Contract
220617版
【○○○○○ 説明会】
工事請負契約書第26条(スライド)について
令和4年○月○日
東北地方整備局 企画部 技術管理課
主な内容
1.工事請負契約書第26条について
2.スライドの種類と特徴
3.スライド手続きフロー
4.インフレスライドについて
5.単品スライドについて
1.工事請負契約書第26条について
全体スライド
(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)
1 発注者又は受注者は、工期内で請負契約締結の日から12月を経過した後に日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めたときは、相手方に対して請負代金額の変更を請求することができる。
2 発注者又は受注者は、前項の規定による請求があったときは、変動前残工事代金額(請負代金額から当該請求時の出来形部分に相応する請負代金額を控除した額をいう。以下同じ。)と変動後残工事代金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事代金額に相応する額をいう。以下同じ。)との差額のうち変動前残工事代金額の1000分の15を超える額につき、請負代金額の変更に応じなければならない。
3 変動前残工事代金額及び変動後残工事代金額は、請求のあった日を基準とし、単価合意書の記載事項、物価指数等に基づき発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。
4 第1項の規定による請求は、この条の規定により請負代金額の変更を行った後再度行うことができる。この場合においては、同項中「請負契約締結の日」とあるのは、「直前のこの条に基づく請負代金額変更の基準とした日」とするものとする。
単品スライド
5 特別な要因により工期内に主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、請負代金額が不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各項の規定によるほか、請負代金額の変更を請求することができる。
インフレスライド
6 予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、請負代金額が著しく不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各項の規定にかかわらず、請負代金額の変更を請求することができる。
7 前2項の場合において、請負代金額の変更額については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。
8 第3項及び前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知しなければならない。ただし、発注者が第1項、第5項又は第6項の請求を行った日又は受けた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
①昭和24年の建設業法の制定に伴い、昭和25年の標準請負契約約款の策定当初から、第25条(現在は第26条)に物価の変動等による請負代金額の変更(いわゆるスライド条項)が規定。
②現在の第5項の単品スライド条項は、昭和56年に標準請負契約約款に追加。
工事請負契約書第26条の変遷
・昭和24年の建設業法の制定により建設工事における請負契約関係の片務性の排除と不明確性の是正が明文化されたことに伴い、昭和25年の建設工事標準請負契約約款(昭和47年改正により公共工事標準請負契約約款に改称)制定時より、物価の変動等による請負代金額の変更(いわゆるスライド条項)が規定された。
・その後、規定の明確化や変更が行われ、昭和47年以降は、いわゆる「全体スライド条項」と「インフ レスライド条項」が規定されていた。しかし、昭和54、55年にかけて、第二次オイルショックが発生した際、賃金や物価の水準は全体としてはさほどの上昇もなく落ち着いて推移したものの、一部の石油関連資材価格の高騰により建設工事の円滑な実施が危ぶまれる状態に見舞われた。このような物価状況は当時の約款では必ずしも想定されていなかったことから、昭和55年にこのような状況に対応するための暫定措置として工事毎に「特約条項」を設けて対応した。
・現在の第26条第5項(いわゆる「単品スライド条項」)は、昭和56年にこの「特約条項」が一般化され、公共工事標準請負契約約款に規定されたものである。なお、平成7年までは、特別な要因、主要な工事材料及び請負代金額の算定方法について、設計図書で具体的に指定する旨規定されていたが、あらかじめ設計図書で指定することは不可能であるとして、現在はその規定は削除されている。
