場合
新たな消費者保護規定を立法して消費者保護を進めるという観点から,既存の消費者契約法の私法実体規定はそのままに,消費者契約に関する特則を民法に設けるということも選択肢である。
その場合には,消費者契約に関する特則の存在が,他の社会的弱者に対して不当に反対解釈されたりしないように(むしろ格差契約の典型例として類推適用がなされるように),格差是正の必要性に関する理念規定を併せ規定すべきものと考える。
また,将来的に,民法における消費者契約に関する特則は,消費者契約法ないしそれを包含する包括消費者法典に吸収する方向での検討がなされる必要があると考える。
3 消費者契約に関する規定の具体的内容
【中間論点整理「第62,1(3)」184頁】
【配付資料(1)・意見書171~172頁】
【意見】
① 消費者契約法の同時改正によって同法に消費者契約に関する特則が十分
- 5 -
に規定されるのであれば,民法には,消費者契約の解釈に関する理念的な規定ないし契約当事者間の格差是正に関する理念的な規定を設けるだけでもよいと考える。
② しかし,もし仮に消費者契約法に消費者契約に関する特則が十分に規定されないのであれば,民法には,消費者契約の解釈に関する理念的な規定のみならず,個別の特則規定を設ける必要があると考える。
4 消費者の定義
【意見】
【中間論点整理「第62,1(3)」184頁】
【配付資料(1)・意見書172~173頁】
① 消費者の定義は消費者契約法における定義よりも拡大すべきである(例:
「個人(事業活動に直接関連する目的で取引するものを除く)」など)。
② 消費者と実質的に大差ない零細事業者などを保護できるよう,上記のような消費者の定義の拡大のほか,「消費者」概念の相対化や,格差契約一般に関する格差是正の理念規定を介した消費者保護規定の準用ないし類推適用といった方策を検討すべきである。
【理由】
① 消費者と大差ない中小零細事業者など他の社会的弱者にも消費者に関する特則を適用できる余地を高めるためには,消費者の定義を消費者契約法における定義よりも拡大することが望ましい(例:個人事業主が当該事業と直接に関連しない目的で契約の当事者となった場合など)。
② また,上記の場合以外でも,個人事業主や中小零細事業者等の場合には,相手方事業者との間の情報・交渉力格差が一般の消費者と事業者との間におけるものと大差ない場合がある。かかる消費者と実質的に大差ない零細個人事業主などを保護できるよう,下記のような対応などを検討すべきである。
ⅰ「消費者」「事業者」「消費者契約」概念を事案によって相対化させて,個別事案によっては消費者契約に関する特則規定を中小零細事業者にも適用できるようにする。
ⅱ「消費者」「事業者」「消費者契約」概念の定義や本来の適用範囲はきっちりと規定しておき,そのうえで,個別事案において契約当事者間に消費者契約と同程度の情報・交渉力格差が認められる場合には,解釈論において,消費者契約に関する特則規定の準用ないし類推適用を認める。
ⅲ 上記ⅱのような消費者契約に関する特則規定の準用ないし類推適用が可能なことを,格差契約に関する格差是正の理念規定を設けることで明確化する。
ⅳ 上記ⅱのような消費者契約に関する特則規定の準用ないし類推適用が可能なことを,xxに定めて明確にする。
ⅴ 消費者契約に関する特則規定とは別に,格差契約一般に妥当する格差是正規定を設け,その規定による救済を図る。
第3 消費者契約の特則
1 不当条項規制の特則
【中間論点整理「第62,1(3)」184~5頁】
【配付資料(1)・意見書173~181頁】
→ 配付資料(2)「第3」で補足説明予定。
2 全部無効の原則
→ 配付資料(2)「第3」で補足説明予定。
3 債権の消滅時効の特則
→ 配付資料(2)「第7」で補足説明予定。
4 売買契約の特則
→ 配付資料(2)「第7」で補足説明予定。
5 消費貸借契約の特則①(目的物交付前の解除権)
→ 配付資料(2)「第7」で補足説明予定。
6 消費貸借契約の特則②(期限前弁済)
→ 配付資料(2)「第7」で補足説明予定。
7 消費貸借契約の特則③(抗弁の接続)
→ 配付資料(2)「第6」で補足説明予定。
8 賃貸借契約の特則
→ 配付資料(2)「第7」で補足説明予定。
9 委任契約の特則
10 寄託契約の特則
11 条項使用者不利の原則
→ 配付資料(2)「第3」で補足説明予定。
12 継続的契約の中途解約権の特則
→ 配付資料(2)「第3」で補足説明予定。
13 その他
→ 配付資料(2)「第7」で補足説明予定。
以上
消費者契約トラブル
★消費者側=真に望む契約に基づく支出。
★事業者側=良質の販売方法や契約条件を提供する事業者が消 費者に支持・評価され売上げを確保できる健全な消費者取引市場の実現。
① 事業者が十分に情報提供や説明をせずに契約を勧誘
② 事業者が一方的に有利な契約書や約款で契約を締結
★消費者側=不本意な契約への支出・拘束を余儀なくされる不利益
★事業者側=本来なら消費者に支持されないはずの劣悪な販売方法や契約条件しか提供していない事業者に健全な事業者が売上げを奪われるという社会xxに反する事態。
現在の民法:詐欺・錯誤・公序良俗といった規定しかない。
現在の消費者契約法:消費者契約に関する包括的民事ルールだが、契約締結過程を規律する規定も、契約内容を規律する規定も極めて不十分な内容である。
契約締結過程
① 情報提供義務・説明義務の明定
② 消費者取消権(不実告知、断定的判断の提供、威迫・困惑)の要件見直し。
③ 新たな消費者取消権の導入(情報提供義務違反、状況の濫用、不招請勧誘、不当勧誘行為に関する一般規定の導入)
など
契約内容
① 一般規定(第 10 条)の要件見直し
② 現行の不当条項リストの要件見直し(第 9 条)
③ 不当条項リストの大幅な拡張(ブラックリスト・グレーリスト等)
④ 継続的契約に関する中途解約権の明定
など
民法改正と要検討論点例
1 契約締結過程
① 情報提供・説明義務
② 不実表示
③ 暴利行為・公序良俗
2 契約内容
① 約款規制
② 不当条項規制
ⅰ 消費者契約
ⅱ 約款
3 その他の問題
① 保証
② 抗弁接続
③ 債権各論の諸問題
4 民法と消費者概念
など
日本弁護士連合会の消費者契約法の改正提案(2006/12/14 意見書)
「消費者契約トラブル」の原因と対処策に関する基本的な考え方
消費者契約=事業者・消費者間の契約
消費者契約の特徴
= 契約当事者間の格差(情報や交渉力の格差)の存在
対策①
契約締結過程のxx現在の民法
対策②
契約内容のxx
解消・減少
現行法の不十分さ
【 第3 約款・不当条項 】第1 約款(定義及び組入要件)
1 約款の組入要件に関する規定の要否
【意見】
【中間論点整理「第27,1」84頁】
【配付資料(1)・意見書56頁】
約款に関する法規定を設けることに賛成である。
【理由】
① 現代社会では,電車に乗って通勤(通学)する,携帯電話で話をする,電気を使う,インターネットを使う,クレジットカードを使う,DVD を借りる,旅行をする,宅急便を送るといった,日常生活の中の多くの契約内容が約款で規律されている。
② ところが,現行民法には約款に関する法規定が存在せず,その法的拘束力の要件・効果は不明瞭である。
③ また,実際問題としても,契約の一方当事者が契約条項を作成する約款については,相手方の承諾を擬制しつつ,その開示が十分でなかったり,その内容が一方的なものとなっていたりする例も存在する。
※ 別紙③④の内閣府による実態調査をご参照
④ さらに,諸外国の立法例に照らしても,民法が市民生活に関わる基本的な民事ルールを定める法律ということであれば,現代社会において約款の適正な規律は不可欠であると思われる。
2 約款の定義
【意見】
【中間論点整理「第27,2」85頁】
【配付資料(1)・意見書56~57頁】
(1) 約款規制の対象となる「約款」の定義については,「多数に契約に用いるためにあらかじめ定型化された契約条項の総体」といった定義を参考に,約款規制の立法目的から合目的的に決されるべきである。
(2) この点,日常生活で「約款」と呼ばれているか,「約款」という表題が付いているかといった観点で約款規制の対象を画することには反対である。むしろ
「名称や形態は問わない」といった注記を検討すべきである。約款規制の対象から,取引基本契約書や定型契約書を除外することには反対である。
(3) 法規制の対象について「約款」という用語を用いることが適切か否かについても検討の対象にすべきである。
【理由】
(1) 社会の実態と規制対象
① 日常用語としては,契約書や申込書から独立した規定集(例・保険約款等)などが「約款」と呼ばれることが多いように思われるが,一方で,契約書や申込書の裏面に記載されている契約条項なども「裏面約款」と呼ばれている。また,日常用語としては「契約書」「約定書」と呼ばれている書類であっても,契約の一方当事者が作成した定型書式の契約書で個々の契約条項について個別交渉が予定されていないものなどは,約款規制の趣旨が妥当する。例
- 1 -
えば,取引基本契約書等と呼ばれている契約書類を約款規制から除外することには反対である。
さらに,インターネット販売や店舗販売などでは,定型化された契約内容の重要な部分(例・返品・返金の条件など)が「会員規約」「ご利用規約」「お買物規約」「販売条件」「商品ガイド」「よくあるご質問」「よくあるご質問とご回答」「Q&A」「入会案内」といった表題のもとに列挙されて顧客に提示され,顧客からの苦情処理の際に利用されていることも少なくない。
② 上記のような社会実態を踏まえれば,「日常用語として『約款』を呼ばれていない」とか,「『契約書』と呼ばれている」とか,「『約款』という表題が付いていない。」といった形式的な理由で,約款規制が及ばなくなると考えることは不合理である。また,実際問題としても,容易に約款規制の潜脱を許すことになる。
③ したがって,法規制の対象とすべき「約款」の定義については,「多数に契約に用いるためにあらかじめ定型化された契約条項の総体」といった定義を参考に,約款規制の立法目的から合目的的に決されるべきである。より分かりやすくするために「名称・形態は問わない」と明示した方が望ましいと考える。
※ 別紙①「消費者契約法日弁連試案」第2条(4)
④ この点,日常用語として既に一定の意味合いを持っている「約款」という用語と,法的に規制を及ぼす必要性のある定型契約とのズレが,議論の混乱につながっている側面もあるように思われる。立法後も日常用語とのズレが誤解を生むことにつながる可能性もある。そこで,「約款」という用語の使用を避けることも選択肢として検討されてもよいのではないかと考える。
3 約款の組入要件の内容
(1)約款を契約内容とするための要件(約款の組入れ要件)
【中間論点整理「第27,3」85頁】
【配付資料(1)・意見書57頁】
【意見】
ア 約款を使用した取引においても法的拘束力の正当化根拠は意思の合致である。したがって,約款に法的拘束力が認められるためには,原則として約款が契約締結時までに相手方に提示されていることが必要と考えるべきである。
イ ただし,契約の性質上,契約締結時に約款を開示することが著しく困難な場合については,例外を肯定すべきである。この場合,例外要件として,約款使用者が約款を用いるであろうことを相手方が知り,又は知ることができ,かつ,相手方が約款の内容をあらかじめ知ることができる状態にしていたことを要するとすべきである。
(2)不意打ち条項について
【意見】
【中間論点整理「第27,3」85頁】
【配付資料(1)・意見書57~58頁】
(ア) 不意打ち条項を設けるべきである。
(イ) 具体的内容としては,取引慣行に照らして異常な条項又は取引の状況若しくは契約の外形から見て約款使用者の相手方にとって不意打ちとなる条項は,x
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約の内容とならないとする考え方や,相手方が合理的に予期し得ないような性質の条項は,その内容が相手方により契約締結時までに理解されていたことを条項使用者が証明した場合を除き,契約の構成部分とならないとする考え方などが妥当ではないか。
【理由】
(ア) 不意打ち条項の具体例として,付属品の継続的供給条項などが指摘されている(「別冊NBL126号「債権法改正の基本方針」【3.1.1.A】の提案要旨など)。
(イ) 上記に対しては,情報提供義務・説明義務で対処することが相当程度可能であるという見解もある。
しかし,説明義務違反の効果(損害賠償)と不意打ち条項の効果(契約条項の組入れ否定ないし無効)は異なるものであり,契約条項の効力自体を否定する後者の処理の方がより妥当な場合もありうる(付属品の供給条項を有効として,説明義務違反であるとして損害賠償で処理するよりも,当該条項を無効として処理した方が,より簡明である。)。
※ 別紙②「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」第15項
(3)認可約款について
【意見】
【中間論点整理「第27,3」85頁】
【配付資料(1)・意見書58~59頁】
いわゆる認可約款について,約款規制上の例外的扱いを認めるべきではない。
【理由】
(ア) 行政庁による約款の認可は,行政的な規律に止まるのであって,契約当事者間の拘束力までを積極的に承認するものではない。相手方(顧客)側の意思が反映される機会・手続も欠けており,また,認可後に公示されることもない。認可約款についても,契約への組み入れについて,例外的扱いを認めるべきではない。
(イ) なお,不当条項規制においても,例外的扱いを認めるべきではない。行政の審査は必ずしも不当条項審査という観点からなされているものではないうえに,実際上も不当条項を十分に排除することができていない。
この点については,大学の学則(在学契約上の約款)について「学則等の内容が法定されていて,その制定及び変更については文部科学大臣の認可が必要であるからといって,そのことをもって直ちに入学金,授業料等の金額の妥当性が十分に担保されているということもできず,交渉力の格差がないということもできないのみならず,消費者契約法は,消費者契約に当たる限り,全取引を対象とするものであり,消費者契約法1条の規定の目的に照らし合わせてみても,在学契約について同法の適用がないとは到底いえない」と判示した裁判例(大阪高判平成16年10月22日判例集等未掲載。同庁平成16年(ネ)第295号事件)も存在する。最高裁判例も大学の学則等に対する消費者契約法の不当条項規制の適用を肯定している(学納金返還訴訟上告審判決。最判平成18年11月27日判時1958号12頁等)。
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第2 不当条項規制
1 不当条項規制の要否,適用対象等
(1)不当条項規制の要否
【意見】
【中間論点整理「第31,1(1)」95頁】
【配付資料(1)・意見書69頁】
民法に不当条項規制の規定を新たに設けることに賛成である。
【理由】
そもそも契約自由の原則は,対等な当事者による交渉ということが前提として想定されている。しかしながら,現実には,様々な事情から,当事者の対等性が確保できず,あるいは,実質的な交渉が確保できない場合が存在する。契約自由も一定の制約に服するのであって,相手方を不当に害するもの,当事者の対等性が確保されていない場合,さらには実質的な交渉が確保できていない場合などには,契約の内容的規制,すなわち不当条項規制は不可欠である。
【参考資料】
別紙③:内閣府「平成 19 年度消費者契約における不当条項研究会報告書」*1
における実態調査の結果(抜粋)
別紙④:同書添付「参考事例集」*2
【補足説明】
記載の契約条項の具体例(抜粋)
1 消費者契約法に規定された不当条項規制とその問題点
(1) 消費者契約法における不当条項規制
ⅰ 事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効(第8条)
ⅱ 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等無効(第9条)
ⅲ 消費者の利益を一方的に害する条項の無効(第10条)
(2) 上記の法規定における問題点
ⅰ 第8条:損害賠償責任以外の免責規定の不当条項リストが無い。
ⅱ 第9条:平均的損害の立証責任
ⅲ 第10条:前段要件の要否,後段要件の判断基準
ⅳ その他:不当条項リストが少ない,解釈規定がない,期限の定めのある継続的商品供給契約の中途解約が難しいなど。
(3) 日本弁護士連合会の提案
ⅰ 第8条~第10条の問題解消
ⅱ 不当条項リストの追加(ブラックリスト,グレーリスト)
ⅲ 消費者有利解釈,契約条項の開示・明確化,不意打ち条項の禁止
ⅳ 継続的契約における消費者の中途解約権の付与
<参考資料>
別紙①:日本弁護士連合会「消費者契約法日弁連試案」*3 別紙②:同「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」*4
*1 xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxxxxxx.xxx
*2 xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxxxxxxx0.xxx
*3 xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx /1999_5.html
*4 xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/000000.xxx
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(2)不当条項規制の適用対象
【意見】
【中間論点整理「第31,1(2)」95頁】
【配付資料(1)・意見書69~71頁】
不当条項規制の適用対象として下記を考えることに賛成である。これらはいずれも排斥しあうものではない。並行して検討すべきである。
1)約款を使用した取引における契約条項(約款条項)
契約の一方当事者が作成した約款が使用された契約を対象とする不当条項規制(いわゆる約款アプローチ)。
2)消費者契約
消費者契約に関する不当条項規規制(いわゆる消費者契約アプローチ)。もっとも,その法形式については,消費者契約法の改正をもって行うこ とが望ましいと考える。ただし,もし万一民法改正と同時に消費者契約法を改正することが困難である場合には,現行の消費者契約法はそのままに,
改正民法で不当条項規制を拡充することを許容する。
3)公序良俗に反する契約条項
公序良俗に反する不当条項規制(いわゆる不当条項アプローチ)。
【理由】
不当条項規制の適用対象としては,下記を考えることに賛成である。これらはいずれも排斥しあうものではない。並行して検討すべきである。
1)約款を使用した取引における契約条項(約款条項)
現実の社会では契約の一方当事者が作成した約款(=定型契約書を含めて概念すべきと考える)を使用した取引が多く存在する。かかる取引では,当事者間で契約内容に関する実質的な交渉が確保されていない場合が多く,いわゆる約款の隠蔽効果もあって,約款条項どおりの合意の成立を他方当事者に強要する場合には,他方当事者にとって酷な結果となる場合が少なくない。
2)消費者契約
消費者契約では,契約当事者間の情報・交渉力格差から事業者が契約内容を規定した取引が多く存在する。かかる取引では,当事者間で契約内容に関する実質的な交渉が確保されていない場合が多く,いわゆる約款の隠蔽効果もあって,約款条項どおりの合意の成立を他方当事者に強要する場合には,他方当事者にとって酷な結果となる場合が少なくない。
3)公序良俗に反する契約条項
公序良俗に反する契約条項が無効であることは自明であるが,当事者の属性や契約の類型にかかわらず法的効力を否定すべき具体的な契約条項を類型化できる場合には,契約類型を問わずに適用される不当条項として位置付けるべきである。
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2 不当条項の対象から除外すべき契約条項
(1)個別の交渉を経て採用された条項について
【中間論点整理「第31,2」96頁】
【配付資料(1)・意見書71~72頁】
【意見】
1)約款条項に対する不当条項規制の場合
個別交渉を経て採用された条項は,適用除外としても良いのではないか。ただし,形ばかりの形式的な交渉しかなかった場合などは適用除外とす べきではない。形式的な交渉の存在だけで不当条項規制が脱法されることなどないように,契約締結過程に関する手当てや,脱法禁止条項を不当条
項リストとして規定するといった対応も検討されるべきと考える。
2)消費者契約に対する不当条項規制の場合
個別交渉を経て採用された条項を適用除外とすることに反対である。
【理由】
(ア) 約款条項に対する不当条項規制の場合
ⅰ 個別の交渉を経て採用された契約条項であれば,契約内容に関する契約当事者の実質的関与がある点において,実質的な弊害が観念できず,約款条項に対する不当条項規制の趣旨が該当しない。
ⅱ ただし,形ばかりの形式的な交渉しかなかった場合などは適用除外とすべきではない。適用除外となる「交渉」については,実質的・能動的なものであることが必要であることを明確にする必要がある。
また,形式的な交渉の存在だけで不当条項規制が脱法されることなどないように,契約締結過程に関する手当てや,脱法禁止条項を不当条項リストとして規定するといった対応も検討される必要があると考える。
ⅲ 個別の交渉を経た条項を約款規制の適用から除外するということは,実質的な交渉の対象となった特定の条項や特定の項(あるいは号)のみが規律の適用から外れ,交渉されていない他の条項や項(あるいは号)は,不当条項規制の対象になるという点は明確にすべきである。
なぜなら,xxxのような条項を1ヵ条用意して,アリバイ的にその条項に修正交渉を行えば,他の条項までもが不当条項の規制に服さなくなってしまうといった不当な事態や,実質的な交渉を経ていない条項や特定の項(あるいは号)に約款規制が及ばないといった不当な事態を招来することになってしまいかねないからである。
(イ) 消費者契約に対する不当条項規制の場合
ⅰ 契約当事者間で情報・交渉力格差があることを考えると,個別の交渉を経たことのみで合意内容の合理性を当然に肯定できない。消費者契約に対する不当条項規制の趣旨が該当しないとはいえない。
ⅱ 消費者契約法における不当条項規制においても,立法時に個別交渉を経て採用された条項であっても適用除外とすべきではないという議論がなされていた。
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(2)契約の中心部分に関する契約条項について
【中間論点整理「第31,2」96頁】
【配付資料(1)・意見書72~73頁】
【意見】
1)約款条項に対する不当条項規制の場合
中心的部分に関する契約条項を適用除外とすることに反対である。
2)消費者契約に対する不当条項規制の場合同様である。
【理由】
(ア) 区別の困難性と不合理性
ⅰ 実際問題として,契約の中心的部分かそうでないかは,厳密な区別が困難である。
まず,給付内容を定める条項なのか否かの区別は困難な場合もある。例えば,保険契約は「保険事故を定める条項」と「免責事由を定める条項」があり,一般に「免責を定める条項」には不当条項規制が及ぶと考えられているが,免責の要件は保険事故の定義の中に組入れることができる。また,売買契約において,「現状有姿のまま,担保責任を負うことなく引渡す」と規定すれば,これが果たして「給付を定める条項」であるといえるか否かははなはだ疑問はあるものの,少なくとも「給付を定める条項」であるか否かの争いとはなりうる。
また,対価の取り決めに関する条項についても,例えば携帯電話の料金規定のように,複雑で分かりにくいものもある。
ⅱ さらに,契約の中心部分に関する条項に約款規制が及ばないことを認めると,不当条項規制が及ぶべき事項を,給付に関する条項に組み入れることにより,規制を脱法的に回避することにつながる恐れがある。
例えば,売買契約において,約款使用者たる売主が,「現状有姿のまま,担保責任を負うことなく引渡す」と規定することで,担保責任免除についての不当条項規制の問題を回避することを認めるべきではない。また,保険契約において,約款使用者(保険会社)が,約款の規定により,「保険事故を定める条項」に「故意によらない…」との定めを組み入れることで,故意免責の立証責任の転換について不当条項性の疑義を一律回避することができるとすれば,それも不当である。
また,長期間の継続的なサービス(役務)契約の中途解約禁止条項に関する不当条項審査が,長期間のサービスを受けうる資格ないし地位の売買契約と法律構成を変更すれば不当条項審査を免れることができるとすれば不合理なことである。
3 不当性の判断枠組み
(1)比較対照すべき標準的な内容(任意規定に限るか)
【中間論点整理「第31,3」96頁】
【配付資料(1)・意見書73~74頁】
【意見】
1)約款条項に対する不当条項規制の場合
比較の対象を任意規定に限る考え方には反対である。「当該契約条項の内容と当該契約条項が存在しない場合の当事者の権利義務関係を比較すべき」
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である。
2)消費者契約に対する不当条項規制の場合同様である。
【理由】
ⅰ 不当条項審査において重要な点は,原則的な権利義務関係から逸脱したような契約内容(=契約条項の作成者に一方的に有利な権利義務関係)を定めた契約条項か否かという点であるはずである。
ⅱ この点,原則的な権利義務関係というものは,法令中のxxの任意規定だけでなく,判例等によって確立しているルール,xxのない基本原理などによって決まるものである。
ⅲ したがって,比較の対象を任意規定に限るような考え方は妥当ではない。端的に当該契約条項の内容と当該契約条項が存在しない場合の当事者の権利義務関係を比較すべきである
ⅳ 特に消費者契約法第10条前段の解釈論では,「比較の対象は任意規定のみ」という消費者庁解説の見解(限定説)を支持する見解は少なく,多くの学説も,裁判例(神戸地判平成17年7月14日判時1901号87頁)も,日弁連見解も非限定説の立場である(詳細は日本弁護士連合会消費者問題対策委員会編「コンメンンタール消費者契約法(第2版)」184~186頁(商事法務, 2010))。
(4)不当性判断の判断基準
【意見】
【中間論点整理「第31,3」96頁】
【配付資料(1)・意見書75~77頁】
「条項使用者の相手方の利益をxxxに反する程度に害するかどうか」という判断基準に賛成である。
【理由】
ア 約款条項に対する不当条項規制についても,消費者契約に対する不当条項規制についても,不当条項審査の判断基準としては,比較法的にも,我が国の学説上も「xxx違反」という判断基準が広く支持されているように思われる。
イ また,消費者契約における不当条項審査(=消費者契約法10条後段要件)の判断基準として,xxxx教授が,比例原則に根ざした均衡性という基準を提唱されており,日弁連の前掲「コンメンタール消費者契約法(第
2版)」も同様の考え方である。
4 不当条項の効力
(1)全部無効か一部無効か
【意見】
原則は全部無効と考える。
【理由】
【中間論点整理「第31,4」96頁】
【配付資料(1)・意見書77頁】
ⅰ 約款条項に対する不当条項規制についても,消費者契約に対する不当条項規制についても,およそ無効な不当条項を定めていても裁判所がぎりぎり有
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効なところで制限解釈によって有効にしてくれるのであれば,不当条項の流布は止まらない。原則は全部無効とすべきであろう(特に消費者契約に対する不当条項規制)。
ⅱ もっとも,問題とされる約款条項によっては一部無効と判断した方が望ましいものもあるかもしれない。明文化が望ましいか否かを含め,更に検討すべきである。
※ サルベージ条項の問題
5 不当条項のリストを設けることの当否
(1)不当条項のリストを設けることの当否
【意見】
【中間論点整理「第31,5」97頁】
【配付資料(1)・意見書78頁】
1)約款条項に対する不当条項規制の場合
「具体的な不当条項のリストを作成して条文xxxすべきである」という検討委員会試案の考え方に賛成である(積極)。
2)消費者契約に対する不当条項規制の場合
