Contract
京都第二赤十字病院
治験審査委員会 業務手順書
第10.2版
西暦2023年1月1日
京都第二赤十字病院 治験審査委員会業務手順書
第1章 治験審査委員会 (目的と範囲)
第1条 本手順書は京都第二赤十字病院治験業務手順書、製造販売後調査業務手順書に基づいて治験審査委員会(以下「委員会」と言う。)の運営に関する手続き及び記録の保存方法を定めるものである。
2 医薬品の製造(輸入)承認申請又は承認事項一部変更申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験については、厚生省令第28号(平成9年3月27日)・薬発第430号(平成 9年3月27日)・厚生省令第106号(平成15年6月12日)・厚生省令第24号(平成20年2月29日)・薬食発第0229007号(平成20年2月29日及び薬食審査発第1001001号(平成20年10月1日))以下「GCP省令」という。)、並びに薬審第445号・薬安第68号(平成9年5月29日、以下「GCP課長通知」という。)並びに関連諸通知に従う。
3 製造販売後臨床試験に対しては、厚生省令第28号第56条、厚生省令第36号第76条、厚生省令第89号第76条に準じ、「治験」等とあるのを「製造販売後臨床試験」等と読み替えることにより、本手順書を適用する。
4 医療機器の製造(輸入)承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験については、薬食機発1224号(平成21年12月24日・厚生省令第 36号(平成17年3月27日)・厚生省令第68号(平成21年4月1日)、以下「医療機器GCP省令」という。)に従う。
5 再生医療等製品の製造(輸入)承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべ
き資料の収集のために行う治験については、厚生省令第 89 号(平成 26 年 7 月 30 日)、
薬食機発 0812 第 16 号(平成 26 年 8 月 12 日)(以下「再生医療等製品GCP 省令」という。)に従う。
6 人道的見地から実施される治験については、医薬品においては「人道的見地から実施される治験の実施について」、医療機器及び再生医療等製品においては「医療機器及び再生医療等製品における人道的見地から実施される治験の実施について」及びその他関連通知に従う。
7 治験関連手続き書類への押印については、治験依頼者との合意を前提に、「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」」及びその他関連通知に従い、「治験審査委員会」、「実施医療機関の長」、「治験責任医師」の印章については省略可能とする。
但し、省略の場合は原本が明確になるよう措置を講じる。
8 委員会の情報は、「治験審査委員会に関する情報の登録について」薬食審査発0515第5号
(平成25年5月15日)準じ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ「治験審査委員会(IRB)の登録」に公表するものとする。
(委員会の責務)
第2条 委員会は、すべての被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図らなければならない。
2 委員会は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
3 委員会は、倫理的及び科学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。
(治験審査委員会の設置及び構成)
第 3 条 病院長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査・審議を行わせるために委員会を設置する。
設置者:京都第二赤十字病院 病院長
名称:京都第二赤十字病院 治験審査委員会
所在地:xxxxxxxxxxxxxxxxx 000-0
2 委員会の委員の構成は、次のとおりとする。 1)医師、歯科医師から 3 名以上
2)薬剤師から 1 名以上
3)看護師から 1 名以上
4)医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(非専門委員)2 名以上
5)病院及び委員会の設置者と利害関係を有しない者(院外委員)1 名以上
3 前項に掲げる委員は病院長が任命し、任期は2年とする。ただし、再任は妨げない。なお、病院長は委員会の委員にはなれないものとする。
4 委員会の委員長、副委員長は、委員の互選により決定する。
5 新規課題の審議に関して、委員長は、病院長が予め定めた全診療部長の中から治験・製造販売後臨床試験の説明者を指名して、その協力を得ることができる。
なお、業務上やむを得えない場合は、診療部長は所属する医師(原則医長以上)を推薦し当該委員会に出席し審議させることができる。
(委員会の業務)
第4条 委員会は、その責務の遂行のために、次の最新の資料を医療機関の長から入手しなければならない。なお、医療機器治験に係る審議については医療機器GCP省令に、再生医療等製品治験に係る審議については再生医療等製品GCP省令に準じる。
(1)治験の依頼をしようとする者においては次に掲げる文書
1)治験実施計画書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)
2)治験薬概要書(医療機器にあっては治験機器概要書、再生医療製品にあっては治験再生医療等製品概要書)及び治験使用薬(医療機器にあっては治験使用機器、再生医療製品にあっては治験使用製品。被験薬、被験機器、被験製品を除く。)に係る最新の科学的知見を記載した文書
3)症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、不要とする)
4)説明文書・同意文書(治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの)
5)治験責任医師及び治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書
6)治験責任医師となるべき者の履歴書(委員会が必要と認める場合には治験分担医師の履歴書)
7)治験の費用に関する事項を記載した文書
8)被験者への支払いに関する文書(支払いがある場合)
9)被験者の健康被害の補償について説明した文書
10)被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
11)被験者の安全に係る報告
12)治験の現況の概要に関する資料(継続審査等の場合)
13)その他委員会が必要と認める文書
(2)自ら治験を実施しようとする者においては上記に加え次に掲げる文書 1)モニタリングに関する手順書
