M当初=(p1×D1+p2×D2+・・・pm×Dm)×105/100 M変更=(p’1×D1+p’2×D2+・・・p’m×Dm)×105/100
130128ver
工事請負契約書第25条第5項〔単品スライド条項〕
アスファルト類に関する運用マニュアル(案)
平成25年1月
東北地方整備局 企画部 技術管理課
アスファルト類についての運用について
平成20年9月10日付通達において、地域によって著しい価格の上昇が見られる資材について、受注者からの請求に基づき、発注者が請負代金額への影響があると判断した場合についても、単品スライド条項の適用対象品目とすることができるとしたところである。
この場合には、鋼材類の取扱に準ずる事としているが、アスファルト類が対象品目となる場合の運用については下記のとおりとする。なお、以下に記載していない事項については「単品スライド条項運用マニュアル(暫定版)平成 20 年 7 月 16 日」の「鋼材類」に準じ実施されたい。
1.価格高騰の理由
○対象としようとする品目について、その価格とその上昇の理由の内訳の根拠を把握することが必要。
・単品スライドの対象としようとする品目の価格高騰の理由として、工事請負契約書第
25条第5項に「特別な要因」とされており、原油価格の引き上げに伴う原材料価格の引き上げのように、その原因について、発注者と受注者が共通の認識をもって、その影響の重要性を客観的に認められるような理由が必要である。このため、対象としようとする品目については、その品目の原材料や加工費、運搬費等毎に、価格内訳根拠及び高騰理由が明確になるよう、受注者に情報提供を求めることが必要である。
2.対象材料の考え方
○対象材料は、アスファルト混合物、アスファルト乳剤、ストレートアスファルト、改質アスファルト等が想定される。
・対象材料については拡充通達では規定はしておらず、対象材料については工事毎に協議により決定する。直轄工事において一般的に使用されているアスファルト類は、アスファルト混合物とアスファルト乳剤であるが、原油価格の変動と連動して価格が変動しているストレートアスファルト、改質アスファルト、その他アスファルトを主要材料としたものも対象材料とすることができる。
3.対象数量
○アスファルト類は、設計図書に数量が記載されていない場合が一般的であるため、発注者の設計数量の数量内で、施工によるロス等の数量についても加味することができる。
○性能規定方式等により、積算時の想定と実際の施工時の舗装構成が異なる場合は発注者の設計数量を対象数量とする。
・アスファルト類については、設計図書に舗装面積等としては示されてはいるが、舗装材の数量(重量)が示されていない場合が一般的である。積算上は、舗装材の数量は下記式により計算されている。
(アスファルト混合物の重量)
面積 × 厚さ × 締め固め後密度※ ×(1+ ロス率※ )
アスファルト乳剤の散布量
面積 × 散布量※
※締め固め後密度及びロス率、アスファルト乳剤散布量は標準的な数値が国土
交通省土木工事標準積算基準書に記載されているが、それによりがたい場合は別途考慮する。
・上記により算出した発注者の設計数量と証明された実際の購入数量のどちらか小さい方を対象数量とする。具体的には、下記のとおりである。
証明された数量と対象数量の考え方(設計図書に数量の記載がない場合)
証明数量≦設計数量
設計数量<証明数量
→ 対象数量は証明数量
→ 対象数量は設計数量
注)
設計数量:上記により算出した数量
証明数量:請負者から証明された数量
・しかし、設計図面において数量が明記されている場合は、鋼材類の場合と同様、その数量・搬入月を証明できない場合は当該材料はスライドの対象としない。
証明された数量と対象数量の考え方(設計図書に数量の記載がある場合)
証明数量<設計図書の数量
→ 当該材料は対象材料とならない
設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 → 対象材料。対象数量は証明数量
設計数量<証明数量 → 対象材料。対象数量は設計数量
注) 設計図書の数量:設計図書(数量総括表や図面等)に記載されている数量設計数量:設計図書の数量にロスを加えた数量(積算上の数量)
証明数量:請負者から証明された数量
・なお、発注者の設計数量は、新土木積算システムを使用している場合は、使用材料一覧表として材料毎に集計した結果が出力されている。
・舗装工事は性能規定で発注されている場合もあり、必ずしも発注者が設計時点で想定したものと、実際に施工したものが一致しているとは限らない。この場合、鋼材類の任意仮設と同様に、対象数量は発注者が想定した舗装材についてその設計数量を対象数量とする。
・施工パッケージ型積算方式による場合の数量の算出方法については、技術管理課基準第一係に相談すること。
4.請求時期
○請求時点でスライド額が確定できない場合は、概算額で良いこととする。また、単品スライド条項の協議開始時は、原則として証明資料を添付することとするが、施工時期の関係上、証明資料(領収書等)の提出が困難な場合は、証明資料が揃い次第提出するものとし、スライド額を確定させることとする。
5.受注者への確認事項
○納品書・請求書・領収書等による証明が困難な場合は、社内書類等で確認。
・自社内での取引であったため、納品書、請求書、領収書等が存在しない場合は、それに変わる社内書類で購入価格の証明を求める
