市町村- 認定事業者の契約に係るガイドライン (Ver.1.2)
市町村- 認定事業者の契約に係るガイドライン (Ver.1.2)
平成31 年3 月環境省
経済産業省
目次
1 本ガイドラインについて 1
1.1 「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」の概要 1
1.2 本法における市町村及び認定事業者の役割 4
1.3 本ガイドラインの位置付け 5
2 認定事業者との契約の準備 7
2.1 認定事業者との契約の形態 7
2.2 認定事業者の選定方法 8
2.3 使用済小型電子機器等の引取りに応ずる義務 10
3 市町村と認定事業者の契約に記載する事項 11
3.1 収集対象の品目 12
3.2 引渡しの場所 14
3.3 引渡しの方法 16
3.4 引渡しに係る費用 18
3.5 引渡しの頻度 20
3.6 引渡しの価格 22
3.7 契約の期間 23
3.8 市町村による認定事業者への引渡しに係る基本的な条件の整理 24
3.9 引渡し後の取り扱い方法 25
3.10 市町村が再資源化の状況を確認する規定 26
4 その他 27
4.1 認定事業者による市町村の収集費用の補填等の措置 27
別添 認定事業者以外の再資源化事業者への引渡しについて 28
1 本ガイドラインについて
1.1 「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」の概要
使用済小型電子機器等は、その相当部分が廃棄物として排出され、多くは一般廃棄物として市町村による処分が行われています。市町村における現状の処分においては、鉄やアルミニウム等一部の金属のみ回収され、その他の金や銅などの有用な資源は埋立処分されています。この状況に鑑み、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保の観点から、使用済小型電子機器等の再資源化事業を行おうとする者が再資源化事業計画を作成し、主務大臣の認定を受けることで、廃棄物処理業の許可を不要とし、使用済小型電子機器等の再資源化を促進する「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」が平成 24 年 8 月 10 日に公布されました( 図 1-1)。
本法における使用済小型電子機器等の再資源化に関わる者の役割分担は、図 1-2に示す通りです。
資源制約
使用済小型電子機器等の再資源化を促進するための措置を講ずることにより、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図る。
法制定の目的
法制定の背景
資源制約
○新興国の需要増大に伴う資源価格高騰
○資源供給の偏在性と寡占性
環境制約
○最終処分場の逼迫
○適正な環境管理
再資源化を促進するための措置
・使用済小型電子機器等に含まれるアルミ、貴金属、レアメタルなどが、リサイクルされずに埋め立てられていることへの対応が急務。
基本方針
○ 環境大臣及び経済産業大臣が、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する基本方針を策定、公表
(内容)再資源化の促進の基本的方向、再資源化を実施すべき量に関する目標、
促進のための措置に関する事項、 個人情報の保護その他の配慮すべき重要事項 等
再資源化を促進するための措置
○ 再資源化のための事業を行おうとする者は、再資源化事業の実施に関する計画をx xし、環境大臣及び経済産業大臣の認定を受けることができる。
〇 再資源化事業計画の認定を受けた者又はその委託を受けた者が使用済小型電子機 器等の再資源化に必要な行為を行うときは、市町村xxによる廃棄物処理業の許可を不要とする。
○ 再資源化事業計画の認定を受けた者又はその委託を受けた者については、産業廃棄 物処理事業振興財団が行う債務保証等の対象とする。
施行期日等
○ 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
○ 法律の施行後5年を経過した場合において、法律の施行の状況について検討を加え、必要な措置を講ずる。
法律の内容
図 1-1 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律の背景、目的及び内容
製造業者(メーカー)の責務
・設計、部品、原材料の工夫により再資源化費用低減
・再資源化により得られた物の利用
製造・販売
小売業者の責務
・消費者の適正な排出を確保するために協力
国の責務
・必要な資金の確保
・情報収集、研究開発の推進
・教育、広報活動
回収
排出
国 民
自治体回収
引渡
集積所
静脈物流
循環利用
中間処理施設 金属製錬
消費者の責務
・分別して排出
回収ボックス 引渡
or 資源ゴミの新区分
or ピックアップ
中間処理
金属回収
市町村の責務
・分別して収集
・認定事業者への引渡し
認定事業者
国
・再資源化のための事業を行おうとする者は、再資源化事業の実施に関する計画を作成し、主務大臣の認定を受けることが出来る。
・再資源化事業計画の認定を受けた者又はその委託を受けた者が使用済小型電子機器等の再資源化に必要な行為を行うときは、市町村xxの廃棄物処理業の許可を不要とする。
・収集を行おうとする区域内の市町村から分別して収集した使用済小型電子機器等の引取りを求められたときは、正当な理由がある場合を除き引き取らなけ
ればならない。
認定申請
・再資源化事業計画の認定
・再資源化事業計画の認定を受けた者に対する指導・助言、報告徴
収、立入検査
認定、
指導・助言等
・認定の取消し
※各市町村の特性に合わせて回収方法を選択
図 1-2 使用済小型電子機器等の再資源化に関わる者とその役割分担
1.2 本法における市町村及び認定事業者の役割
使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律では、使用済小型電子機器等の主な回収者として市町村が想定されており、本法において、地方公共団体の責務として、市町村に以下の役割が求められています。
市町村は、その区域内における使用済小型電子機器等を分別して収集するために必要な措置を講ずるとともに、その収集した使用済小型電子機器等を第十条第三項の認定を受けた者その他使用済小型電子機器等の再資源化を適正に実施し得る者に引き渡すよう努めなければならない(使用済小型電子機器等の再資源化
の促進に関する法律 第五条より抜粋)。
