例1) 基礎工において、砕石の代わりにコンクリートで施工することを承諾した場合例2) コンクリート強度 18KN/mm2 の基準に対して、21KN/mm2 を使用することを
工事請負契約における設計変更ガイドライン
(案)
平成23年3月 京都府建設交通部
目 次
1 本ガイドライン策定の背景
◆ 土木請負工事の特徴
◆ 適切な設計変更の必要性
◆ ガイドライン策定の理由
2 発注者・受注者の留意事項
3 設計変更が不可能なケース
4 設計変更が可能なケース
◆ 工事請負契約書・土木工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経て(契約書第 18 条、土木工事共通仕様書 1-1-20、1-1-21)、発注者が設計図書を訂正又は変更する必要があると認めた場合
◆ 発注者が変更の必要を認め、設計図書の変更に係る指示を行う場合(契約書 19 条)
◆ 受注者の「設計図書の照査」の範囲をこえる作業を発注者が指示した場合
5 設計変更手続きフロー
6 関連事項
◆ 工事打合簿の記載例
7 参考資料
◆ 工事請負契約書抜粋(第 18 条、第 19 条、第 23 条、第 24 条)
◆ 土木工事共通仕様書抜粋(1-1-3、1-1-20、1-1-21)
◆ 競争契約入札心得(第 7 条)
◆ 工事打合簿
◆ 条件明示
1 策定の背景
◆土木請負工事の特徴
土木工事は、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
当初設計時に予見できない事態、例えば土質・地下水位等の変化に備え、その前提条件を明示することにより設計変更の円滑化を図る必要
がある。
◆ 適切な設計変更の必要性
公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成 17 年法律第 18 号)の基本理念に「請負契約の当事者の対等な立場での合意によるxxな契約の締結」が示されている。設計変更においても、より良い社会資本の整備の為に、発注者・受注者それぞれの役割分担を適切に行ったうえで、設計変更内容について両者が合意し契約を締結することが不可欠。
◆ ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
「工事請負契約における設計変更ガイドライン」
の策定
2 受注者の留意事項
◆ 発注者は・・・
工事発注にあたり、各工事において必要となってくる条件明示について、
特記仕様書等の設計図書への記載を徹底する。
工事請負契約書(以下「契約書」という。)の内容を理解の上、契約後は「契約書第 18 条~第 24 条」に基づき、施工前及び施工途中に、必要に応じて設計変更を行う。
◆ 受注者は・・・
契約書の内容を理解の上、契約後は「土木工事共通仕様書第1編第1章第
3設計図書の照査等」により施工前及び施工途中において、自らの負担により設計図書の照査を行う。
照査の結果「契約書第 18 条第 1 項第 1 号~第5号(条件変更等)」に該当する事実がある場合は、監督員にその事実が確認できる資料(現地地形図、設計図との対比図、取り合い図、施工図等)を「土木請負必携に記載の工事打合簿」等の書面により提出し、確認を求めなければならない。
3 設計変更が不可能なケース
◆ 工事請負契約書・土木工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経ていない場合(契約書第 18 条~第 24 条、土木工事共通仕様書 1-1-3、20、 21)等は、設計変更できない。
(ただし契約書第 26 条(臨機の措置)での対応はこの限りではない。)
(具体例)
1)「工事打合簿」等の書面がない場合
2)設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工(工法・材料等)を実施した場合
3)発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工(工法・材料等)を実施した場合
4)任意事項において、施工方法及び施工期間を変更する場合(ただし、設計図書に特別の定めがある場合や現地条件が一致しない場合を除く。)
例1) 根固めブロックの据付におけるクレーン規格を変更した場合例2) 護岸工事における仮締切工の範囲を拡大した場合
5)「承諾」で施工した場合
例1) 基礎工において、砕石の代わりにコンクリートで施工することを承諾した場合例2) コンクリート強度 18KN/mm2 の基準に対して、21KN/mm2 を使用することを
承諾した場合
4 設計変更が可能なケース
◆ 工事請負契約書・土木工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経て
(契約書第 18 条、土木工事共通仕様書 1-1-20 ~ 1-1-21)、発注者が設計図書を訂正又は変更する必要があると認めた場合、設計変更を行う。
(具体例)
1) 設計図書に示された自然的又人為的な施工条件と実際の工事現場が一致せず(契約書 18 条第1項第4号)、設計図書を変更する必要がある場合
例)
・ 設計図書に明示された土質等が現地条件と一致しない。
・ 前項の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
2) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合(契約書 18 条第1項第5号)
例)
・ 埋蔵文化財が発見され調査が必要になった。
・ 工事範囲の一部に軟弱な地盤があり、地盤改良が必要になった。
◆ 発注者が変更を必要と認め、設計図書の変更に係る指示を行う場合(契約書
19 条)
例)
・ 地元調整等の結果、施工範囲、施工内容、施工期間等の変更が必要になった。
・ 同時に施工する必要がある工種が判明し、その工種を追加する。
5 設計変更手続きフロー
◆ 請負契約書第 18 条(条件変更等)関連
① 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと。
② 設計図書に誤謬、脱漏があること。
③ 設計図書の表示が明確でないこと。
④ 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事規模が一致しないこと。
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態
が生じたこと。
調査終了後 14 日以内
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算等の変更設計図書の作成
受注者
発注者
必要があると認められるときは工期若しく
は請負代金額を変更【第 18 条第 5 項】
設計図書の変更
【第18 条第4 項第2,3 号】
設計図書の訂正
【第 18 条第 4 項第 1 号】
発注者において工事目的物の変更を伴わないと判断した場合は協議
【第 18 条 4 項第 3 号】
必要があると認められるときは設計図書の
訂正又は変更【第 18 条第 4 項】
受理
調査結果の通知:(とるべき措置の指示を含
む。)【第 18 条第 3 項】
意見【第 18 条第 3 項】
調査結果のとりまとめ【第 18 条第 3 項】
通知し確認を請求
【第 18 条第 2 項】
発注者:調査の実施
受注者:立会い【第 18 条第 2 項】
上記の一つに該当する事実を発見【第 18 条第 2 項】
上記の一つに該当する事実を発見【第 18 条第 2 項】
協議 ①工期の変更【第 23 条】 ②請負金額の変更【第 24 条】
受注者
受理
◆ 請負契約書第 19 条(設計図書の変更)関連
発注者
協議 ①工期の変更【第 23 条】 ②請負金額の変更【第 24 条】ただし、発注者が必要であると認めた場合
「契約書第 19 条」に基づき、設計図書の変更が必要と判断し通知:(とるべき措置の指示含む)
6 関連事項(1)
◆工事打合簿の記載例
(1)「指示」の記載例
(2)「協議」の記載例
(3)「承諾」の記載例