Contract
教育的、科学的及び文化的性質の視聴覚資材の国際的流通を容易にする協定(仮訳)
1948 年 第3回ユネスコ総会採択
1954 年8月 12 日 効力発生
この協定の署名国政府は、
教育的、科学的及び文化的性格を有する視聴覚資材の国際的流通を容易にすることによって、国際連合教育科学文化機関の諸目的に従い、言語及び表象による思想の自由な交流が促進され、ひいては諸国民間の相互理解が増進されることを確信し、次のとおり協定した。
この協定は、第2条に明記する種類の視聴覚資材で教育的、科学的又は文化的性格を有するものに適用する。
視聴覚資材は、次の塲合、教育的、科学的又は文化的性格を有するものとみなす。
(a) その本来の目的又は趣意が本件又は本件の一部面の発展を通じて教育し又は報道するものであるとき、又はその内容が知識を維持し、増進しもしくは普及し、かつ国際理解及び善意を増進するとき、及び
(b) その資材が代表的、真正、かつ正確であるとき、及び
(c) その技術的特質が資材の使用を妨げないようなものであるとき。
前条の規定は、次の種類及び形式の視聴覚資材に適用する。
(a) 露出現像済の陰画形式又は焼付現像済の陽画形式における映画、フィルムストリップ及びマイクロフィルム。
(b) すべての種類及び形式の録音物。
(c) ガラス製スライド、模型(静止したもの及び動ぐもの)、壁掛け用図表、地図及びポスター
これらの資材は、以下「資材」と称する。
第 3 条
1 各締約国は、その国に関してこの協定の効力が生じてから6か月以内に、他のいずれかの締約国の領域を原産地とする資材の輸入(xx的、又は暫定的かを問わない)に関し、すべての関税及び数量的制限の免除並びに輸入承認申請の必要の免除を許与する。
2 この協定におけるいかなる規定も、あらゆる物品の輸入に際して、このような物品が関税を免除される場合にも、例外なくかつその性質及び原産地に関係なく課せられる税、手数料、
賦課金又は取立金を資材に対して免除するものでない。このような税、手数料及び取立金は、名目的な統計手数料及び印紙税を含むが、これには限られない。
3 本条第1項に規定した特恵を受ける資格がある資材は、輸入国の領域において、この国の同様の製品に課するもの以外の又はより高いすべての内国税、手数料、賦課金もしくは取立金を免除し、かつその販売、輸送、もしくは配給に関し又はその加工、展示、もしくは他の使用に関するすべての国内法、規定又は必要条件に関して、この国の同様の製品に与える待遇より不利な待遇を与えないものとする。
4 この協定におけるいかなる規定も、いずれかの締約国がこの協定のいずれかの非当事国を原産地とする教育的、科学的又は文化的性格を有する同様の資材に対し、本条に規定された待遇を拒否することを、このような待遇の拒否が国際的責務又はこの締約国の通商政策に反する場合には、決して要求しないものとする。
1 締約国の領域内に輸入許可を申請する資材に対しこの協定によって規定された兔除を得るためには、かかる資材が第1条の意味する教育的、科学的又は文化的性格を有するものである旨の証明書を、通閧の際提出しなければならない。
2 証明書は、証明書が関係をもつ資材の原産地である国の適当な政府機関又は本条第3項に規定するところにより国際連合教育科学文化機関が、この協定附属の様式に従って発給するものとする。証明書の所定の様式は、締約国双方の合意によって改正又は修正することができる。但し、このような改正又は修正はこの協定に一致することを条件とする。
3 国際連合又はいずれかの専門機関によって認定された国際団体が製作した教育的、科学的又は文化的性格を有する資材に関する証明書は、国際連合教育科学文化機関が発給するものとするものとする。
4 このような証明書が提出されたときは、通関を請求される締約国の適当な政府機関が、その資材がこの協定の第3条第1項によって与えられる特恵を受ける資格を有するかどうかについて決定する。この決定は、その資材を審査した上、第1条に規定した基準を適用して行なうものとする。この審査の結果、通関を請求される締約国の右機関が、その資材の教育的、科学的又は文化的性格を認めないことを理由として、これに第3条第1項によって与えられる特恵を許与しない意向であるときは、資材の証明書を発給した政府、又はユネスコが証明書を発給したときはユネスコが、通関を請求される相手国の政府に対し、この資材に関する免除を支持する友好的申し入れをすることができるよう、最終的決定に先立ってこれに通告しなければならない。
5 通関を請求される締約国の政府機関は、資材の輸入者に対し、それがもっぱら非営利目的のために展示され又は使用されることを保証するため、制限を課する権限を有する。
