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中華人民共和国労働契約法(2007 年 6 月 29 日第 10 期全国人民代表大会常務委員会第 28 回会
議採択、中華人民共和国主席令第 73 号、2008 年 1 月 1 日施行)(仮訳)
(翻訳:xxx 九州大学法学部教授)
目 次
第 1 章 x x
第 2 章 労働契約の締結
第 3 章 労働契約の履行と変更第 4 章 労働契約の解約と終了第 5 章 特別規定
第 6 章 監督検査第 7 章 法律責任第 8 章 附 則
第 1 章 総則
1 条 【立法趣旨】
労働契約制度を完備させ、労働契約当事者の権利および義務を明確にし、労働者の適法な利益を保護し、もって、調和的かつ安定的労働関係を構築し発展させるためにこの本法を制定する。
2 条 【適用範囲】
中華人民共和国国内の企業、個人経営経済組織、民営非企業組織(以下、用人単位という)が労働者との間に労働関係を形成し、労働契約を締結、履行、変更、解約または終了するときは、この法律を適用する。
国家機関、事業組織、社会団体およびこれらと労働関係を形成する労働者が、労働契約を締結、履行、変更、解約または終了するときは、この法律に依拠して執行する。
3 条 【基本原則】
労働契約の締結にあたっては、適法、xx、平等・自主、協議一致、誠実信用の原則を遵守しなければならない。
労働契約は法により締結されたことにより法的拘束力を生じ、雇用単位と労働者は労働契約で約定された義務を履行しなければならない。
4 条 【規則制度】
雇用単位は法により規則制度を確立し整備し、もって労働者の労働権利の享有および労働義務の履行を保障しなければならない。
雇用単位は、労働報酬、労働時間、休日休暇、労働安全衛生、保険福利、従業員教育訓練、労働規律および労働ノルマ管理などの労働者の利益に密接に関連を有する規則または重要事項を制定、改正もしくは決定する場合、従業員代表大会または全体従業員の論議を経て、方案および意見を提出し、工会または従業員代表と平等に協議し、これを制定しなげればならない。
規則制度および重大事項に関する決定の実施において、工会または従業員はその内容が不適
当であると認めた場合には、雇用単位に意見を述べる権利を有し、協議によってその是正を行い、完備させる。
雇用単位は、労働者の切実な利益に直接関わる規則制度および重要事項に関する決定を公表し、または労働者に周知しなければならない。
5 条 【労働関係の三者構成メカニズムによる調整】
県レベル以上の人民政府の労働行政部門は工会および企業例代表と共同で、労働関係を調整する三者構成メカニズムを樹立し、完備させ、共同で労働関係に関する重大問題を検討し解決する。
6 条 【団体交渉システム】
工会は労働者に対して、法に基づき雇用単位と労働契約を締結し履行するように支援・指導し、雇用単位と団体交渉体制を樹立し、労働者の適法な利益を保護しなければならない。
第 2 章 労働契約の締結
7 条 【労働関係の成立】
雇用単位は労働者の採用の開始の日から、労働者と労働関係を形成する。雇用単位は、従業員名簿を作成し、監査に備えなければならない。
8 条 【雇用単位の告知義務と労働者の説明義務】
雇用単位は労働者を募集する際、労働者に対して、労働の内容、労働条件、勤務芭蕉、労働に伴う危険、安全生産の状況、労働報酬、及び労働者から求められたその他の状況について、事実基づいて告知しなければならない。雇用単位は、労働契約に直接関わる労働者の基本的な情報を知る権利を有し、労働者は事実に基づいて説明しなければならない。
9 条 【雇用単位は労働者の証明書を差し押さえたり、担保の提供を求めたりしてはならない】雇用単位は労働者を募集する際、労働者の身分証明書またはその他の証明書の差押をしては
ならず、労働者に担保の提供を要求したり、その他の名目で労働者の財物を受け取ったりしてはならない。
