Contract
警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画
令和4年9月改訂
一般社団法人 全国警備業協会
目 次
Ⅰ 本計画の目的 1
Ⅱ 警備会社間の元請下請関係における事例と取組事項 2
Ⅲ 警備業界外の発注者との間の取引における事例と取組事項 8
Ⅳ 警備業界の課題解決に向けたその他の取組事項 12
(1)契約内容・料金決定方法の適正化及び警備会社の価格交渉力の向上 12
(2)人材の確保と定着 14
(3)長時間労働の是正 15
(4)顧客満足度の向上 16
Ⅴ 本計画の推進とフォローアップ 16
(1)本計画の推進 16
(2)各社によるセルフ・フォローアップ 17
(3)当協会によるフォローアップ 17
(4)取引条件等の改善につながった好事例の参照 17
(5)本計画の見直し 17
Ⅰ 本計画の目的
生産年齢人口の減少により労働需給がひっ迫するなか、警備業界においては、仕事の需要に対する働き手の確保が一層困難になることが想定される。元来、警備会社は都道府県公安委員会の認定を受け、地域に密着し、社会の安全安心を守るという極めて公共性が高い業務を遂行している。全国警備業協会では、これまでも警備会社の経営者層を中心に「警備業経営者のための倫理要綱~国民・社会からの信頼に応え、社会的責任を果たすために~」の周知を図り、法令遵守のもと警備業務の適正化を図ることや、悪質なダンピング行為を排除し、▇▇な競争により適正料金の確保から経営基盤の強化に努めてきたが、より一層の推進が求められる。特に、適正料金から得られるものを原資とし、警備員の給与・処遇の改善や、警備業務に関わるDX化の推進やICT化等の生産性向上のための設備投資を行い、雇用環境の整備に努め、採用や定着化の取組を推進するという好循環が必要である。この好循環により企業の経営基盤は盤石となり、エッセンシャルワーカーたる警備業の社会的地位も高まるとともに、質の高い業務を提供し続けることで持続的な社会の安全安心に寄与することが可能となる。
他方、政府の動きとしては、平成 27 年 12 月に官邸に設置された「下請等中小企業の
取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」が、平成 29 年 8 月に「中小企業・小規模
事業者の活力向上のための関係府省庁連絡会議」、令和2年 12 月「中堅企業・中小企 業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議」に改組された。これら連絡会議では、経済の好循環の実現に向け、中小企業・小規模事業者が賃上げを行いやすい環境を作る観点から、下請等の取引条件の改善に必要な検討が行われ、その一方策とし て、業界団体における自主行動計画の策定が求められている。
そこで、当協会としても、警備業における中小企業・小規模事業者の経営基盤強化、個々の事業者における取引適正化の取組を一層推進することが必要不可欠であるとの認識のもと、本自主行動計画を策定することとした。
今後、警備業が更に健全に発展するためには、適正取引推進等に向けて、各警備会社が率先して自主行動計画を実践し、定着させることが必要となる。同時に、警備業務の発注者より十分な理解を得て、双方の協働により課題解決が促進されるよう、我々の行動の在り方を示すこととした。加盟各社においては、より一層の取引適正化に向けて、本計画の「取組事項」に基づき、積極的に取り組むものとする。
令和 2 年以降、新型コロナウィルスの感染拡大により日本経済全体が深刻な打撃を被っており、警備業においても、取引先の休業や事業縮小等による発注量の減少、警備配置ポストの削減、料金減額の要請など、多くの警備会社が感染拡大の影響を受けてい る。
このような情勢下で政府は、「成長と分配の好循環」をコンセプトに新しい資本主義実現に向けた取組の一環として、令和3年 12 月 27 日に中小企業等が労務費、原材料 費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁でき、賃金引上げの環境を整備するため、
「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を取り纏め た。このパッケージには、各省庁が新たに取組む事項が盛り込まれており、加えて各取
組に対するフォローアップを通じて、転嫁対策に全力で取り組んでいくことが求められている。
また、政府は、さらなる適正取引の後押しとなるように、令和4年7月 29 日に「下請中小企業振興法振興基準(以下、「振興基準」という)」を改正した。
当協会としても、こうした政府の取組を絶好の機会と捉え、適正取引をさらに推し進め、警備員の処遇改善を達成させるため、今まで以上に積極的に自主行動計画を実践していくものとする。
Ⅱ 警備会社間の元請下請関係における事例と取組事項
警備業界では、警備会社から警備業務の全部又は一部を他の警備会社へ発注する(※注)、いわゆる下請取引が行われることがある。
また、警備業界においては、警備員数が 100 名未満の中小規模の事業者が全体の約9割を占めることから、社会に対する安全・安心の安定供給には、中小規模の警備会社の事業継続や持続的な発展が必要となる。