現在消費者契約法8条~10条の3箇条しかない不当条項リストをさらに拡大すべきである。ただし,法形式については,民法改正よりも消費者契約法の改正で実現する方が最も望ましいと考える。
(2)不当条項リストの在り方(ブラックリスト,グレーリスト)
【中間論点整理「第31,5」97頁】
【配付資料(1)・意見書78~79頁】
【意見】
1)約款条項に対する不当条項規制の場合
ア「不当条項リストはブラックリストとグレーリストに分けて規定すべきである。」という考え方に賛成である(積極)。
イ 約款条項の不当条項リストと消費者契約の不当条項リストを共通なものにするという考え方には反対である。
2)消費者契約に対する不当条項規制の場合同様である。
3)2つの不当条項リストの分離
約款条項の不当条項規制と消費者契約の不当条項規制は,そもそも法規制の趣旨が異なる。例えば,個別交渉規定に関する問題の存否・内容にも差違がある。要件・効果を共通とする1つの不当条項リストに無理にまとめようとしない方が無難であると考える。
(3)具体的なリストの内容
【意見】
【中間論点整理「第31,5」97頁】
【配付資料(1)・意見書79~85頁】
1)約款条項に対する不当条項規制の場合
民法(債権法)改正検討委員会編「債権法改正の基本方針」(別冊NBL126号)において例示されている不当条項リスト案などを参考として,立法化
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に向けた検討を進めるべきである。
2)消費者契約に対する不当条項規制の場合
ア 下記の提案例に列挙されているような不当条項リストないし契約類型を参考として立法化を実現すべきである。
① 日本弁護士連合会「消費者契約法日弁連試案」(1999年10月22日)*1
※ 配付資料(1)「意見書」80~81頁
② 日本弁護士連合会「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」(20 06年12月14日)*2
③ 平成19年度消費者契約における不当条項研究会編「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」*3
※ 配付資料(1)「意見書」81頁
④ 民法(債権法)改正検討委員会編「債権法改正の基本方針」(別冊NB L126号)
※ 配付資料(1)「意見書」81~83頁
⑤ EU「消費者契約における不xx条項に関する1993年4月5日付け閣僚理事会指令」の付表に列記されている不xx条項
※ 配付資料(1)「意見書」83~85頁
イ もっとも,その法形式については,民法改正よりも消費者契約法の改正で実現する方が最も望ましいと考える(詳細は配付資料(1)「意見書」
170~171頁のとおり)。
以上
*1 xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx /1999_5.html
*2 xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/000000.xxx
*3 xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxxxxxx.xxx
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<別紙①>
第1章 目的・定義
【 消費者契約法日弁連試案 】
~ 不当条項規制に関係する部分のみ抜粋 ~
1999(平成 11)年 10 月 22 日
日本弁護士連合会
第2条(定義)
(4)本法において,約款とは,事業者が,多数の消費者との契約のために予め作成した契約条項で,契約内容になるものをいい,その名称,範囲,形態を問わない。
第2章 契約締結過程における事業者の義務第3条(契約書面・約款の開示)
(1)事業者は,消費者契約の締結に際し契約書面又は約款を用いた場合には,契約締結前
あるいは契約締結後遅滞なく契約書面又は約款内容を記載した書面を消費者に交付しなければならない。但し,契約の性質上又は社会通念上,約款の内容を記載した書面を交付することが不要と認められる場合は,この限りでない。
(2)事業者は契約の性質上又は社会通念上,約款の内容を記載した書面を交付することが不要と認められる場合であっても,その各営業所において掲示,備え置きその他これに準ずる方法で,消費者契約の締結に際し消費者が認識できるように約款の内容を開示しなければならない。
(3)前項の場合であっても,消費者の要求がある場合は,事業者は約款の内容を記載した書面を消費者に交付しなければならない。
(4)事業者が前3項に規定した各義務の一に違反し,契約条項の開示を怠ったと認められる場合は,消費者に不利益な契約条項は契約の内容とはならない。
第3章 契約条項に関する一般規定第9条(契約条項の明瞭化)
事業者は,消費者契約の条項について,常に明確かつ理解しやすい平易な言葉で表現し
なければならない。
第 10 条 (契約条項の解釈原則)
消費者契約の内容の解釈において明確でない契約条項については,消費者に最も有利に解釈する。
第 11 条 (不意打ち条項の禁止)
消費者契約の類型及び交渉の経緯等に照らし,消費者にとって予測することができない契約条項は無効とする。
第 12 条 (不当条項の禁止)
(1)消費者契約における消費者に不当に不利な契約条項は無効とする。
(2)次の各号のいずれかに該当する契約条項は,消費者に不当に不利と推定する。
① ある事項に関する法律規定が存する場合に,当該法律規定よりも消費者に不利な条項
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② 契約の性質から判断して,契約目的の達成を不可能もしくは困難とするような消費者の権利の制限または義務の付加,及び,事業者の責任の制限または免除を定める条項
第 13 条 (不当条項と見倣す契約内容)
消費者契約において以下に記載する内容を有する条項は消費者に不当に不利な条項とみなす。
① 契約文言を解釈する排他的権利を事業者に認める条項
② 法令上,消費者の有する同時履行の抗弁権,留置権,相殺権を排除又は制限する条項
③ 事業者の作為義務を内容とする契約において,消費者の同意なく事業者が第三者に契約上の地位を移転できるとする条項
④ 事業者が契約上消費者に対して有する債権を第三者に譲渡する場合に,消費者があらかじめ異議を留めない承諾をする旨の条項
⑤ 事業者の権利の担保責任を全面的に排除する条項
⑥ 事業者が,保証人に対し,保証期間又は限度額を一切定めない包括根保証をさせる条項
⑦ 事業者の保証人に対する担保保存義務を免除する条項
⑧ 消費者の解除権を一切認めない条項
⑨ 継続的契約において,消費者が正当な理由に基づき解約告知をする場合に,違約金を支払わねばならないとする条項
⑩ 継続的契約において,消費者が正当な理由がなく解約告知をする場合に,契約が期間満了まで継続していれば事業者が得られた対価から解約告知により事業者が免れた費用を控除した金額を超える違約金を定める条項
⑪ 事業者又は第三者が一切の過失行為の責任を負わないとする条項
⑫ 管轄裁判所を事業所の住所地もしくは営業所所在地に限定する条項
第 14 条 (不当条項と推定する契約内容)
消費者契約において以下に記載する内容を有する条項は消費者に不当に不利な条項と推定する。
① 消費者に与えられた期限の利益を奪う条項
② 事業者が契約上の給付の内容又は契約条件を一方的に決定し,又は変更できるとする条項
③ 事業者又は消費者がその義務を履行したか否かの判断を事業者に委ねる条項
④ 消費者の一定の作為又は不作為により,消費者の意思表示がなされたもの又はなされなかったものとみなす条項
⑤ 消費者の利益に重大な影響を及ぼす事業者の意思表示が消費者に到達したものとみなす条項
⑥ 消費者の権利行使又は意思表示の形式又は要件に対して制限を課する条項
⑦ 事業者の物の担保責任を全面的に排除する条項
⑧ 事業者の権利又は物の担保責任について,担保責任発生事由,担保責任の内容,権利行使期間,権利行使方法を制限する条項
⑨ 事業者が,一方的に予めもしくは追加的に担保を要求できるものとする条項
⑩ 保証人が保証債務を履行した場合の,主債務者に対する求償権の範囲を制限する条項
⑪ 消費者に通常必要とされる程度を超えた多量の物品または役務を購入させる条項
⑫ 消費者に通常必要される程度を超えた長期にわたる継続した物品または役務の購入をさせる条項
⑬ 継続的契約において,消費者からの解約申し入れを制限する条項
⑭ 消費者の法定解除権を制限する条項
⑮ 消費者の債務不履行があった場合に,事業者の損害として通常予想できる額を越える違約金を定める条項
⑯ 事業者又は第三者の損害賠償責任を制限する条項
⑰ 消費者の事業者又は第三者に対する損害賠償その他の法定の権利行使方法を制限する条項
⑱ 消費者の契約に基づく給付請求について,権利行使方法を制限し,その行使方法違反を理由に消費者の給付請求を奪う条項
⑲ 契約が解除又は解約告知によって終了した場合に既に給付された金員は返還しないとする条項
⑳ 契約が解除又は解約告知によって終了した場合に,給付の目的である商品,権利,役務の対価相当額を上回る金員を請求できるとする条項
21 事業者の証明責任を軽減し,又は消費者の証明責任を過重する条項
第4章 契約条項が無効又は契約内容とならない場合の効果
第 15 条 (契約条項が無効又は契約内容とならない場合の効果)
(1)第3条により契約条項が契約の内容とならず,又は前章により契約条項が無効であるときは,契約は残部につき有効である。
(2)第3条により契約条項が契約の内容とならず,又は前章により契約条項が無効であるときは,当該契約条項によって定められた事項については,民法その他の法律規定に従い補充する。
(3)前二項の場合,変更された契約内容の維持が一方の当事者に著しく不利益な場合には契約は全部無効になる。
以上
<別紙②>
第1 意見の趣旨
【 消費者契約法の実体法改正に関する意見書 】
~ 不当条項規制に関係する部分のみ抜粋 ~
2006 年 12 月 14 日
日本弁護士連合会
3 現行法3条1項前段を下記のとおり改正すべきである。
事業者は,消費者契約の条項を定めるにあたっては,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について消費者にとって明確かつ平易な表現を用いなければならない。
12 現行法9条1号を下記のとおり改正すべきである。
損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める消費者契約の条項は無効とする。ただし,これらを合算した額が,当該消費者契約と同種の消費者契約につき,当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えないときは,この限りではない。
13 現行法10条を下記のとおりと改正すべきである。
xxxxx原則に反して消費者の利益を不当に害する消費者契約の条項は無効とする。
14 現行法に下記の内容を追加すべきである。
(契約条項の開示)
① 事業者は,消費者契約の締結に際し契約書面又は約款を用いる場合は,消費者に対し,契約書面又は約款を交付し,又は交付することが契約締結の態様において困難なときは,契約締結の場所において掲示,備え置き,その他これに順ずる方法で,消費者が契約内容を認識できるように開示しなければならない。
② 事業者が前項の義務に違反し,契約条項の開示を怠ったと認められる場合は,消費者に不利益な契約条項は契約の内容とならない。
15 現行法に下記の内容を追加すべきである。
(不意打ち条項)
消費者契約の類型及び交渉の経緯等に照らし,消費者にとって予測することができない消費者契約の条項は契約の内容とならない。
19 現行法に下記の内容を追加すべきである。
(消費者契約の解釈準則)
消費者契約の契約条項が,合理的解釈を尽くしても,不明確であるがゆえに,その条項につき複数の解釈が成り立つときは,消費者にとってもっとも有利に解釈する。
21 現行法に下記の内容を追加すべきである。
(消費者の中途解約権)
消費者は,消費者契約にかかる継続的契約を,将来に向かって解除することができる。
22 下記の消費者契約の条項は無効と推定すべきである。
① 事業者が契約上の給付の内容又は契約条件を一方的に決定し,または変更できるとする条項
② 事業者または消費者がその義務を履行したか否かの判断を事業者に委ねる条項
③一 事業者の債務不履行(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものを除く。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
二 消費者契約における事業者の債務の履行に際してなされた当該事業者の不法行為(当該事業者,その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものを除く。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項
④ 法律により認められた消費者の解除権を制限する条項
⑤ 継続的契約において,消費者の中途解約権を制限する条項
⑥ 消費者の利益のために定められた期限の利益を喪失させる条項(但し,民法第137条各号に規定する事由を,期限の利益を喪失する事由として定めた場合を除く。)
⑦ 消費者が一定の作為又は不作為をしたときは,当該消費者が一定の意思表示をしたもの又はしないものとみなす条項
⑧ 一定の事実があるときは,事業者の意思表示(消費者契約の解除等,消費者の利益に重大な影響を及ぼすものに限る。)が消費者に到達したものとみなす条項
⑨ 消費者の法定の権利行使又は意思表示の形式又は要件に対して制限を課す条項
⑩ 事業者の証明責任を軽減し,又は消費者の証明責任を加重する条項
⑪ 管轄裁判所を事業者の住所地又は営業所所在地に限定する条項
23 下記の消費者契約の条項は無効とみなすべきである。
① 契約文言を解釈する排他的権利を事業者に認める条項
② 民法第541条ないし第543条による消費者の解除権を認めない条項
③ 消費者の民法第295条,第505条(ただし,民法その他の法律の規定により制限される場合を除く。),第533条(民法その他の法律の規定により準用される場合を含む。)により認められる権利を制限する条項
④ 事業者が消費者に対して役務の提供を約する消費者契約において,当該消費者の同意(あらかじめ得た同意は除く。)なく,事業者が第三者に当該消費者契約上の地位を承継させることができるものとする条項
⑤ 事業者が契約上消費者に対して有する債権を第三者に譲渡する場合に,消費者があらかじめ異議をとどめない承諾をなすものとする条項
⑥ 消費者が限度額を定めないで根保証をする条項
以上
<別紙③>
【 内閣府「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」*1
における実態調査の結果(抜粋) 】
1 調査対象
(1) 調査対象業種
30 業種(マンション賃貸,専門学校,予備校,海外留学,英会
話学校,パソコン教室,自動車教習所,フィットネスクラブ,リゾート会員,興信所,美容サービス,旅行業,墓地,引っ越し,宅配,クレジットカード,レンタルビデオ,貸衣装,駐車場,結婚式場,結婚相手紹介サービス,ペットショップ,中古車販売,インターネットプロバイダ,ソフトウェアライセンス,オークション,携帯電話,老人ホーム,その他)
(2) 調査対象事業者
(3) 調査対象約款
163
225
2 調査結果の概要
(1) 多かった契約条項の類型
① | 契約内容変更権 | 92 条項(53 事業者) |
② | 損害賠償の予定 | 84 条項(59 事業者) |
③ | 清算義務免除 | 68 条項(41 事業者) |
④ | 裁判管轄・準拠法 | 53 条項(44 事業者) |
⑤ | 意思表示の擬制 | 36 条項(28 事業者) |
⑥ | 事業者の債務不履行責任の制限 | 32 条項(23 事業者) |
⑦ | 権利行使期間の制限 | 31 条項(14 事業者) |
⑧ | 消費者の債務不履行責任の加重 | 26 条項(18 事業者) |
⑨ | 無催告解除 | 25 条項(18 事業者) |
⑩ | 瑕疵担保責任の制限 | 22 条項(16 事業者) |
⑪ | 契約適合性の判定権 | 19 条項(15 事業者) |
⑫ | 価額変更権 | 18 条項(14 事業者) |
⑬ | 事業者の解除権の留保 | 18 条項(12 事業者) |
(2) 契約条項の具体例
別紙④「契約条項の具体例」記載のとおり。
以上
*1 xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxxxxxx.xxx
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
No. | 業種分類 | 商品名 | 約款等名称 | 条項の類型 | 条文 |
4 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 賃貸契約書 | ・意思表示の擬制 ・その他 | 乙が賃料の支払を2 ヶ月以上滞納し、かつ甲にその住宅を、通知することなく不在、密室にした場合、甲は 乙に通知を要することなく、賃貸契約を合意解約したものとみなす。その場合、甲は乙の居室の鍵を交換するとともに、居室の占有を回収し、乙の所有にかかる家財の一切を任意に処分売却し、未払い家賃に充当することができる。 |
11 | クレジットカード | カード貸与契約 | 規約・規定 | 意思表示の擬制 | 本規定が改定され、■ ■ ■ がその内容を通知した後に■ ■ ■ 会員が本サービスを利用した場合には、当該変更事項を承認したものとみなします。 |
24 | その他 | アダルトサイト | 入会案内 | 意思表示の擬制 | 下のコンテンツのどれかひとつでもクリック( 押す) した時点で自動的に入会となります。 |
30 | その他 | インター ネットサービス | 利用規約 | ・契約内容変更権 ・価格変更権 ・意思表示の擬制 | 運営者が本サービスを通じて、随時発表する諸規定は、本規約の一部を構成するものとします。運営者 は本サービスへの表示をもって、会員の承諾を得ることなく、いつでも料金規定の変更を含む、本規約および諸規定の変更を行うことができます。尚、変更はW EB上に公開された時点で有効とします。 |
46 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 契約内容変更権 | 当社は、会員の了承を得ることなく本規約を随時変更できるものとする。変更後の本規約は、当社が■ ■ ■ のW EBサイトなどオンライン上に表示した時点より効力が生じるものとする。 |
47 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 賃貸契約書 | ・契約内容変更権 ・価格変更権 | 租税・地代・物価等が高騰した場合、又は甲が特に必要と判断した時は、期間中といえども随時、家賃、 共益費、保証金等の値上げに対し、乙は異議なく承諾するものとする。 |
48 | 予備校 | 通学・通信講座 | 申込規定 | 契約内容変更権 | 当社が必要と判断した場合には、いつでも本規約を変更することができます。変更内容については、当社ホームページ上において公表します。 |
51 | 海外留学 | 海外留学 | 契約内容変更権 | この約款は、事情により告知なしに変更されることがあります。 | |
53 | 英会話教室 | 通信サービス | 規約 | ・契約内容変更権 ・価格変更権 | 当社は、生徒に事前の通知をすることなく本規約および各運用規程ならびに料 金 を変更することがあります。変更後の本規約および各運用規程も、生徒と当社の間の一切の関係に適用されます。 |
58 | フィットネスクラブ | フィットネスクラブ | 会則 | 契約内容変更権 | ■ ■ ■ は、必要と認めた場合、本会則の改定を行うことができます。尚、改定内容は全会員に適用されるものとします。 |
59 | 旅行業 | 海外旅行 | 約款 | 契約内容変更権 | ■ ■ ■ サポートサービスの内容は、事前に告知することなく、変更されることがございますので、予めご了 承ください。 |
65 | 旅客運送 | 会員クラブ | 会員規約 | 契約内容変更権 | ■ ■ ■ はこのプログラムの規約をいつでも予告のある、なしに関わらず改訂することがあります。 |
67 | 旅客運送 | マイレージポイント | 規約 | 契約内容変更権 | ■ ■ ■ は、提携航空会社や提携企業との提携を事前の予告なしに変更する権利を有します。発行済みの特典に関してはその有効期限内は提携内容が変更されても各々の特典に記載された期限に従います。 |
69 | 旅客運送 | マイレージポイント | 規約 | 契約内容変更権 | 最新のハンドブックまたは、最新の印刷物、ホームページに記載された規約内容および告知内容は、すべて今までの規約および告知に、優先するものとなります。 |
71 | 宅配 | 航空運送 | 運送約款 | 契約内容変更権 | この運送約款及びこれに基づいて定められた規定は、予告なしに変更されることがあります。 |
74 | クレジットカード | カード貸与契約 | 利用ガイド | 契約内容変更権 | 会員は、■ ■ ■ が必要と認めた場合には、■ ■ ■ がサービスおよびその内容を変更とすることを予め承認します。 |
80 | レンタルビデオ | レンタルビデオ | 利用規約 | 契約内容変更権 | 本規約は、諸事情により、随時変更される場合がございます。なお、最新の規約内容につきましては、 xxxx://xxx.x ▲ ▲ .xx.xxのインターネットアドレスにアクセスしていただくか、下記■ ■ ■ コンタクトセンターまたはご利用になる■ ■ ■ 店舗のスタッフまでお問い合わせください。 |
82 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | 誓約書 | 契約内容変更x | xxを信用し、わたしの縁組仲介を依頼いたします。貴社に入会後は貴社の規定を守り、貴社の判断にすべて一任します。将来誓約書が貴社により改定されたときは、改定された誓約書を誓守します。また、 申し込みしたコースサービスの内容も了解します。 |
86 | インターネット・プロバイダ | インター ネットサービス | 会員規約 | ・意思表示の擬制 ・契約内容変更権 | ■ ■ ■ は、会員の承諾を得ることなく、本規約を変更でき、会員は■ ■ ■ からの通知をもって、これを承諾するものとします。 |
92 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 利用案内 | ・価格変更権 ・契約内容変更権 | また、サポートの内容、料 金 、期間については弊社が一意に決定するものとし、弊社はそれらを予告無く 改定するものとします。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
96 | 携帯電話 | 通信サービス | 利用規約 | 契約内容変更権 | 本規約の内容は、当社の都合により、お客様への通知なしに変更されることがあります。当社はそれに関して一切の責任を負いかねますので、予めご了承願います。 |
97 | 老人ホーム | 老人ホーム | 契約書 | 契約内容変更権 | 管理規程は、本契約の趣旨に反しない範囲内で、事業者において改定することができるものとします。この場合、事業者は、本契約第■ ■ 条に定める運営懇談会の意見を聴いたうえで行うものとします。 |
98 | その他 | 有線放送 | 契約約款 | 契約内容変更権 | 当社は、本約款を何等告知することなく変更することがあります。この場合においては、加入者は、変更後の約款の適用を受けるものとします。 |
103 | その他 | 医療サービス | 会員規約 | 契約内容変更権 | 本倶楽部の施設の変動、また経営上必要がある場合規約改正することがある。 |
105 | その他 | アダルトサイト | 入会案内 | 契約内容変更権 | 運営者は本規約を予告無く修正・追加出来るものとします。 |
113 | その他 | 出会い系サイト | 利用規約 | ・契約内容変更権 ・意思表示の擬制 | 弊社は、会員の事前の了承を得ることなく本規約を変更でき、会員はこれを異議なく了承するものとしま す。本規約の変更に関しては、弊社がオンライン、または弊社が提供する手段を通じ随時会員に対して発表するものとします。 |
115 | その他 | インター ネットサービス | 利用規約 | ・契約内容変更権 ・価格変更権 ・意思表示の擬制 | 運営者が本サービスを通じて、随時発表する諸規定は、本規約の一部を構成するものとします。運営者 は本サービスへの表示をもって、会員の承諾を得ることなく、いつでも料金規定の変更を含む、本規約および諸規定の変更を行うことができます。尚、変更はW EB上に公開された時点で有効とします。 |
117 | その他 | オンラインゲーム | 利用規約 | ・契約内容変更権 ・意思表示の擬制 | 株式会社■ ■ ■ は、会員の承諾を得ることなくこの規約をいつでも変更することがあります。この場合には、サービスの利用条件は、変更後の会員規約によります。変更後の会員規約については、株式会社■ ■ ■ が別途定める場合を除いて、株式会社■ ■ ■ のウェブサイト上に表示した時点より、効力を生じます。 |
118 | その他 | 配信サービス | 利用規約 | ・契約内容変更権 ・意思表示の擬制 | 本規約の内容は必要に応じて変更することがあります。適宜開示していきますので、利用の際には最新の本規約をご参照下さい。尚、異議がない場合には変更後の本規約に同意したものと見なします。 |
120 | その他 | 会員権 | 会員規約 | 契約内容変更権 | 特典内容は提携先の業務内容の変更や社会情勢の変化等に伴い、削除、追加、変更されることがあります。 |
121 | その他 | 内職 | 契約書面 | 契約内容変更権 | 当本部はやむをえない事情により● ● 提供の● ● が困難であると判断した場合、業務内容の変更・中止できるものとします。 |
123 | その他 | インター ネットサービス | 利用規約 | 契約内容変更権 | 運営者は必要と認めた場合には予告なく本サービスの内容を変更・中断が出来るものとします |
124 | その他 | 出会い系サイト | 利用規約 | 契約内容変更権 | 当サイトは、会員への事前の通知・承諾なくして諸条件・運用規則等を変更( 改廃) することができ、会員はこれを承諾するものとします。 |
126 | その他 | 車輌の共同購入利用 | ・契約内容変更権 ・当事者の交替 | 当クラブは必要に応じ特典・規約・クラブ名称を一方的に変更し得るものとします。又、クラブの運営に関し、当クラブの権利義務を代行する期間を別に定めることがあります。 | |
127 | その他 | チケットの仲介業 | 規約 | 契約内容変更権 | 前各条に定めるほか、委託販売チケットに関し、チケット販売委託者が定める約款や規定がある場合に は、それらが適用又は準用されるものとします。本委託販売チケット規約は、弊社の事業内容の変更やチ ケット販売委託者からの要請等により、事前通告なく条項を変更・追加する場合がございますので予めご了承下さい。 |
129 | その他 | インター ネット通信販売 | 規約 | 契約内容変更権 | 当社は、本規約を任意に改定できるものとします。本規約の改定があった場合は、当社所定のサイトに掲示した時にその効力を生じるものとします。この場合、パートナーは、改定後の規約に従うものといたします。 |
132 | その他 | 電子マネー | 会員規約 | ・契約内容変更権 ・その他 | 当社は、本サービスの全部または一部の提供を、理由のいかんを問わず、何時でも中止することができ、当該中止に関連または起因して生じた登録会員の損害について、いかなる責任も負わないものとします。また、当社は、本サービスの内容変更または本サービスの提供の遅れに関連または起因して生じた登録会員の損害について、いかなる責任も負わないものとします。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