6 本条第4項に規定された、通関を請求される締約国の適当な政府機関の決定は、最終的の
ものとするが、その決定をするに当っては、前記機関はこの資材の証明書を発給した政府、又はユネスコが証明書を発給したときはユネスコがするいずれの申し入れに対しても慎重なる考慮が払われなければならない。
この協定にかけるいかなる規定も、自国の法律に従い資材を検閲し、又は公共の安全もしくは秩序のため資材の輸入を禁止又は制限する措置をとる締約国の権利を害しない。
各締約国は、自国の領域内を原産地とする資材に対し発給する各証明書の写1通を国際連合教育科学文化機関に送付しなければならず、自国の領域内へ通関を請求された、他の締約国からの証明ずみ資材に対してとられた決定及び拒否の理由を国際連合教育科学文化機関に通報しなければならない。国際連合教育科学文化機関は、すべての締約国にこの通報を通知し、かつ英語及びフランス語によって、すべての証明及びこれに関してなされた決定を示す資材のカタログを保持しかつ公表しなければならない。
締約国は、この協定によって除去されない制限でかつ第1条に掲げられた資材の国際的流通を妨げるようなものを最小限度に緩和する手段を考慮することを共に約束する。
各締約国は、この協定が効力を生じてから6か月以内に、国際連合教育科学文化機関に対し、この協定の規定の実施を保証するために各自の領域内でとった措置について通報しなければならない。国際連合教育科学文化機関は、この通報を受領するごとに、これをすべての締約国に通知しなければならない。
1 国際司法裁判所規程の当事国である2国の間に、この協定の解釈又は適用に関して生ずるすべての紛争は、第4条及び第6条に関するものを除き、特殊な場合、当事国が他の解決方式に頼ることを同意しないときは、国際司法裁判所に付託するものとする。
2 紛争の生じた両締約又はそのいずれかの1国が国際司法裁判所規程の当事国でないときは、紛争は、関係両国が望むときは、各自の国の憲法上の規定に従い、1907 年 10 月 18 日ヘーグ で署名された国際的紛争平和処理条約に従って設置された仲裁裁判又は他のいずれかの仲裁 裁判に提訴するものとする。
第 10 条 この協定は、署名国による受諾のために開放される。
受諾文書は、国際連合事務総長に寄託するものとし、事務総長は、各寄託及び寄託の日につきすべての国際連合加盟国に通告しなければならない。
1 1950 年1月1日に又はその後に、この協定の署名国でないいずれかの国際連合加盟国及び国際連合事務総長がこの協定の認証謄本を送付したいずれかの非加盟国は、この協定に加入することができる。
2 加入文書は、国際連合事務総長に寄託するものとし、事務総長は、各寄託及び寄託の日につき国際連合のすべての加盟国及び前項に掲げた非加盟国に通告しなければならない。
1 この協定は、国際連合事務総長が第 10 条又は第 11 条に従い少なくとも 10 の受諾文書又は加入文書を受領した後 90 日で効力を生ずる。事務総長は、その後できる限りすみゃかに、本項に従いこの協定が効力を生じた日を明確にする議事録を作成しなければならない。
2 その後受諾文書又は加入文書を寄託する各国については、この協定はこの文書の寄託の日から 90 日後に効力を生ずる。
3 この協定は、国際連合憲章第 102 条及びこの条に基づき国際連合総会が作成した規則に従い、この協定が効力を生じた日に国際連合事務総長に登録するものとする。
1 この協定は、いずれの締約国も、この協定がその特定国に関して効力を生じた日から3年の期間の満了後これを廃棄することができる。
2 いずれの国によるこの協定の廃棄も、この国から国際連合事務総長にあてた文書による通告によるものとし、事務総長はすべての国際連合加盟国及び第 11 条に掲げたすべての非加盟国に対し、各通告とその受領の日を通告しなければならない。
3 廃棄は、国際連合事務総長によるこの通告の受領の日から1年後に効力を生ずる。
第 14 条
1 いずれの締約国も、署名、受諾又は加入の際、その国がこの協定を受諾することによって、この締約国が国際的義務を有するすべての又はいずれかの領域に関してはいかなる義務をも負担しない旨を宣言することができる。この場合には、この協定は、この宣言に掲げられた領域には適用しないものとする。
2 締約国は、この協定の受諾によって、その国が責任をもついずれかの又はすべての非自治
