1.治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を遵守して行われなければならない。
治験に関する標準業務手順書
総合病院 坂出市立病院
版数 | 第 10 版 |
改訂年月日 | 平成 25 年 4 月 26 日 |
院長 | x x x x 印 |
治験に関する標準業務手順書目 次
治験の原則 3
第1章 目的と適用範囲 4
目的と適用範囲 4
第2章 院長の業務 4
院長の責務 4
治験委託の申請等 4
治験実施の了承等 5
治験実施の契約等 5
治験の継続 6
治験実施計画書の変更 6
治験実施計画書からの逸脱 7
医薬品の重篤な有害事象の発生 7
医療機器の重篤な有害事象及び不具合の発生...............................7重大な新たな安全性に関する情報の入手 7
治験の中止、中断及び終了 8
異議申し立て 8
直接閲覧 8
第3章 治験審査委員会 10
治験審査委員会及び治験審査委員会事務局の設置 10
治験審査委員会の選択 10
専門治験審査委員会への調査審議の依頼 11
第4章 治験責任医師の業務 11
治験責任医師の要件 11
治験責任医師の責務 12
被験者の同意の取得 14
被験者に対する医療 15
治験実施計画書からの逸脱等 16
第5章 治験薬の管理 16
治験薬の管理 16
第6章 治験事務局 17
治験事務局の設置及び業務 17
第7章 業務の委託 18
業務委託の契約 18
第 8 章 記録の保存 18
記録の保存責任者 18
記録の保存期間 18
(附則)改訂の履歴 19
治験に関する標準業務手順書
治験の原則
治験は、次に掲げる原則に則って実施されなければならない。
1.治験は、xxxxx宣言に基づく倫理的原則及び GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を遵守して行われなければならない。
2.治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
3.被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
4.治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
5.治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
6.治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。
7.被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師が常に負うべきである。
8.治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
9.全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
10.治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存しなければならない。
11.被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
12.治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、治験薬 GMP(治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準)を遵守して行うものとする。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
13.治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムを運用するものとする。
14.治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
第1章 目的と適用範囲
(目的と適用範囲)
第 1 条 本手順書は、平成 9 年 3 月 27 日厚生省令第 28 号「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(GCP 省令)並びに「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成
17年厚生省令第36号。以下「医療機器GCP省令」という。)及びその関連通知(以下、「GCP 省令等」という)に基づいて、治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順及び記録の保存方法を定めるものとする。
2 本手順書は、医薬品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 製造販売後臨床試験に対しては、医薬品GCP省令第 56 条及び医療機器GCP省令第 76 条に準じ、「治験」等とあるのを「製造販売後臨床試験」等と読み替えることにより、本手順書を適用する。
4 医療機器の治験に対しては、本手順書第 8 条及び第 22 条を除き「医薬品」、「治験薬」、「同一成分」及び「副作用」とあるのを「医療機器」、「治験機器」、「同一構造及び原理」及び「不具合又は不具合による影響」と読み替えることにより、本手順書を適用する。
第2章 院長の業務
(院長の責務)
第 2 条 院長は、治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2 院長は、当該医療機関における治験が GCP 省令等、治験実施計画書、治験の契約書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
3 院長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。
(治験委託の申請等)
第 3 条 院長は、事前に治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者xxx(書式 2)に基づき、治験関連の重要な業務の一部を分担させる者を了承する。院長が了承した治験分担医師・治験協力者xxx(書式 2)は、記名押印又は署名し治験責任医師に提出し、その写を保存するものとする。また、院長は必要に応じて治験依頼者に治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)の写しを提出する。
2 院長は、治験責任医師と治験依頼者との間で治験に関する文書による合意が成立した後、治験責任医師及び治験依頼者に治験依頼書(書式 3)、治験責任医師の履歴書(書式 1)、
治験実施計画書等の審査に必要な資料を提出させるものとする。
(治験実施の了承等)
第 4 条 院長は、治験責任医師に対して治験の実施を了承する前に、治験審査依頼書(書式 4)、治験責任医師の履歴書(書式 1)、治験実施計画書等の審査の対象となる文書を治験審査委員会に提出し、治験の実施について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 院長は、依頼があった治験に対し、医薬品GCP省令第 27 条第 1 項及び医療機器GCP
省令第46 条第1 項の規定により適切な治験審査委員会を選択した上で調査審議を依頼することができる
3 院長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、同意文書及びその他の説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写しとともに治験に関する指示・決定通知書(書式 5 または参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