134 | 旅客運送 | 会員クラブ | 会員規約 | 契約適合性の判定権 | 会員が■ ■ ■ FC、■ ■ ■ 若しくは両方の規約に違反するか、又は適用される法律に違反しようとしたり、若しくは他人を違反させようとしたりするか、又は詐欺を含みそれに限定されない■ ■ ■ との信頼関係を損なうと■ ■ ■ が判断する行為があった場合には、■ ■ ■ は、その単独の裁量により、直ちに該当する 会員資格の失効及び取消し、すべての積算マイルの無効、未使用の特典の取消し、損害賠償の請求、将来の■ ■ ■ への再入会拒否及び行政処分又は法的措置を通じたあらゆるすべての利用可能な救済措置をとることがあります。 |
136 | 墓地 | 墓委託契約 | 契約約款 | 契約適合性の判定権 | 本規定に定のない規定については、法律・条例などの定によるほか、その都度当寺によって定める事とし ます。 |
138 | 結婚式場 | 結婚式場 | 規約 | ・契約適合性の判定権 ・事業者の解除権の留保 | 披露宴等にご出席されるお客様が、法令または公序良俗に反する行為をなさるおそれのあると判断した場合、もしくは他のお客様にご迷惑をおかけすると当荘側が判断した場合、またはこの“ ■ ■ ■ 規約” に違反なさった場合は、ご婚礼等のお申込みをお断りするか、または既にご契約いただいた場合またはその 恐れがあると当荘が判断した場合でも、解約させていただくことがありますので予めご了承下さい。 |
141 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | ・契約内容変更権 ・契約適合性の判定権 | 会社は、第2 項及び第3 項* に関して、会員の配偶者選択に支障が生じないと判断した場合、提供する役 務の内容、方法、手段を任意で変更できるものとします。 | |
145 | オークション | インターネットオークション | 会員規約 | ・契約適合性の判定権 ・消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 1 .会員が規約に違反した場合、会員のフィードバックが当社の定める基準に達しない場合、会員が真に落 札する意志のない入札を行ったと当社が判断した場合、もしくは他の会員に不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合、当社は、次の措置を取ることができるものとします。 a.当社の定める期間、出品または入札を認めないこと。 b.会員資格を取り消すこと。ただし、この場合も前払金は返還しません。 c.携帯電話からの入札を認めないこと。 2 . 当社の措置により会員に損害が生じても、当社は、一切損害を賠償しません。 |
146 | その他 | インター ネット通信販売 | 規約 | ・契約適合性の判定権(? ) ・消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 当社がパートナーが本規約等に違反していると認めた場合は、当社は事前の通知・催告を行うことなく、 次の各号の措置をとることができ、パートナーはこれについて異議を述べることはできません。 ( 1 ) パートナーの設置したリンク等からのリンクの拒否 ( 2 ) パートナーの資格喪失または停止 ( 3 ) 成果報酬の支払停止 ( 4 ) 前号の他、パートナーの保有するポイント( 本サービスにより付与されたものが、これに限らない。) の全部または一部の利用停止または失効 ( 5 ) その他本サービスの全部または一部の提供の中止 |
151 | その他 | ポイントカード | カード特約 | 契約適合性の判定x | xは、会員が甲の会員資格を有する者として不適格であると判断した場合、何らの通知なくして甲の会員資格のみを喪失させることがあります。 |
151 - 2 | その他 | 配信サービス | 利用規約 | 契約適合性の判定権 | 当社において、会員および第三者の責に帰すべき事由により専用機器が正常に作動しないと判断した場合は、当社においてかかった全ての費用につき会員が負担するものとします。 |
152 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 賃貸契約書 | ・契約内容変更権 ・価格変更権 | 租税・地代・物価等が高騰した場合、又は甲が特に必要と判断した時は、期間中といえども随時、家賃、 共益費、保証金等の値上げに対し、乙は異議なく承諾するものとする。 |
160 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 利用案内 | ・価格変更権 ・契約内容変更権 | また、サポートの内容、料 金 、期間については弊社が一意に決定するものとし、弊社はそれらを予告無く 改定するものとします。 |
168 | その他 | インター ネットサービス | 利用規約 | ・契約内容変更権 ・価格変更権 ・意思表示の擬制 | 運営者が本サービスを通じて、随時発表する諸規定は、本規約の一部を構成するものとします。運営者 は本サービスへの表示をもって、会員の承諾を得ることなく、いつでも料金規定の変更を含む、本規約および諸規定の変更を行うことができます。尚、変更はW EB上に公開された時点で有効とします。 |
171 - 2 | 宅配 | 宅配便 | 運送約款 | 先履行の強制 | ( 荷送人から事業者に対する荷送物の) 滅失または毀損に対するクレームは、運送料等の全額が支払わ れるまでは受理されないものとします。クレーム金額は事業者が請求する運送料等から減額することはできないこととし、荷送人は、事業者の運送料等とクレーム金額の相殺に関する制定法及び慣習法によるものを含むいかなる権利もこれを放棄するものとします。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
172 | 美容サービス | 整形手術 | 誓約書 | ・人身損害 ・不起訴条項 ・損害賠償の予定 | 私は、■ ■ ■ にて手術の申し込みを行うにあたり、 ① 上記手術内容と手術費用、また分割の申し込みを含めて、あくまでも、自らの希望によりクリニックにお願いする事、 ② 上記契約費用は、いかなる理由においても返金されないこと、 ③ 分割を取りやめる場合は上記代金に相当する金額を即ちに支払うこと、 ④ 再手術の際には、別途料金が発生すること、 上記手術内容と手術費用について医師から説明を受け、十分納得し同意をしました以上、その手術結果を含め貴院に対して一切の異議申し立て等を行わないことを誓約いたします。 |
173 | 旅行業 | 募集型企画旅行 | 旅行業約款 | ・権利行使期間の制約 ・債務不履行責任の制限 ・その他 | 当社は、手荷物について生じた第一項の損害については、同項の規定にもかかわらず、損害発生の翌日から起算して、国内旅行にあっては十四日以内に、海外旅行にあっては二十一日以内に当社に対して通 知があったときに限り、旅行者一名につき** 万円を限度( 当社に故意又は重大な過失がある場合を除きます。) として賠償します。 |
183 | 宅配 | 国際運送 | 約款 | ・債務不履行責任の制限 ・権利行使期間の制約 | 荷物の滅失又はき損の場合の損害賠償の請求は、荷送人が行うものとします。その場合、荷物受取日から二十一日以内に荷送人及び荷受人よりそれぞれ証明書をもって、当店に提出されなければ、当店はその損害賠償の請求の受理はしません。 |
184 | 宅配 | 国際宅配便 | 宅配便約款 | ・債務不履行責任の制限 ・権利行使期間の制約 | 貨物に関する損害賠償の請求は、次の各号の期間内に文書をもって、会社に提出されなければ、会社はその損害賠償の請求の受理はしないものとします。 ( 1 ) 貨物に毀損のあった場合は、荷送人による物品受領の日から14 日以内 ( 2 ) 貨物に遅延のあった場合は、荷送人による物品受領の日から21 日以内 ( 3 ) 貨物に滅失があった場合は、運送状発行の日から120 日以内 |
189 | 宅配 | 宅配便 | 運送約款 | ・債務不履行責任の制限 ・権利行使期間の制約 | ■ ■ ■ に対する荷送人のクレームは、■ ■ ■ が貨物を引きを受けた日より30 日以内に、■ ■ ■ が貨物を引きを受けた場所の最寄の■ ■ ■ の事務所へ書面で通知していただきます。この期限を経過した後にはクレームの申し立てはできません。 |
190 | 中古車販売 | 中古車販売販売 | 契約条項 | 債務不履行責任の制限 | 万一、乙の責に帰すべき事由によって、注文車輌の引渡しが遅延する場合は、別途、甲乙協議の上、再度、引渡し日を決定するものとします。なお、xは、乙に対し、この遅延に関する異議を申し述べないこととします。 < 参考> 甲は、在庫共有システム( 以下、「■ ■ ■ 」といいます。) 上において購入を希望する車輌( 以下、「注文車輌」といいます。) を購入する意思を示して申込みを行うものとします。 |
191 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 規定 | ・保証書 ・瑕疵担保責任の制限 ・債務不履行責任の制限 | 本保証規定において規定される場合を除き、■ ■ ■ およびその供給者は、本ソフトウェアの使用もしくは 使用不能から生じるいかなる損害( 事業利益の喪失、事業の中断、事業情報の喪失その他の金銭的損失についての損害を含みますが、これらに限定されません) に関しても、一切責任を負いません。たとえ、■ ■ ■ がかかる損害の可能性について知らされていた場合でも同様です。本保証規定または使用許諾契 約書の下で生じる■ ■ ■ および供給者の責任は、法律上除外が認められない場合を除き、本ソフトウェアについてお客様が実際に支払った金額を上限とします。 |
197 | その他 | パソコン | 販売条件 | 債務不履行責任の制限 | ■ ■ ■ がお客様に提供する製品の納品予定日は概算であり、契約の一部とはなりません。いかなる理由であれ、■ ■ ■ 製品または役務提供の遅延に一切責任を負いません。 |
198 | その他 | 電子マネー | 利用規約 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 | ( 1 ) ■ ■ ■ は、本サービスの内容について、その確実性、正確性等の保証は一切行わないものとします。内容の信頼性、有用性などについての判断は、利用者の皆様の責任で行うものとします。 ( 2 ) ■ ■ ■ は、提携ショップサイトのサービス内容について一切責任を負わないものとします。 ( 3) 利用者の皆様は、本サービスを利用したこと、または利用ができなかったことにより生じた一切の損害について、責任を負わないものとします。 ( 4) 利用者の皆様が本規約に違反した行為、または不正行為もしくは違法行為によって■ ■ ■ に損害を与えた場合、■ ■ ■ は利用者の皆様に損害賠償の請求を行うことができるものとします。 |
199 - 2 | ペット ショップ | ペット販売 | 販売契約書 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | お買い上げ頂きました生体は、( 中略) 返品、返金、交換、及び金銭によります補償はできない事をご了承 の上、ご購入いただきます。 |
199 - 3 | 美容サービス | エステ | 契約書約款 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 原則として、一度使用及び開封した商品の返品はできません( 注・例外に関する定め無し) |
199 - 4 | その他 | 配信サービス | 利用規約 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 「会員は本サービスが提供する情報、コンテンツ、第三者が登録するデータ、その他サービスのすべてを 自己の責任に基づき使用するものとします。」「本サービスの提供、変更、中止、もしくは廃止に関連して、利用者と第三者との間で発生したいかなる損害についても当社は一切の責任を負いません。また、利用者と第三者との間で生じた紛争についても当事者間で解決するものとします。」 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
199 - 5 | 携帯電話 | 通信サービス | 契約約款 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 当社は、■ ■ ■ 通信サービスを提供すべき場合において、当社の責めに帰すべき理由によりその提供をしなかったときは、その■ ■ ■ 通信サービスを利用できない状態( 中略) にあることを当社が認知した時刻 から起算して24時間以上その状態が継続した場合に限り、当該契約者の損害を賠償します。 |
199 - 6 | インターネット・プロバイダ | インター ネットサービス | 会員規約 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 接続サービスの利用不能が、弊社がその業務の全部または一部を委託している第一種電気通信事業者 または他の電気通信事業者の責に帰すべき理由により発生した場合、弊社が接続サービス会員に対して応じるべき損害賠償の額の総額は、かかる事由に関して当該第一種電気通信事業者または他の電気通信事業者から弊社が受領した損害賠償額を上限とします |
202 | ペット ショップ | ペット販売 | 販売契約書 | 瑕疵担保責任の制限 | 販売日より30日間を保証期間とし、期間中に飼育xxxな支障をきたす先天性障害があった場合、生体価格( 税別) の10 % を限度とし、治療費をお支払いいたします( 動物病院の担当獣医師が作成した、明らかに先天性障害であると証明した診断書ならびに治療明細書が必要です)。ただし、幼少時に治療が必要か判断のつきにくい生体( 陰睾丸等成長の過程で判断する症状) は保証することはできません。 |
204 - 2 | ペット ショップ | ペット販売 | 販売契約書 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 | お買い上げ頂きました生体は、( 中略) 返品、返金、交換、及び金銭によります補償はできない事をご了承 の上、ご購入いただきます。 |
205 | 中古車販売 | 中古車販売 | 契約条項 | 瑕疵担保責任の制限 | 乙は、仕入車両の品質、状態等を何ら保証しないものとし、仕入車両に瑕疵があったときといえども、乙は、何らの責任も負わないものとする。ただし、甲乙間で仕入車両の売買契約が締結される前に仕入車両の瑕疵が判明した場合において、瑕疵ある車両を仕入れたことについて乙に故意または重大なる過失があったとき( 瑕疵ある車両を仕入れることまたはその可能性があることについて乙が甲に対し事前に告知し、甲がこれを承諾したときな含まない。) には、甲は、何らの通知または催告することなく、本契約を解除することができるものとする。 2 . 前項の規定にかかわらず、甲乙間で仕入車両の売買契約が締結された後に、仕入車両の瑕疵が判明したときには、甲および乙は、乙所定の売買契約書の定めに従って解決するものとする。 |
206 | 中古車販売 | 自動車買取 | 契約・約款 | 瑕疵担保責任の制限 | メーター改ざん車は納車日より3 ヶ月以内に発覚し、その経歴がまちがいない場合、車輌本体価格全額を発覚車輌と引替えに乙に返金します。その後は、一切申し受け致しません。 |
208 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 使用許諾契約書 | ・契約適合性の判定権 ・瑕疵担保責任の制限 ・債務不履行責任の制限 ・認識義務 ・権利行使期間の制約 ・その他 | 1 . 本製品の購入日から90 日間に限り、媒体やマニュアルに物理的な欠陥・乱丁・落丁があった場合は、その程度に応じて弊社の判断に基づき、交換又は代金返還をいたします。 2 . 本製品の購入日から90 日間に限り、本ソフトウェアに重大は瑕疵があった場合( 動作保証対象外の特定のハードウェア又はソフトウェアに起因する動作不具合を除きます)、欠陥の程度に応じて弊社の判断に基づき、媒体の交換もしくは修補プログラムの提供、解決方法の案内、又は代金の返還を行います。また、ソフトウェアの品質・機能がお客様の特定の使用目的に適合することを保証するものではなく、本ソフトウェアの選択導入の適否はお客様の責任とします。 3 . 瑕疵に関して前二項に定める以外の責任を負いません。法律上の請求の原因を問わず、本製品の使用又は使用不能から生ずる派生的財産的損害及び精神的損害、ならびに直接的又は間接的な営業上の損害については、弊社は責任を負いません。いかなる場合も、本契約に基づく弊社の責任は、お客様が 実際に支払った本製品の購入金額又は本製品の標準価格のいずれか低い方を上限とします。 |
212 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 使用許諾契約書 | ・瑕疵担保責任の制限 ・債務不履行責任の制限 | ( 1 ) 弊社は、いかなる場合も、お客様の逸失利益、特別な事情から生じた損害( 損害発生につき弊社が予見し得た場合を含みます。) および第三者からお客様に対してなされた損害賠償請求に基づく損害について一切責任を負いません。また、弊社が損害賠償を負う場合には、弊社の損害賠償責任は、その法律上の構成の如何にかかわらず、お客様が実際にお支払いになった本製品の代金相当額を限度とします。 ( 2 ) もし、弊社が物理的な欠陥のある媒体あるいは関連資料を前条(3 ) または( 4 ) の規定にもとづき交換できない場合は、お客様は本契約により許諾された使用権を終了できるものとします。弊社は、かかる場合における弊社の唯一の責任として、本製品およびそのすべての複製物の返却と引き換えに、お客様が実際にお支払いになった本製品の代金をお客様に返還するものとします。 |
213 | その他 | 工事請負 | 契約書 | 瑕疵担保責任の制限 | 検査の結果、工事に瑕疵があったときは、乙はその瑕疵を修復するものとします。尚、甲は乙に対し本物 件の瑕疵について修復の請求以外、本契約の無効及び本契約の解除、損害賠償請求等出来ないものとします。 |
216 - 2 | 美容サービス | エステ | 契約書約款 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 | 原則として、一度使用及び開封した商品の返品はできません( 注・例外に関する定め無し) |
216 - 3 | その他 | 配信サービス | 利用規約 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 「会員は本サービスが提供する情報、コンテンツ、第三者が登録するデータ、その他サービスのすべてを 自己の責任に基づき使用するものとします。」「本サービスの提供、変更、中止、もしくは廃止に関連して、利用者と第三者との間で発生したいかなる損害についても当社は一切の責任を負いません。また、利用者と第三者との間で生じた紛争についても当事者間で解決するものとします。」 |
216 - 4 | 携帯電話 | 通信サービス | 契約約款 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 当社は、■ ■ ■ 通信サービスを提供すべき場合において、当社の責めに帰すべき理由によりその提供をしなかったときは、その■ ■ ■ 通信サービスを利用できない状態( 中略) にあることを当社が認知した時刻 から起算して24時間以上その状態が継続した場合に限り、当該契約者の損害を賠償します。 |
216 - 5 | インターネット・プロバイダ | インター ネットサービス | 会員規約 | ・債務不履行責任の制限 ・瑕疵担保責任の制限 ・その他 | 接続サービスの利用不能が、弊社がその業務の全部または一部を委託している第一種電気通信事業者 または他の電気通信事業者の責に帰すべき理由により発生した場合、弊社が接続サービス会員に対して応じるべき損害賠償の額の総額は、かかる事由に関して当該第一種電気通信事業者または他の電気通信事業者から弊社が受領した損害賠償額を上限とします |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
217 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 注意義務の軽減 | 甲は、本施設である■ ■ ■ の物的施設の維持管理のみを行うものとし、乙の保管物の盗難・品質の変化 等については、管理責任を負わないものとする。 |
218 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 注意義務の軽減 (? ) | 1 項 本サービスの提供に係わる当社の責任は、会員が支障なく本サービスを利用できるよう、善良なる管理者の注意をもって本サービスを運営することに限られ、その他一切の責任を負わないものとする。 2 項 当社は、本サービスの利用により発生した会員の損害( 他社との間で生じた紛争等に起因する損害を含む)、および本サービスを利用できなかったことにより発生した会員または他社の損害に対し、故意または重大な過失があるときを除き、一切の責任を負わないものとする。 |
219 | 旅客運送 | 手配旅行 | 旅行業約款 | ・注意義務の軽減 ・債務不履行責任の制限 | 当社が善良な管理者の注意をもって旅行サービスの手配をしたときは、手配旅行契約に基づく当社の債務の履行は終了します。したがって、満員、休業、条件不適当等の事由により、運送・宿泊機関等との間で旅行サービスの提供をする契約を締結できなかった場合であっても、当社がその義務を果たしたとき は、旅行者は、当社に対し、当社所定の旅行業務取扱料金( 以下「取扱料金」といいます。) を支払わなければなりません。通信契約を締結した場合においては、カード利用日は、当社が運送・宿泊機関等との間で旅行サービスの提供をする契約を締結できなかった旨、旅行者に通知した日とします。 |
222 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 規定 | ・保証書 ・瑕疵担保責任の制限 ・債務不履行責任の制限 | 本保証規定において規定される場合を除き、■ ■ ■ およびその供給者は、本ソフトウェアの使用もしくは 使用不能から生じるいかなる損害( 事業利益の喪失、事業の中断、事業情報の喪失その他の金銭的損失についての損害を含みますが、これらに限定されません) に関しても、一切責任を負いません。たとえ、■ ■ ■ がかかる損害の可能性について知らされていた場合でも同様です。本保証規定または使用許諾契 約書の下で生じる■ ■ ■ および供給者の責任は、法律上除外が認められない場合を除き、本ソフトウェアについてお客様が実際に支払った金額を上限とします。 |
229 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 認識義務 | 当社は、前項に定める他、次に掲げる事項により会員に生じる損害についてはその責を一切負わないものとする。 1 号 通信回線、通信機器およびコンピューターシステム機器の障害による情報伝達の遅延、不能、誤作動等 2 号 本サービスの利用につき、会員による本サービスの内容またはその利用方法についての誤解また は理解不足によって生じた損害 3 号 本規約に違反する行為を行ったことにより発生した損害 |
233 | 旅行業 | 募集型企画旅行 | 旅行業約款 | 権利行使期間の制約 | 当社は、募集型企画旅行契約の履行に当たって、当社又は当社が第■ ■ 条の規定に基づいて手配を代行させた者( 以下「手配代行者」といいます。) が故意又は過失により旅行者に損害を与えたときは、その損害を賠償する責に任じます。ただし、損害発生の翌日から起算して2 年以内に当社に対して通知があったときに限ります。 |
234 | 旅行業 | 募集型企画旅行 | 旅行業約款 | ・権利行使期間の制約 ・債務不履行責任の制限 ・その他 | 当社は、手荷物について生じた第1 項の損害については、同項の規定にかかわらず、損害発生の翌日から起算して、国内旅行にあっては14 日以内に、海外旅行にあっては21 日以内に当社に対して通知があったときに限り、旅行者1 名につき** 万円を限度( 当社に故意又は重大な過失がある場合を除きます。) として賠償します。 |
239 | 旅行業 | 企画旅行 | 規定 | 権利行使期間の制約 | 当社は、いかなる場合においても、事故の日から180 日を経過した後の通院に対しては、通院見舞金を支払いません。 |
251 | 宅配 | 国際宅配便 | 宅配便約款 | ・債務不履行責任の制限 ・権利行使期間の制約 | 貨物に関する損害賠償の請求は、次の各号の期間内に文書をもって、会社に提出されなければ、会社はその損害賠償の請求の受理はしないものとします。 ( 1 ) 貨物に毀損のあった場合は、荷送人による物品受領の日から14 日以内 ( 2 ) 貨物に遅延のあった場合は、荷送人による物品受領の日から21 日以内 ( 3 ) 貨物に滅失があった場合は、運送状発行の日から120 日以内 |
256 | 宅配 | 宅配便 | 運送約款 | ・債務不履行責任の制限 ・権利行使期間の制約 | ■ ■ ■ に対する荷送人のクレームは、■ ■ ■ が貨物を引きを受けた日より30 日以内に、■ ■ ■ が貨物を引きを受けた場所の最寄の■ ■ ■ の事務所へ書面で通知していただきます。この期限を経過した後にはクレームの申し立てはできません。 |
262 | 予備校 | 資格講座 | 覚書 | 消費者の解除権の制限 | 理由の如何にかかわらず、キャンセル・名義変更はできません。 |
263 | 美容サービス | 整形手術 | 保証書 | 消費者の解除権の制限 | 初回治療開始後の解約は基本的にお受けできません。ご本人様が亡くなられた場合、または交通事故・疾病による治療部位損傷で治療継続が不可能と医師が判断した場合に限り手続をとらせていただきま す。また、上記理由により解約に至った場合は下記( 5 ) に記す治療基本料金に基づき治療消化回数分を 清算させていただきます. 又、その際はキャンセル手数料として契約金額の10 % ( 上限を**,*** 円とする)がかかりますのでご了承ください。 |
265 | 中古車販売 | 自動車買取 | 契約・約款 | 消費者の解除権の制限 | 甲との締結契約を、乙は一方的に解除することは認められません。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
266 | 中古車販売 | 自動車買取 | 契約・約款 | 消費者の解除権の制限 | 売買契約書記名時より乙の一方的な下取車の取消等は申し述べません。下取自動車が走行不能の場合は、下取諸費用のほかにその取引に要する費用を乙は甲に支払います。 |
269 | その他 | アダルトサイト | 利用規約 | 消費者の解除権の制限 | 本登録されてからは、商品の性質上キャンセルおよびクーリングオフは一切受け付けることは出来ませんのでご注意ください。 |
272 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | ・事業者の解除権の留保 ・契約内容変更権 | 本件施設が当社の都合により、施設の全部または一部の廃止によって、当該施設に係わるサービスシス テム及びその施設の利用が受けられなくなる場合があることを会員または利用者は、予め承諾するものとする。 |
278 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 賃貸借契約書 | ・事業者の解除権の留保 ・無催告解除 | 賃料は毎月末日までに、乙は甲方に翌月分を持参、又は、指定金融機関に支払うこと。 ( 振込手数料は乙の負担とする) 万一壱ヶ月なりとも滞納せる際は権利金敷金の有無にかかわらず、甲は 何等の催告を要せずして、本契約を解除し乙は即時明け渡すものとする。 |