しかし、警備会社間の取引には、書面交付義務の違反など一般的な法令遵守の観点からの問題が散見されるため、以下に当協会がヒアリング等で把握した具体例を挙げる。その後に、関係法令に抵触するおそれが生じないよう、元請事業者としての取組事項を示す。
※注: 警備業法においては、警備業務の全部又は一部を他の警備会社に委託する場合は、警備員に対して行う指導・監督に関し、特段の留意が必要であり、「下請」とは呼称していないが、当該関係は、下請法にいう「下請」であるので、以下、「下請」という呼称を無条件に使用する。
① 書面の作成義務、交付義務、保存義務の違反
・ 緊急を要するため、親事業者(元請事業者)が下請事業者に口頭(電話)で発注し、その後、注文書を交付しなかった。
【下請代金支払遅延等防止法(下請法)】
・親事業者、下請事業者の定義
下請法の対象となる取引は、事業者の資本金の規模と取引の内容で定義される。警備業務を含む役務提供委託を行う場合は、以下となる。
親事業者 下請事業者
資本金 5 千万円超
資本金 5 千万円以下(個人を含む)
資本金 1 千万円超 5 千万円以下
資本金 1 千万円以下(個人を含む)
・親事業者の義務
下請事業者に役務提供を委託する場合、直ちに注文の内容、下請代金の額、支払期 日、支払方法等を明記した書面(いわゆる3条書面)を下請事業者に交付することは、親事業者の義務とされている。(下請法第3条。罰則あり)
また、注文の内容、役務提供の完了日付、下請代金の額、支払日等を記載した書類を作成し、これを2年間保存することも、親事業者の義務とされている。(下請法第5
条。罰則あり)
【警備業法】
委託を受けた警備業者は、
ア)契約締結前に交付する書面:当該契約を締結するまでに、当該契約の概要について記載した書面を交付する義務
イ)契約締結後に交付する書面:当該契約の締結から遅滞なく、一定の事項について当該契約の内容を記載した書面を交付する義務
を有することにも注意しなければならない。(警備業法第 19 条、罰則あり)
【取組事項】
・ 元請事業者は、下請事業者と十分に協議を行い、支払条件や提供業務の内容など、予め具体的な内容について合意の上、書面化し、3条書面を交付するとともに、下請法第
5条の定める書類を保存しておく。
・ 元請事業者は、契約内容と実態が乖離していると認められる場合には、その書面と実態を比較対照し、適切な内容にするために下請事業者と協議する(ただし、実態に合わせて契約内容を下請事業者の不利益に変更することは、たとえ下請事業者の同意があっても下請法違反となりうることに留意する)。
② 支払遅延
・ 元請事業者は、下請事業者に、毎月、完了報告書の提出を求めているが、完了報告書が未着又は不備があるとして、警備業務提供完了日から60日を経過しても代金を支払わなかった。
【下請法】
・親事業者の義務
下請事業者が役務を提供した日から起算して60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めることは、親事業者の義務とされている。また、支払期日が定められていない場合は警備業務が実際に提供された日、下請事業者が役務を提供した日から起算して60日を超える日を支払期日として定めた場合は60日を経過した日の前日が、それぞれ支払期日とみなされ、その支払期日までに下請代金を全額支払わなければならない。(下請法第2条の2)
・親事業者の禁止事項
役務が提供されてから60日以内に定められた支払期日までに下請代金を支払わないことは、禁止されている。(下請法第4条第1項第2号)
支払期日までに下請代金が支払われなかった場合は、役務提供日から起算し60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について、▇▇取引委員会規則で定める率(現在、年率14.6%)の遅延利息を支払わなければならない。これよりも低い利率の遅延利息を、当事者間で合意しても無効である。(下請法第4条の2)
→ ただし、一つの役務が提供されるのに日数を要する場合は、役務提供が終了した日が「役務の提供を受けた日」となる。
→ また、個々の役務が連続して提供される役務であって、次の要件を満たすものについては、月単位で設定された締切対象期間の末日に当該役務が提供されたものとして取り扱うことができる。
ア)支払は、月単位で設定される締切対象期間の末日までに提供した役務に対して行わ
れることが予め合意され、3条書面又は契約書に明記されていること
イ)3条書面又 は契約書において、当該期間の下請代金の額が明記されていることウ)下請事業者が連続して提供する役務が同種であること
【私的独占の禁止及び▇▇取引の確保に関する法律(独占禁止法)】
・ 下請法の適用を受けない取引においても、不当に、支払期日に対価を支払わない場合等は、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法上の問題となるおそれがある。(独占禁止法第2条第9項第5号ハ)
【取組事項】
・ 元請事業者は、警備業務が提供された日を起算日とし、起算日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、支払期日を守る。
・ 万が一、実際の支払いが起算日から60日を超えてしまった場合は、遅延利息(下請法の適用を受ける取引においては、最低限、年率14.6%の遅延利息)を支払う。
・ 元請事業者は、発注元からの支払いの如何に関わらず、下請事業者に対する支払いを行う。(なお、月単位で認定された締切対象期間の末日に警備業務が提供されたものとして取扱うことができる場合には、月単位での支払いを行うことが可能である)。