また、本法では、再資源化事業を行おうとする者は、再資源化事業計画を作成し、主務大臣の認定を受けることで、認定事業者となります。認定事業者は、認定計画に基づいて再資源化事業を行うことになりますが、認定計画に記載された収集区域内の市町村から引取りを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、使用済小型電子機器等を引き取らなければならないと義務づけられています。
使用済小型電子機器等の再資源化のための使用済小型電子機器等の収集、運搬及び処分の事業を行うとする者は、主務省令で定めるところにより、使用済小型電子機器等の再資源化事業の実施に関する計画を作成し、主務大臣の認定を申請することができる。( 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律 第十条第一項より抜粋)
認定事業者は、第十条第二項第四号に掲げる区域内の市町村から、当該市町村が分別して収集した使用済小型電子機器等の引取りを求められたときは、主務省令で定める正当な理由がある場合を除き、当該使用済小型電子機器等を引き取らなければならない。( 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律 第
十二条)
1.3 本ガイドラインの位置付け
本法は、使用済小型電子機器等の再資源化を促進するために、市町村に対しては、分別収集した使用済小型電子機器等を、認定事業者その他再資源化を適正に実施し得る者( 以下「認定事業者その他適正な者」という) に引き渡すことを求めています。また、認定事業者に対しては、市町村から使用済小型電子機器等の引取りを求められたときは、正当な理由がある場合を除き引き取らなければならないとしています。
本法の基本方針では「市町村が回収した使用済小型電子機器等を認定事業者に引き渡すことにより、有害物質を適正に管理しつつ、規模の経済を確保した効率的な再資源化が実現される」とされていることから、本ガイドラインでは特に、市町村が認定事業者に引き渡す場合に限定し、記載をしています。
なお、認定事業者以外の者に引き渡す場合については、別添を確認してください。
市町村は、当該市町村を収集区域とする認定事業者に、使用済小型電子機器等を引き渡す際には、円滑な引渡しを実施するため、双方が、引渡しの対象品目、引渡しの場所、方法などについて、あらかじめ具体的に取り決めをすることが必要になります。そのため、使用済小型電子機器等の認定事業者への引渡しにあたっては、市町村は、引渡し先として選定した認定事業者と、個別に契約を締結することになります。「小型電気電子機器リサイクル制度の在り方について( 第一次答申)」( 平成 24 年 1 月 31 日 中央環境審議会) においても、使用済小型電子機器等に係る市町村から認定事業者への引渡し、認定事業者による市町村からの引取りは、契約によって行われることが記載されています。
本ガイドラインは、市町村と認定事業者の間で結ばれる契約について、契約までの準備、契約書に記載すべき事項等を整理しています。市町村及び認定事業者は、本ガイドラインを参考として、両者において、個々の事情に応じて、表 1-1 に整理される事項等について定めた契約を締結し、使用済小型電子機器等の再資源化を促進することが求められます。なお、契約に先立ち、入札を行う場面でも、表 1-1 に整理される事項等について提示することが考えられます。
表 1-1 市町村と認定事業者との契約の準備及び契約書の記載事項の一覧
契約の準備 | ||
契約の形態 | 認定事業者との契約形態について、引渡の契約( 覚書) とすることが推奨される。 | |
事業者の選定 | 当該市町村を収集区域の対象とする認定事業者の数等を踏まえ、制限付き一般競争入札、指名競争入札又は 随意契約により事業者を選定する。 | |
契約書に記載する事項 | ||
収集対象の品目 | 市町村が認定事業者に引き渡す使用済小型電子機器等 の品目を定める。 | |
引渡しの場所 | 市町村が認定事業者に使用済小型電子機器等を引き渡 す場所を定める。 | |
引渡しの方法 | 市町村が認定事業者に使用済小型電子機器等を引き渡 す際の作業の負担者、具体的な引渡しの方法を定める。 | |
引渡しに係る費用 | 市町村の認定事業者への使用済小型電子機器等の引渡しの際に必要となる運搬費用、引渡しの場所の運営費 用、収集設備の費用の負担者を定める。 | |
引渡しの頻度 | 市町村が認定事業者に使用済小型電子機器等を引き渡 す頻度を定める。 | |
引渡しの価格 | 市町村が認定事業者に使用済小型電子機器等を引き渡す際の取引価格を定める。なお、市況の変動等を考慮 することが望ましい。 | |
引渡しの期間 | 市町村と認定事業者との間の契約の期間を定める。 | |
引き渡し後の取り 扱い方法 | 市町村が引き渡した使用済小型電子機器等の、認定事 業者における取り扱い方法を定める。 | |
再資源化の状況を 確認する規定 | 市町村が再資源化の状況を確認できるような規定を設 けることが望ましい。 |
また、契約書に記載する必要はありませんが、法 12 条に定める認定事業者が市町村からの使用済小型電子機器等の引取りを求められた際にこれを拒むことができる正当な理由の考え方、認定事業者による市町村の収集費用の補填等の措置の考え方についても整理しています。
2 認定事業者との契約の準備
市町村が、収集した使用済小型電子機器等を認定事業者に引き渡し、認定事業者がこれを再資源化するにあたっては、市町村は、収集した使用済小型電子機器等の引渡し先となる認定事業者を選定し、当該認定事業者と引渡しに係る契約を締結することになります。
ここでは、市町村と認定事業者の間で締結される契約の形態、市町村による認定事業者の選定方法について解説することで、市町村と認定事業者との契約の準備に必要となる事項を整理します。
2.1 認定事業者との契約の形態
ここでは、市町村と認定事業者との契約の形態について整理します。
市町村と認定事業者の間においては、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律( 以下、「容器包装リサイクル法」という。)と同様の、業務
委託ではない「引渡し」契約を行うことが推奨されます。
市町村における資源物及び廃棄物に係る通常の契約形態は、資源物として売却する「売買契約」、廃棄物として処理を委託する「業務委託契約」のいずれかとなります。