286 | その他 | 融資保証サービス | 契約書 | 事業者の解除権の留保 | 本利用規約に違反した場合、他のサービスを併行に利用中であっても、甲の判断で全て解除できるものとする。 |
288 | その他 | インター ネット通信販売 | 規約 | ・無催告解除 ・事業者の解除権の留保 ・清算免除(? ) | 当社は、全てのパートナーまたは特定のパートナーについて、理由のいかんを問わず、いつでも本サービスの提供を中断または終了させることができるものとします。また、当社は当該中断または終了に関して パートナーに生じた損害につき一切責任を負わないものとします。 |
296 | 賃貸借契約通常の アパート | 賃貸借契約 | 賃貸借契約書 | 無催告解除 | 乙が本契約に違反し、又は賃料を滞納せる時は甲は何等の催告を要せずして、本契約を解除し乙は即時貸室を明渡すものとする。 |
299 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 賃貸契約書 | ・無催告解除 ・その他 | 本契約事項の一つたりとも違反した場合は、乙は甲に何らの催告をしないで本契約を直ちに解約し、乙は 無条件で明渡すものとする。もし乙がこれに従わない場合は、甲が勝手に本物件無いに入り、乙の遺留品その他一切の物品を処分するも、乙は異議なきものとする。一旦処分された後は如何なる理由あろうとも返還しない。又それらの物品の片付け、処分等に要した費用は乙負担とする。 |
309 | その他 | 絵画販売 | 契約書 | ・無催告解除 ・損害賠償の予定 | 当事者の一方が本契約の条項に違反したときは、他の当事者は何らの催告もせず直ちに本契約を解除 し、また被った損害の賠償を請求できる。 |
311 | その他 | インター ネット通信販売 | 規約 | ・無催告解除 ・事業者の解除権の留保 ・清算免除(? ) | 当社は、全てのパートナーまたは特定のパートナーについて、理由のいかんを問わず、いつでも本サービスの提供を中断または終了させることができるものとします。また、当社は当該中断または終了に関して パートナーに生じた損害につき一切責任を負わないものとします。 |
315 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借 | 契約条項 | 消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 本契約が解除、解約、期間満了、その他の事由によって終了した後において、乙及び乙の関係者が本物件から退去せず、明渡さない時は、爾後明渡し済みまで、毎月1 日金* 万円の割合による遅延損害金を甲に支払う。 |
323 | レンタルビデオ | レンタルビデオ | 利用規約 | 消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 歌詞カード、ライナーノート及びチャプターシート等の付属品は、レンタルされた商品とともにレンタル利用登録者にお貸しするものですので、必ず一緒に商品貸出店舗へご返却ください。これらの付属品とレンタルされた商品とをご一緒にご返却されませんと、レンタルされた商品自体のご返却としての処理を行なうことができません。 万一、付属品を紛失された場合には、レンタルされた商品自体をレンタル用商品としてのメーカー設定価格にてお買取りいただきます。 < 参考> 万一、レンタルされた商品自体を紛失された場合には、通常の販売商品の価格にレンタル用商品のメー カー設定価格( 通常の販売価格より高額になる場合がございますのでご了承ください。) をお支払いただきます。 |
324 | 貸衣装 | 貸衣装 | 規約 | 消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 遅延金は返却日よりの計算となります。 1 日に付きレンタル料の10 % を申し受けます。 |
328 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | 心得 | 消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 当社主催のパーティまたはイベント企画に参加され、無断で成婚されたときも規定の成婚/ 婚約料の3倍 を支払っていただくことになります。 |
333 | その他 | アダルトサイト | 規約 | 消費者の債務不履行につき、過度の義務、とりわけ金銭賠償を義務づける条項 | 2 日以内に支払いが確認されない場合は、当番組管理部または債権回収業者に委託すると共に、延滞料金、損害金を加算して請求される場合があります。また、集金義務が発生した場合は現地までの交通費やIPアドレス、リモートレスからの調査費が加算される場合があります。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
342 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 損害賠償の予定 | 乙が第■ ■ 条で定めた本契約書頭書の契約期間において契約開始日より半年以内に本契約を解約した場合、甲は乙に本契約書における1 ヶ月分の家賃を違約金として請求できるものとする。 |
345 | 専門学校 | 養成講座 | 申込規約 | 損害賠償の予定 | 一度収められた受講料は、理由の如何を問わずご返金できません。 |
348 | 予備校 | 通学・通信講座 | 申込規定 | ・清算免除 ・損害賠償の予定 | 6 . その他のサービス、注意 1 . 券売機 a. 一部本校によっては、講座運営センターでのお支払を、すべてチケット( 券売機により販売) により行っています。 b. 購入されたチケットについては、その理由の如何を問わず、一切払い戻しいたしません。 |
349 | 予備校 | 通学・通信講座 | 注意事項 | 損害賠償の予定 | 受講申込み後においてご本人の死亡または重大な疾病により、受講することが不可能になったと当校が 認める場合を除き、受講申込の取消・解約などの返金に応じることはできません。 |
359 | 英会話教室 | 英会話教室 | 手引き | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 一旦納入された入学金は、理由の如何を問わず返却出来ません。 |
360 | 英会話教室 | 英会話教室 | 手引き | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 一旦納入されたレッスン料と施設利用料は、出欠の如何を問わず返却出来ません。 |
366 | フィットネスクラブ | フィットネスクラブ | 会員規約 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | メンバーは、本クラブの定める会費等を所定の方法で支払わなければなりません。会費等の種類、金額、支払期限及び支払方法等は本クラブが定めるものとします。但し、一旦納入した会費等は理由の如何を 問わず返還致しません。( 月会費は、メンバーが本クラブのメンバー資格を有する限り、現実に本クラブ内の施設を利用されない場合も支払い義務を有します。) |
370 | 興信所 | 興信所 | 契約書 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 1 、調査依頼契約後に甲側より、調査中止、契約の解約の要請があった場合。 ( 1 ) 一般調査の場合 ① 調査着手前であれば解約手数料として、調査契約料金の20 % を甲は乙へ支払う。但し、解約の内容によっては、この20 % から多少の上下幅があるものとする。 ② 調査着手後( 調査企画、待機、準備、下調べ等も着手とみなす) であれば調査契約料金の全額と、中止までの実費及び超過調査料金等を精算し、甲は乙へ支払う。乙は甲の要請に基づいて中止までの作業超過を口頭若しくは書面で報告する。 ( 2 ) 行動調査の場合 ① 解約手数料としては甲は乙に対し以下の料金を支払うものとする。 ・調査実施日2 日前迄の中止の場合 基本調査料金の50 % ・調査実施前日及び当日出動前迄の中止の場合 基本調査料金の全額及び実費 ・調査開始当日の出動後の中止の場合 基本調査料金及び作業時間、実費 2 、調査依頼契約後に乙側の調査の進行状況により、調査の中止、解約に至った場合 ( 1 ) 調査着手前であれば、預り金の全額を甲へ返却する。 ( 2 ) 調査着手後の場合、調査中止迄の調査料金及び派生実費は甲の負担とする。 |
381 | 旅客運送 | 手配旅行 | 旅行業約款 | 損害賠償の予定 | 1 当社は、次に掲げる場合において、手配旅行契約を解除することがあります。 ( 1 ) 旅行者が所定の期日までに旅行代金を支払わないとき。。 ( 2 ) 通信契約を締結した場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効になる等、旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を提携会社のカード会員規約に従って決済できなくなったとき。 2 前項の規定に基づいて手配旅行契約が解除されたときは、旅行者は、いまだ提供を受けていない旅行サービスに係る取消料、違約料その他の運送・宿泊機関等に対して既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用を負担するほか、当社に対し、当社所定の取消手続料金及び当社が得るはずであった取扱料金を支払わなければなりません。 |
382 | 引っ越し | 契約条項 | 損害賠償の予定 | お客様・その他の都合で待ち時間が発生した場合、1 時間に付き、¥*,*** ~ ¥**,*** の待ち時間料金を申し受けます。 | |
385 | 貸衣装 | 貸衣装 | 損害賠償の予定 | 1 週間以内のキャンセルの場合、50 % 頂きます。 | |
389 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 利用開始日を経過した場合には、その閲覧人数や会員期間に関係無く既存会員情報提供料の全額を支払います。従いまして利用開始日を経過後は既存会員情報料の返還金は一切無いことを承知していま す。 | |
392 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 既存会員情報料金の返金計算は、月単位での計算となります。 例えば利用開始日から1ヶ月と3日経過して解約した場合は既存情報料「第1回」と「第2回」の2回分の提 供となり、上記ケース2になります。 < 参考> ケース2: 利用開始日から1ヶ月を超え2ヶ月経過未満に解約した場合、「第3回」の未提供1回分の既存会 員情報料が返金されます。 | |
393 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 弊社のシステムを利用頂き、お相手を見つけることができた場合は、成果報酬として、既存会員情報提供料・システム運営料を含む、ご契約金額の全額をいただき、弊社よりご返金は一切ございません。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
396 | 中古車販売 | 中古車販売 | 契約規定 | 損害賠償の予定 | 前条により本契約が解除された時、又は第13 条に基づく甲による一方的は契約解除の申立があった場合、甲は乙に対し実損等の外、違約罰として下記に応じた違約金を支払う。また乙は、それまでに要した実費・必要経費並びに得べかりし利益も合わせて甲に請求できるものとする。 |
399 | インターネット・プロバイダ | インター ネットサービス | 会員規約 | 損害賠償の予定 | 弊社は、会員の■ ■ ■ サービス利用資格が停止、失効または終了した場合であっても、会員によってすでに支払われた■ ■ ■ サービスに関する入会金や料金等を、一切払い戻しする義務を負わないものとします。 |
401 | オークション | インターネットオークション | 会員規約 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 1 . 会員は、当社所定の手続きにより退会することができます。 2 . 当社は、会員が退会した場合も前払金を返還しません。 |
402 | 老人ホーム | 老人ホーム | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 一室にお二人でご入居される場合は、入居一時金とは別に入園金*** 万円を頂戴いたします。入園金*** 万円は理由のいかんを問わず入居後はご返金できません。 | |
406 | その他 | アダルトサイト | 入会案内 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 運営者はいかなる理由によってもすでに支払われた料金は一切払い戻しいたしません。 |
407 | その他 | 自動車 | 委約書 | 損害賠償の予定 | 私の都合により入会を取り消した場合は、入会着手金は一切返却されずとも異議を申し上げません。又、 ● ● 既に支払った入会諸費用等は一切返却されずとも異議を申し上げません。 |
409 | その他 | 内職 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 会費、利用料金、利用権などの払い戻しは致しません。 | |
412 | その他 | 加盟店契約 | 契約書 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 甲は乙より支払われた加盟金、その他の料金等はいかなる理由があろうとも一切返還しない。 |
416 | その他 | インター ネットサービス | 利用規約 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 運営者は、会員が既に支払った料金の払い戻しは一切行いません。 |
422 | その他 | 有線放送 | 申込確認書 | 損害賠償の予定 | ■ ■ ■ は3 年単位ごとの契約となります。万が一、3 年未満に解約される場合、解約の時期に応じて買い取り金額が変わります。1 年未満で解約された場合¥**,***、1 年以上2 年未満で解約された場合¥**,***、 2 年以上3 年未満で解約された場合¥**,*** です。また、満期以外の解約の際は契約解除手数料¥*,*** が発生いたします。3 年目移行ご解約をされ受信端末を買い取っていただく場合の買い取り価格は¥*,*** です。 |
423 | その他 | 工事請負 | 損害賠償の予定 | 乙が本契約に定める債務の履行に着手するまでの間に、甲が前条第1 項の定めにより本契約を解除した場合における同項ただし書きに定める乙の損害金は、工事請負代金の5 % 相当額とします。ただし、乙の損害が工事請負代金の5 % 相当額を超えるときは、乙は、その超過額を甲に請求することができるものとします。 | |
433 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借 | 契約条項 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 賃貸借契約期間中であっても、やむをえない事由が生じたときは、書面で解約の申し入れをする事により本契約を終了させる事ができる。ただし、賃貸借期間の賃料は一切返還できないものとする。 |
434 | 専門学校 | 養成講座 | 申込規約 | 清算免除(? ) | Cコース3 回払いをお申込みの場合、やむをえない事情による受講の中断を含め、いかなる理由があって も、有効期限の半年前までに残額の全てをお支払い頂きます。 |
439 | 予備校 | 資格講座 | 申込書 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | お申込後は受験制度・条件の変更等、理由に関らず返金はいたしませんのでご了承下さい。 |
451 | 英会話教室 | 英会話教室 | 手引き | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 一旦納入されたレッスン料と施設利用料は、出欠の如何を問わず返却出来ません。 |
460 | フィットネスクラブ | フィットネスクラブ | 利用約款 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | ・入会金・諸会費・諸料金の金額、支払時期、支払い方法等は財団がこれを定めます。 ・いったん納入した入会金・諸会費・諸料金は、いかなる場合においてもこれを返還しません。 ・利用回数の有無にかかわらず、退会時までは、月会費のお支払いが必要になります。 ・財団は、経済情勢等の変動に応じて、入会金・諸会費・諸料金等の金額を変更することができ、利用案内において告示するものとします。 ・月会費を滞納している会員は、施設のご利用をお断りいたします。 |
463 | 美容サービス | インプラント | 承諾書 | 清算免除 | 手術代金の返金は、いかなる場合もお受けいたしかねます。 |
467 | レンタルビデオ | レンタルビデオ | 利用規約 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | お支払いいただいたレンタル利用登録料、年会費、再発行料、レンタル料金、追加料金等のご返金はできません。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
468 | 貸衣装 | 貸衣装 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | ご注文承り時に、内金として合計金額の10 % を内金として現金でお願い申し上げます。(※ 内金はご返却 致しません。) | |
469 | 貸衣装 | 貸衣装 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 1 週間以後の場合、キャンセル料は全額頂きます。 | |
472 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 利用開始日を経過した場合には、その閲覧人数や会員期間に関係無く既存会員情報提供料の全額を支払います。従いまして利用開始日を経過後は既存会員情報料の返還金は一切無いことを承知していま す。 | |
482 | オークション | インターネットオー クション | 会員規約 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 1 . 会員は、当社所定の手続きにより退会することができます。 2 . 当社は、会員が退会した場合も前払金を返還しません。 |
483 | 携帯電話 | 通信サービス | 利用規約 | 清算免除 | ウェブ対応の機種によっては、お客様が機種変更された場合、一部のコンテンツを継続してご利用いただけない場合があります。この場合、お客様がオフィシャルコンテンツ提供者又はオープン有料提供者と締結していた情報サービス契約は自動的に解除となるコンテンツもございますが、コンテンツによってはお客様ご自身による解約手続きが必要となります。なお、この場合、すでにお支払い頂いた当該情報サービス 契約に基づくコンテンツ情報料の返金は一切行いません。 |
484 | 携帯電話 | 通信サービス | 利用規約 | 清算免除 | ウェブ非対応の機種に変更された場合、お客様がオフィシャルコンテンツ提供者又はオープン有料提供者と締結していた情報サービス契約は自動的に解除されます。なお、この場合、すでにお支払い頂いた当該 情報サービス契約に基づくコンテンツ情報料の返金は一切行いません。 |
485 | 老人ホーム | 老人ホーム | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 一室にお二人でご入居される場合は、入居一時金とは別に入園金*** 万円を頂戴いたします。入園金*** 万円は理由のいかんを問わず入居後はご返金できません。 | |
487 | その他 | アダルトサイト | 入会案内 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 運営者はいかなる理由によってもすでに支払われた料金は一切払い戻しいたしません。 |
489 | その他 | 内職 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 会費、利用料金、利用権などの払い戻しは致しません。 | |
491 | その他 | 加盟店契約 | 契約書 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 甲は乙より支払われた加盟金、その他の料金等はいかなる理由があろうとも一切返還しない。 |
494 | その他 | インター ネットサービス | 利用規約 | ・損害賠償の予定 ・清算免除 | 運営者は、会員が既に支払った料金の払い戻しは一切行いません。 |
499 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 消費者の清算義務の加重 | 乙は、室内を原状回復の上、甲に本物件を明渡すものとする。 |
500 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 消費者の清算義務の加重 | 会員及び利用者は、室内を原状回復の上、当社に部屋を明渡しするものとする。 |
501 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 消費者の清算義務の加重 | 甲は、本物件の明渡しがあったときから、遅滞なく敷金の金額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は本物件の明渡し時に賃料の滞納、原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差引くことができる。 | |
503 | クレジットカード | カード貸与契約 | カード規約 | 期限の利益喪失 | 会員は、次の場合には当然に期限の利益を失い、直ちに残債務の全額をお支払いただきます。 ① カード利用代金等の支払をいを遅延し、20 日以上の期間を定めて書面で催告したにもかかわらず、その期間内にお支払いがなかったとき。 ② キャッシングの場合は、返済金の支払を返済期日より1回でも遅延したとき。 ③ 第三者から、強制執行、仮差押、仮処分の申し立てをうけたとき。 ④ 破産の申立てを受けたとき、または自らこの申し立てをしたとき。 |
507 | ペット ショップ | ペット販売 | 販売契約書 | ・瑕疵担保責任の制限 ・立証責任 | 販売日より180日間を保証期間とし、期間中に当店の起因による疾病にて死亡した場合には、死亡した生 体の生体価格と同等の生体を提供いたします( 動物病院の担当獣医師が作成した、明らかに当店が起因による疾病と証明した診断書が必要です)。ただし、生体の選定は当店が行うものとし、また生き物のため毛色や生後日数等が異なる場合があります。 |
511 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | 裁判管轄条項 | 本サービスに関して会員と当社の間で訴訟の必要が生じた場合、東京地方裁判所を会員と当社の第xxの専属的合意管轄裁判所とする。 |
517 | 興信所 | 興信所 | 契約書 | 裁判管轄条項 | 本書に上る権利義務に関する紛争については、東京地方裁判所とする。 |
518 | 旅客運送 | ポイントサービス | 会員規約 | 裁判管轄条項 | 本サービスに関連して、会員等と当社との間で発生した問題について解決しない場合には、東京地方裁判所を第xxの専属合意管轄裁判所とします。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
521 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | 会員規約 | 裁判管轄条項 | 元会員または会員と当社の間の訴訟は、東京地方裁判所または東京簡易裁判所を第xxの専属管轄裁判所とします。 |
525 | 中古車販売 | 自動車買取 | 契約・約款 | 裁判管轄条項 | 甲、乙は、本契約に基づく一切の紛争について東京地方裁判所あるいは東京簡易裁判所を第1 審の管轄裁判所とすることに合意します。 |
527 | インターネット・プ ロバイダ | インター ネットサー ビス | 会員規約 | 裁判管轄条項 | 協議をしても解決しない場合、東京地方裁判所または東京簡易裁判所第xxの専属管轄裁判所とします。 |
530 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 契約書 | 準拠法の指定、裁判管轄 | 準拠法。本契約は、カリフォルニア州法およびそれを統括している米国連邦法に準拠するものとします。管轄や準拠法を選択することはできません。 |
532 | ソフトウェア・ライセ ンス | ソフトウェア販売 | 使用許諾契約書 | 裁判管轄条項 | 本契約に係る紛争は、東京地方裁判所を第xxの専属的管轄裁判所として解決するものとします。 |
536 | 老人ホーム | 老人ホーム | 契約書 | 裁判管轄条項 | 本契約に起因する紛争に関して訴訟の必要が生じたときは、東京地方裁判所をもって第xx管轄裁判所とすることを、事業者及び入居者は予め合意します。 |
540 | その他 | パソコン | 販売条件 | 準拠法の指定、裁判管轄 | 本販売条件は日本国法に準拠し、東京地方裁判所の専属的合意管轄に属します。 |
549 | その他 | 内職 | 登録契約書 | 裁判管轄条項 | 甲及び乙は両者が協議して解決しない紛争については、東京地方裁判所を所管裁判所とし、その裁定に従うことに同意する。 |
551 | その他 | 不動産 | 裁判管轄条項 | この契約について紛争が生じたときは、東京地方裁判所をもって管轄裁判所とすることを、甲および乙はあらかじめ合意します。 | |
555 | その他 | 出会い系 サイト | 利用規約 | 裁判管轄条項 | 本サービスに関連する一切の争訟については、東京地方裁判所を第xxの専属管轄裁判所とする。 |
556 | その他 | 車輌の共同購入利用 | 裁判管轄条項 | 本契約に関し、争いが生じた場合は東京地方裁判所をもって管轄裁判所とします。 | |
558 | 旅客運送 | マイレージポイント | 規約 | 仲裁条項 | 会員は入会に際し、■ ■ ■ プログラムに関連して発生する、すべての紛争、論争および権利の要求は、 当該会員の■ ■ ■ 登録住所がある、各地域の規則や法的手続に従い、仲裁によって解決することに合意したものとみなします。■ ■ ■ 登録住所別の仲裁機関については、以下の通りです。 |
559 | 美容サービス | 整形手術 | 誓約書 | ・人身損害 ・不起訴条項 ・損害賠償の予定 | 私は、■ ■ ■ にて手術の申し込みを行うにあたり、 ① 上記手術内容と手術費用、また分割の申し込みを含めて、あくまでも、自らの希望によりクリニックにお願いする事、 ② 上記契約費用は、いかなる理由においても返金されないこと、 ③ 分割を取りやめる場合は上記代金に相当する金額を即ちに支払うこと、 ④ 再手術の際には、別途料金が発生すること、 上記手術内容と手術費用について医師から説明を受け、十分納得し同意をしました以上、その手術結果を含め貴院に対して一切の異議申し立て等を行わないことを誓約いたします。 |
560 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 利用規則 | その他 | 乙は、本契約の存続期間中、環境維持費として1 ヶ月当たり*** 円( 税込) を支払うものとする。 |
