PFI 事業におけるリスク分担等に関するガイドライン PFI 事業実施プロセスに関するガイドライン
資料5-2
令和 3 年度
各ガイドラインの改正(案)
PFI 事業におけるリスク分担等に関するガイドライン
二―6 各段階に共通に関連するリスク …p2
三 その他の留意事項 …p3
契約に関するガイドライン
2-2-9 不可抗力による損害(設計、建設段階) …p6
3-6 不可抗力による損害(維持・管理、運営段階) …p9
5-3 不可抗力等による解除権等 …p10
6-2 選定事業者の株式の譲渡 …p13
6-9 不可抗力による損害への対応(再掲) …p14
公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン
4-1 リスク分担 …p21
9-2 指定管理者との関係 …p23
13-1 運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化 …p26
PFI 事業実施プロセスに関するガイドライン
5-1 事業契約等の取決めに当たっての留意事項 …p30
:グレー
水色
※ 変更箇所の分類
・コロナの影響を踏まえた対応関係
黄色
・SPC 株式等の流動化関係 :
・公共施設等運営権と指定管理者制度の併用関係 :
PFI 事業におけるリスク分担等に関するガイドライン
二 リスク分担の検討にあたってのリスク要素と留意事項等
…
6 各段階に共通に関連するリスク
(1) 不可抗力
不可抗力とは、協定等の当事者の行為とは無関係に外部から生じる障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止し得ないものと考えられる。公共施設等の管理者等及び選定事業者のいずれの責めにも帰しがたい天災等の不可抗力事由によって、例えば調査段階における仮設物等の損傷、建設段階における工事目的物等の損傷、維持管理・運営段階における施設の損傷が生じ、設計等、用地確保、建設の各段階の中断・遅延や、各段階で必要となる費用が約定金額を超過することが起こるなど、設計等、用地確保、建設、維持管理・運営のいずれの段階においても、選定事業の実施に影響を与えることがあることから、その具体的な不可抗力事由のほか、選定事業の実施に影響が生じた場合の追加的支出の分担のあり方、事業期間の延長について予め検討し、できる限り協定等で取り決めておくことが望ましい。なお、協定等で不可抗力事由を定めている場合で も、具体的状況下で不可抗力と判断されるかについては、通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止しえないものか、管理者等及び選定事業者の協定等の内容、協議内容、国や自治体等が示す指針等の内容、社会状況等を考慮して個別具体的に判断す
ることが必要である。
(参考)
① 天災等については、災害対策基本法( 昭和 36 年法律第 223 号) 第2 条第1 項第
1号で「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」と規定され、同法施行令第1 条において政令で定める原因として「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」が規定されている。また通常の公共工事に用いられる工事請負契約書には、天災等は「暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象」とされている例がある。また通常を超える長期降雨又は長期降雪、雪崩、埋蔵文化財の発見、予見できない軟弱地盤、有毒ガスの噴出なども併せ検討しておくことも有益と考えられる。なお、疫病や感染症等、上記で明確に列挙されていない事由であっても不可抗 力事由に含まれうるのであり、これらについても不可抗力となる基準を明確にした上で、あらかじめ不可抗力事由として協定等で定めておくことが望ましい。ただし、いずれの不可抗力事由についても、具体的状況下で不可抗力と判断されるためには、通
常必要と認められる注意や予防方法を尽くしても避けえないものであったかを個別 | ||
具体的に検討することが必要となる。 | ||
② 協定等に基づき現実に追加的支出を行う場合に係争が生じないよう、天災等の内容の基準、負担対象範囲、保険等によるてん補の取扱い、累積損害の取扱いや損害の通知・確認等の手続を予め協定等でできる限り定めておくことが望ましい。 ③ 近年、火災保険、地震保険に加え、天候保険等が商品化され、保険・金融技術の向上や市場の整備等に伴ってリスクを軽減することが可能な範囲が広がっていることから、適宜、当該時点でのリスク軽減措置について幅広く検討することが望ましい。また公共施設等の管理者等は、不可抗力が発生した場合の現実の追加支出額に係る係争が生じないよう、予め協定等において、付保した際の保険証券等の提示を選定事業者に求めることができるよう規定しておくことも有益である。 ④ 通常の公共工事に用いられる工事請負契約書において、工事目的物の引渡し前に、天災等( 設計図書で基準を定めたものにあっては、当該基準を超えるものに限る。)で発注者、受注者双方の責めに帰すことができないもの(「不可抗力」という。)により、工事目的物等に損害( 受注者の善良な管理者の注意義務を怠ったことに基づくもの及び設計図書に定めるところにより付された保険によりてん補された部分を除く。) が生じたときは、発注者は当該損害の額及び当該損害の取片付けに要する費用の額の合計額のうち、工 事請負代金の○ 分の○を超える額を負担することとしている例がある。 | ||
⑤ 当事者間でその分担方法について協議を行うべき不可抗力による損害については、基 | ||
本的に物件以外の損害も含まれると考えられる。 | ||
⑥ 独立採算型事業等においては、各事業年度の収益があらかじめ規定された基準を下回 | ||
った場合に、その程度に応じて管理者等が運営権者の収益減少分を負担するロスシェア | ||
リングの考え方を協定等で取り入れている例がある。不可抗力について協定等で取り決 | ||
めをしていても、具体的な状況下で不可抗力該当性や収益減少分の扱いについて明確に | ||
判断できない場合も想定されることから、協定等で予めロスシェアリングについて定め | ||
ておくことも、独立採算型事業では有益と考えられる。なお、ロスシェアリングについて | ||
定める場合はプロフィットシェアについても検討する等、官民のリスク分担が適切な形 | ||
となるよう検討することが望ましい。 |
三 その他の留意事項
1 選定事業として、設計等、用地確保、建設、維持管理・運営の一部又は全部にわたる長期間の事業となるものが想定され、公共施設等の管理者等は、民間事業者の創意工夫と自主性を尊重し、民間事業者に対する関与を必要最小限のものとすることに配慮して、従来公共施設等の管理者等が公共施設等の整備等に用いてきた請負契約、委託契約でのリスク分担と異なるものとなり得ることに留意して、選定事業のリスク分担を検討すること。リスクは選定事業ごとに異なり、個々の選定事業に即してその内容を評価、
検討すべきであり、二で示した参考には、従来の公共工事等での分担例を例示しているものがあるが、PFI事業を実施しようとする公共施設等の管理者等の検討の素材のために示したものであって原則ではないことに留意すること。
2 法に基づき策定、公表される実施方針において、公共施設等の管理者等と民間事業者の業務の責任分担、予想されるリスク及びその分担の基本的考え方を示す場合には、当該実施方針に係る特定事業のリスク分担が競争に基づく民間事業者の合理的提案によって変更することが適当な場合があることに鑑み、市場調査等を踏まえ、必要に応じ適切な時期までに詳細化又は変更することにも留意することが望ましい。
(参考)
① 実施方針の策定、公表の時点において、その発生する可能性を予測できずその影響を想定できない不確実性のある事由による損失か定かではないが、
ア.民間事業者の募集及び選定に係る過程を経た結果、選定事業を実施する者として選定されなかった民間事業者の応募等に要した費用又はいずれの民間事業者も選定されなかった場合の公共施設等の管理者等のそれまでの過程の実施に要した費用
イ.選定事業を実施する者として選定されたものの何らかの理由により協定等の締結に至らない場合に、選定事業者及び選定事業者たる新たな法人を設立した民間事業者並びに公共施設等の管理者等のそれまでに要した費用がそれぞれの者の損失として発生する場合が考えられる。このため実施方針等において、必要に応じ、民間事業者の負担する費用項目を明示しておくことも民間事業者にとって有益な場合がある。
3 選定事業者が、選定事業以外の他の事業等に従事する場合においては、他の事業等に伴うリスクにより選定事業に係る公共サービスの提供に影響を与えるおそれがあることから、この影響を避けるため又は最小限にするため、協定等に必要な規定を設ける 等、経済的合理性を勘案の上必要な措置を講ずることに留意すること。
(参考)
① 選定事業の態様に応じ経済的合理性を勘案の上、新たに設立された法人に選定事業を実施させることや、事業部門の区分経理上の独立性を確保させることなどの措置が考えられる。選定事業者が新たに設立された法人であって選定事業の実施に係る懸念を解消するため適当な場合には、公共施設等の管理者等と選定事業者の出資者との間で、選定事業の適正かつ確実な実施を担保するために必要な措置を、経済合理性を勘案の上、別途合意しておくことにも留意することが望ましい。
② 選定事業者が、民間収益施設等の付帯的施設を併設し選定事業以外の他の事業を行う場合には、他の事業に係るリスクにより選定事業に係る公共サービスの提供に影響を与えるおそれがあるとともに、公共施設等の損傷が付帯的施設に影響を与える場合があることも想定される。このため、選定事業に係るリスクと他の事業に係るリスクをできる限り分離して、一方の事業に影響を与える他方の事業に係るリスクのその影響の程度