○工場渡しで購入した場合、運搬費の証明が困難な場合には、計算式より算出。
・受注者からの証明は、取引が工場渡しである場合は運搬費に要した金額を併せて証明(燃料油と同様)。運搬費用の算出が困難な場合には、燃料油と同様に計算式により算出することとする。ただし、物価資料(現着単価)と比較して安価の単価をスライド額算定に用いるものとする。
(参考)
仮に情報公開により、単品スライドの証明資料について開示請求があった場合には、社内書類も開示する方針である。
6.単価(変動後の実勢価格の算定)
○実勢価格は、対象材料を搬入した月の翌月の物価資料の価格
・燃料油と同様、契約と購入がほとんど同時期に行われるものであるため、現場で購入した翌月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
7.ユニットプライス型積算方式における取り扱い
○対象数量等については、積み上げ積算方式と同様の手法によること。
○なお、変動前の価格を算出するための単価は、設計時点における実勢単価
・ユニットプライス型積算方式においても、積み上げ積算方式同様に設計図書に数量が明記されておらず、材料単価についても設定されていない。
・このため、ユニットプライス型積算方式においても、積み上げ積算方式の手法に準じて、設計上の数量を算出するものとする。
・また、単品スライドの請求の対象とする資材にかかる単価が、単価合意時において価格の内訳として予め提出されている場合は、設計時点の実勢価格に換わって、その価格を変動前の実勢価格とすることができる。
・変動後の単価については6による。
8.総価契約単価合意方式によるスライド額の算出方法
1)単品スライド額の算定は、単価個別合意方式においては「合意単価」、単価包括合意方式においては「請負比率に官積算単価を乗じた単価」を基に行うものとする。
2)単品スライド額の算定
受注者と協議するためのスライド額は、次式により算定すること。
S=(M変更-M当初)-P×1/100
M当初=(p1×D1+p2×D2+・・・pm×Dm)×105/100
M変更=(p’1×D1+p’2×D2+・・・p’m×Dm)×105/100
S :スライド額
P :最終精算後の請負代金から出来高部分払いに相応する請負代金を控除した額 M当初:価格変動前の対象資材の金額
(「価格変動前細別(L4)官積単価×直近の単価合意比率」を基にした対象資材総額)
M変更:価格変動後の対象資材の金額
(「価格変動後細別(L4)官積単価×直近の単価合意比率」を基にした対象資材総額) p :設計時点における各対象材料の単価
p’ :価格変動後における各対象材料の単価 D :各対象材料について算定した対象数量
3)単品スライド(アスファルト合材、増額)の計算例
対象材料 : 再生密粒度As20T 改質Ⅱ型
積算単価(再生密粒度As20T 改質Ⅱ型) | 2,300 円/m2 |
合意単価(再生密粒度As20T 改質Ⅱ型) | 2,045 円/m2 |
対象数量(t) | 2,515 t |
※包括合意の場合は「設計金額」を記載
※包括合意の場合は「請負代金額」を記載
再生密粒度As20T 改質Ⅱ型 | 設計時点 | 現場搬入時点 | ||
H24.6 | H24.9 | H24.10 | H24.11 | |
各月の実勢価格(円/t) | 14,700 | 16,200 | 16,500 | 16,700 |
合意単価を反映した各月の実勢価格(円/t) | 13,070 | 14,404 | 14,671 | 14,848 |
搬入又は購入時の価格(円/t) | 16,500 | 16,500 | 16,500 | |
搬入又は購入時の数量(t) | 2,515 | 800 | 800 | 915 |
※各月の実勢価格は翌月単価を使用
※合意単価を反映した各月の実勢価格 = 各月の実勢価格 ×
合意単価 ※包括合意の場合は「請負代金額」積算単価 ※包括合意の場合は「設計金額」
2,045
合意単価を反映した設計時点の実勢価格 = 14,700 × = 13,070 円/t
2,300
○価格変動前の金額 : M当初
=設計時点の合意価格×対象数量×(1+消費税率)
= 13,070×2,515×(1+0.05)= 34,514,602(円未満切捨て)
○価格変動後の金額 : M変更
=搬入月の合意単価を反映した実勢価格(加重平均)×対象数量×(1+消費税率)
= 14,404×800+14,671×800+14,848×915
800+800+915
× 2,515 × (1+0.05)
= 38,686,987(円未満切捨て)
○実購入金額
=搬入月の購入時の価格×対象数量×(1+消費税率)
=(16,500×800+16,500×800+16,500×915)×(1+0.05)= 43,572,375
※この場合、価格変動後の金額「M変更」は、合意単価を反映した実勢価格と実購入金額を比較し、安価である合意単価を反映した実勢価格を採用
(それぞれの品目毎の変動後の金額は、実勢価格に基づき算出した額と実際の購入金額とのどちらか低い方とする)
○変動額
= M変更 - M当初
= 38,686,987 - 34,514,602 = 4,172,385
○スライド額
= 変動額 - 最終精算後の請負代金 × 1%