地域に関しては責任をとらないがこの締約国が受諾する際又はその後のいかなる時においても、右領域のいずれか又はすべてがこの協定を受諾することを通告することができる。このような場合、この協定は、国際連合事務総長が通告を受領した日から 90 日後に、この通告に挙げられたすべての領域に適用するものとする。
3 いずれの締約国も、第 13 条に規定した3年の期間の満了後のいずれの時においても、締約 国が国際的義務をもつすべてのもしくはいずれかの領域又はこの国が責任をもついずれかの、もしくはすべての非自治地域に対するこの協定の適用の停止を希望する旨を宣言することが できる。この場合、この協定は、国際連合事務総長が宣言を受領した日から6か月後に、こ の宣言に挙げられた領域に対する適用を停止するものとする。
4 国際連合事務総長は、すべての国際連合加盟国及び第 11 条に掲げたすべての非加盟国に対して、この協定によって受領した宣言及び通告をその受領の日を付して通報しなければならない。
この協定のいかなる規定も、締約国に対し、国際連合又はその専門機関のいずれかが製作し又は責任をとる資材に関して便宜、免税、特恵又は免除を規定する協定又は取極めを国際連合又はその専門機関のいずれかとの間に締結することを禁ずるものとみなしてはならない。
この協定の原本は、国際連合の記録に寄託し、1949 年7月 15 日レイクサクセスにおいて署名のため開放し、1949 年 12 月 31 日まで署名のため開放しておくものとする。この協定の認証謄本は、国際連合事務総長が国際連合の各加盟国並びに国際連合経済社会理事会と国際連合教育科学文化機関執行委員会との間の合意によって指定される他の政府に送付するものとする。以上の根拠として、下名の全権委員は、正当かつ適当と認められた各自の全権委任状を寄託 して、各自の署名に対応して掲げた日に、各自の政府のために、イギリス語及びフランス語の
本文をひとしくxxとするこの協定に署名する。
教育的、科学的及び文化的性質の視聴覚資材の国際的流通を容易にする協定の署名にあたって、下名の全権委員は以下のことに同意した。
1 国際連合事務総長は、国際連合教育科学文化機関加盟国の承認を得るよう提出されている第4条に規定された証明書の模範様式がユネスコ事務局長から送付された後、すみやかにそれをこの協定の原本に添付しなければならない。その後、国際連合事務総長は、その旨の報告書を作成し、その報告書及び送付された証明書の模範様式の謄本を関係国政府に通達しなければならない。
2 第 16 条に規定された開放の日が終る迄に国際連合事務総長は、国際連合教育科学文化機関執行委員会によって指定される非加盟国へ、この協定の認証謄本を送付しなければならない。
以上の証拠として、全権委員は、各自の署名に対応して掲げた日に、イギリス語およびフランス語の本文をひとしくxxとするこの議定書に署名する。
締約国は、
アメリカ合衆国が教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定に参加することを容易にするため、次のとおり協定した。
1 アメリカ合衆国は、後に規定する留保を付して、同協定第9条の規定に基づいて同協定を批准し、又は同協定第 10 条の規定に基づいてこれに加入することができる。
2 アメリカ合衆国が1の留保を付して同協定の締約国となる場合には、アメリカ合衆国政府は同協定の他のすべての締約国に対し、また、他のすべての締約国はアメリカ合衆国に対し、
1の留保を援用することができる。この場合において、1の留保に従ってとる措置は、無差別的に適用しなければならない。
留 保
(a) 教育的、科学的及び文化的資材の輸入に関する協定の適用を受けているいずれかの産品が同協定に基づいて締約国の負う義務の結果、当該締約国の領域内で同種の産品又は直接に競合する産品を生産する国内産業に対する重大な損害を与え又は与えるおそれがあるような増加した数量で、及びそのような損害を与え又は与えるおそれがある条件で輸入されている場合には、当該締約国は、2に定める条件に従い、当該産品につき、その損害を防止し又は救済するために必要な限度及び期間において、当該産品に関する同協定に基づく自国の義務の全部若しくは一部を停止することができる。
(b) 締約国は、(a)の現定に基づいて措置をとるに先だち、できる限り早目に国際連合教育科学文化機関に対してその旨の書面による通告を行なうものとし、また、同機関及び同協定の締約国に対し、その提案した措置に関して自国と協議する機会を与える。
(c) 遅延すれば回復しがたい損害を生ずるような急迫した事態においては、(a)の規定に基づく措置は、事前に協議することなく暫定的にとることができる。ただし、その措置をとった直後に協議することを条件とする。