業務委託契約の場合、市町村は処理を委託しても当該廃棄物の管理責任を負うことになり、処理を委託された事業者は収集、運搬又は処分を他の事業者に再委託することはできません( 廃棄物処理法施行令 第四条第三項 参照)。他方、市町村が収集した使用済小型電子機器等を認定事業者に引き渡した場合、認定事業者の管理責任の下で再資源化事業を実施することになるため、認定事業者から再資源化事業計画に記載された者への収集、運搬又は処分の委託が可能になります。
本法は、市町村から認定事業者に使用済小型電子機器等が引き渡された際には、認定事業者が責任を持って、主務大臣の認定を受けたシステムにて再資源化を実施するという仕組みであり、容器包装リサイクル法と同様の、業務委託ではない「引渡し」契約を行うことが推奨されます。すなわち、市町村が認定事業者に引渡した後は、市町村の処理責任は解除され、認定事業者が処理責任を負担するため、再資源化工程から生じる残渣についても認定事業者の産業廃棄物として適正に処理されます。また、認定事業者が処理責任を負担するため、業務委託ではない「引渡し」契約に際して、他の市町村の一般廃棄物処理計画との調和( 廃棄物処理法第六条第四項) や通知( 廃棄物処理法施行令第四条第九号) は特段必要ありません。認定事業者に引渡す際に締結する契約等については、他の廃棄物処理委託契約とは趣旨の異なる契約であることを明確にすることが推奨されます。これについては、容 器 包装 リサイクル法において市町村と日本容器包装リサイクル協会が締結する分別基準適合物に係る業務実施の覚書を参考にすることができるでしょう。
2.2 認定事業者の選定方法
市町村は、当該市町村を収集区域とする認定事業者の中から、引渡先となる認定事業者を選定し、使用済小型電子機器等の引渡しに係る契約を締結します。ここでは、市町村が認定事業者を選定する方法について整理します。
競争入札の場合
随意契約の場合
図 2-1 市町村と認定事業者の契約の締結までの流れ
随意契約締結
随意契約に係る事前協議
契約締結(入札)
認定事業者の指名競争入札/制限付き一般競争入札/
総合評価落札方式による入札
契約締結
事業者選定
なお、地方自治法では、市町村が売買、賃貸、請負その他の契約をする場合には、平等かつxxに、またもっとも経済的な契約を達成できる相手( 業者)を選定して、契約を締結することが求められています( 地方自治法 第二xx十四条 参照)。このため、市町村は、原則として一般競争入札( 参加資格を付する制限付き一般競争入札もあり得る) で契約相手となる事業者を選定しますが、一般競争入札に適さない場合、競争者が少数である場合等は、指名競争入札( あらかじめ競争入札への参加資格を定め、資格を満たす事業者を競争入札の参加者として指名して競争入札を行う) によって契約相手となる事業者を選定することができます。また、技術力等を含めた総合評価方式の入札にかけることもできます。
一方で、少額の業務である場合や予定価格が0 円であり価格競争に適さない場合等は、随意契約( 市町村が適切な事業者を特定する) によって契約相手となる事業者を選定することができます。
本制度における使用済小型電子機器等の引渡しについては、地方自治法の契約の原則を踏まえつつ、本法第5 条において、市町村は、分別収集した使用済小型電子機器等を認定事業者その他適正な者に引き渡すことが求められていることに留意が必要です。
市町村が収集した使用済小型電子機器等の引渡先となる認定事業者を選定するにあたっては、競争入札あるいは随意契約を選択することになると考えられます。
①「認定基準を満たしていること」等を入札参加要件とする、制限付き一般競争
入札/ 指名競争入札
競争入札によって、契約相手の事業者を選定する場合、「本法の認定事業者に係る認定基準( ただし法第 10 条第3 項第2 号に定める区域の基準は除く)を満たしていること」等を要件とした上で、競争入札を行うことが考えられます。
また、引渡しを行う市町村内に認定事業者の事務所が存在しない場合も考えられますが、認定事業者のような能力の高い事業者が入札に参加できるよう、入札資格を設定する場合に地域要件を拡げる等の配慮が考えられます。
②総合評価落札方式による入札
事業者の技術力などを含めて評価する総合評価方式の入札を実施することもできます。特に、本制度の円滑な施行のためには、引き渡し先の事業者が、高度な処理技術を有することに加え、市町村と綿密な連携体制を構築し市町村に適切な技術的支援を実施できること等、高い能力を有する者に引き渡すことが好ましいと考えられます。
(※ )入札においては、 現地入札のみではなく、 電子入札や郵便入札を活用するなど、 入札参加者の利便性を考慮し、 能力の高い事業者の入札参加を促進することが望ましい。
③随意契約を締結
地方自治法の契約の原則に則り、当該契約を随意契約とする理由( 適正に積算した結果、予定価格が少額であること等) を明確にした上で、市町村が随意契約を締結することも考えられます。
なお、随意契約を締結する際には、契約内容について、認定事業者と十分な事前協議を行う必要があります(※ )。
(※ )随意契約の場合は、「2.3( 1 ) 契約の形態と法第1 2 条の関係」 にも留意が必要です。
2.3 使用済小型電子機器等の引取りに応ずる義務
法第十二条 認定事業者は、第十条第二項第四号に掲げる区域内の市町村から、当該市町村が分別して収集した使用済小型電子機器等の引取りを求められたときは、主務省令で定める正当な理由がある場合を除き、当該使用済小型電子
機器等を引き取らなければならない。
使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律第 12 条には、使用済小型電子機器等の引取りに応ずる義務が規定されています。
( 1 ) 契約の形態と法第 12 条の関係
競争入札又は随意契約の場合において、法第 12 条の「引取りを求められたとき」に該当するかどうかは、次の通り整理されます。
①競争入札の場合
市町村の一般競争入札に係る入札公告のみをもって、法第 12 条の「引取りを求められたとき」には該当しないものと解釈されます。よって、認定事業者は法第 12条に基づき入札に参加する義務が発生するわけではありません。
②随意契約の場合
市町村から、当該市町村が分別して収集した使用済小型電子機器等の引き取りに係る随意契約の締結を求められた場合は、法第 12 条の「引取りを求められたとき」に該当すると解釈されます。その場合、認定事業者は、法第 12 条の引き取り義務に基づき、契約を締結しなくてはなりません( ただし、主務省令に定める正当な拒否理由に該当する場合を除く)。