= 4,172,385 - 262,500,000×1/100
= 1,547,385
※最終精算後の請負代金が262,500,000円の場合
○スライド額(S′)
=スライド額×100/105 = 1,547,385 × 100/105 =1,470,000(万円未満切捨て)
○消費税相当額
73,500
=スライド額(S′)×0.05 = 1,470,000 × 0.05 =
○単品スライド額(S)
1,543,500
=スライド額(S′)+消費税相当額 = 1,470,000 + 73,500 =
(参考)
対象数量(設計数量、証明数量)が異なる場合の計算例
ケース1 : 対象数量が証明数量の場合
再生密粒度As20T 改質Ⅱ型 | 単位 | 6月 | 9月 | 10月 | 11月 | 数量比較 | 受注者の購入価格の評価 | M変更 | M当初 | |
証明数量 設計数量 | p’*D*1.05 | 少ない額を採用 | p*D*1.05 | |||||||
資材搬入数量 | t | 800 | 800 | 915 | 2,515 ≦ 2,550 | 運用マニュアル(暫定版) 1-5-1スライド額算定の方法についてより「証明数量≦設計数量」のため、受注者の購入価格をそのまま採用 | 38,686,987 | 34,514,602 | ||
受注者:搬入又は購入時数量 | t | 800 | 800 | 915 | 2,515 | |||||
受注者:購入単価(購入価格) | 円/t | 16,500 | 16,500 | 16,500 | 16,500 | 43,572,375 | ||||
発注者:実勢価格(物価資料等) | 円/t | 14,404 | 14,671 | 14,848 | 14,650 | 38,686,987 | ||||
発注者:設計時点の価格(物価資料等) | 円/t | 13,070 | ||||||||
変動額 = M変更 - M当初 | 変動額 = 38,686,987 - 34,514,602 = 4,172,385 |
ケース2 : 対象数量が設計数量の場合
再生密粒度As20T 改質Ⅱ型 | 単位 | 6月 | 9月 | 10月 | 11月 | 数量比較 | 受注者の購入価格の評価 | M変更 | M当初 | |
証明数量 設計数量 | p’*D*1.05 | 少ない額を採用 | p*D*1.05 | |||||||
資材搬入数量 | t | 800 | 800 | 915 | 2,515 > 2,480 | 運用マニュアル(暫定版) 2-5購 | ||||
入価格の評価方法より「設計数 | ||||||||||
受注者:搬入又は購入時数量 | t | 800 | 800 | 915 | 2,515 | 量<証明数量」のため、設計数 | 16,500×2, | 515×1.05×(2, | 480/2,515) | |
量を証明数量で割り、受注者の | ||||||||||
受注者:購入単価(購入価格) | 円/t | 16,500 | 16,500 | 16,500 | 16,500 | 購入価格に乗じる | 42,966,000 | |||
発注者:実勢価格(物価資料等) | 円/t | 14,404 | 14,671 | 14,848 | 14,650 | 38,148,600 | 38,148,600 | 34,514,602 | ||
発注者:設計時点の価格(物価資料等) | 円/t | 13,070 | ||||||||
変動額 = M変更 - M当初 | 変動額 = 38,148,600 - 34,514,602 = 3,633,998 |
ス ラ イ ド 調 書
(様式-4-1)
工 事 名 | |
請 負 代 金 額 (消費税相当額含む) | |
設 計 書 金 額 (消費税相当額含む) | |
工 期 | 自) 平成 年 月 日至) 平成 年 月 日 |
ス ラ イ ド 額 (S) | |
うち取引に係る消費税及び地方消費税の額 |
支出負担行為担当官
○○地方整備局長
又は
分任支出負担行為担当官
○○地方整備局
○○事務所長
(様式-4-1)
<別添>
○○○○○工事に係る物価の変動に基づくスライド額計算書
①請負代金額 (消費税額含む) | |
②設計書金額 (消費税相当額含む) | |
③既済部分出来高金額 (消費税相当額含む) | |
④スライド対象請負金額(①-③) (消費税相当額含む) | |
⑤(M変更-M当初)又は(受注者の購入金額-M当初)の安い方 (消費税含む・落札率考慮) |
1)スライド額
S=(M変更-M当初)-P×1/100
= ⑤ - ④ × 1/100 =
M当初 = {p1×D1+p2×D2+・・・・・+pm×Dm}×105/100
M変更 = {p’1×D1+p’2×D2+・・・・・+p’m×Dm}×105/100 M変更 : 価格変動後のアスファルト合材類の金額
M当初 : 価格変動前のアスファルト合材類の金額 p : 設計時点における各対象材料の単価
p’ : 価格変動後における各対象材料の単価 D : 各対象材料について算定した対象数量
2)スライド額(S’)=スライド額×100/105=
(万円未満切り捨て)
3)消費税相当額=スライド額(S’)×0.05=
4)スライド額(S)=スライド額(S’)+消費税相当額=