Contract
工 事 請 負 契 約 に お け る設 計 変 更 ガ イ ド ラ イ ン
(平成21年 8月以降)平成29年10月以降
xx県 土木部
目 次
ガイドライン策定の背景と目的........................ | 1 | |
設計変更の基本事項.................................. | 2 | |
設計変更の具体例.................................... | 4 | |
設計変更手続きフロー................................ | 8 | |
その他関連事項...................................... | 9 | |
参考資料............................................13 | ||
1 ガイドライン策定の背景と目的
(1)背景
xx県土木部は,県民の生活や経済活動の基盤となる道路,河川,港湾,下水道,公園などの様々な社会資本を整備・維持管理するため,毎年,数多くの工事を実施している。
地形,地質,天候などの自然条件や市街部においては騒音,振動,交通の確保等の社会的な制約条件の中でこれらの工事を完成させるため,必要な調査,検討を実施し,精査したうえで工事発注を行っているが,それでもなお,予見できない事態が発生し,工事内容の変更(設計変更)が避けられない場合が多くある。
◆発注者の留意事項
工事に必要な関係機関との調整,住民合意,用地確保,法定手続きなどの進捗状況を踏まえ,現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により,適切に設計図書を作成し,積算内容との整合を図るよう努める。
◆受注者の留意事項
工事の着手にあたって設計図書を照査し,着手時点における疑義を明らかにするとともに,施工中に疑義が生じた場合には,発注者と書面にて協議し進めることが重要である。
(2)目的
平成26年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下,品確法という。)」の基本理念には,「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに,「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに,必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
本ガイドラインは,この品確法及び工事請負契約書等を踏まえ,xx県土木部が発注する土木工事において,設計変更を行う際の発注者及び受注者双方の留意点や設計変更が可能なまたは不可能な場合の事例,手続きの流れ等を明示することで,契約変更事務の円滑化及び適正化を図ることを目的としている。
なお,本ガイドラインは,関係法令や諸基準等の改定などを踏まえ,変更していくこととしている。
2 設計変更の基本事項
下記の場合は原則として設計変更はできない。(ただし,災害時等緊急の場合はこの限りではない【契約書第26条(臨機の措置】)
① 設計図書に条件明示のない事項において,発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
② 発注者と「協議」をしているが,協議の回答がない時点で施工を実施した場合
③ 「承諾」で施工した場合
④ 工事請負契約書・共通仕様書(土木工事編Ⅰ及びⅡ)に定められている所定の手続きを経ていない場合(契約書第 18 条~24 条,共通仕様書 1-1-13~1-1-15)
⑤ 正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
承諾:受注者自らの都合により施工方法等について監督職員に同意を得るもの
▶ 設計変更不可
協議:発注者と書面により対等な立場で合意して,発注者の「指示」によるもの
▶ 設計変更可能
(2)設計変更が可能なケース
下記のような場合においては,所定の手続きを踏むことで設計変更が可能である。
◆工事請負契約書第18条(条件変更等)に該当
① 図面,仕様書,現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合
(これらの優先順位が定められていない場合)
② 設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合
③ 設計図書の表示が明確でない場合
④ 設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について,予期することの出来ない特別な状態が生じた場合
◆工事請負契約書第19条(設計図書の変更)に該当
① 発注者から設計図書の変更に係る指示があった場合
◆工事請負契約書第20条(工事の中止)に該当
① 受注者の責めに帰すことができない自然的又は人為的事象により,受注者が工事を施工できないと認められる場合
② 発注者が,工事の中止内容を受注者に通知して,工事の全部又は一部の施工を一時中止する場合
◆その他
① 受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合
② 受注者の責めによらない工期の延期・短縮を行う場合で,協議により必要があると認められるとき
(3)設計変更にあたっての留意事項
◆発注者の留意事項
発注者は,受注者が工事の目的に沿った適切な施工ができるよう,次の事項に留意しなければならない。
① 当初設計の考え方や設計条件を再確認して,設計変更「協議」にあたる。
② 設計変更を行う必要が生じた場合は,当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし,必要な指示・協議等は書面で行う(契約書第 1 条第 5 項)。
③ 受注者から設計図書についての確認の請求があった場合は,受注者の立会いのうえ,調査を行う(契約書第 18 条第 2 項)。
④ 設計変更後の請負金額や工期は,受注者と協議のうえ,決定する(契約書第 23
条,第 24 条)。
⑤ 設計変更に伴う契約変更の手続きは,その必要が生じた都度,遅滞なく行うものとする。ただし,軽微な変更にあっては,工期の末日又は会計年度の末日までに契約変更を締結するものとする(契約書第 19 条第 2 項)。
◆受注者の留意事項
受注者は,工事の目的を達せられるよう,次の事項に留意しなければならない。
① 設計図書と工事現場の相違や,必要な条件明示がされていないなど,施工するうえで疑問が生じた場合は,速やかに監督職員に通知する(契約書第 18 条第 1 項)。