( 2 ) 認定事業者が引取りを拒むことができる正当な理由
以下のような理由が施行規則第 14 条で定められています。
• 天災その他やむを得ない事由により使用済小型電子機器等の引取りが困難であること。
• 当該使用済小型電子機器等の引取りにより当該認定事業者が行う使用済小型電子機器等の適正な保管に支障が生じること。
• 当該使用済小型電子機器等の引取りの条件が使用済小型電子機器等に係る通常の取引条件と著しく異なるものであること。
• 当該使用済小型電子機器等の引取りが法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであること。
市町村が分別して収集していない使用済小型電子機器等については、引取りの義務はありません。また、市町村の分別収集の品位や分別の程度に応じた価格設定を行うことや、離島などの収集運搬費用が高額になる場合に別途価格設定を行うことは、通常の取引条件に含まれると考えられます。
3 市町村と認定事業者の契約書に記載する事項
市町村は、当該市町村を収集区域とする認定事業者に、使用済小型電子機器等を引き渡す際には、円滑な引渡しを実施するため、引渡しの対象品目、引渡しの場所、方法などについて、具体的に取り決めをすることが必要になります。そのため、使用済小型電子機器等の認定事業者への引渡しにあたっては、市町村は、引渡し先として選定した認定事業者と、個別に契約を締結することになります。
ここでは、市町村と認定事業者の間で締結される契約書に記載する事項について整理しています。なお、本ガイドラインは、市町村と認定事業者が契約を締結する際に参考するものであり、本ガイドラインに記載されている通りの内容を契約書に記載する必要はありません。各市町村の方針や収集体制、認定事業者の事業内容等を考慮し、両者において協議の上、契約を締結してください。
3.1 収集対象の品目
市町村が収集する使用済小型電子機器等の品目については、市町村において決定しますが、収集対象の品目としては以下のような類型が考えられます。
① 制度対象品目のうち、全ての品目
② 制度対象品目のうち、特定対象品目のみ
③ 市町村がその状況に応じて指定した品目
なお、制度対象品目及び特定対象品目については、「使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン」を参照してください。
市町村が収集する使用済小型電子機器等の品目については、市町村において決定します。認定事業者は、引取りを拒むことが正当な理由に該当する場合を除き、当該使用済小型電子機器等を引き取ることになります( 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律 第十二条 参照)。
収集対象の品目の選定は、制度の目的等を踏まえつつ、市町村の方針や収集体制等を考慮して市町村において決定するものであり、以下のような類型が考えられます。
①制度対象品目のうち、全ての品目
制度対象品目
特定対象品目
公共施設
ボックス
ステーション
(ごみ排出所等)
ス | ー | パー |
家電販売店
ボ ス
ック
等
収集拠点 集積所
②制度対象品目のうち、特定対象品目のみ
公共施設
家電販売店
ボックス
ボ ス
ック
ス | ー | パー |
ステーション
特定対象品目
(ごみ排出所等)
等
収集拠点
集積所
③市町村がその状況に応じて指定した品目
市町村内で、これまで粗大ごみとして収集してきたものを中心にピックアップ回収する場合など、市町村がその状況に応じ指定した品目を対象とします。
上記を踏まえ、契約書では、収集対象の品目について、以下のように記載することができるでしょう。
• 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律の対象となる品目として政令で指定された全ての品目
• 法律の対象となる品目のうち、特定対象品目
• 法律の対象となる品目のうち、市町村が分別収集を実施する指定品目
なお、使用済小型電子機器等と金属くずが一体となった回収を市町村が行う場合において、当該金属くずが廃棄物に該当せず、認定事業者においても使用済小型電子機器等と金属くずを一体として引き受ける体制が整っているのであれば、市町村と認定事業者の契約において金属くずを含めた形での契約を結ぶことも考えられます。
一方で、金属くずが廃棄物である場合や、金属くず以外の不燃廃棄物については、市町村の処理責任は解除されないことから、別途廃棄物処理法の規定に基づき処理を委託する必要があり、本法に基づく引渡し契約と一体で契約を行うことはできませんので、ご注意ください。
3.2 引渡しの場所
市町村が収集した使用済小型電子機器等の引渡しの場所については、市町村の収集体制、認定事業者の再資源化事業の内容等を踏まえ、市町村と認定事業者が個別に調整し決定します。引渡しの場所としては以下のような類型が考えられます。
① 市町村施設での引渡し
② 認定事業者施設での引渡し
引渡しの場所は、効率的な収集運搬が行うことができるように、市町村と認定事業者において、個別に検討した上で決定することが望ましいですが、以下の類型が考えられます。
① 市町村施設での引渡し
市町村内に設置された集積所に、市町村又は市町村から委託された者が収集した使用済小型電子機器等を運び込みます。運び込まれてきた使用済小型電子機器等を認定事業者が集積所で引き取り、中間処理施設に運搬します。
公共施設 ボックス
ステーション
(ごみ排出所等)
家電販売店ボ
ス
ック
静脈物流
ス | ー | パー |
等
収集拠点
集積所 中間処理施設
市町村施設 認定事業者施設
② 認定事業者施設での引渡し
市町村又は市町村から委託された者が、市町村内の使用済小型電子機器等を収集した後に認定事業者の施設まで運搬し、引き渡します。
公共施設 ボックス
ステーション
(ごみ排出所等)
家電販売店ボ
ス
ック
静脈物流
ス | ー | パー |
等
収集拠点
集積所 中間処理施設
市町村施設 認定事業者施設
なお、「① 市町村施設での引渡し」のように、認定事業者に使用済小型電子機器等を集積所まで取りに来てもらう場合、市町村内の集積所の数について、十分な検討が必要になります。当該市町村での使用済小型電子機器等の排出見込み量、集積所の保管容量を踏まえながら、効率的な収集運搬が実施できるように、認定事業者と協議の上、集積所を設置するようにしてください。なお、集積所の数が多い場合には、認定事業者による引取りの費用が高くなるため、市町村が処理費( 収集運搬費用) を支払うことが妥当な場合も考えられます。