受注者と発注者とは対等との考えのもと、片務性を解消するため、受注者のみに合理的な範囲を超える価格の変動を負担させないとの基本的考え方
工事請負契約書第26条の考え方
・建設工事は、工期が長期にわたるため、その間の事情の変更に左右されることもあるが、通常合理的な範囲内の価格の変動は契約当初から予見可能なものであるとして請負代金額を変更する必要はないというのが基本的な考え方である。しかし、通常合理的な範囲を超える価格の変動については、契約当事者の一方のみにその負担を負わせることは適当でなく、発注者と受注者で負担を分担すべきものであるとの考え方の下、標準請負契約約款第26条が規定されているものである。
全体スライド条項は、請負契約後1年を経過した後に賃金水準や物価水準が変動した場合の中間修正的な変更であるのに対し、単品スライド条項は特定の主要な工事材料の価格が著しく変動した場合の精算的な変更。
全体スライド条項と単品スライド条項の関係
・全体スライド条項は、請負契約後1年を経過した後に賃金水準や物価水準が変動した場合の諸経費等の変更も含む中間修正的な変更である。
・一方、単品スライド条項は、特定の主要な工事材料の価格が著しく変動した場合の精算的な変更である。すなわち、対象となる材料価格の変動のみが請負代金額変更の要素となるものであり、材料費の変動に連動して共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更を行うものではない。
・また、単品スライド条項は企業の規模を問わずあらゆる工事を対象とするものであることから、受注者の負担割合は標準請負契約約款の第30条の「天災不可抗力条項」に準拠し、建設業者の経営上最小限度必要な利益までは損なわれることがないよう定められた「1%」を採用したものである。なお、全体スライド条項は、1年以上の長期間にわたる工事を対象とする規定であり、比較的大きい建設業
者が受注していることが前提になっていることから、受注者の負担すべき割合を「1.5%」としている。 5
2.スライドの種類と特徴
スライドの種類と特徴
項 | 目 | 全体スライド 契約書第26条第1項~第4項 | 単品スライド 契約書第26条第5項 | インフレスライド 契約書第26条第6項 |
工期が12ヶ月を超える工事 | すべての工事 | すべての工事 | ||
適用対象工事 | 但し、基準日以降、残工期が 2ヶ月以上ある工事 (比較的大規模な長期工事) | (運用通達発出日時点で継続中の工事及び新規契約工事) | 但し、基準日以降、残工期が2ヶ月以上ある工事 (通達発出日時点で継続中の工事及び新規契約工事) | |
請負契約締結の日から12ヶ月 | 部分払いを行った出来形部分 | 通達に基づき、賃金水準の変更 | ||
経過した基準日以降の残工事 | を除く全ての資材(鋼材類、燃 | がなされた日以降の基準日以 | ||
対 象 | 量に対する資材、労務単価等 | 料油類等) | 降の残工事量に対する資材、労務単価等 | |
残工事費の1.5% | 対象工事費の1.0% | 残工事費の1.0% | ||
請負額変更の方 法 | 受発注者の負担 (足切り額) | (但し、全体スライド又はインフレスライドと併用の場合、全体スライド又はインフレスライド適用期間における負担はなし) | (30条「天災不可抗力条項」に準拠し、建設業者の経営上最小限度必要な利益まで損なわないよう定められた「1%」を採用。) | |
可能 | なし | 可能 | ||
再スライド | (全体スライド又はインフレスライド適用後、12ヶ月経過後に適 用可能) | (部分払いを行った出来形部分を除いた工期内全ての資材を対象に、精算変更契約後にス | (通達に基づき、賃金水準の変更がなされる都度、適用可能) | |
ライド額を算出するため、再ス | ||||
ライドの必要がない) |
スライドの種類とイメージ図
220617追加
種類 | イメージ図 | |
全体 | 全体スライド変更額 残工事に対する変動前後の差額(A) AーB×1.5% 請 負 額 (変動前残工事額:B) ただし、A>B×1.5% の場合のみ全体スライド x x x 残 工 事 適用可能 12ヶ月以上 14日以内 残工期2ヶ月以上 契約日 請求日 基準日 工期末 | |
スライド | ||
単品 | 主要材料の変動額(A) (材料費のみを対象) 単品スライド変更額 AーC×1.0% 請 負 額 (変動前対象工事額:C) ただし、A>C×1.0%の場合のみ単品スライド 既済部分(検査済) 対 象 工 事 適用可能契約日 適用開始日 請求日 残工期2ヶ月以上前 工期末 | |
スライド | ||
