本契約における甲と乙の義務の概要を表示し、「eスポーツ」の意味を定義しています。 この規定も前項と同様に、乙が本契約においてeスポーツ選手としてどのよう活動や 行為を行えば良いかを明確・具体的にするためのものです(この規定がないと、乙の義務内容が不明瞭になってしまいます)。 選手として活動するにあたり、eスポーツ業界全体のために、スポンサーやファンや社会からの信用を損なわないように活動する必要があります。
【解説】
序文
契約の当事者と契約の概要を記載しています。
第1条
本契約における甲と乙の義務の概要を表示し、「eスポーツ」の意味を定義しています。
本条以下の契約内容を明確にするためです。
この条項がないと、本契約で規定したい事項が抽象的・曖昧になってしまいます。
第2条
1項 本契約における「選手契約」の定義を記載しています。
この定義がないと、本契約において乙が履行する義務の内容が抽象的・曖昧になってしまい、乙にどのような活動を行う義務があるのかが分かりにくくなってしまいます。
左記の通り、大会への参加やトレーニング、イベント参加等が選手活動に含まれます。
本項は乙にとって、契約の根幹となる部分なので、自身が選手として行いたい活動が網羅されているかや、契約の範囲に含みたくない活動が記載されていないかをよく確認する必要があります。
2項 本契約において乙が履行すべき選手活動に関する義務を規定しています。
先ほど定義した1項の選手活動を行う義務に加え、その選手活動に付随する義務が定められています。
この規定も前項と同様に、乙が本契約においてeスポーツ選手としてどのよう活動や行為を行えば良いかを明確・具体的にするためのものです(この規定がないと、乙の義務内容が不明瞭になってしまいます)。
3項 前項と同様に、乙の義務が規定されていますが、本項では主に、乙の努力義務や道徳的な義務が規定されています。
選手として活動するにあたり、eスポーツ業界全体のために、スポンサーやファンや社会からの信用を損なわないように活動する必要があります。
グローバルセンス株式会社(以下、「甲」という。)と、本名(選手名)(以下、「乙」という。)とは、乙が甲のためにeスポーツ選手として活動し、乙が甲に対し当該活動に関するマネジメント業務を委託することついて、以下の通り契約(以下、「本契約」という。)を締結する。
第1条 〔目的〕
乙は、本契約期間中、甲に所属するeスポーツ選手として、以下で定める選手活動を行う。また、甲は乙から委託された選手活動に関するマネジメント業務を行い、乙の選手活動をサポートする。なお、本契約において「eスポーツ」とは、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す。
第2条 〔乙の義務〕
1 選手活動
本契約において、「選手活動」とは、以下に定める乙の一切の活動をいう。
(1) 甲の指定する競技大会、リーグ、トーナメント大会等(以下、「大会等」という。)に参加及び出場すること。
(2) 甲の指定するトレーニング、ミーティング、研修、合宿及び大会等の準備に必要な行事への参加。ただし、研修や合宿の内容については、事前に甲乙が協議した上で決定する。
(3) eスポーツに関連する、甲の指定するイベント、コンサート、ショー、インターネットその他の媒体を利用した配信等への出演。
(4) 甲又は甲の指定する第三者が指定するインターネットその他のサービスを利用した、画像、音声、動画等の配信を行うこと。
(5) その他の甲が指定する上記選手活動に関する一切の活動。
2 選手活動に関する義務
乙は、選手活動に関し、以下に定める義務を負う。
(1) 前項の選手活動に従事すること。
(2) 選手活動に際し、甲の指示に基づき、甲の支給するユニフォーム、服装、ゲームデバイス等の機材、アイコン、ヘッダー等を利用すること。
(3) 居住場所に関し、事前に甲の同意を得ること。
(4) 副業に関し、事前に甲の同意を得ること。
(5) 乙の疾病又は傷害に際して、速やかに甲に通知し、甲と協議の上、甲の指示に従うこと。
(6) その他甲及び乙が選手活動として行うゲームに関して組織されたチーム(以下、「チーム」という。)が必要と認めた事項。ただし、内容については甲乙の協議の上決定するものとする。
3 誠実義務