566 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借契約 | 賃貸借契約書 | その他 | 乙は本契約解約時( 期間満了時及び期間内解約時) に本物件の退居時工事等を行うものとする。工事内容及び料金は末尾記載の「退居時工事等の清算内容」のとおりとし、乙はこれらの工事等を甲に依頼するものとする。尚、当工事に係る費用は全額乙の負担とし、工事等の程度等については、乙に一任するもの とする。 |
567 | 賃貸借契約通常のアパート | 賃貸借 | 契約条項 | その他 | 乙は本物件を退去した後、本物件内に存する乙所有の動産に対する全ての権利を放棄し、甲が上記動 産をいかように処分しようともなんらの異議を申し立てない。 |
571 | 予備校 | 通学・通信講座 | 申込規定 | その他 | 申込書記載の不備・誤記、申込書又は本規定についての不知・誤解釈があったとしても、これによる不利 益については、当社は責任を負いかねます。 |
572 | 予備校 | 通学・通信講座 | 申込規定 | その他 | 各本校事務窓口以外で受講料をお支払いになった場合の手違い( 受付ミス等) については、当社は一切 責任を負いません。 |
579 | 自動車教習所 | 自動車教習所 | 規約事項 | その他 | お客様が次に例示する事由により損害を被られた場合においては、当社及び自動車学校では責任を負えません。 ① 天災地変( 積雪・台風・地震等)、官公庁命令、その他自動車学校の管理できない事由により生ずる教習日程の変更もしくは教習の中止。( 未入校のお客様につきましても、あらかじめ入校先を変更していただく場合があります) ② 教習中の事故による損害( 自動車学校が加入する自動車損害保険の保証範囲を超える損害) ③ 自由行動中の事故 ④ 盗難 |
581 | フィットネスクラブ | フィットネスクラブ | 会則 | その他 | ① 会員が本クラブの利用に際して生じた紛失については、会社は一切損害賠償・補償等の責を負いませ ん。 ② 忘れ物・放置物については、原則として2週間保管した後、処分させていただきます。 |
< 別紙④ > 【 契 約 条 項 の 具 体 例 】
~ 「平成19年度消費者契約における不当条項研究会報告書」の添付資料「参考事例集」より抜粋 ~
583 | フィットネスクラブ | フィットネスクラブ | 会員規約 | その他 | メンバーは、同伴又は紹介したゲストの本クラブ内における行為及びクラブに対する支払い並びに事故等一切につき、連帯責任を負っていただきます。 |
588 | 興信所 | 興信所 | 契約書 | その他 | 他調査機関の情報や資料等の提供範囲に係わり、乙はその情報や資料の内容の信憑性に関しての責任は負わないものとする。 |
591 | 旅行業 | 募集型企画旅行 | 旅行業約款 | ・権利行使期間の制約 ・債務不履行責任の制限 ・その他 | 当社は、手荷物について生じた第一項の損害については、同項の規定にもかかわらず、損害発生の翌日から起算して、国内旅行にあっては十四日以内に、海外旅行にあっては二十一日以内に当社に対して通知があったときに限り、旅行者一名につき** 万円を限度( 当社に故意又は重大な過失がある場合を除きます。) として賠償します。 |
611 | 駐車場 | 駐車場 | 免責約款 | その他 | 『内燃機関』『補助機関( ミッションやアクセル)』『電装系』『タイヤ』の支障に関しては一切免責とさせて頂 きます。また、止むを得ずお客様の事前の了承なしに修理をさせて頂いた場合、修理代金に関しましてはお客様のご負担となります。 |
613 | 駐車場 | 利用規約 | その他 | 車輌の破損は、責任の有無を問わず管理者は一切保証できませんのでご了承ください。 | |
614 | 駐車場 | 利用規約 | その他 | 駐車場内での事故・盗難・天際・人災における損害は一切保障できませんのでご了承ください。 | |
617 | 結婚相手紹介サービス | 結婚相手紹介サービス | 規約 | その他 | ■ ■ ■ は、いかなる場合においても、会員により支払われた会員費を超えて賠償等の支払いをしないことに会員は同意します。 |
622 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 規定 | その他 | 本保証規定は法律上無効とされない限度でその効力を有するものであり、仮に、本保証規定の一部の条文が無効と判断された場合においても、残りの条文は引き続き有効であるものとします。 |
625 | ソフトウェア・ライセンス | ソフトウェア販売 | 使用許諾契約書 | その他 | 本契約のいずれかの条項、またはその一部が法律に適合しなくなり、あるいは無効または施行できなくなった場合には、かかる部分のみ本契約から除かれ、残りの条項の効力は何ら影響を受けないものとします。 |
630 | 携帯電話 | 通信サービス | 利用規約 | その他 | お客様は、ウェブをご利用できない状態が生じた場合でも、その期間中のコンテンツ情報料をお支払いい ただきます。 |
634 | その他 | 融資保証サービス | 契約書 | その他 | 乙が、支払滞納や何らかのトラブルにおいて、甲が現場へ直接訪問した場合、甲は乙へ慰謝料及び交通費を別途請求できるものとする。 |
635 | その他 | 融資保証サービス | 契約書 | その他 | 本サービス履行後において、あらゆる損害も甲は一切責任を持たないことに異存はありません。 < 参考>前文 本サービスは、乙が金融機関との金銭消費貸借契約の締結にあたり、保証人を必要とすることで、甲の提供するサービスにお申込み頂いた。甲の提供するサービスとは、保証人バンクより保証人様をご紹介することを目的としている。よって、甲が乙に保証人を紹介した時点でサービスの履行は完全に終了する。 |
639 | その他 | 未公開株 | 確認書 | その他 | 甲と乙の間で交わされた確認書について、今後一切債権債務のない事を相互に確認するとともに円満に合意し、今後本件について、一切の異議申し立てを行わない事を約束する。尚、万一異議申し立てがあった場合は全て無効とする事を約束する。 |
640 | その他 | 内職 | その他 | 商品の梱包をあけた場合には、契約解除( 引取り) は出来ません。 | |
653 | その他 | オンラインゲーム | 利用規約 | その他 | 株式会社■ ■ ■ は、本サービスの利用により発生した会員の損害すべてに対し、いかなる責任も負わないものとし、当該損害の賠償をする義務もないものとします。会員が本サービスの利用によって他の会員や第三者に対して損害を与え、これにより株式会社■ ■ ■ が損害を被った場合、株式会社■ ■ ■ は当該会員に対して相応の損害賠償の請求を行うことができるものとします。株式会社■ ■ ■ が会員の登録した情報を削除し、会員資格を停止、抹消し、本サービスを停止、中断、中止等したことにつき、株式会社■ ■ ■ は事由の如何を問わず一切の損害賠償を負わないものとします。 |
658 | その他 | 自動車買取 | 契約約款 | その他 | 買取自動車から生じる品質問題についてはこれを建設的に解決し、甲乙双方の前向きの理解と建設的協力によることを解決の第一歩とします。甲の理解度、協力不足により解決が遅れ難航する場合は乙が総 合的判断をもって裁定し解決します。甲は、この結果に一切の異議を唱えないものとします。 |
【 第4 不実表示・公序良俗 】
第1 意思表示に関する規定の拡充
【意見の要旨】
【中間論点整理「第30,5」93頁】
【配付資料(1)・意見書66~68頁】
1 民法において,動機の錯誤の要件緩和という観点から,「契約を締結するか否かの判断に影響を及ぼすべき事項に関して誤った事実を告げられたことによって表意者が事実を誤認し,誤認に基づいて意思表示をした場合」を不実表示と定義して民法に規定する方向性に賛成である。なお,かかる規定を任意規定として導入すべきとの意見があるが,これには反対である。
2 不実表示の要件,効果等については慎重に検討すべきである。特に,いわゆる逆適用の問題が起こらない規定内容にすべきである。
3 民法における不実表示の規定は,動機の錯誤の要件緩和という観点から検討されるべきもので,上記の立法によって消費者契約法4条1項1号の不実告知規定を削除するような事態となることには反対である。
【理由】
1 消費者契約法第4条に規定された消費者取消権とその問題点
(1) 消費者契約第4条に規定された消費者取消権 (ア) 誤認による取消
ⅰ 不実告知・不利益事実の不告知
ⅱ 断定的判断の提供 (イ) 困惑による取消
ⅰ 不退去
ⅱ 監禁
(2) 上記の法規定における問題点 (ア) 誤認による取消
ⅰ 不実告知・不利益事実の不告知
「重要事項」の意義に関して争い。
=契約客体の内容や取引条件にあたらないけれども,意思決定に影響を及ぼす事項(動機部分)について不実告知や不利益事実の不告知があった場合に取り消し得るか(文理上は狭い)。
※「今使っている●●(例・電話,回線,消火器等)が使えなくなる」と言われて商品を買った,「●●(例・屋根,床下等)が痛んでいる」と言われて修理を頼んだ,「毛根の組織が死んでるので自分の毛が生えることは望めない」と言われてかつらを買ったなど。
ⅱ 断定的判断の提供
厳格に「将来における変動が確実な事項」であることを要するか否かに関して争い(文理上は狭い)。
※エステサロンで「このままだと2,3年には必ず肌がボロボロになる」と言われて契約したなど。
(イ) 困惑による取消
非身体拘束型の困惑惹起行為の類型がない。
※ 職場や自宅への迷惑電話で契約してしまったなど。
- 1 -
(ウ) 他類型の存在
① 他にも不当勧誘行為は存在する。
※ 催眠商法・SF 商法
※ 恋人商法・デート商法
※ 高齢者への不当勧誘行為
② 新たな不当勧誘行為が発生する。個別列挙では後追いになる。
(3) 日本弁護士連合会の改正提案 (ア) 誤認による取消
ⅰ 不実告知・不利益事実の不告知
取消の要件となる「重要事項」の内容について,契約動機に関する事項が含まれる旨を明文化すべきである。
ⅱ 断定的判断の提供
「断定的判断」の内容のうち「その他の将来における変動が確実な事項」が消費者の財産上の利得に影響する事項に限定されない旨を明文化する。
(イ)(ウ) 困惑による取消,他類型の存在
① 情報提供義務違反,状況の濫用,不招請勧誘行為等について,消費者取消権を付与すべきである。
② xxxxの原則に反する不当勧誘行為について消費者取消権を付与する一般規定を制定すべきである。
<補足>
別紙①:日本弁護士連合会「消費者契約法日弁連試案」*1 別紙②:同「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」*2
2 民法改正問題における「不実表示」の提案について
(1) 契約を締結するか否かの判断に影響を及ぼすべき事項(動機部分を含む)に関して誤った事実を告げられた場合について,表意者保護の観点から新たな取消権を認めること(不実表示規定の新設)には賛成である。
※ 消費者契約法第4条に関する日弁連の改正意見との共通点
※ 詐欺の主観的要件の立証の困難さ
(2) もっとも,消費者契約法上の消費者取消権としてではなく,民法上の取消権として立法しようとする場合には,消費者保護の観点から,いわゆる逆適用の問題を考慮に入れて,要件に関する慎重な検討が必要と考える。
※ 保険加入において加入者が保険会社から問われた事項以外のことを回答しなかった場合には,保険法上告知義務違反にならない。。
※ 例えば,事業者である表意者において自ら調査すべき事項を調査しないでおきながら,相手方に対して不実表示規定を根拠とした契約の取消を主張することを許容するのは不合理である。また,不実表示が民法における従前の錯誤に関する議論や裁判例の到達点ないし延長線上のものとして位置づけられるものであるならば,錯誤においても重過失ある表意者は錯誤無効を主張できないことと同様に,落ち度ある表意者に不実表示取消を主張できないとすることは,むしろ合理的である。この点,表意者に調査義務違反等の落ち度がある場合に適用を否定する在り方,消費者による不実
*1 xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx /1999_5.html
*2 xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xxxxxx/xxxx/000000.xxx
- 2 -
表示があったとしても事業者による取消を制限する在り方,端的に消費者取消権として構成する在り方等がありえる。
(3) なお,上記のような不実表示の規定は民法上の動機の錯誤の要件緩和という観点から民法上の規定として立法化が議論されるべきものと考える。仮に上記のような不実表示規定を民法に設けたとしても,消費者契約法上の不実告知規定を削除する必要はないし,削除すべきではないと考える。この点,不実表示規定の採否の問題に関する「消費者契約法の一般法化」といった議論の建て方は望ましくないと考える。
※ 「民法と消費者概念」に関する基本的な姿勢
第2 公序良俗
1 公序良俗違反の具体化
【意見】
【中間論点整理「第28,1(2)」86頁】
【配付資料(1)・意見書59~60頁】
(1) 判例を踏まえ公序良俗違反の具体化として,いわゆる「暴利行為」の明文化を行う方向で検討すべきである。
(2) 主観的要素として,「相手方の従属状態,抑圧状態,知識の不足に乗じること」等の要素を付加する方向で検討すべきである。
客観的要素として,「著しく」と厳格にすべきではなく,著しく過当なとまでいえなくても不当な利益を得るものであること,または相手方の権利の不当な侵害であること等,緩和する方向で検討すべきである。
(3) 暴利行為以外の例えば「状況の濫用」や取締法規に違反する法律行為のうち公序良俗に反するものなど公序良俗に違反する行為についてxxの規定を設けることについて,賛成する。
(4) 新種の取引契約や販売方法で消費者や中小零細事業者に発生した契約被害を民法の公序良俗やxxxといった一般規定で救済しやすくするよう,暴利行為等の明文化に加えて,民法の理念の1つとして契約当事者間の格差是正の必要性を明定することなどを検討すべきである。
【理由】
1 消費者契約問題をめぐる現行法の規律とその問題点
(1) 消費者契約法の契約締結過程に関する規律とその問題点
① 不実告知・断定的判断の要件に争い(文理では狭すぎる)。
② 他にも不当勧誘行為は存在する(カバーできていない)。
③ 新たな不当勧誘行為が発生する(個別列挙では後追いになる)。
※ 不当条項規制も限定的
(2) 日本弁護士連合会の改正提案
① 不実告知・断定的判断の改正
② 情報提供義務違反,状況の濫用,不招請勧誘行為等に関する消費者取消権の付与。適合性の原則違反があった場合の契約の無効。
③ xxxxの原則に反する不当勧誘行為について消費者取消権を付与する一般規定の制定
※ 不当条項規制の拡大
- 3 -
(3) 消費者契約問題と民法の役割
そもそも私法一般法である民法が現代社会における消費者契約問題に効果的に対応できてこなかったこと自体が問題ではないのか。
→ もし消費者保護の特別法が未制定の分野や隙間分野が存在しても,一般法である民法が受け皿としての役割を果たすことが出来るような在り方が重要ではないか。
※ 今後も特別法の新設や改正は重要である。しかし,一般法である民法の射程範囲や柔軟な適用の必要性とは別個の問題ではないか。
※ 消費者契約法,特定商取引法などによる救済の可否が問題となる事案の存在
(例)高齢者の被害事案
中小零細事業者の被害事案
※ 奈良地判 H22.7.9(同庁平成 19 年(ワ)第 961 号事件)*1
「消費者保護法制による違法な勧誘行為がなされていないとしても,私法行為一般に適用されるべき民法第90条が適用されなくなるものではない。」「本件取引は,財産の管理能力が痴呆症のため低下している原告に対して,それを知りながら,個人的に親しい友人関係にあるかのように思い込ませ,これを利用し,原告自身の強い希望や必要のない商品を大量に購入させ,その結果,原告の老後の生活に充てられるべき流動資産をほとんど使ってしまったものである。このような売買は,その客観的状況において,通常の商取引の範囲を超えるものであり,民法の公序良俗に反するというべきである。」
2 暴利行為の明文化について
(1) 公序良俗違反の具体化として,いわゆる「暴利行為」の明文化を行う方向で検討することには賛成である。
判例・学説の到達点の明文化により,分かりやすい民法の実現に資する。また,公序良俗規定の具体化をできる限り行うことにより一般条項適用の安定性を高め,劣位者保護を図ることができる。暴利行為規定がxxで存在する方が,実社会における暴利行為の抑圧や排除を期待できるように思われる。
(2) 伝統的な暴利行為の準則よりも,いわゆる現代的暴利行為論に依拠した暴利行為規定の方が,種々の要素を取り込んだ総合的な判断や,社会の変化に伴った柔軟な対応が可能となる。
具体的には,主観的要素として「相手方の従属状態,抑圧状態,知識の不足に乗じること」等の要素を付加する方向で検討すべきである,客観的要素として,「著しく」と厳格にすべきではなく,著しく過当なとまでいえなくても不当な利益を得るものであること,または相手方の権利の不当な侵害であること等,緩和する方向で検討すべきであるとの見解に賛成である。
※ 伝統的に暴利行為は,①相手方の窮迫,軽率又は無経験に乗じるという主観的要素と,②著しく過当の利益を獲得するという客観的要素からなるとされてきている。しかし,上記のような規範に事実をあてはめて結論を下している裁判例がどれほど存在するのか。評価根拠事実と評価障害事実の総合考慮になっている裁判例が多いのではないか。
*1 LLI/DB 判例秘書 ID 番号 06550370
※ 相手方の窮迫,軽率又は無経験に乗じたような取引契約など不xxな取引行為による相手方の利得を「著しく過当ではない」という理由で正当視するとすれば不xxではないか。
※ 高齢者被害や恋人商法の被害事案などを考えれば,「窮迫,軽率又は無経験に乗じる」というよりも,「困窮,従属もしくは抑圧状態,または思慮,経験もしくは知識の不足等を利用して」とか,「知識の不足,加齢・疾病・恋愛感情・急迫状態等による判断力の不足を知りつつ,それを利用して」といった方が実態に適合しているのではないか。
3 その他の問題について
(1) 他の行為類型の明文化検討の必要性
暴利行為以外にも,行政法規に違反している場合で公序良俗違反と評価できる場合,刑罰法規や強行法規等の脱法行為と評価できる場合,状況の濫用と評価できるような場合など,他にも公序良俗違反と評価可能な行為類型が認められる場合には,その明文化について検討することは,法律関係の明確化,違法行為の抑制という観点から有益である。
(2) 受け皿規定として効果的に機能する公序良俗規範への期待
新種の取引契約や販売方法から消費者や中小零細事業者に発生した被害について,特別な法律が制定される前でも,一般法である民法によって効果的に救済できるよう,公序良俗やxxxといった民法の一般規定が,これまで以上に柔軟かつ効果的に活用できることが望まれる。
2「事項を目的とする」という文言の削除(民法第90条)
【中間論点整理「第28,1(3)」87頁】
【配付資料(1)・意見書60~61頁】
【意見】
賛成である。
【理由】
現在の判例・学説によれば,法律行為が公序良俗に反する事項を目的としているか否かが問題ではなく,法律行為が行われた過程その他の諸事情を考慮して当該法律行為が公序良俗に反しているか否かが問題となっている。
特に消費者事件の場合,契約そのものはそうでなくとも,悪質な勧誘行為自体が公序良俗に違反している場合もあり,その場合にも明確に公序良俗違反で無効とされるべきである。
以上
<別紙①>
【 消費者契約法日弁連試案 】
~ 契約締結過程に関係する部分のみ抜粋 ~
1999(平成 11)年 10 月 22 日
日本弁護士連合会
第2章 契約締結過程における事業者の義務
第4条(契約内容の情報提供)
(1)事業者は消費者に対し,消費者契約の締結前に,当該消費者が契約の締結を決定する にあたり必要な事項について,消費者が理解できる方法で情報を提供しなければならない。
(2)当該消費者が契約の締結を決定するにあたり必要な事項とは,当該契約において客観的に必要な事項と評価できるもの,当該消費者から必要であると特に告げられたもの,及び当該消費者から特に告げられていないが当該消費者にとって必要であることを事業者が知りまたは知り得るものをいう。
(3)消費者が理解できる方法とは,一般的に当該契約の当事者となる消費者が理解できる方法,当該消費者が特に詳しく説明を求めた内容についてはその内容を理解させる方法,及び当該消費者の理解力が劣っていることを事業者が知りまたは知り得べき場合にはその理解力に応じた方法をいう。
第5条(不当勧誘の禁止)
(1)事業者が消費者に対し,消費者契約の締結について,次の各号の一に該当する行為を 行った場合には,消費者は当該契約を取り消すことができる。ただし,各号に該当する行為がなかったとしても消費者が当該契約を締結した場合はこの限りではない。
① 当該消費者が契約の締結を決定するにあたり必要な事項について,消費者が理解で きる方法で情報を提供しなかったこと
② 当該消費者が契約の締結を決定するにあたり必要な事項について,不実の告知をす ること
③ 消費者を威迫する言動
④ 消費者の私生活又は業務の平穏を害する言動
⑤ 消費者の知識や判断力が不足している状況を利用すること
⑥ その他xxxxに反する不当勧誘行為
(2)前項により消費者が契約を取り消すことができる場合に,消費者は事業者に対し,契約の取消に基づく原状回復と共に損害賠償の請求を行うこと,もしくは契約の効力を維持しつつ蒙った損害について賠償請求を行うことができる
(3)第三者が消費者契約の勧誘を行った場合に,当該第三者の勧誘行為に第1項各号の一に該当する行為があったときにも,消費者は契約の取消しおよび損害賠償の請求を行うことができる。ただし,当該第三者の行為について事業者が善意無過失の場合はこの限りでない。
第6条(第三者に対する効果)
消費者による消費者契約の取消は善意の第三者に対抗することができない。
第7条(時効等)
(1)消費者による消費者契約の取消権は,消費者が事業者又は第三者の勧誘行為に第5条第1項1号,2号,5号又は6号に該当する行為があったことを知ったとき,もしく
は同項3号又は4号に該当する行為が止んだときから3年間これを行使しないときは時効によって消滅する。
(2)消費者による消費者契約の取消権は,当該消費者契約の締結をしたときから10年を経過したときも消滅する。但し,契約期間が7年を超えて継続する場合には当該契約期間の終了後3年を経過したときに消滅する。
第8条(追認・法定追認の排除)
民法122条ないし125条の追認・法定追認に関する規定は,消費者契約の取消には適用しない。
以上
<別紙②>
第1 意見の趣旨
【 消費者契約法の実体法改正に関する意見書 】
~ 契約締結過程に関係する部分のみ抜粋 ~
2006 年 12 月 14 日
日本弁護士連合会
4 現行法3条1項に規定されている事業者の情報提供努力義務について,下記のとおり改正すべきである(下記の「重要事項」は9項で述べるところと同じである。)。
① 事業者は消費者契約の締結について勧誘するに際し,重要事項について消費者に対し, 消費者が理解できる方法で情報を提供しなければならない。
② 前項において,消費者が理解できる方法とは,一般的に当該契約の当事者となる消費者に理解できる方法をいうが,当該消費者が特に詳しく説明を求めた事項についてはその事項を理解させる方法,及び当該消費者の理解力が劣っていることを事業者が知り又は知り得べき場合にはその理解力に応じた方法をいう。
5 現行法3条2項は削除すべきである。
6 現行法4条1項を以下のとおりに改正すべきである。
消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたときは,当該消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示を取り消すことができる。ただし,各号に該当する行為がなかったとしても当該消費者が当該消費者契約を締結した場合はこの限りではない。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。
二 当該消費者に対して,物品,権利,役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し,将来における変動または結果が不確実な事項であって,消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすものにつき断定的判断を提供すること。
7 現行法4条2項を下記のとおり改正すべきである。
消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ,かつ,当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は過失により告げなかったときは,当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる。
8 現行法4条3項本文を下記のとおり改正すべきである。
消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して次に掲げる行為をしたときは,当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる。ただし,各号に該当する行為がなかったとしても当該消費者が当該消費者契約を締結した場合はこの限りではない。
9 現行法4条4項を下記のとおり改正すべきである。
本法における「重要事項」とは,消費者が当該消費者契約を締結するか否かについての 判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。
10 現行法5条を下記のとおり改正すべきである。
① 本法の各取消及び民法第96条第1項の詐欺による取消の規定は,事業者が第三者に対し,当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし,当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(2以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して前各取消の条項に規定する行為をした場合について準用する。
② 消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人(2以上の段階にわたり復代理人として選任された者を含む)を含む。以下同じ。),事業者の代理人及び受託者等の代理人は,本法及び民法第96条第1項(前項において準用する場合を含む。次条及び第7条において同じ。)の各規定の適用については,それぞれ消費者,事業者及び受託者等とみなす。
11 現行法7条1項を下記のとおり改正すべきである。
① 本法の規定による取消権は,取消しの原因となっていた状況が消滅した時から3年間これを行使しないときは,時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から10年を経過したときも,同様とする。
② 民法第122条ないし第125条の規定は,本法の取消については適用しない。
16 現行法に,下記の内容を追加すべきである。
(不招請勧誘の禁止)
事業者は,消費者契約の締結について勧誘をするに際し,あらかじめ消費者の要請がないにも拘わらず次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 当該消費者の住居又は勤務先を訪問すること。
二 当該消費者の住居又は勤務先に対して,電話,ファクシミリ,電子メールを送信すること。
17 現行法に下記の内容を追加すべきである。
消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対して 次の各号に掲げる行為をしたときは,当該消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示を取り消すことができる。ただし,各号に該当する行為がなかったとしても当該消費者が当該消費者契約を締結した場合はこの限りではない。