4 院長は、治験審査委員会が、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験責任医師及び治験依頼者が治験実施計画等を修正した場合には、治験実施計画書等修正報告書(書式 6)及び該当する資料を提出させるものとする。また、院長は治験実施計画書等修正報告書(書式 6)と該当する資料について修正事項の確認を行う。
5 院長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を了承することはできない。院長は、治験の実施を了承できない旨の院長の決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写しを用いて、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
6 院長は、治験依頼者から治験審査委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(治験実施の契約等)
第 5 条 院長は、治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後、治験依頼者と治験契約書(書式 19-1、19-2)により契約を締結し、双方が記名又は署名し、押印と日付を付すものとする。
2 治験責任医師は、受託に関する契約書の内容を確認するものとする。
3 院長は、治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合には、本手順書第 4
条第 3 項の治験実施計画書等修正報告書(書式 6)により修正したことを確認した後に、治験契約書(書式 19-1、19-2)により契約を締結するとともに、治験責任医師は本条前項に従うものとする。
4 治験契約書の内容を変更する際には、本条第 1 項に準じて覚書(書式 20-1、20-2)を締結するとともに、治験責任医師は本条第 2 項に従うものとする。
(治験の継続)
第 6 条 院長は、実施中の治験において治験の期間が 1 年を超える場合には、少なくとも年1回、治験責任医師に治験実施状況報告書(書式 11)を提出させ、治験審査依頼書(書式 4)及び治験実施状況報告書(書式 11)の写しを治験審査委員会に提出し、治験の継続について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 院長は、治験審査委員会の審査結果に基づく院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写とともに治験に関する指示・決定通知書(書式 5 または参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。修正を条件に承認する場合には、第 4 条第 2 項に準じるものとする。
3 院長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく院長の指示、決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写とともに治験に関する指示・決定通知書(書式 5 または参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
4 院長は、治験依頼者から治験審査委員会の継続審査等の結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(治験実施計画書の変更)
第 7 条 院長は、治験期間中、治験審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、治験責任医師及び治験依頼者から、それらの該当文書のすべてを速やかに提出させるものとする。
2 院長は、治験責任医師又は治験依頼者より治験に関する変更申請書(書式 10)の提出があった場合には、治験の継続の可否について、治験審査委員会の意見を求め、院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写とともに治験に関する指示・決定通知書(書式 5 又は参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
(治験実施計画書からの逸脱)
第 8 条 院長は、治験責任医師より被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない理由により治験実施計画書からの逸脱の報告(書式 8)があった場合は、治験審査委員会の意見を求め、院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写とともに治験に関する指示・決定通知書(書式 5 または参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
(医薬品の重篤な有害事象の発生)
第 9 条 院長は、治験責任医師より重篤な有害事象に関する報告書(書式 12、書式 13)があった場合は、治験責任医師が判定した治験薬との因果関係及び予測性を確認し、治験の継続の可否について、治験審査委員会の意見を求め(書式4)、院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式5)の写しとともに治験に関する指示・決定通知書(書式5または参考書式1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
(医療機器の重篤な有害事象及び不具合の発生)
第9条の2 院長は、治験責任医師により重篤な有害事象及び不具合発生の報告(書式14、書式15)があった場合は、治験責任医師が判定した治験機器との因果関係及び予測性を確認し、治験の継続の可否について、治験審査委員会の意見を求め(書式4)、院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式5)の写しとともに治験に関する指示・決定通知書(書式5または参考書式1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
(重大な新たな安全性に関する情報の入手)
第 10 条 院長は、治験依頼者より安全性情報等に関する報告書(書式 16)を入手した場合は、治験の継続の可否について治験審査委員会の意見を求め、院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式 5)の写とともに治験に関する指示・決定通知書(書式 5 または参考書式 1)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
なお、被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な新たな情報には、以下のものが含まれる。
1)他施設で発生した重篤で予測できない副作用
2)重篤な副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験薬概要書から予測できないもの
3)死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、副作用によるもの又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症によるもの
4)副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
5)治験の対象となる疾患に対し効能又は効果を有しないことを示す研究報告
6)副作用又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
7)当該被験薬と同一成分を含む市販医薬品に係わる製造、又は販売の中止、回収、廃棄
その他の保険衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
(治験の中止、中断及び終了)