(1) 乙は、甲が加盟又は参加する大会等の諸規定を遵守するとともに、本契約を遵守し誠実に履行しなければならない。
(2) 乙は、プロ選手として自己の全ての能力を最大限甲に提供するため、常に最善の健康状態を保持し、能力の維持・向上に努めなければならない。
(3) 乙は、プロ選手として公私ともにeスポーツ界の模範たるべきことを認識し、eスポーツの信用を損なうことのないよう務めなければならない。
(4) 乙は、選手活動を行うにあたり、乙の全ての能力を最大限に発揮し、配信等においては、甲及び乙の信用・イメージを害することのないよう誠実に取り組まなければならない。
(5) 乙は、甲及び乙が選手活動として行うゲームに関しチームとして活動する者(以下、「チームメイト」という。)と協調し、トラブルが生じた際には平和的解決に向けて誠実に協議しなければならない。
4 禁止行為
4項 本項は、乙が行ってはならない行為が定められています。本契約に反する行為、違法行為、eスポーツの選手としての信用や品位を損なう行為が禁止されています。
契約上の禁止行為を明確にすることによって、乙においては選手活動が萎縮してしまう可能性を低くし、甲としては乙が契約違反行為を行ったか否かを判断しやすくなります(この規定がないと、甲にとっても乙にとっても、禁止行為が分かりにくくなってしまいます)。
第3条
1項 甲が乙に対して行うべきマネジメント業務の内容が記載されています。
本規定によって、乙としては、選手活動に関し、甲からどのようなサポートを受けられるかが具体的に把握でき、また甲がマネジメント業務を怠っているかどうかも分かりやすくなります(この規定がないと、甲にとっては乙に対してどのようなマネジメントをすべきかが、乙にとっては甲が契約を適切に履行しているかが分かりにくくなってしまいます)。
2項 甲のマネジメント業務に関する努力義務を規定したものです。
3項 本項は、乙の甲に対するマネジメントの委託が独占的なもの、つまり、乙が甲以外の者とマネジメント契約を締結したり、乙が甲に無断で独自に選手活動を行うことができない旨規定しています。
この規定がないと、乙が甲と契約しているにもかかわらず、甲以外の第三者からマネジメントを受けたり、乙自身の独断で選手活動が可能となってしまい、甲が乙の選手活動を管理できなくなりマネジメント業務の提供が困難になります。また甲が費用や人員等を負担して行ったマネジメント業務の成果に第三者や乙自身がただ乗りすることが可能となり、甲が乙に対してマネジメントを行うインセンティブがなくなってしまいます。
乙にとっては、本契約中に甲以外と契約を締結する機会がなくなるので、契約の際は慎重に検討が必要です。
第4条
本条は、甲の乙に対する報酬に関する規定です。具体的な金額や割合は別紙の報酬規定に記載されています。
この規定がないと、甲として乙にどのように報酬を払えばいいか、乙にとってはどの選手活動でどのような基準で報酬が支払われるかが不明瞭となってしまいます。
(2) 甲や、一般社団法人日本eスポーツ連合等の関係団体、及び大会等の承認が得られない広告宣伝・広報活動への参加又は関与。
(3) 本契約履行の妨げとなるような第三者との契約の締結。
(4) 甲の事前の同意を得ない、第三者の主催するeスポーツ又はその他の大会等への参加。
(5) チート行為、ドーピング、ゲームの利用規約違反その他大会等の結果に影響を与える不正行為への関与。
(6) ゲームの内外を問わず、甲又は他者への名誉毀損・信用毀損となる行為。
(7) 関係法令の定める暴力団、暴力団員及び準構成員、その他の反社会的勢力と関係を持つこと。
(8) その他プロ選手として品位に欠ける行為。なお、乙が外国に滞在する場合において、当該外国の法律上は違法行為でないとしても、本邦の法律上は違法な行為を行った場合も、品位に欠ける行為として扱う。
第3条 〔甲の業務〕
1 マネジメント業務
乙は甲に対し、本契約期間中に乙が行う選手活動について、以下の業務を独占的に委託し、甲はこれを受託する。
(1) ゲーム会社、eスポーツ大会主催者、及び一般社団法人日本eスポーツ連合等の関係団体との連絡、協議、交渉その他乙の契約締結に関する業務。
(2) テレビ、インターネット番組、及びイベント等への出演等に関する交渉その他乙の契約締結に関する業務。