等を勘案して、その分担を含めた措置を検討し、協定等に規定しておくことが望ましい。具体的には、事業者の選定に当たり実施する以下のような措置が考えられる。 ア.選定事業者の出資者による他の事業を履行するための支援 イ.他の事業を実施する者の信用力の確認 ウ.他の事業を実施する者の保険等への加入 4 選定事業者の公共施設等の建設の終了まで公共施設等の管理者等から選定事業者への支払いがなく、運営の開始後、サービス料等として選定事業者への支払いが開始される場合には、公共施設等の管理者等は、選定事業の規模によっては選定事業者が相当の民間資金等を調達することになることに留意し、資金調達が困難となるおそれが強いと認められる場合又は困難となった場合における選定事業者及び公共施設等の管理者等のとるべき対応について、予め検討し、できる限り具体的かつ明確に協定等に規定しておくことが望ましい。 5 公共施設等の管理者等は、選定事業者に対する関与を必要最小限のものにすることに配慮しつつ、協定等で予め分担を取り決めたリスクの顕在化又はそのおそれを速やかに認知できるよう、協定等で選定事業の実施状況報告等について合意しておく必要がある。 6 想定外のリスクの増大や著しい事業環境の変化等により、事業期間中に当初のリス | |||
ク分担が著しく不適切になった場合には、協定等の内容を踏まえた対応を基本としつ つ、必要に応じて業務範囲やリスク分担の見直し等に関する協議を行うことが望まし い。その際には、入札手続きの公平性・透明性・競争性を害しないことに留意するこ | |||
と。なお、あらかじめ協定等において、業務範囲やリスク分担の見直し等に関する協議 | |||
に係る規定を設けておくことも考えられる。 |
契約に関するガイドライン
-PFI 事業契約における留意事項についてー
2-2-9 不可抗力による損害(設計、建設段階)
1.概要
・施設の設計、建設段階において、不可抗力の発生により、PFI事業契約等に従った設計、建設業務の履行が不能になった場合の規定である。不可抗力事由の発生時における債務の取扱い、履行不能発生時の選定事業者による管理者等への通知等の手続き、不可抗力に起因する損害等の分担、施設の引渡し(又は運営開始)予定日の変更などについて規定される。
2.不可抗力の定義の考え方
・不可抗力とは、協定等の当事者の行為とは無関係に外部から生じる障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止し得ないものと考えられる。管理者等及び選定事業者のいずれの責めにも帰しがたい天災等、具体的には、暴風、豪雨、洪水、高潮、地滑り、落盤、落雷、地震、火災、有毒ガスの発生等の自然災害に属するものと、騒乱、暴動、戦争、テロ行為等の人為災害に属するものとに分類できる。最終的には当事 者間の合意するところに委ねられるが存在するが、疫病や感染症等、これら以外の事由についても不可抗力事由に含まれうるのであり、そのような事由についても不可抗力となる基準を明確にした上で、PFI事業契約等で定めておくことが望ましい。なお、PFI事業契約等の中で不可抗力事由を定めている場合でも、具体的状況下で不可抗力と判断されるかについては、通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止しえないものか、管理者等及び選定事業者の協定等の内容、協議内容、国や自治体等が示す指針等の内容、社会状況等を考慮して個別具体的に判断することが必要である(参考:リス
クガイドライン二6(1))。(関連:5-3 不可抗力等の場合の解除権等)
3.不可抗力発生時の手続き等
・管理者等は選定事業者から履行不能通知の受領後、速やかに当該不可抗力による損害
状況の確認のための調査を行い、その結果を選定事業者に通知する義務が規定される。また、管理者等は、設計や建設工事等の内容の変更、引渡し(又は運営開始)の遅延、当該
・不可抗力事由の発生により、PFI事業契約等に従った設計又は建設工事業務の全部又は一部の履行が不能となった場合、選定事業者はその履行不能の内容の詳細及びその理由について書面をもって直ちに管理者等に通知することが規定される。選定事業者は、この履行不能通知の発出後、履行不能状況が継続する期間中、選定事業者の履行期日におけるPFI事業契約等に基づく自己の債務について当該不可抗力による影響を受ける範囲において業務履行義務が免除される。ただし、選定事業者は損害を最小限にする義務を負う。
不可抗力事由による合理的な損害又は増加費用の分担等対応方法につき選定事業者と協議を行うことが規定される。なお、必ずしも不可抗力事由に該当するか明らかでない状況 の場合にも、損害や増加費用の分担等の対応方法について適切な協議が実施されるよう | ||
定めておくことが望ましい。 | ||
・上述の当事者間による協議において一定期間以内に合意が成立しない場合、管理者等は、事業継続に向けた対応方法を選定事業者に通知し、選定事業者は、かかる対応方法に従い選定事業を継続する義務を負うことが規定される。また、選定事業者の履行不能の状態が永続的なものと判断されるとき又は選定事業の継続に過分の費用を要するときなどには、管理者等は、選定事業者と事業の継続の是非について協議の上、PFI事業契約の一部又は全部を解除できることが規定される。なお、管理者等と選定事業者の当事者双方が解除権を有する契約構成とすることも考えられる。 4.不可抗力による損害等の分担 ・設計、建設段階に、不可抗力の発生により施設及び仮設物、工事現場に搬入済みの工事材料、その他建設機械器具等に対し損害が生じた場合、選定事業者に不可抗力等による損害を最小限にとどめる経済的動機付けを与えるため、生じた損害又は増加費用の一部を選定事業者が負担することとし、その余を管理者等が負担する規定を置くことが通例である。例えば、同期間中の累計で建設工事費に相当する金額に一定比率を乗じた額に至るまでの額、又は一定金額に至るまでの額を選定事業者の負担とし、これを超過する部分については、「合理的な範囲」で管理者等が負担すると規定されることが考えられる。選定事業者の負担割合の検討にあたっては、選定事業者がより多くの不可抗力の損害金を負担することとした場合、不可抗力のリスクを適正に定量化できないこと及び保険技術上の制約から、選定事業者が不可抗力のリスクを負担するための費用が過大となり、結果として、かかる費用が契約金額に転嫁される結果ともなり得ることに留意する必要がある。なお、選定事業者が善良なる管理者としての注意義務を怠ったことに起因する損害等については、選定事業者が負担するものと規定される。 ・ここでの損害の範囲について検討が必要である。具体的には、基本的に物件以外の損害の範囲を積極損害(も含まれると考えられるが、施設、仮設物等のみを対象とした損害) のみとするか、あるいはこれらに関連する選定事業者の損害と増加費用一般や逸失利益まで含むか、という点を等については、当事者間で明確にするしておくことが望ましい。 ・建設工事費に相当する額に一定比率を乗じた額又は一定金額を超過する部分について、 「合理的な範囲」で管理者等が不可抗力による損害又は増加費用を負担する旨規定されることが通例である。この場合、この一定比率を乗じた額又は一定金額を超過する部分についても選定事業者が不可抗力による損害等を負担することが想定され、かかる負担についてできる限り具体的に規定することも考えられる。 ・従来型の公共工事の請負契約においては、請負代金額の100分の1を超える部分を |
・管理者等が損害等を分担する場合には、損害等を裏付ける資料に基づいて、どの程度損 害等が発生したか厳密に認定することが必要になることも考えられる。そのため、どのような資料に基づいて損害を認定するかについてPFI事業契約の締結前にあらかじめ協議を行っておくことが望ましく、必要に応じてそれをPFI事業契約等で定めておくこ
とも考えられる。
発注者が負うことにより請負者の負担を軽減している(標準約款第30条第4項)。かかる規定は、不可抗力による損害の負担をすべて請負者に帰するのではなく、何らかの形で発注者が負担しているという実態をも考慮し、請負契約における片務性の排除、建設業の健全な発達の促進をも考慮して、損害の負担を転嫁している。
5.引渡し(又は運営開始)予定日の変更
・上記の損害の範囲と関連する問題として、不可抗力に起因する損害負担とあわせて、引渡し(又は運営開始)予定日の延期について検討が必要である点に留意が必要である。対応の選択肢としては、当初設定した引渡し(又は運営開始)予定日は変更せず、その引渡し(又は運営開始)予定日までに施設を完成させることを前提とした損害額(増加費用等を含む)を負担の基礎とするというものと、逆に合理的な期間、引渡し(又は運営開始)予定日を延期した上で、それを前提とした損害額(積極損害のみ)を負担の基礎とする、というものが考えられる。一定の期日までに施設の運営が開始されることを重視するならば、前者が選択されることになる。この場合、負担の基礎となる損害額は相対的に大きくなることが一般に予想される。これに対し、後者を選択した場合、引渡し(又は運営開始)予定日が当初より遅れる以上、当然に「サービス対価」の支払開始も遅れることになる。従って、この「サービス対価」の支払開始の遅延が選定事業者による融資返済に与える影響、ひいては、管理者等の負担に与える影響について留意する必要がある。
・上記に関し、引渡し(又は運営開始)予定日を延期した場合、それに伴って維持・管理、運営期間の終期も同様に延期するのか、あるいは維持・管理、運営期間の終期は変更せず、維持・管理、運営期間を短縮することとするのか、という問題について検討を要する。前者を選択した場合、維持・管理、運営期間は変わらないが、「サービス対価」の支払が全体として遅くなり、後者の場合には、維持・管理、運営期間の短縮の結果、選定事業者が失うことになる「サービス対価」をどのように考えるかについて検討を要する。(関連:
1-4 事業日程)
6.保険金の不可抗力による損害等の分担額からの控除