③ 代金の減額
・ 元請事業者は、下請事業者との間で毎月の役務の提供に対して下請代金を支払うこととしているところ、契約の改定により単価を引下げ、引き下げた単価をさかのぼって適用した。
【下請法】
・親事業者の禁止事項
親事業者が発注時に決定した下請代金を、下請事業者の責に帰すべき理由がないにも関わらず発注後に減額することは、禁止されている。このとき、減額方法、金額の多 寡、下請事業者の同意の有無を問わず、また発注後いつの時点で減額しても代金減額となり、下請法違反となる。(下請法第4条第1項第3号)
親事業者が、自ら請け負った警備業務を下請事業者に再委託している場合において、下請事業者の業務提供中の事故等の損害賠償を発注者から求められたとき、たとえ下請事業者の責に帰すべき理由があったとしても、下請代金から損害額を上回る一定額を差し引くことは、下請法上の代金減額となる。
【消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法)の経過措置規定】
・ 消費税転嫁対策特別措置法は、令和 3 年 3 月 31 日をもって失効したが、経過措置規
定(同法附則第 2 条第 2 項)により、同法の失効前に行われた転嫁拒否等の行為は、同法の失効後も監視・取締り等の対象となる。
・ 消費税転嫁対策特別措置法は、資本金等の額が3億円以下である事業者等(同法第2条第2項各号で規定される「特定供給事業者」)から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者等(同法第2条第1項各号で規定される「特定事業者」)が、「減額、買いたたき」「商品購入、役務利用又は利益提供の要請」「本体価格での交渉の拒否」といった消費税の転嫁拒否等の行為や、▇▇取引委員会等に転嫁拒否の実態を訴えたことに対する報復行為(取引数量の削減、取引停止、その他不利益な取扱い)を行うことを禁じている。
【独占禁止法】
・ 下請法の適用を受けない取引においても、不当に、発注後に減額する場合等は、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法上の問題となるおそれがある。(独占禁止法第
2条第9項第5号ハ)
【取組事項】
・ 元請事業者は、法的に下請事業者の責に帰すべき理由がないと評価できる場合には、その時期、金額の多寡、下請事業者の同意の有無に関わらず、発注後において下請代金を減額しない。
④ 買いたたき
・ 元請事業者との契約期間中において、下請事業者に対して、急遽、別の警備会社より元請の変更の連絡があり、十分な協議がなされないまま一方的に下請代金を提示され た。新たに元請となる会社から提示された料金は、下請事業者が提供する業務内容、時間等には変更がなかったにも関わらず、従来の料金より大幅に減額されていた。
・ 現金輸送警備業務を下請事業者に委託した元請事業者は、代金について一方的に減額を要請し、一契約につき一律〇パーセントを値下げした。
【下請法】
・親事業者の禁止事項
同種、類似の委託取引の場合に通常支払われる対価に比べて著しく低い下請代金の額を不当に定めることは、禁止されている。(下請法第4条第1項第5号)
【独占禁止法】
・ 下請法の適用を受けない取引においても、不当に、同様の行為を行った場合は、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法上の問題となるおそれがある。(独占禁止法第
2条第9項第5号ハ)
【取組事項】
・ 元請事業者は、見積時における業務量や期間を大幅に変更する場合には、下請事業者と十分な協議を行い、合理的な料金の再設定、追加費用の負担をする。
・ 元請事業者は、下請事業者から料金の見直しについての説明や協議を求められた場合には、誠実にこれに応じなければならない。
⑤ 購入・利用強制
・ (警備会社間の取引において、購入・利用強制の事例は把握できなかった。)
【下請法】
・親事業者の禁止事項
親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させることは、禁止されている。
(下請法第4条第1項第6号)
【独占禁止法】
・ 下請法の適用を受けない取引においても、不当に、同様の行為を行った場合は、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法上の問題となるおそれがある。(独占禁止法第
2条第9項第5号イ)
⑥ 不当な経済上の利益の提供要請
・ (警備会社間の取引において、不当な経済上の利益の提供要請の事例は把握できなかった。)
【下請法】
・親事業者の禁止事項
下請事業者に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより下請事業者の利益を不当に害することは、禁止されている。(下請法第4条第
2項第3号)
【独占禁止法】
・ 下請法の適用を受けない取引においても、不当に、同様の行為を行った場合は、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法上の問題となるおそれがある。(独占禁止法第
2条第9項第5号ロ)
⑦ 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し