また、「② 認定事業者施設での引渡し」のように、市町村が使用済小型電子機器等を収集した後に認定事業者の施設まで持ち込む場合には、認定事業者における収集運搬費が軽減されることから、認定事業者が買い取りを行うことが妥当な場合も考えられます。
上記を踏まえ、契約書では、引渡しの場所について、以下のように記載することができるでしょう。
• 市町村が指定する場所( ○ ×センター 住所:△ 市3 番地…) において引渡しを受けるものとする
• 市町村が認定事業者の作業施設へ搬入する
3.3 引渡しの方法
市町村が収集した使用済小型電子機器等の引渡しの方法については、市町村の収集体制、認定事業者の再資源化事業の内容等を踏まえ、市町村と認定事業者が個別に調整し決定します。引渡しの方法としては以下のような類型が考えられます。
① 市町村施設での車両への積込み
② 認定事業者施設での車両からの積下ろし
引渡しの際の具体的な方法は、引渡しの場所によって、市町村と認定事業者において、個別に検討した上で決定することが望ましいですが、以下の類型が考えられます。
①市町村施設での引渡し車両への積込み
市町村内の集積所において、認定事業者が使用済小型電子機器等を引き取る際に、運搬車両への積込み作業が発生します。当該作業を市町村と認定事業者のいずれが担当するのか、検討が必要になります。特に、積込みにあたって、人員や運搬機( フォークリフト等) が必要な場合には、双方の負担の状況に鑑みて検討が必要なものと考えられます。
公共施設 ボックス
ステーション
(ごみ排出所等)
家電販売店ボ
ス
ック
静脈物流
ス | ー | パー |
等
収集拠点
集積所 中間処理施設
車両への積込み
市町村施設 認定事業者施設
②認定事業者の施設での引渡し
市町村又は市町村から委託を受けた者が認定事業者の施設で使用済小型電子機器等を引き渡す際に、運搬車両からの積下ろしの作業が発生します。当該作業を市町村と認定事業者のいずれが担当するのか、検討が必要になります。特に、積下ろしにあたって、人員や運搬機( フォークリフト等) が必要な場合には、双方の負担の状況に鑑みて検討が必要なものと考えられます。
ステーション
(ごみ排出所等)
公共施設
ス | ー | パー | ||
家電 | 販 | 売店 |
ボックス
ボックス
等
静脈物流
車両からの積下ろし
収集拠点
集積所 中間処理施設
市町村施設 認定事業者施設
上記を踏まえ、契約書では、引渡しの方法について、以下のように記載することができるでしょう。
• 市町村が指定する場所において引渡しを受ける際には、市町村/ 認定事業者が車両への積込作業を行うものとする
• 市町村が認定事業者の作業施設へ搬入した際には、市町村/ 認定事業者が車両からの積下ろしを行うものとする
また、運搬車両・設備については、「引渡しは中型コンテナ車/ 中型プレス車を用いることとする」「容量 8m3 程度のフックロールコンテナを使用すること」などと双方で取り決めることもできます。
なお、引渡しにあたり、フォークリフト等の運搬機の利用やコンテナの入れ替え作業などが必要となる場合、以下のように作業する者を書き込むこともできるでしょう。
• 市町村/ 認定事業者がフォークリフトを用いて積込作業を行う
• 市町村/ 認定事業者が空のコンテナとの入替を行うこととする
さらに、引渡しにあたり、使用済小型電子機器等を何種類かに分類して引き渡す方法を取る場合等は、その旨も記載しておくことができます。
3.4 引渡しに係る費用
市町村が収集した使用済小型電子機器等の引渡しに係る費用については、市町村の収集体制、認定事業者の再資源化事業の内容、引渡の場所及び方法等を踏まえ、市町村と認定事業者が個別に調整し決定します。以下の引渡しに係る費用については、負担者を検討する必要があります。
① 引渡しの際の運搬費用
② 引渡し場所の運営費用
③ 収集の設備の費用
引渡しに係る費用は、以下の点について、市町村と認定事業者において個別に負担者を検討する必要があります。
①引渡しの際の運搬費用
「3.3」に基づいて、市町村と認定事業者の双方の負担状況に鑑み、負担者を検討する必要があります。
公共施設
家電販売店
ボックス
ボ ス
ック
ス | ー | パー |
ステーション
運搬費用
運搬費用
(ごみ排出所等)
等
収集拠点 集積所
中間処理施設
②引渡しの場所の運営費用
基本的には、集積所が市町村の施設の場合には市町村、集積所が認定事業者施設の場合には認定事業者が負担するものと考えられますが、新たに集積所の設置が必要な場合など、負担の分担などの検討が必要なものと考えられます。
運営費用
集積所
公共施設
ステーション
家電販売店
ック
ボ ス (ごみ排出所等)
ス | ー | パー |
ボ ス
ック
等
収集拠点
中間処理施設
③収集の設備の費用
基本的には、市町村の収集は市町村が負担するものですが、新たな収集方法をつくる場合に設備が必要となる場合( 回収ボックス等)、市町村と認定事業者が双方の負担の状況に鑑みて、負担の分担などを検討することが望ましいです。また、認定事業者が専用コンテナを提供することによって、効率的な回収を行うこともできます。
ス | ー | パー | ||
家電 | 販 | 売店 |
設備の費用
ステーション
公共施設 ボックス (ごみ排出所等)
ボ ス
等
収集拠点
ック
集積所
中間処理施設
上記を踏まえ、契約書では、引渡しの際の運搬費用、引渡しの場所の運営費用、収集の設備の費用の負担者について明示することが必要でしょう。
< 引渡しの際の運搬費用>
• 引渡しの際には、市町村が車両を用意することとする
• 引渡しの際には、認定事業者が車両を用意することとする
< 引渡しの場所の運営費用>
• 市町村が指定する施設
• 認定事業者の受入施設
※ 施設の運営者が明らかとなるように記載
< 収集の設備の費用>
• 収集に用いるボックスは市町村が設置することとする
• 収集に用いるボックスは認定事業者が設置することとする
※ 設備の設置者が明らかとなるように記載することが考えられます。
なお、契約書に具体的に明記することができないが、引取りにあたって何らかの事情で必要となった費用の負担者についても以下のように示しておくことができるでしょう。
• 収集の設備及び引渡しの際の運搬費用以外で、引取り等に要する費用は、双方協議の上、負担者を決定する
• 収集の設備及び引渡しの際の運搬費用以外で、引取り等に要する費用は、市町村/ 認定事業者の負担とする
3.5 引渡しの頻度