10 条 【書面労働契約の締結】
労働関係を確立するときは、書面により労働契約を締結しなければならならない。
すでに労働関係を形成したが、同時に書面により労働契約を締結しなかつた場合は 労働者を就労させた日から 1 か月以内に、書面による労働契約を締結しなければならない。
雇用単位と労働者とが労働者使用開始の前に労働契約を締結した場合、労働関係は労働者の使用開始の日から成立する。
11 条 【書面の労働契約を締結せず、労働報酬が未確定な場合の取扱い】
雇用単位が労働者使用と向時に書面による労働契約を締結しておらず、また労働報酬に関する労働者との約定が不明確な場合、新規募集した労働者の労働報酬は労働協約に規定する基準により執行する、労働協約がなく、または労働協約で規定されていない場合、同一労働同一賃金の原則を実行する。
12 条 【労働契約の種類】
労働契約は、期間の定めのある労働契約、期問の定めのない労働契約および一定作業の完成
を期間とする労働契約分類される。
13 条 【期間の定めのある労働契約】
期間の定めのある労働契約とは、雇用単位と労働者とが契約の終了時期を約定する労働契約をいう。
雇用単位と労働者が協議により一致した場合、期間の定めのある労働契約を締結することができる。
14 条 【期間の定めのない労働契約】
期間の定めのない労働契約とは、雇用単位と労働者とが契約の確定の終了時期を約定しない労働契約をいう。
雇用単位と労働者とは協議により一致した場合、期間の定めのない労働契約を締結することができる。以下に列挙する事由の一つがあり、労働者が労働契約の更新もしくは締結を求め、または同意した場合、労働者が期間の定めのある労働契約の締結を求めた場合を除き、期間の定めのない労働契約をxxしなければならない。
(一)労働者が同一の雇用単位のもとで満 10 年勤続している場合。
(二)雇用単位がはじめて労働契約制度を実施する、または国有企業が企業制度改革により新たに労働契約を締結する際、労働者が当該雇用単位のもとで、勤続 10 年以上勤務しかつ定年
年齢まで残りの期開か 10 年以内の場合。
(三)2 回にわたり、連続して期間の定めのある労働契約を締結し、かつ労働者にこの法律の 39 条ならびに 40 条 1 号及び 2 号の事由が存在しない場合に、当該労働者と労働契約を更新する場合
雇用単位は労働者を就労させた日から 1 年を経ても、労働者と書面による労働契約を締結しない場合、労働者との間に、期間の定めのない労働契約を締結したとものとみなす。
15 条 【一定の作業をもって労働契約の期間とする労働契約】
一定作業の完成を期間とする労働契約とは、雇用単位と労働者とが一定の作業の完成を契約の期限とするよう約定する労働契約を指す。
雇用単位と労働者とは協議により一致した場合、一定作業の完成を期間とする労働契約を締結することができる。
16 条 【労働契約の効力発生】
労働契約は、雇用単位と労働者が協議一致し、雇用単位と労働者が労働契約の書面上に署名あるいは押印して効力を生じる。
労働契約書は雇用単位と労働者が各一部を保有する。
17 条 【労働契約の内容】
労働契約は以下の事項を具備するものとする。
(一)雇用単位の名称、住所および法定代表者または主な責任者
(二)労働者の姓名、住所および住民身分証またはその他有効な身分証明書番号
(三)労働契約の期限
(四)業務内容および勤務場所
(五)労働時間および休憩休暇
(六)労働報酬
(七)社会保険
(八)労働保護、労働条件および職業危害の防止
(九)法律、法規が規定する労働契約に記載すべきその他の事項
労働契約は前項に規定する必須事項のほかに、雇用単位と労働者が試用期間、教育訓練、商業秘密の保持、補充保険と福利待遇等のその他の事項について定めることができる。
18 条 【労働契約で労働報酬と労働条件が不明確な場合】