一 重要事項に関して消費者が理解できる方法で情報提供を行わなかったこと。二 当該消費者を威迫すること。
三 当該消費者の私生活又は業務の平穏を害すること。 四 当該事業者が当該消費者を心理的に動揺させること。
五 当該消費者の知識の不足,加齢・疾病・恋愛感情・急迫状態等による判断力の不足を 知り,または,知りうるためxxx上勧誘を行うべきでないにもかかわらず勧誘を行うこと。
六 あらかじめ当該消費者の要請がないにもかかわらず次のいずれかの行為をすること。イ 当該消費者の住居又は勤務先を訪問すること。
ロ 当該消費者の住居又は勤務先に対して,電話,ファクシミリ,電子メールを送信すること。
七 xxxxxx則に反する行為。
18 現行法に下記の内容を追加すべきである。
(損害賠償請求)
本法の規定により消費者が消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる場合に,消費者は,事業者に対し,当該取消に基づく原状回復とともに損害賠償を請求し,若しくは当該消費者契約の効力を維持しつつ損害賠償を請求することができる。
以上
<別紙③>
【 具体的な裁判例 】
~ 国民生活センター「消費者問題の判例集」より抜粋 ~
第1 動機の錯誤
1 かつらの売買契約に錯誤無効が認められた事例(福岡地裁平成 13 年 10 月 18 日判決・兵庫県弁護士会 HP)
本件は,25 歳の男性の締結したかつらのクレジット契約について,売買契約の際に
販売業者から「毛根の組織が死んでいるので自分の毛が生えるということは望めない」と説明され,その旨誤信した結果契約したものであり,売買契約は錯誤無効であるとする消費者の主張を認め,クレジット会社に対する抗弁の対抗を認めて支払請求を棄却した事例である。
2 債務者の事業が再建不能にあることを知らずに締結された連帯保証契約について錯誤無効が認められた事例(東京高裁平成 17 年8月 10 日判決・金商 1226 号 15 頁)
(1)本件は,中小企業が金融機関から融資を受けるに当たり,親戚に連帯保証人となってもらったが,同企業は,融資の時点ですでに事実上破綻状態にあり,融資後まもなく破産したという事案において,こうした事情を知らなかった連帯保証人の錯誤無効の主張が認められた事例である。
(2)民法上,動機の錯誤によって契約が無効となるのは,この動機が表示されている場合に限られるところ,およそ融資の時点で破綻状態にある債務者のために保証人になろうとする者は存在しないというべきであるから,保証契約の時点で主債務者がこのような意味での破綻状態にないことは,保証しようとする者の動機として,一般に,黙示的に表示されているものと解するのが相当である。加えて,Yは,なんらA社と取引関係のない情義的保証人であり,高齢かつ病弱で,担保提供した自宅が唯一の財産であり,このことはXも調査により認識していたものである。さらに,Yは容易には承諾をせず,YはXの担当部長に「この会社は大丈夫ですか」と確認したところ,担当部長から,「大丈夫です」との返答があったので,これを信じて,保証をすることを決断したのであるから,A社が破綻状態にはないことを信じて保証するのだという動機が表示されていることは明らかというべきである。
3 在宅ワーク付き医療事務通信講座にかかる教材販売契約の錯誤無効(津地裁平成
月2日判決・消費者法ニュース 56 号 158 頁)
15 年4
本件は,業務提供誘引販売取引の規制前の事例である。主婦が,教材を購入すれば在宅ワークの業者から分割金の支払いをなし得る程度の在宅ワークの提供を受けられると誤信して,クレジット会社の立替払契約を利用して医療事務速習講座の教材を契約したものであるとして,主婦の動機の錯誤を認め,クレジット会社からの立替金請求が認められなかった事例である。
第2 公序良俗
1 従業員に過大な商品を売りつけた呉服店と,信販会社の不法行為責任を認めた事例(大阪地裁平成 20 年 4 月 23 日判決・裁判所 HP)
(1)本件は,勤務先の呉服店から着物等を次々と購入させられ,多額のクレジット契約を締結させられたとして,呉服店の従業員が呉服店および信販会社に対して既払金の返還を求めた事案である。
裁判所は,呉服店の従業員が年収に比して過大な金額の呉服等を購入するのを知りながら放置した雇用者の行為は不法行為であり,売買契約は公序良俗に反して無効であるとし,また,この事実を知りながら従業員の販売業者に対する代金についての立替払契約をした信販会社の共同不法行為責任を認め,立替払契約も公序良俗違反であるとした。
(2)販売会社との関係
Y1 との関係では,X は Y1 に’97 年に勤務開始してから着物を購入し,’99 年には 172 万円余り,’00 年は 146 万円余り,’01 年には 156 万円余りの立替金債務の支
払いを続けており,この額は X の給与の額に匹敵する額であり,このような状態が 3年間も続く間,Y1 はかかる状態を認識しつつこれを放置し,総販売代金額が 800 万円に近づいた後も同様の対応を続けたのであるから,’02 年 2 月 26 日以降に締結さ
れた本件売買契約 26 ~ 31 は,著しく社会的相当性を逸脱するもので,公序良俗に反して無効である。
2 モニター特約付売買契約につき公序良俗違反で無効とされた事例(大阪高裁平成 16 年 4
月 16 日判決・消費者法ニュース 60 号 137 頁)
(1)本件は,モニターになれば収入になるなどと勧誘し,布団をクレジット契約で販売していた,いわゆるモニター商法が破綻したため,消費者が信販会社に対し支払請求の拒絶を主張したところ,当該契約は公序良俗に反し無効であるとして,消費者の主張が認められた事例である。
(2)本件モニター商法は,破綻不可避の反社会的商法であり,かつこれを隠蔽する欺瞞的勧誘方法を伴う詐欺的商法である。しかも被害の急速な拡大を招く危険な商法にも該当するものであって,公序良俗に反する違法な取引である。これを生み出した本件売買契約と本件モニター契約は,不可分一体の契約であって,モニター特約付寝具販売契約ともいうべきものであると認められるから,上記契約は,公序良俗に反し全部無効であるといわなければならない。
(3)特定商取引法で規制される以前のモニター商法について,公序良俗違反で信販会社に抗弁対抗できると判断した判決である。
3 ヤミ金融業者によるいわゆる「家具リース」の違法性(佐賀簡裁平成 14 年 11 月 18 日
判決・消費者法ニュース 54 号 30 頁)
(1)本件は,ヤミ金融業者が消費者に貸金する際に,消費者の家財道具類を買い上げたうえで使用させ賃料名目で返済させるいわゆる「家具リース」について,公序良俗違反,不法行為に当たるとした事例である。
(2)本件家具リースの仕組みは,以下の通りである。Yらは共謀して貸金をすることをチラシなどにより宣伝し,客からの申し込みがあると,他の一方に連絡してYとAが二人で客のところに赴く。うち一人が客の家財道具一式を購入し,貸金の元金に金利相当分を上乗せして他の一人に転売する形式を取る。元金に金利を上乗せした合計金額を物件の賃貸借契約書に記載して,その合計金額を期間を定めて支払うとの約束である旨客に説明する。古物商として消費者の使用している家財道具を買い取る形をとりつつ,購入した家財道具はそのまま顧客の自宅に置き,継続して通常に使用させ,賃料名目で利息制限法にも出資法にも反するきわめて高金利の利息の支払いをさせるというものである。
(3)顧客に対しては,家財道具は貸金の担保にされたものであり,元利合計を返済すれば,担保ではなくなるので家財道具類は返してもらえるものと認識させるような説明をする。上乗せ金額を客が完済した段階では,本件契約は貸金ではなく賃貸借契約であるので家具類は返還できない,賃料を支払わなければ直ちに家財道具を引き上げると脅迫して,さらに出資法に反する高金利の実質的な利息を,賃料名目で支払うよう強要し続け暴利を貪るという仕組みをとる。
4 公序良俗違反とされた絵画展示会商法(青森地裁十和田支部平成 13 年 12 月 27 日判決
・消費者法ニュース 53 号 99 頁)
(1)本件は,絵画の展示会販売に関し,商道徳を逸脱した違法なもので公序良俗に反し無効であるとして,クレジット会社からの請求に対する支払い停止の抗弁を認めた事例である。
(2)以上のとおり,本件絵画の価格は一般の流通価格の約3倍から約5.7倍と極めて不相当なものであること,その価格についてはYの落ち度も否定できないものの, BによりYが重大な誤解をしかねないような方法による勧誘を受けていたこと,立て替え払い契約の締結の際にもYに対して月賦支払い額の確認すらされていないとうかがわれることなどを考え合わせると,本件売買契約は,商道徳を逸脱した違法なものであって,公序良俗に反し無効であると考える。
以上
<別紙④>
【 暴利行為に関する裁判例 】
1 札幌簡裁平成 23 年 1 月 14 日判決・判時 2105 号 103 頁
<事案>
金貨を販売し,換金する形で現金を提供するいわゆる「金貨金融」は,実質上金銭消費貸借であり,暴利行為であって公序良俗に反し無効であるとされた事例。
<判旨>
原告は被告に,平成22年5月1日,4万2400円を貸し付け,被告は原告に,同年5月10日限り,6万5600円の返還を約しているのであるから,その差額2万3200円は利息とみなされる。これを年率に換算すると年率約2000%弱の割合の高額な利息であり,暴利契約であることは明らかである。よって,本件売買契約
(実質上は金銭消費貸借契約)は公序良俗に反し無効である。
2 奈良地裁平成 22 年 7 月 9 日判決(同庁同年(ワ)第 961 号事件)・LLI/DB 判例秘書登載
<事案>
認知症の女性に呉服や宝石を買わせ続けたとして,呉服会社等に対する購入代金返還請求等訴訟において,女性が認知症の投薬治療を始めた頃には,同社の販売員は,女性の財産管理能力の低下を気付くことができたとした上で,個人的に親しい友人関係を装い必要のない商品を購入させたもので,通常の商取引の範囲を超え民法の公序良俗に反し,売買は無効であるとして一部請求を認めた事例。
<判旨>
① 前記2,3のとおり,本件売買は,被告C店舗において,L,Jらがその財産の管理能力が痴呆症のため低下している原告に対して,これを知りながら,個人的に親しい友人関係にあるかのように思い込ませ,これを利用し,原告自身の強い希望や必要のない商品を大量に購入させ,その結果原告の老後の生活に充てられるべき流動資産をほとんど使ってしまったものである。このような売買は,その客観的状況において, 通常の商取引の範囲を超えるものであり,民法の公序良俗に反するというべきである。購入の具体的場面において,原告が商品を購入するとの態度を示していたとしてもこのことは変わらない。
② 被告Cの主張するように,消費者保護法制による違法な勧誘方法が同被告において されていないとしても,私法行為一般に適用されるべき民法90条が適用されなくなるものではない。
3 大阪高裁平成 21 年 8 月 25 日判決・判時 2073 号 36 頁
<事案>
認知症の高齢者の判断能力の低下に乗じてされた不xxな土地の売買につき,公序良俗に反し無効であるとされた事例
<判旨>
このような事情を総合考慮すれば,本件売買は,被控訴人の判断能力の低い状態に 乗じてなされた,被控訴人にとって客観的な必要性の全くない(むしろ被控訴人に不利かつ有害な)取引といえるから,公序良俗に反し無効であるというべきである。
4 東京地裁平成 20 年 6 月 19 日判決・判タ 1314 号 256 頁
<事案>
弁護士報酬に関する弁護士と依頼者との合意が暴利行為として無効とされた事例(原告は株式会社)
<判旨>
以上のとおり,本件新橋物件の売却に伴ってxxxから原告会社に支払われた4億
3227万0951円や本件蒲田物件の競売代金である1億2400万円を経済的利益と見て報酬額を算定することは相当ではなく,被告の請求した報酬額は高額に過ぎ るとみられることのほか,被告が,原告会社に報酬を請求するに当たり,金額の具体的な算出根拠を説明せず,かえって原告会社と特別な財産上の利害関係のある被告の
- 13 -
親族の利益に偏しているとの疑惑を招く行為に及んでいることを考慮すれば,原告会 社の被告に対する合計3516万1500円に上る報酬の支払(上記(1)タ,ト)は,暴利行為として無効と解すべきである。
5 東京地裁平成 17 年 9 月 27 日判決・判時 1932 号 99 頁
<事案>
暴力団関係者が関与する著しく高利の利息を定める金銭消費貸借が暴利行為に当たり公序良俗に違反するものとして無効とされた事例。
<判旨>
以上の事実,すなわち,本件消費貸借の利率は,現実の受領額に基づいてこれを算出すると,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律により処罰される年1
09.5%の高金利を超過するものであり,名目貸付額に基づいて算出してもそれに近い高金利であること,被告が貸付時に借り主である原告らに交付した契約書には現実の利率とは異なる低い利率が記載されているのみならず,被告は高金利による天引きの事実を否認してその事実を隠蔽しようとしていること,当初の返済期日を過ぎた後に要求した金利の利率は,現実の受領額はもとより名目額に基づいて算出しても前記規制金利を超過するものであり,しかも,被告はその受領の際に領収証を発行せず,受領の事実も否認して違法な高金利を取得した事実を隠蔽しようとしていること,被告の使者ないし補助者として暴力団関係者が関与していることを総合すると,本件消費貸借は,原告 らの無知に乗じて違法に暴利を得ようとするものであり,公序良俗に反するものとして無効というべきである。
6 東京地裁平成 17 年 7 月 22 日判決(同庁平成 15 年(ワ)第 24646 号,同年平成 16 年(ワ)第
9740 号事件)・LLI/DB 判例秘書登載
<事案>
原告側と被告側間の一連の業務委託契約は,個別的にも総体的にも被告側の暴利行為に該当し,公序良俗に反し無効であるとして,原告の不当利得返還請求を認容し,契約解除による損害賠償を求める被告の反訴請求を棄却した事例
<判旨>
これらを,契約B,D,Xと切り離し,別個独立の契約と考えるならば,そこでの業務内容は,基本対象地ないし追加対象地上の建物の賃借人を捜し,その賃借条件を検討すること,これに関連して,追加対象地上の建物の建築の斡旋をする者を紹介するということに過ぎないものであるから,その実質は,不動産仲介業と建物の建築の斡旋をする者の紹介に過ぎない。
そうすると,上記第2,2(2),(3),(7),(9)認定の報酬がその業務内容に比して不均衡に高いことは明らかであって,その不均衡の程度にxxの経歴,前記認定の原告ないしxxと被告ないし夏川が契約する過程,特に,その際,夏川が春山にどのように相続税を支払っていくかについて,期間全体を通しても,期間ごとにも,全体の収支や損益を示した具体案を示したことはないのに,夏川の抽象的な説明を信じ,これらの契約に至ったことからすると,これらの契約は,xxが不動産取引に全く知 識がないのを奇貨として,夏川が,xxの相続税の支払に有利なアドバイスをすべき立場を利用して,一方的に被告側に有利な契約をさせたものと解され,暴利行為に該当し,公序良俗に反し,無効である。
以上
- 14 -
【 第5 保証制度の見直し 】
【中間論点整理「第 12.」40~45 頁】
【配付資料(1)・意見書 14~30 頁】
1.「保証」をめぐるいくつかの視点
(1)自殺対策の視点
◇NPO 法人自殺対策支援センターライフリンク『自殺実態白書 2008』
xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxxxxx.xxxx
・自殺の危機要因(68項目)の1つが「負債(連帯保証債務)」とある(16 頁)。
・「危機要因」全体のおよそ 7 割が上位 10 要因に集中(17 頁)。
延べ 1168 の「危機要因」の内,771 が以下の 10 要因に集中していた。
①うつ病,②家族の不和(親子間+夫婦間+その他+離婚の悩み),③負債(多重債務+連 帯保証債務+住宅ローン+その他),④身体疾患(腰痛+その他),⑤生活苦(+将来生活への不安),⑥職場の人間関係(+職場のいじめ),⑦職場環境の変化(配置転換+昇進+降格+転職),⑧失業(+就職失敗),⑨事業不振(+倒産),⑩過労 以上 10 の要因を,「自殺の 10 大危機要因」とする。
・「III -3 自殺と契約制度 また,自殺の他の社会的背景として,2 点を指摘したい。まず, Chen, Xxoi, xxd Sawaxx (0007)の研究では,中小企業を主な対象とした日本における連帯 保証人制度が,事実上の無限責任制度になっており,借り手や保証人に多大なるプレッシャーを与え,自殺を引き起こす遠因である可能性を示している…」(441 頁)
◇内閣府『平成 23 年版自殺対策白書』
xxxx://xxx0.xxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/x-0000/xxx/xxxxx.xxxx
・平成 22 年の自殺者総数 3,1690 人であり,13 年連続して 3 万人を超える状態が続いてい
る。このうち,原因・動機を特定できたのが 23,572 人であり,その中で経済・生活問題が原因とされるのは 7,438 人であって,約 23.47%を占めている。そして,有職者の自殺者のうち,被雇用者は 8,568 人であるのに対して,自営業者と家族従事者は 2,738 人にも及んでいる。これらのデータからも,経営の行き詰まりを理由に命を絶ってしまう事業者が少なからずいることが窺われる。
◇政府の自殺対策緊急戦略チーム『自殺対策 100 日プラン』(2009 年 11 月 27 日)
xxxx://xxx0.xxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxxxx/xxxxxxxx/xxx/x0-0.xxx
・「連帯保証人制度」「政府系金融機関の個人保証(連帯保証)」について,「制度・慣行にまで踏み込んだ対策に向けて検討する」とされている。
(2)多重債務被害防止の視点
過大な保証が原因で保証人が「生活破綻」「経済的破綻」に追い込まれ,「多重債務」「破
1
産」などに至る事案は後を絶たない。
◇日本弁護士連合会消費者問題対策委員会『2008 年破産事件及び個人再生事件記録調査』
・保証債務や第三者の負債の肩代わりを原因として破産を申立てた人が破産債務者の約
25%,個人再生申立債務者の 16.09%となっている。
◇中小企業庁『2003 年中小企業白書』(『2002 年事業再挑戦に関する実態調査』引用)
xxxx://xxx.xxx x.xx.xx/xxxxxxx/xxxxxx/X00/X00-00-00-00.xxx
・倒産直後に経営者個人が負った負債の額が 1 億円を超えたと回答した経営者は半数以上の 57.4%にのぼる。
◇xxxxx=xxx『x座倒産の法システム第 2 巻』(日本評論社 2010 年)7 頁参照[xxxx]
・東京地裁民事第 20 部法人管財係のデータによると,法人破産が代表者個人等の関連個人
破産を伴う確率は約 9 割にのぼるとのことである。
(3)中小企業の「再チャレンジ」の阻害要因となっている
◇中小企業庁『2003 年中小企業白書』(『2002 年事業再挑戦に関する実態調査』)
xxxx://xxx.xxx x.xx.xx/xxxxxxx/xxxxxx/X00/X00-00-00-00.xxx
・経営者が「倒産するにあたって最も心配したこと」は,「従業員の失業(23.8%)」に次いで「保証人への影響(21.3%)」となり「家族への影響(19.5%)」よりも多い。
◇金融庁 2003 年 7 月『新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告書』
xxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxx/xxxxx/00/xxxxxx/x-00000000-0/00.xxx
・個人保証の問題点として,「事業再生の早期着手に踏み切れないという傾向を助長」,「経営者や第三者の保証人は,結果として支払能力を超えた保証債務を負担することが多いため,経営者として再起を図るチャンスを失ったり,社会生活を営む基盤すら失うような悲劇的な結末を迎えるといった現実があることについても看過できない」などとある(4 頁以下)。
◇中小企業庁 2011 年4月『中小企業の再生を促す個人保証等の在り方研究会』報告書
xxxx://xxx.xxx x.xx.xx/xxxxxx /downloadfiles/g110524aj_01.pdf
・我が国の中小企業金融では,個人保証が一般的に利用されている。調査によると,平均的には,概ね約 75%の企業が個人保証(経営者本人保証及び第三者保証を含む)の提供を行っており,その割合は従業員規模が小さい程,高くなる傾向にある。従業員別による保証提供割合では,従業員 20 人以下の小規模企業者は 88%,21 人~100 人では,86%となっており,借入を行う大半の中小企業にとって,個人保証の提供は一般的な金融慣行となっている(11 頁)。
・金融機関は,代表者保証を求める理由について,債権の保全よりも,むしろ経営への規律付けや信用力補完の観点からが強いと答えている…これは,中小企業においては,経営
(企業資本)と経営者個人(所有資産)の分離が不十分であることに起因しているという
2
指摘があった(12 頁)。
・代表者以外の保証,いわゆる「第三者保証」においても,従業員規模が小さいほど提供している割合が高くなっている(12 頁)。
・第三者保証のうち,代表者以外の個人が個人保証を提供しているケースについてもう少し詳しく見てみる。代表者以外の個人であっても,実質的に経営権を有している者に対して,26.4%の企業が個人保証を求められている。一方,実質的に経営権を有していない第三者に対して,個人保証を求められた企業も 23.7% 存在している(14 頁)。
・経営に関与する者以外の保証人の徴求割合は 23.7%であり,かつ親類縁者でもない第三者保証人を求められたケースは 5.1%の企業で存在する。また,その多くは代表者の友人・知人である(15 頁)。
・「(2)経営者責任としての個人保証債務の履行
中小企業が債務免除を伴う私的整理スキームや法的整理スキームに入ると,経営者に対して保証履行が求められる。窮境原因が経営者にあるか無いかを問わず,保証債務が顕在化し,またその保証債務は個人資産を超えることが通常である。保証履行時においては,預金や有価証券等の金融資産,家や自動車等の固定資産等,目に見える財産については処分・相殺を行う。実際,金融機関は,経営者がそのまま存続する場合,窮境原因や経営者責任,地域への影響等を勘案し,どこまで保証履行を追求するかについては様々な対応をしているようである…例えば,豪華な家屋であれば換価処分を行う一方,一般的な家屋については債権者の同意のもと,親族への名義変更を行うことでそのまま当該経営者を住まわせたり,家を親族へ売却した上で,その後当該家屋を親族が当該経営者に賃貸して住まわせたりするなど,個別ケースにおいて現場では工夫を行っている。中小企業が窮境に陥った際,真面目な経営者ほど私財を法人の資金繰りに充てて何とか乗り切ろうとするため,企業が倒産し,いざ保証履行時になると,個人の預金はせいぜい 10 万円~100 万円などのわずかしか残っていないとの声もある。法人からの回収が済んだ後,保証人からの回収はそれほど期待できないため,手間とコストをかけてまで保証履行を求めることはしないという実態もある」(27 頁以下)。
・金融機関には,保証人に対して徹底的に保証履行を行わなければならない理由が存在する。保証履行をしない場合には,次のリスクが想定される(28 頁)。
債権放棄時の無税償却が認められなくなるリスク
株主から善管注意義務違反を問われるリスク
地域の他の債務者にモラルハザードを引き起こすリスク
・「(4)保証債務残存の問題
法人における法的整理や私的整理において,個人保証債務が一体的に処理できない場合,法人債務が無くなったとしても保証債務が残存する場合がある。法的整理においては,法人債権と個人債権が全くの別の処理工程で扱われる。民事再生法の中で再生計画が認可され,法人の債権がカットされても,民事再生法の規定によって民法の附従性は従たる債務
3
である保証債権には及ばない。このような状況の中で,個人による法的整理を忌避し,金融機関との個別の交渉の結果,保証債務を免除してもらえない場合は,民事再生法の計画が進捗し,残債を完済したところで,保証債務にその効力が及ばないため,保証債務だけが残ってしまう。また,私的整理においては,法人の再生計画によって法人債権がカットされれば,民法の一般原則から附従性が働き,従たる債務である保証債務も同時に縮減されるという意見もある一方で,一部の再生の現場では,法的整理同様に附従性を働かせないために新たに縮減分の保証債務の引受を債務者に求めることがあるという指摘もある。こうして残存した債務は,金融機関の方針にもよるが,金融機関からは特段回収をおこなうことは少なく,一方で金融機関から積極的に免除するインセンティブに欠けるため,消滅時効を待つまで残ってしまうことがある。これは,再生を行う中小企業の経営者にとっては,再生計画を進めて行くにあたってのインセンティブが薄れるだけでなく,その後の新たな事業計画に基づくニューマネー獲得に支障が出ることとなる」(32 頁以下)
・「(3)法的整理のレピュテーションリスク
地域で事業を行う中小企業にとっては,法的整理に伴うレピュテーションリスクの問題があり,安易に民事再生等の法的整理に踏み切れないとうい事情がある。これは民事再生が社会的に「倒産」と見られており,ネガティブなイメージが強いことにも起因している。また,地域社会においては,「不義理」を行ったことによるレピュテーションリスクの方が大きいとの指摘もある。
個人の保証債務を整理する際にも同様のことが言える。経営者に破産経験がある場合, 法人の新規融資に応じづらいという金融機関が大多数である…地域で事業を続ける際にも,個人での破産経験があると信用を得られないという声もある。
保証履行後,保証債務が残存してしまうケースにおいて,自己破産によって保証債務を全て無くすことができるが,経営者が存続するケースにおいては,自己破産という選択肢は取りづらい。法的整理のネガティブイメージの払拭や,金融機関による積極的な取組が期待される。さらに,債務者自身が,誠意をもって債権者への対応を行うように地域金融機関が指導することも重要であるという指摘もある」(33 頁以下)
◇平成 23 年 2 月 28 日金融庁
「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について
xxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxx/00/xxxxxx/00000000-0.xxxx
・金融庁では,「主要行等向けの総合的な監督指針」,「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」の一部改正(案)を…取りまとめましたので,公表します。
監督指針については,「新成長戦略 ~「元気な日本」復活のシナリオ~」(平成 22 年 6
月 18 日閣議決定)及び「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」
(平成 22 年 12 月 24 日金融庁)に掲げられた施策を実施するために,以下の改正を行うも
4
のです…。
・経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直し
経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し,また,保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえた対応を促進するため,監督 指針に新たな項目を追加するとともに,金融機関に対して,次の対応を求める。
・経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする方針を定めること