・不可抗力に起因して損害が生じたことにより選定事業者が施設の保全に関する保険の保険金を受領した場合で、当該保険金の額が選定事業者の負担する損害等の額を超えるときには、当該超過額は管理者等が負担すべき損害等の金額から控除するものとする規定を置くことが通例である。
3-6 不可抗力による損害(維持・管理、運営段階)
1.概要
・施設の維持・管理、運営段階において、不可抗力の発生により、PFI事業契約等に従った維持・管理、運営業務の履行が不能になった場合の規定である。不可抗力事由の発生時における債務の取扱い、履行不能発生時の選定事業者による管理者等への通知等の手続き、不可抗力に起因する損害等の分担などが規定される。
2.趣旨
・維持・管理、運営期間中における天災等による施設の滅失等の不可抗力事由による損害は、管理者等と選定事業者の間でその損害負担につき紛争が生じやすい事項であり、あらかじめ損害が発生した場合の負担方法につき規定が設けられる(関連: 2-2-9 不可抗力による損害(設計、建設段階))。
・「管理者等及び選定事業者のいずれの責めにも帰しがたい天災等の不可抗力事由によって、(中略)維持管理・運営段階における施設の損傷が生じ、(中略)必要となる費用が約定金額を超過することが起こるなど、(中略)維持管理・運営のいずれの段階においても、選定事業の実施に影響を与えることがあることから、その場合の追加的支出の分担のあり方(中略)についてあらかじめ検討し」(リスクガイドライン二6(1))、できる限り曖昧さを避け、具体的かつ明確に規定する必要がある。(関連:2-2-9 不可抗力による損害(設計、建設段階))
3.不可抗力発生時の手続き等
・不可抗力事由の発生により、PFI事業契約等に従った維持・管理業務又は運営業務の一部又は全部の履行が不能となった場合、選定事業者は、その履行不能の内容の詳細及びその理由について書面をもって直ちに管理者等に通知することが規定される。選定事業者は、この履行不能通知の発出後、履行不能状況が継続する期間中、選定事業者の履行期日におけるPFI事業契約に基づく自己の債務について当該不可抗力による影響を受ける範囲において業務履行義務が免除される。ただし、選定事業者は、損害を最小限にする義務を負う。
・管理者等は、業務履行不能の状態が存続している間、選定事業者が業務を履行できなかったことによって免れた費用を控除して選定事業者が実際に行ったその他の業務の内容に応じた支払いを行う旨規定されることが考えられる。
・管理者等は選定事業者から履行不能通知の受領後、速やかに当該不可抗力による損害状況の確認のための調査を行い、その結果を選定事業者に通知する義務が規定される。また、管理者等は、業務内容の変更、当該不可抗力事由による合理的な損害又は増加費用の分担等対応方法につき選定事業者と協議を行うことが規定される。
・上述の当事者間による協議において一定期間以内に合意が成立しない場合、管理者等は、事業継続に向けた対応方法を選定事業者に通知し、選定事業者は、この対応方法に従
い選定事業を継続する義務を負う。また、選定事業者の履行不能が永続的であると判断されるとき又は選定事業の継続に過分の費用を要するときには、管理者等は、選定事業者と協議の上、PFI事業契約の一部又は全部を解除できることとなる。なお、管理者等と選定事業者の当事者双方が解除権を有する契約構成とすることも考えられる。 4.不可抗力による損害の分担 ・維持・管理、運営期間中に、不可抗力事由の発生による損害が生じた場合、選定事業者に対し不可抗力による損害を最小限にとどめる経済的動機付けを与える必要がある。そこで、不可抗力に起因する選定事業者の損害又は増加費用のうちの一部を選定事業者が負担し、それを超過する部分について、合理的な範囲で、管理者等が負担する規定を置くことが通例である。選定事業者の負担する損害等の額としては、 1)維持・管理、運営期間中の累計で、維持・管理、運営期間中の維持・管理費及び運営費の総額に相当する額に一定の比率を乗じた額に至るまでの損害等の額 2)一事業年度中に生じた不可抗力に起因する損害金の累計で、一事業年度の維持・管理及び運営費に相当する金額に一定の比率を乗じた額に至るまでの損害等の額 3)定額 等が考えられる。 ・ただし、選定事業者が善良なる管理者としての注意義務を怠ったことに起因する損害については、選定事業者が負担することが規定される。 ・ここでの損害の範囲については、基本的に物件以外の損害等も含まれると考えられる が、増加費用一般や逸失利益まで含むか等については、当事者間で明確にしておくことが | |||
望ましい。 | |||
・管理者等が損害等を分担する場合には、損害等を裏付ける資料に基づいて、どの程度損害等が発生したか厳密に認定することが必要になることも考えられる。そのため、どのよ うな資料に基づいて損害を認定するかについてPFI事業契約の締結前にあらかじめ協 議を行っておくことが望ましく、必要に応じてそれをPFI事業契約等で定めておくこ | |||
とも考えられる。 |
5-3 不可抗力等による解除権等
1.概要
・不可抗力や法令変更など当事者に帰責性のない事由により選定事業者による業務の全て又は一部の履行が不能となった場合、当事者間の協議の上、管理者等は契約の全部又は一部を解除することができる旨規定される。
2.不可抗力又は法令変更による解除権の行使
・不可抗力の定義の考え方については「2-2-9 不可抗力による損害(設計、建設段階)」参照。
・不可抗力又は法令変更により、PFI事業契約等に従った建設工事業務、維持・管理業務又は運営業務の履行が不能になった場合、あらかじめ設定された業務要求水準を満たすために必要な人員若しくは器具等を追加する費用負担、業務要求水準若しくはPF I事業契約等の変更が必要な事項について、当事者間で一定の協議期間を設けて協議を行うことが規定される。
・一定の協議期間以内に、かかる協議について合意が成立しない場合、管理者等は不可抗力又は法令変更に対する対応方法を選定事業者に対して通知し、選定事業者がこれに従い選定事業を継続させるものとする。ただし、選定事業の履行不能が永続的なものと判断される場合、又は選定事業の継続に過分の費用を要する場合など、選定事業の継続に経済合理性のない事態も想定されることから、こうした場合には管理者等は、相手方当事者の選定事業者と協議の上、PFI事業契約の一部又は全部を解除することが可能である旨規定される。
・なお、不可抗力等によるPFI事業契約の一部又は全部解除権を、一方の当事者たる管理者等のみが有する契約構成とするか、当事者双方が有する契約構成とするか、については検討を要する点である。(関連:2-2-9 不可抗力による損害(設計、建設段階)、3-6 不可抗力による損害(維持・管理、運営段階)
・不可抗力によるPFI事業契約の解除の効力については、管理者等が施設を買い受けることとし、かかる対価とその他選定事業者に生じる合理的費用を負担することが考えられる。その他合理的費用については、選定事業者が開業に要した費用及び解散に要した費用があげられる。
・事業用地の瑕疵及び埋蔵文化財の発見等により選定事業者の業務の履行が不能となった場合についても不可抗力等により業務の履行が不能となった場合と同様の措置がとられることと規定する場合が多い。
3.不可抗力又は法令変更による義務履行の免除と「サービス対価」の支払
・不可抗力又は法令変更により選定事業者による義務の全部又は一部が履行不能となった場合、選定事業者は、管理者等に対し不可抗力又は法令変更による履行不能の内容の詳細及びその理由についての通知を発した後、履行不能の状態が継続し協議が整うまでの間、履行期日における、当該不可抗力による影響を受ける範囲において又は適用法令に違反する範囲において、その履行義務が免除される。併せて、管理者等は、選定事業者が業務を履行できないことによって免れた費用を控除し選定事業者が実際に行ったその他の業務の内容に応じた支払いを行うことが通例である。(関連:6-5 保険加入義務)
4.不可抗力による損害等の分担
・選定事業者により不可抗力の発生による履行不能通知の発出後、管理者等が選定事業を継続することを判断し、かつ、一定の期間以内において、当該不可抗力による損害又は増加費用の負担等対応方法について上述の当事者間協議が合意に達しない場合、あら
知し、選定事業者はこれに従う旨規定される。(関連:2-2-9 不可抗力による損害
(設計・建設段階)及び3-6 不可抗力による損害(維持・管理、運営段階))
・管理者等が損害等を分担する場合には、損害等を裏付ける資料に基づいて、どの程度 損害等が発生したか厳密に認定することが必要になることも考えられる。そのため、どのような資料に基づいて損害を認定するかについてPFI事業契約の締結前にあらかじ
め協議を行っておくことが望ましく、必要に応じてそれをPFI事業契約等で定めてお
かじめ定められた損害等の負担割合等対応方法によることを管理者等が選定事業者に通
くことも考えられる(関連:2-2-9 不可抗力による損害(設計・建設段階)及び
3-6 不可抗力による損害(維持・管理、運営段階))。
5.法令変更による増加費用の分担
・選定事業者により法令変更による履行不能通知の発出後、管理者等が選定事業を継続することを判断し、かつ、一定の期間以内において、当該法令変更による増加費用の分担等対応方法について上述の当事者間協議が合意に達しない場合、あらかじめ定められた増加費用の負担割合等対応方法によることを管理者等が選定事業者に通知し、選定事業者はこれに従う旨規定される。
・法令変更に対応するための増加費用の負担については、当該選定事業に直接関係する法令をあらかじめ特定し、これら法令の変更に基づく増加費用は管理者等の負担とし、あらかじめ特定された法令以外の広く民間企業一般に影響を与える法令の変更に基づく増加費用は選定事業者の負担とすることが通例である。ただし、民間企業においては、法令変更による事業の増加費用を、自己の裁量において、当該事業分野から撤退すること等により回避することができるものの、PFI事業契約上の公共サービスの提供という選定事業者の義務の特異性から、一般の企業活動に比べて選定事業者の裁量が一定程度狭くなる場合もあることに配慮することも考えられる。