インフレスライド変更額 残工事に対する変動前後の差額(A) AーB×1.0% 請 負 額 (変動前残工事額:B) ただし、A>B×1.0% の場合のみインフレスライド x x x 残 工 事 適用可能 14日以内 残工期2ヶ月以上 契約日 賃金水準の変更日 請求日 基準日 工期末 次の賃金水準の変更日まで | ||
インフレ | ||
スライド | ||
8 |
3.スライド手続きフロー
スライド手続きの流れ(全体スライド、インフレスライド)
スライド請求
発注者または受注者から請求
7日以内
スライド額協議開始日の通知
発注者から受注者へ通知 ※基準日もあわせて通知
基準日
14日以内
スライド額協議開始
14日以内
出来形確認
(この間に行う作業)
①基準日までに指示したものについて変更契約
②単価協議・合意
③スライド設計書作成
④足切り額算定
⑤スライド変更設計書作成
⑥スライド額協議書作成
スライド額確定
受発注者で協議書取り交わし
2ヶ月以上
スライド変更契約
精算変更時点で行うこともできる
精算変更契約
必要に応じて変更
(この間に行う作業)
①単価協議・合意
工期末
スライド手続きの流れ(単品スライド)
スライド
契約変更
7日以内
14日以内
14日以内
45日以内
工期末
スライド変更契約
スライド額確定
請負代金額の確定
スライド額の算定
スライド額協議開始
精算変更契約
スライド額協議開始日の通知
精算変更の協議開始
スライド請求
2ヶ月以上
4.インフレスライドについて
(1)契約書第26条第6項の請求は、残工期が基準日から2ヶ月以上あること
(2)発注者及び受注者によるスライドの適用対象工事の確認時期は、賃金水準の変更がなされた時
1.適用対象工事
(1)請求日:スライド変更の可能性があるため、発注者又は受注者が請負代金額の変更の協議(以下
「スライド協議」という。)を請求した日とする
(2)基準日:請求日とすることを基本とする
また、請求があった日から起算して、14日以内で発注者と受注者とが協議して定める日とすることも可とする。
(3)残工期:基準日以降の工事期間とする
2.請求日及び基準日等について
■請求日について
請求に際しては、残工事の工期が基準日(請求日とすることを基本とする。請求日から14日以内の範囲で定めることも可とする。)から2ヶ月以上必要であることに留意すること。
請求に際しては、遡りは認めないこととする。
■基準日について
発注者と受注者とが協議して定める基準日は、請求日を基本とするが、これにより難い場合は、請求日から14日以内の範囲で定める。
これにより難い場合とは、スライド協議請求後、基準日について発注者と受注者とが協議している際に、新たに賃金水準の変更がなされた場合等である。なお、この場合の基準日は、新たに賃金水準の変更がなされた日を基準日とする。
■残工期について
残工期については、基準日における契約工期の残工事期間を基本とするが、基準日までに変更契約を行っていな
い場合でも先行指示等により工期延期が明らかな場合には、その工期延期期間を考慮することができる。 13
3.請負代金額の変更
(1)賃金等の変動による請負代金額の変更額(以下「スライド額」という。)は、当該工事に係る変動額のうち請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額の100分の1に相当する金額を超える額とする。
(2)増額スライド額については、次式により行う。 S増=[P2-P1-(P1×1/100)]
この式において、S増、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S増:増額スライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2:変動後(基準日)の賃金等を基礎として算出したP1に相当する額
(P=Σ(α×Z)、α:単価合意比率又は請負比率、Z:官積算額)
(3)減額スライド額については、次式により行う。 S減=[P2-P1+(P1×1/100)]
この式において、S減、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S減:減額スライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2:変動後(基準日)の賃金等を基礎として算出したP1に相当する額
(P=Σ(α×Z)、α:単価合意比率又は請負比率、Z:官積算額)
(4)スライド額は、労務単価、材料単価、機械器具損料並びにこれらに伴う共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更について行われるものであり、歩掛の変更については考慮するものではない。