市町村が収集した使用済小型電子機器等の引渡しの頻度については、市町村の収集体制、認定事業者の再資源化事業の内容、引渡の場所及び方法等を踏まえ、市町村と認定事業者が個別に調整し決定します。引渡しの頻度としては以下のような類型が考えられます。
① 一定量収集後に引渡し
② 定期的に引渡し
引渡しの頻度は、効率的な収集運搬が行うことができるように、市町村と認定事業者において、個別に検討した上で決定することが望ましいですが、以下の類型が考えられます。
①一定量収集後に引渡し
集積所等に一定量の使用済小型電子機器等が集積したら、引渡しを行います。なお、この場合、引渡しのための収集運搬の量を一定にすることができるため、効率的な収集運搬が可能になりますが、収集運搬の頻度は一定しません。
一定量集積後連絡
市町村 中間処理施設
②定期的に引渡し
集積所等からの使用済小型電子機器の引渡しを定期的に行います。なお、この場合、収集運搬の頻度は定期的ですが、一回に収集運搬する量が異なる場合が想定され、積載容量より多い量が集積所等に保管されており全てを運搬できない可能性や、積載容量を大きく下回り運搬効率が下がる可能性などがあります。
定期的
(月に1回 等)
市町村
中間処理施設
上記を踏まえ、契約書では、引渡しの頻度について、以下のように記載することができるでしょう。
• 市町村が指定する施設に保管される量が所定量を超える場合には、市町村は認定事業者に通知し、認定事業者はこれの引渡しを受けるものとする
• 引渡しは原則として月1 回とする
また、頻度をあらかじめ定めない場合や、契約書で定めた条件以外での引渡しを行う可能性がある場合には、「市町村と認定事業者が協議の上、随時引き渡すものとする」などと記載することも考えられます。
3.6 引渡しの価格
使用済小型電子電気機器等の引渡しの価格( 取引価格) の考え方及び市況価格の変動への対応については、以下のように整理されます。
( 1) 価格の決定方法
引渡しの価格は、以下のように決定するものと考えられます。
① 競争入札の場合は、入札価格
② 随意契約の場合は、見積価格
取引価格は、事業者の選定方法( 2.2 を参照) によって、表 3-1 の通り決定するものと考えられます。市町村は、事前に、認定事業者における経費( 静脈物流費(3.4参照)、中間処理費、システム管理費等)と有用資源売却益のバランスを考え、適切な予定価格を積算することとなります。なお、予定価格の決定の際には、直近の一カ月の資源価格の平均価格などを参考にできます。契約価格については、契約の内容等によって、有償( 売却)、無償( 0 円)、逆有償( 市町村が支払い) のいずれも可能性があると考えられます。
表 3-1 契約形態及び事業者の選定方法による価格の決定
事業者の選定方法 | 価格 | 備考 |
①競争入札 | 入札価格 | ・引渡しの価格は、認定事業者間の競争の結果決まります。 |
②随意契約 | 見積価格 | ・市町村の予定価格の範囲内で認定事業者が見積もった価格になると考えられます。 |
( 2) 市況の変動への対応
資源価格の下落や上昇等、市況に変動があった場合、当初の契約条件では、認定事業者の採算性が著しく悪化する場合あるいは利益が過剰となる場合が考えられ ます。市町村と認定事業者は、一般的な事情変更を考慮し、双方で協議の上、市況の変動に対応した取引価格の変更や契約の解除を行うことが考えられます。その場合、契約書に、あらかじめ、「天災地変、経済動向の変化等により、金属等の流通価格が著しく変動した場合」「経済情勢の変化等により取引価格が不当となった場
合」等に双方がどのように対応するかを記載しておくことが考えられます。なお、やむをえず事業を中止することになる場合、本事業が市民の協力を得て行う事業であることに鑑み、混乱を避ける等のために、事業を終了するまでに一定の猶予期間を設けることも考えられます。
3.7 契約の期間
市町村と認定事業者の契約期間については、市町村が、事業の安定的な実施を確保する観点から適正に決定することが重要です。市町村の会計年度は単年度であることから、一般的には契約期間は単年度( 1 年) となることが多いです
が、これよりも長期あるいは短期の契約をすることもできます。
市町村の会計年度が単年度であること、住民説明の観点等から常に適正な事業者を選択した上で契約を行うことが望ましいことなどから、市町村と事業者との契約は単年度の契約が通例です。
本制度においては、資源確保などの観点から、自発的なリサイクルの取組みを継続的・安定的に継続させていくことが重要です。市町村としては、収集した使用済小型電子機器等を安定的に確実に引き取ってもらうことが望ましく、また、認定事業者としては複数の市町村と頻繁に契約の手続きを行ったり物流経路を構築し直したりする等の手間をかけずに、効率的に再資源化事業を継続していくことが望ましい場合も考えられます。このような場合には、市町村は、できるだけ長い期間の契約を結ぶことが考えられます。
一方で、市町村の資源売却等の契約においては、価格が短期間で変動するような資源については、契約に定めた取引単価と相場価格に大きな乖離が生まれる可能性があることを踏まえ、市町村において、1 年より短い期間での契約( 半年、3 ヶ月等)も行われています。また、認定事業者も、資源価格の変動などの影響を踏まえ、長期契約を望まない場合も考えられます。このような場合には、市町村は、1 年よりも短い契約を結ぶことが考えられます。
以上を踏まえながら、市町村は、適切な契約期間を定めてください。
上記を踏まえ、契約書では、契約の履行期間として開始日( 契約日) と終了日の日付を記載することが考えられます。
3.8 市町村による認定事業者への引渡しに係る基本的な条件の整理
市町村による認定事業者への引渡しに係る基本的な条件は、3.1 に記載されている通りであり、以下の通り整理されます。
市町村及び認定事業者は、市町村の方針や収集体制、認定事業者の再資源化事業内容などを踏まえながら、双方で個別に協議の上、契約内容を定め、締結してください。
表 3-2 市町村による認定事業者への引渡の基本的条件の一覧及び組合せの例
対象品目 | 引渡し場所 | 引渡し方法 | 費用負担者 | 引渡し頻度 | 引渡し価格 | 契約期間 | ||
収集設備 | 引渡し場所 | 運搬 | ||||||