・ 元請事業者は、発注元からの発注取消を理由として、下請事業者に対して一方的に発注を取り消したうえ、キャンセル料を支払わなかった。
・ 元請事業者は、当初、長期継続を前提に契約しながら、実際には短期の契約となったにも関わらず、期間が短くなったことで下請事業者が被った損失を補てんしなかった。
【下請法】
・親事業者の禁止事項
下請事業者に責任がないのに、発注内容の変更を行い、又は下請事業者から役務提供された後にやり直しをさせることにより、下請事業者の利益を不当に害することは、禁止されている。(下請法第4条第2項第4号)
【独占禁止法】
・ 下請法の適用を受けない取引においても、不当に、同様の行為を行った場合は、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法上の問題となるおそれがある。(独占禁止法第
2条第9項第5号ハ)
【取組事項】
・ 元請事業者は、下請事業者に責任がないのに、仕様の変更や業務提供日・期間の変更等が生じた場合は、人件費やその他これに伴い発生した費用を負担する。
・ 元請事業者は、キャンセル料の発生等の通常起こり得る事項について、下請事業者の求めがあった場合には、これに応じ、協議の結果を書面化する。
Ⅲ 警備業界外の発注者との間の取引における事例と取組事項
警備業務の発注者は、建設業者、ビルメンテナンス業者、イベント業者、金融業者等多岐に渡るが、警備会社が提供する警備業務は、安全な状態を確保するという無形なサービスであり、その過程や結果が可視化されにくい。このため、価格のみで警備会社を選定する発注者が根強く見受けられることは事実であり、業界全体としては、取引において受注者である警備会社が弱い立場になりがちであると言える。
一方で、警備会社は、その業務を通じて安全な状態を維持し、顧客やその関係者にとって、さらには交通誘導などの公共性が高いケースにおいては広く一般市民にまで安心感を与えることが要求されている。それに応じるためには、警備会社が業務の質を高めることはもとより、安全確保についての発注者の協力が不可欠となる。安全対策を怠ったことに起因する事故が発生した際には、発注者の企業としての社会的責任が問われる事態も生じうるものである。
こうしたことから、警備業界外の発注者と警備会社の間では、安全という共通目的を果たすため、十分な協議を実施し、強固なパートナーシップを構築し続けることが必要となる。上記Ⅱでは、警備業界内の取引について記載したが、警備業界外の発注者との取引においても、一般的な法令順守の観点からの問題が散見されるため、以下に当協会がヒアリング等で把握した具体例を挙げ、その後に受注者としての取組事項を挙げる。
① 書面の作成義務、交付義務、保存義務の違反
・ 発注者は、注文の時点では、正確に仕様が定めることができず、発注内容及び下請代金の額が決まらないこと等を理由として、受注者に書面を一切交付しなかった。
【取組事項】
・ 受注者は、発注者と十分に協議を行い、支払条件や提供業務の内容など、予め具体的な内容について合意の上、書面化することを求める。
・ 受注者は、契約内容と実態が乖離していると認められる場合には、その書面と実態を比較対照し、適切な内容にするために発注者と協議する。
② 支払遅延
・ 発注者は、他業務の支払いとあわせて受注者への支払いを行うという自社の都合により、予め定めた期日を過ぎても代金を支払わず、慢性的に支払いを遅延させた。
・ 発注者は、収入が見込みより少なくなったという理由により、受注者に対して、予め定めた期日を過ぎても代金を支払わなかった。
・ 発注者は、60日を経過しても下請代金を支払わなかったので、受注者は支払ってもらうよう催促を行った。しかし、一向に支払われることがなく発注者から理由の説明がないまま時間が経過したため、受注者は遅延利息を上乗せし請求したが、最終的に発注者は利息の支払いには応じなかった。
【取組事項】
・ 受注者は、発注者に対し、できる限り短い期間内(下請法の適用を受ける取引においては、警備業務を提供した日を起算日とし、起算日から60日以内のできる限り短い期間内)に支払期日を定めることを求める。
・ 受注者は、発注者からの支払いが期日を超えた場合は、遅延利息(下請法の適用を受ける取引においては、起算日から60日を超えた場合は、最低限、年率14.6%の遅延利息)の支払いを求める。
・ 受注者は、継続取引において、受注した警備業務が長期間に及ぶ場合、必要があれば、月単位での支払いを発注者に求める。
③ 代金の減額
・ 発注者は、慣例的に代金の 1,000 円未満の端数を切り捨てて支払った。
・ 発注者は、〇〇協力会費や広告料の名目で、予め定めていた代金から、一方的に差し引いた。
・ 発注者は、一般人からの苦情や、書類の提出が遅れた等の理由によって、受注者との間で十分な協議をせず、契約した代金から一方的に一定額を差し引いた。
・ 発注者は、他の事業者に委託した他の経費に予定よりも多く出費した等の都合により、予算がないことを理由として代金を減じた。
・ 発注者は、受注者の業務提供開始後に、取引先から値下げ要求があったことを理由に代金を減じた。
【取組事項】
・ 受注者は、発注者から代金減額の要請があった場合は、その理由の説明を求め、発注者と交渉を行う。
・ 発注担当者による一方的な減額要請については、発注者側の権限者がこのような要請を把握していないケースも考えられるため、権限者と交渉を行う。