■総価契約単価合意方式適用工事の場合について
P1は、直近の合意単価(包括合意の場合は、官積算単価に直近の請負比率を乗じた単価)を用いて算出する。
P2は、基準日における官積算単価に直近の合意比率を乗じた単価(包括合意の場合は、官積算単価に直近の請負比率を乗じた単価)を用いて算出する。
■基準日における特別調査又は見積価格採用単価について
再調査や再見積に多大な労力又は日数を必要とする場合には、当初積算時の類似単価の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、別途考慮する。
■複数回スライドを行う場合について
スライド請求を複数回行う場合におけるスライド額の算出も上記に基づき同様に実施するものとする。なお、その場合基準日におけ
る請負代金額には、それまでに実施したスライド額を含むものとする。 14
インフレスライドのスライド金額算定イメージ
合意設計書
スライド前変更がある場合は、スライ
スライド設計書
スライド設計書を作成し、スライド額及びスライド
スライド変更設計書
足切額を考慮したスライド後の工事価
ド前変更後に単価合意をする
足切額を算出する
S増=[P2-P1-(P1×1/100)
格を算出するためスライド変更設計書
なお、この時点では変更回数は増えない を作成する
足切額 | |||||||||
残工事(緑部)の1% | |||||||||
※東北地整では、足切額は万円止め切り上げ | |||||||||
残工事分について基準日の単価へ更新
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
1 2 3 4
5 6 7
8 9 10
15
14
13
12
11
10
9
8
P2
7
6
P1
5
4
3
2
1
1 2 3 4 5
6 7 8
9 10
出来高 残工事
出来高 残工事 15
4.出来高数量の確認
(1)基準日における残工事量を算定するために行う出来高数量の確認は、数量総括表に対応して出来高確認を行うものとすること。
(2)現場搬入材料については、認定したものは出来高数量として取り扱うこと。また、下記の材料等についても出来高数量として取り扱うものとする。
・工場製作品については、工場での確認又はミルシート等で在庫確保が証明できる材料は出来高数量として取り扱う。
・基準日以前に配置済みの現地据付型の建設機械及び仮設材料等(架設用クレーン、仮設鋼材など)も出来高の対象とする。ただし、基準日以降の賃料等については、スライド対象とする。
・契約書にて工事材料契約の完了が確認でき、近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料は出来高数量として取り扱う。
(3)数量総括表で一式明示した仮設工についても出来高数量の対象とできる。
(4)出来高数量の計上方法については、発注者側に換算数量がない場合は、受注者側の当該工種に対する構成比率により出来高数量を算出してもよい。
(5)受注者の責めに帰すべき事由により遅延していると認められる工事量は、増額スライドの場合は、出来高部分に含めるものとし、減額スライドの場合は、出来高部分に含めないものとする。
(6)基準日までに変更契約を行っていないが先行指示されている設計量については、スライドの対象とすることができる。
■出来高数量等の確認方法について
国土交通省公共土木工事の執行にあたっては、広域的な範囲で迅速かつ確実な執行が求められることから、当面、受注者に「工事x xx内訳書」または「実施工程表付き工事履行報告書」の提出を求め、これにより、数量総括表に対応した出来高を確認できることとする。
・「工事出来高内訳書」による出来高の確認
「工事出来高内訳書」に記載された出来高数量により、数量総括表に対応した出来高数量を確認する。
・「実施工程表付き工事履行報告書」による出来高の確認
次式により数量総括表に対応した出来高を算出する。(ただし、実施工程表は、基準日までに作成されたものとする。)。出来高数量 = 基準日における設計数量 × (基準日における実施済工程工期/実施工程工期)
インフレスライド請求を複数回行う場合、2回目以降の基準日における出来形数量の確認方法は、1回目の基準日における確認方法と原則同じ方法によることとする。
■出来高数量等の確認時期について
発注者は、請求日から14日以内に出来高確認を行う。 16
発注者は、積算に使用する単価を用いた変動率を物価指数とすることを基本とする。なお、受注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は別途の物価指数を用いることができる。
5.物価指数
■積算に使用する単価について