① 対 象 品目全て ② 特 定 対象品目 ③ 特 定 対象 品 目 以外 | ① 市町村の施設での引渡し | a) 認定事業者による車両への積込み b) 市町村による車両への積込み | ① 市 町村 ② 認 定事業者 | ① 市町村 ② 認定事業者 | ① 市 町村 ② 認 定事業者 | ① x x 量収 集 後 に引渡し ② 定 期 的な引渡し | ① 有 償 ( 売却) ② 無 償 ( 0円) ③ 逆 有 償 ( 市 町 村 が支払) | 1 年 を 基本 と す るが 双 方 の合 意 す る期間 |
② 認定事業者施設での引渡し | a) 認定事業者による車両からの積下ろし | |||||||
b) 市町村による車両からの積下ろし |
組合せの一例
対象品目 | 引渡し場所 | 引渡し方法 | 費用負担者 | 引渡し頻度 | 引渡し価格 | 契約期間 | ||
収集設備 | 引渡し場所 | 運搬 | ||||||
特定対象品目 | 市 町 村 の施 設 で の引渡し | 認 定 事 業 者 によ る 車 両 へ の積込み | 市町村 | 市町村 | 認定 事業者 | x x 量 収 集後に引渡し | 無償 (0 円) | 1 年 |
契約書では、上記の諸条件を明記し、市町村及び認定事業者が、各々、実施すべき内容、負担すべき内容が明らかとなるようにすることが望ましいでしょう。
3.9 引渡し後の取り扱い方法
市町村が引き渡した使用済小型電子機器等の、認定事業者における取り扱い方法について、後々のトラブルを避けるために、あらかじめ契約書の中に規定し明確化しておくことが望ましいです。
一般廃棄物処理基準( 廃棄物処理法施行令第三条第一項第二号ニ) で「一般廃棄物処理計画に基づき再生するために分別し、収集した一般廃棄物は、適正に再生するようにすること」と定められていることや、市民への説明責任を果たす必要があること等を鑑みると、契約書では、例えば、「引き渡された使用済小型電子機器等を全量、再資源化事業計画に基づき適切に再資源化を行うこと」等と規定することなどが考えられます。
3.10 市町村が再資源化の状況を確認する規定
3.1 から 3.9 では、市町村と認定事業者の契約書において記載すべき、引渡しに係る基本的な条件を整理しましたが、市町村と認定事業者の契約では、市町村が再資源化の状況を確認する規定を設けることが考えられます。
本制度に参加する市町村は、市民の協力を得て、使用済小型電子機器等の再資源化に協力しており、市民への説明や廃棄物処理法の遵守の観点等から、再資源化の状況を把握すべきと考えられます。
そのため、認定事業者が自ら再資源化を実施する場合には市町村と認定事業者の契約において、市町村が現場視察等により再資源化の状況を確認できるような規定を設けることが考えられます。また、認定事業者が委託により再資源化を実施する場合には、認定事業者と実際の処理業者との間の委託契約、認定事業者と市町村との契約等において、同様の規定を設けることになると考えられます。
また、処理実績を把握するための規定も契約書の中に含めることが考えられます。
認定事業者ごとに、1 年間のトータルの処理実績を国へ報告することとなるため、そのような数値については認定事業者が把握しており、契約に基づき市町村にも報告することが考えられます。市町村は、そのデータを基に、当該市町村からの引渡し量等を用いて換算することで、当該市町村による使用済小型電子機器等の分別収集により再資源化された有用金属の量を算定することができます。
一方、市町村が、更に詳細な実績把握のため、認定事業者に対して当該市町村の引渡し分に限った分析結果の提示を求める場合には、分析に必要な費用の負担について契約条件の中で検討する必要があります。
上記を踏まえ、契約書では、「契約年度における総処理実績について、契約にて指定する日までに市町村に報告すること」などと記載することができるでしょう。
4 その他
4.1 認定事業者による市町村の収集費用の補填等の措置
認定事業者は、再資源化事業において、資源価格が下落した場合等でも契約に基づいた引取りを継続するため、赤字の可能性があるというリスクを負担することになる一方、十分な利益を得る可能性もあります。基本方針では、認定事業者が実施する再資源化事業が全体として十分な利益を確保できた場合には、市町村との使用済小型電子機器等の取引価格への反映等を通じて、利益の一部を市町村へ還元するよう努める必要があるとしています。なお、ここでの利益とは、認定事業者ごとのシステム全体の利益を示しており、個別市町村単位の再資源化事業の収支の利益からの還元は行わないことを基本として考えます。これらのことを踏まえ、今後、市町村回収費用の補填等の措置を検討することになります。
認定事業者が十分な利益を確保した場合、通常その利益は市町村との使用済小型電子機器等の取引価格に反映されるものと考えられます。その他に直接的な補填等の措置が必要となる場合には、認定事業者と市町村にて協議して下さい。なお、協議に当たっては、表 4-1 に示す認定事業者の利益向上への市町村の貢献の可能性を参考にすることもできます。
表 4-1 認定事業者の利益向上への市町村の貢献の可能性
費目 | 利益向上のために必要な事項 | 市町村の貢献の可能性 | |
費用 | 仕分け作業費 | 回収物の仕分けが不要であれば、作業費を削減できる。 | 仕分けに協力する。 市民に仕分けを呼びかける。 |
保管ヤード費用 | 回収物が効率的に梱包等されていると効率がよくなり、保管スペースを削減できる。 | 効率的な梱包等に協力する。 | |
解体作業費 | 回収物の解体が行いやすければ、作業費を削減できる。 | 解体作業が容易にできるように同種の製品や機種に分別する( 解体しやすさがわかる場合)。 | |
破砕・ 選別費 | 回収物の素材構成等が近いものが仕分けられていると破砕・選別のロスが少なくなり効率が上がる。 | 素材構成等が近いものに分別する。 | |
残渣・ 廃棄物処理費 | 残渣物の混入状況が少なければ、処理費を削減できる。 | 異物等の混入を減らす。 | |
減価償却費 | - | - | |
基板輸送費 | 効率的な輸送、輸送距離の短距離化により輸送費を削減できる。 | - | |
収益 | 基板等売却収入 | 基板量が多ければ収入が増える。 | 回収量を増やす。 |
鉄系産物売却収入 | 鉄系産物の量が多く、混入物が少なければ収入が増える。 | ||
アルミニウム系産物売却収入 | アルミニウム系産物の量が多く、混入物が少なければ収入が増える。 | ||
プラスチック等売却収入 | プラスチック等の質が高く、量が多く、混入物が少なければ収入が増える。 |
別添 認定事業者以外の再資源化事業者への引渡しについて