労働契約において労働報酬および労働条件などの基準が不明確なため紛争が起きた場合、雇 用単位と労働者は改めて協議することができる。協議不成立の揚合、労働協約の規定を適用する。労働協約がなく、または労働協約で労働報酬が規定されていない場合、同一労働同一賃金を実 行する。労働協約がなく、または労働協約で労働条件などの基準が規定されていない場合、国 家の関連する規定を適用する。
19 条 【試用期間】
労慟契約期聞か 3 か月以上 1 年末満の場合、試用期間は 1 か月を超えてはならない。労働契
約期間が 1 年以上 3 年末満の場合、試用期間は 2 か月を超えてはならない。3 年以上の期間の定めのある労働契約および期間の定めのない労働契約の試用期間は、6 か月を超えてはならない。
同一の雇用単位が同一の労働者とて 1 回に限り、試用期間を約定することができる。
一定作業の完成をもって期間の定めとする労働契約または労働契約期間が 3 か月未満の場合、試用期間を約定してはならない。
試用期間は労働契約期間に含まれるものとする。労働契約で試用期間のみを約定した場合、試用期間は成立せず、当該期開は労働契約の期間とする。
20 条 【試用期間の賃金】
労働者の試用期間における賃金は当該組織のもとにおける同一労働の最低賃金または労働契約で約定した賃金の 80%以上で、かつ雇用単位所在地の最低賃金基準を下回ってはならない。
21 条 【試用期間中の労働契約の解約】
試用期間中、労働者がこの法律の 39 条と 40 条 1 号及び 2 号の規定に該当する場合を除き、雇用単位は労働契約を解約してはならない。雇用単位が試用期間において労働契約を解約する場合、労働者に理由を説明しなければならない。
22 条 【服務期間】
雇用単位は労働者に専門的な訓練費用を提供し、専門技術訓練を受けさせる場合、当該労働者と協議を締結し、一定の勤務期間を約定することができる。
労働者は一定の勤務期間の約定に違反した場合、約定に従い雇用単位に違約金を支払わなければならない。違約金の金額は雇用単位が提供した訓練費用を超えてはならない。雇用単位が労働者に求める違約金は、労働者のその勤務期間の未履行部分(残存服務期間)に対応する割合を超えてはからない。
雇用単位と労働者とが一定の勤務期間を約定したことは、正常な賃金調整メカニズムに基づいて行われる労働者の勤務期間中の昇給に影響を与えない。
23 条 【秘密保持義務と競業制限】
雇用単位と労働者は労働契約において雇用単位の商業秘密と知的財産権に関係する秘密事項
を約定することができる。
秘密保持義務を負う労働者に対して、雇用単位は、労働契約または秘密保持協議の中で、競業制限条項を約定することができ、かつ労働契約の解約または終了後の競業制限期間に、毎月、労働者に経済補償金を支払うことを約定することができる。労働者が競業制限の約定に達反した場合、約定に基づき雇用単位に達約金を支払わなければならない。
24 条 【競業制限の範囲と期間】
競業を制限される労働者は雇用単位の高級管理者、高級技術者およびその他の秘密保持義務を負う人員に限られる。競業制限の範囲、地域、期間は雇用単位と労働者の協議により約定され、競業制限に関する約定は法律、法規の規定に達反してはならない。
労働契約が解約または終了後、前項に規定する人員が雇用単位と同類製品を生産または経営し、同業業務に従事する競争関係がある他の雇用単位に就職し、また自ら起業し雇用単位と同類製品を生産または経営し、競業業務に従事することを制限する競業制限期間は、2 年を超えてはならない。
25 条 【違約金】
この法律の 22 条および 23 条に規定する状況以外に、雇用単位は労働者と労働者が負担する違約金を約定してはならない。
26 条 【労働契約の無効】
下記の労働契約は無効または一部無効とする。
(一)詐欺、強迫的な手段または他人の窮迫状況に乗じるなど、相手の真意に背いた状況において労働契約の締結または変更をさせた場合