変動後の価格を算定する際に用いる材料単価等については、発注者が積算に使用している物価資料等の基準日における価格を基礎とする。
■基準日における特別調査又は見積価格採用単価について
再調査や再見積に多大な労力又は日数を必要とする場合には、当初積算時の類似単価の物価変動率により算定することができる。
ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合や物価資料に類似単価の掲載がない場合については、過去の価格に遡って特別調査や見積もりを実施することが困難であることから、証明資料(領収書等)をもとに確認した個別の実取引価格(受注者の購入価格)を実勢価格とすることを原則とする。
しかし、取引価格の実態と乖離した高い価格を請求されることを回避するため、類似品目の材料との価格の比較等を実施するとともに、必要に応じて受注者等へのヒアリングを行い、価格の妥当性を確認するものとする。
5.単品スライドについて
対象品目は、「鋼材類」「燃料油」「アスファルト類」「コンクリート類」
鋼材類:
H形鋼、異形棒鋼、厚板、鋼xx、鉄鋼2次製品、ガードレール、スクラップ等
(ただし、 非鉄金属(アルミニウム、鉛、金、銀、銅、ニッケル等)は含まない)
燃料油:
軽油、ガソリン、混合油、重油、灯油
アスファルト類:アスファルト混合物、アスファルト乳剤、ストレートアスファルト、改質アスファルト
コンクリート類:レディーミクストコンクリート(生コン)、セメント、モルタル、コンクリート混和材、コンクリート用骨材、コンクリート二次製品
対象工事費の1%を超える品目が対象
● 対象品目について、「品目類ごとの増額分」が対象工事費の1%を超えるものが対象
(※ 「品目類ごとの増額分」とは、鋼材類を例にすれば、H型鋼、異形棒鋼・・・・などの合計額)
(※ 対象品目の増額分の合計額が1%を超えるものを対象とする主旨ではない)
「対象工事費」とは、基本的には「最終的な全体工事費」
● ただし、以下の部分は除かれる。
① 本条項適用以前に「既済部分検査+支払い」が完了している部分
② 条項適用条件を付すことなく「既済部分検査+支払い」が完了している部分
対象工事費の概念
(全体スライドを併用した場合の工事例) 当初契約額: A1+A2+A3+A4
C1
B1 | |||
既済部分 A1 (完了) | 既済部分 A2 (条項適用条件付) | A3 | A4 |
全体スライドによる増額分:B1
全体スライドの受注者負担C1
=残工事費の1.5%
対象工事費は
A2+A3+A4+B1
全体スライド
基準日
請求時点での留意事項(1)
・請負者側によるスライド変更概算額算出
・対象品目ごとに請負額の1%を超えているか?
・請求不可
超えていない
超えている
・根拠資料を添えて請求可能
【根拠資料とは】
・当初契約時点購入予定価格と変動後購入価格を元にした概算確認資料。
・対象材料の価格(数量・単価)、購入先、搬入・購入の時期を証明する資料。
【スライド適用の対象工事】
・実際の搬入時・購入時における各材料の実勢価格を用いて当該工事の請負金額を再積算した場合に、変動額が当初金額の1%を超える工事
【例1】
鋼材類変動額 >
燃料油変動額 >
請負額×1%
請負額×1%
請負額の1%を超える鋼材類、
燃料油の変動額両方を対象
【例2】
鋼材類変動額 > 請負額×1%
燃料油変動額 < 請負額×1%
請負額の1%を超える鋼材類
の変動額のみ対象
【例3】
鋼材類変動額 < 請負額×1%
燃料油変動額 > 請負額×1%
請負額の1%を超える燃料油
の変動額のみ対象
●スライド額(S)の算定式
変更 当初 変更 当初
●スライド額 = 鋼材の変動額+燃料油の変動額-対象工事費×1%
( M鋼 - M鋼 )+ ( M油 -M油 ) - P×1/100
●M当初 ,M当初
(当初の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼 油
= 設計時点の実勢価格 (消費税込) × 対象数量 × 合意率
{ p1×D1 + p2×D2+……+ pm×Dm } × 合意率×消費税率
● M変更,M変更
(変動後の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼 油
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 合意率
{ p‘1×D1 + p’2×D2+……+ p‘m×Dm } ×合意率×消費税率
ただし、上記の式に基づき算出した
M変更 ,M変更
M変更 ,M変更
鋼 油 よりも、実際の購入金額の方が安い場合は、
鋼 油 は実際の購入金額とする。
p : 設計時点における各対象材料の実勢単価