(3) クライアント及びスポンサー(以下、「スポンサー等」という。)との交渉及び契約締結に関する業務並びにこれらの者に対する甲及び乙のPR資料の作成及び配布。
(4) 乙の選手活動に関するスケジュール調整及び管理。
(5) 乙の選手活動及び打ち合わせの際の同行。
(6) 乙の選手活動に伴う広告宣伝活動。
(7) Youtube、Twitch、Twitter等のソーシャルネットワークサービス、及び動画投稿・配信サイト、ブログ、その他これらに類するインターネットを通じて提供される利用者による表現活動を目的とした媒体(以下、「SNS等」という。)の利用に関する指導及び助言。
(8) スポンサー等に対する選手活動及び広告宣伝活動の対価の請求、受領、及び管理
(9) 乙の肖像権、パブリシティ権、著作権、著作者人格権及び実演家人格権その他知的財産xxの管理。
(10) その他の上記業務に付帯する一切の業務。
2 誠実義務
甲は、前項に関する業務を甲の裁量によって行うが、乙にとって最大限利益となるよう努めなければならない。
3 専属契約
第1項に関する乙の甲に対する業務の委託は独占的なものとし、本契約期間中は、同業務を乙自らが行う又は甲以外の第三者に委託してはならない。
第4条 〔報酬〕
1 乙が本契約期間中に行った選手活動、乙が大会等で得た賞金、及び第2条ないし第3条によって第三者から受け取る対価は、全て甲に帰属する。
2 甲は乙に対し、別紙報酬規定記載の報酬を支払う。ただし、当該報酬には消費税を除く、所得税、住民税その他一切の税金を含むものとする。
3 甲は、前項の報酬を、乙が指定する銀行口座に対し、振り込む方法によって支払う。ただし、手数料は甲の負担をする。
第5条 〔費用の負担及び機材の貸出し〕
1 乙が選手活動又は甲のために移動する際に必要な交通費及び宿泊費は甲が負担する。
2 乙の選手活動に必要な機材費、動画制作費等についても、原則として甲が負担するが、その負担額については、甲乙協議の上で決定するものとする。
3 前項に関し、機材等については、原則として甲が乙に対して貸与するものとし、それ以外の場合には甲乙協議の上で決定するものとする。乙は、甲から機材等の貸出しを受けた場合、xが返却を求めたときには、可能な限り早急に当該機材等を返却しなけ
第5条
乙が本契約の選手活動として支出した経費の負担や選手活動に必要な機材の利用方法が規定されています。
経費の負担や機材の提供を誰が行うのかを明確にするためです(この規定がないと甲と乙のどちらかが負担することになるかが不明瞭になってしまいます)。
第6条
1項 本項は、本契約における甲及び乙の著作権及び肖像権に関する規定です。
甲のマネジメントや乙の選手活動に関連し、様々な著作権や肖像xxの権利が発生します。
権利の帰属や、利用方法、第三者への許諾や権利の譲渡などを規定することで選手活動に関連する権利関係を明確にするものです。
権利関係は甲にとっても乙にとっても重要な事項です。契約締結を検討する選手目線としては、契約締結前に十分内容を確認し、内容に不明な点等がある場合は甲や専門家に質問するのが重要です。
2項 本項は、選手活動における乙のプレイヤーネームに関する規定です。
プレイヤーネームは乙が選手活動を行うに際して重要な要素ですが、甲のマネジメントによってプレイヤーネームが有名になった場合には、甲の支出した費用や労力等が反映されたものであることから、甲にとっても重要な要素となります。
したがって、プレイヤーネームに関する権利の帰属、本契約終了後のプレイヤーネームの利用方法を定める必要があります。
本契約における甲のマネジメント前から乙がプレイヤーネームを利用していた否か、本契約前から乙のプレイヤーネームに一定の知名度があったか否か等の諸事情を踏まえて、契約終了後の利用方法を検討し、左記内容を適宜変更するという方法もあります。
第7条
本契約締結中の乙のSNS利用に関する規定です。
SNSの利用方法、投稿内容、規定に反する利用をした場合や、本契約終了後の利用に関する規定です。
SNSの利用は、選手活動において、配信や告知等のために必要不可欠な手段ですが、一方で、著作権侵害や名誉毀損等、第三者の権利を侵害したり、不適切な投稿による炎上のおそれがあり、甲や乙やスポンサーが損害を被る可能性もあります。