・ 受注者は、受注担当者が安易に代金減額に応じていないか、社内においてチェックを行う。
・ 受注者は、安易に端数の切り捨てに応じない。端数の切り捨ては、発注者にとって法令違反のリスクにもなることを説明し、発注者に改善を求める。
④ 買いたたき
・ 発注者は、検定合格警備員の配置基準について理解を示すことなく、検定合格警備員を配置すべきであるにも関わらず、一般警備員に相当する代金を一方的に定めた。
・ 発注者は、受注者との年間契約について双方に異議のない場合は自動更新する条件であったところ、契約更新の直前に十分な協議を持たないまま、前年に比べて単価を引き
下げ、一方的に通常の対価を大幅に下回る代金の額を定めた。
・ 発注者は、▇▇▇▇・▇▇▇▇のような景気低迷時に協力依頼と称して大幅な値引き要請を行い、受注者が一時的な対応であるとの約束で発注者から減額要請を受け入れた後、景気等の状況が回復し受注者が協議を求めたにも関わらず、十分な協議なく一方的に価格を据え置いた。
【取組事項】
・ 受注者は、見積時における業務量や期間が大幅に変更される場合には、発注者と十分な協議を行い、合理的な料金の再設定、追加費用の負担を求める。
・ 受注者は、発注者より「明日から開始」といった急遽の業務提供を要請された場合 は、通常より短い準備期間に伴う負担増を転嫁するため、その裏付けとなる客観的資料を提示するなどした上で、料金の増額を求める。
⑤ 購入・利用強制
・ 受注者は、発注者から販売目標数量に達していない等の理由により商品やチケットの購入を強制された。
・ 受注者は、自社の業務に必要としていないにも関わらず、発注者が取り扱う用具のレンタルサービスを利用させられた。
【取組事項】
・ 受注者は、購入・利用強制が違法であり、応じることができない旨を伝える。
⑥ 不当な経済上の利益の提供要請
・ 発注者は、受注者に対して、洗車、休憩所・トイレの清掃等の契約外作業を無償で行わせた。
・ 発注者は、受注者の警備員以外の社員を動員させ、契約外作業を無償で行わせた。
・ 発注者は、パンフレットの補充等の契約外作業を無償で行わせた。
・ 発注者は、契約で休憩時間を定めているにも関わらず、休憩中の警備員に、来訪者への対応を無償で行わせた。
【取組事項】
・ 受注者は、付帯業務等の契約外業務を要請された場合は、まず、契約外である旨を伝え、必要に応じ、業務の範囲等を協議の上書面化し、有償で対応する。発注者がこれに応じない場合は、契約外業務は行わない。
・ 受注者は、現場において発注者から契約外業務を要請された場合は、現場担当者のみで判断せず権限者に報告し、発注者、受注者双方が料金や作業内容について協議する。
・ 受注者は、これまでの慣行で付帯業務等の契約外業務の実施要請に応じていないか社
内においてチェックを行う。
・ 受注者は、休憩時間中の代替人員がいない場合は、事案に応じて配置人数を増加するか、発注者に休憩時間中の対応を担当してもらうなどの協議を申し出る。
⑦ 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し
・ 発注者は、契約期間中に、受注者の警備料金が他社の提示額より高かったことを理由として、一方的に契約を破棄したにも関わらず、解約金や破棄によって生じた費用を受注者に支払わなかった。
・ 発注者は、発注者のコスト削減目標達成のため、契約期間中に一方的に警備員を削減したにも関わらず、削減によって受注者が被った損失を補填しなかった。
・ 発注者は、店舗改装時の臨時警備において、自社の都合により契約期間を短縮したにも関わらず、契約書で定められたキャンセル料を支払わなかった。
・ 発注者は、自社の都合等により、直前に警備業務をキャンセルしたにも関わらず、キャンセル料を支払わなかった。
【取組事項】
・ 受注者は、自らに落度がないにもかかわらず仕様の変更や業務提供日・期間の変更・発注のキャンセル等が生じた場合は、発注者に対し、人件費やその他これに伴い発生した費用を負担することを求める。
・ 受注者は、解約金やキャンセル料の発生等の通常起こり得る事項について、発注者に対し、予め書面化するよう求める。
Ⅳ 警備業界の課題解決に向けたその他の取組事項
上記Ⅱ・Ⅲでは、警備業務の取引でみられる不当な事例を用いながら、取引適正化に向けて警備会社が取り組むべき事項を示した。
そのほか、取引適正化以外の警備業界における課題について考察すると、まず、人手不足が挙げられる。警備業務は、最終的には教育や訓練を受けた警備員が提供するものであることから、警備会社は人材をより多く確保し、育成することが必要である。警備員の給与・処遇を改善し、生産性向上を図ることで長時間労働を是正するほか、労働環境の整備に努め、「働きやすく魅力ある職場」とするための各方策に取り組むことで、人材を呼び込むことができる。近年、自然災害の激甚化により、災害発生時に警備員が死傷する重大事故が発生しており、警備員の安全確保は重要な課題である。また、社会や求職者に向けて警備業のイメージアップを図り、警備員が警備業務の実施に対してモチベーションを高めることによって、業界全体でより一層の社会的地位の向上を目指していくことが重要となる。
警備会社が各方策を実行するには、原資となる適正料金の確保や経営基盤の強化が必要であることから、質の高い業務提供により、顧客満足度を高めて対価を取得する。その結果、得られた原資を用いて、顧客ニーズを把握しながら、更なる生産性向上のために取組を推進していくことが求められる。
