Contract
令和6年6月19日独立行政法人中小企業基盤整備機構
中小企業成長支援ファンド出資事業の主な要件
1.出資対象とする組合
新事業展開、転業、事業の再編、事業の円滑な承継等により新たな成長・発展を目指す中小企業者に対する投資事業を行う組合(投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成10年法律第90号。以下「有限責任組合法」という。)に基づく投資事業有限責任組合に限る。以下同じ。)であること。
2.機構の組合員としての地位及び出資限度額
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、組合の有限責任組合員として参加することとし、機構の出資約束金額は、1組合につき、80億円を超えない額とする。ただし、機構が30億円を超える出資を行なう場合は、その超過額を上回る金額又は5億円のいずれか高い金額以上を、適格機関投資家(注1)が出資することを条件とする。
また出資限度額は、次に掲げる区分に応じて定める割合以内とする。ただし、地方公共団体が出資を行う場合には、(3)の場合を除き、当該地方公共団体の出資金額と機構の出資額の合計額を出資限度額とする。
(1) 出資約束金額総額が120億円以下の場合は、出資約束金額総額の2分の1以内
(2) 出資約束金額総額が120億円を超えて180億円以下の場合は、出資約束金額総額から120億円を控除した額の3分の1に、60億円を加えた額以内
(3) 出資約束金額総額が180億円を超える場合は、80億円以内(ただし、地方公共団体が出資を行う場合には、出資約束金額総額から180億円を控除した額が、当該地方公共団体の出資金額と機構の出資額の合計から80億円を控除した額の3倍以上となること。なお地方公共団体の出資金額と機構の出資額の合計が80億円に満たない場合はこの限りではない。)
3.投資対象
①投資総額の70パーセント(機構出資比率が2分の1未満の場合には、当該機構出資比率に1.4を乗じて得た割合又は35パーセントのいずれか高い割合)以上
(注2)は、組合からの最初の投資を実行する時点において中小企業者(注3)である事業者に対する投資であること。
②次に掲げる会社((3)にあっては、当該組合が産業競争力強化法第17条の3第
1項に規定する認定外部経営資源活用促進投資事業者である場合に限る。)に対する投資の合計(投資する総額のうち、機構出資比率に0.4を乗じて得た割合に相当する額又は投資する総額の10パーセントに相当する額のいずれか高い額以内に限る。)は、中小企業者である事業者に対する投資として算定することができる。
(1)中小企業者以外の会社となった日から 10 年以内の会社
(2)中小企業等経営強化法第2条第5項に規定する特定事業者(以下単に「特定事業者」という。)(中小企業者に該当するもの及び(1)に掲げるものを除く。)
(3)国内に本店又は主たる事務所を有する中小企業者がその経営を実質的に支配
していると認められるものとして産業競争力強化法施行規則(平成30年内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第1号)第4条各号のいずれかに掲げる関係を有する外国法人
4.投資形態
有限責任組合法第3条第1項各号に規定する投資形態による。
5.出資金の払込方法
出資約束金額を確定した上での「分割払い」の方式であること。ただし、機構の出資約束金額が10億円以下の場合に限り、「一括払い」の方式も可能とする。
6.出資約束金額の減額
投資期間(新規投資を決定又は実行できる期間をいう。以下同じ。)の終了後(投資期間の定めのない組合については、組合存続期間の2分の1経過後)において投資総額が出資約束金額総額の60パーセントを超えない場合には、組合員間の合意の上で、当該投資総額、当該事業年度末までの新規投資予定額(投資実行及び投資金額が決定している案件に係るものに限る。)、追加投資予定額及び管理報酬その他の費用の合計金額まで、出資約束金額を引き下げることができるものとする。
出資約束金額を引き下げた場合には、その引き下げ修正までの間に支払った管理報酬額のうち、半期ごとに計算した修正差額を、無限責任組合員から返還させることを基本とする。
7.組合の存続期間
組合の存続期間は12年以内とする。ただし、組合員間の合意の上で、当初の存続期間から3年を超えない範囲内で延長可能とする。
8.投資先企業の育成
無限責任組合員は、投資後における投資先企業の業況や事業の進捗状況等を継続的に把握するとともに、経営、技術等に関するハンズオン支援を行うこと。
9.善管注意義務、利益相反、秘密保持
①無限責任組合員は、組合目的に従い善良なる管理者の注意をもってその業務を執行すること。
②無限責任組合員は、組合に不利益が生じないよう利益相反に配慮すること。
なお、無限責任組合員は、組合存続期間の2分の1を経過した日又は組合の出資約束金額の総額に占める投資総額の割合が60パーセントを超える日のいずれか早い日までの間は、組合員の事前の承認を得ることなく、組合の事業と同種又は類似の事業を行うことはできない。