そこで、SNSを利用しつつも、上記の諸問題が発生する可能性を低くするための規定が必要となります(この規定がないと、乙にとってSNSをどのように利用できるか、利用すべきかが分かりにくくなってしまいます)。
4 第2項及び第3項に基づき乙が甲から機材等の提供を受けた場合、乙は善良な管理者の注意をもって、当該機材等を利用及び保管するものとする。
5 乙は、選手活動に関し、出演費、機材費又は交通費等の名目で第三者から金銭を受領した場合には、甲に対して速やかに報告するとともに、当該金員の取扱いについて甲と協議するものとする。
第6条 〔権利の帰属〕
1 著作権、肖像xx
(1) 本契約期間中における、乙の選手活動に関する乙の氏名(芸名、プレイヤーネームを含む)、肖像、映像、筆跡等に関する一切の権利並びに選手活動により乙が取得する著作権(著作xx第27条及び第28条に規定する権利を含む)、著作者隣接権、及びパブリシティ権その他一切の権利は、甲に帰属し、甲の判断に基づいて利用することができる。
(2) 乙は、前項に基づき甲が取得した権利に関し、甲及び甲の指定する第三者に対し、著作者人格権及び実演家人格権を行使しないものとする。
(3) 甲は、第1項に基づき甲が取得した権利の一部又は全部を、甲の判断に基づき、第三者に許諾又は譲渡することができる。
(4) 甲は、本契約期間中、乙の氏名や肖像等を利用して商品化を行う権利を有し、第三者に対してその権利を許諾することができる。
(5) 甲又は甲が指定する者は、本契約の有効期間中に甲が取得した権利について企画、制作、又は創作されたものについては、本契約終了後においても引き続き利用、製作、及び販売することができる。
(6) 前項の場合を除き、本契約の有効期間中に甲が取得した権利に関し、本契約終了後の当該権利の取扱いについては、甲乙協議の上決定するものとする。
2 プレイヤーネーム
(1) 乙が選手活動を行う上で使用するプレイヤーネーム(本名であっても本契約期間中の選手活動において使用する限り、本契約においてはプレイヤーネームとして扱う)に関する権利は、本契約の有効期間中においては、甲に帰属する。
(2) 本契約終了後のプレイヤーネームの取扱い、標記方法等については、甲乙協議の上で決定するものとする。
(3) 本契約締結時又は本契約期間中にプレイヤーネームを決定した場合、甲の承諾がある場合を除き、乙は本契約終了後、当該プレイヤーネームを使用できないこととする。
第7条 〔SNS等の利用〕
1 乙は、本契約期間中にSNS等を利用する場合、あらかじめ当該利用の可否、方法その他一切の必要事項について甲と協議の上、甲の指示に従うものとする。本契約締結時において既にSNS等を利用している場合も同様とする。また、SNS等利用後の訂正、削除、補足等についても甲の指示に従うものとする。
2 乙は、SNS等を利用するにあたり、以下の内容を投稿する場合には、予め甲と相談し、その許可又は指示を得なければならない。
(1) 甲及びスポンサー等に関する情報を掲載する場合。
(2) チームメイトを含む他の選手に関する情報を掲載する場合。
(3) 他人(競技者に限らない)の写真や動画を掲載する場合。
(4) 雑誌、書籍、写真、絵画、彫刻、音楽等の著作物を掲載する場合。
(5) ネットオークション等のギャンブル性を有する情報を掲載する場合。
(6) 特定の製品や商品等を推奨する投稿。
(7) その他チーム又は選手が第三者からクレームを受ける可能性がある一切の情報を掲載する場合。
3 乙が前項の許可又は指示を得ずに、前項に定めるSNS等の投稿をした結果、甲が損害(スポンサー等との契約解除に関する損害、違約金、及び第三者への対応に要した費用等を含む)を被った場合には、乙は甲に対し、当該損害を賠償しなければならない。
4 甲と乙は、本契約終了後のSNS等の利用に関し、第6条2項での取扱いを準用する。
第8条 〔甲による契約解除〕
第8条
1項~2項 甲から本契約を解除することが可能な事由に関する規定です。乙が本契約で定められた義務を怠り、それを改善しなかった場合などは、甲が本契約を解除することができます。
3項~4項は、契約解除に付随する事項を規定しています。
5項 本件において、委任契約に関する民法651条(各当事者がいつでも契約を解除できる)の適用を排除する規定です。甲及び乙は同条に基づいて本契約を解除することはできません。同項がないと、双方が契約をいつでも解除できる可能性が生じてしまうため注意が必要です)、