p‘: 搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価(搬入・購入時期毎の数量に応じ、加重平均値。ただし、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明していない燃料油分については、工事期間の平均値。)
D :各対象材料について算定した対象数量 P :対象工事費
220617追加
スライド額の算定方法
(合意率95%の工事の場合)
令和4年4月
令和4年5月
令和4年6月
合意率
1.1 = 7,315,000
合意率
1.1 = 8,328,650
1.1 = 8,327,000
8,327,000-7,315,000=1,012,000
24
● 価格変動後の価格の算定に用いる実勢単価は、対象材料が現場に搬入された月の物価資料の価格とする。
また、物価資料に掲載されていない材料は、原則個別の実取引価格(受注者の購入価格)を実勢価格とするが、必要に応じ購入価格の妥当性を確認すること。
● 実際に要していない費用まで発注者が追加で支払うことは適切ではないため、それぞれの品目類毎の変動後の金額は、実勢価格に基づき算出した額と実際の購入金額とのどちらか安い方とする。
25
=
「現場場内建設機械に係る数量」と「資機材運搬に係る数量」について複数の申請があった場合は、各月毎に各々の購入数量と購入価格の加重平均
による値を 【② 乙 購入価格 】 とすること。
【単品スライド(軽油+ガソリン)】の計算例
① 乙 購入数量 に対する 設計数量(積算システムによる4~9月分の数量) = 56,000 L ①’乙 購入数量 に対する 設計数量(運用マニュアルによる算出値) = 4,000 L | ||||||||||||
既済払済み数量(7,000L) | 購入数量(証明済み) | 購入数量 (未証明) | 購入数量合計 | |||||||||
軽油 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 計 | ||
① 乙 購入数量 (現場内建設機械に係る数量) | - | - | - | 5,000 | 10,000 | 15,000 | 14,000 | 5,000 | 1,000 | 50,000 | 5,000 | 55,000 |
①’乙 購入数量 (資機材運搬に係る数量) | - | - | - | 1,000 | 1,500 | 500 | 3,000 | - | 3,000 | |||
② 乙 購入価格 (税込み) | 90 | 90 | 100 | 90 | 100 | 100 | 100 | 110 | 100 | 95 | ||
③ 甲 実勢価格 (物価資料価格:税抜き) | 80 | 90 | 90 | 90 | 90 | 100 | 110 | 120 | 110 | 95 | ||
乙 購入金額 ① ×② | 450,000 | 1,000,000 | 1,500,000 | 1,400,000 | 550,000 | 100,000 | 5,000,000 | 475,000 | 5,475,000 | |||
乙 購入金額 ①’×② | 90,000 | 0 | 0 | 150,000 | 55,000 | 0 | 295,000 | - | 295,000 | |||
甲 実勢金額 (①+①’)×③ | 540,000 | 900,000 | 1,500,000 | 1,705,000 | 660,000 | 110,000 | 5,415,000 | 475,000 | 5,890,000 | |||
甲 スライド単価 p’ p’ = Σ(購入数量×実勢価格) ÷ 購入数量 = 5,890,000 ÷ ( 55,000 + 3,000 ) = | 102 |
① : 未証明の購入数量 (現場場内建設機械に係る数量)
②③ : 契約月の翌月~工期末の前々月の実勢価格の平均値
(計算例の場合は、2月~7月の実勢価格の平均値)とし、甲・乙とも同単価を計上すること。
対象数量(運用マニュアル算出値と購入数量の小さい方)
= 3,000 L
対象数量(積算システムの数量と購入数量の小さい方)
= 55,000 L
=
295,000
5,475,000
5,770,000
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の①より
【 購入数量 = 対象数量 】 のため、乙の購入金額を採用
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の①より
【 購入数量 = 対象数量 】 のため、乙の購入金額を採用
=
① : 証明済みの各月の購入数量 (現場場内建設機械に係る数量)
①’: 証明済みの各月の購入数量 (資機材運搬に係る数量)