(二)雇用単位が白身の法定の責任を免れたり、労働者の権利を排除したりした場合
(三)法律、行政法規の強行規定に違反した場合
労働契約の無効あるいは一部無効について紛争が生じたときは、労働紛争仲裁機構あるいは人民法院により確定する。
27 条 【労働契約の一部無効】
労働契約の一部の無効が確認された場合、もしその他の部分の効力に影響がないときは、その余の部分は依然として有効である。
28 条 【労働契約の無効の後の労働報酬の支払い】
労働契約が無効と確認されたが、労働者がすでに労務を提供した場合、雇用単位は労働者に労働報酬を支払わなければならない。労働報酬の金額は当該雇用単位のもとでの同様または類似の労働者の労働報酬を参考にして確定する。
第 3 章 労働契約の履行と変更
29 条 【労働契約の履行】
雇用単位と労働者は労働契約の規定に基づき各自の義務を全面的に履行しなければならない。
30 条 【労働報酬】
雇用単位は労働契約の規定と国家の規定に照らして、労働者に対して遅滞なく、かつ全額労働報酬を支払わなければならない。
労働報酬の支払いを引き延しまたは全額支払わない場合、労働者は法により当該地区の人民
法院に支払命令を申し立てることができ、人民法院は法により支払命令を出さなければならない。
31 条 【時間外労働】
雇用単位は労働ノルマ基準を厳格に執行しなければならず、労働者に時間外労働を強要してはならない。雇用単位が時間外労働を命じる場合、国家の関連する規定に基づき、労働者に時間外労働手当を支払わなければならない。
32 条 【労働者は、規則違反の指揮、危険作業の命令を拒否できる】
労働者は、雇用単位の管理者が発した規則に反する指揮、または危険を冒す作業の強制を拒否する場合、労働契約違反行為とはみなされない。
労働者は生命の安全および身体の健康を脅かす労働条件について、雇用単位に対して、批判し、告発し、提訴する権利を有する。
33 条 【雇用単位の名称、法定代表者の変更】
雇用単位の名称、法定代表者、主要な責任者あるいは投資者等の事項の変更は、労働契約の履行に影響を与えない。
34 条 【雇用単位の合併・会社分割】
雇用単位に合併または会社分割などの事情が発生した場合、元の労働契約は引き続き有効であり、労働契約は元の雇用単位の権利および義務を承継する雇用単位によって引き続き履行される。
35 条 【労働契約の変更】
雇用単位と労働者は協議により一致した場合、労働契約の約定内容を変更することができる。労働契約を変更する場合、書面形式を採用しなければない。
変更後の労働契書は雇用単位と労働者が各自 1 部ずつ保有する。
第 4 章 労働契約の解約と終了
36 条 【合意解約】
雇用単位及び労働者は協議による合意のうえで労働契約を解約することができる。
37 条 【労働者の予告による解約】
労働者は 30 日前に書面により雇用単位に通知し、労働契約を解約することができる。労働者は、試用期間内において、3 日前までに雇用単位に通知した場合、労働契約を解約することができる。
38 条 【労働者による労働契約の解約】
雇用単位に以下に列挙する事由の一つがある場合、労働者は労働契約を解約することができる。
(一)労働契約の約定どおりに労働保護または労働条件を提供しないとき
(二)労働報酬の支払いを遅滞したり、満額支給しなかったりしたとき
(三)法により労働者のために社会保険料を納付しないとき
(四)雇用単位の規則制度が法律、法規の規定に違反し、労働者の権益に損害を与えたとき
(五)本法 26 条 1 項の規定する情況により、労働契約が無効となったとき
(六)法律、行政法規の規定する労働者が労働契約を解約することができるその他の状況
雇用単位が暴力、強迫または違法に人身の自由を不当に制限する手段により労働者に労働を強制した場合、または雇用単位が規則に違反し、労働者の人身の安全を脅かす危険作業を指示、強要した場合は、労働者は直ちに労働契約を解約することができ、雇用単位に事前に予告する必要はない。