・また、税制の変更に起因する増加費用の負担割合については、「サービス対価」の外税とした消費税率の変更による増加費用を管理者等の負担とすることが通例である。加えて、資産所有にかかる税率の変更及び新税設立による増加費用を管理者等の負担とすることもあり得る。なお、法人税率の変更等、選定事業者の利益に課される税制度の変更による増加費用は、選定事業者の負担とすることが通例である。
6.法令変更による費用低減の享受
・法令変更により、選定事業者がより低い費用負担でもって当初に定めた業務要求水準の設計・建設工事業務、維持・管理業務及び運営業務を実施することが可能となった場合に、管理者等が、選定事業者と協議の上、「サービス対価」を減じる改定を求める旨規定を置くことが考えられる。いずれにしても、法令変更により費用が低減した場合、この便益をいずれの方法によってどのように分配するかについて、当事者間で協議することが必要となる。
6-2 選定事業者の株式の譲渡
1.概要
・コンソーシアム構成企業による選定事業者の株式の譲渡に関して規定される。具体的には、譲渡可能な期間又は譲渡を認めない期間、譲渡を認める株式の割合、譲渡先として認められる条件又は認められない条件等が規定される。
2.株式の譲渡に関する考え方
(1)基本的な考え方
・これまでのPFI事業においては、コンソーシアム構成企業が選定事業者(SPC)の株主であり、かつ、選定事業の受託者・請負者となることが求められることが多かった。今後、事業の多様化、大規模化が見込まれる中、公共サービス水準の維持を前提として、株主責任と運営責任を異なる者が担う等の責任の分担は、PFI事業の担い手の拡大、競争性の拡大、インフラ市場の活性化に資するものであり、管理者等及び事業者双方にとって有益であると考えられる。
・コンソーシアムの提案内容並びにコンソーシアム構成企業及び受託・請負会社の履行能力が評価され落札者となり、当該コンソーシアムにより設立されたSPCが当該提案内容に適合した履行能力を有する者として選定事業者とされることに鑑みれば、事業期間中、選定事業者が事業者選定の前提とされた履行能力と同等の履行能力を有することを担保する必要があるが、その手段は、必ずしも株式譲渡等の制約による必要はなく、事業期間を通じ一律に、コンソーシアム構成企業が選定事業者(SPC)の株主となる必要があるわけではない。例えば、施設等の建設を伴う選定事業において、コンソーシアム構成企業に当該建設を行う建設会社が含まれる場合においては、当該施設等の建設後一定期間を経過した後は、当該建設会社は保有SPCの株式の譲渡を行うことができる旨、PFI事業契約等に明記することも考えられる。
(2)具体的な手続等
・事業者選定の前提とされた履行能力と同等の履行能力を確保するための手段や条件 は、一律ではなく、各事業の事業類型、事業内容、事業段階により、異なるものと考えられ、これを踏まえ、株式譲渡の条件の有無やその詳細について、管理者等が判断すべきである。
・管理者等の判断により、株式譲渡に条件を付す場合は、株式譲渡に関する方針、譲渡可能な期間又は譲渡を認めない期間、譲渡を認める株式の割合、譲渡先に係る条件等について、あらかじめ実施方針、入札説明書又は募集要項等、各段階に応じて可能な範囲で明記する。その際には、各事業者の選定事業において果たすべき役割に応じ、適切な事業実施を図る上で必要最小限の条件を明確にすることが望ましい。
・また、施設建設を伴う選定事業などにおいて、施設建設を終えた建設会社から運営を 担う会社へ、事業の進捗に応じた株式譲渡が考えられる場合には、事業者選定や契約締結等の前にその可能性を管理者等へ申し出ることによって手続きがスムーズに行われる と考えられ、必要に応じて株式譲渡にかかる手続きをPFI事業契約等に明記しておく | ||
ことも考えられる。 | ||
・無議決権株式の発行及びその予定がある旨を定款に定めている場合、無議決権株式については、例えば、譲渡については特段の手続は不要とすることや特段の条件は付さないことも考えられる。 ・発行された新株予約権付社債の行使により債権者が選定事業者の株式を有する可能性がある場合、株式譲渡の場合と同様の要件を満たす必要があることに留意が必要であ る。例えば、選定事業者が選択した借入れ手段により、金融機関の担保権実行による選定事業者への一定の介入権の行使(ステップイン)による新たな株主への株式譲渡や発行された新株予約権付社債の行使を経て、債権者が選定事業者の株式を有する可能性があるときは、株式譲渡と同様の要件を満たす必要がある。 ・事業期間中、株式譲渡に関する規定の運用について、譲渡先がネガティブリストに該当しない場合や、譲渡が許容される範囲内のものである場合は、事前承認とすることなく、例えば譲渡後の届出等とすることも考えられる。 ・管理者等は、施設等の利用者、事業者等の関係者の利益に配慮しつつ、適切かつ円滑に株式の譲渡が行われるように配慮する。また、株式譲渡による資金面でのPFIの担い手の拡大、インフラ市場の活性化に配慮しつつ、今後とも、管理者等は、要求水準の明確な提示、選定事業者に対するモニタリングの強化、選定事業者の帰責による要求水準未達成の際の契約解除条項の設置等により、公共サービス水準及び事業の継続性の確保、適切な利益収受の水準の確保等に留意することが必要である。 ・なお、株式譲渡に伴い、履行保証保険(関連:6-5 履行保証)、契約保証等の各種履行保証措置について、連帯保証人の変更等の所要の措置をあらかじめ講じる必要がある場合もある。例えば、選定事業者(SPC)の株主が履行保証保険等の保証人となっている場合については、株式譲渡に伴い、新たな株主が既存の株主と同等の履行保証能力を有している必要があり、当該株式譲渡に伴う所要の手続を行うことが必要であ る。 |
6-9 不可抗力による損害への対応(再掲)
1.不可抗力の定義の考え方
・不可抗力とは、協定等の当事者の行為とは無関係に外部から生じる障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止し得ないものと考えられる。管理者等及び選定事業者のいずれの責めにも帰しがたい天災等、具体的には、暴風、豪雨、洪
水、高潮、地滑り、落盤、落雷、地震、火災、有毒ガスの発生等の自然災害に属するも
のと、騒乱、暴動、戦争、テロ行為等の人為災害に属するものとに分類できる。最終的 には当事者間の合意するところに委ねられるが存在するが、疫病や感染症等、これら以外の事由についても不可抗力事由に含まれうるのであり、そのような事由についても不可抗力となる基準を明確にした上で、PFI事業契約等で定めておくことが望ましい。なお、PFI事業契約等の中で不可抗力事由を定めている場合でも、具体的状況下で不可抗力と判断されるかについては、通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止しえないものか、管理者等及び選定事業者の協定等の内容、協議内容、国や自 治体等が示す指針等の内容、社会状況等を考慮して個別具体的に判断することが必要で | ||
ある(参考:リスクガイドライン二6(1))。 | ||
2.概要(設計、建設段階) ・施設の設計、建設段階において、不可抗力の発生により、PFI事業契約等に従った設計、建設業務の履行が不能になった場合の規定である。不可抗力事由の発生時における債務の取扱い、履行不能発生時の選定事業者による管理者等への通知等の手続き、不可抗力に起因する損害等の分担、施設の引渡し(又は運営開始)予定日の変更などについて規定される。 (1)不可抗力発生時の手続き等 ・不可抗力事由の発生により、PFI事業契約等に従った設計又は建設工事業務の全部又は一部の履行が不能となった場合、選定事業者はその履行不能の内容の詳細及びその理由について書面をもって直ちに管理者等に通知することが規定される。選定事業者 は、この履行不能通知の発出後、履行不能状況が継続する期間中、選定事業者の履行期日におけるPFI事業契約等に基づく自己の債務について当該不可抗力による影響を受ける範囲において業務履行義務が免除される。ただし、選定事業者は損害を最小限にする義務を負う。 ・管理者等は選定事業者から履行不能通知の受領後、速やかに当該不可抗力による損害状況の確認のための調査を行い、その結果を選定事業者に通知する義務が規定される。また、管理者等は、設計や建設工事等の内容の変更、引渡し(又は運営開始)の遅延、当該不可抗力事由による合理的な損害又は増加費用の分担等対応方法につき選定事業者と協議を行うことが規定される。なお、必ずしも不可抗力事由に該当するか明らかでな い状況の場合にも、損害や増加費用の分担等対応方法について適切な協議が実施されるよう定めておくことが望ましい。 ・上述の当事者間による協議において一定期間以内に合意が成立しない場合、管理者等は、事業継続に向けた対応方法を選定事業者に通知し、選定事業者は、かかる対応方法に従い選定事業を継続する義務を負うことが規定される。また、選定事業者の履行不能の状態が永続的なものと判断されるとき又は選定事業の継続に過分の費用を要するとき などには、管理者等は、選定事業者と事業の継続の是非について協議の上、PFI事業 |