第 11 条 院長は、治験依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨を開発の中止等に関する報告書(書式 18)で通知してきた場合は、治験責任医師及び治験審査委員会に対し、速やかにその旨を開発の中止等に関する報告書(書式 18)の写により通知するものとする。なお、通知の文書には、中止又は中断についての詳細が説明されていなければならない。
2 院長は、治験責任医師が治験を終了又は中止・中断し、その旨を治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)により報告してきた場合は、速やかに治験依頼者及び治験審査委員会に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)の写しを提出し、、通知するものとする。
(異議申し立て)
第 12 条 院長は、治験責任医師及び治験依頼者から治験審査委員会の審査結果に対する異議申し立てがあった場合は、異議申し立て書を提出させ、その写しを治験審査委員会へ提出し異議申し立てを行うものとする。なお、異議申し立て書の書式は問わない。
(直接閲覧)
第 13 条 院長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れるものとする。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
第3章 治験審査委員会
(治験審査委員会及び治験審査委員会事務局の設置)
第 14 条 院長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、治験審査委員会を院内に設置する。
2 院長は、治験審査委員会の委員を指名し、治験審査委員会と協議の上、治験審査委員会の運営の手続き及び記録の保管に関する業務手順を定めるものとする。なお、治験依頼者から、治験審査委員会の業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応ずるものとする。
3 院長は、自らが設置した治験審査委員会に出席することはできるが、委員になることはできない。
4 院長は、治験審査委員会の業務の円滑化を図るため、治験審査委員会の運営に関する事
務及び支援を行う者を指名し、治験審査委員会事務局を設置するものとする。
(治験審査委員会の選択)
第 15 条 院長は、調査審議を行うために十分な人員が確保され、かつ、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価することができる GCP 省令第 27 条第 1 項に該当する者が設置した治験審査委員会を、治験ごとに適切に選択し、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議の依頼を行う。
2 院長は、本手順書第 14 条において医療機関内に設置した治験審査委員会以外の治験審査委員会(以下、「外部治験審査委員会」という。)に調査審議を依頼する場合には、予め外部治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿の写し等の必要な情報を入手するなどして、治験の開始から終了にxxxまで一貫性のある調査審議が行えるか否かを本手順書第 14 条において医療機関内に設置した治験審査委員会(本条と第 16 条において、
「医療機関設置治験審査委員会」という。)と協議した上で判断する。なお、外部治験審査委員会への調査審議の依頼については、予め外部治験審査委員会設置者と GCP 省令第 30 条第 2 項を記載した文書により契約を締結するものとする。
3 院長は、調査審議を委託する外部治験審査委員会の標準業務手順書の改訂及び委員名簿が改訂された場合において、改訂後速やかに各々の写しを提供するよう、外部治験審査委員会の設置者に求めるものとする。
4 院長は、本条第 1 項の外部治験審査委員会に出席することはできるが、審議及び採決に参加することはできない。
5 院長は、2 つ以上の治験審査委員会の意見を聴くことができる。
(専門治験審査委員会への調査審議の依頼)
第 16 条 院長は、医療機関設置治験審査委員会又は外部治験審査委員会の意見を聴くに当たり、治験を行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させるため必要があると認めるときは、当該治験審査委員会の承諾を得て、当該専門的事項について当該治験審査委員会以外の治験審査委員会(以下、「専門治験審査委員会」という。)の意見を聴くことができる。この場合においては、予め専門治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿等の必要な情報を入手する。また、予め専門治験審査委員会設置者と GCP 省令第 30 条第 6 項を記載した文書により契約を締結するものとする。
2 院長は、前項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会が意見を述べたときは、速やかに当該意見を医療機関設置治験審査委員会又は外部治験審査委員会に報告する。
3 院長は、調査審議を委託する専門治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿が改訂された場合において、改訂後速やかに各々を提供するよう、専門治験審査委員会の設置者に求めるものとする。
4 院長は、本条第1項の専門治験審査委員会に出席することはできるが、審議及び採決に参加することはできない。
5 院長は、治験を継続して行うことの適否について、当該治験を継続して行なうことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
第4章 治験責任医師の業務
(治験責任医師の要件)
第 17 条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなくてはならない。
1) 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうることを証明する最新の履歴書(書式 1)その他の文書並びに治験分担医師を置く場合には、当該治験分担医師の氏名リストを院長及び治験依頼者に提出する。(氏名xxxは、本手順書第 3 条第 1 項において院長が指名した治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)とする。)
2)治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬の適切な使用法に十分精通していなければならない。
3)治験責任医師は、薬事法第 14 条第 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準並びに GCP 省令等を熟知し、これを遵守しなければならない。
4)治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
5)治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
6)治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
7)治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するために、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
8)治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)を作成し、予め院長に提出し、その了承を受けなければならない。また、治験医師は必要に応じて治験依頼者に治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)の写しを提出する。