② 数量・仕様等の設計図書の変更が必要な場合は,その旨発注者と協議を行い,発注者の書面による指示に従い施工する(独自の判断で施工しない)。
◆指示・協議書等への概算額の記載
設計変更を行うため,契約変更に先立って指示または協議を行う場合は,その内容に伴う概算金額について,受発注者間で確認(協議)のうえ,書面に増減の概算額を記載する。ただし,受注者からの協議により変更する場合にあっては,協議時点で受注者から見積書の提出を受けた場合に限る。
また,ここで記載する概算額(工事費ベース)は,参考値であり,変更契約額を拘束するものではない。
なお,緊急的に行う場合,または何らかの理由により概算額の算定に時間を要する場合は,「後日通知する」ことを添えて指示または協議を行うものとする。
【留意事項】
① 契約変更手続きを行う前に受注者に作業を行わせる場合は,必ず書面にて指示または協議を行う。
② 受注者から協議時に見積書の提出があった場合,その見積書の妥当性を確認し,妥当性が確認された場合は,その見積書の額と,受注者の提示額であることを指示または協議書に記載する。受注者から見積書の提出がない場合は,概算額を記載しない。
③ 概算額(工事費ベース)は,百万円単位を基本(百万円以下の場合は十万円単位)とする。
🡪 設計変更の具体例
(1)設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合の手続き(契約書第 18 条第 1 項第 2 号)
受注者は,xxx上,設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり,発注者は,それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また,設計図書に脱漏がある場合には,受注者としては,自分勝手に補って施工を続けるのではなく,発注者に確認して,脱漏部分を訂正してもらうべきである。
【具体例】
① 条件明示の必要がある場合にも係わらず,土質に関する一切の明示がない場合
② 条件明示の必要がある場合にも係わらず,地下水位に関する一切の明示がない場合
③ 条件明示の必要がある場合にも係わらず,交通整理員についての明示がない場合
受注者及び発注者は契約書第 23 条,第 24 条に基づき,「協議」により工期及 び請負代金額を定める
発注者は第 4 項,第 5 項に基づき,必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
「契約書第 18 条(条件変更等)
第 1 項第 2 号」に基づき,その旨を直ちに監督職員に通知
発 注 者
受 注 者
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き(契約書第 18 条第 1 項第 3 号)
設計図書の表示が明確でない場合とは,表示が不十分,不正確,不明確で実際の工事施工にあたって,どのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても,受注者が勝手に判断して施工することは不適当である。
【具体例】
① 土質柱状図は明示されているが,地下水位が不明確な場合
② 水替工実施の記載はあるが,作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
③ 使用する材料の規格(種類,強度等)が明確に示されていない場合
受注者及び発注者は契約書第 23 条,第 24 条に基づき,「協議」により工期及 び請負代金額を定める
発注者は第 4 項,第 5 項に基づき,必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
「契約書第 18 条(条件変更等)
第1 項第3 号」に基づき,条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
発 注 者
受 注 者
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き(契約書第 18 条第 1 項第 4 号)
自然条件とは,たとえば,掘削する地山の高さ,埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状,地質,湧水の有無または量,地下水の水位,流木等の除去すべき物の有無などである。
また,人為的な施工条件の例としては,地下埋設物,地下工作物,xx(捨)場,工事用道路,通行道路,工事に関係する法令等があげられる。
【具体例】
① 設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
② 設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
③ 設計図書に明示された交通整理員の人数等が規制図と一致しない場合
④ 前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で現地条件と一致しない場合
⑤ その他,新たな制約等が発生した場合
受注者及び発注者は契約書第23 条,第24 条に基づき,「協議」により工期及び 請負代金額を定める
調査の結果,その事実が確認された場合は第 4 項,第 5 項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
「契約書第 18 条(条件変更等)
第 1 項第 4 号」に基づき,条件明示(当初積算の考え)と現地条件が一致しないことを直ちに監督職員に通知
発 注 者
受 注 者
(4)工事中止の場合の手続き(契約書第 20 条第 1 項)
受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため,受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き
【具体例】
① 設計図書に工事着手日の指定がある場合,その期日までに受注者の責めによらず施工できない場合
② 警察,河川・道路・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
③ 管理者協議の結果,施工できない期間が設定された場合
④ 受注者の責めによらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
⑤ 設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため,施工できない場合