39 条 【雇用単位による一方的な労働契約の解約】
労働者に以下に列挙する状況の一つがある場合、雇用単位は労働契約を解約できる。
(一)労働者が試用期間において採用条件に合致しないことが証明されたとき
(二)労働者が雇用単位の規則制度に重大な違反をしたとき。
(三)著しい職務怠慢、不正利得行為により雇用単位に重大な損害を与えたとき
(四)労働者が同時に他の雇用単位と労働関係を形成し、当該雇用単位の業務任務の完成に対して深刻な影響を与え、あるいは雇用単位の指摘を経ても、是正を拒否したとき
(五)本法 26 条 1 項の規定する情況により、労働契約が無効となったとき
(六)法により刑事責任を追及されたとき
40 条 【帰責性のない事由による解雇】
以下に列挙する事由の一つがある場合、雇用単位は 30 日前までに書面により労働者本人に
通知するか、または労働者に対し 1 か月の賃金を加算して支給した後、労働契約を解約することができる。
(一)労働者が病気に罹患しまたは業務外の負傷により、所定の医療期間満了後も元の業務に従事することができず、雇用単位が別に配置した業務にも従事することができないとき
(二)労働者が業務の任に堪えず、訓練または配置の調整を経てもなお業務の任に堪えないとき
(三)労働契約の締結時に依拠した客観的な状況に重大な変化が生じ、労働契約の履行が不可能となり、当事者の協議を経ても労働契約の内容変更について合意できなかったとき
41 条 【経済的人員削減】
下記に列挙する事由の一つがあり、20 人以上または 20 人未満だが企業従業員総数の 10%以上の人員削減が必要な場合は、雇用単位は 30 日前までに工会または全従業員に対し状況を説明し、工会または従業員の意見を聴取後に、人員削減方案を労働行政部門に報告したうえで人員削減を行うことができる。
(一)雇用単位が企業破産法の規定に照らして再建を行うとき
(二)雇用単位の生産経営が深刻な困難に陥ったとき
(三)企業の転業、重大な技術革新、経営方式の調整があり、労働契約変更後においてなお、人員削減が必要であるとき
(四)労働契約締結の際に根拠としたその他客観的経済状況に重大な変化が生じたことに起因して、労働契約が履行不能となったその他のとき
人員削減を行う際、以下に列挙する人員を優先的に継続雇用しなければならない。
(一)当該雇用単位と比較的長期間の期間の定めのある労働契約を締結している者
(二)当該雇用単位と期間の定めのない労働契約を締結している者
(三)家庭内に他に就業者がなく、扶養を必要とする老人または未xx者を有する者
雇用単位が本条 1 項の規定により人員削減を行い、6 か月以内に新たに人員を募集採用する場合は、削減された人員に通知し、かつ同等条件下においては削減された人員を優先的に募集
採用しなければならない。
42 条 【雇用単位が労働契約を解約できない事由】
労働者に以下に列挙する事由の一つがある場合、雇用単位は本法 40 条、41 条の規定に照らして、労働契約を解約することができない。
(一)危険を伴う作業に従事している者で離職前の検診・診断を受診していない者または職業病に罹患している疑いで診断を受診しているとき
(二)業務上の傷病により労働能力の一部または全部を失ったと認められたとき
(三)業務外の傷病により所定の医療期間にあるとき
(四)女性労働者が産前・産後・育児休業期間にあるとき
(五)当該企業での勤続年数が 15 年を超え法定の定年年齢まで 5 年未満の者であるとき
(六)法律、法規に定めるその他の事由があるとき
43 条 【工会の労働契約解約時における監督権限】
雇用単位が一方的に労働契約を解約するときは、予め、理由について工会に通知しなければならない。雇用単位が法律、行政法規の定めあるいは労働契約の規定に違反しているときは、工会は雇用単位に是正を要求する権利を有する。雇用単位は工会の意見を検討し、処理結果について工会に通知しなければならない。