以上のような状況下で、課題ごとに警備業界として取り組むべき事項の一例を挙げる。
(1)契約内容・料金決定方法の適正化及び警備会社の価格交渉力の向上
警備会社は、適正な料金を確保するために、まず、最低賃金を下回らない警備員の賃金や社会保険料事業主負担分を原価に見込むなどの、法令に定められた基本事項を遵守する。また、警備員の給与・処遇を適正水準にして労働条件を整えることは、人手不足解消への一つの対策となることから、これらの経費を含め、警備業務の提供に必要な経費を漏れなく積算することが必要となる。さらには、人手不足によって、経費のうち特に求人に要する費用の上昇が必然となるが、発注者との間で料金に転嫁するよう協議を行い、改善が見られない場合においては、利益が見込める契約かどうか早期に判断を行うことが必要である。加えて、当然ながら経費を見込むだけでなく、企業の健全な発展のために必要な設備投資や人材への投資を行う原資として一定の利益を確保し、経営基盤の強化に努める。
以上を踏まえ、以下の事項に留意し、適正料金の確保に努める。
〇 標準見積書の活用
当協会で作成した標準見積書を活用し、社会保険料事業主負担分をはじめ、▇▇の熱中症対策、冬季の防寒対策、感染症対策等に必要な備品の費用など、必要な経費を計上し、見積額を算出することを徹底する。
〇 標準条項の検討
契約内容に変更が生じた場合の費用が支払われない、契約外業務の無償提供が行われているなどの下請法・独占禁止法違反となる可能性の高い問題の改善に向けて、当協会において、契約対象業務の範囲の明確化やキャンセルポリシー等、業界全体として契約時に共通して盛り込むべき条項をまとめ、活用を促進する。将来的には、標準約款を作成し、運用の実現を目指す。
〇 「適正取引の推進に向けたリーフレット」の活用
警備会社は、適正料金確保のために交渉時に使用することを目的としたリーフレットを持参するなどし、活用する。
〇 契約内容の明確化
契約内容(契約対象業務、警備業務の計画の確定日、変更が生じた場合の支払いなど)の明確化を図るため、令和元年6月から見積関係書類記載例の活用と周知を図ってきたところであるが、令和2年4月に「契約締結前書面記載例」(基本書式記載例集八訂版(令和2年4月3日発刊)掲載)を作成したことから、これらを活用し、さらなる取引適正化を図る。
なお、過去の自主行動計画フォローアップ調査の結果によると、警備会社が見積関係書類記載例を活用することで、契約外の業務を行うことがなくなった、キャンセル料を徴収できた、支払遅延がなくなった等の成果が現れているので、契約締結前書面記載例と併せて積極的に活用されたい。
〇 対価の決定や改善に関する協議
令和4年度の自主行動計画フォローアップ調査の結果によると、人材確保のための給与の改善やガソリン代高騰への対応について、これらを受注の対価に反映したいが実際にはできていないという回答が多かった。
対価の決定や改善に関する協議に関しては、令和4年7月の「振興基準」の改正により、新たに次の点が追記された。契約交渉や契約内容の見直しに当たっては、同改正を踏まえて発注者側の権限を有する者と協議を行うものとする。これにより、上記のような給与改善やガソリン代高騰への対応など、各警備会社の課題の解決を図る。
・ 親事業者は、客観的な経済合理性又は十分な協議手続を欠く協議を行わないものとする。
・ 毎年9月及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉える等により、少なくとも年に1回以上の協議を行うものとする。
・ 親事業者は、一般的な賃金の引上げ水準を十分に考慮しつつ、下請事業者と取引対価を決定するものとする。
・ 発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、親事業者は、前払い比率及び期中払い比率をできる限り高めるよう努めるものとする。また、これらの取引において、期中に労務費、原材料費、エネルギー価格等のコストが上昇した場合であって、下請事業者からの申出があったときは、親事業者は、
期中の価格変更にできる限り柔軟に応じるものとする。
なお、上記の契約交渉等は警備会社間の取引においても、同様であるため、警備業者が親事業者となる場合においては、労務費、原材料費、エネルギー価格等の上昇分の価格転嫁に積極的に応じるとともに、取引先から価格交渉を求められた場合には、遅滞なく応じることとする。
〇 威圧的交渉への対応
令和4年7月の「振興基準」の改正により、親事業者は下請事業者からの相談、苦情等の申告に応じることが明記されたとともに、交渉の目的を大きく逸脱する言動、交渉の手段として不適切な言動等による下請事業者に対する威圧的交渉の禁止が追記された。(「振興基準」第7下請取引に係る紛争の解決の促進に関する事項)親事業者との協議、交渉に当たり、威圧的交渉が行われた場合には、親事業者の しかるべき相談窓口に相談、苦情の申告等を行うとともに、親事業者に対して「振興基準」の上記該当箇所を示し、威圧的な交渉を行わないよう申し入れるものとす
る。
なお、警備会社が親事業者となる場合には、上記の「振興基準」に留意し、威圧的交渉等が行われることがないよう担当者を指導するとともに、威圧的交渉等に関する相談、苦情を受理した場合には、適切な対処に努めるものとする。
〇 パートナーシップ構築宣言