⑥ 予見できない事態が発生(地中障害物の発見等)した場合
⑦ 工事用地の確保ができない等のため,工事を施工できない場合
⑧ 設計図書と実際の施工条件の相違または設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが不可能と認められる場合
⑨ 埋蔵文化財の発掘または調査,その他の事由により工事を施工できない場合
⑩ 妨害活動を行う者による工事現場の占拠及び著しい威嚇行為があった場合
⑪ 豪雨,地震,火災等により地形等の物理的な変動があった場合
基本計画書に基づいた施工の実施
承諾した基本計画書に基づき,工事 監督及び設計変更を実施
不承諾の場合は,基本計画書を修正し,再度承諾を得る。
発注者は,現場管理上,最低限必要 な施設・人数等を吟味し,基本計画書を承諾
発注者より,一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
受注者は,共通仕様書(土木工事編
Ⅰ)1-1-13 第 3 項に基づき,基本 計画書を作成し,発注者の承諾を得る。
「契約書第 20 条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止さ せなければならない。
地元調整や予期しない現場条件等のため,受注者が工事を施工することができない
発 注 者
受 注 者
◆補足
工事一時中止に係る事務処理等については,国土交通省東北地方整備局策定の「工事一時中止に係るガイドライン(案)」を準用するものとする。
(5)受注者からの請求による工期の延長(契約書第 21 条)
受注者は,天候の不良,関連工事の調整への協力,その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は,発注者へその理由を明示した書面により工期の延長変更を請求することができる。
【具体例】
① 天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき,工期の延長が生じた場合
② 設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり,工期の延長が生じた場合
③ その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期の延長が生じた場合
協議
受注者及び発注者は契約書第 23 条,第 24 条に基づき,「協議」により工期及び 請負代金額を定める
発注者は第 2 項に基づき,必要があると認められるときは,工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
「契約書第 21 条(受注者の請求
による工期の延長)第 1 項」に基づき,その理由を明示した書面により監督職員に通知
発 注 者
受 注 者
(6)発注者からの請求による工期の短縮(契約書第 22 条)
発注者は,特別の理由により工期を短縮する必要があるときは,工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
【具体例】
① 工事一時中止に伴い工期延長が予想され,工期短縮が必要な場合
② 関連工事等の影響により,工期短縮が必要な場合
③ その他の事由(地元調整,関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
協議
受注者及び発注者は契約書第 23 条,第 24 条に基づき,「協議」により工期及 び請負代金額を定める
発注者は,「契約書第 22 条(発注者の請求による工期の短縮等)第 1 項に基づき,特別な理由により工期を短縮する必要があるときは,工期の短縮変更を受注者に請求。
受注者は,発注者からの請求に基づき,工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し,承諾を得る。
発 注 者
受 注 者
4 設計変更手続きフロー
【契約書第 18 条第 1 項】
① 図面,仕様書,現場説明書及び現場説明等に対する質問回答書が一致しないとき
② 設計図書に誤びゅう又は脱漏があるとき
③ 設計図書の表示が明確でないとき
④ 工事現場の形状,地質,湧水等の状態,施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実態の工事現場が一致しないとき
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたとき
受 注 者
発 注 者
第18条第1項に該当する事実を発見
通知し確認を請求
【第 18 条第 1 項】
発注者において工事目的物の変更を伴わないと判断した場合は協議
【第 18 条第 4 項第 3 号】
受注者:立会い 発注者:調査の実施【第 18 条第 2 項】
※受注者からの確認請求受領後概ね 7 日以内を目処に調査終了予定日を受注者へ通知
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更 【第 18 条第 4 項】
受理
調査結果の通知(とるべき指示も含む)
※調査終了後 14 日以内を目処に通知
調査結果のとりまとめ【第 18 条第 3 項】
意見
【第 18 条第 3 項】
設計図書の訂正
【第 1 号】
設計図書の変更
【第 2 号】
【第 18 条第 4 項】
設計図書の変更
【第 3 号】
変更内容・変更根拠の明確化,変更図面,変更数量計算書等の変更設計図書の作成
必要があると認められるときは,工期若しくは請負代金額の変更 【第 18 条第 5 項】
変更契約
協議 ① 工期の変更 【第 23 条】 ② 請負代金額の変更 【第 24 条】
5 その他関連事項
(1)設計変更に関わる資料の作成
◆設計照査に必要な資料作成
受注者は,当初設計等に対して「契約書」第 18 条第 1 項に該当する事実が発見された場合,監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し,確認を求めなければならない。
なお,これらの資料作成に必要な費用については設計変更の対象としない。
◆設計変更に必要な資料作成
「契約書」第 18 条第 1 項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については,
「契約書」第 18 条第 4 項に基づき発注者が行うものであるが,受注者に行わせる場合は以下によるものとする。