44 条 【労働契約の終了】
以下に列挙する事由の一つがある場合、労働契約は終了する。
(一)労働契約期間が満了した場合
(二)労働者が法により基本養老保険待遇を受け始めている場合
(三)労働者が死亡したか、または人民法院により死亡宣告または失踪宣告がなされた場合
(四)雇用単位が法により破産を宣告された場合
(五)雇用単位が営業許可証を取り消され、閉鎖を命じられた場合合または雇用単位が事前解散を決定した場合
(六)法律、行政法規が規定するその他の状況
45 条 【労働契約の期間満了による終了の禁止】
労働契約が満了し、本法 42 条に列挙されている事由のいずれかがある場合、労働契約は相
応の状況が消滅するときまで継続されなければならない。ただし、本法 42 条 2 項に規定されている労働能力を喪失または一部喪失した労働者の労働契約終了については、国家の労災保険に関する規定に照らして執行する。
46 条 【経済補償金】
下記に列挙する事由に一つがある場合、雇用単位は労働者に経済補償金を支給しなければならない。
(一)労働者が本法 38 条の規定により労働契約を解約した場合
(二)雇用単位が本法 36 条の規定により労働者に労働契約の解約を申し込み、かつ労働者と労働契約の解約について協議により合意した場合
(三)雇用単位が本法 40 条の規定により労働契約を解約した場合
(四)雇用単位が本法 41 条 1 項の規定により労働契約を解約した場合
(五)雇用単位が労働契約で約定した労働条件を維持するか引き上げて労働契約の継続締結を
申し出て、労働者が労働契約の更新に同意しない状況に加えて、本法 44 条 1 項の規定により期間の定めのある労働契約を終了する場の
(六)本法 44 条 4 項、5 項の規定により労働契約を終了する場合
(七)法律、行政法規で規定されているその他の状況
47 条 【経済補償金の算定】
経済補償金は労働者が当該雇用単位に勤務していた年数に照らして、1 年ごとに賃金 1 か月分を基準として労働者に支払われる。6 か月以上 1 年に満たない場合には、1 年として計算する。6 か月に満たない場合は、労働者に半月分の経済補償金を支払う。
労働者の月の賃金が雇用単位の所在直轄市、区を設ける市級人民政府の当該地区の前年度従業員の平均賃金の 3 倍を上回る場合には、これに支払う経済補償金の基準は労働者の月の平均
賃金の 3 倍の金額を支払い、当該労働者に支払う経済補償金の年数は 12 年を上限とする。
本条でいう月の賃金とは、労働者が労働契約を解約または終了する前の 12 か月の平均賃金を指す。
48 条 【労働契約の解約や終了が違法な場合の法的効果】
雇用単位が本法の規定に違反し労働契約を解約または終了した場合、労働者が労働契約の継続履行を要求したときは、雇用単位は継続履行しなければならない。労働者が労働契約の継続履行を要求しないか、または既に労働契約の継続履行ができないときは、雇用単位は本法 87条の規定により賠償金を支払わなければならない。
49 条 【社会保険関係の越境移転】
国家は措置を講じて、労働者の社会保険関係について、地区を跨いだ転移・継続の制度を確立し、健全なものにする。
50 条 【労働契約の解約あるいは終了後の双方の義務】
雇用単位は、労働契約の解約または終了と同時に労働契約の解約または終了の証明を発行し、かつ 15 日以内に労働者の档案及び社会保険関係の移転手続きを行わなければならない。
労働者は双方の約定に基づき、業務の引き継ぎを行わなければならない。雇用単位は、本法の関連規定に基づき労働者に経済補償金を支給する必要がある場合は、業務の引き継ぎの終了時に支給する。
雇用単位は、既に労働契約を解約または終了した労働契約書を、少なくとも 2 年間は保存しなければならない。
第 5 章 特別規定第 6 章 監督検査第 7 章 法律責任第 8 章 附 則
(未完)