2)監査に関する計画書及び業務に関する手順書
3)治験薬の管理に関する事項を記載した文書
4)GCP省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
5)実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む)を閲覧に供する旨を記載した文書
6)実施医療機関がGCP省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
7)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書
8)モニタリング報告書及び監査報告書(継続審査等の場合)
9)その他治験審査委員会が必要と認める資料(企業との連携がある場合、利益相反に関する資料等)。
2 委員会は、次の事項について調査審議し、記録を作成する。
(1)治験を実施することの倫理的、科学的及び医学的・薬学的見地からの妥当性に関する事項
・医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置をとることができる等、当該治験を適切に実施できること。
・治験責任医師が、当該治験を実施する上で適格であるか否かを最新の履歴書により検討すること。(依頼者が要望された場合はこの限りではない)
・治験責任医師が、当該治験を実施する上で分担医師・協力者xxxを作成すること。
・治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること。
・被験者の同意を得るに際しての同意文書及び説明文書の内容が適切であること。
・被験者の同意を得る方法が適切であること。(特に非治療的な治験、緊急状況下における救命的治験等が行われる場合、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮していることを確認する。また、緊急状況下における救命的治験を承認する場合、被験者及び代諾者の同意なしに治験に参加する際の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図るための方法を治験審査結果通知書(書式 5)に記載する。なお、被験者及び代諾者の同意なしに治験に参加させた場合には、事後の同意取得の経過と結果について治験責任医師より報告を受けること。)
・被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であること。
・予定される治験費用が適切であること。
・被験者に対する支払いがある場合には、その内容・方法が適切であること。
・被験者の募集手順(広告等)がある場合には、募集の方法が適切であること。
(2)治験実施中又は終了時に行う調査・審査事項
・被験者の同意が適切に得られていること。
・以下にあげる治験実施計画書の変更の妥当性を調査・審査すること。
①被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更
②被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
・治験実施中に本院で発生した重篤な有害事象や不具合について検討し、当該治験の継続の可否を審査すること
・被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な情報について検討し、当該治験の継続の可否を審査すること。
なお重大な情報には、以下のものが含まれる。
①他施設で発生した重篤で予測できない副作用や不具合
②重篤な副作用又は治験薬・治験機器及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件当の発生傾向が治験薬概要書から予測できないもの
③死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、副作用によるもの又は治験薬・治験機器及び市販医薬品・市販医療機器の使用による感染症によるもの。
④副作用又は治験薬・治験用具及び市販医薬品・治験用具の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
⑤治験の対象となる疾患に対し効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
⑥副作用又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
⑦当該被験薬・医療機器と同一成分を含む市販医薬品に係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
・自ら治験を実施する者による治験においては、モニタリング報告書及び監査報告書を確認・検討し、当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて審議すること
・治験の実施状況について少なくとも1年に1回以上審査すること
・治験の終了、治験の中止又は中断及び開発の中止を確認すること
・その他委員会が求める事項
3 委員会は、治験責任医師に対して治験の実施を承認し、これに基づく医療機関の長の指示及び決定が文書で通知され、契約締結されるまで被験者を治験に参加させないように求めるものとする。
(委員会の運営)
第5条 委員会は、原則として毎月開催とし、年度末の委員会において次年度の年間スケジュールを決定する。ただし、病院長から緊急に意見を求められた場合には、随時委員会を開催することができる。
2 委員会の議事進行は、原則委員長が行うものとする。
ただし、委員長不在の場合は、副委員長が行う。また、委員長・副委員長の両者が不在の場合、予め委員長が委員長代行を指名するものとする。
3 委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。 なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合には、病院長に意見を文書で通知するものとする。
4 委員会の開催に当たっては、あらかじめ治験審査委員会事務局から原則として2週間前に文書で委員長及び各委員に通知するものとする。
5 委員会は、以下の要件を満たす会議においてのみ、その意思を決定できるものとする。
1)少なくとも定員の3分の2以上の委員が出席していること
2)第3条第2項第4号の委員が少なくとも1名出席していること
3)第3条第2項第5号の委員が少なくとも1名出席していること
6 採決に当たっては、審査に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとする。