・経営への関与の度合いを確認の上,例外的に経営者以外の第三者との間で個人連帯保証契約を締結する場合には,契約者本人に対し,原則として,経営に実質的に関与していない場合であっても保証債務を履行せざるを得ない事態に至る可能性があることについての特段の説明を行うこと,及び保証人から説明を受けた旨の確認を行うこと
・保証債務弁済の履行状況及び保証債務を負うに至った経緯などその責任の度合いに留意しつつ,保証人の生活実態を十分に踏まえて判断される各保証人の履行能力に応じた合理的な負担方法とするなど,きめ細かな対応を行うこと
(4)東日本大震災:「被災地相談」から
◇『保証被害対策全国会議(代表:xxxxx)』ブログより
xxxx://xxxxxxxxxxx.xxxx00.xx0.xxx/xxxx-xxxxxxxx-0.xxxx
「被災者に重くのしかかる保証債務」報告者:司法書士 xxxx
「連帯保証債務を相続するので,貴方やお子さんは債務を負担することになります。結果的に,相続放棄あるいは限定承認という手続を取らなければならなくなるかもしれません。」相談者は呆然と,文字通りがっくり肩を落とし俯いた。「夫が死んでも保証は消えないんですね。やはり保証が来るんですね…」何度も小声でつぶやく。辛い。私は厳しい現実を告げなければならない。だが,告げることで相談者に精神的二次被害を負わせることにならないか…被災者の方々は,最初は口が重いが雑談を重ねるうち,堰を切ったようにあれもこれもと不安に思っていることを口にするようになる。地震から2週間,避難所生活が長期化するにつれて将来のことを考え始めるのは当然で,その中にはたくさんの法律問題が含まれる。私たちの仕事は,被災者の方々が話す中から法律に関係する部分を抽出してお答えすることである。雇用,仮設住宅,ローン,近隣紛争,境界,土地の流出,地盤の整備,預金の引き出し,相続,瓦礫の撤去費用,地震保険,家賃,その他雑多な相談が寄せられたが,冒頭の保証に関する相談もその中の一つである。相談内容は,相談者の夫が兄夫婦のxxxの保証人になっていたものの,津波で夫が亡くなり,兄夫婦は無事だったが兄夫婦の家は完全に流されてしまった。自分の家も失った。夫の保証債務はどうなるのか…というものである。相談者によると,兄夫婦はおそらく自己破産するであろうとのことである。主立った財産も収入も失った状況であるから兄夫婦の立場としては合理的
5
な判断である。しかし,遺された自分や子供はどうなる?津波で夫も何もかも失ったのに,余計な借金まで負わなければならない?悲痛な問いかけ。答えに窮する。悩ましいのは,夫の退職金が出ることであった。死亡によりなぜ退職金が出るのか,会社から退職扱いを受けることになったのだろうと想像するが,ともかく退職金が出る。相談者にとって何より今後の生活費に充てたい資金である。何とか手元に遺してあげたい。だが,退職金は夫の遺産であり相続財産である。安易に相続放棄を選択するわけにはいかない。いずれ請求を受ける連帯保証債務と比べて検討する必要がある…とりあえず相続放棄期間延長の申立をしておくべきか…いやむしろ自己破産をして自由財産の拡張の申立をして…いろいろな手続が頭の中を駆け巡る。適した回答が定まらない。結局,冒頭の回答をするのが精一杯であった。同旨のケースは多くあるに違いない。情義に基づく連帯保証契約が壊滅的な災害時に如何に被災者の生活再建の妨げになるか。保証契約さえなければこの被災者は余計な悩みを抱えることはなかった。だが相談者の夫は,兄夫婦の頼みを断ることができただろうか?被災者は,長期にわたる継続的な法律専門家の支援を必要としている。私は,週末もう一度宮城に入る。この被災者に会うことができれば,最新の情報を伝えたいと思っている。
(※東日本大震災:いわゆる「二重ローン」対策でも保証は問題となる)。
(5)情義性
◇韓国:『保証人保護のための特別法』(x xx『韓国における民法改正の動向と『保証人保護のための特別法』の制定』秋田法学 (50), 67-83, 2009)
・制定理由「我が国の特有の人情主義により特別な対価を受けずに,経済的負担に対する合理的考慮なしに好意で行われる保証が蔓延し,債務者の破産が連鎖的に保証人に繋がれ,経済的・精神的被害と共に家庭破綻等に至るなど保証の弊害が深刻であるので,保証債務の範囲を特定し,保証人に精神的苦痛を与える不法的債権取立行為を禁止する。また,金融機関と保証契約を締結するときには債務者の信用に関する情報を保証人に提供することとして合理的な金銭取引を確立しようとする」
・第1条(目的)
この法律は,保証につき「民法」に対する特例を規定して,なんの対価なしに好意で行われる保証による保証人の経済的・精神的被害を防止し,金銭債務に対する合理的な保証契約の慣行を確立して信用社会の定着に寄与することを目的とする。
(6)新しい保証被害「保証人紹介ビジネス被害」
◇平成 22 年 5 月 26 日独立行政法人国民生活センター『借金をするとき,家を借りるとき,就職するとき・・・保証人紹介ビジネスのトラブルにご注意!』 xxxx://xxx.xxxxxxx.xx.xx/xxx/x-00000000_0.xxx
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・「インターネットを通じて保証人紹介業者(以下「紹介業者」という)に申し込みをしたところ,「保証人を紹介されなかった」「キャンセルを申し出たら拒否された」といったトラブルが増加傾向にある。また,保証人として紹介業者に名義登録をすれば報酬を得られるということで名義を登録したところ,多額の債務を負わされてしまったというトラブルもある。
お金を借りたり,アパート・マンション等を借りる際の連帯保証,就職の際の身元保証など,保証人を必要とする場面は少なくない。そのような場面で,インターネットで契約等が行えるという手軽さから,紹介業者の利用を考える消費者は今後も増加していくものと思われる。そこで,トラブル防止の観点から,安易な利用をしないよう消費者に注意を呼びかける。
・保証人紹介ビジネスとは
保証人が必要とされる場面は様々あるが,自分で保証人を探すことができない消費者へ保証人を紹介し,その手数料等を得ることを目的とする事業者を保証人紹介業者という。
紹介業者は,保証人が必要な消費者同士を相互に保証人として紹介したり,債務は紹介業者が負担するとうたって保証人として名義を貸してくれる消費者を募集し,報酬として一定の名義登録料を支払い,その名義登録した消費者を保証人として紹介するなどしている。
「保証人が必要な消費者」同士を結びつけたり,紹介業者が債務を負担するとうたって
「保証人として名義登録をした消費者」と「保証人が必要な消費者」を結びつける等,実質的には保証人といえない消費者が保証人として紹介されるところに特徴がある…」…
・相談事例
「保証人が必要な消費者」がトラブルにあう例(パターン①)と,「保証人として名義登録をした消費者」がトラブルにあう例(パターン②)がある。
パターン①:保証人が必要な消費者からの相談
【事例1】相互保証であることの記載がなかった
融資依頼をしたら保証人を付けるよう言われたため,インターネットで紹介業者に登録し,登録料1万円を支払った。保証人が紹介されることになったが,自分も紹介された保証人の保証人になることが条件になっていたようだ。相互保証であることはどこにも記載はなかったし説明もなかったので,解約を申し出たら解約を拒否された。
(相談受付年月:2006 年 3 月,契約者:50 代・女性・xxx)
【事例2】保証人を紹介してもらえなかった
賃貸住宅の保証人が必要になり,インターネットで見つけた保証人の紹介会社に申し込みをした。インターネット上では,入金したらその日に保証人を紹介すると記載があった。電話でも,審査に合格すれば入金日に即紹介すると説明された。審査に合格したときには,既に公務員が保証人になることになっていると言われたので代金を振り込んだ。ところが保証人は紹介されなかった。
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(相談受付年月:2010 年 1 月,契約者:50 代・女性・xxx)
【事例3】紹介された人物を保証人として融資を申し込んだが断られた
インターネットで借金をするために必要な保証人を紹介され紹介業者に 10 万円を支払っ
た。しかし,金融会社に 100 万円の融資を申し込んだところ断られた。保証人として紹介された人は公務員ということであったが,勤務先に確認すると該当する人物はいなかった。紹介業者に電話で苦情を伝えたが,その後電話がつながらなくなった。
(相談受付年月:2009 年 3 月,契約者:50 代・男性・兵庫県)
【事例4】高額なキャンセル料を請求された
インターネットから身元保証人の紹介サイトに申し込みをした。利用規約には 17 時までに取り消しメールを送らなければキャンセル料が発生すると書かれていた。23 時に申込みをした後,3 分後に解約メールを送ったが,紹介業者から 1 万円のキャンセル料の請求を受けた。
(相談受付年月:2010 年 3 月,契約者:30 代・女性・富山県)
【事例5】退会後に更新料の請求
3 年前にアルバイト先に書類提出する際に身元保証人が必要だったため,インターネットで紹介業者を検索して代金を支払い契約した。その後不審な点があったため,退会手続きをしたが,2 年後,退会処理が完了していないと郵便が届き,更新料を支払うよう請求された。再度退会書類を送ってもらい 2 回目の提出をしたが,また更新のお知らせと請求書が届いた。
(相談受付年月:2010 年 2 月,契約者:30 代・男性・xxx)
【事例6】融資会社で保証人紹介料を請求された
インターネットで融資の申し込みをしたら,保証人が必要と言われた。保証人はいない旨を申し出ると,融資会社が保証人を紹介するから,申し込み額の 30%の手数料を支払うように言われた。納得できないので断ると,その後相手から電話で 2 度ほど脅された。インターネット申し込み時に自宅や会社等の個人情報を全て教えてしまったので,不安。
(相談受付年月:2007 年 10 月,契約者:20 代・男性・xxx)
パターン②:保証人として名義を貸した消費者からの相談
【事例7】保証人を引き受けたが紹介業者が債務を負担してくれない
紹介業者を通じて第三者の保証人になると手数料収入を得られ,リスクは全て紹介業者が負担するということから,インターネットで見つけた紹介業者に保証人として登録して 5人の保証人になっている。登録申請書を提出し,保証人としてサインをするだけだった。金銭的負担は全くないが,紹介会社の存在は伏せておくようにとのことだった。アパート賃貸契約の賃借人の保証人になっているが,賃借人が家賃滞納のまま行方不明になり,保証人としての負担を迫られている。紹介会社に支払いを求めるが,何かと理由をつけて被保証人の債務を負担してくれない。 (相談受付年月:2007 年 3 月,契約者:30 代・女性・xx県)
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【事例8】保証人を引き受けたが,最初の説明と異なり債務を負担させられることになった
インターネットで知った紹介業者の紹介で,借金や賃貸保証サービスの保証人になる有料契約をしている。賃貸住宅の保証なら家賃の数十パーセント,金融保証なら 5 パーセント
の保証金がもらえる。他県の人の 300 万円の金融保証の保証人を引き受けたら,債務者が支払えなくなり,保証人である自分に全額の請求をされた。保証人を引き受けるにあたり,紹介業者が代位弁済するので借金は負わないと説明されたが,月 3 万円しか払ってもらえず約束が違う。
(相談受付年月:2009 年 9 月,契約者:30 代・男性・愛知県)
・消費生活相談からみた問題点
(1)契約通りに履行されない
①保証人の紹介を申し込んだのに,保証人が紹介されなかった,②紹介された保証人では保証人審査が通らず契約ができなかったというように,実質的に契約内容が履行されない場合が多い。
(2)個人情報が悪用されるおそれがある
登録時に得た個人情報をもとに,解約料や更新料を名目とする金銭の請求があとを絶たないといった相談など,一度登録した個人情報を悪用するという業者が存在している。
(3)他人の債務を負担させられる
紹介業者は,保証人を募集する際に「消費者は全く金銭的負担を負わない」旨や「折半となる」旨を説明しているが,実際には債権者と保証人間の保証契約に紹介業者は一切かかわっていない。つまり,債権者と紹介業者に契約関係がない以上,紹介業者は債権者との関係では何らの責任も負担しない。債権者から請求を受けた消費者は,債務負担を免れないことになる。
このように,保証人紹介サービスは多くの問題点を抱えているが,保証人紹介サービス の利用を考える消費者はあとを絶たず,トラブルに巻き込まれてしまう結果を招いている。事業者への法規制や監督官庁が存在しない現状においては,保証人紹介ビジネスに代わるなんらかの社会的制度の整備が望まれる。
2.「保証」に依存しない社会構造への転換と民法の役割
・これまで保証の問題点として,保証の「情義性」「軽率性」「未必性」「無償性」が掲げられてきた。新しいトラブルとしての「保証人紹介サービス」は「軽率性」「未必性」がもたらすものであろう。
・保証は,融資・リース・賃貸・雇用その他の場面で日常的に行われてきた。しかし,そもそも債権者がリスクを主債務者以外の第三者である保証人に転嫁できる仕組みが恒常的に行われる社会構造は必ずしも健全と言えないのではないか。
・生活・事業に不可欠な融資(公的セーフティネット融資や奨学金を含む)・賃貸・雇用な
9
どにおいて保証人が求められる。保証人をつけなければ生活・事業に不可欠な融資・賃貸・雇用などが得られないという仕組み自体,社会的強者が社会的弱者に対して優越的な地位を濫用していると言えないであろうか。
・貧困が拡大し「無縁化」「孤立化」する社会において,社会的経済的弱者などが保証人を得ることは困難な状況となっており,そこに「貧困ビジネス」としての「保証人紹介サービス」等が跋扈する土壌となっている。保証人を要求する構造に問題があるのではないか。
・保証人から見れば,保証は「ハイリスク」「ノーリターン」の危険な契約類型と言える。プロである「保証会社」が断るような場合にも素人の保証が求められる。
・主債務者より保証人となることを求められる側から見ても,主債務者との人的関係から保証は断りにくい構造にある。保証契約は,断りにくいという状況下で締結されるものであり,「状況の濫用」的な契約,あるいは「不当な威圧」を受けた契約と言えるのではないか。
・前述のように,保証は,中小零細企業の経営者の再挑戦を阻害しているのではないかという問題がある。また,自殺対策は国家的な課題となっているところ,保証制度もその要因とされている。
・このように保証契約は,もともと公序ないし適合性違反あるいは状況の濫用・不当威圧などの問題を恒常的・類型的にはらむ契約であり,他の契約一般よりも保証人保護が強く求められることは当然であるが,更に保証契約そのものが禁止されることが検討されるべきではないか。
・そして保証の仕組みは民法で定められている。保証制度をどのように設計するかは,自殺対策・多重債務対策・中小企業政策・貧困対策などに大きく関わっている。保証に依拠しない 21 世紀の新しい日本の社会構造への転換を推進する役割あるいは責任が民法・民法改正にもあるのではないか。
3.保証についての意見(各論)
(1)保証に関する日弁連のこれまでの意見書
◇『統一消費者信用法要綱案』2003年(平成15年)8月
xxxx://xxx.xxxxxxxxx xx.xx.xx/xx/xxxxxxx/x epor t/data/2003_51.pdf
◇『法制審議会保証制度部会「保証制度の見直しに関する要綱xxxx」に対する意見書』
2004年6月25日
xxxx://xxx.xxxxxxxxx xx.xx.xx/xx/xxxxxxx/x epor t/data/2004_38.pdf
◇上記日弁連の各意見の概要
・消費者信用における保証の禁止
・事業者向け融資における第三者包括根保証の禁止
・書面「交付」義務
・保証意思確認義務
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・支払能力を超える保証の禁止
・撤回権(クーリングオフ)
・契約時の説明義務・情報提供義務
・契約締結後の説明義務・情報提供義務
・「期限の利益」の維持の機会を保障
・特別解約権
(2)検討
◇保証人は誰でもなれるのか(保証人の適格性)
【自然人保証の原則禁止の可能性は模索できないか】
・保証契約は原則禁止とし,保証は法が許容する一定の資格能力のある法人(適格性のある保証会社)にのみ許容されるものとできないか。
・保証を原則禁止とし,しかし社会の要請に応じて特定の契約類型においては許容されるものとできないか。
・消費者契約となる保証は禁止できないか
・保証人を要求すること自体が濫用となる契約類型は存しないか(生存に不可欠な融資・住居・雇用を得るための契約)
・究極の「ハイリスクノーリターン取引」として適合性の原則を導入できないか。
・支払能力を超える保証を禁止し(比例原則),資力の無い者の保証を排除はできないか。
◇その他
・催告の抗弁は保証の原則型を示すものとして維持すべきである。国民の意識にも沿うものである。
・「適時執行義務」については基本的には賛成である。
・「連帯」保証について単に契約書に「連帯」の 2 文字を書けば「連帯保証」になるとすべきではない(例えば「連帯」規定を廃止しても,特約により任意規定を個別に排除できる)。
・「分別の利益」は維持すべきである(多数の保証人をとる債権者はそもそも健全ではない場合が多い)。
・その他,民訴法及び判例の「二段の推定」は保証契約については排除すべきである。
・破産・再生(その他企業再生)の場面においても「附従性」は維持されるべきである。
以 上
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【 第6 複数契約の解除・無効、抗弁接続、リース契約 】
1 複数契約の解除・無効
検討課題第5-5
①同一当事者間の複数契約のうち一方の不履行に基づいて複数契約全部が解除となる規定を設けるべきか。
②異なる当事者間で締結された複数契約についても全部解除となる規定を設けるべきか。第32-3
①複数の法律行為が無効となる場合を規定すべきか。
②複数当事者間の複数の法律行為について無効となる場合を規定すべきか。
<意見>
(1)複数の法律行為の解除について
・規定を設けることに賛成。契約締結の密接性と一方の不履行により他方の契約目的が達成できないと認められる場合、という要件で規律できる。
・同一当事者間に限定すべきではない。複数当事者間の場合にも契約全部の解除を認めるべきである。
(2)複数の法律行為の無効
・規定を設けることに賛成。複数の法律行為の密接性と一方がなければ他方の法律行為をしなかったと考えられる場合、という要件で規律できる。
・同一当事者間に限定すべきではない。複数当事者間の場合にも無効の波及を認め
るべきである。
<複合契約の類型>
(1)単一事業者による複合契約の例
(売買+役務提供型)
①教材売買+学習指導
②化粧品売買+エステティックサービス
⇒特定継続的役務提供契約+関連商品売買契約(特定商取引法)
適用対象:エステ、学習塾、家庭教師、語学教室、パソコン教室、結婚相手紹介の政令指定6業種で、5万円超・2月超(エステは1月超)
+「役務提供受領者が購入する必要がある商品(関連商品)」規制内容:書面交付義務、クーリング・オフ、勧誘行為規制、
中途解約権・違約金の具体的数値規制
③リゾートマンション売買+スポーツクラブ会員契約
⇒最判平成8年11月12日民集50巻10号2673頁(リゾートマンション売買):2個の契約としつつ、契約締結時の密接不可分性+一方の不履行 により他方の契約目的を達成できないときは、両方の解除を認める。
(売買+預託型)
④xx商事事件(xxxの売買契約+預託・利益配当契約)
⑤和牛預託商法(和牛の売買契約+預託・肥育後買取契約)
⇒特定商品預託取引法
1
適用対象:「政令指定商品」を2月以上の期間にわたり預託を受けることに関し利益を供与することを約し、当該商品の預託を約す取引。
規制内容:書面交付義務、クーリング・オフ、勧誘行為規制中途解約権+違約金上限10%
⑥絵画レンタル商法(絵画の売買契約+預託・レンタル料支払契約)
→政令指定商品でないため規制なし
(売買+利益提供型)
⑦連鎖販売取引(販売活動を行う会員の拡大利益+商品売買)
⑧業務提供誘引販売取引(業務の提供による利益+商品売買)
⇒特定商取引法
規制内容:書面交付義務、クーリング・オフ、勧誘行為規制
(2)複数事業者による複合契約の例
(売買+役務提供型)
① 定継続的役務提供契約+関連商品売買契約(特定商取引法)
「役務提供受領者が購入する必要がある商品(関連商品)の販売またはその代 理若しくは媒介を行っている場合」(特商法48条)
⇒役務提供事業者と関連商品販売業者が異なる場合を想定し、購入の必要(関連性)と代理・媒介の関係が認められる場合を一体的取引として規律。
②資格取得講座受講契約+教材売買契約(別事業者)
→継続的役務提供の政令指定6業種でないため規制なし
(売買+利益提供型)
③連鎖販売取引(特商法33条)
・物品の販売若しくはそのあっせん又は役務提供若しくはそのあっせんの事業、
・特定利益を収受し得ることをもって誘引し、
・商品の販売若しくはそのあっせん又は役務提供若しくはそのあっせんの取引
⇒連鎖販売利益の提供業者と商品等販売業者が異なる場合を想定し、利益誘 引とあっせんの関係が認められる場合を一体的取引として規律。
④業務提供誘引販売取引(特商法51条)
・物品の販売(そのあっせんを含む)又は役務提供(そのあっせんを含む)の事業、
・提供またはあっせんする業務により利益を収受し得ることをもって誘引し、
・商品の販売若しくはそのあっせん又は役務提供若しくはそのあっせんの取引
⇒業務の提供業者と商品等販売業者が異なる場合を想定し、利益誘引とあっ せんの関係が認められるときは一体的取引として規律。
⑤光ファイバー設備設置契約+入居者の利用契約の勧誘・締結・利用料集金業務委託契約(提携関係のある別事業者)
⇒光ファイバー設備設置契約の勧誘に当たり、業務委託契約による利用料収入見込みをもって誘引して締結。入居者利用契約の勧誘業務の不履行。
→利益収受の形態が異なるため特商法の適用なし。
(3)融資一体型取引(提携型与信契約)
2
①信用購入あっせん契約
→割賦販売法
②ファイナンス・リース契約のうち提携リース契約
→特別法なし
③節税対策を標榜した変額保険契約+融資契約の一体的取引
→一体不可分の契約として認定した裁判例あり。
<規律のあり方>
(1)契約の個数
①契約を1個とみた場合
→一部不履行で全体を解除・取消しが可能か(全部解除・取消しに足る重大な不履行であるか)
→契約の一部解除〔一部取消〕が認められるか。
②契約を2個とみた場合
→一方の不履行の場合に、他方の契約の解除が認められるか
※最判平成8年11月12日(リゾートマンション売買):密接不可分性→他方の契約目的も達成できなくなる場合
※最判昭和30年10月7日民集9巻11号1616(酌婦稼働契約):密接関連・不可分として無効
(2)複数事業者の複合契約を含めた規律の必要性
①商品・役務のパッケージ化
複数契約の目的が相互に密接に関連付けられる場合においては、その商品・役務の提供主体(契約当事者)は、必ずしも同一当事者であるとは限らない。むしろ異なる当事者がそれぞれ得意とする分野の商品・役務を持ち寄って、ハイブリッド商品として市場に提供することが多い。
②契約上の地位の分属・特化
業務提供誘引販売取引等の複合契約や信用購入あっせんなど融資一体型取引においては、三者間(さらには四者間)において密接に関連する契約システムを展開するケースが多い。
③規律回避の容易性
複数の契約関係についての規律を同一当事者間に限定すると、形式的に複数の当事者間の契約にすることで規律の回避が可能となり、無責任な提携関係を誘発することになりかねない。
④複数当事者間の関係
複数の契約・法律行為間の密接性+一方なければ他方なしの関係+複数当事者間の媒介関係により規律できる。
(3)複数契約の解除・無効の性格について(問題提起)
①複数契約の解除の提案は、強行規定か任意規定か
「契約締結の目的」は契約当事者が自由に決めることができることを考えると、特約で排除することは可能ということか。
もっとも、消費者契約においては、合意内容の操作により容易に排除できることでよいのか。仮に任意規定だとすると、消費者契約においては不当条項規制を
3
及ぼす必要性があるのではないか。
②複数契約の無効の規定は、強行規定か任意規定か。
公序良俗違反の場合は強行規定と理解しやすいが、意思表示が取消し・無効となる場合はどうか。
消費者契約の場合、特約で容易に排除できることは不適切ではないか。
2 抗弁の接続
第44-5
①商品販売に伴う第三者型信用供与契約について抗弁の接続の規定を設けるべきか。
②消費者に関する規定でよいか。
③どのような要件を設定すべきか。
<意見>
①抗弁の接続規定を設けることには賛成である。
②主体を「消費者」に限定すべきでない。
③契約形式は、消費貸借に限定すべきでない。広く販売信用取引に適用される規定とすべきである。
④販売信用取引の要件は、販売契約と与信契約との間の「密接関連性」に着目して規定すべきであり、販売業者と与信業者の「合意」を要件とすることは適切でない。
→「密接関連性」とは、①貸付契約と販売契約との手続的一体性・内容的一体性,
②与信者と販売者との一体性(人的関係・資本関係等)、③与信者と販売社との提携関係等の要素を考慮し,総合的に判断。
【理由】
(1)割賦販売法 30 条の 4,35 条の 3 の 19 の抗弁接続規定は、信用購入あっせんについて、行政規制とともに民事規定が設けられている。
信用購入あっせんの制度趣旨は、「売買契約と与信契約は不可分一体に締結する関係があること」、「販売者と融資者との間の密接な提携関係があること」、「このような密接な関係から購入者は商品の引渡がなされないような場合には支払い請求を拒むことができると期待していること」、「融資者は販売業者を提携関係を通じて監督でき、またリスクを分散できること」、「これに対して購入者は一時的に販売業者と接触するに過ぎず、また契約に習熟していない。損失負担能力が低く、損失負担能力が低いこと」などの取引システムの特徴に由来する。
契約形式は「消費貸借」に限らず、立替払い、保証委託、債権譲渡等を含むものと解されている。
4 万円以下は適用除外とされていること、2月を超える後払いであること、営業のため若しくは営業として締結する場合を除外することなどの限定がある。
抗弁接続は強行規定である。
(2)現代的な考え方
・最判平成2年2月20日判時1354号76頁は、消費者保護のために政策的に設けた創設的規定と解しているが、その後制定された消費者契約法 5 条(媒介者
の法理)や割賦販売法 35 条の 3 の 13(個別クレジット契約の取消しと既払金返還)などの法理の進展を踏まえれば、抗弁の接続は第三者与信契約の最低限の一般法理として承認されるのではないか。
・第三者与信契約は、「悪質商法を助長する取引システム」との指摘がある(割賦販売法平成 20 年改正での議論)。
すなわち、販売業者は、代金回収のリスクを負うことなく、かつ販売方法や履行状態を監視されることなく取引が展開でき、与信業者は、顧客の獲得を販売業者
4
に依存し加盟店の調査管理を緩やかにするほど利益を獲得できる仕組みである。抗弁が切断されるとこの傾向が一層顕著になる。
・悪質商法を助長するような与信システムは、業界全体への不信を高め、適正な努力をしている事業者にとってもマイナスの結果となる。消費者が安心して取引できるシステムの構築は、消費者の信頼につながり利用が促進される。
「クレジットを保険のようなもの。知らない販売後湯者と露営引きするときはクレジットを利用したほうが安心」(日弁連「イギリス消費者信用調査報告」より)
・消費者契約法に規定するか民法に規定するかは、別途検討が必要。
(2)複数契約の解除・取消しの効果は当事者の合理的意思解釈に求められるのに対し、販売信用契約の抗弁接続は一体型与信システムを展開する事業者の取引上のxxxに基づく責任であり、「あらかじめ供給者と貸主との間に,供給契約と消費貸借契約を一体として行うことについての合意が存在した場合」という要件は適切でない。