① 設計図書の照査により設計変更が必要な内容については,受発注者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し,合意を図った後,発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は,書面による指示に基づき,受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については,設 計変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は,設計業務等標準積算基準書を基本とする。
(2)「設計図書の照査」の範囲
受注者が行なうべき「設計図書の照査」の範囲は,以下が想定される。
◆設計図書の内容について整合が図られているかどうかの確認
① 数量計算書と設計書の整合確認。
② 構造計算書の入力値や計算値と図面の整合確認。
③ 設計図面・数量計算書に記載ミス,計算ミスがないかどうかの確認。
◆設計図書記載の施工条件と実際の工事現場の施工条件の一致・不一致の確認
① 設計図面のとおり構造物を構築することができるかどうかの確認。
② 縦横断図の地盤線と現地盤線の確認及びその修正等。
③ 当初横断図の推定岩盤線と現地岩盤線の確認及びその修正等。
④ 地下埋設物や支障物件等の現地確認。
(3)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
「設計図書の照査」の範囲をこえる行為としては,以下が想定される。また,これらに要する増加費用は発注者が負担する。
なお,適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については,受注者の費用負担によるものとする。
◆新たに設計図の作成が必要なもの
① 現地測量の結果,横断図を新たに作成する必要があるもの。または,縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
② 施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし,当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
③ 現地測量の結果,排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
④ 維持修繕等の工事で,標準断面で発注し,工事において測量から設計まで行うもの。
◆構造計算等が伴うもの
① 構造物の応力計算を伴う照査。ただし,二次製品を用いた工法を承諾で用いる場合等は除く。
② 構造物の位置や計画高さ,載荷高さ,延長等が変更となり,構造計算の再計算が必要となるもの。(設計業務の瑕疵について確認が必要)
③ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。(設計業務の瑕疵について確認が必要)
④ 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
⑤ 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
◆その他
① 設計内容の確認や見直しのため,測量または地質調査を行うもの。ただし,品質管理のための調査は除く。
(4) 指定・任意の正しい運用
◆自主施工の原則
契約書第 1 条第 3 項により,設計図書に指定されていなければ,工事実施の手
段,仮設物等は受注者の裁量の範囲である。
【契約書第 1 条第 3 項】
仮設,施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については,契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き,受注者がその責任において定める。
◆基本事項
指定・任意については,工事請負契約書第1条第3項により,適切に扱う必要がある。
① 任意については,その仮設,施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
② 任意については,その仮設,施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
③ ただし,設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が異なることによる変更は行う。
◆留意事項
指定と任意の使い分けにおいては,下記事項に留意する。
① 仮設,施工方法等には,指定と任意があり,発注においては,指定と任意の部 分を明確にする必要がある。
② 発注者(監督職員)は,任意の趣旨を踏まえ,適切な対応をするように注意が必要である。
【任意における下記のような対応は不適切】
・ ○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・ 標準歩掛かりではバックホウで施工となっているので,「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・ 新技術の活用について受注者から申し出があった場合に,「積算上の工法で施工」するよう対応。
③ ただし,任意であっても,当初積算時の条件と現場条件に変更がある場合は, 設計変更を行う。
◆指定・任意の考え方
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定 | 施工方法等について具体的には指定しない(契約条件ではないが,参考図として標準工 法を示す場合がある) |
施工方法の変更 | 発注者の指示または承諾が 必要 | 受注者の任意(施工計画書の 修正,提出は必要) |
施工方法の変更があ る場合の設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない |
当初明示した施工条件の変更に対応した 設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする |
◆指定仮設とすべき事項
① 河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合
② 仮設構造物を一般交通に供する場合
③ 関係官公署との協議により制約条件のある場合
④ 特許工法または特殊工法を採用する場合
⑤ その他,第三者に特に配慮する必要がある場合
⑥ 他工事等に使用するため,工事完成後も存置される必要のある仮設
6 参考資料
(1)工事請負契約書抜粋