② : 当該数量を購入した際の購入価格
③ : 購入月の実勢価格(翌月の「物価資料等」の価格)
① 乙 購入数量 に対する 設計数量(積算システムによる4~9月分の数量) = 8,000 L
①’乙 購入数量 に対する 設計数量(運用マニュアルによる算出値) = 1,000 L
10,000 >
2,000 >
1,414,000
280,000
1,670,000
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既済(単品スライド対象外)
未払い ( 単品スライド対象の請負代金額 = P )
p’ = Σ(購入数量×実勢価格) ÷ 購入数量 = 1,670,000 ÷ ( 10,000 + 2,000 ) =
甲 スライド単価 p’
0
1,670,000
34,000
170,000
561,000
520,000
275,000
110,000
甲 実勢金額
(①+①’)×③
-
280,000
0
0
80,000
140,000
60,000
0
乙 購入金額
①’×②
0
1,414,000
36,000
160,000
448,000
420,000
240,000
110,000
乙 購入金額
① ×②
170
170
170
130
110
110
140
120
110
③ 甲 実勢価格
(物価資料価格:税抜き)
180
160
160
140
120
110
130
120
100
② 乙 購入価格
(税込み)
-
2,000
500
1,000
500
-
-
-
①’乙 購入数量
(資機材運搬に係る数量)
0
10,000
200
1,000
2,800
3,000
2,000
1,000
-
-
-
① 乙 購入数量
(現場内建設機械に係る数量)
計
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
ガソリン
購入数量小計
購入数量
(未証明)
購入数量(証明済み)
既済払済み数量(1,400L)
「購入数量(証明済み)」の合計数量が設計数量を超過している場合は、「購入数量(未証明分)」については計上出来ない。
↓
(証明済み+未証明分) ≦ 設計数量
対象数量(運用マニュアル算出値と購入数量の小さい方)
= 1,000 L
対象数量(積算システムの数量と購入数量の小さい方)
= 8,000 L
140,000
1,131,200
1,271,200
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の①より
【 購入数量 > 対象数量 】 のため、乙の購入金額を調整
( 1,000/2,000 ) × 280,000 = 140,000
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の②より
【 購入数量 > 対象数量 】 のため、乙の購入金額を調整
( 8,000/10,000 ) × 1,414,000 = 1,131,200
=
【スライド額の算出】
単品スライド対象の請負代金額 | P | 50,000,000円 (税込み) ※部分払いの対象となった出来形部分 に相応する請負代金相当額を除く |
落札率 | k | 90% |
当初設計単価 | p | 軽油 : 80 円 、 ガソリン : 110 円 |
甲 スライド単価 | p’ | 軽油 : 102 円 、 ガソリン : 139 円 |
M変更・油 (甲) | [ 102×(55,000+3,000)+139×(8,000+1,000)]×0.9×1.05 = 6,772,815 | |
M変更・油 (乙) | 5,770,000 + 1,271,200 = 7,041,200 | |
M当初・油 (甲) | [ 80 ×(55,000+3,000)+ 110 ×(8,000+1,000)]×0.9×1.05 = 5,320,350 | |
変動額 油 | 6,772,815 - 5,320,350 = 1,452,465 | |
単品スライド額 | S | 1,432,242 - 50,000,000×1% = 952,465 |
M変更・油(甲) と M変更・油(乙)の金額を比較し、安価となる方を以下の変動額計算に使用する。
●
← 単品スライド対象の請負代金額(P)に対して、1%以上の変動有り
← S = 変動額 油 - P×1%
単品スライド対象の請負代金額(P)
請負額(B)
P×1%
単品スライド額(S)
【単品スライド説明図】
「軽油」と「ガソリン」は同品目であるため、合計額に対して足切り1%のチェックを行う点に注意!!
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