契約の一部又は全部を解除できることが規定される。なお、管理者等と選定事業者の当事者双方が解除権を有する契約構成とすることも考えられる。 (2)不可抗力による損害等の分担 ・設計、建設段階に、不可抗力の発生により施設及び仮設物、工事現場に搬入済みの工事材料、その他建設機械器具等に対し損害が生じた場合、選定事業者に不可抗力等による損害を最小限にとどめる経済的動機付けを与えるため、生じた損害又は増加費用の一部を選定事業者が負担することとし、その余を管理者等が負担する規定を置くことが通例である。例えば、同期間中の累計で建設工事費に相当する金額に一定比率を乗じた額に至るまでの額、又は一定金額に至るまでの額を選定事業者の負担とし、これを超過する部分については、「合理的な範囲」で管理者等が負担すると規定されることが考えられる。選定事業者の負担割合の検討にあたっては、選定事業者がより多くの不可抗力の損害金を負担することとした場合、不可抗力のリスクを適正に定量化できないこと及び保険技術上の制約から、選定事業者が不可抗力のリスクを負担するための費用が過大となり、結果として、かかる費用が契約金額に転嫁される結果ともなり得ることに留意する必要がある。なお、選定事業者が善良なる管理者としての注意義務を怠ったことに起因する損害等については、選定事業者が負担するものと規定される。 ・ここでの損害の範囲について検討が必要である。具体的には、基本的に物件以外の損害の範囲を積極損害(も含まれると考えられるが、施設、仮設物等のみを対象とした損 害)のみとするか、あるいはこれらに関連する選定事業者の損害と増加費用一般や逸失利益等まで含むか、という点を等については、当事者間で明確にするしておくことが望ましい。 ・建設工事費に相当する額に一定比率を乗じた額又は一定金額を超過する部分につい て、「合理的な範囲」で管理者等が不可抗力による損害又は増加費用を負担する旨規定されることが通例である。この場合、この一定比率を乗じた額又は一定金額を超過する部分についても選定事業者が不可抗力による損害等を負担することが想定され、かかる負担についてできる限り具体的に規定することも考えられる。 ・従来型の公共工事の請負契約においては、請負代金額の100分の1を超える部分を発注者が負うことにより請負者の負担を軽減している(標準約款第30条第4項)。かかる規定は、不可抗力による損害の負担をすべて請負者に帰するのではなく、何らかの形で発注者が負担しているという実態をも考慮し、請負契約における片務性の排除、建設業の健全な発達の促進をも考慮して、損害の負担を転嫁している。 ・管理者等が損害等を分担する場合には、損害等を裏付ける資料に基づいて、どの程度 損害等が発生したか厳密に認定することが必要になることも考えられる。そのため、どのような資料に基づいて損害を認定するかについてPFI事業契約の締結前にあらかじ め協議を行っておくことが望ましく、必要に応じてそれをPFI事業契約等で定めてお | ||
くことも考えられる。 |
(3)引渡し(又は運営開始)予定日の変更
・上記の損害の範囲と関連する問題として、不可抗力に起因する損害負担とあわせて、引渡し(又は運営開始)予定日の延期について検討が必要である点に留意が必要であ る。対応の選択肢としては、当初設定した引渡し(又は運営開始)予定日は変更せず、その引渡し(又は運営開始)予定日までに施設を完成させることを前提とした損害額
(増加費用等を含む)を負担の基礎とするというものと、逆に合理的な期間引渡し(又は運営開始)予定日を延期した上で、それを前提とした損害額(積極損害のみ)を負担の基礎とする、というものが考えられる。一定の期日までに施設の運営が開始されることを重視するならば、前者が選択されることになる。この場合、負担の基礎となる損害額は相対的に大きくなることが一般に予想される。これに対し、後者を選択した場合、引渡し(又は運営開始)予定日が当初より遅れる以上、当然に「サービス対価」の支払開始も遅れることになる。従って、この「サービス対価」の支払開始の遅延が選定事業者による融資返済に与える影響、ひいては、管理者等の負担に与える影響について留意する必要がある。
・上記に関し、引渡し(又は運営開始)予定日を延期した場合、それに伴って維持・管理、運営期間の終期も同様に延期するのか、あるいは維持・管理、運営期間の終期は変更せず、維持・管理、運営期間を短縮することとするのか、という問題について検討を要する。前者を選択した場合、維持・管理、運営の期間は変わらないが、「サービス対価」の支払が全体として遅くなり、後者の場合には、維持・管理、運営期間の短縮の結果、選定事業者が失うことになる「サービス対価」をどのように考えるかについて検討を要する。(関連:1-4 事業日程)
(4)保険金の不可抗力による損害等の分担額からの控除
・不可抗力に起因して損害が生じたことにより選定事業者が施設の保全に関する保険の保険金を受領した場合で、当該保険金の額が選定事業者の負担する損害等の額を超えるときには、当該超過額は管理者等が負担すべき損害等の金額から控除するものとする規定を置くことが通例である。
3.概要(維持・管理、運営段階)
・施設の維持・管理、運営段階において、不可抗力の発生により、PFI事業契約等に従った維持・管理、運営業務の履行が不能になった場合の規定である。不可抗力事由の発生時における債務の取扱い、履行不能発生時の選定事業者による管理者等への通知等の手続き、不可抗力に起因する損害等の分担などが規定される。
(1)不可抗力発生時の手続き等
・不可抗力事由の発生により、PFI事業契約等に従った維持・管理業務又は運営業務の一部又は全部の履行が不能となった場合、選定事業者は、その履行不能の内容の詳細及びその理由について書面をもって直ちに管理者等に通知することが規定される。選定事業者は、この履行不能通知の発出後、履行不能状況が継続する期間中、選定事業者の
履行期日におけるPFI事業契約に基づく自己の債務について当該不可抗力による影響を受ける範囲において業務履行義務が免除される。ただし、選定事業者は、損害を最小限にする義務を負う。 ・管理者等は、業務履行不能の状態が存続している間、選定事業者が業務を履行できなかったことによって免れた費用を控除して選定事業者が実際に行ったその他の業務の内容に応じた支払いを行う旨規定されることが考えられる。 ・管理者等は選定事業者から履行不能通知の受領後、速やかに当該不可抗力による損害状況の確認のための調査を行い、その結果を選定事業者に通知する義務が規定される。また、管理者等は、業務内容の変更、当該不可抗力事由による合理的な損害又は増加費用の分担等対応方法につき選定事業者と協議を行うことが規定される。 ・上述の当事者間による協議において一定期間以内に合意が成立しない場合、管理者等は、事業継続に向けた対応方法を選定事業者に通知し、選定事業者は、この対応方法に従い選定事業を継続する義務を負う。また、選定事業者の履行不能が永続的であると判断されるとき又は選定事業の継続に過分の費用を要するときには、管理者等は、選定事業者と協議の上、PFI事業契約の一部又は全部解除できることとなる。なお、管理者等と選定事業者の当事者双方が解除権を有する契約構成とすることも考えられる。 (2)不可抗力による損害等の分担 ・維持・管理、運営期間中に、不可抗力事由の発生による損害が生じた場合、選定事業者に対し不可抗力による損害を最小限にとどめる経済的動機付けを与える必要がある。そこで、不可抗力に起因する選定事業者の損害又は増加費用のうちの一部を選定事業者が負担し、それを超過する部分について、合理的な範囲で、管理者等が負担する規定を置くことが通例である。選定事業者の負担する損害等の額としては、 1)維持・管理、運営期間中の累計で、維持・管理、運営期間中の維持・管理費及び運営費の総額に相当する額に一定の比率を乗じた額に至るまでの損害等の額 2)一事業年度中に生じた不可抗力に起因する損害金の累計で、一事業年度の維持・管理費及び運営費に相当する金額に一定の比率を乗じた額に至るまでの損害等の額 3)定額 等が考えられる。 ・ただし、選定事業者が善良なる管理者としての注意義務を怠ったことに起因する損害については、選定事業者が負担することが規定される。 ・ここでの損害の範囲については、基本的に物件以外の損害等も含まれると考えられる が、増加費用一般や逸失利益まで含むか等については、当事者間で明確にしておくこと | |||
が望ましい。 | |||
・管理者等が損害等を分担する場合には、損害等を裏付ける資料に基づいて、どの程度損害等が発生したか厳密に認定することが必要になることも考えられる。そのため、ど のような資料に基づいて損害を認定するかについてPFI事業契約の締結前にあらかじ |
め協議を行っておくことが望ましく、必要に応じてそれをPFI事業契約等で定めてお | ||
くことも考えられる。 | ||
4.概要(不可抗力による解除権の行使) ・不可抗力により選定事業者による業務の全て又は一部の履行が不能となった場合、当事者間の協議の上、管理者等は契約の全部又は一部を解除することができる旨規定される。 (1)不可抗力の発生による解除権の行使 ・不可抗力により、PFI事業契約等に従った建設工事業務、維持・管理業務又は運営業務の履行が不能になった場合、あらかじめ設定された業務要求水準を満たすために必要な人員若しくは器具等を追加する費用負担、業務要求水準若しくはPFI事業契約等の変更が必要な事項について、当事者間で一定の協議期間を設けて協議を行うことが規定される。 ・一定の協議期間以内に、かかる協議について合意が成立しない場合、管理者等は不可抗力に対する対応方法を選定事業者に対して通知し、選定事業者がこれに従い選定事業を継続させるものとする。ただし、選定事業の履行不能が永続的なものと判断される場合、又は選定事業の継続に過分の費用を要する場合など、選定事業の継続に経済合理性のない事態も想定されることから、こうした場合には管理者等は、相手方当事者の選定事業者と協議の上、PFI事業契約の一部又は全部を解除することが可能である旨規定される。 ・なお、不可抗力等によるPFI事業契約の一部又は全部解除権を、一方の当事者たる管理者等のみが有する契約構成とするか、当事者双方が有する契約構成とするか、については検討を要する点である。 ・不可抗力によるPFI事業契約の解除の効力については、管理者等が施設を買い受けることとし、かかる対価とその他選定事業者に生じる合理的費用を負担することが考えられる。その他合理的費用については、選定事業者が開業に要した費用及び解散に要した費用があげられる。 (2)不可抗力による義務履行の免除と「サービス対価」の支払 ・不可抗力により選定事業者による義務の全部又は一部が履行不能となった場合、選定事業者は、管理者等に対し不可抗力による履行不能の内容の詳細及びその理由についての通知を発した後、履行不能の状態が継続し協議が整うまでの間、履行期日における、当該不可抗力による影響を受ける範囲において、その履行義務が免除される。併せて、管理者等は、選定事業者が業務を履行できないことによって免れた費用を控除し選定事業者が実際に行ったその他の業務の内容に応じた支払いを行うことが通例である。 (3)不可抗力による損害等の分担 ・選定事業者により不可抗力の発生による履行不能通知の発出後、管理者等が選定事業を継続することを判断し、かつ、一定の期間以内において、当該不可抗力による損害又 |