工事請負契約書第1条(総則)
3 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。) については,この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き,受注者がその責任において定める。
5 この契約書に定める請求,通知,報告,申出,承諾及び解除は,書面により行なわなければならない。
工事請負契約書第 9 条(監督職員)
2 監督職員は,この契約書の他の条項に定めるもの及びこの契約書に基づく発注者の権限とされる事項のうち発注者が必要と認めて監督職員に委任したもののほか,設計図書に定めるところにより,次に掲げる権限を有する。
(1) この契約の履行についての受注者又は受注者の現場代理人に対する指示,承諾又は協議
(2) 設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付又は受注者が作成した詳細図等の承諾
(3) 設計図書に基づく工程の管理,立会い,工事の施工状況の検査又は工事材料の試験若しくは検査(確認を含む。)
(4) 設計図書の軽微な変更に係る指示又は協議
工事請負契約書第 18 条(条件変更等)
1 受注者は,工事の施工に当たり,次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは,その旨を直ちに監督職員に通知し,その確認を請求しなければならない。
(1) 図面,仕様書,現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと。(これらの優先順位が定められている場合を除く。)
(2) 設計図書に誤びゅう又は脱漏があること。
(3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 工事現場の形状,地質,湧水等の状態,施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 監督職員は,前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは,受注者の立会いの上,直ちに調査を行わなければならない。ただし,受注者が立会いに応じない場合には,受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は,受注者の意見を聴いて,調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは,当該指示を含む。)を取りまとめ,調査の終了後 14 日以内に,その結果を受注者に通知しなければならない。ただし,その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは,あらかじめ受注者の意見を聴いた上,当該期間を延長することができる。
4 前項の規定により取りまとめた調査の結果において第 1 項の事実が確認された場合で,必要があると認められるときは,次の各号に掲げるところにより,設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
(1) 第 1 項第 1 号から第 3 号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるものは,発注者が行う。
(2) 第 1 項第 4 号又は第 5 号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うものは,発注者が行う。
(3) 第 1 項第 4 号又は第 5 号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないものは,発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において,発注者は,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
工事請負契約書第 19 条(設計図書の変更)
1 発注者は,前条第 4 項の規定によるほか,必要があると認めるときは,設計図書の変更内容を受注者に通知して,設計図書を変更することができる。この場合において,発注者は,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
2 前項の規定により設計図書を変更したときは,遅滞なく変更契約を締結しなければならない。ただし,軽微な変更にあっては,工期の末日又は会計年度の末日までに変更契約を締結するものとする。
工事請負契約書第 20 条(工事の中止)
1 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風,豪雨,洪水,高潮,地震,地すべり,落盤,火災,騒乱,暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため,受注者が工事を施工できないと認められるときは,発注者は,工事の中止内容を直ちに受注者に通知して,工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は,前項の規定によるほか,必要があると認めるときは,工事の中止内容を受注者に通知して,工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は,前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において,必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し,又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者,建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは,必要な費用を負担しなければならない。
工事請負契約書第 21 条(受注者の請求による工期の変更)
1 受注者は,天候の不良,第 2 条の規定に基づく関連工事の調整への協力その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは,その理由を明示した書面により,発注者に工期の延長変更を請求することができる。