→合意を推認するという立論では、明示的な特約によって排除を認めることになるのではないか。「合意」の存在を要件とすることは、割賦販売法の抗弁接続よりも限定的である。
※(問題提起)
①抗弁接続規定は任意規定か強行規定か
民法であれ消費者契約法であれ、消費者契約に関して規定を設ける場合は、片面的強行規定とすることが重要である。
→割賦販売法の抗弁接続規定は、過去の抗弁切断条項を排除して強行規定を設けたもの。
②抗弁の接続を任意規定として規定しつつ、不当条項規制において抗弁切断規定を不当条項リストに掲げる方法も考えられるか。
③民法又は消費者契約法に「抗弁接続」の一般的規定を設けた場合でも、割賦販売法の抗弁接続規定は民事規定と行政規制とによって取引適正化を図る法律であり存続する必要がある。
(3)販売信用取引は「消費貸借」以外の第三者与信型契約が認められることから、契約形式を限定すべきでない。
(事例)
貸金業者が借入申込書を販売業者に預けておき、商品の販売に伴ってその代金支払い方法として借入申込書の利用を促し、支払条件の協議・申込書の作成指導を販売業者が行う。融資金の実行方法として、貸金業者から販売業者に直接送金せず、仲介業者を経由しまたは消費者の口座を経由する例が多い。
(考え方)
・割賦販売法の信用購入あっせんの定義も柔軟な規定とされているが、行政規制と連動する規定のため要件の限定がある。民事規定としては、より柔軟で実質的な要件設定が可能ではないか。
(4)抗弁接続が第三者与信システムの特徴に基づく責任であることを踏まえれば、対象が「消費者」に限定されないのではないか。
・中小零細事業者をターゲットにしたクレジット被害やリース被害が頻発している実態。
・「営業のためにもしくは営業として締結する場合」という適用除外規定(法 35 条の3の60)を限定的に解釈する裁判例が広がっている。
→大阪高判平成15年7月30日消費者法ニュース57号155頁:中古自動車販売会社における消火器詰替契約は「営業として又は営業のため」に該当しない。
→提携リース契約における裁判例の展開
5
3 ファイナンス・リース
第56―2
② ファイナンス・リースを新たな典型契約として規定することは必要か
②典型契約とする場合の規定内容はどうか。
<意見>
①提携リース契約に対する業法的規制がないままに、ファイナンス・リース契約を典型契約化することには、強く反対する意見が強い。
②ファイナンス・リース契約の典型契約化自体に反対する単位会もある(大阪など)。
→当事者の互換性の欠如(現典型契約との対比)、市場における取引規模等の重要性も劣位(保険、クレジット等との取引規模の対比)
③仮に典型契約として規定する場合には、提携リース契約に関する事業者規制法等の措置が
不可欠。
<提携リースをめぐる問題点>
(1)提携リースのトラブル
①具体例
・悪質訪問販売業者が零細事業者に対し、必要性のない多機能電話機を虚偽の説明により設置するよう勧誘し、リース契約を利用して契約させる(平成18年7月
26日経産省ニュースリリース)
・独立事業者と言えないような零細な個人や、事業のために利用する必要がない商品を、事業者名義でリース契約を締結させる特徴がある。
・物件貸与リースから、ソフトウェア、ホームページ作成、セキュリティ装置など役務取引を対象とするリース契約が増加。
・次々と商品を切り替え、残債務を上乗せしたリース契約のトラブルが増加。
②社団法人リース事業協会に寄せられた「xxリース取引」に関する苦情受付件数
・平成19 年度3,778 件、平成20 年度4,249 件、平成21 年度4,532 件、平成22 年度
(4月~12月)2,956 件(同協会のHP xxxx://xxx.xxxxxxx.xx.xx/ のうち「xxリース取引に関する当協会の取組」(平成23年3月23日集計)
③被害の特徴
・リース契約は「事業者」を対象としてきたため、中小事業者のトラブルが大半を占める。
・リース条件の交渉を供給者がまとめて行う「提携リース」契約形態のトラブルが大半である。
(2)xxxxxx・xxxと提携リースの区別
(ア)ファイナンス・リース契約の一般的な締結手順
①利用者が目的物の選定について供給者と交渉したのちに、
②利用者がリース提供者に対してリース条件の見積もりを依頼し、リース提供者から見積書の提示を受け、
③利用者からリース提供者に対しリース契約の申し込みを行い、リース提供者が信用調査のうえリース契約を締結し、
④リース提供者が目的物を供給者から購入して利用者に引渡し(実際は供給者から
6
利用者に直接引渡し)、
⑤利用者が目的物を検査確認のうえ「借受証」を提出すると、リース提供者は物件の代金を供給者に支払い、利用者はリース料の支払いを開始する。
(イ)提携リース契約の締結手順
①供給者とリース提供者があらかじめ対象物件の種類とリース契約の条件の設定について提携関係を結び、
②利用者と供給者との間で対象物件の選定とリース条件の協議を一括して行い、
③リース申込書の作成や信用調査に必要な資料の提出も供給者が代行し、
④リース提供者は供給者を通じて提出されたリース契約申込書を前提に、利用者の信用調査と意思確認による承認手続きのみを行う。
⇒従来のxxxxxx・xxxに関する議論は、目的物の選定に関する利用者と供給者との協議と、リース条件に関する利用者とリース提供者との協議が、別個独立の手続であるような手順を暗黙の前提として法的性質を論じてきたのではないか。
→業務提携関係を明示的に指摘した裁判例として、仙台高判平成4年4月21日判タ
811号140頁)は、xxxを理由にリース提供者の請求を否定。
(3)提携リース契約のトラブルへの対応
①特定商取引法の適用
・訪問販売の方法により実質的な消費者に対してリース提携販売を行った場合は、特定商取引法の適用を認める(H17.12.6通産省通達改正)。
→「リース提携販売のように『契約を締結し物品や役務を提供する者』と『訪問して契約の締結について勧誘する者』など、一定の仕組みの上で複数の者による勧誘・販売等であるが、総合してみれば一つの訪問販売を形成していると認められるような場合には、これらの複数の者は、いずれも販売業者等に該当する。」
→裁判例:大阪高判平成15年7月30日、名古屋高判平成19年11月19日判タ1270号433頁、東京地判平成21年4月13日消費者法ニュース80号198頁など、「営業として又は営業のために」を限定的に解釈。
②消費者契約法5条の適用
・提携リース契約の締結は、リース提供者が供給者に対し特定の物件に関するリース条件の協議や申込書の作成業務を委託している関係が認められることから、供給者は提携リース契約の締結の媒介を委託された媒介者(消費者契約法5条)に該当するものと解し、媒介者の不実の告知や困惑行為(消xx4条)を理由に、利用者はリース会社に対し当該提携リース契約を取り消すことができるものと解される。
→裁判例:xxx判平成16年6月25日(兵庫県弁護士会HP)、xxx判平成
16年10月7日(兵庫県弁護士会HP)など。
③リース事業協会の対応
・自主規制対策として、業務提携関係や契約締結手順の特徴を踏まえて「xx提携リース契約」について、①電話機リース契約締結時の電話意思確認等の強化、②ユーザーからの問い合わせに対する社内体制の一層の整備、③問題が生じている
電話機リースのサプライヤーの確認と提携解消を含めた対応などを実施(平成1
7年12月6日付け「電話機リースに係る問題事例の解消を目指して」など)。
→事業者か消費者かを問わない対策。
(4)提携リースに対する立法課題
・個別信用購入あっせん(割賦販売法改正)に対する規制強化に伴い、行政規制も民事規定もないリース契約を利用する例が増えている。
・各地弁護士会から法規制を求める意見書が続いている。
→複数の弁護士会から提携リース契約に対する立法提言が相次いでいる。
平成 22 年 9 月 30 日京都、同年 11 月 21 日愛知県、同年 12 月 14 日埼玉、平成 23 年 1
月 14 日近弁連、同年 2 月 26 日xx県、同年 3 月 24 日東弁・xx県、同年 6 月 8 日大阪・横浜など。
そこで、
①提携リースの取引構造の特徴に照らせば、事業者間の契約においても交渉力・情報の質・量の格差が存在する(契約弱者となる事業者)ことを踏まえ、格差是正(契約弱者保護)の原理に基づいた規定を設ける必要性がある。
→契約締結補助者(本人が責任を負うべき者)の詐欺等の規定は、民法の一般法理である。
→提携リースについては、「借受証」の交付をもって引渡不履行や瑕疵担保責任の排除を認めるべきでない。
②提携リース契約に対する特別法の制定なしに本来的なファイナンス・リースの典型契約を規定すると、提携リースをめぐる問題の解決に向けて積み上げられてきた上記(3)①②に示したような解釈論等の努力が無駄になるおそれがある。
→提携リース契約については、事業者規制法+民事強行規定の制定が不可欠。
以上
【 第7 その他の論点について 】
1.「過失相殺(民法第418条)」「損益相殺」「損害賠償の範囲」
【中間論点整理「第3.4.及び5,3(1)」9~11 頁】
【配付資料(1)・意見書6~7頁】
【意見の骨子】
① 安易な「過失相殺」につながる損害軽減義務の明文化に反対である。
②「損益相殺」の検討においては「押しつけ利得」に配慮すべきである。
③なお「懲罰的賠償」制度も意識されるべきである。
【理由】
現実の消費者被害事件をめぐる裁判では,特に金融商品被害やフランチャイズ事件等において,あまりにも安易かつ奔放な過失相殺が行われている。せっかく消費者が違法性及び損害の立証に成功しても,「事業者の言うことをうのみにした」「利益を安易に求めた」「契約書をよく読まなかった」などという消費者のささいな「落ち度」を理由に大幅な過失相殺がなされているのが実際である(民事法研究会『先物取引被害と過失相殺―過失相殺の抑制に向けた理論と実務―』xx xxほか著参照)。これでは違法行為の抑止どころか現実に生じた被害回復も十分には図られず,悪質事業者の「やり得」が追認・助長されてしまう。かかる現状において,更に債権者の損害軽減義務を明文化し,それを過失相殺の判断要素とすることについては反対する。少なくとも,説明義務違反,誤導や不実表示,断定的判断の提供など,債権者の落ち度を誘発する事情が認められる場合には,過失相殺を口実に,債権者側の損害軽減を行うべきではなく,その判断に際しては,取引の性質,損害軽減,回避に向けた債務者側の関与の存否,程度,債権者側の知識,経験,理解,判断能力等の属性が考慮されなければならないとのルールが示されるべきである。
「損益相殺」についても消費者取引においては慎重に検討されるべきである。悪質業者の詐欺的取引により消費者が価値のない不要・不急の商品(xx商法での「山林・xx」等)が押しつけられることがある。消費者取引,とりわけ詐欺的取引における対象商品の価値については,換価が容易に可能であるなどの特段の事情がない限り,損益相殺されるべきではない((最高裁平成 20 年 6 月 10 日判決(ヤミ金五菱会)・最高裁平成 20 年 6 月 24
日判決(米国債詐欺事件)・最高裁平成 22 年 6 月 17 日判決(欠陥住宅事件)参照)。 なお,消費者被害救済の実務において,現在の損害賠償制度が被害の回復や被害の抑止に不十分であるとの認識がある。日弁連では,消費者の被害回復と事業者による違法行為の抑止するために,事業者に対する懲罰的賠償請求制度を求めている(日弁連人権擁護大会決議 2009 年 11 月 6 日『消費者被害のない安全でxxな社会を実現するための宣言』
xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xx_xxx/0000_0.xxxx
なお,日弁連第 52 回人権擁護大会第 3 分科会「安全でxxな社会を消費者の力で実現しよう ~消費者市民社会の確立をめざして~」基調報告書
1
( xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxx_xxxx/xxxxxxxxxxxx/xxxx/00xx_xxxxxxx_xxxxxx 0911 05_3.pdf)180 頁以下参照)。不法行為法と合わせた検討が必要になるが,債務不履行に基づく損害賠償の検討において懲罰賠償についても意識がなされるべきである。
2.金銭債務について「利息超過損害の賠償」
【中間論点整理「第3.6(2)」11 頁】
【配付資料(1)・意見書8頁】
【意見】
利息超過損害の賠償を認めることに反対である。
【理由】
金銭債務について利息超過損害の賠償を認めることに反対である。債権者が資金調達コストを請求することができるとなると,債務者は約定利息以上の過大な責任を負わされることになり不当である。特に消費者契約の場合には,過大な賠償責任を負わされる危険性がある(事業者から消費者に対する金銭債権請求がなされる際に,運用逸失利益・債権取立費用・弁護士費用など過大な賠償責任を負わされる危険性がある)。また,弁護士費用の敗訴者負担制度につながる懸念もある(日弁連 2004 年 10 月 14 日『弱者の裁判を受ける権利を侵害する「弁護士報酬敗訴者負担」法案に反対する決議』
xxxx://xxx.xxxxxxxxxxx.xx.xx/xx/xxxxxxx/xx_xxx/0000_0.xxxx 参照)。
3.(債権譲渡)「異議を留めない承諾(抗弁の切断)」(民法第 468 条)
【中間論点整理「第 13.3」51 頁】
【配付資料(1)・意見書 37~38 頁】
【意見の骨子】
①異議を留めない承諾の制度を廃止することに賛成である。
②包括的・抽象的な抗弁の放棄は認めるべきではない。
③抗弁権の放棄制度をあえて定めないという選択肢もあるのではないか。
【理由】
悪質出会い系サイト業者の債権が譲渡の上取立される等,債権譲渡に伴う消費者トラブルも多い。債務者の抗弁権を確保するために「異議を留めない承諾」の制度を廃止することには賛成である。もっとも,これに替わるものとして仮に抗弁権の放棄制度を条文化する場合には,債務者保護の観点から包括的・抽象的放棄を認めるべきではない等債務者の抗弁権の保護に最大限配慮すべきである(債務者にとっては抗弁権を放棄するメリットは通常は存しないことに鑑みれば何も定めない(一般ルールに委ねる)という選択肢もあり得るところである)。
4.債権の準占有者に対する弁済(民法第478条)
【中間論点整理「第 17.4(2)」58~59 頁】
【配付資料(1)・意見書 47~48 頁】
【意見の骨子】
2
①システム構築責任に関する規定を設けることに賛成である。
②「債権者の帰責事由の要否」については慎重に検討すべきである。
③民法 478 条の適用範囲を拡張することも慎重に検討すべきである。
【理由】
「善意無過失要件」について,現在の決済システムについては,単純な債務者の善意無過失という概念には包摂されていない利益考慮が必要であり,債務者の弁済時の善意無過失に加えて,判例(最判平成15年4月8日民集57巻4号337頁)上のシステム構築責任に関する規定を設けるべきとの提案に賛成である(今後もインターネット決済などが拡大することが予想される中で「システム構築者の責任」という考え方は抗弁権の接続なども含めて広く考慮されるべきである)。他方,「債権者の帰責事由の要否」については,盗難通帳等による銀行預金の払戻の場面において問題となったところである。帰責事由を要しないとする法解釈による救済が金融機関側における安全システム構築を遅らせた一因であるとの指摘もあり(xxxx『偽造カード補償問題を考える-預金者救済を図る法制整備を』金融財政事情 2005 年 3 月 21 日参照)慎重に検討されるべきである。同じ観点から,
「民法第478条の適用範囲」を弁済以外の行為に拡張することも慎重に検討されるべきである。
5.「契約自由の原則」
【中間論点整理「第 22.1」74 頁】
【配付資料(1)・意見書 50 頁】
【意見の骨子】
契約自由の原則と契約xx・xx等を併記すべきである。
【理由】
実務(民事裁判実務を含む)においては現状でも「契約自由」が一人歩きし,また形式的に理解され,それが行き過ぎている感が否めない。「契約自由」もあくまで強行規定,契約xx,xx,公序のもとで認められているものであることが忘れられているのではないかと感じることも多い。かかる現状において「契約自由の原則」だけを明文化することは,「契約自由のはき違え」を招く懸念がある。今日では契約内容のxxさということが強く要求され,「契約自由から契約xxへ」と言われている。「契約xx」への理解を欠いた「契約自由」は危うさを感じる。法律を使う立場にある者に契約自由も契約xx,xx・公序(良俗)等の制約を受けるという当たり前のことを(再)認識させるために,契約xx・xx・等を併記すべきである。
6.契約締結過程における説明義務・情報提供義務
【中間論点整理「第 23.2」76 頁】
【配付資料(1)・意見書 51~55 頁】
【意見の骨子】
①民法に説明義務・情報提供義務に関する規定を設けるべきである。
3
②説明義務等の存否を判断するための考慮事情を明記すべきである。
【理由】
消費者契約法制定当時に情報提供義務・説明義務が導入されようとしたが見送られた経緯がある。しかし,情報提供義務・説明義務を定める特別法やこれを認める裁判例も相当数蓄積しており(国民生活審議会消費者政策部会消費者契約法評価検討委員会平成 19 年 8 月
『消費者契約法の評価及び論点の検討等について』
xxxx://xxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxx/xxxx/x-000.xxx
23 頁以下参照),これを民法に明文化する「コンセンサス」は既に形成されていると考える。債権法改正の際には私法の一般ルールとしてもxxxに基づく説明義務・情報提供義務に関する規定を設けるべきである。但し,明文化に当たっては,事業者・消費者xxの各当事者の情報・交渉力の構造的格差や属性・専門性に十分配慮すべきである。説明義務等の存否を判断するために考慮すべき事情として,契約の内容・性質,当事者の地位・属性・専門性の有無,交渉経緯,勧誘の態様,問題となっている情報の重要性・周知性,情報の偏在の有無,当事者間の信認関係の有無等を明記すべきである。そして説明義務違反等の効果として,少なくとも事業者・消費者間においては,損害賠償責任に加え,消費者が契約を解消することができる権利(取消権)を認めるべきである(xxxx「契約規制の法理と民法の現代化」(民商 141 巻 1 号 38 頁)参照)。
7.消滅時効
【中間論点整理「第 36」110~117 頁】
【配付資料(1)・意見書 102~108 頁】
【意見の骨子】
消滅時効の短期化には反対である。特に債務不履行に基づく損害賠償請求権についての消滅時効の起算点は被害救済の観点から起算点を含めて権利者を保護すべきである。
【理由】
複雑な欠陥住宅被害など,消費者にとって損害賠償請求訴訟の提起は決して容易ではなく,被害救済の機会を奪う時効期間の短縮化には反対である。時効期間は債務不履行に基づく損害賠償請求権など被害救済のための債権にも大きな影響を及ぼすものであることを十分考慮すべきである。民事法においても,時効制度はそもそも不道徳な制度ではないのかという考えもあり,民事責任に関する時効・除斥期間という制度がxxの実現という観点からどのように評価されるべきかというxxから検討がなされるべきであるとの指摘がある
(xxxx『消滅時効・除斥期間と権利行使可能性』立命館法学xxxx年五号(二六一号)等)。消滅時効については,特に債務不履行に基づく損害賠償請求等,権利者の被害回復の場面においては短期化に反対である。また消滅時効の起算点については,現行法でも消滅時効の起算点を権利者救済の観点から「権利を行使することができる時」は必ずしも「客観的起算点」と理解されているわけではない。安全配慮義務事案等では,権利救済の観点
4
からむしろ主観的起算点に親和的な判断をしていると思われる。従って,例えば消滅時効の起算点については「債権発生の原因及び債務者を知った時」から 10 年とすべきである。
8.消費貸借
【中間論点整理「第 44.1~4」131~134 頁】
【配付資料(1)・意見書 122~127 頁】
【意見の骨子】
①中小零細事業者を含む借主を高利収受から保護する視点が不可欠である。
②典型契約としては要物契約を原則とすべきである。
③諾成的消費貸借における元本交付前の解除権(借りない権利)を保障すべきである。
④借主の期限前弁済の権利を保障し,利息相当損害は否定されるべきである。
【理由】
消費貸借については,商工ローン問題などで顕著なように,立場の弱い借主(中小零細事業者を含む)を貸主の略奪的な高利収受から保護する視点が不可欠であり,消費者契約の特則による消費者の保護だけでは足りない分野である。「諾成的消費者貸借」は許容するが,典型契約としては要物契約であることを原則とすべきであるし,それが一般市民の感覚に合うのではないか。「諾成的消費貸借」における目的物の交付前における借主の解除権は消費者に限らず借主全般に認めるべきである。現実に元本の交付がなされていないのであるから,民法の任意規定としては貸主に損害はないものとして消費者に限らず借主全般に解除を認めて良いと考える。「利息に関する規律の明確化」については,利息は,「合意」のみならず「元本の現実の交付」により発生するものであることを明らかにすべきである。合意があれば元本交付前でも利息の支払い請求が可能となるとの解釈を認める余地を残すべきではない。「期限前弁済に関する規律の明確化」については,期限前弁済がされた場合に,貸主に生じた損害(特に利息相当損害)を賠償しなければならないことを任意規定として明文化することには反対である(中小零細事業者を含めて)。「事業者が消費者に融資をした場合の特則」として,返還時期が定められている利息付消費貸借であっても,貸主が事業者であり,借主が消費者である場合には,借主は貸主に生ずる損害を賠償することなく期限前弁済をすることが許されるとの特則を強行法規として設けるべきであるとする考え方に賛成である。なお「営業的消費貸借」(利息制限法 5 条)については借主が事業者である場合についても損害賠償することなく期限前弁済ができることを強行法規として定めるというアプローチもありうる。
9. 賃貸借終了時の原状回復
【中間論点整理「第 45.7(2).1」139~140 頁】
【配付資料(1)・意見書 134 頁】
【意見の骨子】
①原状回復から通常損耗・自然損耗が含まれないことを明文化する(消費者については強行法規化する)ことに賛成である。
5
②「用法違反による損害賠償請求権」の期間制限については現行法通りでよい。
【理由】
賃貸人を事業者とし,賃借人を消費者とする借家契約において,原状回復の範囲に「通常損耗」及び賃借物の経年変化に伴う「自然損耗」が含まれないことを片面的強行法規として明文化することに賛成する。前項の通常損耗又は自然損耗を賃借人の原状回復の範囲に含める特約や賃借人の原状回復義務を加重する特約は無効とすべきである。そして,消費者契約に限らずに上記のような規定を設けることも検討すべきである。
「用法違反による損害賠償請求権についての期間制限」については,賃借物の目的物引渡後は,目的物は賃貸人の支配下におかれることとなり,賃貸人は早期に用法違反を把握できる一方で,目的物から離れた賃借人には長期間経過後に用法違反という検証困難な理由により予期しない損害賠償請求を受ける懸念があるから現行法通りでよい。
10.「サービス契約」(役務提供契約・請負・委任等・継続的契約)
【中間論点整理「第 47~50.第 60」142~161 頁,181~183 頁】
【配付資料(1)・意見書 135~157 頁,165~170 頁】
【意見の骨子】
役務受領者の任意解除権の保障と損害賠償の制限に留意すべきである。
【理由】
現代社会においては,在学契約,語学学校の受講契約,エステティックサロンの施術契約等「サービス契約」が占める割合が高まっている。加えて,サービス契約は,消費者契約として締結されることも多く,また「継続的契約」として締結されることが多いが,サービス契約の解約の可否,違約金の内容につき,消費者,事業者間でトラブルが生じやすい。日本の家計消費支出におけるサービス支出の占める割合は32.6%(1984 年)から41.
5%(2007 年)に増加し,「モノ」から「サービス」へシフトしている(内閣府『平成 20年度版国民生活白書 消費者市民社会への展望-ゆとりと成熟した社会構築に向けて-』 xxxx://xxx0.xxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxxxxxx/x00/00_xxx/00_xxxxxx/xxxxx.xxxx
9 頁以下)。
同白書によると「国民生活センター・消費生活センターに寄せられるサービスに関連する相談件数の占める割合」は,「2000 年度に商品全体を上回り,その後も増加し,2007 年には 65.1%を占めており,サービス化の進展とともにサービス分野におけるトラブルは増えている」とある(26 頁)。「サービス化に伴う消費者トラブルの増加」の理由として「そもそもサービス業は,供給者である企業が圧倒的にサービスの質の情報を保有していたとしても需要者である消費者がほとんど知り得ないという意味で,両者間で情報の非対称性が大きい分野であり,製造業に比べてサービスの質の評価が難しく,サービス内容が価格に見合っているのか判断しにくいという問題を抱えている」とあり,また「サービスは一旦購入してしまうとそれを製品のように返却・交換することが難しく,一般的に損害回復の手段が限られるという問題を抱えている」との指摘がなされている(24 頁)。
6
また,独立行政法人国民生活センター『消費生活年報2010』
(xxxx://xxx.xxxxxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxx.xxxx)によると
2009 年度に国民生活センターで受け付けた相談の総件数は 9,989 件のうち,商品・役務別の構成比では「商品」が 33.0%(3,297 件)であるのに対し,「役務」は 65.4%(6,530 件)でにも及んでいるところ(64 頁),経由相談の内容別分類では,「契約・解約」が 4810 件
(90.5%)と1位となっている(70 頁以下。2位は「販売方法」3007 件(56.6%))。 このように「サービス契約」はトラブルが多く,また中でも「解約」をめぐるトラブルが多い分野であると言える。特定商取引法における「継続的役務提供」においてはクーリングオフと並んで中途解約権及び損害賠償の制限が民事ルールとして設けられているが,民法において役務提供契約を検討する際にも常に役務受領者の任意解除権とその場合の損害賠償の制限に目配せをする必要がある。実務では「準委任」に該当するとした上で委任の任意解除権を行使するという法律構成が広く用いられてきた。サービス契約を検討する場合には「任意解除権」が保障されるよう,またその際の「損害賠償」が過大とならないよう注意すべきである。
11.消費者契約の特則について(追加検討すべき事項)
【中間論点整理「第 62.2」184~185 頁】
【配付資料(1)・意見書 181 頁】
【意見の骨子】
①消費者契約の特則として状況の濫用・不当勧誘一般の消費者取消権などを創設すべきである。
②これらの消費者契約の特則の法制化は民法改正と同時に消費者契約法を改正する方向で立法化することが望ましい。
【理由】
状況の濫用,不当勧誘一般を理由とした消費者取消権の創設などは,日本弁護士連合会が従前から求めているところであり,早期立法化が望まれるところである(1999 年 10 月 22
日付け「消費者契約法日弁連試案」,2006 年 12 月 14 日付け「消費者契約法の実体法改正に関する意見書」)。 ただし,消費者契約に関する特則の法制化は,民法と同時に消費者契約法を改正する方法で立法化することが望ましい。
消費者契約に関する特則として,立法化が検討されるべき事由としては,下記のようなものがある(ただし,消費者契約に関する不当条項リストの詳細な内容については,当該論点における記載に譲る)。
① 不実表示規定についての事業者から消費者への取消権行使の制限
② 状況の濫用,不招請勧誘,不当勧誘一般を理由とした消費者取消権の創設,適合性原則による無効の創設
③ 契約条項の明確化・平易化規定の新設
④ 不意打ち条項の新設
⑤ 法定追認事由から「履行の全部又は一部の受領」「担保の受領」の削除
⑥ 消費者契約の取消権行使の効果に関する現存利益の特則の明文化など。
以上