第9条
1項 本項は、乙から本契約を解除することが可能な事由に関する規定です。
甲がマネジメント業務を怠った上で当該状態を改善しようとしなかったり、甲が本契約に定められた報酬を乙に支払わなかった場合などに、乙からの解除が認められます。
(4)は、例えば、本契約を継続できない程度に甲乙間の信頼関係が破壊されているような状況等(乙に特段の落ち度がないことを前提)を指します。
特に(1)や(4)がないと、甲がマネジメント業務を怠っているような場合でも、乙から解除できなくなり、乙にとって不当に契約に拘束されるおそれが生じてしまいます。
2項 1項記載の事由以外で乙が本契約を解除したい時の条件を定めています。
第10条
本契約の有効期間や、契約の更新方法、契約期間内の移籍方法等が規定されています。
この規定がないと、契約期間、契約期間中に移籍する際の条件、及び契約期間後の契約更新や移籍の方法が曖昧になってしまいます。
第11条
本契約を修正する時の方法が規定されています。
契約締結後の契約内容を修正する必要が生じた際の方法を明確にするものです。
第12条
甲や乙が、本契約に関して知った秘密や第三者の情報を外部に漏洩しないための条項です。
契約上知り得た甲、乙及び第三者の秘密や重要な情報が外部に漏れた場合、多大な損害を与えるおそれが生じるため、それを防止するための規定です。
第13条
甲や乙が本契約の義務を怠ったことにより損害が発生した場合には、損害賠償請求ができることを明確化した条文です。
(1) 本契約の定めに違反した場合において、甲が乙に対し当該違反に関する是正を勧告したにもかかわらず、相当期間内に当該違反状態が是正されなかったとき。
(2) 疾病又は傷害により選手活動を含む本契約の義務を履行する能力を喪失したとき。
(3) 刑罰法規に抵触する行為を行ったとき。
(4) 甲及びスポンサー等の信用・名誉を毀損する行為を行ったとき。
(5) 甲の秩序風紀を乱したとき。
(6) 上記の他、本契約の継続が困難と認められる客観的な事情が生じたとき。
2 前項の規定にかかわらず、甲はその裁量により、2週間前の乙に対する書面での通知により本契約を解除することができる。
3 第1項及び第2項による契約解除は、甲の乙に対する損害賠償請求を妨げない。
4 第1項及び第2項により契約を解除した場合、甲は乙に対し、契約解除通知を発信した日を基準として日割り計算により基本報酬を支払う。変動報酬については別紙報酬規定の通り支払う。
5 本契約において、民法第651条は適用しないものとする。
第9条 〔乙による契約解除〕
1 乙は、次の各号のいずれかに該当する事由が生じた場合、甲に対し書面により通知することにより、本契約を直ちに解除することができる。
(1) 甲が本契約の定めに違反又は本契約で定めた義務を履行しない場合において、乙が甲に対し当該違反又は義務の履行に関する是正・改善を勧告したにもかかわらず、相当期間内に当該状態が是正・改善されなかったとき。
(2) 甲が本契約に基づく報酬等の支払いを約定日から14日を超えて履行しないとき。
(3) 著しい生活環境の変化により、選手活動が困難になった場合。
(4) 上記の他、本契約の継続が困難と認められる客観的な事情が生じたとき。
2 前項の規定にかかわらず、甲と協議の上で本契約を解除することができる。この際、甲は乙と誠実に協議しなければならない。
第10条 〔契約有効期間及び移籍〕
1 本契約の有効期間は、●年●月●日から●年●月●日とする。
2 甲及び乙は、本契約有効期間満了日までに、本契約の更新について誠実に協議する。
3 本契約の有効期間中に、甲又は乙が、乙に関する他のeスポーツチームへの移籍又はトレードを希望する場合には、甲乙間で協議の上、その可否及び内容を決定するものとする。移籍又はトレードした場合には、移籍又はトレードした日の前日終了時点をもって本契約を終了とする。
4 乙は、本契約の有効期間中において、他のeスポーツチーム等と選手活動に関する契約交渉を行うことはできない。他のeスポーツチームから乙に対して、契約交渉等の連絡があった場合には、乙は直ちに甲に報告し、甲乙間で協議した上で、甲の指示に従うものとする。ただし、本契約の有効期間満了日の3ヶ月前から、本契約終了後の選手活動に関する契約交渉を行うことができる。