政府においては、我が国経済の持続的成長や成長と分配の好循環の実現に取り組んでいるところ、各事業によるサプライチェーン全体での付加価値向上や取引関係の適正化に向けて「パートナーシップ構築宣言」に係る取組みが推進されている。こうした取組みを踏まえ、業界としても、パートナーシップ構築宣言を行うことを強く推奨する。
また、パートナーシップ構築宣言を行った事業者は、取引の適正化に向けた施策の進展、自社を取り巻く取引環境の変化等を踏まえ、定期的に宣言内容の見直しを行うよう努めるとともに、同宣言を行った事業者は、社内における広報、訓示、研修等を通じ、営業、調達等に係る現場の担当者まで浸透を図ることとし、下請事業者に対し、自社が同宣言を行っている旨及びその内容の周知に努めるものとする。なお、当協会においても、加盟員企業へパートナーシップ構築宣言の推奨に向け た要請文を発出するとともに、当協会ホームページにパートナーシップ構築宣言ポ
ータルサイトへのリンクを開設する等して同宣言の促進に努めるものとする。
〇 感染症の流行や自然災害等への対応
感染症の流行や風水害等に関しては、発注者の保険加入の有無や社会情勢等を踏まえ、受注者が負担を一方的に押し付けられる結果とならないよう、発注者に対して必要な経費・キャンセル料等の支払いを求めることができるようにする。また、警備員が台風や豪雨等の自然災害で死傷する事案が発生していることか ら、警備員の生命・身体に危険が生じるような状況においては、一時的に警備業務を停止できる旨、および警備業務を停止した場合には免責される旨を、発注者
との契約条項に盛り込むように努める。場合によっては、リスクを鑑みて受注を見合わせることも検討する。
なお、災害時等においては、警備会社自身がBCP(事業継続計画)を自社に備え付けることで、警備業に期待される社会的役割に応えることができるとともに、企業価値を高めることにつながることから、その投資にかかる費用についても発注者から理解を求める。
※ 当協会は、警備員の生命・身体を守るために、自然災害時に警備業務を一時的に中止することなどの判断基準を示す「自然災害発生時における警備員の安全確保のためのガイドライン(仮称)」を作成し、運用の実現を目指す。
〇 販路拡大の努力
特定の発注先との間で下請法違反が常態化している場合は、自社の契約条件、セールスポイントを情報発信するなどして販路を拡大し、過度に依存しないよう努める。
〇 下請代金の受領手段
成長戦略実行計画(令和3年6月18日閣議決定)等により、令和8年に約束手形が廃止される方針が示された。これを踏まえて、発注者に対して下請代金は手形以外の決済手段による支払いとなるように調整するとともに、支払方法の改善は、単一の企業又は業界で取り組むものではなく、サプライチェーン全体で取組を進めることが重要であることに留意し、異業種間取引や下請法対象外取引においても支払いはできる限り現金によるものとする。
やむを得ず手形等により下請代金を受領する場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、受注者の負担となることのないよう、これを勘案した下請代金の額を発注者と受注者で十分協議して決定するとともに、下請企業に対して一方的なコストダウンの要求等をしないこととする。また、支払い側としてだけでなく受け取り側としても、例えばネットバンキングや電子記録債権といった手形の代替え手段が取れるように検討することとする。
令和4年度の自主行動計画フォローアップ調査では、受注者として手形の受領が一部認められたが、上記を徹底することで令和8年までに手形利用0%を達成するものとする。
なお、協議の際は、発注者と受注者の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に検討できるよう、支払期日に現金により受領する場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により受領する場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストを発注者に示してもらうよう要請する。また、下請代金が支払われるまでの手形等のサイトについては、60 日以内となるよう発注者に求める。
また、発注から納品までの期間が長期にわたる取引は、契約期間が長期でかつ金額が大きく、発注者からの支払時期と下請への支払時期が異なるため、前払比率や期中払比率をできる限り高めてもらうように努める。
(2)人材の確保と定着
人手不足は、警備業界が抱える諸問題の中でも特に深刻なものであり、令和4年6月から7月に当協会が実施した自主行動計画フォローアップ調査では、約 91%の警備会社が人員不足である旨回答しているほか、多くの業者から、警備員不足であるた
め、仕事を新たに受けられない状況であるとの声が出ている。
また、厚生労働省が発表した令和4年7月の有効求人倍率をみると、警備員が該当する保安の職業は 6.28 倍であり、全職業の 1.15 倍と比較して極めて高い状況にあ る。
このような状況を踏まえ、人材の確保と定着について、以下の取組を実施する。
〇 適正料金を確保することにより、昇給制度を充実させるなどして警備員への給与・処遇の改善を図る。
〇 女性、高齢者、若年層といった人材リソース別に、警備業のイメージアップや警備業に対する理解を高められるような求職者向け広報サイトを立ち上げる。