は増加費用の負担等対応方法について上述の当事者間協議が合意に達しない場合、あらかじめ定められた損害等の負担割合等対応方法によることを管理者等が選定事業者に通知し、選定事業者はこれに従う旨規定される。 ・管理者等が損害等を分担する場合には、損害等を裏付ける資料に基づいて、どの程度 損害等が発生したか厳密に認定することが必要になることも考えられる。そのため、どのような資料に基づいて損害を認定するかについてPFI事業契約の締結前にあらかじ め協議を行っておくことが望ましく、必要に応じてそれをPFI事業契約等で定めてお | ||
くことも考えられる。 |
公共施設等運営権及び
公共施設等運営事業に関するガイドライン
4 リスク分担
4-1 リスク分担
1.ポイント
官民間のリスク分担について、運営事業に関して特に留意する事項はあるか。
2.留意事項
(2)需要リスクについては、事業毎にその性質・内容やリスクの要因が異なることから、事業に応じて設定する。この場合、事業者の選定プロセスにおいて、民間の負担内
容を評価することも考えられる。また、需要減だけではなく需要増の場合の対応につい
(1)実施契約は、運営事業に係る責任とリスクの分担その他実施契約の当事者の権利義務を取り決めるものであり、また、リスク分担の内容が運営権に係る契約当事者に求められる金銭の負担額にも影響を与えるものであるため、できる限りあいまいさを避 け、具体的かつ明確なものとする。
(※)各事業年度の収益があらかじめ規定された基準を上回った場合に、その程度に応
じて運営権者から管理者等に金銭を支払う支払い、下回った場合に、その程度に応じて
られる。
ト・ロスシェアリング条項(※)等を設けることで事業の安定性を確保することも考え
ても留意して検討する。なお、実施契約の中にプロフィットシェアリングプロフィッ
管理者等が運営権者の収益減少分を負担する条項。
(4)不可抗力リスクについては、事業の特性に応じて官民間で協議し、そのリスクを分析した上で適切なリスク分担を図る。なお、保険でカバーできる範囲については、民間事業者の負担範囲とすることが考えられる。考えられ、運営権者に生じた増加費用又
は損害を回収する手段としてあらかじめ事業期間の合意延長を定めておくことなども考
(3)既存施設の瑕疵リスクについては、瑕疵が通常の注意では発見できないものであることを踏まえ、既存資料の十分な確認や施設等を実地に確認すること等により、その最小化を図る。なお、当該瑕疵リスクについては、事業の性質等に応じて、管理者等が一定期間(瑕疵を発見するために必要な期間)責任を負うよう実施契約に規定することが望ましい(実施契約時点において予算措置は不要であり、支払い決定時までに予算措置がされていれば足りる)。また、地方公共団体においても同様の規定を実施契約に設けることが望ましい(予算措置についても同様)。その際、損害賠償の額を定める場合には地方公共団体の議会の議決が必要である(地方自治法第 96 条第1項第 13 号。ただし、地方公営企業の業務に関するものについては条例で定めるものを除き同号は適用されない(地方公営企業法第 40 条第2項))。
えられる。また、不可抗力について実施契約等で規定していても、具体的な状況下で不 可抗力該当性や収益減少分の扱いについて明確に判断できない場合があるが、上記ロス シェアリング条項により、これらの判断を回避しつつ収益が減少した場合の対応を迅速 | ||
に行うことが可能と考えられる。 | ||
(参考) 官民間のリスク分担例として、管理者等が運営権者に地震等の保険の加入を義務付け、運営権者が付保した保険によっても運営事業に係る損害を補填するに足りないときは、管理者等が運営権設定対象施設の復旧等の措置をとるとされている例がある。 (5)特に、管理者等以外の有する既存事業の引継ぎを運営権者に求める場合には、運営権者に過度のリスクを負わせて引き継がせることとならないよう配慮する必要があ る。例えば、既存事業主体の株主と管理者等との間で株式譲渡予約契約を締結し、当該契約において、既存事業主体の株主の表明・保証責任や瑕疵担保責任を規定する方法が考えられる。 (6)物価変動リスクについては、事業の特性によっては、運営権者の効率化努力等の及ばない急激な物価変動が生じることもありうるため、そのような場合に利用料金への転嫁を可能にする仕組みを定めておくことが考えられる。その際、5-1の2.(5)に留意する。 (7)一般的な法令等変更リスクについては、原則として管理者等及び運営権者との間で協議の上リスク分担を明確化する。ただし、特定の運営権者に限定して適用されることによる法令等変更や、同じ事業を行っていても公共施設等運営事業によって行われているものが他の手法によって行われているものに対して差別的な取扱いを受けることになる法令等変更が行われた場合(管理者等自身による法令等の変更でない場合も含 む。)には、管理者等による運営権者への救済措置が行われることが実施契約に規定されていることが望ましい。 なお、救済措置は以下のいずれかから選択できる(組み合わせも可)ものであることが望ましい。 ① 法令等変更により運営権者に生じる増加費用又は損害に補償金を管理者等が支払うこと。 ② あらかじめ実施契約に定められた範囲内で契約期間の合意延長を行うこと。 ③ (運営権者に利用料金の見直し権限が与えられていない場合に限り)法令等変更により運営権者に生じる増加費用又は損害を、原価として利用料金に加算することを認めること。 (8)いずれのリスクについても、「リスクを最も良く管理することができる者が当該リスクを分担する」との考え方に基づき、事業の特性や官民の双方の能力等に応じ、適 切な分担を図る。また、事前にできる限り想定されるリスクを洗い出し、その分担を決 |
めておく。その際、15-3の2.(6)や16-1の2.(2)①などに示した事項についても留意する。
(9)想定外の災害リスクの増大や著しい事業環境の変化等によって、事業期間中に当初のリスク分担が著しく不適切になった場合には、必要に応じて業務範囲やリスク分担の見直しに関する協議を行うことが望ましい。その際には、入札手続きの公平性・透明性・競争性を害しないことに留意すること。なお、実施契約の中に、業務範囲やリスク分担の見直しに関する協議に係る条項を設けることも考えられる。
(10)公益上の理由による運営権の取消しに伴う通常生ずべき損失の補償の規定は、当該規定による補償につき規定するものであり、公益上の理由による運営権の取消し以外の事由に起因するリスク分担について実施契約において定めることについて制約するものではない。
(11)なお、これらのリスクに対応するに当たり、履行保証保険等の活用が考えられる。
(12)官民間のリスク負担の内容が著しく不合理であるなど、特定事業の適正かつ確実な実施が確保されないおそれがある場合には、内閣総理大臣により、公共施設等の管
理者等に対して報告の徴収、助言、勧告がなされる可能性があることに留意する。
9 設定
9-2 指定管理者との関係
1.ポイント
指定管理者制度との関係で留意する事項はあるか。
2.留意事項
(1)PFI法に基づく実施方針に関する条例と地方自治法に基づく指定管理者の指定及び利用料金に係る条例は両法から委任を受けた一つの条例として制定することは可能である。
(2)事業契約と指定管理者の指定の議決について同一の議会において行うことができることとされており、事業契約、運営権設定の議決及び指定管理者の指定の議決についても同様に同一の議会において行うことが可能である。
(3)運営権の設定と指定管理者の指定を同一の者に対して同一の内容で行うことが可 能である。したがってついて、運営権の存続期間、業務範囲等と同一の内容により行うことが可能である。また、運営権の存続期間、業務範囲等と異なる内容で指定管理者の指定を行うことがも可能である。
(4)利用料金に関して、PFI法に基づく実施方針に関する条例と地方自治法に基づく指定管理者の利用料金に係る条例の整合が図られていることを前提として、利用料金が実施方針及び条例に従っている限り、原則として、PFI法に基づく届出受理及び地
方自治法における承認のいずれもなされるものと考えられる。なお、利用料金の設定の
特例に関する地方自治法の特例を利用する場合には、5-1の2.(8)・(9)を参照のこと。
(5)運営権の移転に際して、PFI法に基づく実施方針に関する条例に、譲受人となる事業者の要件及び移転に際して議会の議決が不要である旨が規定されているなど特別の定めがあれば、議決は不要である。地方自治法においては、従前の指定管理者の指定の取消しと新たな指定管理者の指定の議決が必要であるが、実際上、運営権の移転に係る議論も含めて一体として扱われるべきものであり、齟齬等は生じないと考えられる。なお、運営権の移転に伴う指定管理者の指定に係る議決に関する地方自治法の特例を利用する場合には、14-1の2.(6)・(7)を参照のこと。
(6)運営権の譲渡の審査基準に適合し運営権移転を許可する際は、当該譲渡を受けた者に対して、指定管理者の指定を運営権の存続期間及び同一の業務範囲により行うことが可能である。
(7)運営権の取消し及び指定管理者の指定の取消しに関して、実施契約及び指定管理者の協定において取消しの要件を同一にすることにより問題は生じないと考えられる。