③無限責任組合員は、組合員の事前の承認を得ることなく、組合との取引を行わないこと。
④無限責任組合員は、投資先に関する情報をはじめとする組合に関する情報を、合理的な範囲を超えて開示又は提供してはならないものとし、組合運営に際しては、万全の秘密保持体制をとること。
10.報告義務
無限責任組合員は、有限責任組合員に対し、下記の事項に関し報告するとともに、有限責任組合員から要請があった場合には、投資活動に関する情報の開示を行うこと。なお、②については投資実行の翌月末まで、③については発生後遅滞なく、⑥については処分収入を得た翌月末までに報告を行うものとする。
①組合の半期ごとの業務執行状況
②投資実行した場合の投資先企業の概要、投資金額等
③投資先企業に発生した次に掲げる重要な事情の内容等
(1) 投資時点で予定されていなかった、合併、株式交換、株式移転、会社分割、事業譲渡、事業の休止又は廃止、破産、会社更生又は民事再生の手続開始申立等
(2) 上場承認
④投資先企業の1年ごとの収支、雇用その他の経営状況
⑤投資先企業に対するハンズオン支援の内容
⑥売却・償還等による処分収入を得た場合の当該投資先企業の概要、売却額等
11.無限責任組合員に対する報酬
①管理報酬
管理報酬により賄われるべき費用の範囲は、投資先の発掘・審査、投資先に対する支援及び組合事業の運営に要する費用を基本とする。
管理報酬は、次の各号に掲げる出資約束金額総額の区分に応じ、組合の存続期間
(延長期間を除く)における一年当たりの平均支払額が当該各号に定める額の範囲内となるようにするものとする。
(1) 出資約束金額総額が100億円を超過する組合においては、出資約束金額総額の2パーセントに相当する額
(2) 出資約束金額総額が10億円を超過し、100億円以下の組合においては、出資約束金額総額の2.5パーセントに相当する額
(3) 出資約束金額総額が10億円以下の組合においては、出資約束金額総額の3パーセントに相当する額
②成功報酬
無限責任組合員は、出資約束金額総額又は組合員から出資された金額の累計額に対する組合員に分配された金額の累計額の比率(以下「分配比率」という。)が1
00パーセントを上回る場合に、組合財産から成功報酬を受領することができる。ただし、投資総額における中小企業者への投資金額の割合が70パーセント未満のものにおいては、無限責任組合員は、分配比率が次の算式により算定した率を上回る場合に組合財産から成功報酬を受領することができる。
率(%) = 100+{(70-中小企業投資比率(%)(*))÷35}×10
(*)各組合においてあらかじめ設定する、中小企業者に対する投資比率の下限
成功報酬は、組合員に分配することができる金額の総額の20パーセントを超えない額とする。ただし、分配比率が200パーセントを上回る場合には、この限りではない。
12.無限責任組合員の出資比率
無限責任組合員は出資約束金額総額の1パーセント以上を自ら出資すること。ただし、適格機関投資家(注1)が出資していない組合においては、無限責任組合員は出資約束金額総額の10パーセント以上を自ら出資すること。
13.中小機構の関与
①機構は、無限責任組合員が主催する投資委員会又は投資検討会へオブザーバーとして出席できる。
②機構は、無限責任組合員の財務内容等の経営状況について、報告を求めることができる。
③機構は、出資する組合が清算結了した際には、無限責任組合員に対し、運営結果について報告を求めることができる。
14.反社会的勢力への対応
①すべての組合員が、契約時点において反社会的勢力でないこと及び組合員である全期間において反社会的勢力に該当しないことを、表明及び保証すること。
②①に虚偽又は違反があることが判明した場合には組合員の除名事由に該当するものとすること。
③組合の投資対象から反社会的勢力を除外すること。
15.その他
①組合は原則として資金の借入れを行わないものとする。
②組合契約に盛り込んだ投資形態から発生する有価証券譲渡益又は配当収入による利益の再投資を行わないものとする。
③組合が社債利息及び配当金等を受領する際には、源泉徴収義務者に対し、機構は非課税であることを通知し、適正な所得税法上の処理を行わせるものとする。
④無限責任組合員は、投資先企業と匿名組合契約の出資の持分又は信託の受益権を取得する場合にあっては、当該出資額又は当該取得額を超えて損失を負担することのないことを匿名組合契約、信託契約等において規定すること。また、当該契約等の内容について機構へ事前に通知することとし、機構は当該契約等の内容に対して意見を述べることができる。
⑤機構に対する組合財産の分配(清算人による分配を含む。)については、機構が投資先企業の株式等の現物による分配を希望する場合を除き、金銭により行うこと。
(注1)機構、無限責任組合員及びその関係会社等である適格機関投資家を除く。