7 当該治験の治験依頼者と関係のある委員(治験依頼者の役員又は職員、その他の治験依頼者と密接な関係を有するもの)、治験責任医師と関係のある委員(医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師又は治験協力者)及び自ら治験を実施する者又は自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者である委員は、その関与する治験について情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審査及び採決への参加はできないものとする。
8 委員長が特に必要と認める場合には、委員以外の特別の分野の専門家を委員会に出席させて意見を聞くことができる。
9 委員会の議事は、審査に参加した委員全員の合意を原則とする。
10 意見は次の各号のいずれかによる。
(1)承認する
(2)修正の上で承認する
(3)却下する
(4)既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)
(5)保留する
11 病院長は委員会の審査結果について異議ある場合には、理由書を添えて委員会に再審査を請求することができる。
12 委員会は、審査及び採決に参加した委員名簿(各委員の資格及び職名を含む)に関する記録及び審査記録を作成し保存するものとする。
13 委員会は、審査終了後速やかに病院長に、治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式 5)により報告する。治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)には、以下の事項を記載するものとする。
・審査対象の治験
・審査した資料
・審査日
・参加委員名
・治験に関する委員会の決定
・決定の理由
・修正条件がある場合は、その条件
・治験審査委員会の決定に対する異議申し立て手続き
・治験審査委員会の名称と所在地
・治験審査委員会がGCPに従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認し補償する旨の陳述
14 委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合には、迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は治験審査委員会委員長が行う。ここで軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更を言う。何らかの身体的侵襲を伴う検査を伴う変更は除かれる。迅速審査は、治験審査委員会委員長と委員長が指名する委員3名が行い、本条第10項に従って判定し、第13項に従って病院長に報告する。治験審査委員会委員長は、次回の委員会で迅速審査の内容と判定を報告する。
なお、委員長が当該迅速審査の対象となる治験の関係者である場合は、副委員長他の委員を指名して代行させる。
15 自然災害又は感染症の流行などにより、委員会の通常開催が困難な場合で緊急に審議が必要な場合は、電子メール等による持ち回り審査を可能とする。その場合、その経緯及び対応、審査の記録を作成し、次回の通常開催時に報告を行う。
16 委員会は定期的に研究倫理等必要な教育研修を受けるものとする。
第2章 治験審査委員会事務局
(治験審査委員会事務局の構成及び業務)
第6条 治験審査委員会事務局は、治験事務局が兼ねるものとする。 又、治験審査委員会事務局長は治験事務局長が兼ねるものとする。
2 治験審査委員会事務局は、治験審査委員会委員長の指示により、次の業務を行うものとする。
(1)委員会の開催準備
(2)委員会の会議の記録の概要(審査及び採決に参加した委員の名簿を含む)の作成
(3)治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)の作成及び医療機関の長への提出
(4)審議事項に関する記録の概要等の委員会終了後速やかな本院ホームページへの公表
(但し、記録の概要について治験依頼者等の知的財産権に係る事前確認の求めを受けた場合、求めに応じるとともにマスキングなどの措置を講じた上で公表するものとする。)
(5)記録(委員会で審査の対象としたあらゆる資料、議事要旨(Q&Aを含む)、治験審査委員会が作成するその他の資料等)の保存
(6)その他委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務業務及び支援業務
3 治験審査委員会事務局は定期的に研究倫理等必要な教育研修を受けるものとする。
第3章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第7条 治験審査委員会における記録の保存責任者は治験審査委員会事務局長とする。
2 治験審査委員会において保存する文書は以下のものである。
(1)当業務手順書
(2)委員名簿(各委員の資格を含む)
(3)委員の職業及び所属のリスト
(4)提出された文書
(5)会議の議事要旨(審査及び採決に参加した委員名簿を含む)
(6)書簡等の記録
(7)その他必要と認めたもの
(記録の保存期間)
第8条 委員会における保存すべき必須文書は、(1)又は(2)の日のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者(医師主導治験にあっては自ら治験を実施する者)がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。
(1)当該被験薬・医療機器・再生医療等製品に係る製造(輸入)承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日)
(2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
(3)製造販売後臨床試験の場合は当該被験薬の再審査又は再評価が終了した日後5年間保管する。
2 委員会は、病院長を経由して、治験依頼者(医師主導治験にあっては自ら治験を実施する者)より前項にいう承認取得あるいは開発中止(書式18又は(医)書式18)の連絡を受けるものとする。
(附則)
この手順書は西暦2022年7月1日から施行する。
(改訂履歴)
版番号 | 作成・改訂日 | 改訂理由・内容 |
第10版 | 西暦2021年6月1日 | 一部改訂 |
第10.1版 | 西暦2022年7月1日 | 版数管理関連表記(表紙、附則、改訂履歴)の整備 |
10.2版 | 西暦2023年1月1日 | 「当院」を「本院」に統一 治験使用薬及び、新たな「治験の依頼等に係る統一書 式」の一部改正について(令和4年11月30日付通知)への対応 |