(8)運営権制度と指定管理者制度との適用関係については、公の施設について、地方公共団体の長が選定事業者に運営権を設定して運営事業を実施させ、行政処分をも行わせるためには、通常、指定管理者制度を併せて適用することが必要である。
ただし、公共施設等によっては、関連する個別法の解釈により、選定事業者には行政処分を行わせないこととされ、あるいは、個別法により選定事業者が行政処分を行うことができることが別途規定されているものがある。
こうした公共施設等として、現在のところ、次のものについて関係府省からガイドラインや通知等が示されている。
① 「「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律」に基づく地方管理空港特定運営事業の実施に係る「地方自治法」に基づく指定管理者制度の取扱いについ て」(平成 26 年 8 月、国土交通省)
一般に空港の構内において営業を規制し、空港内の施設の使用を制限する等の管理の作用は、当該施設についての所有権その他の私法上の権原(営造物管理権)に根拠を置いているが、公の施設である地方管理空港においては、地方自治法第 244 条の 2 が適用される。
空港の管理について運営権が設定された場合には、民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(平成25年法律第67号)において空港法(昭和31年法律第
80号)及び航空法(昭和27年法律第231号)の特例が定められ、空港の設置・管理者に代わって空港運営権者が空港供用規程及び空港保安管理規程を策定することとされており、これに従って自ら管理の作用を行うこととなる。さらに、当該空港が地方管理空港である場合には、地方自治体において、設定された運営権に従って地方管理空港
運営権者が管理の作用を行うことを踏まえた必要な条例の規定の整備を行うこととなる。
したがって、地方管理空港運営権者が地方管理空港特定運営事業を行う場合について、別途指定管理者制度を適用する必要はない。
② 「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」(令和元年9月、厚生労働省)
水道法(昭和32年法律第177号)上、市町村以外の者(民間事業者を含む)であっても当該市町村の同意を得た上で厚生労働大臣又は都道府県知事の認可を得れば、水道事業を経営することができ、市町村と同様に水道法に基づく水道事業者の権限(公権力の行使を含む)を行使することが可能となる。したがって、水道事業における運営事業において、指定管理者制度を併用する必要はない。ただし、運営権者が行う水道料金の変更に対し、管理者が水道法上の承認の形で関与する必要があると地方公共団体が判断した場合、指定管理者制度の併用を阻むものではない。
③ 「下水道事業における公共施設等運営事業等の実施に関するガイドライン」(平成 31
年 3 月、国土交通省)
下水道事業における運営事業においては、運営権者による公共施設の使用許可等の公権力の行使はできないことと整理されている。したがって、下水道事業における運営事業において、指定管理者制度の併用は想定されていない。
(9)運営権者が、公の施設をテナント等特定の第三者に利用権を設定して利用させるためには、
① 指定管理者制度を併用して、当該公の施設に係る使用許可等の行政処分により行う方法が考えられるほか、
② 6-1の2.(5)のように、PFI法第 69 条第 6 項又は地方自治法第 238 条の 4
第 2 項等に基づき、当該公の施設の賃借権等を得た上で当該賃借権等を権原として当該第三者に転貸する方法が考えられる。
当該第三者に利用権を設定して利用させる行為が公の施設の設置の目的を達成するためのものである場合には①となるが、それ以外の場合には②によることができることとなる。なお、これらは、公の施設の設置目的に応じて、当該公の施設を設置する地方公共団体において判断されるものである。
(10)上記のほか、運営権者が、施設の設置の目的を達成するためか否かにかかわら ず、当該施設を特定の第三者に利用させるためには、地方自治法第 244 条の 2 第 1 項の条例の改正・廃止によって公の施設としての位置付けを見直し、当該施設を行政財産から普通財産とした上で、管理者等と運営権者との間で、実施契約と併せて、例えば賃貸借契約等をあらかじめ締結し、運営権者が当該施設の賃借権等を得た上で当該賃借権等を権原として当該第三者に転貸する方法が考えられる。
(11)なお、平成 30 年法改正によって、指定管理者制度を併用することにより、運営権者が指定管理者の地位を兼ねる場合について、利用料金の設定及び運営権の移転の許可・指定管理者の指定に係る議会の議決に関して、地方自治法の特例が導入されたことに留意されたい。(それぞれの具体的な内容については、それぞれ5-1の2.(8)・
(9)及び14-1の2.(6)・(7)参照のこと。)
(1)運営権運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化を活用した運営事業進める意義は | ||
何か。 | ||
(2)運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化を進めるにあたっての | ||
意点は何か。 | ||
(3)上記の収受を伴うPFI事業に比して、特に留意すべき事項意義や留意点を踏ま |
13 運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化
13-1 株式譲渡及び債権流動化
(2)株式等を譲渡できる環境を整備することにより、民間事業者の資金調達・資金回 収の円滑化や調達コストの低減が図られることから、地域企業も含めた多様な民間事業
者による運営事業への参画が容易となり、ひいては、公的負担の軽減や地域活性化など
によるモニタリングの実施等により、事業の適正化を図ることができる。
(1)運営権者に係る株式及び債権の流動化を進めることで、事業の経過とともに適切
な株主・債権者構成を図ることで事業の安定的な運営を確保するとともに、金融機関等
(1)(1)2-1 運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化を進める意義について
2-2 運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化を進めるにあたっての留意点
(1)運営権者に係る株式及び債権の流動化を進めるにあたっては、運営事業の継続性 や公共性等が担保されるか等について、管理者等に懸念があるものと考えられる。運営権を活用した運営事業においても、運営事業以外の選定事業と同様、運営権者が、運営権の存続期間中、事業者選定の前提とされた履行能力と同等の履行能力を有する必要があるが、その手段は、必ずしも、株式譲渡等の制約による必要はない。
(2)運営事業については、その事業規模や事業内容に鑑みれば、多様な主体による民間資金の調達を可能とする必要性が高い事業が多いものと考えられ、履行能力等の確保
を前提として、株式譲渡の制限については、適切な事業実施を図る上で必要最小限とす
運営事業全体の健全な発展にも資するものと考えられる。
2.留意事項
え、株式譲渡及び債権流動化の進め方としてどのような方法がある考えられるか。
1.ポイント
ることが必要である。これにより、運営権者の経営自由度が高まり、ひいては運営権対 | |||
価へも反映されるなど管理者等にもメリットがある。 | |||
(3) | |||
2-3 運営権者に係る株式譲渡及び債権流動化の進め方について | |||
(1)事業の継続性や公共性などの確保を担保しつつ、株式の譲渡等を進める方法とし ては、例えば、経営参画を目的とする者と事業収益をもっぱらの目的とする者とで譲渡可能な株式等の種類を使い分けることが考えられる。具体的には、大規模な資金調達を必要とする運営事業においては、経営参画を目的とする投資家に対しては議決権株式を 発行し、その譲渡には適切な事業実施を図るための必要最小限の条件を付す一方で、事 | |||
業収益をもっぱらの目的とする機関投資家等に対してからは無議決権株式や劣後ロー | |||
ン、劣後社債等、議決権に関わらない資本性資金等を ことが考えられる。なお、既に運営事業を実施している先行事業では、無議決権株式よ | |||
りも、劣後ローンや劣後社債等を活用している事例が多い。 | |||
(42)株式譲渡の制限については、適切な事業履行能力の確保を前提として、適切な 事業実施を図る上で必要最小限のものとする観点から、運営権者の議決権株式の第三者 への譲渡については、以下の全ての条件を満たす場合には管理者等は承認するものとす | |||
る。 | |||
①譲渡先譲渡後の運営権者が引き続き公募時に設定された参加資格を満たす者であるこ | |||
と。 | |||
②株式譲渡が事業実施の継続を阻害しない(こと。 | |||
具体的には、発行済株式総数に対する譲渡株式数の割合などからみて、運営権者の | |||
経営や事業遂行能力への影響が小さいと客観的に認められる場合には、基本的に株式 | |||
譲渡が事業実施の継続を阻害しないと考えられる。 | |||
また、株式譲渡に伴い、運営権者から運営に関する業務の一部を受託している企業 | |||
や、株式譲渡を行う企業から運営権者に出向している職員が交代する等の場合には、 うな状況等とならない)こと。よう、当該企業や職員から新たに運営に関する業務を | |||
担当する者に対し必要な情報の提供等が適切に行われるなど十分な留意が必要であ | |||
る。 | |||
なお、株式譲渡の認められる具体的な基準については、必要に応じ、有識者等から意 | |||
見を聴取しつつ、管理者等及び運営権者においてあらかじめ協議し定めておくことが望 | |||
ましい。 | |||
2-4 LPS等に株式譲渡を行う方法による場合の留意点 |