〇 警備員に対する教育内容を改善し、個人の能力を伸ばす。
〇 労災事故防止、メンタルヘルスケア等を実践し、労働環境の改善に努める。具体的には、あらゆる世代の警備員が働きやすいように長時間労働の是正、休憩時間の確保に努めるほか、熱中症や感染症リスクに十分留意し、発注者とも協議するなどして、労働環境の整備に努める。
〇 体力、年齢、家庭の事情等の警備員の個性等に応じた多様な働き方(勤務日数、時間等)の提供に努める。
〇 クレームへの対応については個人任せにせず、組織的に対応するなど、警備員の精神的な負担の軽減に努める。
(3)長時間労働の是正
警備業界における長時間労働は、職場の魅力を大きく損ない、新たな求職者を惹き付けず、人材確保を困難にさせる要因ともなる。
また、業務量が変わらない中、十分な警備員数を維持できない場合には、警備員一人当たりの負担が増し、労働環境の悪化から、警備員の定着率が低下する。
さらに、警備員は、休憩時間中であるにもかかわらず、出入管理や緊急事態への対応を求められた場合に、そのほとんどを拒否できない実態があり、長時間労働を誘発しているのみならず、労働基準法違反となる。
このように、長時間労働に対して策を講じないままでは人手不足の点において悪循環を招くことから、警備会社は、発注者のニーズを満たしつつ、警備員の労働環境の改善に取り組み、働きやすい労働条件を提示するために、警備員一人当たりの労働時間を短縮することが求められる。
よって、働き方改革関連法により時間外労働の上限規制が設けられたことを踏まえ、長時間労働抑制に向け、以下の取組事項を実施する。
〇 警備員の出退勤管理を適正に行い、個々の警備員の労働時間を正確に把握す
る。
〇 警備員の実働時間等を分析し、拘束時間を極力減らす。
○ 警備会社は、警備員の人数や労働基準法上の労働時間規制から、受注可能な時間を把握するよう努める。
〇 警備員の業務量の把握に努め、必要な人員調整を行うとともに、過度な負担がみられる場合は、必要に応じて、発注者との間で業務量の平準化に関する協議を行う。
○ 警備員のワーク・ライフ・バランスの向上のため勤務間のインターバルの充実に努める。
○ 警備会社が休憩時間と定めていても、警備員が来訪者や電話に対応せざるを得ない場合は、労働基準法上、休憩時間とは認められないことを踏まえ、発注者との契約内容や警備業務の計画について、確実に休憩時間が取得できるものとなっているかなどを点検し、問題がある場合は、契約内容や警備業務の計画の見直しを要請する。それでもなお休憩時間中の対処を求められた場合は、休憩時間中に交代要員を配置することを前提とした警備料金とするなど、休憩時間の確保に必要な対応をとる。
○ 警備業務の現場について、現場の判断で契約外の業務を行っていたり、不要な居残りを行ったりしていないかなどを点検し、問題がある場合は発注者側と協議する。
○ 警戒の方法、報告の要領、時間帯に応じた配置箇所等についても無駄がないか確認するなどして、業務の効率化を図る。
〇 機械化、先端技術の活用のための設備投資を行い、省人化、効率化を図る。また、その投資の原資を確保すべく、適正な利益を見込んだ料金設定を行う。
(4)顧客満足度の向上
顧客からの満足は、持続的に高品質な警備業務を提供することにより得られる。顧客に対してはもとより、施設の来訪者や通行人等の第三者に対しても好感が持たれるような対応を行うなどの教育等を警備員に行うことで、警備会社の評価が高まり、顧客の満足度を高められる。また、警備会社はこのような質の良い業務提供や警備技術の▇▇▇の結果、十分な対価を得ることができ、継続的に発展していくための原資が得られるほか、販路の拡大につながる。
また、顧客目線で業務提供を行い、顧客から警備会社への理解が深められると、
業務改善や警備計画立案等において協働が進み、双方の生産性向上にも繋がることが期待できる。
Ⅴ 本計画の推進とフォローアップ
(1)本計画の推進
以下の通り当協会において本計画を推進する。
○ 関係業界団体へ本計画を周知
○ 当協会に不適正な取引事例に関する通報窓口及び適正取引に向けた相談窓口を設置
○ 警察庁、▇▇取引委員会、中小企業庁等と当協会との間で、連絡協議の場を設けることを検討
○ 通報窓口に寄せられた不適正な取引事例を集約し、当該事例をもとに適時、関係業界団体へ取引条件改善に関する申入れを実施(あわせて、警察庁に対 し、関係省庁へ取引条件改善に関する協力を求めるよう要請)
○ 上記不適正な取引事例を当協会の機関誌やホームページにおいて紹介
○ 適正取引推進のためのリーフレットの活用
○ 本計画の周知、啓蒙のためのセミナー等の開催
(2)各社によるセルフ・フォローアップ
各警備会社においては、不当な取引に関する情報の社内共有等、取引適正化に向けた取組みが実効性のあるものとなるよう、セルフ・フォローアップを行う。
(3)当協会によるフォローアップ
当協会は、中小企業庁、経済産業省が定める業種横断的なフォローアップ指針を踏まえ、フォローアップを実施する。
(4)取引条件等の改善につながった好事例の参照
当協会は、自主行動計画のフォローアップ調査を通じて、自主行動計画を積極的に活用したことで取引条件等の改善につながった事例について、加盟企業にヒアリングを行った。その結果を全警協ホームページ上に公開する予定であるので、参考にされたい。
※ 令和4年 11 月下旬公開予定
(5)本計画の見直し
本計画は、必要に応じ、適宜見直しを行う。
