Contract
政治資金監査実施要領(現場対応マニュアル)
~政治資金監査契約締結に当たっての留意事項~
1.政治資金監査契約
○ 国会議員関係政治団体の会計責任者は、登録政治資金監査人の政治資金監査を受けなければならないこととされている(法第19条の13第1項)。政治資金監査を受けるに当たっては、国会議員関係政治団体と登録政治資金監査人との間で、政治資金監査の実施に関する契約を締結することとなる。
○ 国会議員関係政治団体と登録政治資金監査人は、通常、政治資金監査の実施に関する契約を締結するものであるが、必ずしも、実施に関する契約以外の契約を締結することが禁止されているものではなく、政治資金監査の事前準備として、領収書等の整理・保存状況を確認する予備的契約や、領収書等の整理方法を指導・助言する契約を締結することも差し支えないものである。
2.契約書において規定すべき事項
○ 政治資金監査の実施に関する契約の締結に際して、契約に盛り込むことが想定される事項としては以下のものが考えられる。なお、契約書において規定すべき事項は、以下の事項に限定されるものではなく、法令の規定及び政治資金監査マニュアルに反しない限りにおいて、政治資金監査の実施に必要な範囲内で契約当事者の合意に基づき定めるものである。
(1)一般的事項
○ 政治資金監査の目的
政治資金収支報告書の作成が政治資金規正法に基づき適切に実施されているかを外部性を有する第三者が専門的な立場から確認し、もって収支報告の適正の確保に資することを目的として、政治資金監査マニュアルに基づき、法第19条の13第2項各号に掲げる事項について確認した結果を報告するものであること。
なお、政治資金監査は、政治団体が管理すべき会計帳簿等の書類が保存されているかどうか、それらの書面の記載が整合的かどうかを外形的・定型的に確認する業務であり、政治資金の使途の妥当性を評価するものではないこと。
○ 政治資金監査の体制及び政治資金監査を受ける体制
政治資金監査業務に従事する登録政治資金監査人及び業務従事者並びに登録政治資金監査人との連絡にあたる会計責任者及び担当者の氏名、連絡先、地位、資格等を明らかにすること。
○ 政治資金監査の対象
政治資金監査の対象年に係る会計帳簿等の関係書類を対象とすること。
○ 政治資金監査の時期、日程及び場所並びに政治資金監査報告書の提出方法及び提出期限
政治資金規正法及び政治資金監査マニュアルに従い、登録政治資金監査人と国会議員関係政治団体との間で協議の上、定めること。
○ 報酬の額及び支払いの時期
国会議員関係政治団体の支出の規模、領収書等の枚数や整理状況に応じ、政治資金監査に要する業務量を勘案して定めること。
○ 経費の負担
政治資金監査を実施するために必要な経費の負担について、登録政治資金監査人及び国会議員関係政治団体の両者で合意の上、定めること。
(2)登録政治資金監査人及び国会議員関係政治団体の責任
○ 登録政治資金監査人の責任
登録政治資金監査人は、外部性を有する第三者の立場において、政治資金監査マニュアルに基づき政治資金監査を行い、政治資金監査報告書を作成する責任を有すること。
○ 国会議員関係政治団体の責任
・ 関係法令を順守し、政治資金規正法の定めるところに従い、会計事務及び支出手続きを処理し、会計帳簿等の監査対象書類を作成し、政治資金監査報告書を収支報告書に併せて提出する義務を負うこと。
・ 円滑に政治資金監査を行うため、政治資金監査が行われるまでの間に会計帳簿や領収書等を複数の事務所において管理している場合には、書面監査を行う事務所に集約し、また、会計帳簿等や領収書等は支出項目別及び年月日順に整理すること。
・ 登録政治資金監査人が政治資金監査を実施するために必要なすべての記録、書類、その他の情報を提供し、登録政治資金監査人からの書面又は口頭による質問に対しては遅滞なくxxを回答しなければならないこと。
(3) 秘密保持義務
○ 登録政治資金監査人は、政治資金規正法の規定により、正当な理由がなく、政治資金監査の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと。使用人その他の従業者又はこれらの者であった者についても同様であること。
(4) 使用人等の監督等
○ 登録政治資金監査人は、その業務を遂行する上で使用人等を使用することができること。その際には指揮命令系統、職務分担等を明らかにした上で、使用人等にも政治資金規正法上も秘密保持義務が課されることを周知徹底し、適切な指示及び監督を行うこと。
(5) 契約の解除
○ 登録政治資金監査人が契約を解除することが出来る場合として次の場合が考えられること。
・ 国会議員関係政治団体の責めに基づき政治資金監査の実施が不可能になった場合。
・ 国会議員関係政治団体が順守すべき関係法令を順守しない場合。
・ 国会議員関係政治団体の会計責任者又は担当者が政治資金監査人の業務遂行に誠実に対応しない場合など、信頼関係が著しく損なわれた場合。
○ 国会議員関係政治団体が契約を解除することが出来る場合として次の場合が考えられること。
・ 登録政治資金監査人の責めに基づき政治資金監査の実施が不可能になった場合。
3.政治資金監査契約に係る留意事項
○ 契約の締結に当たっては、国会議員関係政治団体と登録政治資金監査人との間に、政治資金監査マニュアルのⅡ.1.(2)業務制限に掲げる関係を有する場合には、政治資金監査を行うことはできないことに留意すること。
○ 登録政治資金監査人は契約書に明記された政治資金監査の時期までに、政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修を修了しておかなければならないこと。
○ 登録政治資金監査人は、個人として、国会議員関係政治団体と政治資金監査の実施に関する契約を締結するものであり、法人としての契約と誤解されるおそれが生じないようにすること。