(51)運営権者が公共施設等運営事業を行うために新たに設立される法人であることを想定している場合に、公募への参加資格や、応募者に行わせる提案において、投資事業有限責任組合及びこれに類似すると公共施設等の管理者等が認める仕組み(以下「L PS等」という。)で運営権者の議決権株式を所有する代表企業や構成員とすること
を、LPS等を活用することのみを理由に排除しないこと(評価の上でも実質的に排除されることがないよう留意すること)。なお、公共施設等の管理者等がLPS等の活用を認める場合においては、以下の事項を基本協定書等で規定することが望ましい。
a.無限責任組合員の同意なく、有限責任組合員の追加及び交代(持分の譲渡を含む。)ができないこと。
b.無限責任組合員の追加及び交代については、あらかじめ公共施設等の管理者等の承認が必要であること。公共施設等の管理者等の承認が得られない場合(無限責任組合員の追加・交代を行わない場合を除く。)においては、LPS等が所有する運営権者の議決権株式を売却すること。ただし、売却手続のための期間が必要なことについて配慮すること。
(62)公募への参加資格に実績要件を設定する場合で、LPS等によるもので確認することが適さない事項については、当該LPS等の無限責任組合員又は無限責任組合員の実質的な支配者の実績をもって確認することも想定される。なお、LPS等に関する主要な情報については、可能な限り公募段階で管理者等に示すことが望ましい((8
4)に規定する公募時点で存在しない新設LPS等については、詳細が判明した時点で示すこととする)。
(73)LPS等が議決権株式を所有する場合、公共施設等の管理者等は、無限責任組合員が法令等により組合の業務の業務執行権を有する旨を確認のうえ、組合員の肩書き付き名義で無限責任組合員との間で基本協定書等を締結することが想定され、その際の議決権株式の譲渡については、他の法人格において適用される条件と同等の条件が適用されるものとする。
(84)LPS等が公募前及び公募時点で存在しない新設のもの(以下「新設LPS等」という。)である場合には、以下の条件を満たすこととする。
a.LPS等が代表企業となっていないこと。
b.LPS等からの資金調達が行えなくなった場合には、代表企業及び他の構成員(LP S等である構成員を除く。)が代わりに議決権株式を所有することを確約しているこ
と。
c.新設LPS等である場合、実施契約を締結するまでに、必ずLPS等を組成するものとする。ただし、基本協定書の締結段階でLPS等が組成されていない場合において は、無限責任組合員全員を基本協定書の当事者とし、実施契約締結までにLPS等を組成すること、組成後のLPS等が運営権者の株式等を引き受ける義務を負う旨を規定するものとする。
(92-5 その他
(1)運営権の移転については欠格事由に該当しないか、実施方針に照らして適切であるかという観点から許可を行うこととされていることに照らし、運営事業における株式譲渡については、こうした運営権移転の条件と同様の条件とすることも考えられる。
(102)上記のほか、債権譲渡については、「契約に関するガイドライン」5-1の
6.、6-2等を踏まえ実施する。
PFI 事業実施プロセスに関するガイドライン
ステップ5.事業契約等の締結等
ステップ4.で選定された民間事業者と事業契約等を取り決める。
5-1 事業契約等の取決めに当たっての留意事項
事業契約等の取決めに当たっては、下記に留意する。
(1) 具体的かつ明確な取決め
事業契約等は、選定事業に係る責任とリスクの分担その他事業契約等の当事者の権利義務を取り決めるものであり、できる限りあいまいさを避け、具体的かつ明確に取り決めること。
(2) 事業契約等の当事者双方の負う債務の詳細及び履行方法等
事業契約等において、当事者双方の負う債務の詳細及び履行方法等について次の事項を定めること。
ア 選定事業者により提供されるサービスの内容と質
イ 選定事業者により提供されるサービス水準の測定と評価方法ウ 料金及び算定方法等
上記に加え、当事者が事業契約等の規定に違反した場合における措置について次の事項を定めること。
ア 選定事業の修復に必要な適切かつ合理的な措置イ 債務不履行の治癒及び当事者の救済措置
(3) 管理者等の民間事業者への関与
管理者等の民間事業者に対する関与を必要最小限のものにすることに配慮しつつ、適正な公共サービスの提供を担保するため、次の事項等を考慮し、事業契約等でこれらについて合意しておくこと。
ア 管理者等が、選定事業者により提供される公共サービスの水準を監視することができること。
イ 管理者等が、選定事業者から、定期的に事業契約等の義務履行に係る事業の実施状況報告の提出を求めることができること。
ウ 管理者等が、選定事業者から、公認会計士等による監査を経た財務の状況についての報告書(選定事業の実施に影響する可能性のある範囲内に限る。)の提出を定期的に求めることができること。
エ 選定事業の実施に重大な悪影響を与えるおそれがある事態が発生したときには、管理者等は選定事業者に対し報告を求めることができること。また、第三者である専門家による調査の実施とその調査報告書の提出を求めることができること。
オ 公共サービスの適正かつ確実な提供を確保するため、必要かつ合理的な措置と、管理者等の救済のための手段を規定すること。
カ 管理者等による選定事業に対する、上記の各事項の関与(事業契約等の規定に基づくことが必要)以外の関与は、安全性の確保、環境の保全に対する検査・モニタリング等、選定事業の適正かつ確実な実施の確保に必要とされる合理的な範囲に限定するこ と。
(4) リスク分担等
事業契約等において、リスク分担等について次の事項を定めること。(詳細については
「PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」に示す。)
ア 選定事業のリスク分担(想定されるリスクをできる限り明確化した上で、リスクを最もよく管理することができる者が当該リスクを分担するとの考え方に基づいて取り決めること。)
イ 経済的に合理的な手段で軽減又は除去できるリスクとして措置を講ずるものの範囲及びその内容
なお、従来のPFIによらない公共施設等の整備等に関する事業と同様、リスクが顕在化し、国において当初予算措置により負担した債務を超える債務の負担が必要となったときは、当該債務の負担について、新たな予算措置が必要となることに留意すること。
(5) 選定事業の終了時の取扱い等事業契約等において、
ア 選定事業の終了時期を明確に定めること。
イ 事業終了時における土地等の明渡し等、当該事業に係る資産の取扱いについて、経済的合理性を勘案の上できる限り具体的かつ明確に定めること。
(6) 事業継続困難時の措置等
事業契約等において、事業継続困難時の措置等について次の事項を定めること。ア 事業継続が困難となる事由(できる限り具体的に列挙すること。)
イ 事業継続が困難となる事由が発生した場合又は発生するおそれが強いと認められる場合において事業契約等の当事者のとるべき措置(その責めに帰すべき事由の有無に応じて具体的かつ明確に規定すること。)
ウ 事業修復の可能性があり、事業を継続することが合理的である場合における事業修復に必要な措置(その責めに帰すべき事由の有無に応じて具体的かつ明確に規定すること。)
エ 事業破綻時における公共サービスの提供の確保について、当該事業の態様に応じ
て、的確な措置(上記(5)に規定する当該事業に係る資産の取扱いを含む。)を講ずること。
(7) 事業契約等の解除条件等
事業契約等において、事業契約等の解除条件となる事由について、その要件及び当該事由が発生したときに事業契約等の当事者のとるべき措置(上記(5)、(6)に留意の上具体的かつ明確に規定すること。)を定めること。
(8) 資金調達への影響への留意 上記(4)~(7)に規定する事業契約等の当事者の対応が、選定事業における資金調達の金額、期間、コストその他の条件に大きな影響を与えることに留意し、適切かつ明確な内容とすることに留意すること。 (9) 融資金融機関等との間の直接交渉についての取決め 当該選定事業が破綻した場合、管理者等と融資金融機関等との間で、事業及び資産の処理に関し直接交渉することが適切であると判断されるときは、融資金融機関等の債権保全等その権利の保護に配慮しつつ、あらかじめ、当該選定事業の態様に応じて適切な取決めを行うこと。 (10) 第三者による選定事業の継承の要求についての取決め 選定事業者の責任により組成される金融の仕組みによって、選定事業者の破綻に伴い、金融機関等第三者が選定事業の継承を要求し得る場合には、公共性、公平性の観点に基づき、継続的な公共サービスの提供を確保するために合理的である限りにおいて、あらかじめ、事業契約等において適切な取決めを行うこと。 (11) 事業契約等の疑義等の解消手続等 事業契約等若しくはその規定の解釈について疑義が生じた場合又は事業契約等に規定のない事項に関し係争が生じた場合に、これらを解消するための手続その他の措置については、当該選定事業の態様に応じ、あらかじめ、具体的かつ明確に規定すること。 (12) 事業契約等の変更手続き | ||
地方公共団体においては、議会の議決を経た事項の変更については、全て議会の議決を | ||
経なければならないとされていることから(行政実例 昭和 26 年 11 月 15 日 地自行発 | ||
第 391 号参照)、議会の議決を経て事業契約等の締結を行っている場合、当該事業契約 | ||
等の内容を変更するには議会の議決が必要になるものと考えられる。ただし、PFI 事業 | ||
は長期間に及ぶケースが多く、様々な状況に応じて契約変更が必要となることも想定さ れるため、契約事項のうち軽微な事項(一定範囲内の契約金額の変更、期間の変更等) | ||
について迅速に契約変更できるよう、予め議決により専決処分事項(地方自治法第 180 | ||
条第 1 項)として指定しておくことも考えられる。 |