第11条 〔修正〕
本契約は、甲及び乙の署名又は押印のある文書によってのみ修正され得るものとし、口頭による修正は効力をもたないものとする。
第12条 〔秘密保持〕
1 甲及び乙は、本契約の内容を第三者に開示してはならない。ただし、事前に相手方から書面による承諾を得た場合はこの限りではない。
2 乙は、本契約を通じて知った甲の業務上の秘密及び第三者の情報について、既に公になっている情報を除き、第三者に開示又は漏洩してはならない。
第13条 〔損害賠償〕
甲又は乙は、相手方が本契約の内容に違反又は義務の履行を怠った場合に、それによって自身が被った損害を請求することできる。
第14条 〔準拠法〕
本契約は、日本法によって解釈されるものとする。
第14条
本契約の解釈は日本の法律に則って解釈され、外国の法律は適用されないという規定です。
第15条
本契約に関し、万が一紛争が起きてしまい、訴訟や調停等の裁判手続を経る場合には、裁判所の管轄を限定し、東京地方裁判所で行うことを定めた規定です。この規定がないと、法律上の管轄(民事訴訟法4条以下)に則って裁判所が決まります。
第16条
本契約に関して甲乙間で紛争が生じてしまった場合には、双方が話し合いで解決を目指し最大限努力するという規定です。
第17条
第6条、第12条、第16条に関しては、本契約が終了した後であっても効力が残ることを定めた規定です。
この規定がないと、権利関係や秘密保持などに関し、本契約が終了した時点で全て白紙になってしまい、本契約で規定した意味がなくなってしまいます。
第15条 〔合意管轄〕
本契約から生じる一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第16条 〔紛争の解決〕
本契約の解釈又は本契約の履行に関して甲と乙との間に紛争が生じたときは、甲及び乙が、その都度、誠意をもって協議の上解決する。
第17条 〔存続条項〕
第6条、及び第12条ないし第16条の規定は、本契約終了後も有効に存続する。
本契約書は同時に正本2通を作成し、甲の代表者および乙が署名し、それぞれ1通ずつを保管する。
甲
住所 東京都千代田区神田佐久間町
一丁目8番4号アルテール秋葉原708
グローバルセンス株式会社
代表者代表取締役 工藤 貴之
乙
住所
氏名
乙の法定代理人(親権者又は後見人)※乙が未成年の場合
住所
氏名
別
第4条で規定した甲の乙に対する報酬について、どのような選手活動に関し、どのような基準で報酬が発生するかが具体的に記載されています。
具体的な金額や割合については、乙の経歴や乙の能力等を踏まえて、甲と乙で協議して決めることになるため、左記の割合はあくまで一例ということになります。
基本的には会社側から選手側に対してまずは金額や条件等が提示されることがほとんどです。
選手としては、その場で決めるのが心配な場合には、疑問点を甲に質問したり、一度持ち帰って親や専門家に相談しながら検討するのも重要です。
紙報酬規定本契約第4条2項に定める報酬の内容について以下の通り定める。
1 基本報酬
月額●円とする。
2 変動報酬
甲は乙に対し、乙の選手活動に関して下記表の報酬発生事由が生じた場合には、第三者から当該事由に関して受け取った金銭に関し、甲が支出した諸経費を控除した残額について(諸経費の控除は最大で甲が受け取った金銭の5割とする)、下記表の報酬割合を乗じた金銭を変動報酬として支払う。
本契約解除後の支払いに関し、大会等及びイベント出演については、解除時に当該業務の履行が完了しているものについては報酬割合に従って支払い、解除時に当該業務が未履行の場合には支払わない。その他の報酬発生事由については、契約解除通知を発信した日を基準として日割り計算により支払う。
-
報酬発生事由
報酬割合
大会等において賞金等の対価を得た場合
5割
イベント出演料その他活動において報酬(交通費等の名目を問わない。)を得た場合
5割
グッズロイヤルティ(乙個人の係るグッズ)
甲が得た利益の30%
上記以外で、第2条1項ないし2項に関し報酬が発生した場合
以上
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