本ガイドラインは、市町村が認定事業者に使用済小型電子機器等を引き渡す際に、市町村と認定事業者が締結する契約について説明するものですが、本法第五条により、市町村は認定事業者以外に、その他の使用済小型電子機器等の再資源化を適正に実施し得る者にも引き渡すことができます。その他の使用済小型電子機器等の再資源化を適正に実施し得る者とは、認定事業者と同様に適正な再資源化を実施することができる者です。ここでは、認定事業者以外の再資源化事業者への引渡しについて、市町村が当該事業者の適正性を判断するための確認項目を記載しています。
( 市町村による再資源化事業者の適正性の確認)
使用済小型電子機器等の引渡し先として認定事業者を選択するか、認定事業者以外の再資源化事業者を選択するかは、市町村の判断によるものです。しかしながら、認定事業者以外の再資源化事業者に引き渡す場合には、一般廃棄物処理基準( 廃棄物処理法施行令第三条第一項第二号ニ) で「再生するために分別し収集した一般廃棄物は、適正に再生するようにすること」と定められていることや、市民への説明責任を果たす必要があること等から、市町村が、当該再資源化事業者が引渡し先として適正であるのかを確認する必要があります。この確認においては、別表の「チェックリスト」を参考に、法令が定める基準等に適合しているか否かを判断する方法が考えられます。
( 有害使用済機器保管等届出制度)
廃棄物処理法の改正により、「有害使用済機器保管等届出制度」が新設され、平成 30 年4 月に施行され、廃棄物でない使用済小型電子機器等を保管又は処分する事業者は、事前に都道府県への届出が必要となったため、再資源化事業者が当該届出を行っているか、または廃棄物処理業者等の当該届出義務の適用が除外される者であるかの確認を行う必要がある旨ご留意下さい。
( 契約方式)
例えば一般競争入札等の契約方式を採用しており、上記適正性の確認ができない場合は、制限付競争入札の採用等の契約方式の変更を検討願います。
※ 認定事業者以外の再資源化事業者に引き渡す場合、市町村と当該再資源化事業者の間では、資源物としての売却契約、 あるいは、 廃棄物としての処理委託契約のいずれかの契約を締結することになります。 また、 廃棄物として処理委託をする場合は、廃棄物処理法施行令第四条第九号イが規定する一般廃棄物の処分を受け入れる市町村への通知等も必要になります。
※ 使用済小型電子機器等と金属くずが一体となった回収を市町村が行う場合において、 当該金属くずが廃棄物に該当せず、 認定事業者以外の再資源化事業者においても使用済小型電子機器等と金属くずを一体として引き受ける体制が整っているのであれば、市町村と認定事業者以外の再資源化事業者の契約において金属くずを含めた形での契約を結ぶことも考えられます。
別表
認定事業者以外の再資源化事業者の適正性確認チェックリスト
分類 | № | チェック項目 | チェック方法 | チェック欄 |
届出等 | 1 | 有害使用済機器保管等の届出が出されているか。 または廃棄物処理業者等の当該届出義務の適用が除外される者であるか。 | 必要書類の提出を求め、確認する。 | □ |
処理フロー | 2 | 処理フローの提出はあるか。 | 別添フローを参照して、処理フローの作成・提出を求める。 | □ |
3 | 鉄、アルミに加え、基板、金銀銅渣等を選別する処理を実施しているか。 | 処理フローにおいて適切な選別が行われているかの説明を求める。 | □ | |
4 | 不適正な再利用が行われていないか。 | 再利用品の通電検査等が販売前に行われているか確認する。 | □ | |
5 | 密閉型蓄電池等は適正に取り外され、処理委託(または売却)されている か。 | 密閉型蓄電池等が取り外され、売却先・委託先が適正であることを確認す る。 | □ | |
6 | フロン類は適正に回収・破壊されているか。 | フロン類の回収及び破壊を行う者が許可事業者であることを確認する。 | □ | |
7 | 選別された「産物」は、適正に売却・処理委託されているか。 | 売却先・委託先との契約書、伝票等を確認する。 | □ | |
8 | 残渣の処理は適正か。 | 残渣が適正に熱回収または最終処分されることを契約書等により確認する。 | □ | |
現地確認 | 9 | 提出された処理フロー通りに処理が行われているか。 | 提出された処理フローと現地設備を比較する。 | □ |
10 | 個人情報が含まれる機器は適切に保管されているか。 | 物理破壊を行うまでは鍵付き保管庫等に保管されていることを確認する。 | □ | |
11 | 取り外された密閉型蓄電池は適切に保管されているか。 | 短絡による発火等を防ぐため絶縁等を行っているか確認する。 | □ | |
12 | 再利用品は適切な保管がされているか。 | 屋外保管や乱雑な積み上げ等を行っていないか確認する。 | □ | |
フォローアップ | 13 | 再資源化量の報告は可能か。 ※再資源化事業者における一年間の合計再資源化実績と、各市町村からの使用済小型電子機器等の引渡し量を用いて市町村別に案分する方法で算出して良い。 | 有用金属等の再資源化量(または精錬事業者等への引き渡し量)の報告を求める。または、売却先の伝票等を確認する。 | □ |
※市町村と契約をした事業者が、他の事業者にその一部または全部の小型家電またはその産物を引き渡す場合においては、当該他の事業者における処理の実態も確認する必要がある。
※上記の項目(特に、現地確認)について、認定事業者と比較することが推奨される。
別添
【参考処理フロー】使用済小型電子機器等の処分方法
渦電流選別手選別
比重選別
使用済小型電子
機器等受入・保管
○○トン/年
手選別
(前処理)
破砕・磁力選別
ガスボンベ
再使用 | 密閉形蓄電池 | 蛍光管 | トナー | フロン類 | 鉄系産物 | アルミニウム系 | 非鉄金属系産物 | プラスチック系産物 | 処理残渣 | |||||||||
可能品 | カートリッジ | 産物 | (基板等) |
中古品販売
○○(株)
電池リサイクル
○○(株)
蛍光管
リサイクル
○○(株)
トナー
リサイクル
○○(株)
フロン類
破壊
○○(株)
製鉄事業者
アルミニウム製錬事業者
非鉄製錬事業者
プラスチック再資源化
○○リサイクル (株)
埋立処分
○○環境(株)
○○(株)△△工場
チェックポイント№3
非磁着物
不導体
穴開け
良導体
磁着物
通電検査・外観検査
売却
委託
委託
委託
委託
売却
売却
売却
売却
委託
チェックポイント№4 チェックポイント№5 チェックポイント№6 チェックポイント№7 チェックポイント№8