2 発注者は,前項の規定による請求があった場合において,必要があると認められるときは,工期を延長しなければならない。この場合において,その工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由によるときは,発注者は,請負代金額について必要と認められる変更を行い,又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
工事請負契約書第 22 条(発注者の請求による工期の短縮等)
1 発注者は,特別の理由により工期を短縮する必要があるときは,工期の短縮変更を受注者に請求することができる。
2 発注者は,この契約書の条項により工期を延長すべき場合において,特別の理由があるときは,延長する工期について通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。
3 発注者は,前 2 項の場合において,必要があると認められるときは請負代金額を変更し,又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
工事請負契約書第 23 条(工期の変更方法)
1 工期の変更については,発注者と受注者とが協議して定める。ただし,協議開始の日から 14 日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については,発注者が受注者の意見を聴いて定め,受注者に通知するものとする。ただし,発注者が工期の変更事由が生じた日(第 21 条の場合にあっては発注者が工期変更の請求を受けた日,前条の場合にあっては受注者が工期変更の請求を受けた日) から7 日以内に協議開始の日を通知しない場合には,受注者は,協議開始の日を定め,発注者に通知することができる。
工事請負契約書第 24 条(請負代金額の変更方法等)
1 請負代金額の変更については,発注者と受注者とが協議して定める。ただし,協議開始の日から 14 日以内に協議が整わない場合には,発注者が定め,受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については,発注者が受注者の意見を聴いて定め,受注者に通知するものとする。ただし,請負代金額の変更事由が生じた日から 7 日以内に協議開始の日を通知しない場合には,受注者は,協議開始の日を定め,発注者に通知することができる。
3 この契約書の条項により,受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については,発注者と受注者とが協議して定める。
工事請負契約書第 26 条(臨機の措置)
1 受注者は,災害防止等のため必要があると認めるときは,臨機の措置をとらなければならない。この場合において,必要があると認めるときは,受注者は,あらかじめ監督職員の意見を聴かなければならない。ただし,緊急やむを得ない事情があるときは,この限りでない。
2 前項の場合においては,受注者は,そのとった措置の内容を監督職員に直ちに通知しなければならない。
3 監督職員は,災害防止その他工事の施工上特に必要があると認めるときは,受注者に対して臨機の措置をとることを請求することができる。
4 受注者が第 1 項又は前項の規定により臨機の措置をとった場合において,当該措置に要した費用のうち,受注者が請負代金額の範囲において負担することが適当でないと認められる部分については,発注者が負担する。
(2)共通仕様書抜粋
第1編共通編 第1章総則 第1節総則
1-1-3 設計図書の照査等
1.受注者からの要求があり,監督職員が必要と認めた場合,請負者に図面の原図を貸与することができる。ただし,共通仕様書等については,請負者が備えなければならない。
2.受注者は,施工前及び施工途中において,自らの負担により契約書第 18 条第 1
項第 1 号から第 5 号に係る設計図書の照査を行い,該当する事実がある場合は,監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し,確認を求めなければならない。
なお,確認できる資料とは,現地地形図,設計図との対比図,取合い図,施工図等を含むものとする。また,受注者は,監督職員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
3.受注者は,契約の目的のために必要とする以外は,契約図書,及びその他の図書を監督職員の承諾なくして第三者に使用させ,または伝達してはならない。
第3編土木工事共通編 第1章総則 第1節総則
1-1-6 数量の算出
1.受注者は,出来形数量を算出するために出来形測量を実施しなければならない。
2.受注者は,出来形測量の結果を基に,土木工事数量算出要領(案)及び設計図書に従って,出来形数量を算出し,その結果を監督職員からの請求があった場合は速やかに提示するとともに,工事完成時まで監督職員に提出しなければならない。出来形測量の結果が,設計図書の寸法に対し,土木工事施工管理基準及び規格値を満たしていれば,出来形数量は設計数量とする。
なお,設計数量とは,設計図書に示された数量及びそれを基に算出された数量をいう。
第2章 一般施工
第2節 適用すべき諸基準
受注者は,設計図書において特に定めのない事項については,以下の基準類による。
これによりがたい場合は,監督職員の承諾を得なければならない。なお,基準類と設計図書に相違がある場合は,原則として設計図書の規定に従うものとし,疑義がある場合は監督職員と協議しなければならない。
※以下基準類は省略
(3)土木工事標準積算基準書 工事費の積算(共通仮設費)抜粋
2-3 準備費
準備費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分
(1) 準備及び跡片付けに要する費用
(イ) 着手前の準備費用
(ロ) 施工期間中における準備,後片付け費用
(ハ) 完成時の後片付け費用
(2) 調査・測量,丁xxに要する費用 (イ) 工事着手前の基準測量等の費用 (ロ) 縦,横断面図の照査等の費用 (ハ) 用地幅杭等の仮移設等の費用 (ニ) 丁張の設置等の費用
(3) 準備として行うブルドーザ,レーキドーザ,バックホウ等による雑木や小さな樹木,竹などを除去する伐開,除根,除草,整地,段切り,すりつけ等に要する費用
2-7 技術管理費
技術管理費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分
(1) 品質管理のための試験等に要する費用
(2) 出来形管理のための測量等に要する費用
(3) 工程管理のための資料の作成等に要する費用
(4) (1)~(3)に掲げるもののほか,技術管理上必要な資料の作成に要する費用