9)治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
(治験責任医師の責務)
第 18 条 治験責任医師は次の事項を行う。
1)治験実施計画書の被験者の選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者の選定にあたっては、人権保護の観点から及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討すること。
2)同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないこと。
3)社会的に弱い立場にある者(参加に伴う利益あるいは参加拒否による上位者の報復を予測することにより治験への自発的な参加の意思が不当に影響をうける可能性のある個人(例としては、階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看護学生、病院及び検査機関の下位の職員、製薬企業従業員並びに被拘禁者等がある。その他の例には、不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者又は貧困者、緊急事態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未xx者及び治験参加の表明する能力のないものがあげられる。)を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払わなくてはならないこと。
4) 治験依頼者から提供される治験実施計画書及び最新の治験薬概要書その他必要な資料及び情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討した後、治験依頼者と文書により合意すること。治験実施計画書が改訂される場合も同様である
5)治験実施の申請をする前に、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書を作成する。
6)治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに院長に提出すること。
7)治験審査委員会が治験の実施又は継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく院長の指示、決定が治験審査結果通知書(書式 5または参考書式 1)で通知された後に、その指示、決定に従って治験を開始又は継続すること。又は、治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく院長の指示、決定が治験審査結果通知書(書式 5 または参考書式 1)で通知された場合には、その指示、決定に従うこと。
8)治験責任医師は、治験審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく院長の指示、決定が治験審査結果通知書(書式 5 または参考書式 1)で通知される前に、被験者を治療に参加させてはならないこと。
9)本手順書第 21 条で規定する場合を除いて、治験実施計画書を遵守して治験を実施すること。
10)治験薬の正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験薬にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認すること。
11)実施中の治験において、治験の期間が 1 年を超える場合には、少なくとも年1回、院長に治験実施状況報告書(書式 11)を提出すること。
12)治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、院長に速やかに変更申請書(書式 10)を提出するとともに、変更の可否について院長の指示(書式 5 または参考書式 1)を受け取ること。
13)治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合は、重篤で予測できない副作用を特定した上で速やかに院長及び治験依頼者に文書(書式 12 又は書式 13)で報告するとともに、治験の継続の可否について院長の指示(書式 5 または参考書式 1)を受け取ること。
14)治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、その内容を点検し問題がないことを確認したときに記名押印又は署名するものとする。また、分担医師が作成した症例報告書についても、その内容を点検し問題がないことを確認したときに記名押印又は署名するものとする。
15)治験終了後、速やかに院長に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)を提出すること。なお、治験が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行うこと。
16)治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、事後処理、その他必要な措置を講じること。
(被験者の同意の取得)
第 19 条 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して同意文書及びその他の説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者が記名押印又は署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名押印又は署名し、日付を記入するものとする。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って記名押印又は署名と日付が記入された同意文書の写及びその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、同意文書及びその他の説明文書が改定された場合は、その都度新たに前項の規定に従って同意を取得し、記名押印又は署名と日付を記入した同意文書の写及び改訂されたその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。
4 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制又は不当な影響を及ぼしてはならない。
5 同意文書及びその他の説明文書並びに説明に関して口頭で提供される情報には、被験者
に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、医療機関、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
6 口頭及び文書による説明並びに同意文書には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
7 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき同意文書及びその他の説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、改訂された同意文書及びその他の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
注)重大な新たな安全性に関する情報の入手 本手順書第 10 条参照
9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
10 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的な内容の治験を実施する場合、緊急状況下における救命的な内容の治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、 GCP 省令第 50 条第 2 項、第 3 項及び第 4 項、第 52 条第 3 項及び第 4 項並びに第 55 条を遵守する。