(注2)本比率については、組合の第3事業年度末以降の毎事業年度末時点において充足されていること。
(注3)「中小企業者」とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第
147号)第2条第1項各号に定義される中小企業者をいい、具体的には以下①から⑦のいずれかに該当するものをいう。
ただし、1社の大企業(中小企業者以外の事業者(「3.投資対象②」の場合には、中小企業者以外の会社となった日から10年以内の会社及び特定事業者を除く。)をいう。以下同じ。)若しくはその役員から50パーセント以上の出資を受けている中小企業者又は大企業若しくはその役員から100パーセントの出資を受けている中小企業者(投資後に当該中小企業者に該当しなくなることが明らかである場合を除く。)は、投資対象における中小企業投資比率に含まない。
①製造業、建設業、運輸業その他の業種を主たる事業として営む者にあっては、資本金若しくは出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員数が300人以下の会社及び個人。ただし、ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く。)については、資本金若しくは出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員数が900人以下の会社及び個人
②卸売業を主たる事業として営む者にあっては、資本金若しくは出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員数が100人以下の会社及び個人
③サービス業を主たる事業として営む者にあっては、資本金若しくは出資の総額が
5千万円以下の会社又は常時使用する従業員数が100人以下の会社及び個人。ただし、ソフトウェア業又は情報処理サービス業については資本金若しくは出資の総額が3億円以下又は常時使用する従業員数が300人以下の会社及び個人、旅館業については資本金若しくは出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員数が200人以下の会社及び個人
④小売業を主たる事業として営む者にあっては、資本金若しくは出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員が50人以下の会社及び個人
⑤企業組合
⑥協業組合
⑦独立行政法人中小企業基盤整備機構法施行令(平成16年政令第182号)第1条第2項で定める組合及び連合会
《若手キャピタリスト育成型ファンドオブファンズの特例》
若手キャピタリストを育成することを目的として、機構出資組合(親ファンド)が他の組合(子ファンド)に対して投資する場合、当該他の組合の中小企業者に対する投資(当該組合が当該他の組合に対して有する持分の割合を乗じて得た額に限る。)は、機構出資組合の中小企業者である事業者に対する投資として算定することができる。
この特例を利用する場合は、次の各号の要件を満たすこと。
①投資先組合の無限責任組合員が初めて又は2回目に設立する組合に対する出資であること。
②機構が出資する組合(以下「機構出資組合」という。)の無限責任組合員が、投資する他の組合(以下「投資先組合」という。)の無限責任組合員に対して投資先企業へのハンズオン支援をはじめとするファンド運営のノウハウを提供することにより、投資先組合のファンドマネージャーの育成に資するものであること。
③機構出資組合の無限責任組合員は、以下の事項を遵守すること。
(1) 投資先組合と組合契約を締結した場合及び投資先組合の無限責任組合員から
「10.報告義務」に基づき報告を受けた場合には、その内容を機構に対して速やかに報告すること。
(2) 以下④に掲げる投資先組合の要件の遵守を含め、投資先組合が適正に運用されるよう、投資先組合の運用状況を継続的に把握すること。
④投資先組合は、以下の要件を満たすこと。
(1) 「1.出資対象とする組合」の規定を満たすこと。
(2) 「4.投資形態」から「15.その他④」までの規定は、投資先組合について準用する。この場合において、「5.出資金の払込方法」中「機構」とある
のは「機構出資組合」、「13.中小機構の関与①」中「機構」とあるのは「機構出資組合の無限責任組合員及び機構」、「13.中小機構の関与②」及び「1
3.中小機構の関与③」並びに「15.その他④」中「機構」とあるのは「機構出資組合の無限責任組合員」と読み替えるものとすること。
(3) 資金の借入れを行わないものとすること。
(4) 投資先組合の存続期間については、機構出資組合の存続期間を超えないものとすること。
(5) 機構出資組合の管理報酬については、機構出資組合の存続期間における一年当たりの平均支払額が機構出資組合の出資約束金額総額の1パーセントに相当する額の範囲内となるようにするものとする。投資先組合の管理報酬は、「1
1.無限責任組合員に対する報酬」に規定する要件を満たすこと。