(被験者に対する医療)
第 20 条 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 院長及び治療責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治療に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者
の同意のもとに、主治医に被験者の治療への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第 21 条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例:治験依頼者の組織・体制の変更、実施医療機関の名称・診療科名の変更、実施医療機関及び治験依頼者の所在地又は電話番号の変更、治験責任医師の職名の変更、モニターの変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらずすべて記録しなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情の為に、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の了承なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由、並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を、可能な限り早急に治験依頼者並びに院長及び院長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、院長の了承及び院長を経由して治験依頼者の同意を文書(書式 9)で得なければならない。
第5章 治験薬の管理
(治験薬の管理)
第 22 条 治験薬の管理責任は、院長が負うものとする。
2 院長は、治験薬を保管、管理させるため薬局長を治験薬管理者とし、病院内で実施される全ての治験の治験薬を管理させるものとする。なお、治験薬管理者は必要に応じて治験薬管理補助者を指名し、治験薬の保管、管理を行わすことができる。
3 治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って、また GCP 省令等を遵守して適正に治験薬を保管、管理する。
4 治験薬管理者は次の業務を行う。
1)治験薬を受領し、治験薬受領書を発行する。
2)治験薬の保管、管理及び払い出しを行う。
3)治験薬管理表及び治験薬出納表を作成し、治験薬の使用状況及び治験進歩状況を把握する。
4)被験者からの未服用治験薬の返却記録を作成する。
5)未使用治験薬(被験者からの未服用返却治験薬、使用期限切れ治験薬、欠陥品を含む)を治験依頼者に返却し、未使用治験薬返却書を発行する。
6)その他、本条第 3 項の治験依頼者が作成した手順書に従う。
5 治験薬管理者は、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与されていることを確認する。
第6章 治験事務局
(治験事務局の設置及び業務)
第 23 条 院長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、治験事務局を設けるものとする。なお、治験事務局は治験審査委員会事務局を兼ねるものとする。
2 治験事務局は、次の者で構成する。 1)事務局長:薬局長
2)事務局員:薬局員、治験コーディネータ、事務職員
3 治験事務局は、院長の指示により、次の業務を行うものとする。
1)治験審査委員会の委員の指名に関する業務(委員名簿の作成を含む)
2)治験依頼者に対する必要書類の交付と治験依頼手続きの説明
3)治験依頼書及び治験審査委員会が審査の対象とする審査資料の受付
4)治験審査結果通知書(書式 5)、治験審査委員会の決定と院長の指示が異なるときの治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)の作成と治験依頼者及び治験責任医師への通知書の交付(治験審査委員会の審査結果を確認するために必要とする文書の治験依頼者への交付を含む)
5)治験契約に係わる手続き等の業務
6)治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)の受領及び交付
7)記録の保存
8)治験の実施に必要な手続きの作成
9)その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
第7章 業務の委託
(業務委託の契約)
第 24 条 院長が、治験の実施の準備及び管理に係る業務又は治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、文書により当該業務を受託する者との契約を締結し、双方が記名又は署名し、捺印と日付を付するものとする。
2 契約書に定める内容は以下のものとする。 1)当該委託に係る業務の範囲
2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを医療機関が確認することができる旨
4)当該受託者に対する指示に関する事項
5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを医療機関が確認することができる旨
6)当該受託者が医療機関に対して行う報告に関する事項
7)その他当該委託に係る業務について必要な事項
第8章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第 25 条 院長は、医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録の保存責任者を指名するものとする。
2 記録ごとに定める保存責任者は次のとおりとする。 1)診療録・検査データ・同意文書等:治験事務局長
2)治験受託に関する文書等:治験事務局長
3)治験薬に関する記録(治験薬管理表、治験薬出納表、被験者からの未服用薬返却記録、治験薬納品書、未使用治験薬受領書等):治験薬管理者
3 院長又は記録の保存責任者は、医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録が本手順書第 26 条第 1 項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じるものとする。
(記録の保存期間)
第 26 条 院長は、医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録を、1)又は 2)の日のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものと
する。
1)当該被験薬に係る製造販売承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から 3 年が経過した日)
2)治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
3)製造販売後臨床試験の場合は再審査又は再評価の終了する日
2 院長は、治験依頼者より前項にいう承認取得あるいは開発中止等の連絡を開発の中止等に関する報告書(書式 18)で受けるものとする。
(附則)
改訂の履歴
初版:平成 10 年 3 月 17 日
第 2 版:平成 14 年 1 月 11 日
第 3 版:平成 15 年 3 月 26 日
第 4 版:平成 16 年 10 月 25 日
第 5 版:平成 17 年 12 月 26 日
第 6 版:平成 18 年 10 月 10 日
第 7 版:平成 20 年 8 月 26 日
第 8 版:平成 21 年 4 月 1 日
第 9 版:平成 23 年 10 月 3 日